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日本語の方言アクセント・イントネーション

169名無しさん:2010/10/23(土) 21:04:46
>>168
意味不明だなあ。外輪東京式だけど、全体としては中輪東京式にかなり似てるし、音調も標準的。
個別の例外的なアクセントでも京阪式っぽいものはあまりないんじゃないかな。
素人に京阪式っぽさを与える要素もほぼないと思うけど。

170名無しさん:2010/10/24(日) 00:17:55
鎌倉期アクセントって院政期アクセントに比べると全然注目されないけど、
実は今の現代本土諸方言の全てのアクセントの祖形だよな。
今の本土方言のアクセントは鎌倉期までしか遡れない。

院政期アクセントと鎌倉期アクセントの大きな違いは、
院政期にあった昇拍が鎌倉期に消失し、降拍も低降、低低降…の形でしか現れなくなったこと、
そして助詞のアクセントが名詞のアクセントに拘束されるようになったことだが、
この点で見ると現代諸方言のアクセントで院政期アクセントの特徴を保持している方言はないはずだ。
本土方言のあらゆるアクセントは、鎌倉期アクセントからの変化で説明できるはず。
もしそうでない例(院政期アクセントを祖形に立てないと説明できない例)があったら教えてほしい。

中央アクセント史の次の段階である室町期アクセントを祖形として説明できるのは、
狭義の京阪式、垂井式、擬京阪式、内輪・中輪東京式などか。
伊吹島式、真鍋島式、外輪東京式、西南九州式などはそれ以前の段階の形から分岐している。

171名無しさん:2010/10/24(日) 00:25:24
「京都は歴史上一貫して京阪式アクセントだった」とか、「日本語のアクセントは全て京阪式を祖とする」というような言い方がされることがあるが、
南北朝期までの京都アクセントは「京阪式」というには問題があると思う。
室町期以降の京阪式アクセントは、「高起式/低起式の区別と下げ核」、
もっと一般化して言えば「複数の式の区別と1種類の位置アクセント」で説明できるが、それ以前ではその説明ができない。
上げ核を設けるにしろ音節声調とみなすにしろ、現代方言にあるシステムからはみ出す要素が必要になる。

この時期の京都アクセントは、現代方言にはもう見られない体系を持っている。「京阪式」ではない何か別の名称を付けるべきではないだろうか。
南北朝期の凹型の音調のあと、後ろの高い部分が消え、すなわち上がり目が消失し、式のほかには下がり目だけを弁別するようになったとき、
そのときを「京阪式アクセントの誕生」とみなすべきだろう。

172名無しさん:2010/10/24(日) 00:35:04
讃岐式も。室町期より前に遡るもの。

>>171
たしかにそう。
「讃岐式は京阪式から分かれ出て独自に発展した」みたいに言うことがあるが、
鎌倉以前のアクセントから二つに分かれた一方が讃岐式、他方が京阪式であって、
讃岐式を京阪式の変種扱いするのは良くないと思う。
ただ共時的に見ればどちらも高起・低起と下げ核の体系で同種に括られるんだろうけど。

173名無しさん:2010/10/24(日) 00:55:37
「なぜ、京都における南北朝期以前のような体系のアクセントは、現代諸方言では全滅してしまっているのか」というのは
それなりに面白いテーマだと思うなあ。今の諸方言のアクセント体系は全て祖形に比べると簡略化されている。

共時的に見ると、現代諸方言のアクセント体系は、

* 2種類の式(語声調)と、1種類の核(位置アクセント)を持つ(京阪式、讃岐式、真鍋島式など)
* 3種類の式(語声調)と、1種類の核(位置アクセント)を持つ(伊吹島式)
* 1種類の核(位置アクセント)を持つ(東京式、垂井式など)
* 2種類の式(語声調)を持つ(西南九州式)

のように見なせると思うんだが、古い時代に遡って行くと、鎌倉期〜南北朝期の京都アクセントは、

* 2種類の式(語声調)と、2種類の核(位置アクセント)を持つ

というべきアクセントになるし、さらに院政期にまで遡ると、

* 4種類の音節声調が、形態素内で高さの谷が出ない範囲で自由に付く

という全く違うアクセントと見なさなければならなくなる。

174名無しさん:2010/10/24(日) 08:52:03
なぜ、「何・いつ」は頭高型で「誰・どこ」は平板型になる、という地域は少ないのか。
前者は4類、後者は1類で、そうなることが予想されるのに。
類を超えて「疑問詞」というくくりになって、東京ではすべて頭高に、東海ではすべて平板になっている。

175名無しさん:2010/10/24(日) 09:19:13
>>174
疑問詞だと相手に注目させたいって気持ちもあるだろうし、イントネーションの影響も受けるんじゃないか?
頭高型ならともかく、平板型になるのはよく分からないが。

「東海では」って、名古屋のような東京式アクセント地域でも、三重のような京阪式アクセント地域でもそうだということ?

176名無しさん:2010/10/24(日) 09:56:02
「東海」は東京式の地域。
詳しくは知らないが、愛知、岐阜、静岡西部あたりは平板に統一されるらしい。

177名無しさん:2010/10/24(日) 18:48:46
素人的質問で申し訳ないのだが、京阪式というときの式と
二つの式と上げ核を持つというときの式はどうちがうの

178名無しさん:2010/10/24(日) 19:13:20
>>177
まったく別物。

179名無しさん:2010/10/24(日) 19:16:32
「別物」とだけ答えられてもな……

180名無しさん:2010/10/24(日) 19:16:39
>>177
「京阪式」「東京式」「垂井式」「讃岐式」「西南九州式」などの呼び方は、アクセントの大まかなタイプを分類したもの。
アクセントの体系や語彙の分属などが異なるものをまとめている。
別に「式」と呼ぶ必要はなくて、「京阪タイプ」とか「東京タイプ」でもいいはずだが、「〜式」が定着している。
「〜式」の前には何となく代表になりそうな地域の名前が付いていることが多い。

広義の京阪式(讃岐式、真鍋島式を含む)や伊吹島式における「式」は、上の呼び方とは全く関係がない。
これらのアクセントでは、下げ核や下がり目の位置だけではなく、単語全体(あるいは核の前全体)の音調が複数ある。

京阪式でいうと、「高起式」と「低起式」という2種類の音調があって、典型的には高起式は高く始まり、低起式は低く始まる。
下がり目の位置が同じでも、この「式」が違うと、アクセントとしては違う型に属することになる。
方言により音調が違って、「下降式」と呼ばれる式がある場合もあるが、いずれにしろ単語のアクセントを記述するのに、
下げ核の位置に加えて、どの式に所属するかを明らかにしなければならない。
日本語の方言アクセントにしか使われない用語だが、他言語で相当するものを探すと、広い意味での「語声調」にあたるものとされる。

181名無しさん:2010/10/25(月) 01:00:54
>>170-173
言いたいこと(問題意識)は完全に共有するよ。
本土どころか現存する全ての日本語族の諸語(方言)アクセントの共通の祖は、
院政京都ではなく鎌倉期京都アクセント。
ところが、少なくとも京都では、この祖アクセントは100年維持できなかった。
この意味するところは大きいと思う。つまり鎌倉期京都アクセントと言うのは、
「祖語論的な『起源完全』の完璧な具現」でありながら、それ自体は極めて不安定で、
すでに動態的な変化の契機を内包している、もっといえば「変化分裂を始めている」アクセント。
初拍高低・上がり目・下がり目という3元構成は、本質的に不安定なのだろう。

182名無しさん:2010/10/25(月) 23:23:38
>>173
言いたいことはとてもよくわかるし、問題意識には完全同意だけれど、明らかに誤解を招く表現(まとめ方)だよ。
何度も繰り返し書いている「早田理論のもたらす致命的害悪」の繰り返しで、
早田の所為でどんな悲惨な推論がなされてしまうかも、すでに論文の例をあげているけれど。
京阪式の「語声調」と、西南九州の「語声調(?)」は、実際には系譜が途切れていて全くの無関係。
見掛け上系譜がつながっているように見えるが、
それは、間に大分型(保守的な乙種外輪)の「完全な位置アクセント一元体系」を挟んでいて、
「振り分けが一致する」だけで、声調としては完全な別物。
道具立てを慎重に用いて行うこういう丁寧な通時的分類というのは非常に重要であって、
これが「別物であること」を見えなくさせてしまう分類ツールは、たとえ共時分類でも明らかに糞理論以外の何物でもない。
しかし、早田説の異様に平板的な共時適用自体はまったくの糞であっても、
核(位置)と式(低起/高起)と純然たる声調の区別自体は、俺も当然に承認するわけで、
その意味で、鎌倉と院政の決定的差異は、もっと注目されるべきだと思う。
さらに言えば、
今の京阪式の「式」も、院政京都直系とは言い難い面を持っている。
今の京都アクセントの下がり目の大半は「上がり目の凹の名残」であって、
従って、高起類の大半は「なんちゃって高起類」なのが現状だ。
「式の振り分けが乱れた」というレベルを超えて、同一性は認めがたいとさえいえないだろうか。

183名無しさん:2010/10/26(火) 00:04:43
今話題の西南九州式のアクセントを持つ各地の音調のまとめ
A型は二拍名詞一類・二類(単独・助詞付)、B型は二拍名詞三類・四類・五類(単独・助詞付)の音調を示している。
「中」は、丁寧な発音では低くなるが、自然な発音では高くなる傾向がある拍・音節。

A型         B型
二拍 三拍     二拍 三拍
高低 高高低   低高 低低高  長崎式   長崎県彼杵地方、高来地方など
高低 高低低   低高 低高低  三河内式  長崎県東彼杵郡北端
高低 高低低   低低 低低低  藤津式   佐賀県藤津郡地方
高低 低高低   低低 低低低  杵島式   佐賀県杵島郡地方など
高低 高高低   低低 低低低  玉名式   熊本県西北部
高低 低高低   低高 低高高  芦北式   熊本県西南部
高低 高低低   低高 低低高  長島式   鹿児島県長島郡の一部
高低 低高低   低高 低低高  鹿児島式  鹿児島県の大部分
高低 低高低   低高 中低高  南薩摩式  薩摩半島の南岸
低高 中低高   高低 低高低  枕崎式   枕崎市地方
高低 低高低   低高 高低中  江石式   鹿児島県上甑島の一部
高低 高低低   低高 低高低  屋久式   屋久島の一部
高低 低高低   低高 低高低  一湊式   屋久島の一部
低高 低高低   低高 低低高  栗生式   屋久島の一部
低高 低低高   低高 低低高  都城式   宮崎県南端、鹿児島県東端、五島列島の福江島西部 ※尾高一型式

恐らく三河内式、屋久式の形が祖形だと思われる。

184名無しさん:2010/10/26(火) 00:29:13
西南九州というより(これはこれで面白いが)京阪式の話を少し続ける。
今の主流京阪式をつぶさに眺めると、
教科書的な高起/低起の『峻別』とはかなり異なる様相が見えてくるように思う。
この「類(または式)」は、実は3つにわかれる。
A 真正高起類
B なんちゃって高起類(本籍は院政アクセント低平連続上がり目型)
C 真正低起類
AとBでは、複合語に関する金田一法則の適用が明らかに違う。
さらに細分化すると、今の京阪神アクセントに通底する動態的な変化が見えてくる。
A1 高起平板(無核)類(全品詞1類)…これが「鉄板の高起類」で揺らぐことはない
A2 真正高起有核類…絶滅危惧種
B なんちゃって高起類…甲種の中でも核の位置が結構揺らぐ。真正の核ではないからだろう。
C1 低起有核類…(祖形LH…HLL…)この核は真正の下がり目からか意外と揺らがない。
C2 低起無核類…京都でいう「尻上がり音調」。祖形はLH…Hだが、空席の「低平連続」を簒奪した。
以上より、結局、高起/低起の対立は、A1とC2の対立に収斂しつつある。
Bに「出生の秘密」があるため、実はC1と実際の音声では融通がきくところがあり、
A1/B&C1/C2の対立となっていて、
形は違うが、乙種に広くみられる平板/起伏/頭高の3元対立とよく似た形になる傾向にあるようだ。

185名無しさん:2010/10/28(木) 22:08:36
京阪式の「式」と西南九州式の「語声調」を同じもののようにするからいけないんだな。
確かに「式」という専用の用語を使わず、汎言語的な用語を探せば「語声調」になるのだろう。
だが、京阪式の「式」の内容は、東京式の「句音調」のようなものだ。

例えば、東京なら、句音調は基本的に低く始まり、第二拍から上昇し、核まで高く平ら。
名古屋なら基本的に低く始まり、第三拍から上昇して、核まで高く平ら。
福山なら全て最初から高く、核まで高く平ら。
秋田なら最初は低く、核まで平らか、二拍目から僅かに上昇し、核があれば核だけ高い。

京阪式では、この句音調に2種類があって、どちらを適用するかが語ごとに決まっている。
京都の高起式は最初から高く、核まで高く平ら。
低起式は最初は低く、僅かに上昇しつつ、核があれば核だけ、無核で低起式が続けば最終拍だけ高い。
高知なら、高起式は京都と同じで、低起式が基本的に二拍目から上昇する。
丸亀なら、高起式(下降式)が高く始まり核までやや下降調。低起式は低く平らで核だけ高くなる。
高松なら、高起式は低く始まり二拍目から核まで高く平ら、
低起式は低く平らで核があれば核だけ高い。

伊吹島式なら3種類あって、高起式は京都や高知の高起式と同じ、下降式は丸亀の高起式(下降式)と同じ、
低起式は京都の下降式と同じような音調。

186名無しさん:2010/10/28(木) 22:11:24
西南九州式の「語声調」は、京阪式の句音調的な「式」とは内容がかなり違う。
例えば鹿児島の場合、A型は「最後から二音節目だけ高い」、
B型は「最後の音節だけ高い」となる。

東京式の句音調、京阪式の「式」は両方とも、
句の先頭から核までの間について、始まる高さと、
その後の高さの変動の向きを指定するという感じだが、
西南九州式の「語声調」はかなり違う。むしろ位置アクセント的な指定だ。

西南九州式を「位置アクセント」に含めないのは、
付属語が付くと下降の位置が移動するものが多いからだろう。
ただ、こういうものも、「句の末尾から数える位置アクセント」と考えることもできそうだ。
東京式で、動詞が「0型」と「-2型」の二型だと考えるようなものだ。
長崎式や鹿児島式では、「-1型」と「-2型」の二型の位置アクセントがあるとも言えるかもしれない。

ただ、「先頭から数えるか」「末尾から数えるか」だけの違いで済めばいいがそうではない。
東京式や京阪式の位置アクセントはあくまでも語頭からで、前に付属語が付いても核が前に移動したりはしない。
例えば、前に「この」が付いたら下降が二拍前にずれるというようなことはない。音素に対する位置も変わらない。
一方、例えば鹿児島では、後に「が」が付いたら一音節、「から」が付いたら二音節下降が後にずれる。
語が単位か句が単位かという違いがある。結局西南九州式はどう考えればいいんだろう。

187名無しさん:2010/10/28(木) 23:39:01
>>186
ごく素直に、鹿児島などでは「助詞等も語尾化している」でいいんじゃないの?
より膠着度が高く屈折化しているために「文節がアクセントの『1単位』として働いている」ということ。
実際、沖縄方言などはかなり助詞の癒着が強く「は」なども語尾に取り込まれてしまっている。
語尾の屈折化を度外視したとしても、
鹿児島方言のようなふるまいは日本語の方言においても決して奇異なことではなく、
例えば助詞の独立性が極めて高いとされる京阪式などでも、
連用形などの滝の位置は、後続する付属語に影響されないが、
動詞の未然形と仮定形は「後続する付属語込みで1単位」としてふるまっている。
ずっと同じことばかり言って早田を非難してばかりいるような気もするが(笑)
早田理論は、本当に百害あって『一利しかない』と思う。
「語声調と位置アクセントを区別する」という観点の提供?だけが「一利」。後は全部「百害」(笑)

188名無しさん:2010/11/06(土) 11:20:41
各方言での動詞や形容詞の活用形アクセントはどうなってるんだろう?

189名無しさん:2010/11/06(土) 18:30:45
>>188
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E5%BC%8F%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%88
ここに東京式アクセントの浜松、名古屋、広島県油木町あり。

190名無しさん:2010/11/06(土) 23:17:14
金田一春彦説の東京式成立過程って、

高高→低高
高低→低高
低高→低低→低高

高高高→低高高
高低低→低高低
高高低→低高高
低高高→低低高→高低高→高低低
低高低→低低高→高低高→高低低
低降低→低低高→高低高→高低低
だったっけ?

191名無しさん:2010/11/07(日) 00:59:25
>>190
大体あってるけど、その書き方だと平板型と尾高型の区別が付かないので、

高高→低高
高低→低高’(→低高)
低高→低低→高低

高高高→低高高
高低低→低高低
高高低→低高高’(→低高高)
低高高→低低高 →高低高 →高低低
低高低→低低高’→高低高’→高低低
低降低→低低高’→高低高’→高低低

と書いたほうがいいかな。
京阪式からの変化で単純に考えれば尾高型になるもののうち、
文末に立つことができず、必ず後に何か続く型は、中輪東京式では平板型に変化した。
例えば「日も」「風も」「体も」「赤い(連体形)」「悲しい(連体形)」など。
内輪東京式ではこのような場合も尾高型のままだったはず。

あと、中輪東京式では一拍名詞二類が平板型なのに対し、内輪東京式では頭高型。
これは、東京式への変化の時点で、中輪式では既に一拍名詞の短呼化が起きていたのに対し、
内輪式ではまだ現代京阪式地域のように二拍分に長呼する形だったのが理由だとされていたはず。

中輪式では助詞付の場合において高低型に準じて変化し、平板型になって一類と合流したが、
内輪式では助詞付の場合に高低低型のような変化を遂げ、低高低型になったあと、短呼化が起きて高低型になり三類と合流した。

外輪東京式の場合、一番最初の段階で高起式の型が全て高平型に合流したとされる。
その後の経過の説明は内輪・中輪と同じ。

192名無しさん:2010/11/07(日) 07:16:35
爆発的に売れる本か映画が出れば、
また日本語は少し変わるんだろうな

ハリーポッターでは何も変わって無いけど

193名無しさん:2010/11/07(日) 11:27:48
>>191
つまり、
アクセントの山が一つ後退し、
語頭に「低」が二拍続いたら第一拍が「高」になり、後半の「高」が消える
という変化だよね?

194名無しさん:2010/11/07(日) 11:35:45
>>193
そうだね。2つめの変化は、南北朝時代の京都で実際に起きたことが文献上確認されている。

また、1つめの変化も、外輪東京式からさらに起こした方言が岩手南部から宮城北部にかけて、
外輪東京式から条件付きで起こした方言がいわゆる北奥羽式として、岩手沿岸部を除く北奥羽方言と雲伯方言に、
中輪東京式から条件付きで起こした方言が千葉県中部に分布している。

能登半島には、1つめの変化を起こしたうえで2つめの変化を起こしかけている方言や、
2つめの変化を起こして内輪東京式になった方言もある。

195名無しさん:2010/11/08(月) 01:17:45
アイヌ訛りは?
http://www.youtube.com/watch?v=fYEhubSOtcI

196名無しさん:2010/11/08(月) 10:13:56
アイヌ語話者が身につけたアイヌ語訛りの日本語のアクセントは、
「高い拍が必ず1つはあり、しかも1拍に限る」という特徴があったらしい。
これはアイヌ語のアクセントの性質と一致する。

金田一は、このような性質を持つアクセントが日本語圏の中で青森などにのみ見られることに注目して、
このような特徴はアイヌ語の影響を受けて成立したのではないかと述べていた。

青森でのやや古い形のアクセントの場合、秋田と似たような一音節卓立の形だが、
平板型にあたる型の最後の音節が高くなる。このため上のような性質が成り立つ。
ただし昇り核化した形では、核より後の複数音節に高い拍が及ぶためこれは成り立たない。
また、秋田や盛岡では平板型が低平型になるためやはり成り立たない。

アイヌ語訛りの日本語にアクセント上の特徴があったのは確かだが、
それと北奥羽のアクセントを結び付けられるかは微妙なところ。

197名無しさん:2010/11/09(火) 00:02:16
島田紳介が東京式を真似てしゃべる時、ちゃんと一応東京式になってる時はやはり名古屋のアクセントになってるね。
理由はわざとらしいから。
名古屋は「わざとらしい東京式アクセント」である。

198名無しさん:2010/11/09(火) 00:20:16
単に名古屋が内輪東京式で京阪式との対応が単純だっていうのと、
京阪式の低起式にも名古屋にも遅上がりがあるってのが似て聞こえる理由じゃないの?
あとは形容詞のアクセント統合などか。
さすがに「上がる」と「下がる」が統合するような変化は起きてないと思うけど。

199名無しさん:2010/11/13(土) 23:00:36
世界の高低アクセント言語で、日本語の諸方言のアクセントに似た体系のものはあるの?

