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タロットカード“吊るされた男-THE HANGED MAN-”の意味

1【管理人】セラフィエル:2007/12/02(日) 23:21:30 ID:Anb/ovrU0
以前極東博士殿が持ち出された話である、新劇場版の初号機がタロットカード「吊るされた男」ではないかというご意見について、詳しく掘り下げないままに終わってしまったので、改めて触れてみたいと思います。
とりあえず、タロットカードの図像を知らない方は、ウィキペディアでも引っ掛ければ画像があるはずです。

大アルカナ、12番目のカード「吊るされた男」は、22枚の大アルカナの中でもっとも深い意味を持つカードの一つであるとされています。
木に片足首が縛り付けられている、逆さ吊りにされた一人の男の絵が描かれたカードです。
両手は後ろで組まれ、縛られていないほうの足は、もう一方の足に交差され、ちょうど十字の形を形作るようになっています。
しかしこのように非常に苦しそうな態勢でありながら、この男の表情は実に穏やかです。
カードの作者の一人であるウェイト・スミスによれば、「聖なる“死の神秘”の後に知るであろう大いなる覚醒」へと向かうストーリーこそが、このカードの隠された意味を解く鍵であるといいます。
いわゆる宗教儀式的で、神秘主義的な、なんとも謎めかしい説明です。

あるいは、このカードを解釈する上では、北欧神話の主神オーディンの伝説と結びつけられることもあるそうです。
北欧伝説のオーディンは、宇宙樹ユグドラシルに自らを九夜の間吊るして、自発的な死を迎えています。
しかしオーディンは魔法の力で復活します。その復活後は、ほかの誰よりも優れた知恵を身につけました。
オーディンのこのような話からして、このカードは「直観」「知恵」「犠牲」といったような意味を持つと解釈されるんだそうです。
ただし、オーディンの話と吊るされた男の話は「吊るされた」という一点のみにおいて共通しているだけで、オーディンはひげを生やした老人として描かれることが多く、吊るされた男とは似ても似つかない姿だということは注釈に付け加えておきます。

なんとなく嫌な予感・・・。
これだけ見る限りでは、またしても一度補完計画で全員のいわゆる「死」を決行するというのだろうか・・・。
「聖なる“死の神秘”の後に知るであろう大いなる覚醒」
これはシンジの事を指しているのかもしれませんが・・・。
旧劇場版でも人間は一度種としての滅亡を経験しております。
しかし大いなる覚醒とはいかがなものか・・・。
当たり前のことに気づくためだけに、全ての人間を死に巻き込んだ、それは「死」に幻惑されているという点で、監督のネクロフィリアが露呈した結果になってはいるのですが、大いなる覚醒などとは恐れ多くもいえないし、帰ってきた時点でもアスカの首を絞めるといった点でまるで成長していないから倒錯もいいところです・・・。
あるいはグノーシス主義も「本質的自己(=神智・魂・霊)」の認識によって神への道をたどるわけで、ゼーレの思想と関連付けられるようですが、またしても同じことを外見だけ違ったやり方でやるつもりなのかと、やはり危惧してしまいます。
全部終わってみないとなんともいえないのは確かですが、これだけ「死」に関する要素が多いと、やはり現実における本来の意味における「成長する」ということについて倒錯しているのではないかと邪推せざるを得ませんね・・・。

2【管理人】セラフィエル:2007/12/03(月) 22:57:45 ID:Anb/ovrU0
【Golden Tarot】by Kat Black 解説書より抜粋

ⅩⅡ-THE HANGED MAN
A man hangs upsidedown from a crossbeam.
One leg is crossed over the other and despite his predicament, he looks quite calm and impassive.
The crossbeam from which he hangs is sprouting leaves.

The central figure I have used is of Saint Sebastian, a popular Renaissance icon who is said to have died after being tied to a tree and pierced by arrows.
He is generally accepted to be a myth rather than a real historical figure, and probably evolved from the ancient Roman legend of Attis, the Celtic Cu Chulainn, or the pagen Green Man.
All of these pre-Christian man-god figures died willingly in ritual sacrifice for the common good.

