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【SS】花帆「あたしが大好きな執事さん!」
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一年組に、二年組が執事として仕えている世界です
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期待
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花帆「──あっ! さやかちゃん! 瑠璃乃ちゃん! こっちこっち!」
さやか「花帆さん! すみません、少し遅れてしまって……」
瑠璃乃「ルリも! ごめんね、ルリの執事さんが時間、間違えちゃって……」
慈「るりちゃ……瑠璃乃お嬢様、その辺にしてくださると……」
綴理「ボクも……えと、さやの……違った、さやかお嬢様のお着替えの手伝いに、少々時間がかかってしまいまして……」
花帆「いいの、いいの、全然! あたし、今日のお茶会、すっごく楽しみにしてたから、無事来てくれただけで嬉しい!」
さやか「花帆さん……」
瑠璃乃「うんうん! ルリもすっごく楽しみにしてた!」
花帆「だよね! それじゃあ梢さん、ご用意お願いします!」
梢「かしこまりました。とびきり美味しい紅茶をお入れしますね」ニコッ
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タイミングバッチリね
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さやか「……」ゴクッ
さやか「! 美味しい……!」
瑠璃乃「本当だ、すっごく美味しい! やっぱり花帆ちゃんの執事さんが淹れた紅茶は格別だね」ゴクゴク
花帆「そうでしょ! あたしの梢さんはすごいんだから!」フフン
梢「お褒めに預かり光栄です」フフッ
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花帆(乙宗梢さん。あたしが物心つく前からずっと、日野下家に仕えている執事さん)
花帆(あたしは小さい頃、体が弱かったから……心配したお母さんが、梢さんをあたしの専属執事に任命して、それからずっと一緒にいる)
花帆「梢さんは、紅茶も美味しければ、立ち居振る舞いも上品だし、本当に素敵な人なんだよ!」
瑠璃乃「その話、お茶会のたびにルリ達聞かされてると、ルリ思う。ゆえに、ルリあり」
さやか「花帆さんは本当に執事さんが大好きなんですね」クスッ
花帆「もちろん! そういうさやかちゃんの執事さんはどうなの?」
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さやか「そう、ですね……綴理さんは人を惹きつけ、目を離させない魅力がありますから、結構いろんな人に言い寄られるんです」
さやか「でも綴理さんは、いつもわたしのことだけを考えてくれて」
さやか「何事にも誠実というところも綴理さんの良い一面で、わたしは好きなんですよね」ペラペラ
さやか「あ、あとピアノの演奏もお上手なんです。いつか機会があれば皆さんにお聞かせしたいですね、あと他にも……」ペラペラ
瑠璃乃「……さやかちゃんって、綴理さんの話になると早口になるよね」ヒソヒソ
花帆「さやかちゃんに執事さんの話振るの、ミスだったかな……多分無意識だから指摘しないであげよ」ヒソヒソ
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さやか「──つまるところ、あの魅力的な人が執事としてわたしの隣にいてくれるのが嬉しくて……そういうところが好きですね」
さやか「…………まぁ、朝が弱いところは玉に瑕かもしれませんが……」
瑠璃乃「あ、逆にさやかちゃんが起こすこともあるって噂が流れてるんだけど、そこんとこは……?」
花帆「え、流石にそれはないんじゃない? 仕えてくれる執事を逆に起こすなんて聞いたことないけど……」
さやか「…………えぇっと……」
瑠璃乃「え、マジなやつ?」
慈「綴理……お嬢様に何させてるのさ」ヒソヒソ
綴理「? でも、さやがボクを起こすのはきまって、いつも一緒に……」
さやか「つ、次の話題に行きましょう! ね! る、瑠璃乃さんはどうなんですか、執事さんのこと?」
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瑠璃乃「ルリ? ルリの執事さんは、優しくていい人だよ!」
花帆「慈さんって人だよね! モノクルが似合ってる女性の!」
さやか「綺麗な女性ですよね」
瑠璃乃「うんうん! でもね、本当にすごいのは綺麗でかわいいだけじゃなくて、かっこいいとこなの!」
瑠璃乃「ルリの執事さんは、勉強が苦手なとことか、ちょっとおっちょこちょいなとこもあるにはあるんけど……」
瑠璃乃「ルリが嫌なことに巻き込まれそうになると、一番に駆けつけて守ってくれて……かっこいいんだぁ」
花帆「うわぁ、それ素敵だね!」
さやか「ええ。やはり、執事さんがいて、守ってくれるというのは安心ですよね」
