したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

藍物語(投稿・感想・雑談専用=隔離)スレ

1082『啓示』 ◆iF1EyBLnoU:2016/07/14(木) 22:58:36 ID:sdlCPg8I0
 洩れてくる光が明るさを増し、するすると御簾が開いた。
眼を伏せるか閉じるか思案する間もなく、これは...もう、眼を逸らせない。
12・13歳?五色の薄衣を纏った御陰神様は可憐な少女のように見えた。
以前聞いた御声と違っていたのはこのためだ。むしろ、あの時の姫よりも。
でも、御陰神様はこの辺りの神々を束ねる主神で、もう何千年も前から。
『この星が活動し大きな力が働くと、吾等もその力を得て時を遡る。
だから、この星の力が尽きぬ限り、吾等は不死。だが...』
御陰神様の右頬に一筋の涙。 胸の奥に響く、深い悲しみ。
『吾は見たくない。星の力で引き起こされた大災害で失われる、数知れぬ命を。
不死の代償がそれらの命だとしたら、むしろ吾は。』
『御陰神様、怖れながら、どうかそれ以上の御言葉は。』

1083『啓示』 ◆iF1EyBLnoU:2016/07/14(木) 22:59:30 ID:sdlCPg8I0
 川の神様の、切羽詰まった御声。確かに、川の神様も以前より若返って見える。
それが俺たち人間や他の生物の命と引き替えに...いや、違う。
『原因』となるのがこの星の力という点は同じだが、それがもたらす『結果』は別だ。
その力は一方で神々を不死とし、他方では大災害を引き起こし多くの命を奪う。
大災害で失われる生物たちの命と引き替えに神々が不死なのではない。
当然、神々が不死と引き替えに大災害を防ぐこともできない。
何より、悪意を持って我々を殺すために地震や津波が起こるなど絶対に...
それはこの星に生まれたものの宿命。生まれたのだから、何時かは死ぬ。
産み出し、飲み込む。 遠い時の彼方、この星の力が尽きれば神々の存在さえも。ならば。
下腹に力を入れ、深く息を吸った。

1084『啓示』 ◆iF1EyBLnoU:2016/07/14(木) 23:00:38 ID:sdlCPg8I0
 『此の度の大災害では、亡くなった人々の魂を救うために、
各地から多くの神々が被災地に集い、心を砕いて下さったと聞いています。』
大災害に関わる仕事の前に、当主様は術者を集めてそう仰った。
『亡くなった者の魂は神々に委ねよう。きっと見落とすことなく、救い導いて下さる。
そして我々は、残された者が生きていくための仕事をするのだ。』と。
御陰神様は真っ直ぐに俺を見つめた。その瞳以外、全てが視界から消えていく。
綺麗だ。俺は知っている、この感覚は。
『確かに、自らの業の重みで沈んだ者を除いて、吾等は全ての魂を掬い上げた。
少し時間がかかって苦しませたが、それらの魂は今、この上なく安らかにある。』

1085『啓示』 ◆iF1EyBLnoU:2016/07/14(木) 23:02:56 ID:sdlCPg8I0
 暗く、冷たい川の中に跪いている。俯いて水面を見つめた。
上流から、薄紅色の光がゆっくりと流れてきた。右手がひとりでに動いてそれを掬い上げる。
そうか、この情景は御陰神様の記憶。
『済まぬ。長く待たせて、苦しませて、本当に悪かった。
だが、安堵せよ。苦しみも、痛みも既に、無い。』
右手の下にそっと左手が。右掌にぽたぽたと落ちる滴は...涙?
薄紅色の光は明るさを増し、掌から飛び立つ。まるで、蛍。 これで、良い。
『御陰神様、救うことの出来る魂は、もう。』
『そう、だな。だが、本当に見落としはないか?あの忌まわしき者共の始末は?』
『それはこれを。結界に近付いた者はこのように。』 捧げ持つ槍に貫かれた、浅ましい姿。
『皆様方、御仕事を終えて御陰神様を待っておられます。どうか。』
本当か、本当に見落としは無いか。もう一度心を尽くして上流と、水底に注意を向ける。
大丈夫。悪しき業深く自らの光を失った者以外の気配はない。
ゆっくりと立ち上がる。衣から滴る水の音。辺りを飛び交う無数の光。
おそらく他の区画でも...他の神々が既にこの仕事を終えた頃。

1086『啓示』 ◆iF1EyBLnoU:2016/07/14(木) 23:04:03 ID:sdlCPg8I0
 『明日、夜明け前に皆で沢へ参れ。我等が生物の間に結んだ約束の証を見せよう。』

 何時の間にか、俺は川の神様の社、境内に立っていた。
『あの、沢だ。忘れてはおるまいな。』 「それは、勿論。」
「宜しい。では、細君お二人と姫と若たち三人も。きっと、だぞ。」 「はい、必ず。」

 厳密には定員オーバーなのだろうが、細い山道の入り口で軽の4駆を降りた。
俺は藍を、姫は丹を抱き、Sさんは翠の手を引いて歩く。
「ちょっと待って下さい。今、この藪を。」
この藪を抜けて斜面を降りればすぐ下に沢。藪の草を踏み分け、道をつける。
「あれは...」 Sさんの声。 続いて姫の溜息。
振り向いて皆の顔を見て、その視線を辿る。斜面の先、沢の方向に視線を移した。

1087『啓示』 ◆iF1EyBLnoU:2016/07/14(木) 23:07:45 ID:sdlCPg8I0
 数知れぬ、色とりどりの光。
夜明け前の薄闇を照らす、まるで季節外れの蛍、しかしこの色と数は。
そして辺りに漂う芳香、微かに鈴を振るような音。
この世ならぬ景色、まるで、秋の蛍祭り。
それらは次第に高く舞い、天上を目指すように見える。救われた魂が、きっと。

 『然るべき季節、この沢に蛍が舞う限り、約束は守られる。
それを確かめるために、その季節に御前たちは毎年、此所へ参れ。忘れるな。』

 黙ったまま、藍も丹も、飛び交う光を見つめていた。
Sさんは微笑んで翠の涙を拭き、その体を抱き上げる。
俺たちは膝を着き、黙って深く頭を下げた。明るく、静かだ、
恐らく、この景色こそ、涅槃。日々を懸命に生きる命に約束された場所。

『啓示』 完

1088 ◆iF1EyBLnoU:2016/07/14(木) 23:12:31 ID:sdlCPg8I0
皆様今晩は。再び、藍です。

お陰様で無事『啓示』の投稿を終える事が出来ました。
この作品については否定的な反応が有ることも覚悟しておりますが、
出来れば曲解無く、公開された意味を汲み取って下さる事を願っています。

ここまでお付き合い頂いた皆様に心からの感謝を。
本当に、有り難う御座いました。

1089 ◆iF1EyBLnoU:2016/07/14(木) 23:22:52 ID:sdlCPg8I0
追伸

昨夜、次作の原稿の一部を受け取りました。
「開祖」の御方に関わるお話のようです。今のところは
公開の時期も、そもそも公開できる作品なのかも不明ですが、
公開できるなら何時かきっと此所で、御機嫌よう。

1090名無しさん:2016/07/15(金) 00:42:22 ID:lWAmY10cO
新話投稿、おつかれさまです

1091名無しさん:2016/07/15(金) 02:12:51 ID:EeW0cPpU0
ひとつの事をずっと集中して想ってください。
かならずその理由は後からでも見えてきます。それが信解、さんげ。
それが身に付くと、後が解るになります。それが「解悔」

業を積まぬためにどれだけの努力が要るのか。生まれ変わっても受け継ぐ業があるとするのなら
術者の方々の生き方には頭が下がります。

流れゆく名もなき雨粒一つに気配り目配りがあるとするのならこれほどの果報も無いかと。
声なき声に耳を傾け、感謝の気持ちさえあれば、人の想いを力に変えてくださる存在は不滅と言う事と理解いたします。

1092名無しさん:2016/07/15(金) 02:18:53 ID:EeW0cPpU0
追伸

今なら聞けるかと。木蘇の御嶽で何があったのかと。啓示を読んで思いました。
忌まわしき者、でしょうか?

1093名無しさん:2016/07/15(金) 17:26:37 ID:u/ak1vBAO
藍さん、投稿ありがとうございました。神々しい雰囲気が伝わってきました。

311の数日前に魂の集団が球のようにやってきて、「今までありがとう」と礼を言われた方がいらっしゃいました。
その方は多忙で軽く受け流したそうですが、311が来て、魂の集団の「ありがとう」の意味がわかったそうです。
人は無意識では自分がいつどのように死ぬかわかっているのかもしれませんね。

震災の救援お疲れ様でした。ありがとうございます。

1094 ◆iF1EyBLnoU:2016/07/15(金) 19:37:54 ID:OjcoZCJY0
皆様今晩は、藍です。

否定的な反応も覚悟していたところ、とても興味深く、
数々の真摯なコメントを頂き感謝致します。

実はこの作品について、コメントへの返信は禁止されているのですが、
皆様方の誠意に答えずにいられません。きっと後の許しが頂けるでしょう。

>>1090
有り難う御座います。皆様のコメントが投稿の原動力です。

>>1091
名も無き雨粒に心を配り見つめ続ける存在、
日々を懸命に生きる人は果報者です。今は辛くても、
いつかきっと果報者になれます。私も、そう信じます。
有り難う御座いました。

>>1092
申し訳ありません、お答えすることは叶いません。
御岳だけでなく...胸が痛み、口をつぐまざるを得ない事例が多すぎて。
しかし『忌まわしき者』などとは思いません。
むしろ澄んだ眼をお持ちなのだと。有り難う御座いました。

>>1093
受け流すのは、日々を生きるのに必死な人の身の限界でしょうね。
しかし、『今までありがとう』と語る小さき声の1つ1つに、
聞き落とすこと無く、受け流すことも無く、心を配って下さる御方はきっと。
すてきなコメント、本当に有り難う御座いました。

1095名無しさん:2016/07/15(金) 23:45:32 ID:HEEYW78.0
万物の始まりからの,神と人との約束,命の光の絆。 
起きることは避けられなかったけれども,神々の奇跡によって破滅が避けられたことに感謝します。
とても深い物語を投稿していただき,ありがとうございました。

1096名無しさん:2016/07/16(土) 00:58:40 ID:QstgHmCs0
神様にも方針の違いがあるという事か‥
穂高は動かなかったと思われる。あそこは異質で人とは近く無いらしく、動くときは他も一緒に動くみたいだから。
義憤に駆られて愛し子を自らの手でとまで思いつめたお方も居るらしい。
大難が小難に、小難が無難に。我々ができる事はまだある。それを今やってる人が居る。だから私も祈ろう。自分以外の事を。

1097名無しさん:2016/07/16(土) 11:54:16 ID:XV1UJ8Jo0
小さき人が地に満てるまでは地上は混沌としており、動物みたいな虚ろな魂で溢れていた事だろう
ほんの泡沫の夢だ、今後も人が日の本土の上に留まれている時間は。やがて切断された地殻が大量に地の底に落ち、地表に再び浮かんでくる
神様が愛しているのは人間だけではない
人が、宗教が生まれ、言葉が出来、意識が継承、束ねられる様になる頃には誰かが神様を見つけたのだろう
人と一緒にあり、人の集落にて生活をした事などほんの僅かな時間だ

信仰心によって存在を維持する必要のない存在が何故こうまで人間のことを気にかけてくれるのか
そっちの方が不思議 昔人との間に何かあったのかもな 人は基本、神様が好きだからな

1098名無しさん:2016/07/17(日) 22:08:57 ID:uOb7l4T6O
純粋にこの物語を楽しみたいと思います。もう二度と藍さんに悲しい思いをさせたくない。

1099 ◆iF1EyBLnoU:2016/07/19(火) 21:34:40 ID:pOTtD0qc0
皆様今晩は、藍です。
皆様のコメントのお陰で、『後の許し』を頂きました。

>>1095
『啓示』を投稿した意味を真っ直ぐに理解して頂き、感謝致します。
本当に、有り難う御座いました。

>>1096
その御方が今回動いて下さったのかどうか、私に知る術は有りません。
しかし、私も自分に出来る事をします。祈ります。
私と、近しい人々と、全ての人々のために。

>>1097
その疑問は至極当然で、私たちの中では、その答えが
『神々の姿が貴人と同じだから』、と理解されています。
この答えで納得頂けるなら幸いです。

>>1098
有り難う御座います。
今、『次作』の投稿準備を進めていますが、私と知人は『執行猶予』の身。
どれ程悲しくても、此所から『消去』される覚悟はあのときのままです。
だからこそ、頂いたお言葉が胸に沁みます。有り難う御座いました。

1100名無しさん:2016/07/20(水) 00:25:33 ID:38vHPjcw0
人の子が受け止めるにはまだ早いと、指摘されないようにしたつもりです。
やることやったら、その後のほんの少しの後押しを下さると信じています

奇跡を起こすのは自分なんですって♪

1101名無しさん:2016/08/23(火) 03:35:17 ID:ZBfmhtkAO
д`)

1102名無しさん:2016/08/23(火) 11:48:29 ID:A0Xo6LiQ0

我慢が足りんぞ、が、ガガガガ・・

1103名無しさん:2016/08/23(火) 20:02:40 ID:d1sMdsMo0
藍さん,待ってま〜す

1104名無しさん:2016/08/30(火) 13:04:17 ID:4nEfHRso0
最近、夜にサーバーがダウンしてる?

1105名無しさん:2016/09/12(月) 01:11:24 ID:xEJyVwSI0
お祭りの季節だな。
稲刈りも無事終わったであろうか。忙しい時期、ご自愛くださいませ。

1106名無しさん:2016/09/16(金) 22:45:22 ID:EbdftncgO
藍さん、寂しいよ〜

1107名無しさん:2016/09/17(土) 19:51:28 ID:9QFO1YY20
待っとるよー

1108 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/19(月) 18:53:16 ID:sS/3CPJ20
皆様今晩は、藍です。本当に、お久しぶり。

季節柄、仕事が忙しかった事や、その他にも色々とありまして。
原稿は幾つか預かっていますが、諸事情で投稿は難しいものばかり。

現時点で唯一投稿可能なのは、『遠雷』の続編でしょうか。
もし、ナオちゃんとユウ君の現在をお知らせ出来れば、本当に嬉しく思います。

頑張ります。どうかもう少し、お待ち下さい。

1109名無しさん:2016/09/19(月) 20:44:54 ID:FXS5Zfa6O
待ちに待った新作,藍さん,ありがとうございます!!

1110名無しさん:2016/09/20(火) 00:32:27 ID:QN96aiWkO
お久しぶりです。相変わらずお忙しいんですね、
続編を読めたら嬉しいです。お体ご自愛ください。

1111名無しさん:2016/09/20(火) 17:19:10 ID:ee4.a5Dc0
いつ終わりが来ても、と覚悟を決めてたが、やはり嬉しいものだな。

1112 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/25(日) 00:38:13 ID:8e5wXIW60
皆様今晩は、藍です。

私なりに頑張ってきた作業もようやく一区切り。
先程、新作の原稿を知人に送信しました。
チェックの後、投稿の許可が出るのを待っている状態です。
どうかもう暫く、お待ち下さい。

1113名無しさん:2016/09/25(日) 07:18:39 ID:1v9PWSzoO
わーい、ありがとうございます!
お疲れ様でした。楽しみにしてます(^o^)/

1114名無しさん:2016/09/25(日) 09:22:47 ID:GjVgqID6O
楽しみ楽しみ

1115 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/27(火) 18:40:59 ID:k1R.ouCE0
テスト中です。

1116名無しさん:2016/09/27(火) 21:59:46 ID:TX.JClK2O
わ〜い♪

1117名無しさん:2016/09/27(火) 23:41:44 ID:2wC1GTxQ0
ドキドキ

1118名無しさん:2016/09/28(水) 00:38:38 ID:HHeR4Qqg0
o(^o^)oワクワク

1119 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/28(水) 01:24:07 ID:x/yro2X20
皆様今晩は、藍です。

投稿直前に問題発生、対処に時間がかかりました。
以下『霧』、本日投稿分、お楽しみ頂ければ嬉しいです。

1120 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/28(水) 01:26:04 ID:x/yro2X20
 「ん〜、やっば外で食べるお弁当は美味。
たとえそれがコンビニの買い弁であってもね。し・あ・わ・せ。」
「でも漁協の見学とか正直退屈だよ。普通に楽しく遠足で良いのに。」
「そう、かな。私は好きだけど。海とか、漁港とか。」
「ナオってさ、何時も少しズレてるよね。女子高生が漁港好き、とか。」
「いいじゃん、人それぞれ。それよりナオの弁当、今日もカワイイ。」
「ホント美味しそうだよね。毎日自分で作ってるの?」
「お母さんと一緒に。2人で色々献立を考えるのが楽しいから。」
「...あのさ、前から思ってたんだけど。」 「何?」
「ナオは今、親戚の家にいるんでしょ?下宿っていうか。」
「そう、だけど。その、生まれた島から、進学のために。」
「じゃあ親戚の叔母さんを『お母さん』って呼んでるの?」
「あ...ずっと、小学生の時からで、いつの間にか。」

1121 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/28(水) 01:32:06 ID:x/yro2X20
 「だ・か・ら、人それぞれ。ナオの事より自分の成績心配しなよ。
推薦で○大狙うなら2年生の成績が大事だって、先生言ってたじゃん。」
「あ〜ヤダヤダ。折角の遠足なのにイヤな事思い出しちゃった。
ナオはやっぱ◇大?成績良いし、推薦楽勝でしょ?」
「大学は...勉強するのは好きだけど。」
「え〜?わざわざ進学のために親戚の家にいるのに、大学行かないの?イタっ!」
「だからいらん詮索はやめれ。ほら、ナオが困ってる。」
「詮索って、ナオが大学行かないで島に帰っちゃったら会えなくなっちゃう。」
「何で島に帰るって決めつけるの? 専門学校も、就職だって。
それにまだ1年半も先の事でしょ。ね、ナオ...どした?」
「ほら、アンタが変な事ばっか言うから。あ〜もう。」
「ゴメン。そんなつもりじゃ。」
「ううん。ちょっと、島の事思い出して。私こそ、御免なさい。」
「それなら、あれ?」 「何だか急に、風強くなったね。それに、これ、霧?」
「やな感じ。バスに戻ろ。めっちゃ寒い。」

1122 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/28(水) 01:41:16 ID:x/yro2X20
 「なあ、最近、ナオと何かあったのか?」
ナオの乗った電車を見送った後、父親が突然口を開いた。
「いや、別に。何で?」
「何でって...2学期が始まった頃からあんまり喋らないだろ。2人。」
やっぱり、父は勘が鋭い。なら相談するのも気が楽だ。
「喧嘩じゃない、だけどちょっと心配な事が。」 「心配な事?」
「時々ボーッとしてるんだよ。オレが声かけても気がつかない位に。」
「何か、思い当たる事は?」 「校外学習かな。それ以外には何も。」
「ナオの高校の校外学習...先週の?」
「そう、先週の木曜。○町の海浜公園で弁当を食べたって。」
父は目を閉じて、深呼吸をした。
「海、もしかしてあの島での事と関係が。」
「分からない。一度だけ『久しぶりに海を見た。』って言ってただけで、
その後は海の事は何も。でもナオの様子が変わったのは、その後のような気がする。」
あの島での事、ナオの魂は海の妖に囚われていたと聞いた。
ナオを助けてくれた、あの2人。Sさん、Rさん。長い間、忘れていた名前。

1123 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/28(水) 01:45:57 ID:x/yro2X20
 「実は、父さんも、ずっと気になってる事があるんだ。」 「何?」
「あの人、Sさんが言った言葉だよ。『対症療法』、憶えてるか?」
「憶えてるけど、それが何で。」
「『対症療法』って、症状を抑えるだけで病気の原因は消えてないって意味だぞ。」
「あ...じゃあナオは。」
「思い過ごしかもしれない。でも何となく気になって、
だからナオを海へ連れて行くのを避けてきたし、島にも帰ってない。
ユウ、これからも注意しててくれ。ナオに何かあったら母さんも。」
そうだ、あの晩Sさんは『どちらも対症療法ですが』と言った。
文字通り、ナオは母の心の支え。
切望したが産むことの出来なかった女の子の『身代わり』。
もしかしたらそれが、ナオの負担になっているのかも知れない。
だけどオレはナオが好きだし、ナオがいてくれるからこそ家族が楽しく暮らせる。
ナオにも幸せに暮らして欲しい。オレは一生ナオを守ると決めたから。
「分かった。思い過ごしだと良いけどね。」 「そうだな。」

 思い過ごしでは、無かった。
それからもナオの口数は減り、オレたちの言葉には反応するものの、
感情を表すことが無い。心配した父と母が暫く高校を休ませると決めたので、
ナオは一日中部屋の中で窓の外を眺めて過ごすようになっていた。

1124 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/28(水) 01:49:47 ID:x/yro2X20
 「駄目だ。祖母さんに頼んで置いたんだが、例の『先生』と連絡が付かないらしい。
丁度一月くらい前から『修行で暫く留守にする』って島を出たまま。間が、悪いな。」
夕食後、電話を切った父親の表情は暗かった。ナオは既に部屋に戻っている。
「あなた、ユウにも、ちょっと聞いてもらいたいことがあるの。」
洗い物の手を止めて、母親はオレ達に声をかけた。
「聞いてもらいたいことって、ナオの事か?」
「ナオの事っていうか、ナオを助けてくれた人たちに関係があるかも知れない。」
「でも、その人たちとも、紹介してくれた人にも連絡が付かないって、父さんが。」
「前に母から聞いた事がある。昔話だと思っていたんだけど。
陰陽師。事故や怪我で体から離れてしまった魂を、呼び戻す儀式をする人たち。」
オレと父は顔を見合わせた。 「詳しく、聞かせてくれ。」
「母が未だ若い頃、知り合いの奥さんに頼まれて運転手をしたの。
事故で抜け殻みたいになってしまった旦那さんを、ある場所に連れて行くために。
奥さんの方は運転免許を持ってなかったから。」
「それで?」 父とオレは固唾をのんで母の話に耳を澄ませた。

1125 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/28(水) 01:51:28 ID:x/yro2X20
 「その儀式が済むと、旦那さんは少しずつ元気になって、
帰りの車の中では話もできるようになったみたい。」
「お義母さんは、実際にその儀式を見たのかな?」
「そう、人の形に切った紙を使う儀式だったって。」
もう一度、オレと父は顔を見合わせた。父の表情に明るさが戻っている。
オレも同じだ。母はあの島でSさんがオレとナオに何をしたのか見ていない。
なのに『人の形をした紙を使う儀式』と。これはオレ達に残された、ただ一つの希望。
「その場所って、何処だ?」
「母から聞いたのは、○県の県境に近い山の中。それだけ。
でももし母が今もその場所を憶えているなら。」
「恭子、すぐにお義母さんに連絡を取ってくれ。
明後日、土曜日は仕事が休みだから、一緒にその場所を探して欲しい。
もし見つかったら、何とかナオの事を頼んでみる。」
「分かった。私も一緒に行く。ユウはその間ナオの事お願い。」
「大丈夫、任せて。」

1126 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/28(水) 01:55:59 ID:x/yro2X20
 昼前に出発した父と母が帰って来たのは夕方近く、2人とも表情は暗い。
母は台所に引っ込んでしまい、父はリビングのソファにぐったりと座り込んだ。
察しはついたが、やはり気になる。
「駄目、だったの?」
「ああ、お義母さんは結構細かく憶えてて...
その場所の、かなり近くまでは行った筈なんだ。
でも何故か同じ所をぐるぐる回ってたり、どうしても見つからない。
通りかかった車を止めて聞いたりもしたんだが。
お義母さんの年齢と体調考えると、あれ以上探すのは無理だった。」
父は胸ポケットから折り曲げた白紙を取り出し、テーブルの上に置いた。
「もう50年近く前の事だし、道がすっかり変わってしまったのか、
もしかしたらもう、その場所自体が無いのか。どっちかだろう。」

1127 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/28(水) 02:00:34 ID:x/yro2X20
 「この、紙は?」
「ああ、お義母さんの話を聞いて描いたメモだよ。
目印にしたコンビニと、そこかに山道に入って調べた脇道とか。」
「これ、借りても良い?」 「勿論、でも何で。」
「明日、オレが探しに行ってみる。父さんと母さんは無理でしょ。」
翌日、父と母は母方の親戚の結婚式と披露宴に出席する事になっていた。
渋っていたが、父は結局新婦の親戚代表挨拶を引き受けた。欠席は無理。
休日だし、一日ナオの様子を見ているのなら、いっその事。
「ナオも一緒に連れて行く。もし見つかったら、直接ナオを診てもらえるかも。」
「分かった。ただし、バイクは駄目だぞ。父さん達は送迎してもらえるから車を使え。」
ナオの事になると、父と母は眼の色が変わる。
「ありがとう。」 「父さんこそ、ナオを頼む。でも絶対に無理はするな。」
「分かってる。」

1128 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/28(水) 02:03:10 ID:x/yro2X20
 その夜、父のメモをもとにPCで検索すると、目印のコンビニはすぐに見つかった。
しかし航空写真に切り替えても、そこから伸びる山道沿いにそれらしい場所はない。
父の言った通り、もうその場所がないのかも。
だが、父の言葉がオレの心に引っかかっていた。

1129 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/28(水) 02:06:41 ID:x/yro2X20
 翌日、朝早く家を出た。
ナオはもう2時間近く、黙ったまま助手席で窓の外を眺めている。
いや、その眼は外に向けられているが、多分焦点は合っていない。
目印のコンビニに着いたのは9時前。入り口近くのポスト、集配時間を確かめる。
1回目が11時、2回目が17時30分。
昨日父たちが来た時間は1回目の後、2回目の集配の前に帰った。
このポストを調べても手がかりにはならなかっただろう。
此処から△県に通じる山道に入り、父のメモにある脇道を調べて、
空振りなら11時前に此処に戻って郵便配達の人に聞いてみよう。
今もその場所に人が住んでいるなら、手紙や荷物が配達している筈だ。
ナオを促して、コンビニで買ったおにぎりとサンドイッチで簡単な朝食。
コンビニの駐車場を出たのは9時20分頃。やはりナオは一言も喋らない。

1130 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/28(水) 02:09:05 ID:x/yro2X20
 父のメモを見ながら1つ1つ脇道を調べる。
1時間ほど経った時、妙な事に気づいた。
父のメモに描かれていない脇道。絶対この道を見た筈なのに、何故?
心に引っかかっていた父の言葉が、急に大きな意味を持った気がした。
『何故か同じ所をぐるぐる回ってたり...』父は昨日そう言った。
もしその場所に住んでいるのが陰陽師、
不思議な術を使い、魂を呼び戻す儀式を行う人たちだとしたら。
不意の訪問者を近づけない術を使っていてもおかしくない。
右折してその脇道に入る。
舗装はそれ程荒れていない、間違いなく今も使われている道だ。
心臓がバクバクして、耳がきーんとなる。もしかしたら。

1131 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/28(水) 02:11:07 ID:x/yro2X20
 「だめ。」 ナオがオレの左腿に右手を置いた...冷たい。
ゆっくりと車を路肩に寄せて、止めた。
「ナオちゃん、駄目って、一体何が?」 ナオは真っ直ぐ前を見詰めている。
「こわ い。」 全身の毛が逆立つ気がした。
助手席の窓の外、煙のような濃い霧が渦を巻いて流れていくのが見える。
車の前方から後方へ、もう車の数m先も見えない。慌てて車の窓を全部閉めた。
まさか、だってさっきまであんなに良い天気で。
ナオは両手でオレの右手を握り、肩に頭を預けた。
俯いたナオの背中を左手で抱き寄せる。やはり、その身体は、冷たい。

1132 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/28(水) 02:15:42 ID:x/yro2X20
皆様今晩は、再び藍です。

今夜投稿の許可を頂いたのはここまで。
書き直しの作業を続け、許可を頂き次第続きを投稿致します。
お付き合い頂いた皆様に心からの感謝を。

1133名無しさん:2016/09/28(水) 05:16:27 ID:pOsqXtwoO
新作の投稿ありがとうございます!お疲れ様でした。
車で同じ道をぐるぐる回る経験あります。田舎道で狐か狸に化かされたかな、と思いつつ、車の前を黄色いイタチみたいのが横ぎったら目的地に行けました。
運転中の濃い霧は怖いですね、書き直しや内容確認など大変な作業をありがとうございました。
ナオさんが大事にされて暮らしてることがわかって良かったです。

1134名無しさん:2016/09/28(水) 08:34:34 ID:jI1hivoIO
まだこの先は霧の中,ユウとナオの物語の続きがとても楽しみです。

1135 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/28(水) 20:30:44 ID:x/yro2X20
テスト中です。

1136 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/28(水) 20:33:06 ID:x/yro2X20
 どれくらい経ったのか。オレの右手を握るナオの力が緩んだ。
「コンコン」 運転席の窓を叩く音。
ビクッとして顔を上げると、窓の外に男性?の姿。そして、自転車。
いつの間にか、白く濃い霧は消えていた。
『成る程、君たちだったのか。それなら、納得だ。』
窓を閉めたままなのに、その声はハッキリと聞こえる。暖かく、懐かしい響き。
『ユウ君、久し振り。窓を開けて。』 何故、オレの名前を。
窓を開けると、その男性は車内を覗き込み、厳しい表情になった。
「ああ、これでは。随分心配したね。」 !! 思い出した。この人は、Rさん。
Sさんと2人でナオを助けてくれた。じゃあ、その場所に住んでいるのは。
「先導するから、着いてきて。まあ、この道に入れたんだから迷う筈もないけれど。」

1137 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/28(水) 20:35:00 ID:x/yro2X20
 自転車の後を追って暫く走ると、立派な門。扉は開いている。
自転車を降りたRさんの指示通り、門を入ってすぐの広場に車を停めた。
車を降り、Rさんが差し出した右手をしっかりと握り返す。温かい。
「御免よ。今日はガレージが満車なんだ。家族が皆、家にいるからね。」
すうっと、肩の力が抜けた気がした。涙が出そうになる。
「いいえ。僕たちこそ突然来てしまって。」
助手席のドアを開けると、ナオは思いの外すんなりと車を降りた。
「いらっしゃいませ。お待ちしておりました。」 背後から可愛い声。
振り向くと小さな女の子が立っていた。
肩にとまった鳥。足下の白い、小さな、これは?

1138 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/28(水) 20:42:30 ID:x/yro2X20
 「娘の翠。僕とSさんがあの島に行った時は、2歳になる少し前だったかな。」
「あれ?このお客様方には、お名前が2つずつ。どうして?」
「駄目だよ、翠。このお兄ちゃんの名前はユウ、お姉ちゃんの名前はナオ。
それ以外の名前について話しちゃいけない。分かった?」
優しい声。でもその言葉の向こうに、とんでもないものが隠されて。
女の子は小さく頷いた。 「はい。分かりました。では。」
あの声を聞いて、隠されているものに何の反応も...一体?
女の子はちょこんとお辞儀をした。
「どうぞウッドデッキへ。お茶の準備が出来ました。ご案内いたします。」
くるりと背を向けて歩き出す。小さな白い影もその後を追った。
「あの、ありがとう。」 声を掛けると女の子は振り向いた。
眩しい、笑顔。 あの日のSさんの笑顔を思い出す。

1139 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/28(水) 20:45:47 ID:x/yro2X20
 「そうだったの、昨日も此所に。
御免なさい。きっとお祖母さんを憶えていたのね。」
4人で紅茶を飲んだ後、オレの話を聞いてSさんはそう言った。
小さな女の子はオレ達をウッドデッキに案内した後、お屋敷に戻ったらしい。
「祖母を憶えていたって、誰が、ですか?」
SさんもRさんも、祖母に会ったとは考えられない。
祖母がこの場所を訪れたのは、もう50年も前の事だから。
「このお屋敷。このお屋敷は自身の意思を持ってるの。
普通、術者が依頼者をこのお屋敷に招く事はない。
その後突然訪ねて来られたり、このお屋敷の場所を口外されたら困るから、ね。」
自分の意思を持つ、お屋敷?じゃあ、このお屋敷は、生きてる? まさか。

1140 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/28(水) 20:47:57 ID:x/yro2X20
 「だからお祖母さんが関わったのはよっぽど特殊な事情で、
問題が解決した後で依頼者とお祖母さんが『リスト』に載ったんだと思う。
このお屋敷の住人に招待されない限り、近づけてはいけない人物として。」
「じゃあどうしてオレとナオは。あの、濃い霧は一体。」
「ああ、あれは僕も初めて見た。この辺りの妖や精霊が覗いてたんだよ。
開いてる窓があると中を見たくなるのは人も人ならぬ者達も同じ。」
窓? のぞき込む? 車の、窓の事? 確かに車の窓は開けていたけど。
「悪しきものではないにしろ、君たちがこの辺りを走り回ってる間に
かなりの数が集まって来たから、それらの姿が君にも見えた。白い、霧として。
『今日は朝から山がとても騒がしい』と翠が言ってね。
それで様子を見に行ったら君たちに会ったと言う訳。」

1141 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/28(水) 20:51:33 ID:x/yro2X20
 「それで、今日2人で此処に来たのは何故?」
あの時と同じ。とても綺麗で、少しだけ寂しそうなSさんの笑顔。
「先月位からナオの様子が少し変...口数が減って、いつもボンヤリしてるし。
この何日かはほとんど喋らなくなりました。」
「それだけでわざわざ私たちを探したの?心療内科のクリニックとかに相談は?
最近、研究が進んで良い病院があるもたいよ。ね、R君。」
Rさんは苦笑して軽く首を振った。
「ナオの様子が変わったのは、校外学習の後からだった気がします。
そのコースに漁港が入っていたのが関係あるのかと思いました。
それを父に話したら、Sさんが『対症療法』って言ってたのが気になるって、それで。」
「ナオちゃんが海に行ったから、またあの妖との繋がりが、と?」
「はい、もしそうならSさんやRさんみたいな人でないと対処出来ないし。」
SさんとRさんは顔を見合わせた。Rさんは笑いをかみ殺している。
「確かに『対症療法』、そう言ったわ。でもあの術はそんな簡単には破れない。
海どころか、今ならナオちゃんが4・5日あの島に戻っても、何の障りもない。」
「でも、ナオは。」
思わずナオの顔を見た。黙ったまま、焦点の合わない眼。胸が、詰まる。

1142 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/28(水) 20:54:23 ID:x/yro2X20
 Rさんは立ち上がり、ナオの椅子の傍に片膝をついた。
「ちょっと失礼。」ナオの左手を取り、正面から瞳を覗き込む。
数秒間の、重い沈黙。
「やっぱり。こちら側の窓は少しだけ、あちら側の窓が大きく開いてる。」
Rさんはナオの左手を戻し、自分の椅子に座った。
「こちら側の窓が完全に閉じて、あちら側の窓が完全に開くと
心はこちら側との繋がりを失う。あの時、ナオちゃんはそう言う状態だった。」
「そしてもし」 Rさんは言葉を切ってSさんを見つめた。
Sさんは小さく頷いた。穏やかな、笑顔。
「そしてもし、こちら側の窓に鍵が掛かると、もうその心を呼び戻す術はない。
そう、防音仕様のアルミサッシ。イメージはそんな感じかな。
姿は見えるけれど、こちら側からの呼びかけは届かない。
かといって無理矢理に窓を破れば、相手の心が大きく壊れてしまう。」

1143 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/28(水) 20:57:46 ID:x/yro2X20
 「『対症療法』と言ったのは、こうなる原因がナオちゃん自身の心に有るから。
普通の人は、生まれつきあちら側の窓は完全に閉じているし、鍵も掛かってる。
ただ、希に鍵が掛かってない人や、鍵自体がない人がいるの。
そういう人の心はあちら側と繋がりやすい。妖や精霊、時には悪霊とも。」
確かにあの時Rさんは言った『妖や精霊と親和性の高い魂』と。
そして『ナオちゃんは海に愛されている』とも。
「ナオちゃんの場合、あちら側の窓に鍵がない。
釣りの名人だってことは、それが生まれつきなのかも知れないし、
辛い境遇に耐えかねて、心を守るために自分で鍵を壊して、
何時でもあちら側に逃げられるように退路を用意したのかも知れない。
あ、ありがと。」 RさんがSさんのカップに紅茶を注いだ。

1144 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/28(水) 21:03:59 ID:x/yro2X20
 「妖との繋がりを切るためにあちら側の窓を閉じた後、
ナオちゃんに呼びかけて、その心をこちら側に向ける。あの島で言う『魂呼』。
だからナオちゃんの心に呼びかけるのは絶対にユウ君の役目だった。
今回もあの時と同じ。君が『手』を離さずにいたからこそ、
ナオちゃんはこちら側の窓に鍵をかけなかったんだし。」
手を、離さずに?...!! そう言えば、不思議な霧の中でナオはオレの手を。
「このお屋敷に通じる道に入った時、車が突然濃い霧に包まれて。
その間、ナオはオレの手をずっと握っていたんです。あれが。」
「そう、今も2人の『手』が離れていないから、こちら側の窓が少し開いてる。
それに、あの時ほど深刻な状況じゃない。
Sさんならもう一度、あちら側の窓を閉じることが出来る。その後で君が。」

1145 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/28(水) 21:06:29 ID:x/yro2X20
 「気に、入らない。」 Sさんの声、Rさんの表情が曇った。
「それじゃまた『対症療法』よね。『対症療法』と分かってて
繰り返し同じ術を使うのは不調法だし、正直気が進まない。
だからといって両方の窓を自在に開閉できる天性を封じるのは論外。
そんな適性を持った人間はとても貴重だから。
ねぇ、そろそろ根本的な策を講じるべきだと思わない?」

 「Sさん、ユウ君はただ。それにこの状況でスカウトなんて、幾ら何でも」
SさんはRさんの唇に人差し指を当てて悪戯っぽく笑った。
「あなたには聞いてない。もちろんユウ君も答える立場にない。
Sさんは少し椅子の位置をずらして座り直した。ナオの、真正面。

1146 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/28(水) 21:12:09 ID:x/yro2X20
皆様今晩は、藍です。

無事、準備が済んだ分を投稿出来ました。
少々疲れているので、頂いたコメントへの返信は後日。
出来るだけ早く、残りを投稿できる事を願っています。

お付き合い頂いた皆様に心からの感謝を。
有り難う御座いました。

1147名無しさん:2016/09/28(水) 21:41:07 ID:pOsqXtwoO
お疲れの中、続けての投稿をありがとうございました。
向こうを覗くものは等しく向こうから覗かれている、というようなフレーズを聞いたことがありましたが、ゾクリとします。
意志のあるお屋敷も凄いです。大変な世界ですね。

1148名無しさん:2016/09/29(木) 21:46:54 ID:gESgpGBMO
幸と不幸はあざなえる縄のごとし。災いを介して,縁ある魂がまた集い来たるか。
Windows画面のこちら側で,物語の今後の展開を楽しみに待っています。

1149名無しさん:2016/09/30(金) 00:37:37 ID:YtghXU8Q0
今もユウ君は今のナオさんの近くにいるのか。そんな気配。

1150 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/30(金) 20:58:14 ID:UfcnNssk0
テスト中です。

1151 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/30(金) 21:02:28 ID:UfcnNssk0
 「ナオちゃん、聞こえてるんでしょ?喋れるなら、あの時よりずっと軽症。
さあ、返事をして。あなたはナオ君が好き?」
胸の、奥深くを抉られた気がした。それは、オレが聞かなければならなかった、問い。
いや、むしろその問いの前に、オレは自分の気持ちを伝えるべきだったのに。
微かに、ナオの唇が動いた。
「聞こえない。もっと大きな声で...あなたは、ナオ君を愛してる?」
「は、い。」 微かに、でも確かに聞こえた。
「それなら何故、あちら側の窓を開いたの?」
「...怖かった、から。」

1152 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/30(金) 21:04:58 ID:UfcnNssk0
済みません、発生した問題を解決できないままの投稿を。
知人に、怒られます。どうか、1151は無視して下さい。
気合いを入れて、やり直しです。

1153 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/30(金) 21:06:25 ID:UfcnNssk0
 「ナオちゃん、聞こえてるんでしょ?喋れるなら、あの時よりずっと軽症。
さあ、返事をして。あなたはユウ君が好き?」
胸の、奥深くを抉られた気がした。それは、オレが聞かなければならなかった、問い。
いや、むしろその問いの前に、オレは自分の気持ちを伝えるべきだったのに。
微かに、ナオの唇が動いた。
「聞こえない。もっと大きな声で...あなたは、ユウ君を愛してる?」
「は、い。」 微かに、でも確かに聞こえた。
「それなら何故、あちら側の窓を開いたの?」
「...怖かった、から。」

1154 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/30(金) 21:09:42 ID:UfcnNssk0
 怖いって、一体何が?
あちら側の窓を開いて見えるよりも怖いものが、こちら側にあるのか。
ナオ自身があの霧の中で『怖い』と言っていたのに、それよりも?
「ユウ君、考えた事はない?『失う位なら手に入らない方が良い』って。」
!!何故それを? 耳の中で響く心臓の音。少し息が、苦しい。
「あります。ていうか、いつもそう思ってました。あの島でナオに会うまでは。」
「嘘は駄目。今はもっと強く、そう考えてる。」
「嘘じゃ、ありません。」 やっぱり息が苦しくて、口の中が乾く。
「それなら何故、自分の言葉で伝えなかったの?」 「それは。」
「分からないなら、教えてあげる。伝えて、拒まれるのが怖かったのよ。
『恋人ではなく、妹でいたい。』という答を、何よりも君は怖れた。」
いくら陰陽師でも、こんな...一体この人は。

1155 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/30(金) 21:11:56 ID:UfcnNssk0
 「責めてる訳じゃない。あなたもナオちゃんも以前辛い境遇にあった。
ただ、幸せは絶対に手に入らないと諦めている人に、幸せを失う恐怖はない。
辛い境遇にいた人ほど、幸せを手に入れて、それを失うことを怖れるものだわ。
でも、あなたの恐れが、臆病さが、この娘をこんな風にしてしまった。」
「ちがい ます。私。」
「いいえ、違わない。」Sさんはナオを見詰めたあと、オレに視線を戻した。
「ユウ君は男の子で、あなたより年上。何より自分の言葉に責任を持つべきだから。」
そう、オレは男で、ナオより年上。でもオレの言葉の責任って。
「もう一度言うけど、君を責めてる訳じゃ無い。
自分からは指一本触れず、この娘を大切にしてきた不器用さは、むしろ好ましい。
実際、最初の内は問題なかった。でも、この娘が成長すれば問題が起こる。
当然よね。大人になれば誰でも、『自分は何故此処にいるのか』と考えるものだわ。
『妹』でも『娘』でもない人間が、何時までも此処にいて良いのかって。
それに辛い境遇から助けてもらって、大切に育ててもらってる。
この娘の立場からしたら、自分の望みを口にするなんて、出来る筈がない。」

1156 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/30(金) 21:13:42 ID:UfcnNssk0
 突然、ナオの頬を涙が伝った。
何でオレは、それを考えてあげられなかったんだろう。
ナオが大好きで、ナオの事を一番に考えているつもりだったのに。
「あの日『一生この娘を守る』そう、言ったわね。今も答えは同じ?」 「はい。」
「なら伝えるべきよ。どんな立場で守るのか。
何故傍にいてほしいのか。それを、自分の言葉で。」
Sさんは立ち上がり、ふわりとテーブルを回り込んでナオの背後に。
かがみ込み、耳許に何か囁くと、ナオはゆっくり立ち上がった。
これは、Sさんの術? オレは何を。

1157 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/30(金) 21:18:33 ID:UfcnNssk0
 『君の望みを言葉にすれば良い』

 空気が大きく揺れて、眼が眩む。振り向くと、Rさんの笑顔が目の前にあった。
右肩に添えられた手が、じんわりと熱い。
「失って悲しいなら、その望みが本当に大切な証。悲しみが深い程、ね。
でも、真に君たちが怖れるべきなのは、魂の絆を失うことをこそ、だ。さあ。」
のろのろと、オレの身体が動いた。数歩、ナオの顔が、身体が目の前にある。
そっと、抱きしめた。柔らかくて、でも氷のように、冷たい身体。
オレの望み、それは。
「ずっと一緒にいたい。恋人になりたいけど、なれなくても良い。
ナオちゃんが一緒に暮らしてくれるだけで、オレも父さんも母さんも幸せだから。」
腕の中で、ナオの身体が弾けた気がした。

1158 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/30(金) 21:20:16 ID:UfcnNssk0
 我に返る、腕の中の温もり。その身体はもう、冷たくない。
オレ達は山道の路肩に停めた車の中にいた。
「夢?」 「夢じゃ、ないです。」 
そうか、車は脇道の入り口を向いて止まっている。
あの霧に包まれた時とは逆。それなら多分、夢じゃ無い。
ふと、背後に感じる気配。そっとバックミラーを見た。
車の後、十数m。濃い、白い霧が蟠っている。
「ナオちゃん、あれ、見える?」
「はい。色々なものがボンヤリと。」 「怖くないの?」
「悪いものじゃないって。それに、ユウさんが、ずっと守ってくれるから。」
「そうだね。ずっと、ね。」 「はい。」

1159 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/30(金) 21:22:09 ID:UfcnNssk0
 「ナオを引き取る時、養子にしなかったのは、
何時か2人がこうなってくれることを願っていたからだ。
でも、それがナオを不安にさせていたとしたら、本当に申し訳ない。」
「いいえ。お父さんの気持ちを理解できなかった私が、悪いんです。」
「それで、ナオは本当に良いの、相手がユウで?
育てて貰った事に負い目を感じて、無理する必要はないのよ。
もちろんユウは私たちの自慢の息子だし、2人が婚約すれば
ナオは本当に私の娘になるんだから、こんなに嬉しい事は無いけど。」
母の声はもう調子外れではない。その言葉の、温もり。
...そうか、『対症療法』でなく『根本的な策』。Sさんの言葉の、もう1つの意味。
過ごした時間の中で、母はナオをもう『身代わり』でなく、自分の『娘』として。
不器用で臆病なオレ達が、本当の絆を結ぶまでの『対症療法』。

1160 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/30(金) 21:24:37 ID:UfcnNssk0
 一緒に暮らし始めてから、母と父はナオに幸せな『幻影』を見ていた。
それは心を病むほどに切望した、娘。それは妻と息子の心を癒してくれる、魔法。
何よりオレ自身が、母の歪んだ愛情を引き受けてくれるナオに、頼り切っていた。
それらの幻想が、ナオを追い込んでしまったのか。

1161 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/30(金) 21:26:34 ID:UfcnNssk0
 「私、この家に来た時、とても嬉しかったです。初めて、幸せだと、思いました。
お父さんもお母さんもユウさんも、みんな本当に優しくて。でも、暫くしたら、
どうしてこんな私を大事にしてくれるのか分からなくなったんです。
ユウさんが大好きで、ずっと一緒にいたい。でも、言えなかった。
私は何も持ってないし、お金や時間の事でどれだけ負担に。そう、思って。
でも、間違ってた。お父さんもお母さんもユウさんも、
私を本当に。それを、疑うなんて。」
母は立ち上がった。ナオの隣に座り、肩を抱く。
「間違ってたのは私の方。女の子が、欲しかったの。
ユウを愛していたけど、どうしても女の子が。でも、無理だった。
だから、ナオがこの家に来てくれなかったら。私、本当に狂っていたと思う。
今も私がユウの母親でいられるのは、ナオのお陰なのよ。」

1162 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/30(金) 21:27:27 ID:UfcnNssk0
 きっとSさんとRさんには分かっていたんだろう。
オレ達が『根本的な策』に耐えられるほど強くはないと。
でも今は違う。一緒に過ごした時間が、みんなの心を結び合わせた。
きっとそれが、Rさんが言った『魂の絆』。

1163 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/30(金) 21:29:15 ID:UfcnNssk0
 「本人達の提案に、保護者2人も同意してる。婚約は成立、だよね?」
「あなた、ユウは勘違いしてるみたいよ。」 「勘違いって。」
「ユウ、将来の、仕事の事をどう考えてる? まさか、経済的な基盤もなしに
父さんと母さんの宝物を自分に任せろと言うつもりじゃないだろうな?」
「...今は婚約。大学を卒業したら就職して、
それからちゃんと結婚を申し込む。それなら良い?」
「まあ一応婚約には同意しよう。でも、もし卒業後もフラフラしてたら
即婚約破棄。ナオの結婚相手は父さんと母さんが探す。良いな。」
「そんな。だって」 「大丈夫。私、信じてます。ずっと。」
「ナオ、これからもユウのこと、お願いね。」
「はい。ありがとう御座います。」
ナオは微笑んだ。島で2人きりで魚を釣った、あの時のまま。

1164 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/30(金) 21:32:18 ID:UfcnNssk0
 「ナオ、ホントに行くの?さっきの港で、あの銀ピカの魚沢山釣ったんだから
もう十分じゃない?みんなでお茶してさ、色々話そうよ。久し振りなんだし。」
「私は見たいな〜、今度の場所で釣れる魚はもっと大きいんでしょ?」
「うん、スズキはタチウオよりずっと重いから、迫力あるよ。」
「じゃあ決まり。釣りしながらでも話は出来るし。
嫌なら久美は車で待ってればいいじゃん。」
「ユキ、真理子。車出してるの私だよ。この、恩知らずどもが。」
「恩知らずって...私たちみんなナオに勉強教えて貰ったでしょ。
ええっと、一番世話になったのは誰だっけ。こんな時こそ、恩返しよね。久美?」
「ぐぬぬ。」 「ケンカ、しないで。釣れなかったら、お茶しよ。」

1165 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/30(金) 21:34:00 ID:UfcnNssk0
 「川沿いに並ぶ、オレンジ色の街灯が川面に反射して。
そこに浮かぶシルエット。ナオはスタイル良いから、絵になるな〜。」
「そうね、持ってるのが釣り竿じゃなければ、もっとね。」
「ま〜だ言ってる。あきらめが悪くて、しつっこいのも相変わらず。」
「投げて、巻いて。投げて、巻いて。ず〜っと繰り返し。何が楽しいんだか。」
「それが、良いんだと思うよ。何も考えずに、頭真っ白にボーッとしてさ。」
「ユウさんが、同じ事言ってた。」 「何?ナオは違うの?」
「ずっと考えてるから。どうしたら魚が釣れるかって。漁師はそれが仕事だし、
ボーッとなんかしてられない。ホントにボーッとしてたら、危ないよ。」
「は?漁師?」 「そう、私、島では漁師だったの。物心着いたときから、ずっと。」
「あの、ね。無茶振りやめてよ。漁師だなんて、どんなリアクションしたら。」
「あ、来た!」

1166 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/30(金) 21:35:59 ID:UfcnNssk0
「嘘、もう5分過ぎたよ。一体、どんな魚?」
「しっ、気が散るでしょ。黙って。」 「そ。」 「でも、こんなの。」
「大丈夫。真理ちゃん、タモ。あの、その網取って頂戴。」 「はい、今すぐ。」
「うわ!何この魚。メッチャでか。」 「ナオ...凄い血。グロいよ。」
「こうした方が美味しいの。命を頂くんだから、美味しく食べないとね。」
「あんた何者? もしかして、ホントに、漁師?」
「そう言ったでしょ。お祝い事があるから魚が必要だったの。
自分のお祝いは、自分で。このお魚たちのお陰で、きっと美味しい料理が作れる。
きっとユウさんも、喜んでくれる。」
「ユウさんって、あの人だよね?ユウが下宿してる親戚の、年上で。」 「そう。」
「じゃあ『お祝い事』って、何?」 「結婚するの。」
「???」 「結婚?」 「ユウさんが?誰、と?」 「私と。」

1167 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/30(金) 21:40:53 ID:UfcnNssk0
 「詳しく、聞かせなさいよ。何でそんな大事な事、今まで黙ってたの?」
「だって、みんなに会えなかったから。ずっと前に婚約はしてたんだけど、
ユウさんが大学卒業して就職したから、お父さんとお母さんが許してくれたの。」
「アンタね...私たち、どうしたら良いのよ。
それがホントなら、何を置いてもお祝いしたかったのに。」 「そうだよ。」
「ホントに?」 「え?」
「お祝いに出席して欲しいって言ったら、みんなで来てくれる?」
「当たり前でしょ。」 「絶対行く。」
「私たちみんなナオにどれだけ助けられて、なのにこんな...。」
「ううん、みんなに助けられたのは私。
みんなが友達にしてくれたから、今の私がある。ホントに、ありがとう。」
「馬鹿馬鹿馬鹿。何でアンタは、いっつもそうなの?」
「久美、泣きすぎ。メイク流れてるよ。」 「どうでも良い。真理もユキも同じじゃん。」
「これじゃ、お茶するの無理だね。きっとお店の人もお客さんもドン引き。」
「ナオ、あんた。」 「...ええと、あの、冗談だから。」
「うんうん、ナオは冗談なんて、言った事なかったね。さ〜て。」


『霧』 完

1168 ◆iF1EyBLnoU:2016/09/30(金) 21:45:22 ID:UfcnNssk0
皆様今晩は。再び、藍です。

色々ありまして、やらかして、少々鬱です。
しかし、何とか『霧』の投稿を終える事ができました。
怒られるのに備えて、元気を出すために、寝ます。
頂いたコメントへの返信はまた今度。
それではお付き合い頂いた方々に心からの感謝を、
本当に有り難う御座いました。

1169名無しさん:2016/09/30(金) 21:48:13 ID:Pz2aOi2sO
藍さん続きをありがとうございました。リアルタイムで読めて光栄です。
ハッピーエンドで嬉しいです。藍さん正直過ぎて萌えます。お疲れ様でした。おやすみなさい。

1170名無しさん:2016/09/30(金) 23:58:31 ID:YtghXU8Q0
何だろう、霧の出だしって3人というか・・なんだか幻惑されるような出だしで何故か読み返してしまう。
何だろ、この違和感。

1171名無しさん:2016/10/24(月) 18:49:04 ID:pzT1zOIwO
謎の部分も霧の中。

1172 ◆iF1EyBLnoU:2016/10/25(火) 20:39:03 ID:RAx5GQ6s0
>>1100
『奇跡を起こすのは自分』、本当に、有り難いご指摘です。

1173 ◆iF1EyBLnoU:2016/10/25(火) 20:40:53 ID:RAx5GQ6s0
>>1101
>>1102
お待ち頂き感謝致します。有り難う御座いました。

1174 ◆iF1EyBLnoU:2016/10/25(火) 20:50:05 ID:RAx5GQ6s0
>>1103
お待ち頂き、有り難う御座いました。

>>1104
管理者様方の御努力により、既に復旧したようですね。

>>1105
稲に関するお祭りは、とても大切です。有り難う御座いました。

>>1106
お待たせしました。コメント、感謝致します。

>>1107
お待ち頂き、本当に有り難う御座いました。

1175 ◆iF1EyBLnoU:2016/10/25(火) 20:56:47 ID:RAx5GQ6s0
>>1109
お待たせして申し訳有りません。有り難う御座いました。

>>1100
色々やらかしましたが、続編を投稿できたのは皆様のお陰です。

1176 ◆iF1EyBLnoU:2016/10/25(火) 21:08:02 ID:RAx5GQ6s0
>>1111
全く同感です。有り難う御座いました。

>>1113
>>1114
>>1116
>>1117
>>1118
新作をお待ち頂き、感謝致します。有り難う御座いました。

1177 ◆iF1EyBLnoU:2016/10/25(火) 21:13:51 ID:RAx5GQ6s0
>>1133
似た体験、興味深いですね。有り難う存じます。

>>1134
ご期待頂き感謝致します。

>>1147
このお屋敷の凄さについては、私もチェックしてます。
有り難う御座いました。

>>1148
本当に深いコメント、感謝致します。

>>1149
ご明察、すばらしいです。

1178 ◆iF1EyBLnoU:2016/10/25(火) 21:26:12 ID:RAx5GQ6s0
>>1169
リアルタイムでお読み下さったのですね。
投稿の励みになります。有り難う存じます。

>>1170
むしろ私は4人か5人と感じました。
敢えて名前が省略されているのも面白いと。

>>1171
『霧の中』
クリスティ、それとも芥川を踏まえたコメントでしょうか。
もしかしたらさださんかも。本当に、有り難う存じます。

1179 ◆iF1EyBLnoU:2016/10/25(火) 21:31:07 ID:RAx5GQ6s0
皆様今晩は、藍です。

昨日仕事から戻り、弟の指示も仰いでできる限りの返信を致しました。
もし返信漏れがありましたらご容赦下さい。

明後日からまた仕事に出ますが、
何時か次作を投稿出来る事を祈って頑張ります。
『霧』をお読み頂き、本当に有り難う御座いました。

1180名無しさん:2016/10/25(火) 22:39:25 ID:n.yNXTW20
やっぱり知人氏って術者なのかな。文章に何かが籠る様な気がする。
そしてそれはフェイクを入れたくらいじゃ収まらない。

原本って漢字沢山の墨書きみたいなやつなのかなぁ

1181名無しさん:2016/10/26(水) 22:25:47 ID:aOb4ZQc2O
藍さん、お忙しい中ひとつ一つご丁寧な返信をありがとうございます。
恐れ入ります、神話系に詳しかったら教えて頂きたいのですが、天香香背男命と天香具山命は同じ存在でしょうか。親子?昨年から倭文神社に近い所が揺れてて気になってます。
返信NGでしたら華麗にスルーでお願いします。
起きたのかなと思いました。
千人引きの岩繋がりのあるイザナキ命と天手力男命とタケミナカタ命の関係も気になっていて、話の共通性からタケミナカタ命と天香香背男命は同じ存在か三つ子とかかなと妄想してます。
オリオン座流星群の時期に揺れたのも因縁深いように思って。
ただの好奇心です。スレチすみません。

1182名無しさん:2016/10/27(木) 01:18:51 ID:nvrI/R2g0
御一族の神名帳の事がばれると忌部(出雲)系、海部(尾張)系、物部系、もしくは出羽系なのかがバレちゃうんじゃないかと

1183 ◆iF1EyBLnoU:2016/10/27(木) 04:08:21 ID:krcMdxl60
>>1180
確かに、漢字は沢山です。が、『鉛筆書き』です。

>>1181
神性は無限、ヒトの表現力は有限。故に、どうしても
複数の神様を賛美するのに、似た(同一の)エピソードを使う例は数知れず。
それをもって同一か否かを判断する事は適当ではないと存じます。
ただ、知人に問い合わせたところ、
「とても興味深い考察が含まれるコメント」とのことでした。
有り難う御座います。

>>1182
深いお心遣い、感謝致します。

さて、これから仕事に出ます。何時戻れるかは明言できませんが、
何時の日か皆様に再会出来る事を祈念して、御機嫌よう。

11841181:2016/10/27(木) 06:00:52 ID:ugTMYNmgO
藍さん、スレチなのにお答え頂きありがとうございました。
深夜とも早朝ともいえる時間にお手数おかけしました。
似たエピソードだからといって単純に同じ神様とは言えないんですね、複雑です。
教えて下さってありがとうございました。
お仕事お気をつけてください。行ってらっしゃいませ/~~

11851181:2016/10/27(木) 06:06:38 ID:ugTMYNmgO
1182さん、ご忠告ありがとうございます。軽率でしたm(_ _)m

1186名無しさん:2016/10/28(金) 01:42:38 ID:vlx/ORVY0
>>1185

知人さんや藍さんがこぼす「ついうっかり★」をみんなで注意深く見守りましょう。
忘れたころに突っ込むときっと良い汗をかいてくださいます。

1187名無しさん:2016/10/28(金) 02:07:08 ID:vlx/ORVY0
>>1186
一般的なお話をしませう。

海部氏(海=天)は国宝の家系図があります。ここにちょっと出雲補正をかけます。

徐福(徐猛)=素戔嗚=五十猛のお父さん、五十猛が改名して天之香久山。そしてその子供が天之村雲
村雲は剣の神格化したものではなく神武
出雲の姫様をめとった神武氏は、天之「御影さん」を生みます。

あくまで一般的な話で偶然と思われますが。

1188枯れ木:2016/10/28(金) 19:09:03 ID:8P3fWbAQ0
>>1187
 そうですね。あくまで一般的なお話を。

 天之御影命 は 鋼の武具を鍛える鍛冶の神とされています。
一方、作中の『御影さん』は一族を代表する『武門』の出。

 共通する点がありますし、すると、Sさんの『S』にあたる字の察しも。
ただどちらも性別の問題があるのですが、この一族には
『赤の宝玉』とそれに類する神器があります。実に、興味深いですねぇ。

1189名無しさん:2016/10/31(月) 00:32:30 ID:bYnJKN8.0
シャーペンじゃなくて鉛筆かぁ。

じわじわ来るな。何故か。

1190名無しさん:2016/10/31(月) 12:50:14 ID:4E7NateU0
賀茂の一族。三輪氏族に属する地祇系氏族。陰陽寮を掌握した賀茂忠行一門は弟子筋の安倍氏と陰陽道を独占した。
しかし、陰陽道宗家を安倍氏に奪われた。明治維新後は政府から冷遇されている。

1191名無しさん:2016/10/31(月) 23:43:04 ID:bYnJKN8.0
陰陽頭は物部氏もなったことがありますよ
それどころか昔は同族こそが最強の敵になり得たので大事な事は一部の人間が継承する事が多く
下手すれば誰が一番力を持った人間かを解らなくしてたくらいです

安倍家は父系で言えば天孫。母系で言えば出雲。葛城王朝は圧倒的に出雲の血が濃くなった王朝
その関係で8代目の事代主を祀る一族になった。その後も言い出したらきりがないほどに血が混じっています。
母系の実家がカモ家(神門家と磯城トビ家)

1192名無しさん:2016/11/01(火) 14:03:05 ID:03srRn/o0
だから、宇摩志麻遅命に陥れられた。

1193名無しさん:2016/11/01(火) 17:09:51 ID:/vay6VTw0
佐伯氏

1194名無し:2016/11/01(火) 19:43:10 ID:NKY.ToVE0
S=忍 かな?

