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(-[]3[]) Channelers のようです
1
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 05:42:45 ID:BMHeL29.0
__ ____________________
__] Web page --- パスワード入力画面 [____________________
僕の頭脳が勝っているか きみの勇気が正しいか 白黒はっきりつけよう
正しい答えを入力することで道は開かれる
きみたちの挑戦を待っている
┌‐‐┬‐‐┬‐‐┬‐‐┬‐‐┐
│ │ │ │ │ │ [ OK? ]
└‐‐┴‐‐┴‐‐┴‐‐┴‐‐┘
__________ ________________
__________] Mail [ 1 ] --- 解読法? [________________
『 どうだい、面白い趣向だろう。
夜までの暇つぶしにはなると思うよ。
せいぜい頭を悩ませてみることだね。 指定の場所で待っているよ。
最後に一つ、可愛い君のために重大なヒントを
寄付しよう。 お馬鹿な仲間に 苦労させられるね。 』
____________________ _______
____________________] Mail [ 2 ] --- 暗号文 [_______
3、里 ぜ か ね 名 ざ .社 .庁 1、し 廃 ろ. Q. 王 ち .ご .や
4、あ る. ら ぷ び 町 ね ん 8、さ め り だ 欧 F ら .せ
5、市 ー .き は ん 足 .こ う 7、め 出 お に .く へ. 山 県
2、べ 海 ゑ 場 や 工 川 を 6、ず ま .ご 砂 .ら つ .京 ぶ
2
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 05:48:34 ID:BMHeL29.0
( 解答編 )
3
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 05:49:51 ID:BMHeL29.0
メールの転送、及び文章の整形が終わった。
PCのディスプレイには、パスワード入力ページとともに、
二通のメールの文面が映し出されている。
( ´_ゝ`) 「よーし。 じゃー早速解いて行くか!」
(*゚ー゚) 「はい!」
从'。`リル 「どーやって?」
腕まくりするオサムとしぃちゃんに、僕は当然の質問を浴びせた。
(;*゚ー゚)つ 「え、えーと……それを今から考えるんだよ!」
( ´_ゝ`)σ 「んっっっと空気の読めないやつだな!」
从 д リル (えええ〜〜〜……)
助けを求めるように先生のほうへ視線を送ったものの、
当の先生は、やれやれとでも言いたげに、肩をすくめるばかり。
……僕が突き放されたわけじゃなく、この状況に呆れているだけだと、そう信じたい。
.
4
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 05:51:12 ID:BMHeL29.0
http://boonsoldier.web.fc2.com/channel.htm
http://localboon.web.fc2.com/100/top.html
纏
http://kurukurucool.blog85.fc2.com/blog-entry-497.html
http://boonfestival.web.fc2.com/channelers/list.html
.
5
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 05:53:49 ID:BMHeL29.0
送られてきたメールの内容をまとめると、次のようになる。
・ ギコがさらわれた。 犯人の要求はわからない。 目的も不明
・ 待ち合わせの指定時間は19時
・ 指定場所を知るためには、正しいパスワードをフォームに入力する必要がある
・ パスワードは五文字。 メール②の暗号文を解読することでわかる
さらに、既に解読法へ到達したという弟者先生の話では、
・ 暗号文は並び替える必要がある
・ メール①には暗号解読のヒントが記されている?
……ということらしい。
.
6
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 05:54:33 ID:sFTpgk0EO
この早起きさんめwww
これは支援するしかない
7
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 05:55:21 ID:BMHeL29.0
( ´_ゝ`) 「てゆーかさ」
∂゙
『 兄者 』 ことオサムが、ぽりぽり頬を掻き、言った。
( ´_ゝ`) 「重大なヒントってどこに書かれてるんだ? 見つからないぞ?」
至極まっとうな指摘だ。
そもそもメール①の末尾は、
『 最後に一つ、可愛い君のために重大なヒントを
寄付しよう。 お馬鹿な仲間に 苦労させられるね。 』
という一文で締めくくられており、肝心のヒントらしきものが記されていない。
从'、`リル 「メールを印刷して、空白のとこをあぶり出しとか……」
(;*゚ー゚)ノシ 「そ、それはないよ、ないない」
(´<_` ;) 「私はどうやってそのヒントを読み取ったんだ」
.
