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契約法(有賀先生)情報スレ

1三林ななし:2004/04/18(日) 10:42
存在しないので作ってみました。ちなみに、初回の授業では授業の進め方及び到達目標並びに昨年度の試験問題の解説
をしました

336ハンタカチ王子:2010/01/10(日) 02:22:02
>>334
ダメ元で、お願いします…

337名無しのVIPPER:2010/01/10(日) 10:19:00
1(1)贈与を撤回できる場合とできない場合について説明せよ。
書面によらない贈与は撤回することができる(550条)これは贈与者が軽率に贈与するのを戒め、贈与者の意思を明確にして紛争を避ける趣旨
もっとも、書面によらない贈与であっても、履行の終わった部分については撤回することができない(550条但し書き)履行が終われば、贈与の意思が明確になるからである。具体的には、動産の場合は引き渡し、不動産(未登記不動産を除く)の場合には登記の移転がなされれば贈与の意思が明確に示されたと言えるため「履行の終わった」にあたり、撤回が禁止される。
また、贈与が不法原因給付にあたる場合も民法708条により撤回できなくなる。

(2)贈与者は原則として、贈与の目的である物又は権利の瑕疵・不存在について責任を負
わない(551条1項本文)とされているのはなぜか。
①贈与契約は無償であり、責任を負わせるのは不公平であること、②贈与者は特定物を現状のままで贈与するのが通常であることがあげられる

(3)贈与者が例外的に担保責任を負う場合にはどのようなものがあるか。
贈与者がその瑕疵や不存在をしりながらこれを受贈者に告げなかったときは、担保責任を負う(551条1項但し書き)この場合は贈与者にも帰責性が認められ保護に値しないと言えるから。

338ハンタカチ王子:2010/01/10(日) 10:20:54
2(1)「売買の予約(本来の予約)」と「売買の一方の予約」について説明せよ。
売買の予約とは当事者の一方が本契約を締結させる申し込みの意思表示をすれば、相手方はこれを承諾しなければならないという債務を負う契約を言う。このような予約をしておけば売買の申し込みをすればたとえ相手方が承諾の意思表示を怠ったとしても、承諾という債務の履行を求める訴えを提起し、承諾という意思表示に代わる判決を得て売買契約の成立という効果を発生させることができる。
他方売買の一方の予約とは当事者の一方が本契約を締結させる申し込みの意思表示をすれば、相手方の承諾を待たずに売買契約が成立するものを言う。これは売買の予約と異なり、承諾の意思表示に代わる判決の手続きを得る必要がない。

(2)「予約の担保的機能」について具体的に説明せよ。
上記のように、予約をしておけば相手の承諾の意思表示の有無にかかわらず、最終的には契約の成立を確保できる点において担保的機能を備えていると言える。
3(1)手付の意義と種類について説明せよ。
<意義>手付とは、契約締結の際に交付される金銭その他の有価物である。手付契約も1つの契約であり、要物契約、有たる契約である。
<種類>
① 証約手付:契約が成立したことの証拠の効力をもつもの。
② 解約手付:付の金額だけの損失を覚悟すれば、相手方の債務不履行がなくても契約を解除することができるとするもの。
③違約罰としての違約手付:相手方の違約(債務不履行)のとき、本来の損害賠償とは別に、違約罰として手付が没収されるもの。
④損害賠償の予定を兼ねる違約手付:相手方の違約(債務不履行)のとき、損害賠償請求の範囲が手付額に限定されるもの。

(2)売買契約締結に際し、買主Bから売主Aに対して損害賠償額の予定として手付が交付
された場合、Aは手付の倍額を償還して売買契約を解除することができるか。
違約手付の約定がある場合も557条1項は適用され、違約手付であると同時に解約手付でもあると推定される。これに対して解約手付の性質を同時に認めることは、契約の拘束力を弱めることになるから、当事者の意思に反するとの批判がある。しかし、履行の着手前は解約手付として機能し、着手後は違約手付として作用することは合理性があること、解約手付であっても実際には契約の履行を確保する機能を有しており、当事者の意思に反するとまで言えないからこの批判は妥当ではない。
(3)売買契約締結に際し、買主Bは売主Aに対して手付を交付した。Aは、Bに目的物を
引き渡した後でも、手付の倍額を償還して売買契約を解除することができるか。
買主が手付を交付した場合、「当事者の一方」が「契約の履行に着手」するまで契約を解除することができる(557条1項)。本問においてAは目的物を交付している以上、契約の履行に着手していることに異論はない。もっとも、Aはすでに履行に着手していることから、Aが契約を解除できるか否かを考えるにあたり「当事者の一方」の意義が問題となる。
557条1項の趣旨は、履行行為に着手したものは相手方の履行に期待をよせているため、この履行に着手したものの信頼を保護することにある。そうだとすれば、保護を受けるべき当事者がその利益を放棄して解除しても差し支えないし、未だ履行に着手していない相手方は契約を解除されても不測の損害を被ることは無い。したがって557条1項の「当事者」とは相手方のみを意味し、自ら履行に着手したものでも相手方が履行に着手するまでは解除権行使することができる。
本問においてもBが代金を支払っていない場合に限りAは契約を解除することができる。

*「契約の履行に着手」の意義
557条1項の趣旨は、履行行為に着手したものは相手方の履行に期待をよせているため、この履行に着手したものの信頼を保護することにある。とすれば「契約の履行に着手」するとは履行の準備では足りず、債務の内容である履行行為自体に着手することと解する。

339ハンタカチ王子:2010/01/10(日) 10:23:01
4(1)売買契約における売主の義務について説明せよ。
売主は買主に対して財産権を移転する義務を負う(555条)。動産においては引き渡し義務、不動産においては登記協力義務がある。他人の権利を売買することも可能であるが、この場合には売主はその権利を他人より取得して買主に移転する義務負う(560条)。

