90年代半ばの彼の躍進は、ヒップホップが商業化された世界的な現象とリンクしており、そのなかでもDMXはポップさとは対極にあるアグレッシヴさで人気を得た。彼はまた、Def Jamレーベルを活性化させ、ジェイ・Zのブレイクにも貢献。また俳優業にも挑み、『Belly』、『Romeo Must Die』、『Exit Wounds』などで役者としてのキャリアを築いた。
しばらく不遇の時代を過ごし、80年に名前を「ユキ」として、ロックに転向。ボニー・タイラーの「Sitting on the Edge of the Ocean」のカバー曲「哀しみのオーシャン」がヒット。カーリーヘアを振り乱し、ハスキーな声でシャウトするエネルギッシュなステージは評判となり、“女ロッド・スチュワート”の異名もとり83年には「ボヘミアン」大ヒット。レコード売り上げ約40万枚を記録する自身の代表作となった。