たとえば東京式のように、「直後で高さが下がる拍・音節の位置・有無を弁別する」という体系の言語はあるの?
あるいは京阪式のように、「高く始まる型と低く始まる型の区別があり、それに加えて直後で高さが下がる拍・音節の位置・有無を弁別する」という体系は?

日本語諸方言の高低アクセントの中で、世界的に見て一番普遍的なタイプはどれなんだろう。

200名無しさん:2010/11/14(日) 16:34:43
>>196
東京式枠内でLHH…調が北奥羽のような卓立調になるのは自然な変化だし、
鳥取や広島にもあるんだから、わざわざアイヌ語と結びつける必要はない。
完全な日本語の一種である北奥羽方言が、
体系的なもの、しかもそのうちアクセントだけアイヌ語の影響を受けているとは考えにくい。

201名無しさん:2010/11/14(日) 22:05:49
北奥羽式は原則一拍卓立と言われているけど、実際は地域差があるんじゃないかと思う。
盛岡あたりの言葉は、俺には任意の位置で上昇しているように聞こえる。初拍から高いことも結構ある。

202名無しさん:2010/11/14(日) 22:11:48
>>200
青森の場合に他の一拍卓立型と違うのは、平板型が低平型にならず最後の拍が高いこと。
だから、「一つの拍だけが高いか、一つも高くない」ではなく、「必ずどれか一つの拍だけが高い」となる。
ただし、実際には昇り核化で高い部分が複数拍に及んだりするので、結局あまり上手く成り立たないし、
アイヌ語と結びつけるのも怪しいとは思うが。

203名無しさん:2010/11/14(日) 22:23:57
そげそげ。

204名無しさん:2010/11/14(日) 22:31:49
一拍卓立の典型例として挙げられることが多い秋田も、
完全な低低、低低低、低低高、低低低低、低低低高、低低高低などではなく、
低中、低中中、低中高、低中中中、低中中高、低中高低のように、
二拍目から弱い上昇が見られることが多い。ただし平板型と尾高型は単独で区別できる。
また、世代が上がるほど低平に近くなり、丁寧な発音を内省してもらうと低平型だと答える。
若い世代では共通語にかなり近付き、単独での平板型と尾高型の区別も失われつつある。

205名無しさん:2010/11/15(月) 00:47:09
>>199
古典ギリシア語のアクセントが、東京式アクセントと良く似ている。
重アクセントの読み方によっては、京阪式のほうが近いという人もいる(俺は懐疑的)
古典期のラテン語もよく似ているが、こちらはアクセント核が固定していて、
東京方言における「起伏型で外来語を読んだとき」とそっくり。
下の方法でアクセントをつけると、本当のラテン語のアクセントの位置と95%以上一致する。
ラテン語を「カタカナに潰して」、
東京方言のやりかたでアクセント核(滝)を決めて、
それを秋田の卓立か名古屋の遅上がりで読む。
キケロの演説やヴェルギリウスのラテン詩の雰囲気が味わえる(笑)

206名無しさん:2010/11/15(月) 09:29:18
「どこかの音節が高い(どの音節が高いかが問題になる)」というのはよくありそうなタイプだけど、
東京式の平板型にあたるものがある言語ってあるのか?無核型というか。
その点、筑前式は必ず核があるからより古典ギリシア語やラテン語などに近いのかな。
これらの言語が後に強弱アクセントになったのは、必ず核があるというのも大きな要因だったと思うけど、
筑前式も放っておけば強弱アクセントに移行する余地があったということか。

207名無しさん:2010/11/16(火) 03:16:12
>>205
音源ないの?再現の

208名無しさん:2010/11/20(土) 23:14:25
京阪式に似たアクセントは世界にないの?

209名無しさん:2010/11/23(火) 18:10:15
フジ系列でさっき「イルミネーションから突然出火、あなたのうちは大丈夫」。
「大丈夫」を下降調で発音したぞ。
最近のアナウンサーの質の低下は凄まじい。

210名無しさん:2010/11/23(火) 18:22:22
本来は「大丈夫?」と上昇調(疑問)で言うべきところを「大丈夫。」と下降調(断定)で言ってしまったってこと?

211名無しさん:2010/11/23(火) 18:51:36
>>210 そう、その通り。でCM挟んで本格的に始まったレポートの字幕には
「大丈夫?」となっていた。から当然上昇調(疑問)で言うべきところだ。

212名無しさん:2010/11/24(水) 16:40:04
>>208 このような説もあります。↓

O2a M95* 1.9% % 越人/丹砂採集/前方後円墳
O3a3 LINE1 3.1% 呉人/物部/銅戈・青銅器鋳造/軽工業(含養蚕)
O3a3c M134 10.4% 秦人/仙薬/銅鏡
逆に、関西以外にはこうした集中はなかった。倭人伝が邪馬台国に接近するに従い会稽・東冶に
近づいたと錯覚したのはこれが大きな原因。

213名無しさん:2010/11/24(水) 21:18:24
>>208
http://nihonjinxx.exblog.jp/

214名無しさん:2010/11/24(水) 21:31:34
>>212
日本語のアクセントの起源は不明だが、青森から与那国島までの全ての有アクセント方言のアクセントが非常によく対応する以上、
青森方言から与那国方言にいたる全ての日本語族が分岐する前の日本祖語(日琉祖語)の時点で、既にアクセントがあったのは確実だろう。
そしてそれは、文献上最古の院政期京都アクセントに近いもの(>>171のように厳密には京阪式とはいえない)だったと考えられる。

奈良時代前後の渡来人によってアクセントが持ち込まれた、それ以前の日本語は無アクセントだったなどという説もあるが、これは言語学的にはトンデモと言ってよい。
まず、元が無アクセントなら、いくら他言語の影響を受けようと、無アクセント言語にアクセントが付く道理がない。
日本祖語のアクセントと考えられるものは文法的機能や意味に関係がなく、各語にこのアクセントが付くという必然性がない。
例えば「口」「爪」「鼻」は高高だが「足」「髪」「舌」「腹」「骨」「耳」「指」は低低、「肩」は低高というように。
日本語と関係ない語彙を持つ言語の影響を受けて、日本語固有の語彙にこのような恣意的なアクセントが付くというのは非常におかしな話。

高低アクセントの起源は、無声/有声の対立の消失、語末子音の消失など、何らかの要素の消失の代償に求められると考えられている。
有名なのはベトナム語で、今は6種の声調があるが、語頭の無声/有声による2種、語末子音による3種で2×3の6種が発生したことが分かっている。
日本語のアクセントも、今は失われた何らかの要素の消失の代償として発生したと考えられるが、それが何かはもはや分からない。

また、渡来人が多くやってきた時代は主に4世紀末〜6世紀だが、日琉祖語の時代(琉球語派の分岐)は3世紀頃に遡ると言われる。
従って、渡来人がアクセントを持ち込んだなどという説は時代的にも成り立たない。
3世紀以前から、「kuti(HH)」「pana(HH)」「mimi(LL)」「kata(LH)」のように語形とアクセントがセットで存在していた。
語形だけが先にあって後からアクセントだけが外から持ち込まれるというのは有り得ない。

さらに、今でこそ京阪式アクセントは近畿・四国付近だけに残っているが、元々は全ての方言アクセントが京阪式(厳密には違うが)に遡る。
魏志倭人伝の時代にはまだ各方言が分岐してから年代が浅く、各地のアクセントは京阪式に近いものだっただろう。

ただし、「越人」「呉人」「秦人」が和人と似た言語(当然シナ・チベット語族や朝鮮語とは無関係)を話していた可能性はある。
しかし、もしそうだとしたらそれらの言語は既に消滅しており、現代の言語の中に京阪式に似たアクセントを求める>>208の趣旨とは合わない。

215名無しさん:2010/11/24(水) 21:44:40
>>213
遺伝子には関心があるようだが言語学部分は全くの素人だな。
「標準語は長州藩の山口弁」とか、結構耳にするが真面目に主張してるのは笑いものにしかならない。
今じゃこういうレベルの言語学素人がアクセント論にまで大真面目で割り込んできてトンデモ説を主張してるから笑えないが。
恥ずかしいからそんなブログを宣伝するのは今日までにしておけ。

216名無しさん:2010/11/24(水) 22:09:00
>>214
>3世紀以前から、「kuti(HH)」「pana(HH)」「mimi(LL)」「kata(LH)」のように語形とアクセントがセットで存在していた。

何で3世紀以前のアクセントがわかるのですか?

217名無しさん:2010/11/24(水) 22:17:24
>>216
とりあえず、文献記録から11世紀の京都のアクセントは非常に詳細に分かっている(アクセント符号付きの辞書などがある)。
で、本土の方言のアクセントはその記録されたアクセントと非常によく対応するから、
11世紀の京都のアクセントに非常に近いものが、本土の全てのアクセントの祖だと言われている。
11世紀の京都からどう変化すれば各方言のアクセントができるかという説明もほぼできている。

また、琉球方言のアクセントも、11世紀の京都のアクセントとよく対応する。
ただし>>72-75にあるように、無視できない程度のズレがあるので、実際は本土と琉球の両方の祖形アクセントは
11世紀の京都アクセントとは多少違うかもしれない。しかし似たものと考えても無理はない。
日本語と琉球語が分岐したのは基礎語彙の分析から3世紀〜8世紀と考えられるが、
語彙は分岐後にも影響があったと考えられるから、最下限の3世紀をとってもそう問題はない。
特に分岐が古い南琉球方言にも本土とよく対応する語彙とアクセントがあるというのは重要だ。
つまり、本土方言と南琉球方言が分岐した時点で、既に語彙とセットの高低アクセントがあったということになる。

218名無しさん:2010/11/24(水) 23:21:17
>>217
なるほど、ありがとう。でも難しい。w

>ただし、「越人」「呉人」「秦人」が和人と似た言語・・・

そこのところは「越人」「呉人」「秦人」が倭人ではないかということです。

219名無しさん:2010/11/25(木) 00:19:25
>>74
あたりを見ると、日琉祖語の時点では平安京都式とはだいぶ違っていたんじゃないかという気がする。
類が半分分裂しまっているように見えるが、これはかつてあった区別じゃないのか。

日琉祖語の時点では二拍名詞では
ア類(一類):飴・烏賊・牛・枝・風・傷・釘・口・腰・酒・砂・袖・箱・鼻・羽・筆・臍・星・水
イ類(二類):石・歌・音・紙・牙・夏・橋・人・冬
ウ類(三類B): 網・犬・芋・色・馬・草・雲・米・島・角・波・糠・花・豆・耳・山
エ類(四類B):板・稲・瓜・傘・肩・角・鎌・汁・種・味噌・蓑・麦・藁
オ類(五類B):雨・腿・夜
カ類(三類C):瓶・蚤・浜・骨・鞠
キ類(四類C):息・糸・臼・海・中・箸・針・船・箆・松
ク類(五類C):汗・桶・影・声・猿・足袋・露・鍋

の少なくとも8類の区別があって、
ここから時代が下って本土では奈良時代までにア/イ/ウカ/エキ/オクに統合し、
琉球では別の統合(たとえばアイ/ウエオ/カキク)をしたのでは。

220名無しさん:2010/11/25(木) 00:44:56
http://www.thomaspellard.info/pdf/unforgotten_islands.pdf
ここの「音調体系をめぐって」だと
「2 音節語には8 種の音調型もあったとするのは数から見て問題である」とあるが、
各音節に高・低・昇・降が自由に付くようなアクセントなら問題なさそう。

221名無しさん:2010/11/25(木) 01:54:14
高低昇降が自由に付けるなら16種類あるべきだろう。8種しかないのは逆に少なすぎる。
しかし高低の組み合わせが基本なら8種は多すぎる。

8種の区別が再構されるとしても、それが本当に全てアクセントの区別に由来するとは限らない。
その論文でも示唆されているように例えば母音の長さによって類が分裂したということも考えられるし、
他の既に消えた音韻の条件によって分裂したのかもしれない。
音韻の区別だったのがアクセントの区別に移行した可能性があるということだ。

222名無しさん:2010/11/25(木) 02:34:54
>>217
http://www6.kokken.go.jp/siryokan_data/hogendanwa_db/cd.htm
全国方言談話データベース

11世紀の京都のアクセントがここで聞かれる琉球方言のアクセントと似たものだったのですか?

223名無しさん:2010/11/25(木) 10:35:22
>>222
当然ながら、今の琉球方言のアクセントは、11世紀の京都アクセントとも、想定される琉球祖アクセントともかなり違っている。
一般的には、現代の諸方言から再構される琉球祖アクセントは外輪東京式に近いものとされる。
現代で外輪東京式を持つのは例えば新潟・長野・豊橋・米子・小倉・大分など。
これは一番最初が外輪東京式だったというわけではなく、現代の琉球諸方言から遡れる最も古いアクセントが外輪東京式に近いという意味。
外輪東京式も11世紀の京都アクセントから変化したものとされているので、結局は同じ元のアクセント。

ただし、上にあるように琉球祖アクセントと外輪東京式には無視できないズレがある。
11世紀の京都アクセントも琉球祖アクセントも、さらに古い共通の段階から変化した可能性が高い。

なお、そのページにある地点でいうと、今帰仁は外輪東京式に比較的近いもの。琉球祖アクセントからの変化は比較的小さい。
一方、平良は一型アクセントから無アクセントへ変化しつつある段階らしく、既にアクセントによる語の区別を失っている。

現代琉球諸方言のアクセントは非常に地域差が激しい。

224名無しさん:2010/11/25(木) 11:28:38
>>221
語内に谷を作らない、という条件をつければ
高高、高低、高降
低高、低低、低降、低昇
昇高、昇低、昇降
降低
の11種類。このうち平安期の京都にあるのは9種類。
降拍や昇拍が、琉球では長音化したという考え方もできる。

225名無しさん:2010/11/25(木) 13:09:43
>>219
俺は琉球のB/C群は二次変化だと思うがなあ。明らかで一貫した偏りがある。
2拍の場合は、3類((院政京都:以下略)LL)はB群優勢、5類(LF)はC群優勢、4類(LH)が分断状態。
3拍の場合は、4類(LLL)と5類(LLH)にしかB群は見られない。
明らかに一貫した特徴がある。
B群は「なかなか音調が上昇しない場合」に親和的に見える。C群はその逆。
どうやら、カギは、2拍3類、3拍4類(つまり低平調)にあるのだろう。
考えられる選択肢は2つほどあるように見える。
A説:南北朝の有名なせり上がり現象(低平連続崩壊)に近い現象が琉球でも起きた時に、
琉球では、低起類の他の類も巻き込んで再編が起きた。
B説:逆に、低平類が核となる新たな上位類概念が誕生し、他の類との間で争奪戦が起きた。
A説は、上のほうにある外輪乙種の別のメカニズムでの説明を使っても、
また別のルートで同種の議論は構築可能と思う。

226名無しさん:2010/11/25(木) 20:19:35
本土と琉球の分岐が三世紀って数字はどうなのかね。
こういうところには恣意的に分岐を古くしたがるバイアスがないかね。

227名無しさん:2010/11/25(木) 20:42:37
>>226
語彙統計学というのがあって、基礎語彙の一致数から分岐後の年数を概算するという手法がある。
ここから京都方言と首里方言の分岐年数を出したある研究では1450年前ないし1700年前という結果を出していた。
ただし、琉球語派は分岐後も日本語派に語彙の影響を受けていただろうから、これは実際の分岐年代より新しい方向にずれている可能性がある。

また、音韻面や文法面で、文献上最も古い日本語派の記録よりさらに古い状態を保持していると疑わせる点がいくつかある。
ハ行にp音を保持している方言があること、上代特殊仮名遣の区別を残していると疑われる例があること、
南琉球語群で動詞連用形・終止形・連体形が連用形にあたる形で統一されていること(後世の改新の可能性もある)など。

少なくとも、ア行とワ行の区別が完全に保たれていること、一部にハ行転呼を起こしていない語例があるなどの点から、
平安時代以降の分岐という説は成り立たない。言語学的に見ても奈良時代かそれ以前ということになる。
日本語族の拡大という観点からすると、弥生時代に入ってから農耕技術を得た日本語族が急速に拡大したというのがそれらしい。
その時点で「山」「口」「耳」などの基礎的な語彙が、高低アクセントを伴って広がったということになる。

228名無しさん:2010/11/25(木) 21:01:11
>>227
畿内ではハ行は早くから摩擦化していたが、実は九州ではこの変化が遅れていて
かなり700年代の頭ではまだ[p]だった、とか理由をつければ
琉球の分岐の古さの主張はどうにでもならないか?
上代特殊仮名遣いの痕跡にしてもそうだ。難癖はつけられる。

229名無しさん:2010/11/25(木) 21:10:13
>>228
まあそういう意味では何とでもいいようがあるし、絶対的年代にこだわることにはあまり意味がないかもしれない。
ただ、「奈良時代の奈良語」よりも前の段階から琉球方言が分岐したかどうか、というような意味での古さについて考えるのは意味があるだろう。
九州などは奈良時代以後に一旦中央語化がかなり進んだ疑いがあるし、単純な分岐モデルで考えるのも問題がある。

本土と琉球のアクセント分岐の問題でいうと、本土のほうも11世紀以前にしっかりと遡れないという弱みがある。
日本書紀α群には、音韻だけでなくアクセント(声調)の一致も考慮して漢字を選んだと思われる部分があり、
そこの部分から推定されるアクセントは院政期京都アクセントとかなりよく一致するらしい。
また金田一則(式保存の法則)もあることから、少なくとも奈良時代から院政時代までの間は
アクセントに大きな変化は無かったと推定されている。
そしてこのアクセントからの変化で本土方言のアクセントをほぼ全て導くことができる。

このアクセントが日琉祖語のアクセントとみなせれば話は簡単なんだが、
琉球祖語アクセントを再構してみると本土祖語アクセントとは無視できない違いがあるというのが問題。
ただ、本土祖語の二拍一類・二類が琉球祖語のA系列に綺麗に対応するというような事実もあるので、
やはり単一の祖アクセントから変化したものだろう。

230名無しさん:2010/11/26(金) 23:08:12
日本書紀成立論小結−併せて万葉仮名のアクセント優先例を論ず− 森 博達
(『国語学』 第54巻3号 2003.7.1)
http://ci.nii.ac.jp/els/110002533370.pdf?id=ART0002805194&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1290777015&cp=

たとえばここの10頁に、高山倫明「原音声調から観た日本書紀音仮名表記試論」(1981年)によって、
日本書紀α群の音仮名の声調と、平安後期に加点された声点とがきわめてよく一致する歌謡が指摘された例が載っている。

日本書紀α群は中国語母語話者が執筆した部分。
その際に執筆者は、当時の日本語を表記するための漢字を選択する際に、音韻だけでなくアクセントをもなるべく再現できるように選んだ。
日本語での高拍は中国語で上声か去声の漢字、日本語での低拍と降拍は中国語で平声の漢字を用いて表記した。
恐らく執筆者は薩弘恪で、執筆時期は690年代と考えられる。
一方、平安後期の声点は、日本語母語話者が加えたもので、いわゆる院政期京都アクセントと一致するものだ。

そして、これらの声調と声点がきわめてよく一致するということは、690年代の日本語のアクセントも、
いわゆる院政期京都アクセントとほとんど同じものだったということを示唆する。
一致しない部分は、子音、母音、アクセントの全てが一致する漢字がなかったために、アクセントを犠牲にした字と考えられる。

β群を含む他の部分にも声調とアクセントの一致率が有意に高い部分がある。
本土のアクセントは11世紀の京都までではなく、7世紀末期の奈良までは遡れるだろうと言える。

231名無しさん:2010/11/26(金) 23:56:32
>>230
先行研究も含めてだが、森さん、本当にいい仕事をしているよなあ。
もっと評価されるべき、と言いたいところだけれど、
こういう珠玉の研究をする稀有な研究者は、あまり雑務や広報活動にはかかわらず、
出来る限りの研究を文章で残すことに専念することが、世の中のために一番良いのかもしれない。
この世界は、本当に玉石混交だからねえ。
森さんのよう千年に1人単位の神のような研究者もいるかと思えば、
山口幸洋なんかが「古希記念論文集」なんてものを出す栄誉にあずかれたりする。
研究者としての一般的ステータスが、研究レベルと全く比例しない。
黄金を黄金、糞を糞と見抜ける力がないと、何がまともかさえ五里霧中になる。

232名無しさん:2010/11/27(土) 10:56:04
具体的には山口幸洋のどのあたりがクソの臭いを出している部分ですか?