(2)他人物の売主が目的物の所有権を買主に移転することができない場合、買主は売主に
対してどのような主張をすることができるか。移転不能についての売主と買主それぞれ
の帰責事由の有無を考慮しつつ考えよ。
他人物売買において目的物の所有権を買主に移転することができない場合、買主は善意・悪意を問わず契約を解除すことができる。さらに善意の買主は損害賠償の請求をすることができる(561条、415条)。
もっとも移転不能が売主の帰責による場合は悪意の買主であっても損害賠償の請求をすることができる(415条)。なぜなら561条は、売主に故意または過失のある場合の債務不履行責任まで免除する趣旨ではないからである。
また移転不能が買主の帰責事由による場合、売主に担保責任は生じない。なぜなら561条は買主を保護し、有償契約である売買の信用性を保護する趣旨であるところ、買主に帰責性がある以上、買主を保護し、売買の信用性を保護する必要性がないからである。

(3)他人物売買の買主が561条に基づいて当該契約を解除した場合、買主は売主に対して
目的物の使用利益の返還義務を負うか。
契約が解除された場合、565条1項により原状回復義務が生じ、使用利益の返還義務が生じる。この点、他人物売主は、目的物の使用権限を有しない以上、買主の使用利益に対応する損失が存在しないようにも思える。しかし買主は契約の解除により他人物売主に対して代金に利息を付して返還するよう請求できる(545条1,2項)のに、その利息と同価値的な使用利益の返還をのがれるというのは著しく公平に反する。
契約解除による原状回復請求権は、給付利得の返還請求権の問題であるから、公平の見地から、契約の巻き戻し理論が志向されるべきである。よって他人物売主に対しても使用利益返還請求権を認め、対等額において相殺を認めることが当事者の公平に資する。よって他人物売買の買主も目的物の使用利益の返還義務を負う。



(4)数量指示売買(565条)とは何か。
数量指示売買(565条)とは、①売主が一定の面積・容量・重量等の数量があることを契約において表示し、かつ、②この数量を基礎として代金額が定められた売買をいうと解する。なぜなら、数量指示売買では善意の買主に代金減額請求権が認められるが(565条、563条1項)、このような代金減額という処理に適した売買のはずだからである。

(5)Aは、Bに対して自己所有の土地が100坪あると保証したうえで坪単価を基準に代金
額を算定し、これを売却したが、その後その土地は110坪あることが判明した。AはB
に対してどのような法的主張をすることができるか。←(微妙)
Aの主張としてまず565条を類推解釈し、超過している数量の分の代金増額請求が考えられる。しかし565条は数量指示売買において数量が不足する場合に、買主保護の見地から売主に対して担保責任を定めた規定にすぎないことから、売主を保護するための規定ではない。よって565条を類推適用することはできない。
次に不当利得返還請求に基づく数量超過分の代金の請求が考えられる(703条)。本問契約においては坪単価を基準に代金額を算定している。とするとBが支払った代金は100坪分にすぎない。この売買契約によってBは10坪相当額の代金の支払いを逃れたのであるから利得を得たといえる。一方Aは10坪相当額の代金の回収ができず損失があり、利得と損失の間には因果関係も認められる。「法律の原因なくして」とは財産の移転を正当視する実質的理由がない場合をさすが、Bは対価なくして10坪を余分に取得している以上、703条の要件を満たし、不当利得返還請求の行使が認められる。

340ハンタカチ王子:2010/01/10(日) 10:25:18
5(1)570条の「瑕疵」にはどのようなものが含まれるか。
「瑕疵」とは、取引の通念上、売買の目的物に何らかの欠陥があって、そのために目的物の品質や性能が売買契約の趣旨に適合しないことを言う。そして570条は、特定物売買における不都合(483条)を是正し、買主の保護及び売買契約の信用性の保護の見地から、法が特別に担保責任を課したものであるから、「瑕疵」は特定物におけるものに限る。
 また法律的瑕疵も570条の「物の瑕疵」に含まれ、570条が適用されると解する。なぜなら、570条が適用されるとすると競売の場合には瑕疵担保責任を生じない(570条但し書き)が、不動産の競売は市価よりも安値でなされている実情にかんがみるならば、法律上の障害については競売の場合は、買受人は担保責任を追及することができないとすることが妥当であるからである。

(2)A不動産会社から建売住宅を購入したBは、入居半年後に水回り部分の重大な欠陥を
発見した。この欠陥により生じた水漏れ事故により、Bの家具等に損害を生じた場合、
BはA社に対していかなる請求をなしうるか(住宅品質確保促進法については考えなく
てよい)。
Bは不動産を購入したのであるから、特定物売買にあたる。とすると483条により債務不履行責任(415条)を追及することはできない。そこで570条の瑕疵担保責任の追及が考えられる。瑕疵担保責任は特定物売買における不都合(483条)を是正し、買主の保護及び売買契約の信用性の保護の見地から、法が特別に担保責任を課したものであり、特定物売買にのみ適用される。Bは入居半年後に水回り部分の重大な欠陥を発見したのであるから「隠れた瑕疵」にあたり、瑕疵の存在についても売買契約締結時においては善意である。また570条は買主保護規定であるから売主の無過失責任であり、売主の過失の有無を問わない。よって570条の要件を満たすため、損害賠償請求、目的を達成できないと判断した場合は契約の解除が可能である。
次に間接損害である家具等の賠償ができるかが問題となる。損害賠償の範囲は416条により、決定されるが、416条1項は相当因果関係に認められる損害の賠償を命じた規定である。これは賠償すべき範囲を限定して当事者の公平を図る目的にためのものである。欠陥により生じた水漏れ事故により、家具等に損害が発生することは相当因果関係が認められるためこれらも当然に損害賠償の対象となる。
また欠陥につきAが悪意有・過失の場合は709条の不法行為責任の追及が可能である。