8
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 05:55:58 ID:BMHeL29.0
メール②には暗号文だけで、ヒントらしき文章は見当たらない。
他に考えられるのは、ウェブページに書かれた
>僕の頭脳が勝っているか きみの勇気が正しいか 白黒はっきりつけよう
>正しい答えを入力することで道は開かれる
>きみたちの挑戦を待っている
この部分がヒントである可能性。
もしくは……
(*゚ー゚) 「ここ……どうして、最後の一行だけ離れているんでしょう?」
从'。`リル 「それですけど」
しぃちゃんの一言で、なんとなく確信する。
从゚、゚リル 「 “ 寄付しよう。お馬鹿な〜 ”っていう文自体が、
暗号を解くヒントなんじゃない?」
.
9
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 05:57:40 ID:BMHeL29.0
これだろう。
他にヒントらしき箇所が見当たらない以上、
>最後に一つ、可愛い君のために重大なヒントを
↑の一行と、
>寄付しよう。 お馬鹿な仲間に 苦労させられるね。
↑の一行は、意味の繋がっていない、別の二文であると考えるほうが自然だ。
( ´_ゝ`)b 「いやー、おれも最初からそう思ってたんだよね!」
,_
从'、`リル 「嘘つけっ」
(*゚ー゚) 「“ 寄付しよう お馬鹿な仲間に 苦労させられるね ” ……ですか」
文の締めくくりとしてはどことなく違和感がある。
.
10
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 05:58:25 ID:BMHeL29.0
( ´_ゝ`)゙ 「うーん。 しかし、これがヒントって言われてもなあ」
オサムが低く唸る。
果たしてこの一文は何を表しているのだろう。
(*゚ー゚) 「” 寄付 ” って言葉、おかしいですよね?
ヒントを出すって意味を伝えたいのなら、“ 提示 ” とかでしょう。
物をあげる意味でも、普通は ” 寄贈 ” とか” 贈呈 ” とか……」
( ´_ゝ`) 「” 寄付 ” だと、金銭の受け渡しになるな」
(*゚ο゚) 「金額とか、何かの数字が関係あるんでしょうか?」
しぃちゃんの一言に、先生を除いた三人がいっせいに首をひねった。
.
11
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 05:59:27 ID:BMHeL29.0
从'。`リル (そういえば……)
よく見ると、この暗号文、
3、里 ぜ か ね 名 ざ .社 .庁 1、し 廃 ろ. Q. 王 ち .ご .や
4、あ る. ら ぷ び 町 ね ん 8、さ め り だ 欧 F ら .せ
5、市 ー .き は ん 足 .こ う 7、め 出 お に .く へ. 山 県
2、べ 海 ゑ 場 や 工 川 を 6、ず ま .ご 砂 .ら つ .京 ぶ
と、8文字ごとに数字で区切られている。
各行に振られた1から8の数字と、寄付という言葉には何か関連があるのだろうか。
暗号が並べ替え必須だというのなら、
数字はその順序を表している、と考えるのが自然だ。
しばらく全員が黙り込む。
真っ先に集中力が切れたのは、案の定僕だった。
从'ヮ`リル 「キフっていや、こないだ飲んだ貴腐ワイン美味かったなー……」 ジュルリ
甘く濃厚な味わいが脳裏に蘇る。
.
