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国会会議録検索システム を使ってみるテスト
1
:
カマヤン
:2004/07/14(水) 21:20
国会会議録検索システム を使ってみるテスト
http://kokkai.ndl.go.jp/
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:2004/07/14(水) 21:21
159-衆-憲法調査会公聴会-1号 平成16年05月12日
○小熊公述人 小熊と申します。近現代史を研究している者でございます。
これまでも、いろいろな公述人の方がおいでになっていろいろ憲法について述べられておりますので、私がつけ加えることは少ないと思いますが、一番争点になりやすい九条の歴史的経緯につきまして、簡単に私の知るところを述べさせていただきたいと思います。
お手元に「第九条の歴史的経緯について」というレジュメがあると思いますけれども、そちらをごらんいただけますでしょうか。それでは、そのレジュメの一番から参ります。
まず、憲法九条が押しつけであったのかどうかというようなことについてなんですけれども、私の見解から言えば、押しつけであったという側面もありますけれども、歓迎もしているといいますか、特に、ここでは保守政界が歓迎をしているということについて述べていきたいと思います。
そこに書いてありますように、占領軍のイニシアチブが確かに強い形で憲法草案がつくられたわけですけれども、当時の保守陣営はおおむね歓迎を表明しております。それはどうしてかということになりますと、憲法草案の原案がアメリカ側から日本側の要人に提示されましたときに、非武装化と天皇制を残すということのバーター関係といいますか、非武装化すれば天皇が安泰になるということを述べております。
これは、資料の一番を見ていただけますでしょうか、右側の方に資料がついておりますので。資料の1の方ですけれども、一番上のところで、ホイットニーGHQの民政局長が、一九四六年二月に憲法草案について日本側の要人にこう言って提示したわけです。「この新しい憲法の諸規定が受け容れられるならば、実際問題としては、天皇は安泰になると思います。」と。
つまり、当時は、国際的に天皇の戦争責任ということが問われかねない雰囲気がありましたので、特にオーストラリアその他などから、天皇を訴追しろという意見が連合国側の中でかなり強かったものですから、日本を非武装化するということ抜きには天皇の地位を守るということはできませんと。アメリカ側は天皇を残すという形で日本の占領統治を続けようというふうに考えていたわけですけれども、天皇を国際的な追及から守るということが非武装化抜きにはできないということですね。
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:2004/07/14(水) 21:21
あともう一つ、ホイットニーがつけ加えたことは、その二行目、「マッカーサー将軍は、これが、数多くの人によって反動的と考えられている保守派が権力に留まる最後の手段であると考えています。」つまり、この憲法草案でかなり戦前体制と決別した改革案を思い切って提示しないことには現在の保守陣営の政治家は生き残れないであろう、このようにホイットニーは日本側の要人たちに主張したわけであります。
もとに戻っていただけますでしょうか、一枚目の方へ。アメリカ側の方は、このような形で非武装化と天皇制を残すということの交換関係として第九条を提示したわけであります。
当時のマスメディア及び議会での論調はほとんど歓迎一色であります。マスメディア上ではもちろん、すばらしい憲法だということでほとんど一枚岩でありますし、あと、議会での審議を私が見た限りにおきましても、特に与党、保守政党の側は歓迎一色であります。これは、与党がこの憲法草案、改正案を出している立場だったわけですから、与党が賛成するのはもちろん当然だということもあったわけですね。
では、保守的な人々がなぜ歓迎したのかというのは、やはりホイットニーも示唆したように、ここで思い切った改革案を提示しないことには保守政界の側で生き残りができないということがあったこと、あともう一つは、三行目になりますけれども、この憲法草案が天皇制と資本主義を残しているということでありました。つまり、負けてしまって占領されてしまった以上、どのような体制になるのか全く見当がつかない、しかも共産党の勢力が伸びつつあるという状態の中でとりあえず天皇制と資本主義は残ったということで、財界とそれから保守政界の側は歓迎を表明したということがかなりはっきり見える部分があります。特に、四行目に書いてありますように、当時は公職追放などで保守政界側の議員が相当数追放されてしまいまして危機に瀕しておりましたから、保守政党の側も生き残り策として歓迎したという側面があったようです。
資料を、また一番を見ていただけますでしょうか。資料の一番の二つ目の発言ですね。これは当時のマスメディア上及び政治家の発言の例として持ってきたわけですが、資料一番、二番目、これは石橋湛山であります。後に自民党から首相になる方ですが、四六年三月に憲法草案が発表されたときの彼が述べたコメントであります。
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:2004/07/14(水) 21:21
「記者は」、石橋湛山ですね、「この一条を」、第九条のことです、「この一条を読んで、痛快極まりなく感じた。近来外国の一部の思想家の間には世界国家の建設を唱道する者があるが、我が国は憲法を以て取りも直さずその世界国家の建設を主張し、自らその範を垂れんとするものに外ならないからである。……真に我が国民が〔憲法草案前文にあるように〕「国家の名誉を賭し、全力を挙げて此等の高遠なる目的を達せんことを誓う」ならば、その瞬間に於て最早日本は敗戦国でも」なければ、四等国、五等国などと当時言われていたわけですけれども、「四等、五等でもなく、栄誉に輝く世界平和の一等国、予ねて日本に於て唱えられた真実の神国に転ずるものである。之れに勝った痛快事があろうか。」当時の新聞及び保守政界の議員の議会での発言なども、大体このような調子のものがほとんどでした。
ただ、これは完全に本音でそう言っているのかということになりますと、そこは一〇〇%はかりかねるところがあるわけですが、その下、朝日新聞、一九四六年三月十日の記事ではこのように述べております。これは、財界及び保守政界の側の憲法草案に対する反応を述べているんですが、このように述べております。「この儘では激流の真只中に」、敗戦と共産党の台頭という激流の真っただ中に、「どこまで押し流されるか判らない今日、天皇制護持資本主義存続といふ点で大きな枠がはめられ、将来に対する一応の見透しがついたと同時に、共産党を先頭とする急進勢力からの圧迫がこれによってある程度緩和されるのではないかと観測し、安堵とともに賛意を表明している。」恐らくこのあたりが当時の保守政界及び財界の割合素直な反応であったのではないかなと私は思います。
戻っていただけますでしょうか。ということでありますので、憲法あるいは九条が押しつけであったのかどうかということに関して言いますと、占領軍のイニシアチブが強かったということについては事実だと思いますが、保守政界及び財界も歓迎していたということも事実なので、押しつけという側面ばかり強調するのはいかがなものかというのが私のこの件についての意見であります。
まず一つ目、これで終わりです。
それから、二番目、一九五〇年代ぐらいの展開に入ってまいりますが、冷戦がだんだん強まってまいります。それから、アメリカ側から再軍備と改憲の要求が出てくるというのが一九五〇年代の様相であります。
冷戦が大体強まってくるのは一九四七、八年ぐらいから、ヨーロッパでマーシャル・プランが出たり、ベルリンの壁がつくられていったりというような時期であったわけですし、一九五〇年の朝鮮戦争の開戦によって冷戦が一番ピークに達するわけです。その中で、既に一九四八年の時点で、米軍指導下の日本人部隊を育成して、憲法を改正しようというプランをアメリカの陸軍省が練っておりました。
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:2004/07/14(水) 21:21
これは、資料の二番を見ていただけますでしょうか。資料の二番、これは、一九四八年五月、アメリカ陸軍省が作成したロイヤル陸軍長官への報告書の一部であります。このように述べております。「軽武装で、米陸軍によって組織され、」アメリカ軍によって「初歩訓練され、その厳しい監督下にある小規模の日本人軍部隊の創設によって日本を再軍備すること」を考えるべきであると。それは何のためかといえば、やはり冷戦の反共同盟国として育成する、日本側を西側陣営の一員として軍隊をつくってアメリカに役立てるという方針であります。
その次の部分、「日本の新憲法に対する修正の可能性について、自衛のための軍備確立という方向で検討する必要がある。」このように、一九四八年五月の時点で既にアメリカ陸軍省の側がこのような憲法改正を日本に要請すべきではないかということを意見として述べているわけです。
また戻っていただけますか。このような意味で、なぜアメリカがこのような方針に転換したかというのは、やはり冷戦の激化、それから朝鮮戦争であります。一九四六年には、そこに書いてありますように、日本を非武装化する、つまり太平洋戦争を起こし、日中戦争を起こし、アメリカに対しても奇襲攻撃をかけてきたあの日本というものを非武装化するということ、これがやはり一九四六年におけるアメリカの基本方針だったわけですけれども、一九四八、九年ぐらいから、むしろ反共同盟国として再軍備させる、それでアメリカの軍事力の一翼として利用できる方向に対日方針を変更していこうということがあったと思われます。そのために憲法改正もした方が有利であるということですね。
一九四六年のアメリカの方針だった第九条が、一九五〇年のアメリカの方針である再軍備要請にとってむしろ桎梏になってきた。つまり、アメリカが一九四六年にやったことが一九五〇年のアメリカにとって邪魔になってきてしまったということであります。
当時、朝鮮戦争の最中には、アメリカ政界の中から、アメリカの政治家、議員などから、日本を再軍備させろという要請、それから憲法を改正しろという要請、それから朝鮮戦争に日本人部隊を投入しろという要請、そういったものがしょっちゅう、結構出ております。実際に、朝鮮戦争のときに日本の掃海艇が機雷探査のために朝鮮戦争に派遣されたということがあって、これは日本の政界が当時隠していたということはよく知られておりますけれども、アメリカ側からは、やはり日本の軍事力を国際戦略に利用したいという気持ちがこのころから非常に強くなっていたということが言えます。
これに対して日本側はどのように反応したかといいますと、歓迎と反発の両方がありました。
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:2004/07/14(水) 21:22
まず、歓迎した人たちは、一部は旧軍人であります。これは、再就職先ができる、もう一度我々を雇ってもらえるという意味において旧軍人の一部が歓迎しております。それから保守政界の一部が、やはり何といっても日本に軍隊がもう一度できるのはよいことであるという意味で賛成をしております。それから革新側が反対を表明いたしまして、それから保守政界の一部が反発をしております。保守政界はある意味で割れております。
保守政界の一部がなぜ反発したかといいますと、このままではアメリカの傭兵になってしまう。つまり、朝鮮戦争に突入したところで警察予備隊をつくり、それを保安隊、自衛隊と拡張していくわけですが、このままではアメリカの傭兵になってしまうではないかという危惧が保守政界の側に存在したわけです。
資料三番を見ていただけますでしょうか。
資料三番、この山下義信というのは当時の右派社会党の議員でありますけれども、保守とは言いがたいですけれども、保守寄りの人のちょっと感情を示す議論として、これは議会での発言であります。参議院予算委員会での質問、一九五二年十二月、朝鮮戦争中ですが、このように述べております。
今日のような状態になりましても、国民の祖国を愛するという精神には、決して私は変わりはないと考えておるのであります。しかし、今世論が再軍備に反対いたしておるという世論が多い。この国民の心持ちは、アメリカの番犬になることは嫌だ、それから第二は、そもそも一体アメリカは日本の軍備を一たん奪うておいて、そうしてまた今度はアメリカの都合のよいときには再軍備しろということは、日本人をばかにしておるというような割り切れない感じ、それから第三は、朝鮮へ派遣されるということは嫌だという感じであります。アメリカの戦争に利用されるのは嫌だと。アメリカの政界で当時出ていた、朝鮮に日本人をやれといった、派兵しろといった議論に対しては、国民が憤激いたしましたと。
要するに、アメリカの都合で我々を朝鮮戦争に派遣されるなどというのは、これはやはり傭兵になってしまうということになるわけですね。
またもとに戻っていただけますでしょうか。
当時の首相は吉田茂がやっていたわけですが、ここでいわゆる吉田茂の軽武装路線というものが結果として定着していくことになるわけであります。
吉田の基本方針というものは、吉田は何といっても戦争中に投獄された経験もありますので、軍に対しては警戒感情、特に旧軍の、旧日本軍の復活ということに対しては警戒感情があったようであります。
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:2004/07/14(水) 21:22
第九条と国内の反対世論を理由にしてアメリカの再軍備要求を値切るというのが吉田のとった基本路線であったと言ってよろしいかと思います。全く再軍備しないというのは、これはアメリカとの関係上できない。幾らかは再軍備しなければならない。しかし、できるだけその要求を値切りたい。値切る場合に利用したのが第九条とそれから国内の反対世論ということであったわけであります。つまり、一九四六年のアメリカの方針だった第九条で一九五〇年のアメリカの圧力に対して対抗をする。一九四六年にはアメリカの基本方針は第九条だったわけですけれども、それを使って一九五〇年のアメリカの圧力に対抗をするということであります。
資料の四番を見ていただけますでしょうか。
資料の四番、これは吉田茂の発言であります。一九五〇年代のどこかということなので日時がはっきりしておらないのですが、五〇年代前半の発言であります。このように述べております。
「再軍備などということは当面とうていできもせず、また現在国民はやる気もない。……ずるいようだが、当分アメリカに(日本の防衛を)やらせておけ。憲法で軍備を禁じているのは天与の幸で、アメリカから文句が出れば憲法がちゃんとした理由になる。」おまえたちがつくった憲法なのだからと。「その憲法を改正しようと考える政治家は馬鹿野郎だ。」そういう言い方を吉田茂は当時発言として残しております。
つまり、第九条は使い道がある、アメリカとの対抗上使い道があるということですね。
またもとに戻っていただけますでしょうか。
吉田茂は、やはりその辺は何といっても策士でありまして、当時左派社会党に再軍備反対運動をやってくれという要請までしております。これは、密使を送りまして、当時の左派社会党の鈴木茂三郎などに、再軍備反対運動を起こしてくれ、起こしてくれればそれを口実にして、国内の反対が強いということを理由にしてアメリカとの交渉に臨むという手段をとっております。
そのような形でアメリカの再軍備と改憲の要求を値切りながら経済成長に専心したというのがその後の基本路線になっていったということで言えるかと思います。
では、三番に入ります。
現在どのように考えるかということですが、第九条を改正することで自主憲法になるかという問題であります。
この点について、大変おもしろいことに三島由紀夫が、第九条を改正してもアメリカの思うつぼであるというふうに発言を残しております。これは資料の五番を見ていただけますでしょうか。
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:2004/07/14(水) 21:23
資料の五番、これは三島由紀夫が死ぬ少し前に問題提起という憲法問題に関する文章を書いておりまして、そこでこう述べております。
「たとひ第九条を改正して、折角「憲法改正」を推進しても、却ってアメリカの思ふ壷におちいり、日本の本然の姿を開顕する結果にならぬ、と再三力説した。」つまり、第九条を改正してもアメリカの要請に従って再軍備するという方向にしかならないと。結果は、「韓国その他アジア反共国家と同列に並んだだけの結果に終わることは明らかであり」、このように述べております。
三島が一番改正したかったのは第一条、つまり、天皇を現人神にもう一回戻すということの方が憲法改正の彼の一番の趣旨でありまして、第九条を改正してもアメリカの思うつぼになるだけであるというのが彼の基本的な意見でした。
またもとに戻っていただけますでしょうか。
現在、第九条を改正するということで考えられることとしては、アメリカの対日軍事要求をエスカレートさせる可能性があるのではないかということです。第九条の存在とそれから日本の国内世論が、派兵その他に対して反対であるということが、アメリカの対日要求のエスカレートのブレーキ役を果たしているということがあるわけです。
これは、イラクの問題等に関しましても、国内の世論が適当に反対が多いからこそ、この程度の要求でとどまっている。あるいは、非常にひねくれた言い方をいたしますれば、国内の反対が、世論が強いのを押し切って自衛隊を派遣してこそ、アメリカに対してこれほどのことをやったのだという姿勢を示すことができる。つまり、高く売りつけるということができるわけでありますから、日本の世論の反対が弱過ぎると、かえってアメリカの要求がエスカレートしてしまうことになりかねないことになってしまう。
第九条を改正して正式の軍隊ということにし、自由に動かせるという形にした場合、例えばベトナム戦争における韓国軍のような存在、位置に自衛隊がなるのが果たして望ましいのかどうかということになりますと、これはなかなか考えなければならない問題であります。
また、おまけに考えられることとしては、アメリカ世論及び周辺諸国の反発を買う可能性が第九条を改正するとございます。
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:2004/07/14(水) 21:23
まず、アジア諸国を刺激する可能性については、これは言うまでもありません。韓国、中国その他を刺激いたします。それからもう一つ、アメリカの世論を刺激してしまう可能性があります。
一九九九年のアメリカの世論調査で、日米安保条約は何のために存在するかという世論調査をアメリカでやりましたら、日本の軍事大国化を防止するためだというのが四九%、日本を防衛するためだというのはたった一二%であります。つまり、日本にアメリカの軍隊を置いておくために、日本の軍事大国化を阻止するのが日米安保条約の一番の目的だというふうにアメリカの世論側はかなり思っている。
ということだとすると、第九条を改憲してしまうと、日本は軍事大国化する気なのかという危惧を、アメリカ政府とは別個に、アメリカ世論やアメリカの議会を刺激してしまう可能性があるのではないかということ。これは、アメリカやヨーロッパのメディアや評論家の間では指摘をされております。アメリカの政府の閣僚や何かは、日本の再軍備あるいは九条改憲ということは歓迎する可能性は高いですけれども、アメリカの世論は刺激してしまうという可能性があるわけですね。
ですから、私の結果として言いたいことといたしましては、押しつけの憲法だったから自主憲法をつくるのだという議論はいささか感情的に過ぎないか、そうストレートなものではない、やはりもう少し国際関係その他を考えて慎重に考えるべきではないかというふうなことが私の意見であります。
以上をもって終わります。(拍手)
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:2004/07/14(水) 21:24
○小熊公述人 今の御意見につきまして、私が持っている知識の範囲で多少のことをお話しさせていただきたいと思います。
職能代表あるいは学識者という人々を推薦するという形で選べば参議院が独自性を持った良識の府になるのではないかとお考えになられた、その場合に憲法四十三条第一項がネックになったという、その件についてどう思われるかという趣旨として受けとめました。
実は、この件については、一九五〇年代ぐらいに、自由党それから自由民主党の憲法調査会が設定されていましたときに、いろいろと議論になった憲法条項の中にこの問題が少しありまして、当時の調査会の議論では、御質問になられた御趣旨とはちょっと違いますけれども、参議院は戦前の場合には政府推薦議員によって編成されていた、選挙ではなかった、ですので、政府推薦議員制度を復活させてはどうかという考え方がその当時の自由党及び自由民主党の憲法調査会の中で行われたわけであります。そのほか、もちろん、二十四条を改正するとか六十六条を改正するとか、いろいろ随分議論が行われたその中の問題の一つとして論じられたわけですね。
ただ、やはりその案は、結局のところ、日の目を見なかったというか、通らなかったわけであります。それは、やはりかなり包括的な憲法改正の案という形の中の一つとしてそれが論じられたということがあって、全体としてはやはり九条に対する改正は反対というような問題の中で論じられて、その問題は余り国民の知るところとならなかったということも一つありますけれども、やはり推薦議員制度の復活ということになりますと、結局これは、具体的には政府が推薦するということになる、戦前の政府が推薦する推薦議員ということになりますと、大概政府に対する貢献の認められた元官僚でありますとか元軍人でありますとか、そういった人々が推薦議員という形になっていた、その制度に戻すのかということになりますと、これは余り民主的な方法ではないという反発があったということとして記憶しております。
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:2004/07/14(水) 21:24
おっしゃられるように、上院と下院という形にアメリカではなっている、あるいはイギリスでもなっている。しかし、あれはそもそも選挙される基盤が全然違う。それに対して、日本の場合には、その辺、衆議院と参議院の基盤がはっきりしないというのは御指摘のとおりだと思いますけれども、しかし、学識あるいは職能経験者を選ぶという形になりますと、これはだれが推薦してという形のことが大きな問題になってまいります。今の森山先生の御意見ですと、政党が推薦してという形のことをおっしゃられたように記憶しておりますけれども、そうしますと、これは比例代表制で選出するということに近くなりますので、憲法を改正するという問題ではなく、参議院を比例代表制に全面的にして、できるだけ学識あるいは職能経験者を推薦するという方向にしたらどうかという問題の、選挙法の改正の問題になってまいります。それは憲法の改正とはまた別個の問題になってくると思います。
憲法を改正して推薦議員ということになりますと、これは政府推薦ということになるのかということになりますと、かなりこれは民主主義の骨幹の問題にかかわってまいりますので、問題が難しくなるかと思います。これは私の思った点であります。
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:2004/07/14(水) 21:24
○小熊公述人 この点につきましては、なかなか軽々に語りにくい問題なのでありますけれども、まず、お話が、青少年犯罪、それから教育の方面から教育基本法、それから憲法前文へ愛国心を記入するべきかどうかという、そのような流れであったと受けとめております。
私、思いますけれども、青少年犯罪の増加と愛国心を教えるかどうかということについて直結関係があるのかどうかということについては、これは慎重に考えなくてはいけない問題だと思います。
例えばの話、愛国心を教える、あるいは国旗に対する敬愛を教える、あるいは自主憲法を持つ、あるいは正式に軍隊をうたうという形にすればもし青少年犯罪が減少するのであれば、アメリカは青少年犯罪が非常に少ない国でなければならないはずだ。あれだけ国旗に敬愛を誓って、軍隊ももちろん自主憲法として持っている国が、ほかにも、徴兵制を持っているドイツなどでも青少年犯罪は多うございます。ですから、その問題と直結させて論じるのはいささかいかがなものかと私は思います。
私は教育関係の学者さんや何かともお話しする機会はありますけれども、私は教育は専門外ですが、やはり、青少年犯罪の増加、それから学級崩壊と呼ばれるような、児童がなかなか先生のコントロールのもとに入ってこないという問題というのは、これは日本だけの問題ではなく、先進諸国でいろいろ起きてきている問題であります。そこで、日本だけではなく、いろいろな諸国の教育学者たちが議論をしておりますけれども、即効性のある対策というものについては、なかなかこれといった決め手は出ておりません。ただ、一つ言えるのは、教師一人当たりの人数を少なくする、例えば四十人学級を二十人学級にするとか、そういったものは直接的な効果は明らかにある。それは先進諸国でもしばしば実験され、また実際にそのような形になっている先進諸国が多うございます。
これは、アメリカでもそれからフランスでもその他の諸国でも、憲法に愛国心を書き込んだり、あるいは自主憲法を制定するという形によって青少年犯罪が解決するのではないかというような議論というのは、私は寡聞にして余り聞いたことがございません。それらの国々では恐らくそういう議論の形態にはならないんだと思います。
日本では、たまたま憲法の問題、つまり、憲法が制定された経緯の問題があり、それから青少年犯罪の問題があり、教育の問題がありという形のことがいささかごっちゃにされて議論される傾向があるのではないかと思いますけれども、私はこれは別個の問題であると思います。
以上です。
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:2004/07/14(水) 21:25
○小熊公述人 非常に長期的なタームに基づいた人類史的、世界史的な流れ、つまり、おっしゃられましたことは、現在の憲法はフランス革命とかアメリカ独立革命以来の近代憲法の流れのものであって、しかし、時代は、国民国家の時代を超えて、地域共同体もできつつあるような時代に入りつつある、その中において、近代国民国家の憲法としてできた日本国憲法をどのように考えていったらよいのかというようなことの御趣旨であったろうと思われます。
私は、そのようなかなり大きな問題についてここで簡単にお答えをすることはなかなか難しいのですけれども、いきなり話を非常に現実的な目先の問題に戻してしまうとするならば、やはり東アジアの中で日本はやっていかざるを得ないだろうということが一つのつながりになるかと思います。
日本の戦後、戦後と言ってもかなり長い時間があったわけですけれども、この場合には戦後と言ってもよいぐらいの一貫した流れとして、やはりアメリカとの外交を一番に置いてきた。
よく言われますことは、ヨーロッパではEUができたのに、東アジアではなぜ東アジア共同体のようなものができないのかというようなことが言われることがございます。
これについては、ヨーロッパ研究者や何かとお話をしたことがありますけれども、やはりヨーロッパの場合には、第二次世界大戦後の戦後処理におきまして、やはりフランスとドイツでありますとか、あるいはフランスとイタリアでありますとか、あるいはベネルクス三国とドイツ、フランスでありますとか、そういった国々同士の直接的な話し合い、それからもう一つはやはり戦後補償問題に対する取り組みというようなものがいろいろ存在したということがあるわけです。
ところが、東アジアの場合には、韓国と日本、あるいは中国と日本というような外交関係よりは、韓国とアメリカ、日本とアメリカというようなアメリカとの個別交渉の中で、ある意味でいいますと扇状に東アジアの国々が広がってしまっているという形で、つまり、日本と韓国に直接の連絡があるというよりは、日本とアメリカが連絡して、アメリカと韓国が連絡をして、そして、アメリカと両方が話がついた上で日韓関係をつくるというような形になってしまうということが多かったということがあるわけです。一九六五年の日韓会談などはやはりそのような形として進んできたという経緯もあるわけですね。あるいはまた日中の国交回復も、明らかに、米中の国交回復の方が先行するという形で初めて日本と中国の間で話がついたということであったわけです。
つまり、私がここで何が言いたいかといいますと、東アジアにおいてEUのようなことができなかったのはなぜか。それはやはり、東アジアにおいてはアメリカの力が強過ぎた、アメリカとの個別関係の中においてやってくるということが余りにも強過ぎたということは一つ言えるのではないかと思います。
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:2004/07/14(水) 21:26
その関係の中において憲法がどのような関係を持つかということになってくるわけなんですけれども、私のきょうの話の流れでいいますと、日本が現状の対米関係の中で九条を改正して軍隊を自由に動かせるという形にするのは、やはり対米従属をより深める形の方向になっていくという可能性が強くなってしまうのではないかと思います。先ほども申し上げましたとおり、韓国、中国などアジア諸国に対しては危惧の念を抱かせかねないわけですし、また、アメリカの、例えばイラク、アフガニスタン等々への派遣というものの要請はやりやすくなってくるという形になってきますと、むしろアメリカへの関係が強まり、そして、対アジア関係の中ではより難しくなっていくという方向になってしまう可能性が強いのではないかと思います。
その意味におきまして、アジアでの地域共同体をつくるというような形を将来を展望して憲法を考えるということの中でも、やはり九条の安易な改憲というようなことを、自主憲法制定、押しつけだから改正というような形で進めていくということに関しては慎重であるべきかなというふうに思いますというのが、私の一応お答えできる範囲のことです。
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:2004/07/14(水) 21:26
○小熊公述人 かなり仮定を含んだ話になってしまいますけれども、もし万が一東アジア共同体というようなものがEUのような形ででき、そして、EU共通法のような形で東アジア共同体共通憲法みたいなものがもしできるとするならば、日本国憲法及び第九条が役割を終えるというようなことはあり得ることかもしれないと思います。ですが、九条を先に改正して、特に、現状の中での国際関係、日米関係の中で先に九条を改正してそれから東アジア共同体をつくるという議論に入っていくというような形のことは、現状から考えますと、韓国、中国、その他の国々の外交関係を難しくする方向になってしまうのではないかと思います。
それでお答えになりますでしょうか。
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:2004/07/14(水) 21:26
○小熊公述人 師弟関係ということを強調されておりますけれども、ゼミに出席はしておりましたが、完全な弟子というよりは、全く不肖の弟子でございますので、意見は必ずしも同じではございません。
前文との関係についてなんですけれども、まず、憲法制定期の歴史的経緯からいえば、あれは確かに一九四六年の時点の時代状況を反映したものだと思います。あの憲法前文では、国際的正義を信ずる諸国に対する信頼に我が国の安全をゆだねるというふうに述べているわけですが、これはもう、同時代においては連合諸国にゆだねるというような意味合いを持っておりということは、これは事実だと思います。
その前提になっていたのは、米ソが協調体制にあったこと、つまり、アメリカ、ソ連、中国、フランス、それからイギリスといった核を持っている国々、常任理事国、それらの協調体制があるということが、要するに、それらの正義を追求する諸国に我が国の防衛をゆだねますというあの前文とセットになっていたということがこれはあったと思います。
その意味において、憲法前文が冷戦期には非常に難しい状況に陥っていたということは、私はそれはそのとおりだと思います。あれはやはり、正義を追求する諸国が協調体制にあっているから成り立つという側面はあったわけですけれども、米ソが対立してしまいまして国連が機能しないという状況になりますと、これはかなり難しくなってしまうということはあったわけですね。
ですが、幸か不幸かよくわかりませんけれども、冷戦が終わりまして、米ロの協調体制というものがある程度戻り、米中も国交を回復し、イラクをめぐっては安全保障理事会の対立ということが起きたわけですけれども、あれに関しまして言いますと、あれはどちらかといえばアメリカのやや独走ぎみというところが安全保障理事会全体の配置の中でもあったわけですから、あれを一つの例外として見ますれば、国際連合に集まっている国々、常任理事国を中心とした国々の協調体制ができているのであれば、憲法前文は、むしろ冷戦期よりも現在に適合するようになってきていると私は考えます。
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:2004/07/14(水) 21:26
○小熊公述人 これにつきましては、例えば、あれは一九五二年だったと思いますけれども、当時のキンボール海軍長官が、日本の憲法はもはや自由世界の防衛のために適さなくなったので改正すべきであるというふうに発言をしたり、それから、ちょっと正確な年号は忘れましたけれども、たしか一九五四、五年ごろでしたけれども、当時副大統領だったニクソンが来日しましたときに、パーティーの席上で、第九条を制定したのは、あれは誤りであった、アメリカの国策として得策ではなかったというようなことを公式の席上で述べたことがございます。
そういったことは断続的に五〇年代に言われてきているわけだったんですけれども、アメリカはその後、どちらかというと慎重になった部分があるかと思います。私は、それは公文書から裏づけることはできませんが、一つには、六〇年の安保のときに、日米安保条約の批准をめぐって岸内閣が倒れるという事件が起きました。あれはアメリカ側にとってもかなり教訓を残したのではないかと思います。
もちろん、日本政府側にとってもそうですが、余り強引なことをやると、これは親米政権が倒れてしまうという形になると元も子もない。余り露骨な圧力をかけ過ぎるという形になって、親米政権が倒れて社会主義政権が日本にできるという形になってしまえばこれは元も子もないということになってしまうということは、かなり教訓として残したと思います。
経緯としてはっきりしているのは、六〇年安保の前後ぐらいから、在日米軍の基地が撤廃の方向に五〇年代の後半ぐらいから向かいまして、沖縄に集中していくという現象が起きていくことになりました。そして、朝鮮戦争のときには、掃海艇を結局アメリカ政府の要請で出さざるを得なくなって、それを日本政府は公にすることができなかったということがあったんですけれども、ベトナム戦争のときには、韓国に対しては韓国軍を派遣しろという要求は正式にもちろん行われ、実際に派遣されたわけですが、日本に対して自衛隊を派遣しろというような要求はとりあえず、あったかどうかはこれはわからない、公文書がわかりませんので、後方の補給を民間業者がやっていた程度にとどまっております。恐らく、私の推測するのには、やはり六〇年安保前後から、アメリカ側はこの点に関しては慎重になっていたと思います。
現在においても、時々アメリカの政府高官が、やはり憲法改正の問題や何かについては、これは日本側が自主的に決めることだと言うにとどめるという路線をとり続けているようですね。もちろん改憲した方が望ましいのだろうということは、言葉の端々から何となくうかがえますが、余り内政干渉的なことを言うと反米感情をあおりかねないということを意識しているのではないかと思われます。
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:2004/07/14(水) 21:27
○小熊公述人 いろいろ理由はあると思いますけれども、一つにはやはり、アメリカという国は一国だけでは戦争をしたがらない国だというのが、これはこの二十世紀の歴史を見ているとはっきり言えることだと思います。第一次世界大戦、第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、それから湾岸戦争、どれを見ましても、連合国の主役、多国籍軍の主役、世界の代表、あるいは世界の警察という形をどうしてもとりたがるという傾向はあります。
もちろん、どんな国であっても、国際的な支持があるという形で戦争を遂行したいというのは、これは明らかにあるわけですが、戦前の日本のように国際連盟を脱退してまで我が道を行くというようなことはかなり例外的なことではあるわけですけれども、アメリカはやはり国是として、アメリカこそが世界の代表なのである、世界の警察なのであると。だから可能な限り多国籍軍という形態をとりたがる。だから、人数的にはアメリカ軍があくまでも主力であるとしても、たとえ数人でもいい、数十人でも数百人でもいいから、いろいろな国が参加したという形態をとりたがるということははっきり言えると思います。これは、ベトナム戦争であっても、国連軍という形態はとれなかったわけですけれども、韓国軍やオーストラリア軍やその他を呼んでおります。あくまでも連合軍という形をとりたがるという形ですね。