(3)566条3項の期間制限の性質をふまえたうえで、167条1項の消滅時効期間との関係について説明せよ。
 566条3項は担保責任の行使期間を1年としているが、契約関係の早期安定の見地から除斥期間であると解する。としてもこの除斥期間と別に167条1項により10年の消滅時効にかかるかが問題となる。
 この点については、担保責任は買主保護のために法定責任であり、売買契約上の債務不履行とは異なるため、一般の消滅時効の規定は適用されないとも思える。しかしこれでは、買主が瑕疵を発見するまで売主の担保責任が永久に存続することになり、かえって法律関係の安定性を害し、妥当ではない。
 そこで担保責任にもとづく損害賠償は除斥期間と別に167条1項により10年の消滅時効にかかると解する。なぜなら①担保責任の1年の期間制限は、法律関係の早期安定化のために権利行使期間を制限したに過ぎず、消滅時効に関する一般規定の適用を妨げるものではないこと、②担保責任にもとづく損害賠償も167条1項の「債権」にあたると言えることからである。
6「消費貸借」・「使用貸借」・「賃貸借」は、それぞれどのような契約か。
消費貸借とは、借りた物を消費して、同種・同質・同量の物を返還する契約である。
(587条)
使用貸借とは、ある人が相手方に目的物を無償で貸し渡し、相手方が使用収益した後に借りた物を返す契約である。(593条)
賃貸借とは、ある人が相手方に目的物を使用収益させ、これに対し相手方が賃料を支払う契約である。(601条)

341ハンタカチ王子:2010/01/10(日) 10:27:12
7(1)「売買は賃貸借を破る」とはどういうことか。
 賃貸者契約における借主の賃借権は賃貸借契約を締結した賃貸人に対してのみ主張できるのである。とすると賃借している目的物が売買された場合、原則として賃借人はその賃借権を目的物の新所有者に対して対抗することができない。このように目的物が売買契約により所有者を異にすると、新所有者に対して賃借権を対抗できなくなることから「売買は賃貸借を破る」と言われている。もっとも不動産賃借人保護の見地から民法605条、借地借家法10条1項、31条1項といった例外規定が置かれている。

(2)「賃借権の物権化」とはどういうことか。具体的に説明せよ。
 賃借権は本来特定者間のみで主張できる債権にすぎない。しかし賃借権は民法605条、借地借家法10条1項、31条1項などの要件を満たせば、賃借権を第三者に対しても主張することが可能となる。この点において、借地権も物権同様の排他性を備えることから「賃借権の物権化」と呼称することができる。

(3)不動産賃借権は、どのような場合に対抗力が認められるか。
 民法605条、借地借家法10条1項、31条1項の各条文参照。

(4)甲は自己所有地をAに賃貸したが、Aが未だその占有に至らないうちに、無権限者B
が本件土地の占有を開始してしまった。この場合、Aの立場で考えられるBに対する法
的主張の全てと、それに対するBの反論を挙げて論ぜよ。また、Bが無権限者ではなく、
Aの後で甲から本件土地を賃借していた場合はどうか。
<Bが無権限者の場合>
① 賃借権にもとづく妨害排除請求権
Bの反論として、賃借権は債権であり第三者に対しては主張できないとの主張が考えられる。
確かに賃借権は債権であり、債権は相対的な権利である。しかし、不動産賃借権は内容的には地上権とほとんど変わらないし入り要件としての性格を持つ。そして、対抗力を備える場合には排他性が認められ、不動産はいわゆる物権的効力を有するから、物権に準じた効力を認めてよい。よって不動産賃借権をAが登記した場合は民法605条により排他性が生じ、賃借権にもとづくもうがい排除請求が可能である。
② 所有権にもとづく妨害排除請求権の代位行使(423条)
Bの反論として、被担保債権が金銭債権でなく、また無資力要件を欠くことから債権者代位権の行使はできないとの主張が考えられる。
Aは自己の借地権を被担保債権として所有権にもとづく妨害排除請求権を代位行使することが可能である。この点債権者代位権の転用型が認められるかが問題となるが、これを認めても債務者の財産に対する不当な侵害とならず、また第三者に不当な損害を被らせるものでもないので認められると解する。そして特定債権の保全の必要性と債務者の無資力とは関係がないから、債務者の無資力は要件として必要ではない。
③ 賃借権にもとづく損害賠償請求権(709条)←(あってるか微妙)
Bの反論として賃借権は相対的な権利にすぎず、賃借権を根拠に損害賠償を請求することはできないとの主張が考えられる。
たしかに債権は相対的な権利であるが、権利の通用性として不可侵性を有しており、第三者がこれを侵す場合は不法行為が成立すると解する。もっとも物権と異なり排他性に欠けることから被侵害利益としては物権に比べると弱い。したがって債権侵害につき不法行為が成立するためには侵害行為が強度の違法性を帯びることが必要である。
本問の場合は債権の目的たる給付侵害するが債権を消滅させない場合であるが、このような侵害行為は自由競争原理のもとで許されることが多く、強度の違法性が要求される。具体的には主観的要件として故意が、客観的要件として第三者の行為が公序良俗に反することが必要である。これを本問事例にあてはめると、無権限占有者に故意があり、明け渡し請求を受けたにもかかわらずなお居座り続けるといった事由がある場合には賃借権侵害を理由とした損害賠償の請求が可能である。
<BがAの後で甲から本件土地を賃借していた場合>
① 賃借権にもとづく妨害排除請求権
民法605条の規定により登記を備えた賃借権は排他性を備える。そしてAもBも賃借人たる地位を有している以上対抗関係に立つと考えられる。よって先に登記を備えたものが相手方に対し賃借権にもとづく妨害排除請求が可能である。 
②所有権にもとづく妨害排除請求権の代位行使(423条)
Bも甲と賃貸借契約を締結している以上甲はBに対して所有権にもとづく妨害排除請求権を有していないため代位行使の前提を欠く。

