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おもらし千夜一夜4

702事例17「高倉 悠月」と駆け引き。17:2020/01/16(木) 07:45:00
……。

後始末も大体終わり、しばらく茫然と立ち尽くす。
「ここでしました」ってところに長居したくはないのだけど、染み付きスカートで校内を練り歩くって言うのも勇気がいる。

  「あ、あのっ、お久しぶりです」

私はその声に驚き肩を震わす。隣で悠月さんも姿勢落とし固まる。
渡り廊下からの声……一応私たちがいる場所はギリギリ死角になってるはずだけど……。

  「え、あ、でも夏休みにも一度あってるから――あ、はい、そうですね」

その声は誰かと話しているようだけど、相手の声は聞こえない。
恐らく電話……というか、この声って――

  「はい――、いえ、メイド喫茶ですね――――えぇ!? そ、そんな、可愛くなんてないですからっ!」

――……弥生ちゃん……だよね?

誰かと楽しそうに話す弥生ちゃん……。
学校の友達じゃない、親戚とか、中学の時の友達とかその辺り?

  「あはは……――はい、では明日……――はい、待ってますね、雛さん」

――えっ!? ……雛さん? どうして私の名前……。

違う、私じゃない。別人、同じ雛さんだけど……。

……。

思い返せば、弥生ちゃんは私のことを最初から『雛さん』と心の中で呼んでいた。
だったら、今のヒナさんは……私を雛さんと呼ぶことの元となった人物?

「(知り合い? まぁ、なんでもいいけど、これからどうする?)」

植木から弥生ちゃんの様子を覗き込んでいた私に、悠月さんが話しかける。
弥生ちゃんの事は気にはなるけど……とりあえずは――


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