だとすると L は。 もう少し調べて、それから。

1195名無しさん:2016/11/01(火) 22:45:12 ID:hM3xBdAYO
言霊使いの語る物語が言霊でないはずがあろうか。
私たちも既に術にかかってる。いくら跡をたどってもきっと霧の中,です。

1196名無しさん:2016/11/02(水) 01:44:32 ID:EZfZjx6U0
佐伯部だったら舞台を茨城に持ってこれるな
国譲りの最後の土地、千葉も近いし狼の埼玉もそばなのだが、それだと土御門であまりにもベタ過ぎるし、開祖さんは1,000年前だからもっと新しい歴史になるだろう
物部だったら宝は10になるから枯れ木氏のフェイクは面白い

神社に行く時に「Rさん男前」「Sさん美人」って頭の中で念じながら回る方が早いな。ついうっかり誰か振り返るだろうから。

1197枯れ木:2016/11/09(水) 19:24:47 ID:qBOWA0KA0
 皆様今晩は。枯れ木、です。

 このような例はこれまで記憶に無いのですが、
本日姉から新作の連絡がありました。題は『舞姫』。
『仕事から帰り次第、投稿の準備をする。』と伝えて下さいとのこと。

 その身体能力の描写と、それから想像し得る舞の才能から考えれば、
それは、Lさんに関連するお話なのでしょうか。
どうか、共に新作をお待ち頂ければ。

 これまで頂いたコメントへの返信は委任されていないので、
そちらは姉の帰還をお待ち下さい。

1198名無しさん:2016/11/09(水) 22:00:59 ID:wUmUTNaUO
枯れ木さん,朗報をありがとうございます。姉様の御戻りを心待ちに致しております。

1199名無しさん:2016/11/10(木) 06:34:40 ID:hjq7a0EkO
楽しみです。お知らせありがとうございます(^o^)/

1200名無しさん:2016/11/10(木) 18:01:28 ID:JimeDo5Q0
党首様のお話はまた今度なのですね。
補正が厳しくて企画流れになったのかなぁ。

1201 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/15(火) 21:19:33 ID:GWbV0acg0
 皆様、今晩は。 藍です。

 本日仕事から戻りました。
約束通り、早速、『舞姫』の投稿準備を始めます。
楽しみにして下さる方がもし1人でもおられるなら、それが知人の意志。
どうかもう暫く、お待ち下さい。 約束は必ず、守るために。

1202名無しさん:2016/11/15(火) 22:04:04 ID:e46/HYzsO
おかえりなさい.+゚
ありがとうございます。楽しみにお待ちしてます(^o^)/
でも無理はなさらず休暇をおとり下さい。

1203名無しさん:2016/11/15(火) 23:30:25 ID:buoV37Vg0
帰宅後にテンションMAX

1204名無しさん:2016/11/16(水) 12:27:03 ID:li0KiR7QO
期待してます!

1205名無しさん:2016/11/19(土) 00:29:52 ID:3yqXhACs0
そういや、忌部氏って斎部とも書くんだったな。古語拾遺のこと調べてたら
ここでもSにたどり着いた。
なんだか解らん。

1206 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 20:27:21 ID:y7CKWZdQ0
テスト中です。

1207 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 20:28:05 ID:y7CKWZdQ0
テスト中です。

1208 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 20:46:40 ID:y7CKWZdQ0
少々、困った事態です。

書き込みをしても「最新50」では反映されません。弟によると、アドレスを
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/9405/1395845351/l50
の最後を、「l25」や「l100」に変えると反映されるようですが、
それでは書き込みに気が付く方がおられるかどうか。
暫く、様子を見ます。

同様な事態が起こっているという方がおられましたらお知らせ下さい。

1209 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 21:21:11 ID:y7CKWZdQ0
「ブラウザの問題らしい」と言われましたが、何の事やら。
新しいブラウザを入れてもらったのでもう一度テストします。
これでいけるかどうか。では。

1210 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 21:25:37 ID:y7CKWZdQ0
取り敢えず、問題は解決したようです。
ブラウザを『蒼月』から『火狐』に変えたと聞きました。

それはそれで別の不具合が起きないかが心配ですが、投稿優先。
それでは以下『舞姫』を投稿致します。お楽しみ頂ければ良いのですが。

1211『舞姫』 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 21:38:21 ID:y7CKWZdQ0
『舞姫』

 それは、一族の『開祖』が生を受けた地。
険しい山々に囲まれた、とても広大とは言えぬ山間の平地。
しかし周りの山々から流れ込む数多の細い河川、その水は清冽で豊富。
美しい稲穂の海は、毎年のように、一族を支える恵みをもたらしていた。
しかし。 ある年の夏の終わり、不意に現れた妖が何もかもを変えた。
その妖は巨大な蛇の姿をしており、細い河川に入り込んではその流路を変えた。
里に流れ込む河川のあるものは干上がり、あるものは氾濫を繰り返す。
当然、その年の稲はかつてない凶作。当主を含め、一族の者は皆将来を憂えた。
そんな、初冬のある日。

1212『舞姫』 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 21:40:07 ID:y7CKWZdQ0
 一族の少年が一人、剣の修行を終えて家路を急いでいた。
その途中、畦道で泣いている少女に出逢う。 一族の、里の子なら見覚えがある筈。
しかしその少女に見覚えは無く、何より、その身に纏う衣の美しさは。
純白の絹地。同じく純白の絹糸と、金糸銀糸の刺繍。
到底常人とは思われない。少年は思わず声を掛けた。
すると少女は驚くべき事情を語る。
『吾はこの地の草木を司る神である。しかし侵入してきた妖に力を封じられ、
このような姿に成り果てた。このままではこの地を去るより他無い。』と。

1213『舞姫』 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 21:43:42 ID:y7CKWZdQ0
 少年は、その妖を退けるために何か、自分に出来る事はないかと申し出る。
すると少女は少年に、更に酷な事情を告げた。
『生まれ育ったこの地を去らねばならぬのなら、生きていても仕方が無い。
吾を生け贄として里の外れの大木に縛り、現れる妖を斬ってくれ。』
少年は少女を連れ帰り、里の長に事情を説明した。
少女は大木に繋がる道の全てに酒樽を置いてくれるように頼む。
『したたかに酔わせるのでもなければ、とても人の身に斬れる妖ではない。』
それを聞いた里の長は、少女の言葉を信じて提案をした。
『陰神様の顕現たる少女の衣を少年に着せ、少年を少女の身代わりにする。
一族に伝わる『赤の宝玉』は少年の性別を覆い隠して敵を欺く。
それなら、もし少年が為損じても、陰神様を護り捲土重来を期す事が出来るから。』と。

1214『舞姫』 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 21:47:41 ID:y7CKWZdQ0
 少女と少年はその提案に同意し、女装した少年は首尾良く妖を討ち果たした。
翌朝、少女は少年に一振りの剣を授けて里を去る。
その剣は一族の神器として現在まで祀られることになるのだが、
伝承は、少年と少女の再会にも言及している。
翌年、里は以前通りの豊作に恵まれた。
豊年祭りに向け、里の長は、神事に用いる米の警護を件の少年に命じた。
祭りの前夜、夜警を勤める少年の前に現れた、怪しい人影。
少年はその人影を追い、問い詰める。
斬りかかった少年の剣を悠々と躱し、人影は少女の姿に変じた。
少女は少年の剣技と里の人々の勤勉実直を言祝ぎ、永年の豊作を約束する。
その後少女は少年と共に暮らし、数年の後二人は夫婦となった。
二人の間に生まれた3人の子は、一族の新たな時代を拓く。
第一子は女子で術を、第二子も女子で剣技を。どちらも長じて後は『当代随一』と称された。
しかし、第三子についての記述は唯一『尊き御方』と。それだけ。
未だ、その性別も適性も不明。

1215『舞姫』 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 21:51:21 ID:y7CKWZdQ0
 高まる篳篥と鼓の音が、この神事のクライマックスを告げる。
いよいよ、私とLの出番。稽古とはいえ、気合いが入る。

 いつもと少し違う感覚。共に舞うLの表情をそっと伺う。
『特に剣舞では、決して対手を疑ってはいけないよ。
もしどちらかが躊躇えば、それは思わぬ事態を招くから。』
ふと、兄様の言葉を思い出す。そうだ、今この時、一瞬に集中する。
左からの袈裟懸け、一歩踏み込んで右からの袈裟懸け。
穏やかな笑みを浮かべたLは、ゆらりと身体を翻して鮮やかに剣を躱した。
一瞬の、違和感。これは? でも、ここで止めたら、きっと。 だから。
更に大きく一歩飛び込んで右膝を付き、左下から右手で切り上げる。 『烈風』の型。

 ふわ、と。 Lの身体が浮いた。 剣筋の遙か上を越え、米俵に。
剣を置き、膝を付く。 澄んだ声はLの名告り。続く謡いの声が、舞と神事を閉じる。

1216『舞姫』 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 21:53:43 ID:y7CKWZdQ0
 それは、一族に伝わる舞の中で最も古いものの1つだと聞かされていた。
その剣の腕前故に、収穫した米を守るため夜警を任された少年と、
勤勉実直な里人達を祝福するために顕現した稲の神様の物語。
少年は米倉に現れた人影を米盗人だと誤解し、斬りかかる。
しかし稲の神様は軽々と少年の剣を躱し、自分が稲の神だと名告る。
この舞の、最大の見せ場。 少年は斬りかかった相手が神だと悟り、剣を置く。
神様は少年の無礼を許し、その腕前と心がけを言祝いで、里の未来を祝福する。
そして大団円。 以来、一族は食料に窮する事は無くなったという。
遥か古からの伝承に題を取った、舞。

 「紫、今までで最高の出来だった。これなら本番が楽しみね。」

1217『舞姫』 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 21:55:21 ID:y7CKWZdQ0
 Sさんに褒められるのは素直に嬉しい。
私より、いいえ、私と共に稽古をしているLよりも、更に年若くして
『一族の歴史上、類い希な舞姫』と称された人。そう聞いていた。
Sさんは私の頭を撫でたあと、心配そうにLの肩を抱いた。
「Lも良かった。でも、正直少し心配だな。最後、何か考えてたの?」
「あ、あの。いいえ、何も。紫さんの、剣筋が本当に綺麗だと思っただけで。」
「そう...本番で使うのは真剣。一族に伝わる神器の1つ、もしも。」
Sさんの目尻に光るものが見えた。
黒い呪いを仕込まれたLの身体を神器が傷つけたなら、恐らくそれは。
でも、LがSさんに隠し事なんて。今まで唯の一度も。

1218『舞姫』 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 21:57:04 ID:y7CKWZdQ0
 「不思議、ね。LがSさんに隠し事なんて。一体何を?」
「そうなんです。本当に、不思議ですよね。」 「え?」
「だって、稲の神様が。どうして米俵の上に。」 「何の、話?」
「稲の神様なら、お米の神様です。それなのに米俵を踏みつけるなんて。」
「...それは。」 Lの横顔を見詰めていると、何故か心がざわめく。。
「L、支度できた?帰るわよ。」 Sさんだ。 「はい。ただいま。すぐに。」
Lは荷物を詰めた鞄を持って立ち上がった。 ああ、私も着替えたのだし、もう。
「紫、駐車場の車で炎が待ってた。早く、行って上げて。」 Sさんのイタズラっぽい笑顔。
「え? はい、有り難う御座います。」
どうして、兄様が。小走りで駐車場を目指した。見慣れた、黒い車。本当に。

1219『舞姫』 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 21:59:00 ID:y7CKWZdQ0
 「見事な舞だった。心から、誇らしい。」
夢中で気が付かなかったけれど、稽古を見ていて下さったのだ。
どうしようもなく、胸が高鳴る。
運転席の、端正な横顔。恋焦がれても恋焦がれても、届かない。近くて、遠い人。
「有り難う御座います。本番でもLが、でも。」 「でも、何だ?」
そうだ、兄様なら、Lの言っていた事の意味が分かるかも。
「舞の筋書きが少しおかしいと。稽古の後で、Lが。」
「あの娘が...それは、どんな?」
「舞の最後です。稲の神様が剣を躱した後、米俵に立つのはおかしい。
稲の神様が、米俵を踏みつける筈はないからって。」
「そうか、面白い事を。まさか本当に『現人神』の...」
多分、数十秒の沈黙。兄様の端正な横顔の向こうを、華やかな夜景が流れていく。
「紫。」 「はい。」
「舞にしろ術にしろ、我等はまず『型』を習得しなければならない。それは何故だ?」
心臓の鼓動が...深呼吸。必ず、兄様の期待する答えを。
「偉大なる先達が積み重ねてきた成果を、成る可く短期間で自らのものにするために。」

1220『舞姫』 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 22:01:42 ID:y7CKWZdQ0
 「そう、だ。凡そ術者なら『型』を習得すれば、必要最小限の成果を得られる。
だからこそ『型』は、多くの術者が努力次第で習得出来るものとされている。
言い換えれば、そのレベルに難易度が調整された養成のプログラム。
極く限られた術者しか辿り着けないのでは、それは『型』になり得ない。」
「はい。だから『型』は出発点であって終着点ではないと、Sさんも。」
「そう。『奥義』を手にするなら、『型』を越え、その彼方に踏み込まなければならない。
そして稀に、『型』の習得で安堵せず、それを疑い、越えていく者が現れる。」
そうか、兄様やSさんはそうして『奥義』に。でも、Lならともかく。
「私には、とても。私の舞などLには到底。」
「あの娘が一族史上稀な天才なのは明らか。
しかし、如何な天才と言えど、あの舞を1人で舞う事は出来ない。
もしあの娘が『奥義』を現出するなら、その舞にお前の才が不可欠という事。」
「そんな。私は『出来損ない』で。今までずっと兄様達や姉様達に。」
「舞において、あの娘に比肩し得るのはお前だけだ。そして術においても。」
兄様は優しい笑顔を浮かべた。
「紫、恐らく、お前に取って、これは好機。この神事で、その才を皆に示せ。」
「私の、才?」

1221『舞姫』 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 22:05:21 ID:y7CKWZdQ0
 「術においても、俺を殺せる術者になり得るのは、恐らくお前だけ。」
心臓が、止まりそう。私が兄様を殺すなんて。どうして?
「あのSさんでさえ、兄様を殺す事は。なのに。」
「お前より先に造られた者がお前より長く生き、お前の先にいるのは当然。
だが、あの計画が進むにつれて蓄積された知見、その集大成としてお前は造られた。」
兄様はゆっくりと路肩に車を止めた。
「決して卑下するな。そして思い上がるな。お前の成長が遅いのは、
その才の大きさ故だ。成長を待たずに発現すれば、身体が耐えられない。
だからこれまで、時を待つ他無かった。だが、その時が近付いている。
遠からずお前は、あの計画の正当性と俺達の存在意義を証明するだろう。
お前こそ、真の『最高傑作』。俺達の希望。」 「まさか、そんな。」
「さて、そうなればこの度の神事、見逃す訳にはいかない。
『公務』の日程を考えて、どうするか迷っていたが。必ず見に行く。皆にも伝えて置こう。
今後もSの助言とあの娘の言動に心を配り、稽古に励め。」
「はい。」 兄様が見に来て下さる。それは本当に嬉しいけれど、
同時にそれはとんでもない重圧。膝の上で、手が震える。

1222『舞姫』 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 22:10:35 ID:y7CKWZdQ0
 翌朝、稽古場に着くと、ドアの向こうから囁くような声が聞こえた。
『話してやっても良いが、それを聞いたとて人には。神懸からねば...』
嗄れた、微かな声。 思わず、耳を澄ます。
「どれだけ考えても、辿り着く事は出来ないと?」 「人に、神の御技が予想出来ると思うか?」
「いいえ。」 稽古場に、Sさん以外の誰が? そっと、ドアを開く。
Lは床に胡座をかいていた。 稽古前の瞑想をしていたのか、穏やかな顔で振り返る。
??? L以外に人影はない。 でも、確かに声が。
「お早う御座います。」 「あ、お早う。1人、なの?」
「はい。少し考えたい事があったので、いつもより早くSさんに送ってもらいました。」
「...話し声が、聞こえた気がしたんだけど。」
「ええと、考え事に夢中で、無意識に台詞を口にしたかも知れません。」
いや、あれは男の人の。でもそれ以上どう聞けば良かったのだろう。
そしてLの笑顔を見る時。胸の奥、得体の知れない感覚。
少し、いや、とても怖い。でも、どうしようもなく惹きつけられる。

1223『舞姫』 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 22:12:28 ID:y7CKWZdQ0
 その日の稽古の後も、Sさんは褒めてくれた。
でも、少し不安。稽古の間、ずっと感じていた微かな視線。
シャワーの後、着替えているLに問いかける。
「L、今日、稽古の時に変な感じがしなかった?」 振り向いたLは首を傾げた。
「ずっと、誰かに見られてる感じがしましたね。多分、稽古を始める前から。」
やはり、Lも感じていたのだ。 「何、だと思う?」
「舞が随分と仕上がって来たので、見物の御方が増えているんでしょう。」
「『見物の御方』?それに、『増えた』って、最初から誰かが?」
「はい。きっと、悪い事ではないと思いますよ。」 Lは微笑んでいた。背筋が、冷える。
一体、この娘は何を見、何を感じているのだろう? 私と同じ稽古の間に。
稽古で『見物の御方』、それなら神事では一体何が。
心臓が、ドキドキする。本当に怖いけど、その日が待ち遠しい。

1224『舞姫』 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 22:16:34 ID:y7CKWZdQ0
 半月後、いよいよ神事の日。秋の豊年祭り。
一連の神事の最後を飾るのが、私とLの舞。着替えて、段取りと道具を確認する。
何より、今日使うのは真剣。事故があれば一大事。一つ一つ、丁寧に。
真剣を使う事以外、全ては今までの稽古通り。そう、思っていた。
「紫さん。」 「何?」 あの笑顔。 まただ、もしかしてLは。
「斬りかかる時、もう少しだけ踏み込めませんか?左右、半歩ずつでも。
その分、剣の振りも速くできますよね?」
...やはり、そうだ。Lは呼びかけている。 『一緒に行こう』と。でも、何処に?
「あれ以上剣を速く振ったら、躱すのが。今日は真剣なのに、大丈夫?」
「少年は、本気で米盗人を斬るつもりです。加減する筈がありません。」
「そう、だけど。左右半歩ずつなら、米俵まで丸々一歩近い所で『烈風』を。
剣筋を飛び越える時、米俵までの距離が近すぎて危ないと思うけど。」
「少年はそんな事に頓着しないんです。それに相手は神様。だから、大丈夫です。」

1225『舞姫』 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 22:18:25 ID:y7CKWZdQ0
 滞りなく神事は進み、私とLの出番も近い。
控えの間から客席が見える。ゆらゆらと客席を照らす篝火。 兄様と、Sさんの御顔も。
Lが大きく、深く息を吸った。ゆっくりと吐く。 「緊張、しますね。」
「そうね。頑張らないと。」 「はい、打ち合わせ通り。思い切り、私を斬って下さい。」
私が、Lに斬りかかる。いや夜警の少年が、神様に。 そう。手加減など無く、本気で。
ふと、夜警を命じられた少年の気持ちを思う。
夜警に任命された少年は、自分の使命を果たす事だけを考えていただろう。
米盗人を斬り捨て、村人の命を繋ぐ米を守り、
自分の取り柄である剣の腕前を証明するために。
私は今夜、自分の取り柄を証明し、兄様の期待に応えられるだろうか。
自分の、取り柄。 深呼吸。 じわり、と神器の剣が重くなる。
稽古で使っていた木剣には鉛が仕込まれていて、
重さやバランスは、神器の剣と、寸分の違いも無い筈なのに。

1226『舞姫』 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 22:20:19 ID:y7CKWZdQ0
 物心着いてから、自信を持てるものなど1つもなかった。
兄様達も姉様達も、本当に気を遣って、優しく接して下さったけれど。
その度に、自分が『出来損ない』なのだと意識させられる日々。
厳しい修行に耐える兄様、姉様。でも私にはそんな行が課された事さえない。
そんな中、初めて褒められたのが「舞」。やっと見つけた居場所、必死に稽古をした。
そして今年、Lの対手を任されて。嬉しかったけれど、本当に、驚いた。
Lは分家の『過激派』から救い出された不幸な娘。そう聞いていた。でも、違う。
その身体に仕込まれた黒い呪いと正面から向き合って一歩も退かず、
何よりその舞と謡の才。
正直これでは私のどんな努力も届かない、そう思った。
でも兄様は、『舞において、あの娘に比肩し得る者はお前だけ。』と。

1227『舞姫』 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 22:23:01 ID:y7CKWZdQ0
 背中の、温かな感触。Lの、右掌。 「さあ、出番です。」
頷いて深呼吸。 不思議な程スムーズに、最初の一歩を踏み出した。
舞台を歩き回り、独白が続く。 ここは場違いな程コミカルに。 客席から聞こえる笑い声。
墨染めの衣に身を包み、大役に気負う少年の心を、やがて。
静かに米俵の前で胡座をかいた。 舞台の照明が更に暗くなる。
風が、吹いた気がした。 いや、本当に蝋燭が揺れて。 客席がしん、と静まる。
何時の間にか、白い衣が目の前に。飛び起きて神器の剣を抜いた。
客席のどよめき。 そう、この剣は神器。 今夜だけ授けられた、私の誇り。
白い人影を追い、問い詰める。 始めは軽妙な台詞のやりとり。
人影は面白がるかのように曖昧に答え、舞台狭しと逃げ回る。
しかし、次第に高まる緊張。 遂に人影を追い詰めた。
背後は積み上げられた米俵、逃げ場はない。 ゆっくりと、剣の切っ先を正面に。
人影は、Lは、微笑んでいた。 その直後、胸の中で何かが弾けた。
ああ、自分の頬に笑顔が浮かんでいる。身体が、剣が軽い。まるで羽根のように。
怖い、怖くてたまらない。でも、今こそ踏み込もう、Lが待つ場所へ。

1228『舞姫』 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 22:24:47 ID:y7CKWZdQ0
 逃がさない、決して。 踏み込んで左からの袈裟懸け。そして。
一瞬の目眩。体勢を立て直し、薄闇に煌めく白刃を躱す。
右、そして左。 まるで風に舞う落ち葉のように身体が動く。
刃の向こうに少年の顔...いや、これは私の。何故?

 激しい気合いと共に右下段からの刃。 速い。 また、ひとりでに笑みが浮かぶ。
右足。力をこめると、まるで嘘のように身体が浮いた。

 左足を前、前後に揃えた両足。 足袋を通して伝わる、冷たい感触。
刃の向こう。 眼を大きく見開いた、自分の顔が見える。 どうして?

1229『舞姫』 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 22:29:54 ID:y7CKWZdQ0
 「吾はこの地の草木を司る○△◆の命。かつて、其方の剣技に救われた。」
Lの声が、空気を震わせる。 稲の神様がその正体を。
それは、この舞の最後を飾る、古から伝えられた謡。 でも今までこんな声は一度も。
私は、一体何を... !? まさか。
斬り上げた剣の上に立つ、L。 穏やかな、笑顔。
『吾が与えた恵みを護らんとする、その意気や良し。』
違う。これは、稽古してきた台詞ではない。目眩、吐き気を堪える。
直後、目の前に稲田が見えた。黄金の穂波を揺らす、爽やかな風。
『今、吾が立っているのは、其方と稲を、つまり一族と米を繋ぐ橋の上。』
ああ、そうか。それでこの剣の、神器の号は。
『一族の者の心に、この橋が架かる限り、吾も誓いを守ろう。』
そうか、これが。 恐らくこれがこの舞の、真の姿。 ここで、御礼の口上を。
それでLと私のお役目は...急に、剣を握る右手から力が抜けて、気が、遠くなる。
嫌な、感触。 眼の前で、Lの身体が舞台に頽れ落ちるのが見えた。
神器、この剣だけは何に代えても。身体を丸める。 左の肩に衝撃。
どこか遠くで、誰かの、叫ぶ声。

1230『舞姫』 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 22:31:29 ID:y7CKWZdQ0
 「頑張ったんですが...やっばり、分かりませんでした。」
「いや。全ては、あの晩に起こった通り。見事。
我と共に来い。お前達ほどの舞姫なら、あの御方のお側でも十分に。」

 夢? Lと、もう1人。 それは最初から稽古を見ていたという、視線の主?

 「もし我と共に来るなら、おまえの身に仕込まれた黒い呪いも力を失う。」
「そうすれば、もう、私のせいで誰も。」 「そう。決して悪い話ではない。」
眼の前に、俯いたLが立っている。右足の足袋は紅く染まり、その前に蟠る、白い靄。
「でも、紫さんにはお兄さん、炎さんが。私、1人でも。」 「それも、良かろう。あの御方は」
『L、駄目!』 自分の大声に驚いた。
『SさんがどれだけLのこと。それなのに。お願い、絶対に行っちゃ駄目。』

1231『舞姫』 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 22:33:04 ID:y7CKWZdQ0
 ずっと、話し声が聞こえている。 聞き慣れた、懐かしい声。 夢の、続き?
「許してくれ。この神事を、紫が自立するきっかけにして欲しくて、だから。」
「あなたたちの事情、それは分かるし、指導していた私も気付かなかったのだから。
あなたを、いいえ誰も責める事は出来ない。勿論、Lも紫も。」
「しかし、あの娘は。もし足の傷が。」
「依り代になっている間は影響が小さいと分かったし、紫も自分の一歩を踏み出した。
それで良いでしょ?終わり良ければ、よ。正直、少し悔しいけど。」
「もし対手が俺でなく紫だったなら、あの晩に同じ事が起きて
新たな契約が成されていただろう。つまり、俺の力不足。
舞において紫は俺を越えたが、今夜の事はあの娘と紫の相性が生んだ奇跡。
未だあの娘が単独でお前の舞を越えたとは言えない。」
「有り難う、と言った方が良いのかしらね...あ!L、あなた。また血が。」
「大丈夫、です。」 「何言ってるの。その傷は。」

1232『舞姫』 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 22:36:29 ID:y7CKWZdQ0
 傷? Lは、足に怪我をしたの? そう言えばLは剣の上に、それから...?
体に力が、戻ってくる。眼を開けた。見覚えのある天井、舞台傍の控え室。
「紫!」 のぞき込む兄様の御顔。 Sさんと、Lも。 夢じゃ、なかった。
ゆっくりと、上体を起こす。私の両手を包む、温かな感触。 「紫さん、良かった。」
大きな眼、屈託の無い笑顔。胸が、詰まる。
L...
「御免、ね。私がもっとしっかりしていれば剣は、きっとその足の怪我も。
もしLの命に関わるなら、償いは必ず、私の命で。だから、許して頂戴。」
「傷は大したことありません。それに紫さんはとてもしっかりしてましたよ。
私を呼び止めてくれたのは、紫さんでしょ?声が、聞こえました。」
「2人共に神懸かるなんて、私も炎も予測出来なかった。
紫の『烈風』は奥義の域に達していたし、Lの、『あの声』は...」

1233『舞姫』 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 22:40:14 ID:y7CKWZdQ0
 「あれは間違いなく◎韻×。俺にも、Sにも使いこなせない、遠い古の奥義。」
「炎、その術の名を。」
「貴方の名はL。その名の由来を御存知か?」
「はい、私の母が。Sさんから聞いています。」

1234『舞姫』 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 22:41:55 ID:y7CKWZdQ0
 「正直、私は『現人神』を信じてはいなかった。しかし、間違っていたようだ。
兄姉皆が力を尽くし、引き出してやれなかった紫の才を、貴方は。」
床に片膝を着く姿が、涙で霞む。 兄様。
「どうか今後も、紫と親しくしてほしい。真の、友として。」
「あの、今も紫さんは大事な友達です。
それに、一族でも忌み嫌う人の多い、こんな私を普通に友達にしてくれたのは紫さんで。」
「私たちが作り出された経緯も御承知の上で、既に望みは叶っていると?」
「はい。」
「それなら、約束を。私と紫は、何時か必ず、貴方の恩に報いよう。
この命と引き替えにしても貴方を助ける。
そう、貴方か、あるいは、貴方の所縁の者を。必ず。」

『舞姫』 完

1235 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/21(月) 22:49:51 ID:y7CKWZdQ0
前述の通り、色々ありました。
私の対応できる問題では無かったので弟に感謝。ですね。

さて、『舞姫。』私自身は大好きで、中々興味深い作品だと思っています。
皆様のご感想を聞かせて頂ければ、これ以上の幸せはありません。

今夜もお付き合い頂いた皆様に心からの感謝を。
本当に有り難う御座いました。それでは、御機嫌よう。

1236名無しさん:2016/11/22(火) 00:00:34 ID:4VzX6um20
弓(もしくは扇)が、無い。梓の弓。役割が違うのか・・
お子は三人ではなくもう一人?武の守護者は剣より生まれたのかな。

1237名無しさん:2016/11/22(火) 05:14:02 ID:PWBLuiBwO
息をのんで読ませて頂きました。投稿をありがとうございます。とても面白かったです。
新潟の地元の伝承で舞台になったという場所を想像しながら読ませて頂きました。
舞を代々継承されている、大変な責任や約束事を守られていくのは本当に命懸けで大変そうです。凄いです。
トラブルを乗り越えての投稿、ありがとうございました。

1238名無しさん:2016/11/23(水) 15:55:34 ID:toWqA5Z.O
遠き古から今の世への掛け橋。織り紡がれた物語,綾なす縁と約束の糸。Lさんが大怪我をしないか,ドキドキしました。それにしても,紫さんとLさんの関わりが意外でした。いつもながら心に残る昔語り,ありがとうございました。

1239名無しさん:2016/11/24(木) 21:35:55 ID:1Ogq0Kmg0
前回のお話は名前の交換をした応神天皇と、神降ろしをしてた神功皇后のお話しみたいで実に引き込まれますな。
今回は和みを寄せ付けぬ厳しさ。Rさんの、自分と向き合う人生という言葉が思い出されます

1240名無しさん:2016/11/28(月) 12:36:17 ID:iiCWCPZs0
このお話の原案って紫さんの日記とかなのかな
一から作ったのなら知人氏の才能すごいでしゅ

川の神様の御眷属となられたお二人から聞いたのなら、子供の外観から随分大人びたやりとりがあったはずだから、かなりシュールな光景が思い浮かぶ

1241 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/28(月) 21:53:18 ID:mq8UyDiA0
皆様今晩は、藍です。

>>1184
>>1185
>>1186
>>1187
>>1189
>>1190
>>1191
>>1192
>>1193
>>1194
>>1195
>>1196
>>1198
>>1199

返信が遅れましたが、新作をお待ち下さるお気持ちは素直に嬉しいです。
本当に、有り難う御座いました。

>>1200
ご推察の通り、その作品は現在袋小路にあります。
ただ、公開に向けた努力を続けておりますので、気長にお待ち下さい。


>>1202
>>1203
>>1204
>>1205

『舞姫』に、ご期待頂き感謝致します。
ご期待に応える事が出来ていれば良いのですが。

1242 ◆iF1EyBLnoU:2016/11/28(月) 22:02:19 ID:mq8UyDiA0
皆様今晩は、引き続き藍です。

>>1236
>>1237
>>1238
>>1239
>>1240

驚くほど深いコメントに感服ですが、立ち入った返信は禁止されております。
ただ、このようなコメントを頂ける間は、投稿を続けられると信じます。
急な仕事から帰ったばかりですが、次の投稿の事を考えています。
お互い身体に気を付けて、また会える日を楽しみに。では、御機嫌よう。

1243名無しさん:2016/11/30(水) 01:44:09 ID:/7Edle260
次は、御影さん視点の物語が聴けたらと思う
知人さんのフェイクが「やっぱり御影さん男でした」って事ならショックでかすぎるので夢は壊さないでほしいがw

1244枯れ木:2016/12/02(金) 20:18:57 ID:sIlosXxk0
 一昨日、姉は仕事に出て、留守を任されました。

 正直どうかと思いますが、クリスマス(?)企画での新作。
または年明け企画での新作投稿に向け準備をしているようです。

 私自身は、年明け企画にするべきだろうと思いますが、
皆様方の御意向は如何に? 意見が御有りの方は書きこみを。
どちらにしても姉に伝えて、投稿の準備を促します。

1245名無しさん:2016/12/02(金) 22:11:28 ID:jnUkwUlIO
お知らせありがとうございます。
投稿を楽しみにしてる立場から願望をいえば早く読めるクリスマスの方が嬉しいですが、お仕事に加え年末年始で忙しいでしょうから、藍さんの都合のいい無理のない投稿を気長にお待ちしてます。

1246名無しさん:2016/12/04(日) 00:19:57 ID:oEfu9eHs0
だ・断腸の思いで正月とクリスマスには一緒に来ていただこうか
誰かが(私の代わりに)「両方」って書く前に

1247名無しさん:2016/12/04(日) 01:08:48 ID:mbspvhxUO
クリスマスプレゼントとお年玉,どちらも大歓迎です!

1248 ◆iF1EyBLnoU:2016/12/05(月) 21:49:06 ID:JAJsL2Qk0
皆様今晩は、藍です。
今朝仕事から戻りましたが、明日朝にはまた仕事に出ます。

>>1243
知人に確認しましたが、フェイクではなく御影さんは女性とのこと。ご安心下さい。
ただ御影さん視点の物語は現在の予定にありません。悪しからず。

>>1245
>>1246
>>1247
新作へのご期待、心より感謝致します。
弟の余計な書き込み(キリスト教徒じゃないんだから)で、ご迷惑を。
急ですが、お詫びに新作の冒頭部を投稿致します。

では、皆様のコメントにお応えして、
以下、『制服の君』。今夜投稿分の続きは多分お年玉企画で。

1249 ◆iF1EyBLnoU:2016/12/05(月) 21:54:55 ID:JAJsL2Qk0
どうも「最新50」では書き込みが反映されないようですね。
何故『火狐』でも同じ減少が、少々お待ち下さい。

1250 ◆iF1EyBLnoU:2016/12/05(月) 21:57:44 ID:JAJsL2Qk0
どういう訳か、「次100」で書き込みが反映されるようです。
折角の投稿をお楽しみ頂けるかどうか本当に不安ですが。
今夜投稿予定の原稿を投稿してみます。

1251 ◆iF1EyBLnoU:2016/12/05(月) 22:05:24 ID:JAJsL2Qk0
弟によると、「最新50」のアドレスの末尾を
/l50 から /l51 に変更した方が速く読めるようです。
どちらか良い方法でお読み下さい。

1252『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2016/12/05(月) 22:08:54 ID:JAJsL2Qk0
『制服の君』

 「只今、帰りました。」 「お帰りなさい。コーヒー、入ってるわよ。」

 Sさんを抱き締め、額にキスをした。Sさんは不満そうな顔で、俺の唇にキスをした。
「それで、『制服の君』はどうだったの?未だ、変化はなし?」
「う〜ん、何となく雰囲気が変わったような気はするんですが、もう少し、かかりそうです。」
「そう...ま、良いじゃない。早朝サイクリングとウォーキング、健康維持には最高。」
「確かに、修行の準備運動だと思えば...でも、暑くなってくるとキツいかもしれませんね。」
毎朝、少しずつ設定を変えて繰り返される遣り取り。キスと同じ、2人のルーティーン。
俺もSさんも、重々承知している。実際はそんな軽い内容ではない。
もし春の終わりまでに解決出来なければ、恐らく1つの命が尽きることになる。

1253『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2016/12/05(月) 22:10:45 ID:JAJsL2Qk0
 高校、多分3年生。その女生徒を初めて見かけたのは今年の1月末。
ある仕事のため、未明の街を歩いている時で、全くの偶然だった。
仕事の場所に向かって長い上り坂を歩いていて、下りてくる彼女と擦れ違った。
薄明るい歩道に殆ど人影は無く、200mも前からその気配を感じていた。
姫が通っていた高校の制服。坂を下りきった所は電車の駅で、
そこからの時間を考えてもかなり早い登校。 部活、いや、鞄だけだから早朝講座か。
きちんと着こなした制服、綺麗に結い上げた髪。 少し薄い唇をきりりと結び、硬い表情。
隙のない美貌は、朝焼けに染まり始めた街の中で異彩を放っていた。
だが、それよりも。

1254『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2016/12/05(月) 22:12:30 ID:JAJsL2Qk0
 ハッキリと見える。というか、あまりに強く感じるから、自然に視覚化してしまう。
綺麗な着物を着た若い女性、どこか『制服の君』に似た美貌。
その姿がかなりハッキリしているから、強い『心残り』があるのだろう。
しかしその表情からは、憎しみや苦しみが伝わってこない。
憎しみや苦しみに囚われ、不幸の輪廻と繋がっている霊であれば、
この世界でその存在を維持する為のエネルギーを宿主に依存しない。
不幸の輪廻との繋がりがないからこその、深刻な事例。
その存在を維持するために宿主の、『制服の君』の生命力を少しずつ消費する。
かなり長い期間憑依しているようだし、日々の積み重ねは無視できるものではない。
実際、初めて見かけた時よりも、『制服の君』は痩せていた。
このままでは保ってあと一ヶ月。
生命力があるレベルを下回れば突然に、そして確実に『終わり』がやってくる。
それまでに何とかしなければ、俺とSさんは下見をしてから相談を重ねた。

1255『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2016/12/05(月) 22:15:53 ID:JAJsL2Qk0
 「すごく頑なで、働きかけても反応なし。幾ら早朝で人通りが少ないとは言っても、
街中で大がかりな術は使えない。家族に話してと言う訳にもいかないし。」
普通に登校しているのだから『制服の君』には自覚がないだろう。まして家族には。
家族に連絡を取ったところで胡散臭い詐欺師か何かだと思われるのが関の山。
一族には医者もいるが、検診を受けてもらう口実がない。病気という設定にも無理が有る。
「でもこのままでは、何とか。あ、いや、彼女が綺麗な娘だからと言う訳じゃないですよ。」
「馬鹿ね。そんなの言わなくても分かってる。でも。」 「でも?」
「この件に関しては、あなたが彼女に好意を持った方が楽だったかも。」
「どういう、事ですか?」
「あんな状態で、一番伝わりやすいのは好意だからよ。半端な興味や同情よりも、ね。
悪意や憎しみをはねつけて来たからこそ、不幸の輪廻との繋がりは出来なかった。」
「言霊で、告白しろって事じゃないですよね?本気じゃ無いと言霊の効果は。」
「まさか、突然そんなことしたら即『声かけ事案』で通報される。運が悪ければ逮捕&連行。
榊さんは極上のネタを手に入れて大喜びするでしょうけど。」
少し、目眩がした。

1256『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2016/12/05(月) 22:18:21 ID:JAJsL2Qk0
 「じゃあ、どうすれば。」
「これから毎朝、あの娘と擦れ違って。」 「へ?毎朝、擦れ違うって...」
「別に難しくないでしょ。『制服の君』の登校時間に合わせてあの坂を上るだけだもの。
擦れ違いながら、念を送る。『あなたと話したい』って。勿論相手は着物の女性の方よ。」
「冗談、なんですか?」 毎日となれば毎度Sさんに送って貰う訳にはいかない。
当然、姫と子ども達は深い眠りの中にいる時間。自転車と徒歩だとしたら、修行は。
「冗談なんかじゃない。正直一番リスクが少ない方法がそれ。
積み重ねた念が彼女に届いたら、何か変化が起こる筈。
それを見逃さず、あなたが言霊を使う。後の始末は私が、問題はそれまでの時間だけ。」
「毎日積み重ねても、間に合わないかも知れないって事、ですね?」 「そう。」
Sさんの横顔。微笑に潜む、深い憂い。
「やります。これも縁なら、僕の念が彼女に伝わると、信じるしかありませんよね。」
「うん、良い返事。」 Sさんの笑顔は優しく、温かかった。

1257『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2016/12/05(月) 22:19:53 ID:JAJsL2Qk0
 長い上り坂。彼方に『制服の君』の姿を認めたら、陸橋を降り坂道を上る。
視線を散らすことなく、一定のペース。健康志向のサラリーマンの徒歩出勤風に。
勿論それっぽいナップザックを背負い、目立たない服と靴。
彼女以外の興味を引くのは極力避けるべきだ。
かなりのペースで『制服の君』の姿が大きくなる。
ぴいんと伸びた背筋。すらりと長い足と大きな歩幅。そしてその姿に重なる、美しい人。
擦れ違う瞬間、念を送る。
『あなたと話したい。』 勿論視線は真っ直ぐ前方、他の人に怪しまれてはならない。。
少し遅れて、微かに良い香り。香水ではない。石鹸、だろうか。
残念だが今朝も変化はない。そのまま歩き続け、坂の頂点で横断歩道を渡る。
行きと反対の歩道を下るのは万一に備えて。
もし忘れ物か何かで『制服の君』が引き返して来て、同じ男と擦れ違ったら不審に思うだろう。
ストーカーか何かと勘違いされ、登校方法を変えられたら元も子もない。
坂を下りきったらもう一度横断歩道を渡り、陸橋下の駐輪スペースに停めた自転車で帰宅。
そんな生活が半月ほど続いた、朝。

1258『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2016/12/05(月) 22:21:11 ID:JAJsL2Qk0
 擦れ違う少し前、『制服の君』の気配が揺れた。
僅かに動いた視線が俺を捉える。間違いない。もう一度、遠ざかっていく気配に念を送る。
『そう、私です。あなたと話したい。』
お屋敷への帰り道、自然と自転車の速度が上がった。

 「間違いない、のね?」 「はい。確かに、僕の方を見ました。そう、思います。」
「明日からは私も一緒に行く。多分あと数日はかかると思うけど、念のため。」

 Sさんがスタンバイするのは俺と『制服の君』が擦れ違う地点から十数m。
駅に近接したバス停のベンチで新聞を読んでいる。暖かそうなスポーツウェアにサングラス。
怪しいと言えば怪しいが、見事に気配を消しているから訝しむ人はいないだろう。
それは、Sさんがバス停でのスタンバイを始めて3日目の事だった。

1259『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2016/12/05(月) 22:24:02 ID:JAJsL2Qk0
 いつものように擦れ違う。 『制服の君』の視線が、今朝も俺を捉えた。
擦れ違って2歩目。背後から、鈴を振るような声。
『あの、どうしてですか?』 来た。心の動きを抑え、振り返る。
近くに通行人はいない。視界の端、ベンチに座るSさんの姿。
「ええと。僕ですか?何か?」
「とぼけないで。いつも擦れ違うとき私の顔見てますよね。どうして、ですか?」
俺は深く頭を下げた。
「御免なさい。毎朝美しい人に会える事を楽しみにしていました。
今朝もその幸運を喜んだだけで、決して悪気は有りません。」
「美しい?」
声の調子が、変わっている。俺を呼び止めた時の声ではない。
「はい。貴方は美しい。嘘をついても、私には何の得もありません。お判りでしょう。」
着物の女性は目を閉じて俯いた。何かを、思い出そうとするように。
俺は深く息を吸い、下腹に力を入れた。
『お助けしたいのです。貴方と、貴方の魂が依代とした、その娘さんを。』
『助ける?』 『はい。死後、その故郷へ旅立てぬ魂を、私は不幸だと思いますから。』
着物の女性はゆっくりと辺りの景色を見渡した。

1260『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2016/12/05(月) 22:26:00 ID:JAJsL2Qk0
 青いジャージを着た高校生らしい男子が一人、通り過ぎた。
一瞬感じた視線、立ち話をしているように見えるだろうか。
『では私は、既に死んで。ならどうして、今までこの世に留まっているのでしょうか。』
『時を待っておられたのでしょう。魂の故郷への道を示す者が現れる時を。』
『あなたが、案内してくれるのですか?私を?』
『正直に言えば、未だそのための手がかりがありません。
しかし、私にお任せ下さるなら、必ず魂の故郷への道を。陰陽師の名に賭けて、』
『陰陽師。そして、魂の、故郷...あなたは。』
『制服の君』が目を閉じる。崩れ落ちる身体を、Sさんが背後から抱きとめた。

1261『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2016/12/05(月) 22:27:55 ID:JAJsL2Qk0
 「この子、急にどうしたんですか!?。」 Sさんが声を張り上げる。
打ち合わせの通り。
「気分が悪そうだったので声を掛けて、連絡先を聞こうとしたら。貧血かも。」
俺も切羽詰まった大声を張り上げる。大芝居、榊さんを喜ばせる訳にはいかない。
歩道に面した家の窓が開いた。中年の女性。
他にも、立ち止まってこちらを見ている通行人が数名。
「その角を曲がってすぐに交番が有ります。取り敢えずそこに連絡して、早く、」
俺は走った。Sさんは騒ぎを聞きつけた人々の目の前で電話を掛けるが、怪しまれない。
「もしもし、私Sといいます。はい、急病人で。○◇駅の北口です。そう...」
勿論、Sさんの電話を受けるのは榊さん。
特別に用意された救急車は、一族の者が運営に関わっている病院に『制服の君』を運ぶ。
完璧、だ。

1262 ◆iF1EyBLnoU:2016/12/05(月) 22:31:36 ID:JAJsL2Qk0
皆様今晩は、再び藍です。

取り敢えず、許可を得た部分の投稿を終える事が出来ました。
色々と不安ですが、お付き合い頂いた皆様に心からの感謝を。

お話の続きは年明け、お年玉企画で。それでは御機嫌よう。

1263名無しさん:2016/12/06(火) 00:16:28 ID:hpxjyRwU0
念を飛ばす、ですか。
生きている人間の念ほど怖いものは無い。だからこそ念を残してはならぬ。
それこそが「残念」
本日も教訓を頂きました。
本日の投稿、我が念が飛んだようで。反省はしても後悔は無し。

>知人に確認しましたが、フェイクではなく御影さんは女性とのこと。ご安心下さい。

わっひょい。何よりのクリスマスプレゼントぉ

ハッ?

