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月刊少女ξ ^ω^)ξちょwwwのようです
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__,ィ ヽ. `ヽ. ☆四月号☆
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i| /レ/l l l v' /\ /\イ !| ll,ハ 春の新連載祭り! 豪華三本♪
ハ| ll∧ハヽ ト、 '''' '''' /l jハ| ll ll
〃 ‖ レ'¨´ヽiへ. _ (_人_),.イ/|/ ノ ll l| ( ・∀・)恋実れ!のようです
ll ll { ⌒ヽ_/ } ー‐<.__ ′ l| ‖ それでも幸せなようです
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( _。)「君が僕の命の理由だったのに…」
やっと見つけたのに、どうして君はいないんだ。
たった一つの命を失っただけなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。
いくつもの無関心な命を見送って、死には慣れたつもりでいたのに。
自分が何の為に生まれて来たかって?
馬鹿だな。
君は、本当に、馬鹿だな。
生まれて来た意味なんて誰も持ってないんだから、そんなもの自分で決めれば良い。
必要なのは、生きて行く理由。
さぁ、僕は何の為に生きよう?
地獄の季節に耐えてまで、何を望む?
今生きてる、息をしてる。
きっとあるはずなんだ。
白い糸を体に巻き付けて、少しだけ眠ろうか。
瞼の裏に焼き付いた君の夢を見ながら。
次に目を覚ました時には世界が優しくなってる事を、願う。
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顔を照らし出す一筋の光に急かされ、瞳を開く。
随分と長い間眠っていたみたいだ。
もうじき果てるであろう衰えた四肢を引きずり、外の世界へと踏み出す。
大地を覆っていた雪はいつの間にか跡形もなく消えていた。
枯れた花の蒔いた種は新たな芽を育み、一度は命を亡くした桜も花を取り戻す。
ひらひら降り注ぐ鮮やかな彩りの波の中、僕はついに力尽きて倒れた。
(-_-)「……あ」
見上げた空には一面蝶の群れが飛んでいた。
とても懐かしいようで、知らない色。
虚ろな瞳に失いかけた光が返って来る。
(-_-)(そうか)
(-_-)(あったんだ)
(-_-)(地獄の季節を生き抜いた、理由)
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弱々しく伸ばした指と指のフレームに蝶の姿を捉える。
花びらと踊るその羽の、なんと美しい事だろう。
胸に熱いものが込み上げ、自然と表情が綻んだ。
なんてクソッタレで素晴らしい世界なんだろう。
(-_-)「ねぇ、幸せだったよ、でぃ」
(-_-)「僕は、満足だ……」
ぱたり、と。
何ものにも届く事なく落ちたちっぽけな掌。
一匹の蜘蛛を蝶達は指さしながら見下ろしていた。
「死んだ死んだ」と笑って。
満足だよ。また会えたんだ。
君とよく似た、あの色に―――
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(-_-)素晴らしい世界のようです 終
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終わりです。
次の乙女に届け!俺の下心がこもったバトン!!
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乙です 余韻が素晴らしい
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悲恋過ぎて生きるのが辛い……でも乙!!
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このダークライトな感じたまらんな
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うわあああああああ
乙!
これは悲しい
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おっと 次俺か
え どうしようwwwwギャップがwwww
では次からいきます
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( ・∀・)恋実れ!のようです
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( ・∀・)「初めまして!レディース&ジェントルマン
僕の名前はモララー
しがない魔法使いです」
( ‐∀・)「って言っても、魔法らしい魔法は使いませんけど」
( ・∀・)「迷える皆様の恋を、僕が全力でサポートします!!」
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Case 1:高岡ハイン
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三月
さよならの季節
三年生が居なくなって あの人が居なくなって
あたしは意気消沈
先輩の妹はいつも活発で、
先輩が楽しそうにしていたバスケを
先輩と同じ癖で 先輩と同じように楽しんでいる
あの子の先輩である私としては、そろそろ練習に参加しなければならないのだが、
どうもそういう気にはなれなかった
从 ゚∀从「……はぁ…」
从’―’从「ふえぇ〜?ハインちゃん、どうしたの?」
同級生の渡辺
同じ二年生で、幼馴染
もうすぐ三年になる
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从 ゚∀从「渡辺?……なんでもねーよ」
从’―’从「長岡先輩のこと〜?」
从 ゚∀从「……ッ」