③賃借権にもとづく損害賠償請求権
債権の目的たる給付侵害するが債権を消滅させない場合にあたり上記と同様に考察する。

342ハンタカチ王子:2010/01/10(日) 10:29:09

(5)Aは、自己所有建物をBに賃貸して引き渡した。その後、AがCに当該建物を売却した場合のABC間の法律関係はどうなるか(BがAに敷金を差し入れていた場合についても考えよ)。
(1)賃貸人が賃貸中の不動産を譲渡し場合、賃貸人たる地位の移転を伴うか
賃借人が対抗要件を備えている場合は、賃貸人たる地位を移転する合意がなくても、当然に賃貸人たる地位の移転を伴う。なぜなら、不動産賃貸人はその不動産を所有しているがゆえに賃借人に対して債務を負担しており、不動産の所有権は賃貸借関係と結合して一種の状態債務関係を構成し、所有権の移転とともにこの状態債務関係が一括して移転するからである。
本問においてBは不動産の引き渡しを受けていることから借地借家法31条1項により対抗要件を備えているため、賃貸人たる地位は当然にCに移転する。なお契約上の地位の移転は債務引き受けの要素を含んではいるが賃貸人たる地位はそれほど個人的色彩を有するものではないので賃借人の同意は不要である。
(2)新所有者が明け渡しを要求する場合
新所有者(C)が賃借人に対して、所有権にもとづき明け渡し請求をする場合は、本来的な対抗問題である。したがって賃借人は177条の「第三者」に該当し、新所有者は登記なくして所有権の取得を賃借人に対抗することはできない。もっとも本問においてはBが対抗要件を備えている以上明け渡し請求は認められない。
(3)新所有者が賃料を請求する場合
 賃貸人たる地位と賃借人たる地位は両立しうる関係にあるから、本来的な対抗関係ではない。しかし、登記は不動産所有権が移転したことの確実な証明手段となることから、賃借人の賃料二重払い防止の見地から、新所有者が賃料を請求する場合は登記を備える必要があると解する。
(4)敷金関係
 賃貸人たる地位の移転があった場合、敷金返還債務も新賃貸人に承継されるかが問題となるが、当然に承継されると解する。なぜなら①敷金は賃借物明け渡し時までの間に発生した賃借人の一切の債務を担保するものであり、敷金関係は賃貸借に付従すること、②賃借人保護の見地から、目的物の所有者が旧所有者の無視力の危険をひきうけさせるのが妥当であることからである。
 最も賃貸人たる地位の移転前に延滞賃料があれば敷金から当然に充当され、新所有者は残額だけを引き継ぐ。なぜなら、敷金は旧所有者の下で逐次発生したし賃料債務の担保であったからである。
 したがって、Bの敷金返還請求権の行使の相手方は、新所有者であるCである。
(5)延滞賃料債権の移転(でるか不明)
(6)解除事由の承継(でるか不明)
(7)有益費償還義務の承継(でるか不明)

8(1)賃貸借契約における賃貸人と賃借人の義務について説明せよ。
 <賃貸人の義務>
(1) 使用収益させる義務
601条、606条1項、2項、615条参照
(2) 費用償還義務
608条参照 1年以内に行使することを要する621、600条
(3) 担保責任
賃貸借契約は有償契約であることから、売買契約における売主と同様、賃貸人は担保責任を負う(559,561条)。
<賃借人の義務>
(1) 賃借物の保管および返還義務
善管注意義務(400条)、
賃借人が賃貸物を賃貸人に返還する義務は、契約上の義務である。したがって、賃貸人は賃貸借の終了後に目的物を第三者に譲渡した場合でも返還を請求することができる。(判例)
(2) 賃料支払い義務
601条、原則後払い 賃料の前払い特約がある場合でも、建物が使用できないときは、賃借人は使用収益できない分の賃料につき、同時履行の抗弁権を根拠に賃料支払い拒絶可能(判例) 611条参照

343ハンタカチ王子:2010/01/10(日) 10:33:17
(2)Bは、A所有の建物を自己が所有するものと偽ってCに賃料10万円で賃貸した。Cは
最初の3ヶ月間はBに対して賃料を支払っていたが、その後の支払いを怠っている。B
C間の賃貸借契約締結から半年後、CがAから立ち退きを請求された場合のABC間の
法律関係について説明せよ。
 Bは建物につき権限を有していないのであるからBC間の契約は他人物賃貸借にあたる。他人物賃貸借も債権的には有効である(559条、560条)。以下個別的に論じていく。
(1) AC間
AはCに対し、所有権に基づく建物の明け渡し請求をすることが考えられる。CはBC間での賃貸借契約を根拠とした賃借権の主張が考えられるが、Bは無権限であり、賃貸借契約につき所有者であるAの追認がない以上、賃借権をAに対抗することはできない。よってAの明け渡し請求は認められる。
 次にAはCに対し過去の賃料を請求することができるか。不当利得返還請求権(703条)を根拠とすることが考えられる。Cは無権限者であるBから建物を賃借しているのであるからCもまた無権限占有者である。またCは三カ月経過後以降、賃料を支払うことなく建物を占有していたのであるから法律上の原因なく利得を得たと言える。その結果Aは自己の所有物を無断使用されるという損害を生じており、利得と損害の間に因果関係も認められる。よって三カ月以降の無断使用期間につき賃料相当額の返還を請求することができる(703条)。もっともCが賃料を支払っていた三カ月間の使用は、Bへの賃料支払いの対価であることから法律上の原因なく利得を得たとは言えないので返還請求をすることはできない。この際、189条は使用収益者が本件ありと信じることが必要であるからCには189条の適用は無い。なお、Cに過失があった場合はAは、Cに対して不法行為にもとづく損害賠償を請求することができる。
(2) AB間
 BはAの建物を自己の物でないと知っていながらそれを偽って無断で賃貸していたのであることから、Aは709条にもとづく損害賠償を請求することができる。またBが受け取った3カ月分の賃料は不当利得として返還請求が可能である(703条)。
(3) BC間
Cは目的物につきAを知った時から、使用収益が確実になるまで賃料の支払いを拒むことができる。さらに、Aの明け渡し請求により使用収益が不可能になった時は、Bの債務は履行不能になるが、Cは賃貸借契約の解除を待たずに、履行不能による賃貸借契約の終了を理由として、以後の賃料の支払いを拒むことができる。継続的契約である賃貸借契約においては、対価たる賃料は使用収益の継続に対応して生じるからである。なおCはBに対し債務不履行責任(415条)あるいは担保責任(559条、561条)を追及することができる。

