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本のブログ(2013年から新規)

373korou:2017/12/23(土) 23:03:24
今村昌弘「屍人荘の殺人」(東京創元社)を読了。

新人の作品(鮎川哲也賞受賞作)ながら
今年度のミステリーNo.1の作品との高評価を得ている話題作である。
出だしは、西澤保彦の「七回死んだ男」のような独特の軽妙な筆致で読ませるのだが
展開が遅くてダレ気味なのも事実で、読み進めるのがしんどい感じがした。
しかし、どこかに凄いものがあるのだろうと期待だけを先行させて読み進め
ついに事件は起こるのだが、それがゾンビ出現というあり得ない設定であるため
面白さは増すものの、どこかで釈然としない感覚が残ってしまう。
後半はさすがに一気読みさせる筆力だったが
ありがちな結末のまま終わってしまうので
本格推理としての新味には乏しい。
実際のところ、もう一ひねりがあって、あっと驚く結末なのかと期待してしまったのだが・・・
それは何もなかった。

ゾンビが密室状態を作る重要な要素となっている点が新味かもしれない。
でもゾンビは非現実であり、空想上の産物でしかない。
本格推理にそれを持ち込むのは違反行為ではないかと思う。
本格推理の部分も、若い女性がそれだけの動機で大量殺人を計画し
実際に殺人を実行するという点においてムリがある。
細かくみれば、本人は直接手を下していないのでアリなのかもしれないが
ゾンビが出現しなかった場合、直接人を殺すことになるのだから
設定そのものにリアリティがない。

というわけで、面白く読んだ割には
読後感はすっきりとしないものが残った。
絶賛する玄人筋の感覚が分からない。


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