233名無しさん:2010/11/27(土) 11:29:05
231じゃないけど、やはり「日本祖語は無アクセントで、あとから高低アクセントを獲得した」というのがトンデモだろう。

現代の諸方言アクセントを、「何らかの原因で高低アクセントを獲得した京阪式と接触し、それを不完全に受容したもの」として説明しようとしているが、
まず、その元になった「京阪式アクセント」がどこから来たのか全く説明できていない。
何か他言語から持ち込まれたようなことを言っていたと思うが、全く無関係で語彙などが全然一致しないような言語からアクセントだけ持ち込まれて
それで院政期京都アクセントのような体系が出来上がることなど有り得ないだろう。

やはり言語学のセオリー通り、何らかの音韻の消滅の代償でできた可能性が高い。
それは現代の諸方言(琉球諸語を含む)によって遡れる「日琉祖語」よりもさらにずっと前の年代で、
琉球諸語以外に日本語と関連する言語が見つかるということでもなければ、既に手がかりが消滅して分からなくなってしまっている。

アクセントの「接触」で様々なアクセント変化を説明しようとしているのもおかしい。
足利市の例を挙げていたりするが、あのように近代以降に東京大都市圏化の大波に飲み込まれようとしているような例を
過去のアクセント変化の例に持ち出すこと自体がおかしい。数十年スケールの話と数千年スケールの話を混同しているし。

各地のアクセント変化はほぼ全てが自律的内的変化で説明できるもので、接触で説明できる部分はほとんどないだろう。
武将が移住しただの海運交通があっただのいう例だって、語彙の借用が時に見られるだけで、アクセントが「伝播」した例なんて全然ない。
アクセントは非常に体系的であり、かつ話者自身にも体系が把握しづらく、後からの学習・変更が最も難しい。

実際に複数のアクセントが接触したとして、起こるのは複雑なアクセントのほうの単純化であって、単純なほうが複雑なアクセントを「習得」することはまずない。
また、語彙のように地伝いに「接触」「伝播」していったとしたら、京都から離れるほど全ての区別が失われていくはず。
だが、実際は例えば、二拍二類と三類の区別は、北奥羽〜新潟・長野北東部、遠州〜東三河、讃岐、伯耆〜出雲、豊前〜豊後と別れて分布する。
伝播でこのようになることは考えにくい。各地で自律的内的変化が起こったのが事実だ。また、この区別は南北朝以前の京都にもあった。
接触して起こりうるのは「自律的に起こりうる内的変化の促進」であって、内的変化で起こりえない変化はよほどの強い影響がないと起こらない。

そもそも、文献記録が残る京都アクセントを見ても、その他の地域の断片的な記録を見ても、各地のアクセントはほぼ一貫して単純化する流れだ。
遡るほど複雑化していく。当然、祖語は複雑なアクセントを持っていたと推定できる。祖語が無アクセントだったなんて不自然極まりない。

234名無しさん:2010/11/27(土) 17:15:08
>>233
代弁してくれてありがとう。俺もそんなところだと思う。
その珍説、学問の自由・表現の自由とはいえ、本当に害悪が大きいよなあ。素人受けするというのが最大の問題。
俺自身、乙種アクセントの成立に関しては、かなり風変わりな考え方をしているが、
山口(や小泉)のような、完全電波ではないはずだと一応自負している。
一応論理的な反対説として許されるギリギリだろうとは思うが。
実は、俺は「乙種中輪は、南北朝京阪の子ではなく、外輪の子ではないか」と密かに思っているんだよ。
南北朝京阪式の子といえるのは、内輪と垂井で、この2つがいわば兄弟なのではないか。
鎌倉京阪の子が、甲種主流と、甲種讃岐と、乙種外輪(他にも真鍋島などがある)
甲種主流の子が、乙種内輪と、垂井
乙種外輪の子が、乙種中輪
伊吹島は、甲種主流と甲種讃岐が分裂した際に、体言に限り区別が遺存的に残った変種で、
系譜的には鎌倉京阪の兄弟(院政京都の子)だが、時期的にはおそらく主流京阪と讃岐の分裂と同時だろう。

235名無しさん:2010/11/27(土) 18:06:31
>>234続き。
なぜこのような技巧的な構成を採るかというと、
特に本州中部で顕著だが、2拍2類、3拍2類3類の所属が、特に外輪側でガタガタになっているという事実があるから。
俺は、ここだけは「京阪と外輪の接触」という、まるで山口のような考え方を採っているが(苦笑)、
上のほうにあった「上がり目説」を採用するなら、
「上がり目化」が起きた時に、高起類の「下がり目」が中途半端に消え残った場合があって、
それが、旧高起下がり目類(2拍2類、3拍2類3類。もともと所属が多くない)が
中途半端な帰属を示すようになったのではないか。
特に乙種中輪2拍2類の理念形LHH(L)は、実は見掛け上のまやかしかもしれない。
(これを解決するためには、乙種中外輪形容詞1類終止形の「−1」の説明が必要だが)

236名無しさん:2010/11/27(土) 18:08:20
>>234
具体的に

237名無しさん:2010/11/27(土) 18:10:49
そのガタガタこそ中輪と外輪が接触したために起きたんじゃないのか。

238名無しさん:2010/11/27(土) 19:15:55
>>235
アクセント型なんかも交えて具体的におねがい。

外輪と内輪の接触で,
外輪の一部が中輪になったという主張なの?

239名無しさん:2010/11/27(土) 20:56:58
>>238
結論から言うと、俺の考え方は、
「外輪が京阪に接触して(外輪から)中輪ができた」という説になる。
内輪と垂井は別に考える。
結論は大変に風変わりであることは分かっているし、いくつか大きな弱点もあるが、
立論として成り立ち得ると思うので、ここで論じてみるよ。

240名無しさん:2010/11/27(土) 21:05:31
まず第1段階として、鎌倉京都アクセントが、南北朝京都アクセントと、外輪東京式の原型に分裂した。
これは、通説だと乙種側の説明がやや鬱陶しくなるが、
>>159>>161説を採れば、この2つが「論理的に対等に分裂した」と考えることはごく自然だ。
「上がり核の凹について、甲種はL(低)、乙種はF(降)を選択した」と考えればよい。
そして、畿内周辺(讃岐除く)ではLが、三河・越後以東、安芸・伯耆以西ではFが選択され、
ここで一旦、「現在の乙種中輪・外輪圏全域が外輪乙種になった」と考える(ここがポイント)
そして、各々「凹拍の処理」が行われ、
東国と中国・九州では豊橋・大分型のアクセントに、尾張や吉備を含む畿内周辺では今の主流京阪式になった。
(続く)

241名無しさん:2010/11/27(土) 21:14:09
ところが、乙種圏において、その甲種圏と接する部分から、甲種アクセントの干渉を受けることになる。
具体的には、2拍2類や、3拍2類3類。
これらは、乙種からみると、自分たちのところには滝がないのに、甲種では滝がある。
そこでこれらに所属する単語が、「各個撃破」で個別的に起伏型に変わる現象が起きた。
その際、低起類については「1拍後ずれ」のように見えるので、
それにならって、1拍後ずれした形で滝がつくことになった。
この変化は、当時の甲乙境界線(つまり現在の内輪と中輪の境界線)近傍から進み、
北奥や九州にはついに達しなかった。
概ね撃破が完了した地方もあり、これが中輪ということになるが、
豊橋や松江のように、取り残される地方もあった(だから外輪が島状に孤立している)
また、撃破が中途半端な地方が、本州中部を中心にあちこちに残された。
(東京ですら、「上」などが取り残されている)
これで、2拍2類や3拍23類がガタガタであることの説明ができる。

242名無しさん:2010/11/27(土) 21:20:26
以上の変化の後、京阪式圏の音節構造が完全なモーラ言語化した後で、
京阪式辺縁のアクセントが(恐らく東京式の干渉を受けて)変化を始めた。
まず、今の能登や土佐幡多、十津川に見られるような1拍後ずれが、
濃尾平野と吉備平野で起きた。ここで内輪乙種が誕生する。
また、北陸を中心に更に内側で、1拍後ずれのない二次変化が起きた。これが垂井式。
だから、内輪地域では2拍2類のガタガタはないし、3拍のゆれも京阪式に準じている。
これで、現行の乙種地域のアクセント分布の大枠が説明されることになる。

243名無しさん:2010/11/27(土) 21:26:24
この仮説によれば、「外輪と中輪は、実は連続体である」と解することになる。
つまり、中間的なものがかなり存在するということ。
そして、20世紀後半に、北奥、北海道、越後などで劇的に進む外輪から中輪への変化は、
実は数百年前に既に広範囲に起きていたことを追いかけているということになるだろう。
また、>159説を採れば、「真正の1拍後ずれ」がおきたのは、内輪地域だけ、
つまり、まとまった地域としては濃尾平野と岡山平野だけということになる。
そしてこれが最近に起きたことは、岡山平野南端に、主流京阪式圏が存在すること、
幡多、十津川などで起きていることと連続して考えられることなどから裏付けできる。

244名無しさん:2010/11/27(土) 21:32:37
幡多や十津川ってそんな変化途中のアクセントなの?
具体的にどんなんだろ?

245名無しさん:2010/11/27(土) 21:40:06
付け加えておくと、この仮説は、本来穏当な説を立てる場合にはおきて破りであるはずの、
「歴史的な考察に、現在の方言地理区画をそのままあてはめる」
ということをやっているが、これは意図して行ったこと。
>>159>>161説を採るならば、>>240の変化が起きたのは、京都とほぼ同じ時期と考えてよい。
断片的だが能楽資料などを見る限り、室町時代には
「犬のアクセントが京都でHL、坂東筑紫でLH、四国でHH」とあり、
地理的分布はほぼ現在のものとベースを共通としてよいことを示唆する。
そして現に、アクセント境界線が移動したという事実は、明治来150年で存在しない。
おそらく、外中輪/内輪の境界は、おそらく14世紀に出来てしまったもので、
内輪/垂井/京阪の境界は、これを追いかけて江戸時代には完成していただろう。

246名無しさん:2010/11/28(日) 01:46:54
どっちの説でも三拍名詞6類の問題は解決されないようだ。

247名無しさん:2010/11/28(日) 04:26:42
>>241
>乙種圏において、その甲種圏と接する部分から、
>甲種アクセントの干渉を受けることになる。
>具体的には、2拍2類や、3拍2類3類。
これらを変化させるほどの京阪式の影響を受けたときに,
2拍2類や3拍2,3類の変化だけですむか?
という疑問はどうしても生ずる。

>>244
十津川や四国西南部のアクセントは,
移行中のものなんかじゃなくて,完全な東京式。

十津川は典型的な内輪東京式で,
幡多(四国西南部)は,内輪東京式ではあるけど,
1拍名詞のアクセントは中輪東京式。

確かに,能登島や和歌山の山奥で移行中のアクセントは存在したはずだけど。

248247:2010/11/28(日) 04:37:57
というか,>>241説をとるとすれば,
外輪が京阪式の影響で中輪化したとするよりは,
先に内輪を成立させた上で,
内輪の影響で外輪から中輪が成立したとする方が説明しやすいと思う。

かりにそうだとしても,
アクセントを変化させるほどの,
強い人間の交流が有ったとは考えづらいわけで,
そこを合理的に説明できないと,
オッカムの剃刀で切り落とされるよ・・ということで。

249名無しさん:2010/11/28(日) 10:26:48
内輪と外輪、中輪と外輪が接触したときに、二拍名詞二類などに個別に揺れが生じることはあり得るかもしれないが、
起こるとしても狭い範囲だろう。例えば長野県北東部での揺れ(南下するほど少しずつ二類で尾高型の語が増える)は
実際に中輪と外輪が接触して生じた揺れだと思う。

だけど、中輪全部をそれで説明しようとするのは明らかに無理だろう。
まず、接触アクセントにしては明らかに分布が広すぎる。しかも内輪と外輪が接触したと思えないところにも分布している。
接触とも考えられそうな分布は、例えば西三河(東三河の外輪と尾張の内輪に挟まれている)のような場合。
このぐらいの幅なら、実際に人的交流もありそうだし、個別の影響を受けてもおかしくないかもしれない。
だが、長野、山梨、静岡東部から西関東にかけて広がる広大な中輪地域はどう説明する?
これらの地域が全て、「各個撃破」がほぼ完了するほどの強い影響を内輪から受ける状況にあったとは考えられない。
広島から山口にかけての地域もそうだ。

それに、中輪の全て接触によるものなら、もっと二拍二類がガタガタになっていてもおかしくないだろう。
実際は、いくつかの語で揺れがあるとはいえ、多くの中輪地域ではほとんど安定して尾高型になっている。
これが「各個撃破」の結果だとは考えにくい。

250名無しさん:2010/11/28(日) 11:45:08
>>247-249
まあ普通は、内輪を先に成立させるのが自然なんだろうけれど、甲種を持ってきたのには、
>>248の隠れた、というより「敢えて隠した」理由があるんだ。
人口学的にみると、「近畿一極集中」が歴史上空前絶後のピークに達したのは、
古墳時代でも奈良時代でも平安時代でもなく、関ヶ原の戦いの起きた1600年の推計で、
このときの(現在の)近畿地方の人口は日本総人口の3割、2010年現在の「首都圏一極集中」にほぼ匹敵する「畿内集中」が起きていた。
だが接触について論じるときこそ、人的交流やら人種的考察を安易に持ち込むことは厳しく自重するべきと考えているから。
こういうことを安易にやってしまうから、山口や小泉のような珍説が生まれてしまう。
もう一つの理由は、内輪は、通説(金田一一元説)にのって考えないと説明できない事象が多すぎること、
それから畿内のモーラ言語化に後行すると考えないと説明が付かないこと、
また、岡山県児島半島南端に(讃岐式ではなく)主流京阪式を話す地区があること、
しかし16世紀後半に織田信長の全住民虐殺による人口の総入替えがあった三重県桑名郡長島町(合併前)が
純然たる東京式であること(これはあまりにも有名な事実)
などから考えて、内輪が1拍後ずれしたのは、16世紀前後と推定されるはず。
ここからスタートして、大干渉で今の中輪圏を作るのは、時間的にかなり苦しい。

251名無しさん:2010/11/28(日) 11:56:49
あと、「各個撃破」問題については、意外にハードルは低いと考えている。
2拍2類だけみるとハードルは高そうだが、>>61をこの観点から見ればはっきり分かるように、
3拍2類3類は、東京のような「純然たる中輪地域」でも、各個撃破は道半ばといったところ。
そして、2拍2類についても、中輪圏でも「平板に取り残された単語」が点在していて、
外輪圏とされる愛知県東三河など、2拍2類も実は半分近くが滝を獲得してしまっているし、
3拍2類3類でも、伝統方言でさえ明確に平板型が維持されているのは「女」くらい。
そして、このようなブレは、北奥や西南九州には(伝統方言では)見られない。

252名無しさん:2010/11/28(日) 12:37:05
>岡山県児島半島南端に(讃岐式ではなく)主流京阪式を話す地区があること、
>しかし16世紀後半に織田信長の全住民虐殺による人口の総入替えがあった
この辺の歴史のことがよく分からないので解説お願い。

それと畿内のモーラ言語化っていつごろだろう?

253名無しさん:2010/11/28(日) 15:53:52
近代以前の日本の人口統計
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BF%91%E4%BB%A3%E4%BB%A5%E5%89%8D%E3%81%AE%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E4%BA%BA%E5%8F%A3%E7%B5%B1%E8%A8%88

254名無しさん:2010/11/28(日) 19:17:52
>>251
おもしろいとは思うけど,
その仮説について焦点にすべきは,

むしろ,2類を変化させるほどの影響を京阪式から受けたのに,
なぜ2類だけの変化ですんだのかというところだとおもう。

3類・4類・5類は全くの無変化ですんでいるわけで,
ここの説明を詳細にしたほうがいい。

あと,逆に中輪が外輪に各個撃破されることもあり得るわけで,
それを中輪の方向に推し進めた強力な要因は何かというのも問題になるかと。

255名無しさん:2010/11/28(日) 21:05:46
>>254
おそらくそのカギは、>>159>>161説を採ると見えてくると思う。
つまり、甲種と乙種の相違点は、鎌倉京都アクセントの低起類がせり上がりを起こした時、
上がり拍の凹に「Lを採る」か「Fを採る」かの差だった。
だから、低起類については、実は各々のアクセント核は、甲種/乙種で姉妹あるいは二卵性双生児に過ぎない。
双子である以上、体系論的な一定の互換法則が保証されていて、干渉は起こらなかったのだろう。
ところが、甲種では高起類に古来の下げ核が残っている。(外輪)乙種では存在しない。
こうなると、既に確立した乙種の「平板/起伏」の対立関係に対して、甲種にはもう一つの下げ核類が存在することになる。
これは無論祖語の高起類に対応するものだが、当の甲種で、高起/低起の境界線は既に崩壊しているわけで、
外輪からみると、甲種には「高起起伏類のなかの一部に、乙種と対応しないものがある」ように見える。
しかもその絶対数はさほど多くない。
ならば、勝手にアクセント核を類推してつけてしまえという発想法が、境界付近で起きても不思議ではない。

256名無しさん:2010/11/28(日) 21:16:03
いろいろ理由をつけてるけど、都合よすぎだろという意見はぬぐいきれまい

257名無しさん:2010/11/28(日) 22:07:16
>>255続き。
実はこの類推論最大の問題(障碍または反例といってもいい)は、3拍7類にある。
甲種の7類は、低起類にも関わらず、その下がり目は「古い下がり目」そのもの。そして具体的な形はLHL。
ここから乙種話者が、>>255と同じ類推を始めようとすると、
実際のHLLからLHH(L)ではないかという類推を行うのが筋になるはずなのだ。
しかし具体的に中輪の3拍7類は、HLL(L)鉄板、一部がLHH(H)であって、
LHH(L)は出てこない。
これは、通説構築の際、単純な1拍ずれ論の一つのハードルでもあったところだが、
「単純類推論」をとると、再びこの問題がむき出しで出てきてしまう。
なんとなく、ドイツ民謡(アメリカ民謡)の「バケツの穴」のような話だが。

258名無しさん:2010/11/29(月) 00:34:52
追加で書くと、俺がこのような奇妙な説を考える契機になったのは、
通説にとって、外輪乙種の生成過程がどうしても理論上のボトルネックになるから。
金田一通説をとると、内中外の中で、外輪が最も複雑な論理操作を行わないと導けないのに、
地理的には、北奥羽、中部地方南端、中国地方北端、九州沖縄という4か所で
同時多発でこの変化が起きたとしなければならなくなる。
最低でも、新潟、豊橋、松江、大分の4ポイントで、全く同じ変化をさせなければならない。
同時に2か所なら分かるが、同時に全くバラバラで地域交流ゼロの4か所というのはかなりきつい。
尤も、「外輪のメルクマール」を徹底縮減して、
「(鎌倉京都を親にして)下げ核が消えた」という1点に絞るなら、4か所同時多発でも現実性を帯びてくるかなあとは思うが。
ただ、この1点だけで外輪の説明がつくかどうかは、4拍まで見ないとわからない。

259名無しさん:2010/11/29(月) 01:23:25
>>255
>ならば、勝手にアクセント核を類推してつけてしまえという発想法が、境界付近で起きても不思議ではない。

こういう,重大なところを一行で済ませてしまうと,
都合が良すぎるように見えるんだよ。

ある場所をうまく説明しようと試行錯誤している割には,
他の場所で無理のある説明を,簡単に済ませてしまうのはよくない。

少数説を多数派に対して納得させるつもりなら,
余計に精密にやらないといけないんだよ。

260名無しさん:2010/11/30(火) 00:11:37
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1130577771