1264名無しさん:2016/12/06(火) 06:26:29 ID:PoQDoa5AO
投稿ありがとうございました。「声かけ事案」に笑いました^^
お仕事も奉仕もされて有難い限りです。藍さんの投稿も奉仕ですね、ありがとうございます。
表舞台から排除された方々がどこかで皆さんのように技を継承し磨かれてることを信じる希望になります。
制服の君が段取り通り救急車で運ばれて続きが楽しみです。

1265名無しさん:2016/12/06(火) 22:25:12 ID:hpxjyRwU0
>>1264

汝歴史を知っとうや?なぜか有り難きことと思う
出雲も、磯城(海辺→吉備)も、物部も、平群も、渡来系と誤解されて尚の藤原も
世の中に無駄な事無きと、Kさんの辛き過去にも感謝せねばならぬ世の理も
なればこそ、古き神々も、新しき神々も互いに手を取り合って欲しいと思わされるし、我々小さき人々もそうありたいと願う物也

良き理、党首様、死してなお、先達の良きものを継承するを喜ぶ御影様、そしてRご家族。並びに知人さん、藍さん、枯れ木さん。

有難うね。

1266枯れ木:2016/12/06(火) 23:37:15 ID:O8ayjhJU0
>>1265

 もしや。酔って、おられましたか?

 「知っとうや?」という問いかけは、誤解されかねません。その、豊富な知識故に尚更。
「知識のあるなしに関わらず、真っ直ぐな心は同じ心持ちに辿り着く不思議。」
そう書き込んで頂ければ、要らぬ誤解は避けられるかと。有り難う御座いました。

12671264:2016/12/07(水) 07:00:10 ID:gdrYYFLIO
歴史を読み解きたい思いはあります
聖書、ギリシャ神話エジプト神話インド神話日本神話キリスト仏陀聖徳太子
金太郎と桃太郎の関係、浦島太郎、さるかに合戦かちかち山三枚のお札だいだらぼっち
吸血鬼、ハロウィンの起源、バレンタインデーの起源
かぐや姫とうばすて山を合わせたような昔話、姥は乳母?
全てが二組の家族の物語に繋がっているようで妄想だけは止まりません
お侍様の戦いの本当の真意も妄想中
トイレの花子さんは便所の神様?
本当の歴史を知るのは死んでからのお預けです
もしご存知なら羨ましいです。
日本には日の出づる処として渡来系は多いですね。多分ケツアルコアトルも来てると思いますが、確認はできません。
義経の血脈がロシアにありそうな気もしてます。こちらは姿を明らかにしてくれたらと期待してます。
聖徳太子は推古天皇のように幼子ではなかったでしょうか、教えて欲しいです。

12681264・追伸:2016/12/07(水) 07:55:13 ID:gdrYYFLIO
西遊記の孫悟空は海を渡って中国へ行ってるので、日本出身ですよね?
帰ってきた孫悟空を追ってきたのが天日槍、だと推測してますがいかがでしょうか。
というか荒らした自戒にROM専になります。
1265さん、この機会をありがとうございます。
藍さん枯れ木さん、これからも楽しみにしています。いつもトラブルも対処しての投稿をありがとうございます。

1269名無しさん:2016/12/07(水) 18:00:15 ID:DXB2toLQ0
Rさんまた責任問題フラグ?が立ったのにみんなそれはスルーとは

1270名無しさん:2016/12/07(水) 21:08:48 ID:ej4sIB060
>>1266
申し訳ありません。
そこにスポットの当たるレスポンスは想定しておりませんでしたという答えに留まる事をお許し頂きたい
看過できない事情が発生したとしたら申し訳ありません。心に刻みます

1271枯れ木:2016/12/07(水) 21:43:36 ID:mgez9mHk0
 ああ、申し訳有りません。文字通りの老婆心。
思わず、また、余計な事を。姉が帰ってきたら、きっと、怒られますねぇ。

>>1264
 大変興味深い考察を含むコメントかと思われます。
どうぞROM専などと仰らず、今後も書き込みを続けて下さい。
きっと姉もそれを望むと思います。

>>1269
 今作の題名から考えて、Rさんの責任問題にはなりますまい。
「好意」の描写と、「制服の君」の御名前が、伏せ字ですら示されない状況が
それを示唆しています。きっと沖縄の姫君とは事情が違うのでしょう。

>>1270
 悪夢のような状況を踏まえて、今、留守を預かる条件。
最悪の状況に繋がりかねないと感じたら即対応を、と命じられています。
少々神経質な対応だとしても、以前のような事態を招く事だけは。
迅速に御対応頂き、お陰様で事態の悪化は免れましょう。
姉に代わって、寛容な御心遣いに、本当に感謝致します。
有り難う御座いました。

1272名無しさん:2016/12/11(日) 13:00:31 ID:n2dy5lWo0
>>1271

何と言いますか、ちゃんと観てもらって頂けている様で安心な気持ちです。
水曜の出来事ですが、昼間に別件で「言葉には魂がこもります」って教えられえまして二重に凹んでます

枯れ木さんも最早主役のおひとり。どうか居なくなったりしないでくださいね。

1273名無しさん:2016/12/11(日) 22:23:47 ID:bVm4rzJU0
1272さんのおっしゃるように是非お願いいたしますm(uu)m
私は藍さんも枯れ木さんの事も大好きですから。

1274枯れ木:2016/12/12(月) 21:32:58 ID:JGZxM6G60
>>1272
>>1273

 励まして頂いて、嬉しい思いと、
私の真意を上手くお伝えできなかった忸怩たる思いの板挟みです。

 1265様には、いきなり失礼な問いかけを。

 1264様には、以前からお伽話系統の深い知識をお持ちと知りながら
『知識のあるなしに関わらず』と、これも大変失礼な書き込みを。

 きっと皆それぞれ、得意分野と不得意な分野があります。
お互い敬意と思いやりを持って知識を出し合い、
実りある雑談が出来たら良いな、と。

 どうか、数少ない肉親である姉を思う愚弟の戯言とお許し下さい。それでは。

1275 ◆iF1EyBLnoU:2016/12/19(月) 19:45:21 ID:Fwgnk6wk0
皆様今晩は、藍です。 先程仕事から戻りました。

年末年始は仕事の予定が無いので、お年玉企画に集中できそうです。
『制服の君』の行く末を案じながら、知人の原稿を精査・修正して。
その後許可を得られたなら、続きを投稿し、此所で皆様と再会できる日を楽しみに。
それでは、御機嫌よう。さようなら。

1276名無しさん:2016/12/19(月) 22:45:16 ID:qcQX0co.0
よかった、待ってます。

1277 ◆iF1EyBLnoU:2016/12/26(月) 23:46:06 ID:WZd.7OQk0
皆様今晩は、藍です。

投稿へ向けた作業は随分捗りました。ただ、同時に予想外の事態も。
これを解決するための相談をしている状態。未だ今後の展開は読めません。
ただ、知人は『制服の君』の完結はお年玉企画ではなく是非年内にと。
お年玉企画はその後で。以上、未だ物語の続きをご期待下さる皆様にお知らせを。

それでは御機嫌よう。きっと、30日か、31日にきっと、此所で。

1278名無しさん:2016/12/27(火) 12:14:05 ID:6gh.bwks0
お待ちしております〜

1279名無しさん:2016/12/29(木) 12:03:14 ID:bbpHFjU6O
ワクワク

1280名無しさん:2016/12/30(金) 00:51:41 ID:Gr3cexW20
枯れ木さんとRさんってキャラ的に似てる処ある様な気がしますね
思考の回転が速い処
言うべき点を逃さない処はいいのだが、時々言うのが早すぎる処

元気なお姿、お待ちしております。どうか、よき方向に

1281 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 03:20:53 ID:oApGFCxM0
テスト中です。

1282 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 03:34:01 ID:oApGFCxM0
皆様今晩は、藍です。

暢気に投稿の準備中、想定外の事態が。先程戻った所です。
弟が暫く家を空けている最中だったのも不運でした。

ただ、標準時とは関係なく、初日の出まで年は明けません。
(正直無理筋と承知していますが御容赦を)

それでは以下、『制服の君』完結まで。では。

1283『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 03:39:00 ID:oApGFCxM0
 病院のロビーに面した問診室の1つ。この部屋も打ち合わせていた通り。
入り口のカーテンは水色。11時半を過ぎた頃、警察官に付き添われた女性が入ってきた。
落ち着いた、優しそうな雰囲気の女性。 『制服の君』の面影も見える。
「この方が交番に連絡して下さって、救急車も。」 年配の警察官。
俺が声を掛けた、あの交番の。あれからずっと、きっと、面倒見の良い人なのだろう。
警察官が一礼して立ち去ると、その女性は改めて、深く頭を下げた。
「有り難う御座います。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。あの、お仕事は?」
「ああ、僕は自営業なので時間の都合は幾らでも。それより、娘さんは大丈夫ですか?
すごく気分が悪そうでしたが、どうして二人ともあんな風に?」
「お陰様で娘には怪我も無く、今のところ検査でも異常は無いそうです。
ただ最近、随分痩せてきて、心配はしていました。
あなたがいて下さって本当に良かった、娘は...あ。」
その女性の表情が突然曇った。やはり『制服の君』の母上。きっと気丈で、聡明な。
「あの。あなた、今。」 「はい?」
「あなたは今、『どうして二人とも』と?」 「はい、確かにそう申し上げました。」 
「どういう意味、ですか?『二人とも』って。」

1284『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 03:48:03 ID:oApGFCxM0
 「制服の娘さんに重なるように、綺麗な着物を着た若い女性が見えるんです。
既にお亡くなりになった方のようですが、その方もあなたの娘さんなのかと思いまして。」
「...あなたは、一体?」
「信じてもらえるかどうか。僕は、陰陽師の末裔。この地の伝承はご存じでしょう?
天と地の精霊の力を借り、生と死の媒を生業とする者たち。
実は、初めて娘さんを見かけたのは今年の1月です。ある仕事に向かう途中、偶然に。
出来れば助けてあげたいと思って、それからずっと、気に掛けていました。」
「じゃあ、もしかして...今日のことも。」
「はい。今日、着物の女性がやっと僕に気付いて、応えてくれたんです。
その時に備えて前から手配をしていたこの病院に娘さんを運びました。
僕の親戚がこの病院の運営に関わっているので、娘さんは特別な手当を受けられます。
しかしこのままでは...それ程長くは保たないでしょう。
体は1つ。2つの魂を支えられる期間には、限界がありますから。」
「その限界を超えたら、娘の命も尽きる、と?」 その女性は真っ直ぐに俺の眼を見詰めた。

1285『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 04:00:58 ID:oApGFCxM0
 「はい。無条件に信じてもらえるとは思っていませんし、脅迫するつもりも有りません。
ただ、僕を信じて下さるなら、お手伝いが出来ると思います。
娘さんと、もう1人、既に無くなった女性を助けるために。
それに、これは『縁』に導かれた仕事ですから、報酬も経費も、一切頂きません。」
その女性は黙って俯いた。重い、沈黙。 焦る必要はない、当然の決断を、待てば良い。
やがて、その女性は顔を上げた。
「私が産んだ娘は、あの子1人だけです。
あなたが見た『既に亡くなった女性』と、娘にはどんな関係が?」
やはり、俺を試すつもりなのだ。
直ぐにこんな話を信じることなどあり得ない。疑うのが当然だろう。
しかし、信じてもらうのに術で小細工をする手間を省けるなら、こちらとしても好都合。

1286『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 04:03:23 ID:oApGFCxM0
 「悪意は全く感じません。だから娘さんへの影響がとても小さかったんですね、
そういう場合、命に関わる状態になるのにはかなり時間がかかります。10年か、20年か。
だから姉妹かと思っていました。でも、あなたが産んだ娘さんは1人。
稀な例ですが、娘さんの体内に取りこまれ成長できなかった双子という可能性も。
しかし、それなら今日の検査で判明した筈だし、何より着物という点で決定的に違う。
体内に縛られていれば、娘さんの感覚と記憶をなぞるだけですから。
つまりその女性も着物ではなく、あなたの娘さんと同じ制服の筈。
残る答は1つ。あなたの、ごく近い御身内に、若くして亡くなった女性がおられる。
その方の魂が娘さんに宿った。それがこの件の原因です。」
その女性は息を呑んだ。握りしめた両の手が、膝の上で小さく震えている。
「何か、強い心残りがその人の魂を繋ぎ止めていて、そこにあなたの娘さんが生まれた。
娘さんと波長が合っていたために、その人の魂が娘さんの身体に宿ったのでしょう。
多分偶然。悪意などなく無意識に、だからこれほどの時間を共存できた。
しかし、日々の負担は小さくとも、長い期間積み重なれば影響は深刻。
今まさに、それは限界を迎えつつあります。」

1287『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 04:07:13 ID:oApGFCxM0
 その人の両手、もう、震えは止まっている。
「21歳で亡くなった従姉妹がいます。私が、9歳の時に。」
「従姉妹ですか...それでは、ごく近いとまでは。」
「だからこそ、あなたの話を信じるべきだと、分かりました。
父が従姉妹を引き取って、私と兄は従姉妹と2年間一緒に暮らしたんです。
まるで本当の姉弟のように。私も兄も姉さんが大好きで、とても仲が良かった。
父が姉さんを引き取る前の年、私たちは母を亡くしていたので、
歳の離れた従姉妹を実の姉のように...。」 そっと涙を拭う仕草に、胸が詰まる。
「あなたに任せれば、娘を救い、姉さんを然るべき場所へ送る事が出来る。そうですね?」
「そうしたい、と心から願っています。ただ、まずは手がかりが必要。
娘さんが生まれるまでの間、亡くなった女性の魂を繋ぎ止めていた物がある筈です。
多分、その女性の遺品の中に。それらを調べる許可を頂きたい。
それから貴女の従姉妹、亡くなった女性の実家を教えて欲しいんです。
実家が判れば、必要な調査は僕の仲間がやります。その家に一切ご迷惑は掛けません。」
「私が、責任を持って兄を説得します。それまで、お待ち頂けますか?」
「はい、勿論。ただ、娘さんに残された時間はそれ程長くはありません。」
「分かっています。説得は今日明日の内に、必ず。」
「それではもう一つ、許可を頂けますか?」 「はい。どうか娘と話を。」

1288『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 04:12:05 ID:oApGFCxM0
 ゆっくりと、ドアが開く。母親に手招きされて、ドアを潜った。
ベッドの上で上半身を起こした『制服の君』。 美しい、本当に綺麗な娘だ。
「あの、有り難う御座います。今朝は、助けて、もらったみたいで。」
「僕の名前はR。今年の一月中旬から、毎朝君のストーカーをしてました。」
『制服の君』は息を呑み、その後で微かに笑った。
「そんなに長い間、毎朝私の事を心配して?」
「そうですね。君と、もう一人。とても綺麗な、着物の女性の事を。」
「その人は、誰なんですか?」 「君の、お母さんの従姉妹。そう聞きました。」
「そう、ですか。」 窓の外、傾き始めた陽光を見詰める。
「初対面で、こんな話を信じるなんて。母も私もどうかしてる。それが普通ですよね?」
「はい。小さな子ども相手なら『僕は魔法使いだから。』と、それで。でも、あなたには。」
「『魔法』?それは、その人が『着物』だと分かる、見えるいうこと?」
「はい。僕達に取ってはそれが当たり前なので『魔法』はまあ、方便ですが。」

1289『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 04:13:19 ID:oApGFCxM0
 「どんな、着物ですか?」 「極く薄い水色、手鞠のような白い模様です。」
『制服の君』の母親が息を呑む。 『制服の君』は小さく溜息をついた。
「本当にそれが、『見える』んですね?」 「はい。」
「私にも見えます。ただ、夢の中でだけですけど」 「◎、あなた。」
「御免なさい。心配、掛けたくなかったから。」 『制服の君』は真っ直ぐに俺を見詰めた。
「夢の中で綺麗な人が泣いていて、私はその人を一生懸命励ましているんです。
その人の着物が、薄い水色に白い柄。手鞠といえば、確かにそんな風にも。」
??? 泣いている女性、その人を励ます。 一体 ???
「その夢で、何か言葉を。憶えていますか?」
「はい。ハッキリと。」

1290『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 04:15:43 ID:oApGFCxM0
 『お父様とお母様の思し召しだから、きっと、間違いない。でも、怖いの。』
『あの人は良い人よ。私にも、凄く優しくしてくれるし。私、あの人大好き。』
『そう。生まれる順番が逆なら良かったのかな。私と☆の。』
『私が、代わりにお嫁に行けば良いんじゃない?それなら。』
『ふふ。そう、ね。ありがと。☆はまだお嫁さんにはなれないけれど、
もし私が病気になったら、私の代わりになってくれる?』
『うん。何時かそうなったら、必ず。約束ね。』 『有り難う、私、これで大丈夫。』

 「僕には今、その夢の意味が分かりません。だから僕の師匠に話しておきます。
もし何か大きな問題が有ったらもう一度あなたに話して、作戦を考える。それで、良いですか?」
「はい。お願いします。

1291『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 04:17:04 ID:oApGFCxM0
 「これ、です。姉さんの遺品は全部この箱の中に。」
低く、通りの良い声。その男性は『制服の君』の叔父、ということになる。
倉庫の一角にまとめられた2つの木箱。それがあの女性の遺品。
間違いない。その箱に手を添える、あの女性の姿が眼に浮かぶ。
それ程に強い気配が、その箱の中身に残っている。
「姉さんは、幼い頃から音楽が好きだったと聞きました。でも病で身体が。
田舎では良い医者に診てもらうのが難しかったから、父が引き取って。
これらの品を買い与えて、少しでも慰めようとしたんでしょうね。
幾ら何でも贅沢だろうと笑う者も多かったようです。
でも私も今は、父の気持ちが少し分かる気がしますよ。きっと父も寂しくて、姉さんを。」
「箱の中を調べても?」 「はい、どうぞ。」
古びた紐の結び目を解き、箱の蓋を開けた。
箱の中に、びっしりと詰まった、レコード? 大小2種、綺麗に整理されて収められている。
聖域。以前、遍さんの執務室で聞かせてもらったのと同じ規格、多分。
『制服の君』の母親は40代半ば、ならその従姉妹が亡くなったのは多分30数年前、だ。

1292『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 04:19:12 ID:oApGFCxM0
 次の箱の蓋を取ると、透明な白熱電球のようなものが見えた。
これは真空管?のアンプ。やっぱりそれも、遍さんの部屋にあったものに似ている。
アンティークの調度品といっても良いような風格のある、綺麗なアンプ。
当時生産された名機、状態の良いオリジナルには、とんでもない値段がついている。
遍さんはそう言って微笑んでいたっけ。
「レコードに残る気配が濃いです。その人は本当に音楽が好きだったんですね。
「はい、一日中レコードを聴いている日も。そう、最後の半年程は、毎日のように。
もう、庭に出る事も、難しかったですから。
とても丁寧な手つきでレコードを掛けて、嬉しそうに。良く憶えています。
でもこのレコードやアンプに姉さんの心残りが...何だか複雑な気持ちですよ。」
その男性は少し寂しそうに微笑んだ。

1293『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 04:20:45 ID:oApGFCxM0
 愛用の品に、想いを残す死者は珍しくない。
その想いがある程度強くなると、その品を錨として死者の魂がこの世に留まり続ける事がある。
勿論それが可能は限られた霊質の魂に限られるのだけれど。
取るに足らない小さな心残りから、ほとんど妄執と言う他ないドロドロしたものまで。
そして、想いの籠もった品々が生者に影響する事例も珍しくない。
その品々に罪はなく、生者を利するか害するかも、以前の持ち主の想い次第。
そしてそれらの品を上手く利用できれば、残した想いを昇華させることも出来る。
錨を上げ、死者の魂が新しい航路へ旅立つ。手助けが。
そのためには、『全て』の準備を調えなければならない。
今を生きている我々の努力で、調えられるすべての準備を。
「遺品はこれだけ、レコードとアンプだけなんですか?
レコードのプレーヤーとスピーカーもあった筈だと思いますが。」

1294『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 04:21:41 ID:oApGFCxM0
 「姉さんの一周忌が過ぎた頃、父が処分したんです。
『これを見ると思い出すから。』と、そう言って。
母と姉さんを同じ病気で亡くして、父も本当に辛かったんだと思います。
ただ、レコードとそのアンプだけは残して此処に、遺品として。」
「成る程。でも、貴方は憶えていませんか?処分した品々の大きさやデザイン。
それらがどのメーカーの、どの機種だったかが判れば、多分同じ物を手配出来ますから。」
「私は機械音痴で...でも正月に3人で撮った写真に写っている筈です。」
それなら、大丈夫だ。

1295『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 04:23:27 ID:oApGFCxM0
 「これらの品々と写真を使えば、何とかなりそうです。
でも、電気を使うものですから安全第一。暫く預からせて下さい。
知り合いに調べてもらって、もし壊れている所があれば直します。」
「はい。それは勿論。でも、そんな物を使って...」
戸惑ったような表情。まあ、無理もない。 多分、映画やTVの影響だ。
「護符や人型を使う方法もありますが、これほど強い想いが残った品々があるのなら、
護符や人型よりもずっと成功の確率は高いです。護符や人型はレディメイドの既製品。
こういった形見の品々はオーダーメイドの特注品、そんな感じですね。」
「はあ、成る程。何となく、分かりました。」
言葉とは裏腹に、未だ納得していない表情の男性を残し、
アンプとレコードを運び出した。どちらもかなり重い。後部座席に並ぶ2つの木箱。
アンプの修理、それにプレーヤーとスピーカーの手配。心当たりがあった。

1296『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 04:24:26 ID:oApGFCxM0
 「いや、これは...驚いたね。多分レプリカだろうと思っていたし、
強い想いの残った品を『聖域』に持ち込むのはまずいから、このお屋敷でと。
でも電話で聞いた型番の通りだ、◎社の初期モデル。それも完全なオリジナル。
来て良かったよ。これほど状態の良いものは初めて見る。」
「そんなに、貴重なものなんですか?」
「私の執務室にあるのは、この一つ下のクラスのもので、
それでも状態の良い完動品を探すのに2年かかった。
これはさらに生産数が少ない当時の最上位モデル。
愛好者にとっての価値は推して知るべし、だ。
真空管や配線の状態をチェックして、完全に動作する状態にして。
それなら...いや勿論、お金を出せば買えるという品ではない。けれど。」
遍さんは銀縁の眼鏡を外し、ハンカチで丁寧にレンズを拭った。
「もし壊れていたら、修理にもかなり費用がかかる、という事ですね?」
「そう。君の考えからすると、修理には出来る限り当時の部品を使うべきだろう。
愛好者の立場からしても、是非そうしてもらいたいところだが。」

1297『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 04:25:44 ID:oApGFCxM0
 「もともと今回の件は『仕事』ではなく、僕たちが勝手に関わった事です。
報酬をもらうつもりはありませんし、修理の費用も僕が持ちます。」
「成る程、そういう事か。それなら知り合いの技術者に連絡してみよう。
オーディオショップを経営していて腕は確かだし、間違いなく、喜んで引き受けてくれる。」
「有り難う御座います。ただ、言いにくいのですが...。」
「こんな品に触れる機会は滅多にない。黙っていても、何よりこれを最優先するだろう。
だから納期は最短でいけると思うよ。部品が入手不能とか、何か問題があれば連絡する。」
遍さんの言葉通り、完成して調整も完璧だと連絡が来たのは3日後だった。
修理が必要な部分はほとんどなく、木箱の中には交換用の真空管なども入っていたらしい。
件の女性と、その養父がそれらをかなり大事にしていたのは間違いない。
しかしそれだけじゃない。嘘のように物事が上手くいくのは大抵『時が熟した』から。
それを確信したのは、あっけなくプレーヤーとスピーカーが見つかったからだ。
あの男性から借用した写真に写っていたのと同型。やはり、どちらも当時の上位モデル。
アンプとプレーヤーを修理してくれた人の経営するオーディオショップ。
そこの試聴室に両方が揃っていると教えてくれたのも遍さんだった。

1298『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 04:27:01 ID:oApGFCxM0
 ただ、プレーヤーもスピーカーも、特にスピーカーは半端じゃなく大きくて重い。
『制服の君』の家は勿論、母親の実家に運んだとしても、
既にそれをセッティングできる場所がない。だからその店の試聴室にアンプを設置した。
当時の名機たちが奏でる、当時のレコードの音。
それを媒にして亡くなった女性の心残りを解く。
それは3日後、土曜日。制服の君とその母親、それから叔父を招待した。
遺品のレコードも店に運び、全ての準備が調った。
いくつもの魂。結ばれた縁が、きっと事態を良い方向に導く。
その女性の実家についての情報はまだだが、調査を担当しているのはSさんで
榊さんのネットワークを使わせてもらっている。まあ、何があっても大丈夫。
俺は心安らかに、その日を待った。

1299『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 04:28:19 ID:oApGFCxM0
 当日。その店に着くと、既に音楽が流れていた。ジャズ?
午後2時開店のショップなので、それまでの間試聴室と機器を使わせてもらう事になっていた。
「真空管のアンプには、ウォーミングアップが必要でね。」 遍さんの笑顔。
「でも、良い音だろう?本当に、良い音だ。
レコードのコレクションも、なかなかのものだよ。クラシックから歌謡曲まで。
これだけの機器とレコードだ、想いを残すのも無理はない。
持ち主は一体、どんな人だったんだろう?」
「若くして亡くなった女性ですよ。とても音楽が好きで。ただ、ずっと病気だったから、
その女性の養父が買い与えたものだと聞きました。せめて音楽で心が晴れれば、と。」
「亡くなったのもその病気で?」 「はい。」
「悲しい話だね。それなら益々分かる気がする。この音が供養に、なると良いが。」
「はい。近しい人たちを呼んでレコードをかけ、亡くなった女性の魂に働きかけます。」
「その後、君が『言霊』で語りかける。それが伝わるのは亡くなった女性だけ。
まわりの人たちは君が術を使ったことに気づかない。考えたね。」
遍さんは眼鏡を外し、丁寧にレンズを拭いた。 「確かに良い案、だ。」

1300『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 04:29:29 ID:oApGFCxM0
 「有り難う御座います。『制服の君』の事だけが、少し心配ですが。」
「『制服の君』?亡くなった女性の、宿主のことかい?」
「はい、高校3年生。美形なのでSさんが『制服の君』と。亡くなった女性はその母の従姉妹。
その女性の魂の活動があるレベルを超えると、『制服の君』の意識は途絶えます。
ただ試聴室のソファに座っていれば、そうなっても怪我の心配はないだろうと。」
「成る程。どうやら君はもう一人前の、それもかなり高位の術者なんだね。」
遍さんの微笑みは暖かく、とても優しかった。
突然、ポケットのケイタイが震えた。画面の表示は、Sさん?
Sさんは、亡くなった女性の調査で今日も朝早くから外出していた。
「今そっちへ向かってる。大丈夫だと思うけど、もし間に合わなかったら少し待ってもらって。」
「分かりました。でも何で。」 「追加の作業、タイミングが...後で話すから。」
切れた。 Sさんは運転中、ケイタイには触らない。
運転してないのに話を、それに『追加の作業』・『タイミング』?
もしかして調査で何か? 微かな、胸騒ぎ。

1301『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 04:32:26 ID:oApGFCxM0
 「間に、合ったわね。良かった。」 小さく溜息をつく。
...違和感。 「Sさん、あの」
「榊さんに送ってもらったんだけど、○号線が事故で渋滞してて。ちょっと焦ったわ。」
やはり違和感。 もしや調査で何か。 「あ、いらっしゃったようだね。」 遍さんの声。
店の入り口に人影が3つ。約束の時間より少しだけ早い。 早速試聴室に案内する。
ソファの左端に『制服の君』、真ん中に母親、そして右端に叔父。
『制服の君』は硬い表情。また少し、痩せたように見えた。
「あの、その方々は?」 制服の君の母親。少し戸惑った、曖昧な笑顔。
「はい。こちらは遍さん。アンプの修理やこの場所の手配をお願いしました。
今日は再生機器の操作を全て任せています。
そして、こちらはSさん。とても位の高い陰陽師で、僕の師匠。
今回の件はかなり難しい事例なので、手伝ってもらっています。」

1302『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 04:33:27 ID:oApGFCxM0
 遍さんは神妙な表情で、Sさんは微笑んで、3人に一礼。
軽い挨拶を終え、本題に入る。俺はテーブルの上に数枚のレコードを並べた。
「特に強い気配を感じたものを選んであります。主に当時の歌謡曲ですね。
2枚〜3枚、選んで頂いて、それをかけてもらいましょう。」
「それで、姉さんの供養を?」 「はい。」
「...正直、100%信じていた訳ではありませんが、驚きました。
これはどれも、姉さんが好きだったレコードばかり。あなたは本当に。」
男性の眼を、正面から見詰める。 「信じて頂けて何よりです。では、最初の一枚を。」
男性は少し考えて最初の一枚を選んだ。それを遍さんが受け取り、プレーヤーに。
そっと、丁寧に針を下ろす。微かなノイズに続く前奏。
そして鮮烈な声が試聴室の空気を震わせた。

1303『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 04:35:19 ID:oApGFCxM0
 聞けばすぐに分かる、特徴的のある声。その歌手の名を、俺も知っていた。
鮮やかな言の葉が紡ぐ、切ない歌詞。 心の奥深く染みこむ、美しい旋律。
その歌声は、ハッとするほど艶やかで、息継ぎの音に温もりを感じる程に生々しい。
それが、TVで聞くよりもずっと美しい音なのは、再生機器の性能なのだろうか。
皆、黙ってその歌声に聴き入っていた。 『制服の君』の表情も、心なしか緩んでいる。
曲が終わると遍さんがプレーヤーの針を上げた。
「素晴らしい。理に適っています。これらの機器を揃えたのは『分かった』お方だ。
歌謡曲に高価な再生機器を用意するのを嗤う人もいますが、私はそうは思いません。
聞き慣れた『人の声』こそ、最高の機器で再生すべきで、
特に1980年以前のこの人の録音は...失礼、次はどのレコードを?」

1304『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 04:39:35 ID:oApGFCxM0
 異変を感じたのは2枚目のレコード、終わり頃。
前のめりになって歌声に聴き入っている『制服の君』。
唇が小さく動いていた。そしてその動きは明らかに、曲の歌詞をなぞっている。
遍さんが2枚目のレコードをテーブルに戻した後、澄んだ声が響いた。
「次はこれを、お願いします。」 『制服の君』の、笑顔。
遍さんが振り返って俺を見た。問いかけるような視線、黙って頷く。
レコードを手渡した後、『制服の君』は力なくソファにもたれかかって眼を閉じた。
予め、その時がくれば『制服の君』は眠り込むと説明してあるので母親も叔父も動じない。
今、だ。 入れ替わりに活動する、亡くなった女性の魂に『言霊』で語りかける。
深呼吸、腹の底に。いや待て、これは。

1305『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 04:40:59 ID:oApGFCxM0
 前奏に続いて流れてきた声に、俺は息を呑んだ。 いや、俺だけじゃない。
皆、互いに顔を見合わせている。力なくソファに体を預けた『制服の君』以外は。
少し細いが、瑞々しい声。 吹き抜ける風のように軽やかで、透明な。
あの歌手の声ではない、『制服の君』の声でもない。
「まさか...これって」 「間違いない、姉さんの。」
レコードが再生されていて、それは眼前のスピーカーから聞こえている筈なのに。
俺達の眼の前。其処に立つ、誰かが歌っているようだ。 そして、この声の主は。
曲が終わり、呆然とレコードを見詰めていた遍さんが、立ち上がった。
『待って下さい。そのままもう少し。』 驚いたように、遍さんは手を引っ込める。
皆の、視線を感じる。真意を測りかねているのだろう。 だが、俺には聞こえる。
微かなノイズの奧、確かに。 予想していた手順とは違うが、好機。
『素晴らしい歌声でした。後は貴方のお気持ちを、どうか。』
ジジ、ジッ...高まるノイズ。 よし。
『...御免なさい。私の、みんな私のせいだった...』

1306『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 04:44:21 ID:oApGFCxM0
 眠り続ける『制服の君』、その母親と叔父は顔を見合わせている。
当然だ。 『御免なさい』 『みんな私のせい』 それは一体どういう?
その時、『制服の君』が小さく呻いた。何時の間にか、額に汗が浮かんでいる。
ジッ、ザザザ、バチッ。 スピーカーから聞こえるノイズは、次第に大きくなった。
試聴室の中に、不吉な空気が満ちてきている。 何だ、これは?
その時、俺の背後で気配が動いた。

 「遍さん。レコードを止めてください。早く。」 Sさんの声、だ。
遍さんは弾けるように動き、レコードの針を上げた。
アンプのボリュームを絞る、試聴室に戻る静寂。
続いてすい、と、Sさんは『制服の君』が眠るソファの背後に回り込んだ。
微かに、聞こえる詠唱。人型を持つ左手がボンヤリと光っている。
「失礼します。」 Sさんは一礼し、人型で『制服の君』の額と頬を拭った。
「これは...」 『制服の君』の母と叔父は、呆然とSさんの手元を見詰めている。
みるみる赤黒く染まった人型を、Sさんは小さな白い紙袋に納めた。
それを胸の内ポケットへ。 『制服の君』は安らかな寝息を立てている。もう、大丈夫。

1307『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 04:45:45 ID:oApGFCxM0
 「あの、今のは?」
「許可を得たとRから聞いたので、すぐに調べさせて頂きました。
あなた方の『従姉妹』だという、その女性の出自や、あなた方の父上との関わりも。」
そうか、調査で何か思わぬ事が。だから急にSさんが。
「それで何が分かったのか、それに基づいて何をしたのか、説明させて下さい。」
『制服の君』の母と叔父は顔を見合わせたあと、しっかり頷いた。
「是非お願いします。」
「成る程。ただ、このままでは話がしにくいだろう。R君、少し座席の配置を変えてくれ。
その娘さんはそこで横になってもらって、それ以外の席を。私はコーヒーを淹れる。」
遍さんは優しく微笑んだ。

1308『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 04:48:28 ID:oApGFCxM0
 ゆったりとソファに座り、コーヒーを一口飲んで、Sさんは口を開いた。
「まず、最初にあなた方の『従姉妹』という女性の件です。」
『制服の君』の母と叔父は息を詰め、Sさんを見詰めている。
「その女性はあなた方の従姉妹ではなく、血縁的には叔母にあたります。
あなた方の、母上の妹で5人姉弟の末娘。そしてその人は、あなた方の、継母。」
「継母って、一体どういうことですか?」
「既に父上が亡くなっておられるので真相は分かりません。
ここから先は私の推測です。それだけはご承知置き下さい。」
Sさんはまた一口、コーヒーを飲んだ。箱の中から大型のレコードを一枚取り出す。
「遍さん、このレコードを掛けて下さい。『鎮魂歌』、聞こえるかどうかの、小さな音で。」
「大丈夫なんですか?先刻は。」
「もう、大丈夫です。きっとその女性への、良い供養になりますから。」
やがて、厳かな響きが試聴室に満ちた。

1309『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 04:50:02 ID:oApGFCxM0
 「結婚が、家と家との契約だった時代があったと聞いています。
昭和の中頃までは、特に都会から離れた地方では珍しくなかったと。
あなた方の母上が病で亡くなったので、
契約を維持するためにその妹さんが嫁いだという事でしょう。
5人兄弟の末っ子、その女性が姉の代わりに、これも珍しくは無かったようですね。」
「でも、それなら戸籍に。私たちの戸籍には。」
「はい。それで私も疑問を持ちました。
幼かったあなた方に無用な心配をさせないため、そうも考えましたが、やはり不自然。
後妻として入籍した事や、従姉妹と説明した事情は後々話せば良いのですから。
それで、気になったのが病気です。2人とも同じ病気で亡くなったんですよね?」
「はい、心臓の病気だったと。でも、それが。」
「いくら契約でも、命に関わるような心臓の病気を持った娘を嫁入りさせるものだろうか、と。
あなた方の母上は嫁入り当初から病気だったのでしょうか?」
「いいえ、確か母が伏せったのは亡くなる半年程前からで、それ以前は全く。
地域の運動会で一緒に走ったこともありますし、とても心臓の病気とは思えませんでした。」

1310『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 04:52:11 ID:oApGFCxM0
 「どう考えても、それが、当然です。家の跡取りや何かの都合を考えれば。
しかし、その後妻に入った女性は最初から病気だった。変、じゃありませんか?」
「確かに。」 『制服の君』の母親とその兄は顔を見合わせた。
「恐らく、どちらも強い『呪い』の結果です。あなたたちや父上には影響がなかったのに、
後妻に入った女性が同じ病気になった。ということは。」
Sさんは窓の外に視線を移し、深呼吸をした。すぐに視線を戻す。
「ということは、呪いの対象は父上の『妻』。父上に想いを掛けていた女性か、
あるいは両家の契約を快く思わない人々が呪いの主でしょうね。」
「呪いって、本当にそんなものが。」
「ちょっと待って下さい。母さんは1年足らずで、姉さんは2年。
もしそれが同じ呪いなら、どうして期間が違うんですか。」
「父上は、恐らく母上のご実家と相談の上で、陰陽師に助力を請うたのです。」
「え?」
「その呪いの対象は父上の『妻』。呪いを回避する策は予想出来ます。」
「あ。」 『制服の君』の母親は、ぽかんと口を開けた。
「戸籍を入れない。子ども達には後妻でなく、従姉妹だと説明する。
表向きはあくまで後妻でなく養女、それで呪いを回避出来るかも知れない。
依頼された陰陽師はそう助言し、両家は勿論父上もその女性も助言に従った。」
「でも、そんな。幾ら何でも。」

1311『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 04:53:36 ID:oApGFCxM0
 Sさんはコーヒーを一口飲んで、哀しそうに微笑んだ。
「はい。そんな事情を知った上でなお、表沙汰にも出来ない縁組みを承知するなんて
普通では考えられません。その女性は、ずっと長い間、父上を慕っておられたのでしょうね。
ただ、助言に基づく策に多少の効果は有ったにしろ、
結局呪いは回避できず、病はその女性を蝕んだ。
発病後に御自宅に迎えたのだから、父上もその女性を心から愛しておられた筈。
だからこそ、せめて残された期間を共に暮らそうと。それに、これらの高価な機器も。」
「姉さんに強い心残りが有ったのは納得できます。でもそれなら母も同じように。」
「体が滅びてもこの世に留まり続ける、そういう性質の魂の持ち主はごく僅かです。
姉妹がともにそういう性質の魂を持つことはまずあり得ない。私たちはそう考えます。」
「そうだとして...姉さんは何故私の娘に?」

1312『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 04:58:32 ID:oApGFCxM0
「恐らく、あなたの出産が転機になったのでしょう。」 「私の、出産?」
「はい。短い間とはいえ、その女性は妻として父上と一緒に暮らしたのだし、
心の中ではあなたたちを実の子同然に愛していた筈。
それなら唯一叶わなかった望みは妊娠と出産。愛する人の子を産みたいという望み。
妊娠から出産までのあなたの心の動き、それが女性の魂に共振してその活動を誘発した。
だから娘さんの体に。恐らく何か思惑が有ったのではなく、無意識だと思いますが。」
「今になって、姪の体に異変が出たのはどういう。」
「積み重なった影響が限界に達したから、始めはそう考えていました。
でも、もっと単純な原因だったのかもしれません。」
「単純?」
「はい。娘さんは18歳、その女性が後妻に入ったのと同じ歳です。」
想い沈黙。 静かな試聴室に響くレクイエム。微かな、鎮魂の調べ。

1313『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 04:59:50 ID:oApGFCxM0
 「娘さんが18歳になり、その『呪い』は娘さんを標的だと誤認した。
その女性の魂が宿る体、その女性が後妻に入った時と同じ歳。条件が揃ってしまったから。
そういう状態で女性の魂を更に活動させたら何が起こるか、予想がつきます。」
そうか。だからSさんは人型を使って。
「じゃあ、さっき。」 「はい。」 Sさんはまた、寂しそうな笑顔を無浮かべた。 違和感。
「呪いを、封じました。発動した直後が唯一のチャンスなんです。
その女性の魂は旅立ち、呪いは消滅する。その娘さんへの障りもありません。さて。」
Sさんは持参した紙袋からレコードを取り出した。
大きなジャケットの写真には、あの女性歌手。
「遍さん。このレコードの最後の曲を、掛けられますか?」
「それは勿論。でも、これは当時は未だ。」
「送別の曲です。辛い思いをしたその女性を、励ましてあげたいと思って。」
「分かりました。皆さんも、それで宜しいですか?」
『制服の君』の母親と叔父は黙って頷いた。遍さんはレコードを替え、背中を丸めた。
そっと、丁寧に針を下ろす。レコードの中心に近い、場所へ。
微かなノイズの後、テンポの良い、鮮やかな音が響いた。

1314『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 05:03:31 ID:oApGFCxM0
 「本当に、良い音です。何時も聴いているのとは違うCDみたいですね。」
深夜のリビングに響く澄んだ音。確かに以前とは比較にならない。
小さな音量の童謡を聴きながら、子ども達はとうに寝入っていた。 穏やかな寝顔。
『制服の君』の母親と叔父は、『あのアンプとレコードはもう不要だ。』と言った。
『姉さんの魂が旅立ったのなら、遺品を保管する理由が有りませんから。』
『姉さんの事を忘れないために、今日聴いたレコードを3枚残して置けば十分だ。』とも。
遍さんはそのアンプがとても高価な品だと説明し、持ち帰るように進めたのだが、
それならせめてもの御礼にと、2人はそれを俺に託して帰って行った。
勿論俺には豚に真珠。それを遍さんに譲ったら、執務室で使っていたアンプに
その他の再生機器を新調して届けてくれたという訳だ。

1315『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 05:06:07 ID:oApGFCxM0
 「特に人の声は温かみがあって素敵です。でも不思議ですね。
レコードから別人の声が聞こえるなんて。初めて聴きました。」
「稀な現象には違いないけど、調べてみたら、似た事例の記録が幾つかあった。
それらは全てレコードでの記録。CDやDVDでの記録はない。それも、不思議。
レコードの特性なのか、この、真空管?それとも両方の組み合わせかしらね。
その女性が歌手を夢見ていたというのも関係あるのかも知れない。」
俺は思いきってこの件についての疑問を口にした。
「不思議と言えば、封じた呪いの件なんですけど。」 「何?」
「どうして返さなかったんですか?例え呪いをかけた相手が亡くなっていても」
Sさんは人差し指で俺の唇を抑えた。
「自身の呪いで亡くなった人。その人にこれ以上、罪を問う気にはなれない。」
「え?」 一体、それは。 自身の呪いで、ということは。
「『制服の君』に憑依していた女性、それが呪いの出所。
ううん、呪いを掛けたというより、無意識に作り出してしまったんだわ。
姉を羨む想いが何年もの間積み重なって、最後はとても力の強い呪いを。」
それをSさんは口にしなかった。 ああ、これが。 違和感の原因。

1316『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 05:07:32 ID:oApGFCxM0
 「じゃあ、その人は最初から男性の事を。でも、だからって自分の姉を、まさか。」
「そこが、一番の問題。その人は勿論姉を慕っていた筈。
だから、呪いの対象は『姉』でなく、自分の恋い焦がれる男性の『妻』。
自分の想いが作り出した怪物と、それが引き起こすだろう結果。
無意識とは言え、強い罪悪感から逃れるために、自分を瞞した。」
そうか、だから自分が男性の妻になった時、今度はその呪いが...。
姫は小さく溜息をついた。そっと藍の頬を撫でる。
「術者が策を立てたのに呪いを回避出来なかったのは、そのためなんですね。」
そう、だ。 策の意図を知っている以上、自身から生じた呪いを欺くことは出来ない。
「とても哀しい。それだけね。その女性が稀な霊質を持っていなかったら、起きなかった悲劇。
後味の悪い話だったけど、その女性が自分の罪を受け止めて、
その罪を償う覚悟が出来たことだけが救い。
だから『不幸の輪廻』に取り込まれずに旅立てた。勿論その行き先は...」

1317『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 05:09:46 ID:oApGFCxM0
 「それで、最後にあの曲を?」
そう、あれは葬送や惜別の曲と言うより、哀しい魂に向けた応援歌。
Sさんは小さく頷いて、薬指で目尻を拭った。
「覚悟して踏み出した茨の道。遠い遠いその果てに、許しが待っていると伝えたかった。」
その呪いの出所も告げず、あの場で全て解決したとSさんが宣言したのは、
残された人たちに辛い真実を知らせる必要は無いと判断したからだ。
何よりあの女性自身が、真実を知られることを望んではいなかったろう。
俺はSさんの判断を信じる。つまり今夜、もうこの話題は終わりだ。
多生の縁に導かれて出会った『制服の君』を救い、古い呪いを封じることが出来た。
あの女性の魂も、不幸の輪廻に取り込まれることだけは避けられた、だから。
照明を絞ったリビングの壁際。真空管のほんのりとした灯りは、とても暖かく見えた。

1318『制服の君』 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 05:10:30 ID:oApGFCxM0
『制服の君』 完

1319 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/01(日) 05:14:33 ID:oApGFCxM0
皆様今晩は、再び藍です。

何とか『制服の君』、投稿完了しました。
夜明けまでに投稿できたか確かめる力も残っていません。
これから、仮眠します。

お読み下さる皆様に心からの感謝を。有り難う御座いました。
では、お休みなさい。

1320名無しさん:2017/01/01(日) 10:48:26 ID:CVzJ3vnIO
藍さん、真夜中の執筆、本当にお疲れさまでした。
一年ほど前からこっそり読ませていただいてます。

今回、幸運にもリアルタイムで読ませていただくことができました。
何が何でも約束を守る、との藍さんの律儀な思いに感動した一方、いきなり「呪い」が出てきた時点でちょっと違和感を感じていたのですが…。
先ほどあらためてこちらを覗いて、後日談を読んで納得した次第です。

今回もありがとうございました。
まずはゆっくりお休みできますように…お体、ご自愛ください。

1321名無しさん:2017/01/01(日) 12:33:38 ID:yMWG46wQ0
今、お姉さんの分まで枯れ木さんが手伝いやってる気がする・・

皆様、あけましておめでとうございます。

1322名無しさん:2017/01/01(日) 18:35:53 ID:qz2IYQ8A0
藍さん,素晴らしいお年玉をありがとうございます。
今年も,「機が熟した」ときの投稿を楽しみにしています。

1323 ◆iF1EyBLnoU:2017/01/02(月) 22:50:29 ID:HV7rXb4c0
皆様今晩は、藍です。

仮眠のつもりが...どれだけ寝ていたかを書くと多分怒られるので。
眼が覚めたら、早速『制服の君』へのコメントを頂いており、感謝致します。

>>1320
呪いが『唐突』に、それは私にとっても違和感。
ただ、後日談を読んで得心したのも同じ感覚なので、安心しました。
あんな時間にリアルタイムで読んで頂き、嬉しく思います。
本当に、有り難う御座いました。

>>1321
新年、明けましてお目出度う御座います。今年も宜しくお願い致します。
弟は手伝いでなく修行、今日あたりは多分『滝』。頑張って欲しいですねぇ。

>>1322
『素晴らしいお年玉』との評価、大変嬉しく思います。
また、個人的には『機が熟した』という言葉に反応して頂いた事が嬉しいです。
なかなか知人のOKが貰えずに苦労した表現でしたので。

さて、昨年中に『制服の君』を完結。出来ればその後で『お年玉企画』。
その流れは既に瓦解してしまった訳ですが、
折角知人が考えた企画を無駄にしたくありません。
知人と相談中です。どうか気長に、お待ち下さい。

1324名無しさん:2017/01/03(火) 22:01:38 ID:55SmklAQ0
あーうー、図らずも弟さんの背景が出てしまいましたが、怒られませんか?
ある程度年齢行くと浴びても、行だか験だかは身に付かないんじゃなかったでしたっけ
今はご兄弟でお手伝いの方向なんですな

呪いの自己判断ってドローンと言うかAI的ですな。これはRさんの男子出産の時の呪いの話とだぶる。
結構テキトーな感じがしてきた。

1325名無しさん:2017/02/12(日) 21:30:27 ID:WmQuHWQA0
テスト

1326枯れ木:2017/02/21(火) 01:20:16 ID:U60N1X7o0
 前作の投稿期間中、姉の仕事の予定は無いと聞いていました。
しかし、私が南の島で暢気に過ごしている間に事情が変わったようで、
姉は不在。直接連絡を取る手段がない状況です。
当然、頂いたコメントへの代理返信も不可、
姉に代わって、失礼をお詫びします。申し訳有りません。

1327名無しさん:2017/02/23(木) 05:09:14 ID:17ECGOHcC
暫く音沙汰がなかったから心配してみたり。
良かった良かった。

1328名無しさん:2017/04/22(土) 16:57:23 ID:qyf.TFI60
みんな作品ごとの感想を書いていってくれんかな(まとめの方のコメント欄に)

1329名無しさん:2017/04/24(月) 21:24:22 ID:dQF1pEsEO
アメノウズメ?

1330名無しさん:2017/04/25(火) 21:48:31 ID:5JVWHc1s0
アメノウズメ...

そうか、そうかもね。
それが、隠れてしまったお人を呼び出すためなら。
なら、どの作品に感想を書こうか?

1331名無しさん:2017/05/18(木) 01:09:01 ID:.8MBQdpI0
(´Д`)ハァ…

1332名無しさん:2017/05/23(火) 07:30:57 ID:UlIh15/A0
次作待ち遠しいですね。ミズキちゃんのその後も気になります。

1333名無しさん:2017/05/23(火) 07:51:10 ID:UlIh15/A0
次作待ち遠しいですね。ミズキちゃんのその後も気になります。

1334枯れ木:2017/05/30(火) 22:03:59 ID:KtE.X1Gs0
『制服の君』、作中に登場する女性歌手は一体誰?
南の島から帰って以来、一生懸命捜索中でした。
ほぼ特定できた所で、姉が帰ってきました。随分と久しぶりです。
疲れ果てているようで、なかなか目覚めないでしょうが、
次作の原稿は預かってきたようです。未だ、ご期待下さる方がおられるなら、
明日朝は、好物のオムライスを作って姉をたたき起こします。

1335名無しさん:2017/06/01(木) 01:30:26 ID:MXgTb/CA0
(´Д` )叩き起こさなかったのね

1336ナイト:2017/06/01(木) 07:31:53 ID:MKjQ381.0
待ってました。やっと次作が読めると思うととても待ち遠しいです。投稿お待ちします。

1337名無しさん:2017/06/01(木) 12:38:13 ID:VZ94T68.O
o(^o^)o ワクワク

1338枯れ木:2017/06/01(木) 23:29:47 ID:4RDTWr7w0
 申し訳有りません。未だ目覚めておりませんが、
経験上、3日目には何か動きが有る筈かと。
姉の体調自体は問題無いようですので、どうかもう暫くお待ち下さい。

1339 ◆iF1EyBLnoU:2017/06/02(金) 23:54:15 ID:ha9b4vJw0
皆様今晩は、藍です。
未だ睡眠と休息が必要です。御免なさい。

1340名無しさん:2017/06/03(土) 02:26:10 ID:TrCQMKOsC
体調が第一ですm(__)m
無理をなさらず、ゆっくり待ってますので(^-^)

1341名無しさん:2017/06/04(日) 13:25:12 ID:X.mYLO02O
藍さんありがとうございます。ごゆっくりお休みください。楽しみにして待ってます。

1342名無しさん:2017/06/08(木) 21:01:10 ID:wttDJz9U0
待ってる人点呼しちゃう?番号!!いーち

1343あるくむ:2017/06/08(木) 22:18:37 ID:alos5XQ20
にー!

1344名無しさん:2017/06/08(木) 23:50:17 ID:aKdxOLIE0
さん

1345名無しさん:2017/06/09(金) 00:36:22 ID:kXiAsXJw0
ふぉー!