もう一つはやはり、実質的にアメリカの軍事負担を減らしたい。これは、アメリカの戦死者が少なくなればなるほどよいということもあり、また日本はイージス艦というような高級な、お金のかかる装備を持っている数少ない国でありますから、とりあえずそういったものは利用したいということはあると思います。その二つの要因からきていると思います。
その意味で、日本に対して軍事的に貢献をしてほしいという要求はずっと続いているということは、冷戦が終わっても続いていると思いますし、憲法が改正されたら望ましいということは続いていると思います。ただ、それを公の場ではっきりと述べるということは、日本に反米感情をあおりかねないのでさわらないでおこうというようなことではないかなと思います。
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:2004/07/14(水) 21:27
○小熊公述人 感情的だというふうに考える特徴という御質問でありますけれども、これはいろいろな種類のものがございますので、一枚岩に語ることは簡単にはできにくいと思います。
ただ、私が具体的に知っている例に関して言いますならば、やはりアメリカに押しつけられた憲法だから、変えればアメリカからの独立になるというような形で述べている方は幾人かいらっしゃることは御存じだと思います。それは実際の国際関係の歴史的経緯や現在の国際関係を見通した議論ではない。感情的に、押しつけられたから、それを変えれば自主独立になるのだという、それほど単純なものではないというふうに私は考えるわけです。
むしろ改憲する方が、一九四六年のアメリカの方針には反対していることになるかもしれないけれども、一九五〇年以降のアメリカの方針に沿うことになってしまうのだから、自主憲法の制定という趣旨にも沿わないのではないですか、そういうことが国際関係の歴史的経緯あるいは現状を見ればもう少しわかるのではないかということを申し述べた次第で、そこを見逃して、押しつけられた、だから変えるんだというのは感情的だというふうに申し上げた次第です。
○小熊公述人 私も、ことし五月のあの世論調査、幾つかありましたけれども、大変興味深く思いました。憲法改正ということに対しては賛成が多いのに、九条を変えるということに関しては反対が多い。これは一体どういうことなんだろうかということを思いましたけれども、私は、これは改憲という言葉の人々に与える印象や響きがかつてと変わってきているのだと思います。恐らく私は、改憲は必要だと思いますかという言葉は、改革は必要ですかというのとほとんど同じに受け取られているのではないか。つまり、現状の日本は何となく行き詰まっている、いま一つ景気もぱっとしない、それで改革は必要だ。しかし、ではどう改革するのかという具体案になると、みんなばらばらであるというのがこの政治改革というものの大きな最近の特徴でありますね。
恐らく憲法についても同じような感情に国民感情がなっているのではないかと思ったんです。つまり、何か変えなくてはいけない。では、変えるとすると、第九条を変えますかと言われると、いや第九条は変えてはいけない、では第二十四条を変えますか、いや第二十四条も変えてはいけない、では十五条を変えますか、いや十五条も変えてはいけないという。恐らく、改革は必要だ、だけれども、では具体的にどこを変えるのと言ったら、特に変えたいところはない、そんな感じではないかなと私は思います。
私は、あの世論調査に対して感じたことは以上のようなもので、あの改憲賛成が多数を占めたというのは余り過大に受けとめてはいけないのではないか。あれは改革が必要だと言っている、日本はこのままではいけませんというふうに言っているというぐらいのものとして受けとめるのが適当ではないかと私は思っております。
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:2004/07/14(水) 21:35
>>2-19
小熊英二
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:2004/07/14(水) 21:36
159-衆-予算委員会公聴会-1号 平成16年02月26日
○金子公述人 金子でございます。
私の立場は、政府の予算案に対して、基本的に反対の立場からお話をさせていただきたいと思うんです。
財政運営が苦しい状況の中で、反対のための反対をしても仕方がないということで、私自身は、より建設的に、問題のとらえ方をしっかりしよう、それから、何をなすべきかということについて自分の考え方をはっきりさせたいということが、ここで述べるときの基本的な立場であります。
御存じのように、国と地方の長期債務の残高は七百十九兆円にならんとしておりまして、GDPの一・四倍を超えるという状況になっております。そういう中で、税や保険料あるいは健康保険における患者負担の増大というように国民負担が増しておりますので、増税による、負担増による可処分所得の低下が景気によく働くわけはありませんので、現状の中では、一種のわなというか、トラップにはまりつつあるという現状認識を持っております。
そのとき、実は、対GDP比で見た財政赤字の水準というのが、いわゆるサステーナブル、持続可能かどうかの一般的基準とされております。しかし、私は、こういう数字そのものには、余り決定的な意味があるというふうには思っておりません。確かに、水準としては苦しいんですが、実は、こういう状態になると、成長率だとか金利だとか、さまざまな数字を置きかえることによって、結果を幾らでもつくることができます。つまり、サステーナブルであるというふうに結論することもできますし、サステーナブルでないというふうに結論することも可能であります。
私は、問題は、システムそのものがもたなくなっている、つまり、制度の仕組みそのものがもたなくなっているというところに根本的なところがあるだろうと。その特徴を一言で言いますと、私は、粉飾の国家体制というふうに呼んでおります。あるいは、粉飾国家という呼び方をしております。
ややセンセーショナルな言い方になりますが、簡単に定義的な説明をいたしますと、当面当座をもたすために、民間部門であれば、子会社あるいはその先にある関連会社に赤字を飛ばしていく、あるいは不良債権を飛ばしていく、そして当面をもたせる。公共部門であれば、特別会計や特殊法人に赤字をためて、本体の数字の水準をある程度粉飾するということでもたせる体制であります。
これは、高度成長があった時代には、実は有効に機能しておりました。というのは、そういう隠れた部門に非常に不況のときに借金をさせて当面をもたせる、景気がよくなるとその部分を返していくというやり方をやっていけば、民間部門であれ公共部門であれ、本体の経営方針や政策の方針を大きく変更することなく、持続性を保つことができたわけです。
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:2004/07/14(水) 21:36
ところが、九〇年代に入って、バブルがはじけて以降は、この隠れた借金が返せなくなってしまう。返せなくなってしまうと、どんどん隠れたところで借金が累積しますと、損を切ること、株式市場でよく損切りという言葉がありますが、いわゆる損切りをすることができなくなります。なぜかといえば、責任問題が浮上してしまうからであります。
この国の無責任体質というのはそこにありまして、無責任体質があるために、隠れた赤字を表に出せないものですから、ますます隠れて借金をして、当面当座を乗り切る、いつの間にかそれが返せない水準になってしまうと、どこまでも突き進んでいくしかないというのが、実は粉飾国家の現状であろうかと思います。
対GDP比で見た基準よりは、こういう体質を続けていって、どこまでもち得るんだろうか。非常に不謹慎な言い方かもしれませんが、バブルを数回やらないととても返せないような水準、もちろん、バブルをやりましたら、その後はじけますのでよくはならないんですが、実は、そういう水準にまで到達しているということが非常に大きな問題だというふうに私は考えているわけです。
つまり、どこかでリセットボタンを押さないと、先ほどのお話にもありましたように、前向きになれないんです。後ろ向きの処理を、隠しておりますから、ずっと簿外ですね、いわゆる帳簿外、オフバランスのところに引っ張られながら前向きのことができない状態が続いているというのが、私の現状の判断であります。
例えば、銀行の問題を取り上げても、繰り延べ税金資産は目いっぱいに使っております。この状況の中で、不良債権が子会社に飛ばされ、なおかつ、その先の関連会社に飛ばされますと、連結から消えていきます。しかも、この国の場合には、悪いことに、長銀や石川銀行の事例に示されるように、つぶれない限り、こういう不正会計は表に出てきません。ということは、当たり前のことですが、つぶれない限り助かるのであれば、この先にある隠した不良債権や借金を延々と続けて生き延びようとするのは、ある意味で当然のことであります。
例えば、仮に私が銀行の頭取でありましたら、バンザイをして、実はこんなにひどいです、銀行全体を救うためにリセットボタンを押してくださいと言ったら、私はお縄になります、刑事罰を適用されることになります。もし逃げ切って借金を隠したまま逃れれば、元頭取であり、元会長であり、そしてその名誉のもとにたくさんの資産を保全されるわけです。どちらを選ぶかといえば、後者を選ぶのが当然であります。
市場経済は、公正なルールがなければ回りません。残念ながら、この国は、隠れた部分の不良債権や債務というものが膨大に上っておりまして、実は、その部分が国民の前に公に情報開示されていないということが、国民の政策判断を誤らせる最大の問題になっております。
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:2004/07/14(水) 21:36
実は、これは公共部門においても同じ構図が繰り返されているというのが私の判断であります。特殊法人の問題であれ、特別会計の問題であれ、同じような構図が、民間の銀行部門と同じことが行われております。残念ながら、情報開示が行われていないために、特殊法人における不良債権や債務超過の額は、さまざまな推計が行き交っているだけで、正確な数字が本当のところはわかりません。
実際に、債務超過というときにも、あるいは不良債権というときにも、特殊法人の資産評価が非常に難しいという技術的な問題がもちろんあることは言うまでもありませんが、六十兆あるとか百三十兆を超えているというような推計もありますし、債務超過については三十五兆円という星岳雄、土居丈朗らの推計がありますが、実は、これは、政府が利子補給している部分は政策的な経費なんだ、コストなんだという言い方で、もっと小さいんだという言い方がされたり、その推計については、国民の財産が運用されているにもかかわらず、正確な数字が確定されておりません。
個別の問題になりますが、道路公団改革においても、実はこの問題が最大の問題でありました。川本裕子委員は、四公団をサステーナブルにするには八兆円の公的な資金が必要であるというふうに当初明言しておりました。道路公団において、内部告発によって、債務超過があるという数字が出ました。しかし、いつの間にかこの問題は、政府において、この問題が本質的ではなく、総裁の人事の問題であるというふうにすりかえられてしまいました。今はまだ完全な案が確定しておりませんが、保有機構において、大量の借金が、四十兆近い借金が一緒にされております。
実は、アクアラインは七万台以上通らなければ採算がとれなかったのに、実際には一万台超であります。一体、この計画を立てたのはだれであり、それを正当化した学者はだれであり、それを決定した政治家はだれであるのかということの責任が一切問われないまま、一兆円近い道路目的税源が本州四国連絡架橋に投入されているという事態であります。銀行の、前向きでない、まさに後ろ向きな合併と同じことが繰り返されているというのが私の判断であります。
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:2004/07/14(水) 21:37
このままいくと、国鉄清算事業団の二の舞になる可能性がある。あのときも、十六兆円の国民負担が残ることは明示されておりましたが、土地の売却で架空の数字をつくって、バブルの中でそれが挫折をして、そして結果、純債務残高が二十六から二十七兆に上って、結局、処理できないまま特別会計に、表に出すという、これと同じことが繰り返される。
つまり、隠れた借金をつなぎながら粉飾国家を続けていくことで、今の財政体制、当面の数字を賄っていくようなやり方が、成長がある程度とんざした段階で今後も可能かどうかということが実は判断として厳しく問われているというのが、私の主張の基本的な部分であります。
そう考えますと、郵貯民営化が一つの争点になっておりますが、私は極めて奇妙な気がします。特殊法人に大量の不良債権が眠っている状況で、民営化という経営形態だけを変えたところで、実は、大量の不良債権が確定できないまま民間銀行と同じことになってしまう可能性が十分にあるわけですし、大量に特殊法人で運用している年金の問題も同じことになるわけです。
年金の積立金の三分の二は特殊法人で運用されておりますが、少子高齢化や成長率の低下に伴う運用利回りの低下だけではなく、運用先が焦げついているかもしれないという不安は、グリーンピア問題だけにとどまりませんで、実は特殊法人にあります。こういう状態で、国民の財産が運用されている先について明示的な情報の開示がなければ、将来の不安がますます増大することになるのは明白であります。
実は、この特殊法人のあり方は、特別会計においても同じような事態になっております。旧国鉄の問題は先ほど述べましたが、地方交付税特別会計も、現行のシステムを前提にしていると、ことしはついに隠れ借金が五十兆円を超えるという事態であります。
実は、国鉄の債務が問題になったのは、二十六から二十七兆円であります。五十兆という額はとても返済可能な額だとは思えないわけです。国の予算規模が約八十兆円でありますから、この制度そのものがもうもたなくなっているということをはっきり認めないまま、ずるずると責任回避を繰り返していくと、システム全体がもたなくなる、こういう危機を抱えている。
地方分権化が急務なのは、実はシステムがもたないからなのであって、現状の数字のつじつま合わせで何とかなるということでずるずると続けていくことが危険なのだということを示しているわけです。
外国為替資金特別会計でアメリカの双子の赤字を徹底的に支えるというやり方も、当然のことながら、外為特別会計は簿価で明示されておりますので、含み益が大量に含まれております。これを延々と続けていくという体制を示しているんですが、これは特別会計の中でゆとりのあるところを一つ一つ食いつぶしていく。
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:2004/07/14(水) 21:37
実は、特殊法人の中においても同じように、国鉄がだめなら道路関係公団、だめになれば次ということを繰り返して、もたなくなると表に出して税金を投入する、そして民営化をする、こういうことの繰り返しでありまして、構造改革なるものが粉飾国家の責任転嫁の仕組みを支えるものになってしまっているというのが、残念ながら私の現状における判断なわけです。
問題は、それで持続可能であればいい、あるいはそれで当面当座もつような事態であればいいんですが、既にさまざまなひずみが出て、国民に不安を与える状況になっているというのが現状だろうというふうに思います。
一つは、先ほど申し上げたように、年金の問題であります。実は、特殊法人の運用先が焦げついているだけではなく、未積立金というのが現状では約四百五十兆円近くに上りつつある。以前、財源問題で検討されたときは四百兆だったわけです。わずか五年の間に、着実に五十兆円も未積立金が積み上がっている。これは、少子高齢化だけではなく、運用利回りの低下であり、そして見通しの甘さが、だんだんだんだんこの未積立金をさらに大きく伸ばしております。これは失敗でないということであれば、当初からこういうふうに未積立金がどんどん積もることが前提になっているならば、今回のような保険料引き上げや給付の引き下げのような提案をしないで済んだはずであります。
ところが、今回の提案は、三十代、四十代以下の層に猛烈なしわ寄せをする、二〇二二年までに一八・三%まで保険料を引き上げて、給付水準がいつの間にか全体で五〇%ということになります。そういう形を繰り返していきますと、一八%もの企業負担、労使折半ですので、企業も負担をするということになりますと、正規雇用を雇うインセンティブを失います。当然のことながら、通常より二割増しの賃金を払うよりは、できるだけアウトソーシングし、できるだけ不安定就業の人たち、つまり、保険料負担を負わない人たちを雇う方が望ましいからです。
当然、このことを防ぐために、週二十時間以上働く人たちを網にかけましょうという形の提案を政府はしておりますが、実は、これは異様な細切れ労働を進めることになります。あるスーパーマーケットに二十時間勤め、別のコンビニエンスストアに二十時間勤める、二十時間以下はいい。これは法律上違反であっても、各企業がほかにどこで働いているかということをチェックすることは不可能でありますから、知らなかったと言えば済むことでありますから、延々とそういう細切れ労働化が進んでいくわけです。
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:2004/07/14(水) 21:37
将来の世代は、今でもフリーターは二百万人を超え、契約や派遣労働も二百万人を超える状況になっております。公式の統計よりも、実際には、リクルートであるとか幾つかの民間会社がやっている調査はもっとシビアな数字が出ているわけですが、こういう数字を考えていきますと、この人たちが四十になって正規雇用につけるとは、私は到底考えられないわけです。
現状で、この不況の状態でこういうことを続けていきますと、ますます不安定な就業層がふえていって、その人たちが四十になったときに、私たちは、年金を払いもしないし、実は受給者としても資格を持っていない、しかも、不安定な就業層というのを大量に生み出していくということになりかねないわけです。こういう形を避けるには、もはや、積立方式を前提にして責任逃れを続けて、未積立金を膨大に抱えながら、その解消のためにさらに若い世代に負担を押しつけていくというやり方が、サステーナブルでないことはもう明白だと思うんです。
私は、貯金を基本にするような、つまり、保険料を基本にし、いわゆる一人一人が強制貯金であるかのようなそういう考え方ではなくて、世代間扶養を基本にした税方式に転換するべきだろうというふうな意見を持っているわけです。
先ほど、スウェーデン方式の欠点についていろいろ述べられたと思うんですが、拠出税方式という所得に比例する税金に転換し、成長スライド、いわゆる一人当たりの国民所得にスライドし、積立金を取り崩していく。恐らく、それでも未積立金の部分は解消されません。年金課税が必要になったり、あるいは消費税の増税が一部必要になるかもしれません。
しかし、その額を明示し、国民にはっきりと政策の信を問うということが必要な時期に来ていると私は思います。つまり、責任逃れをしながら、いずれ成長があれば解消するという形で次々と隠れた部分に未払いの借金を積み立てていくことは、国民に安心を与えないし、今の不安状況をますますあおることになるだろう。どこかでリセットボタンを押さなければいけないというのが、実は私の考え方であります。
現状の案では、残念ながら夫婦共稼ぎの人たちは一番被害を受けるわけです。若い三十代、四十代で結婚をし、共働きで一生懸命やろうとしている人たちに被害が及ぶ、そういう年金制度の改革は、不安定就業層とともに、ジェンダーの視点からも、世界の動向にも反したものであろうというふうに私は思います。
もう一つ、もう時間がありませんので、地方分権のお話について申し上げます。
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:2004/07/14(水) 21:38
当初八割というふうに言われていましたが、一兆円のカット、地方交付税も二兆円のカット、そして税源が六千八百億円というやり方、しかも補助金は、アンファンデッドマンデートと言われますが、財源なき指令という言い方をされますが、いわゆる法律による縛りがあって、補助金をカットしても各省庁の権限は強く残るような分野に限定されております。
当面当座の数字のつじつまを合わせるために地方にしわ寄せをやっていくというやり方で、今の地域経済の疲弊状況は地域の金融機関にもはね返り、中小企業にもはね返り、そしてシャッター商店街に見られるような、欧米諸国で八〇年代に起きたインナーシティー問題と同じような状況が地域で確実に起きつつある。
そういう状況の中で、いかにして自律的な経済の循環を取り戻すかという観点からいえば、きちんとした財源の移譲、それから地方交付税における借金問題をいかなる意味でストップし、新しい制度において弱小な団体をどのように支援していくかという新しい調整制度をそろそろ構築しなければいけない時期に差しかかっているんではないかというふうに私は思っているわけです。
もう時間がなくなりましたので、最後に私が言いたいことは、数字上の対GDP比より深刻なのは、粉飾国家という仕組みがつくり出した、いわば現状の矛盾の糊塗の仕組みそのものがもたなくなっているのであり、現行のシステムを前提にして、隠れたところで借金を積み増しして当面当座を乗り切るというやり方、あるいは数字のつじつま合わせに終始するというやり方はもはや通用しないだろう、どこかで損を明示し、何よりも、国民の財産が運用されている以上、国民に隠れた部分の借金の情報を開示し、そこで責任を明確にした上で、新たに財政の仕組み、金融の仕組みも含めてリセットボタンを押して日本経済を立て直していく、そういう再出発をするような大胆な改革が今求められているんだろうというのが私の意見でございます。
どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
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:2004/07/14(水) 21:38
○金子公述人 御質問の趣旨を十分に踏まえているかどうかわかりませんが、一つは、なぜ地域のデフレに対して非常に危機感を持つかというと、これは歴史です。
一九三〇年代がそうだったんですが、あらゆる国で、地域が衰退していくと、ちょうど山でいうと、すそ野がどんどん落ち込んでくる。国際的な貿易が非常に縮小していくような局面になったときに、国内需要に頼らなきゃいけないのにもかかわらず、財政で支え切れなくなって縮小していくというプロセスが続いて、非常に大きな困難にぶち当たったという感覚です。
もう一つは、実は一九七〇年代の末から起き始めた欧米諸国におけるインナーシティー問題への連想です。多くの場合、都心が空洞化して移民が集中する、何か不況になると、たちまち移民暴動が発生して社会の治安が悪化するというような事態に直面して、ようやく克服されつつあるんですが、実にその克服に、戦略を立てて二十年かかっているわけです。
例えば、私はイギリスに当時調査に行きましたけれども、一九七六年にインナーシティー問題に関する政府の調査が出て初めてそのことが自覚されて取り組んでいる。ところが、私は、残念ながら、今の状況ではそういう問題そのものが自覚されていない、政治の分野で自覚されていないことに非常に危機感を覚えております。
もう少しはっきり言いますが、歴史的な流れとして起きている地域経済の衰退は、一時的な不況によって起きているんではなくて、町や村の崩壊という現象である。これはちょうど多くの欧米諸国が直面したのと同じ問題に直面しているんだという認識がないことであります。裏返して見ると、地方分権の目的そのものの議論が十分になされていないと私は思います。
つまり、各人が、分権というのはいいものだという旗印に全員が賛成するんですが、目的そのものがしっかり議論されていないので、あるときは中央政府の、国の財政をカットするために、補助金をカットするための分権であるというふうな認識であり、片方は、地域経済そのものをどのように再建するかという観点からの分権論であり、もっと政治学や行政学からいうと、民主主義とか行政上の人々の権限の問題あるいは参加の問題として論じられているだけで、実は目的が明確になっていない。今は地域経済が衰退をしているんではなくて、実は欧米諸国がオイルショック後に直面したのと同じ事態に直面している。この国は幸か不幸か長い間成長を保ってきたので、こういう事態に初めて直面しているので、全くそういう自覚がないことに、私は非常に危機感を覚えているということであります。
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:2004/07/14(水) 21:38
そういうふうに考えますと、ちょっと国会の場にふさわしくないかもしれませんが、よく通称田中政治と言われるような政治があります。これは、実は極めてよくできていました、私は利益政治に対して非常に批判的ですけれども。というのは、経済学のテキストには全く載っていないことですが、不況の時期に公共事業をし、工場を誘致し、そこに道路を通すというやり方は、ちょうど東京から半年、一年おくれで地域に経済が波及するので、実は不思議なビルトインスタビライザーができていたわけです。つまり、東京と地方の景気がずれることによって、非常に安定的に機能しながら、国内市場を広げて安定的に確保するという機能を持っていたんですが、残念ながら、どちらも機能しなくなった。
二つ。一つは、財政赤字で公共事業が十分できない。それから、工場がどんどん中国へ出ていくという形で機能しなくなった。新しい仕組みをつくらなければいけないんですよという、本格的な意味での国の統治の仕組みそのものを経済的な理由から変えていかなきゃいけない、そういう改革の視点が残念ながら政府の案にはなくて、財務省主導の、いわば数字のつじつま合わせとしてのカットが進んでいるために、補助金だけがただ削られていくという非常に奇妙な事態になって、経済のインナーシティー問題はますます深刻になってしまう。
関東周辺でさえ、県庁所在地のシャッター商店街は異様な勢いで広がっていて、町の中心が空洞化しますと、町がどんどんドーナツ化して、一種の活気がなくなってきて、地域経済全体がぐるぐる回っていくということができないんですね。
私は、農水はBSE以降比較的よくやっていると思うんですが、地産地消であるとか、加工に乗り出して付加価値をつけたり、非常に多様な形で地域で回していく。安全な食品をつくって、地産地消ですからコストを高めて、つまり、コストが高い分だけ、その流通コストを下げる分だけでうまくカバーし、近くで消費できるので安心して食べられる。それから、もう農業だけでは食べていけないので、それを加工してどんどん出していく。
実は、農産物は、一方で、アジアにどんどん輸出する状況さえ生まれているわけです。自給率は低下しながら、そういう不思議な、乖離的な状況が生まれているのは、地域で自律的に一生懸命やっているところが点のように生まれている。それをサポートするには、中小企業もそうなんですが、地域でまず自律的な雇用をつくる必要がある。高齢化やあるいは環境にいいような、そういう小さな公共事業を自分たちの参加で、町づくりでやっていく必要がある。
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:2004/07/14(水) 21:39
そういうふうに考えますと、ちょっと国会の場にふさわしくないかもしれませんが、よく通称田中政治と言われるような政治があります。これは、実は極めてよくできていました、私は利益政治に対して非常に批判的ですけれども。というのは、経済学のテキストには全く載っていないことですが、不況の時期に公共事業をし、工場を誘致し、そこに道路を通すというやり方は、ちょうど東京から半年、一年おくれで地域に経済が波及するので、実は不思議なビルトインスタビライザーができていたわけです。つまり、東京と地方の景気がずれることによって、非常に安定的に機能しながら、国内市場を広げて安定的に確保するという機能を持っていたんですが、残念ながら、どちらも機能しなくなった。
二つ。一つは、財政赤字で公共事業が十分できない。それから、工場がどんどん中国へ出ていくという形で機能しなくなった。新しい仕組みをつくらなければいけないんですよという、本格的な意味での国の統治の仕組みそのものを経済的な理由から変えていかなきゃいけない、そういう改革の視点が残念ながら政府の案にはなくて、財務省主導の、いわば数字のつじつま合わせとしてのカットが進んでいるために、補助金だけがただ削られていくという非常に奇妙な事態になって、経済のインナーシティー問題はますます深刻になってしまう。
関東周辺でさえ、県庁所在地のシャッター商店街は異様な勢いで広がっていて、町の中心が空洞化しますと、町がどんどんドーナツ化して、一種の活気がなくなってきて、地域経済全体がぐるぐる回っていくということができないんですね。
私は、農水はBSE以降比較的よくやっていると思うんですが、地産地消であるとか、加工に乗り出して付加価値をつけたり、非常に多様な形で地域で回していく。安全な食品をつくって、地産地消ですからコストを高めて、つまり、コストが高い分だけ、その流通コストを下げる分だけでうまくカバーし、近くで消費できるので安心して食べられる。それから、もう農業だけでは食べていけないので、それを加工してどんどん出していく。
実は、農産物は、一方で、アジアにどんどん輸出する状況さえ生まれているわけです。自給率は低下しながら、そういう不思議な、乖離的な状況が生まれているのは、地域で自律的に一生懸命やっているところが点のように生まれている。それをサポートするには、中小企業もそうなんですが、地域でまず自律的な雇用をつくる必要がある。高齢化やあるいは環境にいいような、そういう小さな公共事業を自分たちの参加で、町づくりでやっていく必要がある。
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:2004/07/14(水) 21:39
つまり、インナーシティーを食いとめるという明確な問題意識のもとに、自分たちが自分たちで決める。大きな公共事業はもう意味がないし、必要もないけれども、公共事業が依然として必要なのは、今ある課題はインナーシティーだからです。そこで底割れしない非貿易財であるような産業において雇用をつくり出す。私は、奇をてらって海外のまねをする必要はなくて、高齢化のニーズに従って徹底したニーズを追求していけば、実は国際的に通用する製品がつくられると考えているわけです、楽天的に見えるかもしれませんが。
例えば、フィンランドのノキアは、明らかに、雪の中で、森林で、人口が希薄であるからこそ、九〇年代の冒頭から多くの人が携帯を使っているわけです。それと同じように、ニーズを徹底的に地域を信じてつくる。そこから立ち上がるような、そういう産業を自分たちでつくっていく。そうすると、実はそんなに大きなお金が要らなくても、徹底した製品がつくられる。
そのために、今まで田中政治が合理的な仕組みとして機能してきましたが、もはや機能しないとすれば、もう一度、新しくそういう産業を起こせるような体制をサポートできるような体制に全体を変えていかなければいけない。それが本当の分権の目的であって、財政のつじつまを合わせるのではなく、今ある現実の問題にもっと対応しながら、しかも、国家戦略というんでしょうか、そういうものにしっかり結びついたような分権の理念が必要だろうというふうに私は思っているわけです。残念ながらそうなっていないために、地方の中山間地はどんどんどんどん衰退して……(発言する者あり)あっ、そうですね。それも私はやっております。
最初にできた竹田市の九重野地区における中山間地を見ていますが、多くの地域を見て回ればわかるように、ぽつぽつと挙家離村をしていくと、水が回らなくなる、それから害虫が発生するという形で、村落そのもの、集落そのものが維持できなくなって、休耕田が年間で十万ヘクタール近く発生するというような状況に何ら終止符が打てていない状況は変わらないわけです。そうなると、もう一度地域自身が立て直せるような形で仕組みを変えていくということが、先ほど述べたような趣旨に当たっているわけです。
そういう意味で、分権の目的そのものから、国会においてきちんと現状を見きわめた議論をしていただきたいということを、私の席から言うのはおかしいですが、お願いしたいというふうに思っています。
どうも、ちょっと長くなりました。
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:2004/07/14(水) 21:39
○金子公述人 年金改革の問題について民主党が一歩踏み出したことは、私は非常に評価しているんですが、残念ながら、もう少し早い時点でその案が実現するならば実現可能であった。しかし、五年ごとの見直しのたびに未積立金が大量に積み立ってしまっている。その時点で基礎年金を消費税に置きかえるだけだと、残念ながら、実はこの未積立金がかえって将来の世代に相当不安を与える原因をつくってしまう。
というのは、現状で年金給付を受けている人たちの給付水準を現実に下げない限り、未積立金はますます積もっている状況ですから、所得比例部分も本当に保障できるかどうか怪しくなってしまっているというのが私の現状認識です。そのくらい深刻に、未積立金が見直しのたびに額が目を見張るように膨らんでいくという不安を覚えています。したがって、その不安は、裏返してみると、今のような政府案でやっていっても、これで終わるのかという不安、多くの若い世代にそういう不安を引き起こしているわけです、終わらないとする。
それから同時に、今までの制度は、一つの職業に継続的についている人ほど有利に働くようになっています。残念ながら、今の年金生活者は、異様に格差が広がっております。大企業に勤めてフルに厚生年金をもらって、企業年金をもらって、個人年金をもらうと、実は一千万円近くもらっている人たちがいます。片方で、国民年金だけだと六十万から八十万、フルに納めない人はもっと低い。無年金者も大量にいるわけです。こういう異様な格差が広がっているわけです。
この格差を放置することはなかなか難しいんですが、実は、既得権益という形で現にもらっている高齢者の人たちの年金給付を切り下げることがなかなかできないので、現実的には若い世代にその負担が全部いってしまいます。若い世代は、残念ながら転職が多くなってくる、やめることが多い、あるいはもともと自営業者であるというような人たちは、フリーターであれ、何であれ、国民年金に加入せざるを得ません。
ところが、そういう人たちは、もう年金制度に対して信頼を失っておりますので、四割近くが納めない状況になっている。そうすると、他の年金からそれを補てんしなければいけない、あるいは税で補てんしなければいけないという悪循環に陥っているわけです。
そういうふうに考えると、未積立金も含めて、現状の中で最もリアルに現状を断ち切って改革できる提案は何だろうか、それから加入者が、とりわけて若い世代も含めて非常に不安を抱くような状態、特定の階層や特定の人たちに不利になるような事態、こういう事態を回避するにはどうしたらいいのか、こういう改革の視点が二番目に必要になってきます。
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つまり、財政パフォーマンスで現実的なものと、同時に現にある問題を解決するという不安をどのように除去していくか、この二つが非常に重要な点だろうと思います。
その意味で、民主党案の中で、前者は余り満たしていないが、後者の点はある程度満たしているという点で評価をしたわけです。つまり、フリーターであれ何であれ、私のように、所得比例税にし、アメリカもそうですが、企業は、ペイロールタックスといいますが、賃金税にする。つまり、正規労働であろうが非正規労働であろうが、企業は、払っている賃金総額に税がかかる、比例税がかかるという形になります。
これは、実は、国際会計基準上のいわゆる年金債務の表示にも全く合致していて、企業にとっては困らない形になります。しかも同時に、企業側から見れば、とりわけて非正規雇用だけを雇うインセンティブは生まれないわけです。
同時に、払っている側からいうと、国で年金が一元化されますから、職業を移動しようが会社を変わろうが、年金はつながっていくことになります。支払い額をベースにしてもらいながら、高齢化のピークにおいてそれがつり合えばいいわけです。そこから逆算すればいい。そのときに、一人当たりの国民所得の増加、つまり現役世代の所得の伸びに応じて、上がれば給付も上がるし、下がれば年金の給付も下がるという形で、財政の入り口と出口を一致させる。
問題は、先ほど申し上げましたように、このようにした場合でも、つまり現役世代、これから払っていく所得比例税は未積立金の分も払っていくわけですね、賦課方式ですので、世代間扶養で。しかし、それでも未積立金はなお残る状況になるんではないか、これは正確に計算しないとわからないんですが。非常に難しいのは、運用利回りの設定であるとか高齢化の比率の設定なんですが、この部分を確定していくことが大事だ。
そうすると、実は、消費税はこの高齢化のピークを乗り切れば、我々の案であれば年金問題は終わるわけです。つまり、払っているものともらうものがつり合う時点で終わるわけですから。その一定の期間だけどれだけ財源が必要なのかを早く明示して、国民に明示的な負担を求めていく。