从’―’从「ハインちゃんはわかりやすいね〜。ずぅーっとツーちゃんみてたよぉ?」
从 ゚∀从「……っせーよ」
从’―’从「だーから卒業式の時に告白しちゃえば?って言ったのに」
从 ゚∀从「出来るわけ、ねーだろ」
从’―’从「シャイなんだからぁ」
从 ゚∀从「あーうっせぇうっせぇうっせぇうっせぇ!!ほら、練習戻るぞ」
从’―’从「は〜い」
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長岡先輩
長岡ジョルジュ
男バスの部長だった先輩
部活の後輩 ツーの兄で、二人は仲良しだ
( ゚∀゚)「つーぅー!そっち終わったかぁ?」
(*゚∀゚)「見りゃわかんだろクソ兄貴!むしろ手伝えよ」
( ゚∀゚)「しゃーねーなぁ ハイン、何かやることある?」
从;゚∀从「えっ……あ、いや、大丈夫ですよ?すぐに終わりますから」
( ゚∀゚)「俺もう超腹減ってるから早く帰りてーんだ」
从;゚∀从「はぁ……」
( ゚∀゚)「だからな、仕事っ☆」
-
気さくで、男バスでも親しまれている先輩
バスケ部は男女で分かれてはいるが、活動場所は同じ体育館
元々、よく見かけるし よくこっちのことも気にかけてくれていたせいか、接する機会は多かった
ツーが入部してからは、顔を出す機会が増えた
引退してからも毎日のように部活に来ていたし、女バスvs長岡先輩 なんて、無茶な相手もしてくれた
あたしが気持ちに気付いたのは先輩が引退してからで、
しかも、渡辺に気付かされた
从’―’从「ハインちゃん 好きなのはわかるけど、試合中に長岡先輩ばっかりを凝視するのは感心しないなぁ〜」
反射で殴りつけて、ボール攻めにあった
自覚していなかっただけに、動揺の気持ちが多かった
***
从 ゚∀从(先輩が卒業した今、もう悩むことなんか何もないんだ)
从#゚∀从「オラオラチンタラしてっとボール取れねぇぞぉぉっ!!」
从 ゚∀从(今は部活に打ち込む それでいいんだ)
从’―’从「…………」
-
从 ゚∀从「気を付けー 礼!」
『ありがとうございましたー』
部活を終え、着替えに行く
後ろから渡辺がついてきた
从’―’从「ハインちゃーん」
从 ゚∀从「ん?」
部室に入り、ドリンクを持って、部屋の隅にあるベンチに腰掛けた
渡辺もロッカーから制汗剤とペットボトルを出してから隣に腰掛けた
从 ゚∀从「……なんだよ」
从’―’从「……明日ね、来るみたいだよ?長岡先輩」
………ドリンクを噴出さなかったことを褒めてほしい
-
从;゚∀从「げふげふげふげふ……は?なんで来るんだよ てかなんでそれをあたしに言うんだよ」
从’―’从「ん?知りたいかなーと思って」
从;゚∀从「別にどーでもいいし てか来んなし」
从’―’从「素直じゃないなぁ」
从;゚∀从「いや、マジで」
从’―’从「ツーちゃんから聞いたんだけどね、長岡先輩、遠くの大学行くんだって」
从 ゚∀从「だからどうしたよ」
从’―’从「だからね、明日を逃すと、次会うのは四年後になっちゃうの」
从 ゚∀从「だからなんだよ」
从’―’从「ほっといたら、彼女出来ちゃうよ?ていうか大学なんて言ったら…」
从;゚∀从「みなまで言うな 聞きたくない」
从’―’从「じゃぁ」
从;゚∀从「ッ………」
-
そこまで純情な乙女じゃない
一人身の先輩が大学へ行ったら、どんな恋愛生活をするのか わからないわけがない
だがそれを考えるのは不快だった
知っている この感情が嫉妬であることくらい
見たこともない まだ何も起きていない しかし、いずれ先輩の隣を歩く 誰か が、妬ましくてならない
今目の前がどす黒い何かで染まるくらい 憎くてたまらない
知っている 甘酸っぱいとか言われる恋愛感情の裏側
所有欲と独占欲 嫉妬と羨望 情欲と下心
恋愛感情を構築するそれらの成分そのものが、それぞれの恋の形であることを
そして今自分が先輩に抱いている恋心も 例に洩れずそれらどす黒いものであることを
知っている
自分で不快感を感じる時すらある
気持ち悪いと思う
そんな気持ちを、先輩にぶつけたくない
でも、でも でも、でも ……
从 -∀从
-
从 ゚∀从「……でも、無理」
从’―’从「いいの?」
从 ゚∀从「仕方ない」
从’―’从「試してもいないのに?」
从 ゚∀从「いいの」
从’―’从「ふられるのが恐いの?」
从 ゚∀从「うっせ」
从’―’从「……そう」
目を見ないままの会話は終わる
立ちあがり、ドアを開ける渡辺 入ってくる部員
……部員にまで迷惑をかけていたみたいだ
-
( ・∀・)「おやおやおやおやこれはこれは……」
( ・∀・)「おっとお久しぶりです皆様。覚えてますか?魔法使いモララーです」
( ・∀・)「人の恋路を覗くとか変態? ……はは、ワロス」
( ・∀・)「これが今の僕の役割ですからね。ちゃんと仕事しないと
さて、動くとしますか」
( ・∀・)「……ところで、皆様は『恋愛』について、どうお考えですか?
ハインさんのように考えたことがありますか?
それとも、あまぁい砂糖菓子と瑞々しい果物のようなものだとお考えですか?」
( ・∀・)「……思想は人それぞれですがね」
( ・∀・)「では、行ってきます」
-
此処は何処だろう
真っ暗な空間
でも生温かく、落ち着く空間
从 ゚∀从「……?」
なにもない
あたしと
あたしが身を投げているソファと 闇
……違う 闇の向こうに、何かが居る
闇にまぎれた 何かが居る
( ・∀・)「やあ、初めまして」
从 ゚∀从「!!」
違う 目と鼻の先に、漆黒のタキシードを着た男が居た
-
从;゚∀从「なっ」
( ・∀・)「おっと、これは失礼。 高岡ハインさん」
从;゚∀从「!?なんだてめぇ」
( ・∀・)「僕の名前はモララー しがない魔法使いです」
从;゚∀从「めっちゃ怪しい!!」
( ・∀・)「怪しくなんかありません。恋のお手伝いをするキューピッ魔法使いです」
从 ゚∀从「疑うなって方が無理あるよな」
( ・∀・)「そんなことはありません。僕はあなたの味方です」
从 ゚∀从「……」
信用しろという方が無理のある男が、目の前にいる
味方というのも意味が解らない
-
( ・∀・)「ところで」
