「社会といったものはないThere is no such thing as society」と説き、国家に対する責任転嫁をいましめたサッチャーの下、自助の精神が取り戻されたという評価や、以下の各国に共通した双子の赤字の課題を残しつつも、英国が英国病を克服したこと、米国が石油危機に端を発するスタグフレーションを脱し、1990年代にはクリントン政権下でインターネットなどの新産業が勃興して産業競争力を回復したこと、南米ではブラジルが1990年代までの深刻なインフレの制圧に成功しブラジル通貨危機までの安定成長を遂げていることなどは、グローバル資本主義、新自由主義の功績であると評価されている。
フクヤマ氏はブッシュ政権の外交政策の柱であるネオコン(新保守主義)の論客として知られていたが、2006年2月、『America at the crossroads』によってネオコンからの“離脱”を公に宣言した。この著作は、彼が2005年4月にイェール大学で行った講演が基になっている。この講演が行われた頃には、米英軍によるイラク空爆開始から2年が経ち、米兵の死者が1,500名を超えた。
リバタリアニズムでは私的財産権(private property rights)もしくは私有財産制を個人の自由を確保する上で必要不可欠な制度原理と考える。私的財産権には、自分の身体は自分が所有していることを自明とする自己所有権原理(principle of self-ownership)を置く。(→ジョン・ロック)私的財産権が政府や他者により侵害されれば個人の自由に対する制限もしくは破壊に結びつくとし、政府による徴税行為をも基本的に否定する。 法的には、ハイエクに見られるように、自由とは本質的に消極的な概念であるとした上で、自由を確保する法思想(法の支配/rule of law)を追求する。 経済的には、フリードマンに見られるように、市場におきる諸問題は政府の規制や介入が引き起こしているという考えから、市場への一切の政府介入を否定する自由放任主義(レッセフェール/laissez-faire)を唱える。