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そのとき、先ほど申し上げたように、高齢者の負担が非常に重くなるのは避けなければいけないので、年金課税をしっかりして、高額の所得をもらっている人たちからはきちんと税を取る、そういう方式。所得税でしっかり捕捉する必要がある。それでもなお足りない分は幾ら消費税が必要であるかということを早目に確定しないと、現状のままずるずる続けていきますと、また五年後、また十年後、成長率や高齢化の比率の計算が狂うたびに未積立金がまたふえる、計算が狂うたびにまた不安をあおるということになる。つまり、年金の改革について三番目に重要なのは、エンド、ここで終わるんだというはっきりした限度を明確にすることです。
我々の案であれば、高齢化のピークがずれても、ずれた期間だけ増税が必要だということであって、永遠に消費税を引き上げなければいけないということはなくなるわけです。そうすると、実はかなり年金制度は安定してくることになります。
しかし、それでも、現状の年金給付の額より若い世代は多分カーブが寝る形になります。基礎年金ではなく、一元化された年金でミニマム年金は設けますが。そうすると、やはり現物給付、つまり、現金給付で老後を支えるという体制が完全に安心を得られるかどうか。まだ不安が完全に取り除けないとしたならば、基本的には地域を中心にした医療や介護のシステム、地域医療やあるいは地域の介護のシステムというものを、寝たきりにならない、そういう現物給付、医療の供給システムを含めて根本的に立て直していく必要があるんだと思うんです。
残念ながら、介護保険はサステーナブルではないと私は思っています。なぜならば、中山間地で無理やり介護保険をやっていますが、よく私は冗談でこう言います。高齢者を対象にしていくんだけれども、要介護になる人ばかりを集めて保険をつくるというのは、暴走族を集めて自動車保険をつくるようなものだ。つまり、保険はリスクを分散することですから、全国保険でなければいけないわけです。これが地方自治のもとに行われているのは、非常に奇妙です。全国保険プラス地方税による横出しか、完全な税による現物給付を支える地方税の方式か、どちらかしか論理的にはあり得ないはずなのに、この国では極めて奇妙な仕組みがひとり歩きしているということになります。
したがって、現物給付もぜひ、同時に年金問題とあわせて改革を考えていただきたいというふうに思います。
どうも、長引いて済みません。
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○金子公述人 私は、今の時点では、景気の現状の判断というのは、別に予想屋ではありませんですが、非常に恐れているのは、予算をどう組み直すかという当面の問題よりは、私が発想しているのは、今どういうリスクがあるか、それに耐えられるかどうか。
実は、輸出主導の景気回復が波及していないのはなぜかというのを考える。それからもう一つは、この輸出主導の景気ですので、外が悪くなったときにはたちまちつぶれてしまう。この二つのリスクがあります。
外側で見たときには、中国経済はやはりバブルぎみであります。これは判断は難しいですが、このバブルがうまく収束してくれるかはだれも予測できないわけですが、常にそういうリスクはある。それから、アメリカを、膨大な双子の赤字を出してもたせているという体制を、世界じゅうがうまく支え続けられるかどうか、とりわけ大統領選以降、そういう体制がうまく機能するかどうかというのに非常に疑問を持っています。
御指摘の点は、実は、内側に政策として、今までは輸出主導でいったのが中小企業や個人や地域に波及する政策経路があったということなんです。それは、先ほど申し上げたように、田中角栄さんがつくった仕組みは、実は地方へ波及する経路でありました。ところが、それが実は、個人は年金や雇用が不安、あるいは中小企業を支えるような、地方が地域を支えるような枠組みが崩れるということで、なかなか国内に波及していかなくなっている。
したがって、単に予算を組み替えるだけではなく、新しい個人や地域、中小企業に波及するようなメカニズムをどうつくるか、こういう観点が必要なので、予算の重点をそういうふうに置くかどうかではなく、仕組みそのものを変えなければ、もうもたないのではないかというのが私の意見なんですね。その点をちょっと御了解いただければと思います。
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:2004/07/14(水) 21:40
○金子公述人 まず、現状の歳入と歳出、あるいは国債依存度のバランスは、この先、急激に回復するというふうにはとても思えないわけです。
それで、実は二〇一〇年という数字は六年後であります。これはだれもわからなくて、竹中先生が最初に参加した経済戦略会議の最終報告に従えば、二〇〇二年に実は二%の成長が実現しているはずであります。
こういう数字は、いろいろな仮定がたくさんあり過ぎて、実際にどうなるかということについて、確たる答えを、こういうふうに数字が出ているから確実にそうなるというふうには言えない状況が実はここ十年以上ずっと続いているわけで、ほとんど数字としては信用できなくなっているというのが現実です。
私は、当面当座をもたすために、破綻が公にならないように、いろいろなゆとりのあるところで隠して赤字を累積していく仕組みで当面もたせていくやり方は、当面当座はもつけれども後が非常に怖い。つまり、ゼネコンが債権放棄をした結果、最終的につぶれるのと同じように、実は全く反転する契機を失ってしまうということを非常に憂えています。
プライマリーバランスだけが二〇一〇年に本当によくなるかどうかはだれもわかりませんが、私は、もうこういう現状の財政の仕組みそのものがもたない証拠であると。したがって、大胆な分権や年金制度や経済の本体である財政の仕組みから年金は取り外して独立の政府にする、あるいは地方は、地方政府と呼ぶのにふさわしいように、今までの仕組みを根本的に変えて、三つの政府と私たちは言っていますが、そういう体制に変換しないといけない時期に来ている。
私は、そういう意味で、このままの数字はもたない、したがって、仕組みを根本的に変えないといけません、こういうスタンスではっきりしているわけです。
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○金子公述人 雇用問題に関しては、世界的に、企業の収益が上がっても雇用がなかなか回復しない体質というのは、九〇年代以降ますます強まっています。実は、アメリカにおいても同じでありますし、ヨーロッパにおいても非常に似たような傾向になっています。
これは、現状の中で、不況の中で雇用が削減されているだけではなく、私はずっと言っていますけれども、いわゆるキャッシュフロー経営の結果、最も固定費化しやすい労働を流動化させる傾向が非常に強まっている。それに対して、政府は認識が非常に甘いので、ますます年金制度でそういう方向を助長している。
問題は、若年層が、フリーターだとか契約だとか、熟練が蓄積しない領域で雇用される傾向が非常に強くて、失業率が改善されても、ほとんど正規雇用はふえずに、非正規雇用ばかりがふえるという傾向をこのまま助長していきますと、四十になったり五十になったりしたときに、個人が何か転職をしたり何か安定的な職についていくという仕組みがこの国から消えていってしまうことが非常に大きい。そのときには生活保護に依存して生きていくような人たちが大量に出てくる。
私はそのことを非常に心配していて、当面当座、そんなに公共事業で雇用をふやすということがもう有効性がなくなる、あるいは財政赤字でできなくなってきている中で、年金を一元化するだけではなく、ジョブキャリアをきちんと積み立てていったり、先ほどからも出てきましたけれども、教育制度で、大学でもう一回再キャリアを積んでもまた再就職できるような、労働市場のルールというものをその上に積み上げていくような形にして、一人一人の若者が、自分がどういう仕事をしたり、どういうキャリアを身につければ安定的な職あるいは自分の目指すものにつけるのかという目安になるルールをつくっていくことが非常に重要になっている。そうしないと、個人は努力しても常に臨時雇用しかないという状況であれば、若い人のモラールも低下しますし、活力も低下する。そういう単なる雇用の数だけではない、もっと深い問題が今若い人の雇用問題になっているのではないかというのが私の認識であります。
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>>2-19
小熊英二
>>21-37
金子勝
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:2004/07/16(金) 23:18
143-参-法務委員会-3号 平成10年09月22日
○中村敦夫君 まず最初に、統一協会の教祖文鮮明の入国と、それから国会議員に対する統一協会からの秘書の派遣の問題についてお尋ねします。
統一協会は宗教の名をかりてさまざまな反社会的な行動をとっている団体でございますけれども、特に青年たちあるいは主婦層をターゲットに、大変システマチックな心の操縦法というものをうまく使いまして、いわゆるマインドコントロールをしていく。
最初は正体を隠してさまざまな形で勧誘をやるわけですね。例えば、この前の新潟の花火大会なんかにも出かけてきて、あめを配りながらビラをまいて、遊びに来いというような形でそこから連れ込んで、ビデオを見せたりいろいろなサービスを与えて引き込んでいくわけですが、次第に今までの考え方を否定していく、常識というものを全部壊していく。だんだん自信がなくなって心が真っ白になっていく。その段階で教義のようなものをがんがんと注入していくわけです。そしてある段階まで来ると、これを集団的に隔離して、完全にもう自分の判断で物を考えることができないような、そういう頭の構造につくり変えてしまう。そして外界の情報を完全に遮断して、それから珍味売りだとか、知られている霊感商法だとか、こうしたことに無賃労働者として使っていく、こういうことをやっております。
この結果、子供たちがそういう団体にとられて本当に苦しんでいる家族というのがもう何千とあるわけで、長い長い間これが続いてきたわけです。こんな団体がぬけぬけと放置されているという事態そのものが私は大変おかしいと思っております。
そして、この教祖である文鮮明という男も、経歴を見ると、もうスキャンダラスチックな行動で埋められているような人物です。最初はピョンヤンの方から布教を始めていくわけですけれども、その教会でセックスを媒体とした非常にいかがわしい布教を始めて、二度も逮捕されているわけです。一九四六年、四八年、風紀紊乱罪とか二重結婚とかいかがわしい容疑で逮捕されていると。これは教義そのものも非常にセックスに絡んだ、そうしたおかしな教義なんです。
この件に関しては後にアメリカでもいろいろな問題を起こして、アメリカの議会ではフレーザー委員会というのが開かれまして、一九七六年に、これはもうキリスト教のセックス風解釈をした珍妙なものだというふうに断定されたというのがこの本質でございます。
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:2004/07/16(金) 23:19
さて、ピョンヤンで捕まっていましたが、朝鮮動乱のときに、どさくさに紛れてこの文鮮明という男は脱獄して韓国に移りまして、そこから反共活動を始めて勢力を拡大する。そして日本にやってきて大変な力を持つわけです。統一協会の利益というのは、八割はもう日本の霊感商法から上がってくるというようなことなんです。しかし、その後アメリカへ移るわけですけれども、一九八四年にも脱税容疑で捕まって、一年六カ月刑務所に入れられるという経過があります。
ところが、この男が平成四年三月二十五日から四月一日まで日本に滞在していたわけですね。これは入管法五条というものを見ますと、本来的にこうした人物は入国できないはずになっておるわけです。これは、平成十年四月二十八日の衆議院の法務委員会でも入国管理局長がそのとおりだということを言っているわけですけれども、なぜ入れたかといいますと、入管法の十二条の方で、特別の事情があって法務大臣が認めた場合は入れるということになっておるわけですけれども、その理由が、刑確定後七年が超過しているということが一つありますが、何年超過していようとこんなものは特別な事情にならないと私は思っているんです。
それで、もう一つの理由は、北東アジアの平和を考える国会議員の会という妙なものが突如でき上がっていまして、この招待でもって入るという形になりました。この会はほとんど幽霊団体という感じでして、大体その当時の前参議院議員が一人、そして当時の現役の衆議院議員が五人ですか、六人ででっち上げたような会でして、大体、統一協会から秘書を派遣してもらったり、献金をいっぱいもらったりしている連中の名前が並んでおります。こんなふうにして入ってきたということです。
法務省にちょっとお尋ねしたいが、これはなぜ十二条が適用されるほど特別な事情なのかということをお答えいただきたいんです。
○中村敦夫君 私は、特別な事情があるとはとても思えない、というか、とんでもない事情だと思っていますが、こうした文鮮明のケースは、今後、入管法の十二条の前例になってしまうんですか。
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:2004/07/16(金) 23:19
○中村敦夫君 来年二月三日あるいは三月三日、統一協会がまた日本で合同結婚式をやる準備をしております。後楽園ドームを使うというような計画になっておりますけれども、これは霊感商法が大分だめになってきて、またバブルの崩壊もありまして、大分赤字になってきた。無理やり知らない人間をくっつけて合同結婚式をやって、そこから参加者に大変高い会費を払わせてつないでいくというのが現状なんですけれども、それに文鮮明が来たがっている、その入国の準備をしているという動きがあるわけですけれども、そのことを法務省はつかんでいるのか。そして、入国要請が来たらまた十二条を適用するのか、特別な事情は何なのかということをお聞かせいただきたいんです。
○中村敦夫君 数はわからないということですか。それは大変困ったことなんですね。これは我々だってわかっているのに、公安調査庁がこれをつかんでいないということは大変危険なことではないかと思います。
といいますのは、冷戦後、文鮮明は反共というのを取りやめて急速北朝鮮に近づいていくわけです。金日成主席に大金を提供したり、あるいは事業の共同経営を持ちかけたり、そういうことを積極的に開始したわけです。ポトンガンホテルを買い取るとか、それから観光開発を積極的にやるとか、日本人妻の帰国連動なんかも統一協会が一番しんになってやっているわけであって、非常に政治的な動きをするという団体であります。これは、今の日本と北朝鮮の非常に複雑な危険性を伴った緊張のある関係の中で大変危険な、公安の問題ではないかと思うんですけれども、そういう意識は公安調査庁はお持ちではないんでしょうか。
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>>39-41
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:2004/07/16(金) 23:20
123-参-予算委員会-13号 平成04年04月08日
○佐藤三吾君 この問題についてはまだ彼ほど回答をひとつ、あと六分しかございませんからよろしくお願いします。
そこでもう一つ法務省にお聞きしておきたいと思いますが、統一協会の教祖である文鮮明氏が三月二十六日に入国して四月一日に出国をしております。これは、入管法第五条の四号からいっても違反行為であると私は思うんですが、特別許可を与えたということは一体どういう理由なのか、だれが与えたのか。
○国務大臣(田原隆君) お答えします。
文鮮明氏がこちらに来ることにつきまして特別許可を与えたのは法務大臣でありますが、その理由は、まず文鮮明氏はアメリカで所得税法違反で一年以上の刑に処せられたことがありますので、これがもし上陸拒否をするとすればその事由に該当するわけでありますが、そういう場合でも特例をもって入国を許可できるという規定があります。その理由につきましては、一年以上の刑に処せられた外国人でありますけれども、入国目的が、その招聴者がいわゆる国会議員でありまして、北東アジアの平和のあり方を考える会というメンバーでございます。そして布教活動はしないということ等の条件をつけて、平和を語る会そのものが意義ある会と判断して許可したものでありますが、何分にも所得税法違反がありましてから既に七年たっておるし、しかも一週間程度の短期滞在でありますし、布教活動をしないという誓約書が入っている以上、過去の例から見ましても一年以上の刑に処せられた者で入国を許可した例が多数ございますので許可したわけでございます。
○佐藤三吾君 この統一協会は、もう言うまでもないように、霊感商法や違法な勧誘、集団結婚、インチキ募金、こういった反社会的な犯罪行為を行っておる。いまだに息子や嫁が行方不明、親泣かせの原理運動とも言われておるわけです。この張本人を法を犯して特別許可を与えるということは、今言った三つの理由だけでは私は納得できない。法務省の認識を聞きたい。
○国務大臣(田原隆君) 我が国の相当数の国会議員の要請であり、その内容が平和を語るというものであり、しか毛布教活動等は一切しないという誓約書が入っておるわけでありますから、私は特別許可に値してもおかしくないと判断したわけであります。
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○佐藤三吾君 あなた、相当多数と言うけれども、一体何名のことを相当多数と言っているのか。北東アジアの平和を考える国会議員、これは加藤さんが中心のようでございますが、世話人のようですが、この方々と会ったのは一時間か二時間の講演だけと私は聞いておる。そのほかにこの四日間で何をしたのか。滞在中の行動、特にどういう方々と会ったのか。金丸さんについては新聞に出ておりましたが、それ以外どうですか。
○国務大臣(田原隆君) お答えします。
三月二十六日に成田に着きましてから以降、北東アジアの会と会談したのが三十日でありますが、それまでの三日は東京教会、名古屋教会、大阪教会を訪問しておりますが、布教活動はいたしておりません。そして、その後三十一日に中曽根元総理、金丸副総裁とそれぞれ別個に会っております。
○佐藤三吾君 問題は、金丸、中曽根さんに会わせるために北東アジアの平和を考える国会議員の会の皆さんが動いた、これが正直なところだと私は思うんです。三十日、同じ国会の中で、原理運動被害者父母の会、霊感商法被害者救済弁護士連絡会、日本基督教団全国連絡会、こういう皆さんが抗議集会を開かれておる。同時に外務省、法務省に対して抗議と公開質問状を申し入れておる。これについて両大臣承知しておりますか。どう答えますか。
○国務大臣(田原隆君) 抗議等についてはよく存じませんが、政府委員に答弁させます。
○政府委員(高橋雅二君) 今の件につきまして、全国霊感商法対策弁連という代表の方々から公開質問状を受けたことは事実でございます。
○佐藤三吾君 外務省はどうですか。
○政府委員(荒義尚君) お答え申し上げます。
三月三十日に佐藤敬治衆議院議員の方に引率されました全国原理運動被害者父母の会会長本間てる子女史その他の方々が当省に参りまして、抗議文を我々に手交しております。
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○佐藤三吾君 お会いしたことはわかりましたが、それにどういう努力をしておるのか、被害者の皆さんに。法務省として、外務省として、具体的にあるんじゃないですか。いかがですか。
○国務大臣(田原隆君) ちょっと御質問の意味がよくわかりませんでした。
○佐藤三吾君 被害者の皆さんが申し入れをしておるわけです、救済を含めて。これについてはどういうふうに対応しておるんですかと聞いておる。
○政府委員(高橋雅二君) お答えいたします。
統一協会は、世界基督教統一神霊協会という宗教団体で、過去に新聞等において合同結婚とか今先生おっしゃられました霊感商法等の問題が報道されたことがあり、全国原理運動被害者父母の会というものが存在しておることは承知しておりますが、今回は、入国目的が、先ほど大臣からお答え申しましたように、今後の朝鮮半島及び北東アジアの平和のあり方について意見を交換するということでございましたので、これは入管法の規定に基づきまして大臣の特別の上陸許可を与えたものでございます。
○政府委員(荒義尚君) お答え申し上げます。
先ほどの抗議の際に、このような入国を取り消せという抗議でございました。それに対しまして私どもの方から、文鮮明の入国目的が、再三お話しのように、朝鮮半島を含む北東アジアの平和のあり方についての国会議員の方との意見交換ということですので、我々外務省としましては外交上特に問題ないという御説明をいたしまして、それに対して特にその後のやりとりはございませんでした。
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:2004/07/16(金) 23:21
○佐藤三吾君 これは法務大臣、あなたがある意味では指揮権を発動したようなものだ、特別許可を与えたんだから。しかし、被害者の皆さんから見ると、これはたまりませんよ。もっとやっぱり被害者の身になってひとつきちっとした処理をすべきだと思うんです。いかがですか。
○国務大臣(田原隆君) 国際平和が今一番、特に朝鮮半島の平和というのは重要な問題でございますので、そちらに注目して特別の許可を与えたわけでありますが、先ほどのおっしゃるような文書等が来ておるということも承知しておりますが、政府委員からお話ししたとおりであります。
そこで、平和を優先して、相当の国際平和に貢献すると判断して許可したわけでありますが、今後なおそういう抗議の趣旨などを深く胸に刻み込んでまいりたいと思います。
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>>43-46
123-参-予算委員会-13号 平成04年04月08日
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132-参-法務委員会-7号 平成07年03月17日
○翫正敏君 翫正敏です。
最近、とかく厳しい批判が出ております法務省の入国管理行政について質問します。
私が問題にしたいのは、統一協会の文鮮明教祖の以前入国を許可した問題についてお尋ねしたいのでありますが、その前に、彼らが霊感商法ということで法外な値段でつぼなどを売りつける商法を行っているこの問題について法務大臣の所見を、どう思われるかお聞きします。私はこれは刑法の第二百四十六条の詐欺罪に相当するというふうに考えているんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(前田勲男君) 犯罪の成否につきましては、捜査機関が法の定めるところに従って収集した証拠に基づいて個別的に判断すべき事項でございますので、お尋ねの点につきましては申し上げかねる状況にございます。
○翫正敏君 霊感商法と文鮮明教祖の統一協会との関係については、これは切っても切れない深い関係があるということは明らかでありまして、昨年、一九九四年六月二十三日付の質問主意書が提出されておりますが、それで五月二十七日に福団地裁で、統一協会の霊感商法に対する損害賠償請求訴訟で原告の主張どおり統一協会の関与と賠償責任を認め、三千七百六十万円の支払いを命じる判決が出たということが質問主意書で指摘されているのに対して、政府は「承知している。」という答弁をしておりますから、深いつながりがあって切っても切れないものであるという認識は持っておられる、こういう理解でよろしいんですね。
○政府委員(則定衛君) 何といいましょうか、全体を把握しているわけではございませんけれども、一部においてそういう関連があるということは承知しております。
○翫正敏君 そこで、その統一協会の文鮮明教祖が一九九二年、平成四年に日本の国に人国が認められたわけでありますが、彼が米国で脱税で一年六カ月の有罪判決を受けている人物であるにもかかわらず法務省は入国を認めました。
さて、このときの招待をしたのが北東アジアの平和を考える国会議員の会という会なんですけれども、この会はどういう会なのか、わかっていると思いますので説明してください。
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:2004/07/16(金) 23:23
○政府委員(塚田千裕君) 入国許可申請を検討するに当たって必要な資料ということで招聘したグループの資料がございますけれども、それによりますれば、加藤武徳参議院議員を初めとする当時の目的民主党の国会議員の有志の会であると理解しております。
○翫正敏君 このとき、入国をしまして三月三十日にこの国会議員の会のメンバーを前に講演をしているということでありますが、実際この会において招待した国会議員は出席しているんでしょうか。それから、北東アジアの平和について文鮮明教祖は何らかの役に立つような提言をしておるんでしょうか。
○政府委員(塚田千裕君) 同氏の滞日中の日程は私どもも事前に基本のところは承知しておりましたけれども、基本的には滞在中に宗教活動だとか問題のあるような活動をしていただいては困ると、しかしそれ以外の活動につきましては、ごく短期だということもございまして、一々細かなプログラムについてまでは私ども承知しておりません。
○翫正敏君 短期だから入国を許可したということよりも、やはりこの北東アジアの国会議員の会というところが、国会議員の会が招待をしたから入国を認めだということが大きいと思うので、それは当時の、平成四年ですね、参議院の方でこの問題が議論になりましたときにも、田原国務大臣が答弁しておりますから明らかだと思うので、三月二十六日に成田に着いてから北東アジアの会と会談したのが三十日であるというふうにちゃんと出ているんです。
だから、当時の法務省という、今も法務省は一緒ですから、大臣はかわっていても、はっきりつかんでいたと。どういう活動をして、国会議員とはどういう会談をしたのかというのはわかっていたと思うので、どういう国会議員がここに出席されてどういう積極的な活動があったのかということはわかっているのではないですか。
○政府委員(塚田千裕君) 先ほども申し上げましたとおり、滞日中のプログラムの大枠、何日にどこにおいでになるとか、そのたぐいのことは承知しておりますが、個々の会合でどんな話をしたとか、そういうようなことまでは私ども承知していないので先ほどのようなお答えを申し上げた次第でございます。
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:2004/07/16(金) 23:23
○翫正敏君 国会議員が招待したので、「日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、一年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者。」である統一協会の文鮮明教祖が入国を許可されたわけです。そして、この統一協会というのは、我が国の国内、外国においてもそうでしょうけれども、殊に我が国の国内においては霊感商法なるこの商法によって社会的に極めて有害な活動をしている、裁判においてもそれは賠償命令まで下されている、そういう一連の流れがあるわけです。もちろん、裁判で判決が出たのはこの入国を認めた後ですけれども、だから、その前後という問題では入国を認めた方が先なんですけれども、判決が出たのは役なんですが、ともかく密接な関係があるそういう霊感商法の統一協会の教祖の入国を当時認めて、日本で平和だアジアだとかというようなそういう活動をさせたということは、これは私は入管の行政として正しくなかったというふうに思うんですが、大臣、そういうふうに思いませんか正しかったと思いますか。
○国務大臣(前田勲男君) 大変難しい問題をお聞きいただいておりますが、平成四年三月に文鮮明氏に上陸許可したことについては、同人が過去アメリカにおいて所得税法違反で一年を超える刑に処せられていることにより上陸拒否事由に該当するということでございますが、同刑確定役既に当時、七年余りが経過をいたしておりましたことから、またその入国する目的が、今後の朝鮮半島及び北東アジアの平和のあり方についての我が国の北東アジアの平和を考える国会議員の会のメンバーとの意見交換にあるとしたことを考慮してその上陸を許可したものでございまして、当時その判断は間違いなかったものと考えております。
○翫正敏君 私も招待をしたり細分議員になったりして何人もの外国人の人を日本に招いておりますが、非常に入管行政においてチェックされて人国を認められない場合が多いんです。難しいと思うから相談に来るのかもしれませんから、そこはちょっとともかくとして、なかなか認められない場合が多いんです。ところが、明々白々に拒否事由に当たる人が国会議員の細分で簡単に入国できている。そして、その人は単に外国において罪を犯したということの上陸拒否事由だけではなくて、社会的に考えるならば、日本の国内でゆゆしき批判を受けている霊感商法なるものの教祖なんです。それを指導している人であることは明らかなんです。そういう人の人国を認めたということは私は間違いだと思います。
それは一体、国会議員はだれが責任を持って招待したんですか、だれがしたんですか。
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:2004/07/16(金) 23:23
○政府委員(塚田千裕君) 冒頭で申し上げましたとおり、当時、北東アジアの平和のあり方を考える会というものがございまして、その会の名前で招聘状が出ているということで、それ以外、もろもろの入管法上の要件、要素は先ほど大臣の御答弁にございましたとおりでございますが、総合的に判断して短期間の入国を許可したということでございます。
○翫正敏君 国会議員ないし国会議員団をそういうふうにでっち上げのようにつくって、そしていろいろ当時の資料を調べてみますと、その会のメンバーの人なんかもアンケートに答えて、新聞の取材なんかに答えて、知らないと、私はそんな会に入っていたことも知らなかったとか、招待したことも知らなかったとかいう回答しているという記事がいろいろ当時載っているんです。そうしますと、やはり一人がこく一部の、新聞にはその人の名前も載っていますけれども、この名前を挙げるとちょっとぐあい悪いと思いますから挙げませんが、そのごく一部ないし一人の人が招待をした、その人が非常に政治力のある政治家であった、したがって人国を認められた。
翫正敏なんかが幾ら入国の紹介をしても、こんなひどい、悪いことをしていない人でも、ごくちょっと法律違反をしているというだけでもはっぱっとはねられるという、こういう入管行政のあり方と比較して、それでは非常におかしいということを指摘しているんでありますから、その辺と
の問題で大臣、もう一度、当時それから今日、国会議員が紹介をすれば全部そういうものはパスパスというふうにいくんだということなら、またそれはそれで、いい悪いはともかくとして、一つの行政のあり方かもしれませんが、そうじゃないわけですよ。それはどうですか。
○国務大臣(前田勲男君) 入管法の十二条一項で、第五条一項第四号に定める上陸拒否事由に該当する者でありましても、法務大臣は特別に上陸を許可すべき事由があると認めるときは、その者の上陸を特別に許可することができるものとされております。
一般的には、犯罪及び刑の内容、犯罪後の経過年数、その間における本人の行状、また入国目的等を総合的かつ慎重に勘案して判断することといたしておりまして、当時の法務大臣が判断を適切にされたものと私は確信をいたしております。
したがって、国会議員からの招請だからといってその上陸を特別に許可するというものではないと、こう理解はいたしております。
52
:
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:2004/07/16(金) 23:24
>>48-51
132-参-法務委員会-7号 平成07年03月17日
53
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:2004/07/16(金) 23:25
134-参-宗教法人等に関する特別…-8号 平成07年12月04日
○参考人(山口廣君) 山口でございます。
私は、現在審議されております改正案、ぜひとも実現していただきたいという熱い気持ちでおります。よろしくお願いいたします。
私自身は、全国霊感商法対策弁護士連絡会という全国の三百名で形成されております弁護士とともに、霊感商法の被害者の救済と根絶にこの九年間ほどかかわってまいりました。文字どおり超党派で、政治とは関係のない弁護士の団体です。
私ども、九年間で一万六千人余の市民から被害相談を受け、被害合計額は何と六百三十億円に達しております。そのデータの詳細はきょうお配りさせていただきました資料2をぜひごらんいただきまして、深刻な実情をごらんいただきたいと思います。
私が最も許せないのは、先祖を考え、自分の将来を考え、幸せになりたいという熱い気持ちのあるまじめな方々がひっかかっている、このことがどうしても許せないのであります。
手口についてはもう既に広く報道されておりますが、簡単に言わせていただきますと、まず戸別訪問で印鑑や数珠を売りつけます。これが四十万円です。そしてその後、霊場に連れていって大理石のつぼや多宝塔を売りつけます。その後、もう一回霊場に連れていって一本八万円のニンジン液を、先日相談者は五百本、つまり四千万円買わされておりました。あり金すべてを何回もそこに連れていってはたき出させる、このマニュアルが高度にでき上がっているのであります。
広く報道されるようになってからは、さすがにつぼ、多宝塔はなくなりましたけれども、今でも街頭で声をかけて数珠や印鑑を売りつけ、その後、韓国のメーカーでつくっているものですからさばかなきゃいけない、教団でさばかなきゃいけないので、これをノルマ化して信者に買わせ、また市民に売りつけている。この手口は今も続いているということをぜひ御認識していただきたいと思います。決して過去の問題ではございません。
私自身も、この八年間余にわたって四百人以上の統一教会の元信者、あるいは霊感商法の元被害者に話を聞いてまいりました。この九年間、さまざま私は考えさせていただきましたし、宗教についての認識も改まったと認識をしておりますが、その中でぜひきょう申し上げたいのは三点ございます。
54
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:2004/07/16(金) 23:26
第一に宗教の重要さであります。言うまでもないことですが、改めて申し上げさせていただきたいのは、今、特に若者やそれから私ども団塊の世代の特に女性、それから高齢者に宗教に対するニーズといいますか、熱いものがあるということを御認識いただきたいと思います。まじめであればあるほどそうです。
現代の若者が、例えば大学生が何を人生にかけるのか、それを見出すのはなかなか難しい御時世だと思います。そんなときに、特に宗教、生きる教祖を中心に内閉的、独特な別世界、別共同体を形成しているカルト的な教団は、簡単に、何のために生きるのか、人生の目的は何なのかということを非常にわかりやすく答えを出してくれる。若者を引きつけます。
団塊の世代の主婦は、夫が仕事にスポイルされ、子供は学校でそれなりの世界を形成し始めますので、自分が必要とされているという実感、つまり妻として母として必要とされているという実感を喪失しておる人もかなり多いと思います。そんな心の空洞に、宗教はこの空洞をいやしてくれると思います。
また、私ども団塊の世代が六十歳になる二十一世紀初頭には、体は丈夫だけれども企業は厄介者にするという行き場のない高齢者がたくさん生み出されるはずです。その我々にとっても宗教というのは切実な、重要な問題になると思います。
二番目に強調したいのは、破壊的カルトと言われる教団のマインドコントロールの恐怖です。
私自身、教団の財政のために売春をさせる教団の相談を受けたことがございます。教団のために売春をする、これは決して単純に指示されてやったわけじゃないんです。一年間にわたって教育を受けるわけです。女性はだれのためにあるのか、あなたは何のために生きるのか、神は何を望んでいるのか、女性の体は神様のものですよ、それを神のために使うことの意味は何なんですかよく考えてごらんと。一年かけて外部の情報を遮断した中で教理とその実践の意味を教え込んでいきますと、真面目な女性がみずから体を売ってお金をつくることが正しいことだと思うようになるんです。サリンをまいて人を殺すことを正しいと思うに至る過程と同じです。人をだまして教祖のためにお金を巻き上げることが正しいことになる。その人の救いになると感じるようになるのと同じなんです。
55
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:2004/07/16(金) 23:26
