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日本語の方言アクセント・イントネーション

71名無しさん:2010/09/23(木) 02:28:13
このスレだけのびるなw

72名無しさん:2010/09/23(木) 23:58:23
沖縄の方言のアクセントは大分のような外輪東京式が祖形と言われることが多いが、
実は祖形を再構してみると外輪東京式にぴったり一致するわけではないらしい。
一部の語の所属が違うんだとか。

73名無しさん:2010/09/24(金) 09:29:06
http://ci.nii.ac.jp/els/110002533578.pdf?id=ART0002805502&type=pdf&lang=en&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1285287233&cp=
この論文によると、二拍名詞では3・4・5類が二つに分裂していて、
12/345(板類)/345(息類)という統合の仕方をしているらしい。

和泊方言のアクセントだと、
LH(H)型
 1類の飴・烏賊・牛・風・傷・釘・口・腰・酒・箱・鼻・星
 2類の石・歌・音・紙・夏・橋・冬
LL(H)型
 3類の網・犬・色・草・雲・米・島・波・花・豆・耳・山
 4類の板・稲・傘・鎌・種・麦
 5類の雨・腿
LH(L)型
 3類の骨・瓶
 4類の息・糸・臼・海・箸・舟
 5類の汗・陰・猿・鍋

また、三拍名詞は12/45(鏡類)/4567(刀類)という統合をしている。

74名無しさん:2010/09/24(金) 09:38:56
リンクに飛べないよ。
方言板の過去スレから拾ってくると、琉球祖語のアクセントには以下のような「系列」が再構されるようだ。

沖縄本島金武方言の体言のアクセント型とその系列 : 「琉球調査用系列別語彙」 の開発に向けて
松森晶子(2009)
http://ci.nii.ac.jp/naid/110007097760

琉球の多型アクセント体系についての一考察 : 琉球祖語における類別語彙3拍語の合流の仕方
松森晶子(2000)
http://ci.nii.ac.jp/naid/110002533578

1拍
A系列
 一類:血・帆・実
 二類:名・葉
B系列
 三類:木・酢・手・荷・根・火・穂・目・湯
 五類:歯

2拍
A系列
 一類:飴・烏賊・牛・枝・風・傷・釘・口・腰・酒・砂・袖・箱・鼻・羽・筆・臍・星・水
 二類:石・歌・音・紙・牙・夏・橋・人・冬
六類:溝
B系列
 三類:網・犬・芋・色・馬・草・雲・米・島・角・波・糠・花・豆・耳・山
 四類:板・稲・瓜・傘・肩・角・鎌・汁・種・味噌・蓑・麦・藁
 五類:雨・腿・夜
C系列
 三類:瓶・蚤・浜・骨・鞠
 四類:息・糸・臼・海・中・箸・針・船・箆・松
 五類:汗・桶・影・声・猿・足袋・露・鍋

3拍
A系列
 一類:踊り・筏・錨・田舎・鰯・漆・終わり・飾り・霞・形・鰹・竈・鎖・轡・車・煙・麹・氷・今年・桜・印・障子・畳・隣・寝言・鼻血・二十日・二日・祭り・港・六日・昔・柳・涎・四日・鎧
 二類:小豆・二人・鶴瓶
 三類:黄金・力・二十歳・岬
B系列
 四類:戦・五日・表・鏡・暦・宝・俵・七日・袴・鋏・光・仏
 五類:油・五つ・命・胡瓜・心・簾・襷・涙・火箸・枕
C系列
 四類:扇・刀・瓦・言葉・境・白髪・硯・袋・筵
 五類:朝日・従兄弟・親子・襷・情け・柱・箒・山葵
 六類:兎・鰻・烏・狐・虱・団子・鼠・裸・裸足・左
 七類:苺・蚕・鯨・薬・卵・盥・畑・一人・緑

75名無しさん:2010/09/24(金) 09:56:57
>>73のリンクは>>74に挙がってる
「琉球の多型アクセント体系についての一考察 : 琉球祖語における類別語彙3拍語の合流の仕方
松森晶子(2000)」です。

76名無しさん:2010/09/30(木) 16:38:14
誰か、伊吹島の二拍名詞以外のアクセントがどうなってるか知ってる人いない?

伊吹島で、二拍名詞が

一類 高高-高高(高) 高起平進式 無核
二類 高低-高低(低) 高起平進式 有核(第一拍)
三類 高降-高高(降) 高起下降式 無核
四類 低高-低低(高) 低起上昇式 無核
五類 低高-低高(低) 低起上昇式 有核(第二拍)

という体系らしいが、一拍名詞や三拍名詞、動詞や形容詞はどうなっているのか?

上の例や讃岐式から類推すると、一拍名詞は

一類 高高-高高(高) 高起平進式 無核
二類 高低-高低(低) 高起平進式 有核(第一拍)
三類 低高-低低(高) 低起上昇式 無核

三拍名詞は

一類 高高高-高高高(高) 高起平進式 無核
二類 高高低-高高低(低) 高起平進式 有核(第二拍)
三類 高低低-高低低(低) 高起平進式 有核(第一拍)
四類 高高降-高高高(降) 高起下降式 無核
五類 高高降-高高高(降) 高起下降式 無核
六類 低低高-低低低(高) 低起上昇式 無核
七類 低高低-低高低(低) 低起上昇式 有核(第二拍)

動詞と形容詞は

一類 高高 高高高 高高高高 高高高高高
二類 低高 高高降 高高高降 高高高高降
三類      低低高 低低低高 低低低低高

で、終止・連体形は全て無核で、二拍は高起平進式と低起上昇式の対立、
三拍以上は高起平進式と高起下降式の対立になっていて、
「歩く」「隠す」「入る」「参る」「隠れる」「関わる」「支える」「疲れる」のような例外的な語だけは低起上昇式、
というようになっていると考えられそうだけど本当にそうなってる?

77名無しさん:2010/09/30(木) 23:42:32
>>76
手元の資料は音韻論的解釈が違うけど、三拍までの名詞が載ってるので書いとく。

二拍名詞
1類 高起0 高高〜高高(高)
2類 高起1 高低〜高低(低)
3類 無標型 低低〜低低(低)
4類 低起0 低高〜低低(高)
5類 低起2 低降〜低高(低)

一拍名詞(長音部は省略)
1類 高起0 高〜高(高)
2類 高起1 降〜高(低)
3類 無標型 低〜低(低)

一拍3類は>>76の書き方だと高起下降式無核だろう。

三拍名詞は類ごとでは書いてなく、型の種類だけ書いてある。
高起0 高高高〜高高高(高)
高起1 高低低〜高低低(低)
高起2 高高低〜高高低(低)(語例限定)
無標型 低低低〜低低低(低)
低起0 低低高〜低低低(高)
低起2 低高低〜低高低(低)

78名無しさん:2010/09/30(木) 23:53:22
今の京都だと一拍名詞3類は低高〜低低(高)で
二拍名詞4類相当だが、
院政期京都だと一拍名詞3類は低低〜低低(高)で、
二拍名詞3類相当。
二拍名詞4類は当時は低高〜低高(高)。

そういう意味で伊吹島はやっぱり古いアクセントを保持しているという見方がなりたつ。
だけど山口幸洋だったか、伊吹島はたしか400年前に移住してきた島なので、
古いアクセントを保持しているように見えるのは見せかけだというような論文があったと思う。

79名無しさん:2010/09/30(木) 23:54:54
あっ、これこれ↓
http://ci.nii.ac.jp/naid/110002533762

80名無しさん:2010/10/01(金) 01:11:01
>>77
おお、ありがとう。伊吹島の二拍名詞三類を低低(低)で表記してるのは初めて見た。
高起下降式じゃなくて低起平進式と捉えてるのか。なんでだろう。
一拍名詞三類が予想と違うのかな?多少疑問が残るけど。

三拍名詞に型が6つあるというのは一応予想通りだな。
京阪式は例外的な低低降型を除けば5つだからそれよりは多い。
院政期京都は7つだからそれよりは少ない。四類と五類が合流してるという予想は当たってるんだろうか。
高起2が語例限定というのは、主流京阪式や讃岐式のように大半は高起1へ合流してしまったのかな。

>>78-79
それは前にちょっと見た記憶がある。伊吹島が400年前は無人島だったというのは初めて知ったので驚きだった。
ただ、その論の進め方には同意できなかった。
別に複数アクセントの混交で説明する必要はないと思うし、
例えば1/2・3/4/5と1・3/2/4/5のアクセントの接触で1/2/3/4/5のアクセントが出来上がるというのは考えにくい。

400年前、伊吹島の移住元になった島外の地域に1/2/3/4/5のアクセントが分布していて、
それが伊吹島に持ち込まれたが、その後伊吹島以外ではアクセント変化で1/2/3/4/5の方言がなくなってしまい、
1/2/3/4/5が伊吹島にだけ残ったと考えれば済む話じゃないだろうか。
400年前には伊吹島以外にも1/2/3/4/5の方言が残っていたはずだと結論すべきだと思う。

81名無しさん:2010/10/01(金) 15:45:08
>>74のように二拍名詞三類・四類・五類が琉球語でB系列とC系列に分かれているのは、
祖語における第一拍の長短に対応するという説があるらしいが
誰か詳細を知ってる人いない?

