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おもらし千夜一夜4

872事例19「霜澤 鞠亜」と密接距離。14:2022/06/11(土) 00:09:54
「あ、鞠亜お姉ちゃんと……っ! 綾菜お姉ちゃん!」

――うぅ、笑顔が眩しい……トイレに行きたいから早く鍵下さいって言いたいのにっ!

私は尿意を押し殺して、小さく手を振る。

「水無子、さっそくで悪いけど如月から鍵的なの預かってない?」『とりあえずトイレ優先、綾もトイレ行きたいくせに水無子に合わせてなくていいって……』

霜澤さんが早速本題を伝えてくれる。
――……ええ、まぁ、トイレ行きたいですよ、とっても行きたいです。

「鍵? 知らないけど?」
「……え? 嘘? 持ってないの?」

――え、如月さん、水無子ちゃんが持ってるっていうのすら罠なの? っトイレ……え、どうするのトイレ?

「み、水無子、他には何か貰ってたりとか、聞いてたりしてない?」『はぁ? 待って……トイレ……き、如月? 本気なの?』

流石の事態に私だけじゃなく霜澤さんも慌てている――……可愛い……可愛いけど、そんな場合じゃない!
もうすぐだと思っていたせいもあり、尿意が膨れ上がってくるのを感じて……。

「あー、うん、なんか箱は貰った」
「箱?」

椛さんが聞き返すと、水無子ちゃんは鞄から金属製の小さな宝箱的な箱を取り出す。
それを椛さんが受け取り、少し観察してから軽く振ってみると、カンカンとした音が鳴る。

「……そ、それ鍵が入ってるんじゃない?」

そんな感じの音のように聞こえ、期待が膨らむ。
早くそれを開けて、鍵を取り出して、手錠を外して……それからトイレに――

「鍵かも……だけど、えっとこれ……」

椛さん困った顔で、箱の正面が見えるようにして私と霜澤さんに箱を差し出す。

「っ! ……え、な、南京錠と……時間?」
「これ……えっとタイマー式南京錠って奴なんじゃ……」

箱には開かないように南京錠が取り付けられていて。
その南京錠には時間が表示されていて……。
その時間は――

「よ、49分? それまで開けられないってこと?」

霜澤さんによって読み上げられた数字は、今の私にとって長すぎる時間……。
心臓の鼓動が早く大きくなる。口の中が乾いていく。
不安を隠しきれず、茫然とその箱を眺めていると、霜澤さんの視線に気が付く。
何か取り繕うと思い口を――

「ねえ、この南京錠を切るための工具ってどこかにない?」

私が口を開く前に霜澤さんが椛さんに問いかける。
時間が来るまで開けられないという常識を早々に打ち破ってくれる。

「えっと――」
「っ! ダメ、この箱は時間になるまで開けちゃダメって櫻香に言われてるんだからっ!」

急に慌てた様子で水無子ちゃんが制止を呼びかける。
その剣幕に驚きつつも、霜澤さんは引き下がらず、鎖で繋がれた左手を見えるように持ち上げて説得を試みる。

「いや、水無子……ボクたち手錠で繋がれてて困ってて、緊急事態だから――」『これから50分近く我慢しないといけないとか――』
「ダメっ! 絶対にダメ!」

説明を最後まで聞く様子もなく、もの凄く食い下がる……。
それにはきっと理由がある。

「えっと……あのメイドになんか脅されてるんじゃない?」
「にゃっ!? な、なんのこと?」

椛さんの言葉に声を詰まらせ、必死に平静を装おうとする水無子ちゃん。
……メイドが主人を脅すってどうなの?

……。

冷静に考えれば、脅されているなら水無子ちゃんに非はないわけで……。
ここは私たちが引き下がるべき状況。
脅されている今の状況自体、私たちの事情に巻き込まれた感じも否めないわけで。
年下の子にこれ以上迷惑は掛けられない。


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