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信濃藩家中見聞 其の壱
31
:
太ちゃん★
:2017/03/01(水) 16:46:50
――その頃、城中奥座敷では――
頼綱「このたびも、うまく運びましたな」
城代「これで、八割方仕上がった」
頼綱「しかし、城代職の任期を短縮したあの改定には、さすがの拙者も感心仕りました」
城代「なに、城代など長くやらぬ方が良いのじゃ」
頼綱「またまたお戯れを。短くすると見せかけて、ご自身の任期を延長させたあの裏技は、お見事でござる」
城代「あれ、わかっちゃった? 考えてもみよ、やれ、次期城代は八百の守だ、皆行の守だと騒いでいたのは、殿が、自分と親子の年の差の世代に譲ると仰せだったからにほかならない。殿が倒れた今、それにこだわる理由がのうなった。皆行の守や北条婿の守ら還暦前後の世代には、まだ譲らん。七十五歳前後の頼綱殿、坂田の守殿、そして拙者の三人で、まだまだこれから5年、10年は引っ張ってゆけるだろう」
頼綱「仰るとおり」
城代「その間に、間違いなく、殿は目をつぶる。そうなれば、時の城代は即ち殿となろうぞ。そうなれば、世はわれらが思うままということじゃ。藩律や任期なんぞ、ただの形式に過ぎんからな。それまで、わずかの辛抱じゃ、、、」
頼綱「御意」
二人「はっはっはっ」
(つづく)
32
:
太ちゃん★
:2017/03/01(水) 16:51:37
http://6027.teacup.com/situation/bbs/63094
其の三十
頼綱「ご城代、大変でしたな」
城代「いやーまいったわ。古参の奥方衆がピーチクパーチクと五月蠅(うるそう)てかなわん」
頼綱「聞けば、坂口一文字来代(さか・くちいちもんじ・くるよ)を筆頭に、お局衆の八矢弓引子(はちや・ゆみひくこ)や、秋山蝶首帯妹子(あきやま・ちょうねくたいいもこ)までが揃ってご城代に詰め寄ったとか」
城代「そうよ、あの忌々しい婆どもめ」
頼綱「して、なにを騒ぎおるので?」
城代「先般の幕府の黒船国共闘戦略に我が藩が賛同追従したことや、八百の守の更迭の件やら、『わらわたちは、なにも聞かされておりませぬ! 奥方衆をつんぼさじきになさるのか? かような重大事をわらわたち奥方衆になんのご相談もなく進めなさるなど、これまでには無きこと! ご説明くださらぬかえ』などと申して・・・」
頼綱「なるほど、で、なんとお答えを?」
城代「決まっとるわ!『おなごが政事(まつりごと)に口をはさむな! 全て殿のご意向じゃ。文句あるか!』と、頭からかましてやったわい」
頼綱「ほほう、やりますな。で、奥方衆は素直に?」
城代「いや、『これまで殿は奥方衆を尊重されて・・・』などとグズグズ申しておったが、無視してやったわい」
頼綱「そりゃなんとも頼もしいことで。ですが、あの婆どもおとなしくなりますかのう」
城代「大丈夫じゃ、『本来なら、殿の意向に逆らう者として極刑申し付けるところだが、こたびだけは大目にみる。しばし蟄居謹慎にて勘弁する』と強く申し伝えた。これで静かになるじゃろう」
頼綱「お見事でござった。小うるさい舅女どもさえ黙らせれば、あとはお花畑の若奥方衆、高柳頬紅濃女(たかやなぎ・おてもやん)や、笠貫男転上手子(かさぬき・おとこころがしうまこ)しかおりませぬ」
城代「左様。かえって良い機会であったわい。あとはその空っぽ頭の若奥方衆をおだてておけば、万事安泰じゃ。まっ、そのうち異国旅にでも連れて行けば上機嫌でおるわい」
頼綱「しかり」
城代「それよりも頼綱、懸案になっておる“海外藩民”への対応はどうなっておる」
頼綱「ご心配なく。既に各国の代表の者に誓約書を書かせ、一切こちらには逆らえぬようさせ申した」
城代「ほう、いかなる仕組じゃ?」
頼綱「はい、これまでの各国への寄付金に条件を付けまして、逆らった場合には全額返納させるという誓約に判を押させましてござる」
城代「なるほど、それなら逆らえまい。これで完全に体制は整ったな。あとは静かに殿を棚上げして、藩律を絶対化すれば完成じゃ。明年はいよいよ仕上げの年じゃ」
頼綱「例の“信濃藩仏”作戦ですな」
城代「しっ! それはまだ口にするでない。おぬしと拙者のみ知る最終兵器じゃ」
頼綱「御意」
(参の巻 平成二十七乙未の年 おわり)
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