82名無しさん:2010/10/01(金) 23:53:56
さっき報道ステーションで山口県が出てたけどこれまた名古屋っぽいアクセントしてる人いたなぁ〜。

〜おもわん(かった) みたいな言い回しのなんとも言えん強調したようなアクセントが

83名無しさん:2010/10/02(土) 00:48:54
〜っぽいとか言われてもなあ。
おそ上がりがあったんかな。

84名無しさん:2010/10/02(土) 01:52:34
>>62
亀レスになってしまうんだけど、
3拍6類は、乙種の標準形は理論通りHLLであって、
LHH(0)は二次変化ということで、悩むところではないと思うけど。
実際、6類のHLLは地域によっては結構良く残っていて、
俺の母方言は、本州中部の外輪乙種だが、
方言アクセント(伝統的なもの)を内省すると>61の例のうちで、
兎・烏・狐・雀・李(すもも)・高さ・狸・田圃・燕・鼠
がHLLだったりする。まあそれなり。
金田一説の説明は、今となっては無意味にまだるっこしいと思う。
単に、「頭高と平板は、乙種の基本形では鏡像なので、時に反転して通底する。」
というありふれた法則で説明可能だろう。

要するに、近時の首都圏方言で悪名高い「平板化」なるものと同じ現象が起きた。
「バンド(LHH)でギター(LHH)やってて夜はクラブ(LHH)で働いているらしい奴だが、
昼間はサーファー(LHHH)もやってるらしいよ」
と全く同じ。

85名無しさん:2010/10/02(土) 03:30:24
ミャークフツのアクセントって何式?

なんかたまに同じ発音でつづける平坦な感じの独特のアクセントがあるけど

86名無しさん:2010/10/02(土) 03:33:44
実践聞き取りです。

これは何アクセントですか?
垂井式?東京式?
http://www6.kokken.go.jp/siryokan_data/hogendanwa_db/cdsound/13track13.MP3

87名無しさん:2010/10/02(土) 03:46:51
http://www6.kokken.go.jp/siryokan_data/hogendanwa_db/cdsound/15track01.MP3
広島聴いてみると以外とイディオム単位で京阪式っぽいと感じた

88名無しさん:2010/10/02(土) 07:26:33
>>85
基本的に無アクセント。
本来は一型アクセントだったらしいけど、曖昧化が進んで実質的にほぼ無アクセント化しているらしい。

89名無しさん:2010/10/02(土) 08:51:26
>>86
垂井式。
近畿のどこかだろうと思うけど、
「みてぁあ」「だろう」「〜よった」があるな。

90名無しさん:2010/10/02(土) 23:57:53
>>84
内輪・中輪がLHHで、外輪がHLL。
だから外輪の人に内省されても困る。

91名無しさん:2010/10/03(日) 00:37:37
>>90
ところが、3拍6類は外輪でもLHH(H)もまた、続出するんだよ。
外輪から見れば、こちらのほうが重要かもしれない。
上の例でいえば、例から脱落した分は軒並みLHH(H)。
つまり外輪と中内輪は一旦同じ形になったと考えたほうがいいという例だと考える。
(1拍後ずれそのものは、結局外中内全部で等しく起きているし、
用言1類と2・3類の活用形を含めた区別も、外中内でほとんど変わらない。
中内輪でも、祖形HLLで問題なかろう。外輪でHLLがよく残ったのは、
おそらく平板型が低平型(LLL)になった方言が多いことと関連があるのだろう。
こうなると、平板と頭高が鏡像にならない。実際、北東北などでは、
西関東的な「平板型の蔓延」や「平板型と頭高型の通底現象」は起きていない。)

92名無しさん:2010/10/03(日) 01:19:46
>>89
おお。
兵庫の相生市らしいです

93名無しさん:2010/10/04(月) 18:29:31
三拍名詞の理論形はこうなるのか。

    院政期 室町期    内輪・中輪 外輪
    京阪式 京阪式    東京式    東京式
一類 高高高 高高高(高) 低高高(高) 低高高(高)
二類 高高低 高高低(低) 低高高(低) 低高高(高)
三類 高低低 高低低(低) 低高低(低) 低高高(高)
四類 低低低 高高低(低) 低高高(低) 低高高(低)
五類 低低高 高低低(低) 低高低(低) 低高低(低)
六類 低高高 低高高(高) 高低低(低) 高低低(低)
七類 低高低 低高低(低) 高低低(低) 高低低(低)

金田一説だと、外輪東京式は室町期京阪の状態になる前に高起式が全て平板化したという説明だったっけ。
で、その後は内輪・中輪と同じように低平崩壊(二拍三類、三拍四類・五類)、一拍後退、
低平崩壊(二拍四類・五類、三拍六類・七類)をしたと。

いずれにしろ、平板型と頭高型の通底が東京式に変化したあとに起こったなら、
六類も七類も平板型と頭高型の間を揺れることになる。理論形では六類と七類は合流しているからだ。

一方で、金田一説のように、四拍の高高高高型と低高高高型の混同によって説明するのなら、
六類だけが平板型の傾向を示すはずだ。

94名無しさん:2010/10/05(火) 00:46:54
>>93
>91(外輪話者)だけど。>>61の例を7類も同じように内省してみる。
苺1・後ろ1・蚕1・兜1・辛子1・妃1・鯨0・薬0・卵2・
頼り1・盥0・千鳥1・椿0・鉛0・畑1・一つ2・一人2・
辺(ほとり)0・病(やまい)1

複合語以外では2は出てこない。やはり主役は1と0。
やはり1と0とで分け合っているように思える。若干1が優勢だが、0も多くある。
そして気になるのは、東京方言の0/1のブレと、具体的単語の所属がかなりずれること。
やはり、俺には6&7類共通で起きたアドホックな二次変化のように思える。

95名無しさん:2010/10/06(水) 17:11:13
在関西神奈川人の講師の授業中です

本来東京式でLHHHL
のところが在関西関東人式アクセントのLHHHHで発音してますね。
正しい京阪式ではHHHHH。

96名無しさん:2010/10/07(木) 01:52:05
>>95
「訪れる」とか?

97名無しさん:2010/10/07(木) 02:05:55
>>95
そういう対応をするってことは動詞か形容詞なんだろうが、
それなら「正しい」京阪式ではHHHLLだ。
京阪神のHHHHHは混同を起こして崩れた形。高知とか和歌山とかに残るのが正統な京阪式だ。

98名無しさん:2010/10/07(木) 02:51:37
京阪式の5拍形容詞で平板になるものはないだろ

99名無しさん:2010/10/07(木) 03:14:33
『岩波講座日本語11方言』より。カッコ内は引用者注記。

中世・近世風の京阪式アクセント
標準的な京阪式アクセント
東京式に一歩近い京阪式アクセント(和歌山県那智勝浦、三重県紀勢町)
その変種(能登半島、三重県御浜町・紀宝町)
上記の型の区別があいまいなもの
讃岐式アクセント(香川県西部・徳島県北西部)
その変種(香川県東部)
真鍋島式アクセント
その変種(愛媛県東端、徳島県出合?)
古代の京阪式のおもかげを伝えるアクセント(伊吹島)
型の区別の少ない京阪式アクセント第一種(福井県高浜町、京都府舞鶴市・綾部市・福知山市、兵庫県播磨北部・西部、四国山地、三重県熊野市北部、和歌山県新宮市)
型の区別の少ない京阪式アクセント第二種(京都府福知山市南部、滋賀県湖北、岐阜県垂井町・関ヶ原町、福井県大野・勝山)
その変種(富山県)
型の区別の少ない京阪式アクセント第三種(佐渡島両端部)
その変種(佐渡島中央部)

100名無しさん:2010/10/07(木) 03:29:38
京阪式と似たアクセント第一種(三重県紀北町・尾鷲市)
京阪式と似たアクセント第二種(石川県白峰)
その変種(加賀・今庄)
京阪式と似たアクセント。ただし型の種類の少ないもの(関が原・米原境界付近?、愛媛県八幡浜市・伊方町)
京阪式と似たアクセント第三種(隠岐島後南部・島前北部、奈良田)
上記の型の区別があいまいなもの(埼玉東部)
京阪式と似たアクセント第四種(宮城県・山形県の平板一型と外輪東京式の変種第二種との境界、岩手県久慈市)
上記の型の区別があいまいなもの
京阪式と似たアクセント第五種(九州西南二型式、隠岐知夫里)
上記の型の区別があいまいなもの
頭高一型(愛媛県大洲市)
平板一型(無アクセント)
尾高一型(都城)

