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怖い話Part2

274『呪物』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/26(水) 00:25:21 ID:JGC1Aft20
 「どうしてこれが呪物だと思ったの?」
「手に取ると、凄く嫌な感じがするんです。絵や模様はとても、綺麗なのに。」
Sさんがトランプを手に取った。慣れた手つきでシャッフルし、扇形にカードを広げる。
途端に全身の毛が逆立った。
このトランプはまるで『窓』だ。 窓の向こう側にいる、何者かの、禍々しい気配。
そして今、少しだけ開いた窓の隙間から『それ』がこちらの様子を窺っている。
カードを配ってゲームを始めれば、間違いなく『それ』は窓から手を伸ばしてくる。
「確かに呪物ね。それもかなり強力。呪物を使う呪いは、時間と相手を限定できないから
成功率はそれほど高くないし、作るのにも手間がかかる。本物は滅多に無いんだけど。」
「本物って、それ持ってるとやっぱり悪いことが起こるの?」
「『保管庫』に入れておく分には問題無い。でも、手に取ったり眺めたりすると影響を受ける。
遅かれ早かれ体を壊すし、心も蝕まれる。 強い呪いを封じて、呪う相手に贈ったもの。
作られてから、多分100年以上は経ってるのに力はほとんど弱まっていない。
使用された痕跡は感じない。多分、想定外の事態が起きて倉庫か屋根裏にでも埋もれてた。
これを贈られた人はとても運が良かったのね。それに、運が良いのは暁君と碧も同じ。
変だと感じて、直ぐにこれを『保管庫』に入れておいたのは正しい判断だった。」
「あの、やっぱり焚き上げないと駄目ですか?」 暁君は不安そうな表情だ。
駄目どころか、一刻も早く処理しないといけない気がするが、
暁君はそこまで強い気配や憎悪を感じていないということだろう。
術者ではないのだから無理もないし、変だと感じただけで大したものだ。
「焚き上げると中の呪いが解放されるから何が起こるか分からない。却って危険なの。」
そうか、焚き上げるだけで良いのなら、Sさんでなければならない理由はない。
「でも呪いの力を消してしまえば、これは呪物ではなく洒落たアンティークのトランプ。」
暁君はホッとした表情を浮かべた。


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