私自身、統一教会の信者から言われました。教祖の文鮮明氏が、山口を殺してこい、その方があいつが霊界で救われることになるんだともし言ったならば、私は恐らくやったでしょうと、そういう信者から何人も話を聞きました。彼らにとっては、サリンで人を殺す、あるいは坂本弁護士一家を拉致して殺す、決して奇想天外な話じゃないんです。マインドコントロールされている教祖から指示されればやります、あるいはやりかねないという、そういうマインドコントロールの恐ろしさ。私自身は、マインドコントロールというよりもマインドオールタネーション、つまり心の入れかえ、あるいは心を交代させる、それを強制するというそういう手口、テクニックだと思いますが、これが一定の目的になされた場合には、かなりの恐ろしいことが可能になるし、またそういう恐ろしさを秘めたカルト集団が若者を引きつけているという実情をぜひ御認識いただきたいと思います。
第三に、宗教行政の問題点です。
八七年に私ども霊感商法の問題を始めまして、それに対抗するべく統一教会は霊石愛好会という別働隊をつくって私どもを批判し始めました。そ
してその後、八八年の二月ごろから天地正教というダミー組織をつくりまして、そこで被害者をまたつくり始めました。
北海道庁が認証したばかりの団体だったものですから、私どもは北海道庁に赴きまして、認証を取り消すべきだ、あれはダミー団体で被害者がたくさん出ていますよ、問題じゃないですかということを言ったんですが、北海道庁の担当者は、一たん認証した以上どうしようもない、認証取り消しの事例はないんですということを言われました。私どもまた宗務課に何回も赴いて会って、霊感商法の問題を何とかしていただきたいということについても申し入れてきたんですが、実効性あることは全くしていただいておりません。
また、私どもの相談窓口には、霊感商法の問題だけではなくて、ほかの教団の問題も多数持ち込まれます。ほかに相談の窓口がないんです。したがいまして、先生のところでこの問題をぜひ扱っていただきたいというほかの教団の問題もたくさん参ります。その一部の資料をきょうの資料の第九の中で配付させていただいておりますので、後ほどごらんいただきたいと思います。
つまり、祈祷料とかその他いろいろな名目で市民が被害に遭って私どもに相談に来ておりますし、またうちの子供、うちの女房が急に人が変わったようになってしまった、いなくなっちゃった、どうしたらいいんだろうという大変深刻な相談がたくさん参ります。
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:2004/07/16(金) 23:26
また、そういう中で、海外で問題になっている、刑事摘発を受けているとか、あるいは税務上宗教法人と認められていないそういう宗教団体が日本に入り込んできて、そして若者を引きつけているという問題もわかってまいりましたし、オウム真理教の問題も出てきました。
そこで、私自身宗務課の方に会って、そういう実態は御存じですか、こういう団体がありますけれども、こういうことをやっているけれども御存じですかということを申し上げました。そうしたら知らないと言っていました。知らないなら、まず何をすべきかを検討する前に、調査してください、そのことぐらいはしていいでしょうということを申し上げたんですが、そういう権限はないんですということをお話しになりました。
今でも私は明確に覚えているんですが、その方がこうおっしゃったんです。戦前の反省に立って、戦後の宗教行政というのは何もしないことが宗教行政なんだと、こういうふうにはっきり言われました。私自身はもうどうにもならないなとそのとき思ったわけですけれども、あのときあるいはこれまで少しでも調査していただいていれば、あのサリン事件は防げたのではないかと、今でも私は残念でしょうがありません。
また、国民生活センターや消費者センターにも少なからずこの宗教絡みの相談が来ているはずです。しかしながら、これまで私自身、都道府県の宗教担当の方と、あるいは文部省宗務課の方と国民生活センターや宗教の所轄の担当者が情報交換している、一緒に活動しているということを聞いたことがない。もう少し連携して何とかやっていただけないだろうかと思うんです。
宗教へのニーズは高いものがあります。破壊的カルトであるほど勧誘や資金集めに熱心です。そこでは、教団は特定のねらいで市民に近づいて心を変え、そしてその特殊なテクニックが使われます。それをチェックするシステムが全くないのが実情なんです。これではオウム真理教のごとき事態が私は必ず再発すると思います。
法律を改正しなくても、当局や弁護士が努力すれば現行法で十分対処できるはずだということを言う方がいます。確かに、私自身、行政や司法当局、もう少しやっていただければ防げたのではないかという気はいたしますが、しかしながら、この種の事件の行政や司法のチェックは現行法上非常に難しいと思います。ブラックボックスになっている宗教法人の財政とか運営を現行法上外部の者がどうやってチェックできるのか、実際問題わからないんです。
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:2004/07/16(金) 23:26
霊視商法主言われる統一教会の霊感商法をもっと露骨にして仏教的粉飾を凝らした宗教法人の組織的資金集め問題も、数年前から私どもの窓口にもたくさん来ておりました。ある県警でこれを摘発しようということで周到な捜査がなされたんですが、私の聞く限りでは、検察庁の担当者が宗教にはある程度のおどしはっきものだという判断でこの摘発を断念したというふうに聞いております。幸い、ようやくことしの十一月になって愛知県警が摘発していただきまして、詐欺罪で公訴提起されておりますけれども、私は遅きに失したと。しかしながら、検察官がそうおっしゃったのもよくわかるし、警察の苦労も本当によくわかるつもりでおります。
もちろん、霊視商法についても弁護団が編成されまして、二百五十三名の被害者について五億五千万を回復する勝利的和解をから取っておりますが、それでもこの手口は、この宗教法人は東京からさらに関西に、そして九州にまで手を広げて、被害の拡大をこれまでしておりました。
しかし、宗教絡みの詐欺、恐喝事件の摘発というのは大変難しいものがあります。例えば、オウム真理教の件で警察が三月に上九一色村のサティアンに強制捜査に入りました。このときに、信者たちがスピーカーで無間地獄に落ちると警察官をののしっていたのを御存じだと思います。我々から見れば、あるいはお巡りさんから見れば何を寝ぼけたことを言っているのかということだったと思いますが、しかしオウムの信者にとっては、無間地獄に落ちるということは死ぬよりも怖いことなんです。永遠に続く霊界の地獄で永遠に責めさいなまれ続ける、その姿が彼らにとってはリアルに思い浮かべられるんです。大変な脅迫文言です。しかし、私どもにはそれは理解できない。
統一教会の霊感商法でも同じです。例えばこう言います。あなたの御主人の今、奥さん、子供さんの健康とあなたが親から相続した財産とどっちが大事なんですか。このままでは霊界からあなたに救いを求めているお母さんが救われませんよ。あなたの娘さんは、あなたの七倍の重荷を背負ってこれからあなたと同じ不幸な運命をたどることになるんですよと。こういうことを、めったに会えない偉い霊能師と信じている、信じさせられている方からじっと目を見詰められて、閉ざされた場所で長時間説得されるわけです。
しかも被害者は、数カ月かけて家系図をとられて、生い立ちから今に至るまでのプライバシーをすべて聞き出されています。霊界が実際に存在していることとか、先祖の罪の因縁とかあるいは殺傷因縁、そして色情の因縁があるんだということを吹き込まれているんです。その上、横に付き添った方が頑張って頑張ってよ、あなた、よかったわね、救いになるわよと励ますものですから、なかなか否定できない。このような特殊な状況をマニュアルに沿って意図的に設定されているわけです。その中でやはり言われると、これはやっぱりその被害者にとっては恐怖なわけです。
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:2004/07/16(金) 23:27
しかしながら、これを宗教に縁のないお巡りさんに理解していただくことはなかなか難しい。さらにお巡りさんは、警察官は、検事も説得しなきゃいけませんし、裁判官を納得させる資料も集めなきゃいけない。そうなると、なかなか難しいというのが実情です。このようなオウム真理教や霊感商法、霊視商法の手口を不法行為として断罪するというのはなかなか難しいところがあるということをぜひ御認識いただきたいと思います。
特に、宗教法人は公益法人として税務上の特典を与えられておりますので、私は、今回の改正である程度の経理を所轄庁に報告する、あるいは信者に開示するということは最低限のこととして全く差し支えない、あるいはこれが宗教の侵害になるものではないというふうに思っておりますので、ぜひ御理解いただきたいと思います。また、この提出の義務づけは、休眠法人がたくさん問題になっておりますが、これを解散させる手続にも役に立つというふうに思っております。
最後に、私どうしても申し上げたいのは、宗教界の皆さんが協議して早急に宗教情報センターのごとき民間団体を組織していただきたいというこ
とであります。そこで率直に話し合って、宗教団体として好ましくない勧誘行為とかあるいは信者勧誘のあり方などについてガイドラインのようなものをつくっていただきたいと思うんです。ECでは決議がされております。国会でも御審議いただきたいと思いますが、ぜひ宗教団体みずからそういうガイドラインを考えていただきたいと思います。
我々外部の者には、宗教界の皆さんが日常的に行っている信者勧誘や献金を勧める活動の実情がわかりません。宗教界の方々がみずから協議して、勧誘に当たっては、例えば教団名と最小限の教義とか信者の責任くらいは説明しなきゃいけない、あるいは先祖の因縁でということでおどして一時間以上献金を要求してはいかぬとか、あるいは十万円以上のお布施や献金についてはきちんと領収書を出すようにしましょうとかそういう基準をみずから相談して決めていただきたいと思うんです。
もちろん、これを守らない教団や宗教家も出ると思いますが、しかし多くの宗教団体の方々がこれに賛同して、それが公表されているということになれば、私は宗教に対するイメージや信頼ももう一度高まると思うんですね。
その意味で、ぜひ私は、二十一世紀に大事なものですから、宗教団体の方々にもう一度宗教を見直す、宗教一般を見直す努力をしていただくようにぜひお願いしたいと思います。
以上です。
59
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:2004/07/16(金) 23:27
>>53-58
134-参-宗教法人等に関する特別…-8号 平成07年12月04日
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:2004/07/16(金) 23:28
134-衆-法務委員会-3号 平成07年11月08日
○太田(誠)委員 例えば、シンガポールという国がなぜできたのかというと、これは俗説かもしれませんけれども、シンガポールという国ができたのは、もともとマレーシアという国の中にシンガポールはあって、その中で、マレーシアで回教が国教化されるということで、それを受け入れないという人がシンガポールという国をつくったんだという、それは本当かどうか知りませんけれども、そういう説があるぐらいでありますし、また、国家の成り立ちというのは宗教、民族というふうに言われるように、国家の成り立ちというものに非常に関係を持っておるわけでございます。その割に、我々は今まで国家と宗教あるいは宗教と政治とか、そういうことについて実は余り議論してきてないわけです。
申しわけないけれども、海外の法制がどうなっているかということについても、私自身も、今度宗教法人法が、特別委員会ができるというので、初めてちょこちょこいろいろな資料をもって勉強したわけであって、相当日本人全体が勉強不足、悪いけれども皆様方も余り知らなかった。勉強してなかった。そうなんですよ。大体みんな勉強不足で、俗説というか誤解というか全く間違った物の考え方というのが平気で流布していたりするわけでございます。
だからそれは、ああやって特別委員会をつくっております。私は向こうに行ってちゃんと質疑を聞いておるわけではありませんけれども、各閣僚の答弁も、本当に勉強をしたとかよく考えた上で答弁しているのかどうかということも、ここはこうだということは言いませんけれども、やや安易に答えちゃっているところもあるのではないかというふうに思います。ですから、特に博学で見識の高い法務大臣におかれましては、閣議において、日本人全体が十分な知識を持ってないということについては、ぜひ注意を持って臨んでいただきたいというふうに思うわけでございます。
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:2004/07/16(金) 23:28
まだあと数分ありますので、今回の宗教法人法の改正の話というのは、これは民法の改正ということなのか民法の具体化ということになるのか、非営利法人の規定あるいは特に公益法人に関する規定というのは、これは減免税であれば大蔵省がそういう判断をすることになるのか、いずれにしても、やはり民法の非営利法人の中で位置づけをすべきことだと思うのですね。特に非課税というようなことについてはそういうことだと思うのです。
さらに、それは、商法改正をいたしてまいりましたので、商法改正も、この民主主義社会の中における一つの経済力の集中というものに対してどうするのか株主と非常に巨大化した企業の関係をどうするのかというふうなことで、ディスクロージャーということを我々も数次にわたってこの法務委員会でやってきたわけでありますけれども、商法で、株式会社というものに対する株主のチェック・アンド・バランスの考え方とこの非営利法人というものも、やはり同じような考え方でアプローチがあってしかるべきだというふうに思います。ぜひその点についてまた問題意識をお持ちいただきたいと思うのでございます。
今度の宗教法人法改正のことは、オウム真理教のことで始めたということでありますけれども、実はもっと早くから問題のある活動というのがあったわけでありまして、それは統一教会であります。私も自民党におりましたから、一時は友好団体になっておったから、まるで知らないわけではありませんので、一方的に言うのはなんでありますけれども、統一教会に対しては、アメリカで一九七八年にフレーザー報告というのが出されておって、そこで統一教会の信者勧誘のあり方について内容を暴露するというふうなことがあり、またヨーロッパ議会、つまりECの議会でありますけれどもEUの議会、ヨーロッパ議会では、一九八四年に加盟各国がとるべき対策について決議がなされた、議会で決議がなされたわけであります。それもまた信者勧誘の方法についてこれを問題にする、あるいは批判決議のようなものが出たわけであります。そして同じころに、脱税で統一教会の文鮮明という人が有罪確定をした。一年後に釈放されたということでございます。そして、それから八年たって、我が国に九二年三月に入国をしておる。九二年の夏に韓国で集団結婚式を行うというようなことがずっと続いているわけでございます。
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:2004/07/16(金) 23:28
この間、各ヨーロッパでも統一教会の活動に対して大変色惧の念を持つ声が高まり、それ以前に米国でそのような警告を発する報告が出されたと
いうことでありますけれども、我が国はこの間それに対して、週刊誌はおもしろいからどんどん書いた、週刊誌はたくさん書いたけれども、議会で決議をしたようには私は覚えてないのです。もう議員になっておりますが、何か決議をした覚えがないわけでありますけれども、どこかであったのかもしれません。役所が何かこれについて警告を発する発表を世間に問うたということはあるのかどうか余り覚えてない。みんな週刊誌的なおもしろい、好奇心をくすぐる話だということでもってしか処理されていないけれども、これは重大な社会問題だということで、ヨーロッパでもアメリカでも位置づけられているわけであります。
そういう状況の中で法務省の入管局がこの人の入国を認めたということは、私は誤った選択であったというふうに今でも思っております。これは法務大臣の職権でやられたことでしょうけれども、それまで大変ずっと慎重に、この問題については慎重に対応してきたという経緯があるにもかかわらず、まことに残念なことであったと今でも思っております。私に意見を聞かれれば、これは反対であるということを申し上げるはずでありましたが、たまたまそういう立場になかったものですから、そういうことを申し上げられなかった。
ですから、我が国はよその国で起こっていることについて、当然この国でも同じことが起こっているわけだから、それに対して、要するに公益といいますか、パブリックインタレストといいますか、あるいは公衆、パブリックに与える悪い影響とか社会的な問題についてアクションをとることが少ないということが反省をされるべきではないか。入国を認めたことも含めて我々は反省すべきではないかというふうに思うわけでございます。
これはちょっと時間が過ぎてしまいましたけれども、最後に、これから宗教法人法が通れば相当な権限を持つことになるであろう文部省の、これまでのことについて何かお考えがあればお話しください。それで終わります。
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:2004/07/16(金) 23:29
>>60-62
134-衆-法務委員会-3号 平成07年11月08日
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:2004/07/16(金) 23:29
142-衆-法務委員会-11号 平成10年04月28日
○木島委員 ありがとうございます。
本改正法案は国際関係に触れる内容を持ったものであり、それを乗り越えて、沖縄の便益また台湾住民の便益を図るという基本的な目的があるわけですから、最大限取り外せる制約は取り外して、その沖縄県民の要求にもこたえるように、先ほど検討すると言った点は速やかに検討し、実施の方向に向けて善処していただくようにお願いをしておきたいと思います。
そこで次に、入管行政にかかわる問題でありますが、いわゆる統一協会、世界基督教統一神霊協会の創始者である文鮮明の入国問題についてお伺いしたいと思うのです。
略称統一協会とこれから言いますが、統一協会の創始者である文鮮明が本年六月日本に入国するための工作をしているのではないかという情報があるようでありますが、法務省は、これを把握しておりますか。
〔八代委員長代理退席、委員長着席〕
○竹中政府委員 そのように聞いております。
○木島委員 もう法務省御案内のように、文鮮明はかつてアメリカで脱税で実刑判決を受けております。一九八四年には服役をしております。日本の入管法では、この人物は基本的には日本への入国は認められないと考えるものでありますが、法務省の現在の見解はどうでしょうか。
○竹中政府委員 おっしゃるとおりの状況にございまして、文鮮明氏の入国につきましては、過去の経緯等も踏まえて慎重に対処する必要があろうかと考えております。
○木島委員 日本に入国することができない仕組みになっているということ、具体的にもっと法的に説明していただけませんか。
○竹中政府委員 入管法の五条に退去強制事由というのがございまして、その条文にひっかかった場合には、基本的にはまず入れないという判断をする、ただし、向こうからさらによろしくということで聞かれたときに、特別の事情があれば許してもいい、こういう仕組みでございます。
65
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:2004/07/16(金) 23:30
○大林説明員 ただいまの局長のを補充してちょっと申し上げます。
入管法では五条で上陸拒否事由に該当しますが、入管法十二条の規定により、特別の事情があれば法務大臣はその上陸を許可し得る、こういうふうになっているのが入管法の立場でございます。
○木島委員 基本的に、現在、文鮮明は入管法五条に該当する人物であると確認していいですね。
○竹中政府委員 そのとおりでございます。
○木島委員 それで、今全国のいろいろな団体、例えば統一協会のいわゆる霊感商法によってたくさんの国民が大変な被害を受けておるんです。私も、もう何件もそういう相談に乗り、解決のために努力をした経験は持っている一人でありますが、例えばそうした弁護士のグループ、全国霊感商法対策弁護士連絡会等々から、本年六月、文鮮明が日本に入国するんじゃないか、その工作をしているんじゃないかという情報があるのを受けて、これはきちっと入国は認めないという措置を法務省としてとってもらいたいという要求がたくさん法務省に寄せられていることは御承知のことと思うんです。
この要求に対する基本的な姿勢をまず法務大臣からお聞きをしたいと思います。
○下稲葉国務大臣 いろいろ御指摘ございましたが、諸般の事情を踏まえて慎重に対処してまいります。
○木島委員 統一協会は、先ほど申し上げましたように、全国各地で霊感商法と言われる反社会的なやり方でさまざまな物品を法外な値段で売りつけたりしてたくさんの被害者を生み出しているわけであります。全国でいわゆる金集めの集会なども開いております。
そこで、経済企画庁、お呼びしております。経済企画庁が所管する全国の消費者センターに寄せられた被害の実情を、できるだけ数字なども挙げながらまず明らかにしていただけませんでしょうか。
66
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:2004/07/16(金) 23:30
○飛田説明員 国民生活センターにおきましては、消費生活に関する消費者の苦情に対応したり、それから、各地の消費生活センターに寄せられた苦情、相談を収集、分析いたしております。
これによりますと、霊感商法を含みまして、占い及び祈祷サービス等を含む開運商法という形で分析いたしてございますが、開運商法に関する全国の苦情相談件数、これは平成四年度には約二千件ございました。平成五年度、六年度、七年度は約千二百件で、八年度、九年度におきますと約九百件、このぐらいの数字になってございます。
○木島委員 被害額というのはつかんでおりますか。
○飛田説明員 申しわけございませんが、被害額については把握いたしておりません。
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:2004/07/16(金) 23:30
○木島委員 これは公的セクターではございませんが、先ほど指摘をいたしました全国霊感商法対策弁護士連絡会というのが直接に相談に乗った分についての被害集計をとっております。これはもう私の方から示しますが、それによりますと、一九八七年から一九九七年までの十一年間、全国でいわゆる霊感商法等によって受けた被害について相談に乗った件数が一万八千八百四十一件、被害総額が何と七百億五千九百八十三万七千五百十七円というすさまじい金額に上っているわけであります。
昨年一年間だけをとってみましても、例えば被害弁連の東京分だけでも、相談件数が五百八十二件、被害総額が十二億四千百二十二万五千六百円、東京を除く全国の取りまとめですと、相談件数五十六件、そして被害総額が八億四千七百八十六万四千八百円。膨大な金額になっています。
この弁連の取りまとめでは消費者センターの分についても数字が載っておりまして、昨年一年間だけで消費者センターは百五十三件、八千二百七十六万六千九十一円の被害。弁連の方がちゃんと被害額をつかんでいるじゃないですか。何で経企庁はここで答弁できないのか、遺憾だと思うんです。消費者センターがつかんだやつも含めまして昨年一年間だけで七百九十一件の相談、そして二十一億七千百八十五万六千四百九十一円の被害額。現に、今日なおこういう大変な被害を各地にまき散らしているわけであります。
被害弁連の取りまとめによりますと、例えばどんな商品別の被害状況になっているかといいますと、一番多いのが「献金・浄財」、昨年一年間だけでありますが、三百七十二件で被害金額が六億八千七百四十四万四千二百円。その次に多いのは「ビデオ受講料等」ですか、五十八件、二百七十四万二千八百円。その次は「人参濃縮液」五十三件、二千二百六十万五千五百五十円。それから「印鑑」四十九件、千五百二十二万二千九百七十九円。それから「宝石類・毛皮」、これが四十四件、二千五百七十五万八千八百円。こういう状況であります。
そこで、警察庁もお呼びしているわけでありますが、統一協会及びその会員が引き起こした、こうしたいわゆる霊感商法と呼ばれるようなさまざまな詐欺的手法に基づく事件が刑事事件としても告発されたり立件したりしているものがたくさんあろうかと思うんです。警察庁が取りまとめた被害の件数、また被害額、詳しく御答弁いただきたい。
○柴田説明員 過去五年間に警察庁に報告がございました悪質商法に係る事件の検挙のうち、統一協会に関係があると判明しておるものはございません。
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:2004/07/16(金) 23:31
○木島委員 悪質商法で警察庁がつかんでいるのは何件なんですか。そのうち統一協会にかかわるものはございませんというのは、そういう内訳は全部明らかにされているのですか。
○柴田説明員 悪質商法もさまざまなものがございますが、いわゆる霊感商法、霊視商法というものに限って見てまいりますと、この五年間で十七事件の三十三人を検挙いたしております。この内訳は、祈祷料をだましにいったのが八事件、印鑑、仏像などを販売したものが九事件。罪名的には、詐欺あるいは恐喝あるいは訪問販売法、多岐にわたる法令を駆使して取り締まりを行っているところでございますが、先ほども申し上げましたように、そのうちに統一協会に関係していると判明しているものはないという状態でございます。
○木島委員 統一協会という名前ではなくて、言ってみれば統一協会のダミーのようないろいろな団体がつくられているわけですが、いわゆる関係団体というのでしょうが、そういうところがらの被害についても警察は一件も把握していない、そういう意味でいいのですか。
○柴田説明員 ただいま申し上げましたのは、事件として検挙した件数を申し上げているわけでございまして、先ほど先生がおっしゃっておられました連絡会の弁護士先生方等も含めまして、相談等は受けているという状況でございます。
○木島委員 それなら、相談件数を言ってください。件数と金額。
○柴田説明員 詳細、件数等については把握しておりません。
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:2004/07/16(金) 23:31
○木島委員 私は、これだけ大きな問題が現にまだ起きているという状況にあって、警察の対応は非常に手ぬるい、おかしいと思わざるを得ないのですね。もっときちっと、警察の目的に従って承知してほしいと要望だけしておきます。
時間の関係で、文部省にお聞きしたいと思うのです。
統一協会は宗教法人法によって設立を認められた宗教法人でありまして、文部省が所管していると聞いております。所管庁として、このような数々の反社会的な行為をどう把握しているのか、把握している内容を明らかにしてほしいと思います。そもそも、宗教法人としての設立が認められた法人であるわけですが、文部省として、この組織をどう総体的に認識しているのか、御答弁願いたい。
70
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:2004/07/16(金) 23:31
○前川説明員 いわゆる統一協会、世界基督教統一神霊協会は、昭和三十九年の七月に、当時の所轄庁であります東京都知事から認証を受けまして設立された宗教法人でございます。渋谷区に所在地がございまして、代表役員は、現在、本年の三月より江利川安栄という者が代表役員をやっておる、そういう宗教法人でございます。宗教法人法の改正に伴いまして、平成八年の九月より、所轄庁が文部大臣に移っております。
この統一協会につきましては、マスコミ等でさまざまな問題が指摘されているということは私どもも承知しております。私どもといたしましては、所轄庁の立場で、所轄しております法人ということで、統一協会から任意に事情聴取するということはこれまでもしてきております。また、統一協会をめぐる裁判がたくさん起こされておるということも承知しております。裁判の相手方となっている方々、特に被害弁連の方々からもお話を伺っておるということでございます。
これまでの裁判例といたしまして、最高裁まで上がったものもございますので、このような裁判例につきましても詳細を検討しておるというところでございますが、私どもに法律上与えられております権限というのは、宗教法人としての法人格を与えるか与えないかということについての権限に限られております。
具体的に申し上げますと、営利事業、収益事業を行ったような場合につきまして、これが宗教法
人としての目的に反するような場合にその収益事業の停止を命ずることができる。また、認証後一年以内に限りましては取り消しができますけれども、統一協会につきましては一年を超えているということで、私どもにできますのは、裁判所に対しまして解散命令の請求をするという手段があるわけでございますけれども、これは法令に違反して著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたというようなケースに限られておるわけでございまして、これまでこのケースに当たったというのはオウム真理教一件でございます。
私どもといたしましては、これまでの統一協会をめぐる訴訟等の動きを見ておりますけれども、この解散命令の請求に当たるようなところまで至っているという判断はしておらないわけでございまして、私どもとしては、今後とも関心を持って見守ってまいりたいと思っておりますけれども、法律上の権限を発動するというところまではまだ至っていないというところが現状でございます。
以上でございます。
71
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:2004/07/16(金) 23:31
○木島委員 質問を変えますが、文鮮明は九二年三月に日本に入国しているわけであります。故金丸信代議士等の口ききによって、東北アジアの平和を考える国会議員の会との意見交換が、いわゆる特別事情として入国を認められた理由になったように見受けられますが、改めて私は法務省に聞きたいと思うのです。
当時、我が党も参議院法務委員会でこの問題を取り上げまして、入国を認めるべきではないという立場で質問した経験を持っております。さかのぼる話でありますが、あのとき入国を認めた根拠は何だったのですか。
○竹中政府委員 当時の入国した際の入国目的が、今後の朝鮮半島及び北東アジアの平和のあり方について、我が国の北東アジアの平和を考える国会議員の会のメンバーとの意見交換にあるということ、及び米国で受けた刑の確定後既に七年余りが経過していることを考慮して、その上陸を特別に許可したのでございます。
○木島委員 国会議員の会との懇談が中心的な入国目的と伺いましたが、九二年に、文鮮明は法務省の許可を受けて、三月二十五日に日本に入国して四月一日に出国しております。この間の文鮮明の日本国内の行動について、どうだったのか、本当に入国目的に徹していたのかそうでないのか、法務省はつかんでおりますか。
○竹中政府委員 文鮮明氏は、当時日本に入国した後で、北東アジアの平和を考える国会議員の会のメンバー等の国会議員の方々と意見交換を行っているほか、統一協会の東京教会、名古屋教会及び大阪教会を訪問したと承知しております。
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:2004/07/16(金) 23:32
○木島委員 統一協会歴史編纂委員会というところが「史報」という文書を発行しているわけです。ここに、一九九二年の三、四月合併号でしょうか、写しを持ってきております。そこに、三月二十五日から四月一日までの文鮮明の行動が克明に記載をされております。
簡単に拾っただけでも、三月二十六日、信者の歓迎会出席。三月二十七日、本部教会で一千人の信者、四百人の職員らへの講義、三百名のアジア平和連合の幹部に講義。三月二十八日、名古屋で信者に講義。三月二十九日、大阪の宝塚修練所で一千人の信者に講義。三月三十日、統一協会傘下企業である株式会社WACOMを視察し、その後、議員との夕食会に参列。さらに三月三十一日に、統一協会の事業部的存在である株式会社ハッピーワールド、いろいろな問題を起こして社会的にも名前が取りざたされた企業でありますが、これを視察し、そこで議員との懇談になるわけです。中曽根、金丸各議員と順次会談、統一協会傘下の新聞社である世界日報視察。
こういう一連の足取りを見ますと、ことし六月に文鮮明が日本に入国する動きがあるということで、今度は認めないでほしいという要望書を被害弁連が法務省その他外務省にも文部省にも出しているわけでありますが、そこで記載しておりますように、九二年三月末から四月への入国については、今御答弁にありましたように、国会議員の会との意見交換というのは、これは確かにやりましたが、しかしそれはやはり名目であって、本当のねらいは、その前段に彼がずっと行動したように、自分の組織内の活動だったのじゃないかと指摘されているわけですが、こういう見方がもっともじゃないかと思うわけであります。
先ほど、被害弁連の被害額を出しました。九二年、彼が入国したこの年、全国で千七百件を超える被害そして六十二億近くの被害金額。以下、九三、九四、ずっと毎年莫大な被害を出している。無法なことをして、不当なことをして国民から金を巻き上げる、そういう人たちに対するいわゆる抗議というのをやっているのですよ。
そうしますと、私は、改めて振り返って考えて、九二年三月に法務省が国会議員の会との懇談を名目に文鮮明の入国を認めたというのは、いわゆる特別事情を法律上使ったのでしょうが、やはり正しくなかったのじゃないかと指摘せざるを得ないわけです。どうですか。
○竹中政府委員 上陸許可をした外国人については、その在留中の活動の把握に努めておりまずけれども、前回の文鮮明氏は、基本的には入国目的の範囲内での活動をしたと承知しております。
73
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:2004/07/16(金) 23:32
○木島委員 本当に理屈にならぬですよ。最後の日に、夜から次の日にかけて国会議員と懇談しただけじゃないですか。その前に何日間も、信者を集めて、数千人ですよ、大集会をやって激を飛ばしているじゃないですか。今、法務省は本当にそんな立場でいるんですか。それだったら、またこうした被害はますますふえる。
先ほど人権という問題も指摘されましたね、被害者の人権こそしっかり守らなければいかぬと。こういう活動がふえれば、ますます詐欺的商法による被害者が全国各地にふえるということになるんじゃないのでしょうか。法務大臣にこれは答弁をいただけますか。
○下稲葉国務大臣 入管法十二条は法務大臣の特別許可が認められている条文でございまして、この適用によって前回やったものだと思いますが、委員の御発言の趣旨も私はよくわかるわけでございます。
先ほど申し上げましたように、従来の経緯を踏まえて、慎重にと言いましたが、極めて慎重に対処いたします。
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:2004/07/16(金) 23:32
○木島委員 ここに、世界平和統一家庭連合、これは統一協会の下部組織といいますか関連団体の一つでありますが、これが「全会員の皆様へ」と出した文書を持ってきております。「救世、救国、統一のための「全国訓読大会」と「特別精誠献金」について」と題する文書であります。ここで、大変な金集めの号令を出しているのですよ。
特に日本におきましては各家庭が、二月二日、御聖誕日というんですか、これまでに百六十万円、日本全国としては四億ドルを救国支援することにより、相対国家、母の国としての位置を復帰する信仰基台を立てることが願われております。これはことしですよ、二月。四億ドル、すさまじい金をこの日本国内で集めまくれと号令を発しているのですよ。そのための入国目的じゃないのでしょうかね。今、六月に文鮮明が入国を取りざたされておる。
実は私は長野でありますが、冬季オリンピックの会場になったエムウェーブを借りて大集会をやることが計画されていた。この団体から長野市に対して使用申請が出ていた。しかし、もう現地は大反対ですよ、当然。それで、抗議運動が展開される中、どうも長野市のエムウェーブ、オリンピック会場の使用申請は取り下げたか撤回したというふうに私は伝え聞いておりますけれども、こういう状況であります。九二年の状況もありました。
先ほど答弁が一歩前進したようには思いますが、こういう状況でありますから、もう入国を断じて認めるわけにはいかない。禁錮一年ですか懲役一年ですか、実刑判決を受けた経歴を持った人物であるわけで、入管法上の基本原則からいったら入国は認められないですから、認められないと
いう態度を貫けばそれでいいんじゃないですか。
法務大臣、どうでしょうか、ここで、仮にそういう申請があっても受け付けるわけにはいきませんと答弁できないんですか。
75
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:2004/07/16(金) 23:33
>>64-74
142-衆-法務委員会-11号 平成10年04月28日
76
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:2004/07/16(金) 23:34
143-参-法務委員会-3号 平成10年09月22日