このような説もあります。

261名無しさん:2010/11/30(火) 00:17:32
>>260
これはまさに、>>234>>250などで批判されている完全トンデモ説であり、小泉保の「縄文語の発見」に影響されたものだろう。
アクセント論的には本当にデタラメで、言語学の舞台に上げてはいけないレベルのものなのだが、
変に歴史ロマンを刺激して一般受けするために、これをすっかり信じてしまっている一般人がたくさんいる。
こうやってネット上でこのトンデモ説が広がっていく光景を見るたびに怒りを覚える。一刻も早くこのトンデモ説を叩き潰して根絶させなくてはいけない。

262名無しさん:2010/11/30(火) 23:36:21
>>260
知ったかぶりでこういうこと言う人が一番迷惑だね。

263名無しさん:2010/12/01(水) 22:20:52
>>233
各地のアクセント変化はほぼ全てが自律的内的変化で説明できる

アクセントは非常に体系的であり、かつ話者自身にも体系が把握しづらく、後からの学習・変更が最も難しい。

ここは矛盾している。
アクセントは、それを話す個々の話者一人一人が心の中・脳内に共有する
話し方についての決まりごとであり、体系的知識である。
アクセントが変化するということは、話者一人一人の体系的知識が一斉に変化・変更するということ。

幼少の頃に身に着けた体系的知識は年を取ってから容易に変えられるものではないだろうし
まして一人一人の知識が一斉に変化することは有り得ない。

264名無しさん:2010/12/01(水) 23:11:40
>>263
矛盾していない。アクセントというのは、語彙のように自覚可能で変更が容易な「知識」からはかなり遠い。
語彙、文法、音韻、アクセントの順に自覚しやすい。
アクセントというのは極めて体系的なものだが、同時にその体系を極めて自覚しにくいものである。

例えば東京方言のアクセントは、「高低アクセントである」「下降の位置のみが弁別的である」
「N拍の語にはN+1種類の型が存在する」「特殊拍には下げ核を置くことができず、イや無声化拍には下げ核を置きにくい」
などのはっきりとした体系がある。

だが、言語学的知識が全くない一般の東京人に自らのアクセントについて尋ねて、
このようなことをいきなり記述できる人が果たしてどれだけ存在するだろうか?
まず「高低アクセント」ということを内省できる人ですら意外と少ない。強弱アクセントと勘違いしている人もいる。
「N拍の語にN+1種類の型が存在する」ということだって、かなり慎重に内省してようやく一部の人が自覚できる程度だ。
「端」「橋」「箸」の違いについて的確に記述できる話者は相当限られる。自覚可能な「知識」として覚えているわけではない。

アクセント変化も、意識的な「知識の変更」として行っているわけではなく、アクセント変化自体を話者が自覚していないこともしばしばある。
変化自体に気づいている場合も、それをうまく記述できる人は少ない。
アクセント体系を話者自身が自覚することが困難だからこそ、後から母語以外のアクセントを習得することが困難にもなる。

265名無しさん:2010/12/01(水) 23:33:41
例えば、方言と共通語や、場面による丁寧な言葉とぞんざいな言葉の使い分けを見ても、
自覚しやすい要素と自覚しにくい要素の違いが出る。

語彙は最も自覚しやすく、場面などにより使い分けることも非常に容易だ。そして個別的でもある。
例えば「腹」というか「お腹」というか、「食う」というか「食べる」というか、
「父」というか「父さん」というか「お父さん」というか「親父」というか、などのような例だ。
話者は意識的にどの語を使うか決められるし、それを容易に自覚できる。場面により使い分けることもある。
その語だけを変更すればよく、他の語には影響を及ぼさない。言語習得期を遥かに過ぎても新たな習得や変更ができる。
文法もこれに準じる。ただし特に自覚しやすい語彙的な部分と、やや自覚・変更が難しい部分がある。

音韻になると自覚が難しくなり、変更も難しくなる。その一方で体系的にもなる。
場面による変更が困難になり、方言的な音韻の特徴が共通語でも出ることもある。いわゆる「訛り」だ。
例えば東北方言の話者では、中舌的なイ・ウ段、狭母音に近いエ段、清音の有声化、濁音の鼻音化などの特徴を消すのが困難だ。
特に老年層では共通語的場面でもこれらの特徴が残る。一方で、これらの特徴が消えた若い世代では、逆にこれらの特徴を出すのが難しくなる。
音韻変化は自覚されることもあるが、自覚されずに進行する音韻変化も多い。例えば東京のガ行鼻濁音の消失は多くの人には自覚されない。

アクセントは最も自覚が難しく、場面による使い分けも最もしづらい。
語彙、語法、音韻では見事に共通語を使いこなしていても、アクセントの特徴が残っているので出身地が分かるということは珍しくない。
ある程度の年齢を過ぎてから新しいアクセント体系を習得するのは非常に困難だ。
複数のアクセント体系をうまく使い分けできるのは、子供の頃から使い分けする環境にあった人にほぼ限られる。

266名無しさん:2010/12/05(日) 22:50:03
>>258
通説の外輪東京式の生成過程は、「高起式が全て無核型に統合」という変化が最初に起こったこと以外は中輪と完全に同じだっけ?

267名無しさん:2010/12/08(水) 23:18:10
ここのスレの書きこみを見てください。

常用アクセントの違いから、日本語を聞き取れなかったと思われる人物がとんちんかんなレスをしています


有名人の外国語力(英中韓除く)の実態 Ⅲ
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/gogaku/1288153972/

268名無しさん:2010/12/12(日) 13:14:10
やっぱ山口のアクセントも名古屋っぽいな!

269名無しさん:2010/12/12(日) 15:31:30
>>268はマルチポスト

270名無しさん:2010/12/13(月) 03:45:01
ここは2chではありません。語りましょう。

271名無しさん:2010/12/13(月) 09:52:01
松山が京阪式なのはなぜだろう?
瀬戸内海航路の影響だとすれば、岡山のほうが先に京阪式になってもよさそうだし、
徳島あたりから陸路で伝わったとしても、途中で讃岐式が遮っている。

272名無しさん:2010/12/13(月) 09:57:14
「アクセントが伝わる」というのがおかしい。東京式→京阪式ではなく、京阪式→東京式というのが変化の順序。
一旦東京式になった地域が、海路の人的交流程度で京阪式になることは有り得ない。
元々の住人をほとんど駆逐するほどの京阪式地域からの大規模な移住でもあれば別だが。

四国方言の多くでは音韻やアクセントに関して保守的だから京阪式が残ったが、
中国方言ではさらに変化が進み東京式になったということ。

語彙の伝わり方と、音韻やアクセントをごっちゃにしちゃダメだよ。
語彙は個別的だから単発で伝播する可能性があるが、音韻やアクセントは基本的に「伝播」はしない。

内的変化で起こる可能性のある伝播なら、隣接地域の変化に誘発されて一見「伝播」のように見える広がり方をすることもあるが、
東京式から京阪式へは、内的変化する可能性がない。
京阪式にある区別が東京式では失われており、東京式をどう変化させてもその区別は出てこないし、
体系的にも京阪式のほうが複雑だからだ。

273名無しさん:2010/12/13(月) 10:02:36
>>272
では岡山や広島にもかつては京阪式が分布していたということだね?

274名無しさん:2010/12/13(月) 10:25:00
>>273
そういうことになるね。少なくとも本土の全ての方言アクセントは鎌倉期京都アクセントから変化したものというのが通説だから。

ただ、たとえば東北あたりだと、実は「京阪式が分布していた」時代があったことを疑うこともできる。
あくまでも「その方言のアクセントの元を辿っていくと京阪式に辿りつく」ということであって、
たとえば東北へ日本語圏が拡大していくとき、その前線でアクセント変化が起こり、青森に辿り着いたときには既に東京式へ変化していたということもあり得る。
その場合も、青森のアクセントの元を言語的に辿っていくと、元々より南にあった言語集団のアクセントを辿ることになり、それはかつて京阪式だったということになる。

ただ、中国地方の場合、今でも近畿や四国に京阪式が分布していることを考えると、やはり古い時代には京阪式が実際に分布していた時期があっただろう。
日本語自体が分布域を拡大した時代(恐らく弥生時代)に、その拡大がどこから起こったかというと、近畿ではなく恐らく九州北部だからだ。

中国地方でいつ東京式への変化があったかは文献資料がないので知りようがない。
関東地方では恐らく平安時代後期と考えられていて、室町時代後期には東京式に変化していたことを示すと思われる資料がある。
少なくとも江戸時代に入る頃には広島は東京式になっていた可能性が高いが資料がないので想像の域を出ない。
岡山は内輪東京式であること、京阪式地域にかなり近いことを考えるともっと遅いかもしれない。

275名無しさん:2010/12/13(月) 10:28:30
能登半島に京阪式が分布しているが、これは伝播とはいえないか?少なくとも話者の伝播では?
そうでなければかつては北陸一帯で京阪式が行われており、各地で垂井式が生じたことになる。
この理論では日本全国でかつては京阪式が分布していたという非現実的な世界になってしまう。

276名無しさん:2010/12/13(月) 10:59:06
>>275
非現実的ではない。かつては各地に広く京阪式が分布していたと考えられる。
京阪式から垂井式への変化は、「高起式と低起式の区別を失う」という非常に起こりやすい変化であり、
京阪式の周辺部各地に分かれて分布している。各地で同じような変化が起こったと考えられる。

京阪式から東京式への変化も、高い部分が一拍後にずれるという、やはり起こりやすい変化。
東京式からさらに一拍後にずれたようなアクセントもあり、これが起こりやすい変化であることを証明している。

むしろ、能登半島だけに、元の住人を駆逐するような大規模な住人移動があったと考えるほうがよほど不自然。
そんなことが起きていたら確実に文献記録があるはずだろう。

なぜ言語変化をそんなに何でも伝播と住人異動で説明したがるのか理解に苦しむ。
方言周圏論が中途半端な形で一般人に広がってしまった悪影響だろうか。

実際に住人異動により音韻・アクセントが「伝播」した例としては、波照間島から石垣島白保集落の例が挙げられる。
しかしこれは、1771年の八重山地震で起こった波高40mという明和の大津波により、
当時1574人いた人口の98%が死亡し、わずか28人しか生き残らなかったところに、波照間島から418人の移住者が来て再興されたという
非常に凄まじい歴史があってのことだ。

こういう極端な例でもなければ、少数の来訪者が来ても音韻やアクセントは容易に影響されず、移住者も多数派に埋もれてしまう。
実際、明治時代の北海道では、垂井式や京阪式の地域からも数多くの移住者が来たが、
3世代後にはほとんどの地域が、最も出身者が多かった北奥羽式のアクセントに同化されてしまっていた。
1940年代の若者の時点で、移住元のアクセントが保たれていたのは、奈良県十津川村(内輪東京式)からの空知支庁新十津川村と、
福井県大野町(垂井式)からの渡島支庁大野村だけだった。これらは村名が示すように集落ごと集団移住した地域だ。
様々な地域から移住があったそれ以外の地域では、最も多数派の北奥羽式に押され、他のアクセントは消えてしまった。

北海道の方言は、語彙には明らかに北陸や四国などから持ち込まれた形跡があっても、音韻やアクセントにその形跡を見出すのは難しい。
移住後二世までは音韻やアクセントの特徴が保たれても、三世から一気に北海道共通語的な音韻・アクセントに変わることが調査で分かっている。

277名無しさん:2010/12/13(月) 12:16:57
>>276
アクセントを近畿と東北(や九州)の二極構造で考える説、例えば山口幸洋の
「中央の京阪式アクセントと地方の無アクセントの接触によって、東京式アクセントが生まれた」とする説は、間違いなんだね?

それから京阪式→垂井式→東京式と変化しやすいなら、京阪式というのは無理に維持しようとしない限り、
すぐに崩壊してしまう型なのだから、近畿の中央部ではそのような内部変化が起こらなかったのは、
朝廷の影響で京阪式を無理してでも話さざるを得ない環境だった、あるいは京阪式を保っていこうという意識が
どこよりも強かった、ということでいいのか?すごく基本的な話だが。

278名無しさん:2010/12/13(月) 12:31:21
>>277
上にも出てるけど間違いだろう。そもそもそんな「接触」が起こるほど、遠地で京阪式の方言音声と日常的な言語的交流があったとはとても思えない。

京阪式が近畿などで比較的変化が少なく保たれたのは、単に音韻やアクセントが保守的な傾向があったからだろう。
また、母音が強く、連母音融合や母音の無声化が少なかったことが影響している。逆に東京式への変化はこれらが一因になっている可能性がある。
また中央に近いと言語的規範意識が強く、親から子供への言語的教育もよく行われ、文字との接触も多い。
中央から遠いと規範が弱く、教育も盛んでないし文字にも縛られにくいので自由で自然な変化が起こりやすい。

「朝廷の影響で」とかいうのは意味が分からない。そもそも圧倒的多数の庶民は朝廷の人々と言語的接触を持つことなど一生無かっただろう。
実際に他地方の庶民に規範的影響力を持っていたのは、京都の庶民あるいはやや身分の高い人々の言葉だっただろうが、
結局はそれらの人々のアクセントも南北朝時代にある程度大きな変化を遂げていて、決して固定していたわけではない。

京都で大きなアクセント変化が起こったのは、南北朝時代と、幕末から明治初期にかけてだったことが分かっていて、
これは京都の社会が大きく乱れた動乱の時期と重なるので、言語的規範が弱まったことでアクセント変化が起こった可能性は否定できない。

「京阪式のまま」と言っても、南北朝時代以前の京都のアクセントは、今の京阪式とはシステムが違う。
これを仮に「祖京阪式」と呼ぶと、京都では祖京阪式から京阪式へ変化するだけの比較的小幅な変化で済んだが、
他の地域では京阪式からさらに内輪・中輪東京式や垂井式への大きな変化を起こしたり、
祖京阪式から外輪東京式、讃岐式、伊吹島式、真鍋島式などへ別方向に変化したりしたということ。
今の本土方言の祖は、京阪式ではなく祖京阪式のほうになる。

279名無しさん:2010/12/13(月) 20:28:09
「京阪式」が「保守的」なのに「不安定(変化しやすい)」という、通説の言い回しが
ミスリードなんだと思うんだよなあ。ここに、山口や小泉のような珍説が生まれてくる背景があり、
またそれが、学界の外の一般人にやたら受けいられられてしまう背景にある。
恐らく、最大の誤りは京阪式が「保守的」「比較的変化が少ない」ということだと思う。
いわゆる「今の関西弁」の京阪式、つまり15世紀以降の京都アクセントと同系のアクセントは、
祖語アクセントと比較して、決して「保守的」ではない。むしろ強い二次的変化を起こしていて、
その「二次的変化の態様」が、本質的にやや「不安定」で「変化しやすい」ものだと説明したほうがいいのだと思う。

280名無しさん:2010/12/13(月) 20:39:36
その「不安定な二次変化」の肝は、
「低平連続崩壊を起こして、低起類の大半が高拍始まりになったのに、低起/高起の区別が残った」
というところにある。低起/高起の区別を残しているのだから「保守的だ」と言うのだが、
区別ラインが完全崩壊している以上、これは「保守的」だとは言い難い。
結局、半分は「関係ないものを無理やり弁別する」ようになっていて、垂井化はある意味必然に近い。
垂井化した瞬間、体系の屋台骨を失うからガタガタ(最終的には無アクセントまで突っ走る)になるのも、不思議ではない。
そしてさらに、低平連続を崩壊させるた結果「滝が2つ前にずれた」ため、
祖語来の用言アクセントの類別を支える痕跡が、東京式のように分かりやすい形にならなかったこと。
形容詞でいえば、「高起マイナス2」と「高起マイナス3」、
動詞でいえば、「高起0」と「高起マイナス2」と「低起0」となるが、
これではアクセントの大対立と綺麗に符合せず、いずれ弁別が怪しくなっても全くおかしくないということになる。
(東京式は最終的にここが「平板/起伏(/頭高)」と対応関係を結んだ。
それでも頭高型用言は、ごく一部を除いて消えたけど。)

281名無しさん:2010/12/13(月) 20:43:02
京阪式の「変化しやすさ」って何だろうね。
パッと思いつくところでは、下げ核が最後の拍にある型が少ないというのが挙げられると思う。

高起式では下げ核が最後の拍にある型は全く存在しないし、低起式でもかなり少ない。
二拍名詞五類が例外的にある程度の所属語数を持っているが、一拍名詞には存在しないし、
三拍名詞でも第二拍が特殊拍のものしかなく数えるほどしかない。四拍以上はよく知らないけどかなり少ないはず。
これが、核の一拍後退という変化を潜在的に起こしやすくしているのでは?

282名無しさん:2010/12/13(月) 23:20:32
>>277
京阪式→垂井式→東京式
というのは間違い。
垂井式から東京式は生まれない。

京阪式から高起・低起の区別がなくなったのが垂井式で、
一方で京阪式から一拍後ずれと語頭隆起を起こしたのが東京式。

平安京阪式(祖京阪式)からは室町京阪式、讃岐式、外輪東京式が生まれた(自分は二型式も祖京阪式から出たと考えるが)。
さらに室町以降の京阪式から、中輪東京式、内輪東京式、垂井式がそれぞれ派生している。

283名無しさん:2010/12/13(月) 23:41:00
京都を中心にして、例外はあるものの見事に
京阪式、垂井式、内輪東京式、中輪東京式、外輪東京式と分布しているのは、
外側のものがより分岐した時期が早かったから?

284名無しさん:2010/12/15(水) 08:21:42
>>283
確かに外側のほうが分岐年代は早そうだけど、綺麗に種類と対応してるかは微妙だな。
垂井式と内輪東京式は遅そうだ。

285名無しさん:2010/12/16(木) 08:04:26
岡山県倉敷市下津井大畠のアクセント

一拍名詞
L-H 1・3類
H-L 2類

二拍名詞
LH-H 1類
LH、LL-H 4類(LH-Hにもなる。これは若年層に多い)
LH-L 2・3・5類
HL-L 2・3・5類

二拍動詞
LH 1・2類
HL 居(お)る・出る・見る・来る

三拍動詞
LHH 1類
LHL 1・2類

三拍形容詞(老年層)
LHH 1類
LHL 2類

286名無しさん:2010/12/16(木) 12:10:49
2拍一段動詞二類のテ・タ形(「見た」の類)って、京阪式ではHLなのに、
東京式でもHLなのはなんでなんだ?内輪はLHらしいが。

3拍一段動詞一類のテ・タ形(「負けた」の類)も、京阪式でHLLで、東京式でLHLになることが予想されるのに
そうなっているのは内輪のみで、中輪ではLHHなのはなぜ?

287名無しさん:2010/12/16(木) 14:38:16
金田一によると確か、「見た」類は元々は「ミータ」のような形でLHLだったらしく、
京阪式では後に短縮してHLになったそうだ。

中輪・外輪では短縮する前に東京式化が起こったので、LHL → LLH → HLH → HLL となり、
その段階で短縮が起こってHLとなった。
一方、内輪では東京式化が遅く、その前に短縮が起こったので、先にHLになり、それが一拍後ずれでLH’になった。

うろ覚えだけど確かそんな感じの説明だったと思う。

288名無しさん:2010/12/16(木) 23:19:33
というか、その類の平安時代の記録はないの?

「置け」とか「白く」のアクセントは分かるのに?