344ハンタカチ王子:2010/01/10(日) 10:35:32
(3)AからA所有の土地を賃借していたBは、その土地上に建物を所有し、内縁の妻Cと
同居していた。その後、Bが死亡したので、CはBの相続人から当該建物とともに土地
賃借権の譲渡を受けた。この場合のABC間の法律関係はどうなるか(BがAに敷金を
差し入れていた場合についても考えよ)。
 Bが死亡すると賃借権も相続人に帰属する(896条)。その後、本問においては相続人がBの内縁の妻に賃借権を贈与している。この譲渡につきAの承諾があった場合、Cは有効に賃借権を取得する。他方Aの承諾がない場合は賃借権の無断譲渡にあたり、612条2項によって賃貸人は契約を解除することができる。
しかし賃貸借契約は高度の信頼関係を基礎とする継続的法律関係であり、賃借人の投下資本の回収の必要性などを考えると、無断譲渡の一事を持って直ちに解除権が発生すると解することは妥当ではない。むしろ612条は、無断譲渡・無断転貸がこの信頼関係を破壊する重要な一要素に過ぎないことを示したに過ぎない。
 したがって、賃貸人は原則として賃貸借契約を解除することができるが、賃借人の信頼関係を破壊しない特段の事情がある場以外は、賃貸人は解除することができないものと解する。本問の事例において、CはBが賃貸人であるころから同居していたのであり、賃貸人に実質的変更は無い。また相続人が賃借権を譲渡した理由は内縁の妻への配慮であり、不法な目的があったわけではない。以上のことから、信頼関係が破壊されたとまでは言えないので612条2項の解除権は制限される。よって無断譲渡にあたる場合でもAは賃貸借契約を解除することはできない。
そしてBが差し入れた敷金は相続の際、賃借権に付属して相続人に帰属するが、賃借権の譲渡の際に敷金も付随して移転するかが問題となる。この点敷金は賃借人各人の関係において発生する一切の債務を担保するものであるし、敷金も移転すると解すると、譲渡人に不測の損害を与え、あまりに酷である。また賃貸人も賃借人ごとに敷金契約を結ぶことができるため不都合はない。よってAの承諾を得た譲渡の場合、敷金は移転せず、Cは別個で敷金契約を締結する必要がある。他方、無断転貸の場合、賃貸人には譲受人と新たに敷金契約を締結する機会が与えられておらず、そのうえ敷金が移転しないとすると敷金なしの無担保の賃貸借契約となってしまい、賃貸人にあまりに酷である。よって無断譲渡の場合、賃貸人保護の見地から敷金は譲受人に当然に移転すると解する。

(4)Aは、自己所有の建物をBに賃貸していた(賃料12万円)。Bは1年間だけ海外赴任することになったので、その間この建物をAに無断でCに転貸し(賃料10万円)、Cはその建物に必要な修繕費用を負担した。この場合のABC間の法律関係について説明せよ。
(1)AB間
 AとしてまずBに対して無断転貸を理由とした賃貸借契約の解除の主張が可能である(612条2項)。しかし賃貸借契約は高度の信頼関係を基礎とする継続的法律関係であり、賃借人の投下資本の回収の必要性などを考えると、無断譲渡の一事を持って直ちに解除権が発生すると解することは妥当ではない。むしろ612条は、無断譲渡・無断転貸がこの信頼関係を破壊する重要な一要素に過ぎないことを示したに過ぎない。
 したがって、賃貸人は原則として賃貸借契約を解除することができるが、賃借人の信頼関係を破壊しない特段の事情がある場以外は、賃貸人は解除することができないものと解する。Bとしては海外赴任するにしてもあらかじめAの承諾を得るべきあったのであり、特段の事情がない本問においてAB間の賃貸借契約は解除される(612条2項)。解除しない場合はAB間の賃貸借契約に特に影響は無い。

(2)AC間
CはAとの間では不法占有者であるから、AB間の賃貸借契約の解除の有無を問わず、所有権にもとづく明け渡し請求が可能である。としてもCは必要費償還請求権(608条1項)を被保全債権として留置権(295条)を主張することが考えられる。しかし608条は有効な賃貸借関係の成立を前提としているため608条を根拠とした主張は妥当ではない。そこで703条の不当利得返還請求を根拠とした留置権の主張が考えられる。もっとも留置権の要件として占有が不法行為によって始まったのではないことが必要である。しかしCはAとの関係において、Cは不法占有者にあたり留置権の要件を満たさない。よって703条の主張は可能ではあるが、留置権の行使は認められない。
(4) BC間
 他人物賃貸に準じ、BはAの承諾を取得する義務を負い、もしAから明け渡し請求された場合は、CはBとの契約を解除できる(560条、561条1項類推)。

345ハンタカチ王子:2010/01/10(日) 10:38:02
(5)Aは自己所有の建物をBに賃貸し、BはAの承諾を得て当該建物をCに転貸した。その後、AB間の契約が以下の原因によって終了した場合、AはCに対して直ちに建物の明け渡しを請求することができるか。
① 期間満了による終了
 BC間の転貸借関係はAB間の賃貸借関係を前提とする以上、AB間の契約が正当に終了した以上Cの転借権はその前提を欠く。よって、AはCに対して直ちに建物の明け渡しを請求することができると解する。このように解してもCはAと新たに賃貸借契約を結びなおすことも可能であり、不合理ではない。
②AB間の合意解約
この場合は合意解除を転貸人に対抗できないと解する。なぜなら信義則上(1条2項)、たとえ自己の権利であっても第三者がその上に正当な利害関係を有する場合には、自己の権利を消滅させて第三者の権利を覆すことは許されないからである。また、転貸人に対抗しうるとすると、賃貸人と賃借人が共謀して、転貸人の地位を覆すことも考えられるからである。
③ABの賃料不払いを理由とする契約解除
 賃貸人は、転貸人に対する催告なくして、解除を持って転貸人に対抗することができると解する。なぜなら、転貸借は賃借人の賃借権の上に成立しているものであるから、賃借人の賃借権が消滅すれば転借人の転借権はその基礎を失うこと、賃貸人の債務不履行を理由とする解除を不当に制限してはならないことからである。