○中村敦夫君 まず最初に、統一協会の教祖文鮮明の入国と、それから国会議員に対する統一協会からの秘書の派遣の問題についてお尋ねします。
統一協会は宗教の名をかりてさまざまな反社会的な行動をとっている団体でございますけれども、特に青年たちあるいは主婦層をターゲットに、大変システマチックな心の操縦法というものをうまく使いまして、いわゆるマインドコントロールをしていく。
最初は正体を隠してさまざまな形で勧誘をやるわけですね。例えば、この前の新潟の花火大会なんかにも出かけてきて、あめを配りながらビラをまいて、遊びに来いというような形でそこから連れ込んで、ビデオを見せたりいろいろなサービスを与えて引き込んでいくわけですが、次第に今までの考え方を否定していく、常識というものを全部壊していく。だんだん自信がなくなって心が真っ白になっていく。その段階で教義のようなものをがんがんと注入していくわけです。そしてある段階まで来ると、これを集団的に隔離して、完全にもう自分の判断で物を考えることができないような、そういう頭の構造につくり変えてしまう。そして外界の情報を完全に遮断して、それから珍味売りだとか、知られている霊感商法だとか、こうしたことに無賃労働者として使っていく、こういうことをやっております。
この結果、子供たちがそういう団体にとられて本当に苦しんでいる家族というのがもう何千とあるわけで、長い長い間これが続いてきたわけです。こんな団体がぬけぬけと放置されているという事態そのものが私は大変おかしいと思っております。
そして、この教祖である文鮮明という男も、経歴を見ると、もうスキャンダラスチックな行動で埋められているような人物です。最初はピョンヤンの方から布教を始めていくわけですけれども、その教会でセックスを媒体とした非常にいかがわしい布教を始めて、二度も逮捕されているわけです。一九四六年、四八年、風紀紊乱罪とか二重結婚とかいかがわしい容疑で逮捕されていると。これは教義そのものも非常にセックスに絡んだ、そうしたおかしな教義なんです。
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:2004/07/16(金) 23:34
この件に関しては後にアメリカでもいろいろな問題を起こして、アメリカの議会ではフレーザー委員会というのが開かれまして、一九七六年に、これはもうキリスト教のセックス風解釈をした珍妙なものだというふうに断定されたというのがこの本質でございます。
さて、ピョンヤンで捕まっていましたが、朝鮮動乱のときに、どさくさに紛れてこの文鮮明という男は脱獄して韓国に移りまして、そこから反共活動を始めて勢力を拡大する。そして日本にやってきて大変な力を持つわけです。統一協会の利益というのは、八割はもう日本の霊感商法から上がってくるというようなことなんです。しかし、その後アメリカへ移るわけですけれども、一九八四年にも脱税容疑で捕まって、一年六カ月刑務所に入れられるという経過があります。
ところが、この男が平成四年三月二十五日から四月一日まで日本に滞在していたわけですね。これは入管法五条というものを見ますと、本来的にこうした人物は入国できないはずになっておるわけです。これは、平成十年四月二十八日の衆議院の法務委員会でも入国管理局長がそのとおりだということを言っているわけですけれども、なぜ入れたかといいますと、入管法の十二条の方で、特別の事情があって法務大臣が認めた場合は入れるということになっておるわけですけれども、その理由が、刑確定後七年が超過しているということが一つありますが、何年超過していようとこんなものは特別な事情にならないと私は思っているんです。
それで、もう一つの理由は、北東アジアの平和を考える国会議員の会という妙なものが突如でき上がっていまして、この招待でもって入るという形になりました。この会はほとんど幽霊団体という感じでして、大体その当時の前参議院議員が一人、そして当時の現役の衆議院議員が五人ですか、六人ででっち上げたような会でして、大体、統一協会から秘書を派遣してもらったり、献金をいっぱいもらったりしている連中の名前が並んでおります。こんなふうにして入ってきたということです。
法務省にちょっとお尋ねしたいが、これはなぜ十二条が適用されるほど特別な事情なのかということをお答えいただきたいんです。
78
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:2004/07/16(金) 23:34
○政府委員(竹中繁雄君) 先生のおっしゃるとおり、この文鮮明氏は、過去に米国において所得税法違反で一年を超える刑に処せられていたということで、上陸拒否事由に該当していたわけですが、この平成四年のとき、その入国目的が、朝鮮半島及び北東アジアの平和のあり方について我が国の北東アジアの平和を考える国会議員の会のメンバーとの意見交換にあるという事情を考慮しまして、その上陸を十二条に基づいて特別に許可したものでございます。
○中村敦夫君 このような人物が、そんな大事な問題を考える会に適当だとはとても思えないわけ
です。
当時、やはり利権関係のある金丸信代議士が法務省に圧力をかけたんではないかという報道が非常に多かったわけですよ。これは事実なのかどうか。それと、だれがこの十二条の適用を決定したのか、その人物はだれだったのか、教えていただきたい。
○政府委員(竹中繁雄君) 当時いろいろなところからこの文鮮明氏に関しては陳情のような話があったということはどうも事実のようでございまして、その中に金丸先生の名前も入っていたと承知しております。
どうしてこれを認めたか、だれが認めたかということでございますけれども、これはまさに先生御指摘の十二条、法務大臣の裁決の特例という条文でございますが、ここに書いてありますのは、ちょっと関係のところだけ読みますと、「法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があると認めるときは、その者の上陸を特別に許可することができる。」ということで、あくまでも法務大臣でございます。
○中村敦夫君 私は、特別な事情があるとはとても思えない、というか、とんでもない事情だと思っていますが、こうした文鮮明のケースは、今後、入管法の十二条の前例になってしまうんですか。
○政府委員(竹中繁雄君) あくまでも十二条はそのときそのときで特別な事情があるかどうかということをその際に決めるということでございますので、それでもって、当然、それから後は必ず認めるとか認めないということを、先例とおっしゃるんであれば、そういうことではないということだと思います。
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:2004/07/16(金) 23:35
○中村敦夫君 来年二月三日あるいは三月三日、統一協会がまた日本で合同結婚式をやる準備をしております。後楽園ドームを使うというような計画になっておりますけれども、これは霊感商法が大分だめになってきて、またバブルの崩壊もありまして、大分赤字になってきた。無理やり知らない人間をくっつけて合同結婚式をやって、そこから参加者に大変高い会費を払わせてつないでいくというのが現状なんですけれども、それに文鮮明が来たがっている、その入国の準備をしているという動きがあるわけですけれども、そのことを法務省はつかんでいるのか。そして、入国要請が来たらまた十二条を適用するのか、特別な事情は何なのかということをお聞かせいただきたいんです。
○政府委員(竹中繁雄君) 文鮮明氏が日本への入国申請を行うという具体的な話を私ども承知しておりません。
なお、具体的に申請があった場合には、私ども出入国管理及び難民認定法第十二条に規定する法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情の有無について、向こうから出してまいります入国目的、あるいは過去の在留状況、その他諸般の事情を総合的に考慮した上、慎重に検討することになります。
○中村敦夫君 国会議員に対して統一協会やその政治組織などから秘書が派遣されているというのは広く知られているわけですね。多い人は統一協会から一人の議員に九人もの秘書がついているというようなこともあります。私たちもそういう議員や秘書というものの数を調べておりますけれども、公安調査庁では、統一協会系の秘書の提供を受けている議員が何人いるのか、そしてそういう秘書たちは国会全体で何人いるのか、数でお答えいただきたいんです。私らの数とどう合うか、ちょっと知りたいものですから、お願いします。
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:2004/07/16(金) 23:35
○政府委員(豊嶋秀直君) お答えいたします。
公安調査庁といたしましては、統一協会が種々社会的な問題を引き起こしている団体であるということは十分承知しておりまして、統一協会側によると公称の会員は四十七万を超えているというふうに発表されておりますが、実質的には五万人ぐらいではないかという見方もあるようです。そういうことで、大いなる関心を持って統一協会という団体の動向については広く情報を集めております。
中村委員御指摘の、国会議員に秘書が派遣されているというようなことが一部のマスコミで報道されたこともよく承知しておりますけれども、その内容の真偽についてまでは把握いたしておりません。
○中村敦夫君 数はわからないということですか。それは大変困ったことなんですね。これは我々だってわかっているのに、公安調査庁がこれをつかんでいないということは大変危険なことではないかと思います。
といいますのは、冷戦後、文鮮明は反共というのを取りやめて急速北朝鮮に近づいていくわけです。金日成主席に大金を提供したり、あるいは事業の共同経営を持ちかけたり、そういうことを積極的に開始したわけです。ポトンガンホテルを買い取るとか、それから観光開発を積極的にやるとか、日本人妻の帰国連動なんかも統一協会が一番しんになってやっているわけであって、非常に政治的な動きをするという団体であります。これは、今の日本と北朝鮮の非常に複雑な危険性を伴った緊張のある関係の中で大変危険な、公安の問題ではないかと思うんですけれども、そういう意識は公安調査庁はお持ちではないんでしょうか。
○政府委員(豊嶋秀直君) 先ほどもちょっとお答えいたしましたが、統一協会の動向については非常に関心を持って見守っております。ただ、団体の動向自体については非常に関心があるわけでございますが、破防法上個々の構成員の具体的な、いわば私的な活動まで一々調査をすることの是非、適正の問題ということもございまして、今後そういう必要が生ずるというふうに判断した場合には私どもはさらなる調査を続けていく必要があろうかと思いますが、現在は破防法上の調査でそこまでできるかどうかという問題もあるのではないかという観点から、団体の動向の調査にとどめている段階でございます。
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:2004/07/16(金) 23:35
○中村敦夫君 そういう個人的な問題とか、そういうことを超えた問題ではないかと思うんです。やはり国会議員のそばにたくさんの北朝鮮と協力している団体の秘書がいるということ自体が、国家機密が筒抜けになるというような状況なわけですから、そういう消極的な考えで公安がいられるということは私は大変疑問に思っているんです。そんなことでいいのだろうか。
それに関連しまして、実は高村外務大臣、この方はかつて統一協会の代理人だったわけですね。裁判の記録などにも載っているわけです。それから、一九八九年の資産公開では、統一協会の霊感商法の元締めであるハッピーワールドという会社、ここから時価三百八十万円のセドリックを提供されているというような、これは相当に深い関係だと思うんです。こういう方が今、日本と北朝鮮の問題のさなかで外務大臣をやっているということを私は大変危惧するわけです。
ですから、高村さんは現在とこれまでの統一協会との関係、具体的なものを全部公開すべきではないのかなというふうに思うんです。もし公開できないとしたら、これは外務大臣としては大変不適任でありますから、これは罷免すべきではないかと思います。
本来、総理大臣に聞くべき問題なんですが、聞いてもどうせわからないでしょうから、国務大臣としての法務大臣にかわりにお答え願えませんか。
○国務大臣(中村正三郎君) 今、中村議員の問題意識はいろいろお伺いしたわけでございますけれども、やはり内閣総理大臣にわからないものは私にもわからないのでありまして、実際にどのようなことがあるか、またどのようなことが法律に反するんだという観点から私ども行政をやるわけでありまして、ちょっと私としてもお答えできないということだと思います。
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:2004/07/16(金) 23:35
○中村敦夫君 大分この問題に関して皆さん逃げ腰なものですからここで打ち切って、もう一つの問題を質問します。
これは食糧費をめぐる地方公務員の不逮捕、未起訴問題ということなんですが、平成六年五月十八、十九日、東京都監査事務局というところが第九十三回関東甲信越監査委員協議会というのを新宿の京王プラザで開催したわけです。まあ宴会でもやったわけでしょう。そのときこの件で違法な公金支出がありました。そして、事務局が裏金をつくったということがありまして、これで住民が都監査委員会へ監査請求をし、そして東京地方裁判所へ返還請求裁判を起こしました。その結果なんですが、都監査委の監査結果通知では、やはり請求書など関係書類が実際の内容と異なり捏造されていた事実を認めたわけです。また、平成九年四月二十五日、東京地裁判決では、都監査事務局長へ八十万五千六百円の返還命令がなされたという事実があります。
この間、平成八年三月五日付で住民が東京地検特捜部へ公文書偽造などの容疑によって告発をしたわけですが、それが受理されたと報道されたんですが、これは確かでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) お尋ねの件につきましては、東京地方検察庁におきまして、平成八年三月十二日、元東京都監査事務局長ら五名に対する業務上横領の事実により告発を受け、これを受理しております。平成九年九月一日に被告発人のうちの一名が死亡しておりまして不起訴処分になっておりますが、その余については現在捜査中でございます。検察当局においては、所要の捜査を遂げた上、法と証拠に基づき適正に事件を処理するものと思います。
○中村敦夫君 自治省にちょっと聞きたいんですけれども、地方自治体の監査委員というのは、普通地方公共団体の財務や経営を公正か不公正かチェックする役割なわけです。特に都監査事務局というのは、全都道府県監査委員協議会連合会という全部の事務局も兼ねている。責任はさらに重大なわけです。そのチェック係がみずから不正を犯していた。これではもう正義などどこにもないということになってしまうわけです。結局はその都監査事務局自身、都の行財政の適正な執行を監視する立場の監査当局が不正経理を行っていたということを公式に認めたんです。こういうことになりますと、地方自治法を根底から揺るがしているような事件だと思うんですが、自治省はこの事件をどのぐらいの重要さを持って認識しているのか、ちょっと一言だけでいいですから、お答えいただきたいんです。
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:2004/07/16(金) 23:36
○政府委旦(鈴木正明君) 地方団体の経費の支出のあり方が問題となっておりまして、今お話のございましたように、適正な経費の執行が行われているかどうかをチェックすべき立場にあります監査委員事務局において不正経理の問題が指摘されているということは、国民の間に地方団体への不信感を惹起させ、ひいては行政に対する信頼を損ねかねないということで、まことに遺憾に考えております。
これに対する対策といたしまして、地方制度調査会の答申を踏まえまして、外部監査制度の導入と現行の監査委員制度の充実を図るべく、昨年、地方自治法の一部改正が行われたところでございます。
○中村敦夫君 大変重大な問題と受け取られていることがわかるんですけれども、本件に関しまして、検察の告発受理後二年以上が経過しているんです。それから、東京地裁判決からも一年以上が経過しているんですね。書類の捏造、つまり公文書の偽造、これは当の監査委員みずからが公に認めていた事実なんです。判定でも認定されているわけですから、これは立件は容易なわけなんです。しかし、これほど立件が容易で大事件なのに、いまだ起訴に至らないというのは大変不思議です。
○委員長(荒木清寛君) 中村君、時間が来ております。
○中村敦夫君 最高検察庁の明確な説明を求めます。
○委員長(荒木清寛君) 簡潔に答弁をお願いします。
○政府委員(松尾邦弘君) 確かに御指摘のように告発からかなり日がたっていることはそのとおりでございますが、この捜査内容、あるいはその処理に至っていない事情等については、具体的事件の内容にかかわることでございますので、私から今申し上げるのは控えたいと思います。
○委員長(荒木清寛君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後四時十二分散会
―――――・―――――
84
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:2004/07/16(金) 23:37
>>76-83
143-参-法務委員会-3号 平成10年09月22日
85
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:2004/07/16(金) 23:37
145-参-国際問題に関する調査会-4号 平成11年06月04日
○参考人(辺真一君) 韓国人の立場として発言しなくちゃいけないんですけれども、その点に関しては控えさせていただきます。
ただ私は、朝鮮半島の危機状況というのは、やはり木を見て森を見ず語ることなかれ、逆に、森だけ見て実際に木が燃えているのを察知できない場合はまた森が燃えてしまうということです。
私たちが一番懸念を表明したい一つの根拠は、九四年に一体全体何が起きたのかということなんですね。あのときに我々日本ではのほほんとしておりましたけれども、実際に私たち後で驚いたことは、今のペリー北朝鮮政策調整官、当時国防長官ですが、この方がやめられて、一昨年八月でしたか韓国で講演をされた際に、もう一時間カーター元大統領の電話がなかったら歴史が変わっていただろうというようなことを言っておりました。
これはどういうことかといいますと、あのときにカーター元大統領が金日成との会談で北朝鮮との間で合意を見たと。すなわち、核凍結、軽水炉供与というところで合意を見たというそういうような一報が行かなかった場合は、恐らくクリントン大統領としても何らかの軍事増強を含めた対策、代案をとらざるを得なかったと。そういうふうになればどういう状況が起こったのかということで、ペリーさんはソウルで、もう一時間おくれたら歴史が変わっただろう、ひょっとすると戦争が起きたかもわからないというようなことを言っているわけです。
さらに驚いたことに、当時金泳三政権の大統領室長の方が、ことしに入ってでしょうか、アメリカはそういうような極めて重要なことを韓国側に全く通告がなかったということなんですね。すなわち、ホワイトハウスで北朝鮮の核凍結をめぐっていわば軍事的な強攻策、これは空爆を指して言っているわけではありません、軍事的ないわば封鎖ですね、封圧を加える、こういうような政策を決定するに当たって韓国との間で何の事前協議もなかったということですね。そういうようなことが現実に五年前にあったということなんですね。ですから、再び今回、地下の核疑惑が上がったときに我々はそういうような懸念を持ったということです。
それから、金正日さんがどういう人物かということなんですけれども、実際に日本でも直接お会いしてお話をしたとかお食事をしたという人がほとんどおらなくてよくわからないんです。私、金日成さんについては、実は金丸さんが北を訪問するときに事前に金日成という人物に関してレクチャーをして、訪朝後、金丸さんの事務所で北朝鮮での金日成の会談について話を伺う機会がありました。金日成さんについてはある程度説明ができる、しかし金正日についてはわからない。実際にだれもわからない。
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:2004/07/16(金) 23:38
たまたま私は、直接金正日総書記に会った人物が何人か外国にいるということがわかりまして、そのうちの一人はイタリア、もう一人はロシア、そしてもう一人は中国と、三人に直接お会いしたんですが、そのうちの二人のエピソードを申し上げます。
このイタリア人は何とイタリアの貿易マン、いわば小さな貿易の実業家なんですね。私が大変驚いたのは、あの忙しいときに、すなわち金丸さんが行って、あるいはカーターさんが行って会いたいと言っても出てこなかった、しかし、イタリアの共産党の書記長でもなければイタリアの大統領でもない一介の民間人が北朝鮮に行って、そして金正日さんからクルージングに接待されてフレンチ料理をごちそうになって一緒に釣りまでやったと。一体全体どういう人物なんだろうということでお会いしたんですけれども、金正日さんが出てきた理由はよくわかりました。すなわち、この方は当時、イタリアのODAを一億ドル北朝鮮に拠出するところで役割を担ったと。早い話がお金を持ってきたということですね。
それからロシアの場合は、これはカピッツァさん、当時外務次官です、亡くなられましたけれども、この方がお会いしたと。二度お会いしたわけなんですが、この方いわく、金正日さんという人物は高い評価をこの方はしておりました。ただ、大変驚いたことは、とにかくリップサービスで言ったつもりが、後で、例えば食事をしたときにこの肉はおいしいですねと言ったらその肉を何と飛行機一機分ロシアに送ってきて、それで始末するのに困って、当時グロムイコ外相に半分持っていったとか。
これは同じようなことを言えるんですけれども、イタリアの実業家の方が北朝鮮で食べたマツタケですか、これが大変おいしいと言ったら、何と同じように飛行機一機分送ってきたということで、すなわち、とにかく褒められたら、あるいはいいことを言われたら大変喜ぶということ。それから、言ったことは必ず実行するというところに驚いたというようなことを言っておりました。
もう一つ、彼以外にお会いした人の中には、まだ表には出ていませんけれども、統一教会の文鮮明氏、あるいは韓国の現代財閥の名誉会長の鄭周永さん。御承知のとおりに、統一教会の文鮮明という人物は金日成さんを共産主義の悪魔と呼んでいた。逆に、北朝鮮は文鮮明さんのことをまさに反共のとりでという形でけちょんけちょんにやっていたのが、ある日突然、文鮮明氏がピョンヤンに入って金日成と手を握る。これに反抗したのは金正日さんなんです。
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:2004/07/16(金) 23:38
では、どうして入れたかといいますと、御承知のとおりに、北朝鮮に莫大な投資をするということです。韓国も金大中大統領のみならず金泳三前大統領も盛んに首脳会談あるいは金正日さんとの会談を呼びかけたにもかかわらず、だれにも会わず、一介の財閥の総帥、それも北朝鮮からすれば買弁資本家の頭目と言われた人物が北朝鮮に行って、何と金正日さんが出てきた。はっきり申しますと、金剛山観光の事業として六年間に九億ドルを供与する。金正日という人物は、これ一つとっても、非常に実用的な実利的な、悪く言いますと金銭主義ということになりますし、よく言いますと非常に実用主義者である。それは、今の北朝鮮の置かれている状況、先ほど申しましたように何よりも経済再建という、すなわち外貨がない、お金がないということに尽きるのではないか。
この金正日さんの考えのベースには実はこういうような言葉があります。それは金正日さんが、既に八四年の段階だったと思うんですけれども、人民生活の向上が朝鮮労働党の最高原則であるということを言っていたわけです。すなわち、今の北朝鮮の置かれている状況は、政治及び外交も重要ですけれども、いわば経済的な援助、経済支援、これに尽きると思います。
日本のテレビに、同情するなら金をくれというようなドラマがありましたけれども、今、北朝鮮の置かれている状況からして、意外や北朝鮮というのは現実的な政策をとるものだなということをこのエピソードを通じて申し上げられるのではないかと思います。
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:2004/07/16(金) 23:38
>>85-87
145-参-国際問題に関する調査会-4号 平成11年06月04日
89
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:2004/07/16(金) 23:39
149閉-参-決算委員会-2号 平成12年08月30日
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
まず、保岡法務大臣にお聞きします。
統一協会の信者で、統一協会の合同結婚式に出席していると写真入りで報道された山下さんは法務大臣の秘書官ということで間違いないでしょうか。
○国務大臣(保岡興治君) 間違いございません。
○福島瑞穂君 統一協会の信者で合同結婚式に出席したということは事実でしょうか。
○国務大臣(保岡興治君) そのことは、私自身はよく承知しておりません。
○福島瑞穂君 報道された後、調査をされましたか。
○国務大臣(保岡興治君) 法務省の職責が重大であるという立場から、この山下秘書官が何か不適切な対応をしていた事実があるかないかだけは一応確認する必要があると思いましたので確認いたしましたけれども、一切そういうことはございません。
○福島瑞穂君 統一協会の信者で合同結婚式に出席したという事実は調査をされましたでしょうか。
というのは、もちろん個人には信教の自由、内心の自由がもちろんあります。ただし、霊感商法は最高裁判所で違法であるということが確定をしております。また、秘書官という立場という問題もあります。
ですので、この点について調査をされたかどうか、その結果はどうだったか、端的にお答えください。
○国務大臣(保岡興治君) 私も承知していなかったんですが、写真入りで報道されたことなどから、確認をいたしました。その結果、若いころにそういうこともあったかに聞きました。しかし、随分昔のことでございます。
今、委員御指摘のようないろんな問題については、法務省として、私自身も今までもそうでありますし、これからもそうでありますが、法にもとること等ありましたら、それは不偏不党の立場から厳正公正に対処するという方針でおります。
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:2004/07/16(金) 23:39
○福島瑞穂君 統一協会の信者で合同結婚式に出席したことがあるということで、ところで統一協会は脱退されたのでしょうか。
○国務大臣(保岡興治君) 山下秘書官は、十五年ほど前、お父様が奄美の方で、お知り合いと、ぜひうちで働かせてもらえないか、仕事を探しているというお話で、私の法律事務所で雇用したことがございます。非常に優秀なスタッフで、その後政策秘書として私のもとに仕えておりますが、一切不都合なことは今までないと承知しております。
○福島瑞穂君 合同結婚式に当時出席するということはかなりの活動家です。今お聞きしているのは、脱退をしたかどうかについて法務大臣は確認をされたのでしょうか。
○国務大臣(保岡興治君) 私の事務所に来るときに、お父さんから、かつて勝共活動とか反共活動とか、あるいは若いころは民青とかいろんな活動をいろんなことの角度からやった、したがっていい仕事についていないので、私のところに仕事の相談の依頼があったという経緯でございまして、そのときに、今はどうかと聞いたら関係はないということで、その後も関係ないということを確認いたしております。
○福島瑞穂君 彼は、例えば統一協会の派遣という形で、ある団体の派遣という形で働いていたんでしょうか。それとも、保岡先生自身が給与を払うという形だったんでしょうか。
○国務大臣(保岡興治君) はっきり申し上げますが、お父さんから相談を受けて就職先を探してくれということでうちに働くようになりまして、私のところで、事務所で初めからずっと給与を払っております。
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:2004/07/16(金) 23:40
○福島瑞穂君 私はこの報道を見て非常に驚いたんです。というのは、法務大臣の秘書官というのは極めて重要なポストで、霊感商法で非常に問題となっている統一協会の合同結婚式にかつて出席したということが報道されましたので、非常にびっくりしました。
統一協会の教祖である文鮮明氏は日本に入ることが原則としてできません。アメリカで実刑判決を受けておりますので入国できません。唯一彼が日本に入ることができるのは、法務大臣の特別許可が、御存じのとおり、ある場合だけです。聞きますところ、日本で資金集めの合同結婚式を主催するために入国したいという意向が極めて強いというふうにも聞いております。
つまり、秘書官が今疑惑を持たれているわけですけれども、そういう方が秘書官で法務大臣と非常に近い関係にあるということについていかがでしょうか。
○国務大臣(保岡興治君) 本来ならば、先生も御指摘のように、これは本人のプライバシーの問題にかかわることなんですね。しかし、先ほど申し上げたように、法務省のいろいろ重大な責任もありますから、一応確認したり、今ここである事実をお答えしているところでございますが、今言われたようなことについては、先ほどもお答えしたように、法務大臣としては不偏不党で、厳正公正に、法に基づいて適切に対処してまいりますので、いささかも御懸念の点はないと思います。
○福島瑞穂君 では今後も、済みませんが注視をさせていただきます。
では次に、官房機密費についてお聞きをいたします。
官房機密費を具体的に配った人から、どの人たちに具体的に幾ら払ったかという詳細なメモをいただきました。
そこで、お聞きをいたします。
サミット随行員、今まで行われたサミットの随行員に対して、つまり公務員に対して四十万円などを個別に払っているという詳細な、名前も入ったメモもいただいたんですが、そういうサミットに随行した公務員に官房機密費を支払ったことがかつてありますか。
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:2004/07/16(金) 23:40
○国務大臣(中川秀直君) お答え申し上げます。
内閣官房の報償費は、国が国の事務または事業を円滑かつ効果的に遂行するために、その状況に応じて最も適当と考えられる方法によって機動的に使用する経費でございます。
今お尋ねのサミット等国際会議において随行した者に払ったことがあるかということでございますが、この事柄、その報償費の性格にかんがみまして、その具体的な使途は公開しないことになっておりまして、個々の事案については答弁を差し控えたいと存じます。
○福島瑞穂君 個別に幾ら払ったかということを聞いているのではありません。一覧表がありまして、それぞれ幾ら払ったかと。
私はやはり非常に驚いたのは、例えば公務員はきちっと給料をもらっているわけです。特に例えば局長クラスになれば相当の給与をもらっていらっしゃると思います。サミットに随行したということで国民の税金がこのような形で使われていることは重大な問題だと思います。
では次に、これを見ますと、例えば自民党の職員、幹事長室などに払っているというメモがあります。かつてこういうことはあったのでしょうか。
○国務大臣(中川秀直君) 先ほど申し上げましたような目的で、それぞれの状況に応じて最も適当と考えられる方法により機動的に使用する経費が報償費でございまして、一般的にその支出目的にかなうと考えられる場合に使用しているところでございます。
具体的な使途については答弁を差し控えたいと存じます。
○福島瑞穂君 自民党の選対に払っているという具体的なメモがありますが、これについてはいかがですか。
○国務大臣(中川秀直君) それにつきましても同じ答弁を申し上げるしかないと存じます。
○福島瑞穂君 自民党の国対に対して支払ったというのはどうですか、かつてありますか。
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:2004/07/16(金) 23:45
>>89-92
149閉-参-決算委員会-2号 平成12年08月30日
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:2004/07/16(金) 23:46
146-参-法務委員会-6号 平成11年11月25日
○中村敦夫君 ちょっと複雑な質問になりますので、お答えできる担当の方で結構でございます。
いわゆるカルト宗教団体というものが起こす極端な犯罪、これは世界じゅういろいろあるわけですけれども、こうした犯罪をある極端な政治思想を持っている団体が起こす犯罪、あるいは暴力団が利益を目的として起こすような重大犯罪というものと同列で見てしまうとなかなかわかりにくい部分があります。刑法的に処分するという点では同じかもしれませんけれども、やはり、その犯罪が起きる動機そして過程、意思決定とかというものが、普通の常識社会とは全く異なる要素でもって出てくるわけでございます。
そのときに、そうした犯罪を正当化するという特徴があるんです、カルト集団なんかの場合。その根拠となるのがいわゆる教義と呼ばれているわけですし、まあ教義というのは、聖典とか教典とかあるいは綱領とか、ほとんどの団体は持っている、宗教団体は持っているわけでございますけれども。
例えば、統一協会なんかは、これは原理講論という分厚い教典のようなものがあります。これは、キリスト教の旧約あるいは新約聖書をごちゃごちゃに編集しまして、非常に独断的に解釈した本当に読みにくいなぞのようなものなんですけれども、その中に一説があって、万物復帰という思想が書いてあるわけです。これはどういうことかといいますと、地上のすべてのものは神様のものなんだから、全部お返しするのが要するに立派な行為であると。結局こういう教義がどう利用されるかというと、御存じのような詐欺的な霊感商法とか実際の詐欺、経済犯罪とかというものに利用されてしまう。つまり、人のものを取ったって全部神様に返すんだからいいんだと。信者は本当に罪の意識なくそれをやってしまうということが実態なんですね。
麻原彰晃率いるオウム真理教は、これはどうやら密教系の何か流れの宗教らしいということなんですが、実際にその教典と呼ばれるような中心的なものがあるのか、それは何なのか。そしてまた、その中で殺人を正当化するような文言というのはあるのか。あればそれはどういうものなのか。そしてまた、それをそのまま実行したのか、その文言を麻原が勝手に解釈して殺人を正当化して命令したのかということについては、どういうふうに当局は考えておられますか。
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:2004/07/16(金) 23:46
○政府参考人(木藤繁夫君) オウム真理教の教義は、麻原彰晃こと松本智津夫の説法、話をした中身、それと著作、書いたものの集大成でございまして、まとまった教典というようなものになっているわけではないのでありますけれども、その教義の一部に、目的のためには手段を選ばず殺人をも許されるとする松本独特のタントラ・ヴァジラヤーナという教えがあるのでございます。そして、そのタントラ・ヴァジラヤーナの中核としまして、悪行を積む者はそれだけ長く地獄で過ごさなければならないのでそれ以上の悪行を積ませないために早く命を絶つことも許されるとする極めて危険な教えが存在しております。この教えは、殺人を慫慂するといった中身のものであると認識しておりまして、この教えがサリン事件など凶悪な事件を引き起こし、あるいはそれらの犯罪を正当化した教義であると考えております。
○中村敦夫君 そのタントラ・ヴァジラヤーナというのは、特定の伝統的な、外国でしょうけれども、宗教から来ているんでしょうか。それは何なんでしょうか。
○政府参考人(木藤繁夫君) 松本の唱える教義というのは、自己の解脱を第一とします小乗仏教と、自己だけでなく衆生の救済を主眼とする大乗仏教と、及び衆生救済の最短最速の道であると言われておりますタントラ・ヴァジラヤーナ、これは秘密金剛乗とも言われるわけでございますが、それらを混交した松本独特の教えの集大成でございまして、言ってみれば、仏教、キリスト教、ヒンズー教を松本が自己流に解釈した上、これらと終末思想を合成したものと、こう考えております。
○中村敦夫君 犯罪に走るような強力なカルト宗教団体というのは、その大きな特徴として、大体絶対的な独裁者がいる、そしてそれをあがめ祭っている集団がいるというのが構図なんですけれども、普通その人間がいなくなると自然解散する場合もあるし、あるいは分裂したりほかの似たような宗教にからめ捕られていくというような現象が普通なんですが、依然として本人がいないときにもまだ青年たちが集団を組んで動いているということは大変不思議に思っておるんですね。
リーダーは形式上その娘にかわったということですけれども、娘は子供ですからそんな力はないわけでして、まだその組織が維持されているというそのマネージメントですね、これはどういう構図で動いているのか。麻原にかわるような、信者たちに信頼を集めているような二次的なリーダーというのが今いるのかどうかということについてお聞きしたい。