101名無しさん:2010/10/07(木) 03:45:03
内輪東京式アクセント
中輪東京式アクセント
その変種(千葉県中部)
型の区別のあいまいな中輪東京式
外輪東京式アクセント
外輪東京式の変種第一種(北海道、北奥羽、出雲)
外輪東京式の変種第二種(岩手県南部・宮城県北部)
型の区別のあいまいな外輪東京式の変種第一種
以上の種類に属さない特殊な東京式アクセント(岡山県備前市日生)
その変種(山形県鶴岡市旧朝日村南部・新潟県朝日村北部)
型の種類の少ない東京式アクセント第一種(奈良県野迫川村)
型の種類の少ない東京式アクセント第二種(浜名湖周辺)
型の種類の少ない東京式アクセント第三種(筑前、壱岐大部分、対馬南端)
その変種(壱岐北部、対馬大部分)
東京式と似たアクセント第一種。型の区別はあいまい(福井市中心部を除く福井平野)
東京式と似たアクセント第二種(隠岐島後北部)
東京式と似たアクセント第三種(鹿児島県枕崎市、種子島北部)
その変種(種子島南部)

102名無しさん:2010/10/07(木) 03:56:25
>>99-101をまとめて、修飾語は無視して「〜な京阪式」は全て「京阪式」とし、
ただし「〜と似たアクセント」は別種と見ると、

京阪式
讃岐式
真鍋島式
紀北・尾鷲式
白峰式(加賀式)
八幡浜式
奈良田式
久慈式
九州西南二型式
頭高一型
平板一型
尾高一型
東京式
三国式
島後北部式
枕崎式

10395:2010/10/07(木) 12:36:37
>>96
それもそうでしょうね。

104名無しさん:2010/10/07(木) 20:15:04
>>98
間違えた形容詞は違った。
4拍以上では、動詞は平板型、形容詞は起伏型に統合されてる感じだけど、
これはアクセントで品詞を区別したいという意識が働いたんだろうか?

105名無しさん:2010/10/07(木) 22:27:31
>>102
昔からいくつかのレスで気になっていたが、
整理したとはいえ、なんだか「○○『式』のインフレ状態」のように思えるなあ。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/10958/1282994760/l50
ここほどひどくはないけどね。
この北陸方言スレッドは、ちょっとでも違うアクセント型を全部「○○式」としているから
何もかもが「式」となって大変なことになっている。これでは系統論を構築することが不可能だ。
それから、>>99はネタとしてもう古いと思う。
大昔の「京阪式に似た形」は、もう「垂井式」と「東京式が更に二次変化したもの」に
完全に峻別されていて、後者と京阪式との関連性を述べる者は、今では誰もいない。
すでに「偽京阪式」とすらいわれなくなっている。「偽」ですらない。
徳川宗賢の「源氏香分類図」でもって、学説は完全確定している。
もはや、>>99自体、
「マグロに近縁の生物:1カツオ、2カジキマグロ 3イルカ、4クジラ」
というような「恥ずかしい記述」となっている。

106名無しさん:2010/10/07(木) 22:35:50
たしかに。古いよね。
金田一春彦は、全てのアクセントを東京式か京阪式かに分けようとしていたようだけど、
無理があった。

107名無しさん:2010/10/07(木) 22:54:02
では、別のものを。
上野善道氏による分類。平成元年のもの。
もっぱら共時的な分析に依っている。
*有アクセント
**多型アクセント
***式あり
****三式-平進式と下降式と上昇式(伊吹島)
****二式
*****平進式と上昇式(京都・高知)
*****平進式と低進式(兵庫県家島)
*****下降式と平進式(石川県白峰)
*****下降式と低進式(香川県広島)
*****下降式と低接式(香川県観音寺)
*****平進式とくぼみ式(岐阜県揖斐川町戸入)
***式なし
****文節関与(岩手県雫石・静岡県入出)
****文節非関与(東京)
**N型アクセント
***三型アクセント(隠岐・与那国島)
***二型アクセント(福井県三国・鹿児島・喜界島)
***一型アクセント(都城)
*無アクセント(仙台・熊本)

個人的には、「式なし」の下位区分に
「下げ核弁別」「上げ核弁別」「上り核弁別」が必要と思う。
文節関与・非関与とは別次元のことだが。
あと、熊本は無アクセントか?

108名無しさん:2010/10/07(木) 23:04:35
徳川宗賢の「源氏香分類図」って何?

109名無しさん:2010/10/07(木) 23:32:22
>>107
それも気持ち悪いなあ。それなら>>102のほうがはるかにマシ(未整理なだけだから)。
まず「式」ってそんな意味だったか?という話があるが、
これは定義の問題なので、ここでは措いておく。

まず、平進・低進・上昇・下降(・その他)という分類が、
いくら視点を通時に絞るとはいえ、大変に奇妙だと思う。
「現実の音声にできる限り忠実なものを目指して恣意を排した」というのだろうが、
異なる方言をまとめるという作業をする以上、
音素としてのきちんとした論理的比較をする必要があるわけで、
俺に言わせれば、はっきり言って「ものすごく筋が悪い」。
最近やたらはやっている「早田理論に基づく声調論」に匹敵する筋の悪さだと思う。
(俺の私案は次のレスで示すことにするよ)

110名無しさん:2010/10/07(木) 23:44:55
先に訂正。×通時に絞る ○共時に絞る

共時分類をするなら、次のようになる。
A種:初拍高/低と、下がり目がn拍目/0、で構成されるもの
B種:下がり目がn拍目/0、で構成されるもの
B2種:上がり目がn拍目/0、で構成されるもの
C種:無アクセント
LLLとLHHを別の「式」として分別するとか、共時的にも全く無意味。

俺は、形式的ではなく実質的分類として、用言・体言ともに、
「1類に滝(下がり目)をつけた方言」については、「徳川源氏香」方式では同じでも、
特殊な方言として別枠に括りだすことが有用だと考えている。
具体的には、鹿児島と金沢。
なぜこれが重要かというと、接触アクセントを生み出す重要な触媒に見えるから。

111名無しさん:2010/10/07(木) 23:54:07
さらに続き。
>>110後段を発展させるなら、次のような3分類も、
共時分類「の1つ」としては、有益かもしれない。
具体的方言において、滝を持たない型を「無標」と表現する。
一応これには意味がある。本当は「ひな形」と名付けたいところだが。

(院政京都の2拍名詞5分類を前提として)

1類無標型…京都、丸亀、名古屋、東京、豊橋、秋田など大多数
3類無標型…鹿児島
4類無標型…金沢(加賀の方言はたしかここに入るはず)

この型は、用言まで含めると3つより多くはならない。
そして、院政京都アクセントの用言の3分類と深い関係がある。

112名無しさん:2010/10/08(金) 00:05:54
伊吹島や隠岐はどこに入るんだろ。
隠岐の浦郷・西郷など(>>107で三型)では
二拍1類がLH(L)、23類はHL/HH(L)、45類は下がり目なし。

知夫(二型)は145類がLH/ML(H)、23類がHL/HH(L)。

113名無しさん:2010/10/08(金) 00:59:32
>>112
3拍以上もみないと、所属は決定できないよ。
2拍だけで考えるのならば、具体的な高低の組み合わせの諸相を捨象するのが
分析論として優れた考え方であって、そうであるからこそ、
徳川説は具体的な高低の型別を一切捨象して、
「源氏香図」の図解だけで明晰な系統論を打ち立てた。

逆にいえば(論理必然ではないが)、
>>107のようなどんな拍数の語にも全て適用できるような概念を用いる分類において、
2拍の例だけで答えが出てしまうというのは、
分類法として適切でない(過剰で有害な何かが含まれている)と言える。

114名無しさん:2010/10/09(土) 10:08:27
関東ではLHとHHの区別が付かないということは、逆のパターンでLHHのところを関西人がHHHと言っててもそれは気にならないの?
確かに関東人でも最初があまり下がらずに発音してるときがあるしな

115名無しさん:2010/10/09(土) 10:19:35
LHHをHHHと発音されても、あまり気にならないと思う。

116名無しさん:2010/10/09(土) 10:20:05
>>114
関東じゃない東京式話者だけど、HH、HHHのような音調は京阪式らしい音調として耳につく。
でも、「何か違う」ということは分かっても、自分にHH、HHHという型がないから、どういう型なのかすぐには認識できなかった。
最初の一拍が何か違う、どうやら自分の発音より高いようだということは分かっても、
じゃあHL、HLLじゃないかと一瞬思ってしまって、でもよく考えると全然違うし何だろうと思ったことがある。
慣れるとHH、HHHとLH、LLHなどは単独ではある程度聞き分けできるようになったが、文中で自然に出てくるとよく分からなくなる。

日本人が英語のRとLを聞き分けられないようなものじゃないかな。
どちらも日本語のラ行と違うことは何となく分かるが、かと言ってそれぞれを聞き分けられるわけじゃない。

例えば東京だと、「風」はLHでも、「この風」となるとLHHHとなったり、
「棒」「勘」など第二拍が特殊拍の場合は自然な発音でHHになったり、丁寧な発音だとLHになったりするけど、
そのような違いや揺れは東京の話者には全く意識されない。指摘されても気づかない・分からない人が多いだろう。

117名無しさん:2010/10/09(土) 10:40:30
自分も関東じゃない東京式出身で今は関西にいる(2年目)けど、
関西のHHH…は、あまり声を緊張させずに「ただ平板に」発音する場合と、
かなり声を緊張させて高く発音する場合の両方を聞く。

前者だと低起式か、と迷うけど、後者だと高起式だと分かる。
後者の発音は「関西人は声がでかい」と言われる原因になるような発音。

東京式の人には高起・低起の区別ができないとよく言うけど、
関西に住むようになれば、RとLの区別よりはかなり簡単にできるようになる。

118名無しさん:2010/10/09(土) 19:19:09
>>107
この「文節関与」って何を表してるんだ?普通の東京式と何か違うのか?