(6)AからA所有の建物を賃借していたBは、Aの承諾を得て、その建物をCに転貸した。
その後、AがBの賃料不払いを理由として、AB間の賃貸借契約を解除した場合、BC
間の転貸借契約はどのような影響を受けるか。
賃貸人は、転貸人に対する催告なくして、解除を持って転貸人に対抗することができると解する。なぜなら、転貸借は賃借人の賃借権の上に成立しているものであるから、賃借人の賃借権が消滅すれば転借人の転借権はその基礎を失うこと、賃貸人の債務不履行を理由とする解除を不当に制限してはならないことからである。そして賃貸人の明け渡し請求があれば、継続的使用を前提とする転貸借契約は当然に終了する。

9(1)敷金返還請求権の発生時期を明らかにしたうえで、賃貸人の敷金返還債務と賃借人の
賃借物明渡債務が同時履行の関係に立つか否かについて論じなさい。
 敷金は賃借物明け渡し時までに発生した賃借人の一切の債務を担保するものであり、敷金返還請求権は、賃借人が賃借物を明け渡した時に初めて発生すると解すべきである。なぜなら、敷金は、賃貸人にとって唯一の担保であり、賃貸人保護の見地から解釈されるべきであるところ、敷金によって担保される債権の範囲をできるだけ広く考えることが妥当だからである。
 そうだとすれば、賃借物の明け渡しが先履行であるため、賃貸人の敷金返還債務と賃借人の賃借物明渡債務は同時履行の関係にたたない。

(2)賃借人の賃料不払いがあった場合、賃貸借契約存続中でも敷金をこれに充当すること
ができるか。
敷金は賃借物明け渡し時までに発生した賃借人の一切の債務を担保するものであ当然に充当することができる。

10(1)「造作買取請求権」(借33条1項)とは何か。有益費償還請求権(608条2項)と収去権(616条、598条)との異同に留意しつつ説明せよ。←(ふつーにわからん。ノートみて)
 造作買取請求権とは、建物賃貸人の同意を得て建物に付加した造作がある場合には、借家人は、契約の終了の際に建物賃貸人に対して造作を時価で買い取るよう請求することができるとする権利である。






(2)AからA所有の建物を賃借していたBが、Aから承諾を得たうえで、自らの資金でリ
ビングにエアコンを設置し、古びた床板を高品質のフローリングに張り替えていた場合、
AB間の賃貸借契約終了(期間満了)時の清算関係について説明せよ。
 エアコンや高品質のフローリングは有益費にあたるため、賃貸人は賃貸借契約終了時に目的物の価格の増加が現存しているときに限り、その選択に従い、資質された費用または増加額のいずれかを償還しなければならない。この場合、裁判所は賃貸人の請求により相当の期限を許与することができる(608条2項)。また賃借人はこれら費用償還請求権を担保するため留置権を行使することができる。

346ハンタカチ王子:2010/01/10(日) 10:40:14

11(1)Aは、Bに対して、自己所有の土地上に建物を建築することを依頼した。Bは、材料
の全てを調達して建物を完成させたが、Aは報酬を支払ってくれない。Bが自己の報酬請求権を確保するための法的手段にはどのようなものがあるか。
 AB間においては請負契約が締結されている。Bが自己の報酬請求権を確保するための法的手段として、請負の内容である建物の所有権確保が考えられる。これらが認められるには前提として請負契約における製作物の所有権の帰属が問題となる。
 思うに、注文者が材料の全部または主要部分を供給した場合は、原始的に注文者に所有権が帰属するが、請負人が材料を供給した場合は、物の所有権がいったん請負人に帰属した後、引き渡しによって注文者に移転すると解すべきであるなぜなら請負人は注文者のための製作とはいえ、主たる材料を提供して物を製作した場合には注文者の所有という意識は持たず、請負人の帰属を認めるのが当事者の合理的意思に合致すること、材料を提供した請負人に所有権を留保させることによって、請負報酬債権を確保させる必要があることからである。
よってBはAが代金を支払うまで建物の所有権を確保することができる。

(2)YはAに対して、自己所有の土地上に建物を建築することを依頼し、AはXにこれを下請けさせた。Xは自ら材料を提供して工事を開始したが、Aが倒産したため建前のまま工事を中断した。一方、YはAとの請負契約を合意解除して新たにBと請負契約を締結し、Bは必要な資材を調達して、Xが建築途中であった建前に工事を加えて建物を完成させた。YB間ではYに建物所有権が帰属するとの特約があった場合、完成建物の所有権は誰に帰属するか。 
建物の所有権の帰属を考えるにあたり、前提として請負契約における製作物の所有家の帰属が問題となる。
思うに、注文者が材料の全部または主要部分を供給した場合は、原始的に注文者に所有権が帰属するが、請負人が材料を供給した場合は、物の所有権がいったん請負人に帰属した後、引き渡しによって注文者に移転すると解すべきであるなぜなら請負人は注文者のための製作とはいえ、主たる材料を提供して物を製作した場合には注文者の所有という意識は持たず、請負人の帰属を認めるのが当事者の合理的意思に合致すること、材料を提供した請負人に所有権を留保させることによって、請負報酬債権を確保させる必要があることからである。
 以上のことから、Bが介入する以前において建物の所有権はXに帰属していたと言える。
 ではBが介入した後において所有権は誰に帰属していたと言えるか。まずBとXのどちらに帰属していたかが問題となる。Bは建築途中であった建前に工事を加えて建物を完成させたのであるが、建物は完成により相当程度価値が上昇することから附合ではなく加工の規定により判断する。加工者が材料の一部を提供した場合は、その価格に工作によって生じた価格を加えたものが他人の材料の価格を越えるときに限り、加工者がその加工物の所有権を取得する(第246条2項)。よってBが支出した材料費に完成した建物の価値を加えた価格がXの材料費を超える場合はBに帰属する。そしてYB間においては特約があることから、結局Yに建物の所有権が帰属する。