1346名無しさん:2017/06/09(金) 12:57:13 ID:nkXl4t.YO
お休み中の藍さんへの無用のプレッシャーになると思うので私はやめておきます。

1347 ◆iF1EyBLnoU:2017/06/09(金) 19:43:28 ID:R3wv7VFA0
皆様今晩は、藍です。

新作へのご期待も、私の体への御心遣いも、全て有り難く思います。
新作の原稿は一部手元に有り、これから投稿に向けた作業。
毎朝オムライスを食べて、随分元気になりましたから、
成る可く速く新作の冒頭部を投稿できるよう頑張ります。

有り難う御座いました。では、御機嫌よう。

1348名無しさん:2017/06/10(土) 13:13:45 ID:iaKivNx6O
藍さん,ありがとうございます!
楽しみにして,ゆっくり待ってます。

1349 ◆iF1EyBLnoU:2017/06/13(火) 22:10:57 ID:E2wnYQ8U0
皆様今晩は、藍です。

新作の前に投稿を指示された作品の準備が調いました。
以前投稿した『舞姫』の補遺。
まとめへの掲載は管理人様の判断にお任せで、一切の異義は有りません。
楽しんで頂ける方がおられるなら、作者である知人も私も本望です。
それでは、御機嫌よう。

1350舞姫・補遺:2017/06/13(火) 22:14:45 ID:E2wnYQ8U0
『舞姫・補遺』

 やっぱり、声が出ない。 全然駄目...これでは、今までと同じ。思わず、涙が。

 「紫、泣くな。ようやく自分で見つけた居場所を捨てる気か?」
肩を抱く温かい感触。今まで、私は何度も、この温もりに救われてきたのに。

 「でも。どうしても謡のタイミングが。」
「舞と謡を同時に仕上げる必要は無い。まずは、舞を仕上げよう。
舞を完全に体が憶えれば、謡のタイミングは自然に体得できる筈。心配ない。」

1351舞姫・補遺:2017/06/13(火) 22:28:59 ID:E2wnYQ8U0
 私を見詰める澄んだ瞳。 すっ、と心が静まる。
そうか。まずは舞、謡はその後で。それならどんなにか気が楽に。
心の中で拍子を取り、舞に集中する。ああ、これなら私でも。

 舞い終えた時、大きな拍手が聞こえた。 兄様は拍手など、一体?
振り返ると、入り口近くにSさん。そして、その傍らに立つ、背の高い少女。
「紫、随分上達したのね。本当に稽古を初めて1週間なら、素晴らしいわ。」
かつて、一族史上最高の舞姫と称された人。賛辞は、素直に嬉しい。

 しかし、兄様の表情は冷たかった。
「それが『現人神』の娘か? 豊年祭で紫の対手を勤めると聞いたが。
しかし、如何な天才でも、今日が初めての稽古では、荷が重過ぎる。」
「そうかしら?私は『進境著しい紫が、Lの対手を勤める』と聞いたけど。」
張り詰める空気。肌がヒリヒリと痛い。

1352舞姫・補遺:2017/06/13(火) 22:32:24 ID:E2wnYQ8U0
 「その娘は、先刻から紫の稽古を見ていた。少なくとも『写』は。」
「当然。」 Sさんは、ふわりと笑った。
それと同時か、それより早く稽古場の空気を震わせた、澄んだ声。
「いち、に、さんし。にいに、さんし。」 細い体が鮮やかに舞う。
これは!?
信じられない。私の稽古を見ていたとしても、初めてでこの舞いを。まさか。
「成る程、確かに。」 兄様が薄く笑った。「これは面白い。では、是非『鏡』も。」
Sさんが、少女の肩を抱いた。
「L、出来る?」 「はい、多分。」 「うん、良い返事。」
「当然、紫は先刻と同じに勤められるのよね?」 「当たり前だ。」

1353舞姫・補遺:2017/06/13(火) 22:34:36 ID:E2wnYQ8U0
 「いち、に、さんし。 にいに、さんし」
少女が刻む拍子に合わせて舞う。左構えと右構え。
私と、完全に反転した動き。全く破綻が無い。一体、この娘は?
「ふふ、ははは。其処までだ、もう良い。面白過ぎる。」
兄様?Sさんも微笑んでいる。 今まで、兄様と一緒の時には、こんな表情を。
「あの、兄様、私。何か粗相を?」
「いや、そうではない。その娘が...」 兄様は本当に、楽しそうだ。
「紫の舞には未だ仕上がってない部分がある。それを手本にしたから、Lも。」
Sさんの声。初見で、私の舞の『写』と、『鏡』まで。 そして、私の欠点もそのままに?
「この2人なら、今年の豊年祭りの舞いは『約束』の出来だろう。間違いない。」
「2人は、私たちよりも上を行くと?」
「そうなれば良い、と思う。『後生畏るべし』だ。」
兄様の、晴れやかな、笑い声。

1354舞姫・補遺:2017/06/13(火) 22:38:42 ID:E2wnYQ8U0
 どういう、事? 私の、これまでの稽古は?
必死で、丸々一週間をかけて、ようやくここまで辿り着いたのに。

 「あの、紫さん。」 耳元で囁く声。我に返る。
眼の前に、大きな茶色の瞳。 何故か、胸が詰まる。
「何?」 慌てて、息を整える。そして、心も。
「紫さんの舞を見せて頂いたので、Sさんが喜んでくれました。本当に、有り難う御座います。」
「そんな、ことない。あなたが、頑張っただけで、私は何も...」
「いいえ、紫さんの舞、ホントに美しかったです。それに。」
「それに?」 「紫さんのお兄様。炎さんって、凄く強くて、優しい人なんですね。」
え? 今まで私たちは、一族でも。
「紫さんも、炎さんも。Sさんから聞いていたのと全然違ってて、びっくりしました。」
邪気のない、吹き抜ける風のような微笑。
すっ、と、心が静まる。 たった一度、一緒に稽古しただけでこの娘は、私たちの心を。

1355舞姫・補遺:2017/06/13(火) 22:40:31 ID:E2wnYQ8U0
 思い切り大きく、息を吸う。 隠す必要がない。この娘には、何も。
「そうよ。だから私、兄様が大好きなの。」
「ですよね〜。私もSさんが大好きだから、同じです。」
同じ?ううん、違う。 でも、今どう答えれば良いかは私にも判る。
「ホント、に、同じね。あなたと一緒なら、豊年祭りの舞いもきっと上手くいく。そんな気がする。」
「はい、きっと。紫さんとなら。だからこれからは『L』と呼んで下さい。私、年下ですから。」
年下、その意味を理解して? ううん、真っ直ぐに聞いて、答えれば良い。
「じゃあ、L。これから宜しくね。」 「はい、宜しくお願いします。」

『舞姫・補遺』 完

1356 ◆iF1EyBLnoU:2017/06/13(火) 22:44:57 ID:E2wnYQ8U0
 皆様、今晩は。再び、藍です。

 『舞姫』の投稿時には省略された部分ですが、
『次作』に不可欠という事で、投稿の指示を受けました。

 これから『新作』の準備を調えます。
その時は是非皆様と此所で。有り難う御座いました。

1357あるくむ:2017/06/15(木) 05:33:37 ID:imwjK3u.0
新作楽しみです。気長にお待ちしてます。

1358名無しさん:2017/06/15(木) 19:14:58 ID:9oFuexIoO
「舞姫」補遺、大変ありがとうございました。新作のご発表を心よりお待ち申し上げております。

1359 ◆iF1EyBLnoU:2017/06/25(日) 20:53:08 ID:WipkcX960
皆様、今晩は。お久しぶりです。
色々と事情があり、新作の投稿に時間がかかりました。

短いですが、この時点で準備の出来た分の投稿を。
では以下『鬼』、お楽しみ頂ければ有り難く存じます。

1360 ◆iF1EyBLnoU:2017/06/25(日) 20:55:00 ID:WipkcX960
 これで、終わりだ。そう、何もかも、終わり。
大学の仲間と、初めて登った山。登山道から少し外れた所に洞窟がある。秘密の、隠れ家。
雨を避ける間タバコを吸い、他愛も無い話を。 そうだ、亜△に告ったのも此処だった。
もうケチる必要は無い。残っていた○×を全部掌に、思い切り鼻から吸い込む。
はじめは割の良いバイトだと思ったし、半年位は最高だった。
来た...手足の先端からビリビリと、神経を流れる電気が体を突き抜けて、空気に溶ける。
この感覚はあの時と変わらないのに、何で俺はこんな。俺だけが。
そう。アイツ等だ。
仲間に引き込んで、ヤバくなったら、全部俺に押っ被せて。
タカシからの電話。『追われてる。』って。 アイツ、やっぱり馬鹿だ。
もし『販売網』が潰れたら、当然△◆会は。いや、何で俺が...そうか。
いい気になって、全然気付かなかった。 亜△との別れ話も。
そりゃ、俺が売った○×で何人も、破滅した奴が何人も...それは仕方ない、自業自得だ。
なのに、何でアイツ等はのうのうと。全部俺に、本当にこのままで。
くそ、心臓が。こめかみの血管が膨らんで、眼が眩む。 痛ぇ。
このまま、俺は死ぬのか。 せめて、アイツ等だけは。この手で。

1361 ◆iF1EyBLnoU:2017/06/25(日) 20:56:49 ID:WipkcX960
 『永かった、本当に。待ちくたびれたぞ。ようやく、贄が。』
耳の奥に響く声。 「に、え?」
『そう、贄。その憎しみこそが、操者の資格。
その命と引き替えに、敵を殲滅出来る。さあ最初は誰だ?』
嘘のように、気分が良い。眼を開けると、薄暗い天井が見えた。
不思議だ。体に、力が漲っている。上体を起こし、立ち上がった。
トンネル? 遠くに灯りが見える、非常灯か。
少し歩くと、出口を塞ぐ鉄条網。 こんなもので俺を? 何故か、確信があった。
右手を伸ばし、手をかける。 力を込めると、鉄条網はあっけなく倒れた。
俺は自由、そう、自由だ。 自然に、笑みが浮かぶ。
この体、この力があればアイツ等を。

1362 ◆iF1EyBLnoU:2017/06/25(日) 20:58:45 ID:WipkcX960
 「榊さん、これ...。」
『分署』の窓から吹き込む乾いた風が梅雨明けを告げている。
しかし、この写真は。爽やかな風にふさわしいとは、とても。

 「今朝発見された遺体だ。死亡推定時刻は昨夜遅くから今日の未明。
急に来てもらって申し訳ないが、それを見れば納得してくれるだろ?」
そう、これまで幾度も、榊さんの仕事を手伝ってきた。
公にはなっていないが、いわゆる猟奇殺人者が関わった事件もあった。
しかし、この遺体の惨状は、幾ら何でも。
「傷口から見て、凶器は刃物じゃない。獣、例えば羆が食い千切ったとしても、
断端はこうならない。それに、決定的なのは、この写真。これは、R君たちの領分だ。」
千切れた、右の二の腕。肩の付け根に残る、赤黒い痣。それは...指の、跡?
「素手で引きちぎればこうなるかも、鑑識はそう言ってる。
まあ実際、爪の痕も牙の痕もない訳だが。しかし、信じられん。」
一切の道具を使わず、素手で人の体をここまで?
「被害者の、身元は?」
「大学生、○△大の。部下達が被害者の身辺調査をしてる。」
榊さんの横顔、その表情が事件の重大性を告げていた。

1363 ◆iF1EyBLnoU:2017/06/25(日) 21:00:34 ID:WipkcX960
 分署から帰ると姫が身支度をして俺を待っていた。
「招集です。『上』から。さっき遍さんから電話がありました。大至急との事で。」
嫌な、予感。何故姫が?俺と姫が招集されたのは、『分家』の始末に関わる件だけだ。
「じゃあ、出ましょう。これ、Sさんが作ってくれたサンドイッチです。車で食べてくださいね。」
透き通る笑顔、姫の横顔は本当に美しかった。

 薄暗い中、フェンスで閉鎖されたトンネルの入り口のようなものが見える。
映像がかなり荒いのは監視カメラの映像だからだろう。
「此所からです。」 遍さんの声。 突然、フェンスが揺れた。 内側、から?
その後フェンスはトンネルの中に引き込まれるように大きく歪み、呆気なく壊れた。
開いた入り口に現れたのは、黒い着物。
これは人? いや、薄闇に光る両眼は、まるで夜行性の獣ではないか。
それがゆっくりと、カメラに近付いてくる。 その表情は、笑って。
え...? その頭。 次の瞬間、それは身を屈め、画面から消えた。

1364 ◆iF1EyBLnoU:2017/06/25(日) 21:02:58 ID:WipkcX960
皆様今晩は、再び、藍です。
此処までお付き合い頂いた皆様に心からの感謝を。
作業が進み次第、成る可く早く続きを投稿致します。
有り難う御座いました。

1365名無しさん:2017/06/28(水) 21:54:42 ID:8d8FTJOYO
藍さん,ありがとうございます!続きを楽しみにして待ってま〜す。

1366あるくむ:2017/06/29(木) 22:35:25 ID:1hnjQ6Xw0
入り方がいつになく戦慄的ですね、、、続き楽しみです。気長にお待ちしてますよー。

1367 ◆iF1EyBLnoU:2017/06/30(金) 01:23:43 ID:oVExluKs0
>>1365
現在準備が調った『続き』を投稿致します。ご期待に、心からの感謝を。

>>1366
ご慧眼、恐れ入ります。
冒頭部が他の作品とかなり違う事が投稿の準備を困難にしています。
しかし気長に今後も頑張るつもりです。有り難う御座いました。

1368『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/06/30(金) 01:25:07 ID:oVExluKs0
 「今の、一体何ですか?」
映像が再生された後の重い沈黙に耐えられず、俺は口を開いた。
「ある場所の、トンネル工事現場で撮影されたものです。
記録を基に以前から警戒していましたし、情報も直ぐに入ったのですが...」
遍さんは言葉を切り、外した眼鏡をハンカチで拭いた。
「間に、合いませんでした。まさか、その夜の内に活動を始めるとは。」
「あれが活動を始めたら術者でも対処出来ない筈、責任は誰にも。」
姫の声が緊張している。 遍さんは小さく溜め息をついた。
「Rさん、あれは古の術で作り出された怪物てす。一般的には『鬼』と呼ばれていました。」
鬼? では、あの映像で見えたような気がしたのは、やはり角? まさか。

1369『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/06/30(金) 01:26:43 ID:oVExluKs0
 「鬼って。本当にそんなものが。どうして。」
「一種の生体兵器、対術者用の兵器だと、聞いた事があります。
ほとんどの術に耐性を持ち、有力な式の力もこれには届かないのだと。」
「そう、Lさまの仰る通り。『刀や弓矢、種子島でも滅することかなわず。』という記録も。
人外の力と速度。術者でも武人でも、それに対処することは極めて困難。
ただ、消費するエネルギーが半端でないので、活動できる期間はせいぜい合計一週間。
故に現存するものは乾涸らびてミイラ化したものか、その断片だけ。
しかし稀に、特殊な維持装置と共に封じられたものが完全な状態で見つかることがあります。
それ等が封じられたという記録の有る場所については厳重な監視の対象とし、
探索して見つけたものも、偶然見つかったものも処理して来ました。しかし、今回は。」
遍さんの、暗い表情。
突然、思い出した。榊さんに見せてもらったあの写真。

1370『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/06/30(金) 01:28:24 ID:oVExluKs0
 「あの、今日僕が受けた依頼の件で、もしかしたらそれが。」
「今朝発見された遺体の件ですね?既に情報は入っています。
遺体の状況からして、あれが関わった...いや、殺したのは間違いないでしょう。」
「術でも、式でも、武器でも駄目なら、一体どうやってそれを滅すれば?」
「それにダメージを与えられるのは、唯一、神器による物理的な攻撃だけです。ただ。」
「ただ?」 何だろう、この感覚は。 あの短剣なら? でも、そんな怪物を、俺では。
遍さんは眼鏡を外して、丁寧にハンカチで拭った。溜め息。 嫌な、予感。
「委任されたとしても、梓の弓と破魔の矢を扱えるのは『武』の特性を持つ術者だけ。
しかし現在、条件に見合う術者がいません。既に『武』で身を立てる時代が終わって久しく、
神器を扱えるまでに『武』の修行をする術者は、さすがに...。」

1371『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/06/30(金) 01:31:04 ID:oVExluKs0
 首筋から背中に、鳥肌が立つ。
神器の主、当主様と桃花の方様なら、当然扱える。
しかし、一族の祭主たる御二人が直接事にあたることはない。万が一御二人の身に。
なら今日、姫と俺が招集されたのは? 他の術者では無く、俺たち二人が。
「そろそろ本題に入りましょう。先刻の会議で、『上』は対応策を決定しました。」
部屋の温度が一気に、下がったような気がする。
「御影を憑依させ、『武』の適性を持つ術者を化生させます。
ただし、並外れた身体能力を持つ術者でなければ、御影の武を活かせない。」
「まさか...。」
「まさか、ではありません。身体能力、性別、L様以上の適任者はいませんから。
それに、御影が心を許しているRさんは、御影の補佐として最適。」
しかし、それで、もし姫の身に。
待て、確か遍さんは言った。『鬼が活動できる期間には限りがある』と。
それなら、その期限を待てば...いや駄目だ、活動する期間の分だけ、命が。

1372『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/06/30(金) 01:33:17 ID:oVExluKs0
 「分かりました。私の身体、御影さんとRさんに委ねます。」

 涼やかな声が部屋の空気を震わせた。
そうだ、姫ならきっと同意する。 『上』はそれを分かっていて。
「数多の命を犠牲にして、『期限』を待つわけにはいかない。そうですね?」
「はい、初めのうちは操者の意思に従い敵を攻撃しますが、
やがて操者の心は鬼に呑まれ、見境無く殺すようになる。
そうなれば、『期限』までにどれだけの犠牲が出るか見当もつきません。
更にそれが『不幸の輪廻』と繋がれば、『期限』すら無効になる可能性すら。」
「際限なく、敵でない人たちまで殺すということですか?どうして、そんな。」
「...あれが、『殺すために作られたもの』だからです。」
「まるで、術者の影、のような存在ですね。」 姫は、微笑んでいた。
「そうです。術者がいなければ、おそらく、あれが作り出されることも無かった。」
矛盾、か。 文字通りの矛と盾、人を襲う怪異と、怪異から人を護る術者は、
言わば果てのない軍拡競争を繰り広げてきたのだろう。 哀しい。
すい、と、遍さんは立ち上がった。ゆっくりと眼を閉じる。

1373『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/06/30(金) 01:35:47 ID:oVExluKs0
 「聞いていたな、御影。」 部屋の中に冷たい風が吹いた。
『応。』 低く太い、声。 最初から、この部屋の中に。
「それで、御前の意見は?」
『それ以外に策はない。しかし、神器だけでは不足。』
「『梓の弓』と『破魔の矢』でも不足とは?」
『マタギだけで熊は狩れぬ。少なくとも勢子が要る。鬼が相手なら尚更。』 「勢子?」
『弓矢に必要なのは距離。構え、射るまでの時を稼ぐ者が要る。
術の心得は必要ない。『武』の適性を持つ者ならば役に立つ。』
「Rさんが?そうか、あの短剣を使うのなら。」
『...いや。Rに、そこまで『武』の適性はない。』
あの霊域で直接指導を受けた時に、それは理解していた。 俺は不肖の弟子。
しかし、答の前の間。その言葉に籠もる気遣いが、胸に痛い。
「しかし、それ以外の適任者は。」 『案ずるな。心当たりがある。』
その声を最後に、御影さんの気配は消えた。

1374 ◆iF1EyBLnoU:2017/06/30(金) 01:37:32 ID:oVExluKs0
皆様今晩は、藍です。
準備が調ったのは此処まで、お付き合い頂いた皆様に
心からの感謝を。有り難う御座いました。

1375あるくむ:2017/06/30(金) 20:38:07 ID:f6olEm220
続きが気になるーーー!気長にお待ちすると言いつつ毎晩更新チェックしてしまいます^^;

1376名無しさん:2017/06/30(金) 20:59:39 ID:cNnSS.YgO
こんなに早く「続き」を載せていただけるとは。藍さん,本当にありがとうございます。「次」を心から楽しみにしてお待ち申し上げております。

1377枯れ木:2017/07/14(金) 04:26:54 ID:xUoHLao60
 枯れ木です。

 姉は、体調を崩して入院していたのですが、本日退院。
少しお粥を食べて、今は爆睡中。
その寝顔を見ていると、正直、色々と思う事はあります。
でも姉は、近々『鬼』の投稿を再開するでしょう。

 仕方、ないのでしょうね。私自身、続きが気になりますし。
どうかもう暫く、お待ち下さい。

1378名無しさん:2017/07/15(土) 11:00:28 ID:Y9IIWi.o0
藍さん入院なさってたんですね。。ご無理をならさらずにゆっくり御療養下さい。
お元気になってまた掲示板を覗きに来て頂けるのをのんびりと待っていますね

1379名無しさん:2017/07/20(木) 18:59:34 ID:NwGkfT7wO
藍さんお大事になさってください。くれぐれもご無理をなさいませんように。

1380 ◆iF1EyBLnoU:2017/07/31(月) 22:48:33 ID:grC2im..0
皆様今晩は、藍です。

色々ありまして投稿が遅れておりますが、
以下、『鬼』の続きを投稿致します。
お楽しみ頂ければ嬉しく、幸せに存じます。

1381『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/07/31(月) 22:53:37 ID:grC2im..0
 「これで良いと、思うけど。私も、この術は初めてだから。」
Sさんが立ち上がる。図書室の奥、板張りの床に正座した姫は、眼を閉じたまま。
「ただ、期限は最大でも十日。相性が良いからかなり長いとも言える。
でもそれ以上は、Lの体が負荷に耐えられるか分からない。
耐えられなくなったらどうなるのか、それも前例の記録が無い。」
姫の体が? それだけは絶対に、避けねばならない。 しかし、たった十日?
「じゃ、R君。お願い。Lに、いいえ、御影に呼びかけて。君の『言霊』が、この術を全うする。」
少しだけ、Sさんの声が震えていた。無理も無い、俺だって。だが、これは、俺の役目。
呼吸を整え、心を静める。 深く息を吸い、下腹に力を込めた。
『眼を、開けて下さい。御影、さん。』
静かに時が過ぎていく。もし、『言霊』が届かなければ、それは。
何秒経ったろう、いや何分か? 穏やかな声が重い空気を吹き払う。

1382『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/07/31(月) 22:55:32 ID:grC2im..0
 『見事な術。流石は氷の姫君。』 ゆっくりと姫は、いや、御影さんが眼を開いた。
見慣れた、美しい顔。でも、姫とは違う微笑。 安堵と不安が同居する、この感覚は一体?

 「久しいな。R。」

 ああ、そうか。 透明な笑顔と柔らかな声の、奥にあるものは同じ、なのだ。
自ら望んだ訳でなく、しかし『持って生まれたもの』に対峙する、覚悟。
だからこそ姫はこの役目を。
『御前は本当に、良い妻を持った。少々、気に触る程に。』 立ち上がる。
だって、それは俺が望んだ訳では...いや。
『はい。ですから決して、この件でSさんとLさんに障りが出る事だけは。どうか。』
『承知している。我に、任せろ。』

1383『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/07/31(月) 22:57:20 ID:grC2im..0
 ドアを開けて、御影さんが帰ってきた。
被害者が通っていた大学の近く。地方都市のホテル。
事は一刻を争う。だから昨日、御影さんが目覚めた後、すぐに移動した。
遺体の発見現場と大学の両方からそう遠くない場所に、それは潜んでいる。
それが榊さんの見立てで、御影さんも同意した。
今日は朝から、榊さんと一緒にあちこち調べていた筈だ。
「御影さん...それ。」 口元に、白く細い棒、ペロペロキャンディー?
きっと小脇に抱えた紙袋の中身も、大人買いか。
「今日は、あちこち調べるって、まさかそんな物食べながら。もっと真面」
次の瞬間、キャンディーは俺の口に押し込まれていた。手品?
「五月蠅い。朝から気を張っていたのだ。菓子くらいで罰が当たる訳ありません。」
??? そう言えば姫はお菓子、甘いものが。しかし。
ある程度の『共振』があるのか、それとも姫の記憶に接触できるのか。
話し方や行動に少々混濁があるようだ。

1384『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/07/31(月) 22:59:18 ID:grC2im..0
 御影さんはソファに腰掛け、地図を広げた。
「面倒だな。あれが相手でなければ、こんなものに頼らずとも...」
市内の地図、しかしこの縮尺? ああ、榊さんが拡大コピーを。
赤い丸印が4つ見える。1つは被害者の大学、もう一つは遺体の発見場所。
なら、あとの2つは?
「二人目の被害者です。昨夜見つかったのだと、榊が。」
榊? 呼び捨ては、いや御影さんの方がずっと年上か。榊さん、どんな顔してたんだろう?
「それと、興味深い話を聞いた。」 「興味深い、話?」
「大学の、茶屋で話しかけてきた男から。」 「大学の茶屋って、被害者の大学ですか?」
「そう。『黙ってお茶を飲んでいれば話しかけてくる男がいる』と榊が。
その通りだったから驚いたぞ。ああ見えて、榊は中々切れる男だな。」

1385『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/07/31(月) 23:01:18 ID:grC2im..0
 少し、目眩がした。まさか被害者の大学、ナンパさせて情報を?
「適当に相手をしていたら、はぁぶの話になって。」
はぁぶ? って、ハーブ...ドラッグか?
「阿片か、その類いだろう。大学にも使ってる奴がいるから気をつけろ、と。」
御影さんは小さな声で笑った。
「初見で馴れ馴れしく話しかけてくる男を避けていれば、そんな災いには縁が無いだろうに。」
「榊さんが、その件を調べてるんですね?」 「そうだ。思い当たる節があるらしい。」
「しかし喋り方ひとつにも気を...とても疲れました。少し寝る」
ああ、その話し方はそれで。

 1時間程すると御影さんは眼を覚ました。
シャワーに入り、身支度を調えるのを待って、遅い昼食に出かけた。
『どうも、今の世の味には馴染めぬ。』 大儀そうな表情。
和食だから洋食よりはましだろうが、あの時御影さんが作ってくれた料理とはかなり...。
しかし、食べてくれないと姫の身体に障るし、結果、御影さんの能力にも影響が出る。
「さて、部屋で少し休んだら夜は街へ出よう。場所は調べてある。」
「街へ出るって、何しに。」 「勢子、だ。使い物になるかまだ分かりませんが。」

1386『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/07/31(月) 23:04:35 ID:grC2im..0
 夜9時前、とあるビルに着いた。
その場所は、あの地図に記されていた赤い丸印の1つ。
大きな自動ドアを潜り、御影さんは廊下を奥に進む。慌てて後を追った。
エレベーターのボタンは3F、エクササイズジムの表示がある。受付は若い女性。
「あの、電話で見学と体験をお願いしたRです。彼女が、その、体験希望者で。」
打ち合わせ通り。 御影さんの妙な喋り方で不審に思われるのはマズい。
真新しいジャージと運動靴の御影さんをちらりと見て、受付の女性はにこやかな笑顔。
「はい、あと5分程で通常のレッスンが終わります。中のベンチでお待ち下さい。」
ドアを開け、エクササイズルームに入った。 軽く頭を下げる。
涼しくて快適、軽快な音楽。 ボクシング? 思っていたより女性が多い。
上級者クラスなのか、皆、中々の動きだ。やがてゴングが鳴り、音楽が止まった。
「OK、皆さんお疲れさま〜。」 「ありがとうございました!」 「あざっした!」
生徒達の前で見本を見せながら、時折熱心な個別指導をしていた青年。
二十歳そこそこに見えるが、爽やかな営業スマイル。さすがにプロ。
突然、耳元の囁き。 『R、あの男の声を聞け。心の声を。』 「心の、声?」
生徒達は談笑しながら次々にエクササイズルームを出て行く。
あの男って、トレーナーっぽい笑顔の青年? あ
全く息が弾んでいない、汗も...一気に集中力が高まり、チャンネルが同調する。

1387『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/07/31(月) 23:25:44 ID:grC2im..0
 最後の生徒がエクササイズルームを出た直後。
『これで良いのか、オレは。』 『いくらジムが繁盛しても...』
溜め息。暗い、自虐的な笑顔。それは術者でなければ気づかぬほどに微かな。
ゆっくりと後退る。ガラス張りの壁に近付いて護符を貼り付けた。
これで、今後エクササイズルームの中に注意を向ける者はない。
後は御影さんに任せるだけ。

1388『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/07/31(月) 23:32:11 ID:grC2im..0
 「溜め息なら、未だ希みはある。」
青年は驚いたように振り返った。 御影さんも立ち上がる。
「ああ、体験の方ですか。」
「体験...そうだ。◎の家が継承してきた武を貴様に。それが、◆秀の遺志だから。」
青年の顔色が変わった。
「祖父の名を...成る程、アンタ達は一族の術者か。噂は聞いてるよ。
だが、オレなりに頑張って一族に貢献してる。咎められる筋合いはない筈だ。」
「なら何故、溜め息を?」 「それは...」
「分からないなら教えてやる。『つまらない』からだ。その生き方が。」
「つまらないって、オレは毎日。」
「武門に生まれた者が満足できる訳が無かろう。毎日が体育の指導では。』
「体、育?」 「見学した限りでは、体育。それ以外に言葉がない。」

1389『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/07/31(月) 23:33:26 ID:grC2im..0
 すい。御影さんは屈んで運動靴を脱いだ。姫と寸分違わぬ優雅な仕草、なのに。
一歩、踏み出した素足が柔らかなマットを掴む音に、腹の底が冷える。
「最初はこう。」
両の拳を顔の前に。左足が一歩前。 「そして、こう。」
きゅ、と、床を蹴る破裂音が聞こえた。
拳が小気味よく風を切る、左・左・右。右・左・右。すっ、と体が沈み、弾ける体。
ごう、と右拳が天を突く。 アッパーカット?
「左右入れ替えれば、こう。」 さっきとは完全に反転して、そして更に速く。
「アンタ、どこでボクシングを?」 「此所で。先刻、見学したから。」
「そんな、幾ら何でも...たった数分で?」
「疑うなら、自分で確かめろ。立ち会えば、直ぐに分かる。」
「馬鹿言うな。何でオレが女と。」

1390『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/07/31(月) 23:36:47 ID:grC2im..0
 『○雷』

 その名に籠もる力が、エクササイズルームの空気を震わせた。
「本来、それは貴様が継ぐ筈だった。一族最強の武を背負う号。◆秀の孫、◆成。
時代が変わったとは言え、その号が絶えてしまう事を、
◆秀は心の底から悔いていた。先達に申し訳ない、と。」
「アンタ、一体?」
「我が名は御影。当主様の命を受け、この体を借りて化生した。」
「『御影』って、まさか。」
「借りた身体の能力は極上、我が人であったときと遜色ない。
つまり貴様は運が良い。今、貴様の眼の前にいるのは、紛れもない『○雷』。
勿論尻尾を巻いて逃げるなら好きにしろ。止めはしない。」
意地の悪い、笑顔。 何故そんな挑発を、もし事故があれば姫の体が。

1391『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/07/31(月) 23:40:05 ID:grC2im..0
 「良いだろう。ただし、女の子相手。俺は『当てない』。大人気ないからな。
当たった、と、アンタが納得すれば終わり。それが条件だ。」
「構わん。それで、我は当てても良いのか?」 「好きにしろ。出来るなら。」
青年は浅く息を吸った。
そのまま左足を一歩踏み出そうとした瞬間、御影さんの身体がゆらりと。
直後、青年は右足を前、両拳を顔の前に。
「おや、女子相手に本気とは。確か先刻大人気ない、と。」
「馬鹿言え。『△歩』を使う相手、女の子だろうが此処からは全力。悪く、思うな。」
「それでこそ、だ。」 御影さんは微笑んだ。空気がぴいんと張り詰める。

1392『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/07/31(月) 23:49:10 ID:grC2im..0
 ペタ、と、青年は尻餅をついた。
御影さんは右掌を前に...近い、青年の胸を?
多分、そうだ。ハッキリとは見えなかったが。そうとしか。
「ぼくしんぐ。それが長い時をかけて練られた体系なのは知っている。
しかし、あくまで規則の下で『競い合う』ためのもの。『武』とは違う。
『武』の目標は必勝、競い合いではない。故に、打たせてはならぬ。
力や体格で上回る相手なら、まぐれ当たりでも、当たれば敗ける。」
「...でも、あんな、体重移動。化け物め。」
御影さんは微笑った。姫と同じ顔、でも姫とは違う、笑み。
「利き足と利き手に切り換えたのは中々の嗅覚だし、
初見で体重移動の違いを見抜いたなら、褒めてやろう。」
「初見じゃない、思い出したんだ。
全く同じだよ。一度だけ、祖父さんに稽古をつけて貰った、あの時と。」
「長い長い時を費やして先達が積み上げた技術を基に、
辿り着いた極致。その速さ故に継承者は『○雷』と号される。
だがこれは『出発点』。貴様が望むなら、立て。我が◆秀の遺志を継ごう。」

1393『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/07/31(月) 23:53:35 ID:grC2im..0
 数分後、青年は仰向けに倒れていた。 マットに力なく伸びた手足、息も荒い。
「くそ、こんなにも差が...オレは一体今まで何を。」
俺自身、あの『霊域』で経験した感覚。 きっとそれは、心の底から絞り出した、言葉。
「貴様、笑ってるぞ。」
「そうさ。女の子に、良いようにあしらわれて、悔しくて堪らない。なのに。」
青年はゆっくりと上体を起こし、胡座をかいた。
「ゾクゾクする。心底、楽しい。何で?」
「貴様の体に流れる血故。それはかつて◆秀の、そして我の体に流れていた血だから。」
「ならオレはもっと強く、なりたい。俺の身体に流れる血の限界まで。」
「その言葉に、偽りはないか?」

1394『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/07/31(月) 23:55:46 ID:grC2im..0
 「ない。」 一瞬の躊躇もなく青年は答えた。心地よい言霊。
「身体能力は申し分ない。ただ、稽古だけで『武』は身につかぬ。」
「それなら、どうすれば良い?教えてくれ。」
「我等は明日にでも『鬼』を狩る。我も1人では手に余る、羆並みの怪物。」
「いきなり羆...オレが、その怪物を相手に?」
「限界を知りたいなら、望外の相手だろう。勿論、無理強いはしない。」
「祖父さんが悔いていた、アンタはさっきそう言ったな?」
「ああ、我は其所にいて、その声を聴いた。」
御影さん自身が望んで、血縁の武人の臨終を看取ったのか。
それとも今際の際、その武人が御影さんに呼びかけたのか。
「アンタでも手に余る相手。もしオレが生き残ったら、祖父さんの心残りは消えるかな?」
「『○雷』の号を志す者が現れるなら、それこそが〇秀の望み。」
「なら、オレを使ってくれ。頼む。」 青年は居住まいを正し、深く頭を下げた。
「良い、心がけだ。」 御影さんの声は優しかったが、その眼は笑っていなかった。

1395 ◆iF1EyBLnoU:2017/07/31(月) 23:59:13 ID:grC2im..0
皆様今晩は、再び藍です。どうやら今夜はここまで。

お付き合い頂いた皆様に心からの感謝を。
体調と相談しながら出来るだけ早く続きを投稿したいです。

それでは、御機嫌よう。有り難う御座いました。

1396あるくむ:2017/08/01(火) 22:29:52 ID:suGMNDJk0
ボクサーが鬼退治参戦ですか〜。続きがますます気になりますが、気長にお待ちしてますので体調優先でお願いしますね。

1397名無しさん:2017/08/02(水) 10:57:45 ID:MRU06KTMO
若き武人,拳闘士登場。「鬼」との闘いがどうなるか,ぞくぞくします。

1398名無しさん:2017/08/16(水) 22:46:14 ID:jRDVmqig0
投稿お疲れ様です。いつも楽しく拝読させて頂いております。有難い事です。今回の御影さんがまた少し型破りで痛快なお話ですね。色々とお忙しい様ですが、暑さ寒さが不規則な日が続いております故、藍さん、優しい弟さん共々何卒ご自愛下さい。

1399名無しさん:2017/08/25(金) 20:02:51 ID:21H3fWng0
なぜ物語通して準備が出来てから投稿しないのだろうか…と思う。

1400枯れ木:2017/08/25(金) 23:44:04 ID:uAvcD1N.0
>>1399

 続きを期待してのコメントと判断して返信致します。
『以前の返信を全てお読み頂くようお願いするのは心苦しい。』
既に姉が何度か返信しておりますが、もしお読み頂いて
そのような疑問が生じなければ良いなと、正直思います。例えば

>>363
>>879

 未だ姉の体調は思わしくなく、続きの投稿が何時になるかは
分かりません。姉に代わってお詫び致します。

1401名無しさん:2017/09/05(火) 13:45:42 ID:A1XjfPZA0
>>1400
ご報告ありがとうございました。
藍さまの体調が思わしくないとの事、僭越ながら心配しております。
早く良くなられますよう、微力ながら祈念させていただきたく存じますm(_)m

1402名無しさん:2017/09/05(火) 18:11:55 ID:t40wqM6EO
川の神様に,藍さんのご回復をお祈りしましょう!

1403名無しさん:2017/09/14(木) 12:35:16 ID:QzsR2wcI0
藍さん元気かな。。

1404名無しさん:2017/09/15(金) 02:19:49 ID:xrJzZQDEO
藍さん、元気になぁれ

1405 ◆iF1EyBLnoU:2017/09/20(水) 02:04:29 ID:YUVTruAU0
皆様今晩は、藍です。

本当にお久しぶり。約束を果たすために参りました。
既に原稿は仕上がっていましたので、
代理投稿を頼もうかと考えていたのですが、
『それだけは許可が下りない』と知人に怒られたので。

実はとてもドキドキしています。15日に一時帰宅を許されたものの、
監視(?)がかなりきつくて、ずっと機会を窺っておりました。
卵雑炊を作ってくれた後、監視役が寝ている内に投稿を。

では、以下『鬼』の続き、出来れば最後まで。
お楽しみ頂ければ幸いです。

1406『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/09/20(水) 02:20:54 ID:YUVTruAU0
 幾ら何でも、心が折れてしまうのではないか。
その青年が『武人』の血を継いでいるのであれば尚更、
あの時の俺とは比較にならない程の屈辱だろうに。
それ程、容赦のない稽古が続いていた。営業前のエクササイズルーム。
だが青年はその度に立ち上がり、構えを取った。
十何回目、いや何十回目だったろう。
すい、と一歩踏み出して、御影さんは青年の右手を取った。
両手で青年の右掌を広げる。無言のまま、手の甲をそっと撫でた。
「あの、師匠?」 戸惑ったような、青年の表情。
「右拳だけで、何人倒せる?相手が普通のぼくさーだとして。」
「...アマチュアで階級が同じなら、まあ、5人は。」
「なら左拳だけで2人、両拳を使えるとして5+2の倍、14人。」
くるりと踵を返し、一歩二歩。御影さんはもう一度振り向いて胡座をかいた。
つられるように、青年もその場で胡座をかく。 正対した2人は師匠と弟子そのもの。

1407『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/09/20(水) 02:24:40 ID:YUVTruAU0
 「確かに貴様の身体能力は別格。しかし実際には10人でも無理だろう。」
「そんな、どうして。」 「右掌に、骨折の痕がある。」 「え?」
少しだけ黙った後、御影さんは奥の壁を指さした。
壁には高名なボクサーの写真。サイン入りのグローブ。
「あの大仰な籠手を使っても拳を壊すことがあるのだろう?
もし3人目で右拳を壊したら、残りは利き手ではない左拳だ。ならせいぜい2人、計5人。
しかも『実戦』であんな籠手を使う訳にはいかぬ。」
「だから師匠は拳を握るな、と?」
「そう。打撃で使うのは掌底、そして手刀、2つだけで良い。
掌底は顎や水月への打撃、手刀はこめかみや首、肋への打撃。」
「首、って。反則じゃ」 「実戦に規則はない、当然、反則も。」
「じゃあ、眼は。」 「的は小さく、指を痛める危険もある。狙う意味はないが、もっとも。」
「はい?」
「抵抗できなくなった相手や死体の眼を抉り出すのを好む奴等なら幾らも見た。」
「死体の眼って...」 「敵に敬意を持たぬ外道も確かにいる。始末する他ない。」
「殺す覚悟が要る、って事ですか。」 「そうだ。」 御影さんは静かに息を吐いた。
「オレ、人を殺せるかどうか。」
「外道を見つけたら必ず始末する。放っておけば『鬼』にされかねん。」

1408『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/09/20(水) 02:27:06 ID:YUVTruAU0
 「これが、破魔の矢。我も、手にするのは初めてだ。」
あの時、その鞘が取られることはなく、幸運にもその鏃を見ずに済んだ。
やはり、御影さんも鞘を取らない。 それが許されるのは、使う理由がある時だけ。
「日月一対。我が知る限り、神器の中でも最強の武器。」
「ええと師匠、オレでもその矢がとんでもない武器だってのは分かります。
でもオレが相手にしてる間に、それで鬼を射るって言ってましたよね。
一対ってことは2本ある筈なのに、何故1本?動いてる的をたった一本の矢で。
いや、師匠を信用してますが、相手は『鬼』ですよ?1本より2本の方が絶対。」
この青年の言うとおりだ。それに。
「確かにこれを委任されたが、人の身では一射が限界。身体も心も。』
「それなら鬼が近づいてくる所を遠くから、で。本当にオレ、必要なんですか?」

1409『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/09/20(水) 02:32:39 ID:YUVTruAU0
 「鬼の頭にある角は、知っているのだろう?」 「え?もちろん。それが鬼の。」
「あれは鬼と操者を結ぶ通い路であり、優れた感覚器。」
噛んで含める。そんな言葉が浮かんだ。
微笑む御影さんはまるで、弟を優しく諭す姉のように見えた。
「はぁぶを売り捌いていた者共は、黒幕の手の者に追われ姿を隠していた。
しかし黒幕の手の者も、榊でさえその行方を辿れぬうちに、鬼は4人を殺した。何故だ?」
「角を使えば、殺したい相手の居場所が分かる?」
「恐らく、造作も無い。そんな感覚を持つ相手に。」
「分かりました。その弓矢を準備して待っていたら、感付かれる。」
「弓の心得はあるが、正当な所持者でない我に、神器の力の全ては引き出せぬ。
そうだな、射程は十間。それより遠ければ望みは無いだろう。」
「じゅっけん、って?」 御影さんは困った顔で俺を見た。
ああ、以前は俺も知らなかった。この青年には、出来るだけ直感的に。
「野球の、マウンドからホームまでと大体同じだよ。18mと少し。」
青年は御影さんと俺の顔を交互に見詰めた。

1410『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/09/20(水) 02:35:45 ID:YUVTruAU0
 「師匠と2人で鬼を待つ、現れたらそこでオレが。」
「そう、君が時間を稼ぐ間に御影さんが神器の封を解く。
その準備が整うまで時間を稼ぐ、それが君の役目。倒すのは無理、何とか逃げ回って。」
「人と同じ体重の羆が相手だとして、1ラウンド。3分逃げ切れば合格かな?」
「あの鐘、『始め』から『止め』までの間か...
その半分で良い。今、貴様に死なれては◆秀に申し訳が立たん。」
青年の、不満そうな表情。1ラウンドも持たないと言われれば当然プライドが傷つく。
浅はかと言えばそれまでだが、無理も無い。この青年はまだ『人外』を知らないのだ。
「羆並みって言っても、体格も体重も人と大して変わらない。だったら。」
「確かに羆並みとは言ったが、ただの獣ではない。人の智恵を持つ羆。
だからこそ貴様が必要なのだ。並の武人なら一撃で殺される。」
「人の智恵を持つ...でもオレが。師匠、分かりました。全力で1分半、稼ぎます。」
あーあ、どん底から天国まで。 それはそうと。
「師匠、段取りは分かりました。ただ本当に鬼が来るかどうか。」
まさに其処だ。俺も青年と全く同じ疑念を。もし鬼が来なかったら。
「来る、榊の言うとおりなら。」
胸の奥に燻る疑問を、俺はどうしても振り払えなかった。

1411『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/09/20(水) 02:42:01 ID:YUVTruAU0
 夢を、見ていた。
古いお屋敷の庭、緑濃い生け垣全体を彩る紅い花々。咽せるような香り。
どこか懐かしい、既視感。
するり、と、腕の中に潜り込んできた温もり。これは。
「御影さん、何、してるんですか?」 「この方が良く眠れるから。」
「いや、マズいですよ。」 まあ、パジャマ着てるからあの時より、いや、そんな問題じゃない。
「妻と同衾するのに不都合があるのか?」 「いや、だって今は。」
「何にしろ。」
漆黒の、大きな双眸。見詰められると吸い込まれそうな。
「我に、聞きたいことがあるのだろう?」 どうして、それを。
「正直に、顔に出る。好もしいが、術者としては。
まあ良い。大事を前にして、味方の不信は命取り。聞こう。」
「ええと、あの人、◆成さんを巻き込む必要が本当にあったのかな、と思って。」
「やはり、そうか。御前の剣を借り受ければ、我1人でも鬼を狩れるのでは、と?」
「はい。◆成さんも言ってた通り、チャンスがたった一度きりでは、心許ないですから。」

1412『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/09/20(水) 02:44:40 ID:YUVTruAU0
 御影さんは寂しそうに微笑んだ。
「『上』でもその策を推す声が多かった。最強の神器を委任するのを躊躇うのは当然。」
「ひっくり返した、ということですね。当主様が。御影さんが当主様に進言して。」
「そうだ。」 「何故、ですか?」
「鬼は一体一体異なる。それ自体の資質、そして操者の能力。
この身体に何の不足もないが、それでも勝てるとは限らない。
そもそも、神器の剣を委任されたとして、鬼を倒すまで、その剣を扱えぬなら意味が無い。」
「だからって、◆成さんを囮にしなくても。僕は喜んで。」
「未熟だが、『○雷』の血を継ぐ者。それでなければ鬼を欺けぬ。」
ふう、と御影さんは、溜息をついた。自分の血に連なる青年を、一体どんな気持ちで。
御影さんも、あの青年も。その『武人』としての覚悟。俺には到底理解できない次元。
もう良い、話題を変えよう。
「あと一つだけ、質問を。」 「何だ?もう、眠いのだが。」
「一体誰が、何のために『鬼』を?術者でなければそれは不可能ですよね?」
「ああ、かつて『力』でこの国を我が物にしようとした、馬鹿者共がいた。
もう、600年程も前の事だと、聞いている。」

1413『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/09/20(水) 02:49:24 ID:YUVTruAU0
 「『力』でこの国を?」
「そう。幾度も我等に挑み、その度に敗れた旧い一族。
しかしその結果、奴らは、あのおぞましい手段を産み出した。」
「おぞましいって、どういう?」
「術も、式も、通常の武器も通じない化物、それを産み出すとしたら、必要なのは?」
「まさか、そんな。」 御影さんは俺の胸に顔を埋めた。
「人は愛しい。しかし時折、絶対に許せぬ者共がいる。何故だ?」
俺の寝間着。胸を濡らしていくのは、涙? 姫と同じ、綺麗な顔で。 胸の奥が、痛い。
「あの化物を作るのに必要なのは数多の体と魂。人と、必要なら各種の獣も使う。
優れた資質を持つものたちを材料とする。文字通りの、外道。
しかも奴らはその術の一部を公開し、在野の術者も数多の『亜作』を作り出した。」
「でも、一族はそれに対処出来たんですよね?だから。」
「そう。ただ、数が多過ぎて、『首謀者』を取り逃がした。それは仕方ない。」
「それで、残された『鬼』を見つけ次第処理してきた、と。」
「『首謀者』を...」 そのまま御影さんは翌朝まで、眼を覚まさなかった。

1414『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/09/20(水) 02:52:36 ID:YUVTruAU0
 「今、奴がアパートを出た。バイクだ。
灰色のスウェット、角はニット帽で隠してる。じゃあ、後は任せたよ。」
榊さんから電話があったのは夜10時過ぎ。移動の時間を考えれば、約30分後か。
件の大学が所有するセミナーハウス。
榊さんが予め調べて手を回してくれた。今夜宿泊する団体はないし、管理人も不在。
いや、この事件の当事者たちが所属していた登山サークル。
親睦会を兼ねて、次の登山予定を話し合う会議が今夜此処で開かれる。
一昨日、そういう筋書きのメールが会員全員に配信された。
勿論、当事者以外のメンバーには事情を説明するメールも。

1415『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/09/20(水) 02:55:07 ID:YUVTruAU0
 人目を避け、鬼を滅する。
セミナーハウスの広い中庭は、これ以上無い舞台。しかし。
「師匠、ホントに欺せるんですか?もし見破られたら。」
そう、今夜逃げられたら、『期限』まで無差別な殺戮を止める方法はない。
「そういえば、鬼には殆どの術が効かないって。それなのに、どうやって。」
あの時、確かに姫はそう言った。鬼は術者に対抗するために造られたから、と。
「効くさ。これは鬼でなく、人の心に掛ける術だから。」
御影さんは寂しそうに微笑み、左手首に視線を落とした。
巻き付けた白い紙縒り。中にはある女性の髪が縒り込んである。
「でも師匠、もう人の心が消えてしまってる可能性もある訳でしょう?」
「いや未だ、操者は未だ人だ。」 「でも、それには何の保障も。」
その青年が饒舌なのは、実戦を目前にした心の高ぶり故だろう。

1416『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/09/20(水) 02:57:43 ID:YUVTruAU0
 「既に4人殺されたが、全て男。つまり女が『最後』。
例え裏切られたと思っても、愛する者を殺すのを躊躇う。それが人の心。」
「なるほど、確かに。」
その、亜△という女性はセミナーハウスの中。厳重な結界を張った部屋で保護されている。
「分かったら無駄なお喋りは止めろ。為損ずれば、死ぬぞ。」
 
 その時。遠くからバイクのエンジン音が近付いてきて、消えた。

 「来たな。」
中庭を挟んで反対側、閉じた門の外に異様な気配。
高さ2m近い鉄の扉は施錠されている。しかし、鬼なら錠前を破壊するのに十分な、力が。
しかし、それは門扉の上端に手を掛け、軽々と飛び越えた。

1417『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/09/20(水) 03:00:01 ID:YUVTruAU0
 「師匠、あれ、ヤバいですね。」
そうだ。鬼であろうと、操者はただの人間。短時間なら対応可能。
それが作戦の前提条件。しかし、あの身のこなしは明らかにただの人間ではない。
そう、かなりのアスリートか武術家でもなければ。
しかし最初の被害者、その遺体は子どもがいたぶり殺した虫のようだった。
武術家なら、あんな風には。一体、鬼にどんな変化が起きたのか。
「実戦に、多少の見込み違いはつきものだ。
作戦変更、先手を打つ。全力、殺すつもりでやれ。」
「殺すって、人は鬼を。」
「あれは貴様が武人だと知らぬ。悟られるな。機会は一瞬、一度きり。
貴様の先手で人の心は絶える。その後の相手は、正真正銘の鬼。」

 それはゆっくりと中庭を横切り、2人の座るベンチに歩み寄る。
「怖いなぁ。」 「貴様、笑ってるぞ。」 始まる。

1418『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/09/20(水) 03:06:20 ID:YUVTruAU0
 「...亜△。」

 ベンチから少し離れた植え込みの陰で、俺はその声を聞いた。
底知れぬ威圧感。不吉な、調子。
「あんた誰?○樹に、頼まれたのね?」 「...」
「警察から聞いたわ。あんたがやったんでしょ?
ホント卑怯者よね、自分のしたことは棚に上げて復讐なんて。
それで、最後は捨てた女の所まで。最っ低。」
鬼は、ゆっくりと息を吸った。
「亜△、熱くなるなって。コイツ呼び出したらオレたちの役目は終了。
あとは警察に任せろ。卑怯者の元カレのせいで怪我なんて馬鹿馬鹿しい。
さ、もう行けよ。ほら、刑事さん達が来る。おっと。」
青年は立ち上がった。御影さんを追おうとした鬼の正面。
「どけ。」 「ムリ。元カレと違って、オレは卑怯者じゃないから。」

1419『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/09/20(水) 03:16:12 ID:YUVTruAU0
 御影さんが植え込みの陰に駆け込んで来た。
「油断するな、必要なら剣を。」 「はい。」
手早く弓の弦を張る、手筈通りに肩を貸した。見事な手際。
いや、一瞬たりとも無駄に出来ない。 矢を取り、鏃の鞘を払うのを確認して走る。
所定の位置で短剣の柄を握った。もし青年が為損じても、御影さんが矢を射るまでは俺が。
背後で、御影さんの気が満ちていくのを感じる。もう少しで。
その気配に気付いたのか、鬼の注意が逸れた。その刹那。
鬼の顎に、青年の一撃。 嫌な、音。 続いてこめかみ、そして首。
鬼の体からがくんと力が抜け、両膝を付いた。
人間なら間違いなく致命傷、しかし青年は数歩離れて構えを取る...やはり。
数秒後。軽く首を振り、鬼は立ち上がった。回復している。もう、奇襲は通じない。

1420『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/09/20(水) 03:20:07 ID:YUVTruAU0
 流星を、見たと思った。

 スローモーションのように、一筋の青白い光が鬼へ向かっていく。
色とりどりの、数知れぬ光の粒子がそれを追いかける。
ああ、この矢は『月』だ。御影さんはあの時破魔の矢は『日月一対』だと。だから。

 ぞっとする、うめき声。
鬼の胸に刺さった矢が、青い炎を吹いていた。思わず膝から力が抜ける。これで。
「おかしい。耐性、『真作』か?」 背後から御影さんの呟きが聞こえた。
「真、作?」 鬼が右手で矢を握った。微かな煙、肉の焦げる臭い。
そのまま、傷口近くから矢を折る。掌に焦げ付いた矢軸を振り捨てた。
青い炎が、消えかかっている。痛みを堪えるように、鬼は背中を丸めた。
まさか...矢は一本だけ。これで滅せないのなら、もう。
構えたまま、青年が後退る。目の前、俺を庇うように。
「Rさん。師匠を。」

1421『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/09/20(水) 03:22:58 ID:YUVTruAU0
 鬼が、地面すれすれを跳んだ。
躱しきれず、青年の体が浮く。そのまま俺もまとめて、弾き飛ばされた。
途轍もない力と速度。受け身を取る間もなく、背中から地面に。
隣に、青年が倒れている。動かない、あのタックルをまともに受けたら...
そう言えば、鬼は? 3m程先に、倒れていた。ダメージはあるのだろうが。もし。
温かな手が、俺の頬に。覗き込む冷ややかな表情。御影、さん?
「緊急事態です。剣の委任を、△木野之主様に。」
「ああ、御影さんがこの短剣で...」 後頭部を打ったせいか、意識が。
「Rさん、早く。もう、鬼が。」 !! そうだ。委任の申告。
差し出した短剣を、柔らかな手が取った。 「有り難う、御座います。」
鞘が俺の手に、え? 視界の端、後ろ姿と、長剣。 ああ、神器に決まった形は無い。
御影さんが必要だと想えば...待て、さっき『Rさん』と、ならあれは。
何とか体をひねる。既に鬼は、立ち上がっていた。

1422『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/09/20(水) 03:26:16 ID:YUVTruAU0
 あの構えは、確か『烈風』の型。 一度だけ、見た事がある。 まさか?
怯んだ鬼に向け、一直線。速い。
右からの袈裟懸け、間髪を入れず左下段から斬り上げる。
鈍い音がして、腕が地面に落ちた。鬼の、右腕。
タイミングからして、斬り上げた剣。斬れるなら、未だ望みがある。
しかし、御影さんは片膝を付いた。息が荒いし、動かない。
そうか、神器。一射で限界の矢、その後であの剣を。これ以上は、もう。
鬼が、右腕を拾い上げた。そのまま体を低く、攻撃態勢。
まずい。膝を付いた状態であのタックルを受けたら、いくら御影さんでも。
第一、体は生身。そしてその身体は姫の。

1423『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/09/20(水) 03:28:21 ID:YUVTruAU0
 「間に合いましたね。御英断でした。」
「何年ぶりかな、貴方の運転は。速いが、目が回る。」
「今更そんな弱音を。さあ、御役目を。」