12
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 06:00:22 ID:BMHeL29.0
うっかりこぼした呟きに、しぃちゃんが 『 えっ 』 という表情になった。
(;*゚ー゚) 「お、お酒飲むの? 高校生でしょ?」
从'д`;リル 「あ、い、いやそのっ」
(; ´_ゝ`) 「キフ違いだろ……って、ちょい待ち」
オサムが、“ 寄付 ” の部分をドラッグし、変換キーを押す。
( ´_ゝ`) 「ひょっとして、寄付 → 棋譜?」
Σ(*゚O゚) 「あっ」
Σ从゚O゚リル 「そうか、将棋!」
“ 棋譜しよう ” の意味するところは、つまり。
.
13
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 06:01:09 ID:BMHeL29.0
(*゚ワ゚) 「なるほど……この暗号を、将棋の盤面に “ 並び替えて ”」
从゚ー゚リル 「文字をマスに見立てて、
何らかの “ 棋譜 ” に沿って読めばいいのか!」
なんのことはない、わかってみればこんな単純な話だったんだ。
( ´_ゝ`)ノシ 「いやいや、違うだろ」
从'、`リル 「え?」
……と思った矢先に、オサムがそれを否定する。
( ´_ゝ`)σ 「この暗号は全部で64文字だぜ。
最初の数字を含めても、64+8 で 72文字。
将棋の盤面なら、81文字になるはずだろ?」
从'。`リル 「そうだっけ?」
(; ´_ゝ`) 「あるじゃんほら、81マスにダイブする漫画……」
.
14
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 06:04:21 ID:BMHeL29.0
しぃちゃんが口元に指をあて、言った。
(*゚ο゚) 「64文字ってことは、9×9ではなく、8×8ってことですか?」
(´<_` ) 「そういうこと」
小さく肯くは、白衣の男性。
先生はテーブルの端に手を伸ばすと、ルービックキューブを拾い上げた。
かしゃ、かしゃ、かしゃ。
滑らかな手つきでそれをひねり、色を変えてゆく。
真ん中を縦に180度、横に180度、真横に傾けて縦へ180度──。
( ´_ゝ`)(*゚ー゚) 从'。`リル 「!」
□■□
■□■
□■□
するとキューブは、全面が鮮やかな市松模様になった。
15
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 06:05:43 ID:BMHeL29.0
●第二八話 『 チェッカー ・ キューブ ── VS. ????③ 』
テーブルに、とん、と玩具が置かれる。
六面それぞれにおいて、二色の正方形が互い違いのパターンを形成している。
僕たちは顔を見合わせた。
从゚Ο゚リル 「……チェス、か」
( ´_ゝ`)b 「それだ!」
第一段階クリアの、確かな手ごたえを感じた。
(*゚−゚) 「でも、チェスの棋譜ってどんな……?」
σ
しぃちゃんが首を傾げる。
そう、確かに彼女の言う通りだ。
棋譜に沿って読む……とはいったものの、
チェスの棋譜とやらがどういったもので、具体的にどう暗号を読めばいいのか。
それがわからないことには、話にならない。
.
16
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 06:09:48 ID:BMHeL29.0
( ´_ゝ`) 「ヒントの続きがポイントっしょ。
“ お馬鹿な仲間に苦労させられるね ” って部分」
,_
从-、-リル 「何気にギコ……先輩を、ディスってますね。 この文面」
(;*゚ー゚) 「ギコくんは私の兄だから、“ 仲間 ”って表現は違うんじゃない?」
从'、`リル 「ん? じゃあお馬鹿な仲間っていったい……」
゙从゚ε゚リル ・・・
Σ从 д リル ハッ
『 >内藤ドクオ、及び内藤ホライゾンという人物に限り、協力を仰いでもらっていい 』
_, ,_
从゚皿゚;リル 「僕か! それ僕のことかー!」
(;*゚ー゚) 「ほえ?」
゙从'д`;リル 「あ、いえ別に……」
.