347ハンタカチ王子:2010/01/10(日) 10:42:14
(3)AはBに対して建物の建築を依頼したが、その建物の屋根が地震により一部崩落した場合、AB間の法律関係はどうなるか。地震による屋根の崩落が、①建物の完成前であった場合、②建物の完成後引渡前であった場合とに分けて論ぜよ。
<①建物の完成前>
 請負人は契約で定められた仕事を完成させる義務を負う(632条)。よって一部損壊の場合でも請負人の仕事完成が可能である場合には仕事完成義務は存続する。もっとも仕事完成が取引観念上履行不能となった場合、仕事完成義務は消滅する。そして製作物が地震により一部崩壊した場合、当事者に帰責性はないため債務不履行責任は生じない。請負人の費用・報酬請求権については論がわかれるため、仕事完成が可能である場合と不可能である場合とに分け、個別的に考察する。
まず仕事完成が可能である場合は、過分な費用・労力を要したとしても、請負人による費用・報酬の増額請求は認められない。なぜなら請負人は完成した結果に対して費用を請求し売るにすぎないからである。
つぎに仕事完成が不可能な場合は536条1項が適用され、報酬請求権は発生しないと解する。なぜなら、請負は仕事の完成を目的とする双務契約であり、請負人は完成した仕事の結果に対して報酬を請求しうるとするのが公平であること、債権者主義を定める534条は文言上、権利の設定、移転を目的とした契約に適用され、仕事の完成を目的とする請負には適用されないことからである。
<②建物の完成後引渡前>
 請負契約は仕事の完成に本質があるので、原則として請負人の仕事完成義務は消滅すると解する。そして報酬請求権等については536条1項が適用され、発生しないと解する。なぜなら請負は仕事の完成を目的とする双務契約であり、仕事を完成し引き渡しを完了したことに対して報酬を請求しうるとするのが公平であること、請負契約の本質は仕事の完成であり、引き渡しはその一部に過ぎず、両者を引き離して、引き渡しだけに債権者主義をさだめる534条を適用するのは妥当ではないことからである。

12(1)売買契約と請負契約における担保責任の異同について論ぜよ。
 売買契約と請負契約における担保責任はどちらも目的物に瑕疵がある場合に、買主および注文者を保護するために設けられた規定である。どちらの規定も損害賠償請求権、契約の解除権を認めている点において同じである。もっとも、請負人の担保責任は、売買契約の担保責任の特則であるとともに、不完全履行責任の特則でもあることからより注文者の保護が手厚くなっている。というのは、請負は有償契約であるから、570条が準用されるはずであるが(559条)、634条以下が特に規定された点で売主の瑕疵担保責任の特則であるといえる。また、請負においては材料の瑕疵だけではなく、仕事のやり方の不完全からも仕事の結果の瑕疵が生じる点で、不完全履行責任の督促であるともいえるからである。具体的には目的物の瑕疵において「隠れた」の要件はいらない。また瑕疵担保責任と違って瑕疵修補請求権の行使が可能である。そして瑕疵担保責任は損害賠償の範囲につき学説が分かれるが、請負人の担保責任不完全履行責任の特則でもあることから履行利益にまで及ぶと解する。

(2)Aは、Bに対して、自己所有の土地上に建物を建築することを依頼した。しかし、完成した建物の基礎工事には重大な欠陥があり、そのままでは危険で住むこともできないような状態であることが判明した。この場合のAB間の法律関係について論ぜよ。
 仕事の目的物の瑕疵が重大なため契約の目的が達成できないときは、注文者は契約を解除できる(635条)。もっとも建物その他土地工作物の請負は、いかなる場合であっても、瑕疵を理由に解除することはできない(635条但し書き)。これを形式的に当てはめると請負の内容は建物に関するものであることから635条但し書きにより解除できないようにも思える。
 しかし、635条但し書きの趣旨は、莫大な費用をかけて建築した土地工作物を撤去することは請負人にとって酷であり、また社会経済上不利益であることにある。そうだとすれば、客観的に価値のない欠陥住宅であれば工作物を撤去するほかなく、撤去することが請負人にとって酷とは言えず、社会経済上不利益であるということもないから、635条但し書きは適用されない。よって本問においても、Aは635条にもとづき契約を解除することができる。

348ハンタカチ王子:2010/01/10(日) 10:44:59
(3)建物建築請負契約における瑕疵修補に代わる損害賠償の範囲について説明せよ。
 
請負人の担保責任は、売買契約の担保責任の特則であるとともに、不完全履行責任の特則でもある。というのは、請負は有償契約であるから、570条が準用されるはずであるが(559条)、634条以下が特に規定された点で売主の瑕疵担保責任の特則であるといえる。また、請負においては材料の瑕疵だけではなく、仕事のやり方の不完全からも仕事の結果の瑕疵が生じる点で、不完全履行責任の督促であるともいえるからである。よって損害賠償の範囲も履行利益に及ぶ。

(4)請負契約における瑕疵修補に代わる損害賠償請求権と請負報酬債権との同時履行関係の成否と範囲について説明せよ。
 民法634条2項、533条の規定より、瑕疵修補に代わる損害賠償請求権と請負報酬債権とは同時履行の関係にある。範囲は原則として全範囲にわたる同時履行が認められるが、瑕疵の程度や、各契約関係当事者の交渉態度にかんがみ、瑕疵の修補に代わる損害賠償債権をもって報酬債権全額を拒むことが信義則に反すると認められるときは、この限りではない。(判例最判平9.2.14)

(5)請負契約の注文者は、どのような場合に契約を解除できるか。_
請負人が仕事を完成しない間は、注文者はいつでも損害を賠償して契約を解除できる(641条)。請負は注文者の為に請負人が仕事を完成させるものだから、注文者の都合によりその完成が不要になった仕事の完成を強要する必要はないからである。
仕事の目的物の瑕疵が重大なため契約の目的が達成できないときは、注文者は契約を解除できる(635条)。もっとも建物その他土地工作物の請負は、いかなる場合であっても、瑕疵を理由に解除することはできない(635条但し書き)。この趣旨は莫大な費用をかけて建築した土地工作物を撤去することは請負人にとって酷であり、また社会経済上不利益であることにある。

349名無しのVIPPER:2010/01/10(日) 10:47:59
正直授業は一回も出てないから、全部あってるかは保証できんwwwwwwwwwww
たぶん単位くらいは何とかなると思う
間違ってたら各自修正してくれ
じゃあの(・ω・)ノシ

350ハンタカチ王子:2010/01/11(月) 06:04:20
特定したから狭山に戻れ(´Д`)

351ハンタカチ王子:2010/01/18(月) 23:37:36
あなたは神ですか?