119名無しさん:2010/10/09(土) 19:54:28
>>118
句音調に文節が関与する、ということ。
文節が関与しない東京では、
ね[ずみとなまずといわしとく]じら([が上がり目、]が下がり目。)ように、
上がったら

120名無しさん:2010/10/09(土) 20:00:28
>>118
句音調に文節が関与する、ということ。
文節が関与しない東京では、
ね[ずみとなまずといわしとく]じら([が上がり目、]が下がり目。)ように、
上がったら核があるまで下がらない。

一方、雫石町(昇り核を弁別する)では、
昇り核でピッチが上がった後、文中では次の文節の直前で下がる。
たとえば、
ね[ずみと]なま[ずと]いわしと[く]じら。
なお、「[く]じら」になっているのは、最後の文節では核だけが高くなるから。

121名無しさん:2010/10/09(土) 20:04:25
静岡県入出方言は東京式だが、やはり高い拍が文節末までしか続かない。

に[わとりの]たまご
も[もが]あお]い

「鶏」も「桃」も無核で、助詞「の」「が」に核があるわけでもない。

122名無しさん:2010/10/09(土) 20:07:21
>>115
でしょうねぇ
実際LHHLLだとかLHで始まる単語が関東人でもたまにHHになってたりするもん

123名無しさん:2010/10/09(土) 20:12:13
>>119
「分節関与」も甚だ筋が悪いよなあ。
最近の日本語アクセント研究者は、どうして本末転倒な概念ツールばかり創出するのだろ?
共時分析にこだわるあまり、概念の大小を読み違える変な概念を創造しているような気がする。
「句音調の分節関与」といって、「分節関与型」を『有標』とするのは明らかに変だ。
本来乙種アクセントは「文節単位が原則」であって、
東京アクセントなどが、句単位に変化した二次的なアクセント法則とみるべき。
(甲種アクセントも同様に考えて、「単語単位」となる。
ここで、甲種の場合は、「未然形と仮定形」というものが本当にあるのか?という問題が浮き彫りになる
そして、助詞の独立性が下がる場合と、遅上がりが単語をまたぐ場合が例外となる。)

これは通時分析をしなくても、全国のアクセントを共時分析するだけでこうなるはず。
「分節関与の特殊類型」なんて誤謬も甚だしい。

124名無しさん:2010/10/11(月) 01:04:46
http://www6.kokken.go.jp/siryokan_data/hogendanwa_db/cd.htm

全国方言談話データベース

125名無しさん:2010/10/15(金) 20:31:56
文節関与とかいうより、下げ核か上げ核か昇り核かというほうがよほど重要じゃないか?
降り核を持つ方言は確認されてないらしいな。
上げ核は埼玉東部や奈良田、昇り核は青森や岩手北東部、与論島などにあるらしい。

金田一の滝観だと、京阪式の低起式は第一拍に降り核があるような解釈だ。
でも、二拍五類などは一形態素に2つの「滝」があることになってしまう。
やはり京阪式などの「式」は語声調と扱うべきだろうな。

126名無しさん:2010/10/16(土) 00:33:47
>>125
金田一は、核一元論に執着していて、これは流石にやりすぎであることは
広く認識されているから、それにこだわる必要もないだろう。
別に「低起/高起」という伝統的概念を素直に理解するだけでいいんじゃないの?
無理に一般化して、なぜ語声調という面倒な(そしてしばしば多義的で誤解を招く)概念を
持ち込もうとするのか、理解できない。
つうか、頼むから早田理論だけはやめてほしいというのが俺の意見。
あれを持ち込むと、本当に何もかもが滅茶苦茶になる。

それに、俺の知っている方言を見る限り、
「昇り核」と「上げ核」を峻別する意義もよくわからない。
「比較方言学上を行う場合に、昇り核方言の核の位置を確定して比較する際の便宜的処理手順」
ということでいいんじゃないか?
単に、津軽方言を観察するだけならば、この点はそれほどこだわる必要もないと思う。

127名無しさん:2010/10/16(土) 00:52:30
俺が早田理論を徹底的に忌み嫌うのは、
意味論的問題というよりは、機能論的(語用論的)問題による。
分析ツールとしてあまりにも不適切だからなんだ。
まさに不適切な一つの例として、
http://www.ninjal.ac.jp/publication/review/0102/pdf/NINJAL-PReview010203.pdf
乙種外輪式の、西南日本における変化を途中まではよくとらえているのに、
早田理論の射程を延ばしすぎてしまった結果、途中から話がおかしくなっている。
俺に言わせれば、高起/低起の類別がどうなったかという通時問題と、
早田理論的な共時問題での語声調云々は、全く異なる問題。
西南九州式は、正しくは「トーンが残った」のではなく、高起/低起の「区別」が残った。
早田理論を持ち込むと、この2つがグチャグチャになる。

128名無しさん:2010/10/16(土) 09:22:29
青森県で昇り核アクセントなのは津軽地方一帯?

129名無しさん:2010/10/16(土) 15:19:09
テレビでは「ミクシー」「ツイッター」「ロフト」のアクセントを平板で読んでいる人が多いな。

130名無しさん:2010/10/16(土) 23:04:54
>>126-127
まあ、通時的分析には使えないかもしれないが、
共時的分析には使えるんじゃないか。
一般化して何が悪い?
高起、低起なんて外国じゃ通じないだろ。

131名無しさん:2010/10/17(日) 06:46:55
日本語のアクセントと同じような方法が使えるのってバントゥー語ぐらいなんじゃないのか
他の言語で用いないのだからそういう用語があってもいいじゃないか。
もうひとつ言えばなぜ外国人が用語の基準なんだい。

132名無しさん:2010/10/17(日) 18:33:13
下げ核は「その拍・音節の直後で下がる」
上げ核は「その拍・音節の直後で上がる」
降り核は「その拍・音節の直前で下がる」
昇り核は「その拍・音節の直前で上がる」

例えば昇り核で解釈すべき弘前方言を誤って上げ核で解釈しようとしてしまうと、
本来より核の位置が一音節前にずれてしまい、第一音節のさらに前の音節に核がある型ができてしまう一方、
最終音節に核がある型を欠くことになってしまう。
逆に、上げ核で解釈すべき蓮田方言や奈良田方言を昇り核で解釈しようとすると、
本来より核の位置が一拍後にずれ、第一拍に核がある型を欠く一方、
最終拍のさらに一拍後の拍に核がある型ができてしまう。

これらの方言は、核の種類こそ違うが、核がないかあるか、あるならどの拍・音節にあるかを弁別する
位置アクセント方言であることには変わりない。

133名無しさん:2010/10/17(日) 21:31:36
>>132
なんだか京都人と札幌人が地名で言い争っているような状態になってしまうが、
(京都の地名表示(上ル下ル)は通りの交点で示す。札幌の地名表示(条丁目)はブロックの交点で示す)
俺自身は、核は「拍・音節自体に被さる属性(面的な存在)」と考えるので、
拍自体ではなく「前後」つまり音節と音節(拍と拍)の「すき間」に核がある(点的な存在)という考え方自体が、
日本語核方言の場合、不適切であると理解しているんだけどね。
なぜこのような理解をするかといえば、東京方言などの特殊拍回避に底流する法則の説明が楽にできるからで、
「拍が核を担う資格(適格性)の有無」の問題であることが、より明らかになるから。
他スレで話題となった「神戸」の東京方言アクセントでいえば、
/koE be/のうち、/oE/が「核を担っている母音である」と理解することができる。
/o/と/E/の間に「核が点的に存在する」わけではないんだよ。
あの笑い物になった茨城人が「核を聞き取れなかった」理由は実はここにある。

134名無しさん:2010/10/17(日) 22:31:24
>>132
より正確には、
下げ核は「その拍・音節の直後の拍・音節を下『げ』る」
上げ核は「その拍・音節の直後の拍・音節を上『げ』る」
降り核は「その拍・音節『が』下がる」
昇り核は「その拍・音節『が』上がる」
だと思うけど。
>>133
それで?
面的な存在だとして>>132の問題はどう説明するの?