289名無しさん:2010/12/17(金) 00:19:30
京阪式アクセントの表記法。

 ̄か

 ̄ひ’

_て

 ̄かぜ

 ̄あ’し

_なに

_はる’

 ̄かたち

 ̄あた’ま

 ̄こ’ころ

_うさぎ

_いち’ご

290名無しさん:2010/12/18(土) 06:46:34
>>287
「見た」類だけミータだったというのはずいぶん無理のある説明なんじゃないか?
そういう長音化がなかったとみると、「見た」=HLからは、平安期京都で「見たる」=LLHだったと推定できる。

「負けた」類については、外輪で平板になるのは高起統合で説明できるので、説明すべきは中輪のみ。

もしかして「見た」類の頭高化(中輪・外輪)と「負けた」類の平板化(中輪)は、類推による変化なんじゃ?
つまり、終止形で起伏型のもの(二類)はテ・タ形でも起伏に、終止形で平板型のもの(一類)はテ・タ形でも平板に、という類推。
内輪の場合、「泣いた」類や「囲んだ」類は、終止形は平板だがテ・タ形は起伏型の傾向があって、活用によってアクセントが揃わないものが多いから、こういう類推が起こらなかった。

291名無しさん:2010/12/18(土) 13:58:32
見たるRLH

292名無しさん:2010/12/18(土) 16:42:33
確かに当時の「見る」類の連用形のアクセントは「昇」だ。
そして当時、降や昇といったアクセントを持つ拍はやや長めに発音されていたようだ。
当時は短母音と長母音の対立もまだなかったし。

293名無しさん:2010/12/18(土) 19:45:46
「見たる」はRLHだったという記録資料はあるの?
となると京阪式ではRLH→HLH→HLというのも考えられるんじゃない?
鎌倉期に入るときに原則としてRはHに変化したから。

294名無しさん:2010/12/19(日) 22:03:30
院政期京都の動詞活用型アクセント

終止一拍・連体二拍 カ変・ラ変動詞
    未然I   未然II   連用I   連用II   終止    連体    已然    命令
一類 高     高     降     降     降     高高    高低    降     「為(す)」など
二類 高     低     昇     昇     昇     低高    低降    昇     「来(く)」など

終止一拍・連体二拍 二段動詞
    未然I   未然II   連用I   連用II   終止    連体    已然    命令
一類 高     高     降     降     降     高高    高低    高低    「寝(ぬ)」など
二類 高     低     昇     昇     昇     低高    低降    昇低    「得(う)」など

終止二拍・連体二拍 一段動詞
    未然I   未然II   連用I   連用II   終止    連体    已然    命令
一類 高     高     降     降     高低    高高    高低    高低    「着る(きる)」など
二類 高     低     昇     昇     低降    低高    低降    昇低    「見る(みる)」など

終止二拍・連体二拍 四段・ラ変動詞
    未然I   未然II   連用I   連用II   終止    連体    已然    命令
一類 高高    高高     高低   高低    高低    高高    高低    高低    「聞く(きく)」など
二類 低高    低低     低降   低高    低降    低高    低降    低降    「切る(きる)」など

終止二拍・連体三拍 二段動詞
    未然I   未然II   連用I   連用II   終止    連体    已然    命令
一類 高高    高高     高低   高低    高低    高高高  高高低  高低低  「消ゆ(きゆ)」など
二類 低高    低低     低降   低高    低降    低低高  低高低  低降低  「起く(おく)」など

終止三拍・連体三拍 四段動詞
    未然I   未然II   連用I   連用II   終止    連体    已然    命令
一類 高高高  高高高   高高低  高高低  高高低  高高高  高高低  高低低  「笑ふ(わらふ)」など
二類 低低高  低低低   低低降  低低高  低低降  低低高  低低降  低低降  「思ふ(おもふ)」など
三類 低高低  低低低   低高低  低高低  低高低  低高高  低高低  低高低  「歩く(あるく)」など

終止三拍・連体四拍 二段動詞
    未然I   未然II   連用I   連用II   終止    連体    已然    命令
一類 高高高  高高高   高高低  高高低  高高低  高高高高 高高高低 高高低低 「忘る(わする)」など
二類 低低高  低低低   低低降  低低高  低低降  低低低高 低低低降 低低降低 「崩る(くづる)」など
三類 低高高  低低低   低高低  低高低  低高低  低高高高 低高低低 低高低低 「隠る(かくる)」など

終止四拍・連体四拍 二段動詞
    未然I   未然II   連用I   連用II   終止    連体    已然    命令
一類 高高高高 高高高高 高高低低 高高高低 高高高低 高高高高 高高高低 高高低低 「失ふ(うしなふ)」など
二類 低低低高 低低低低 低低高低 低低高低 低低高低 低低低高 低低高低 低低高低 「表す(あらはす)」など
三類 低高高高 低高高高 低高高低 低高高低 低高高低 低高高高 低高高低 低高高低 「関はる(かかはる)」など

295名無しさん:2010/12/19(日) 22:24:00
未然形と連用形の一と二の違いはなんなんだ?

296名無しさん:2010/12/19(日) 22:51:25
>>295
正確には覚えてないけど後続する助詞によって違うっていうことだったはず
同じ活用形が後続する助詞によってアクセントが影響されるというより、
語形が同じだけで、本来なら別々の活用形として立てるべきだったんだろう

一段動詞や四段動詞の終止形と連体形の形が同じだけどアクセントが違ったのと同じようなものだ
終止形と連体形の場合、活用の種類によっては語形も違うから分かりやすいけど

院政期の時点では、「き」「ぬ」「む」「り」「たり」「けり」「なり」のような助動詞もアクセント上独立していて
動詞のアクセントと助動詞のアクセントをそのまま並べたものが全体のアクセントになっていた。
例えば「たり」は「有り」と同じアクセントで、「見たり」(終止形)は昇低降、「見たる」(連体形)は昇低高になる。
形態素の内部に高さの谷が来ないという法則も動詞+助動詞には適用されず、二語の連続扱いだった。

しかし、鎌倉期には助詞や助動詞のアクセントが名詞や動詞に拘束されるようになっていった。
現代諸方言でもやはり助動詞は動詞とアクセント上一体化している。

297名無しさん:2010/12/19(日) 23:19:33
見たる=RLH
負けたる=HLLH
か。
これが京阪式ではHL、HLLになり、
中輪式では類推で「見たHL」、「負けたLHH」になったというのは
そんなに奇妙な説じゃないと思う。

298名無しさん:2010/12/20(月) 00:04:53
未然形は、今の京阪式でもそうだが、基本的には「独立のアクセントをもっていない」はず。
だが後続する付属語が固有のアクセントをもつ場合があり(大抵は複合語のアクセントが残ったもの)
それに応じて未然形アクセントが引きずられることがある。
連用形は固有のアクセントを持っている(基本的に下がり目に至る)が
「下がるポイント」が、後続付属語により干渉を受ける場合があったはず。
だから、未然のⅠとⅡは似ても似つかない形のものもあるが、連用のⅠとⅡは良く似ている。

299名無しさん:2010/12/28(火) 22:26:58
京都以外の方言で過去のアクセントが推定できる資料はどれぐらいあるの?
有名なところでは、「犬」のアクセントが京都で高低、関東で低高、讃岐で高高だと記述した資料があったと思うが
あれは何年頃の資料だっけ?
東北地方、中部地方、中国地方、九州地方などのアクセント状況を示唆する近代以前の資料は皆無なのか?

300名無しさん:2010/12/28(火) 22:35:25
18世紀の「安斎随筆」より
和語四声は、五畿内の人の詞に「月」をツキと云うは去声なり。キの音下りて弱し。
関東の人の詞には上声なり。キの音上がりて強し。
畿内の人「花」をハナと云うは去声なり。ナの音下りて弱し。
関東の人の言葉には上声なり。ナの音上がりて強し。


15世紀中ごろの「毛端私珍抄」より
喩へば犬をイヌと言ふは京声なり。
犬をイヌと言ふは坂東・筑紫なまりなり。
犬をイヌと言ふは四国なまりなり。

おそらくこの2つのみ。江戸はもう少しあったかもしれないが。
特に後者は重要で、15世紀中ごろの時点で、
関東と九州北部は東京式、讃岐は讃岐式だったという証拠とみて良い。
中部や中国地方、東北の資料はないと思う。

301名無しさん:2010/12/28(火) 22:38:28
18世紀の『安斎随筆』より

和語四声は、五畿内の人の詞に「月」をツキと云うは去声なり。キの音下りて弱し。
関東の人の詞には上声なり。キの音上がりて強し。
畿内の人「花」をハナと云うは去声なり。ナの音下りて弱し。
関東の人の言葉には上声なり。ナの音上がりて強し。


15世紀中ごろの『毛端私珍抄』より
喩へば犬をイヌと言ふは京声なり。
犬をイヌと言ふは坂東・筑紫なまりなり。
犬をイヌと言ふは四国なまりなり。

江戸の資料はまだあるかもしれないが、それ以外の地域はこれだけだろう。
15世紀中期には関東・九州北部が東京式だったとみて良い。

302名無しさん:2011/01/06(木) 16:27:50
渡部陽一

「出ない」LHL

303名無しさん:2011/01/06(木) 20:13:57
経歴からみてどこかの方言という可能性は低いな。「〜ない」「〜たい」をアクセントまで含めて完全に形容詞活用している人なんだろう。

304名無しさん:2011/01/07(金) 14:48:36
富士訛りではないんだね?
全て「無い」単体のアクセントで言ってるってことかい?

時々共通語と違うアクセントを使うので静岡訛りは入ってると思うけど

305名無しさん:2011/01/07(金) 18:40:43
自分の知り合いで長野県松本市付近の出身の人が
「出ない」「見ない」をLHLで言っていたから、そのあたりの方言の特徴かもしれない。
各地で独自に発生しそうでもあるし連続分布かも分からないけど。

306名無しさん:2011/01/08(土) 00:29:33
やっぱそうでしょうね〜

307名無しさん:2011/01/08(土) 00:30:10
静岡の「投げる」みたいな動詞のアクセントって土佐弁と同じなんですか?

308名無しさん:2011/01/08(土) 00:58:33
>>307
そこだけは一致するけど他が全然違うからなあ。
元々東京式では「投げた」が高低低なので、それに引きずられて「投げる」も高低低になっただけ。
高知の「投げる」も高低低だけど、これは東京式の低高低の変化前の形。「投げた」が低高低。
普通の東京式は「投げる」が低高低、「投げた」が高低低なので高知とは逆になっている。

309名無しさん:2011/01/08(土) 01:19:38
へ〜。

愛媛の京阪式アクセントって京都に似てるの?
位置づけで言えば保守的なうちに入るん?

なんか友近ってLLLHを多用してるけど。エセ京都アクセントなのかなんなのかしらんが。

310名無しさん:2011/01/08(土) 01:57:43
>>309
松山などの京阪式は、位置付けとしては京都に近い主流京阪式という扱いだったはず。
あまり保守的ではない。遅上がりの状況などは大体京都と同じようだ。
徳島はLLHH…で江戸中期の京都、高知はLHHH…で室町期の京都と同じ。

京都で起きた「頭」類のHHL→HLLへの変化、「下げる」類のHLL→LLHへの変化などがどの程度起こっているかはよく知らない。
これらの変化は、和歌山や徳島といった比較的保守的な京阪式地域でも、中年以下で進行中のようだ。
テレビなどを通した京阪神の影響だろう。松山や高知などでも進んでいるとは思うがどの程度かは知らない。

311名無しさん:2011/01/08(土) 02:27:51
>>310
松山は、遅上がりに関しては保守的じゃなかったかな?
そのおかげで、若年層では垂井化が始まっていたと聞いたことがあるけれど。
(「海」と「飴」が同じアクセントになる。「海」と「雨」のアクセントはまだ区別される段階)
京阪式で遅上がりが強くなると、高起と低起の差がはっきりするので、
単純な垂井化はおきにくくなる。(はっきりさせるために遅上がりがおきたとも言えるかもしれない)

312名無しさん:2011/01/08(土) 07:18:27
歌じゃないときの花いちもんめってどういう発音?
スマップなかいのドラマ宣伝の時の「味いちもんめ」に毎回違和感あって
ゲシュタルト崩壊してます。
ハラマキ+たんす、みたいな発音でいいんだっけ?

313名無しさん:2011/01/08(土) 13:33:46
「花いちもんめ」も「味いちもんめ」もLHLHHLHだな、私は。
「味いちもんめ」というドラマは一切知らないため、「花いちもんめ」と同じアクセントで読む。
「花が1匁(もんめ)です」と言う意味で「花いちもんめ」と言うのならLHLHHHHだが、
遊びの「花いちもんめ」はLHLHHLHだ。「匁」という単位を使わない世代ゆえ、
歌のメロディをそのままアクセントとしても使うのだろう。
しかし「匁(もんめ)」は尾高型のようなので、正しくはLHLHHHHだと思う。
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%82%82%E3%82%93%E3%82%81&dtype=0&dname=0ss&stype=0

314名無しさん:2011/01/08(土) 13:42:57
「はないちもんめ」で調べたらあった。
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%A1%E3%82%82%E3%82%93%E3%82%81&stype=0&dtype=0&dname=0ss
LHHHHHHで、中高型ですね。

315名無しさん:2011/01/08(土) 13:45:51
ん、これは尾高型と言うのかな。よくわからない。勉強不足で説明できません。すみませんね。

316名無しさん:2011/01/08(土) 21:16:57
LHLLLLLと書いてあるように見えるんだが。

317名無しさん:2011/01/08(土) 22:40:16
そうですね。ありがとう。

318名無しさん:2011/01/10(月) 21:05:19
>>311
そうなんだ。じゃあ主流京阪式に分類されているのはなぜ?どういう面で保守的じゃないんだ?

319名無しさん:2011/01/11(火) 19:30:09
京阪式の分類軸はいくつかあって、主要なものをあげると、

a)高起と低起の対立の有無
b)遅上がりの無し、有り
c)主流京阪式、讃岐式、真鍋島式といった違い

等がある。

このうち、abはそれぞれ、対立有り、遅上がり無しのほうが古い特徴なので、保守的かどうかを見分けるポイントになる。
一方で、cはそれぞれが新旧の関係にないため、保守的かどうかの判断に使えない。


同じ主流京阪式同士について言えば、遅上がりの無いほうが保守的で、垂井化(aであげた対立を失う変化)を起こしていないもののほうが保守的となる。


松山については、
遅上がりがないとすれば、その点は保守的で、
垂井化を起こしているとすれば、その点は保守的ではないということになる。

320名無しさん:2011/01/12(水) 16:11:31
香里奈 やっていて の いて がHLだね。愛知県出身。

でも東京人でもこの発音するんだよなぁ

321名無しさん:2011/01/18(火) 21:06:45
アクセントは親など、同居している家族の影響もあるし、
その時によく交流している人のアクセントが多少うつることもある。
ひきこもりがちで、テレビとばかり接している人は、テレビタレントの話し方がうつるそうだ。
京阪式がすっかり東京式になるというような大きな変化はありえないが、
やっていての「いて」のアクセント程度なら、ゆらぎがあっても不思議ではない気がする。
どこ出身だからこのアクセント、というような話は、もう少し大きな視野で見る方が良いように思う。

322名無しさん:2011/01/19(水) 00:26:48
いてHL は関東出身の多くの人が言っているのに、
聞いたこと無い!と言い張る人がいるし

323名無しさん:2011/01/19(水) 00:34:54
前もそれに関して言ったかもしれないけど、俺の身の回りは半分ぐらい関東出身者だけど聞いたことがない。
広島出身の人からは聞いたことがあるけど、そのアクセントを聞くたびにかなり耳につくから、聞き逃してるということはないはず。
NHKやBSでも聞いた記憶がない。民放は最近ほとんど見てないから知らない。

ただ今自分で発音してみて思ったけど、「〜シティタ」「〜シティテ」みたいに、エイの部分のイがかなり弱く二重母音の後部みたいに発音されれば、
「〜シテタ」「〜シテテ」のようにLHLっぽく発音されてもそこまで不自然じゃなく聞き逃すかもしれない。どちらかというとイを聞き逃してるって感じだけど。
はっきり「シテイタ」「シテイテ」と発音されると、「〜して射て」「〜して射た」に聞こえてしまうから明らかに変だ。

324名無しさん:2011/01/19(水) 00:58:32
あなたか。
おかしな話だね・・。
はっきり発音してるよ

325名無しさん:2011/01/19(水) 15:02:15
真正の東京方言話者(西関東方言ネイティブといってもいい)は、「聞いていない」んじゃないか?
西関東方言の場合、アクセント単位は句レベルにまで広がっていて、
補助動詞のアクセントは「どうでもいいところ」なので、下がり目があろうがなかろうが、聞いていない。
ところが、名古屋方言などでは、アクセントの文節単位が厳密に守られているので、
「いる」は絶対に「HL」と発音しなければおかしいことになるし、厳密に聞き取っている。
はつおん しなければ おかしい ことに なるし、げんみつに ききとって いる ことに なる
LLHH LLHLL LLHL HLL HLL LLHHH LLHLL HL HLL HL
これが、名古屋や岡山などで、言挙げする人の基本的な感覚。(アクセントは名古屋方言で書いてみた)
同じ乙種といっても、感覚がかなり違うことになる。
東京方言話者にとっては、これではもはや、駅の自動放送か昭和時代のロボット音声の世界だが。

326名無しさん:2011/01/19(水) 15:08:03
で、実際の東京方言話者の話なのだが、内省的には「どうでもいい」んだと思う。
アクセントの大きな単位は句単位ではあるが、アクセントが完全に一体となっているわけではない。
(助動詞「られる」や「ない」が付く時などとは違う)
動詞の型別はすでに前段階で明示されているので、あとはどうでもいい。
音声上はなんとなく下がり目があるのかもしれない。
「下げてみる」のがイントネーションとしてトレンドなのかもしれない。
だが、おそらく音韻的には意味が無い。
名古屋人などが言挙げするのは、
「かんさい」と「かんとう」と「かんこく」の「ん」の発音は全部違う!
と大真面目に聞きとってしまう香港人のようなものと理解するのが正確だろう。

327名無しさん:2011/01/19(水) 16:45:22
もしかしたら関東人にはHLと発音されていてもそれを認識する能力が無くて気づいてないのではないかと思えてきた
本来LHHのとこが関西弁みたいにHHHになったりしてる時もあるし

328名無しさん:2011/01/19(水) 16:51:21
We are the worldの 歌詞で、『We are the ones who make a』と言うところで実際はwhoのところで音が下がり、
単語単位をアクセント記号で表してみると、
ones who make a
HLHL
と言う感じなのですが
ones who makeをHHHと言う具合で同じ音程で歌う人結構います
だからって音痴な訳じゃなくて歌は上手かったりするんですが、何故なんでしょうか?
完全に物真似しようとしていて、そこだけ違うのでアレンジとかではないです

音の下がりを聞き取る能力が無いと言うことなのでしょうか?

これは普段比較的単純なアクセント(東京式アクセント、無アクセントなど)の使用者に多いと言う可能性はありますか?

329名無しさん:2011/01/19(水) 17:09:28
>>328
はあ??何を言っているんだ?
ones who make a の「音程の高さ」は、
LHLHでもHLLHでもLLLHでもHLLLでも全く問題無いわけだが。
ただし、強弱強弱という韻律は守らなければならない。
だが、強だからといって音程が上がるわけではない。
日本人英語の変な癖として、強アクセントのところの「音程を上げる」というものがあり、
結構ばかにされることがある。
    ニー


ジャパァ  ズゥ
強弱もないばかりか母音も余計に添付されているのに、
なぜか奇妙なところの音程が跳ね上がる、変な「↑イィィィ↑ ↓↓んぐりっしゅ」だ。

330名無しさん:2011/01/19(水) 18:00:58
>>328は、ある意味「居る」問題の本質を突いていると思う。
必要の無いものを聞きとって、勝手に言挙げしているということ。

わ     め
 んず ふう えくう ああ

「アクセントをはっきりして!それじゃあアクセントがなさすぎる」

わ           め
 あ           え
  あ     ううう   え
   んずう ふ       く ああ


「全然だめ!アクセントをはっきり!」

 あ
  あ
   あ 
    あ
     あ
      んずう…

おそらく似たような話が起きているのだろう。

331名無しさん:2011/01/20(木) 01:31:33
>>229
何の話し?歌での音程の話をしていて、それをHLで表してるんだけど。

332名無しさん:2011/01/20(木) 17:58:37
>>331
おまえ、本当にその意味で言っていたのかよ…
まさかと思って好意的に解釈したんだが、本当にその意味だったとは。
そんなもん、広い意味での声楽的な方法(歌い方の個性)の問題に決まってるだろww
もしそれを、>>328みたいに、言語と結びつける能力の問題だとしたら、
もはやあべこべもあべこべ、コーヒーを肛門から吹きそうな話だ。もはや人種差別レベルの珍説だぞ?
何と言ったって、米国英語には高低アクセントなんて全くないんだからな。
音楽的センス=下がり目を聞き取る能力
香港人>>>名古屋人>>>東京人>>>茨城人=米国黒人(マイケル・ジャクソン(作詞者本人)含む)
ということになる。マイケル・ジャクソンが、>228みたいな音程を考えて作詞したはずがない。
   
    じゃ     お  だ         わ    あ       ら
                       ざ
   る                  あ  あ    く
まいけ   くそんも、 んち がね。ういいあ    るどの  せんともわか ん。

      わ           し
 
     ざ
    あ          が      おんだ
   あ   あ         だ   
ういい     るどだて。これ た  いはつ   て。
名古屋人にとっては、これが正しい英語の発音であって、
これが正しく楽曲に反映されているらしい(笑)

333名無しさん:2011/01/20(木) 18:10:33
今回はなんかずれた(笑い)ちょっと煽ってしまったが、
昔から、>>328みたいなトンチンカンなことを真顔で考える人っているんだよなあ。
「茨城弁にはアクセントがないそうですが、茨城人は音痴なんですか?」なんていう話と同じ。
「その理屈なら、フランス人やアメリカ人は、大変な音痴になります。
あなたは、パリに行ってシャンソンの大御所歌手に対して、
『フランス語にゃー高低アクセントがにゃーげなけど、おみゃーさん、わしら名古屋人より音痴きゃ?』
と是非聞いてみてほしいですね」としか言いようがない。

334名無しさん:2011/01/20(木) 19:43:28
別の例を挙げよう。
>A曲のBという部分は、八分音符と四分音符が交互に並ぶんですが、全部同じ長さで歌う人結構います
>だからってリズム感ゼロな訳じゃなくて歌は上手かったりするんですが、何故なんでしょうか?
>完全に物真似しようとしていて、そこだけ違うのでアレンジとかではないです
>八分音符と四分音符の音の長短を聞き取る能力が無いと言うことなのでしょうか?
>これは、英語やドイツ語などの母音の長短の曖昧な(これらの言語には「二倍長」という母音長短は存在しない)
>あるいはフランス語や朝鮮語などの母音の長短の存在しない言語の使用者に多いと言う可能性はありますか?