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瑠璃乃「……だから、ルリは思うのです」
花帆「! ……まさか!」
瑠璃乃「やっぱり、ルリの執事さんが世界一の執事さんだよ! ルリ思う。ゆえに、ルリあり!」ビシッ
花帆「意義あり! 一番の執事さんは、やっぱり梢さんだよ!」ガタッ
さやか「わたしの綴理さんだって、他の方々を圧倒する魅力の持ち主ですよ! 一番は綴理さんに決まっています!」
瑠璃乃「なにおう! じゃあ、一番の執事さんを決めるべく話し合いだー!」
さやか「いいでしょう、わたしの綴理さんが最も優れていると証明させていただきます!」
花帆「梢さんが一番だもん! あたしだって本気なんだぞー!」
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ワーワーワー
綴理「おおー、いつもの、始まったね」
慈「何で毎度毎度、私達の自慢がこんなにヒートアップするんだか……」
綴理「でもめぐ、お嬢様に褒められて、いつも嬉しそうだよね?」
慈「うっ…………しょうがないじゃん! 執事にとって命よりも大切なのはお嬢様だよ!?」
慈「そんなお嬢様に……瑠璃乃お嬢様に褒められるなんて、最高に決まってるもん!」
綴理「わかる。ボクもさや……さやかお嬢様にナデナデされると嬉しい」
慈「いつも思うんだけど、綴理、お嬢様といったい何やってるの!?」
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慈「……まぁいいや。ねぇ、梢も思うでしょ? お嬢様が命よりも大事だってさぁー」
梢「…………」ボー
慈「…………梢?」
梢「あ、えと……何だったかしら、慈?」
慈「いや、だから……執事にとって一番大切なのはお嬢様だよね、って」
梢「そ、そうね……そう思うわ……」
慈「……?」
花帆「梢さんが一番素敵な女性だもん!」ワーワー
梢「……花帆お嬢様…………」
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さやかほるりのビックボイス選手権
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────
花帆「あー、さやかちゃん達とのお茶会楽しかったなぁ……!」
梢「……花帆お嬢様、招待状が届いております」
花帆「え、なになに? 何の招待状ですか?」
梢「婚約者をお決めになる舞踏会の招待状……ですね」ペラッ
花帆「あっ……」
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梢「花帆お嬢様……まだ渋っておられるのですか? お母様も、そろそろ婚約相手を決めてほしいと仰っていましたよ」
花帆「そう言われても……あたしは……」
梢「……私のことなら、お忘れになっても構いません」
花帆「! 嫌、嫌だよ! あたし、梢さんとは離れたくなんか……!」
梢「……花帆お嬢様、よくお聞きください」
梢「私は、日野下家に仕える花帆お嬢様の、懐刀です」
花帆「懐刀……」
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梢「お嬢様の行く末を最期まで見届けるのが、私に課せられた使命だと、幼き頃より言い伝えられていました」
花帆「……それなら! 梢さんはずっとあたしの隣にいてくれたって……」
梢「……いえ、私はあくまで“日野下家”に仕える執事です」
梢「花帆お嬢様のお体も昔と比べご健康になり、十分に独り立ちできる頃合いなのです」
梢「花帆お嬢様が婚約相手を見つけ、その方と添い遂げるのならば……私の役目は、そこで終わります」
梢「私は花帆お嬢様の専属執事を辞して、日野下家のお屋敷に戻り、仕えることになるでしょう」
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花帆「そんな……」
梢「花帆お嬢様……刀は所詮、道具にすぎません」
梢「……余計な情など、私にかける必要はないのですよ」
花帆「情なんかじゃなくて、あたしは……!」
梢「これ以上の問答は不毛でしょう……もう遅いですし、明日、ゆっくりとお考えになってください」
花帆「梢さん……」
梢「……それでは、失礼いたします」ガチャ
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>>16
今日の配信と少しリンクしててエモいのだ
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花帆「はぁ……」
花帆(婚約相手を見つけろって言ってもなぁ……梢さんと離れたくもないし)
花帆(どっちも上手くいく、ハッピーな選択肢はないのかなぁ……)
花帆(あれ、そういえば……さやかちゃん達はどうなんだろう?)
花帆(あたしと同年代なんだし、似たようなこと言われてるんじゃ……)
花帆(よし、それなら……! すぐにお茶会の予定を入れて、話を聞いてみよう!)
