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怖い話Part2

207『道標(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 20:52:05 ID:Ugm8l/Kw0
 「あの、すみません。」 後部座席の少女がおずおずと俺たちに声をかけた。
「何?」
「どうしてSさんはノロが護っている場所に住みたいんですか?
Sさんなら自分で自分の住んでいる場所を護れるはずなのに。」
「私たちだって、心から望んで術者になった訳じゃない。
折角の力を封じるより、何かに役立てた方が良いと思ったからこの道を選んだの。
でも術者を続けていれば辛いこともあるし、嫌な思いも悲しい思いもする。
せめて年を取ってからは術を使わず、心静かに暮らしたい。
力のあるノロが護ってくれている場所でならその夢が叶う。長生きできれば、だけどね。」
「私、私がもしノロになったら、Sさんたちはいつかあの集落で暮らしてくれますか?」
「悪くない話ね。海に面してるからR君も不満ないでしょ?」 「それはまあ、そうですね。」
「それから、もう1つ聞きたいことがあって。」
「今度は何?」
「あの、翠ちゃんはSさんとRさんの子供なんですよね?」 「そうよ。」
「それでLさんはRさんの奥さん、それって一体どういう。」
「お嫁さんが2人いるの。私たちの一族では良くあること。」
「じゃあ私...ううん、何でもないです。」
これ、何だかややこしい展開じゃないのか?
何故Sさんは何故わざわざあんな、いや、事実なのだからあれ以外に答えようが無い。
ホテルへ戻る間、少女はずっと何か考え事をしているようで黙ったまま。
Sさんは興味深そうに窓の外を眺めながら黙ったまま。姫と翠はずっと寝たまま。
車の中は不思議な静かさで満たされていた。


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