 場違いな、穏やかな会話。夢か、しかしこの声は。

1424『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/09/20(水) 03:29:21 ID:YUVTruAU0
 「相手が違うぞ、狙うべきは私だろう?」
夢ではない。明るい声。空気が軽く、乾いていく。
攻撃態勢の鬼へ、軽やかに歩み寄る後ろ姿。 !! 当主様、どうして!?
「やはり『真作』。よくもまあ、こんなおぞましいモノを。」
「当主、か。」
「そうだ。当代随一の武人。最高位の術者と式。桃花の方も。指揮は私。
旧い敵に、最大限の敬意を表した。これ程の布陣なら、思い残す事もあるまい。
『真作』も『亜作』も纏めて、哀しい因縁は今夜限り。」
鬼が攻撃態勢を解いた。真っ直ぐに当主様を見詰める。
「力が、欲しくはないか?」

1425『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/09/20(水) 03:31:38 ID:YUVTruAU0
 滑らかな口調。これが、真の操者。そして、鬼を作った。
「ありふれた『亜作』などとは比較にならぬ、真の鬼。
破魔の矢一対でようやく。それ以外、どんな術者も武器も、式ですら無力。」
それは、低く湿った声で笑った。
「全てを水に流し、手を組もうぞ。御前達の術に、これが加われば文字通りの無敵。
楽々と天下を取れる、富も栄華も思いのまま。」
「何人必要だった?」 「何、だと?」
「その化物を作るために、何人殺してその体と命を使った?
あえて半端な術を広め、作らせた数多の『亜作』にも。一体どれだけの人と獣が。」
「性懲りも無く綺麗事を。力こそ、勝者こそ正義。正直になれ。
これを手に入れれば、身内の術者を敢えて危険に晒す必要もない。
さあ、その手でこの矢を抜け、それを契約の証としよう。」

1426『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/09/20(水) 03:37:37 ID:YUVTruAU0
 「虐げ、奪い、殺す。本当に、それが楽しいか...
当時の当主に代わり、心から謝罪する。
魂が化物に逃げ込むのを防げなかったばかりか、化物の行方をも見失った。
そして終に、腐った性根を叩き直せなかった事を。」

 「愚か者。この『力』を、我等の術の粋、これを無に帰すなど。」
「術の粋...なら、おぞましい化物を始末するのが我等の術」
「この矢、『月』でさえ始末出来ぬものをどうやって。」
「喋り過ぎだ。」 「何?」
「『破魔の矢一対でようやく』、予想通り。あれから我等は探し続け、手に入れた。
当時我等の一族が所有していなかった、『陽』を。」
鬼が攻撃態勢を取る前に、当主様は軽く右手を挙げた。
深い深い憂いを含んだ、寂しい微笑。

1427『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/09/20(水) 03:39:11 ID:YUVTruAU0
 雷のような、閃光と轟音が俺の上を奔った。

 それは当主様の右肩をかすめて鬼へ。
数秒後、それが立っていた場所に残ったのは、小さな灰の山。
歩み寄り、当主様が拾い上げた2つの鏃。それは恐らく、破魔の矢の本体。
「『真作』と分かっていればこれ程の...酷い事をした。」
「責めてはなりません。御自分も、周りも。皆、できる限りの事をしたのです。」
「しかし...いや、皆の手当を頼む。特にLは。」 「御意。」
『特にLは』って。じゃあ、あれはやはり御影さんでなく。

1428『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/09/20(水) 03:43:57 ID:YUVTruAU0
 夢を、見ていた。
古い、大きなお屋敷の庭。俺の手に一本だけ、大きな、紅い花。
その花々が生け垣全体を彩っていた時には気が付かなかった、控えめで清らかな香り。
既視感。腕の中の温もり。深い光を湛えた双眸が、真っ直ぐに俺を見詰めている。
「どっちなんですか?今、あなたは。」 その美貌は微かに笑った。
「御影、だ。」 「じゃあ、あの時、剣を取ったのは。」
「本当に御前は良い嫁を持った。嫉妬で、この身が焼かれる程に。」
「冗談は止めて下さい。御影さん程の、なのに嫉妬だなんて。」
「この術に体を委ねている間も、周りの事情を把握できる。それは知っていた。
しかし、術の力を越えて体の制御を取り戻すなど、出来る筈がない。
なのにあの時、術も我も全くの無力だった。御前への、想いの前で。」

1429『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/09/20(水) 03:50:28 ID:YUVTruAU0
 ああ、恐らく『禁呪』。しかも飛び切りの。
嬉しくないと言えば嘘になる。しかし反面、それで姫の寿命は縮んでしまうのだ。
「Lさんは『あの人』の娘です。少し位、他の術者と違っていても。」
「少し位?それがどういう事か、男には分からぬか。我がどれ程...」
「教えて下さい。どうすれば、御影さんの心が安らぐのか。
今回は、Lさんの力、御影さんの力、どちらが欠けても解決出来なかった。
当主様と桃花の方様が間に合ったのは、2人の力があったからです。」
数秒。唇を噛んで、ようやくその表情が緩んだ。

 「朝まで、このまま寝かせてくれ。術が解けるまで。」
「分かりました。つまりLさんもそれを許して」 「黙れ。」

1430『鬼』 ◆iF1EyBLnoU:2017/09/20(水) 03:53:36 ID:YUVTruAU0
 それからは時折、不思議な事が起きた。

 例えばSさんが仕事に出て、姫と2人で子守をしている時。
丹を抱いて、姫はその寝顔を見詰めていると思ったのに。
「愛しいもの、なのだな。幼子とは。」 穏やかな呟き。 何時の、間に。
姫と遊んでいた翠が、呼びかける声に驚くこともある。
「みーちゃん、それ、違うよ。ほら、こうやって。」
どうやら2人は、もう術とは関係なく入れ替わる事が出来るらしい。
もちろん2人の同意が必要なのは自明だが、それがどんなタイミングで成立するのか、
そもそも2人がどうやってコミュニケーションを取っているのか、俺には分からない。
「相性からして『生まれ変わり』と言って良い程に他生の縁が深く、
あの術が2つの魂の垣根の一部を取り払った。そう考えるしかない。」
そう言ってSさんは笑った。「別に良いでしょ。特に困ることもないんだし。」と。
確かに、2人の感情表現は以前より豊かになったように感じる。
時を越え、それぞれに別々の旅路を生きる魂が成長できるなら、それは『良縁』。
しかし、俺が知らない内に2人が入れ替わるのは...
いや、俺の懸念など、『良縁』の前では取るに足らない事なのだ。

『鬼』 完

1431 ◆iF1EyBLnoU:2017/09/20(水) 04:01:41 ID:YUVTruAU0
皆様お早う御座います。再び藍です。

何とか最後まで、投稿する事が出来ました。
お付き合い頂いた皆様に、心からの感謝を。

準備中の作品が2つありますが、それはまた暫くお休みを頂いてから。
(コメントを頂いても返信できないと存じます。御免なさい。)
御縁がありましたら、何時かきっと此処で。それでは御機嫌よう。

1432名無しさん:2017/09/22(金) 23:43:26 ID:nUOo9lBg0
 藍さん,お加減のお悪いなか,本当にありがとうございました。
 今度も,奇しき物語を堪能させていただきました。
 本当に凄まじい強敵で,ハラハラしました。
 それにしても,御影さんとLさんがフュージョンって,とても意外なラストです。今後のLさん=御影さんがどんな活躍をするか,とても楽しみです。
あ,それと◆成さんも。

1433 ◆iF1EyBLnoU:2017/10/17(火) 23:10:05 ID:IMfjClF20
皆様今晩は、藍です。

本日退院し、自宅に戻りました。入院している間に体力が落ちたのか、
近くの青いコンビニに出かけたら帰れなくなって。
弟に電話したら怒られました。ホント、笑っちゃいますね。
原因は巫病。当たりが強くて、身体に重い影響が出たのだと聞きました。

少しずつ体力を戻して、『次』の作品の投稿準備を進めます。
『聖夜』と『続・聖夜』を別のお話として計算すると、次回作は多分40作目となります。
本当に長い間、お付き合い頂き、皆様に心からの感謝を。

次回作の投稿は、遅くとも11月末の予定です。
未だ御期待頂ける方がおられるなら、きっと此処で。御機嫌よう。

1434 ◆iF1EyBLnoU:2017/10/17(火) 23:17:05 ID:IMfjClF20
>>1432
返信は不可能と書いておりましたのに、わざわざのコメント。
本当に嬉しく、有り難く存じます。

御影さんとLさんは決して融合した訳では無く、
1つの身体をシェアする約束が出来たのだと思います。
しかし、Lさんと御影さんの今後の活躍、御影さんの一番弟子◆成さんの活躍。
楽しみが沢山有る事は完全に同意します。有り難う御座いました。

1435名無しさん:2017/10/21(土) 00:26:44 ID:z/LbJM4c0
藍さん、退院おめでとうございます!
無理をなさらず、お体ご大切に。
「未だ御期待頂ける方」、たくさんいると思います。
次のお話を心から期待しています。

1436枯れ木:2017/10/23(月) 23:08:32 ID:Bzj8QXww0
 本日姉を知人さんの家に送り届けました。伝言が
『暫く次作の投稿に向け作業に集中するので、皆様に宜しく。』と。

 何時も通り、まとめでの返信は許可されておりません。
もし『鬼』以前の作品にコメントを頂けるなら、メールで転送
可能なら返信を投稿致します。

1437 ◆iF1EyBLnoU:2017/11/29(水) 21:40:49 ID:BzBKrAYE0
皆様今晩は、藍です。 本当に、お久しぶり。

色々ありまして準備が遅れておりましたが、
現在、初回・次回投稿分が知人の承認待ちです。
順調なら、明日の夜から新作の投稿を開始致します。
未だお待ち頂ける方がおられると期待して。

では明晩、此処で。御機嫌よう。

1438名無しさん:2017/11/30(木) 12:29:16 ID:heKf14gY0
藍さん
ありがとうございます。
とっても楽しみです。

1439 ◆iF1EyBLnoU:2017/11/30(木) 22:14:18 ID:G0n00Y.g0
皆様今晩は、藍です。

予定通り今夜から新作の投稿を開始致します。
以下『風の花』、お楽しみ頂ければ良いのですが。

1440『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/11/30(木) 22:16:55 ID:G0n00Y.g0
『風の花』

 「もうすぐ霜月が終わる。なのに何故、今年は未だ雪が降らぬ?」
「雪だけではありません。湖の御神渡りも。このような年はかつて無く。」
「冬が来ないまま新しき年を迎える事など、決してあってはならぬ。」
「左様、かくなる上はあの者達に、依頼する他ありますまい。」
「...一族の陰陽師、か。」
「はい。その神器、『青の宝玉』は天候を自在に操ると。ならばあるいは。」
「致し方ない、すぐに連絡を取れ。報酬も十分に用意せよ。」 「御意。」

 『上』からのFAXに眼を通したSさんが、それを俺の手に。
「どう考えても、これはR君の領分だわ。」 そっと重ねた温もり。
「何故、僕の?」 「だって、『釣り』と関わりがある依頼だもの。」
...そうか。『釣り』なら、確かにそれは、俺の領分だ。

1441『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/11/30(木) 22:18:00 ID:G0n00Y.g0
 その依頼は、遍さん経由だと聞いていた。
それなら、納得出来る。普通の人が術者に依頼する経路は無い。
一族内部の問題か、あるいは古くからの『貴客』。
その依頼を『上』が受理すれば、然るべき術者が指名される。
ただ、内部の問題ならSさんが既に把握していた筈。
つまりこれは『貴客』からの依頼なのだろう。
しかも、それは遍さんに所縁の。絶対に失礼は許されない、という訳だ。
数日後、とあるホテルで依頼人に会う事になった。
Sさんも姫もいないが、遍さんが立ち会って、依頼の内容を確認する。
依頼人に会う時、スーツを着たのは、初めてかも知れない。
自然と気が引き締まる。

1442『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/11/30(木) 22:19:07 ID:G0n00Y.g0
 思わず眼を、疑った。依頼人は少女、16〜18歳位?
美形という訳ではないが、不思議な気品。
年齢に見合わぬ落ち着きというか、どっしりと揺るがぬ存在感。
それより、こんな年端もいかぬ少女の依頼が『上』に? この少女が、『貴客』?
「これが、この件を担当する予定の術者、Rです。
一族最高位の術者の一人であり、何より『海』と『釣り』に縁があります。
きっと、貴方のご期待に添えるものと。」
遍さんの口調はまるで、当主様や桃花の方様に謁見する時のようだ。
『上』の主要なメンバーが依頼の場に同席するだけでも異例なのに。
続いてありきたりの自己紹介。その間中、心の奥で鳴り続く、警報。
危うい。遍さん経由の依頼なら尚更、これは。
俺の懸念を拭うかのように、遍さんは穏やかな表情で言葉を紡ぐ。
「父親の死にともなって、彼女は相当な遺産を相続した。
だから、報酬の用意について問題はない。身元も、依頼人として十分。
そして依頼の内容は、御本人から説明して頂く。」

1443『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/11/30(木) 22:21:16 ID:G0n00Y.g0
 「父を、成仏させて欲しいんです。その、迷ってしまったみたいなので。」
??? 『迷ってしまったみたいなので』 どういう、意味だ。
「あの、御父上が、何か障りの原因になっているという訳ではないのですか?
正直な所『迷ってしまったみたい』と言うのは、今まで聞いた事がありません。」
死者が迷う事も、それが原因で生者に障りが出る事も珍しくは無い。だが。
「先日、使用人達とともに実家の整理をしておりました。
夕刻になり、作業に区切りを付けようとした時です。
父の書斎に灯りが点いていると、使用人が。
その日は一番に父の書斎を掃除しました。窓を開けて風を通しながら。
その部屋は東向きで、日中に灯りを点ける必要などありません。
窓の閉め忘れとかならともかく、何故灯りが?」
違和感、それとも既視感。その感覚を、何と表現すれば良いのだろう。
たかだか高校生の、この少女の物言いは。
余計な言葉も感情も挟まず、単純に的確に。それは御影さんの話し方に似ていた。
「それで御父上の、書斎に入ったのですね?」 「はい。」 「それで?」
「父が、いたのです。いいえ、父だと、思いました。
私の記憶の中で一番若い父よりも更に若く、まるで少年のようでした。」

1444『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/11/30(木) 22:23:23 ID:G0n00Y.g0
 「此の世に留まる死者が、自ら望む姿で現れるのは珍しくありません。
しかし、2つ疑問があります。どうして貴女はそれが御父上だと。
そして、その御姿を見て『迷ってしまったみたいだ』と仰ったのも。」
「古いアルパムに、父の写真が残っています。それで。
思わず声をかけましたが、父は怪訝な表情で。私が誰か分からないようでした。
そして『君は誰?』と。父が私を憶えていないのなら、それは...」
その時初めて依頼人は、その少女は感情を露わにした。
零れる涙。嗚咽を堪えて震える、小さな肩。

 「先程の話の通り、私は多分、海と釣りには幾許かの縁があります。
しかし、本来の適性は『言霊』。大変失礼な質問かも知れませんが。」
少女は握り締めていたハンカチで涙を拭き、顔を上げた。
俺を真っ直ぐに見詰める。灰緑色の瞳。
「何でも、お答え致します。それが必要な問いであるのならば。」
「生前、御父上は記憶を蝕まれるような病を?
それなら、貴女の事を憶えていないのもあり得ると思うのですが。」
「父の死因は○だと聞きましたから、脳の障害があったとは思えません。
それ以前にも、認知症を疑うような言動はありませんでした。」

1445『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/11/30(木) 22:25:02 ID:G0n00Y.g0
 「それでは御父上が、迷われたとして、その原因は一体何でしょう?
色々な前例がありますが、この件については、それが御母様だとしか。」
「何故、ですか?」
首筋に、刃を感じた。ヒンヤリと冷たい感触。もちろんそれは幻覚。
だが此処で躊躇えば、この依頼に応える事は出来ない。
静かに息を吐き、心を調える。その後で深く、息を吸った。
「此処まで聞いた内容と関係なく、本来の依頼主は御母様で有るべきでしょう。
しかし、依頼主は貴方。今の今まで、御母様についての言及がない。
それに御父上の霊が貴方を知らないのだとすれば、原因は貴方が生まれる前。
つまり御父上と御母様の関係にこそ、解決の鍵が有る。
一体、御母様は?それが分からないと、依頼を受けるべきかどうか判断出来ません。」

1446『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/11/30(木) 22:26:09 ID:G0n00Y.g0
 「本物、なのですね。正直私は信じていませんでした。
周りの者の勧めもあり、もしもそれで父を然るべき場所へ。そう思っただけで。」
やはり...息を吐き、そっと額の汗を拭う。
「母は、私を産んだ直後、行方知れずになったと聞いています。
遺書なども見つからず、事故や事件の可能性も無いらしいと。」
「やはり貴女には、御母様に関わる記憶が。」 「はい、全く。」
「それでは何の手がかりも。」 そうだ、この件で俺が選ばれた理由。
『海』と『釣り』に縁がある術者として、俺が指名された。
ならば、ある筈だ。未だ語られていない『海』と『釣り』、そしてこの件の関わり。

 「これを、持ってきました。父の書斎で見つけたものです。」
少女がバッグからとりだしたのは、黒い革表紙の古いノート。
「日記、とは違いますが、父と母の関係が書かれています。
どれも釣りと関わる内容なので、釣りに詳しい方なら手がかりが、と。」
そのノートから滲む、濃厚な気配。前にもこんな、しかしあれとは全く違う。
その気配には一切の邪気がない。それは多分、愛情や憧憬に近い、強い想いだ。
「読ませて頂いても?」 「はい。必要な期間、お持ち頂いて結構です。」
そのノートを開く。丁寧に書かれた、几帳面な文字が並んでいた。

1447『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/11/30(木) 22:27:05 ID:G0n00Y.g0
 『陽光』

 冬はタチウオ釣りの季節。
北東の冷たい風に震えながら、未明の波止に立つことも多くなる。
日の出を見る機会が一番多いのは、だから冬。

 光を受容する細胞に2種類あると知ったのは高校生の頃。
弱い光の下で「明るさ」に反応する細胞と、
強い光の下で「色彩(光の波長)」に反応する細胞。
だから月明かりや星明かりに照らされる世界には色がない。
太陽の明るい光があってこそ、世界は様々な色彩を纏う。

1448『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/11/30(木) 22:27:47 ID:G0n00Y.g0
 未明の波止には微かな影の輪郭だけ。
モノトーンの世界は夜明けが近づくに釣れて色彩を取り戻す。
始め、その色彩は古いセピア色の写真のように頼りないが
やがて朝日を受け、驚くほど色鮮やかに、世界は輝く。

 逆に夕方の釣りでは、色彩の終焉を見送る。
残照の中で世界はゆっくりと色を失い、セピア色からモノトーンへ。
全ての色は眠りにつき、明日の再生を夢見る。

1449『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/11/30(木) 22:28:42 ID:G0n00Y.g0
 仕事を終えて釣りに出かける途中、初めて妻をみかけた。
部屋へ帰る途中だったのか、買いものに出かける途中だったのだろうか。
遠目にも、あまりに鮮やかな彼女の美しさ。一目で恋に落ちた。
たまたま彼女が仕事の都合で私の職場を訪れるようになり、
彼女を見かける機会が増えるにつれ、片思いは募っていった。

1450『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/11/30(木) 22:29:36 ID:G0n00Y.g0
 そしてある日、世界が違っていることに気づいた。
通勤の道程も、いつもの波止も、住み慣れた寮の部屋までもが
なぜか生き生きと鮮やかに息づいている。
彼女の放つ光によって、私の世界が新たな色彩を帯びていた。
その時、私は理解した。あの古い歌の歌詞、その真の意味。

 You are my sunshine. My only sunshine.

 彼女が話を聴いて笑ってくれるとき、私の言葉は意味を持ち
釣ってきた魚を褒めてくれるとき、私の釣技が価値を持つ。
今まで知らず長い夜の中にいたこと、その夜が明けたことを、私は理解した。
私は出会った。空でなく、この心に輝く、真実の太陽に。
二人で重ねた時間は2年。幸運にも、私は今も変わらぬ眩い光の中にいる。

1451『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/11/30(木) 22:30:27 ID:G0n00Y.g0
 確かにその文章は、釣り人にしか書けないもの、そう感じた。
そして、1つ1つの言葉は、その女性に対する愛情と憧憬に満ちている。
職業作家の文章かどうかは分からない。しかしその言葉は瑞々しく鮮やかだ。
「確かに、これは日記と言うよりエッセイです。
御父上はこれらの文章を公表されたのでしょうか、例えば釣りの雑誌とか。」
「いいえ、そのような話は聞いておりません。
父は医者で、作家ではありませんでしたし。」
「なら好都合です。御父上の想いが発散していないなら、
このノートに、きっと手がかりを探せるでしょう。この依頼、承ります。」

1452『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/11/30(木) 22:31:07 ID:G0n00Y.g0
 「それで、何か手がかりはあった?」
Sさんのキス。少しだけ、ハイボールの香り。
「いいえ。お話は40話以上あって、全部読んでみない事には何とも。」
「そんなに沢山、『釣り』と『奥様』に関するお話が?」
「そうなんです。例えばこれ、最初に書かれていた『陽光』という作品で。

 暫く、そのノートに集中していたSさんが顔を上げた。
「素敵なお話ね。文体とか色々、思う事はあるけれど。
女として、妻として、こんなお話の主人公になれたら、正直嬉しい。」
Sさんなら、もちろん姫も、きっとそう言うと思っていた。
「でも。」 ああ、やはりそうだ。これも、予想通り。
「視点も言葉も本当に鮮やか。でも、これだけじゃ手がかりがない、何一つ。」
「はい。僕もそう思います。でも多分見つかると、いえ、きっと見つけます。」
「そうね、期待してるわ。」 Sさんは今までで一番優しく、微笑んだ。

1453『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/11/30(木) 22:31:57 ID:G0n00Y.g0
 『出逢い』

 思い切りロッドを振り、びゅーんとキャスト。
眩しいラインの軌跡を残して、ルアーは彼方へと飛んでいく。
ラインに右の人差し指で軽く触れ、糸ふけを最小限に。
ルアーが着水したら素早く糸ふけをとってリールを巻く。くるくる、くるくる。
リズム良くルアーを泳がせる、時折の破調を交えるのが効果的。
くるくる、ぴ、ぴ、くるくる...

 一投目。アタリがなくても、何らかの兆しを感じる確率は高い。
運が良ければ、魚がルアーを文字通り引ったくっていく。
ガツン! というアタリの後、強烈な引き込み。
予期せぬ大物のアタリなら体ごと持って行かれそう。
思わずよろめいて頭の中は真っ白。
「よっしゃ!!来たーっ。」
なんて叫んで、悩みだろうがストレスだろうが吹っ飛んでしまう。

1454『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/11/30(木) 22:32:33 ID:G0n00Y.g0
 静止している(潮で多少は動くだろうが)エサと違い、ルアーは泳いでいる。
つまりラインには常にある程度のテンションがかかっていて、
だから魚がルアーを襲うとき、その衝撃はカウンターパンチのように強烈なのだ。
多分魚を掛けてしまえば、後のやりとりは他の釣りと変わらない。

 延々と繰り返される単調な動作の後に、突然やってくる衝撃的な出逢い。
ルアー釣りの魅力はとにかく、その一瞬に凝縮されている。
波止でも、磯でも、パヤオでも。いつも、あの衝撃的な出逢いを求めている。

 とはいえ、釣れないのが何倍も何十倍も多いのもルアー釣り、だ。
スレた釣り場で強い北風に震えながら、
「なんで俺、こんなことやってんだろ?」と考え込むこともある。
びゅーん、くるくる、くるくる。びゅーん、くるくる、くるくる。..
うーんキビシイ。

1455『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/11/30(木) 22:33:14 ID:G0n00Y.g0
 もしかしたら平凡な日常生活の中でも、
人は大切な誰かとの衝撃的な出会いを夢見て
毎日毎日、人はそれぞれのルアーをキャストしているのではないか。
ふと、そう思うことがある。
職場で、街中で、時には見知らぬ土地へ出かけて。
びゅーん、くるくる、びゅーん、くるくる...。

 強引に誘われ、初めて行った女の子のいる酒場は、
スレ切った、ゴミまみれの釣り場のようだった。
世間話をし、カラオケを歌い、なんとか女の子の気をひこうとみんな必死。
びゅーん、くるくる。びゅーん、くるくる...
(阿呆か?金払ってるのはこっちだぞ)

1456『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/11/30(木) 22:33:54 ID:G0n00Y.g0
 それから、そんな酒場で飲んだ事はない。凍える波止の方がどれだけましか。
気心の知れた仲間と居酒屋、それで十分じゃないか。
不相応な金を使うなら、酒を飲むよりも良い竿が欲しい。良いリールを買いたい。
そんな風にルアーにのめり込んでいる頃、彼女と出会った。

 彼女と出会ったときの衝撃を、うまく言葉にすることはできない。
当然私は今よりも若く、未だ『女性』を知らなかった。
キレイな女の子にはドキドキ、水着のポスターにも自然に目がいく。
しかし彼女と結ばれてから、なにもかもがすっかり変わってしまった。

1457『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/11/30(木) 22:34:38 ID:G0n00Y.g0
 彼女以外の女の子はどこかボンヤリとして影法師のように見える。
TVで好みの女優を見かけると、彼女の面影が思い出されて仕方ない。
顔も体も、もちろん心も、世界一美しい女性に、私は出会ってしまった。

 その確信は今も全く変わらない。変わるはずがない。
私の周りの、影法師のような女の子。TVの画面には、彼女に少し似た女優。

 最初で最後、ただ一度だけ。それが妻との出会い。
どんな出会いも、もう私には必要ない。

1458『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/11/30(木) 22:36:18 ID:G0n00Y.g0
 「これが、何なの?普通に、良いお話じゃない。」 Sさんは悪戯っぽく微笑んだ。
「はい。良い話だとは思いますよ、僕も。ただ、何だか違和感が。」
「だから、その違和感の原因は何?」
「ええと、あの。同意出来る部分と出来ない部分があって。
例えば、僕もSさんとLさんは世界一綺麗な女性だと思います。」
「あら、ありがと。世界一が二人って矛盾には突っ込まなくて良いの?」
「そうじゃなくて、Sさんが世界一なのは、Sさんがダイヤだからで。」
「ダイヤ?」
「この世で最高の宝石がダイヤなら、Sさんは間違いなく。Lさんも、翠も。」
「なるほど、そういう意味なら確かに、瑞樹ちゃんもダイヤだわ。」
「そう、だから『影法師』という表現には同意出来ません。
自ら望んで汚したのでもなければ、どんな女性も宝石や原石である筈です。
何より『どんな出会いも、もう私には必要ない。』という表現は。」

1459『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/11/30(木) 22:36:48 ID:G0n00Y.g0
 「世界一美しい女性と結ばれたなら、その娘にも逢いたくなる筈ってことね?」
「はい。」 Sさんは微笑んだ。「とても、興味深い。次の報告に、期待してる。」

 そうは言っても、技巧を越え『魂』が編んだ文章を読み、
その真意を理解するにはかなり時間がかかる。勿論えらく疲れる。
しかも抱えている依頼が他にも複数有るし、作業はなかなか進まない。
しかし、やっと見つけた。2人の『馴れ初め』が記された文章。

1460 ◆iF1EyBLnoU:2017/11/30(木) 22:38:33 ID:G0n00Y.g0
皆様今晩は、再び藍です。

現在知人のOKを貰っている所までを投稿致しました。
順調なら続きは明晩、此処で。それでは御機嫌よう。

1461 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/02(土) 01:15:41 ID:/8UbntgU0
皆様今晩は、藍です。

『風の花』続きを投稿致します。
お楽しみ頂ければ良いのですが。

1462『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/02(土) 01:22:09 ID:/8UbntgU0
『第一印象』と『第一投』

 例えば、初めての釣り場に立つ。
『第一印象』とは地形や風向き、陽光の方向と角度...
それだけでなく、例えば大量のゴミが捨てられていたら、
その場所での釣果など、普通は期待しない。
しかし、釣り人は業の深い人種だから、それでもルアーを投げる。
「折角、来たんだし。」 その結果が、『第一投』。
ただ、釣り場の『第一印象』と『第一投』は全く違う事があるから厄介だ。

1463『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/02(土) 01:24:28 ID:/8UbntgU0
 竿を継ぎ、用意してきたルアーを投げる。
それが『第一投』。でも『第一印象』と同じとは限らない。
『第一印象』は最高なのに、全く釣れない事もある。
逆に『第一印象』は最悪でも、思わぬ好釣果があり得る。
他の釣りは殆どしないから、例えば浮子釣りでも同じなのかは知らない。
しかし、ルアー釣りの『第一投』は特別な意味を持つ。
何故なら、一投目にヒットする可能性がかなり高いからだ。
ヒットに至らなくても、一投目で重要な情報が得られることは多い。
ルアーが着水した辺りに不自然な波紋が浮かんだり、
時にはルアーを追ってくる魚の姿が見えたりする。
それらの情報をもとに戦略を練り、しばらくしてからキャスト
狙い通りに即ヒット、というのは良くあるパターン。

1464『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/02(土) 01:26:34 ID:/8UbntgU0
 逆に数投して何の情報も得られないときはかなりキビシイ状況。
手を変え品を変え探るとは言っても、一日中釣りばかりできる身分ではない。
1日にせいぜい正味一時間ほどの釣りでは、だから
釣り人のテクニックや根気よりも、ポイントの状況や魚の活性が釣果を決める。
いかにも良さそうなポイントで苦戦しているベテランに遠慮して、
少し離れたポイントに立ったビギナーにあっさり良型がヒット、というのも日常茶飯事。
どうしても釣果が欲しいなら、移動しながらいくつかのポイントを手早く探る、
いわゆるランガンスタイルの方が効率が良い、と思っている。
(活性の低い魚を誘って食わす技量がない下手の意見だが)

1465『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/02(土) 01:28:14 ID:/8UbntgU0
釣りだけではない。人間関係を築くときにも、
『第一印象』よりも『第一投』の方が大事ではないかと思う。
往々にして視覚的な情報に基づく『第一印象』の後、
その後の人間関係を左右する『第一投』」が必ずある。
休憩時の何気ない世間話だったり、一緒に仕事をしながらのふとした仕草だったり。
将来深い人間関係を築く二人は、たとえ第一印象が最悪であっても
それを覆すような決定的な何かを『第一投』で伝えあい、互いの存在感を増す。
その何かを伝えあえない二人は、どんなに『第一印象』が良くても
次第に互いの存在感が希薄になり、互いがその他大勢の中のひとりになってしまう。

1466『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/02(土) 01:29:33 ID:/8UbntgU0
 妻と出会った後しばらく、まともに彼女の顔を見ることができなかった。
気軽に話しかけることがためらわれるほど、彼女は美しかったから。
だから当然、彼女から話しかけられても、緊張して無愛想な返事になってしまう。
きっと本来なら、二人の時間が重なることはなかっただろう。
ところが突然やってきたのだ、幸運な『第一投』が。

 ある日、無性にインスタント焼きそばとカップラーメンを両方食べたくなった。
買い物袋を抱えて給湯室に入ると、彼女が一人で座っていた。
(二人きりになるのはそれが初めてだった)
ドキドキして食事どころではないが、不自然に部屋を出るわけにもいかぬ。
多目に沸かした湯を、焼きそばとラーメンの容器に注いだまでは良かったが、
やはり動転していたのだろう、湯切りの時に焼きそばの麺を流し台に零してしまった。

1467『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/02(土) 01:31:10 ID:/8UbntgU0
 思わず「あ〜っ!」と声を上げたのが面白かったのか、
彼女は悪戯っぽく「それ、食べられるんじゃないですか?」と笑った。
咄嗟に「空腹は一時、でも、落とした麺を食ったという評判は一生ですから。」
とかなんとか答えたと思う。
この場合、落とした麺を食べたとしても、それを彼女以外見てはいない。
今思えば、それはかなり失礼な物言いだったかも知れぬ。
しかし、それがなぜか大いにウケた。
彼女がこんな、まるで少女のように瑞々しい笑顔で笑うのかと意外だったが、
その煌めく笑顔をできるだけ長く見ていたくて、
残ったラーメンを食べながら懸命に言葉を継いだ。

 その事件以降、彼女は何かと笑顔で話しかけてくれるようになった。
零した焼きそばの麺が『第一投』というのはいかにも間の抜けた話で、
その時一体何が彼女に伝わったのか私には知る由もない。
しかしその事件は、私にとって空前絶後の『第一投』になった。

1468『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/02(土) 01:32:30 ID:/8UbntgU0
 「これなら、私にも分かるわ。あなたの違和感の原因。
本当に世界一の美女だったなら何故?ってことね?」
「はい。でもどうしてそれが?」
「だってホントに『世界一』美しい女性なら何故、その時まで?」
そう。それ程美しい女性なら既に相手がいても不思議じゃ無い。
第一、昼ご飯時にただ一人、給湯室にいた事自体が不自然ではないか。
その女性と誰かが一緒にご飯を食べていたというなら分かるが。
「その、『隠されていた』と考えるしか。」
「『隠していた』のかも知れないわね。もしそうなら...」
残っていたハイボールを飲み干したSさんは、少し緊張した表情。
「今夜この件の話はお終い。」

1469『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/02(土) 01:37:48 ID:/8UbntgU0
『天津風』

 春も夏も秋も冬も、一年中飽きもせず釣りに出かける。
遠近の磯や、いつもの波止を歩いていると、
心の奥から、かつて口ずさんだ和歌が零れて来る事がある。

 何となく理系の大学に進学したものの、高校生の頃はどちらかというと
現代文や古典の成績が良かったし、何より和歌の授業を聞くのが好きだった。
しかし父のたっての希望もあり、そのまま理系の大学院を出て就職。
暫くは仕事に追われ、雅な和歌などは縁遠いものになっていた。

 しかし。やがて仕事に慣れると、まるで血に導かれるように海岸に立った。
釣りを再開。季節の移り変わりを肌で感じ、美しい景色を眼にして、
心の片隅に仕舞い込んでいた文学青年気取りの気質が蘇ったのかも知れない。

1470『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/02(土) 01:38:48 ID:/8UbntgU0
 島の職場に赴任した直後、初めて出かけた磯の、何となく心細い夜釣り。
「和田の原 八十嶋かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ あまの釣り舟」

 夜明け前の河口。仕掛けられたカニ網の浮子がボンヤリ見えてくる。
「朝ぼらけ 宇治の川霧 たへだへに あらはれ渡る 瀬々の網代木」
 
 暑い暑い夏の、青く眩しい水平線に海鳥が飛んでいる。
「白鳥は 哀しからずや 空の青 海の青にも 染まずただよふ」

1471『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/02(土) 01:39:53 ID:/8UbntgU0
 職場の同僚になった妻を、初めて見た時に零れてきた和歌がある。
あまりに美しく、まともに声もかけられないが、勤務時間中なら彼女に会える。
終業時刻が来なければ良いと、願い続ける自分の姿を予知していたのか。

 「天津風 雲の通い路 吹き閉じよ 乙女の姿 しばしとどめむ」

 この歌を知ったのは高校2年の初夏。古典の授業中、突然歌の意味を問われ、
「天女のように美しい恋人を帰したくないという歌だと思います。」と答えた。
普段は厳しい先生が困ったように微笑んで、それでも何故か大いに褒めてくれた。
本当は、大切な儀式で踊る舞姫を讃えて詠んだ歌だと、知ったのはずっと後のことだ。

1472『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/02(土) 01:41:18 ID:/8UbntgU0
 妻と逢瀬を重ねるようになってからも時折この歌は心に響き、
少年の日の夢、天女のように美しい恋人をこの腕に抱く幸運を実感させてくれた。
ただあまりに面映ゆくて、この歌のことは妻に話せなかったし、
仕事の都合で暫く釣りから離れている間に、そんな記憶もすっかり薄れていた。

 ところが、である。
今年の正月3日、里帰りしていた妻から写真を添付したメールが届いた。
妻は家の事情で毎年11月の半ばから正月にかけて長い里帰りをする。
私の仕事では連続した休みは取れないから一緒には行けない。
電話やメールで『寂しい』と嘆く私を哀れんで、時折写真を送ってくれるのだ。
写真の中の妻は晴れ着を着て、透き通るように笑っている。
何年ぶりだったか、その澄み切った笑顔の向こうから、突然響いてきた。

 「天津風 雲の通い路 吹き閉じよ 乙女の姿 しばしとどめむ」

 何と美しいのだろう。本当に、これが私の妻なのか。
一瞬でも長く生きて、いや、できれば死んだ後でも、ずっと見ていたい。
そんな自分が可笑しくて、その日は返事のメールを書けなかった。
これ以上の幸せなど、あり得ない。あり得る筈がない。

1473『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/02(土) 02:02:24 ID:/8UbntgU0
 やっと見つけた糸口。そう思った。
どう考えても、これは普通じゃ無い。
『天津風』。この和歌は特別。作中の言葉通り、あの儀式の舞姫を讃える和歌。
和歌の素養がある人なら、舞姫の美しさを感得出来る人なら尚更、
生身の女性をこの和歌の舞姫になぞらえるのを、本能的に避ける筈なのだ。
(それは畏怖。娘を美神になぞらえて、不幸を招いた王の轍を踏まぬように。)
しかし、この男性は躊躇う事無く、妻を舞姫に重ねた。
この男性の妻とは一体? 心の奥で、Sさんの言葉が響いた。
『隠していた、のかも知れないわね。もしそうなら、その女性は...』
多分、辿り着くべき答への道まで、もう一歩。

1474『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/02(土) 02:04:56 ID:/8UbntgU0
『3000回』

 ヒマを見つけて毎日毎日波止に通っていると
「よくもまあ飽きずに。」という人がある。
「釣りをしなければ飢えて死ぬわけでもあるまい。」
「第一、魚なんぞスーパーで買った方がずっと安い。」
と続く。まあ、色んな考えがあるわけで、反論しても仕方ない。
しかし、少なくとも「飽きる」ことはない。
釣りを始めて何年になるか、私は未だ釣りに飽きてはいない。

 例えば昨夜のタチウオと、今夜のタチウオは違う。
さっき釣ったカマスと、今掛かっているカマスも違う。
別の魚だというのではない、感動が違うのだ。
毎回毎回新しい感動があり、次への期待がある。
そしてごく稀に、期待をはるかに超える大物に出会う事もある。
それなのに、毎日波止へ通う事を、苦労だと感じる訳があろうか。
まして、飽きることなどあろうはずもない。

1475『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/02(土) 02:05:42 ID:/8UbntgU0
 妻と出会って、驚いた事がある。
毎朝出会うたびにどこか昨日の彼女と違っているのだ。
気があるから、つい視線の端で彼女の姿を追っている。
姿も顔も、全部憶えているはずなのに、次の日はやはりどこか違う。
つきあい始めてからもそれは変わらなかった。
逢う度に彼女の新しい魅力に気づき、想いは募る。
逢う度に彼女に恋をした。もちろん今も。

 妻と出会って2年と少し。1日に4回彼女に恋をしたなら、
既に3000回の恋をした計算になる。

1476『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/02(土) 02:06:46 ID:/8UbntgU0
 やはり、そうだ。その女性はただの人間ではない。
際だって魅力的な人間は確かにいる。並外れた美貌や才能。
しかし、毎日毎日どこか違う、そんな事があり得るだろうか。
まして1日に4回もなんて。『その度に恋をした』というのだから、
仕事の疲れでやつれたと言うような類いの変化ではない。
例えば、朝の出勤時と夕方の退勤時はどこか違っている。違う魅力の一面が見える。
同じ服なのに? 同じ人間なのに? 同じ魂なのに?
...「あの人」、姫の母親に近い事例だったとしたら。

 その人はとても美しくて快活で、魅力的だったと聞いた。
原因は分からないが、神に近い魂が人の肉体に宿り、その結果途轍もない力を持つ。
それならあるいは、万華鏡のように変化する無数の魅力を纏っていたのではないか。
しかしその力が生み出す負荷に、人の体では長く耐えられない。
姫の母親はそれを承知で姫を産み、暫くして亡くなった。
今回の件がそれに酷似した事例だとすれば、ある程度理解出来る。
『行方知れず』だと説明したのは、依頼人を気遣っての事だろう。
自分を産むために、母親が亡くなったと知ったら。
しかし俺の予想は、最後に見つけた作品によって覆された。

1477『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/02(土) 02:09:47 ID:/8UbntgU0
『海の蛍(仮)』

 その光景を見たのは、仲間達と夜釣りに興じていた新月の晩。

 漆黒の水面下に伸びている道糸が、淡い光の筋になって見えるのに気づいた。
何かと思って手元の小さな懐中電灯を消した。ゆっくりと、闇に眼が慣れてくる。
闇の中に、ボンヤリと浮かぶ緑色の輪郭が見えた。大きさは10cm位。
細長い輪郭の中に、ときどき強い光がチラチラと明滅する。
それが幾つか、ゆっくりと動いている。気付いた時、思わず息を呑んだ。
魚だ。無数の、小さな光が魚を象って瞬いている。
小さい頃に見た星座の絵のような、それはあまりにも美しい光景だった。

1478『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/02(土) 02:10:53 ID:/8UbntgU0
 海蛍の光自体は、特に珍しいものではない。
しかし道糸や魚の姿が光って見えるほど、たくさんの海蛍を見たことはなかった。
夜の打ち込み釣りだから、確か夏の最中のことだったと思うが、
たまたま海蛍たちのランデブーの晩だったのか。
あれほどの光景を見たのはその一度きり。

 いや、その後一度だけ、似た光景を自分の部屋で見たことがある。
それは妻と正式に付き合い始めて2回目の、正月が開けた夜。
その日恒例の長い里帰りから戻った彼女は夕方から私の部屋を訪れ、
一緒に食事をし、餅を食べながらTVを見て、そして身体を重ねた。
終始にこやかで優しかったが、今思えば、いつもより口数が少なかったと思う。
迷っていたのかも知れない、打ち明けるかどうか。
あの夜、ゆっくりと時間をかけて、話してくれた秘密。

1479『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/02(土) 02:15:40 ID:/8UbntgU0
 その夜、彼女が私の部屋を出たのは、何時もより随分遅い時間。
秘密を打ち明けた妻にも、それを受け容れる私にも、時間が必要だったから。
深夜、玄関で彼女を見送った後、部屋の灯りを消した。
暫く視界は闇に覆われたが、次第に眼が慣れてくる。

 その時だ。

 玄関から台所へ、床を彩る微かな光に気付いた。水色の、小さな光。
眼が慣れるにつれ、その数は増えた。椅子の上に、台所のシンクに。
そして手を繋ぎ並んでTVを見た、大きな座椅子とクッションに。
小さな光に導かれるように、寝室へ。眼を、疑った。
ベッドには、無数の小さな光。まるで彼女の面影をなぞるように瞬いている。
あの夜彼女と話した事は  (未完)

1480 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/02(土) 02:23:33 ID:/8UbntgU0
皆様今晩は、再び藍です。

今夜は此処まで。
修正作業後、許可が下り次第、結末までの投稿予定です。
(随分と毛色の変わった作品なので、お楽しみ頂けるか心配ですが。)
それでは御機嫌よう。

1481名無しさん:2017/12/03(日) 15:26:45 ID:b7hdtI7M0
藍さん,久々の投稿,ありがとうございます。
とても不思議なお話ですね。
美しき君への恋の歌が紡ぐこの物語が,これからどう展開するのか,楽しみにしています。

1482名無しさん:2017/12/08(金) 22:11:04 ID:jEgnuPd.0
今晩は、投稿有難う御座います。年末に繁雑になってきた仕事の合間に波止で釣りを楽しみながらふと藍さんの掲示板を覗いたらとても素敵なお話が始まっていて夢中で読んでしまいました。潮の匂い、冷たい、湿った風を感じながらも暖かい気持ちになりました。のんびりと続きをお待ちしております。

1483名無しさん:2017/12/13(水) 20:24:51 ID:dSfgpx6.O
次はクリスマスプレゼントかお年玉か

1484 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/14(木) 21:28:50 ID:kdIO4oK20
皆様今晩は、藍です。

少々問題がありまして投稿の許可が下りず、難儀しております。
しかし投稿を始めた以上、あまりお待たせするのも失礼。
修正して、許可が下りた分を今夜投稿致します。
では後ほど。御機嫌よう。

1485『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/15(金) 07:09:33 ID:PuR4QIfQ0
 この描写...これはまるで、『光塵』ではないか。
言わばそれは、残り香のようなもの。
神や高位の精霊と接触した人の体に、接触した場所に、残される光の粒子。
本体の近くでは本体の強い光に紛れて見えない。
本体が去った後で初めて見えるものなのだ。
このお話でも同じ、その女性が部屋を去った後で...いや、待て。
術者で無ければ『光塵』は見えない。この男性に能力があったとしたなら、
その女性を部屋から送り出した夜は毎回それが見えた筈なのだ。
なのに何故、その夜だけそれが見えたのか。一体、その女性は何者なのか。
まさか本当に、化生した高位の精霊がその男性の妻に?

1486『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/15(金) 07:10:41 ID:PuR4QIfQ0
 以前『神婚説話』の実例に関わったことがある。
その件の後、俺は一族に残されている記録を出来る限り調べた。
記録によれば、それらの事例は2つに大別できる。
人が異界へ入る場合と、逆に神や精霊がこの世界に入る場合だ。
今回の事例は後者、いわゆる『天女女房系』。
その場合、ほとんどの事例では、婚姻関係は短期間、数年しか持続しない。
人が約束を破ったために破綻する、という伝承が最も多いだろうか。
そして残された子が国の(一族の)始祖となったという記述も一般的だ。
今回の事例でも、その関係が続いた期間は約3年と考えて良い。
(エッセイの記述では2年+妊娠・出産で1年、計3年。)
今回の事例でも、依頼人の父親が原因で婚姻関係が終わったのか。
しかし、一般的な伝承とは異なる記録を、俺は読んだ事が有った。
不思議な婚姻関係が終わった後、相手の女性と再会したという、記録。

1487『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/15(金) 07:15:27 ID:PuR4QIfQ0
 その女性が生まれ育った里の寺、過去帳の写し。
それによれば、その女性はある日故郷の里から忽然と消えた。
4年後にひょっこり戻ってきたが、その間の記憶は全くなかった。
(もちろん不思議な婚姻関係のことも、生まれた子供のことも。)
夫であった男性は漁師で、急な嵐に流され偶々辿り着いた里でその女性に再会。
驚いた男性は女性や里人に事情を尋ね、神隠しの件を知る。
その男性はあらためてその女性を嫁に貰ったという。
つまり化生ではなく『憑依』。これこそが、物語の実情に近いのではないか。
想いを遂げるため、ある女性に憑依し、意中の男性と結ばれ妻となる。
憑依される女性の側からすれば酷い話だが、高位の精霊の倫理観は人と違う。
そしてある期間が過ぎると憑依が解け、婚姻関係は終わる。とすれば。
依頼人を産んだ女性は何処かで生きている。憑依されていた期間の記憶を無くして。
それなら、探し出す事も不可能ではない。あの人の力を借りれば。
俺は翌朝一番で榊さんに電話を掛けた。

1488『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/15(金) 07:21:01 ID:PuR4QIfQ0
 「その女性の死亡届は出ていないし、捜索願も出ていない。
それについてはR君の予想通り。『憑依』の実例、と考えるのが妥当だろう...」
珍しく語尾をぼかして、榊さんは言葉を切った。受話器の向こう、考え込む気配。
『妥当だろう』とは。何か予想と違う点があるのか。
「ただ、その女性の元の戸籍が見つからない。当然、元の本籍地も分からない。
力業というか、君たちが使う偽装工作の方が丁寧だね。
それで、夫の当時の職場で働いていた女性を全て調べたよ。死亡届や捜索願は皆無。
製薬会社から出向していた職員が2人いるが、どちらも男性。
依頼人の戸籍と出生届には、確かにその女性の名前が記されている。
なのに、その女性が実際に存在していた事を示す書類が他に無い。
調べれば調べるほど、『その女性には辿り着けない』って気がしてくるんだ。
こんなのは、正直、初めてだよ。」

1489『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/15(金) 07:21:56 ID:PuR4QIfQ0
 そんな...予想通りどころか、俺の予想を遥かに超えているではないか。
もちろん榊さんの調査結果は信頼できる。
つまり、『天津風の乙女』は娘を産んで亡くなったのではない。
しかし、元の戸籍が辿れないのなら、高位の精霊の憑依という推理も崩れる。
それなら一体、依頼人を、あの少女を産んだ女性とは。
「ああ、そうだ。依頼人の父親が山で遭難したという新聞記事なら見つけたよ。」
??? 依頼人の父親が遭難? 何故。 「新聞って、当時のですか?」 
「ああ、2☓年前の記事。秋の★山で天候が急変、季節外れの大雪。
捜索隊も出せないような雪だったから、多分駄目だと皆思ってたらしい。
だが怪我一つ無く、2日後に自力で下山してきたそうだ。
これはまあ、参考にならないだろうな。悔しいが、今回はどうやら此処までだ。」
「いいえ、お忙しいのに無理を言って。本当に有り難う御座いました。」
礼を言って受話器を置いた直後。

1490『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/15(金) 07:23:50 ID:PuR4QIfQ0
 「探してる女性は見つかった?」
振り向くと、Sさんが立っていた。 優しい微笑。
「いいえ、記録が残っていないそうです。元の戸籍も職場の資料も。」
「依頼人の、父親の幽霊が出るというお屋敷の住所は?」
「○×市です。◎県の。」
「そう、なら一石二鳥ね。間違いなく、私が受けた依頼と関係がある。」
「どういう、事ですか?」
「依頼人と、いいえ、遍さんと連絡を取って頂戴。私が、その依頼人に会うわ。
場所は依頼人の父親の幽霊が現れるという、そのお屋敷。」
別々の、二つの依頼。その垣根をSさんが自ら越えるとしたら、只事では無い。
「Sさんの受けた依頼って。」
「◎県の古い神社から『雪乞い』の依頼、いいえ、『冬乞い』かしらね。」
「どういう、事ですか?」
「初雪が遅れてるのは知ってるでしょ?」 「はい、でもそれは温暖化の。」
「年神様の到着が遅れていて、冬が来ない。その神社ではそう考えてる。」

1491『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/15(金) 07:25:07 ID:PuR4QIfQ0
 「年神様?本当に?」
「彼の地の伝承では、そうね。
秋の終わり、年神様の御役目を果たすために★山から◇★神社へ御渡りになる。
そして◇★湖を御通りになる時『御神渡り』が起こる。」
何かが、心の隅に引っかかっている。だが、それが何なのか、もう少しで...
「R君、どうかした?」
「あ、いえ。つまりSさんの受けた依頼は、年神様に早く来て頂くように、と。」
「そう。でも代々彼の地で祀りをしてきた宮司達の声も届かない。
そんな状況で何が出来るか。Lと一緒に、ずっとそれを調べてた。」
Sさんだけでなく、姫も一緒に、それなら。
「『青の宝玉』で?」 Sさんは優しく微笑んだ。
「冴えてるわね。確かにそれで、多分雪は降らせる。
でも年神様に来て頂けなければ失敗。例え雪が降ったとしても。
何とか★山の御社から出ていただかないと。」
!!そうだ、★山。心の隅に引っかかっていた名前。 「あの、Sさん。」 「何?」
「依頼人の父親が★山で遭難したという記事を見つけたんですよ。榊さんが。」
Sさんの瞳が、青白く光ったように見えた。 「それ、何時頃の話?」
「2☓年前です。まず助からないだろうって位の大雪だったそうですけど、
2日後に自力で下山してきたらしいです。それも、全くの無傷で。」
「それで繋がったわ、全部。」 「どういう、ことですか?」

1492『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/15(金) 07:26:13 ID:PuR4QIfQ0
 「何処で何を調べれば良いのか分かったの。
あなたのお陰で、とても重要な『鍵』を手に入れたから。」
「『鍵』?」 「あなたの依頼人、正確にはあなたの依頼人の母親。」
「あの、あの娘の母親と年神様に関わりが?」
「勿論。だって『憑依』じゃないなら、それは『化身』って事でしょ。」
「あ...まさか。」 「その、まさかよ。」 Sさんは悪戯っぽく微笑んだ。
「年神様は陰神、つまり女性。年神として冬を統べる期間以外は、
化身してその男性の妻として過ごしてた。そう考えるしか説明がつかない。」
!? そう言えば、あのエッセイ『天津風』の中に。
「その女性は毎年11月半ばから正月明けまで長い里帰りをしたと、お話の中に。」
「やっぱり、間違いない。」 Sさんは上機嫌でハイボールの残りを飲み干した。
「さ、もう寝ましょ。明日朝早く、Lと一緒に出かける。子ども達をお願いね。」

1493名無しさん:2017/12/15(金) 08:00:55 ID:UuOl1ZqcO
藍さん投稿ありがとうございます。
とても好きな内容のお話です(^O^)
依頼解決の兆しができて良かった

1494 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/21(木) 22:21:36 ID:ck6/EN9.0
皆様今晩は、藍です。

お待たせして申し訳有りません。
『風の花』の続き。現在、許可を頂いた部分までを投稿致します。
結末までの投稿を目指して鋭意努力しておりますので
気長にお待ち頂ければ有り難いです。

1495『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/21(木) 22:24:23 ID:ck6/EN9.0
 Sさんと姫が二人で出かけた日から3日目の午後。
俺たちは家族全員揃って○×市を訪れた。
数ヶ月前、Sさんが購入した7人乗りの大型ワゴン。多分初めての、日本車。
これなら何かの機会(例えば今回のような)に家族全員が乗れる。
ただSさんは自分で運転する気はないようで、姫と俺が運転の担当。
気持ちよい秋風(季節外れ?)の中、2時間程で○×市に到着した。
ただ、そのお屋敷で依頼人に面会するのはSさんと俺。姫と子供達は車の中。
車を出て歩く。Sさんに指示された手順を何度も、心の中で確かめながら。

1496『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/21(木) 22:25:13 ID:ck6/EN9.0
 「わざわざこの家で、私に聞きたい事とは何ですか?」
応接間のテーブルを挟んで向かい合う、依頼人とSさん。
落ち着いた雰囲気の応接間はしかし、怖いほどの緊張感に満ちていた。
「父上がこの世に留まり、探しておられるものについて。
あなたの心当たりを伺いに参りました。」
Sさんの口調も、年下の依頼人に対するものとは違う。
「父が探しているもの...一体何故、父が何かを探していると。」
「父上が迷っておられるのは、この場所に心残りがあるからでしょう。
そしてその心残りはおそらく地図か手紙。それを探しておられる。」
「父が自身の持ち物の在処を知らないなんて。そんな事が。」

