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おもらし千夜一夜4

396事例11「卯柳 蓮乃」と体育祭。8:2016/06/23(木) 00:04:54
私は最後尾に並ぶ。
中は恐らくフォーク並びだろうから、行列は全部で8〜10人程度だと思う。
バドミントンのシングルス、ダブルス決勝のあと、それとバスケットの決勝も私達の試合を終えた直後くらいに終わったから
観戦者や選手が詰め掛けた感じなのだろう。うん……良いタイミング。

『はぁ……やっぱ、シングルスの試合の後に済ませとけばよかったかな……こんなにしたくなるなんて……』

良い『声』が聞こえ、私の二つ前に並ぶ卯柳さんの身体が右へ左へ少し揺れる。……可愛い。
だけど、個室の数から考えて10分も掛からずに卯柳さんは済ませてしまう……ちょっとそこは残念。

そんなことを考えていると校内のスピーカーにマイクが入るのを感じた。
その直後、スピーカーから声が聞こえる。

  「――体育祭の全ての競技が終了しました。順位発表と閉会式を行います。生徒の皆さんはグラウンドへ集合してください――」

――そっか、体育館での試合が最後の競技だったんだ……。

私は視線を卯柳さんに向ける。
トイレに並んでいた人が一人、また一人行列から抜けてゆく中、卯柳さんはまだ動かない。

『うぅ、どうしよ……順位発表とか私が読むわけじゃないはずだし ちょっと遅れてもいいのかな??』

私の前の人が列を抜け、卯柳さんの全身が見える。
身体を仄かに揺らしたりして極力仕草を抑えてはいるけど……うん、とても可愛い。

前に並ぶ人が少し減った影響で、後何人並んでいるのか判るようになる。
卯柳さんの前に5人。個室は4つだから、全員分入れ替わってもまだ直ぐには入れない。

『まだ、5人っ……し、仕方が無い、閉会式に遅れたら迷惑かけるかもだし…予定では15分程度で終わるはずだからそれくらい大丈夫……』

そう『声』にして、卯柳さんは済ませることを諦め、列を抜ける。
私も少し遅れて列を抜け、卯柳さんから少し距離を取りつつ運動場へ向かう。
卯柳さんの尿意がもっと切羽詰っていたなら、此処で済ませていただろうけど
少し余裕があったばかりに、後回しに……。

少し卯柳さんのことが心配ではあるが、正直なところ凄く期待もしている。
15分で終わるとは言うが、集合に10分程度は掛かるだろうし
次トイレに行けるチャンスはどれだけ早くても30分程度先になると思う。
利尿速度は大分落ち着いてはいると思うけど、それでも30分は長い。

『大丈夫、これくらいならまだまだ我慢できるし……』

前を歩く卯柳さんを私は無表情で――でも内心ニヤニヤしながら見る。
仕草は歩いていると全く判らない。並んでいる時と比べて『声』の大きさも控えめ。
トイレに並ぶという行為は、もうすぐと言う気持ちの先走りとじっと待つという行為をしなければならず
それは我慢には辛い状況で尿意は当然大きく膨らむ。
対して今の状態は歩くことで気が紛れるし、もう直ぐトイレと言う油断も無い。
だけど、閉会式はずっと立ったまま行うことになるはず……。
油断が無くても、じっと待つのは辛い筈。

――……私の位置から卯柳さんが見れるといいんだけど。

そんな期待をしつつ、下駄箱から運動靴を出して履き、運動場へ向かう。
運動場には、全校生徒の7割くらいの人が既に集まり、整列を始めていた。
私は自分のクラスの方に歩みを進める。

『はぁ、トイレに行きそびれちゃったなぁ』
『おしっこ、出来なかったじゃん』

意外というか、やっぱりと言うべきか。
そこそこの生徒がトイレを済ませることが出来なかったらしい。
運動場のトイレは個室が少なくあまり清潔とはいえないはずだったから
体育館に居た人以外もそういう状況に陥っていてもおかしくない。


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