ひょい と身を引いた男は、道化じみた仕草で姿勢を正し、にっこりと微笑んだ
( ・∀・)「貴方の認識で、『恋愛』とはなんですか?」
从 ゚∀从「……はぁ?」
( ・∀・)「いいから」
何を求めているのかはわからないが、理解してもらう気も更々ない
極端な持論をぶつけて話を終わりにしてしまおうと思った
从 ゚∀从「……所有欲と独占欲と嫉妬と羨望と情欲と下心」
( ・∀・)「それが恋する乙女の回答ですか」
从 ゚∀从「うっせーよ」
-
( ・∀・)「では、貴方の意見を肯定するところから始めましょう」
从;゚∀从「肯定すんのか」
いよいよ意味が解らない
なんなんだこいつ
何しに来たんだこいつ
( ・∀・)「では、『恋』と『愛』 の違いは、なんですか?」
从 ゚∀从「恋は片道で、愛は両側通行だろ」
( ・∀・)「ふぅむ……ではまず、『愛』を説いてみるとしましょうか」
男はにたり と笑って、大げさに上半身ごと傾げて見せた
-
( ・∀・)「愛にも種類があります。気になる異性に向けるものだけではありません。
キリストの概念で簡単に例えてみましょう。
『アガペー』 これはキリスト教での一般的な愛で『見返りを求めない、愛』です。
『ストルゲー』 『従う愛・尊敬を含む愛』 親子や師弟関係の間などにある愛のことです。
『フィーリア』 友愛のことです。
そして『エロス』 肉体的な、あるいは自分本位の愛。そして『見返りを求める愛』もこれにあたります。」
从;゚∀从「……」
( ・∀・)「さて、恋愛の『愛』とは何か…… 『エロス』にあたります。異性間の『愛』であり、貴方の概念で言う 情欲と下心。
では、恋とは?これは僕の持論ですが、恋とは、貴方で言う『所有欲と独占欲と羨望』
相手に対する尊敬・羨望(憧れ)、それを手に入れたいと思う『物欲』 これが恋だと思っています」
宗教観念の話か、哲学なのか 正直ちんぷんかんぷんだが、とりあえず丸呑みにしておく
後でググってみよう
……しかし
从;゚∀从「極論だなぁ」
( ・∀・)「貴方が捻くれた持論を提示してきたからですよ」
-
( ・∀・)「さて、散々脱線してきたわけですが」
男は顔の横で、また道化じみた仕草で 人差し指でくるくるっと円を描く
从 ゚∀从「?」
その指をピンと立て、一度小さく振った
漫画なんかで出て来る、女の子が何かをキメ顔で言う時のような仕草だ
正直 目障り
( ・∀・)「あなたが長岡先輩に抱いている気持ちは、何ですか?」
( ・∀・)「アガペー? ストルゲー? それとも、エロス?」
そして意味の解らないことを言い出す
さっきの簡易説明でそれらを把握しろというのは無理のある話で、あたし自身 こいつの話を解釈しきれていなかった
-
从;゚∀从「しっ、知るかよ!!」
故に、まともな反論が咄嗟には思いつかない
( ・∀-)「一般的な色恋沙汰は、『エロス』に分類されますけどね」
从#゚∀从「あたしの先輩に対する気持ちは『尊敬』だ!肉体的なものは求めてない!!」
( ・∀・)「ほぉ……
さて、PN.MAD-Hちゃんよりお便りです」
男は右手をひらりと翻し、一枚のはがきを取り出した
待て、何処から出した
( ´・∀-)「あたしはそこまで純情な乙女じゃない
一人身の先輩が大学へ行ったら、どんな恋愛生活をするのか わからないわけがない
だがそれを考えるのは不快だった
知っている この感情が嫉妬であることくらい
見たこともない まだ何も起きていない しかし、いずれ先輩の隣を歩く 誰か が、妬ましくてならない
今目の前がどす黒い何かで染まるくらい 憎くてたまらな……」
从;゚∀从「待っ!待!!なんなんだお前!意味わかんねぇ!!」
顔芸を交えつつ読み上げられるそれは、あたしの 口にしたことのない葛藤の一部だった
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勢いでソファから立ち上がったあたしを、ニコ面の男が宥める
( ・∀・)「まぁま、落ち着きなさい。ココアに魔法でもかけてあげましょうか?」
从 ゚∀从「黙れ お前なんか嫌いだ」
( ・∀・)「結構です。貴方の好意は先輩にだけ向かえばいい」
从 ゚∀从「そういう好き嫌いじゃねぇ」
( ・∀・)「はいはい」
この男、嫌いだ
徹底的に嫌いな部類だ
もう帰ろう 早く帰ろう
…………どうやって帰るんだ?
-
从 ゚∀从「帰る」
( ・∀・)「困ります。貴方の恋を成就させるのが、僕の仕事ですから」
从 ゚∀从「お前の事情なんか知るか 帰せ」
( ・∀・)「ううん……怒らせてしまいましたね
でも駄目です。僕にもやらなきゃいけないことがある」
从#゚∀从「だから知るかってー ―――」
( ・∀・)「仕方ない。貴方には特別に、これを差し上げましょう」
男がまた何処からともなく取り出したのは、装飾を施された小さな砂時計
もう何処から出したかなんて気にしない
気にするべきは砂時計
砂は 下から上に上がっていった
男はあたしの手を取り、ちょんと砂時計を乗せた
( ・∀・)「ちゃらーん モララーの砂時計―♪」
-
なんの捻りもない名前の砂時計を見つめる
砂は重力を無視し、さらさらと上に上がっていく
从 ゚∀从「……これ、は?」
( ・∀・)「僕の自信作です。さかさま砂時計
砂が戻っているでしょう?これ今、時間を戻しているのです」
从 ゚∀从「時間を、戻す……?」
( ・∀・)「はい。この砂が戻りきれば、時間は卒業式の日まで戻ります。
僕はその時間に貴方を落として、仕事は終わり。あとは貴方次第です」
从;゚∀从「いきなり意味わかんねーよ。なんであたしが卒業式の日まで……」
( ^∀^)「なんだかんだ屁理屈並べてきましたけど、この方が手っ取り早いなと思ったので」
男の顔が変化する
本当に気持ち悪いくらいも笑みで、あたしに砂時計を押し付けた
-
( ・∀・)「砂も戻りきったようですし、いきましょうか」
男があたしの襟首を掴みあげる
え いきなり何この扱い
( ・∀・)「卒業式 これを逃したら次はないですからね。頑張ってくださいよ?」
从;゚∀从「意味わかんねーよ!!離せ!!」
( ・∀・)「良い情報をあげます。忘れないでください?
