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電力・発電・原子力スレ

1とはずがたり:2004/04/07(水) 04:36
原子力発電は根本的な欠陥を持つのではないかという疑念を晴らせないで居る。
太陽光・風力など自然エネルギー活用型社会への移行を目指すスレ

http://www.fepc.or.jp/index-f.html
電気事業連合会
http://www.fepc.or.jp/menu/link.html
同会リンク

http://eneken.ieej.or.jp/index.html
日本エネルギー経済研究所

2278とはずがたり:2014/05/31(土) 13:11:26
電力供給システムは垂直統合型から構造分離型へ
http://www.nira.or.jp/pdf/taidan65.pdf
ゲスト 山田 光…スプリント・キャピタル・ジャパン代表取締役
聞き手 伊藤 元重…NIRA理事長



構造分離のフェーズは3段階ある

伊藤 日本でも電力の自由化を部分的にはしましたが、電力会社のシェアが圧倒的に大きいわけですが、ドイツでは、風力など、いろいろな再生可能エネルギーを入れたときに、いわゆる第三者が参入してきたわけですか。

山 田 そうです。日本と同じで、 IPP(Independent Power Producer:独立系発電事業者)といった第三者の独立系の発電会社が、陸上での風力やメガソーラーをやったのですが、規模は小さかった。規模が小さいと効率性は落ちるので、最近では発電設備の大きな洋上風力を、電力会社自らがやるようになっています。

伊藤 電力会社はいま送電もやっているわけですか。

山田 構造分離はしましたが、構造分離にもいろいろなフェーズがある。構造分離の第1のフェーズは、会計分離、あるいは社内の機能分離です。第2フェーズは、社内ではなくて、複数の会社に分離していく。例えば、フランスでは、EDF(フランス電力公社)の持ち株会社の下にEDF という同名の発電会社、RTE(フランス送電会社)という送電会社、ERDFという配電会社、そしてEDFという小売会社があります。いずれも資本は 100%EDF の持ち株会社が握っています。第3フェーズは、資本関係も切り離すという、所有権分離(オーナーシップ・アンバンドリング)です。第3フェーズまで行けば、当然、送電と配電に対しても、もとの電力会社の影響力がなくなる。ここは中立でなければいけませんからね。第3フェーズまで行くのかどうかについて議論はありますが、これらを行うのは、公平性の担保のためなのです。

伊藤 いまはまだ、所有権分離までは行っていないのですか。

山田 部分的には行っています。オランダは所有権分離を行いましたが、ドイツとフランスには大きくて力のある電力会社があり、実は所有権分離にずっと反対していた。しかし、ドイツの場合は託送料が高いというクレームが非常に多かったことと、▲自社電源を優遇したということで、EU の監視の目が入り、「このままだと独占禁止法で訴えるぞ」という話になった。それで 4大電力のうち 3大電力が所有権分離を行い、自分の送電会社をオランダ、ベルギーの送電会社、そしてドイツ金融資本にそれぞれ売ったわけです。4つの送電会社のうち 3 つが第3フェーズまでいったわけですね。EUは、フランスに対しては、会社分離という第2フェーズで止まってもよいと認めましたが、それぞれの子会社の分離・独立性を高め、監視をきちんとしなさいという条件が付いています。

伊藤 日本は、どこまで進んでいるのですか。

山田 日本の場合は 2005年の第3次制度改革で、託送部門、いわゆる送電サービスセンターをつくれという話があった。でも、電力会社本体と人事交流があり、情報を完全に遮断しているとはいえず、日本では独立性や中立性の担保がなかなか難しい。さらに言うと、日本の電力会社は託送料を払っていない。それは新規参入者である PPS(Power Producer & Supplier:特定規模電力事業者)から見ると、非常に不公平なのです。

伊藤 託送料を払うところまでいくには、少なくとも会計上の分離をしないといけないですね。

山田 もちろんそうです。EUでは当初、第3フェーズまでいく方針だったが、いろいろな問題が出てきたために、第2フェーズまででいいということで最終決着した。ただし、監視体制など、厳しい条件がついています。