1497『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/21(木) 22:25:54 ID:ck6/EN9.0
 「死者は自ら望む姿で現れます。確か父上は若い頃の姿で?」 「はい。」
「そういう変化にともなって、記憶が一部欠けてしまうことがあるようです。
いわゆる『幽霊』が自分が死んだのを理解していない事が多いのも同じ理由。」
「それで父は私の事を?」
「はい。おそらく父上の記憶は貴女が生まれる前までで途切れているのでしょう。
だから父上はその在処を知らない。それで。」
「では、その手紙は、一体誰から。」
チリ...視界の端で、銀色の火花が散った。
Sさんは確かに『地図か手紙』と。しかし今、依頼人は確かに。
「当然、母上でしょう。来たるべき時、お二人が再会するために。」
Sさんの集中力が高まっていく。空気は益々緊張感を増した。

1498『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/21(木) 22:26:38 ID:ck6/EN9.0
 「再会、では既に母も...」
Sさんは真っ直ぐに依頼人を見詰めた。
「心中、お察し致します。しかし今は父上の迷いを解き、
お二人の再会を実現するのが一番の大事。」
「でも、その手紙は一体何処に?」
「ですから貴女の心当たりを伺いたいのです。父上から何か。」
「いいえ、私は」 何かを思い出そうとするような、表情。
依頼人は言葉を切って俯いた。 「私は、何も。」
Sさんの目配せ。 俺は立ち上がり、依頼人の傍らに膝を付いた。
深く息を吸い、下腹に力を込める。
『忘れてしまったのです。もう随分と、昔の事ですから。』
依頼人はハッとしたように顔を上げた。 「忘れて?」
『でも大丈夫。すぐに、思い出します。』
依頼人の目から涙が零れた。成功だ。
「怖かったのです。私は。」 「どうして、怖かったのですか。」
注意深く、依頼人の心から流れ込むイメージに同調する。

1499『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/21(木) 22:27:50 ID:ck6/EN9.0
 「◇、これを読んでみて。」 「これ、なあに?」
「お母さんからもらった手紙だよ。読める?」
「うん、読める。え〜と、・・・・・」
「本当に、読めるんだね。」 「だって。」
「ね、◇。約束しておくれ。私が死んだら、この手紙を読んで聞かせるって。」

 突然イメージが乱れ、やがて途切れた。
その記憶を、心の奥に封じてしまったのも無理は無い。
愛する父が何時か死ぬ。そして死んだ父にその手紙を読み聞かせる。
母を知らぬ子に、それはどれほど恐ろしいイメージだったろう。
そして同時に、無垢な心は感じ取っていたのだ。
『読めるんだね』 父の、その言葉に潜む意味。

1500『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/21(木) 22:28:45 ID:ck6/EN9.0
 「父が死んでしまう。私、それが怖くて。」
それは無意識の仕草、だったろう。 依頼人は胸の真ん中辺りに右手で触れた。
間髪を入れずSさんが問いかける。
「今、右手で触れたのは?」 「え?」 「その、右手の下にあるもの、です。」
「これは、御守りで。」 「父上から?」
「はい、幼い頃からずっと...あ。」

 依頼人は御守りの袋を開き、折りたたまれた紙片を取り出した。
ゆっくりと紙片を広げる指先が、微かに震えている。
広げ終えると、依頼人は紙片を持ち替えて半回転させた。
「読めますか?」 「はい。」
「父上から託された時と同じ、ですね?」 「そう、思います。」
やはり何か、とんでもないものに関わっている。背筋が冷えて、震えが来た。
その紙片、父親から託されたという手紙は、白紙だった。

1501『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2017/12/21(木) 22:29:28 ID:ck6/EN9.0
 「父上の迷いを解く方法が分かりました。」 「それは、どんな?」
「7時55分、此処でその手紙を読んで下さい。
一言一言しっかりと声に出して、父上に聞かせるおつもりで。
同時に、私たちはある場所で儀式を行います。
タイミングが重要ですから、7時55分ぴったりにお願いします。」
「本当に、それで父の迷いは...私は未だ。」
Sさんは立ち上がり、テーブルを回り込んだ。依頼人の傍らに片膝を着く。
「我らが一族と、私自身の名に賭けて。ですから、どうか。」
「分かりました。あなた方を信じます。」

1502名無しさん:2017/12/22(金) 01:57:24 ID:KoVGbPSAO
藍さんありがとうございます
Sさんの心情を察する配慮と観察力が凄いです

1503あるくむ:2018/01/18(木) 19:07:15 ID:GA7rWdf20
しばらく待機と諦めて、過去エピソードを最初から読み直したら、3日かかりました。通勤の合間だから仕方ないですけど。いつの間にか壮大な話になってたんだと気付かされます。
そして結局、さらに続きが気になるというね。

1504名無しさん:2018/01/19(金) 21:33:51 ID:Y0iFIYOQ0
気長に待つわん

1505 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 22:53:19 ID:Q1cky6XA0
皆様今晩は、本当にお久しぶり。藍です。

『風の花』の投稿を始めて早2ヶ月。
前回の投稿終了後にストップがかかり、
思わぬ長期間が過ぎてしまいました。

知人と私が問題ないと感じても、決して確認を怠ってはならない。
皆様の御期待を裏切り続けてしまったことは心からお詫び致しますが、
それは今後も投稿を続けるために不可欠だったと思っています。

さて、ようやく結末まで投稿する許可を得ました。
不自然に思われる部分は以上のような事情によるものと御理解下さい。
では『風の花』結末まで、お楽しみ頂けると良いのですが。

1506『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 22:55:12 ID:Q1cky6XA0
 約束の7時55分まであと1時間、ワゴンは姫の運転で山道に入った。
子供達の寝息を包み込むように、力強いエンジン音が響いている。
「何故、母親の事を教えて上げなかったんですか?
いや、むしろ彼女も一緒に来て貰った方が良かったんじゃ。」 
Sさんは少し困ったように微笑んだ。
「神の子、と言えば聞こえは良い。天女女房系の神婚説話なら、
残された『神の子』は大人物になるのがお決まりだし。」
「それだけじゃない、って事ですか?」
「神の子は、重要な『使命』を帯びて生まれる。そういう意味で伝承は正しい。」
「使命...天命とは違うんですね。」
「私たちが力を持って生まれ、術者になったのは天命。
でもどんな依頼を受け、どんな風に仕事をするかまで決められている訳じゃ無い。
使命はもっと詳細で具体的だとされてるの。
何々の国の王になる。あるいは何々の一族の始祖になる。」
「選択の、余地がないって事ですか?」 「ご名答。相変わらず、冴えてる。」
Sさんはコンビニで買ったコーヒーを一口飲んだ。

1507『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 22:56:09 ID:Q1cky6XA0
 「神々の世界と私たちの世界は、重なって存在してる。
神々の世界の一部として私たちの世界が存在する。そんな感じかしらね。
ただ神々と私たちの在り方は違うから、2つの世界の間に時々歪みが生じる。」
「神の子は、その歪みを解消する使命を帯びて生まてくれる、と。」
「そう。生じる歪みを予知し、破綻を防ぐために挿入される、因子。」
世界の歪み。その予知と対策。それは確かに、神々でなければ不可能な、御業。
「だから神の子は王や始祖として人々を導く。」
「そう、あるいはその命を贄として、世界と時の流路を変える。」
「贄?」 「誰にも知られずに、ね。そういう使命も、あると聞いたわ。」
神々の血に連なる命、それを贄として。誰にも知られずに?
Sさんが依頼人に母親の正体を話さなかった理由が分かった気がした。
そして不自然とも思えるほど、礼を尽くして依頼人に接した理由。

1508『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 22:56:58 ID:Q1cky6XA0
 Sさん自身が幼くして、両親との別離を体験した。だから。
逃れられぬ『使命』を背負う少女に、心の奥深くで共鳴しているのだろう。
「彼女も薄々気付いている。自分が他人と『違っている』事に。
だけど使命を知るのは、その時で良い。知らなくてもその時は来るのだし、
例え本人が知らないままでも、使命は必ず果たされる。」
世界に生じる歪みを解消するためと知れば、自分の死を受け入れられるだろうか。
しかし『本人が知らないままでも使命は必ず』って...。
神の子の光と影。影も、光と同じだけ存在してきたのだろうか。

1509『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 22:57:53 ID:Q1cky6XA0
 「もう1つ、質問があります。」 「何?」
「質問の前に確認を。神の子を産むために神が人と結婚するのだとしたら、
神の子が生まれた時点でその目的は果たされる。だからほとんどの場合、
その関係は短期間しか続かない。そういう理解で良いですか?」
「それで良い、と、思う。」
「それなら妊娠までの期間は、短ければ短い程良い筈ですよね。
何故、この件では妊娠まで2年もの月日が?」
神の化生なら当然、望む結果を実現させるのに十分な力を持っているだろう。
妊娠するのに、2年もの期間など必要ない筈なのに。

1510『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 22:58:55 ID:Q1cky6XA0
 子供達は皆寝ている。Sさんは黙って丹の頭を撫でた。
不意に、運転席から姫の声。
「神の子を産むための出逢いじゃなかったから。私は、そう思います。」
「それは、どういう?」 
「年神様はその男の人を本当に愛しておられたのでしょう。
だからこそ今、哀しみに心を閉ざしておられる。
死後の再会を誓っていたけれど、何か重大な手違いが起きた。
それでその男の人の魂が迷い、未だ再会出来ないんです。」
「手違い?」
確かに、今までの経験からして、神々と言えど全能ではない。しかし。

1511『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 23:00:22 ID:Q1cky6XA0
「多分、Lの言う通りだと思う。」 「どういう、事ですか?」
「その男の人は昔、★山で遭難したってお話でしたよね?」
「はい。誰もがあきらめていたけれど、全くの無傷で...そうか。」
季節外れの、とんでもない大雪。真冬の重装備でも助かるかどうかの。
しかし、依頼人の父親は助かった。怪我1つなく。それが神様の御加護だとすれば。
しかも年神として冬を統べる期間以外、その神様は★山に祀られている。
おそらく2☓年前、その大雪の夜に出逢ったのだ。
「その日、連れて行く事も出来たのに、そうしなかった。
人の世で、その男の人の妻として暮らすことを望んだから。」
バックミラーに写る姫は微笑み、Sさんは小さく頷いた。

1512『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 23:01:25 ID:Q1cky6XA0
 「きっと、何か事情が変わったのね。
突然『神の子』が必要になって、その御役目が陰神さまに託された。
既に私たちの世界に降りている神様なら、新たに派遣するよりずっと早いから。」
「そんな事情でも、子供と離れなければいけないんでしょうか。」
だって、今の今まで、俺はただの1つも知らない。
『母親』が最後まで夫や子と一緒に暮らしたという天女女房系の伝承を。何故?
「その男性を愛していたから、当然、生まれた子は愛しい。
でも、むしろそれは稀なケースでしょう。
ほとんどは、神の子を生むための関係ですから。それでも。」
不意に黙った姫に替わり、Sさんが言葉を継いだ。

1513『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 23:03:10 ID:Q1cky6XA0
 「どんな、どんな事情があれ自分が産んだ子は、愛しい。」
そうだ、以前も聞いた事がある。神や高位の精霊と、人の倫理感の乖離。
「だからこそ、その愛情が子供の運命に干渉し、『使命』を妨げてはならない。
愛しいからこそ、子供と離れる。そういう、定めなんでしょうね。」
ならば、あの少女も母親に愛されていた、いや、愛されている。そう信じたい。
母親と別離れた定めは、愛されていたから、と。

1514『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 23:03:59 ID:Q1cky6XA0
 「あの少女を1人で、一生掛けて育てるために男性は人の世に残った。
そして神様は少女のために、男性が人生を全うするまで待っていた...」
「そうとしか、考えられない。今回の件は、そのために起きた手違い。」
「きっとその男の人は誓いを立てたんだと思います。」 「誓い?」
「その子が一人前になるか、自分の命が尽きるまでは、必ず傍にいる、と。」
「それなら何故、こんな手違いが。」
「幸いにして、愛する『半身』を失う辛さを私たちは知らない。
でもそうなったら、1人で耐えられるかしら。日々の生活に、子育ての重圧に。
子を残して、『半身』の後を追った例は少なくない...もし私が」

1515『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 23:05:03 ID:Q1cky6XA0
 確かに。 今、Sさんと姫を失ったとして。それでも俺は子供たちを?
そうか。その男性は自ら退路を絶ったのだ。愛する妻と、娘のために。
「だから『手紙』を娘に託したんですね。再会の方法か、場所が記された手紙。
その指示に従うのは必ず、自分の役目が終わってから、と。」
「そう、その男性は自分の、人間の弱さを良く知っていたから。
でも陰神様は違う。どれだけその男の人を、娘を愛しても、
人間の弱さを正確には予測出来なかった。
弱さを克服するために、人が一体何をするかということも、ね。
間違いなくそれが、手違いの原因。」

1516『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 23:06:33 ID:Q1cky6XA0
 その時、俺は理解した。
天女女房系の神婚説話が必ず、人間の『狡さ』や『裏切り』に言及する理由。
倫理の基準は違っても、愛した人間を神々が疑う事はないし、迷う事もない。
しかし、人の心はそこまで強くはない。伝承はおそらく、それを暗示している。
この件も同じ。人の心の弱さゆえに、男性は娘に手紙を託し、娘はその記憶を封じた。
心の弱さは人の欠点。しかしそれが『覚悟』を生むのなら、美点であるとも言える。
その時、滑らかだが無機質な電子音声が響いた。GPSと連動した、最新鋭のナビ。
『次ノ交差点ヲ左折、目的地マデ約2km、デス。』
「さて、いよいよね。翠を起こして。儀式の前に最終確認。」
斜陽に染まる山道の奥、目的地の御社が見えた。
6時半。約束の時間まで、あと25分。

1517『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 23:07:38 ID:Q1cky6XA0
 6時45分に姫が『青の宝玉』の力を借りる。それが、儀式の始まり。
御社の周りに雪が降り出したところでSさんと翠が謡で陰神さまの注意を引く。
それから少し遅れて、あのお屋敷では依頼人が手紙を読み上げる。
俺たちには読めない、白紙の、手紙。
それがSさんが指示した段取り。今回、俺は藍と丹の子守担当。
『陰神様が御心を閉ざしたままでは話にならない。』
以前そう言ったのは他ならぬSさん。
宮司たちの声も届かないのにと訝しむ俺に、Sさんは微笑んだ。
『御心を閉ざした神様に振り向いて頂くなら、特に陰神様なら策はただ1つ。』と。

1518『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 23:08:58 ID:Q1cky6XA0
 「そろそろ時間。L、お願い。翠も、準備良いわね?」
最終確認の後、Sさんは胸の前で柏手を1つ。それが『始まり』の合図。
首に掛けていた『青の宝玉』を、姫は両掌で捧げた。古い言葉が空に溶けていく。
しん、と、空気が冷えた。
宝玉が漆黒から深い青に色を変え、柔らかな光に包まれる。
何時の間にか、辺り一面を綿雪が舞っていた。 何と不思議な光景だろう。
数多の星が瞬き始めた雲一つない蒼空。そこから舞い降りる風の花。
それらは地面に降りると幻のように消える。
地面の温度が零下でないから融けるのか、あるいは現実の雪ではないのか。
その光景はまるで、御社の周りを祓い清めるかのようだ。
「お父さん。ホントに、雪がふったよ。すごい。」 藍が小声で囁いた。
「そうだね。でも今は黙って、お母さんとお姉さんたちをしっかり見ているんだよ。」

1519『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 23:09:46 ID:Q1cky6XA0
 藍が小さく、しっかりと頷いた直後。

 『目出度い、今夜は本当に目出度い。』
しっとりと柔らかな、落ち着いた声。Sさんの謡。

 『もし、そこな巫女。一体、何がそんなに目出度いと言うのか?』
鈴を振るような声がそれを追いかける。これは翠の謡。

 術者に成り立ての頃、古の言葉を聞き取れず、当然その意味も分からなかった。
だが俺の適性と修行の成果か、今はその意味をほぼ理解できる。
ただ、これでは役割が逆ではないか? 本来なら、翠が巫女の役を。
年齢や役割の設定からしても、その方が自然なのに。
俺の些細な疑念をよそに、二人の謡は淀みなく続く。

 『その眼は節穴か。この雪を見よ。ようやく年神様が御渡りになり、冬が来る。』
『何を言う。年神様は未だこの御社にお籠もりの筈であろう。』

1520『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 23:10:39 ID:Q1cky6XA0
 『天岩戸』の故事をなぞる。 新たな年神様が現れたと偽って、陰神様の気を。
しかしこれは、危うい。確かに、Sさんと翠の2人なら◎命の役を。
だが、僅かに開いた岩戸を押し開く●の命。
もし、Sさんの見込みと違ったら、一体誰がその役を務めれば良いのか。
姫の『声』や俺の言霊はもちろんだが、Sさんですら、そんな力を持ってはいない。
いや何よりも。偽りで神を騙れば、相応のリスクを背負うことになる。
おそらくSさんの策以外に方法はない。それは確かだ。
しかし、神々と人の倫理観は異なる。
再会を媒することが出来ても、それでリスクを避けられるとは限らない。
もしその方便を咎められるとしたら...
!? そうか。だからSさんが新たな神の出現を騙る巫女の役を。
もしもの時は自分一人がその責を負う気で。そんな。

1521『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 23:11:28 ID:Q1cky6XA0
 『新たなる神。年神様が、この地に冬をお恵み下さる。』
『新たな年神様とな。ならばそれは、一体どのような神であるか。』
Sさんは右手で大きく撫でるように地を掃き、次いで静かに天を指した。
『その御威光もて冬を統べる、青き龍の神。目出度い目出たい。』

 微かに、地面が揺れた。何か途方もない気配が御社の地下から。
姫は微笑んで、宝玉を首にかけた。その色は元の漆黒に戻っている。
それなら今、此処に降っている雪は...
気配は湧き上がるように地下から御社へ。
今、その注意は確実に俺たちに、いや、Sさんに向けられている。
思わずSさんの顔を見た、もしもこの後の筋書きが狂ったら。
「大丈夫、●の命のお出ましだわ。ほら。」
Sさんの視線を辿る。御社の正面に、初老の男性が立っていた。 
夜目にも鮮やかな、銀白色に光る髪。

1522『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 23:12:08 ID:Q1cky6XA0
 『・・り・・・約束・・・・は・・の・まえ・・・・・・・て・・』

 間違いない。男性の声、だ。
気配は今、その男性に注意を向けている。思わず溜め息。これで多分、大丈夫。

 『・・・玻璃・・・約束の言葉は君の名前・・・・待たせて・・』

 突然流れ込んだ映像と会話が、俺の意識を埋め尽くす。酷い目眩。
足下の地面が消え、地中深く落ちていくような。藍と丹を、強く抱き締めた。

1523『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 23:12:43 ID:Q1cky6XA0
 「あの、ね...あ、そうだ。10時からTVで。」
「ふふ。もう5回目だよ。そろそろ話してくれても良いんじゃない?
別れ話だとしても、驚かない。最初から君と僕とでは到底釣り合わないと思ってた。
...もし今度の里帰りで君の御両親から。」
「違う。そんなんじゃない。」 「それなら一応安心。それなら何を?」
「出逢った日の事、憶えてる?」
「初めて君が職場に来た時なら...でもわざわざそんな事、もしかして。」
「もしかしてって、何?」
「職場で出逢う前から、君によく似た人の夢を、見てた。」
「どんな、夢?」 」 「笑わない?」 「笑ったり、しないわ。」
「何だか柔らかくて暖かくて、眠い。その時、眼の前に、女性の顔が。
『寝てはいけない。』って。その女性が君にとても似てて。え、待って、何?」

1524『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 23:13:33 ID:Q1cky6XA0
 「3年前、大雪の中であなたを助けた。憶えててくれたのね。」
「あの大雪の...助けたって、どういう事?どうして君が。」
「笑わない?」 「笑わないよ。」
「きっと、信じてくれる?」 「信じる。多分、いや、絶対信じる。」
「私の実家での仕事。少しだけ、話した事があったでしょ?」
「新しい年を統べる神様をお祀りするために、だから毎年秋の終わりから。」
「本当は、私が祀られる立場。」 「...?」
「あの日の大雪は、私が降らせたの。『侵入者』を退けるためには、仕方がなかった。
当然、山の者達は予め察知して難を逃れた筈だったけれど、
どうにも胸騒ぎがして見回りに出た。それで、見つけた。
急拵えの雪洞。その中で雪に埋まっていたあなたを。
私、どれだけ驚いて、どれだけ嬉しかったか...」

1525『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 23:14:16 ID:Q1cky6XA0
 「僕は...変、なのかな?」 「どうして?」
「あの大雪を降らせたのも、凍死していた筈の僕を助けてくれたのも、君。
それに、『祀られる立場』って。そのまま受け取るなら、君は神様、だ。」
「その通りよ。私は。」
「そんな突飛な話を、何故か嘘だとは思えない。むしろ、それでやっと納得できる。
あの日すっかり雪に埋まっていた僕が普通に目を覚まし、
凍傷の1つさえ負わなかった訳が。だけど。」
「だけど?」
「何故君みたいに素敵な女性、いや、神様が僕を助けたのか。
助けただけじゃなく、その、こんな風に一緒にいてくれるのか。それが分からない。
僕が、そんな価値のある人間だとは、とても思えないのに。」

1526『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 23:14:56 ID:Q1cky6XA0
 「ずっと、ず〜っと昔。私とあなたは一つだった。
もうそれが何時だったのか分からない位、昔に。
私とあなたは分離した時に約束した。必ずもう一度、と。」
「僕は君の、欠片ってこと?小さな、小さな。」
「力の大小と、魂の価値は関係ない。旅立ち、成長し、何時の日か還る。
あなたを見つけて、『その時』が近いと分かったけれど、
あの晩は未だ、『その時』じゃなかった。
だから出来るだけ一緒に暮らして、待つつもりだったわ。」

 「『だった』って事は何か、事情が変わったんだね。一体何?」
「子供が必要になったの。使命を託すために。」
「君と僕の、子供?」 「そう。」
「一緒に暮らして、子供が生まれるのは自然な事だよ。何故わざわざそれを。」
「...子供に使命を託したら、私は此処にいられなくなる。」
「まるで、天女伝説みたいだ。でも、君を失ってまで、子供を。」

1527『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 23:15:35 ID:Q1cky6XA0
 唐突に、目眩と耳鳴りが治まった。
戻ってくる。膝をついた地面の感触と、抱きしめた藍と丹の体温。
「Rさん、最後の仕上げです。」 姫の声に促されて立ち上がる。
既に御社の中の気配はなく、男性の姿も見えない。
雪は降る勢いを増し、白い闇となって御社と俺たちを包んでいた。
片膝を付き、Sさんは小声で何事か呟く。恐らくは『再会』を言祝ぐ言葉。
そのこめかみを伝う、この寒さの中で、冷や汗?
「これで冬が、新しい年がやってくる。」
ゆっくりと立ち上がり、ようやくSさんの表情が緩んだ。
当然だろう。さっきの儀式のリスクは『禁呪』をはるかに上回って。
今更に、Sさんの覚悟を知る。

1528『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 23:16:29 ID:Q1cky6XA0
 「さあ、帰りましょう。急がないと私たちが凍えちゃうわ。」
そうだ、この調子で降り続いたら...
ランタンモードにして床に置いていた大型のLEDライト。
そのスイッチを前照灯モードに切り替えた。
俺が藍を、姫が丹を抱く。車を停めた場所までは多分200mと少し。
一歩踏み出した。ライトに照らされて浮かび上がるSさんと翠の後ろ姿。
立ち止まり手をつないだままで、2人は正面を見詰めている。
さらに一歩。横に立って、2人の視線をライトで辿った。

1529『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 23:17:22 ID:Q1cky6XA0
 小さな階段。その先の地面には雪が積もっていない。
この雪の勢いで、まさか。
ゆっくりとライトを左右に動かし、辺りの様子を探る。
露出したままの地面は幅10m位。
御社の正面から前方へ、まるで緩やかにうねる道のように。
このまま車まで続いているとしたら長さは200mを越える。
この御社は、数十kmを隔てた◇★神社に正対していると聞いた。
そして、二つの御社を結ぶ線上に◇★湖。
ならばこの『道』は。上空で雪を遮っている『存在』とは。
『みんな、上を見ては駄目よ。さあ、前へ。』
振り向いたSさんは、唇に人差し指を当てて微笑んだ。
それは、雪を遮っている『存在』への敬意。
方便を咎められなかったし、『再会』を媒することも出来た。
そして今、俺たちの帰り道が雪から守られている。
それなら多分、その御姿を見ても咎められる事は無いのだろうけれど。
俺たちは眼を伏せたまま、不思議な道を歩いた。

1530『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 23:18:00 ID:Q1cky6XA0
 ◇★湖で『御神渡り』が起きたのは、その日の深夜だったと聞いた。
一般に、『御神渡り』が知られている湖はわずか。
ネットの情報では「日本では諏訪湖だけ」というものさえある。
だがこれは正確ではない。氷の体積変化によって起こる現象とするなら、
湖面が全氷結する湖の全てで、それは起こり得る。
ただ、それが『御神渡り』かどうかを神官が認定し、
結果を公表するのが諏訪湖だけ。だから諏訪湖以外で同じ現象が起きても、
本来の意味での『御神渡り』ではない。何よりも。
古い伝承が息づく地域では重要な神事を公開しない場合も多い。
つまり神官が『御神渡り』と認定しても、公表しない事例がある。◇★湖もその例。
諏訪湖より南に位置するが、標高が高いので全氷結する期間がある。
しかし、その現象が起きる事は公にされていない。
かなり人里から離れていて、その痕跡はすぐに消える。
まれにその湖を訪れる旅人がそれを偶然眼にする機会も皆無と言って良い。
多分、◇★湖の他にも

1531『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 23:19:25 ID:Q1cky6XA0
 「お父さん。」
心臓が、止まるかと思った。つい、画面に集中してて。
「そろそろ夕ご飯の準備って、お姉ちゃんが。」
するりと、翠は俺の膝の上に座った。
「あ、これ...」 画面右下の写真に見入っている。
『御神渡り』で画像検索して表示された数々の写真。
「お父さん、これ、神様の通った跡でしょ?」 指さしたのはやはり右下の一枚。
「そう、『御神渡り』。でも、他のは違うの?」 「違う。」 「どうして?」
「だってほら、これには神様の色が残ってる。他のはそうじゃない。」
色? 例えばオーラのような?

1532『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 23:20:05 ID:Q1cky6XA0
 どの写真の氷も俺には白一色。しかし、翠はその中の一枚に。
「お父さん。お父さんてば。」 「あ、ゴメン。何?」
「通った跡なのに、こう、なってるのは何故?」
翠は両手で大きく山の形を描いてみせた。
「足跡ならへこむはずだよ。なんでかな?」
理由は分からないけど、足跡とは違うと思う。」 「足跡じゃないの?」
「昨日の神様が通った後も、氷がこうなったって、お母さんが言ってたから。」
「...そっか、空を飛んだら、足跡つかないね...」
一瞬で、深い思考に入る。
空気の動きまでも止めるような、翠の集中力はSさん譲り。

1533『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 23:21:28 ID:Q1cky6XA0
 突然、空気が動いた。 「分かった!」
するりと俺の膝から床へ。一歩踏み出してから、翠は振り返った。
「行こう、お父さん。遅れたら怒られるよ。」
「翠、ちょっと待って。分かったって、何が?」
「え?」 「神様の通った跡が、こう、なってる理由。」
「翠が思ってるだけで、間違ってるかも知れないし。お父さんも自分で考えて。」
「そんな、意地悪しないで教えてよ。ね、お願い。」
「翠は、お父さんに意地悪、なんか...」 翠の眼がじわりと潤む。
マズい。慌てて抱き上げた。

1534『風の花』 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 23:22:26 ID:Q1cky6XA0
 「ゴメン、言い方が悪かった。翠はお父さんより『見える』からさ。」
俺を見詰める、綺麗な瞳。何とか最悪の事態は免れそうだ。」
翠を抱いたまま、廊下に出る。キッチンへ。
「翠が考えた理由を教えてよ、間違ってても良いから。
もちろんお父さんも自分で考える。それで、どっちが正解に近いか
一緒にお母さんにも聞いてみよう。」
「うん。じゃあ今はお母さんには内緒。」 翠は俺の耳に口を寄せた

 「あのね、神様が通るときに、湖から...」
夕食の後でそれを聞いたSさんは、「ほとんど正解」、そう言って翠を抱き締めた。

〜風の花〜 完

1535 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/22(月) 23:26:10 ID:Q1cky6XA0
皆様今晩は。再び、藍です。

もうストップがかけられないよう、全速で投稿しました。←馬鹿、ですね。
少々疲れたので今夜は此処で。
お付き合い下さった皆様に心からの感謝を。それでは御機嫌よう。

1536名無しさん:2018/01/23(火) 10:53:19 ID:sd2Cpl8UO
藍さんありがとうございます。
翠ちゃん可愛い。

1537あるくむ:2018/01/24(水) 07:35:37 ID:sQroarP20
なるほどそういう事情でしたか。時間がかかるのも納得。
ところで、娘さん側のエンディングがなかったのは何故でしょう。いずれ別のエピソードへの布石と、勝手に期待。

1538名無しさん:2018/01/28(日) 21:48:51 ID:YTkhnChoO
藍さん,ありがとうございました。今回も,とても面白かったです。説話と神事が,時代を超えて今交錯する,興味の尽きない物語でした。

1539 ◆iF1EyBLnoU:2018/01/29(月) 22:33:50 ID:LQUrpNg60
皆様今晩は、藍です。

>>1481
>>1483
>>1493
>>1502
>>1503
>>1504
>>1536
>>1537
>>1538

何時もながら、皆様の暖かいコメントに心からの感謝を。
今回は特別な事情がありまして個別の返信は遠慮しておりますが、
コメントは全て有り難く拝読し、日々の励みにしております。
また知人にも伝え、ともに喜びたいと存じます。
本当に、有り難う御座いました。

1540名無しさん:2018/04/03(火) 09:14:21 ID:qERA8PnsO
時は春。
新作の予感…だったらいいな。

1541匿名希望:2018/04/04(水) 10:34:26 ID:tTv6S6Ws0
裏返しの話。

裏返しになって死んだ人を見た事ありますか❓
まるで洋服や靴下をひっくり返したようになって死んだ人を見た事はありますか❓

この話を聞いて二時間以内に同じ話をしないと同じ目にあって死んでしまうそうです。

よくある都市伝説です。

1542匿名希望:2018/04/04(水) 10:38:16 ID:tTv6S6Ws0
裏返しの話。
裏返しになって死んだ人を
見た事はありますか?
まるで洋服や靴下をひっくり返したように
死んだ人を見た事はありますか❓

この話を聞いて二時間以内に同じ話をしないと裏返しになって死んでしまうそうです。

よくある都市伝説です。

1543 ◆iF1EyBLnoU:2018/05/11(金) 22:29:09 ID:pkVwNHPA0
テスト

1544 ◆iF1EyBLnoU:2018/05/11(金) 22:58:46 ID:pkVwNHPA0
 皆様今晩は、藍です。

 振り返れば、こちらの掲示板に初めて投稿したのは 2012/12/06 です。
もう5年以上が過ぎたのですね。本当に長い間、お世話になりました。
投稿したお話も40話を数え、これまでの投稿で、
知人と私の役目は十分に果たしたかと存じます。また、これ以上
こちらの管理人様にまとめの作業をお願いするのも心苦しく。

 突然ではありますが、知人とも相談し、私なりに色々考えて、
こちらでの投稿を終了することに決めました。
現在のところ、他の掲示板への投稿や自費出版等は考えておりませんし、
今後のコメントへの返信も致しません。

 これまで有難う御座いました。それでは、御機嫌よう。

1545名無しさん:2018/05/11(金) 23:00:48 ID:RP/GLObsO
長らく貴重なお話を投稿して下さりありがとうございました
お疲れ様です

1546名無しさん:2018/05/12(土) 00:09:55 ID:oQpHG34MO
長い間、素敵な話を読ませて頂き有難うございました。

1547名無しさん:2018/05/13(日) 14:42:09 ID:r4/lWx1c0
ありがとう

1548名無しさん:2018/05/14(月) 18:53:15 ID:YdJU/5goO
泣きたいほど残念です…でも本当にありがとうございました。ごきげんよう。

1549名無しさん:2018/05/20(日) 13:27:36 ID:z.Wy3vwA0
キモイ言われたから?

1550名無しさん:2018/05/20(日) 14:29:59 ID:uj9R52UYO
どういう経緯であれ、何度も読み返そうと思える文章で、楽しく読ませていただきました。
ありがとうございました。
ゆっくりしてくださいね。

1551名無しさん:2018/05/21(月) 14:53:16 ID:t1ZztIr.O
初めて書き込みます。とても残念ですが素晴らしい作品をありがとうございました。藍さんのこれからのご活躍とまた何処かで素晴らしい作品を拝見する奇跡を祈っております。貴方の作品を愛する一読者より。

1552名無しさん:2018/05/22(火) 23:59:05 ID:EQT7HDEs0
まとめサイト表示されないんだけど俺だけ?

1553名無しさん:2018/05/25(金) 01:13:22 ID:yqIZd7Yk0
まとめトップから入れない

1554名無しさん:2018/05/25(金) 20:17:29 ID:IWlOmg8M0
終了宣言が出た後、何故かトップのアドレスが変更された。
今までのアドレス末尾に /top.html を付ければ入れるが。
最終話の結末がまとめられないことを考えると、何か事情があるのかも。

1555名無しさん:2018/05/28(月) 03:20:59 ID:VHolo57w0
どういうこと

1556名無しさん:2018/05/28(月) 15:03:09 ID:LaT7ygCE0
目次 /menu.html

1557浩太郎:2018/05/28(月) 21:32:32 ID:II4FCd4U0
藍さんの投稿の初期に何回かコメント入れさせて頂いてから随分経ちました。
今回のコメントを契機にまた最初から読み直しさせて頂き 改めて素晴らしい、美しい物語だったなと感慨深いものがあります。
いつかどこかでまた作品が読めることを心待ちしています。
素晴らしい5年間 ありがとうございました

1558名無しさん:2018/05/29(火) 16:37:42 ID:DJAlFiBA0
>>1554
まとめサイトの管理人と藍さんは別人だろ。
なんで愛さんがまとめサイトを操作できると思ってんだ

1559名無し:2018/05/29(火) 23:33:54 ID:WLurBXGk0
終了宣言が出た後、何故かトップのアドレスが変更された。

これをどうすれば
「愛(藍)さんがまとめサイトを操作できる」と読めるのか分からない。
たまたまタイミングが一致してるって指摘しただけ。

実際一月末には完結した物語がまだまとめられてないんだから、
そのあたりに何か事情があるって考えるのも無理はないでしょ。

例えば管理人さんがプライベートで多忙とか、
もしかして物語の結末にパクリ疑惑があってまとめをためらってるとか、ね。

あと、せめて「愛さん」なのか「藍さん」なのかは統一した方が良い。
作者の名前を間違えるなんて、とんでもなく失礼だし。
何の事情か、それ位1558氏が慌ててるって感じる人もいると思うから。

1560名無しさん:2018/07/01(日) 22:31:38 ID:aDc9OM160
>>1551
そう、私も奇跡を祈っています。
この美しい物語が再び紡がれる日を待ちながら。

1561名無しさん:2018/07/11(水) 17:11:14 ID:zRBX0p4Q0
宮大工シリーズを書かれた方と藍さんは同一人物?何か雰囲気が似てるような…

1562名無しさん:2018/07/12(木) 18:15:18 ID:haJDJquE0
登場人物の名前に共通点が多い「祟られ屋シリーズ」も同作者ですかね?

1563名無しさん:2018/07/21(土) 03:32:24 ID:ruxsBado0
全く違うだろう

1564名無しさん:2018/07/21(土) 23:12:38 ID:Piggv95M0
『宮大工』とも『祟られ屋』とも無関係。
以前、藍さん自身が明言してる。

第一、言葉の選び方や文章の綴り方が全く違う。
感じ方は色々あるんだろうけれど、正直、不思議。

1565名無しさん:2018/08/18(土) 13:15:27 ID:XmpGGHvE0
とんちんかんな書き込みしている人も、みんなファンなんだよなあ。
ほほえましい。

1566名無しさん:2018/08/24(金) 10:05:36 ID:5LRWwbU20
作品見れなくなりましたね。
本当に残念です。
これまで、誠に有り難うございましたm(__)m

1567名無しさん:2018/08/26(日) 14:24:53 ID:ZfQxaBn20
みんなウニに憧れて、結局ウニになれないんだよなぁ・・・

1568名無しさん:2018/08/27(月) 22:46:02 ID:fHjOX0s.0
藍さんだけでなく、読めなくなったシリーズが他にも多数。
管理人さんから説明があって然るべきって気もするけど、
師匠シリーズはまだ読めるから、
1565・1567の書き込みの事情も何となく...まあ良いや。
この様子だと掲示板が何時までもつかも分からないし、
どこかで残す方法があればと思う。

1569名無しさん:2018/09/13(木) 02:50:40 ID:sG6bd8bE0
もう完全に消えたようだ

1570名無しさん:2018/09/27(木) 12:06:31 ID:AoM5i7hY0
menu.htmlと各シリーズの目次はまだ生きてるけど各話のファイルが消えた
藍さんのシリーズは保存済みだったが、祟られ屋シリーズを保存してなかったから
Internet Archiveから掘り起こしてきた
これでいつでも読める

1571名無しさん:2018/10/01(月) 05:25:24 ID:vvJuFVmU0
どうすればいいんですか

1572名無しさん:2018/10/01(月) 05:56:33 ID:vvJuFVmU0
ページ保存でなくコピペしたということ?

1573名無しさん:2018/10/03(水) 17:07:47 ID:pEQ17fss0
「山怖」系はInternetArchivesにもなく本当に失われてしまった
どうなってるんだ?

1574名無しさん:2018/10/04(木) 01:31:39 ID:OydgY.Ys0
藍氏が消えたからさっさとサイト撤退したの?

1575名無しさん:2018/10/04(木) 01:33:18 ID:OydgY.Ys0
InternetArchives
他にもいろいろ抜けて消えている

1576名無しさん:2018/10/05(金) 04:27:21 ID:DxYZJHaoO
やはり批評といえどもマイナス評価は書かないほうがいい
藍氏が消えてしまった

1577名無しさん:2018/10/05(金) 17:24:57 ID:8pgWFP.k0
2000年から15年間にわたって1万を超える怪談を保存し整理して公開してきた歴史的価値のあるサイトだったんだがな
そこらのいい加減なまとめサイトと違って話の出典がハッキリしてるし、これ程の規模の纏まったアーカイブは世界でも稀だったろう
願わくは再公開してほしいが…

1578名無しさん:2018/10/06(土) 00:36:49 ID:cadA2Hy.0
藍氏が止めてからそうなったが
続ける義務もなくなったと?

1579名無しさん:2018/10/06(土) 01:47:26 ID:cadA2Hy.0
放置でいいから残しておいてほしい

1580名無しさん:2018/10/06(土) 13:38:23 ID:SXBH2bFEO
藍物語
漫画化すればよかった

1581名無しさん:2018/10/07(日) 12:31:40 ID:yHmPuIDs0
それにしても隠されたのは川の神様のご指示?
だったらこれがほんとの神隠し。

1582名無しさん:2018/10/09(火) 20:58:03 ID:iEbss6m60
藍さんの投稿のためだけにこのサイトが運営されていたって解釈は
あまりに管理人さん(たち?)に失礼だろう。

他にも、美しく、不思議な話がたくさんまとめられていたのだからね。
だからこそ一体何があったのかと、納得できないんだ。今でも。

1583名無しさん:2018/10/10(水) 09:30:48 ID:YK3CZSFsO
本サイトから切り離してこの掲示板だけでは成立しない
本サイトの稼働が停止しても入り口として置いておく必要があった

1584名無しさん:2018/12/02(日) 20:17:56 ID:97Y3Bu2s0
再開、又は後日談でもいい。もっと読みたい。また読みたい。
でも、この物語も、一期一会なのだろうか。

1585名無しさん:2018/12/03(月) 17:28:35 ID:RmDKPPZ.O
このシリーズが終了宣言したから
まとめサイトのほうも終わった

1586名無しさん:2018/12/03(月) 22:32:45 ID:4.TVKQlE0
今更って気もするけど...

何故か掲示板まとめの作業が滞ったのは1月末。
さらに、4月に入ると、まとめサイトの作品まで読めなくなり始めた。
で、このシリーズの終了宣言が5月。
「終了宣言でまとめサイトが終わった」というのは時系列が矛盾する。
まとめサイトの削除は別の原因だと考えるべき、と思う。

1587名無しさん:2018/12/04(火) 04:02:52 ID:lAVshfjk0
前も1585みたいな事書いてる人いたよね。
何か意図でもあるのかな?

1588名無しさん:2018/12/19(水) 21:59:20 ID:3WkxN10w0
実話って設定…ちょっと無理があったね
しかし長い間お疲れ様でした。

1589名無しさん:2018/12/21(金) 14:11:14 ID:zWN3RZEQO
サイトが消えたのが問題

1590名無しさん:2018/12/28(金) 08:07:40 ID:NAbUHoWg0
消えたのは転載禁止関連じゃないの?
だとしたら利権絡んでるだろうから望みは薄いでしょ

でも、続き読みたいね

1591名無しさん:2019/03/31(日) 15:26:21 ID:u71Ee58o0
どうだろう。洒落怖まとめが読めなくなり、
このすばらしい作品がまとめられた場所が無く、人に紹介しようにも難しい現状を感じる。

差し支えなければ当方ログで保存しているので、
投稿時系列にて再掲する形の専用スレッド(当板)にて、その目的が果たせたらと思ってます。

とりあえず準備をはじめますが、異存のある方がおられたら考え直したいと思います。
特に作者様関連の方のご異存がある場合は、理由の有無に関わらず中止します。

ご意見無ければ準備が整い次第、投稿を開始したいと思います。
といってもおそらくは順調でも1週間以上はかかると思います。その間お待ちします。

皆様いかがでしょうか。

1592名無しさん:2019/04/01(月) 04:02:01 ID:Vr6yMiT6O
まとめアーカイブほしい

1593 ◆iF1EyBLnoU:2019/04/02(火) 23:58:21 ID:iy6zGABA0
テスト中

1594 ◆iF1EyBLnoU:2019/04/03(水) 19:26:00 ID:.OZRE.w.0
皆様、本当にお久しぶり、藍です。

1591様の提案について弟から知らせがありました。
こちらでのまとめが消えてしまった状況ですので、
私たちの作品をまとめる選択肢が他にあるとすれば有難く思います。

今のところ、作者である知人に確認を取る術はありません。
しかし私は、営利目的でなく善意の提案と信じます。ですから
かつて知人が私に与えた権限に基づき、1591様の提案に同意。

『この掲示板に投稿された作品の著作権は作者に帰属する。』
私たちが投稿を始めたときには、そう明記されていました。
ですから、1591様の掲示板への転載に問題は無いと存じます。

1591様の作業を知人も認めてくれたなら、
私たちから1591様へ感謝の証として、
新しいまとめの場所に新作を1つ投稿させて頂きます。

投稿予定時期は今年8月。未だタイトルも未定ですが、
今回のご提案を励みにして、久しぶりに自分を追い込んでみます。
それでは皆様、ごきげんよう。8月に再開できますことを。

15951591:2019/04/03(水) 20:26:31 ID:MhxFyDXA0
藍さんはじめまして。
ご確認いただきましてありがとうございます。

当方としての目的は他者への紹介のしやすさではありますが、
ご懸念ごもっともと考え、この掲示板での転載が良かろうと考えました。

再転載に対する懸念はありますが、
ちゃんとまとめられていれば広告が多々表示される画面より、
よりシンプルに表示されるであろう当板の方が読みやすいであろうと思われ、
機能として勝れると考えられる事より、転載禁止を謳えば事足りるかと思います。

したがいまして、再投稿時の名前欄を『転載禁止』とし、スレッドの1に
『この掲示板に投稿された作品の著作権は作者に帰属する。』
を明記した上で投稿を開始したいと思います。

また、新作が読めるのであれば無上の喜び、現在準備中ですが気合が入ります。
投稿開始まで今しばらくお待ちいただけますよう、よろしくお願いいたします。

1596名無しさん:2019/04/04(木) 04:48:23 ID:xSm9kVmUO
まとめサイトがいきなり消えたからまずい

1597名無しさん:2019/04/09(火) 03:26:46 ID:H8dq.A360
 何だか気になったから調べてみたよ、この掲示板の利用規約。

 今でも「したらばヘルプ」には藍さんの書いた通り、

基本的に投稿された記事に関しては投稿した本人に著作権が存在します
(が、レンタル掲示板のシステム上、掲示板内の著作の管理は
掲示板管理者の判断に一任されている為、掲示板の利用に
「著作権の相乗り、著作者人格権の不行使」が含まれる事も多々あります)。

 とある。ただこの掲示板のローカルルールに、管理者の判断は示されていない。

 さて、ここからが本題。2019年3月26日付で、
「したらば掲示板利用規約」が変更されてるよ〜。そこには例えば

1598名無しさん:2019/04/09(火) 03:28:47 ID:H8dq.A360
利用者は、掲示板への書き込みを行った時点で、当該書き込みに関する一切の著作権
(著作権法第27条および第28条に規定される権利も含みます。)
が運営者に譲渡されることを承諾するものとし、
かつ、運営者および運営者の指定する者に対し著作者人格権を行使しないものとします。

 という記載があるのだな。つまり2019年3月26日以降に投稿された作品の著作権は
この掲示板サービスの運営者に無条件で譲渡されることになる。
(まさか、この変更が過去に遡及して適応されることは無いと思うけど。)

 これを知った掲示板管理者が、投稿者の著作権を守るために掲示板まとめを消した?
今後「この掲示板」に再度投稿される藍さんの作品、それらの著作権はどうなるの?
藍さんたちが不利益を被る事が無いよう、考慮してほしい。

15991591:2019/04/09(火) 07:24:27 ID:oiGj1wCo0
一旦凍結します。

1600名無しさん:2019/04/09(火) 17:10:02 ID:wQlcYHCsO
まじで

16011598:2019/04/09(火) 20:57:27 ID:H8dq.A360
>>1591
>>1599

 藍さんの書いた通り、あなたは信ずるに足る人だと分かった。
『一旦凍結します。』という言葉はきっと、『よりよい道を探る』という意味。
そう信じて、あなたの出す『解答』を、期待して待ちます。本当に、ありがとう。

16021591:2019/04/09(火) 22:40:33 ID:oiGj1wCo0
>>1601
お気持ちはありがたいのですが、今の処妙案もなく、
私一人で出す解答が果たして『より良い』かも疑問でもあります。
皆様のお力もお借りできたら、大変助かるのですが。

16031598:2019/04/10(水) 21:13:44 ID:rPaO/QKM0
>>1602

あなたは『提案』し、私は懸念される事項を調べた。
今後新たな協力者が現れなければ、この状況のままでも仕方ありません。
当然、あなたが気に病むことなどありませんよ。

1604名無しさん:2019/04/11(木) 12:59:42 ID:nUVWKfQ2O
まとめサイトをもとに戻すのが一番よい

1605名無しさん:2019/04/27(土) 22:34:12 ID:VXBkkxXAO
久々にのぞきました
藍さんが来てくれて嬉しい、新作読みたいです
移設が上手くいきますように

16061591:2019/05/05(日) 12:42:08 ID:gBlZVKd.0
どうやら掲示板はどこも同じ問題を抱えそうです。
いっそレンタルスペースで…
 ってそれではまんままとめサイトみたいになってしまいます。その上

問題① 2019年3月26日以降ここに投稿された作品はまとめられない。
      つまり新作はまとめられない事になります。

懸念① syarecowa.moo.jp と同じなんらかの問題を抱えると思われる事。
      その問題点が不明である事。
懸念② そのような許可は作者様サイドからは得られていない事。
懸念③ 当方処置済みのまとめは掲示板投稿用。サイトアップなら多分全てやり直し。
      それは良いとしてhtml化作業等まで考慮すると、結構な時間を頂かないと…。

急がず焦らず、より良い道を探りましょうか。

1607情念の令和歌人 綿木穀物麿:2019/08/15(木) 02:06:55 ID:qMdNSK4g0
こき垂れし 大便の香の 激しければ ズボンのすそに つきたると思ふ

1608情念の令和歌人 綿木穀物麿:2019/08/15(木) 02:14:02 ID:DjAP10yQ0
夏草や オワコンどもが 夢の跡

1609情念の令和歌人 綿木穀物麿:2019/08/15(木) 02:16:13 ID:DjAP10yQ0
大便を 食せと言ひし 面影を 胸に抱きて 三年過ぎぬ

1610情念の令和歌人 綿木穀物麿:2019/08/15(木) 02:17:12 ID:DjAP10yQ0
金ためて やっと買いたる コートかな 小学校前で チンコを出しぬ

1611情念の令和歌人 綿木穀物麿:2019/08/15(木) 02:18:23 ID:DjAP10yQ0
オナニーを せしところをば 妹に見られ そのままパイルドライバー してしまひけり

1612情念の令和歌人 綿木穀物麿:2019/08/15(木) 02:19:06 ID:DjAP10yQ0
銀行の 防犯カメラの 真ん前で ちらりと出ししわがチンコかな

1613情念の令和歌人 綿木穀物麿:2019/08/15(木) 02:20:02 ID:DjAP10yQ0
肛門に 挿したる鮒の びんびんと 跳ぬればチンコ いきり立ちおり

1614情念の令和歌人 綿木穀物麿:2019/08/15(木) 02:20:56 ID:DjAP10yQ0
盆なれば 死者が還ると 言ひし婆に お前が死者に なれよと嗤ふ

1615情念の令和歌人 綿木穀物麿:2019/08/15(木) 02:21:43 ID:DjAP10yQ0
痔のために 排便二時間 かかりおり 便座エースと われをこそ呼べ

1616情念の令和歌人 綿木穀物麿:2019/08/15(木) 02:25:16 ID:DjAP10yQ0
過疎スレや チンコギンギン和歌集に なりにける 夏の夜

1617情念の令和歌人 綿木穀物麿:2019/08/15(木) 02:39:17 ID:DjAP10yQ0
オワコンスレ救済のため、古巣である山怖スレから名作を抜粋して再放送します。


病院いてきた
俺「流し切れなかったウンコの横にお上人さまがいたんです」
医者「そのお上人さま、持ってきました?」
俺「気持ち悪いから流しちゃいました」
医者「あーん、・・・今度出たら捕まえて持ってきてください。
   それからお上人さまの卵がいるかも知れないから、検便していってください」

二時間後 ───────

医者「検査の結果、陰性でした」
俺「あ、じゃあ?」
医者「うーん、一回の検便じゃ分からない事が多いんですよ。
   最低あと二回、一週間後と二週間後に検便持ってきてください」
俺「あの、お上人さまが仮に居て、変な所に潜り込むとどうなるんですか?」
医者「あんまり無いことだけど、肝臓に寄生してたりとかすると厄介・・・」
俺「脳とかは?」
医者「脳にはいると日蓮宗になっちゃうから」
俺「戻れないんですか?」
医者「戻れない・・・」
俺「じゃ、検便持ってきます」
医者「はい、それじゃあ一週間後直接採尿室に持って行ってね」
俺「お世話になりましたあ」

1618情念の令和歌人 綿木穀物麿:2019/08/15(木) 02:40:30 ID:DjAP10yQ0
続けていきます


中学卒業の頃、クラスの友人と僕は奥多摩の六ッ石山に登ろうという話になりました
朝早く立川から青梅線に乗り、奥多摩駅からバスに乗り換え、ダムから徒歩で水根という
山の中腹の集落まで、僕と友人は舗装路を歩きました

そこから先はいよいよ山に入ります
熊注意の看板を見ながら産土神社を過ぎ、細い灌木の中の傾斜を歩いて行きました
すると防火帯と呼ばれる山火事の延焼を防ぐために切り開かれた場所に出ました
体力のない僕は、もうへばって来ており、ここで休憩しようと友人に告げました

友人は体力を持て余してるのか、辺りをほっつき歩いていましたが、突然小走りに戻って来ました
「おい、あれあれ!」

友人が指す方をみると、おかしな事にこんな山に洗濯機が棄てられていました
「誰か棄てに来たんだよ、不法投棄・・・」
「でも中に何か入ってるぜ?」
「なにが?」「・・・・・」
「死体じゃないよね?」「見てみろよ」
「やだよお前が見つけたんじゃねーか」「いーから来いよ!」

友人は僕を呼びつけ、僕も嫌々ながら洗濯機の所へ行ってみることにしました
「おま開けて見ろよ」「おめーが開けろよー」

そして恐る恐る、友人が洗濯機の上蓋に手をやり、そぉーっと開けて見てみました、その時でした
「なっ・・・むっ・・・みょぉぉぉ・・・・ 」

友人はバダンと急に蓋を閉じました
いえ、ボクの耳にもそれはハッキリ聞こえました
「野良お上人を捨てるにしても手が込みすぎている!」

その日から友人の彼は日蓮憑きとして知られるようになりました

1619情念の令和歌人 綿木穀物麿:2019/08/15(木) 02:43:16 ID:DjAP10yQ0
2013年の夏頃でしょうか
山怖スレにてお上人様が大ブームとなりました
あれから早6年・・・



先輩の話。

その昔、盆で東京から田舎者が消えた時のこと。
まだ幼かった先輩は、兄と二人で実家の裏手にある崖で遊んでいた。
と、いきなり兄が上を見上げたまま、口をポカンと開けて動かなくなる。
何を見ているのかと、同じように顔を崖の上へと向けた。