135名無しさん:2010/10/18(月) 17:07:16
以下では、核を持つ拍・音節を◎、核を持たない拍・音節を○で表記する。

東京(東京都)…下げ核
         単独    -ガ        コノ-        コノ-ガ
○       高        低(高)        (低高)高        (低高)高(高)
◎       高        高(低)        (低高)高        (低高)高(低)
○○     低高      低高(高)      (低高)高高      (低高)高高(高)
○◎     低高      低高(低)      (低高)高高      (低高)高高(低)
◎○     高低      高低(低)      (低高)高低      (低高)高低(低)
○○○   低高高    低高高(高)    (低高)高高高    (低高)高高高(高)
○○◎   低高高    低高高(低)    (低高)高高高    (低高)高高高(低)
○◎○   低高低    低高低(低)    (低高)高高低    (低高)高高低(低)
◎○○   高低低    高低低(低)    (低高)高低低    (低高)高低低(低)
○○○○ 低高高高  低高高高(高)  (低高)高高高高  (低高)高高高高(高)
○○○◎ 低高高高  低高高高(低)  (低高)高高高高  (低高)高高高高(低)
○○◎○ 低高高低  低高高低(低)  (低高)高高高低  (低高)高高高低(低)
○◎○○ 低高低低  低高低低(低)  (低高)高高低低  (低高)高高低低(低)
◎○○○ 高低低低  高低低低(低)  (低高)高低低低  (低高)高低低低(低)

136名無しさん:2010/10/18(月) 17:10:26
名古屋(愛知県)…下げ核
       単独    -ガ        コノ-        コノ-ガ
○       高        低(高)        (低低)高        (低低)高(高)
◎       高        高(低)        (低低)高        (低低)高(低)
○○     低高      低低(高)      (低低)高高      (低低)高高(高)
○◎     低高      低高(低)      (低低)高高      (低低)高高(低)
◎○     高低      高低(低)      (低低)高低      (低低)高低(低)
○○○   低低高    低低高(高)    (低低)高高高    (低低)高高高(高)
○○◎   低低高    低低高(低)    (低低)高高高    (低低)高高高(低)
○◎○   低高低    低高低(低)    (低低)高高低    (低低)高高低(低)
◎○○   高低低    高低低(低)    (低低)高低低    (低低)高低低(低)
○○○○ 低低高高  低低高高(高)  (低低)高高高高  (低低)高高高高(高)
○○○◎ 低低高高  低低高高(低)  (低低)高高高高  (低低)高高高高(低)
○○◎○ 低低高低  低低高低(低)  (低低)高高高低  (低低)高高高低(低)
○◎○○ 低高低低  低高低低(低)  (低低)高高低低  (低低)高高低低(低)
◎○○○ 高低低低  高低低低(低)  (低低)高低低低  (低低)高低低低(低)

137名無しさん:2010/10/18(月) 17:11:57
秋田(秋田県)…下げ核(一拍卓立)
       単独    -モ        コノ-        コノ-モ
○       降        低(低)        (低低)低        (低低)低(低)
◎       昇        高(低)        (低低)高        (低低)高(低)
○○     低低      低低(高)      (低低)低低      (低低)低低(低)
○◎     低高      低高(低)      (低低)低高      (低低)低高(低)
◎○     高低      高低(低)      (低低)高低      (低低)高低(低)
○○○   低低低    低低低(低)    (低低)低低低    (低低)低低低(低)
○○◎   低低高    低低高(低)    (低低)低低高    (低低)低低高(低)
○◎○   低高低    低高低(低)    (低低)低高低    (低低)低高低(低)
◎○○   高低低    高低低(低)    (低低)高低低    (低低)高低低(低)
○○○○ 低低低低  低低低低(低)  (低低)低低低低  (低低)低低低低(低)
○○○◎ 低低低高  低低低高(低)  (低低)低低低高  (低低)低低低高(低)
○○◎○ 低低高低  低低高低(低)  (低低)低低高低  (低低)低低高低(低)
○◎○○ 低高低低  低高低低(低)  (低低)低高低低  (低低)低高低低(低)
◎○○○ 高低低低  高低低低(低)  (低低)高低低低  (低低)高低低低(低)

138名無しさん:2010/10/18(月) 17:14:38
大館(秋田県)…下げ核(一拍卓立)
       単独    -モ        コノ-        コノ-モ
○       降        低(低)        (低低)低        (低低)低(低)
◎       昇        高(低)        (低低)降        (低低)高(低)
○○     低低      低低(高)      (低低)低低      (低低)低低(低)
○◎     低降      低高(低)      (低低)低降      (低低)低高(低)
◎○     高低      高低(低)      (低低)高低      (低低)高低(低)
○○○   低低低    低低低(低)    (低低)低低低    (低低)低低低(低)
○○◎   低低降    低低高(低)    (低低)低低降    (低低)低低高(低)
○◎○   低高低    低高低(低)    (低低)低高低    (低低)低高低(低)
◎○○   高低低    高低低(低)    (低低)高低低    (低低)高低低(低)
○○○○ 低低低低  低低低低(低)  (低低)低低低低  (低低)低低低低(低)
○○○◎ 低低低降  低低低高(低)  (低低)低低低降  (低低)低低低高(低)
○○◎○ 低低高低  低低高低(低)  (低低)低低高低  (低低)低低高低(低)
○◎○○ 低高低低  低高低低(低)  (低低)低高低低  (低低)低高低低(低)
◎○○○ 高低低低  高低低低(低)  (低低)高低低低  (低低)高低低低(低)

139名無しさん:2010/10/18(月) 17:16:11
雫石(岩手県)…昇り核
                     言い切り                                      接続
       単独。   -モ。       コノ-。       コノ-モ。           単独…   -モ…      コノ-…       コノ-モ…
○       降        低(低)        (低低)低        (低低)低(低)        低        低(低)        (低低)低        (低低)低(低)
◎       昇        高(低)        (低低)降        (低低)高(低)        高        高(高)        (低低)高        (低低)高(高)
○○     低低      低低(低)      (低低)低低      (低低)低低(低)      低低      低低(低)      (低低)低低      (低低)低低(低)
○◎     低降      低高(低)      (低低)低降      (低低)低高(低)      低高      低高(高)      (低低)低高      (低低)低高(高)
◎○     高低      高低(低)      (低低)高低      (低低)高低(低)      高高      高高(高)      (低低)高高      (低低)高高(高)
○○○   低低低    低低低(低)    (低低)低低低    (低低)低低低(低)    低低低    低低低(低)    (低低)低低低    (低低)低低低(低)
○○◎   低低降    低低高(低)    (低低)低低降    (低低)低低高(低)    低低高    低低高(高)    (低低)低低高    (低低)低低高(高)
○◎○   低高低    低高低(低)    (低低)低高低    (低低)低高低(低)    低高高    低高高(高)    (低低)低高高    (低低)低高高(高)
◎○○   高低低    高低低(低)    (低低)高低低    (低低)高低低(低)    高高高    高高高(高)    (低低)高高高    (低低)高高高(高)
○○○○ 低低低低  低低低低(低)  (低低)低低低低  (低低)低低低低(低)  低低低低  低低低低(低)  (低低)低低低低  (低低)低低低低(低)
○○○◎ 低低低降  低低低高(低)  (低低)低低低降  (低低)低低低高(低)  低低低高  低低低高(高)  (低低)低低低高  (低低)低低低高(高)
○○◎○ 低低高低  低低高低(低)  (低低)低低高低  (低低)低低高低(低)  低低高高  低低高高(高)  (低低)低低高高  (低低)低低高高(高)
○◎○○ 低高低低  低高低低(低)  (低低)低高低低  (低低)低高低低(低)  低高高高  低高高高(高)  (低低)低高高高  (低低)低高高高(高)
◎○○○ 高低低低  高低低低(低)  (低低)高低低低  (低低)高低低低(低)  高高高高  高高高高(高)  (低低)高高高高  (低低)高高高高(高)

140名無しさん:2010/10/18(月) 17:18:16
弘前(青森県)…昇り核
       単独。   -モ。       コノ-。       コノ-モ。           単独…   -モ…      コノ-…       コノ-モ…
○       降        低(中)        (低低)中        (低低)低(中)        中        低(中)        (低低)中        (低低)低(中)
◎       高        高(低)        (低低)降        (低低)高(低)        高        高(高)        (低低)高        (低低)高(高)
○○     低中      低低(中)      (低低)低中      (低低)低低(中)      低中      低低(中)      (低低)低中      (低低)低低(中)
○◎     低降      低高(低)      (低低)低降      (低低)低高(低)      低高      低高(高)      (低低)低高      (低低)低高(高)
◎○     高低      高高(低)      (低低)高低      (低低)高高(低)      高高      高高(高)      (低低)高高      (低低)高高(高)
○○○   低低中    低低低(中)    (低低)低低中    (低低)低低低(中)    低低中    低低低(中)    (低低)低低中    (低低)低低低(中)
○○◎   低低降    低低高(低)    (低低)低低降    (低低)低低高(低)    低低高    低低高(高)    (低低)低低高    (低低)低低高(高)
○◎○   低高低    低高高(低)    (低低)低高低    (低低)低高高(低)    低高高    低高高(高)    (低低)低高高    (低低)低高高(高)
◎○○   高高低    高高高(低)    (低低)高高低    (低低)高高高(低)    高高高    高高高(高)    (低低)高高高    (低低)高高高(高)
○○○○ 低低低中  低低低低(中)  (低低)低低低中  (低低)低低低低(中)  低低低中  低低低低(中)  (低低)低低低中  (低低)低低低低(中)
○○○◎ 低低低降  低低低高(低)  (低低)低低低降  (低低)低低低高(低)  低低低高  低低低高(高)  (低低)低低低高  (低低)低低低高(高)
○○◎○ 低低高低  低低高高(低)  (低低)低低高低  (低低)低低高高(低)  低低高高  低低高高(高)  (低低)低低高高  (低低)低低高高(高)
○◎○○ 低高高低  低高高高(低)  (低低)低高高低  (低低)低高高高(低)  低高高高  低高高高(高)  (低低)低高高高  (低低)低高高高(高)
◎○○○ 高高高低  高高高高(低)  (低低)高高高低  (低低)高高高高(低)  高高高高  高高高高(高)  (低低)高高高高  (低低)高高高高(高)