貴方は一人じゃない。一人にはならない。何故なら……―――」
囁かれた言葉を最後に、あたしは暗い何処かへ放り投げられた
-
***
三月某日 ― 卒業式 ―
从’―’从「ハインちゃんおはよぉ〜」
从 -∀从「んあ?渡辺か おはよう」
从’―’从「あれれ〜?ハインちゃん元気ないよぉ〜?」
从 ゚∀从「なーんか長い夢見てたみたいでさ、頭が重いんだよ」
从’―’从「どんな夢だったのぉ?」
从 ゚∀从「あんま覚えてねーんだよなぁ……
ニヤけ面の自称魔法使い(笑)がなんか哲学垂れ流してた」
从’―’从「なにそれこわいwwww」
-
卒業式のイベントは、式典ではない
放課後、各部の部員は卒業生を連れて部室や活動場所へ集まる
そこで先輩達の進路や意気込みを聞き、みんなで応援する
全員からのメッセージを色紙に書き集めて、先輩達に贈る
文化部では、部の特色を活かした作品なんかを送るところもあるらしい
バスケ部が集まったのは、体育館だった
先輩の中には、編み込みや刈り込みなど 卒業式の為にハジケた頭髪をした者もいた
勿論説教は済んでいるらしい
みんなそわそわしている
暗黙の了解で、最後の部会が終わるまではボタンや花などを強請ってはいけないことになっているからだ
そしてあたし自身も、内心では落ち着きを欠いていた
从 ゚∀从(長岡先輩……)
先輩はまだ来ていない
呼びに行ったツーと渡辺も、まだ戻っていない
-
( ゚∀゚)「おまたせー みんな揃ってんなぁww」
(*゚∀゚)「お待たせしましたー!!」
体育館に飛び込んできた長岡兄妹
遅れて渡辺が入ってきた
从’―’从「遅くなりました〜」
从 ゚∀从「おせーぞ渡辺ww」
从’―’从「だって長岡先輩が囲まれてたんだもぉん」
( ゚∀゚)「俺ってモテモテだからよぉwwww」
(,,゚Д゚)「モテる男は辛ぇな」
(*゚∀゚)「そのわりに兄貴彼女いないけどなーwwww」
(;゚∀゚)「ツーてめっ!」
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囲まれていたことになにやらふつふつと感じたものはあったが、無事到着し、彼女もいないという情報に安堵してしまう
我ながら嫌な性格だ
从 ゚∀从「んじゃ、一同せいれーつ!!」
新しい部長として、場を仕切る
全員がそろうのは、これで最後だ
-
例年 男バスの卒業生には男バスから、女バスの卒業生には女バスから 色紙を渡すのが通例だ
しかし今年は、長岡先輩を始め男バスの多くが、女バスから受け取りたいと駄々をこねた
( ゚∀゚)「ほぼ一緒に活動してきたんだ ヤローから受け取るより可愛い女バスの後輩から頬赤らめて渡してほしいだろ!!」
(;,,゚Д゚)「いや、おい……」
_
( ゚∀゚)「いーよなぁギコは!彼女はマネージャーなんだからよっ!!」
(;;,,゚Д゚)「てめっ!」
(*゚―゚)「あはははは」
( ゚∀゚)「そーゆーわけで、ほらっ!交代交代!!」
(´・ω・`)「先輩に色紙渡すとき、さりげなくお手て握ってあげる予定だったのに」
(;゚∀゚)「お前は冗談にならんからマジやめろ」
-
( ゚∀゚)「はいはいチェーンジ!んでもってちょうだーい!!」
長岡先輩の独断で決まった交換会
男バス新部長のショボンから、色紙を受け取った
そしてその相手は当然…………
从 ゚∀从「はい、先輩」
(;゚∀゚)「……え?」
そんな意表を突かれた顔すんなよ
-
从 ゚∀从「失礼な先輩ですね
忘れましたか?部長には、新しい部長からって決まってたんですよ?」
(;゚∀゚)「……まじか…ああぁぁぁ…………」
从 ゚∀从「どんだけ落ち込むんですか」
(;゚∀゚)「いやそういうわけじゃ…いやもうそういう意味でいいや ほらよ」
投げやりに先輩が寄越してきたのは、卒業生が胸に飾る真っ赤なカーネーション
从 ゚∀从「は?」
( ゚∀゚)「だから、やるっつってんだよ。いいから受け取れ」
从 ゚∀从「あ……はい…ありがとう、ございます」
何故か照れくさそうな先輩
乙女フィルターを外せば、きっとうざったそうに見えるのだろう
-
解散後、その場に残る者と、そうでない者が居て、あたしは後者の予定だった
渡辺に、体育館裏へ連れて行かれるまでは
从;゚∀从「なっ、なんだ?早速部長いびりか?」
从’―’从「ハインちゃん……」
从^―^从「頑張ってね☆」
建物の角から、遠心力をつけて放り投げられた
从;゚∀从そ 「はぁ!?」
建物の角に消えていく渡辺 その隣に並ぶツーと
タキシードを着たニヤけ面
-
あれは誰だ
私は知っている
あいつはなんだ
夢に出てきた魔法使い
なんで此処にいる
从 ゚∀从
( ^∀^)『なんだかんだ屁理屈並べてきましたけど、この方が手っ取り早いなと思ったので』
あんにゃろおぉぉぉぉ!!!!
ふざけんな ふざけんな マジ後でブッコロ…………
「うおぁっ!!」
-
从;゚∀从「おあぁっ」
しまった
気が動転していて、すっかり忘れるところだった
渡辺 ツー 男
これだけの条件がそろえば、自ずとここに連れてこられた意味が解る
( ゚∀゚)「いーっつぇー……びっくりしたじゃねーか高岡!」
長岡先輩
長岡先輩の顔が近い
何故近い
何故先輩が転んでいる…?