[MEANING]
Trust that all will get what they deserve.
Sacrifices may be necessary and not all battles will be won.
Some are not worth fighting, and are better of foregone.
Self-control may be necessary in times ahead ―you may need to bite your tongue and accept that others will get what they have coming to them, without need for you to intervene.

[Reserved]
A tendency toward masochism and playing the martyr needlessly.

3【管理人】セラフィエル:2007/12/11(火) 00:49:56 ID:Anb/ovrU0
同じ「吊るされた男」でも、伝統的なタロットカードとして知られるマルセイユ版では、ウェイト版の解釈とはまた違った側面が見えてきます。
マルセイユ版の場合、この男の吊るされ方は、二本の樹木にまるで竿でもかけ、そこから吊るすかのような図になっています。
この二本の樹木は、いわゆる母性を意味しており、それにはさまれている、ということは、二人の女性にはさまれて身動きが取れない状況におかれている男という意味にもなるようです。

なお、このカードを逆さまにした状態(つまりぶら下がっているのではなく、まるでつま先でダンスを踊っているかのよう)にしたもの(18世紀のド・ジェプラン製作)も出回ったそうです。
ド・ジェプランは、このカードを逆さまにすることで、本来このカードが四つの枢要徳のうちの「賢明」を描いたものだと解釈したようですが、一般的な「賢明」の寓意画として、片足で立つ男という構図は存在せず、この解釈にはそもそもの無理があるようです。
あるいは17世紀半ばのジャック・ヴィエヴィルという人物によって作られたタロットパックの「吊るされた男」は、カード職人のミスプリによってカードの意味解釈に突然変異が生じ、もはや「吊るされていない男」となってしまったカードも存在するそうです。

また、このカードは二十世紀のタロティストたちによって神秘的な意味合いが持たされましたが、その本来は裏切り者をさしており、聖なる殉教者ではないとなっています。
歴史にみるカードの意味合いの変化ですね。

ところで、ここで私が知りたいな、と思うのは、極東博士殿をしてタロットの最高傑作だという、アレイスター・クロウリーの「トートタロット」の解釈です。
私の持ち合わせている資料ではそれに触れているところは少なく、ほとんど知らないので、ぜひとも博士にそのご説明を伺いたいものです。

4【管理人】アイオーン(仮):2007/12/16(日) 15:59:31 ID:Anb/ovrU0
トートタロットの説明は今のところ博士にお任せするとして、「吊るされた男」のカードができるまでの歴史をさかのぼってみましょう。
上述したように、「吊るされた男」の解釈は、二十世紀のオカルティストたちによって形成されたもので、それをさらにさかのぼってみると、意味がまったく異なることになるのです。
「吊るされた男」の図像は、ウェイト版、トート、マルセイユ版よりさらに昔からあります。
15世紀のグランゴヌール・パックのカードでは、上の三つにはない特徴があります。
吊るされている男が、その手にずた袋を持った図像となっているのです。
これに関してこのずた袋を持った男を、イエス・キリストを裏切ったユダであると見立てる説があるそうです。
モークリーという人物の説明だそうですが。
つまり、このずた袋のなかには、ユダがイエスを裏切る見返りに受け取った銀貨三十枚ではないかというわけです。
それがユダかどうかはともかくとして、この見立て自体があやまっているというわけではないかもしれません。
「吊るされた男」の本来のカードの呼称が「裏切り者」であるからです。
15世紀のイタリアでは、裏切り者や反逆者を逆さ吊りにして描くというのがしばしば見られる風習だったようです。
そういえば直接関係するわけじゃないですが、イタリアの独裁者ムッソリーニは、処刑されたあと、その死体は見せしめに吊るし上げられていましたね。逆様だったかは記憶が薄いですが。

