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( <●><●>)は雪だるまさんなようです

1以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/05(火) 21:55:06 ID:qvEyzMv60
季節外れ?
百も承知です
でも相応
まだ 寒いもの

次から始まります

2以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/05(火) 21:55:46 ID:qvEyzMv60










空を染める 地を染める

それらひとつひとつが 私

自我を持たない 私の一部

この街を染めたのは 私

3以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/05(火) 21:56:10 ID:qvEyzMv60

ひら

はら

ひら

はら


私は 染める

街を染める

家々を染める

私は 雪 と  呼ばれている

4以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/05(火) 21:57:05 ID:qvEyzMv60

(*><)「わ 雪なんです!!」


とある一軒家の窓に、子供が張り付いている
上を見上げて、何が楽しいのかにこにこしている

ζ(゚―゚*ζ「あーあー 積ってる積ってる」

子どもと並ぶ女性は、母親であろうか
子供とは対照的な顔をしている

道路や庭など、一面を染め上げている雪を見て、億劫そうに顔を曇らせている

私は、子供などにはとても人気がある
対照的に 大人には嫌われる傾向がある
私を退かす手間然り 事故などの危険性然り

無邪気に遊んでいられる子供にとってのみ、私は 友達 として愛着を持たれている

親子が窓辺から消える
私は特に なんとも思わない
そこらじゅうの家で 同じような光景が見えているから

5以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/05(火) 21:57:28 ID:qvEyzMv60
しんしんと 降り続けている
音はない

人は 雪は音を吸い取るという
理論的には間違いである気もするが、あながち間違いではない気もする
辺りの空気は張り詰められている

音のない 純白の世界
日が射すまでの 短い世界

今この街は、とても綺麗だった

6以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/05(火) 21:58:08 ID:qvEyzMv60

( ><)「いってくるんです!!」

一人の少年が、家を飛び出す
先程の少年だ

ζ(゚―゚*ζ「風邪ひきますよ」

( ><)「子供は風の子なんです!!」

ζ(゚―゚*ζ「待ちなさい 靴下もう一枚はかないと寒いわよ?
それと、スニーカーじゃなくて長靴を履きなさい。」

( ><)「もこもこするんです!」

ζ(゚―゚*ζ「風邪ひいてお注射なんて したくないでしょう?」

(;><)「うぅ…嫌なんです」

ζ(゚―゚*ζ「なら、このマフラーと手袋も大事ね」

( ><)「あわわわわ……」

ζ(^―^*ζ「よし。いってらっしゃい」

(*><)「いってきますなんです!!」

7以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/05(火) 21:58:55 ID:qvEyzMv60
お庭だけで遊びなさいよ  という言葉を背中で浴びて、少年は庭へと駆け出す

決して広くはない庭を、大きく一周駆け回る
そして足跡が付いていない 真っ白な部分に身を投げた

彼の白いコートが雪にとける

しばらくすると起き上がり、また別の場所へ背中から飛び込む
それを繰り返す少年
意味は解らないが、とても楽しそうな顔をしていた

庭がまばらに人型で埋まると、少年は次に、雪を丸めはじめた
その作ろうとしてるものを、私は知っている
雪だるま というものだ
二つの雪玉を人型に見立てて人形とする あれだ
私の欠片をかき集めて、せっせと雪玉に貼り付けている

彼より少し小さい塊になった頃、彼は肉づけをやめた

8以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/05(火) 21:59:19 ID:qvEyzMv60

少年は庭に私を置き去りにして、玄関へと向かった
向こうで、じゃらじゃらと音がする
そして玄関の音
少年は家に入ってしまったらしい
私は空を眺めている
降りしきる雪を 眺めている


ふと  疑問がわき起こる
はて 私は、空から少年を見ていたはずだったのに…………


もう一度、玄関の開閉音
少年が、こちらへと駆けてくる
あぁ、そんなに走ったらこけてしまいますよ
って、思ったそばから雪に足を取られて転んでしまった
雪の上なので怪我はないでしょうが、とても心配です

( ><)「これくらい、泣かないんです」

少年は力強く立ち上がり、ぐっと拳を握りしめる
強い子だ と、内心褒めてやる

少年は私のすぐ傍に立ち、私の首に大きなハンカチのようなものを巻いた
そして、大きめの黒い敷石を、私の、人で言う目の部分に埋め込んだ

9以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/05(火) 21:59:42 ID:qvEyzMv60

( <●><●>)


( ><)「これで完成なんです!」






( <●><●>)は雪だるまさんなようです

10以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/05(火) 22:00:35 ID:qvEyzMv60

少年は にへらっと笑いかけてきた

(*><)「こんにちは なんです」

挨拶は 返すのが礼儀
そのくらい、わかってます

( <●><●>)「こんにちは 初めまして」

( ○ ○)