お上人さまが、崖の中腹に張り付いていた。

七つに割れた頭に妙の字入りの袈裟、ご丁寧なことに褌まで妙だった。
裾から覗く白い腿が、妙〜!に強く記憶に残っているという。
その他の特徴はあまり憶えていない。

お上人さまはスルスルと滑らかな動きで崖を登り続け、一番上まで達すると、
そのまま流れるように山奥へ姿を消した。

我に返った兄と一緒に、実家の祖父へ報告しに行く。
「お上人さまが崖を登っていったよ、変なの」

そう話した次の瞬間、祖父は妙な顔になり大声で詰問してきた。
「褌は、そのお上人さまの褌は見ていないだろうな!?」

祖父の妙な顔に驚きながらも、「見てないよ」と返事をする。
すると祖父は心底ホッとした風になり、
「今日と明日はもう裏で遊んじゃいかんぞ、目が合うといかんけん」
と妙な表情で言った。

その年から結局、家で褌を愛用する事になったのだという。

1620情念の令和歌人 綿木穀物麿:2019/08/15(木) 02:47:12 ID:DjAP10yQ0
私が初めてコテを付けたのもその頃の事です。
それはさておき、お上人様シリーズは今は亡き洒落怖まとめには未収録となっております。





SGIルーマニア支部の知人の話。

ドナウ河畔に今では誰も近寄らない古城が立っているそうだ。
そこにはかつてお上人さまがドラキュラを退治したという伝説があるそうだ。

知人が子供の頃数人で肝試しに行ったらしい。
崩れかけた城門を潜るとすぐに広間中央に安置された棺桶が目に入ったらしいが、
そこには紛れもなくお上人さま直筆の御本尊の封印があったそうだ。
知人の制止にもかかわらず一人が封印を取り払うと、
突如「聞いた話ー!」と雷鳥が復活し襲いかかってきたそうだ。
知人が無我夢中で御題目を唱えると、封印を解いた仲間が苦しみだし、
やがて頭が7つに割れるとそこからは白馬にまたがった池田先生の姿が現れたらしい。
先生は「破あ〜!いざなぎ流奥義、仏敵折伏大行進!」
と叫びながら雷鳥に突進したそうだ。
次の瞬間、そこには雷鳥も先生の姿もなく、ただ頭の7つに割れた仲間の死体が代わりに棺桶に入っていたらしい。

知人たちは恐怖のあまり一目散に逃走したものの、
なぜかその後のことは一切思い出せないそうだ。
当時の新聞などを見ても一切記録は残っておらず、
仲間の誰一人連絡が取れないらしい。

1621情念の令和歌人 綿木穀物麿:2019/08/15(木) 02:49:49 ID:DjAP10yQ0
6年前というと、まだまだ改元前ですので、令和歌人ではなく平成歌人と名乗っておりました。



痴人の話。

子供の頃、信濃町のルーマニア大使館のパーティーに招かれたらしい。
池田先生も同席していて、なんみょーほーれんげーきょーを唱えていたそうだ。
するとところ構わず雷鳥が闖入しては「いよっ、雷鳥さん、待ってました!」
とセルフ大向こうを続け、
しまいには警備員と銃撃戦になり多数の死傷者が出たらしい。

池田先生は少しも動じずにゆっくりと雷鳥の前に立ちはだかると、大音声に呼ばわったそうだ。
「破ああああ〜!いざなぎ流奥義、破門返しの風!お上人さまの名の元に、ライチョスよ汝を破門する!」
雷鳥はギョエーと悲鳴を上げるなりピクリとも動かなくなり、
そのまま石像と化したそうだ。

今でも事前に予約して3万ほど包めば見せてもらえるらしい。

1622情念の令和歌人 綿木穀物麿:2019/08/15(木) 03:04:17 ID:DjAP10yQ0
・日蓮宗は不思議な術を使ってお金集めをするという
 その家には子を抱いた鬼神が祀られ、ナムミョウホウレンゲキョウと唱えている

・日蓮宗と付き合うと尻の毛まで毟られる

・昔関東征伐の時、鉢形城の黒澤氏が普門寺の僧を頼り、日蓮宗の瓶を借りてきた
 前田家の手勢が城に火をかけた時、瓶が勝手にくるくると中空を舞い敵兵に向かって飛び、
 中から日蓮が妙ーと言いながら長い頭をぬーと出した
 皆、それを見た者は発狂したり高熱を出して死んだという

・日蓮宗は侮れない
 死んだ母から聞いた

・雪隠の下に日蓮宗が口を開けて上を向いていた
 娘が怖がって外の庭で用を足すことになった


武州東秩父村折原の民俗より

1623情念の令和歌人 綿木穀物麿:2019/08/15(木) 03:05:18 ID:DjAP10yQ0
藩政時代の末、この村に日蓮宗がやってきた
御上人様を信じないと地獄へ堕ちる、法華経を侮ると頭が七つに裂けると教えていた
大内沢の上に草庵を建てて暮らし始めたのだが誰も行こうとしなかった
托鉢にやってきたときに丼を持って来たので嫌になったある嬶が藁たたき槌で殴りつけた
がしゃんと音がして、見てみると足下に御上人さまの像が置いてあり、頭が七つに割れていた

1624情念の令和歌人 綿木穀物麿:2019/08/15(木) 03:06:29 ID:DjAP10yQ0
かったい峠の傍に無明岩がある
俣尾集落では五社神社大祭の夜に、この大岩から日蓮さんが現れて
祭で賑わっていた神社で暴れまわった
神占の人に訊ねたら、全村民日蓮宗になるしか手立てがないという
怒った村の総代が鉄砲打ちをかき集め、翌年の大祭に日蓮さんが現れると
八名の鉄砲の名手が一斉に火蓋を切って日蓮さんを砲撃した
日蓮さんは南無妙、南無妙とふた声上げながら大杉を引き千切って斃れた
日蓮さんの死体は三丈ほどもあり、つるっぱげの頭は七つに割れていたという

1625情念の令和歌人 綿木穀物麿:2019/08/15(木) 03:07:57 ID:DjAP10yQ0
痴人の話。

子供の頃、信濃町のルーマニア大使館のパーティーに招かれたらしい。
池田先生も同席していて、なんみょーほーれんげーきょーを唱えていたそうだ。
するとところ構わず雷鳥が闖入しては「いよっ、雷鳥さん、待ってました!」
とセルフ大向こうを続け、
しまいには警備員と銃撃戦になり多数の死傷者が出たらしい。

池田先生は少しも動じずにゆっくりと雷鳥の前に立ちはだかると、大音声に呼ばわったそうだ。
「破ああああ〜!いざなぎ流奥義、破門返しの風!お上人さまの名の元に、ライチョスよ汝を破門する!」
雷鳥はギョエーと悲鳴を上げるなりピクリとも動かなくなり、
そのまま石像と化したそうだ。

今でも事前に予約して3万ほど包めば見せてもらえるらしい。

1626情念の令和歌人 綿木穀物麿:2019/08/15(木) 03:11:06 ID:DjAP10yQ0
富士宮ルーマニア領事館の知り合いの話。

子供の頃、家族と富士登山をしたことがあるらしい。
運悪く雷鳥の発情期で、登山客に手当たり次第に
「俺のこと好きだろー?」と絡んできたそうだ。
しかし誰にも相手にされないことを知った雷鳥は子供のようにわめき散らし、
しまいには火口に身を投げる素振りを見せ
「お前らも道連れだー!噴火させてやるー!」と死ぬ死ぬ詐欺を続けたらしい。
呆れた登山客を尻目につかつかと雷鳥に迫ったのは何と池田先生で、
怯んだ雷鳥を軽々とつまみ上げると、
「おのれ日顕の傀儡ライチョス!畏れ多くもお上人さま所縁の霊峰を汚すとは!謗法許すまじ!
破ああああ〜!いざなぎ流奥義!フジヤマタイガー原爆頭突き!」
とパチキ一発で雷鳥を駿河湾まで放擲したそうだ。
池田先生恐るべし。

1627雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/15(木) 13:33:58 ID:DjAP10yQ0
tst

1628雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/15(木) 13:36:36 ID:DjAP10yQ0
知り合いの話

彼は登山が好きな男だった。いろいろな食材を持っていって山で料理して食べるのを楽しみにしていた。
山で飲む食後のコーヒーも大好きであった。そしていつものように山でキャンプをした。
三日目に入り食料も残り少なくなってきた。しかしまだ下山しないで山での
時間を楽しみたかった彼はその場で食料を調達することにした。
そして彼はある道具を取り出した。クロスボウである。
早朝テントの近くを見回すと雷鳥がいた。狙いを定めて引き金を引いた。
グサッ
完全な違法行為であったが気にしなかった。
彼は仕留めた雷鳥を丸焼きにして食べた。

1629雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/15(木) 13:37:57 ID:DjAP10yQ0
知り合いの話。

彼はかつて漢方薬の買い付けの為、中国の奥地に入り込んでいたことがあるという。
その時に何度か不思議なことを見聞きしたらしい。

「私の旧い知己にですね、変わった研究をしている者がいました。
 彼曰く、とある山奥に大きな河があってですね、そこに鮫がいるというのですよ。
 人を襲うほど大きくはないらしいですが、肉食で鮫そっくりの姿形なのだとか。
 彼は便宜上“河鮫”と呼んでいました。
 体色がほとんど白に見える灰色で、微かに桃色がかっていたそうで。
 最初に聞いた時は淡水イルカじゃないかとも思ったのですが、彼は生物学の先生でも
 ありまして『いや絶対にイルカではない』と断言していました。
 ……小さな声で『厳密には鮫でもないかもしれないが』と付け加えてましたけどね」

「非常に臆病な性質らしく、発見することさえ大変な生き物だったというのですが、
 この鮫に噛まれたという漁師の話が、彼の興味を引いたそうで。
 それがどんなに酷い咬傷であったとしても、短期間で綺麗に治るらしいのですよ。
 傷跡も残すことなく、それどころか噛まれた周辺の皮膚がまるで赤児のそれのように
 ピチピチに若返って見えたそうで」

「彼は、この鮫が特殊な物質や酵素などを分泌しているのではないかと考えていました。
 『その内に大発見をして、自分の名前を後世に残してやるぞ』と笑っていましたよ」

1630雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/15(木) 13:38:42 ID:DjAP10yQ0
友人の話。

キャンプ場で一緒になった登山者から、こんな話を聞いたという。
「その昔、ここいらの山には化け物が出たって言われてたんだ。
 山道を歩いていると、いきなり足が地面に縫い付けられたようになって、
 もんどり打って転けてしまう。
 何だ何だ?と足下を確認すると、いつの間にか草履に太い釘が打ち込まれていて、
 しっかりと大地に固定されているんだと」

「『槌お化け』と呼ばれたその化け物は、誰にも姿を見せたことがないんだって。
 今は出たっていう話なんか聞かないけどね。
 昔の草履と、最新の登山靴とじゃ、勝手が違うんだろうさ」

そう聞かされて、一緒になって笑ったが、ちょっとだけ気になることがあった。

「そこのキャンプ場でテントを張るとね、ペグが何本か、がっつりと頭まで
 土の中に埋まっていることが時々あるんだ。
 誰かの悪戯だと思ってたんだけど、この話を聞いてから、嬉しそうに槌を振るって
 ペグを打ち込んでいるお化けの姿を想像しちゃって……」
彼はそう言って苦笑した。

1631雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/15(木) 13:39:52 ID:DjAP10yQ0
先輩の話。


秋口の山に、単独で入っていた時のこと。
そろそろ寝ようかと、まだ新品だった一人用テントの中でシュラフを広げていると、
背後で聞き慣れた音がした。


放屁の音だった。
しかしその時、先輩は屁などしていない。
仰天している内に、やがてゆっくりと、しかし確実に、厭な臭いが迫ってきた。

「どこのどいつだ、俺のテントで屁をこきやがったのはっ!?」
我に返ると逆上してしまい、テントから勢いよく飛び出すと、中に風を送り込んだり、
周りの闇に向かって威嚇の声を上げたり、地面を転げ回ったりしたという。

「それ以上、変なことは起こらなかったけどな。
 でもあの時の犯人、絶対に芋か牛蒡食ってたぜ、腹立つわ〜!」
一発でいいから殴ってやりたかったと言う先輩の目は、正直怖かった。

1632雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/15(木) 13:42:53 ID:DjAP10yQ0
>>1さん、乙であります。
このスレでもポツリポツリ書き込みしますので、暇でしたら見てやって下さい。

それではまた、別の夜に。
雷鳥でした。

1633雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/15(木) 20:08:02 ID:DjAP10yQ0
誰もいないようなので、私の過去作専門スレッドということで異議はありませんね。


\イギナシ!/ \イギナシ!/ \イギナシ!/

それでは気が向いた時にぼちぼちと書き込みます。
それではまた、別の夜に。
雷鳥でした。

1634雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/15(木) 20:20:30 ID:O4Gufmnk0
「おっ!雷鳥さん来てたのか、乙!」
そんな素っ頓狂な声が創価学会幡ヶ谷支部に響き渡った
それは先程から講話の最中でもタブレットをひーこひーこ弄ってる、
始終口のポカンと開いた五分刈頭の18〜9くらいの青年、ライチョス君(仮名)だった
その目は焦点があまり合ってない
彼はまだ入信して日が浅かった

そんな彼の前にぬっと立ちはだかった男が居た
学会渋谷学区男子部副部長牛窪叉裂(うしくぼまたさけ)君だ

牛窪君「君は、お上人さまの凄いお話に集中できないようかい?」
ライチョス君「フゥ!雷鳥さん、乙!」
牛窪君「僕は雷鳥さんとかじゃないよ、君はお上人さまの話が嫌いかい?」
ライチョス君「オッ!ウッ!雷鳥さん乙!てってーてきに乙!」
牛窪君「あのさあ、ライチョスくん、タブレットはよそうよ。君がお上人さまの話を聞くことによって」
ライチョス君「雷鳥さん!知り合いの話ーっ!知り合いの話ーっ!フゥー!」

牛窪君「うっせえーーっ!!」

今度は牛窪君の怒号が館内に響き渡った
ライチョス君は牛窪君の繰り出す分身八肘拳で頭部を嫌と言うほど肘打ち攻撃されたが、
ど突かれる度に「フゥ!」「乙!」「ライチョス!」「ゆーじんの話!」と叫び
時には身体をスウィングさせながら、酔ったようにかわしていたそうだ

1635情念の令和歌人 綿木穀物麿:2019/08/17(土) 21:18:49 ID:vGaGNBtg0
無残やな オワコンスレの 末路とは 住民同士で 足を引っ張る

1636情念の令和歌人 綿木穀物麿:2019/08/17(土) 21:22:40 ID:vGaGNBtg0
汗かきて 陰嚢にハッカを 塗りたれば 痛みに狂いし 晩夏の宵

1637雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/17(土) 22:40:59 ID:qNyJ3PAo0
後輩の話。

彼は林道をバイクで走破するのを趣味にしている。
とある山奥の廃道を走っていると、行く手に太い木が倒れているのが見えた。
「やれやれ、スピードを出していたら転倒するところだった」
バイクから降りると、障害物を片すため手を掛ける。

彼の手が木肌に触れるや否や、倒木はビュッと飛ぶように移動した。
そのまま下生えの中に突っ込み、あっという間に見えなくなった。
低木がガサガサと揺れ、何か長い物がその下を移動していくのを教えていたが、
それもすぐに静まった。

呆気にとられたが、我に返るとバイクに飛び乗り、全速力でそこから逃げ出した。

「どう見ても木だったんですけどね。枝も伸びてたし。
 アレって何だったんでしょう?」
本当に驚いたという顔で、彼は首を傾げていた。

1638雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/17(土) 22:42:34 ID:qNyJ3PAo0
昔馴染みの話。

彼の母君は幼い頃、実家のある山奥で光る倒木を見たのだという。
何だろうと近よってみると、それは倒木ではなく大きな白い蛇だった。
大人がやっと跨げるほどの胴太で、全長はどれ位あるのか見当も付かない。
蛇体の端は、両方とも茂みの中へ消えている。

何故か怖いとは思えなかった。
しばらくズルズルと這う、白く明滅する蛇腹を眺めていたが、それ以上何の変化が
ある訳でもなく、そのうち飽きて帰宅したそうだ。

困ったのがその後で、母君は口がきけなくなっていたという。
何か話そうとすると急に喉に物がつかえたようになり、言葉が出なくなるのだ。
家族らが焦っていると、様子を見ていた祖母が言った。

「主様を見たんだね、しばらくは口が使えないよ。
 我慢していい子にしていれば、また元に戻るから」

それから二週間ほどして、やっと普通に喋れるように回復したという。

「あの時は本当に焦ったわ。
 でも神様クラスの存在と行き逢って、障りがそれだけで済んだっていうのは、
 凄く有り難いことだったのかもね」

おっとりとした顔で、母君はそう仰った。

1639雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/17(土) 22:43:25 ID:qNyJ3PAo0
知り合いの話。

夏祭りが終わった夜、村外れの山裾を一人歩いていた。
行く手の方角から、ズルズルと何かが擦れるような音が聞こえてくる。

やがて月明かりの下、音の主が眼に入ってきた。
道を横切って塞いでいる、黒光りする長い生き物。
蛇のように見えた。太さは彼が一抱えするほどもあったらしい。
尾の先の方は繁みの中に潜っていて、一体どれほどの体長なのかもわからない。
それが延々と山手の方に向かって這い進んでいる。

山肌を見やると、途中に穴が開いているようで、蛇はそこに這い込んでいく。
「この斜面、こんな太い蛇が潜れる穴なんてあったっけ?」
凝視していると穴の縁が見て取れるようになってきた。

小さく古びていたが、間違いなく鳥居だった。

「あ、これ、主様かも知れん」
確かここの主は大蛇だったと年寄りに聞いたことがある。
行き逢えば祟ることもあるという話だったので、慌てて踵を返すと別の道を辿って
家に帰ることにした。

翌日日が高くなってからもう一度そこに訪れ、例の鳥居を探ってみた。
鳥居の周りは何処にも穴など無く、とてもあの蛇が潜り込めるような隙間も無い。

「鳥居を抜けて通るってことは、神様の類なのかなぁ。
 でもあまり厳かな感じは受けなかったなぁ。
 何にせよ、祟られなくて良かったよ」
そう苦笑しながら、彼はこの話をしてくれた。

1640雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/17(土) 22:45:45 ID:qNyJ3PAo0
遅ればせながら、>>1さんスレ立て乙でした。
今後ともよろしくお願いいたします。

それではまた、別の夜に。

1641雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/19(月) 20:11:13 ID:pZfvPRZY0
知り合いの話。

盆で田舎に帰った折、家族で川遊びに出かけたのだという。
河原にシートを拡げており、年長者はそこで食事を摂ったり休んだりしていた。
小さな従姉妹の面倒を見るのは彼の役目だったらしい。

水に浸かって遊び相手になっていると、突然、身体から力が抜けた。
全身がひどく疲れた感じになり、立っているのも辛いほどだ。
動けなくなる前に、従姉妹の手を引いて、一緒に川から上がることにした。
シートまで辿り着くと、大きな息を吐いて倒れ込んだ。
家族が口々に「どうした、顔色が悪いぞ」と話し掛けてくる。

答えるのも億劫になっていると、従姉妹がこちらを見つめながら、妙なことを言い出した。
「お兄ちゃん、なんでそんなお婆ちゃんを背負っているの?」

何でも彼の背中に、見覚えのない皺だらけの老婆がしがみついているのだと言う。
ギョッとして背後を確認したが、誰も背中には乗っていない。

1642雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/20(火) 15:02:14 ID:XIJkA0/20
今日は朝顔の観察日記をつけました
市民プールにも行きました

1643雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/20(火) 15:02:59 ID:XIJkA0/20
あへへへへへっへ
ううううううわああああああああ

1644雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/20(火) 15:03:51 ID:XIJkA0/20
お前らは俺のおもちゃでいいんだ上等だろ

1645雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/20(火) 19:37:17 ID:RAeLyG3Y0
ぶりぶり〜

1646雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/20(火) 19:39:31 ID:RAeLyG3Y0
ぶりぶり〜

1647雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/20(火) 19:40:37 ID:nEEsBJNY0
大腸菌一号

1648雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/21(水) 14:19:54 ID:R8yfmkeg0
せっかく話進んでたのに、足引っ張るやつがいたからな〜
もう藍とかいうやつは、来ないよ
代わりに、雷鳥一号が話を提供してやる

1649雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/21(水) 18:41:10 ID:UJan4.Pk0
知り合いの話。

手近な山で、一人ハイキングを楽しんでいる途中、首吊り死体を見つけてしまった。
慌てて下山して警察に通報し、警官や地元青年団の者と共に発見場所へ向かった。

戻ってみると、覚えのない首吊り死体が一体増えていた。

想像していなかった事態に彼は腰を抜かしかけたという。
二人分の身体を麓に下ろすのは、結構大変だったらしい。
下ろした後の事情徴収が、これまた大変だったと彼は言う。

後日聞かされた話によると、その二人はまったく面識のない赤の他人だということで、
何故あの日同じ場所で首を吊ったのかは、皆目見当も付かなかったそうだ。

1650雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/21(水) 18:41:55 ID:LOiN/E/w0
知り合いの話。

手近な山で、一人ハイキングを楽しんでいる途中、首吊り死体を見つけてしまった。
慌てて下山して警察に通報し、警官や地元青年団の者と共に発見場所へ向かった。

戻ってみると、覚えのない首吊り死体が一体増えていた。

想像していなかった事態に彼は腰を抜かしかけたという。
二人分の身体を麓に下ろすのは、結構大変だったらしい。
下ろした後の事情徴収が、これまた大変だったと彼は言う。

後日聞かされた話によると、その二人はまったく面識のない赤の他人だということで、
何故あの日同じ場所で首を吊ったのかは、皆目見当も付かなかったそうだ。

1651雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/21(水) 18:44:12 ID:UJan4.Pk0
知り合いの話。

手近な山で、一人ハイキングを楽しんでいる途中、首吊り死体を見つけてしまった。
慌てて下山して警察に通報し、警官や地元青年団の者と共に発見場所へ向かった。

戻ってみると、覚えのない首吊り死体が一体増えていた。

想像していなかった事態に彼は腰を抜かしかけたという。
二人分の身体を麓に下ろすのは、結構大変だったらしい。
下ろした後の事情徴収が、これまた大変だったと彼は言う。

後日聞かされた話によると、その二人はまったく面識のない赤の他人だということで、
何故あの日同じ場所で首を吊ったのかは、皆目見当も付かなかったそうだ。

1652名無しさん:2019/08/28(水) 21:50:32 ID:V.4Rmno60
一体何が起きているのか分からず戸惑っていたが、
この騒ぎもどうやら落ち着いたのかな?
ネットの掲示板1つとはいえ、裏には色々事情がありそう。
どっちにしても、今後本家の話を読むのは難しそう。

1653雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/31(土) 15:35:25 ID:uPWiAMgQ0
山仲間の話。

とある山に一緒に入っている時、その山に伝わる四方山話をしてくれた。
「ここの奥の森でさ、ブツブツと呟く声が聞こえてくることがあるんだって。
 誰か居るのかと踏み込んでみると、ボロボロのシャレコウベが落ちているんだと。
 そしてその髑髏の内側で、紫の蛇みたいな物がのたうっているとか」

「更に近よってみると、それって実は蛇じゃなく、太くヌラヌラした舌なんだと。
 で、それほど側によると髑髏が何をくっちゃべっているのか聞き取れるとか。
 何でも、これから起こる色々な悪い出来事を予言しているっていう話だ。
 爺様連中はカタリって呼んでるらしい。
 とんだ語り部が居たモンだ」

「上手く使えば、これからの災難を避けて通ることが出来るそうなんだが、これが
 聞き続けていると、最後にあることを述べてから押し黙っちゃうんだとか。
 そうなると、もう髑髏は何も喋らない。
 あっという間に崩れて失くなる。
 見掛けたら避けろ関わるなって、散々そう聞かされたモンだよ」

カタリが最後に述べる事柄って一体何なんだい? 気になって聞いてみた。

「運悪くそこに居合わせた奴の、命日だってさ」

辟易とした顔でそう教えてくれた。

1654雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/31(土) 15:36:37 ID:uPWiAMgQ0
知り合いの話。

彼は仕事柄、山に籠もることが多いそうだ。
祖父が色々と教えてくれたのだが、その中に一つ変わった注意があったらしい。

「日付が切り替わる頃合にゃ、山ン中をうろつくんじゃないぞ。
 この山ン中じゃ、時間ってのは連続して流れてないんだ。
 昨日が終わって新しい日が始まる時に切り替わるのよ。
 これが円滑に替わりゃ問題ないんだが・・・時折な、ズレが生じてる」

「そんな場面に出会すとな、ズレた所から妙なモンが見えちまうんだ。
 この世の理の外にいるっていう外道がよ。
 うっかり見つかって、引き摺り込まれたら帰って来れねえぞ」

この山じゃ百鬼夜行でも見えるのかいな。
そんなことを考えたが、言い付け自体はしっかりと守っているのだという。

1655雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/31(土) 15:37:10 ID:uPWiAMgQ0
知り合いの話。

彼の親戚に、拝み屋の真似事をしていたお爺さんがいたらしい。
困ったことが起こると呼ばれて、的確な助言をしてこれを助けていたのだと。
当事者ですら知らない事を明らかにすることもあったそうで、近在では非常に有名な
存在だったという。
かなり離れた村からも、請われて足を運んでいたそうだ。

お爺さんのやり方は独特で、手にした竹筒に問題事を詳しく説明することから始まる。
しばらくするとその筒を耳に当て、誰かと相談でもしているかのように相槌を打ち、
やおら解決方法を説明するといった具合だった。

「その竹筒がすべて答えを教えてくれるのかい?」
そう誰かに尋ねられた折、次のように返したらしい。

「タケイヅナといってな、稀に竹の節の中に小さな獣が生まれることがある。
 それの入った節ごと切り出してな、酒や米をやって世話をしていると、人のために
 働いてくれるようになるんだ。こいつがそれよ」

竹筒をポンと叩き、呵々と笑う。
「外に抜けるのは自由自在、人の目に写らぬほどはしっこい。
 物事の通りを教えときさえすりゃあ、失せ物揉め事たちどころに解決って訳だ」

お爺さんが亡くなった折、この竹筒を貰い受けた親族は、何を思ったか鉈でスッパリ
半分に割ってしまったらしい。
居合わせた者の話では、中には何も入っていなかったといわれている。
ただ、獣臭が混じった酒の香りが、色濃く立ち上っていたそうだ。

1656雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/31(土) 15:38:48 ID:uPWiAMgQ0
スレの皆様方、今後とももよろしくお願いいたしますデス。
>>1652には薮蛇という言葉を送りますデスヨ

1657雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/31(土) 15:42:38 ID:uPWiAMgQ0
はぁ〜ヨイショ。
やっとな。やっとな。

1658雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/31(土) 15:58:58 ID:l6y/snEg0
このスレは俺ら山怖同盟が乗っ取った!

1659雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/08/31(土) 22:26:16 ID:hI0OajCQ0
卍天上天下唯我独尊無敵最強卍
我等山怖同盟特攻隊

1660雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/01(日) 23:48:16 ID:stvEPff20
知り合いの話。

彼女の田舎の山村には、ゴンボスジと呼ばれる家があったのだという。
その家系は呪詛をよくしていたと言われ、恐れられていた。
ゴンボスジは畑に呪いを掛ける。
呪われた畑の根菜類を引き抜くと、藪睨みの目玉が幾つか付いていて、抜いた者を
睨み付けてから消える。睨まれた者は、程なくして死んでしまうのだそうだ。

ゴンボ(牛蒡)がよく呪われたそうで、故にゴンボスジ(牛蒡筋)と呼ばれるようになった、
そう伝えられている。
大層恐れられたが、何故か避けられてはいなかったようで、村はよくゴンボスジの
娘を嫁に迎え入れていたと聞く。
そしていつの間にか村の中に溶け込んでしまい、ゴンボスジは途絶えたという。

今でも村では「嫁を取ったら、絶対怒らせるな」と伝えられているそうだ。
嫁がゴンボスジの血を引いていれば、相手にその意志が無くとも呪われるからだと。
ゴンボスジというのは女系の家で、まず女しか産まれなかったとも伝わる。

「・・・という、まぁ言い伝えレベルの話だけどねー」
そう言って彼女はカラカラと笑った。
相槌を打ちながら「この人は怒らせないようにしよう」と思う私だった。

1661雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/02(月) 22:06:44 ID:1Qb1W0oE0
おばんです

1662名無しさん:2019/09/03(火) 19:53:11 ID:SrEEVp8Q0
>>1656

 成る程、『薮蛇』ですか。新たにスレ立てするでなく(?)、
数多あるオワコンスレの中からわざわざ『このスレ』を選んで、ねぇ。
ま、もう本家は来ないでしょうし、『どうぞお好きなように』と思います。
本家の遺産、このスレなら、表立った書き込みはなくても、
あなたの投稿に注目する人は相当数いるでしょう。

1663雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/03(火) 21:03:53 ID:bX7Bcb.I0
山仲間の話。

シーズンオフに、一人キャンプ場で設備メンテナンスをしていた。
片付けが終わる頃には暗くなっていた。
続きは明日にしようと一人用テントに向かう。
中に入ろうと、入り口の幕に手を伸ばしたその時。

サァーッという軽い音と共に、内側に垂れていたネットが真横に裂けた。
裂かれた幅は三十センチほど。
鋭利な刃物で切ったかのように、切断面は非常に滑らかで綺麗だった。
幸い、それ以上テントが破壊されることはなかったという。

「あそこのキャンプ場、網切りがいるぜ。信じる信じないは勝手だけどな」
久方振りに会った飲み会で、彼はこんな話をしてくれた。

1664雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/03(火) 21:04:58 ID:bX7Bcb.I0
知り合いの話。

運悪く、雪崩に巻き込まれた登山者がいると連絡が入った。
山小屋に詰めていた彼も捜索に加わったという。
雪中にゾンデ棒を突き刺して探っていると、突然ゾンデが固まって動かなくなった。
押しても引いてもびくともしない。

驚いていると、何かに掴まれたみたいにゾンデが引っ張られる。
慌てて手を構え直した次の瞬間、手の中の感触は通常のものに戻っていた。

何となく予感がして、その下を掘ってみた。
果たして、探していた遭難者の遺体が出てきたそうだ。

しかし、遭難者が埋まっていたのは4m以上も下の雪中だった。
その時使用していたゾンデ棒の長さは精々3m程度。
一体何がゾンデを引っ張っていたのか。

「俺はここにいるぞって、気が付いてほしかったんだろうな」

どこか寂しそうに彼はそう口にした。

1665雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/03(火) 21:06:05 ID:bX7Bcb.I0
知り合いの話。

彼はかつて漢方薬の買い付けの為、中国の奥地に入り込んでいたことがあるという。
その時に何度か不思議なことを見聞きしたらしい。

「随分と奥方の、山岳地帯を巡っていた時なんですけどね。
 変わった山村がありました。
 直接訪れてはいないのですが、住人皆が身体の何処かに、同じ紋様の刺青を
 入れてるらしいんですよ」

「そこの人たち、他の村の人間からえらく嫌われていまして。
 いや嫌われるというよりも、あれははっきりと怖れられていましたね。
 私がそこの村民を目撃したのは、ある山裾の市場でだったのですが、どの人も
 腫れ物を扱うような感じで接していました」

「その時の案内人に、どんな人たちなのですか、と尋ねてみたんですよ。
 するともう真っ青な顔をしましてね。
 絶対に彼らと関わってはいけないと言う。
 あの刺青に咬まれたら、あっという間に身体が腐って死んでしまう・・・って」

「昔は結構トラブルがあったみたいで、その度に諍いが合ったらしいのですが、
 その中で明らかになったというのですよ。
 あの刺青者に咬まれると、その夜から熱が出て、手足の先から壊死が始まり、
 三日と持たず死んでしまうってことが」

1666雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/03(火) 21:07:04 ID:bX7Bcb.I0
(続き)
「何となく、症状の説明を聞いた感じでは、溶連菌によるモノじゃないかとも
 思ったんですが。
 はい、俗に言う人食いバクテリアって類いですね。
 しかし、そんなに劇症性の菌が、人の口腔内に潜んでいるものなのかどうか、
 私は専門外なのでよくわからないのですけど」

「現在は争うこともなく、それなりに共存しているそうで。
 やはり平和が一番ですよねぇ」

最後に彼は、日本人らしいこんな一言を漏らした。

1667名無しさん:2019/09/03(火) 21:07:55 ID:bX7Bcb.I0
おっ、雷鳥さん来てたのか!乙!
アンチに負けずに頑張れ!

1668雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/03(火) 21:09:03 ID:bX7Bcb.I0
知り合いの話。

彼の親戚に、拝み屋の真似事をしていたお爺さんがいたらしい。
困ったことが起こると呼ばれて、的確な助言をしてこれを助けていたのだと。
当事者ですら知らない事を明らかにすることもあったそうで、近在では非常に有名な
存在だったという。
かなり離れた村からも、請われて足を運んでいたそうだ。

お爺さんのやり方は独特で、手にした竹筒に問題事を詳しく説明することから始まる。
しばらくするとその筒を耳に当て、誰かと相談でもしているかのように相槌を打ち、
やおら解決方法を説明するといった具合だった。

「その竹筒がすべて答えを教えてくれるのかい?」
そう誰かに尋ねられた折、次のように返したらしい。

「タケイヅナといってな、稀に竹の節の中に小さな獣が生まれることがある。
 それの入った節ごと切り出してな、酒や米をやって世話をしていると、人のために
 働いてくれるようになるんだ。こいつがそれよ」

竹筒をポンと叩き、呵々と笑う。
「外に抜けるのは自由自在、人の目に写らぬほどはしっこい。
 物事の通りを教えときさえすりゃあ、失せ物揉め事たちどころに解決って訳だ」

お爺さんが亡くなった折、この竹筒を貰い受けた親族は、何を思ったか鉈でスッパリ
半分に割ってしまったらしい。
居合わせた者の話では、中には何も入っていなかったといわれている。
ただ、獣臭が混じった酒の香りが、色濃く立ち上っていたそうだ。

1669雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/03(火) 21:10:18 ID:bX7Bcb.I0
昔馴染の話。

山麓にある実家へ帰っていた時のことだ。
縁側に寝転がって映画雑誌を眺めていたところ、祖母がやって来た。
古い映画特集のページを開いていたのだが、覗き込んだ祖母がこんなことを言う。

「あぁコレ知ってるよ。ヤマガロって呼ばれてたの。
 私がまだ小さな頃は、この辺りにもちょくちょく出ていたものよ。
 身体が大きい癖に根が臆病みたいでね、逃げ出すのは決まってあっち側だったわ。
 あ、でももう少し毛深かったし、首にもそんな釘なんて無かったかしら」

祖母が指差したのは白黒の、フランケンシュタインのスチール写真だった。

「そう言えば最近見ないねぇ。もう山の奥方で死んじゃったのかねぇ」
それだけ言うと、祖母はサッサと離れていった。

1670雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/03(火) 21:10:58 ID:bX7Bcb.I0
知り合いの話。

彼の祖父はかつて猟師をしていたという。
遊びに行った折に、色々と興味深い話を聞かせてくれた。

「知り合いの猟師が、大きな山鳥を撃ったんだと。
 梢から飛び立ったところを、こうパン!ってな。
 首尾よく命中、ホクホクしながら落っこちた獲物に駆けよったんだが・・・」

「そこでおっちんで(死んで)いたのは、狸が一匹だけだったんだとサ。
 どこにも鳥なんか落ちてねえ。
 よく見りゃ、確かに狸の身体には真新しい銃創がある。
 どんだけ考えても腑に落ちなかったが、まぁ肉が捕れたんで良しとするかってんで、
 それを持って帰ったんだと」

「まぁ山の深い奥底ってのは、えてして変なことが起こるモンよ」
そう言って祖父さんは頭を振った。

1671雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/03(火) 21:12:33 ID:bX7Bcb.I0
知り合いの話。

彼が幼い頃から出入りしている山は、昔から物の怪が出るのだと言われる。
それは尾根筋や森の際といった、いわゆる境界線上に好んで現れる。
異形の形を取る訳ではなく、単に浅い穴が開いているだけの姿形なので、一見それと
判別し辛い。
気が付かずに手足を差し込んでしまうと、穴の縁に鋭い歯が生じて、中に入った物を
囓り取ってしまうのだと。

歯の生えた穴の怪は、地の者からガツと呼ばれていた。

彼はまだガツに見えたことはないが、足元には常に注意を払っているのだという。
「昔から言い継がれてきたってことは、何かしら理由がある筈だから」
それが彼の信条だからそうだ。

1672雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/07(土) 01:41:49 ID:SNovKjuQ0
お久しぶりデス
ただいま新作執筆中でありますデス

1673雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/08(日) 22:28:37 ID:7mrn.V2c0
知り合いの話。

夏祭りが終わった夜、村外れの山裾を一人歩いていた。
行く手の方角から、ズルズルと何かが擦れるような音が聞こえてくる。

やがて月明かりの下、音の主が眼に入ってきた。
道を横切って塞いでいる、黒光りする長い生き物。
蛇のように見えた。太さは彼が一抱えするほどもあったらしい。
尾の先の方は繁みの中に潜っていて、一体どれほどの体長なのかもわからない。
それが延々と山手の方に向かって這い進んでいる。

山肌を見やると、途中に穴が開いているようで、蛇はそこに這い込んでいく。
「この斜面、こんな太い蛇が潜れる穴なんてあったっけ?」
凝視していると穴の縁が見て取れるようになってきた。

小さく古びていたが、間違いなく鳥居だった。

「あ、これ、主様かも知れん」
確かここの主は大蛇だったと年寄りに聞いたことがある。
行き逢えば祟ることもあるという話だったので、慌てて踵を返すと別の道を辿って
家に帰ることにした。

翌日日が高くなってからもう一度そこに訪れ、例の鳥居を探ってみた。
鳥居の周りは何処にも穴など無く、とてもあの蛇が潜り込めるような隙間も無い。

「鳥居を抜けて通るってことは、神様の類なのかなぁ。
 でもあまり厳かな感じは受けなかったなぁ。
 何にせよ、祟られなくて良かったよ」
そう苦笑しながら、彼はこの話をしてくれた。

1674雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/08(日) 22:30:49 ID:7mrn.V2c0
知り合いの話。

夏祭りが終わった夜、村外れの山裾を一人歩いていた。
行く手の方角から、ズルズルと何かが擦れるような音が聞こえてくる。

やがて月明かりの下、音の主が眼に入ってきた。
道を横切って塞いでいる、黒光りする長い生き物。
蛇のように見えた。太さは彼が一抱えするほどもあったらしい。
尾の先の方は繁みの中に潜っていて、一体どれほどの体長なのかもわからない。
それが延々と山手の方に向かって這い進んでいる。

山肌を見やると、途中に穴が開いているようで、蛇はそこに這い込んでいく。
「この斜面、こんな太い蛇が潜れる穴なんてあったっけ?」
凝視していると穴の縁が見て取れるようになってきた。

小さく古びていたが、間違いなく鳥居だった。

「あ、これ、主様かも知れん」
確かここの主は大蛇だったと年寄りに聞いたことがある。
行き逢えば祟ることもあるという話だったので、慌てて踵を返すと別の道を辿って
家に帰ることにした。

翌日日が高くなってからもう一度そこに訪れ、例の鳥居を探ってみた。
鳥居の周りは何処にも穴など無く、とてもあの蛇が潜り込めるような隙間も無い。

「鳥居を抜けて通るってことは、神様の類なのかなぁ。
 でもあまり厳かな感じは受けなかったなぁ。
 何にせよ、祟られなくて良かったよ」
そう苦笑しながら、彼はこの話をしてくれた。

1675雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/11(水) 07:25:37 ID:woI7DuLw0
山っていいなぁ

1676雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/16(月) 01:18:50 ID:TNB0bYL60
どうも

1677名無しさん:2019/09/20(金) 19:38:51 ID:74ViH4eU0
おやおや...
まさか、ネタやモチベーションが尽きた筈はないと思いますが。
今後も「薮蛇」期待してますから、どんどん書き込みお願いします。

1678雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 19:28:54 ID:BTPn.xng0
そんなに見たいのですか!
仕方ないですねぇ...

1679雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 19:34:25 ID:BTPn.xng0
友人の話。

一人で山奥を縦走している時、廃火葬場を見つけた。
火葬場にしては妙に大きくて屋根が高く、細長い建物だった。
近くに集落もない山奥なので怪訝に思い、中を覗いて見たそうだ。
土間に遺体を焼くための溝が掘られていた。

巾2m、長さ6mほどのとても大きな溝だった。

ここでいったい、誰がどんな人を焼いていたんだろう?
そう考えると急に恐くなり、飛び出して逃げたそうだ。

1680雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 19:34:57 ID:BTPn.xng0
先輩の話。

下山中に道に迷った時のこと。
藪漕ぎをしていると、小さな集落跡に出くわした。
木は全て朽ち果て、石垣造りの火葬場らしきものだけが辛うじて形を
保っていたのだそうだ。
中を突っ切って下山を続けた。
しばらくすると開けた場所に出た。
ついさっき通り抜けたはずの集落跡だった。

下りる場所を変えて下山を続けたが、また同じ集落跡に戻ってしまう。
4度目に見覚えのある廃屋が見えた時、叢に埋もれた道祖神に気がついた。
とりあえず、非常食用の乾パンを捧げて手を合わせてみた。

その後20分も歩かないうちに里へ出られたということだ。

1681雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 19:35:57 ID:BTPn.xng0
私の体験した話。

大学生の時、夏のオートキャンプ場でキャンプをした。
夜になっても暑かったので、皆でランタンを囲み歓談していた。
そのうちに誰かが怪談をしようと言い出した。
よくある山の怪談が何度か語られた後、地元の男子学生が語り始めた。
そのキャンプ場で自殺した男性の話だった。
話が終わったその時、いきなり皆の前で乾いた破裂音がした。

置いてあった二つのランタンが同時に割れていた。
歓談はその場でお開きとなった。

1682雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 19:36:32 ID:BTPn.xng0
両親から聞いた話。

私がまだ幼い頃、家族で山菜採りに出かけたそうだ。
そこで私だけはぐれて迷子になった。
半日近く捜しても見つからず、警察に届けようかと思っていた矢先。
目の前の繁みが分かれて私が出てきたのだという。
どこ行ってたんだと父が怒って聞くと、私は不可解な返事をしたらしい。

すごく背の高い、一つ目のおじちゃんに連れて帰ってもらった。
お前はそう言ってたぞ、と父は奇妙な顔をして教えてくれた。

私自身は、まったくそのことを憶えていない。
この話を聞いた後、自分が見つかったという場所にお酒を置いてきた。
お礼になっていればいいなと思う。

1683雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 19:37:02 ID:BTPn.xng0
知り合いの話。

山奥の渓流で鮎釣りをしていた時のこと。
川原の砂地を歩いていると、いきなり片足がめり込んだ。
まるで流砂にでも飲み込まれたみたいで、なかなか抜くことができない。
同行している友人に頼んで、引っ張ってもらうことにした。

力を入れて引っ張るうちに、ずるっという感じで足が抜けた。
砂場から、彼の足と一緒に引きずり出されたものがあった。
砂でできた人型の上半身が、両手で彼の足をしっかりとつかんでいた。
二人が仰天していると、すぐに人型は崩れてただの砂山になったそうだ。

以来、彼らは砂地では絶対に足を止めないことにしたのだという。

1684雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 19:38:58 ID:BTPn.xng0
まさに、「藪蛇」デスネ
よほどこの言葉が効いてしまったようで‥‥

ここは私の自由帳みたいなものですので、これからもボチボチ書き込みしていきます
どうぞよろしく

1685雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 19:42:20 ID:BTPn.xng0
やっぱりせっかくストックがあるのでもう少し書き込みますネ

文句なら>>1677にお願いしますデス

1686雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 19:43:58 ID:BTPn.xng0
友人の話。

登山口に小さな神社があったので、おみくじを引いてみた。

凶が出た。

意地になってもう一度引いてみた。
これもまた凶だった。
気味が悪くなったが、おみくじを投げ捨てて山に登ったのだという。
翌朝目を覚ましてみると、テントのロープに何かが三つ結わえてあった。
そのうちの二つは、彼が前日捨てたらしい凶のおみくじだった。
残りの一つは、誰が引いたか分からないボロボロに古びた大吉だった。

友人の身には、今まで特にこれといった凶事は起こっていないそうだ。

1687雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 19:44:37 ID:BTPn.xng0
私の体験した話。

山登りの仲間たちで、ある大きな孤島へキャンプに行った。
恵まれた島で、海辺では魚が釣れ、少し山に入れば茸が取れた。
砂浜でキャンプしたのだが、真夜中にテントの周りで音がする。
何か重たいものが歩き回っているようだ。
意を決してテントの外を見ると、大きな黒い猪が残飯を漁っていた。
山から下りてきたのかと驚き、刺激しないように静かにした。

翌朝確認すると、残飯はすっかり食い尽くされていた。
しかし砂浜に残されていた足跡は、私たちのものだけだった。
キャンプはその日で切り上げることにした。

1688雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 19:45:09 ID:BTPn.xng0
知り合いの話。

奥さんの実家に行った時のこと。
子供を連れて裏山を散策していると、寂れた神社があった。
何となく見てまわり、その帰りに子供が言ったのだという。

鳥居の上に、お父さんよりも大きい黒犬がいたね。

その人には何も見えなかったそうだ。

1689雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 19:46:14 ID:BTPn.xng0
両親から聞いた話。

私がまだ幼い頃、家族で山菜採りに出かけたそうだ。
そこで私だけはぐれて迷子になった。
半日近く捜しても見つからず、警察に届けようかと思っていた矢先。
目の前の繁みが分かれて私が出てきたのだという。
どこ行ってたんだと父が怒って聞くと、私は不可解な返事をしたらしい。

すごく背の高い、一つ目のおじちゃんに連れて帰ってもらった。
お前はそう言ってたぞ、と父は奇妙な顔をして教えてくれた。

私自身は、まったくそのことを憶えていない。
この話を聞いた後、自分が見つかったという場所にお酒を置いてきた。
お礼になっていればいいなと思う。

1690雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 19:47:19 ID:BTPn.xng0
友人の話。

サークル活動に参加して、山中で野営していた時のこと。
先輩から、その山には手癖の悪い動物が出るので、気をつけろと言われていた。
皆で注意していると、夜中に外のザックを引っ掻き回す音がした。
そら来たと思って、テントの外に飛び出したのだが。

毛むくじゃらの黒い手が二本、ザックの中をごそごそと漁っていた。
その手は十メートル以上向こうの、雑木林の中から伸びてきていたという。
皆、テントの中に逃げ帰ったそうだ。

1691雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 19:47:54 ID:BTPn.xng0
知り合いの話。

山林の中で友人と野営していた時のこと。
雨が降ってきたので早目に休むことにしたのだという。
まどろんでいるとどこからか尋ねる声がした。

行ってもいいか。行ってもいいか。

何度もしつこく聞かれたので、自分たちに害がなければいいと答えた。
すると轟音が響き、野営地のすぐそばを土石流が滑り落ちていった。
朝日が昇るやいなやその場から退散したそうだ。

1692雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 19:48:39 ID:BTPn.xng0
私の体験した話。

山奥の集落にある、知り合いの家を訪ねた時のこと。
家の中には気配があるのに、呼び鈴を鳴らしても誰も出てこない。
声を掛けても反応が無く、裏口に回ろうかと思っていると。

家屋が大きな音を立てて、まるで地震のように揺れ始めた。
不思議なことに地面は微動さえしておらず、家だけが激しく揺れていた。
お邪魔しました、と慌てて挨拶すると、家の揺れは即座に治まった。
そそくさと退散した。

後で知ったのだが、当時知り合いは入院していて、家は無人状態だったそうだ。
何かが間借りしていたのかもしれない。

1693雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 19:49:26 ID:BTPn.xng0
知り合いの話。

戦争が終わってすぐ後の頃だ。
その小父さんは仲間と二人で闇市の仕入れをしていた。
毎朝早くにリヤカーで峠を越えていたのだが、ある朝狐と出くわした。
相棒が石を投げて追い払ったのを見て、小父さんは化かされるぞと注意した。

昼時に相棒が弁当を食べようとすると、弁当箱の中は空になっていた。
ほら見ろ、化かされた。
そう言って小父さんは、半分だけ分けてやろうと自分の弁当を広げたそうだ。

小父さんの弁当箱の中身は、きれいに半分だけ食われていた。

1694雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 19:49:58 ID:BTPn.xng0
友人の話。

彼が道路工事でバイトをしている時のこと。
そこの現場は、作業車の他は何も通らないような山奥だった。
ある日の昼下がり、乗用車が一台、現場に侵入してきたのだという。
出て行けという注意も聞こえないようで、車は現場の中で止まった。
運転席から降りた男は、トランクから大きな麻袋を担ぎ出してきた。
麻袋からは女性の腕が突き出していた。

その異様な光景に、誰もが近寄るのを躊躇したそうだ。
男は地面に掘られていた穴の中に袋を投げ込み、土をかけて埋めてしまった。
袋が見えなくなると男はほっと息をつき、車に乗り込んで帰っていった。
誰かが警察を呼べと叫んでいた。

白昼の大胆な死体遺棄犯は、目撃者が多いせいもあってすぐに捕まった。
警察の取り調べで犯人が語ったところによると、殺した女性を埋めようと山に入ったが、出くわした工事現場に誰もおらず、ちょうどいい穴まであったので、これ幸いと埋めてきたということだった。

なぜか犯人には、殺した女性以外の存在は見えていなかった。
当時、現場には作業員が十人以上いたと聞かされても、信用しなかったという。
その全員が目撃者だと聞いた時は、唖然としていたそうだ。

1695雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 19:51:28 ID:BTPn.xng0
とりあえず生存報告がてら投稿してみました
それではまた別の夜に

雷鳥でした

1696名無しさん:2019/09/26(木) 19:52:46 ID:BTPn.xng0
オワコンスレの何も生み出せないオワコン民がネタを提供してる奴を煽るとか笑わせんなやクソが

1697雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 19:55:02 ID:BTPn.xng0
暴言は、いけません
この方はきっと賑わっていたころが恋しいだけなのデス‥‥

何やらID被りしているようですが偶然‥‥ですよね?

1698情念の令和歌人 綿木穀物麿:2019/09/26(木) 19:56:24 ID:BTPn.xng0
うっせー黙れカス

1699刑事クロンボ:2019/09/26(木) 19:56:59 ID:xGJFlCcs0
喧嘩よくない👨🏿

1700情念の令和歌人 綿木穀物麿:2019/09/26(木) 19:57:50 ID:BTPn.xng0
>>1699
やっちゃうよ?

1701刑事クロンボ:2019/09/26(木) 19:58:39 ID:xGJFlCcs0
>>1700
差別する気か?👨🏿

1702刑事クロンボ:2019/09/26(木) 20:01:58 ID:xGJFlCcs0
あーあ、せっかく動いてたのに盛り下げる真似した空気読めないゴミカスがいたからな〜👨🏿

1703雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 20:10:47 ID:BTPn.xng0
私の自由帳を荒らすのはご遠慮いただければと‥‥

1704雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 20:36:05 ID:RedRLHkw0
おっ雷鳥さん来てたのか乙!

1705雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 20:40:56 ID:fpb2.Ud20
ははは

1706雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 20:41:26 ID:fpb2.Ud20
このスレおもしれー

1707雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 20:43:42 ID:fpb2.Ud20
【雷鳥一号】ウオオオオオオオオオオオオオ

1708雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 22:12:02 ID:RedRLHkw0
ヒョオオオオオオオオオオオオオオオオオ

1709雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:00:47 ID:XW1hP7ck0
やっぱ山の怖い話はいいデスネ
メンヘラの空想とは違いますよー

1710雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:01:39 ID:XW1hP7ck0
いえええええええええええええええええええい

1711雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:03:14 ID:XW1hP7ck0
おうコラ
オワコン野郎が誰に楯突いてんじゃ

1712雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:03:53 ID:XW1hP7ck0
ハッ

1713雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:04:26 ID:XW1hP7ck0


1714雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:04:57 ID:XW1hP7ck0


1715雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:05:37 ID:XW1hP7ck0


1716雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:06:22 ID:XW1hP7ck0


1717雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:06:56 ID:XW1hP7ck0


1718雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:07:28 ID:XW1hP7ck0


1719雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:08:06 ID:XW1hP7ck0
万歳だー
はははっはははっ

1720雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:19:20 ID:yqG/vgJU0
藪蛇一号でえええええええっす
よろちくねーー

1721雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:20:24 ID:yqG/vgJU0
ひっひっひっひ
おまんらしごうしちゃるけんのぉ

1722雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:22:52 ID:yqG/vgJU0
らいちょおおおおおおおおおおおおう
いちごおおおおおおおおおおおおおう

1723雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:23:41 ID:yqG/vgJU0
草団子

1724雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:24:37 ID:yqG/vgJU0
チクショー!