革新的なイギリスの電力市場

山田 では、▲新規参入を促せばうまくいくかというと、新規参入も理想どおりにはいきません。ドイツのメガソーラーにしても、風力発電にしても、時間がたつと結局、電力会社のほうが「食べ始める」わけで、そうなると、電力会社のシェアが戻ることになります。イギリスでも事情は同じです。配電会社が 6カ所に分かれていて、小売り会社も25〜30社あったのですが、結局、小売り会社を力のある6大電力系が買い取り、いまは 6社による寡占マーケットになっています。だから、先鞭をつけるのは新規参入者である IPP や PPS であっても、結局、資本があり、電気事業に慣れている電力会社に小売り事業が集約されてくるわけです。(→自由化して結局寡占になるのはまあ通常の健全な感じで悪くはないのではないか?その過程で市場による選択が行われる筈だし。)

2279とはずがたり:2014/05/31(土) 13:12:07

伊藤 しかし、配電事業とか送電事業での収益を、発電に回すことはできないわけですね。

山田 絶対できません。面白いのは、構造分離も自由化も進んでいるイギリスでは、エネルギー小売り会社 6 社に集約され、ガスも電気も併給していることです。小売り会社ですから、どこのエリアでもよくて、契約行為をするだけです。さらに、最近の動きとしては、例えば断熱材だとか、パッシブソーラーハウス 1 だとか、省エネ型の小売り事業もやっているわけです。笑い話になりますが、イギリスのエネルギー小売り会社が、家のドアをノックして「断熱しませんか」と言うと、みんな不思議がる。日本のシロアリ業者のように見られるわけです。イギリスでは、エネルギー会社の使命が、エネルギーを売ることだけでなく、節電まで含まれるというところまで進んでいるわけです。

伊藤 インセンティブをつけてやれば、本来できるはずですね。

山田 できるはずですが、問題はその政策転換をいつ誰がやるのかですね。イギリスのもう一つの特徴は、イギリスの6大小売り会社、つまり6配電会社のうちの半分(3 社)が外資だということです。ドイツの4大電力のうち2社とフランス電力1社が、イギリスに大手 3 社として進出しています。イギリス本来の企業は、ナショナル・グリッドという送電会社で、ここさえ守っておけばいいという考え方です。電力制度の中で一番大事なのは発電だというのは垂直統合型の理論ですが、発送電分離型では、実はネットワークが大事なのです。安定供給を守るのはネットワークであるという方向に、欧米ともシフトしているわけですね。

伊藤 日本では外資が来ると怖いだとか、安定供給が損なわれるとか言われますよね。

山田 まだ(発想がネットワークが先ず大事なのではなく)「発電ありき」なのです。…

ネットワークで風力発電の不安定性を緩和

伊藤 日本で風力発電をもっと有効に使おうとしたときに、まずやらなければいけないのは電力会社の送電・配電部門と発電部門を分離するということですね。しかし広域の送電網、例えば北海道電力、東北電力、東京電力の送配電網を一体化するのはなかなか難しいのではないでしょうか。経営統合しなくても、連携でいいわけですか。

山田 高圧の送電部門さえ連携できていれば、北海道の風力が東京で使えます。■一番望ましいのは送電会社をつくって、その送電会社を合併して東日本送電会社をつくるということです。セカンドベストは、送電部門の運営を委託して東日本送電運用会社をつくり、一体で運用することです。

伊藤 配電はどうするのですか。

山田 配電の地域統合ははやらなくていい。配電は、変電所から下の、家庭のいわゆるスマートグリッド的な部分です。もっとも家庭用のソーラーが増えてくれば、これまでの上から流す配電システムから、地域で使える配電システムに変えなければいけませんが、設備ではなくて、ネットワーク・アルゴリズムを変えればいいわけです。

伊藤 ●発電が自由化されていることによって、電力の供給が非常に不安定になるのではないかという議論がありますね。例えば風力は、風がなければだめなわけですし、結局、最後に責任を持つところがなくなるという議論です。

山田 よくある議論ですね。構造分離や自由化をしなくても、風力が入れば安定供給が損なわれる要因にはなります。ですがそれは、風力発電という不安定電源をどのように安定化させるかという技術やシステムの問題です。端的にはバッテリーを入れればいいという議論もあります。たしか六ヶ所村で日本風力開発がやっているのは、バッテリー付きのシステムですね。ただ、バッテリーの値段が非常に高い。

