「ふむふむ・・・もう中高からの根っからのブスってことか・・・なるほどね〜・・・。っていうとおもったか!?ヲイ!卓球を愛するすべての人に謝れ!」(ブログ「feeling in my mind」より)
「ソフトボール 高校の時のぴのの所属部活やんっ(`ε´) ショック隠しきれず…☆=>=>=>(+_+。)」(ブログ「Princess pretender's room」より)
Aリストに挙げられる技術ブロガーについて考えてみよう。誰にも雇われていない。誰にも任命されていない。自分のウェブログを始めるには、安価なソフトウェアツールと、何か言うことがあればいい。ウェブの組織化されていないおしゃべりの中から、最も鋭い声が飛び出すだけのことである。わずか1年のうちにハーバードでブログコミュニティを組織化した初期の提唱者デイブ・ワイナーのような人たちは確かに存在しており、ブロゴスフィアでの評判は高い。しかし、もっと親しまれている人たちがいる。長らく尊敬されてきた技術観察者にしてLinuxジャーナル編集者であるドク・シールズは、読者数の多いブログでバーチャルブランドにのし上がっている。あるいは、ダン・ギルモアの「We the Media(メディアである我々)」という本はブログ宣言となっている。
「小さな話題についてニッチな影響を与える重要人物もいますが、Aリストというのも確かにありますね」と語るのは、ブロゴスフィアを追跡している企業TechnoratiのCEO、Dave Sifryだ。 Siftyはラテをがぶ飲みし、スターバックス無線接続(Wi-Fi)を使いながら、矢を放って世論を形成する黒幕となるオタク番付をまとめ続けている。技術会議においては、ノートパソコンが接続できるようにするため壁に向かって群がっている人たちの姿を見ることができる。そうすることによってどこにいても見えない観客との会話を保っており、一日2万人もの来訪者があるのだ。こうして公開されたものについて誰も対価を支払わないが、podcastの例で示したように世論が形成されていく。「ブロゴスフィアは、ティッピング・ポイント機構です」とシールズは語る。これはマルコム・グラッドウェルの論文『ティッピング・ポイント(The Tipping Point)』に書かれた概念で、考えやトレンドが無名な状態から突然普遍的なものになりえるという仕組みのことである。よい考えは、ブロゴスフィアの「echo chamber(音響室)」によって拡大されていく。これは、ブロガーのオリジナルの発想である必要はない。実際、HP情報工学研究所の科学者が「ブログ空間の暗黙の構造と力学(Implicit Structure and the Dynamics of Blogspace)」という論文で書いたように、アイデアはブロゴスフィアでウィルスのように動く。アルファブロガーたちは悪疫を撒き散らす保菌者のように、コンセプトを広める。
今回参加したパネリストは、ブログで自分たちをアピールできる人がほとんど。実名も公表している。だが、一般ブロガーの中には、記事を書くことによって自分だけでなく、家族や会社に塁が及ぶことを懸念し、匿名性を支持する向きもある。これに対して、ブログ「404 Blog Not Found」の小飼弾氏は「個人情報は昔からプロが調べればあっという間に分かること。個人情報の秘密なんてなかった」と、そもそも完全な匿名性の存在に疑問を呈す。