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8テュルキエ:2014/08/24(日) 22:42:17
 日本の半分ほどの国土に、約540万人が暮らす中央アジア・キルギスの最大民族は、キルギス人。彼らの多くは、スンナ派のイスラム教を信仰している。この国では、一旦、男性の家に入ってしまうと、たとえ拒否し続けて実家に帰ったとしても、「純血を失った」と見なされ、家族に恥をかかせてしまうこともあるという。

 正直なところ、「恥」という理由で、結婚を拒否できないという事実をまったく理解できない。訳がわからない分、一体、彼女たちが何を考えているのだろうと、写真に映る彼女たちを何度も凝視してしまう。すべてのページに目を通した時、衝撃とともにやっぱりよくわからない、という思いが残る。けれど、再びページをめくった時は少し印象が変わる。この写真集から伝わってくるのは、「誘拐結婚」ってダメだよねということよりも、むしろキルギスの女性たちが力強く、生きる姿だ。

 林さんは、最初の取材から1年4カ月後、ディナラから出産すると聞いて再訪する。そこには、嘆くばかりではなく、子どもを宿し、ロシア語教師という新たな仕事を見つけ、幸せになるんだと意気込みさえ感じさせる、ディナラの姿があった。

 この写真集にはディナラ以外にも、婚約者がいるのに誘拐され、結婚を迫られた大学生のファリーダ、強引に結婚式が行われた末にレイプされ、19歳の若さで自殺してしまったウルス、誘拐結婚を利用して、わざと恋人に誘拐されることで結ばれたアイペリ、誘拐結婚の末に今は幸せに暮らしているグルスン(59歳)など、13名の女性が登場し、「誘拐結婚」を通した、キルギス人の女性たちの生き方を伝えている。

 これらの写真で、林さんは日本人初となる、2013年フランス世界報道写真祭「ビザ・プール・リマージュ」特集部門最高賞「ビザ・ドール(金賞)」、さらには、14年全米報道写真家協会(NPPA)「フォトジャーナリズム大賞」現代社会問題組写真部門1位を受賞している。世界中の人々の心を揺さぶった写真の数々を、とくとご覧あれ。
(文=上浦未来)

●はやし・のりこ
1983年生まれ。大学在学中に、西アフリカ・ガンビアの地元新聞社、ザ・ポイント紙で写真を撮り始める。「ニュースにならない人々の物語」を国内外で取材。ナショナル ジオグラフィック日本版で、12年9月号「失われたロマの町」、13年7月号「キルギス 誘拐婚の現実」を発表。その他、米ワシントン・ポスト紙、独デア・シュピーゲル誌、仏ル・モンド紙、デイズ・ジャパン誌、米ニューズウィーク誌、マリ・クレール誌(英国版、ロシア版)など、数々のメディアで作品を発表。著書に、『フォト・ドキュメンタリー 人間の尊厳 ――いま、この世界の片隅で』(岩波書店)。受賞歴/11年第7回名取洋之助写真賞、12年第8回DAYS国際フォトジャーナリズム大賞1位、13年米アレクシア写真財団写真賞ファイナリスト、フランス世界報道写真祭「ビザ・プール・リマージュ」特集部門最高賞「ビザ・ドール(金賞)」、14年全米報道写真家協会(NPPA)「フォトジャーナリズム大賞」現代社会問題組写真部門1位。


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