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遊撃左遷小隊レギオン!【古巣】

117スイ ◆REK82XblWE:2014/03/07(金) 17:56:51
「…トラウマを見せつけられた上で、俺たちを敵だと認識するようにすり替えやがった。だが、どうなんだろうな、実際…」

スイが引っかかっていたのは、フィンの行動だった。
彼に何のトラウマがあるかわからない、しかし少なくとも敵と認識できるモノがあったという事。
だが、フィンは戦闘中確かにスイの名を呼んだ。そしてその威力を過去と比べた。
あれがあった後なら、敵の名を呼んでてもおかしくない。
また、ヴィジョン自体をすり替えたのだとしても、それまでのフィンを構成していたのはトラウマを含めた過去であるから、スイ達を敵と認識するにはそれらを完全に覆さなければならないのである。
果たして、あらゆるモノを枯れさせ、記憶を掘り起こす事を可能としたクランク7が、そんな芸当まで出来るのか?
たとえ彼女が未知数だとしても、彼女が万能であることはあり得ないと、スイは踏んでいた。
そして最後のフィンのクランク7を止めるような動作。
総合して唯一スイに確信できたことは、フィンにはまだこちら側に戻ってくる可能性があるかもしれない、という事だけだった。
そう、スイはその希望に縋ってしまっていたのだ。
それに気付いていながら、しかしそれしか出来ない己が情けなかった。

(仲間は、信頼し背中を預けても、依存する相手じゃあ無い。)

言い聞かせるようにそう思い、一つ息を吐く。
そして小さな空気の振動を感じ取り、スイは部屋に転がっていたランゲンフェルトを隅の方に投げた。

「そっちの壁際まで行け!早く!」

窮屈な部屋により固まるのは大分困難だが、死ぬよりましだろう。
相も変わらず穏やかな寝息を立てていた男の襟首を掴み、ランゲンフェルトの上に着地させるように飛ばす。
そして壁際にスイが体を寄せると、その足先で建物が崩れた。
目の前に広がった光景に、スイは確信する。
これを作ったのはフィンだ。

「やっぱり駄目なのかよ、フィンさん…!!」

血を吐くような思いで、スイは呻いた。


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