この質問が愚問である(こんな質問を発する人はいない)ことは明らか。
「そりゃそこだけアレンジしたんだよ。気持ちが乗ったんだろう。」と誰もが答える。
なのに、どうしてアクセントの話になると、>>328みたいな質問が真顔でされるのか、俺にはさっぱりわからない。

335名無しさん:2011/01/20(木) 23:03:56
必死だな( ´_ゝ`)

336名無しさん:2011/01/21(金) 02:45:03
http://www.nicovideo.jp/watch/sm11559497
この上手い中でもやっぱ素人だからか平板で歌ってるのが結構居るな

337名無しさん:2011/01/21(金) 11:01:32
さんざん言われてるけどさ、アクセントと音痴は関係ないよね。

338:2011/01/21(金) 16:35:59
研究結果をうp

339名無しさん:2011/01/29(土) 22:05:52
日本語の諸方言は、無アクセント方言以外は全て高低アクセントを持つが、
強弱アクセントに変化した方言とか、そこまで行かなくても高低の他に強弱も重要とかいう方言は生まれていないんだろうか。
これだけアクセントの地域差が激しいのに、高低アクセントから強弱アクセントに変化した方言が全く無いというのも不思議だ。

ラテン語や古典ギリシャ語は高低アクセントだったが、ロマンス諸語の多くや現代ギリシャ語は強弱アクセントに変化した。
それと似たような変化を起こした方言は全く無いのだろうか?無いとしたら何が違ったのだろうか?

340名無しさん:2011/02/03(木) 17:48:48
アクセント史について、金田一春彦以外にはどんな説がある?

一番最初に出たのは服部四郎の説だったかな。
自分が見たことあるのは、このスレの上の方に出てくる、
「外輪乙種は上がり目の直前が降拍になり、それが下げ核になった」説、
柳田誠司の説、山口幸洋の説。

341名無しさん:2011/02/04(金) 14:41:18
竹内結子(埼玉県出身)
「寝ている」LHHL

342キャンサイ人:2011/02/05(土) 08:31:56
http://www.youtube.com/watch?v=hIiIssXr8EU

この3:12の比嘉投手の「一軍でみんな投げた」なんてまるっきり関西弁と同じ発音ですがいかがでしょうか?

343名無しさん:2011/02/05(土) 08:38:32
その後に出る神社でのしゃべりも結構関西弁っぽく聞こえる
これは沖縄の人にとって関西弁が習得しやすくて習得してきたということもありえるの?
シーズン中のインタビューではもっと沖縄訛りでしたが

344名無しさん:2011/02/05(土) 10:23:44
「一軍でみんな投げた」は「高高高高高 高高高 低高低」というように聞こえるな。
「高高…」で始まってるのと、「投げた」が「低高低」になってるのとで京阪式っぽく聞こえるのかもしれない。
ただ、「高高…」で始まること自体は東京式の方言でも(十津川や福山など)あることだし、
「投げた」が「低高低」となる東京式だって珍しくない。

「京阪式っぽく聞こえる」と「京阪式である」というのとはだいぶ違う。
部分的に京阪式と一致するアクセントでも、システムとしての複雑さは京阪式よりだいぶ少ないはず。
沖縄のアクセントは各地でかなり差があるが、東京式以上の複雑さを持つ方言はないから、結局京阪式の習得は難しいだろう。
例えば京阪式では「風」「山」「船」「雨」のアクセントがそれぞれ違うが、沖縄で二拍名詞に4つ以上の型を持つアクセントはないだろう。

345名無しさん:2011/02/05(土) 11:31:46
例えば、たとえ習得はしないとしても、
元々一致する部分があるからその誤魔化しが聴いて、結果的に関西人から見て東京式話者の関西弁よりは違和感が少ない関西弁を話せるようになるとかって可能性は?

例えば九州でも福岡あたりの人間よりは鹿児島人の関西弁の方が違和感が少ないとか。

これ多少なりともあると思うんよね。

20歳ぐらいで鹿児島から関西に来た人で、言われなければ何の違和感もない感じの人がいる。そしてちゃんと鹿児島弁もしゃべれる。
20歳は遅いはずなのに。そんなじっくり話し込んだこととかはないが、ちょっと聴いた限りでは関西弁をしゃべっている。

346名無しさん:2011/02/05(土) 15:02:15
>>345
「裏の裏が表に見える」という現象がある方言は確かに存在していて、
アクセント体系論が確立するまでは「擬京阪式」という今では単なる素人騙しにしか聞こえない名称が、学会でさえ使われていた。
だが、鹿児島くらいまで単純化されると、最早「擬京阪」とは到底言えない。
実際には、京阪式アクセントの習得は、体系的に行えばそんなに難しいものではないんだよ。
東日本出身者、特に西関東・東海東山方言話者が、如何に「京阪式アクセントを本心では習得する気が無いのか」
ということが、「東京人には関西弁習得は未来永劫無理」という通説の裏付けになる。
先日非難轟々のドラマがあったが、
北乃きいのような(神奈川県民)ガチガチの乙種話者は、おそらくメンタリティのレベルで、
たとえドラマできちんと演じなければならない場面においても、深層心理で甲種アクセントを拒絶する。
アグネス・チャンの日本語発音がまったく上達しないのと、実は同じ理由。
無アクセント方言圏はさすがに難しいだろうが、例えば埼玉特殊や北奥羽式話者のほうが、
「自分のアクセントが唯一絶対の規範アクセントと信じて疑わない神奈川県民」よりは甲種の習得に抵抗がないと思う。

347名無しさん:2011/02/05(土) 16:47:09
表面的な類似は、学習初期には有利にはたらくけど、完璧な習得を目指すときには不利じゃないかな。


鹿児島のアクセントでごまかしをきかせられる要素がおもいつかない。東京式ではないという点で共通しているくらい。

逆に、鹿児島くらいアクセント体系がちがったほうが、母方言の影響が出なくて、完璧に近く習得出来るんじゃないかとおもう。

348名無しさん:2011/02/06(日) 00:16:58
まぁ完璧を目指す人なんてどこにも居ないしね。
大体違和感ない感じになってれば安泰

349名無しさん:2011/02/06(日) 10:30:30
>>348
なら違和感ないレベルの習得と読み替えてもらってもいいよ。

350名無しさん:2011/02/18(金) 02:06:20
自分は東京式で、京阪式アクセントの人が身近に何人かいるんだけど、
その人たちの喋ってる中で、単独で出てくると高起式と低起式を聞き分けられるようになったけど、
会話中に自然な速度でサラッと出てくると高起式と低起式のどちらかとっさに聞き分けられないことがある。
やっぱり完全にできるようになるにはそれなりの努力が必要そうだ。

351名無しさん:2011/02/19(土) 22:06:58
やはり関東の人はもともと聞き分けられないんだね。
だから本来LHのところをHHと言ったりするんだね

352名無しさん:2011/02/19(土) 23:13:08
東京式アクセント話者にとっては、音韻的対立を持たない。
多くの日本人が、名古屋弁の「ねぁー」と「にゃー」を聞き分けられないのと同じ。

353名無しさん:2011/02/20(日) 01:44:49
>>351
関東に限らず、中部だろうと中国だろうと九州だろうと、東京式話者ならできないはずだ。

東京や大部分の東京式地域では、下降の位置によって語アクセントを表し、
上昇の位置によって、その直前に句の切れ目があることを表す。

例えば、「風」と単独で発音するとLHだが、「この風」ならLHHHになる。
「風」という単語自体が、「低く始まる」とか
「カとゼの間で上昇する」とかいう情報を持っているわけではない。
「風」が持っているのは、「下降しない」という情報だけ。

東京方言では、句の一拍目と二拍目の間で上昇するという句音調がある。
もし句の一拍目に下げ核がある場合は、一拍目の前で上昇する。
それに従って、「風」は句の先頭にある環境でだけLH、それ以外ではHHになる。
これを別の型として聞き取ってしまうようでは逆に困る。
同じ語が位置によってどちらの音調でも現れるからだ。

京阪式では、東京式と同じ「下降の有無と位置」の情報の他に、
「高く始まる句音調」(高起式)と「低く始まる句音調」(低起式)の
2つのうちどちらをとるかという情報が単語ごとに付随している。

例えば「風」は高起式、「船」は低起式で、どちらも核はなく下降しない。
「風」はHH、「船」はLHになり、「この風」はHHHH、「この船」はHHLLになる。
東京式の「風」と京阪式の「船」は、単独の形は似ていても型としての性質が異なることが分かる。

354名無しさん:2011/02/20(日) 09:17:18
>>353
>「高く始まる句音調」(高起式)と「低く始まる句音調」(低起式)
京阪式の高起式と低起式は句音調ではないのでは?
句音調って語アクセントとは関係ない「句」のまとまりを示す音調だろ?
京阪式の高起・低起は、句ではなく、語ないしアクセント単位にかかる。

355名無しさん:2011/02/20(日) 13:29:59
>>353>>354も、いろんな意味で説明がうまくないなあ。別に彼らが悪いというより、
特に近年の日本語学者がいろいろ立てている道具立ての筋の悪さが反映してしまっている。
まず、句音調を厳密に捉えても何も得るところがない。
乙種アクセントのLH部分は、反省的には文節頭につくのが本来の姿で、これが緩んで「最大でも句単位までLHの省略が許される」
というのが本来の姿のはず(名古屋方言(鳥山明の描く「ニコちゃん大魔王」の台詞)などを参照)
他方、甲種アクセントの低起/高起の区別は、本来は、松山方言などが本来の姿で単語単位であるにも関わらず、
大胆に省略される(いわゆる遅上がり)。さすがに句単位を越えることは少ないが、
句を超えて遅上がりすることも許されている。>>353の例ではこの本質が見えてこない。

356名無しさん:2011/02/20(日) 14:17:39
確かに単位は句じゃないな。
東京方言では複数文節が句を作れて、その間は上昇が現れず

アクセントによる複数回の下降だけが現れてどんどん高さが下がっていくことがある。

357名無しさん:2011/02/21(月) 23:26:17
京阪式では、高く始まるか低く始まるかが音韻的対立を持つ。
これは位置などの条件によっても動かず常に一定している。

一方で、東京式では高く始まるか低く始まるかは音韻的対立を持たない。
句の先頭では低く始まっていたのに、句の先頭でなくなると高く始まったりする。
このような方言で、高く始まるか低く始まるかを聞き分けていてはむしろ都合が悪い。

上の書き込みを要約するとこういうことだな。

358名無しさん:2011/02/22(火) 01:38:01
やはり四声は京阪式話者の方が有利ですか?
結構当てはめれるし。
無アクセント話者にはきつそうだな。

359名無しさん:2011/02/22(火) 09:15:51
拍内下降を持つ人なら、単音節の第二声に応用できるかもしれないけど
結局第三声や第四声にあたる音調はないし、
二音節以上では京阪式でも北京語よりずっとパターンが少ないから難しいだろう。

北京語では、型の数はN音節のとき4^N種類で、変調により少し減るが、
京阪式では2N‐1種類しかない。東京式ではN+1種類。

1音節では北京語で4種類、京阪式で3種類、東京式で2種類。
2音節では北京語で15種類、京阪式で4種類、東京式で3種類。
3音節では北京語で(多分)57種類、京阪式で6種類、東京式で4種類。

360名無しさん:2011/02/22(火) 22:58:20
>>359
そうでもないんじゃないかね。
北京語の四声は、実は「高(H)・昇(R)・低(L)・降(F)」と書いても間違いではないわけで、
(3声は「低」と言ったほうがいい。ピンインの凹曲線に騙されている人が多すぎる。
5段階で214なんて言う人もいるが、俺は低さ強調のため軽く凹ませて212くらいだと思うんだが…)
そうすると、単音節と2拍の区別が流動的な京阪式の場合、
ツールの転用だけで相当なところまでいけそうな気がする。
伝統的な京阪式の場合、2拍4類が遅上がりするとほぼ低平に近い発音になる。
例:海にいくさかい(LLL HH HLL)
生身の北京語は軽声も多く、数百年のうちには現代上海語のような事実上の高低アクセント言語になりそう。
そのときには、もはや東京式アクセントのような状態になりそうだな。

361名無しさん:2011/02/22(火) 23:26:04
北京語の四声を高・降・低・昇と捉えたとして、
その4種類の音調が音節ごとに自由に付く北京語と、
複数音節の語の全体で始まりの高さの高低+下降の位置一ヶ所が決まる京阪式とじゃ、
やっぱりシステムとしての複雑さが段違いだけどなあ。
そりゃ東京式よりはマシだろうが五十歩百歩では?

362名無しさん:2011/02/23(水) 06:05:14
>>359
>拍内下降を持つ人なら、単音節の第二声に応用できるかもしれないけど

第二声は拍内上昇調
拍内下降は第4声

何かを数えるとき「ぼんさんが屁こいた」ということがあるが
東京弁の「ヘ」は1モーラ、関西弁の「屁=へー」は2モーラで
単独で「屁=へー」をゆっくり発音すると北京語第三声とよく似ている。

「屁は臭い」と「平和臭い」は関西弁で同じ発音だ。

363名無しさん:2011/02/23(水) 19:10:34
中国語諸方言は音節ごとの声調だけど、
日本語は語アクセントで、一音節語もあるけど多音節語のほうがずっと多いからなあ。
日本語で一番複雑なアクセントでも中国語よりはずっと単純だな。
日本語で一番複雑なのは佐柳島のアクセントかな?

364名無しさん:2011/02/23(水) 20:54:59
システムとして違っても、やはり日常使ってる言葉に当てはめれるのが多いので、京阪式話者として、やりやすいと思いますね!

自分が使う言葉に無いと全くあらたな概念だからね

365名無しさん:2011/02/23(水) 23:07:34
九州西南部の二型アクセントは、やはり平安京都式から高起・低起の区別を受け継いだもののように思える。

外輪乙種の変化ではなく、直接。

366名無しさん:2011/02/23(水) 23:23:59
金田一春彦は一応、日本全国のアクセントの形成過程をくまなく推定した。
京阪式から讃岐式への変化はあれしか考えられないし、垂井式もそうだ。
東京式の成立過程もほぼ定説(ただし外輪だけは、>>159説もありだと思う)。

しかし、佐渡、加賀、関ケ原、北牟婁、隠岐、西南九州あたりは、まだあれで決まりだとは思えない。
たとえば、祖語の高起式に下降式を想定して、それが直接、白峰がそれを受け継いでいる、という説がある。

367名無しさん:2011/02/23(水) 23:47:47
金田一説のまとめ

補忘記から尾鷲への変化
2拍1類 HH→LH
2拍2・3類 H]L→そのまま
2拍4類 ]LH→]LH→]LL→]H]L→]HH]
2拍5類 ]LF→]LH↑
3拍1類 HHH→LLH
3拍2・4類 HH]L→LH]L
3拍5類 H]LL→そのまま
3拍6類 ]LLH→]LLH→]LLL→]HH]L→]HHH]
3拍7類 ]LH]L→]LLH↑

368名無しさん:2011/02/23(水) 23:49:53
>>366
上野の「平進/上昇式」という用語法のベースにある「二段階下がり核説(仮称)」だろ?
あれなあ。なんだかなあ、どうみてもうまくないと個人的に思うんだよなあ(苦笑)
共時分析における博物学的分類に便利なので、いつのまにか分類法として定着してしまったが、
上野の着想とは全く裏腹に、それらの方言アクセントの形成過程の解明にとっては、正直有害無益に見える。
加賀や鹿児島のアクセントを考える上では、そんな変なものを着想する必要はないと思えてならない。
これは簡単な話で、日本語のアクセントが、高低昇降が自由につく声調的アクセントから
下がり核アクセントに収斂変化していく際に、
「無核型の雛形」をどの型にするか?という際に、選択が分かれたという話に過ぎないとしか思えない。
例えば2拍名詞で院政京都アクセントが「無核」なのは1類3類4類と3つもある。
高起/低起を区別するパターンでは「椅子は2つ」、しないパターンでは「椅子は1つ」だ。
すでに2拍名詞で3つに余っている(他拍だとさらに増える)
「無核を維持するパターン」として、
京阪式アクセントは1類と4類を選択し、東京式の大半は1類を選択した。
(1980年代以降の大阪神戸では4類の無核を捨てて1類に一本化しつつある)
しかし鹿児島は3類を、加賀は4類を選択したという話に過ぎない。
せり上がり現象なるものも、この過程の一つの顕著な現象であって、せり上がりで説明がつかないからといって
下げ核を2段階にするなんて、俺には全く無意味な論理操作にみえる。

369名無しさん:2011/02/23(水) 23:55:24
補忘記式から白峰への変化
2拍1類 HH→LL→H]L→LH]
2拍2・3類 H]L→そのまま
2拍4類 ]LH→]LL→HH→LH
2拍5類 ]LF]→]LL↑
3拍1類 HHH→LLL→H]LL→LH]L
3拍2・4類 HH]L→LH]L
3拍5類 H]LL→そのまま
3拍6類 ]LHH→]LLL→HHH→LHH
3拍7類 ]LH]L→]LLL↑

370名無しさん:2011/02/23(水) 23:59:56
補忘記から関ケ原への変化
2拍1類 HH→そのまま
2拍2・3類 H]L→そのまま 
2拍4類 ]LH→]LL→HH
2拍5類 ]LF]→]LL↑
3拍1類 HHH→そのまま
3拍2・4類 HH]L→そのまま
3拍5類 H]LL→そのまま
3拍6類 ]LHH→]LLL→HHH
3拍7類 ]LH]L→]LLL↑

371名無しさん:2011/02/24(木) 00:08:36
>>368
つまり、院政期アクセント→鹿児島という直接の変化自体には異論なしと?