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花帆「えーーっ!? さやかちゃん、舞踏会には出ないの!?」
さやか「か、花帆さん、声が大きいですよ!」
瑠璃乃「大きな声で話してたら、せっかく遠くのほうに行ってもらった執事さんたちに聞こえちゃうよ、花帆ちゃん」
花帆「あ……ごめんね、二人とも」
瑠璃乃「いいってことよ! ……でも秘密のお話って舞踏会のことだけ? その舞踏会なら、ルリも出ないけど……?」
花帆「え、瑠璃乃ちゃんも?」
瑠璃乃「うん、ルリには関係ない舞踏会だからね!」
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花帆「ん……? それって……」
さやか「花帆さん?」
花帆「……婚約相手を決める舞踏会なのに、瑠璃乃ちゃんが関係ないってことは!」
花帆「分かった! 瑠璃乃ちゃん、もう婚約者がいるんだ!」
瑠璃乃「おおっ、花帆ちゃん良い推理だね! そのとーり! ルリにはもう、婚約者がいるのです! よく分かったね!」
花帆「ふふん! 推理小説を読み漁り育ってきたこの花帆に、解けない謎はないのです! 名探偵と呼んでくれても良いよ!」
花帆「……って、えーー!?!? 瑠璃乃ちゃん、本当に婚約者がいるの!?」
さやか「得意げになったり驚いたりで、忙しいですね、花帆さんは……」
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瑠璃乃「うん! 実はね、ルリの婚約相手は……執事さんなの!」
さやか「!?」
花帆「……え? し、執事さんと婚約!?」
瑠璃乃「そう! ルリの運命の相手だから!」
花帆「運命の相手……?」
瑠璃乃「めぐちゃん……あ、ルリの執事さんのことね、めぐちゃんは、ルリにいつも“楽しい”を教えてくれるんだ」
瑠璃乃「ルリがうんと小さいときから、めぐちゃんはルリをいつも引っ張って、知らない世界に連れ出してくれた」
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瑠璃乃「ルリはね、運命の相手って、白馬の王子様みたいにいきなり現れる人なんじゃなくて」
瑠璃乃「ずっとそばに居てくれて……近くにいると安心できる人だと思うんだ」
花帆「近くにいて、安心できる人……かぁ」
瑠璃乃「うんうん! ね、さやかちゃんはどう思う……って、あれ?」
さやか「…………//」
瑠璃乃「さやかちゃん?」
さやか「あぁ、いえ、なんでもありません……//」
花帆「さやかちゃんの様子がおかしい! 瑠璃乃ちゃん! 一緒に問い詰めるよ!」
瑠璃乃「おおっ、取り調べだね! ……さやかちゃん、田舎の女房が泣いてますぜ……」
さやか「事件の犯人みたいな扱いしないでください! 話します! 話しますから!」
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さやか「わたしの婚約者も……その、瑠璃乃さんと一緒で……執事さんなんです……//」
花帆「……えっ、さやかちゃんって、あの背高い執事さんとお付き合いしてるってこと!?」ガタッ
さやか「お、大きな声で言わないでください……//」
瑠璃乃「ルリとおんなじかー……やっぱり、さやかちゃん的にも運命の相手だったり?」
花帆「運命……そうなの、さやかちゃん?」
さやか「そう、ですね……瑠璃乃さん風に言えば、わたしにとっての運命の相手は、綴理さんです」
さやか「綴理さんって、その魅力もさることながら、次に何をするのか分からなくて……つい、目で追ってしまうんです」クスッ
さやか「運命の相手は、自分が目を離すことができないような人……でしょうか、わたしはそう思います」
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瑠璃乃「へぇー……あ、そうだ、さやかちゃん!」
さやか「何ですか、瑠璃乃さん?」
瑠璃乃「ぶっちゃけ言ってさ、さやかちゃん、あの執事さんと何処まで進んでる? ルリはもう、めぐちゃんと夜、一緒に寝たんだけど」
花帆「!? 瑠璃乃ちゃん!? すごいこと聞くね!?」
瑠璃乃「いやー……こういう話できる人いないからさ……」
さやか「あ、あ、えと…………////」
花帆「でも、さやかちゃんが大変だ!? 顔真っ赤だよ、さやかちゃん!」
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さやか「……こほん、その、わたしと綴理さんなんですけど……」
さやか「……実は、もう何回もしてますね……////」
花帆「!?」
瑠璃乃「おぉー、さすが、さやかちゃんだー! ちなみに、執事さんの方から言ったの? それともさやかちゃんから?」
さやか「えっと……最初は綴理さんから誘ってくださったんですけど」
さやか「最近はわたしからも、綴理さんを求めてしまって……朝からも……」
花帆「…………あ! ということは、このあいだお茶会に遅れたのって……そういうこと!?」
さやか「うぅ…………はい……////」
瑠璃乃「さやかちゃん、顔真っ赤になっちゃってますぜ」ニヤニヤ
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花帆「すごいなぁ、みんな進んでるんだね! あたしの預かり知らぬところで二人とも……」ハッ
花帆「もしかして、あたし、置いていかれてる……!?」ショボン
さやか「いえ、あの、わたしと綴理さんがそういう関係になったのは、ほんの少し前、つい最近ですから! 花帆さんを置いていったわけじゃ……」