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:2004/07/16(金) 23:46
○政府参考人(木藤繁夫君) オウム真理教のいわゆるリーダーということで考えてみますと、実質的なリーダーはいまだに麻原こと松本智津夫であると考えております。しかしながら、同人は現在勾留されているわけでございまして、幹部とか信徒に対しまして直接指示を与えるのが困難であります。
そこで、現実には、同人の影響力のもとで、今お話にありました松本の三女というのと教団代表代行の村岡達子、そういった者、合計六人の教団幹部によって構成される長老部という組織によって意思決定がなされまして、これに基づいて信徒が活動しているものと見ております。
○中村敦夫君 今回の法案は、組織を物理的に解体するということに重きが置かれていると思うんですね。私は、それはかなり大きな効果があると思っていますし、特にその金の出どころというところを押さえるということは悪質なカルト集団を壊滅するためには有効であるというふうに考えますが、問題は、こういう物理的な法律だけでは信者たちを扱うことはなかなか難しいんですね。これは、非常に強烈なマインドコントロールというものにかかって人格が変わってしまっているわけですから、そういう人々がうろついていくと。自然に現実社会へ復帰してくれればいいんですが、なかなかこれ、ほかのこの種の集団の例を見ても難しいんですね。
これに対して政府は、極力こういう人たちを救う努力をすると言っておりますが、具体的にどういうふうにするつもりなのか、お答えいただきたいんです。
○政府参考人(但木敬一君) 現実的には非常に難しい御質問でございます。政府といたしましては、もちろん社会復帰を望む信者に向けたカウンセラー体制等をぜひ早急に確立したいと考えております。しかし、人の内心の自由、良心の自由、信教の自由、これらについては国家権力がみだりに介入してその方向を改めさせるということは我が憲法上許されているわけではないと思っております。したがいまして、これらのカウンセリングに強制的に連れていくということは非常に法制上難しゅうございます。となりますと、いかにしてそうした信者あるいは元信者たちの心を社会に正当に向けさせて、みずからの意思でカウンセリングに自分を連れていくかといいますか、みずからをカウンセリングの場に赴かせるというそうした自発的な意思をどうやって形成するかということが非常に難しい問題でございます。
もちろん政府としては関係省庁で現在その効果的な方法について協議中でございますが、この問題は委員御指摘のとおり、団体規制によってすべてが解決するわけではないという意味で、非常に重要な問題であると同時に非常に難しい問題であるというふうに現在の段階では申し上げるしかないと思っております。
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:2004/07/16(金) 23:47
○中村敦夫君 こうした人を救うために国家権力が何らかの形で無理やり改宗させるなり指導するなりすることはいけないという答えは、私は正解だと思うんですね。なぜかといいますと、このマインドコントロールの手法というのは非常に精密で強引なものなんですね。私は一つのそういう宗教団体のマインドコントロールの問題を研究しましたけれども、大体同じような方法をどのカルト集団でも使っている。
一つは、要するにいろんな形で誘い込んでその人の価値観を否定していく。徹底的に否定していって、自信をなくしてしまう、なくさせてしまうという期間を持つわけですね。大体こういうことにひっかかってくるのは、逆に言うと非常にまじめな青年たちが多い。正直で、しかし世なれしていないということもあったり、あるいはいろいろと不幸な問題を抱えているというような条件もあります。
いずれにしても、こういう人たちを徹底的に自己否定させてしまう、そして真っ白になって自信がなくなったところへ集中的に教義なり説法をつぎ込んでいくわけですね。ここではもう隔離してかなりの長い期間やります。そうなりますと、もう確実に前の自分というものがいなくなって、父母さえも要するに悪魔であるというようなことを簡単に信じ込んでしまうようになる。人格が変わってしまうという段階があるんですね。
その後は、要するに命令でもって動き回らせるという段階に入るんですね。三段階あります。そして、一般社会から隔離していくということで物すごく忙しく振り回すということになりまして、事実上社会生活のできる常識がないということになるんですね。命令がないともう全然動けなくなるという精神的ロボットになってしまいます。水を飲むのも許可をもらうというような精神状態になる。ある集団から脱会した信者数十人、私はインタビューしましたけれども、しばらくはやはり本当に、こうやってコップを持って飲むのも、ふとだれに許可をもらおうかというふうな錯覚に襲われて、なかなかそこから抜けられないという困難な時期があるということなんですね。
これを完全に戻すということは、長い間信者でいるとなかなかこれはもう直らないんですが、早い場合には三カ月あるいは六カ月、一年、人によってそれぞれですけれども、直す方法はあるんですね。しかし、これは完全に隔離してその場所に置く、そして次第に日常生活にならし、そして、言われた事柄の非合理性というんですかね、間違っている部分に対してきちっとした答えを与えていくという、そういう大変な努力が必要なんですね。
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:2004/07/16(金) 23:47
一番大きな問題は、そのためにはもう友人や最も親しい家族たちが本当に何人もかかって長い間隔離した状態をつくらなきゃいけない。そして、取り戻しに来るということが物すごく多いんですね、こういう集団の場合。それに気づかれないようにしなきゃいけないという大変なことがあります。しかし、今までの経験からいうと、それ以外に直す方法がないんだということなんですね。
問題になるのは、いつもやはりその集団から信者を両親なり友人なりがさらってくるという形にならざるを得ないんですね。そして、そこに監禁するという形になるんですよね。ですから、それは間違えば法的な問題としてどうしても引っかかってくるという、そういう難しい問題があるんですね。
統一協会なんかの場合は、やはりキリスト教というものをゆがめて使われていますから、プロテスタントの牧師たちが大変協力しておる、かなり大きい人数でそういう相談役にもなっているという部分がありますが、オウム系の場合は何ですかね、そこに当てはまるような宗教集団が日本にないんだと。本来なら伝統的な仏教か何かがやるかもしれないけれども、そういう動きもないというところで大変難しいんですが、いずれにしても、脱会してそしてもとへ戻すという努力は民間がやるべきだと思うんですね。そのときに、法的な問題で何らかの保証というか考慮というものはできないものだろうかという質問なんです。
○政府参考人(但木敬一君) 大変微妙なまた奥深い問題でございまして、今にわかにそういう法制が可能かどうかということをお答えすることができませんけれども、そういうお考えについて非常に強い関心を持ったということだけを申し上げたいと思います。
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:2004/07/16(金) 23:47
○中村敦夫君 ちょっと法律上の問題をお聞きしたいんですが、第八条ですが、一号から七号まではさまざまな犯罪のケースを取り上げていて、一で言えば「人を殺害し若しくは殺害しようとして」と。この「しようとして」、先ほどもこの問題で質問がありましたね。「しようとして」というところが私は大変難しいなと思いますね。
一号から七号までみんな場面が違うんですね。例えば、二に「人を略取し若しくは略取しようとしているとき」ということで、一体どういう状況のことを言うのか。それを相談している現場を盗聴とか何かで聞いた場合を言うのか、実際にさらいに行く途中でそれを判断するのかというところの問題が出てくると思うんですね。また、四番目だと「爆発物、毒性物質」とかありますね。これは毒みたいなものがそういう団体が持っていればこれはかなりの証拠になると思いますけれども、例えば金を切るのこぎりがあったということだってその要件に入らないことはないんですが、そうするとその判断と解釈次第で何でもよくなってしまうというような、かなりずさんな現場の状況が生じるのではないか。
私は、この「しようとしているとき」というのは、この法案に関してもうちょっとより明確に修正した方がいいのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
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:2004/07/16(金) 23:48
○政府参考人(但木敬一君) 委員御指摘のとおり、一号から七号までの間、一つは過去に既にやりました、つまり殺人をやりましたという類型と、それからこれからしようとしているときと、こういう二段階で規定しております。
この「しようとしているとき」というのは、先ほども申し上げましたが、刑法的に言えば予備の段階を指しております。予備の段階と申しますのは、単なる内心の意思の問題ではありません。客観的な行為あるいは客観的な状況、それから主観的な内容、それを総合判断して既に準備行為に入っているというふうに判断できるかどうかということですので、必ずしもそれ自身が不明確であるというようなことではありません。
ただし、どういう場合を想定しているのかということでございまして、例えば「略取しようとしているとき」というのは、今まさに何か車で略取しに現に向かっているときとか、そういうことを想定しているのかというお尋ねだろうと思うんですが、もちろんそういう場合を排除しているわけではないんですが、ここで言っておりますのは、当該団体の意思決定でこういう行為が行われたということでありますので、もう少し継続的な概念を含んでいると思います。
例えて申しますと、例えば暴行しようとしているときとか傷害しようとしているときというのは、現に殴りかかるという趣旨ではなくて、まさに団体の構成員でもあるいは住民に対してでもいいですが、これに暴行を加えるために例えば鉄パイプを用意しましたというような段階を意味しているわけであります。単に鉄パイプがあっただけで「しようとしているとき」に当たるのかと言われるとそうではなくて、それは何のために準備されたかという、もちろん主観的な要素も入ってきますが、主観的な要素と客観的な要素を加味して、現在予備段階の行為として認められる、こういう段階を指しているというふうに御理解いただきたいと思います。
○中村敦夫君 主観的にしても客観的にしても、いろんな場面を思い浮かべると、やはりだれが判断するかというところが非常に重要な問題になると思うんですね。
ですから、このことは、もう一度、つまり犯罪というものは既に犯したときから成立するというこれまでの刑法の観念があるわけですから、「しようとしているとき」というのは大変査定しにくいという部分がありますので、もうちょっと各党間でここのところをまともな法律らしく修正できないものかどうか検討していただきたいということをお願いして、質問を終わります。
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146-参-法務委員会-6号 平成11年11月25日
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:2004/07/16(金) 23:49
146-参-法務委員会-3号 平成11年11月16日
○中村敦夫君 今回の改正では、新たに法人というものを成年後見人等に選任することができるというふうになります。しかし、法人といいましても、社会福祉法人あるいはいろいろな公益法人、NPO法人、商法上の法人、つまり企業までも含むというかなり漠然とした範囲になりますが、この法人の中に宗教法人というのも含まれるんでしょうか。これは法務省にお聞きしたいんです。
○政府参考人(細川清君) 民法上は人という場合には法人も含むのが原則なんですが、従来の民法上、後見人、保佐人については、後見人は一人でなきゃならぬという規定がありましたので、一体これがあるために法人が入るかどうかという疑義がありました。そこで、これは法人が入るということをはっきりするべきかどうかという問題になりまして、いろいろ意見を御照会した結果、多数はやはり法人も入るということをはっきりしてほしいということでございましたので、法人が入るということを明らかになるような改正を御提案申し上げているわけでございます。
したがいまして、この法人はあらゆる法人が入りますから、社会福祉法人とか公益法人だけではなくて、御指摘のような宗教法人も当然含まれるわけでございます。
○中村敦夫君 なぜこのことをお聞きしたのかといいますと、私は議員になる前からジャーナリズムの立場から統一協会などのひどい集金システムというものをずっと調査してきまして、マインドコントロールされた信者の親族というものの財産を調べてねらっていく。これはオウムなんかでもそういうことがかなりありまして、常套手段なんですね。宗教法人といいましてもかなりいかがわしいものがたくさんある。本質的には利益追求が目的であると明らかにわかるようなものもかなりあるわけなんです。ですから、この法制度ができることによって逆に積極的に悪用、乱用するトラブルがふえるというような一つの危機感があります。
また、別の面からいうと、宗教というのは精神というものを扱う場面ですし、また死という場面に立ち会う、その周辺に宗教に関係した人々が集まるという事態が起きますね。そしてまた、信者によっては財産を宗教法人に寄附するというようなことも少なくはありません。
ですからこそ、この後見人というのは、逆に第三者という形でやった方が非常にクリーンになるし、トラブルというものが発生しない、そういう二つの面から、宗教法人に限ってやはりある程度の制約とかそうした配慮というものは考えなかったのか。ほかの法人以上にかなりこれは密接に関係すると思っているんですが、法務省はどう考えていますか。
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:2004/07/16(金) 23:49
○政府参考人(細川清君) これは特定法人を念頭に置かないで、一般論としてお答え申し上げますが、宗教法人にはさまざまなものがあるわけです。
ヨーロッパやアメリカに参りますと、キリスト教等の団体で社会福祉に大いに活躍をしている団体もありまして、日本でもそういう団体があるわけです。ですから、宗教法人はカテゴリカリーにこういう受け皿になり得ないんだということを法律の条文で書くのはちょっとできないことであろうと私どもは思っておりまして、今後の運用におきましては、家庭裁判所が当該の法人につきまして内部の状況等を十分勘案された上で最も適任であるという場合だけ後見人等に選任する、こういうことになろうかと思います。
また、仮に間違って選任して不当な結果があるということになれば裁判所が介入するということもできるわけでございますので、やはり法律の条文としては特に宗教法人だけ除くというのは適当ではないんではないかというふうな判断でございました。
○中村敦夫君 別の質問をします。
本改正に合わせて家裁調査官というのはどのぐらい増員する予定ですか。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 御説明申し上げます。
本改正に合わせてという御指摘でございますけれども、私どもといたしましては、平成十二年度予算要求におきまして家裁調査官の五名の増員を要求したところでございます。この要求いたしました趣旨といたしましては、昨今の家庭事件、家事事件と少年事件でございますけれども、その増加傾向でございますとか、事件の困難化の状況を踏まえてこれに対処するための方策として考えたものでございます。
以上でございます。
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:2004/07/16(金) 23:49
○中村敦夫君 この保護制度が利用されていくと、今でも大変忙しい家裁でございますけれども、さらに仕事の量がたまる、質が大変難しくなるという状況なんですが、家裁調査官、これは裁判官も含めてですけれども、非常に少ないのではないか。
実は、家裁調査官というのはここ十年で一人もふえていないという事実があるわけです。それに比べて家事審判事件というのは十年前三十五万件だったのが、一昨年、四十五万件までふえている。それでも一人もふえていない。四十五万件を千四百七十人の家裁調査官が担当すると、これは数学的な割り切りだけですけれども、一人三百件ということなんですね。これは事実上質の高い仕事をするにはほとんど困難だというような状況なんです。
五人ですか、来年ふやすというような、単位の問題じゃないんです。その質問に関しては前に別の議員の方が質問されて様子を見てふやしていくということなんですが、これは我々が考える限り大幅な増員というものは必須ではないかと思うんですけれども、最高裁はどういうふうに考えていますか。
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:2004/07/16(金) 23:50
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) ただいま委員からこれまでの増員要求の状況等について御指摘もございました。
確かに、家事事件につきましてはこの十年近く増加が続いているわけでございまして、これに対しましては事務処理体制の見直し等の効率化を図るとか、あるいはOA化といったことなどの対策を講じてきております。一方で、少年事件につきましては、少子化の影響等もございまして、昭和五十八年をピークにいたしまして大幅に事件が減少してきているところでございます。こういった事件の動向に合わせまして、内部において適切な人員配置の見直しも行ってきたところでございます。
しかしながら、昨今、家事事件はさらに増加が続いておりますし、少年事件につきましても平成七年をボトムにいたしまして増加傾向に転じております。しかも、内容的にも家事事件、少年事件ともに困難な事件がふえてきているということから、先ほど申し上げたような形での家裁調査官の増員を要求したわけでございます。
今、委員から御指摘の成年後見制度を踏まえてどう考えているのかということでございますけれども、これは今の段階では的確な事件の見通しもなかなか立てにくい状況にあることは御理解いただきたいと思いますし、私どもといたしましては、この施行後の事件受理状況、動向等を見ながら、そしてそれに対する事件処理のあり方等の観点で事件の処理の効率化あるいはOA化等による改善策といったことを講じ、そしてその上でさらに人的体制の整備についても検討してまいりたい、こう考えておる次第でございます。
○中村敦夫君 人数の問題もありますけれども、今度は今までの家事審判と質の違った部分も問題として出てきて、現場はかなり大変なことになるんじゃないかなという事態が予想されるわけです。ですから、数だけではなくて質の問題と。
つまり、家裁の裁判官とか調査官、この人たちの社会的見識とか福祉に対する知識、もっと多様なもの、もっと深いものを求められていくということは間違いないと思うんです。ですから、そちらの面でどのような研修計画とか教育計画とかということを用意されているのか、あるいはしていないのかということをお答えいただきたいんです。
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:2004/07/16(金) 23:50
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 裁判官と家裁調査官につきましては日々各種の角度からの研修が行われておるわけでございますが、この研修の機会におきまして、家庭裁判所のテーマを取り上げる場合においては当然のことながら家庭裁判所を取り巻く事件の状況、そして取り巻く福祉の状況等についても十分な時間を割いて御説明をしているところでございます。
そして、これから先も、今後このような制度改正を踏まえまして、研修の機会等を使って十分な周知徹底を図ってまいりたいと考えている次第でございますし、さらに裁判官等の協議会におきましても、介護保険の状況でございますとか地域福祉権利擁護事業の関係につきましても十分な説明をいたしまして、それについての理解を深めるように努力してまいりたいと考えております。
さらに、私どもの部内の研究誌等におきましてもこの権利擁護事業等を解説する文を掲載する等いたしまして、文献によってもその辺の周知を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。
以上でございます。
○中村敦夫君 質問を終わります。
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:2004/07/16(金) 23:51
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146-参-法務委員会-3号 平成11年11月16日
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:2004/07/17(土) 01:20
[001/110] 159 - 参 - 厚生労働委員会 - 24号
平成16年06月14日
○政府参考人(樋渡利秋君) 人身取引につきましては、国際組織犯罪防止条約の人身取引補足議定書はこれを犯罪として処罰することを締約国に義務付けておりまして、我が国も平成十四年十二月に同議定書に署名するとともに、現在その締結に向けた作業を行っておるところでございます。
同議定書において、人身取引は、性的搾取、強制労働、臓器摘出等を対象とする目的で、暴行、脅迫、欺罔や子を支配する親などに対する金銭の授受等の手段を用いて対象者を採用、運搬、移送、蔵匿、収受する行為とされておりまして、同議定書の締結のためにはこのような行為の処罰の確保が必要になるわけでございます。
これらの行為につきましては、現在、刑法、出入国管理及び難民認定法、職業安定法、売春防止法、児童福祉法、いわゆる児童買春、児童ポルノ禁止法等により対処しているところでございますが、同議定書の要請するところを漏れなく処罰することができるよう、法整備の内容等に関しましては現在検討中でございまして、いまだこれを具体的に申し上げる段階にはございませんが、次期通常国会に所要の法律案を提出することを目標といたしまして、検討を鋭意進めているところでございます。
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:2004/07/17(土) 01:21
159-衆-外務委員会-21号 平成16年06月09日
○阿久津委員 先ほど七億六千万ドルと聞いて実はびっくりしまして、実は先ほど自席で一生懸命計算していたんですけれども、七万六千ドルが正しい数字と伺って安心しました。この程度の分担金であれば、おつき合いとしても許される範囲ではないかと考えております。
それでは、一通り条約の関連の質問をさせていただきまして、少し時間が残りましたので、子供をテーマに何点かお伺いをしたいと思います。
といいますのは、青少年による凶悪犯罪の増加、頻発する児童虐待など、子供を取り巻く環境の悪化は甚だしいものがあると認識しております。子供受難の時代というのでしょうか、戦争の世紀と化した二十一世紀に、子供たちを守るための努力を各国協調してもっと早急に取り組むべきであるし、そうしないと、せっかくの未来の宝であります子供が本当に将来心配な状況になるのではないかというふうに考えております。
そこで、三月三十日、本衆院で可決され、四月二十一日に参院で可決されました、児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書のその後の状況について伺いたいと思います。
ユニセフを初め国際機関やNGO、NPO、内外の人権ボランティア団体、さらに多くの一般市民からも、この議定書をいつ締結するのか、日本の取り組みが注目を集めています。そこで、同議定書の締結に向けた進捗状況を教えていただきたいと思います。
○門司政府参考人 四月二十一日に国会の承認を受けまして、本当にありがとうございます。この議定書の締結に当たりましては、刑法などの既存の各法律による担保に加えまして、児童買春、児童ポルノ禁止法、それから児童福祉法の改正が必要となっております。これらは、それぞれこの国会に提出されております。
このうち、児童買春、児童ポルノ禁止法改正案につきましては、六月の三日、衆議院本会議において可決されたと承知しております。また、児童福祉法改正案につきましては、現在、衆議院厚生労働委員会に付託されていると承知しております。
政府といたしましては、これらの法改正がなされ次第速やかに、所要の手続を経て、この議定書の締結を行う所存でございます。
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:2004/07/17(土) 01:21
○阿久津委員 児童福祉法の改正の方がなかなか時間ぎりぎりなのかなというふうに思っているんですけれども、この問題については、与党も野党もないと私は考えております。こうしている今も、世界じゅうで一年間に人身売買される子供たちの数は百二十万人、また、戦争に駆り出される十八歳以下の子供たち、少年兵の数は八十万人、どちらも貧しい国の子供たちばかりです。とにかく、一日も早い締結を望みたいと思っております。
続いて、この議定書には、児童の性的搾取などを目的とする不適切な養子縁組を犯罪とする条項が入っていたというふうに認識しているんですが、ところが我が国が養子縁組に関するハーグ条約に入っていないために、この条項が効力を持ちません。そこで伺いたいと思うんですが、養子縁組に関するハーグ条約に我が国が加入しない理由は何でしょうか。
○門司政府参考人 お答えいたします。
この条約は、国家間にまたがる養子縁組に関しまして、子供の基本的権利を尊重し、人身売買等を防止するための保障措置を定め、その措置の実効性を確保するために国際的な協力体制を確立すること等を目的としております。
そして、そのために締約国が中央当局を指定することとしております。その中央当局は、養子縁組を行う当事者に関する情報の交換、縁組手続遂行の援助あるいはこの受け入れ国への入国や永住のために必要な措置等を行う義務を有すると規定しております。したがいまして、非常に具体的な義務がかかってくるわけでございます。
このような中央当局による国際的な協力体制に我が国として参加するためには、養子縁組に関する国内法の整備を含めまして、関係省庁等の協力による適切な体制を整えることが必要でございますが、現時点ではまだそのような体制を構築するめどが立っていないと承知しております。したがって、まだ条約を締結する段階には至っておりません。
なお、我が国において、この条約が適用されるような国際的な養子縁組というものの実態について、外務省として必ずしも十分に把握しているわけではございませんけれども、欧米に比べますと、その件数がどのくらいになるだろうかということが、個人的にはちょっとそういう感じがしております。
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:2004/07/17(土) 01:22
○阿久津委員 欧米では、この不適切な養子縁組はかなり問題になっているというふうに聞いています。それで、ひどい例を挙げると、養子縁組の形をとりながら子供を買い上げて、朝から晩までずっと働きづめでその子供を扱って、女の子であれば少し年齢になると性的搾取に至るという、今の私たちの常識では考えられないようなことも起こっております。
では、日本が加害国になり得ないかというと、私はそうは思っておりませんで、児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約についても、日本が加害国になっているという報告も出ております。そこで私は、どんどんどんどん犯罪が国際化しているということを考えれば、早く先に手を打っておかなければ大変なことになるというふうに考えています。
先ほど御説明いただいたんですけれども、もう少し具体的に、どこをどうすれば国内法の整備ができてハーグ条約に入れるのか、ちょっと伺わせていただければというふうに思います。
○門司政府参考人 お答えいたします。
現時点で、必ずしも関係省庁とその詳細について検討が具体的な形で進んでいるというわけではございませんけれども、例えばこの条約の中で、国家間にまたがる養子縁組を行うに当たりましては、子の出身国の権限のある当局が縁組が子の最善の利益に合致する旨の決定を行う等、そういった措置がある、もちろんこれは送り出す側の方でございます。そして、受け入れる側もどういう形で具体的な養子縁組の実施を進めていくかということについて、送り出す国と受け入れる側との当局間の合意が必要であるというふうなことも規定されてございます。これは、これまで我が国においてはなかなかこういった制度はございませんでした。
確かに、委員御指摘のとおり、この条約の中には、養子縁組についての同意がいかなる種類の金銭の支払いまたは対価をも誘因とするものであってはならないといった規定もございまして、そういった養子縁組に名をかりた児童に対する虐待、差別、搾取の防止に役立つものであろうとは思いますけれども、我が国の制度に照らしてどういった問題点があるかにつきましては、今後さらに検討を進めていく必要があろうかと思っております。
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:2004/07/17(土) 01:22
159-衆-青少年問題に関する特別…-6号 平成16年06月03日
○上川委員 おはようございます。
小野大臣には、早朝より御出席をいただきましてありがとうございます。
一昨日起きました佐世保女児殺害事件、大変大きな衝撃を与えました。犠牲になられました御手洗怜美さんに、心から御冥福を申し上げるところでございます。
この二日間に、この事件の背景ということで、インターネットによるチャットという形で、エスカレートした言葉で、友達を殺害するまでに至るというような、原因が次第に明らかになってまいりました。コンピューターによるコミュニケーションの持つすさまじい力と、そして、この分野におきましては、法整備も含めまして秩序がまだしっかりと確立していないということでございます。そうしたバーチャルな世界に子供たちが巻き込まれている。本当にすさまじい現実を見せつけられたわけでございます。
私も、子供を持つ親としまして、親の知らない世界で子供たちがどんな体験をしているのか、新たな不安にどう取り組むのかということを、大人としての本当に真摯な対応を迫られているというふうに思っているところでございます。
さて、本題に入らせていただきます。
先週、当委員会におきまして、また、衆議院の本会議におきまして、児童買春、児童ポルノの禁止法の改正案が採択されたわけでございます。この法律は、四年前に成立したわけでありますが、議員立法という形で成立したものであります。その背景には、国際社会からの日本に対する強い批判があったものと聞いております。
具体的に申し上げますと、一九九六年にストックホルムで児童の性的商業的搾取に関する世界会議が開催されまして、そこで、日本が、東南アジアの買春ツアーも含めまして、児童の性的商業的搾取の加害国であるというような状況にもかかわらず、この問題に対しましての取り組みが極めておくれている、こうした強い国際社会からの批判を受けたわけでございます。当時、この会議に参加をされました議員団は、帰国されましてから、みずからの責任で立法化に取り組んで、その結果、一九九九年に成立したものというふうに承っております。
そこで、この法律が施行されて以降、この間の取り組みの状況につきましてお尋ねさせていただきたいと存じます。
この法律で検挙された買春、ポルノ犯罪、それぞれの件数も含め、国外犯の検挙の状況、また、取り締まり上の問題点とそれに対する警察の対応、また今後の取り組みなどにつきまして、今回、改正案ということで出させていただきましたので、その新しい課題も含めましての取り組みの方針等につきまして、警察庁の方からお願いを申し上げます。
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:2004/07/17(土) 01:22
○伊藤政府参考人 お答えいたします。
平成十一年十一月の児童買春、児童ポルノ禁止法施行後、平成十五年末までに検挙しました児童買春事件は、六千四十八件、三千九百十四人に上っております。また、児童ポルノ事件では、七百四十三件、六百七十一人を検挙したところでございます。また、国外犯の事件につきましては、児童買春事件が三件三名、児童ポルノ事件が二件八名の、計五件十一名を検挙しているところでございます。
最近検挙しました国外犯事件といたしましては、昨年八月、当時、都立高校の教諭であった四十八歳の男性が、カンボジア王国プノンペン市内の風俗店におきまして、十六歳のベトナム人児童二名を買春したとして、本年二月に児童買春事件として検挙したところでございます。
しかし、最近におきます児童買春事案や児童ポルノ事案は、IT技術や出会い系サイトなどを利用した新しい形態の犯罪が発生しているという状況にありますことから、警察といたしましては、これらのITあるいは出会い系サイトといった問題に対しまして、サイバーパトロールの強化や捜査技術の向上に努めているところでございます。
また、警察庁におきましては、本年四月、情報技術犯罪対策課を新設いたしまして、ネット社会における児童買春、児童ポルノ事案の捜査体制を強化し、取り締まりの徹底と児童の保護に努めているところでございます。
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:2004/07/17(土) 01:23
○上川委員 サイバー犯罪、とりわけ児童をめぐる問題につきましては、これからもっともっとふえていくということでありまして、犯罪と捜査とのイタチごっこというような形にもなろうかと思うんですが、ぜひ、この問題につきましては、子供の人権ということに深くかかわるということでございますので、取り組みの強化ということにつきまして、よろしくお願いをいたしたいと存じます。
続きまして、今回の改正の背景の一つに、児童の権利の擁護に関します世界的な取り組みの状況というのが言われているわけでございます。
私は、ことし四月にメキシコで開催されましたIPU、列国議会同盟の総会に出席をさせていただきました。女性会議の第一副委員長として二年間任期を全うさせていただいておりましたけれども、女性会議の主催のパネルのテーマとしまして、この二年間の間に、女性と児童の人権問題という問題が取り上げられて、取り組ませていただいております。具体的には、最悪の状態の児童労働、また人身売買、また児童の性的商業的搾取と、このメキシコの会議では、児童の性的商業的搾取という問題をテーマに議論をさせていただきました。
日本は、人身売買につきましては世界有数の輸入国であるということの事実につきまして、世界じゅうで知れ渡っているということでございます。私も、国際会議で大変肩身の狭い思いをさせていただきながらも、この問題につきましての取り組みについて、例えば、カンボジアあるいはベトナムでのコミュニティーレベルでの貧困撲滅も含めましての対応ということについて、緒方貞子さんの、人間の安全保障基金というところから支援をするということにつきましての、議会人としての応援もさせていただいてきたところでございます。
児童にかかわる問題に取り組むには、政府、議会による法整備のほかに、国や国際機関、さらにはNGOとの連携協力ということが不可欠である、これが、この国際会議の中での私どもの結論の一つでございます。
こうしたことから、今の現状につきまして、政府としての取り組み状況、さらには今後の方針ということにつきまして、外務省の方から御回答をお願いいたします。
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:2004/07/17(土) 01:23
○石川政府参考人 お答えさせていただきます。
委員御指摘の児童の権利に関する条約、これを内外に周知することは極めて重要であると私ども認識しております。
このため、例えば、ことしの四月には、政府は、ユニセフ、国際連合児童基金との共催により、東京におきまして、児童の権利に関する条約を日本が批准してから十年がたった、その十周年記念シンポジウムを開催いたしました。このシンポジウムでは、児童の権利条約の意義について広く内外の有識者による議論が行われ、この条約に関する理解を深める一助になったものと存じます。
これまでも、我が国といたしましては、例えば、二〇〇一年の十二月に、ユニセフ、国際NGOグループとの共催で、第二回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議を横浜で開催し、また、この会議も踏まえまして、二〇〇二年の五月には、ニューヨークで国連子ども特別総会が開催されました。
今後とも、国連等の場を通じまして、児童の権利の保護と促進のために一層取り組んでまいりたいと存じております。
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:2004/07/17(土) 01:23
