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怖い話Part2

417名無しさん:2013/08/31(土) 19:10:36 ID:2s9KCt.o0
眠りたいのになかなか寝付けないとき、俺はとりとめもない空想をすることにしている。

中学の文化祭を思い出す、予備校の授業風景を思い出す、とかで、なんでもいい。
そうしたことをボンヤリ考えているうちに、いつのまにか眠りに落ちていくのだ。

ある夜、俺は目を閉じて、自分が住んでいるアパートの近くの街並みを考えていた。

あそこに古着屋があって、角にコンビニがあって、その向かいは何だったっけ……?と、空想の中で風景を再現している内に、どんどん意識は薄れていった。

経験したことがある人はわかると思うが、眠る直前になると、そうした空想はどんどんとりとめもなくなっていく。いわば、無意識的に色んなことを考えるようになる。

例えば、文化祭のことを考えていたはずが、いつのまにか頭の中でテストを受けていた、とか、知らない男に道案内をしていた、とかだ。
そういうときに目が覚めると、「なんで俺はこんなことを考えていたんだ?」と不思議な気分になる。

その日もそうだった。
いつの間にか、俺は空想の中で、最寄りの駅からアパートに帰ろうとしていた。
夜の繁華街をかき分け、住宅地に入っていく。

アパートに着くと、敷地に、見慣れない樹が立っているのに気がついた。
こんなところに樹なんてあったっけ?と目を凝らして、息が止まりそうになった。

それは、何mにも伸びた人間の脚だった。遠くから見上げると、脚の上に胴体、頭があるのがわかる。
夕暮れ時に長く伸びた影法師をイメージしてもらえればいい。
黒々とした人型のカゲが、ゆらりと立ってアパートの一室を覗き込んでいる。
あっけにとられている俺の耳に、そいつの呟くような声が聞こえてきた。

「ねとるのか?ねとるのか?ねとるのか?ねとるのか?…………

電波の悪いラジオのように、ざらついた声で、ひたすらそれだけを繰り返している。カゲの腕がゆらりと持ち上がって、アパートの窓を撫でる。
そのとき、カゲが覗き込んでいる部屋が三階の端の部屋であることに気がついた。俺の部屋だ。思わず、「えっ」と声が出た。

そして、眠りかけていた意識が覚醒した。
気がつけば俺は、汗をかいて、布団の上にいる自分に気がついたのだ。

どうしてまた、あんな空想をしてしまったのか。無意識の中で、自分が何を考えているのか分からない。

手探りでリモコンを探してクーラーをつけ、寝直そうと寝返りをうった。



と、
寝返りをうったら、

窓の向こうにはあの黒い大きな顔がゆらゆら揺れていて

「ねとらんなあ」


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