瑠璃乃「つい最近、の関係で自分から求めるくらいシちゃってるの、それはそれでヤバくね?」
瑠璃乃「……まぁでも、花帆ちゃんは花帆ちゃんのペースで大丈夫だと、ルリは思うけどなぁ」
花帆「……そうかな?」
瑠璃乃「うんうん! 人には人のペースってのがあるんだよ!」
さやか「わたしもそう思います。花帆さんは花帆さんですから、わたし達の話を聞いて焦らなくても大丈夫ですよ」ニコッ
花帆「そっかぁ……」
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花帆「……でもそれはそれとして、さやかちゃん!」ガタッ
さやか「は、はい!? なんでしょうか!?」
花帆「もっと、執事さんとのそういう行為について、あたしに教えて!」
さやか「!? な、なんでですか!?//」
花帆「あたし、結構たくさんの本読んできたし……そう言うのが気になるお年頃なのです!」
瑠璃乃「そうそう! ルリ達だって思春期の女の子だもん! そりゃ聞きたくなるってもんよ!」
さやか「え、えぇ……!?」
花帆「たとえば……そう、痕! 痕とか執事さんにつけられちゃったりするの? それとも、さやかちゃんからつけるのかな? 教えて、さやかちゃん!」
瑠璃乃「うんうん、さやかちゃん! もっとルリ達に教えてよ!」グッ
さやか「か、勘弁してくださいー!////」
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そういう行為♡
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────
瑠璃乃「……そろそろ暗くなってきたね、お茶会も終わりかなぁ?」
花帆「そうだね、さやかちゃんも限界みたいだし……」
さやか「……うぅ……恥ずかしすぎます……////」カァァ
瑠璃乃「すごく色んなこと聞いちゃったしね……まさか、さやかちゃんがそこまでだとは……」
さやか「も、もう! わたしの話はいいんですよ!////」
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花帆「でも……そっかぁ、さやかちゃんも瑠璃乃ちゃんも婚約者がいて、舞踏会には出ないのかぁ……」
さやか「花帆さんは出るんですか、舞踏会?」
花帆「……うん、その予定。朝起きたら、もうお母さんが勝手に申し込んじゃってて」
花帆「……でも、ちょっと色々考えてみよっかな! 二人とも、今日は色々お話ありがとね!」
瑠璃乃「ううん、こちらこそ! ルリは特にさやかちゃんと、そういう事情について話し合えて、すっごく楽しかったし!」
さやか「わたしが、かなり一方的に話していたような気もするのですが……!?」
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花帆「あはは……途中から、あたしと瑠璃乃ちゃんで、さやかちゃんのこと質問攻めにしてたもんね」
瑠璃乃「それについては、どうか許していただきたく……さやか様ぁ」スリスリ
さやか「まったくもう、仕方ないですね……ともあれ、今日はお茶会にご招待いただきありがとうございました」ペコリ
瑠璃乃「ルリも! またお茶会あったら、ぜひ呼んでね!」
花帆「二人とも……もちろんだよ! それじゃあ、またね!」
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花帆「……ふぅ、二人ともすごいなぁ……」
梢「……花帆お嬢様、お迎えにあがりました」サッ
花帆「あ、梢さん……ありがとうございます」
梢「お茶会はお楽しみになられましたか?」
花帆「はい! 二人からいろんな話も聞けたし、楽しかったです!」
梢「それなら、なによりです」ニコッ
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梢「……来週には、婚約相手を見つけるための舞踏会がございますので、お忘れなきようお願いいたします」
花帆「! 舞踏会……」
花帆(婚約相手を見つける、かぁ……)
梢「……素敵な相手と、出会えると良いですね」
花帆「……」
花帆(あたしは……)
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────
「舞踏会の主催者である沙知様のご挨拶です」
パチパチパチパチ
沙知「──さて、みんな、舞踏会に集まってくれてありがとう」
沙知「この舞踏会で運命の人に出会えるかどうかは、まぁ運次第だ」
沙知「でもあたしは、人生のどこかのタイミングで、必ず運命の人には出会えるって思うぞ! それに気づくかどうかは別としてな」
沙知「何はともあれ、この舞踏会でみんな楽しい思い出を作ってくれ! あたしからは以上!」
パチパチパチパチ
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ザワザワザワ
花帆「わわっ、舞踏会が始まっちゃった……!?」
梢「花帆お嬢様、どなたか気になる方はいらっしゃいますか」
花帆「梢さん……! えっと……」
花帆(……あたしの運命の人、か)
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花帆「……」ウーン
梢「花帆お嬢様?」
花帆(……このあいだ、さやかちゃんや瑠璃乃ちゃんが言っていたこと)
花帆(運命の人は、近くにいると安心できて、目を離すことができないような人)
花帆(そう考えると、あたしの運命の人ってやっぱり……!)