○上川委員 今、部長がお答えになりましたそのユニセフという国際組織、NGOにつきましては、本当に一生懸命この問題に取り組んでおりまして、全世界の中でも、また、日本人のスタッフも大変大活躍をしていらっしゃって、一生懸命取り組まれているわけであります。それに、日本のいろいろな募金、基金が援助という形で送られている、こういう実態につきましても、私も現場で見させていただきまして、本当に頭の下がる思いをさせていただきました。
また、ニューヨークの子ども特総にも私も行かせていただきまして、特に印象深かったのは、子供さんたちがこの会議に参加し、自分たちの言葉でこの問題について語っている、また、非常に大人を動かしている、こういう実態がございます。こういった子供の声がこれから非常に大きな力になっていくというふうに思うわけでありまして、私たちは、子供を保護の対象ととらえるばかりではなくて、一人の人間としてしっかりとその発言に耳を傾けるという姿勢も非常に大事ではないかということを痛切に感じて帰ってまいりました。
そういう中で、人身売買ということにちょっと触れさせていただきますが、今回の法律の中でも、八条に、児童の買春を目的とした人身売買につきましての条文があるわけでございますが、今、世界の中では、この人身売買につきまして、児童買春、児童ポルノの奥にある問題として、人身売買の問題が大変大きなテーマになっているところであります。
国際犯罪の部分、やみのビジネスの中に商品としての人間というのが取り扱われているという、しかも、その人身売買の目的は、児童買春、あるいは女性の買春、性的搾取の問題のみならず、臓器の売買というところまで及んでいるという実態を見るにつけまして、この問題につきましても、日本はある意味では非常にその受け入れ側の国であるというような批判も耳にするところでございますので、そういった面で、この問題につきましてこれから真剣に取り組んでいかなければいけないということを感じるところでございます。
実は、超党派で、先日、ヒューマントラフィッキングの勉強会を立ち上げさせていただきまして、今、実態の問題、あるいは人身売買で被害を受けた方々、あるいはその支援の団体の皆さんからの生の声も聞かせていただきながら取り組ませていただきたい、こんなふうに思っているわけでございますが、政府の側でも、この人身売買、ヒューマントラフィッキングの問題につきまして取り組みを開始したというようなお話もございます。
そこで、現在、人身売買の処罰に関する法整備に関しまして、条約上、処罰が必要とする行為の内容、また現在の検討状況、また法案提出の目標時期につきましてお答えいただきたい、こんなふうに思います。
あわせて、人身売買につきましては、特に処罰、あるいは摘発、処罰というための法案だけではなくて、被害者の方の保護、支援という視点を織り込んだ形の包括的な対応が非常に大事になる、その意味では、基本法の制定のようなものも必要ではないか、こんなふうに思って、この勉強会でも取り組ませていただきたいと思っているところでございますので、その辺の現状の取り組み、また今後の見通し等につきましても、あわせてよろしくお願いを申し上げます。
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:2004/07/17(土) 01:24
○樋渡政府参考人 人身取引につきましては、国際組織犯罪防止条約の人身取引補足議定書がこれを犯罪として処罰することを締約国に義務づけておりまして、我が国も、平成十四年十二月に同議定書に署名しますとともに、現在、その締結に向けた作業を行っているところでございます。
同議定書におきまして、人身取引とは、性的搾取、強制労働、臓器摘出等を対象とする目的で、暴行、脅迫、欺罔や、子を支配する親などに対する金銭の授受等の手段を用いて、対象者を採用、運搬、移送、蔵匿、収受する行為とされております。同議定書の締結のためには、このような行為の処罰の確保が必要になるわけでございます。
これらの行為につきましては、現在、刑法、出入国管理及び難民認定法、職業安定法、売春防止法、児童福祉法、いわゆる児童買春、児童ポルノ禁止法等により対処しているところでございますが、同議定書の要請するところを漏れなく処罰することができますよう、次期通常国会に所要の法律案を提出することを目標といたしまして、現在、検討を進めているところでございます。法整備の内容等に関しましては、現在検討中でございまして、まだこれを具体的に申し上げる段階にはないことを御理解いただければと思います。
なお、特に、児童を対象とした人身取引につきましては、児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書におきましても、これを犯罪として処罰することが要請されておりまして、その締結のために必要な法整備として、内閣から今国会に、児童福祉法の一部を改正する法律案が提出されているところでございます。
○上川委員 ありがとうございました。
もう時間なんですけれども、大臣から一言、こうした問題につきましてのこれからの取り組みということについて、一言だけ御所見をいただきたいと存じます。
○小野国務大臣 先生から今御指摘をいただきました各般の問題につきましては、まことにゆゆしき問題であり、また、児童の権利、この条約に反する点に関しましては、早急に各省庁と連携をとりながら改めて進めてまいりたい、そのように考えております。
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:2004/07/17(土) 01:24
○葉梨委員 おはようございます。自由民主党の葉梨康弘です。
十分しか時間がありませんので、早速質問をさせていただきます。
六月一日に、長崎県の佐世保で、小六の女子が同級生をあやめるという痛ましい事件が発生いたしました。私も、小六の女子の父親として、人ごとではないなというふうに思います。実は、これは昨年も長崎ですけれども、十四歳未満の中学生でしたけれども、凶悪事件が発生した。
このような触法少年の事件が発生した場合に問題となる論点ですけれども、一つは、触法少年に対する調査の問題があります。それからもう一つは、親の責任という問題があろうかと思います。
それで、十四歳に満たない触法少年がこういった凶悪事件を起こした場合の調査の仕組みを検討することについては、昨年十二月の青少年育成施策大綱、これに記載されて、現在、法務省を中心にプロジェクトチームが設けられると聞いております。これについては、きょうは質問はいたしません。
ただ、この問題というのは、単に刑事責任年齢を引き下げればそれで済むという問題ではなくて、やはり、私個人的には、多方面からの検討が必要だろうというふうに思っています。
もう一つの、保護者の責任の問題があるんです。これは、親の責任という論点について、実は、昨年、鴻池大臣が非常に過激な発言をされたものですから、逆に誤解をされてしまった面があろうかと思います。
ただ、私個人的に考えているのは、親を罰するということじゃなくて、例えば親としても被害者に対して謝罪をする、あるいは、これまでの家庭教育のあり方について真摯に反省する。場合によっては、イギリスみたいに、親に対してカウンセリングをさせるという仕組みもあるやに聞いているんですけれども、これについて、昨年の青少年育成施策大綱では、「非行少年の家族への働きかけ」として、保護者の再教育等を念頭に、実効性を確保するための介入などの仕組みについて検討すると書いてあります。
ここに言う非行少年には、当然触法少年が含まれると考えますし、また、具体的なその仕組みの検討状況について今どうなっているのか、お聞かせ願いたいと思います。
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:2004/07/17(土) 01:25
○山本政府参考人 お答えいたします。
今、先生御指摘のように、非行少年には触法少年が含まれるというところでございます。
それから、保護者に対する指導、働きかけにつきましては、平成十二年の少年法の改正で、家庭裁判所の調査、審判の過程において、保護者に対しまして、訓戒、指導その他の適当な措置をとることができるという旨が定められたところでございますし、また、各種施設等におきまして、非行少年の処遇の各段階で取り組みがなされておるところでございます。
今御指摘の、保護者が働きかけに応じない場合における取り組みということについてでございますが、まず、運用のさらなる充実を図って、これを検証しながらさらに検討をしていくということで、程度によりまして、先生今御指摘のように、指導、あるいは教育プログラムの導入、カウンセリング、いろいろなものが考えられると思います。こういった介入等の仕組み、それから、それらのそれぞれの是非につきまして、今後、法務省、厚生労働省等、十分連携をとりながら検討していきたいというぐあいに考えております。
○葉梨委員 ありがとうございました。
それと、私自身が警察庁の少年課に在籍していた当時なんですけれども、例えば、警察官が学校に出向いて非行防止教室というのをやっています。そのときに、子供たちに人を殺すな、泥棒をするなと言っても、なかなか効果がないわけです。ただし、凶悪犯罪の被害者となったその家族が感じた痛みですとか悲しみを子供たちに伝えていくというのは、非常に効果があります。あるいは矯正教育の場でも、当時、アメリカでも取り組まれていましたけれども、加害少年が被害者と直接接することによって矯正を図る、そういった取り組みもなされておる。
ですから、関係省庁というのは警察、法務、文部科学、厚生労働、いろいろ多岐にわたると思うんですけれども、いわゆる被害者対策と言ったときに、被害者に対するケア、それから、被害者の感情を満たすための司法的な取り組みだけじゃなくて、被害者の生の声、これが少年犯罪の予防あるいは非行少年の更生に資するというような感じがいたします。
そこで、その施策の検討をお願いしたいと思うんですけれども、その点、一点お聞かせ願いたいと思います。
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:2004/07/17(土) 01:25
○山本政府参考人 今、委員御指摘のとおり、被害者あるいはその家族の生の声を聞く、そしてその思いを知るということは、いわゆる少年犯罪の予防、あるいは非行を犯してしまった少年が更生を図っていく、そして社会に復帰して戻っていく、そういった上で非常に重要なことであるというぐあいに考えております。現在でも、そういう観点から、例えば、少年院におきましても、収容されている少年に対しまして被害者あるいはその支援者等がお話をするといったような取り組みも行われているところでございます。
今後とも、そういう非行少年の立ち直り、更生、あるいは少年犯罪の予防といったような面から、被害者の声をさまざまな施策に反映していくということを関係する省庁と協議をしながら進めてまいりたいと考えます。
○葉梨委員 北朝鮮の拉致の問題もこれだけ大きくなったというのは、拉致家族の声というのがやはり私たち日本国民の心を打ったということだろうと思います。取り組みをよろしくお願いしたいと思います。
あと、時間がございませんので、資料をお配りしていますけれども、先ほど、上川委員からもトラフィッキングの話がありましたが、児童の権利を侵害する諸形態という中で、大体、私もいろいろな国際会議、トラフィッキングの国際会議、あるいはペドファイルの国際会議というのも出させていただきましたけれども、そんなような形があろうかと思います。
ですから、先般の児童買春の法律の改正、これについては非常に時宜にかなったものであるというふうに思っています。ただし、何せ日本人になかなかなじみがないんです。それで、さらに急激にIT社会化しているということで、その運用について一部国民に不安があるのも事実でございます。
時間がないので一例だけ。法案では、電磁的方法による児童ポルノの提供、いわゆる送信が禁止されていますけれども、例えば、送られたメールの添付ファイルの中身をよく確認しないで転送した、そうした添付ファイルの中身が児童ポルノだったような場合、取り締まりの対象となるのかどうか、簡潔にお答えください、警察庁。
○伊藤政府参考人 添付ファイルの中身について、送信者の認識というものが出てくるだろうと思いますけれども、場合によっては犯罪成立の判断あるいは立証といった問題で難しい場合も出てくるであろうというふうに予想されるところでございますけれども、警察といたしましては、法の規定を厳正かつ適正に運用いたしまして、児童ポルノによる児童の性的搾取を可能な限り防止してまいりたいと考えているところでございます。
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:2004/07/17(土) 01:25
○葉梨委員 新しい改正法、これについては児童の権利の擁護のための大きな武器になるものと考えています。ぜひ活用をお願いしたいんですが、新しい分野でもあります。ですから、広報をしっかり徹底すること、さらに運用をしっかり積み上げていくこと、これが大事だと思います。このような点を踏まえてぜひ適切な運用をお願いしたいということで、小野大臣から最後に御所見をお願いしたいと思います。
○小野国務大臣 児童買春、児童ポルノ禁止法につきましては、平成十一年に法施行がなされたわけでございますけれども、関係省庁が適切な運用に努めてきたものと承知をいたしております。
児童の権利の擁護を目的といたしまして明記されました改正法の趣旨を踏まえまして、政府といたしましては、児童が性的搾取の被害に遭わないための今先生おっしゃいました広報活動、こういうものを通し、関係省庁並びに関係団体とも連携をいたしまして、今後とも児童の権利擁護と健全育成に努めてまいりたいと考えております。
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○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
今国会の青少年特別委員会では、児童虐待防止法の改正、また、児童買春、児童ポルノの処罰法の改正という重大な法律、その成立を見ることができました。この二つの法律とも、虐待とか買春という問題で、やはりこれらが子供の権利の侵害であるという子どもの権利条約の精神を盛り込んだこと、これは私は大変評価をしているところであります。この立場を貫いて、あらゆる場でこの法律が実効性を上げること、そして行政の取り組み、また一層の施策の充実が求められているというふうに考えているところでございます。
そういう立場で、ちょっとホットな話題になるんですけれども、いろいろ事件が相次いでおりますので、それにかかわってきょうは御質問をさせていただきます。
一つは、先月二十七日の新聞報道でございましたけれども、本法八条「児童買春等目的人身売買等」がありますが、その罰則規定でありますけれども、この八条適用初の事件というのが兵庫で起きました。これは児童買春、児童ポルノ法施行後初の適用ということでありました。どういう事件であったのか。あわせて、今逮捕という段階でありますけれども、どのような形で逮捕に踏み切ったのかということをお知らせください。
○伊藤政府参考人 本事件は、ホストクラブの経営者が売春業者に児童二名をそれぞれ現金五十万円で売り渡した人身売買事件でございます。
このホストクラブの経営者は、ホストを使いまして被害児童二名を勧誘いたしまして、児童を自己が経営するホストクラブで遊興させまして、回数を重ねさせることによりまして多額の飲食代金を債務として負わせました。また、被害児童らに債務の返済を迫りまして、返済に窮した被害児童らに対して売春宿で稼働することを強要したものでございます。
また、買い手側であります売春業者は、被害児童の年齢が十八歳未満であることを知りながら、それぞれ現金五十万円で売春婦として買い受け、飲食店内において売春婦として稼働させていたものでございます。
そうした極めて悪質な事案でございまして、この事件で児童買春、児童ポルノ禁止法の児童買春等目的人身売買等の罪を初めて適用いたしまして、売り手側と買い手側を検挙したという事案でございます。
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○石井(郁)委員 繰り返す必要もないと思いますけれども、驚くような事案なんですね。十八歳未満といいますけれども、十五歳と十六歳です。この少女たちに、まず酒を飲ませているということもあります。そして、最初はそういう形で大いに接待をしながら、その子供たちに四百万から八百万の支払いを要求する。こんなにかかったんだ、だからそれを返しなさいという形でやるわけですね。それで子供たちは、それを返す方法というのは、子供からすると売春だけれども、大人は買春するということになっていく。マンションに軟禁をして、これは本当に驚くんですけれども、二カ月間で計二百人以上に買春させていたというのが新聞報道であります。
これが保護されたというか、どうして発覚したのかということを明確におっしゃらなかったんですけれども、その端緒ですね、どうですか。
○伊藤政府参考人 発覚した端緒でございますけれども、この児童らはマンションに軟禁されたような状態にあったというふうに聞いておりますけれども、いわゆる待機所みたいな形で使われておったわけですが、そこから逃げ出してきまして、保護者に伴われて出頭してきたということで、一人の少女が来たわけですけれども、それで発覚したという状況でございます。
○石井(郁)委員 また後で私はお尋ねしたいと思いますけれども、大臣に伺いたいと思います。
現代の日本でこうした形での人身売買があったという事実、そして買春を強要したという重大な犯罪がありました。こんな形でいわば人身売買が起きている、子供や少女が犯罪に巻き込まれているという事態、このことについて、この重大性について、大臣はどのように御認識をしていらっしゃるでしょうか。
○小野国務大臣 先般、兵庫県におきまして、少女を売春目的で、買春目的で売買したとして容疑者が逮捕された事案につきましては、児童買春、児童ポルノ禁止法の児童買春等目的人身売買等の規定が初めて適用された例でございまして、まことに大人としても本当に悲しい事案と申し上げてよろしいのかと思います。
捜査中でありますので、事案の詳細は差し控えさせていただきますけれども、少女に売春を強要させておりました行為というのは、まずは大変著しい人権侵害である、到底許されるものではないというふうなものでございますから、このような犯罪が起きたことを非常に深刻に私どもも受けとめているところでございます。
事案を解明いたしまして厳正に対処いたしますとともに、被害者の保護や、社会としてもこのような行為を許さないという機運の醸成に取り組んでいかなければならない、そういう気持ちになっているところでございます。
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:2004/07/17(土) 01:26
○石井(郁)委員 法律ができて四年の間で初めてこれが適用されたということなんですけれども、どう見ても、私としては、率直に申し上げてこういう事案というのはかなりあるんじゃないか。つまり、ホストクラブというのがまずある。そこで子供たちがいろいろな形で引き込まれている。そして借金を背負わされるんですね。そうしたらどうやって返すか。脅迫されて、買春しかないという形になっていくわけです。なぜこれが初適用なのかということが一つ私は疑問としてあるんですが、相当数こういう事案がやはり今の日本の社会の中にあるのではないかと考えざるを得ないわけです。
そこで、伺いますけれども、児童買春、児童ポルノ法では、周旋、このことも規定されておりますけれども、周旋、あっせんによる児童買春ということもあり、そしてこの検挙数などもあると思いますけれども、昨年は検挙数というのはどのくらいあるんでしょうか。また、どういうケースでこれが検挙になっているのかということもちょっとお答えください。
○伊藤政府参考人 まず、周旋罪というものでございますけれども、児童買春、児童ポルノ禁止法における児童買春の周旋は、例えば、児童買春しようとする者とその相手方となろうとする児童との間に立って、児童買春が行われるように仲介するような行為を言うわけでございます。
昨年の検挙状況でございますけれども、平成十五年は八十一件の検挙でございますが、平成十一年の法施行から昨年末までには、合計三百八十一件、二百四十人を検挙しているところであります。
また、こうした児童買春、児童ポルノ禁止法の周旋罪と似ておりますけれども、違う態様のものとしまして、児童福祉法の方でも、法第三十四条第一項第六号で児童に淫行させる行為を禁止しているところであります。例えば、児童を支配下に置いて性交類似行為等を行わせた場合には同号違反になりまして、児童買春、児童ポルノ禁止法の周旋罪よりも重い刑が科せられるところでございます。
同法の児童に淫行させる行為としての検挙は、平成十一年から平成十五年末までに、これは児童買春、児童ポルノ禁止法の施行後の時期とほぼ一致しますけれども、この五年間で合計二千二百九十七件、千八百八十九人を検挙しているところでございます。
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:2004/07/17(土) 01:26
○石井(郁)委員 最近、聞きますと、出張とか出前などと銘打って、女性を相手の自宅などに行かせて性行為をする風俗業、そういうこともかなり広がっているというふうに聞いています。子供であるということを知りながら登録させているということも聞いています。
私は端緒を伺いましたけれども、やはり子供から駆け込んで、逃げ出して訴えてこういうことがわかる、それはなかなか、やはりそういうケースというのは本当に、全部ができるわけじゃないですから、だから、そこら辺がすごく問題じゃないのかなと思うんですね。
この児童買春の背景は、言うまでもなく、子供を性的搾取の対象とするということで、子供を買うという大人があるという問題、そして、それを業的に行っている、組織的に行っているという部分がやはりこの社会にあるのではないかということもあります。
ですから、本当にその実態を把握したり、その対処をきちんと考えるということを政府がやらなければ、やはりつかみ切れないということになっていくわけでありまして、私は、この法律にのっとって、本当に実効性のある対策を政府としてぜひ上げていただきたい。そのためにも、大臣のその点の取り組みの御決意をぜひ、どういうふうにやっていくのかということを伺いたいと思います。
○小野国務大臣 本当は、法律はつくりましたけれども、こういう法律に絡む事件の実態が起きようなどというのは思いたくもない、そんな思いでございましたが、現実的にそういうことが現実の姿になってしまったということ、これは、子供たちを守る子どもの権利条約から照らし合わせても、国際的見地から考えましても、あってはならないことでございます。
各般のそれぞれの対応の中で、子供たちにも、例えば学校教育の中、それから家庭教育の中、さまざまな折々に、そういう買春、売春に関する話題というものも、日常生活の中でだれが承知をさせていくかということもあわせて、そういう業者に対する警察のありようも毅然としたものを持っていかなければならない。それぞれのつかさつかさによる今後の対応というものをより一層しっかりしていかなければならないということを認識させていただいております。
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:2004/07/17(土) 01:27
○石井(郁)委員 アメリカの国務省が毎年、人身売買についての国別報告書というのを出しているんです。昨年六月の報告書で私は見ているわけですけれども、日本は人身売買の数が多いにもかかわらず、処罰が弱い、訴追の件数が少ない、そういう問題点が指摘されているんですね。
政府も署名している国連の児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書、この議定書には、国境を越えた形態を含めてあらゆる子供の人身売買を禁止する、締約各国に防止と処罰の義務を課している、こういうものですけれども、やはりその立場で本当に実効性のある施策を行う必要があるんじゃないかという点で、この点でも、アメリカの国務省のそういう報告書で指摘されているという点について、大臣としての御認識も再度伺っておきたいと思います。
○小野国務大臣 今、議員御指摘のとおり、米国国務省の報告書によりますと、人身取引を特別に禁止する法律がない、また、実務上適用されている出入国管理法等において科される刑罰が軽いということの指摘がなされているものと承知をいたしております。
また、児童の権利条約選択議定書におきましては、締約国に対し児童を対象とする人身取引を犯罪として処罰することを求めているわけでございます。
児童を性的に搾取するために取引するなどという行為は、児童の権利を著しく侵害するものでございまして、先ほども申し上げましたけれども、許されざる行為である。このような行為に対しましてはやはり厳しい態度で臨むことが必要でありまして、今回の法改正の趣旨に沿うものと考えており、今後とも、国際的な動向を踏まえつつ、児童の権利を最優先に対応していくことが必要であると考えているわけでございます。
○石井(郁)委員 あっという間に時間になってしまいまして、私は最後に、この選択議定書を政府はまだ批准しておりませんから、やはり一日も早く批准するように求めたいと思います。
そして、済みません、ちょっと下さい。児童虐待でも、この法改正を見た後で、これはまた新聞報道です。実際の事件は昨年の十二月なんですけれども、大阪では、母親が障害児を抱えて孤立して、六歳の子供を死なせてしまった、そのときには一歳の体重しかなかったということなんです。だから、乳幼児健診とか保健所での健診とか就学前の健診だとか受けていない家庭でこういう悲惨な事件が起きるんですね。
私は、そういう点でも、残念ながら、きょうおいでいただいて、御答弁を用意していただいたと思うんですけれども、質問時間がなくなりました。私は、今本当に行政がきちんとこの虐待、買春問題に取り組まなければいけないんだ、やることはたくさんあるということを強調させていただきまして、きょうは質問を終わります。
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:2004/07/17(土) 01:27
159-衆-法務委員会-32号 平成16年06月01日
○本多委員 民主党の本多平直でございます。
きょうはこの国際捜査共助法の改正案について質問をさせていただきたいと思うんですけれども、国際捜査の共助というのがどんな役割を果たしているのかという資料をいろいろ読ませていただいた中に、私の選挙区であります埼玉県熊谷で殺人に遭った方の御遺体が中国まで運ばれてしまって、その御遺体を捜すときの中国当局と日本当局の協力が功を奏したおかげで、無事というわけじゃないんですけれども、その御遺体が発見できて捜査が進展したという例が近時の一番重要な例として載っていたのを読みまして、本当に、国際間でいろいろ価値観が違ったり仕組みが違う中で御努力をされている法務省と警察など関係の方々には心から敬意を表したいと思います。
その中で、こういう方向を、どんどんどんどん協力の仕方を見直して、役所と役所のできるだけスピーディーにやっていくという方向性にはおおむね賛成なんですが、双罰性という概念、今回この法律を勉強する中で、これについて緩和されていくという方向性が指し示されているんですが、私は本当にそれでいいのかなという疑問を少し感じましたので、その観点から御質問をさせていただきたいと思います。
そもそも双罰性というのはどういう概念なのか、お答えください。
○野沢国務大臣 国際的な犯罪の捜査を進める上でそれぞれの国が両方とも共通の処分をする、こういったことが整っているところが双罰性あり、あるいはその必要がないところは双罰性不要ということで処理をしているところでございます。
○本多委員 どうしてそういう概念が今までは必要とされてきたのか、お答えください。
○中野大臣政務官 今の御質問でございますけれども、例えば我が国で行われたといたしましても犯罪にならない行為、例えばアメリカでいいますと、単純な児童ポルノの所持だとか被告人による偽証とか、いろいろ問題がございますけれども、そういうような行為について捜査機関が証拠の収集を行って外国に提供することは、国民感情に反するおそれがあるということから一般的には適当でない、そういうことが当時から言われておりまして、そういう点からこのような考えになったと思います。
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:2004/07/17(土) 01:27
○本多委員 今非常に政務官からいいお言葉があったんですけれども、日本では犯罪ではないものの捜査に協力するというのは、国民感情として余り納得はいかないんですよね。そうですよね、当然。日本では犯罪じゃないことの捜査をアメリカが一生懸命するのは勝手だけれども、それに協力するということは、日本で犯罪じゃないんだから、ない。
その条件を緩和していこうとされているのがこの今回の法律、条約なんですが、なぜなんでしょう。
○実川副大臣 近年、我が国におきましては外国人による犯罪が増加しております。また、世界的に見ても国境を越えて敢行されます犯罪が増加しておることは委員御指摘のとおりでございますけれども、このような事態に有効に対処するためには、諸外国との捜査協力を一層推進し、また捜査共助の迅速化を図ることの重要性が極めて高くなってまいっております。
そこで、我が国政府は、米国との間におきます捜査共助の実効性をより一層高くするために、刑事に関する共助に関する日本国とアメリカ合衆国との間の条約を締結しまして、条約に別段の定めがある場合には、双罰性の有無にかかわらず共助を……(本多委員「時間がないんで、済みません」と呼ぶ)そういうことで、国際共助法の関連規定の改正を行うこととしたものでございます。
○本多委員 ちなみに言っておきますけれども、今、泉議員の質問を聞いていらっしゃいましたか。外国人の犯罪はふえているんですか。私はそんなこと、委員の御指摘のとおりと言われると困るんですが、言っていませんので。訂正してください。
○野沢国務大臣 今、泉委員からいただいたこの資料でございますが、この図二にございますように、一並びに二ともに件数そのものはしっかりふえております。
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:2004/07/17(土) 01:28
○本多委員 そこはいろいろな言い方ができるということを先ほど泉議員は質問していて、それを一方的にだけとらえて、委員も御指摘のとおりとか、そんな勝手なことを言わないでください。
それで、双罰性は国民的な感情に沿った仕組みなんですね、双罰性を国際共助に要求するのに。今の副大臣のお答えの中には、ちょっと、なぜ今回双罰性を緩和するのか、全然お答えになっていないんですが、もう一度お願いします。
○実川副大臣 条約を締結する場合には、双方の締約国の法制度の相違、また国民的感情等にかんがみながら、どの範囲での共助を実施するか、どのような場合に共助を拒絶するか等について、外国との間で詳細に取り決められております。我が国の法体系上、共助をする場合が相当でない場合には、共助の義務を負うことがないように取り決めることもできることから、条約に別段の定めがある場合には、双罰性の有無にかかわらず共助を実施することができるようにすることは、問題ないというふうに思われます。
また、我が国で犯罪とならない行為についての共助であっても、共助の実施が任意処分により可能である場合には、そもそも処分の対象者の任意の協力があることから、その権利保護の観点から見ましても、条約の要請に従って共助を実施することに問題は生じません。
また、他方、強制処分が必要な場合におきましても、裁判官において令状を発するか否かの審査を行う上……(本多委員「ちょっと、質問に答えていないよ」と呼ぶ)日米間に、共助の場合に、条約においては個々の具体的事案に応じて国民の権利保護に配慮をし、双罰性がない場合には強制処分等を行うか否かは我が国に裁量権があるようにしているものでありまして、この点も問題ないと思われます。
○本多委員 副大臣の説明ときのう役所の方が言っていたのは若干違って、何か国際的な趨勢だという説明を受けたのでそういう答弁がいただけるのかなと思って聞いたので、違うということなので、それはそれでいいです。
外国では、今、双罰性の要件というのがどういう状況になっているんでしょうか。これはしっかり堅持、共助を行うときに双罰性なんか要らないよという国と、いや、それでも双罰性は要るんだよという国、両方あると思うんですが、どういうふうに法務省としては把握されているでしょうか。
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:2004/07/17(土) 01:28
○中野大臣政務官 外国の例について申し上げますけれども、あらゆる国について調査したわけではございませんけれども、米国だけではなしにフランスとかカナダ等におきましても双罰性は共助の要件とはされておりません。また、オーストラリアとか韓国、英国及びドイツも双罰性は原則不要としておりまして、これに対して、イタリアとかタイでは双罰性を原則必要としておりますけれども、条約で別に定めれば不要という法制であるということを承知しておりまして、今回の法案におきましては、日本においてもこのような趣旨で今御提案しているわけでございます。よろしくお願いします。
○本多委員 そういうことなんですよね。国際的には双罰性を必要としない国が多いし、イタリアやタイは双罰性を要るとしていても条約では例外にできるということなんで、そのぐらいには合わせようという今回の提案だと理解をしています。
しかし、私は、ちょっと賛成反対は別として、疑問を呈したいということなんです。ですから、疑問として聞いていただきたいんですけれども、本当にそういう国際的な流れに沿っていいのかなということなんです。つまり、捜査の、何を犯罪とするかというのは、国家にとって本当に大事な部分だと思うんですね。まさに法務省が担っている刑事法制の根幹だと思うんです。そして、今回アメリカと日本の関係なんですが、アメリカで犯罪になって日本でならないもの、日本で犯罪になってアメリカでならないもの、例えばどんなものがありますか。
○実川副大臣 我が国で犯罪とされていて米国で犯罪とされていないものという御指摘でございますけれども、米国には連邦法のほか各州に法律があります。これは御指摘のとおりでございますけれども、すべての法律を調査したわけではありませんが、例えば我が国では犯罪とされていて米国では犯罪とされていないものにつきましては、けん銃の単純所持あるいは覚せい剤、大麻の自己使用行為、または信書の隠匿・開封行為などがございます。
○本多委員 逆はいかがでしょう。
○実川副大臣 逆でありますけれども、例えば、我が国では犯罪とされていないけれども米国では犯罪とされているものにつきましては、陪審員に対します影響力の行使、または被告人による偽証、さらには児童ポルノの単純所持などがあると称されております。(発言する者あり)
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:2004/07/17(土) 01:28
○本多委員 今、後ろからと言ったらいけないんですね、戸別訪問とかがあるのかないのかわからないです。
例えば、脱走罪というのはどうですか、軍隊からの。
○野沢国務大臣 突然の御質問ですので、調べましてまた御返答いたします。
○本多委員 きのう通告してあるんですけれども。
○野沢国務大臣 外国の法律の適用の問題でもございますし、全く事実の具体的な問題を離れての成否をここでお答えするのは差し控えたいと思います。
○本多委員 具体的な事実というのは何ですか。私は、軍隊からの脱走罪というのは、これはどっち、日本にはあるんですか。
○野沢国務大臣 その事柄だけでは抽象的でございますから、その辺についてのしっかりした事実関係、そういった具体的事実がやはり必要であろうかと思います。
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:2004/07/17(土) 01:29
○本多委員 わかりました。
それで、私が言いたいのは、犯罪が違うところというのは、実は、別に殺人というのはどっちでも罪にできるんですね。例えば、だれから見ても、強盗とか強姦とか、本当にそれはもうだんだんだんだん、特に、もちろんアラブの一部の国とかには、日本では犯罪じゃないようなことが犯罪とされている極端な部分はあるんですが、おおむね日本とアメリカでは共通しているわけですよ。ですから、わざわざ双罰性の要件なんか緩和しなくても、ほとんどの犯罪においてそんなに支障はないわけです。
そして、では残されたところはどんなところかというと、今、本当に具体的に出たのは、例えば、単純にけん銃を持っているのが、日本では犯罪だけれども、アメリカでは違う。児童ポルノというのは、アメリカでは持っているだけで犯罪になるけれども、日本ではならない。
これは、非常にミクロではあるんですけれども、実は、御存じのように、けん銃を持つことを違法にするかどうか、アメリカでは大変な議論を、二分してやっているところなんです。それから、例えば児童ポルノの話も、私も今回党内で議論をしました。これを、本当に違法にして、さらに犯罪にしようという声もたくさんあるんです。ただ、それは、捜査の面でいろいろ行き過ぎが生じたりするのではないかというおそれから、私なんかはそこは消極なんですよ。単純に持っているだけを犯罪にまでしちゃったり違法にしちゃったら、これは、パソコンをあけたら大変なことになる。これは、意見は日本の中でも分かれているんですよ。
