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怖い話Part2
785
:
『玉の緒(結)』
◆iF1EyBLnoU
:2014/01/17(金) 18:55:17 ID:tG/ByxVg0
『玉の緒(結)』
少女が沖縄に帰ってから暫くの間、お屋敷の中は少し寂しくなった。
しかし日が経つにつれ、少女を恋しがってぐずりがちだった翠も少しずつ元気になり、
俺の傷も順調に回復して、お屋敷は元の賑やかさを取り戻しつつあった。
そして、庭の桜が咲き始めた頃。久し振りに川の神様のお社へ参内すると決めた。
立ち入り禁止期間に参内を休んだのは3回。皆で相談して参内するのを決めたのは一昨日。
その後も翠が神託を受けなかったのだから、既に立ち入り禁止は解けているのだろう。
俺が軽の4駆を運転し、Sさんと二人で出発した。車の運転は本当に久し振りだ。
Sさんは助手席の窓を全開にして、山道の景色を眺めている。 少し寂しそうな横顔。
「炎さんと紫さんのことを考えてる。そうですよね?」
Sさんは俺の顔を見て少し笑った。「正解。じゃ、どんな風に考えているかは?」
「もう少し炎さんに、優しくすれば良かった。あの縁談も、もう少しちゃんと聞けば良かった。
こんな感じ、で、どうですか?」
Sさんは眼を丸くして俺を見た。「驚いた。術も使ってないのに、どうして?」
「炎さんはあの晩、僕に紫さんの事を話してくれました。
どんな内容だったか、桃花の方様の術をSさんも聞いていたんですよね?」
Sさんは小さく頷いた。
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