真夜中を駆けぬける - 1432698307

1：名無しさん：2015/05/27(水) 12:45:07: 不思議な出来事があった。
別に霊現象ではない。
また、未確認飛行物体を見たわけでもない。
2：名無しさん：2015/05/27(水) 12:47:51: 夜中に、筆者の家の前を走る者がいて、
騒がしいやつもいるのだな、と思った。
最初は、新聞配達か何かと思ったぐあいで、
深くも考えもしなかった。
3：名無しさん：2015/05/27(水) 12:48:33: それにしても誰だ。
ある日、筆者は、小便がしたくて目を覚ましたのだが、
小さい子供が、家の前を駆け抜けたのである。
4：名無しさん：2015/05/27(水) 12:49:07: 寝起きでぼーとしている。
そのあと、小便に行き、新聞を取りに行った。
扉を開けると、謎がすべて解けた。
あるオッサンの子供だったのである。
5：名無しさん：2015/05/27(水) 12:50:02: あるオッサンとは、数年前モメた３０代後半くらいの男である。
そのおっさんはコワモテ、というよりは、
ややこしそうな男で、関わらない方がいい。
ところが、ふとしたことから関わってしまった。
6：名無しさん：2015/05/27(水) 12:50:52: その時期、筆者は外で新聞を読んでいた。
外といっても、マンションの敷地内である。
階段のあちこちに、唾が落ちた跡がある。
誰と断定することはできないのだが、
そのオッサンに思える。
7：名無しさん：2015/05/27(水) 12:51:25: すくなくとも、唾の跡の筋に、オッサンの家がある。
筆者は汚いと思いながらも場所を避け、毎日、新聞を
読み続けている。
そのためか、そのおっさんの家の前に来てしまった。
8：名無しさん：2015/05/27(水) 12:51:55: わざとではない。
が、そこでおっさんと出くわしてしまう。
筆者は、唾の跡を避けてただけである。
9：名無しさん：2015/05/27(水) 12:52:40: そういう理屈は、このおっさんには通用せず、
怒鳴り合いになった。
ところが、急に背中を向け、家に入ってしまった。
10：名無しさん：2015/05/27(水) 12:53:24: おっさんには、家庭もあり、子供もいる。
喧嘩を中止し、家に帰ったのは、そのせいかもしれない。
ともかく一件落着
の、はずであった。
11：名無しさん：2015/05/27(水) 12:54:01: ところが、そのおっさんとは、どういうわけか
よく出くわした。
すると、おっさんは筆者の顔を見て青ざめた。
いわば、筆者とは会いたくなさそうに、左右に
目を逸らす。
12：名無しさん：2015/05/27(水) 12:54:35: コワモテの強気はどこにいったのか。
が、これをバカにしてはいけない。
札付きの元ヤンキーというのは、大抵、
心に大きな痛手をもっている。
このおっさんも、その類ではないか。
13：名無しさん：2015/05/27(水) 12:55:11: 筆者のなかでは過去になってしまっている。
マンション内の住民が、ふとしたことから、
モメただけの話じゃないか。
筆者は、普通の人間とちがい、喧嘩に美意識
を持っているため、憎しみに鈍感だった。
14：名無しさん：2015/05/27(水) 12:55:52: 夜中に、家の前を子供に走らせることを
考えてみると、よほど腹に据えかねたのであろう。
一件落着と考えていいものかどうか。
15：名無しさん：2015/05/27(水) 12:56:29: その日を境に、子供が夜中に走ることはなくなった。
筆者は、そのおっさんの顔を思い浮かべた。
この暇人は何者か。
コワモテでややこしそうな男だが、ただ、友達が
家に出入りするところはよく目にする。