あたしが、倒れ掛かっているから
-
从 ゚∀从「…………」
从;゚∀从「うわあああああああっ!!」
跳び起きて距離を取る
避けているわけではないが、反射ってやつだ
(;゚∀゚)「そんなにヒくなよ 傷つくじゃねぇか……」
先輩も立ち上がり、尻や背中の土を払う
从;゚∀从「あ、あ、ご、あ……」
( ゚∀゚)「なんだよ高岡らしくねぇな どうしたんだよ、こんなとこに呼び出して」
从;゚∀从「え?」
(;゚∀゚)「は?お前が呼んだんじゃねぇの?ツーにはそう言われたんだが」
-
なるほどなるほど
そういうことか
渡辺とツーはグルか
二人に手を組まれて、男に背中を押されている
恋愛なんて物欲の延長で、その効力は麻薬並
从 -∀从
从’―’从『長岡先輩、遠くの大学行くんだって』
先輩に好意を抱いている 切ないほどに、自覚している 言わばもう、毒は喰らった
ならばもう、毒を食わば皿までだ
从 ゚∀从
( ・∀・)『貴方は一人じゃない。一人にはならない。何故なら……―――』
男に、背中を押される
-
从 ゚∀从「……先輩、狼体育大学に行くんですよね」
( ゚∀゚)「んあ?そうだけど」
从 ゚∀从「近くに、シベリア文科大学がありますよね」
( ゚∀゚)「あぁ」
从 ゚∀从「あたし、来年からそこ狙います」
( ゚∀゚)「はぁ!?お前理系だろ!新速行けよ」
从 ゚∀从「いいんです 気合でどうにかします」
( ゚∀゚)「つか、なんでいきなり……」
从 ゚∀从「長岡先輩の、傍に居たいからです」
( ゚∀゚)
-
从 >-从
( ゚∀゚)
::从//_从::
( ゚∀゚)「……それ、マジで言ってる?」
::从//_从::「……マジ、です」
( ゚∀゚)「冗談じゃなくてか?」
从 _从
::从# _从:: ぷっちん
アタシ ドクザラ マルカジリ
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从#゚∀从「マジだって言ってんだろーがこの野郎何回も言わせんな!!
これで最後だからな!耳かっぽじってよぉ〜く聞け!!」
(;゚∀゚)
从#゚∀从9m 「あたしは、長岡先輩が好きなんだ!!」
覚悟は決めた
火蓋も切った
あとは胸の内を、晒すだけ
从#゚∀从「冗談とかいうな!!あたしだって今必死に考えてこの結論出したんだ!!
あたしは先輩が好きだ!麻薬的とか関係あるか!」
从#゚∀从「あたしは先輩の傍に居たい!傍に居たい!!
狼になんか入れないのはわかってる!だからせめて、だからせめて
一番近い大学 シベリア文科大学に…………」
( ゚∀゚)「ハイン、落ち着け てか麻薬的とかなんだ」
从#;∀从「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・」
-
( ゚∀゚)
( -∀-)「……モテる男は辛いねぇ」
( ゚∀゚)「高岡 お前、狼に来い。」
从 ;∀从「はぁ? やだ、行きたくない!……先輩が女の子追っかけ回してる姿なんて……」
(;゚∀゚)「お前の脳内の俺はどんな奴だよ あと……さっき、花やったろ」
从 ;∀从「あ…あ゛い……」
( ゚∀゚)「赤いカーネーションの花言葉、知ってるかぁ?」
从 ;∀从「しらねぇよ……」
( ゚∀゚)「…………『きよらかな慕情 純粋な愛 』」
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从 ゚∀从「は?」
_
( ゚∀゚)「言わせんな恥ずかしい!! 慕情!恋い慕う気持ち!!」
_
( ∀)「何言ってんだ俺!何言わせてんだてめぇ!!恥ずかしいじゃねぇか!!」
从 ゚∀从「……長岡先輩、あt…」
( ゚∀゚)「待て!ここは男として俺から言わせろ!!」
( ゚∀゚)「俺は、ずっとお前が好きだったんだ!!」
从 ゚∀从「えぇっ!?」
( ゚∀゚)「何時からとかわかんねぇけどよっ!気ぃついたら目で追ってるしよ!
ツー構いに行くふりして女バスに混ざってよ!ついでにお前いじってよ!
それが楽しくて、でも……」
( ゚∀゚)「伝え越しに聞いたんだ お前が、『恋愛』そのものを否定してるって
……俺、こう見えてチキンだからよ。その……恐くて……」
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先輩も胸の内を晒すように、息継ぎもそこそこに捲し立てる
後半は項垂れ、声も絞り出すように苦しそうなものへとなっていった
从 ゚∀从「……先輩……」
( ゚∀゚)「俺、自分で言っちゃなんだけど、結構モテるんだぜ…!
だから、大学行ったら荒れると思ってんだ」
_,
从 ゚∀从「…………」
( ゚∀゚)「だからよ、言い方悪いんだが……俺を繋いどいてくんねぇかな?」
从 ゚∀从「……つ?」
( ゚∀゚)「お前が狼に来てくれるなら、俺、一年くらいちゃんと待つからよ」
从 ゚∀从「……それ、って…………?」
( ゚∀゚)「あぁ……」
-
( ゚∀゚)「こんな奴でよけりゃあ、お前の隣を歩かしてくれ」
( ・∀・)『何故なら、貴方と共に歩みたいと思っている人がいるから』
-
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三月某日 ―部活にて―
从’―’从「ハインちゃーん!長岡先輩来たよぉ〜!」
从;゚∀从「えっ!?」
(*゚∀゚)「隙ありぃっ!!」
从;゚∀从「あっツーてめっ!!渡辺も試合中に話しかけんなばかぁああ!!」
( ゚∀゚)「ちゃんと見てるからなー!ミスすんなよーwwww」
从;゚∀从「それなんてプレッシャー!?」
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これぞ少女小説
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長岡先輩は大学近くのアパートに引っ越した
引っ越しを手伝ったら、ご褒美だって言って合鍵をもらえた
少しして落ち着いて、今日、やっと部活に顔を出せた
で、今 こうして羞恥プレイ真っ最中である
でも心の広いあたしは 拳をしまって許してやろうと思う
数少ない 先輩に会える機会だから
先輩があたしをみている
恥ずかしいけど、幸せなんだ
所有欲 独占欲
今のあたしは、満足している
だって、あたしは今幸せで あたしが先輩を見ると、先輩が幸せになってくれるから
( ・∀・)恋実れ!のようです Case 1:高岡ハイン 了
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以上です!!
長ぇぇぇぇぇぇ
アンカーお願いします!
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乙です 少女漫画の王道って感じですね
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まさに清清しいほどの少女漫画っぷりでした! 乙!