このような風習の例をいくつかあげてみます。
1440年、アンドレア・デル・カスターニョという人物がフィレンツェの監獄の正面壁に、逆さ吊りにされた謀反人を描いています。
有名なボッティチェリもパッツィ家によるメディチ家陰謀事件の首謀者が処刑された姿を、1478年に同じ場所に描いたそうです。
さらに、1529〜30年のフィレンツェ攻囲中には、アンドレア・デル・サルトが、逃亡した将校の逆さ吊りにされた姿を、またしても同じ建物に描いているそうです。
歴史家ピーター・バーグによれば、「当時の社会の価値体系における名誉と恥辱の重要性を考えると、これらの絵は犠牲者とその家族の名誉を失墜させ、彼らを社会的に抹殺し、彼らに汚名をきせるために描かれた」といいます。
二十世紀のタロティストたちによって神秘的で深遠な意味が持たされた「吊るされた男」ですが、過去にさかのぼってみると、その本来の意味は「聖なる殉教者」などではなく、「裏切り者」だったのです。
タロットカード一つ一つにこれだけの意味解釈の分岐があるので、実に奥深いです。

8極東博士:2012/08/12(日) 13:32:08 ID:tQE6G.8E0
タロット(正しくはタロですが)は西洋の象徴主義を具現化したもので、
東洋の思想を具現化した易経と双璧をなすものです。したがって歴史上、
著名なオカルティストは全て、この双方の奥儀に精通しています。
『ユングとタロット』なんてとってつけたような表題の本も出ていますね。
ただ、象徴であることには注意を払うべきで、「逆さ吊りにされた男」が
ユダだとか、それ以外の誰かとか詮索することはほとんど無意味だと思います。

9極東博士:2012/08/12(日) 13:39:47 ID:tQE6G.8E0
トーとタロットに関してはクロウリーの『トートの書』の翻訳も出ていますし、
フリーダ・ハリスが描いた『トートタロット』も国内で比較的容易に入手できますので、
興味のある方は直接、ご覧いただいたほうが早いでしょう。

10極東博士:2012/08/12(日) 13:44:27 ID:tQE6G.8E0
ユングは象徴SYMBOLと符号SIGNを区別していたのは、ご存知の通りです。

11【管理人】アイオーン・アブラクサス★:2012/09/30(日) 00:02:29 ID:???0
記号:純粋に意識的なもので、未知の部分を含まない。規約的なものであり、
私的に使用される場合であれ、公的に使用される場合であれ、意味されるもの
とそれとの関連を学び慣れ親しんだものには、余す所なく解るはずのもの。

象徴:比較的未知の物事を表す可能な限り最良の表現。象徴は無意識的な側面
を有している。それは認識不可能である限りにおいて意識によって完全に把握
することができないものであり、人間の表現を超えている。従って「象徴表現」
とは、本来表現しえないものを表現しようとする試みだということ。

理解としてはこんな感じですが。丸山圭三郎もその点をきちんと踏まえて峻別
していましたね。記号はラング化されたランガージュ(表層のロゴス)の範疇、
象徴はラング化されないランガージュ(深層のロゴス=パトス)の範疇だと。
後者は前者化する宿命にあるが、逆に前者が後者へと降りていく運動も起きて
いる、という円環運動。象徴は自我意識の意図的産物であるとは考えられてい
ないですよね。無意識によっていわゆる啓示や直観という未知を経て産出され
たものであると。象徴は啓示としての機能を付与されていると。聖なるものは
象徴の字義通りの感性的意味作用によって結び付けられているが、他方で、そ
の中に宿っている象徴的意味に結び付けられている。

『三位一体の教義に対する心理学的解釈の試み』だったかだと「無意識的機能
から生じるインスピレーション」=「グノーシス」というような言い方がされ
てたような。『心理学と宗教』でもユングは「グノーシス」をそんな位置づけ
にしてたと思います。

14極東博士:2012/11/17(土) 21:57:25 ID:tQE6G.8E0
タロットの場合は象徴と記号が混在している点が特徴であると同時に、その解釈を
困難にもしていますね。その点、易経は極めて明確な記号化の体系であり、タロットの
ように潜在意識、無意識の領域に踏み込んだものとは一線を画しています。


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