1725雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:25:25 ID:yqG/vgJU0
何だ何だ

1726雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:28:36 ID:yqG/vgJU0
謝れよ

1727雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:30:31 ID:yqG/vgJU0
謝れよクソ野郎

1728雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:31:01 ID:yqG/vgJU0
なぁあああああああああ
謝れよったらあああああああああ

1729雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:32:29 ID:yqG/vgJU0
謝れよ

1730雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:33:02 ID:yqG/vgJU0
謝れよ

1731雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:33:41 ID:yqG/vgJU0
謝れよ

1732雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:34:25 ID:yqG/vgJU0
謝れよ

1733雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:34:55 ID:yqG/vgJU0
謝れよ

1734雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:35:37 ID:yqG/vgJU0
謝れよ

1735雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:36:11 ID:yqG/vgJU0
謝れよ

1736雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:36:41 ID:yqG/vgJU0
謝れよ

1737雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:37:40 ID:yqG/vgJU0
謝れよ

1738雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:38:27 ID:yqG/vgJU0
謝れよ

1739雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:39:12 ID:yqG/vgJU0
はいジャンガジャンガジャンガジャンガジャンガジャンガジャンガジャンガ〜

1740雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:44:43 ID:yqG/vgJU0
__,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1741雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:45:40 ID:yqG/vgJU0
__,,,,、 .,、             /'゙´,_/'″  . `\           : ./   i./ ,,..、    ヽ          . /    /. l, ,!     `,            .|  .,..‐.、│          .|            (´゛ ,/ llヽ            |             ヽ -./ ., lliヽ       .|              /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ          / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!         : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./         .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛           l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|        . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん        l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛        .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、        |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ       .ll゙, ./    !            ,!       .!!...!!   ,,゙''''ー       .|           l.",!    .リ         |       l":|    .〜'''      ,. │       l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │       l: l「    !    . ゙゙̄ /  !       .| .|    !     ,i│  |       :! .l.    }    ,i'./    |       :! .|    :|    . /     .|       :! |    ;!   "      .|       :! !    │        │       :!:|               ,! i ,!       :! ,    .l,      / .l゙ !       :! |    , l.     | .|  :,     : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ  _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1742雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:46:43 ID:yqG/vgJU0
何だこりゃあ

1743雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:47:18 ID:yqG/vgJU0

                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1744雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:49:29 ID:yqG/vgJU0

                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1745雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:50:01 ID:yqG/vgJU0

                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1746雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:50:31 ID:yqG/vgJU0

                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1747雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:51:09 ID:yqG/vgJU0

                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1748雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:51:57 ID:yqG/vgJU0
藍物語っていうか陰茎物語じゃん
ほ〜れ


                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1749雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:53:18 ID:yqG/vgJU0

                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1750雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:53:54 ID:yqG/vgJU0

                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1751雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:54:58 ID:yqG/vgJU0

                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1752雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:55:52 ID:yqG/vgJU0

                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1753雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:56:47 ID:yqG/vgJU0

                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1754雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:57:40 ID:yqG/vgJU0

                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1755雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:59:05 ID:yqG/vgJU0

                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1756雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/26(木) 23:59:57 ID:yqG/vgJU0

                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1757雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 00:00:34 ID:1mKNK.gc0
陰茎物語

1758雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 00:02:33 ID:1mKNK.gc0
ちんこAAか怪談か選べや
クソガキども

1759雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 00:03:28 ID:1mKNK.gc0
うおりゃああああああああああああああああああああああああああああああ

1760雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 00:13:53 ID:ez74l4UE0
どっちがいい?

1761雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:31:31 ID:KeoCasxc0
藪蛇一号、見参!

1762雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:32:11 ID:KeoCasxc0
                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1763雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:32:49 ID:KeoCasxc0
                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1764雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:33:21 ID:KeoCasxc0
                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1765雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:34:06 ID:KeoCasxc0
                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1766雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:34:38 ID:KeoCasxc0
陰茎物語の始まりだああああああああ

1767雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:35:40 ID:KeoCasxc0
知り合いの話。

親類と一緒に茸狩りに行った時のこと。
途中で、木の幹に鎌の刃が刺さっているのに気がついた。
山に詳しい親類に聞くと、鎌の刃には魔を払う力があると信じられていて、それを木に刺すのは一種の魔除けみたいなものだと教えてくれたらしい。

ルートを離れ別の谷に向かっていると、親類が彼を押し止めた。
行く手の両脇の木の幹に、赤錆びた鎌の刃がびっしりと隙間なく埋まっていた。
彼らはそこを避けて、別の獣道を通ったそうだ。

1768雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:36:29 ID:KeoCasxc0
知り合いの話。

親類と一緒に茸狩りに行った時のこと。
途中で、木の幹に鎌の刃が刺さっているのに気がついた。
山に詳しい親類に聞くと、鎌の刃には魔を払う力があると信じられていて、それを木に刺すのは一種の魔除けみたいなものだと教えてくれたらしい。

ルートを離れ別の谷に向かっていると、親類が彼を押し止めた。
行く手の両脇の木の幹に、赤錆びた鎌の刃がびっしりと隙間なく埋まっていた。
彼らはそこを避けて、別の獣道を通ったそうだ。

1769雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:37:09 ID:KeoCasxc0
後輩の話。

真夜中の長い峠道を、バイクで上っていた時のこと。
麓から走ってきた後続車に強引に追い抜かれた。
車内で女の子が四人、可愛らしく手を振って前方の山中に消えていった。

しばらく後にまったく同じ車種の後続車に追い抜かれた。
さっきとまるで同じナンバーだった。
中で手を振っているメンバーもまったく同じ顔形をしていた。
峠を上りきるまでに四回、その同じ車に追い抜かれたそうだ。

1770雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:37:50 ID:KeoCasxc0
知り合いの話。

彼女は毎夕、飼い犬を連れて散歩をするのが日課になっていた。
ある日、犬が何も無い空間に向かってひどく吠え立てた。
山と村との境にある橋の上だったらしい。
家に帰って家族にそのことを話すと、祖母にこう言われた。

変なものが下りて来たんじゃないといいけどねえ。

その直後、村では七軒立て続けに葬式が出たそうだ。

1771雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:38:23 ID:KeoCasxc0

                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1772雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:39:17 ID:KeoCasxc0

                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1773雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:40:01 ID:KeoCasxc0
くだらねえオワコンスレにはチンポがよく似合うぜ

1774雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:40:58 ID:KeoCasxc0
今は俺の自由帳ですがね

1775雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:41:32 ID:KeoCasxc0
ふひひ

1776雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:42:31 ID:KeoCasxc0

                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1777雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:43:05 ID:KeoCasxc0

                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1778雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:43:53 ID:KeoCasxc0

                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1779雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:44:49 ID:KeoCasxc0
           gxyx.l(.l)gxyx[xyxg
          g[ ∵   ノノノノ  Vg ちんこ
         」[]]          []]]ll
         ],,] .iiiiiiiiiiiiii iiiiiiiiiiiiiiiiii,,],,] ,
         lili][ (。) l─l (゜)  ]ll)]
         〈k[ ^ー─ > <ー-─^ll!7
         . l;;; ∵..(;(。  );)。∵:]
          [∵:'/.^ .^.\   gll
           t.  ,._ニニニニ_.、   )
            l。  `'Uー─''' ../    <ちんちんシュッ!シュッ!シュッ!
            t   '''''''''∵。/
             C∴:⌒   /
.             .| ヽ_∵/
           /\。___/ヽ
     _ -‐ '"            ゙ ー--、
   /            c:‐v‐:.、     \
  /   ; :        / 。゙´ ゙i ))     \
/           ((  (   i lヽ l        i
ヽ_             フ ハ ゙.ノ`        \
   \   !.       ./ "  ゙''O.        l_!/ \
。∵: .>、/ヽ.      i ,ィ ∵ 。|        | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l
 。: /    l:      c! ;   .; !        |____________|
  /    /,      |。∵ 。. i!        |l                  |
  \_  ./       | ;   ; i!      (  ノ |_____________|
。∵: ゙`ヽ、.       ! !∴: l、 !        ゙i、_| ̄ ̄ ̄ ̄           ̄|
 。∵:   ゙ ー--、  | !   ; .|          ヽl______________.|
\          ゙ー| !l O .;. ! ̄ ゙̄ー" ゙̄ー―‐"、
  \   。∵:    ヽ,! ,:   :.. |,,;;  ,:         \
_/ l . ,.  ''   \  \。∵: ,; ;゙、ミ゙           \
   l .:、   、   \  \ ,;: i;ミ゙;゙             \

1780雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:46:36 ID:KeoCasxc0
           gxyx.l(.l)gxyx[xyxg
          g[ ∵   ノノノノ  Vg ちんこ
         」[]]          []]]ll
         ],,] .iiiiiiiiiiiiii iiiiiiiiiiiiiiiiii,,],,] ,
         lili][ (。) l─l (゜)  ]ll)]
         〈k[ ^ー─ > <ー-─^ll!7
         . l;;; ∵..(;(。  );)。∵:]
          [∵:'/.^ .^.\   gll
           t.  ,._ニニニニ_.、   )
            l。  `'Uー─''' ../    <ちんちんシュッ!シュッ!シュッ!
            t   '''''''''∵。/
             C∴:⌒   /
.             .| ヽ_∵/
           /\。___/ヽ
     _ -‐ '"            ゙ ー--、
   /            c:‐v‐:.、     \
  /   ; :        / 。゙´ ゙i ))     \
/           ((  (   i lヽ l        i
ヽ_             フ ハ ゙.ノ`        \
   \   !.       ./ "  ゙''O.        l_!/ \
。∵: .>、/ヽ.      i ,ィ ∵ 。|        | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l
 。: /    l:      c! ;   .; !        |____________|
  /    /,      |。∵ 。. i!        |l                  |
  \_  ./       | ;   ; i!      (  ノ |_____________|
。∵: ゙`ヽ、.       ! !∴: l、 !        ゙i、_| ̄ ̄ ̄ ̄           ̄|
 。∵:   ゙ ー--、  | !   ; .|          ヽl______________.|
\          ゙ー| !l O .;. ! ̄ ゙̄ー" ゙̄ー―‐"、
  \   。∵:    ヽ,! ,:   :.. |,,;;  ,:         \
_/ l . ,.  ''   \  \。∵: ,; ;゙、ミ゙           \
   l .:、   、   \  \ ,;: i;ミ゙;゙             \

1781雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:47:37 ID:KeoCasxc0

                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1782雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:48:27 ID:KeoCasxc0

                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1783雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:49:11 ID:KeoCasxc0

                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1784雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:49:45 ID:KeoCasxc0

                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1785雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:50:52 ID:KeoCasxc0

       / ̄ ̄ ̄ ̄\
      /;;::       ::;ヽ
      |;;:: ィ●ァ  ィ●ァ::;;|
      |;;::        ::;;|  
      |;;::   c{ っ  ::;;|
       |;;::  __  ::;;;|
       ヽ;;::  ー  ::;;/
        \;;::  ::;;/
          |;;::  ::;;|
          |;;::  ::;;|
   / ̄ ̄ ̄      ̄ ̄ ̄\
   |;;::               ::;;|
   |;;::              ::;;|

1786雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:52:05 ID:KeoCasxc0
AAは楽だね

1787雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:56:21 ID:KeoCasxc0
上、      /⌒ヽ, ,/⌒丶、       ,エ
       `,ヾ   /    ,;;iiiiiiiiiii;、   \   _ノソ´
        iキ /    ,;;´  ;lllllllllllllii、    \ iF
        iキ'     ,;´  ,;;llllllllllllllllllllii、    ナf
         !キ、._  ,=ゞiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii!! __fサヘ.
       /  `ヾ=;三ミミミミヾ仄彡彡ミミヾ=`´  'i、
       i'   ,._Ξミミミミミヾ巛彡////iii_    |
       |  ;if≡|ヾヾヾミミミミヾヾ、//巛iiリ≡キi  |
        |  if!  |l lヾヾシヾミミミ川|ii//三iリ `キi  |
      |  ,if ,f=|l l lヾリリリリリ川川|爪ミミiリ=t、キi  |
        |  ;iナ,サ |l l l リリ川川川川|爪ミミiiリ キi キi  |
        |   iナ ;サ |l l リリリリ川川川川l爪ミミilリ キi キi  |
       |  iサ ;サ, |リ リリ川川川川川l爪ミミiリ ,キi キi  |
       |  iサ ;サ, | リ彡彡川川川川|爪ミミiリ ,キi :キ、  |
        ,i厂 iサ, |彡彡彡彡ノ|川川|爪ミミリ ,キi `ヘ、
      ,√  ;サ, |彡彡彡彡ノ川川|ゞミミミリ ,キi   `ヾ
     ´    ;サ,  |彡彡彡彡川川リゞミミリ  ,キi
         ;サ,  |彡彡彡彡リリリミミミシ   ,キi
         ,;#,    |彡彡ノリリリリミミミシ    ,キi
        ;メ'´    !彡ノリリリリリゞミミシ     `ヘ、
       ;メ      ヾリリリリノ巛ゞシ       `ヘ、
      ;メ        ``十≡=十´         `ヘ、
                 ノ    ゞ

1788雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:56:52 ID:KeoCasxc0

                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1789雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:57:23 ID:KeoCasxc0

                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1790雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:58:01 ID:KeoCasxc0

                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1791雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:58:44 ID:KeoCasxc0

                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1792雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 17:59:15 ID:KeoCasxc0

                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1793雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 18:00:09 ID:KeoCasxc0
これでこのスレの悪霊を祓えたかな?
オワコンの死臭が無くなった

1794名無しさん:2019/09/27(金) 18:01:05 ID:D7gUH0Wk0
おっ雷鳥さん来てたのか乙!

1795雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 18:12:22 ID:KeoCasxc0
はははは〜ははっは〜

1796雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 18:13:20 ID:KeoCasxc0
 Λ_Λ  
(ノ `・∀・)  
 (   )
  U`U  

ぜつりんちゅん
わ森をよく散歩している住人。
とても礼儀が正しいが、言ってることはとても乱暴であり毒舌。
わるりんと共にわろりんを表向き責めてはいるものの、実はわるりんちゅんに酷い虐めを受けているというわろりんちゅんからの証言が度々見聞きされている。
口癖は「〜ですよ」

1797雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 18:14:00 ID:KeoCasxc0
  Λ_Λ    
  (`▽´)   
  (   )  
   U`U

わるりんちゅん
わ森のあばら家に棲む住人。
わろりんちゅんのことを虐めるのが趣味であり、特技にして生き甲斐。
わろりんちゅんが印税を得たことを知るや、その全額を奪う目的で崖から突き落とそうとしたり、アメリカの砂漠に連れ出して酷い目にあわせようと企んだ。
普段はわろりんをコテンパンに虐め倒すが、わろりんが風邪で寝込んだり、規制がかかった(肥溜めに落ちる=どぶりんちゅんという)りして書き込めなくなった際

誰よりもわろりんを按じるという一面も度々見せることから、実はこの森で一番の善人なのではないかとも噂されている。
口癖は「へへっ」

1798雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 18:14:43 ID:KeoCasxc0
うるせええええええんだよおおおおおおおおお

1799雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 18:16:00 ID:KeoCasxc0
バカどもがなめてんじゃねえぞ

1800雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 18:28:36 ID:KeoCasxc0
コラ

1801雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/27(金) 21:58:33 ID:twdfOlGM0
誰だお前
偽物め

1802雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/28(土) 00:03:38 ID:cEJoZu/c0
おうおうクソッタレが

1803雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/28(土) 00:05:20 ID:cEJoZu/c0
                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1804雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/28(土) 00:06:09 ID:cEJoZu/c0
山の怖い話よりちんこAAの方がお好みとか変態揃いですネ〜このスレ

1805雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/28(土) 00:40:42 ID:0wS9nZOE0
                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1806雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/28(土) 00:42:22 ID:0wS9nZOE0
                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1807雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/28(土) 00:43:00 ID:0wS9nZOE0
                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1808雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/28(土) 00:44:12 ID:0wS9nZOE0
                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1809雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/28(土) 00:49:18 ID:0wS9nZOE0
                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1810雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/28(土) 00:49:53 ID:0wS9nZOE0
                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |
            ヽ -./ ., lliヽ       .|
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.   cis.゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|    
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │
      l; :!    .|'"    ...ノ,゙./ │
      l: l「    !    . ゙゙̄ /  !
      .| .|    !     ,i│  |
      :! .l.    }    ,i'./    |
      :! .|    :|    . /     .|
      :! |    ;!   "      .|
      :! !    │        │
      :!:|               ,! i ,!
      :! ,    .l,      / .l゙ !
      :! |    , l.     | .|  :,
    : v'" .!    |'i .ヽ,    ./ :!  .ヽ
 _, _/  /     .l  ゛ ._/ :l゙    .`゙"

1811雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/28(土) 01:41:49 ID:ZH607a.60
雷鳥一号、歌います!

1812雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/28(土) 01:48:15 ID:ZH607a.60
登山仲間の話。

高校生の時分、部活で山寺に合宿した。
その日は彼女の班が夕食当番で、同級生三人が並んで食器や鍋を洗っていた。
いきなり、一番右端の者が「うひゃっ」と奇声を上げる。
続いて真中の娘も「ひっ」と首を竦めて皿を落とす。
どうしたの、と尋ねようとした途端。

ペタリと、生暖かい濡れた物が首筋に貼り付いた。

似たような悲鳴を上げて背後を振り向くと、そこに紫色の口があった。
何もない空間に、だらしなく半開きの口だけが浮いていたのだ。
唇を割って、青黒い舌が揺れながら垂れている。

三人揃って、皆の元へ逃げ戻ったという。
居合わせた者を引き連れて洗い場へ返したが、既にそこには何も見えなかった。

顧問の先生が言うには、この山には昔から青舌と呼ばれる何かがいるのだと。
「以前にも先輩や卒業生が、何人か出会っているよ。
 ベロリと舐めるだけで他に害はないみたいだから、心配するな」

「舐められるってこと自体が、もう堪らなく嫌なんじゃないの。
 先生その辺わかってないよねぇ」
そう彼女たちは愚痴をこぼしていた。

1813雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/28(土) 01:52:17 ID:ZH607a.60
同級生の話。

山奥でキャンプしていたある朝、外に出ようと山靴を手にして驚いた。
内部がグッショリと濡れていたのだ。
雨も降っていないし、近くに水が湧いている様子もない。

取りあえず、出来るだけ水を拭き取ってから、そこを発つことにする。
しかしそれから山を下りるまでの間、靴は水を噴いているかのように濡れ続けた。

「ミズチに魅入られたな。この奥の沢に棲んでいるらしいから。
 あれに憑かれている間は身に付けている物が何か一つ、必ず水浸しになるんだ。
 こっから下りてもしばらくは泳いだりしなさんなよ。
 まず溺れてしまうぞ」

麓の無人駅で出会った地の人が、そう忠告してくれたそうだ。

1814雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/28(土) 01:53:08 ID:ZH607a.60
どうよ?
ここの駄文と違って機能的デスよね

1815雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/28(土) 17:49:14 ID:o2gHNmfw0
知り合いの話。

誰も居ない夜の公園で、一人花見を楽しむことにした。
そこは山奥にある城跡を利用した公園で、日が落ちると誰も来ない穴場だという。
バイクで乗り入れると、思った通り人の姿はない。
園内に進み、桜が集まっている横手に腰を下ろす。
曲がりなりにも施設なので、それなりに外灯が点いており、夜桜を見るには十分だ。

淡い桜色を堪能していると、何処からかボソボソと人の声が聞こえた。
複数の気配が湧いた。会話を交わしているように思える。

声のする方へ目をやると、すっと気配は消えて何も聞こえなくなる。
しかし今度は別の場所からまたボソボソと聞こえてくる。
段々と薄気味悪くなり、後ろ髪を引かれながらもそこを後にした。

「走りながらつらつら考えたんだけど。
 あそこ、あれだけ見事な桜だもの、誰も見ないのも勿体ないよなぁ。
 人か人外か知らないけど、やっぱり同じこと考えて見に来たんだろうなぁ」
彼はそう一人で納得していた。

1816雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/28(土) 17:50:05 ID:o2gHNmfw0
杣人の話。

彼はよく山奥の炭焼き場に一人滞在して、炭焼きをしているという。
「大変ですね、一人で山に籠もっているのは寂しいでしょう」
私がそう言うと、彼は笑った。

「いや、時々はお客さんもあるから、そうは寂しくもない。
 まぁ訛りが酷くて、意思疎通するのが大変だけどな。
 酒がかなり好きなようで、一緒に飲むと結構楽しいぞ」

そう言うと、指先ほどの大きさをした物を懐中から取り出した。
薄い乳白色で、虹色に鈍く光っている。

「綺麗ですね、それって一体何です?」
「彼女の身体の一部だよ。この前くれたんだ」
「彼女? ははぁ、付け爪か何かですか」
「いや、鱗」

思わず、マジマジと顔を見てしまう。
彼はニヤニヤ笑うと「嘘だよ」と続け、あっという間にそれを仕舞った。
詳しく見せてくれと頼んだが、丁寧に断られてしまった。

果たして担がれたのかどうか、それ以上私も殊更に確認はしなかった。
今でも彼は炭焼きを続けている。
そして山に入る時は、酒を必ず多目に携えていくそうだ。

1817雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/28(土) 17:50:36 ID:o2gHNmfw0
仕事仲間の話。

急な現地調査の仕事が入り、山奥の町まで出掛けた。
無事に業務を終えた彼は、町外れの川辺を散策していた。
季節は春。
川岸には桜が多く植えられていて、非常に美しい風景を現出させている。
平日の昼前ということもあってか、彼の他は誰もいない。

その時、誰かが鼻歌を歌っているのが聞こえた。声のする方に目を凝らす。
向こう岸の背高い繁みの中から、女の頭が覗いていた。
桜を見上げる髪の長い横顔が、歌の調子に合わせて、軽く左右に揺れている。

呆っとそちらを眺めていると、女の頭が繁みよりズルッと抜け出た。
しかし首の下に続く身体が見当たらない。
ただ、細長い首だけが葦の中から伸び出して、先の頭を支えている。
首の色も肌色でなく黒っぽい。
よくよく見ると、蒼黒い首の背が光を反射しているような・・・え、鱗?

それ以上まじまじと見るような失礼はせず、気取られないようにその場から
立ち去ったそうだ。

1818名無しさん:2019/09/30(月) 19:14:10 ID:0qwR8lYs0
...で...もうお終いなんですか?

1819雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/30(月) 20:11:45 ID:BK.4cjck0
山仲間の話。

山中の寂れたキャンプ場に、一人で宿泊した時のこと。
夜中、テントの周りでごそごそと動く音がする。
猿でも来たかと、外に出てライトで照らしてみた。

黒光りするモノが、夕食後のゴミを漁っていた。
彼曰く「一瞬、巨大な鯉が歩いているのかと思った」という。
そいつの背中には、魚のような黒い鱗がびっしりと生えていたのだ。

振り向いた姿は、不気味なことに人型だった。
前面腹部にかけて体色が白く変化していて、背とは違って柔らかそう。
股間はよくわからないが、胸が二箇所で膨らんでいる。雌?

やはり鱗で覆われた頸から上は、強そうな黒い髪の毛で覆われていた。
それを掻き分けるようにピンクの長い蛭みたいな物が飛び出していて、
手にした空き缶を頻りに突いている。舌だろうか。

しゃがみ込んでいる状態から立ち上がると、その背丈は彼より頭一つ分
低かった。しかし、腕や足は丸太のようで、力で勝てるとは思えない。
そいつは物怖じする様子もなく、彼の傍へするすると寄ってきた。
ムッとする生臭さが鼻を突く。再度魚を連想してしまった。

真正面から顔を付き合わせたが、黒い毛の向こうにある表情はまったく
何も伺えない。
頭をゆっくり回している姿は、じっくりと彼のことを観察している風に
感じられた。

1820雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/30(月) 20:16:57 ID:BK.4cjck0
友人の話。

彼女ら姉妹の部屋であれだけ頻繁に起こっていた怪事が、サッと鳴りを潜めた。
丁度夏に入る頃だったという。
世間話がてらご近所に聞いたところ、彼らの家でも静まったらしい。
「誰かお払いでもしたのかな?」
何にせよ、騒ぎが起こらないに越したことはない。
それから少しの間は、ごく平穏な日常を過ごせたのだそうだ。

暑さが日に日に辛くなってきた頃。
夜中にふと目が覚めた。何か物音が聞こえたような・・・。
手元灯を点けてみたが、部屋にいるのは自分と姉だけだ。
ぐっすり眠っている姉を確認し、明かりを消そうとした時。

部屋の隅から何か出てきて、目の前を横切った。
白い足型の物体。草履の底みたいに見えるもの。
それがトストスと軽い音を立てて、壁の中へ消えていった。

見なかったことにして明かりを消し、眠りについたのだという。

1821雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/30(月) 20:20:42 ID:BK.4cjck0
その夜から、毎日のようにそれが枕元を通り抜けるようになった。
決まっているかのように、現れるのはいつも深夜一時過ぎ。
日に一度だけ枕元を通り過ぎる。

それが出るようになって五日目、渋る姉を何とか説得して、一緒に目撃してもらう
ことにした。息を殺して時間を待つ。

時間通り、その日もそれは現れた。
壁に溶けて消えた時点で、姉に「見たでしょ!アレ一体何だろ?」と話を向ける。
しかし姉は奇妙な顔をしてこう答えた。
「音は確かに聞こえたけど、私には何も見えなかったよー?」

「どういうことなんだろねー?」
これまでは同じモノが見えていた筈なのに。
二人で首を傾げたそうだ。

この話を聞かされて、私は嫌な感じを覚えた。
マンションに出る何かが、ターゲットを友人一人に絞ったかのような、そんな気が
して仕方なかった。口に出しては言わなかったが。

1822雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/30(月) 20:24:53 ID:BK.4cjck0
雷鳥一号です。
季節が変わるという事で続き物にチャレンジしてみようかと
せっかくの自由帳ですし

1823名無しさん:2019/09/30(月) 20:37:51 ID:0qwR8lYs0
息切れするのが早いようですが、どうぞ、これからもその調子で。
何でしたら、同じAAの連貼りでも構いませんよ。
「機能的な文章」で出来るだけ数を稼いで下さるとありがたいです。

1824雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/30(月) 20:40:09 ID:25g5rlu.0
>>1818
いつもありがとうございます。
どうでしょう。山に行かれてみては
そのまま遭難して動物や虫の餌になるのも素敵なことかと思いますが

1825雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/30(月) 20:41:03 ID:25g5rlu.0
ひどい.....

1826名無しさん:2019/09/30(月) 20:42:32 ID:Xc5KjnM.0
雷鳥さん乙っす

なんか変なの沸いてますが無視しましょう
こういう輩は構うと喜びますので

1827雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/30(月) 20:45:20 ID:25g5rlu.0
>>1826
コメントありがとうございます
せっかく話を読んでいただいたのに、無視するのはどうかと思いましたが、そうした方がいいかもしれませんね
わざわざ遅筆の駄文を覗きに来てくれていますので、心苦しいのですが

1828雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/30(月) 20:48:19 ID:25g5rlu.0
皆さんもネタがあったらどんどん投稿してください
ここは私の自由帳ですので全く構いませんよ

1829雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/30(月) 20:49:28 ID:25g5rlu.0
ないなら、黙っとけ
私の作品への苦情、非難はチラ裏にでも書いてろ
カス

1830雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/30(月) 20:50:57 ID:25g5rlu.0
雷鳥一号

いきます!

1831雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/30(月) 20:52:00 ID:25g5rlu.0
薮蛇一号です

うそうそ

雷鳥一号です

1832雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/30(月) 20:52:35 ID:25g5rlu.0
「「「「「機能的な文章」」」」」の雷鳥一号です

1833雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/30(月) 20:54:01 ID:25g5rlu.0
あんの〜

1834雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/30(月) 20:55:02 ID:25g5rlu.0
怒った?

1835雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/30(月) 20:55:40 ID:25g5rlu.0
オラオラ雷鳥様に挨拶せんかい

1836雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/30(月) 20:57:06 ID:25g5rlu.0
雷鳥一号万歳!

1837雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/30(月) 20:58:19 ID:25g5rlu.0
無視無視無視

蒸し蒸しといえばミストサウナ入ったけど

ミストの方がいいね
いいんですよ、冨樫先生

1838雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/30(月) 20:58:58 ID:25g5rlu.0
って私はキユじゃなーい!笑

1839雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/30(月) 20:59:34 ID:25g5rlu.0
雷鳥一号〜ファイッ!

1840雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/30(月) 21:00:06 ID:25g5rlu.0
1840ゲットオオオオオオオオオオオオオオオ!

1841雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/30(月) 21:00:40 ID:25g5rlu.0
いえええええええええええええええええええええい

1842雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/30(月) 21:04:06 ID:25g5rlu.0
私の過去作面白いでしょう

1843雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/30(月) 22:41:35 ID:vMxKiBJg0
アンンッチイイイイイイイイイイイ
どぅぅぅこいったあああああああああああ!?!!!???

1844雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/30(月) 23:07:58 ID:ijL6Uvio0
無視してやる!
やる!無視すっぞてめええええええええ
ちくしょうが

1845雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/30(月) 23:08:31 ID:ijL6Uvio0
ひゃははは
逃げた逃げた腰抜けがあああああああああ

1846雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/09/30(月) 23:14:43 ID:BUoPaObE0
コンパス!

1847雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/01(火) 19:27:26 ID:sa0HOkBM0
毎日監視して

レスが途切れたときだけ

煽る

卑怯者

おる?

1848雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/01(火) 19:28:21 ID:sa0HOkBM0
いたら無視するぞ
覚悟しとけ

なぁ

1849雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/01(火) 21:10:46 ID:/2zxeBLg0
にょほほほほほ

1850雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/01(火) 21:17:25 ID:/2zxeBLg0
おう

1851雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/01(火) 21:25:13 ID:/2zxeBLg0
知り合いの話。

仕事で仲間と二人、山に入っていた夜のことだ。
焚き火を挟んで座り談笑していたのだが、不意に相手が黙り込んだ。
「おい、どうした?」
尋ねてみても、連れは上の方を見上げたまま返事をしない。

何だよ感じ悪いなぁと思いながら、煙草に火を点けて深く吸い込んだ。
自分も顔を上げ、紫煙を勢いよく吹き上げる。

煙の行方をぼんやり追っていると、頭上の梢の中で小さく咳き込む声がした。
「ケホン、ケホン!」
続いてガサガサと葉っぱが揺れる。
何かが木々の上を移動して、ここから去って行ったらしい。

1852雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/01(火) 21:25:58 ID:/2zxeBLg0
(続き)
驚いて腰を浮かす横で、連れが大きく息を吐き、緊張を緩めるのがわかった。

そして言うには、
「いや、ふと上を見るとな、誰かと目があったんだ。
 葉の向こう側、暗闇の中に二つの黄色い目玉だけが浮かんでた。
 ビビって動けなくなっていたんだが、お前が煙草を吹き付けたら、
 咳き込んでどっか行っちまった。助かったよ」

「後にも先にも、喫煙を感謝されたのはあの時だけだな」
彼はそう言って頭を掻いていた。

1853雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/01(火) 21:27:21 ID:/2zxeBLg0
どうよ?
「「機能的」」だろぉ?

1854名無しさん:2019/10/01(火) 21:53:57 ID:YHn.FM4s0
???レスが途切れたときだけ 煽る 卑怯者???

なら、オワコンスレで好き勝手に...ああ、済みません。

何にしろ、レスが途切れないよう、努力されることを期待しています。

1855雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/02(水) 06:48:18 ID:qEzAQqaI0
臆病者が

1856雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/02(水) 06:49:48 ID:qEzAQqaI0
オワコンスレじゃなくて私の自由帳ですが?

1857雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/02(水) 06:50:54 ID:qEzAQqaI0
友人の話。

アメリカへ留学していた時のことだ。
ホストファミリーは皆揃って絵画が好きだったそうで、家族の描いた絵が
山のように屋根裏部屋に収められていたらしい。
彼も好きな口なので、よくそれを眺めさせてもらっていた。

そんなある日、これまでにない変わった一枚を見つけた。
コンテのみで描かれたモノトーンの絵だ。
画の中心には全壊した丸太小屋がある。
屋根はすべて剥がされて、壁も僅かばかりに残っているだけ。
周りに残骸が散らかっており、その間に人が二人ばかり倒れている。

1858雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/02(水) 06:51:25 ID:qEzAQqaI0
(続き)
そして、その壊れた小屋の横に腹這いになっている、黒い大きな獣が一匹。

デザインとしては犬か狼に見えた。
頭から尾の先まで、優に小屋の倍はあった。

家人にその絵のことを尋ねると、
「詳しいことはわからないが、開拓時代に描かれた絵を、数代前の家長が
 模写したものらしいよ。よほど印象的だったんだろう。
 元絵?いやどこで見たのかとかは伝わってないな」
との答えがあった。

今でもふと、あの絵のことを思い出すことがあるのだという。

1859雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/02(水) 06:52:16 ID:qEzAQqaI0
自由だ〜!

1860雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/02(水) 06:54:04 ID:qEzAQqaI0
変なの沸いてるナ〜
見ないフリ見ないフリ

1861雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/02(水) 06:56:03 ID:qEzAQqaI0
どうも「「「薮蛇」」」一号デス

1862雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/02(水) 19:01:24 ID:5VvHgx.Y0
江戸っ子でい!

1863雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/02(水) 19:01:58 ID:5VvHgx.Y0
線路内には立ちいらないでください

1864雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/02(水) 19:02:57 ID:5VvHgx.Y0
ジャポニカ学習帳〜

1865雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/02(水) 19:06:34 ID:Q1q56OPo0
友人の話。

幼い頃、山中の実家へ遊びに行った時のこと。
祖父と一緒に庭で竹馬に挑戦していると、不意に背後で異音がした。

 べしゃりっ

振り向いてみたが、何も黒土の上には確認できなかった。
気を取り直して竹馬に取り組み直したが、しばらくするとまた同じ音が聞こえた。
何度も聞こえると流石に無視出来なくなり、祖父に「変な音がする」と訴えた。

「ありゃよく熟れた柿が落ちる音だ。心配要らん。
 お前は聞いたことがないから知らんだろうが、儂には懐かしい音でな」

祖父はあっさりとそう答えた。

1866雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/02(水) 19:07:06 ID:Q1q56OPo0
(続き)
そして庭の一角を指し示す。

「ほら、あすこに切り株があるだろう。
 昔はでかい柿の木が生えていたんだ。
 虫や病でボロボロになったんでな、何年か前に切り倒したんだよ。
 でも何故かそれからも、柿の実が落ちる音だけは聞こえ続けてる。
 柿の季節でもないのに音がするところを見ると、柿も迷っているのかもな」

迷っているって?

「成仏できてないってことだ。
 耳がないから、ありがたい御経も届かんのかもしれん」

成人した今でも時々、べしゃりっという音を聞くと彼は言っていた。

1867雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/02(水) 19:07:50 ID:Q1q56OPo0
友人の話。

山奥の温泉旅館に泊まった時のことだ。
真夜中、尿意で目が覚めたのでトイレに行くことにした。
用を済ませて廊下を歩いていると、『関係者以外立ち入らないで下さい』と
書かれた札のある一角を通り過ぎた。
奥の方で明かりが灯っており、そちらから食欲をそそる良い匂いが漂ってくる。

「厨房かな?」
半分寝惚けた頭をその通路に突っ込んでいると、後から肩を叩かれた。
「駄目ですよ、そちらは従業員専用です」
柔らかい声でそう注意される。

「あ、こりゃどうもすいません!」と慌てて振り向くと、女性が一人立っていた。
服装は間違いなくその旅館の仲居さんのものだったが、その首から上、こちらを
見つめるその顔だけが、狐だった。

唖然としている彼の前で仲居さんは頭を下げた。
金色の毛皮の後頭部が見えた。
そしてパッと掻き消すように消えてしまったという。

翌朝、部屋を訪れた女将にこの話をしてみた。
笑われるかと思ったが、まだ若い女将さんはニッコリと笑って
「レアですよ、運が良かったですね」とだけ答えてくれたそうだ。

1868雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/02(水) 19:10:10 ID:Q1q56OPo0
ドウモ雷鳥デス

1869雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/02(水) 19:46:13 ID:HXiU6kuY0
山の話面白いネ

1870雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/02(水) 23:49:13 ID:lgg866YQ0
おる?

1871雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/03(木) 20:25:58 ID:G/ausz0M0
友人の話。

一人で山奥を縦走している時、廃火葬場を見つけた。
火葬場にしては妙に大きくて屋根が高く、細長い建物だった。
近くに集落もない山奥なので怪訝に思い、中を覗いて見たそうだ。
土間に遺体を焼くための溝が掘られていた。

巾2m、長さ6mほどのとても大きな溝だった。

ここでいったい、誰がどんな人を焼いていたんだろう?
そう考えると急に恐くなり、飛び出して逃げたそうだ。

1872雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/03(木) 20:26:35 ID:G/ausz0M0
先輩の話。

下山中に道に迷った時のこと。
藪漕ぎをしていると、小さな集落跡に出くわした。
木は全て朽ち果て、石垣造りの火葬場らしきものだけが辛うじて形を
保っていたのだそうだ。
中を突っ切って下山を続けた。
しばらくすると開けた場所に出た。
ついさっき通り抜けたはずの集落跡だった。

下りる場所を変えて下山を続けたが、また同じ集落跡に戻ってしまう。
4度目に見覚えのある廃屋が見えた時、叢に埋もれた道祖神に気がついた。
とりあえず、非常食用の乾パンを捧げて手を合わせてみた。

その後20分も歩かないうちに里へ出られたということだ。

1873雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/05(土) 02:51:12 ID:Q14gbMNY0
友人の話。

私たちがよく縦走していた山道で、廃火葬場が見える所があった。
谷を挟んで向こう側の尾根に、朽ち果てたそれがぽつんと佇んでいた。
仲間内ではそこにあって当たり前の光景になっており、恐い思いを
したことは無かった。

ある夕刻、友人が一人でその山道を通った時のこと。
ふと目をやると、火葬場に灯りがともり煙がたなびいていたのだという。
朽ちたはずの小屋が、まるで建て直したかのようにしっかりしていた。
翌日そこを通って帰る時には、元の廃屋に戻っていたそうだ。

その後、誰が取り壊したのか廃火葬場はきれいさっぱりとなくなって、
今はその痕跡すら見当たらなくなっている。

1874雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/05(土) 02:54:00 ID:Q14gbMNY0
知り合いの話。

部活でいつもの山を縦走している時のこと。
五人いたのだが、たまには違う道を開拓しようということになった。
友人が先頭に立って進んでいたのだが、麓近くで廃火葬場を見つけた。
多人数だったので、強気に中を覗き込んだらしい。

真新しい日本酒の瓶と、酒が注がれたお猪口が三つ、土間に並んでいた。
まるで今まさに飲んでいるような雰囲気だったという。
他にビーナッツと柿の種、そして頭を落とされた蛇が置いてあった。

慌ててその場から立ち去ったそうだ。

1875雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/06(日) 01:23:02 ID:9.cA2/RQ0
同僚の話。

消防団で大規模な山火事の鎮火活動をしている時のこと。
ホースを手繰っていると、燃え尽きて灰に覆われた斜面に何か見えた。
小さな水色の花が一輪、真っ直ぐに立っていた。

それを見た年配の団員がぽつりと言った。
ヒドメが出たな、この火事は大事にはならないよ。
山火事はその日の夕方までには無事に治まったということだ。

1876雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/06(日) 01:23:34 ID:9.cA2/RQ0
知り合いの話。

人里よりかなり離れた、山奥の獣道を歩いている時のことだ。
少し先の地面に、いきなり空から勢いよく突っ込んできた物がある。
どすっという重い音が響いた。
驚いて駆けよると、野球で使う硬球であった。
手に取って空を仰いだが、わずかばかりの雲が流れているだけだった。

1877雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/07(月) 20:56:48 ID:2s.oHMvU0
どうも雷鳥一号です
今宵もやってきました

1878雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/07(月) 20:57:43 ID:2s.oHMvU0
友人の話。

彼が道路工事でバイトをしている時のこと。
そこの現場は、作業車の他は何も通らないような山奥だった。
ある日の昼下がり、乗用車が一台、現場に侵入してきたのだという。
出て行けという注意も聞こえないようで、車は現場の中で止まった。
運転席から降りた男は、トランクから大きな麻袋を担ぎ出してきた。
麻袋からは女性の腕が突き出していた。

その異様な光景に、誰もが近寄るのを躊躇したそうだ。
男は地面に掘られていた穴の中に袋を投げ込み、土をかけて埋めてしまった。
袋が見えなくなると男はほっと息をつき、車に乗り込んで帰っていった。
誰かが警察を呼べと叫んでいた。

白昼の大胆な死体遺棄犯は、目撃者が多いせいもあってすぐに捕まった。
警察の取り調べで犯人が語ったところによると、殺した女性を埋めようと山に
入ったが、出くわした工事現場に誰もおらず、ちょうどいい穴まであったので、
これ幸いと埋めてきたということだった。

なぜか犯人には、殺した女性以外の存在は見えていなかった。
当時、現場には作業員が十人以上いたと聞かされても、信用しなかったという。
その全員が目撃者だと聞いた時は、唖然としていたそうだ。

1879雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/07(月) 22:23:09 ID:t47GqKMo0
ちんぽこちん

1880雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/10(木) 22:53:26 ID:5iYBKyus0
後輩の話。

彼は林道をバイクで走破するのを趣味にしている。
とある山奥の廃道を走っていると、行く手に太い木が倒れているのが見えた。
「やれやれ、スピードを出していたら転倒するところだった」
バイクから降りると、障害物を片すため手を掛ける。

彼の手が木肌に触れるや否や、倒木はビュッと飛ぶように移動した。
そのまま下生えの中に突っ込み、あっという間に見えなくなった。
低木がガサガサと揺れ、何か長い物がその下を移動していくのを教えていたが、
それもすぐに静まった。

呆気にとられたが、我に返るとバイクに飛び乗り、全速力でそこから逃げ出した。

「どう見ても木だったんですけどね。枝も伸びてたし。
 アレって何だったんでしょう?」
本当に驚いたという顔で、彼は首を傾げていた。

1881雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/10(木) 22:54:03 ID:5iYBKyus0
自由帳の面白い使い方ないかな〜

1882雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/12(土) 22:10:28 ID:HJuffYIw0
台風すごいデスネ
いつ停電になるか

1883雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/12(土) 22:11:52 ID:HJuffYIw0
友人の話。

渓流釣りに行き、山中の河原に野営していた夜のこと。
竿の手入れをしていると、焚き火の向こう側に何かがいるのに気がついた。
姿形はおぼろ気ではっきりと見えないが、不思議にも恐いとは思わなかった。
それはじっとこちらを見ていたが、やがてその竿をくれと言ってきた。

彼は少し考えて、恋人と引き換えならあげてもいいと答えた。
するとそれはついて来いと言い、立ち上がって歩き出した。
素直についていくと、しばらくして崖がオーバーハングしている場所に出た。
娘が一人、遺書と書かれた封筒と薬の瓶を持って倒れていた。
慌てて道具を投げ出し、介抱したそうだ。

気がつくとそれは姿を消してしまっていた。
いつの間にか、釣竿が二本と魚篭が一つ失くなっていたという。
一本は鮎竿でかなり高価だったらしく、かなり落ち込んだそうだ。
その時助けた娘さんは、現在彼の奥さんになっている。

1884雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/14(月) 01:06:07 ID:qZ3g01h20
いやあ繋がらなくてビックリデス

1885雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/15(火) 22:31:23 ID:Z9Z3EN7.0
知り合いの話。

人里よりかなり離れた、山奥の獣道を歩いている時のことだ。
少し先の地面に、いきなり空から勢いよく突っ込んできた物がある。
どすっという重い音が響いた。
驚いて駆けよると、野球で使う硬球であった。
手に取って空を仰いだが、わずかばかりの雲が流れているだけだった。

1886雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/15(火) 22:31:57 ID:Z9Z3EN7.0
知り合いの話。

シーズン外れの山歩きで、キャンプ場に一人だけで宿泊したそうだ。
水場ときれいなトイレが設置してあるのがありがたかった。

夜中に我慢ができず用を足しに行った時のこと。
しゃがんでいるとドアがいきなりノックされた。
恐る恐る外に出たが、人っ子一人いなかった。
彼は夜明けまで一睡もできなかったという。

1887雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/15(火) 22:32:58 ID:Z9Z3EN7.0
私の好きな時に好きな事を書き込まれて…
オワコンスレも本望でしょうネ

1888雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/17(木) 00:11:39 ID:hmk9JJm.0
くふふ

1889雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/19(土) 15:19:17 ID:yFsfOQ9U0
先輩の話。

連休を利用して山歩きしていた時のこと。
無人の山小屋に泊まったのだが、奇妙な夢を見たという。

足先まで髭を伸ばしたお爺さんが、挨拶が無いと言って怒っていた。
先輩はなぜか恐れ入ってしまい、わけも分からず謝ったのだという。
そのうち怒りも薄れたのか、お爺さんは許してくれたそうだ。
許すから酒を出せ、と言われたところで目が覚めた。

妙な夢だったが、内容はしっかりと憶えていた。
確かめようと、最後の夜の楽しみに取っておいた酒の携帯容器を出してみた。
容器は空になっており、一滴の酒も残っていなかったそうだ。

1890雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/19(土) 15:19:50 ID:yFsfOQ9U0
知り合いの話。

冬山登山に出かけ、大きな山小屋に泊まった時のこと。
団体用の広い部屋に三人で雑魚寝したそうだ。

夜中に、仲間の苦しそうな声で目が覚めた。
隣を見やると、彼の身体の上に黒い影が乗っているのが見えた。
影は仲間を両手で抱きかかえ、どうやら接吻しているようだった。
慌てて身を起こすと、たちまち影はかすんで消えてしまったという。

仲間の生命に障りは無かったが、その身体は冷え切っていたらしい。
計画を切り上げ、次の日に山を下りたのだそうだ。

1891雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/19(土) 15:21:08 ID:yFsfOQ9U0
たまには投下してみますネ

1892雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/10/27(日) 23:55:04 ID:eeYjafyQ0
ハロー

1893雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/11/02(土) 00:45:03 ID:Yns2/MTI0
生主富士山滑落事故...
恐ろしい映像でしたネ

1894雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/11/10(日) 14:47:32 ID:4ddRcasE0
私の自由帳が復活してる

1895雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/11/16(土) 14:25:25 ID:M1h3MXT60
ふひゃ

1896雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/11/16(土) 14:26:00 ID:M1h3MXT60
週一しか来れないです...

1897名無しさん:2019/11/18(月) 06:43:35 ID:EFXlox1c0
ここは藍スレ

1898雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2019/12/04(水) 21:52:00 ID:kTXcge3M0
私の自由帳デスよ?

1899雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2020/03/24(火) 23:57:00 ID:G9JpchVA0
忙しくて存在を忘れていました。雷鳥です

1900ねここ:2020/05/27(水) 09:40:39 ID:9vu4Gn6k0
自由帳に書き込みされているところ申し訳ないのですが、藍さんに依頼とかすることは可能なのでしょうか?
個別対応はされていないようなので、ないのかもしれませんが本当に困っているので書き込みしてみました。
ご迷惑であるようならこの書き込みを削除することも考えているのですが、なにぶん初心者なのでうまくでき
るかはわからないです。依頼内容は式神関係で、連絡の取れない知人によって取り付けられた式神を取り外してほしい
というものです。取り付けられてから約8年、悪化してからかぞえると約3年位になります。Rさんに依頼と書くべきか
迷ったのですが、藍さんに、の方が良いような気がしたので書き出し以上のようにしています。このスレにおられる人
どなたでも構いません。外せるよ、またはそういった人に心当たりのある方おられましたら嬉しいです。一週間に一回
くらいの頻度で来るようにしていますので何か新たな進展等あると、それも嬉しいです。どうかよろしくお願いいたします。

1901張子の寅 ◆1U4O8MKpUI:2020/06/03(水) 11:50:05 ID:YiR37EIg0
>>1900 ねここさん

ウチのコ達に訊いたら対応可能とのコトだったのでお声掛けしました。


・式神を付けられた経緯
・ねここさんの認識の程度(その式神が視えて聴けるのか、存在を感じるだけか…等)
・具体的にどういうふうに困ってるのか

以上の3点を以下のスレに書き込んで下さい。

【霊障】結界・ヒーリングお試しスレ06【気のせい】
https://mao.5ch.net/test/read.cgi/occult/1548760109/

その際、「したらばの怖い話板の〜」と言わないで貰った方が助かります^^;

1902雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2020/06/24(水) 10:54:27 ID:Lf7uc/YU0
式神?
狂ってマスネ

1903名無しさん:2020/08/19(水) 14:26:37 ID:JOwv075.0
藍さん戻ってきて~!

1904雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ:2020/09/03(木) 06:44:13 ID:2Ne7.t7E0
>>1903
ご無沙汰してますどうも雷鳥です

1905名無しさん:2020/09/08(火) 07:05:09 ID:rx3fJFAg0
雷鳥スレ往け

1906名無しさん:2020/09/10(木) 10:51:02 ID:9U3oWUnc0
トリップが古いままじゃん。
本物の雷鳥は、流出発覚後にトリ変えてんぞ。
成りすましも程々にしときなよ。

1907名無しさん:2021/07/05(月) 23:04:34 ID:QyboSZ0U0
新作発見。嘘じゃないぞ。
キーワード工夫してググってみ。

19081591:2021/07/06(火) 00:55:32 ID:EnUzm5.I0
ありがとう

1909名無しさん:2021/07/06(火) 12:31:57 ID:NqaICFgI0
ありがとうございます
最近ずっと読み返していたところなのですごく嬉しいです

1910名無しさん:2021/07/12(月) 20:11:51 ID:APehzHVg0
どこどこ?

1911名無しさん:2021/08/02(月) 00:47:53 ID:UYwt.D960
リンク貼って

1912名無しさん:2021/08/03(火) 22:36:50 ID:fXRPRlCc0
探せない

1913名無しさん:2021/08/05(木) 20:59:33 ID:XJ60N6xI0
何故か知らんが、前と同じキーワードじゃ出てこない。
tag 藍物語 でググれ。第一話目が新作。これも期間限定かもな。

1914名無しさん:2021/08/06(金) 05:34:33 ID:KtxjMNbo0
見つかった

1915名無しさん:2021/08/06(金) 22:59:10 ID:vm7wMnpI0
良かったね

1916名無しさん:2021/08/09(月) 21:59:06 ID:A0WIqfUg0
転載禁止だから前以上に広く読まれることはない

1917名無しさん:2021/08/11(水) 21:08:32 ID:.bp8KY820
これって原作?

1918名無しさん:2021/08/12(木) 19:05:53 ID:rGXsGctw0
?

1919名無しさん:2021/08/15(日) 23:43:56 ID:Ac2CuSfQ0
原作というか
題名と前書きを信じるなら「知人さん=作者本人」の投稿
内容も投稿順も大幅に修正されてるから前書きの通りなんだろう

1920神林ケンジ:2021/08/28(土) 18:48:37 ID:Xi8KzmTU0
私の家の隣にある家が気持ち悪いです。
庭からは竹藪?がぼうぼうに生えていて、夜中になると何故か二階の電気が点滅しています。

最初は変だなぁ、程度にしか思っていなかったのですが、先日その家に1人で住んでいるおばさん(40代後半くらい)から急に「あの家(おばさんが住んでる家)の土地で昔、神隠しとか、そういう事って起きてたんですか?」と怒鳴られるような勢で尋ねられました。

意味がわからず、気持ち悪かったのでその場では適当に返答しました。その後、一緒に暮らしている祖母に話を聞いたところ、そんな神隠しとか変な事件があったなんて聞いた事がない、と言われました。そもそも私の家や、隣家のあるエリアは昔は田んぼだったので、神隠しなんて事とは無縁だと思うのですが……

ただ隣の家なのですが、元々は祖母のお知り合いの老人(おじいちゃん)が一人暮らししていたのですが、10年程前に家の中でお亡くなりになっていたそうです。多分事故か病気だと思うのですが、一人暮らしだった為、発見が大分遅れたそうです。

私は3年前に引っ越してきて祖母と今の家で一緒に暮らす事になったので、今の今まで知らなかったのですが、何となくおばさんの話や、祖母の話を聞いてから隣家が気味悪く感じられます……気持ちが悪くて、ここ最近落ち着かず、ここに書き込みさせて頂きました。

1921メカコアラ軍曹:2021/08/28(土) 18:52:50 ID:frR1rBP20
わいは15歳の頃定時制高校通ってたのね でも半年ほど立ってから駅の椅子に座ってた時な 禁煙のマークが描いてあるのに隣で煙草すうやつが居たんよ わいがちょっちゅ舌打ちしたら何舌打ちしてんだよゴラァ!って胸捕まれた訳 それがきっかけで対人恐怖症言うか、人の事嫌いになって引きこもる様になってしまったのね
ほんでそっからネトゲ生活の始まりね。わいがやってたゲームは巨商伝 引きこもる様になってから中学の友達とも遊ばなくなって(迷惑掛けたくないし) そっから1年位時間たって2010年かなわいは携帯使って一人友達にあけおめメール打ったのよ そいつは学校行ってたけど昼は暇みたいで昼からわいと遊び始めるようになった 夜はオンゲ、昼はカードゲームやそいつの家でプレステその友人Nにはとてもお世話になったわ そんなこんなで2011年も2012年も遊びほうけてた訳親から学校行きなおして見ないか?とか言われてたな

1922名無しさん:2021/10/04(月) 00:58:59 ID:uHCfjArw0
https://ncode.syosetu.com/n2472hb/

1923名無しさん:2021/11/20(土) 22:25:10 ID:rB1BG3/w0
新作きたー!

1924名無しさん:2021/11/30(火) 18:43:39 ID:rHug8gPc0
ほんとの書下ろし?

1925名無しさん:2021/11/30(火) 22:38:44 ID:wP5wMmE60
>>767の8行目が気になってたけど、その経緯の話だね

1926名無しさん:2021/12/18(土) 00:35:11 ID:K3jGOflE0
告知、また新作来るかも。

1927名無しさん:2022/01/12(水) 05:46:08 ID:/qMz9Ad20
はよ

1928名無しさん:2022/03/06(日) 22:29:06 ID:wFrxLAsA0
新作北

1929twinkle:2022/07/02(土) 05:31:04 ID:u7JsPRvo0
>>1904もしよければ私の書いたものお読みください。不思議な話など書いています。自分の体験のみなのでたかがしれていますが。gooブログなどで書いています。

1930名無しさん:2022/07/05(火) 22:20:34 ID:Or7jwmDs0
最初PRだったのに何故ERに変わったのだろう?

1931名無しさん:2022/08/30(火) 03:28:31 ID:Ok89k1n.0
twinkle ?

1932名無しさん:2023/04/18(火) 02:28:27 ID:261pEf3I0
どういうこと


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板