こういうことを一生懸命国会で議論して、それからアメリカの方もけん銃のことを議論して、それを犯罪にするかしないかというのは、これはまさに国家の大事なポイントとして決めていることなんですね。それを、違うものを別に共助する必要はないんじゃないか。それはおおむね、別に殺人とか強盗とか、大きな犯罪に関して関係するわけではないので、今回この要件を緩和する理由がよくわからないんですが、そこはいかがでしょうか。
○野沢国務大臣 共助をする、しないの問題もいろいろございます。それから、双罰性の有無についても、国によっての国情の違いもある。これは、委員今御指摘のとおりの状況にございますが、今回、私ども、双罰性の要件を緩和することにつきましては、今までのこの法律の仕組み、それから証拠の取りそろえ、また、それに対する解釈、適用の問題等々、相当慎重に審議をして取り組んできたわけですが、条約でそれを明確にすることによりまして、これらの検討に要する時間を短縮しまして迅速な捜査が行われる、ここに目的があるわけでございます。
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○本多委員 もちろん、捜査の迅速さという説明も受けましたし、今大臣からもそういう御答弁をいただきました。
迅速さは必要だと思うんですが、今後、ますます国家間でこういう刑事の部分というのが近づいていくというのは、ある意味いい面もあるんです。ただ、残された違いというのは、まさに国家がある限りそれは大事にしていく。それは、一方の国では犯罪になること、違う国では犯罪にならないものというのが残るからこそ国家が違うという部分だと思うので、そこは一概に、もちろん犯罪人の引き渡しなんかに関しては双罰性がしっかり残っているということですからそこは安心しているんですけれども、捜査の協力ということだって、例えば児童ポルノの単純所持の捜査、これはアメリカでは犯罪ですから、では日本でも協力してくれというと、日本人のパソコンをどうあけて、つまり、私が懸念をしているような懸念が生じてくるわけなんですよ。
ですから、そこは、国家として毅然として、何か本当に大きな支障があるならもちろん双罰性の要件を緩和してもいいです。これで極悪人が逃げちゃう、こういう要件を緩和しないとアメリカと協力できない。本当に重要な要件があるんだったらいいんですが、何かついでのように、国際捜査共助法の二条ですから、二条を変えるというのは、やはりある種法律の大きなところを変えることになると思いますので、そこは重要な変更をしていくんだという覚悟というか、それはあるんですかね、大臣として。
○野沢国務大臣 今、具体的な課題として、委員、児童ポルノの問題を御指摘されましたが、米国では処罰されてはいるものの、我が国では処罰されていない、こういう行為についても常に共助を実施することは不当だということにはならないと思います。
なお、共助を実施することは、それが任意の処分により可能である場合には、処分の対象者の任意の協力があるわけですから、その実施は不当とは思えない。他方、強制処分が必要な場合については、例えば、対象者が任意に証拠の提供に応じる用意があるのに形式的に捜査機関に対して令状の取得を求める場合もありまして、あらゆる場合でも、強制処分により共助を実施することが不当とは言えないと考えております。
なお、日米刑事共助条約においては、双罰性がない場合の強制処分の実施は我が国の裁量権にゆだねられているところでございます。
いずれにいたしましても、共助を行うかどうかということにつきましては、要請された証拠の重要性、処分を受ける者の不利益の有無、程度などを総合的に勘案しまして慎重な運用を心がけてまいりたいと思っております。
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:2004/07/17(土) 01:29
○本多委員 ぜひとも、双罰性のないものに関しては、私の考えとしては、今回この条約、法律がどうなるにせよ条約はもう結んでいらっしゃると思うんですが、慎重な共助の対応というのをしていただいた方が、私は、それは国家というものが残って、刑事法制をそれぞれ独自に持っていくということの価値はそこにあるのではないかと思いますので、そこはしっかりと御理解をいただければと思います。
先ほどの脱走の話は後ほど調べていただくということなんですが、実は、これはある意味、けん銃の所持と児童ポルノの単純所持というのは、ミクロというとけん銃の方は大きい気もするし、児童ポルノも重大なんですけれども。
例えば、日本とアメリカで軍隊を持つか持っていないかという違いがあるわけですね。自衛隊にももちろん職務怠慢とかそういう犯罪はあるんでしょうけれども、軍隊から脱走するのと、また自衛隊という組織からというのは、それは本当に双罰性と言えるのかどうか私は疑問ですので、そういうこともしっかりと検討して、今話題になっているいろいろな課題にも対応をしていただければと思います。
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:2004/07/17(土) 01:30
159-参-法務委員会-13号 平成16年04月22日
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
本改正案は、日本が初めて結ぶ刑事共助条約である日米刑事共助条約の締結に基づくものであります。
私、かつて、二年ほど前に、この国際的な捜査共助条約を締結を推進すべきだということを質問をしたことがございます。児童買春・児童ポルノ禁止法に国外犯規定ができました。ところが、アジアの国との捜査共助が非常に不十分で、その捜査に時間が掛かっているという例を挙げまして、この共助条約を推進すべきだという質問をいたしました。
ところが、当時の前任の刑事局長の答弁は大変消極的でありまして、「条約があればよりやりやすくなるのではないかということも、それは一つの御意見としてあるわけでございますけれども、」として、今も体制はほぼでき上がっているということを言われましたし、また、「どちらかといいますと、法制的な問題と申しますよりは、実際の共助を実施していく上での運用の問題」なんだと、こういう答弁をされまして、大変消極的というか慎重だなという印象を当時持ったんです。
今回、アメリカと結んで、この法は改正になるわけでありますけれども、これまで日本がこういう共助条約を結んでこなかったその理由というのはどこにあるんでしょうか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 刑事の分野における国際協力体制の構築は重要でございまして、御指摘のとおりに、その一つの方法として二国間での条約締結があることは、前からそういう考えがございますし、当局としても十分認識していたところではございます。
他方、我が国は、条約を締結していない諸外国からの要請につきましても、国際捜査共助法に基づいて共助を行うことが可能であり、条約を締結しなくともこれまで諸外国との間で相互に捜査共助を実施してきた相応の実績があったことから、これまで刑事共助条約を締結しなかったものでございます。
そういうような実績を踏まえつつ条約というものの交渉をしていくべきものだというふうに考えておりますが、条約を締結するには、まずもってお互いの国の司法制度の信頼関係をお互いが持つということも重要なんではないかというふうに考えておりまして、捜査共助の実績を積みながら検討をしていきたいというふうに考えていたところでございます。
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:2004/07/17(土) 01:30
○井上哲士君 信頼関係と実績を積みながら考えてきたと、こういうことでございました。
そうしますと、外務省に来ていただいているんですが、今回の日米刑事共助条約の締結というのはアメリカからの要請というのが大きな流れだったと承知をしているんですが、その経緯、そしてアメリカが求めてきた理由、その点はいかがでしょうか。
○政府参考人(長嶺安政君) お答え申し上げます。
まず、背景といたしまして、近年の国際犯罪の増加に伴いまして、捜査、訴追、その他の刑事手続に関しましては国際的な協力の重要性が高まってきておるという背景があります。このような背景の下で、米国はかねてよりこの分野における二国間の条約の締結を諸外国との間で進めてきているということがございました。そして、我が国に対しましても同様の条約の締結についての申入れが行われてまいりました。
これを受けまして、平成十年の十一月でございますが、当時、大統領であるクリントン大統領が我が国を訪問した際に、日米の首脳会談におきまして、日米両政府間で捜査・司法共助条約の締結交渉を行うことで一致したということが発表されました。これを受けまして、その後、平成十一年二月の第一回交渉以降、累次交渉が進められてきたわけでございます。そして、平成十五年六月に至りまして実質的な合意に達し、同八月に署名が行われたということでございます。
以上が経緯でございまして、今次国会におきまして条約の締結の御承認を得たいと考えて、これを提出させていただいているところでございます。
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:2004/07/17(土) 01:30
○井上哲士君 そうしたアメリカからの要請があったということであります。
先ほど来、外国人犯罪の増加という文脈で、アジアの国々との刑事共助条約を進めるべきだという御質問がありました。私も、それはそれで大事だと思います。同時に、何も外国人犯罪だけの問題ではないんですね、刑事共助というのは。日本人が外国で犯罪を犯すということもあります。
私、その二年前に取り上げたときの問題というのは、児童買春・ポルノ禁止法での国外犯規定の関係でありました。一九九九年に、日本人の男性五人がタイに行って現地で性的虐待をやったと。で、日本に帰ってきたけれども、そして日本国内で裁判をする上で、そのタイでの証拠を集めようとしてもなかなか時間が掛かって、二年も三年も掛かった、こういう例を挙げて、この国際共助を進めるべきだということを申し上げたわけでありますが、そういう見地も非常に大事だと思うんですね。
ですから、今後、こうした児童買春とか麻薬の問題などもあります、銃、武器の取引などの問題もある、そういう観点も含めて、このアジアの国々とか途上国との関係でも捜査共助を、条約などを進めていくということも必要かと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 法務当局といたしましては、これまでの共助の実績や相手国の法制等を踏まえながら、関係省庁と協議しつつ、委員の御指摘のようなお互いの国のニーズも踏まえて検討をしながら、二国間の刑事共助条約の締結の可能性についてあらゆる方面からいろんな国と検討していきたいというふうに考えております。
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カマヤン
:2005/08/09(火) 16:33:10
以下、「個人情報保護法」と雑協
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:2005/08/09(火) 16:33:47
156-参-個人情報の保護に関する…-8号 平成15年05月20日
○参考人(山了吉君) 日本雑誌協会の個人情報・人権等プロジェクトチームの座長をしております山と申します。よろしくお願いいたします。本日はこういう機会を与えていただきましてありがとうございます。
一応、今までいろんな意見を表明してきましたけれども、皆様のお手元にありますこの「緊急出版」というこの小冊子と、あと個人情報可決に際する抗議声明あるいは共同アピールですね、日本雑誌協会、九十数社、皆様がお読みになる雑誌ほとんど入っております。
それで、雑誌というものはどういうものかというのは、皆様、質疑応答、いろんな問題が起こったときに雑誌の情報をお使いになったり、あるいは使われたりしていろんなことに直面されておりますからよくお分かりだと思うんですけれども、日本雑誌協会がこのような形の緊急アピールを出したり、新聞広告の意見広告を出したり、あるいは声明文を出したりすることはほとんどありませんでした。ところが、この個人情報保護法が四年ほど前に問題になりまして、私どもは、表現の自由、言論の自由にかかわる法律だということで、ここに一緒に座っております堀部委員長、当時は検討部会を堀部委員会と言いましたけれども、堀部先生、大山先生が属していらした委員会のヒアリングに私参加いたしまして、その後、園部委員会、いわゆる専門部会ですね、これにも私ヒアリングで参加しまして、そのたびに出版、雑誌にかかわる部分についてははっきりした意見を述べてきました。
それが、旧案が廃案になりまして、その後、修正案というんですか、修正案ができまして、それに対しても、旧案、廃止になりました旧案に対しても意見広告を出しておりますけれども、今度修正案になったときも、例えばこういう形で意見広告を私ども出しております。これは、新聞にこういう形で雑誌が一丸となって出すことは初めてです。これは、初めてというのは、前回も同じ法案で出したんですね、個人情報保護法案に反対する共同アピールと。私たちは言論の自由を脅かす法律を許しませんということをちゃんとこれは言っております。中を読んでいただければ分かりますけれども。
あとまた、この雑誌も講談社が緊急に出したんですけれども、この裏にも緊急アピールを出しております。これは雑誌を黙らせる法律ではないのかということで出しております。こんな、これだけに出しておるんじゃなくて、私ちょっと持ってきたんですけれども、コミック誌とか、あるいはこういうコミック誌なんかにもこうやって出しております。約十二社、六十数誌に出しております。それも一度や二度じゃありません。かなりな回数出しております。
何で雑誌がこんなに怒るのかとか、何で雑誌がこんなに抗議をするのかという理由を今から述べていきたいと思います。
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:2005/08/09(火) 16:34:06
156-参-個人情報の保護に関する…-8号 平成15年05月20日
これは、これをお読みになれば分かりますけれども、まず今度の法律、個人情報保護法というのが必要なことは分かっておるんです、実は。ところが、御存じのように、雑誌というのは個人情報の積み重ねによってできる記事が多々あります。これは、先ほど城山先生おっしゃったような意味でいいますと、フリーライターがあるいは作家が取材するということは、つまり個人情報をきめ細かく集めてそれをノンフィクションの作品にしたり記事にしたりすることにつながります。
同じ個人情報ですけれども、私ども雑誌にしてみれば、なぜ出版社、雑誌というのが明記されていないのかと。つまり、放送機関、新聞社、通信社というのは明記されています。その後、廃案になったときに城山先生とか吉岡忍さんとかいろんな方が抗議されて、著述を業とする者とか著述の用に供するものとか報道の用に供するとか、そういうものに、そういうほぼ作家を指すであろう、フリーライターを指すであろうというものは明記されておるんですけれども、先ほど城山先生がおっしゃった、そのとおりなんですけれども、発表する舞台である本、出版、雑誌は一行も書かれておりません。なぜ書かれないのかということは、ここに藤井さんがいらっしゃるんですけれども、何度も藤井さんともお会いしまして話をしました。与党の議員の先生方、公明党、自民党、何度かお会いしまして話しました。
ところが、去年から今年にかけてもそうですけれども、今、今日も村上正邦さんが、参議院の元の議長の、村上正邦さんが問題になったKSDのことが出ていますけれども、これは週刊朝日がやったものなんですけれども、ほとんどが雑誌がターゲットにして、雑誌がスクープという形で記事にしたものが国会で取り上げられます。何も政治家のスキャンダルだけをやっているわけじゃないんですけれども、往々にしてそういう政治家の先生方の問題を取り上げる機会が多いんですね。そういうこともあってでしょうかね、許せぬという声があるらしいんですね、与党の先生方には。これは名前も言ってもいいんですけれども、公明党、自民党の衆議院議員の方にも聞きました、閣僚の中の何人か。それで、議員の何人かはやはり昨今の雑誌は許せぬという声があると。どうしても明記することについては納得できないとおっしゃっていると聞きました。
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:2005/08/09(火) 16:34:25
156-参-個人情報の保護に関する…-8号 平成15年05月20日
というのは、要するに雑誌、出版というのを報道の中に入れるべきじゃないんじゃないかという考え方だと思うんですね。藤井さんとお話ししたときには、その他の報道機関は雑誌を含みますよと。あるいは前回の衆議院の委員会のときには小泉首相自らが、いや報道にかかわるなら雑誌も入りますよと答弁されています。しかし、法律というのは条文に書いてあることがすべてなんですね。解釈、運用がすべてです。これはもう何度も法廷で、私どもは実際に法廷に出ますと裁判長の判断ですよね、条文に基づく。これが一番大きな、日本雑誌協会としては問題です。
この次に、報道の定義について、私も朝日新聞に投稿して記事が載っておりますけれども、報道の定義がなぜこんなに狭いのかと。先ほどのことに準ずるんですけれども、報道というものをどうしてこんなに狭くしたんだということを疑問に思っております。というのは、皆さんも何度も何度も話聞かれておりますけれども、不特定かつ多数の者に客観的事実を事実として知らしめること及びそれに基づく見解、意見を含むと。客観的事実を事実として知らしめるということはどういうことなんだと。
これもここにいらっしゃる藤井さんと何度も話し合いましたけれども、委員会の衆議院の議事録読みますと、客観的事実を事実として報ずるというのはどういうことかということを何度も質問されております。それに対する答えですね。細田大臣なんかは、社会の出来事を広く知らせることですと。じゃ、そう書けばいいじゃないですか。社会の出来事を広く大衆に知らせる、公衆に知らせる。何でもいいですよね。つまり、報道という定義は何も客観的事実を事実としてなんて持ち出す必要はないわけですよね。
これはどういうことを意味するかと。何月何日、どこで何がどう起こったと、こういうことをニュースとして、いわゆるニュースとして報ずるものが報道であって、まだだれも知らないもの、例えばスクープなんてだれも知りませんよね、それは報道に入るのかと。だから、今度は行政の方々がその委員会で、衆議院の方で記録を読みますと、いや、報道機関が報道と思えば報道ですよと。何を言っているんだと。そうは読めないだろうということなんですね。
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:2005/08/09(火) 16:34:42
156-参-個人情報の保護に関する…-8号 平成15年05月20日
だから、私どもは、この報道の定義については、幾ら委員会とかそういうところで言っても、条文をそう書けばいいではないかということを何度も言いました。それは通りません、しかし。はいというので、次に最終的に附帯決議でちょっと雑誌、出版も含むというようなこと入りましたけれども、附帯決議というのは本会議の議決事項でもありませんし、法律の条文に載るわけでもないし、附帯決議でも付けておこうかというような感じがあるような気がしてしようがないですね。これは失礼かとも思いますけれども、ちょっと附帯決議に載ったからどうだというんだというようなところが正直なところあります。
それから、何で報道をこんなに定義をするのかというと、やっぱり主務大臣ですよね。だから、主務大臣がどうかかわるかです。主務大臣の権限が大き過ぎますよね。その主務大臣が例えば去年お辞めになった某議員だったりした場合どうするのかというように考えたときには、その主務大臣の判断じゃないですか。じゃ、その主務大臣はじゃ自分の問題がかかわったときどうするんですか。その主務大臣がそんなに権限があって、我々が信用しろといったって信用できるわけじゃないでしょうというふうに言いたいわけですね。主務大臣の権限がもし必要だったら、主務大臣の立証責任とか主務大臣をチェックする第三者機関なんかは考えられないのかと。これは野党案も出ておりましたけれども。そういうふうに考えるぐらいですね。
それから次に、この報道の除外のところの第三項にやっぱり報告の努力義務の規定があります。この報告の努力義務の規定というのは、個人情報取扱事業者で適用除外に関しても、非常に当該措置の内容を公表するように努めなければならないという努力義務なんですけれども、これは五十条第三項は拡大解釈もいろいろできるんじゃないかというので、ちょっと危惧しております。
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:2005/08/09(火) 16:34:58
156-参-個人情報の保護に関する…-8号 平成15年05月20日
それで、実際に私どもが雑誌の取材というのがどういうふうなものになるかということで危惧するのは、これも三十五条でしたかね、一応、主務大臣は、三十五条に、主務大臣は表現の自由、学問の自由、信教の自由及び政治活動の自由を妨げてはならないという縛りがあります。確かにそれは縛りはあります。しかし、その表現の自由を妨げてはならない主務大臣が報道か否かを分けるわけですね。報道か否かを分けるということは、つまり報道か否かを分けた段階で、報道ではないというのはどういうことだろうかということで話をした、自民党の衆議院のこの案を作られた先生方と話したときに、先生方が、フリージャーナリストと称するやから、あるいはブラックジャーナリストも一緒にして適用除外にはできませんよねというようなことを聞きました。フリージャーナリストと称するやからとかブラックジャーナリストと。確かに、いわゆる政治の周辺にはいろんな方がいらっしゃることはよく知っております。私ももう編集者を三十数年やっておりますので、もう議員会館も何百回来たか分かりませんけれども。要するに、はっきり言ったら、報道と称してカツアゲしたり、あるいは何か善からぬ動きがあるというようなこともあり得るということだと思うんですね。
例えば、政治家の先生方が身辺をどうも探られているらしいと。フリージャーナリストと称するやからが徘回して、何やら怪しげな動きをしておるというようなことがあったとしますね。そうした場合には、これは報道以前だと、報道になる前の話なんだということになった場合には、はっきり言ってその報道に対して、その前の段階で主務大臣への警告、あるいは主務大臣に言われますと、その主務大臣からちょっと待ってと、これは報道と称しているだけじゃないのかとか、報道と言っているけれども実際には報道じゃないんじゃないかというようなことが、ストップが掛かる可能性がなきにしもあらずなんですね。そうなった場合には、せっかく極秘裏に進めていた調査報道がそこで打ち切られることになります。
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:2005/08/09(火) 16:35:19
156-参-個人情報の保護に関する…-8号 平成15年05月20日
私どもが心配するのは、結局、どんな事件でもどんな記事でもですけれども、まず週刊誌に内部告発がされたり、ある文書が送られた場合にはそれをはっきり言ってまず調査します。怪文書が来たからそのまま記事にするなんということはないんですね。まずそれをやります。やるときには、やはりそれなりの調査の仕方があります。それなりの取材の仕方があります。これはもう当たり前だと思うんですけれども、その段階で報道なのか報道でないのかということを判断された場合に、非常に、報道でないという判断がぽんとされた場合にはそこで打切りですね。もうそこから先に進められません。そこから先を進めようと思ったらなかなか大変なことになります。私どもは、そういうふうに取材にストップが掛かるんじゃないかという危惧は、もう先行取材、予備取材の段階での、報道以前の判定をされたときにはどうなのかということが一番大きな問題ですね。
それからもう一つ、これはもう既に、一昨年ですか、ある週刊誌が個人情報保護法違反ということを付けられまして、ある社長の記事に対して、その弁護士さんが訴えを起こしています。個人情報保護法はまだできていないよということで、こちらが反論をその会社の弁護士さんに書いたというのを聞きましたけれども、刑法の名誉毀損罪、民法の不法行為責任に加えて個人情報保護法違反というのが訴えの一因にされるということで、この条文ですと、この条文は、もうたくさんの弁護士さん、たくさんの司法関係の資格をお持ちの方もいらっしゃるのはよく分かっているんですけれども、もし裁判官がこの法律を条文どおり解釈したらどういうふうに適用されるか、それを大変私は危惧しております。私はというよりも私ども日本雑誌協会は。
もしやっぱりこういう問題がストップが掛けられたり、何か個人情報保護法を使われるような判断をなされるようなことがあった場合には、やっぱりそれにこだわって記事にして、そのことを記事にして社会に問い掛けていかざるを得ない。この条文のままですと、非常に出版、雑誌は、現場での怒りもそうですけれども、私どもも大変危惧する内容です。実際に司法の現場でこのまま使われた場合には、私は、かなりプラスアルファの損害賠償金額を取られたり、あるいは謝罪文を掲載を命じられたりすることになるだろうと思っております。
以上、一応、まだ細かいところありますけれども、日本雑誌協会の個人情報・人権等プロジェクトチームの座長としての立場で見解を述べさせていただきました。
ありがとうございました。(拍手)
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カマヤン
:2005/08/09(火) 16:36:05
>>144-150
以上、「個人情報保護法」と雑協
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:2005/12/30(金) 01:46:26
[001/001] 94 - 参 - 決算委員会 - 5号
昭和56年03月30日
○野田哲君 さらに総合研究開発機構というのがありますが、この中で「二十一世紀への課題」という最終報告書がされているわけですが、この中で「国際環境の変化と日本の対応。二十一世紀への提言」、こういう項があるわけです。それによりますと、日本がいつまでも核兵器非保有国であるという認識は一現在では国際的には持たれていない。世界で、近い将来核兵器保有国になるだろうと、こう予測される国の一つに挙げられていると述べています。そしてその決意さえすれば、計算どおりの威力を発揮する原水爆と、非常に進歩した非脆弱な運搬システムを持つことが可能な国だと、こういうふうに挙げられているわけです。
〔略〕そこで、現在の状況を考えてみますと、韓国はすでに核兵器保有国に向けて走り出している、こういうふうに見てもいいのではないかと思うんです。その韓国と日本の間では、済州島に日韓両国の原子力発電所から出る使用済み核燃料の再処理工場を共同でつくるという話も出ているわけであります。さらにまた先般の伊東外務大臣の訪米で、アメリカのプルトニウムの規制措置について緩和の話が出ているということも大きく報道をされているわけです。すなわち、こういう状況というのは、巷間言われているところの、日本が核兵器の保有国になる国際環境というのがつくられつつある、できつつある、こういうふうに言われているわけであります。〔略〕
○野田哲君
〔略〕私は防衛庁に伺いますが、政府の部内で核武装についての可能性、能力について、すでにこのころから検討を始めているのではないか、こういう疑惑を持っているんですが、この点はいかがですか。
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:2005/12/30(金) 01:47:03
○野田哲君 私の手元に「わが国における自主防衛とその潜在能力について」、こういう二百ページを超えるかなり長文のレポートがあります。これはどこでつくったか、そういう点は一切書いてありません。書いてないからこそ、実は問題なんです。かつての防衛庁あるいは政府部内で秘密でやられていた研究――三矢研究とか、その他ずっと秘匿されていた資料のスタイルというのが大体こういう形になっているんです。
そこで、まず、中身は後で私の方から要点を披露して、それぞれの見解を伺いたいと思うんですが、この表題について一つ非常に特異な表現を使ってあるわけです。
それは、「わが国における自主防衛とその潜在能力について」ということで、「自主防衛」という表現を使っているわけですね。この「自主防衛」という表現は、防衛庁の文書でも一時的にしか使われていない、現在ほとんど使われていない用語なんですけれども、この用語はいつごろ使われましたか。たとえば防衛庁の公文書等でこの「自主防衛」という言葉が使われたのはいつごろですか。
○野田哲君 昭和四十五年の防衛白書に確かに初めてこの「自主防衛」という用語が使われておりますね。それ以降も余り使われていない、それ以前はほとんどそういう言葉は出ていない。こういう状態ですから、大体それとこの「自主防衛」という言葉が使われているこのレポートというのは同時期なんじゃないかな、こういうふうに推察されるわけです。
そこで、前文ではこういうふうに書いてあるわけです。前文全部読むわけにいきませんが、趣旨として、
現在の非核国の中で、核兵器生産の技術的能力を保有する国として、わが国は西ドイツとともに最上位にランクされているようである。
しかし、その能力の実態についてはほとんど知られていない。この報告は、わが国が自主的な防衛政策を行った場合、核兵器生産の技術的能力がどの程度あるか、という問題について検計を行ったものである。
つまり、わが国における核武装能力について、検討を行ったものである、こういうふうに述べているわけなんです。
そして、その内容は、まず「第一章 わが国の原水爆生産能力」、「第二章 ウラン資源とわが国の原子力開発」、「第三章 運搬手段の生産能力」、つまりロケットとかミサイルとか、それから潜水艦、こういうふうな運搬手段の生産能力。「第四章核兵器と憲法、原子力基本法および国際条約について」、「第五章 各国の核兵器開発の経過と現状」、こういうふうに述べているわけです。
これだけのことが網羅された核兵器の開発能力、このレポートでありますから、これは当然防衛庁で所持をされているものだと思いますが、いかがですか。
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:2005/12/30(金) 01:47:28
○野田哲君 幾らここで私が押し問答しても、長官も官房長も防衛局長も持っておりますとは恐らく言えないでしょう、これは。言える筋合いのものでないわけですから、しかし、この内容としてはかなり詳細をきわめているし、そしてこれだけのものをつくるとすれば、これは政府の部内でつくる以外にはないわけでありますから、以下、書かれている内容について、主要な点について内容を披露しながら、それぞれの所管の政府委員の見解を伺ってまいりたいと思うんです。
まず第一章の「わが国の原水爆生産能力」、この点について、主要な点ではこういうふうに書かれています。核兵器の生産能力を見積もるための基本的条件としては、必要とされる厳しい仕様を満たす核分裂物質の生産、二番目には核弾頭の組み立てとその実験、三番目には運搬系統の開発とコントロール、こういうふうに挙げているわけであります。やはり基本的条件としてはこの三項、これが当然基本的な条件になると思うんですが、装備局長それから科学技術庁の原子力局長、御見解はいかがですか。
○野田哲君 「ウラン型原爆」という項目が次に記述をされているんです。「ウラン型原爆 高濃縮ウランの生産について」、そこではこういうふうに書かれているんです。
天然ウランから 原爆級の高濃縮ウラン
(九八%以上濃縮)を得る方法には、ガス拡散法、超遠心分離法、熱拡散法、電磁分離法、化学的分離法等がある。しかし、純度の極めて高い高濃縮ウランを相当量まとまった形で得るには、ガス拡散法か超遠心分離法が適しており、そこで、ガス拡散法によるウラン濃縮、わが国の技術水準について、わが国では京都大学工学部原子核工学教室の大石研究室が研究を続けている。工業化の決意をすれば、基礎的データはそろっている。こういうふうに述べて、以下ガス拡散法の原理をずっと説明をされています。そして問題点として、天然ウランの入手の問題。わが国の天然ウラン埋蔵量約三千トン。日本じゅうのウランを残らず掘り出して手に入れられる原爆は一千発。実際に採掘可能な天然ウランは数百トン、原爆二百ないし三百発。長期的な計画として、天然ウランの乏しいわが国としては海水中のウランの回収を考える。現在専売公社、工業技術院、動力炉・核燃料開発事業団によって検討中である。埋蔵資源の採鉱については技術的問題はない。こういうふうに記述されているわけですが、これ政策の問題は別にして、技術的な純粋な問題として、原子力局長いかがですか。
○野田哲君 一般的にはガス拡散法とそれから超遠心分離法、わが国では超遠心分離法、こういうことですね。
超遠心分離法の問題の記述についてはまだ後で伺いますが、六弗化ウランの供給の問題というのが述べられております。これによりますと、旧原子燃料公社の東海里錬所は、ウラン金属生産のために四弗化ウランの製造を十年間にわたって行った実績があり、その技術を六弗化ウランに適用することは容易である。また民間企業でも大手の化学工業会社ならば、その潜在的能力は十分持っている。
とくにダイキン株式会社は政府資金の援助を受け、六弗化ウランの製造プロセスの確立に成功している。
六弗化ウランの供給は、技術上も、工場容量も全く問題はない。
こういうふうに述べられているんですが、これはこのとおりですか。
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:2005/12/30(金) 01:48:09
○野田哲君 次に隔壁ですね、バリア。バリアの製造について、これは国産化はかなり努力を要するんではないか。しかし、実用バリアの生産に成功して、フランスがわが国の関係筋に対してバリア製造技術の売り込みの運動をやっている。したがって、バリアの製造に関する技術の問題は、フランスからの技術導入を行えば、解決が早まるだろうと、こういうくだりがあるんですが、大体そんなことなんですか。
○野田哲君 次に、この資料は経費の点を計算しているんです。いまから約十年ぐらい前だろうと思うんです、これ年次を示してないんですが、大体いまから十年ぐらい前だろうと思うんです。経費について次のような見積もりをやっているんです。
濃縮工場の処理能力を年間天然ウラン五百トンとし、九八%濃縮のウラン約二トンを生産するものと仮定する。その場合、アメリカなど海外の前例から工場建設費を推定すると、つぎのような数字を概算できる。
天然ウラン五百トン処理 五十億円
設備費 五百億円
運転費 十億円
電力料金 百億円
年間固定費 五十億円
生産量 二トン
従って、原爆一発分の原価は、約一億円程度になるものと考えられる。
この程度の規模のガス拡散工場――まあガス拡散法は日本では兵器の問題を離れても余り使われていないということなんですが、ここではそういうふうな記述があるわけですが、
この程度の規模のガス拡散工場であれば、その建設工期は二年ないし二年半で十分である。こういう記述があるわけですが、この価格の見積もりはいかがですか。
○野田哲君 次に、先ほど原子力局長から御説明のありました「超遠心分離法による濃縮」という記述が行われているわけです。内容を読み上げてみますと、
この方式は、アメリカ、西ドイツが過去十年余にわたって研究を続けており、わが国においても理化学研究所で研究が行われた。その資産を引継いで旧原子燃料公社のウラン濃縮研究施設で研究実験が行われてきたのである。原子力委員会の核燃料懇談会は、昭和四十三年三月十五日、遠心分離法を中心にウラン濃縮の研究開発を行うことを決定した。政府がその方針を承認すれば、総額九十億円を投じて昭和五十年までに「工業化するかどうか」の結論を出すことになっている。
一九六七年、アメリカ政府から非公式ではあるが、成果の公表を差控えるよう要請があったようである。遠心分離法の最近の進歩についてアメリカがとくに重視しているためだと考えられる、こういう記述があるんですが、これは時日の経過としては正確になっているわけですか。いかがですか。
○野田哲君 アメリカから何か物申してきたという記述があるんですが、この点はどうですか。
○野田哲君 次に、超遠心分離法についての「わが国における研究の現状」として、
理研時代、東京工大学長大山義年教授をはじめ同大学の高島教授らの協力で、第一号超遠心分離装置を完成し、これを運転していたが、その研究目的や経費の問題などから、これは田原子燃料公社に引継がれることになった。
旧原子燃料公社では、引続き大山、高島教授らの協力を得ながら第一号機の改良を行い、第二号機の試作運転を行ってきた、現在は第三号機の設計を終り、製作にとりかかる段階である。
これらの製作は、東芝および石川島播磨によって行われたが、これまでの運転経験を通じての問題は、
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