17
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 06:11:23 ID:BMHeL29.0
……どうしようもないやり取りの横で、オサムが呟く。
( ´_ゝ`) 「お馬鹿……」 ボソッ
,_
从゚、゚#リル 彡 「あん?」
( ´_ゝ`) 「バカ……阿呆、POOR……?」 ブツブツ
,_
゙从゚д゚;リル 「はぁあ? な、なんだいきなりっ」
( ´_ゝ`) 「BAD? WRONG? それとも低能……?」 ブツブツブツ
_, ,_
Σ从゚皿゚;リル 「失礼な!」
なんかものすごい勢いでディスられている。
くそっ、こいつに言われるとすげームカツク。
.
18
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 06:12:31 ID:BMHeL29.0
( ´_ゝ`) 「愚者……Fool?」
.η_, ,_ ..η
:::く从 皿#くくル :::: (こなくそおおおおおおおっ) グググ
Σ( ゚_ゝ゚) 「あっ」
思わずサイキック ・ モンゴリアンチョップ(今考えた)を浴びせようとしたところ、
(* ´_ゝ`)b 「【 フールズ・メイト 】!」
オサムはぱちんと手を叩き、叫んだ。
(*゚ー゚) 「「 ? 」」 η从゚、゚リルη
ε- (´<_` ) 「……やっと気づいたか」
先生が頷いている……ということは、どうやら合っているらしい。
単語の意味はよくわからないけど。
.
19
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 06:13:26 ID:BMHeL29.0
η从'。`リルη 「何それ?」
( ´_ゝ`) 「チェスの用語で、有名な ” チェックメイト ” のパターンだよ。
すなわち ” 詰みの形 ” だな。
あとお前いま何しようとしてた」
η从゚、゚リルη 「詰みって、つまり……」
(*゚ー゚) 「要はチェスの勝敗が決まった状態ですよね?」
( ´_ゝ`)b 「そそ」
誇らしげに指を立てるオサム。
その横から先生が、キューブを戻しつつ補足する。
(´<_` ) 「“ フールズ・メイト ” 。
最短2手で勝負のつく、初心者が陥る可能性のあるチェック・メイト。
チェスにおける、最も短い詰みの手順として有名だ」
(;*゚ー゚)そ 「2手!? 二回動かすだけで勝っちゃうってことですよね!?」
しぃちゃんが素っ頓狂な声をあげた。
.
20
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 06:15:06 ID:BMHeL29.0
从゚д゚;リル 「そんなのって……あんの?」
( ´_ゝ`) 「あるんだなそれが!
……もちろん、相手が示し合わせたようにおバカ手順を踏まない限り、
まず実戦では起こり得ないけどね」
从゚o ゚リル 「なるほど。 仲間=メイトって意味で」
(*゚ー゚) 「“ おバカな仲間 ” = フールズ・メイトのことを指していたんですね!」
最短でゲームを終わらせる手順、か。
僕たちが納得する様子を見て、オサムは嬉しそうに声を張り上げた。
(* ´_ゝ`)b 「つまり!
この暗号を、フールズ・メイトの棋譜に沿って読めばいいんだよ」
(´<_` ) 「……」
(*゚ー゚) 「さっそく並べ替えましょう!」
まかせとけ!とばかり、
オサムは表示されたテキストを手際よくコピー&ペーストした。
.
21
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 06:16:06 ID:BMHeL29.0
3、里ぜかね名ざ社庁 1、し廃ろQ王ちごや
4、あるらぷび町ねん 8、さめりだ欧Fらせ
5、市ーきはん足こう 7、め出おにくへ山県
2、べ海ゑ場や工川を 6、ずまご砂らつ京ぶ
↓ ↓ ↓
8、さ め り だ 欧 F ら .せ
7、め 出 お に .く へ. 山 県
6、ず ま .ご 砂 .ら つ .京 ぶ
5、市 ー .き は ん 足 .こ う
4、あ る. ら ぷ び 町 ね ん
3、里 ぜ か ね 名 ざ .社 .庁
2、べ 海 ゑ 場 や 工 川 を
1、し 廃 ろ. Q. 王 ち .ご .や
.