372名無しさん:2011/02/24(木) 00:18:54
金田一説

院政期から外輪東京式への変化
2拍1類 HH → HH → HH → LH → LH
2拍2類 H]L →HH↑
2拍3類 ]LL →]LL →H]L →LH] →LH]
2拍4類 ]LH →]LH →]LH →]LL →H]L
2拍5類 ]LF]→]LF]→]LF]→]LL↑

373名無しさん:2011/02/24(木) 00:22:44
外輪東京式から西南九州式への変化
2拍1類 LH →LL →HL
2拍3類 LH]→LH]→LH
2拍4類 H]L→LH]↑

374名無しさん:2011/02/24(木) 00:51:26
白峰の下降式は、下げ核2つではなく、下降調(位置は規定されていない)の後に
核があるというものだったはず。
たしかに不均衡な体系だが。

それはいいとして、西南九州以外の本土方言では、
南北朝期までに、語頭にLL…を許すことができなくなり、
HH…かLH…かに収れんするという変化が起きている。

後の京阪式・内輪・中輪式地域では、上がり目前のくぼみを経て補忘記式になった。
後の外輪式地域ではこのくぼみが上がり目直前拍の後半のみに現れて、外輪乙種が成立(ただしこの説では語頭のLHH…が導きにくい)。
讃岐では上がり目を消去してLL部分全体がせり上がり高平型に統合。

補忘記式成立時点では、まだ「各音節に高、低が付く段階観アクセント」だったかもしれない。
この後一拍後ずれして東京式を生むときにもLLを許さなかったのは、段階観で解釈できるようなアクセントだったから。
京都では江戸時代までには段階アクセントを捨てて「高起・低起と下げ核」弁別になったので、語頭からLLが続こうが構わない(そもそも2段階で表せない)。

東京式でも2段階ではなく下げ核だけのアクセントになり、盛岡のような卓立調を成立させている。

375名無しさん:2011/02/24(木) 02:47:15
>>371
鹿児島に関しては、今の大分の形を経ていない可能性は十分にあると思う。
ただし具体的な変化過程に関しては、諸説あって俺もどれが妥当かまだ吟味できていない。
他方、津軽に関しては、今の豊橋の形を経ていないと考えるのは方言地理学的にも無理。
例証は大変に難しいと思うが、今の直感では、
・東北日本の(少なくとも)外輪乙種は>>157式を経て拍が院政京都より「1拍前」にずれた。
・京阪式は記録通り。実質的には大半の語でせり上がり現象と後ろの原始下げ核の崩壊による「2拍前ずれ」が起きている。
・中国地方と九州北東部の乙種は、金田一通説通り「2拍前ずれ後」の「1拍後ずれ」による。
・西南九州と沖縄は、院政京都から直接別ルートで変化した。
この4ルートがあるんじゃないだろうか。中国地方と中部地方の乙種はそっくりだが並行変化かもしれない。

376名無しさん:2011/02/24(木) 02:50:56
アンカー間違えた。>>159式。>161の修正を加えるべきかは分からない。
北奥羽の1類低平原則は、そんなに古いものでもない気がするので、
訂正を加えたほうがいいかもしれない。

377名無しさん:2011/02/24(木) 07:10:35
>>375
東日本と西日本の外輪乙種に違うルートを想定するのか。
でも東北の卓立調が元からのものだとは思えない。
秋田なんかは、語頭に小さな上昇、核直前に大きな上昇がある。
これはLH…の末裔だろう。

そうなると、なぜ>>161のようなLH…が生まれたのかを考えないといけないが、
非東京式の地域でも、高松とか金沢とかのようにそうなっている地域があるし、
外輪でもまずHHH…となってから、語頭低下が起きたのかもしれない。

西南九州がなぜ大分の子ではないかと考えると、
外輪乙種から一拍後ずれさせると、むしろ2拍3類は1・2類に統合してしまうんじゃないかと思う。
あるいは、外輪乙種が変化すると12無核/345起伏 というのが考えられるが、西南九州はそうではない。

378名無しさん:2011/02/24(木) 07:18:35
金田一説の尾鷲や白峰アクセントの成立過程が面白いのは、
2拍2・3類はそのままなのに、
それ以外が大規模な変化を起こしていること。
特に白峰については、1類がなぜ2・3類に合流しなかった?という疑問がわいてくる。

379名無しさん:2011/02/24(木) 20:48:31
>>377
「西南九州の2拍3類が核を持ったことは一貫して無い」んじゃないかと思うんだよね。
>>159的発想を無理に取る必要はなくて、第一段階までは金田一通説通り、つまり
>>371の2つ目までは共有していると解しても問題はない。ただし「0拍の]」は無いと解する。
その上で、「3類無核(低平)」の無標を維持するために、
高平の1類2類において、高平がいわば「維持できなく」なり、どこかに核が付いた。
これを「初拍の下げ核」とすれば、実は上野の最初の問題意識と同じものになるが、3拍以上を丁寧に見ないとわからない。
大きく見れば、「せり上がり現象の裏返しバージョン」が1類2類(高起類)で起きたということだが、
どんなものが起きたのかは、詳細な検討の余地があるとおもう。
ただ、「低平類の無標・無核」というのは、有標の核として、発想的に「上げ核」や「昇り核」に親和的なんだよね。
上に出ているB群とC群というのが、おそらくここにかかわるのだろう。
この2つ、>>225で検討したんだが、核の語頭からの距離、つまり「低平連続の長さ」とどうやら関係している。
現在ではアクセントでもまるで大分のようなものまで多様な様相をみせる琉球方言だが、
3類=低平が、変化の「台風の目(周りを振り回すが自分は無風=非変化)」だったように思う。
他の多くの方言がこの台風の目が1類であることからみると、やはりかなり毛色の違うアクセントだろう。

380名無しさん:2011/02/24(木) 21:45:49
アンカーは>>371じゃなくて>>372かな。

381名無しさん:2011/02/24(木) 22:06:03
琉球のアクセントの成立過程を推定するのはかなり難しそうだな。
なぜ12/3/45になったか、までは何とかなりそうだが、
具体的な型の変化まで推定できそうにないぐらい、入り乱れている。
12/345がその後身なのかどうかさえ分からない。

382名無しさん:2011/02/25(金) 01:48:44
確か金田一だったと思うが、西南九州式のB型は、尾高型のように最後に下降を持つとみなす見方を見たことがあるがそれはどうなんだ?
B型の後に他の語が来ると、例えばLH+LH→LHLLのようになるのが根拠だったと思うが

383名無しさん:2011/02/25(金) 02:29:58
>>382
>>149的な意味での下げ核は(レスは激しい論争の一部分だが、一応周辺部分も読んで把握していただければ幸い)
いわゆる統合1型(都城)にも存在するし、実は鎌倉期京都アクセント2拍3類にも存在すると解するのが>>149説と読めるので、
内中輪乙種の尾高のような下り核を想定する必要は無いんじゃないかと思う。
やっぱり、南西九州には、どことなく下げ核や昇り核を過去にはっきり持っていた匂いがするなあ。

384名無しさん:2011/02/25(金) 22:32:58
>>183を見ても、西南九州式の祖形は、助詞が付いても下降の位置が動かない、
東京式のような位置アクセント(下げ核)の体系を持っていたんだろう。
そして二拍名詞では、一類・二類が頭高型、三類・四類・五類が尾高型という状態が祖。
そこから助詞が付いた場合の核の後退だとか、遅上がりだとかによって各地で変化していった。
B型の場合、低高’、低高’低が祖形で、今の鹿児島も低高’、低低高’とみなしてよいだろう。

385名無しさん:2011/02/25(金) 23:14:47
>>384
>>183がさも当然のように三河内・屋久の形を「原型」と言っているのがどうもひっかかるんだよなあ。
これが当然なら>>384と言えるんだろうけれど。
疑問点は2つあって、まず「高起類を頭高で統一してしまう」と、
そこから鹿児島の「ブービー(praeultima)音節核」まで持ってくるのが、かなり大変なことになる。
「頭高」と「ブービー滝」は(東京方言の頭高と平板のように)鏡像のような関係ではなく、
「一発で逆転変換した」とは到底言えないからだ。高起類の原型の滝は、もっと後ろにあったのではないか?
2つ目は、>>183のまとめ方に関わる。2拍名詞に助詞を付けて比較する場合「本来のアクセントが『高』の助詞を選ぶ」
これは、京都にしても東京にしても、滝アクセントであることが論理的前提であるからで、
滝があったのか、実は壁(昇り核)だったのか、あるいは凹(上がり核)だったのか、よくわからない場合には
場合によってはトートロジーになってしまう。

386名無しさん:2011/02/26(土) 01:45:33
批判ばかりするのも何なので、一応、現在のところでの俺の試案を書いてみるよ。
西南九州&沖縄方言の祖形アクセントとして推定されるものとして
A群:H…HL(高起類が、B群に負けて高平を維持できずせり上がりならぬ「腰折れ現象」を起こした)
B群:L…LL(これはそのまま。低平類からもC群への造反者は少数出ている)
C群:L…LH(高起有核類が集合離散して、最終的にこの形にまとまった)
と考えている。
なんじゃそりゃ??ふざけんなバカ!!そんな都合のいい仮定なんてあるかよ!というお叱りは甘受する(笑)
たしかにあまりにも技巧的だからね。
ちなみに、この時点では、下がり核なのか、下げ核なのか、昇り核なのかはわからない。
これがそれぞれ方言ごとの核の解釈と類の再編成により、今の西南九州&奄美沖縄の各方言アクセントとなった。
「この段階でもまだ高起は残すの?」という疑問については、
音程が「下がっていくアクセント」か「上がっていくアクセントか」の違いとして、
結構しつこく弁別は残ったのではないかと思っている。(つまり上野の問題意識とこの点は共有する)
なお、このアクセントが現存した時代がどれくらい長かったかについては、俺は否定的。
京都における南北朝アクセントと同じで、祖形にはなるが瞬間風速(数十年程度)で崩壊したアクセントだと思われる。

387名無しさん:2011/02/26(土) 05:16:34
ではこの板で。

http://www.youtube.com/watch?v=17ehMU39sWY

振った HL
動かす HHHH
上げない HHLL
上げても HLLL
走れてきたな HHHHHLL
靴選び HHHLL ←おもっくそ京阪式の雰囲気で言ってるww
靴 HL


これは東京式と言えるの?
同じナイリンシキ?とか言うらしいけど、名古屋人はこんなアクセントじゃないよね

388名無しさん:2011/03/01(火) 01:11:23
東京の人が
朝日(あさひ)とか従兄弟(いとこ)とかを
京阪式と同じHLLで発音している。
神とか雲も京阪式と同じHLで発音してる。

これでも東京式と言えるの?

389名無しさん:2011/03/01(火) 10:19:24
命、姿、涙、ほうき、情け、枕…
三拍名詞5類だな。

390名無しさん:2011/03/01(火) 19:26:35
>375
>鹿児島に関しては、今の大分の形を経ていない可能性は十分にあると思う。

九州の無アクセントが鹿児島と大分のアクセントの接触で生じたとすれば、それは確実だろう。
大分式から鹿児島式が生じても、即座に無アクセント化してしまう。

391名無しさん:2011/03/01(火) 22:52:51
大分式と鹿児島式の間は、無アクセント地帯によって完全に分離しているからなぁ。
大分式から鹿児島式が生じたならば、その間に中間的な型や変化途上の型をもつ
有アクセント方言があって、どこかで連続体になっていても良さそうなんだけど。

392名無しさん:2011/03/02(水) 02:32:19
>>390
アクセントの接触線上で必ず無アクセントするならそうだろうが,
他の地域のアクセント境界線付近をみると,
比較的緩慢にアクセントの崩壊が起こっているようにみえる。

福岡市付近の東京式の崩壊過程を見ても,
四国の無アクセント地域を見ても,
発生した鹿児島式が即座に無アクセント化するわけではないと想像できる。

393名無しさん:2011/03/02(水) 07:04:42
>>392
でもなあ。
大分式と鹿児島式に限っては限りなく相性が悪いように見える。
両者の間には綺麗に無アクセントが挟まれ、全く接していない。
間にある有アクセントも一型式しかなく、これも鹿児島式が変化したもので、
大分式とはおそらく無関係。

394名無しさん:2011/03/02(水) 09:03:06
昔は接触していたが、鹿児島式は一型式を経て、東京式は福岡市などにあるような曖昧な東京式を経て崩壊したんじゃない?

間にある有アクセントが一種類しかないからと言っても、他の地域をみてもアクセントがグラデーションになっているわけじゃないし、鹿児島式が大分式を経ていない証拠にはならないと思う。

395名無しさん:2011/03/02(水) 10:23:38
>>394
無アクセントが接触によるものではなければそうだろう。
だが九州の無アクセントは分布からして接触によるの可能性が高い。
一型式や曖昧な東京式も、無アクセントが引き金になって生じたと思われる。
となるとそもそも接触すると崩壊する両者に直接のつながりがあるとは考えにくい。
ただ二段階以上の変化を経ていればありうるが。
その場合、変化途中のアクセントが崩壊せずに残ってる可能性が高い。
少なくとも大分式から鹿児島式が生じたということはないと思う。

396名無しさん:2011/03/02(水) 20:14:06
>>395
一応金田一法則の説明はあるわけで、導けないことはないんだよ。
問題は、>>373の「2番目の形」が九州島に現存しないということなんだよな。
これ、実は北奥羽アクセントの原型に極めて近いもので、鍵となるのは「1・2類の低平化」なのだが、
(この低平が確立しないと、金田一法則の乙種力学の2つ目「語頭隆起」が出てこない)
ここが西南九州・沖縄を通じて完全なミッシングリンクになっている。
しかも崩壊アクセントの「幅」が極めて狭く、「崩壊アクセント部分にその形があったのだが消えたのだ」
という、戯画的に言えば某掲示板でいう「超時空太閤ヒデヨシ方式(笑)」すら適用が困難。
しかも困った傍証があって、北奥羽では12類の低平はデフォといってもいいのだが、
ここから語頭隆起する事例がほとんど見当たらない。
むしろ、この無核類の低平は、有核類の核前の低平を導いて3〜5類の1音節卓立(秋田など)を経、
最終的に上がり核アクセントに移行する(津軽など)トリガーとなる傾向で、
語頭隆起とは正反対の動きを見せる。

397名無しさん:2011/03/02(水) 21:30:13
二型式〜無アクセント〜外輪東京式と完全に移行しているかというとそうでもなく、
熊本県人吉市あたりには曖昧な二型式があるな。二型と無アクセントの中間と言える。

あと、>>183では都城式のみが一型ではあるが、一湊式や栗生式なども
一型になる寸前とでも言えるような状況だ。
一湊式では助詞付きの、栗生式では単独の形での区別が失われている。
ここからさらにアクセント後退が起これば、一型化するのは極めて容易だろう。
そして都城式の一型アクセントは若い世代では無アクセント化している傾向があるから、
そのようにして無アクセントが生じたと考えるのは自然だろう。

398名無しさん:2011/03/02(水) 23:30:46
方言区画論のスレで、琉球方言の「系列」が
外輪東京式から音韻的法則で導けると言っていたが、どういうこと?
同じ類なら「核が遠い」「核が近い」とかいう差はないはずでは?
本土方言の類の分裂でよく見られる、母音の広狭や子音の無声・有声の違いも
うまく当てはまらないし。

399名無しさん:2011/03/02(水) 23:52:38
>>398
>>74をじっくりと眺めてみると、朧気ながらわかると思う。
特にB類をじっくり眺めてほしい。そして、院政京都アクセントの具体的な型を思い出してほしい。
「B類」とは、「院政京都アクセント低起類のうち、下げ核(滝)をそのままの高低では付けられないもの」
しかなる資格がないことがわかる(必要だが十分ではない)
起きたことは極めて簡単なことであって、院政京都アクセントのうち「低起で滝を付けられない類」が
B類とC類の2つに分裂した、ということ。C類は低起類のうちその補集合になる。
次の問題は、「低起・無核(候補)類」の「分裂条件」を探ることになる。
俺に言わせれば大変にシンプルな問題で、明確でないものは1つ(分裂条件)だけ。
この解明はかなり難しいと思うけれどね(俺も方針が立たない。これが唯一の問題だと思う)

400名無しさん:2011/03/02(水) 23:54:45
一応、2拍の場合に3単語例外があることを付言しておくよ。
(厳密に数学的には必要だと言い切ることは出来ないということ)

401名無しさん:2011/03/03(木) 00:15:16
>>399
いや意味が分からない。その「分裂条件」の案が無ければ何の意味もない説では?
「低起で滝を付けられない」と言っても、二拍五類は第二拍に滝があるのでは?

二拍三類
B系列: 'ami 'inu 'imo 'iro 'uma kusa kumo kome sima tuno nami nuka fana mame mimi jama
C系列: kame nomi fama fone mari
二拍四類
B系列: 'ita 'ine 'uri kasa kata kado kama siru tane miso mino mugi wara
C系列: 'iki 'ito 'usu 'umi naka fasi fari fune fera matu
二拍五類
B系列: 'ame momo joru
C系列: 'ase kage kowe saru tabi tuju nabe woke

三拍四類
B系列: 'ikusa 'ituka 'omote kagami kojomi takara tafara nanuka fakama fasami fikari fotoke
C系列: 'afugi katana kafara kotoba sakafi siraga suzuri fukuro musiro
三拍五類
B系列: 'abura 'itutu 'inoti ki'uri kokoro sugata sudare namida fibasi makura
C系列: 'asafi 'itoko 'oyako tasuki nasake fasira fafaki wasabi

こうして眺めてみても分裂条件らしいものは見つけられないし。

402名無しさん:2011/03/03(木) 00:17:57
かぶった。二拍五類でB系列の3語は例外扱いということ?
しかし全体の語例がもっと多いならともかく、
この数では例外として片付けてしまうのは危険だと思うが。

403名無しさん:2011/03/06(日) 01:18:01
http://www.youtube.com/watch?v=y_TtEsPoDY8
部分的に京阪式を獲得している

404名無しさん:2011/03/20(日) 23:31:15
今年のNHKの中国語講座には藤原紀香が出るみたいだが、かなりセンスありそうな発音してたぞ。
やっぱ関西人だから有利なのかもね。

406名無しさん:2011/04/28(木) 11:16:24
今回の大震災による津波の映像がYoutubeに多数上げられているが、
これは津波の映像として貴重なのはもちろん、
東北沿岸部の自然会話の記録としても貴重だ。
場面が場面だけに方言も出やすい。

アクセント的にみると、この地域には、
外輪東京式、北奥羽式、型の少ない特殊な東京式、無アクセントなどの地域が含まれる。
まだアクセント的には純粋な戦前生まれも多数健在なので、
今回の動画が後年にアクセントなどの方言資料としても活用されるかもしれない。

407名無しさん:2011/05/05(木) 05:16:02
岩手県出身のオネエ住職があるとき京阪式っぽいアクセントを使ったのが話題に。

岩手県の一部に京阪式に似ているアクセントに似たアクセントが存在しているらしいのですが、
誰か詳しい人いませんか

http://channel.pandora.tv/channel/video.ptv?ref=em_over&ch_userid=bimbom&prgid=41548109
24分10秒過ぎから


もちろん完全に京阪式というわけではないが、京阪式っぽい部分はたまたまにしては一致しすぎていると思う
いつもはこのアクセントを使わないし、何かあるんだろう

408名無しさん:2011/05/05(木) 05:16:34
ちなみに俺は関西人やで!

409名無しさん:2011/05/18(水) 21:37:19
>>407
会員にならないと見れないって出るよー

410名無しさん:2011/05/19(木) 13:34:17
俺も頑張って登録したわ

411名無しさん:2011/05/22(日) 18:42:28
北奥羽式アクセントって、「二拍名詞で第二拍が広母音の場合、三類・四類・五類が統合している」というように言われることが多いけど、
実際は三類と四類・五類の区別が残ってないか?