( <●><●>)「挨拶は礼儀だということくらい わかってます」

( ○Д○)

( <●><●>)「失礼な子ですね」

11以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/05(火) 22:01:47 ID:qvEyzMv60

( ∩∩)゙

( ><)

( <●><●>)

(;><)

( <●><●>)

(;><)「は…初めまして、なんです」

( <●><●>)「はい 初めまして」

(;><)

(;∩∩)゙

(;∩< >。゙

(;><)

( <●><●>)「失礼な子ですね」

(;><)「だって雪だるまがしゃべってるんです」

12以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/05(火) 22:02:14 ID:qvEyzMv60

( ><)「何でしゃべってんですか?わけわかんないんです」

( <●><●>)「私もわけがわかりません」

( ><)「勝手に喋り出しといてわかんないとか意味わかんないんです!」

ヽ( <●><●>)ノ゙「あ、ちなみに動けもしますよ。ほら」 ズーリズーリ

(;><)「あぁ……僕の常識は何処へ……」

( ><)「わかんないことがあったらおっきい大人たちに聞いてみるんです!!」

( <●><●>)「あてがあるのですか?」

( ><)「ちょっとスレ立てしてみるんです!」


( ><)「『うはwww雪だるまが喋り出したwwww』……」



パチコーン( <●><●>)「子供がそんなところで遊ぶんじゃありません」
         ⊂彡☆))><)「痛冷たい!!」

13以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/05(火) 22:02:46 ID:qvEyzMv60

( ><)「生い立ちはともかく、僕が遊びでつくったんです!」

( <●><●>)「ほう」

(*><)「だから、僕と遊ぶんです!」

( <●><●>)「お断りします」


(#><)ペチコーン
 ⊂彡☆))><●>)


(#<○><●>)バチコーン
    ⊂彡☆))><) 「痛怖い!!」

14以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/05(火) 22:03:29 ID:qvEyzMv60

( <●><●>)「型崩れしたらどうするんですか」

(メメ。><)「……だったら遊んでくれたっていいじゃないですか」

( <●><●>)「雪遊びで私に勝てるとでも思っているのですか?」

( ><)「なら中でゲームするんです」

( <●><●>)「家に入ったら溶けてしまうことくらいわかってます」

( ><)「じゃあ、雪だるまさんを置いて一人でゲームやるんです」

( <●><●>)―<))><)「痛い痛い痛い痛い!!」

(:#:><)「なにするんですか」

( <●><●>)「作っておいて、私を置き去りにする気ですか」

( ><)

15以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/05(火) 22:03:56 ID:qvEyzMv60

(*><)「……寂しいんですか?」

( <●><●>) 三 >―( ><)―>・゜。 プス

>―( ><)―>「……」

( <●><●>)「……」

>―( ><)―>「痛いんです」

( <●><●>)「わかってます」

>―( ><)―>「いたいんです」

( <●><●>)「ごめんなさい」

>―( ><)―>「抜いてくださいなんです」

( <●><●>)「わかってます」

( <●><●>)つ>― ″( ><)―> ポキン

( ><)――O>″(<●><●> ) ズルッ

( ><)+

16以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/05(火) 22:04:51 ID:qvEyzMv60

( <●><●>)「シュールですね」

( ><)「タフって言ってほしいんです」

( <●><●>)「はは ワロス」


( <●><●>)「……ところで」

( ><)「なんです?」

( <●><●>)「もう日も暮れてきました。子供はおうちに帰ることを、お勧めします」

雪はとっくにやんでいて、
僅かに出ていた日も とうに山の向こうに消えていた

( ><)「もうこんな時間ですか……うん、帰るんです!」

( ><)「雪だるまさんは、また明日もいるんです?」

( <●><●>)「…………はい、勿論。 日陰に、居ることが出来れば」

そう、日陰に入ることが出来れば

子供には内緒だが、一日中立っていた為、とうに足元は凍りついていた
もう自力で移動することは叶わない

17以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/05(火) 22:05:21 ID:qvEyzMv60

( ><)「なら、雪だるまさんは自分で歩けるから 大丈夫ですね!」

( <●><●>)「えぇ……。また明日、会いましょう」

( ><)「さよなら なんです!」

( <●><●>)「えぇ、さようなら」


すぐ目の前にある家の、玄関へと入っていく
一度だけ振り返り、手を振ってから 完全にドアの向こう側へと消えていった


( <●><●>)「……また明日、ですか」

大気に漂う冷気を かき集めて身に纏った
身体は雪の柔らかみを氷のそれに変えていく
雪だるま から 氷塊 へと姿を変えるが、明朝の日差しに耐えるためには致し方ない

( <●><●>)(跡形もなく消えてしまえるのなら、こんなことをする必要もないのですが……)

曇天の夜空を見上げ、今日出会った小さな子供の笑顔を、思い出していた


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