22
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 06:16:30 ID:BMHeL29.0
並び替えるついでに、列の左から順に、 a 〜 h のアルファベットを振る。
すると……。
a b c d e f g h
a b c d e f g h
8 □■□■□■□■ 8、さ め り だ 欧 F ら .せ
7 ■□■□■□■□ 7、め 出 お に .く へ. 山 県
6 □■□■□■□■ 6、ず ま .ご 砂 .ら つ .京 ぶ
5 ■□■□■□■□ 5、市 ー .き は ん 足 .こ う
4 □■□■□■□■ 4、あ る. ら ぷ び 町 ね ん
3 ■□■□■□■□ 3、里 ぜ か ね 名 ざ .社 .庁
2 □■□■□■□■ 2、べ 海 ゑ 場 や 工 川 を
1 ■□■.Q.王□■□ 1、し 廃 ろ. Q. 王 ち .ご .や
从゚ヮ゚リル 「本当だ! チェスの盤面と同じ数!」
( ´_ゝ`) 「棋譜を示さないといけないので、
振られた数字に沿って、降順に並べるんだな」
(*゚ー゚)っ 「じゃあ、フールズ・メイトの棋譜に当てはめてみましょう!」
( ☆_ゝ★) 「なんか目がチカチカするから、次のレスからにしようぜ」
(;*゚ー゚)っ 「あ、はい」
.
23
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 06:21:26 ID:BMHeL29.0
表示された暗号文をなぞりながら、僕は言った。
从'。`リル 「駒が動く手順どおりに読んで行けばいいんだな。 まずは……?」
( ´_ゝ`) 「いや、駒の軌跡を一歩一歩辿っていく必要はないぜ。
” 棋譜に沿って読む ” のなら、もっと短くて済む」
(´<_` ) 「基本的には、駒の頭文字1文字と、駒が動いた後のマスだけを記す。
さらにポーン(歩兵)の動きについては、頭文字(P)も省くことができる」
先生と交互に解説したあと、オサムは検索サイトに接続し、キーを叩く。
( ´_ゝ`) 「フールズ・メイトの棋譜は……と」 カタカタ
つ【+ 】
d(´<_` ) 「ああ、それなんだけどな。 その後の」
( ´_ゝ`)ノ゙ 「わかったぞ! 1.f3, e5 2.g4??, Qh4# だ!」
つ【+ 】
d(´<_` ;) 「……」
何か言いかけた先生の横で、オサムが記号の羅列を示した。
.
24
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 06:22:08 ID:BMHeL29.0
(*゚ー゚) 「つまり、f3・e5・g4・h4のマスにある文字を、順に読めばいいんですね!」
从'ヮ`リル 「よーし!」
僕たちは、その棋譜に対応する暗号文の文字を拾っていった。
a b c d e f g h
8、さ め り だ 欧 F ら .せ
7、め 出 お に .く へ. 山 県
6、ず ま .ご 砂 .ら つ .京 ぶ
5、市 ー .き は ん 足 .こ う
4、あ る. ら ぷ び 町 ね ん
3、里 ぜ か ね 名 ざ .社 .庁
2、べ 海 ゑ 場 や 工 川 を
1、し 廃 ろ. Q. 王 ち .ご .や
.
25
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 06:22:39 ID:BMHeL29.0
a b c d e f g h
8、
7、
6、
5、 ん
4、 ね ん
3、 ざ
2、
1、
(*゚ー゚) 「……ざ、ん、ね、ん」
( ´_ゝ`)(*゚ー゚) 「「「 …… 」」」 从'。`リル
,_
从゚皿゚リル 「ふざけんじゃねーッ!!」
(; ´_ゝ`)゙ 「そんなハズは……いや、案外これがパスワードなのか」
……何もかも犯人の掌の上ってことだろうか。
完全におちょくられている。
.