352ハンタカチ王子:2010/01/24(日) 01:49:43
ちょいちょいミスあるね。

353ハンタカチ王子:2010/01/24(日) 03:16:20
どうも、参考にさせてもらってます。
8(6)とか10(2)とか違うんじゃないかなーと。
わかんないですけど。

354ハンタカチ王子:2010/01/24(日) 09:08:02
違うところについてどこがどう違って何が正解か具体的に指摘して欲しいです> <

355ハンタカチ王子:2010/01/25(月) 23:01:08
最後の授業では、5(1)は拡大損害まで570で賠償請求できるか考える・・・なんて言ってたね。
あと、瑕疵修補請求?

356ハンタカチ王子:2010/01/27(水) 23:41:18
なんか、有益費償還請求権と造作買取請求権出そうな気がする・・・

357ハンタカチ王子:2010/01/28(木) 00:21:51
  (ー―-、)丶
  _>⌒  "⌒ヽ
 /    人  丶
ノノ  ノ  ヽ  |
フ 幺_ノ ノ入 丶 し
(  ノ人 ノ)ノノ丶 | く
丶 (イ歹ハ( ィf歹| ハ 厂
(\ミ ̄ )   ̄ノ丿ソ
 )从  `  彡イ~/
   \ ⌒ / ハ(
    )ー´ /レ\
   r厂|ノ ̄ ̄/ /丶
  ハ\__/ / /|
 /ヒ_`ー―_ノ /
`/ | \ー  /
/  |  厂 ̄ ̄

俺が 俺達がガンダムだ!!!

358ハンタカチ王子:2010/01/29(金) 02:12:47
今、上の書き込み見ながら見直してるが、瑕疵担保がこのままだとヤバいよ。
5(2)で、瑕疵担保について法定責任説に立ってるはずなのに、損害賠償については何故か債務不履行責任である416条で処理してる。
これは完全に論理矛盾。何も理解してないと見られても仕方ない。
瑕疵担保責任の法的性質を契約責任説にして、416条を適用するか(その場合は当然代物請求権や瑕疵修補請求権について論ずる)
そのまま法定責任説でいくなら、拡大範囲の損害賠償は709条か、一旦、信義側上の付随義務違反を論じてから416条に基づく損害賠償請求をやらなきゃならん。

いずれにしても、瑕疵担保の問題なんて、法定責任説と契約責任説を論ずれば単位は降ってくるんだから、そこをちゃんと論ずるべきです。

359ハンタカチ王子:2010/01/29(金) 02:56:16
ってか瑕疵担保とか簡単すぎて出ないだろ。
男なら黙って賃貸借か請負を期待すべき。

360ハンタカチ王子:2010/04/17(土) 19:52:12
今年は1限だからか人が少ないらしいな
長坂は多かったけど

361ハンタカチ王子:2010/07/14(水) 21:56:42
長坂先生は事例問題2問中1問選択だそうです

362ハンタカチ王子:2010/07/21(水) 17:52:28
有賀先生の民法って落とす人だいたい何割くらいいるの?
難しいのかなあ

363ハンタカチ王子:2010/07/23(金) 04:07:53
長坂先生の範囲教えてくださいお願いします。

364ハンタカチ王子:2010/07/27(火) 15:44:03
有賀さんの事例がわからん!!

優秀で良心溢れる方々のヘルプを所望す・・・

365ハンタカチ王子:2010/07/28(水) 10:08:52
>>364
事例のせたら解いてやんよ¢(・ω・)

366ハンタカチ王子:2011/01/21(金) 23:20:20
神様
辻脇後期の範囲おしえてください。

367ハンタカチ王子:2011/01/21(金) 23:25:23
長坂でした

368長坂:2011/01/23(日) 23:42:27
誰か範囲教えてください!
やばいです…

369ハンタカチ王子:2011/01/27(木) 00:54:51
有賀さんは今日か

370ハンタカチ王子:2011/01/27(木) 08:35:31
gkbr

371ハンタカチ王子:2011/01/29(土) 23:11:07
有賀先生ありがとう

372ハンタカチ王子:2011/04/16(土) 19:31:12
去年の授業では誰が書いた教科書使ったか知ってる人いたら教えてください。

シラバスにも載ってなかったんで…

373ハンタカチ王子:2011/04/18(月) 00:42:31
アリガーは川井健。

374ハンタカチ王子:2011/04/21(木) 01:10:25
>>373

ありがとうございます!
恵美子ちゃんかわいいよ〜

375ハンタカチ王子:2011/07/27(水) 22:19:32
前日あげ
間に合いそうにないから山はることにした

376ハンタカチ王子:2011/07/27(水) 22:23:17
恵美子萌え

377ハンタカチ王子:2011/07/27(水) 22:43:13
近藤春菜に似てる

378ハンタカチ王子:2011/07/28(木) 10:12:05
最近の恵美子先生はあまりメガネかけてないよね…メガネっ子の恵美子先生が好きだったのに

379ハンタカチ王子:2011/07/28(木) 11:46:21
2011年 前期 有賀

2題のうち1題選択
1、①双務契約と片務契約とを区別すること②有償契約と無償契約とを区別することの意義及び理由について説明したうえで、片務契約かつ有償契約であるものの具体例について論ぜよ
2、履行遅滞による解除の一般的要件について述べたうえで、平成8年11月12日の事例について論ぜよ

380ハンタカチ王子:2012/01/21(土) 11:34:53
有賀さんは復習プリント見てればいいのかな 範囲絞りました?

381ハンタカチ王子:2012/01/23(月) 07:17:24
有賀さんの試験範囲 お願いします

382ハンタカチ王子:2012/01/23(月) 17:31:59
あげます

383ハンタカチ王子:2012/01/25(水) 11:18:31
誰か〜 有賀さんの範囲お願いします

384ハンタカチ王子:2012/07/21(土) 23:39:06
亀田先生の範囲教えてください

385ハンタカチ王子:2013/01/24(木) 20:01:34
長坂の範囲誰かしぼってください(泣)


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