141名無しさん:2010/10/18(月) 17:19:52
奈良田(山梨県)…上げ核
       単独    -ガ        コノ-        コノ-ガ
○       高        高(低)        (高低)低        (高低)低(低)
◎       高        低(高)        (高低)低        (高低)低(高)
○○     高低      高低(低)      (高低)低低      (高低)低低(低)
○◎     高低      高低(高)      (高低)低低      (高低)低低(高)
◎○     低高      低高(低)      (高低)低高      (高低)低高(低)
○○○   高低低    高低低(低)    (高低)低低低    (高低)低低低(低)
○○◎   高低低    高低低(高)    (高低)低低低    (高低)低低低(高)
○◎○   高低高    高低高(低)    (高低)低低高    (高低)低低高(低)
◎○○   低高低    低高低(低)    (高低)低高低    (高低)低高低(低)
○○○○ 高低低低  高低低低(低)  (高低)低低低低  (高低)低低低低(低)
○○○◎ 高低低低  高低低低(高)  (高低)低低低低  (高低)低低低低(高)
○○◎○ 高低低高  高低低高(低)  (高低)低低低高  (高低)低低低高(低)
○◎○○ 高低高低  高低高低(低)  (高低)低低高低  (高低)低低高低(低)
◎○○○ 低高低低  低高低低(低)  (高低)低高低低  (高低)低高低低(低)

142名無しさん:2010/10/18(月) 17:21:58
蓮田(埼玉県)…上げ核
       単独。   -ダ。       -ガ…      コノ-。       コノ-ダ。         コノ-ガ…
○       高        高(低)        高(高)        (高高)低        (高高)低(低)        (高高)低(低)
◎       高        低(高)        低(高)        (高高)低        (高高)低(中)        (高高)中(高)
○○     高低      高高(低)      高高(低)      (高高)低低      (高高)低低(低)      (高高)低低(低)
○◎     高低      高低(中)      高中(高)      (高高)低低      (高高)低低(中)      (高高)低低(高)
◎○     低高      低高(低)      低高(低)      (高高)低中      (高高)中高(低)      (高高)中高(低)
○○○   高高低    高高低(低)    高高低(低)    (高高)低低低    (高高)低低低(低)    (高高)低低低(低)
○○◎   高高低    高高低(中)    高高中(高)    (高高)低低低    (高高)低低低(中)    (高高)低低低(中)
○◎○   高低中    高中高(低)    高中高(低)    (高高)低低中    (高高)低低中(低)    (高高)低低中(低)
◎○○   低高低    低高低(低)    低高低(低)    (高高)中高低    (高高)中高低(低)    (高高)中高低(低)
○○○○ 高高低低  高高低低(低)  高高低低(低)  (高高)低低低低  (高高)低低低低(低)  (高高)低低低低(低)
○○○◎ 高高低低  高高低低(中)  高高低低(中)  (高高)低低低低  (高高)低低低低(中)  (高高)低低低低(中)
○○◎○ 高高低中  高高中高(低)  高高中高(低)  (高高)低低低中  (高高)低低低中(低)  (高高)低低低中(低)
○◎○○ 高中高低  高中高低(低)  高中高低(低)  (高高)低低中低  (高高)低低中低(低)  (高高)低低中低(低)
◎○○○ 低高低低  低高低低(低)  低高低低(低)  (高高)中高低低  (高高)中高低低(低)  (高高)中高低低(低)

143名無しさん:2010/10/18(月) 18:47:46
秋田と大館の違いは二拍以上で降があるかどうかだけかな?

144名無しさん:2010/10/18(月) 22:57:43
>134
その下の例を改めて見ると、やはり「上げ核/昇り核」とするのは
問題のとらえ方として適切だと思えないんだが。
秋田&大館と、奈良田&蓮田の違いは、
前者が「壁型」であるのに対して、後者が不完全ながらも「谷型・凹型」だから。
(蓮田はあいまいだが、奈良田はかなり明快な凹型法則を獲得している)
普通の乙種(上の例だと東京・名古屋)は谷型の反対で「山型・凸型」になるし、
京阪神など一般的な甲種の高起類は壁型の反対で「滝型」になる。
位置アクセントを示す際の、大きな音調の流れの問題であって、
核の位置を拍の前後で小手先でいじって整理してしまうのは不適切だと思う。
そして、「凹型アクセント」というのは、院政京都アクセント以来の絶対法則を覆しているわけで
(「谷が来たら分節点だ」という法則のこと。院政京都の形態素から、現代東京の「句」まで多様だが)
その意味で、核の位置などという小さな問題ではない。

145名無しさん:2010/10/18(月) 23:14:15
釈迦に説法だとは思うが、長い京都アクセントの記録史の中で、
瞬間的に「凹型アクセント」が部分的に生じた時期がある。
いうまでもなく、南北朝動乱期に低平類が、高高…高低となったときに、
形容詞語尾の膠着性が強まって、2類形容詞・形容動詞すべてに、
見掛け上凹型ができてしまった。
結局、この後「後の高」が崩れて
今の京阪式につながる滝型アクセントを形成することになるが、
この変化は、アクセント核の位置などという話ではなく、
高起/低起の区別ラインを崩壊させる決定的な変化となったもの。
そして、凹型になった南北朝京都アクセントの2類形容詞連体形において、
「アクセント核の位置はどこだろう?昇り核?上げ核?」という質問は愚問に属する。
大きい問題を小さく語りすぎているのだ。

146名無しさん:2010/10/18(月) 23:28:49
すまない。×秋田 ○雫石 に訂正。
もう少し書くと、おそらくこの問題は次のように整理される。
位置アクセントを確定する際の音調の問題として、
1滝型/2凸型/3壁型/4凹型
具体的方言では、
京都…滝&凸
(幡多…滝じゃなかったかな?四国のどこかに滝一元があったような)
名古屋・東京・秋田…凸
弘前・大館…壁
奈良田・蓮田…凹
ということになる。
そして、この4種類は下げ/下り/昇り/上げの4種とは、実はきれいに対応しない。
音節の前後に核を移動させるだけの操作は、ツールとして隔靴掻痒なんだ。

147名無しさん:2010/10/18(月) 23:39:46
分からん。

148名無しさん:2010/10/18(月) 23:45:31
>>143
そう。尾高型にあたる型で、秋田県北部では最後の音節に音節内下降があるが、秋田県南部にはない。
例えばNHKアクセント辞典によれば、鹿角には下降があるが、秋田や本荘にはないという。

なお、『北奥方言基礎語彙の総合的研究』(1982年)によると、
弘前において、後ろに続く形では高い部分が核の後ろに及んで昇り核的な音調になる現象は、
老年層にはあまり見られず、若年層ほど安定して見られるという。
この情報によれば、弘前では歴史的に見てかなり最近の時代に、大館のような一拍卓立の形から昇り核の形へ変化したことになる。
弘前の言い切りの形は、無核型で末音節にやや上昇が見られる以外は大館とほとんど同じ音調だ。雫石では大館と完全に一致する。

149名無しさん:2010/10/18(月) 23:57:57
>>148
その後半部分の情報はありがたい。
なぜならある本では、青森アクセントの形成について、
名義抄アクセントから上げ核が昇り核に変わることによってできたと推定していたが、
これを否定できる。
やはり周りと同じ体系のアクセントから、下げ核→昇り核の変化で出来たんだな。

150名無しさん:2010/10/19(火) 00:24:54
>>149
それだけクリアーな議論ができるなら、別に上げ核だの昇り核だの使っても
何の問題もないんだけどねえ。

しかし、そこに示された「ある本」の著者は、まさに、
>127引用論文の著者と同じような「残念な議論」に嵌っていると俺は思う。
院政京都アクセントに「上げ核」を想定して、それを津軽の「昇り核」に接続するという説は、
>>127引用論文の「京都アクセントの『単語声調』が鹿児島に継承された」という発想と
全く同じ、救いようのないドツボに嵌っている。
論者の頭が悪いのではなく、明らかに道具が悪い。
概念ツールとして質が悪いというのは、こういうことなんだ。

151名無しさん:2010/10/19(火) 01:28:49
もし院政期京都アクセントに上げ核を認めないとすると、
例えば三拍名詞の高高高、高高低、高低低、低低低、低低高、低高高、低高低の7つの型は
どのような体系で成立していたということになるんだ?