26
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 06:23:26 ID:sFTpgk0EO
なん…だと…
27
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 06:24:23 ID:BMHeL29.0
頭を抱える僕たちの横で、しぃちゃんがぼそりと呟いた。
(*゚−゚) 「よくよく考えたら、パスワードは5文字じゃあ……」
σ
ああ、確かに。
しかし、ミスリードにしては少々手が込みすぎな気がする。
『 ざんねん 』
わざわざ意味の通る一文を仕込んだってことは、
犯人はあらかじめ、この解き方(フールズ・メイト)を想定していたということだ。
つまり、考え方の方向性としては合ってるんじゃないだろうか?
振り出しに戻ったわけではない……と、信じたいところだが。
.
28
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 06:26:05 ID:BMHeL29.0
( ´_ゝ`) 「弟者……」
(´<_` ) 「なんだ?」
( ´_ゝ`)つ○ 「ここに100円ある。
ショート缶のジュースが一本、
たまらん棒(駄菓子)なら9本も手に入る」
(´<_` ) 「……何が言いたい」
(* ´_ゝ`) 「ヒントちょーだい☆」
人゙
Σ(´<_` ;) 「安っ! というか結局私が解くのか……」
オサムは百円玉を指で弾き上げ、もったいぶった動きでそれをキャッチする。
このわざとらしい仕草がたまらなくウザい。
( ´_ゝ`)b 「誤解すんな! 暗号はちゃんと自力で解くぞ!
ほんのちょっぴりピンポイントなヒントを求めているだけだ!」
(´<_` ;) 「……あのなあ」
.
29
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 06:27:38 ID:BMHeL29.0
眉根を寄せる先生の周りで、僕らも手をすり合わせた。
从゚ロ゚;リル 「お願いします。 ヒントでいいんです、ヒントで」
人゙
(;*゚−゚) 「この通りです……どうか助けてください」
人゙
(# ´_ゝ`) 「こんなに可愛い女のコ達が必死に頼み込んでんだぞ!?
お前はそれでも血の通った人間か!」
Σ(´<_` ;) 「いや誰も教えないなんて言ってないから!
そもそも口を出すなって言ったのは兄者で……!」
从>、<;リル 「先生だけが頼りです! 正直オサムじゃぜんぜん役に立ちません!」
( ´_ゝ`) 「前言撤回。 可愛い娘と腐れメイド約一名」
(´<_` ;) 「……まったく……」
これまでで一番長い溜め息のあと、先生はPCに視線を落とした。
.
30
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 06:28:56 ID:BMHeL29.0
(´<_` ) 「チェスは二人で交互に駒を動かすゲームだ。
そして先手と後手は、白と黒で表すだろ」
それから、表示されているヒントの最後、
“ 苦労 ” という文字をマウスでドラッグし、変換キーを押した。
(´<_` ) 「簡単なことだよ。 ほら」
『 きふしよう。 おばかななかまに くろうさせられるね。 』
↓ ↓ ↓
棋譜 フールズ・メイト 黒
(´<_` ) 「 ” くろうさせられる ” ……つまり。 黒、させられる」
Σ(; ´_ゝ`) 「あああああ!
黒(後手)が詰まれるフールズ・メイトを再現しなければいけないのか!」
(*゚ー゚) 「「?」」 从'。`リル
先生の言葉に、オサムは驚愕の叫びをあげた。
話がよく見えないが、フールズ・メイトには別の棋譜もあるってことだろうか。
.
31
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 06:30:27 ID:BMHeL29.0
从'。`リル 「さっきのは白詰まれバージョンだったってこと?」
( ´_ゝ`)b 「そそっ。 対局が最短で終わる手順なので、
フールズ・メイトを例示するときは、白が負けるほうを指すことが多いんだけどな」
(´<_` ) 「黒が負けるパターンとして、ほぼ同じ手順のフールズ・メイトが存在する。
ただしこちらは、2手ではなく3手かかる」
,_
从'、`リル 「手の込んだ真似を……」
(; ´_ゝ`) 「うわオヤジギャグ? うぜー」
Σ从゚ロ゚*;リル 「そ、そういう意味で言ったんじゃなッ」
僕らのやり取りをあえて無視するかのように、先生は淡々と続けた。
(´<_` ) 「黒負けのフールズ・メイトは、1.e4 f6? 2.d4 g5?? 3.Qh5# だ」
( ´_ゝ`) 「3手詰めの中に、白、黒、白、黒、白と、五回の手順」
(*゚ー゚) 「つまり、5文字!」
しぃちゃんが熱気のこもった声をあげる。
.