ドイツではいま、風力が 7〜8%入り、再生可能エネルギーの比率が全体で 20%を超えています。当然、発電量がかなり変動する。しかし■ドイツではバッテリーや蓄電池に頼らず20%の変動電源を送電網で制御しています。また、■風車のタービンの技術開発で、細かい周波数の変動をならし大きく変動しないようにするという、発電側の技術開発が随分進んでいます。また、洋上風力以外に陸上風力もたくさんあるので、■さまざまな地点で風力を導入すれば、ある程度オフセット(相殺)できる。送電網の広域多様化運用で自然にオフセットできるようにしているのですね。もう一つ、バッテリーというのは調整電源という意味もありますが、蓄電池以外のエナジーストレージもあります。

伊藤 揚水発電のようなものですか。

山田 揚水発電もあります。要は、ためて出せればいいわけで、バッテリーでなくても、さまざまな調整電源があればいいのです。風力発電が多いときで 50%を占めるデンマークでは、ノルウェーの水力を使ってエネルギー調整している。極端な話、ガス火力の調整電源でもいいわけです。

2280とはずがたり:2014/05/31(土) 13:12:43

伊藤 必要なときにはガスを焚くということですね。(→サンケイhttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1081280165/2078に拠ると既にやってるけど待機中にアイドリングして無駄に燃料喰っているとあるがその辺のロスはどなもんなんだろ?

山田 つまり、■ガスタービンを回せば、風力の「しわとり」2 という調整ができる(つまりいずれにせよ常に動かしながら皺取りという作業をし続ける必要があって無駄に動かしているという訳では無いということか?)。そのコストや CO2コンテンツとか、様々なパラメーターを入れれば、いろいろな仕組みが可能です。ネットワークの運用管理を「自社電源ありき」のシステムから多様な電源に対応できるようにアルゴリズムを変えればいいわけです。

伊藤 それを行う主体はどこになりますか。

山田 発電会社です。構造分離後は、相対取引や電力取引所の時間前市場でリアルタイムの45〜60分前までの調整取引をする。アメリカのように送電機関がこの調整取引をする場合もあります。そしてそこからリアルタイムまでは送電会社が市場で全部調整するわけです。■送電会社が、例えばアンシラリーサービスといった、周波数の凸凹をならすための電源を市場から買ってくるというような調整をする。送電会社が主体となっていれば、風力発電の凸凹もならせます。オペレーションだけではなくて、広域化することによってブレをオフセットもできるし、遠くにある調整電源を取って来ることもできるわけです。

構造分離で電力料金は安くなるか

伊藤 アメリカでも同じような状況ですか。

山田 ●(良くあるアメリカの電力自由化の失敗に関して→)アメリカは全く違います。乱暴な言い方をすると、エネルギー政策があるのは州で、連邦政府にはエネルギー政策があまりないのです。連邦政府にあるエネルギー規制委員会は何をしているかというと、卸売市場と地域送電網の料金規制をしています。地域送電網は、例えばカリフォルニアやテキサスには州内の、また北東
部地域には PJM という州をまたぐ大きな「送電機関」がある。欧州には「送電会社」があり、設備も資産も持って運用していますが、アメリカの場合は、送電会社ではなく、ISO と呼ばれる「受託機関」がオペレーションだけやって、設備は持っていません。だから(送電罔への?←とは註)設備投資は遅れがちでした。

伊藤 ●自由化あるいは構造分離すると送電投資が少なくなるという議論がありますね。

山田 それはフェーズI(会計分離、あるいは社内の機能分離)のアメリカ型の話をしているのであって、フェーズIIまで構造分離する欧州型では、送電会社が設備を持ちますので、そうはなりません。アメリカ型のように構造分離が中途半端だと、投資が少なくなる傾向はあります。

伊藤 アメリカにも、過去に投資した送電ネットワークがあると思うのですが、それは誰が持っているのですか。

山田 地元の各電力会社が持っています。垂直統合型の電力会社や、構造分離した電力会社の送電会社が持っています。その運用面を外部委託したり、契約で協調して、例えば PJM では600 もの発電所を一緒に運用したりしているわけです。

伊藤 もともと数が多いわけですね。

山田 多いです。アメリカの場合は、16州で構造分離をしています3。また、例えばカリフォルニアのように、途中までやったけれどもやめてしまった州が7州ある。つまり、23州が部分的あるいは全面的な構造分離を行い、残りの27州は垂直統合型のままなのです。