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乙です!にやにやしてしまったぜwww
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乙です。みんなうめえなチクショウ
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乙でした
次から行きまあくぁw背drftgy富士子lp;@:
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春風薫る卯月。
自然界では恋の季節というらしい。
ならば此処、美府市に恋を運ぶはヒバリかウグイスか。
彼らは市の中心にあるヒバリ山に居を構えているという。
桜の名所でもあるここヒバリ山は、毎年四月になると市民が賑わう宴会場へと様変わりする。
山の頂上へと続く桜のトンネル坂を抜けると宴の場となる市立公園が現れ、それを越えれば美府高校が現れる。
o川*゚ O゚)o 「うわぁ……」
包み込まれるような桜吹雪に、思わず感嘆の声が漏れた。
突き貫けるような晴天と新緑に包まれたヒバリ山。それらの手前には校舎の白壁がある。
青、緑、白が成す自然のトリコロールを背景にして、ピンク色の欠片達が楽しげに宙に遊んでいた。
今日から3年間。私こと、素直キュートはこの美府高校に通うのだ。
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『感嘆』などと小難しいを単語を使ったのは受験勉強の名残であり、
私がそれなりに努力して入った学校だというのがうかがい知れるだろう。
美府高校は今年で創立30年を迎える市内有数の進学校だ。
この高校に入れたことは、私にとって幾重もの偶然が重なった奇跡の賜物と言ってもいい。
鉛筆を転がした回数を鑑みれば、その奇跡の確率は(1/6)の30乗を上回るだろう。
お姉ちゃんが試験当日の朝に持たせてくれた合格鉛筆様々である。
o川*゚ー゚)o (私やったよお姉ちゃん……!)
見上げる校舎は、幾重もの改修を経て創立時と変わらぬ輝きを放ち続けている。
未だ熟さぬ私には、まばゆいほどに白く、荘厳な校舎。
私は、その校門の前で歩みを止めた。
体が震えているのは、まだ肌寒い気候のせいだけではないだろう。
かといって、気合を入れた膝上15センチのミニスカのせいでもない。
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私がこれから踏み出す一歩――――。
これは、人類にとっては小さな一歩だが、私にとって偉大な飛躍となるのだ。
o川*- o-)o (落ち着け……私…………)
手がむき出しの腿に触れる。
不意の冷たさに、コブシを握っていることに気が付いた。
イカンイカン!深呼吸だ!深呼吸……、深呼吸……。
今日は姉さんに貰った桜色の髪留めをしている。お気に入りのやつである。
今日の私はかわいいのだ!
o川*゚ー゚)o 「よし……!」
顔を。
目を。
ほころんだ手を。
自分自身を前に向けて、私は小さな一歩を踏み出す。
私はそうして、高校生への境界を踏み越えたのだ。
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――――そのとき。
これからの私を後押しする、再びの桜吹雪の中で。
....o川*゚ー゚)o
ピンクの欠片を従えて、隣を通り過ぎる――――眩しい、影。
( :::∀:::)
それは余りにも、颯爽としていて。
余りにも、まぶしくて。
o川*゚ o゚)o
余りにも――言葉にできなくて――――。
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私は、なびく髪の向こう側から彼の影を覗くことしかできなかった。
そして昂ぶる――私の中の、まだ幼い何か。
o川*゚ O゚)o
それに従い、体は反応する。
鼓動が高まり、酸素を求めて深く息を吸い込もうとする――――
o川*゚ ・・゚)=3
::o川*~ ・・~)o::
――――と、なびく髪が……、髪が、ははなは鼻にににに……!
o川*>д<)o;゚+.:. 「ぶぇっくしょーいっ!!」
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涙が!!
唾が!!
鼻水が!!!!
朝日を煌めかせながら飛散して、私の醜態を輝かしいものとする。
ざわ…… (-_-;)
(゚、゚;トソン
ざわざわっ……
ミセ;*゚ー゚)リ
(;´ー`)
思わぬミラーボール効果で衆人注目を一身に浴びてしまった……。
これはもはや、可愛い新入生を演じたい入学初日としては大失敗――台無しの部類に入るだろう。
o川*うー;)o「ゔ〜。クシャミしたら花粉症が――」
カッコつけてマスクして来なかったのが仇になった。薬なんか効かないじゃんおねえちゃんの嘘つき!
人体的に顔から出せる汁全てを垂れ流しているのがわかる。うぅ、カッコ悪いよぉ……。
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「大丈夫ですか?」
――男子の声!
声変わりが終わったばかりのハスキーな声――でもよくある雑な感じじゃない。落ち着いた声。
o川*;д;)o「ら、らいじょうふれす……!」
どんな顔をしているのか興味があったけど、下を向いている私には影しか見えない。
でも……、その影が近寄って来る!!
やだ!見ないで!
キューちゃん鼻水なんてホントは出ないの!
ホントに汁的なものなんか一切出ない綺麗なカラダなんだようっ!!
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アイドルはウンコなんてしない
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o川*;д;)o(ええと、ハンカチは……)
現実的にはダダ漏れの汁。
それを拭うべくポケットを漁るも――ポケットには何もない。
o川*;д;)oそ (しまった!!)