院政期京都アクセントに存在していた型は、稀な型を()で囲んで示すと、

一拍名詞
高〜高高 降〜高低 低〜低低 (昇〜低高)

二拍名詞
高高 高低 低低 低高 低降 (高降) (降低) (昇高) (昇低)

三拍名詞
高高高 高高低 (高低低) 低低低 低低高 低高高 低高低 (低低降) (昇低低)

四拍名詞
高高高高 高高高低 (高高低低) (高低低低) 低低低低 低低低高 (低低高高) 低低高低 低高高高 (低高高低) 低高低低 (低低低降)

当然、これは現代の京阪式のような、高起式/低起式の対立と、下げ核の二元体系で説明することはできない。
いわゆる低平型の最終拍に上げ核を認めるかどうかはともかく、低低と低高、低低低と低低高と低高高の対立がある以上、
上げ核を仮定したほうが説明が楽だと思うんだが。
それか、拍ごとに高低昇降が自由に付くとしたうえで、高い部分が形態素内で複数箇所に分かれて現れる型が禁止されるとする規則を設けるか。

152名無しさん:2010/10/19(火) 14:46:50
>>151
院政京都アクセントの体系は以下の通りと考える。
1 第1音節につき、高起類/低起類に二分される「アクセント類」
2 2音節目以下は、音節ごとに、高・低・昇・降の4種の声調が自由に付く
*ただし、同一造語成分内に「谷」を作らないという禁則がある。
また、用言は2の要素が原則として存在しない(転生動詞などのメルクマール)
これが一番素直な説明だと思う。
無理に早田式にいえば、2も音節ごとの語声調であって位置アクセントではない。

1+2+*の法則は、位置アクセント的な用語を使えば、
高起/低起類の区別および、
上げ核(音節後上昇核)下げ核(音節後下降核)『音節中上昇核』『音節中下降核』の位置アクセントからなる
といっても論理的には同値(必要十分)だが、
(上げ核と下げ核だけでは足りない!)
こちらの説明のほうが技巧的で筋が悪いだろう。
音節中の核を作らないといけないにも関わらず、
「後」と「中」はあるのになぜ「前(昇り核など)」はないのかとか、
説明ができないことが多すぎる。

153名無しさん:2010/10/19(火) 15:01:52
実は、古い京都アクセントに「上げ核」があるのだという主張は、
>>145に挙げた例から導かれた理論なんだよ。
院政京都アクセントではなく、南北朝京都アクセントにおいて、
低平連続が崩壊したとき、用言2類や、3音節名詞でいえば5類で、
HLHのような形が瞬間的に出現した。(理論的にはHH…HLH)
これを説明する場合に「Lのところに上げ核がある」と説明する説が現れた。
これをさらに敷衍して
「そもそも院政京都アクセント以来、ここに上げ核があったのだ」という説明が現れた。
だが、これはあまり筋が良くないと思う。
そもそも南北朝アクセントで上り核を想定する理論は、
数十年で劇的に起きた低平連続崩壊の、動態的理由を説明するものだった。
それを院政京都アクセントに敷衍してしまうと、逆に動態的説明と矛盾してしまう。

154名無しさん:2010/10/19(火) 20:02:16
低平崩壊が起きる直前、南北朝時代のアクセントなら、高起式/低起式と上げ核と下げ核でうまく解釈できるだろう?
鎌倉時代に入ると、拍内上昇を持つ拍が消滅した。
また拍内下降を持つ拍もかなり現象し、低降、低低降、低低低降のような型でしか現れなくなった。
これなら、低起式で最終拍に下げ核がある型では最終拍に拍内下降が現れるとして処理することができる。
これを院政期にまで延長するのに無理があるというだけ。

具体的な音調が同じでも、何を弁別的要素とするか複数の解釈があり得る体系というものがある。
そういう体系を媒介にして、何時の間にか弁別的要素が変わることもある。

弘前のように、下げ核から昇り核への変化を遂げた方言もある。
下げ核とも昇り核とも解釈できる一拍卓立調が媒介となった。

155名無しさん:2010/10/20(水) 00:54:53
>>154
鎌倉期の京都アクセントなら可能だよ。だがこれは100年程度しか持たなかった。
そして南北朝アクセントは50年くらいで崩壊した。
(記憶が定かでないが、10年以内の精度で発生と崩壊がはっきり記録されているはず)
これら2つはつまるところ通時的には「過渡期の流動的なアクセント」であって、
体系を整理するには適さないと考える。
尤も、たとえ過渡期のアクセントであっても、それが例えば津軽アクセントの親であることが
論理的にクリアーに証明できるなら、体系化の必要性は格段に増すことになる。
>>149の「ある本」の著者が、それを成し遂げているのなら、天晴れだと思う。
もちろん>>145引用論文のような「雑な議論」ではだめだ。
何が致命的に残念なのかは、>>145で書いたので繰り返さない。
どうみても、弘前のアクセントの親は、
抽象的にも具体的型としても「豊橋・大分タイプのアクセント」だと思うけどねえ。

156名無しさん:2010/10/20(水) 01:31:58
外輪東京式の発生過程を、核の種類の変化で説明しようとするものが現れるのは、
鎌倉期〜南北朝期の京都アクセントに想定される「上げ核」と、外輪東京式(二次変化無し)の「下げ核」が
完全に一致するからだろう。確かに、下げ核が消えて上げ核が残り、上げ核が下げ核や昇り核に変化したと説明することで、
論理的には外輪東京式の形を導くことが可能だ。
ただしこの場合、低平型の最終拍には上げ核があったと想定する必要がある。

南北朝期京都では、低が語頭から二拍以上続く場合、最後の低を残して高に変化した。
上げ核を認めるなら、これは上げ核の前の拍に下げ核ができ、そのあとで上げ核が全て消失したと捉えることができる。
この場合も、低平型が最後の拍のみ低い型に変化したことから、やはり最終拍に上げ核を認めると都合がいい。

通説の考え方だと、上げ核を持っていた型は、その一拍前に下げ核ができ、元の上げ核が消失し、
東京式ではその下げ核が一拍後退してきて元の上げ核の場所に収まったと考える。
一方、上げ核がそのまま下げ核に変化したとするのが今話題になっている考え方。

どちらにしても出来上がるものはまるで同じだが、これは偶然ではなく、通説で凹型の音調を経たと考えるための必然。

通説の考え方だと、内輪・中輪と外輪の違いは、外輪で高起式の型が最初に全て高平型に統合された点にある。
この変化はそれほど起こりやすい変化には思えない(現代方言に似たような例があまり見当たらない)のだが、
これが東西に分かれて独立して起こったのがやや不思議だ。
ただし、それ以外の変化を東京式全てで同じようなものと考えることができるから、通説のほうがやはりもっともらしいが。

157名無しさん:2010/10/20(水) 02:18:58
2chの言語学板・方言板のアクセント関連スレ過去ログ

なぜ京阪式アクセントは難しいか
http://www.unkar.org/read/academy6.2ch.net/gengo/1087642711
1:04/06/19 19:58 - 956:2008/01/18(金) 20:14:18

正しいアクセント
http://www.unkar.org/read/academy6.2ch.net/gengo/1126156966
1:2005/09/08(木) 14:22:46 - 808:2007/09/14(金) 07:45:57

正しいアクセント 2
http://www.unkar.org/read/academy6.2ch.net/gengo/1204258274
1:2008/02/29(金) 13:11:14 - 916:2009/03/10(火) 15:14:04

なぜ京阪式アクセントは難しいかⅡ
http://www.unkar.org/read/kamome.2ch.net/gengo/1209967629
1:2008/05/05(月) 15:07:09 - 837:2010/09/06(月) 10:16:48

日本語のアクセントの地域差(方言差)と歴史
http://www.unkar.org/read/kamome.2ch.net/gengo/1218182688
1:2008/08/08(金) 17:04:48 - 257:2010/07/26(月) 23:11:18

日本語のアクセント(旧「正しいアクセント」)
http://www.unkar.org/read/academy6.2ch.net/gengo/1239241555
1:2009/04/09(木) 10:45:55 - 1000:2010/03/16(火) 02:16:11

日本語のアクセント 2(旧「正しいアクセント」)
http://www.unkar.org/read/kamome.2ch.net/gengo/1269512430
1:2010/03/25(木) 19:20:30 - 273:2010/09/05(日) 00:26:15

アクセント・イントネーション総合スレッド
http://www.unkar.org/read/dubai.2ch.net/dialect/1262454629
1:2010/01/03(日) 02:50:29 - 77:2010/02/13(土) 00:54:45

158名無しさん:2010/10/20(水) 14:40:07
>156
なるほどな。面白い議論だな。東京式といわず、15世紀以降の京阪式自体、
旧「高起類およびLH…型」以外の下がり目は、実は鎌倉期京都の「上がり目」の末裔であって、
それらが持っていた「下がり目」の子孫ではない(驚くべきことに!)ので、
その議論は成り立ち得ると思う。
俺自身、「乙種の生成過程のカギは、中内輪ではなく外輪にあるのではないか?」
「乙種外輪は、通説とはかなり違う生成過程を経ている可能性があり得る?」
という疑問は共有するので、大変に興味深い。
細かい話は抜きにして、
その上がり目→外輪下がり目変換説の、具体的な変換過程はどうなんだろう?
京阪式の過程は、低平連続崩壊による一時的な凹型の生成により、
結果として核が1つセットバックするというやや複雑な過程をたどった。
単に鏡像的に反転したのか、このようなセットバックを経たのか、どちらなんだろうね?
後者なら、実は通説とそれほど変わらない。
前者だとしたら面白いが、そうすると何とも「豊橋が遠くなる(笑)」。
結局、「豊橋大分型」が雛型とされるにも関わらず、これが一番導き辛い。
津軽や薩摩のほうが、答えを出すだけならよほど簡単であって、
豊橋をどう導くかが大問題だと思う。
逆転発想で「豊橋アクセントは雛型ではない」とする発想もありえるが、
北三陸などを見る限り、どうしても豊橋タイプが雛型だとしか思えない。

