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おもらし千夜一夜4
8
:
事例EX「雛倉 雪」と真夜中の公園。⑤
:2014/03/14(金) 19:50:19
「ぁっ――」
今まで括約筋を痙攣させながらも、何とか均衡を保っていた恥ずかしい液体を塞き止めていた栓に
自身の名前を呼ばれると言う、予期せぬ事態がかすかな揺らぎを与えた。
その揺らぎを合図に、膀胱が小さく波打ち、今までにない圧力で、閉じ込めておくべき恥ずかしい水が
出口に向かって動き出す。
「――っ!!」
限界。
経験上この感覚を彼女は知っている。
だからこそ彼女は焦った。そして動揺した。
もう数秒先に迫る限界点。
だが、数歩先には知り合いが居る……絶対に迎えてはいけない限界点。
――だめ……無理! でも、あぁ! 我慢できないっ! 梅雨子がいる! まだダメなのっ!
――早くどこかへ! 居なくなって! もう溢れるっいや、我慢しなきゃいけない! でももう……
沢山の思いが頭の中で駆け巡る。
その十秒にも満たない時間が彼女にとっては何十分にも感じられた。
そして膀胱の小さな波打ちが止まる。
それは消して小康状態になったわけではなく、硬く収縮したままとなったのだ。
圧倒的な圧力が括約筋を内側から抉じ開けようと攻め立てる。
「くぁ……ぃゃ!」
そしてついに彼女の括約筋はその圧力に屈した。
<ジュッ>
「ぁ…ぁ……っ!」
今までとは違う勢いのあるくぐもった音が下着の中で聞こえた。
たったの一吹きで押さえ込んでいた足の靴下をびしょびしょにしてしまう。
そして、さっきまでの失態とは違い、さらに膀胱が搾り出そうと収縮して圧力を上げる。
もう彼女にそれを防ぐ手立てはなかった。
<ジュッジュ〜〜>
「ぁ…くっ……やぁっ!」
如何にかして下腹を引き締めようとするが、力の入れ方が判らず、
押さえ込まれたスカートに染みを広げ、さらに勢いを増し、足元に水気を帯びた影を広げてゆく。
<シュィーー>
誤魔化しようのないおもらし。
大学生にもなって……もう2回目だ。
しばらく放心状態の彼女だったが、2分もすれば我にかえり、周囲をきょろきょろと確認する。
おもらしをしてしまう寸前まで居た梅雨子の姿は無かった。
一度音が聞こえる程度の距離まで近づいて来ていたが、決壊して、大きなくぐもった音を出していた時には、
ある程度離れていたため気が付かれなかったのだ。
しかし、あと10秒、いや5秒早く決壊していたのなら、その音は梅雨子の耳に届いていたかもしれない。
彼女は安堵しながら立ち上がる。
スカートの裾からまだ暖かい水滴がいくつも零れ落ちる。
「っ……また、やっちゃった……」
その水滴が彼女の羞恥心を煽る。
スカートを吊り上げると、自分の粗相を重さとして実感した。
目に涙を溜めて、それでも今度の水は溢さず、家まで持って帰る。
「誰にも見つからずに部屋までいけるかな……」
時計を見るともう日付が変わっていた。
おわり
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