「研究倫理について話してほしい」という依頼が来たのは3月下旬のこと。学生さん相手の講義などでは、折に触れ「コントロールを取ること」「再現性があること」などを盛り込んで話をしてきましたが、正面から「研究倫理」について講演するのは、ほぼ初めてで、PowerPointスライドもまったく最初から作りました。タイトルも悩んだ末に次のようなものに決めました。
導入でNature誌の論文を取り上げて、具体的な問題点についても、日本分子生物学会のHPに置かれている「正しい知識が捏造を防ぐ データを正確に解釈するための6つのポイント」などに触れましたが、強調したかったことは、科学という営みが「誠実さ」にもとづいていること、日本語で「研究公正局」と訳される米国のOffice of Research Integrityという名称に使われている「Integrity」の意味、科学を行うことの根源的な喜びはどういうところにあるのか、などでした。