伊藤 日本と同じということですね。

山田 同じです。やはり人口の多い州は、大体、構造分離をしています。つまり、電気代が高いのは産業政策上望ましくないわけで、それを下げるために、どうしても構造分離が必要になるのです。

伊藤 欧州でもアメリカでも、構造分離により電力料金はかなり安くなったのですか。

山田 欧米ともに安くなっていますね。垂直統合型ですと、部門間の利益のつけ替えが起こりやすい。たとえば、今回の福島のように、発電所の事故というのはある。発電所が止まると収入が絶える。発電部門の収入が絶えたところを、送電部門や配電部門の収入で補うわけです。送電部門と配電部門は規制が強いところだし、自然独占なので、その収益は安定している。その収益を、発電部門の穴埋めに使うと、その部分の料金が高くなり、第三者にとって不公平になるわけです。さらに流通部門のメンテナンス費用が原発の対応に使われる。そうすると流通部門が脆弱になり停電の恐れが出てきます4。

2281とはずがたり:2014/05/31(土) 13:13:04

伊藤 そうすると、日本で例えば発送電分離を進めていったら、劇的に電力料金が安くなると
いったことが期待できるのでしょうか。

山田 日本では発電部門が不安定だということがわかったと思います。火力発電もこの間止まりましたし、発電部門が経営的に難しくなる状況があった。これに対して、構造分離をすれば、送電部門の収益を他の業務に使わないようにできる。電力会社の電源が落ちたために、第三者の託送料金が上がるのを防げるわけです。それにより送電の中立性が担保できる。また、安定供給の要を送電会社にシフトすれば、種々様々な電源を広域的なネットワーク上で公平に流すことができるようになりますからね。劇的に安くなると言うよりは、まず安定供給に資する。市場で価格シグナルによる需給調整ができるからです。今後は原発による発電量が落ちてきて料金が上がるかもしれない。そのときには高い卸電力価格で売る発電事業者が出てきたり、安い料金メニュ―を提示する小売会社が出てくる可能性があるのです。

広域ネットワークとスマートメーターで需給調整を

伊藤 ドイツのケースでは、時間がたってみると発電会社が発電のかなり大きなシェアを占めるようになってきたということですが、自由化しても、結果としてはあまり変わらないということでしょうか。

山田 10 年単位の話ですね。10 年の間には、値段が下がったり、競争が激化したり、もう一つ忘れてはいけないのは、発電部門に対しても、国際競争が出てくることです。例えばドイツのある発電会社のパフォーマンスがあまり悪かったりすれば、小売会社は他の地域から買ってきます。資本市場に連動しているわけですからね。

伊藤 日本の場合は、海に囲まれているから難しいですよね。

山田 これも考え方によります。例えば北海道の風力による電力を、東北を経由して東京に持ってくるという案がある。さらに北にはサハリンがある。サハリンの天然ガスを LNG(液化天然ガス)にして船で買ってくるのか、パイプラインを引くのか、サハリンや北海道で発電にして送電線で買ってくるのか、という議論にもなるわけです。

伊藤 技術的には送電線は可能なのですか。

山田 もちろん可能です。海底送電線というのは、欧州では既に、そこらじゅうに走っている。例えばノルウェーとオランダの間には560キロの海底送電線がある。北海道と東北は言うまでもなく、サハリンと北海道も 500 キロはない。それに北海道と東北の間には青函トンネルがありますしね。西は、韓国と北九州をつなぐことも考えられる。東アジアのエネルギーネットワークという視点は重要ですし、そういった 50年ビジョンの中で動く必要があると思います。 つまり、●電力供給は構造分離後、「不安定になる」のではなくて、「いまが不安定」なのです。その問題を解消するために、電源を今までのように域内にどんどん作るのではなく、ネットワークを強化することによって解消すればいい。それこそ自家発電も取り込めるし、遠隔地にある風力なども取り込めるわけです。

伊藤 例えば、よく言われるデマンドレスポンス(需要応答)についてはどうですか。

山田 デマンドレスポンスというのは、基本的に需要家の需要をピーク時に低減することであり、需給調整として電源を動かすことと同じ役割を果たします。例えば、ある地域でバランスさせなければいけないときには、当然、発電所の出力を上げるか、一律に需要を下げなければならない。広域でデマンドレスポンスができると、例えば広島の需要を減らすよりも、大阪を少し削ればいいといったことができる。遠隔地にある電源を増やすのと同じ効果があります。