髪留めを借りるのに気を取られて、ハンカチもティッシュも忘れてきたようだ。
鞄をひっくり返していたら、クスクスという声が聞こえてきた。
頭が真っ白になる私……。
o川*;、 ;)o
私の目から新たな涙がにじみ出る。
これは、この涙は……、きっと花粉症のせいではない。
その証拠に鼻の頭がツンとした。
それでも惰性で鞄を探る作業を続ける私。
何やってんだ、私……。
-
「使ってください」
――今度差し出されたのはハンカチ。
先ほどの男子の声だ。
華奢な彼の手の上に桜色のマーブル模様のサテンチーフが乗っていた。
手に取ると、すぐに高価な物だとわかる手触りがした。
ふと、私の頭にベタな人物が浮かぶ。
それは、子供の頃に少女マンガで憧れた白馬に乗った王子様。
チーフタイが似合うような、紳士的な王子様。
この紳士的な彼も、きっとそんな人なんだろうな。
白馬には乗っていないのだろうけど。
-
乙女の危機の如き醜態を晒した私は、少女マンガの夢を見た。
現実に戻るため、マーブル模様のハンカチで顔を拭う。
彼の方に顔を向けると、私が気にしているのを察して顔を逸らしていてくれた。
o川*∩ー゚)o「ありがとう……」
彼の横顔を覗くが、その顔は涙でぼやけて見えた。
(:::::::::::::)
すっきりとした印象と、清潔感ある頭に、柔和な物腰。
私が今まであったどんな人よりも、その男子は紳士的だった。
-
「じゃあ僕、行きますから。それ、そのまま使ってくれていいので」
o川*;゚ー゚)o「あ、待って――」
私にだって常識くらいはある。せめてお礼くらいしたい。
顔と名前、そしてあわよくば……。
いやいや、待て待て。それだけで十分だ。十分のはずだ。
-
徐々にクリアになる私の視界。
(::::::::::::・)
o川*゚ o゚)o
瞳に写ったその人は、想像通りの――――
(:::::::`)∀・)
_,
o川*゚д゚)o
-
wwww
-
――期待通…りの王子……様……?
....( 'A`)・)
o川#*゚皿゚)o 「って不細工ジャマだぁーっ!」
て
(;'A`)そ 「ご、ごめんさな……、ってひどっ!?」
私の王子様とのファーストコンタクトは、これまで見たどんな不細工よりも不細工な男子に阻まれた。
( ・∀・) 「?」
木|
木|::::::)ξフフフ……
木⊂ノ
木|
-
>これまで見たどんな不細工よりも不細工な男子
ひでぇwwwwww
-
o川*゚ー゚)o となりのとなりの王子様のようです
第一話「春風と王子様」
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-
気ダルい陽射しと程よい満腹感が春眠へと誘う昼休み。
ここは美府高校1年9組。
南校舎の3階。日当たり良好。
この教室の中央最後尾が私の席だ。
私は、背の順では真ん中よりちょっと前に並んでいるため、
勉強のことを考えれば決して良い席とは言い難い。
実際、黒板を写す際は少し体を傾けて前を覗いている。
だがしかし、私こと素直キュートはこの席を大変気に入っている。
その理由とは――――。
( ・∀・)「ははは。そだねー。臭いよねー」
彼、モララー君だ。
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いつもみんなの中心にいて、爽やかに笑う彼。
春風のように爽やかに。軽やかに。
それでいて円やかで、艶やかでありしなやかでもある。
そんな彼の席は、何を隠そう私の隣の隣なのである。
o川*~ー~)o 「いやぁ、眼福ですなぁー。朝の活力剤ですなぁー」
('、`*川 「ババ臭いわね……。あんた、あーゆーのが好みだっけ?」
o川;*゚ー゚)o 「ペニ子ちゃん!やだよぅ、私また声に出てた!?」
('、`*川 「ダダ漏れよ。ていうか、あんたその呼び方したら今度こそ縁切るからね」
o川*>ー<)o 「もう!やだよぅ、ペニ子ちゃんたら、いけず!」
この子はペニサス伊藤ちゃん。
通称『ペニ子ちゃん』。中学からの親友だ。
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ど、どうしたの!? 強盗に襲われてるの!?
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まさかξ゚∀゚)ξに…
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奴はとんでもないものを盗んで行きました……
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S H I T !
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折角私があだ名付けてあげたのに、
本人は頑なに完全拒否の姿勢を3年間貫いている。
コケティッシュでいいと思うんだけどなぁ……。
o川*^ー^)o 「そんなこと言ってペニ子ちゃんとっても優しいんだよねー?次の英語のノート見せて!」
('、`*;川 「コラッ、抱きつくなみっともない。放しなさいよみせてあげるからマッタク……」
o川*~ー~)o 「ありがとー。これで目の保養もうできるよー」
('、`*;川 「まったく。あんた長生きするよ……」
-
( ・∀・)「臭すぎるよねー」
o川*~ー~)o 「あ〜、モララーく〜ん。なんであんなにカッコいいの〜」
ガラッ
.....('A`)・)
o川#*゚益゚)o 「だぁから邪魔だぁあぁっってっっ、ぶぁあああ!!」
(;'A`)そ 「ご、ごめんなさっ!!」
o川*゚ー゚)o 「あはは。まーた謝ってwwww鬱田くんおはよー今日も顔色紫だよー」
(;'A`)「いや、そこまで酷くはないでしょう」
せめて青でお願いします。
そう言いながら私の席に着いた彼は鬱田君という。
今はもう鞄から教科書を取り出している。
そつ無く動くのが数少ない彼の特徴だ。
それともう一つ――――。
-
('、`*;川 「アンタ、よく平気ね。あの”顔面モザイク”鬱田と」ヒソヒソ
o川*゚ー゚)o 「いい人だよ?ペニ子ちゃんいないときとか宿題見せてくれるし。たまにお菓子くれるし」
o川;*-ー-)o 「ま、最初見たときはビビッたけどね。申し訳ないけど」ヒソヒソ
('、`*川 「私は今だに抵抗あるわ。アンタやっぱ大物になるよ……」
この上ないほどお顔の形状がよろしくないのだ。
('A`)「?」
-
よかった! てっきり残像になったのかと・・・キュートだけに
-
>>209
誤植です。
> そう言いながら私の席に着いた彼は鬱田君という。
そう言いながら私の隣の席に着いた彼は鬱田君という。
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('A`)「あの、そういえば素直さん。先輩が呼んでたんですけど」