秋田出身の自分の内省では、
「山が」「船が」「雨が」はいずれも低高低だけど、
「山の」は低低低になるのに対し、「船の」「雨の」は低高低だと思う。

「山の」を低高低にしてもそれほど違和感はないが、「船の」「雨の」が低低低なのは違和感がある。

412名無しさん:2011/05/23(月) 21:09:08
なるほどー。
3類+「の」は元々平板だから、そうなるんだ。

413名無しさん:2011/05/24(火) 01:18:05
二拍名詞の類の区別

        一類         二類           三類            四類            五類
平安京都  高高            高低            低低            低高            低降
鎌倉京都  高高〜高高(高)  高低〜高低(低)  低低〜低低(高)  低高〜低高(高)  低降〜低高(低)
                        (1)〜高高(高)     (1)〜低低(低)
室町京都  高高〜高高(高)  高低〜高低(低)  高低〜高低(低)  低高〜低高(高)  低降〜低高(低)
                        (1)〜高高(高)     (1)〜高高(高)
現代京都  高高〜高高(高)  高低〜高低(低)  高低〜高低(低)  低高〜低低(高)  低降〜低高(低)
                        (1)〜高高(高)     (1)〜高高(高)
関東式    低高〜低高(高)  低高〜低高(低)  低高〜低高(低)  高低〜高低(低)  高低〜高低(低)  関東西部から東海・東山一帯
                        (1)〜低高(高)     (1)〜低高(高)
中国式    低高〜低高(高)  低高〜低高(低)  低高〜低高(低)  高低〜高低(低)  高低〜高低(低)  中国地方の大部分
外輪東京式 低高〜低高(高)  低高〜低高(高)  低高〜低高(低)  高低〜高低(低)  高低〜高低(低)  越後、近江など
豊前豊後式 低高〜低高(高)  低高〜低高(高)  低高〜低高(低)  高低〜高低(低)  高低〜高低(低)  福岡県東部、大分県(豊前、豊後)の大部分
                                   (1)〜低高(高)
筑前式     低高〜低高(低)  低高〜低高(低)  低高〜低高(低)  高低〜高低(低)  高低〜高低(低)  福岡県西部(筑前)の大部分
        .(2)高低〜高低(低) (2)高低〜高低(低)
筑前糸島式 低高〜低高(低)  低高〜低高(低)  低高〜低高(低)  高低〜高低(低)  高低〜高低(低)  福岡県糸島郡
        .(2)高低〜高低(低) (2)高低〜高低(低)    .(1)〜低高(高)
壱岐式    低高〜低高(低)  低高〜低高(低)  低高〜低高(低)  高低〜高低(低)  高低〜高低(低)  壱岐の大部分
                                  (1)〜低高(高)
壱岐西北式 高低〜高低(低)  高低〜高低(低)  高高〜高高(低)  高低〜高低(低)  高低〜高低(低)  壱岐西北三村
                                  (1)〜高高(高)
対馬式    高低〜高低(低)  高低〜高低(低)  低高〜低高(低)  高低〜高低(低)  高低〜高低(低)  対馬の大部分
                              (3)高低〜高低(低)
久根式    低高〜低高(低)  低高〜低高(低)  低高〜低高(低)  高低〜高低(低)  高低〜高低(低)  対馬の久根、瀬、内院
       .(3)高低〜高低(低) (3)高低〜高低(低).(3)高低〜高低(低)
豆酘式    低高〜低高(低)  低高〜低高(低)  低高〜低高(低)  高低〜高低(低)  高低〜高低(低)  対馬の豆酘
       .(3)低高〜低低(高) (3)低高〜低低(高).(3)低高〜低低(高)

414名無しさん:2011/05/24(火) 01:20:45
長崎式    高低〜高高(低)  高低〜高高(低)  低高〜低低(高)  低高〜低低(高)  低高〜低低(高)  長崎県彼杵地方、高来地方など
                                  (1)〜低低(低)     (1)〜低低(低)    .(1)〜低低(低)
三河内式  高低〜高低(低)  高低〜高低(低)  低高〜低高(低)  低高〜低高(低)  低高〜低高(低)  長崎県東彼杵郡北端
藤津式    高低〜高低(低)  高低〜高低(低)  低低〜低低(低)  低低〜低低(低)  低低〜低低(低)  佐賀県藤津郡地方
杵島式    高低〜低高(低)  高低〜低高(低)  低低〜低低(低)  低低〜低低(低)  低低〜低低(低)  佐賀県杵島郡地方など
玉名式    高低〜高高(低)  高低〜高高(低)  低低〜低低(低)  低低〜低低(低)  低低〜低低(低)  熊本県西北部
芦北式    高低〜低高(低)  高低〜低高(低)  低高〜低高(高)  低高〜低高(高)  低高〜低高(高)  熊本県西南部
長島式    高低〜高低(低)  高低〜高低(低)  低高〜低低(高)  低高〜低低(高)  低高〜低低(高)  鹿児島県長島郡の一部
鹿児島式  高低〜低高(低)  高低〜低高(低)  低高〜低低(高)  低高〜低低(高)  低高〜低低(高)  鹿児島県の大部分
南薩摩式  高低〜低高(低)  高低〜低高(低)  低高〜中低(高)  低高〜中低(高)  低高〜中低(高)  薩摩半島の南岸
枕崎式    低高〜中低(高)  低高〜中低(高)  高低〜低高(低)  高低〜低高(低)  高低〜低高(低)  枕崎市地方
江石式    高低〜低高(低)  高低〜低高(低)  低高〜高低(中)  低高〜高低(中)  低高〜高低(中)  鹿児島県上甑島の一部
屋久式    高低〜高低(低)  高低〜高低(低)  低高〜低高(低)  低高〜低高(低)  低高〜低高(低)  屋久島の一部
一湊式    高低〜低高(低)  高低〜低高(低)  低高〜低高(低)  低高〜低高(低)  低高〜低高(低)  屋久島の一部
栗生式    低高〜低高(低)  低高〜低高(低)  低高〜低低(高)  低高〜低低(高)  低高〜低低(高)  屋久島の一部
都城式    低高〜低低(高)  低高〜低低(高)  低高〜低低(高)  低高〜低低(高)  低高〜低低(高)  宮崎県南端、鹿児島県東端、五島列島の福江島西部
無型式    無無〜無無(無)  無無〜無無(無)  無無〜無無(無)  無無〜無無(無)  無無〜無無(無)  五島列島の大部分、長崎県北部、佐賀県北部、
                                                                  福岡県南部、熊本県東部、宮崎県の大部分

(1) 上段は助詞「-が」が付いた場合、下段は助詞「-の」が付いた場合。
(2) 下段は第一拍に広母音、第二拍に狭母音を持つ場合、上段はそれ以外。
(3) 上段は第二拍に広母音を持つ場合、下段は第二拍に狭母音を持つ場合。

415名無しさん:2011/05/24(火) 22:18:03
糸島式も、「の」が付いたときだけ一類・二類と三類の区別が現れる。
一方、内輪・中輪東京式の多くでは、「の」が付くと一類と二類・三類の区別が中和する。

京阪式でも、現在では一類が高高(高)、二類・三類が高低(低)で、
「の」が付くと二類・三類も高高(高)になり区別が中和する。

二類と三類が統合したのは南北朝時代だが、
江戸時代半ばまでは、「の」が付いた場合でも二類は高低(低)のままで、
三類と区別があったという。

416名無しさん:2011/05/26(木) 20:06:52
「の」だけなんでこんな特殊なんだ?
昔からこうなのか?

417名無しさん:2011/05/28(土) 04:36:27
http://live.nicovideo.jp/watch/lv51399944?ref=mini_subscribe
これ鹿児島の生主

かなり鹿児島訛り全開なので貴重。
沖縄よりちょっとクニャクニャが多い感じだけど、やっぱ沖縄に似てる

〜ふえてる  とか 〜てる なんかは沖縄と一緒だし、共通する部分が多いね。

418名無しさん:2011/05/28(土) 18:53:47
沖縄と九州南部のアクセント、根本は同じなんだろうな。

419名無しさん:2011/06/07(火) 20:22:23
薩摩が侵略したことと関係があるの?
それにしても、「奄美訛り」というのはあまり聞いたことないのでわからないが。

420名無しさん:2011/06/07(火) 20:25:17
この間の仁JINの薩摩弁は思った通り、無アクセント風のてきと〜なアクセントだったな
薩摩訛りはやはり難しいか

421名無しさん:2011/06/07(火) 20:33:13
奄美には薩摩侵略後の語彙などの影響があるらしいが、
発音やアクセントにまで影響するほどのものではないだろう。

奄美から与那国までの琉球方言のアクセントは、九州にあるアクセントのタイプとかなり似ている。
外輪東京式、西南九州二型式に似たアクセントが多い。
琉球祖語のアクセントを再構すると外輪東京式に似たアクセントになる。
ただし上で出ているように、本土方言で再構される「類」と琉球方言で再構される「系列」には
無視できないずれがある。

422名無しさん:2011/06/10(金) 19:45:15
ウチナーヤマトグチのアクセントって本当に沖縄語訛りのアクセントなんでしょうか?

離島の人のアクセントを聞く機会はあまりないけど、石垣島の訛りが本島の典型的な訛りとは違うってのは分かるね


本島でも訛りが違うらしいけど、そんなに型が違うものか?

奄美の中でも沖縄語に近い系統の沖永良部訛りの日本語はどんなものなのか

また、本島で言う「ウチナーヤマトグチ」的なものは各島ではどんな感じになっているのかが気になる

423名無しさん:2011/06/10(金) 19:50:27
琉球諸島はアクセントの地域差も凄く激しいからな。
どのぐらい違うかというと、>>66のように、首里と那覇ですら全然違う。
体系的には、首里は西南九州式、那覇は外輪東京式に近い。
ただ、実際の発音はだいぶ違うようなので、例えば首里が鹿児島に、那覇が大分に近く聞こえるかというと聞こえないと思う。

石垣島になると、本来の方言は沖縄本島はもちろん宮古島とすら全く通じない。

424名無しさん:2011/06/10(金) 23:41:05
現在はどんな言葉が話されてるの?

ミャークヤマトゥフツ とかがあるんですか?

それとも現在はある程度本島のウチナーヤマトグチを取り入れたりしてるの?

425名無しさん:2011/08/26(金) 13:47:57
コテコテの京阪式アクセントの中学生を発見
http://www.youtube.com/watch?v=k1R2GH1FowY&feature=mfu_in_order&list=UL
http://www.youtube.com/watch?v=ixOwXVoxcM8&feature=mfu_in_order&list=UL

言葉使い自体は共通語だから分からないが、このコテコテさは和歌山でもなく四国だろうな
語尾の「す」を「すぅ」と言うのも、ここまで強いのはイマドキ関西の若者では聞かれない。
「ほしいこと」を「ほしこと」のように発音するいかにも古そうなしゃべりが、中学生から聞かれるというのは関西ではなかなか無いだろう。
ちょっと感動したわ。
ドカベン香川の話し方に似てるし 四国が濃厚だ。

426名無しさん:2011/08/26(金) 13:57:01
http://www.youtube.com/watch?v=ignfjtOMZeI&feature=mfu_in_order&list=UL
3:46から高校時代のドカベン香川。
コテコテ。

ていうか香川って調べてみたら一応育ちは大阪なんやな。
大阪の西成 
しかし徳島生まれで、両親はおそらく徳島人だろう。

429平成1年生まれ:2011/09/11(日) 09:08:30
京阪式アクセントの個別スレはないのかね?


平安時代の京阪式が残っているという、伝説の伊吹島動画をついに発見したぞ!

11年 伊吹島「夏越しの大祓」(お神楽)2
http://www.youtube.com/watch?v=4Q6A7j4Q7AM&feature=mfu_in_order&list=UL

こういう祭で重要な役柄を務めるぐらいだから、地元の人だろう。

俺の感想としては、
平安時代の京阪式は、古すぎて変なアクセントに聞こえるんだろうと思っていたけど、
これを聞いた感じでは、確かに保守的で古そうだな、と言う感じで、そないごっつ違和感ない。
自分のアクセントとは違うけど、うちの婆さんのアクセントに通じる部分が多いし。

「来ました」は現代京都と同じアクセントだな。

違うなと思ったのは

どこ行ったLLHL
ありがとうHHLHL

ぐらいか。


この動画で出てくる

ご利益 HHLL 
とられた HHLL

のようなアクセントはうちの婆さんと同じで、親しみがあるが、

俺自身は普段どちらもLHLLと言っている。
いや〜京阪式って難しいね。
これを機に俺もせめてうちの婆さんレベルのアクセントを習得しておこうと思う。

430名無しさん:2011/09/20(火) 10:54:45
和歌山弁講座 和歌山弁ラップ Yhoo! You're! Yhoo!を使って...
http://www.youtube.com/watch?v=Ou6hpSsrm50&NR=1

431名無しさん:2011/09/20(火) 20:45:54
日本語アクセントの再建(上野善道)
http://www3.nacos.com/lsj/modules/documents/LSJpapers/journals/130_uwano.pdf

日本語の祖アクセントについて考察した論文。
伊吹島アクセントについても述べているが、祖体系の型の区別をほぼ引き継いでいる点では古いものの、
アクセント体系については大転換を経ており新しいとしている。

432名無しさん:2011/10/31(月) 19:43:49
松山弁講座1
http://www.youtube.com/watch?v=9kA0EjsZ7Qo
http://www.youtube.com/watch?v=S6t8OW1hCIg&feature=mfu_in_order&list=UL


松山のアクセントは近畿に近いと聞いていたけど、これは全然違うね。
京都のアクセントとも違うし、どちらかというと遅上がりの東京式が随分と混じってるように聞こえるが。。

433名無しさん:2011/11/03(木) 05:56:37
>>432
動画は、なんか違和感ある。
言葉自体は、愛媛の方言使ってるから、聞き流したら松山弁かな〜と思ってしまうけど、
単語のアクセント、例えば、
「今度」「全部」→自分は「低高低」だけど、オッサンは「高低低」
「頭」→自分は「高低低」だけど、オッサンは「高高高?」。
あと、「昔」「大事(だいじ)」とかも何か違う。自分が間違ってるかもしれんけど。

オッサンは元々松山の人じゃない(愛媛の東京式・無アクセント地域出身者)とか、
テレビの影響で東京式が混じったとか…かな?

434名無しさん:2011/11/05(土) 09:47:17
今度がHLLだと東京式でしかないが、全部のHLLは保守的というか、普通に年寄りの京阪式だぞ。


松山人じゃない人がわざわざ松山弁を自分でしゃべってアップするかね・・?

435名無しさん:2011/11/06(日) 04:18:21
へ〜。「全部」は、東京式でもHLLだから、京阪式と同じなんだね
ってことは、>>14 の分類では
全部=三拍名詞三類or五類ってことになるの?

436名無しさん:2011/11/06(日) 18:11:29
「全部」が金田一語類に入っているかどうか…?

437名無しさん:2011/11/07(月) 09:28:08
「頭」は保守的な京阪式では高高低の代表語。三拍名詞四類。
近畿中央の主流京阪式では高低低に変化しているが、大阪では変化が完了していないし、
和歌山や四国など周縁部では、若者以外は高高低を保っているはず。

「昔」は三拍一類で高高高が期待されるところだが、京都では例外的に低低高になっている語だそうだ。

438名無しさん:2011/11/07(月) 11:36:59
>>432
高起と低起の区別が消えて垂井化しているのと、
周辺の東京式に影響されたのか、アクセント核の位置も甲種アクセントじゃないのがあるような…

439名無しさん:2011/11/10(木) 01:32:04
頭 は家ではHLL
外でLHL。

440名無しさん:2011/11/10(木) 08:36:15
でもあるかもなぁ

逃がす

俺は LLH と言うけど、
婆さんはHHHやと思う

LLHやからと言って保守的なわけではないのんか、
なんか難しいなぁ。

441名無しさん:2011/11/10(木) 16:20:45
「逃がす」は江戸時代までHLLだったのが
幕末にHHHになったんだと思うが、
一段動詞だと
「落ちる・起きる・見える・食べる…」の東京式がLHL、京阪式がLLH
だというところから類推して
五段動詞も「逃がす」の東京式LHLから類推して
LLHと発音する人が出てきているのかもしれない。

443名無しさん:2011/11/19(土) 15:13:40
http://www.youtube.com/watch?v=SM17SvyKZ3U
平安時代ってほんまにこんなしゃべり方だったの?

ほんとに怖い。
ズ〜〜〜〜〜ンと怖い。 和風のお化けが出て来そうじゃ。。。

444名無しさん:2011/11/25(金) 08:55:48
東京式は京阪式から変化して出来たことになっているけど、
広く分布する特徴で、京阪式と対応しないのもあるよな。
(1) 複合語のアクセントは原則として最後の形態素に支配される。
(2) 固有名詞や外来語の標準形が-3型である。
(3) 一類動詞・形容詞の連体形が平板型になる。
このあたり、北東北とか中国地方、濃尾平野ではどうなってるの?

445名無しさん:2011/11/25(金) 23:45:12
>>444
少なくとも(1)で言えば、外輪東京式の地域では違う。
外輪東京式では、複合語のアクセントは最初の形態素に支配される。
これは京阪式の式保存の法則を継承するものだ。

外輪東京式では、古京阪式(南北朝以前の京都アクセント)における高起式は無核、低起式は有核になる。
これは複合語にも適用され、無核の形態素が最初に来たら全体が無核、有核の形態素が最初に来たら全体が有核になる。

446444:2011/11/28(月) 21:56:59
そうだったんだ。北海道出身なのに全く知らなかった。
まあ俺は「最近の東京人は母音の無声化がヘタクソ」と感じるほどNHK語漬けで育ったからな。

447名無しさん:2012/03/20(火) 23:38:11
一般に埼玉特殊は中輪東京式から変化したといわれるけど、逆の可能性は
ないのか考えてみた。

院政京都アクセントのうち助詞を高とみなして、低高と低降の部分だけ
低高という形で保持し、(三拍名詞七類は低高低(高)だが、最初の低高の
部分を保持)この低の部分が上がり核になったと考える。こうすると埼玉特殊
アクセントぽいものができ、上がり核を下がり核に変えると中輪東京式になる。
問題は三拍名詞三類と六類で、この理屈でいくと三拍名詞三類は
○○低(高)、三拍名詞六類が低高○(○)になってしまう。そこで、院政期の
三拍名詞三類が高低中で、六類が中高高で、低中も低高に変化したと
仮定すると、三類は○低高(○)、六類は平板型になり、上がり核を下がり核に
変えるとこれらは中輪東京式に一致する。

448447:2012/03/21(水) 13:53:39
三拍名詞六類は埼玉・中輪祖アクセントになる前に一類と統合したため、
理論形の低高○(○)ではなくて平板型になった可能性もある。
埼玉・中輪祖アクセントになる際には上がり核だけしか残らず、第一拍と
第二拍の高低が異なるような現象はその後の埼玉・中輪祖アクセント内部での
変化によるものだと思う。

453名無しさん:2013/01/15(火) 14:38:41
金田一春彦の1937年の調査では、
標準語によく似たアクセントとして「京浜アクセント」、それに準じて似ているものとして「房総アクセント」と
「館林式アクセント」、標準語と正反対の型の区別があるものとして「埼玉アクセント」、
それに準ずるものとして「草加式アクセント」、京浜アクセントと一型アクセントの中間のものとして
「佐野式アクセント」、埼玉アクセントと一型アクセントの中間のものとして「久喜式アクセント」が挙げられている。

戦前は浦安、葛西、戸ヶ崎、花畑、土合、鳩谷、草加、岩槻、日勝が草加式アクセント、
大門、吉川、原市、蓮田、駒西、加須、不動岡が埼玉アクセント、
粕壁、杉戸、幸手、久喜、菖蒲、栗橋、羽生が久喜式アクセント、
蘇我、津田沼、瑞江、金町、水元、川口、蕨、与野、馬橋、流山、館林、富田が館林式アクセント、

千葉、佐倉、四街道、大和田、船橋、中山、市川、柏、松戸、小金、金町、本田、小松川、
吹上、鴻巣、桶川、上尾、大宮、川越、所沢、忍、行田、埼玉村、熊谷が京浜アクセント

454名無しさん:2013/01/26(土) 02:07:13
447, 448説を修正してみた
奈良田・埼玉アクセントは、南北朝アクセントから上げ核はそのままで、
高起類の下げ核は下のように一拍後ずれできるものはさせて、上げ核
だけの体系にして、高起と低起の区別が消滅したと考えれば中輪アク
セントを経ずにできる。
(H)○┐○→○○┘
この仮定で、高起類での一拍後ずれが起きたトリガーは高起と低起の
消滅かもしれないので先に式の消滅があったとも考えられる。
ただし3拍6類はこれらの変化が起こる際に低起無核だったと考える
必要がある。(音調としては6類LHH、7類LHLと想定してもかまわないが)

奈良田・埼玉アクセントと隣接する東日本の中輪アクセントの成立過程は
両者が分岐するまでは異なるとは考えられないので、東日本の中輪乙種は
奈良田・埼玉アクセントが上のように成立したとすれば、同じ過程を経た
ことになる。東日本ではこの後上げ核→下げ核の変化が現在の中輪と
外輪地域で起きて、次第に奈良田・埼玉アクセントの範囲が狭まっていった。
外輪乙種の上げ核→下げ核については既に木部説などで出ている
(北奥の昇り核アクセントは一旦下げ核になってから一拍卓立を経て
成立したと思っている。また中輪・外輪アクセントの成立過程は複数
あったと考えているので、西日本では通説通りに変化したと思っている)

この説の過程とは逆に三重県長島のアクセントでは室町時代の京都
アクセントから高起類の核はそのまま一拍卓立調に、低起類は
2拍目が一拍卓立調の核に変化し上げ核は消滅したように思える。

457名無しさん:2013/10/07(月) 21:27:30
http://www.dailymotion.com/video/x15gjxs_%E5%88%91%E4%BA%8B%E5%90%89%E6%B0%B8%E8%AA%A0%E4%B8%80-%E6%B6%99%E3%81%AE%E4%BA%8B%E4%BB%B6%E7%B0%BF12-%E8%A6%AA%E3%81%97%E3%81%84%E6%95%B5-2-2_lifestyle

すみません
上の2時間ドラマ動画14分46秒〜の鶴田忍と船越英一郎の

寒かった
LHLLL

っぽいアクセントは、不自然ではないですか?

どういう狙いで

サムカッタ
HLLLL

とのアクセントを避けたのでしょう?


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