32
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 06:32:52 ID:BMHeL29.0
(´<_` ) 「そうだよ。
白負けのフールズ・メイト手順は、白黒合わせて計4回しか動かない。
なので端から間違いだったってわけ」
(#´_ゝ`) 「わかってたんなら教えろバカ!」
(´<_` ;) (えええ〜〜〜〜〜ー……)
……僕たちは改めて、棋譜どおりの文字を拾っていった。
a b c d e f g h
8、さ め り だ 欧 F ら .せ
7、め 出 お に .く へ. 山 県
6、ず ま .ご 砂 .ら つ .京 ぶ
5、市 ー .き は ん 足 .こ う
4、あ る. ら ぷ び 町 ね ん
3、里 ぜ か ね 名 ざ .社 .庁
2、べ 海 ゑ 場 や 工 川 を
1、し 廃 ろ. Q. 王 ち .ご .や
.
33
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 06:33:45 ID:BMHeL29.0
a b c d e f g h
8、
7、
6、 つ
5、 .こ う
4、 .ぷ び
3、
2、
1、
(*゚ο゚) 「 び ・ つ ・ ぷ ・ こ ・ う 」
(´<_` ) 「──VIP港、か」
从゚ロ゚;リル 「そ、そこにギコ……せんぱいが、いるってこと?」
( ´_ゝ`) 「まー待てって。 まずはパスワードを入力してからだ」
オサムはそう言ってキーボードに手をかける。
皆が固唾を飲んで見守る中、エンターキーを弾くカタンという音が響き。
数秒のラグのあと、ページが切り替わった。
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34
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 06:35:52 ID:BMHeL29.0
『 VIP港○○埠頭 △△株式会社VIP営業所所有 ・ 第三倉庫 』
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35
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 06:36:59 ID:BMHeL29.0
===
==
=
日暮れ時の診療所、待合室にて。
一人残る流石イサムは、姉の番号の表示された携帯を、ぱちんと閉じた。
(´<_` ) (……犯人の目的はわからない、しかし……)
イサムはふたたびキューブを回し、赤と白の市松模様をつくりだした。
チェスから連想されるのは、鏡の国のアリス。
──アリス殺人。
(´<_` ;) (……例の事件と関わりがなければいいが……)
ギコとしぃの両親が、何者かに殺害されたことを、イサムは知っている。
例え猟奇事件と関係がなかろうと、
わざわざ高校生の男子を拉致し、脅迫メールまで送りつけてくる相手だ。
危険なことには変わりがない。
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36
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 06:38:32 ID:BMHeL29.0
(;*゚−゚) 『 お願いです先生、どうか警察には── 』
脳裏に、しぃの懇願する顔が浮かんだ。
世の中には、人一人の力ではどうにも抗いようのない
『 不運 』 という名の魔物が息を潜めていて。
それは突然に襲い来るものだと、彼は理解している。
( <_ ) 「────」
だからこそ。
心配なんだ。
イサムは口惜しげに携帯を睨みつける。
彼の兄──オサムも、そのことは充分わかっているはずなのに。
「 ───ミサキ─── 」
吐き捨てるように呟くと、テレビの電源を落とし、イサムは席を立った。
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37
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 06:40:01 ID:BMHeL29.0
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==
===
('A`) 「──田中ポセイドン?」
VIP港へと向かうバスの中。
ドクオの姿に戻った俺は、横に座るしぃちゃんに聞き返した。
(*゚−゚) 「はい。 おそらくは」
彼女が告げたのは、ギコを拉致した犯人と思しき者の、フルネーム。
診療所では 『 知らない 』 の一点張りだったしぃちゃんだが、
やはり思い当たる節があったらしい。
よほどこの話を先生に聞かれたくなかったのか。
それはひとえに、刑事である姉者(アカネ)さんの存在が大きいのだと思う。
38
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 06:45:28 ID:BMHeL29.0
(;'A`) (だからといって、隠しだてしたところで、なあ……)
素直にアカネさんへ協力を仰いだほうが絶対いいと思うのだが。
しぃちゃん兄妹は、何故にそこまで警察を避けるんだろう。
……まあ、ドクミの姿で聞いたことを知らぬ存ぜぬで通し、
今こうして 『 初めて聞いた 』 的演出に頭を悩ませている俺も、
ある意味彼女とおあいこなんだけど。
('A`) 「……それさ」
あの暗号騒ぎのあと。
俺は診療所を出ると、ドクオとしてしぃちゃんにメールを返信し──そのまま帰宅。
酒の力で無理やり仮眠を取ることで、ようやくこの姿に戻れた。
というか、そう!