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花帆「……梢さん!」
梢「はい、どうしましたか?」
花帆「あたし、舞踏会抜け出しちゃいます!!」
梢「…………え?」
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花帆「花帆は止まらないぞー! おりゃー!」ダッ
梢「か、花帆お嬢様!? どちらへ行かれるんですか!?」
花帆「この会場の外です!」タッタッタッ
花帆(気づいたらもう、走り出してた)
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タッタッタッ
梢「お、お待ちください! 花帆お嬢様ーー!」
花帆(逃げるあたしを、必死に追いかける梢さん)
花帆(普段のキリッとした表情は鳴りを潜めて、ものすごく焦った顔をしている)
花帆「…………ふふっ」
花帆(なんだか……すごく楽しい!)
花帆「うおー! もっともっと遠くまで行っちゃうぞー!!」タッタッ
梢「花帆お嬢様ー!? お待ちをー!!」タッタッ
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────
梢「や、やっと追いつきました……花帆お嬢様、一体どうして……って、あら……?」
花帆「はぁ……はぁ……普段お茶会ばかりで、あまり運動をしないから……体力が……くぅ……」ガタッ
梢「花帆お嬢様ー!?」
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梢「……落ち着きましたか、花帆お嬢様?」
花帆「はい……なんとか……慣れないことはするものじゃないですね」アハハ
梢「花帆お嬢様、どうしてこのようなことを? この舞踏会は婚約相手を見つける、大切なものなんですよ?」
花帆「そう、それです! 今日の舞踏会は婚約相手を見つけるためのもの、そうですよね?」
梢「え、ええ……そうですけれど……」
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>>40
宴花帆のイラスト思い出す🤗
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花帆「じゃあ、あたしには、もうこの舞踏会は必要ないんです!」
梢「……? どう言う意味ですか、花帆お嬢様?」
花帆「あたしの運命の人は……もうすでに、出会っていたんです」
花帆「──あたし、梢さんが好きです」
梢「……!」
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梢「……嬉しいお言葉ありがとうございます。私も花帆お嬢様のことを敬愛して……」
花帆「……って、そうじゃなくて!」
花帆「あたし、梢さんと結婚したいんです!」
梢「!? け、結婚……!?」
花帆「はい! あたしの婚約者は……梢さんです!」
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梢「……花帆お嬢様、それは本気で仰っているのですか……?」
花帆「あー、信じてませんね? もちろん本気です! この花帆の目が嘘をついているように見えますか?」ジー
梢「いえ、まったくそうは……」
花帆「ですよね! あたし、梢さんのことが大好きなんです!」
梢「…………まさか、信じられない……!」ボソッ
花帆「……梢さん?」
梢「……花帆お嬢様!!」ギュッ
花帆「わ、わわ、梢さん!? どうしたんですか、いきなり抱きついて……」
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梢「ずっと……ずっと、私も同じだったのですよ?」
花帆「……え?」
梢「私も、花帆お嬢様が、ずっと大好きだったんです」ギュー
花帆「……そう、だったんですか……?」
梢「はい。私だって……花帆お嬢様の幸せを願いながらも、離れてしまうのは、辛くて……」
花帆「梢さん……」
花帆「……これからは、ずっと一緒です! あたし、絶対に梢さんを離しませんから!」ギュー
梢「花帆お嬢様……! はい、ずっとお側におります……」
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梢「……花帆お嬢様、この後のことなんですが……」
花帆「この後? あっ、梢さんはこれから“日野下梢”になるんですよね! それの手続きですか?」
梢「いえ、そうではなく……」コホン
梢「……一つ、お母様より、婚約相手が見つかったら伝えろと申しつかった言伝がございます」
花帆「お母さんから……言伝? 内容はなんですか?」
梢「……『離れに最高級のベッドを用意したから、その方と夜の営みを行うように』とのことです」
花帆「…………へ?」
梢「行きましょうか、花帆お嬢様」
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コイツらフラワーするんだ!!