159名無しさん:2010/10/20(水) 18:44:17
「ある本」では、外輪東京式(大分)の生成過程について、
院政京都式アクセントの上がり目をはっきりさせるために、
その前の拍の後半がくぼみ(降拍になり)、その後上がり目が消えて、
降拍が下げ核になったとしてある。
低高→降高→降低→高低
低降→降降→降低→高低
低低高→低降高→低降低→低高低
低高低→降高低→降低低→高低低
低高高→降高高→降低低→高低低
低低降→低降降→低降低→低高低

160名無しさん:2010/10/20(水) 20:57:58
>>159
うーん。それじゃあ南北朝京都の「低平連続崩壊」と原理的に同じこと、
しかも変な劣化バージョンじゃないか。
その発想の説明をすると、
「その前の拍」ではなく発生した「降音節」がズバリ「上り目核音節」なので、
要するに「上がり目の凹が1音節で完結した南北朝京都型の変形」ということになる。
これはあり得る考え方だと思う。論者は伊吹島の2拍3類にインスパイアされたのかもしれない。
だが問題はその前の音節(拍)群だ。
低平を維持しているから、核拍で突然「上がって下がる」という不自然なことになる。
これでは核拍がそのまま「昇り拍」になってしまうことこそが自然であって、
津軽の説明には資するけれど、豊橋はまたも遥か彼方に遠ざかってしまう。
おそらくここで「少なくとも津軽では低平連続を現代までそのままキープしたい」というのが、
その「ある本の著者」の拘りなのだろう。
これがやはりおかしいのだ。ここをなんとかしないと、豊橋大分にはたどりつけない。
豊橋も大分も、ここは東京(中輪)とそっくりのLH…Hの形となっているのだ。

161名無しさん:2010/10/20(水) 21:16:06
つまり、その考え方を採るのならば、前音節群の処理を、
もう少し工夫する必要がある。おそらく、最も穏当な解決策は、
LHH…のような形を作ってしまうことだろう。そうすると、
(以下、漢字の拍が核を示す)
LH…H降HH…
という形が、外輪乙種の低起類の理論形の原始形態だと想定する。
音程としてはこのほうが自然だ(引っかかりがない)
そして、最初に想定したLH…の部分と、「降H」より後のHには
位置アクセントとなった以上弁別上の意味がないので、
これがLH…H降LL…となって、LH…H高LLとなれば、
豊橋(または大分)アクセントの雛型の出来上がり。
高起類は、「下がり目が消えた」以上、
なんとなく無標の「LH…H」が最初から想定される。
ここにおいて、語頭のLは後ずれの痕跡ではなく純然たる切れ目の明示と解釈される。
青森人には残念なことだろうけれど、
弘前の昇り核との直接接続はこの説でも無理筋だと思う。

162名無しさん:2010/10/20(水) 21:32:48
さらに追加。この説だと、3拍5類の説明がまずいというかもしれない。
しかし逆に3拍5類の実際の状態(つまり対応がgdgdに見える状態)はむしろよく説明できる。
おそらく、3拍5類の乙種外輪の原始形は、「L降H」というより「H降H」に近い形だったんだ。
(音韻論的にどうなのかは微妙だが。ここは音声にポイントがある)
これが「H降L」になった。そうすると核拍の「降」が高低に吸収されるとき、
単語自体の音程が「単調な低下型」になるので、
音声的にHLLの方向性に引っ張られてしまう。これは音韻としては核の移動そのもので、
3拍5類で、実際には(とりわけ外輪で)普遍的なHLLは二次変化ではなく、
この過程を経ていきなり生まれた可能性が生じる。

163名無しさん:2010/10/20(水) 22:39:52
とまあ、ここまでは何とか行けたんだが、もっと手前に問題があることにお気づきだと思う。
3拍5類以前に、2拍3類なんだ。
>>162の議論を敷衍すれば、豊橋や大分(保守的な外輪地域)では
「2拍3類が、HL(L)とLH(L)とのあいだで揺れている」ことが予想される。
しかしこれは事実に反する。保守的な外輪地域で実際に揺れているのは2拍2類で、2拍3類は鉄板。
特に中部地方に顕著だが、中輪と外輪との境界線は、スパッと引けるものでは無かったりする。
尤も、2拍345類が統合されて、12類と対立する外輪変種はかなりある。
その多くは、345類の、二次変化前の祖形としてHL(L)が導かれていたはず。
これらは二次変化ではなく、もっと古い変化に基づくものなのかもしれない。
本当に、何度みても「豊橋は遠い」んだよなあ。豊橋大分の説明が、何気に一番難しい。

164名無しさん:2010/10/20(水) 22:47:26
>>161-162
その説のほうが妥当だね。
>>159
だと卓立調になってしまう。

とりあえず、金田一春彦とは違う説も現実味を帯びてきましたと。

165名無しさん:2010/10/20(水) 22:49:43
>>163
あ、そうですか。

166名無しさん:2010/10/20(水) 23:18:12
別に上げ核部分の降が一拍内の高から低への下降(降り拍より前に上がり目を想定する)でなくてもいい。

上がり目をはっきりさせるには、低からさらに低くなることも考えられる。
便宜的に、普通「L」とされるものを「M」とすると(カッコ内は一拍)、
MM…MH→MM…(ML)H→MM…(ML)L→MM…ML
となる。
2拍3類+助詞、3拍5類は
MMH→M(ML)H→M(ML)L→MML
第一拍の低下はこの後起きたとしてよい。

段階観に凝り固まりすぎると変に思えるかもしれないが、
どこで上げ下げするかさえ考えていればいい。
ここ/ろ→ここ\ぉ/ろ→ここ\ぉろ→ここ\ろ→こ/こ\ろ

167名無しさん:2010/10/21(木) 21:16:05
>>166
それじゃあ>>161と一緒。それを「より不明確に言い換えた」だけだよ。
おそらくこの説の修正にしても補強にしても、>>166はあまり意味がなく、
むしろ問題点の存在を浮き彫りにする。
「どこで上げ下げするか『  だ  け  を  』考えていればいい」で、
アクセント史を知っている者ならだれでも引っかかるはず。
それは、「祖アクセント(院政京都)の高起/低起はどこへ行った(何時どのように消えた?)?」という大問題だ。
結論は「それ自体は消えた」でよい。問題はそのメカニズムだ。
俺が院政京都の2音節目以降を「位置アクセントと解さない」のはこれを基礎づけるためで、
位置アクセントは京都でいう鎌倉期アクセントの段階で初めて発生し、
「3変数の各類に分類される」という不安定な状態(弁別ツールに対する分類肢の過剰)に陥り、
これがトリガーになって「下がり目と相討ちして双方消えた」と解する。
(この過程こそが、京阪・外輪・中内輪・讃岐・伊吹・真鍋等のアクセント史全てを貫く真の問題点だろう)
この上で、>>161のような形が、初めて存立の基礎が固まることになる。
「上げ下げするかだけを」というのは、今のそれも乙種アクセントだけを共時分析する場合にのみ通用する方法。

168名無しさん:2010/10/22(金) 00:33:57
大分の東京式も、京阪式っぽく響く言い回しが存在するアクセントなんだね。

169名無しさん:2010/10/23(土) 21:04:46
>>168
意味不明だなあ。外輪東京式だけど、全体としては中輪東京式にかなり似てるし、音調も標準的。
個別の例外的なアクセントでも京阪式っぽいものはあまりないんじゃないかな。
素人に京阪式っぽさを与える要素もほぼないと思うけど。

170名無しさん:2010/10/24(日) 00:17:55
鎌倉期アクセントって院政期アクセントに比べると全然注目されないけど、
実は今の現代本土諸方言の全てのアクセントの祖形だよな。
今の本土方言のアクセントは鎌倉期までしか遡れない。

院政期アクセントと鎌倉期アクセントの大きな違いは、
院政期にあった昇拍が鎌倉期に消失し、降拍も低降、低低降…の形でしか現れなくなったこと、
そして助詞のアクセントが名詞のアクセントに拘束されるようになったことだが、
この点で見ると現代諸方言のアクセントで院政期アクセントの特徴を保持している方言はないはずだ。
本土方言のあらゆるアクセントは、鎌倉期アクセントからの変化で説明できるはず。
もしそうでない例(院政期アクセントを祖形に立てないと説明できない例)があったら教えてほしい。

中央アクセント史の次の段階である室町期アクセントを祖形として説明できるのは、
狭義の京阪式、垂井式、擬京阪式、内輪・中輪東京式などか。
伊吹島式、真鍋島式、外輪東京式、西南九州式などはそれ以前の段階の形から分岐している。


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