o川*゚ー゚)o「んー?どの人?」
('A`)「あの女の人――あれ?さっきまであそこにいたんですが……」
そう言って廊下を振り返る鬱田君の背中のど真ん中には、
なぜかA4のレポート用紙が貼り付けてあった。
私が指摘すると、
鬱田君は『おわあああっ!?』とベタな叫びを上げて教室の注目を攫った。
余り言い意味での注目ではない。
クスクスという暗い嘲笑が聞こえる。非常に嫌な気分だ。
なにしろ、彼は悪い人ではないのだ。
無害であり、むしろ良い人、善人の部類に入る。
彼のような人が、顔の造りのみを理由にして嘲笑を受ける謂れは無い。
だから、席が隣という縁も相まって、私は積極的に彼に話しかけるようにしている。
o川*゚ー゚)o 「鬱田君、それ何の紙だったの?」
(;'A`)「ええと、なんだろ……?」
-
だが、もう一人。
このクラスには、彼に話かける人がいる。
その人も、彼と席が隣という縁があって彼の人間性に触れたのだろう。
人の内面で物事を図ることができるその人を、私は好ましく思っている。
....( ・∀・) 「鬱田君、なにその紙?クラブの勧誘チラシじゃないの?」
(;'A`)ゞ「モララー君……。いや、入部案内につかまっちゃっいまして」
o川*^ー゚)o 「鬱田くん押しに弱そうだからwwww」
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私達はしばらくクラブ談義に花を咲かせた。
('A`)
o川*゚ o゚)o彡゚ (・∀・ )
どんなクラブがあるか、中学時代は何をしていたか
('A`)そ
o川*゚ー゚)o m9(・∀・ )
趣味は何か、入りたいクラブはあるか。
('A`*)ゞ
o川*^ー^)o (^∀^ )
一通り話した後、私はがチラシに何か書いてあることに気付く。
-
o川*゚ー゚)o 「えーとなになに……」
o川*゚ー゚)o 「来ぃ、たぁ、れ……ブ-ン、芸、部……。素直キュートよ……、歓迎するぅ……!?」
o川;*゚O゚)oそ 「え゙ー!なんで私!?」
('A`)「ああ、これさっき言ってた先輩からですよ。なんでも入学式の日に素直さんに目をつけたとか」
_,
σ川;*゚〜゚)o「んー、めんどいなぁ……」
('A`)「まぁ、強制ではないでしょうし。良いんじゃないですかね」
(;・∀・) 「……」
-
('A`)「ん?どうしたんですかモララー君?」
(; ∀ ) 「す、素直さん……。これ、今のうちに行っておかないと後々厄介になると思う……」
o川*゚ー゚)o 「モララー君このクラブ知ってるの?」
(;・∀・) 「は、ははははははははは!!」
(;・∀・) 「いやいや!まさか!シラナイシラナイよ。このクラブはね、知らない」
('A`)「……」
明らかに何か知っていそうなモララー君。
嘘のつけない所もカワイラシイ……・。
o川*~ー~)o
-
って待てよ!
o川*゚ O゚)oそ
もしやこれは千載一遇のちゃんーす!というやつではないのか!?
o川;*>3<)o 「つ……、つつつつっ……!!」
o川*>д<)o 「連れてってくだしあ!!!」
('A`)「えっ?あ、はい!僕でよければ……」
o川*゚д゚)o
('A`)
o川*゚Д゚)o
(;'A`)「あ、あれ?僕変なこと言いました?」
o(゚ー゚*;|||彡川;*゚ー゚)o 「あれ?あれあれ?モララー君は?」
('A`)「……ネーヨ君達に呼ばれて向こう行っちゃいましたけど」
鬱田君が指差す方向を見ると、男子達に囲まれたモララー君が拝み手をして謝っていた。
まったく人気者さんめ。でもそこがまた……////
-
仲良しのペニ子ちゃんは、お顔のよろしくない男子が近寄ると
ジンマシンが出るという奇病のため、クラスの女子達と駄弁っている。
サクラ×ダンゴか、ダンゴ×サクラか喧々諤々議論する声がここまで聞こえる。ご熱心なことだ。
ちなみに私は、どちらかといえばみたらし団が好きだ。
o川*゚ー゚)o 「仕方ない、鬱田君でいーや。行こ?」
('A`)「ええ。行きましょう」
チラシによれば、ブーン芸部のあるのは第2クラブハウス。通称、文化部棟だ。
二人で北校舎の渡り廊下を北へ、山側へと向かう。
.....o川*゚ー゚)o 「そういえばさ、都合大丈夫だった?」
.....('A`)ゞ「まぁ、僕が言伝を請けたのが原因ではあるので」
嫌だという顔一つせず、頭を掻きつつ申し訳なさそうにしている。
彼はポーズだけでなく、本当に、心の底から申し訳ないと思っているのだ。
これが鬱田君が鬱田君たる所以である。モララー君と私が彼と仲良くなりたいのはそれ故だ。
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o川*゚ー゚)o 「んーと……、どっちだっけ?」
.....('A`)つ□「チラシの地図によればこっちみたいですね……」
南側のグラウンドに面して騒がしく汗臭い体育会系の第1クラブハウスとは対照的に、
北側の山に面した第2クラブハウスは人気が無く埃臭い。
『ブ-ン芸部』があるのは、そんな第2クラブハウスの中でも更に人気の無い、2階の角部屋だった。
o川*゚ー゚)o 「でもちょっと静か過ぎるよ……。耳痛いし……」
o川*゚ー゚)o(こんなとこにホントにクラブあるのかな……?)
o川*゚ー゚)o「……」
o川;*゚д゚)oそ 「もしや……!」
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〜〜〜〜
ガラッ
('A`)「連れて来ましたよ先輩。ドゥフフwww絶世の美少女ですぜwwww」
(’e’) 「おーおーwwwwこいつぁ筆舌にし難いほどの絶世の美少女だぜwwww」
::('A`)::「は、早くやっちまいましょうよ、先輩!俺、こんな絶世の美少女見てたらおかしくなっちまう……!」
::(’e’)::「そうだな、絶世の美少女だもんなwwwww」
〜〜〜〜
::o川;*゚д゚)o:: (なんてことに……!!アワワワワ…、キューちゃん絶世の美少女すぎるから……!!)
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('A`)「……素直さん?入りますよ?」
::o川i|| д )o:: 「ごめんなさい……、絶世過ぎてごめんなさい……」
('A`)「(絶世?)失礼しまーす」
ガラッ
o川#*>Д<)o 「イイイイヤアアアアアアアアアアアア!!!」
「騒がしいわね」
予想に反して、私達を出迎えたのは気位の高そうな女の声だった。
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絶世の美少女なら仕方ない
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