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────
梢「花帆お嬢様、こちらへ……」
花帆「は、はい!」
梢「……少し、緊張していらっしゃいますか?」
花帆「え、えと……」
花帆(あたしの部屋に、梢さんがいて……これから“そういうこと”しちゃうんだもん……緊張しないわけないよ……!)
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あたしと梢センパイ残陽しちゃうんだ!
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梢「大丈夫ですよ、花帆お嬢様」ギュー
花帆「あっ……」
梢「すべて、私にお任せください。花帆お嬢様が不安に思う必要はございません」
花帆「梢さん……そう、ですよね。それじゃあ……」
花帆「──花帆のはじめて、もらってくれますか?」
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お?
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ふんふん、とっても良いと思うな!
そのまま続けて!
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梢「えぇ。花帆お嬢様のお頼みなら、何だっていたします……」ガタッ
花帆「きゃっ……」ポスッ
花帆(あたしは、梢さんに押し倒されて……)
梢「んっ…………ちゅ……」
花帆「あっ……ん、ん……」
梢「……ん、れろ……ちゅ…………ぷはっ」
花帆「ぷはっ……ん……はぁ、はぁ……梢さん……」
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梢「……花帆お嬢様、気持ちいいですか?」
花帆「梢さん……はい…………でも」
花帆「もっと、もっと……あたし、梢さんのすべてが欲しい……」
梢「! 花帆お嬢様……」
花帆「梢さん…………大好きです……お願いします……」ギュッ
梢「花帆お嬢様……私も、花帆お嬢様が大好きです……」サッ
花帆「あっ、梢さ、ん、ん──」
────
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チュンチュン
花帆「…………zzz」スゥスゥ
梢「……花帆お嬢様、花帆お嬢様!」ユサユサ
花帆「……ふわぁ……? ここは……」
梢「ここは花帆お嬢様のお部屋です。お目覚めの時間ですよ」ニコッ
花帆「梢さん……そっか、あたし、梢さんと……」
梢「その格好ではお寒いでしょう? 温かい紅茶をお淹れしてきますので、お着替えになってお待ちくだ──」
花帆「梢さん!」ギュッ
梢「か、花帆お嬢様!?」
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花帆「えへへ……朝起きて、すぐに梢さんに抱きつけるなんて、最高ですね……! 梢さん、おはようございます!」ギュー
梢「花帆お嬢様……ふふ、おはようございます」ニコッ
花帆「……あ、そういえば! 梢さん、いつか言ってましたよね? あたしの最期を見届けるのが使命だ、って」
梢「ええ、私は花帆お嬢様の懐刀ですので」
花帆「あのときは、婚約相手が見つかったら執事を辞めちゃうって言ってましたけど……今はもう、大丈夫なんですよね?」
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梢「もちろんです。お母様にも今朝、連絡いたしましたが、とても喜んでおられましたよ」ニコッ
花帆「そっか、よかったぁ…………じゃあじゃあ! 梢さん、一つ、あたしと約束してくれますか?」
梢「約束、ですか? ええ、花帆お嬢様の仰ることならなんだって」
花帆「えへへ、それじゃあ……」
花帆「──梢さん! 最期まであたしの隣に、いてくださいね!」ニコッ
おしまい
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すばらしいわね、花丸よ
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大作おつかれフラワー🌸
ちゃんとノロケストラしてるの草だった
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これが軌跡の舞踏会AFTER……!
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読了
さん付けの違和感も読んでいくうちにスッとなくなっていく素晴しい文章でした
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やっぱりこずかほ最高に好き
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良いもの見させてもらった
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めちゃくちゃ良かった
素晴らしい物語をありがとう
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とても良い
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\すばらしいわね/
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最高の舞踏会SSに出会えたことに感謝ね
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素敵なSSをありがとう。花丸よ。
-
素晴らしかったわ
最高です!👏🌀👏
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