伊藤 そういったネットワークで管理したほうがよいということですね。

山田 そうです。■例えば化石燃料という電源をつくって出力調整するよりも、デマンドレスポンスをやったほうが、環境負荷はない。日本卸電力取引所というのがありますけれども、あれは基本的に出力調整です。つまり、電源を持っている人たちが調整しているだけで、需要家は入っていません。本来の卸市場というのは、需要家が入って、卸の高圧の需給調整をしなければいけない。さらに、小売りの家庭部門は、スマートメーターがないことから需要データがとれない。だから、ここも出力調整しかしていない。日本では高圧も低圧も出力調整しかしていないので、今回のように電源が落ちたら終わりなのです。需給調整をするためには、出力調整ではなくて需要データを入れなければいけない。需要データを入れるためには、卸売市場に需要家を入れること、小売市場にスマートメーターを入れること、この両面から需給調整をしていく必要があります。

2282とはずがたり:2014/05/31(土) 13:13:40
>>2278-2282
電力の卸売市場を整備すべし

伊藤 例えば来年どうするかといった短期の政策を考えると、電力料金をピーク時に上げて調整しなければいけないということがありますが、そのためにはスマートメーターを入れる必要があるということですね。

山田 小売りの家庭部門で言うと、スマートメーターのポイントは二つあります。一つは需要データがとれて需要者が見られるということ、もう一つは、いま現在の電力コストがいくらなのかが見えることです。電力コストが見えないと、いつがピークで、いつが高いかがわからない。ただ、卸電力取引所あるいは卸電力市場がないと、勝手に電気代のアップダウンはつくれないので、卸電力取引市場を整備する必要がある。スマートメーターを正しく使うためには、いまのシステムではだめで、卸売システムを整備する必要があります。その前に、いまの電力料金には燃料費調整制度というのがあって、3カ月ずれて価格が設定される。このずれをなくさないと、明日の値段はつくれません。このように障壁がたくさんあり、法律、制度を変えなければいけない。…

改革は市場デザインの設計から

伊藤 さて、ここまでの話をベースにして、日本の電力制度を理想形に向けて改革していくとすると最初に何をやったらいいと思われますか。

山田 市場デザインをつくる、つまり、これからどういうマーケットをつくるのかということですね。いまは発送電分離に賛成か反対かの議論しかない。そうではなくて、垂直統合型はどこがよくて、どこがまずいのか。構造分離型は、どこがよくて、どこがまずいのか、という議論をしないといけない。また、マーケットのデザインを考えた後で、例えば構造分離型がいいとしても、欧州のように、いわゆる送電会社が水平的に連携したほうがいいのか、アメリカのように資産はそのままで、ネットワークとして協調運用する運用会社をつくったほうがいいのか。これを議論しなければいけない。

伊藤 マーケットデザインとして、どちらが広域運用に望ましいのかを議論するということですね。

山田 そうです。もう一つ議論しなければならないのは、第1フェーズの構造分離であるアメリカのように、受託して運用する送電機関がオペレーションのみを行うという ISO 型をとった場合には、中立性を守るために、厳しい規制をかけなければいけないということです。日本には独立規制当局がない。さらに言うと、総括原価主義の中で、電力会社やガス会社に利益がたまるような仕組みになっている。ISO のような送電機関を作ってもだれも見張る人がいないと、原子力と同じような問題になる。金融の世界で金融庁を財務省から切り分けたように、推進側と見張る側の機能を分離するために、資源エネルギー庁から独立した規制当局の設置について、同時に議論していかないといけないですね。



(2011 年 9 月 12 日実施)

1 自然換気などのパッシブ・クーリングと、太陽熱を利用したパッシブ・ヒーティングを組み合わせ、機械設備を用いない受動的な太陽熱利用住宅のこと。

2 「しわ」とは、気象変化により出力が変動し、電力系統を不安定にする現象であり、そのしわをとり電力を安定化させることが「しわとり」である。

3 構造分離を欧州では「アンバンドリング」と言うのに対し、アメリカでは「リストラクチュアリング」と言うのが、一般的である。

4 例えば、去る10月1日には、川崎で原因不明の停電が発生している。


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