ドクミの姿で酒を飲んだのは初めてだったのだけど、
女の子の状態だと、てんでアルコールに弱くなっていて、
コップ一杯もあけないうちにふらふらのバタンキューで……。
……とまあ、色々あった末に、今こうしてしぃちゃんと電車に揺られている次第だ。
ドクミのカラダは見た目どおり、十代くらいの肉体年齢なのかも知れない。
今後はアルコールは控えよう。 うん。
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39
:
以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします
:2011/05/03(火) 06:46:49 ID:BMHeL29.0
('A`) 「良かったら、詳しく聞かせてもらえるかな?」
未だ残る頭痛を悟られないよう、平静を装いつつ、俺はしぃちゃんに問うた。
(*゚−゚) 「はい……そのぅ……」
しぃちゃんの声がか細く、消え入りそうになる。
かと思うと、彼女は心持ち俺のほうへ体を寄せてきた。
俺の二の腕に彼女の肩、それから腿同士がくっつく。
布地を通してほのかに柔らかさが伝わる。
ああ、あまり周りに聞かれたくない話なんだな。
……と理解する前に、心臓が大きく跳ね上がったのを、俺は必死で取り繕う必要があった。
彼女の接近、というか接触は、あまりに不意打ちすぎたから。
(*´−`) 「わたし達がいけないんです。 ごめんなさい。
お二人を巻き込んじゃって、本当に」
謝罪を前置きとして、彼女はとつとつと語りだした。
〜 〜 〜
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40
:
>38訂正
:2011/05/03(火) 06:48:39 ID:BMHeL29.0
(;'A`) (だからといって、隠しだてしたところで、なあ……)
素直にアカネさんへ協力を仰いだほうが絶対いいと思うのだが。
しぃちゃん兄妹は、何故にそこまで警察を避けるんだろう。
……まあ、ドクミの姿で聞いたことを知らぬ存ぜぬで通し、
今こうして 『 初めて聞いた 』 的演出に頭を悩ませている俺も、
ある意味彼女とおあいこなんだけど。
('A`) 「……それさ」
あの暗号騒ぎのあと。
俺は診療所を出ると、ドクオとしてしぃちゃんにメールを返信し──そのまま帰宅。
酒の力で無理やり仮眠を取ることで、ようやくこの姿に戻れた。
というか、そう!
ドクミの姿で酒を飲んだのは初めてだったのだけど、
女の子の状態だと、てんでアルコールに弱くなっていて、
コップ一杯もあけないうちにふらふらのバタンキューで……。
……とまあ、色々あった末に、今こうしてしぃちゃんとバスに揺られている次第だ。
ドクミのカラダは見た目どおり、十代くらいの肉体年齢なのかも知れない。
今後はアルコールは控えよう。 うん。
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