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本のブログ(2013年から新規)

231korou:2015/10/21(水) 22:48:31
村山俊夫「インスタントラーメンが海を渡った日」(河出書房新社)を一気に読了。

日本で明星食品の奥井清澄氏が
独自の哲学でインスタントラーメンの世界において地位を築き上げていた昭和30年代。
その頃、韓国では、保険業などで成功していた全仲潤(チョンジュンユン)氏が
ある日偶然に知った自国民の貧しい食生活に心を痛め
食品業界への転身を図り、国民の食生活向上のための策を練っていた。
そこへ、戦前からの面倒な事情を抱えた日韓交渉が絡み
全仲潤氏の行動は八方塞がりになっていくのだが
その苦境を奥井氏が救ったという感動のノンフィクションである。

時代設定が、日本が高度成長時代突入期で
かたや韓国はあまり知られていない貧しい時代なので
読んでいて懐かしくもあり、また隣国の実情を改めて深く知る機会にもなった。
小説じみた書き方なので、時として、本当はどうなのかと思うこともあったが
大筋はこの叙述で間違いないのだろう。

まさに人が人を知る時代であった。
いまや、奥井氏のような懐の深い実業家は稀だろう。
国際的視野のある人、発想が素晴らしい人というのは少なからず存在しているだろうが
これほど人が人を認めて、計算抜きの交渉に応じるという「美談」は
21世紀の日韓関係において、あり得ない話になってしまった。

でも、過去にそういうことが可能だったのだから
今現在不可能に見えても、今後あり得ないとは断言はできないだろう。
そんな勇気をもらえる感動の書である。
これも万人にオススメの本だ。


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