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おもらし千夜一夜3
1スレ立て専用★:2011/02/14(月) 23:32:00
とりあえず、新スレたてました。
誰か書いてくださいお願いします。

2前スレ:2011/02/14(月) 23:33:03
おもらし千夜一夜2
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/2469/1144844893/

3名無しさんのおもらし:2011/02/15(火) 00:46:31
>>1さん乙ですー
すばらしい作品がいっぱい投下されたらうれしいな
自分は、感想で作者さんをほめる練習でもしてますー

4名無しさんのおもらし:2011/02/15(火) 01:01:19
:-)

5スカーフ:2011/03/21(月) 09:13:25
誰も書かないようなので
思いつきで投下します

6スカーフ:2011/03/21(月) 09:19:45
私は、市内の少年サッカークラブに所属する小学5年生。
発育は早い方じゃないから、今もまだ男子に交じって頑張っている。

――そんなある日、監督が、突然キャンプ合宿をすると言い始めた。
そのときの私はまだ、それが何を意味するのかを考えようともせず、男子達と一緒にはしゃいでいたんだ。

7スカーフ:2011/03/21(月) 09:41:02
キャンプは山で行われることになった。
バスを一台貸し切って山のふもとまで行き、そこからひたすら山を登る。
基礎体力を鍛えるためだとか言っていたっけ。
こまめな水分補給と適度な休憩を挟み、目的とする場所に着いたのはお昼をすぎた頃。
見晴らしのいい場所にテントを立て、まずはみんなでバーベキューの準備を始めた。
すると、1人の男子――FWの剛士が言った。

「監督、トイレどこですかー?」

8スカーフ:2011/03/21(月) 09:44:46
監督はさも当然というように答えた。
「こんなどこにでもある山の中に、トイレなんかあるわけないだろ。そのへんでしてこいよ」

私は、これを聞いて青ざめた。
今はこれっぽっちもトイレに行きたいと思わなかったけれど、不安で不安でしょうがなくなった。
それ以降、私の頭の中は、トイレのことだけでいっぱいになってしまったのだ。

9名無しさんのおもらし:2011/03/21(月) 09:46:42
支援

10スカーフ:2011/03/21(月) 09:50:11
午後からは実際にボールを使って練習したが、少しも集中できず、ミスを連発した。
みんなが給水しているときも、水には一切手をつけなかった。
それを見た監督に、水分をしっかり摂るよう指導されてしまったため、渋々口にした程度だ。
――まったく、鈍感な監督だなあ。

日が暮れはじめ、夕食の時間になった。
そこでついに、恐れていた事態が起こってしまった。

私は、おしっこがしたくなってしまったんだ。

11スカーフ:2011/03/21(月) 09:53:52
それからは我慢の連続だ。
頭の中は、今まで以上におしっこのことでいっぱいになり、顔は恥ずかしさで真っ赤になった。
いくら男女差がほとんど無いとはいえ、この年になると羞恥心が大きくなってくる。
夕飯を食べ終わったころには、みんなの輪を離れ、もじもじそわそわするしか無くなってしまった。
…とはいえ、真っ暗な山中でテントから遠ざかるわけにはいかず、結局みんなの目の届く範囲にいるのだけれど。

12スカーフ:2011/03/21(月) 09:58:15
おしっこしたい。
したい。
したいよ…

すると、私の願いが通じたのか、監督が
「お前ら、明日は早いんだからもう寝ろよ」
と言ってくれた。まだ騒いでいたそうだった男子達も、渋々寝る準備に取りかかる。
みんなが寝てくれれば、…それでも外でおしっこをするのは恥ずかしいけれど…、私もおしっこができる。
あと少しの辛抱だからと自分に言い聞かせ、誰にも見られないように、おしっこの出るところに…手を添えた。

13スカーフ:2011/03/21(月) 10:02:03
テントの中で寝たフリをして、見えないように前を押さえて、一生懸命我慢した。
やがて、みんなの声が聴こえなくなった。

今がチャンスだ…

私は、そっとテントの中を抜け出し、あらかじめ見つけておいた草陰に隠れた。
そして、パンツに手をかけ――

「何してんの、お前?」

14スカーフ:2011/03/21(月) 10:05:54
あまりにびっくりしすぎて、私は固まってしまった。
何故なら私の格好は、明らかにおしっこをしようとしている人のそれだったからだ。
必死にごまかそうと考え、思いついた言葉は――

「剛士こそ、何やってんの?」

すると剛士は、
「ああ、自主練習だよ。夜中にこっそりやろうと思ってさ」
…と答えたあと、
「で、お前は何してんだよ。はぐらかすんじゃねーよ」
痛いところをついてきた。しかし、疑うような目をしているところを見ると、私が何をしようとしていたのかには気付いてないみたい。
助かった。

「実は、私も自主練をしようと思ってたんだけど――、ほら、ボール無くなっちゃって」
そんなもの、荷物の中身を調べれば出てくるに決まっていたけれど、その場しのぎの嘘だった。

「ふうん…そうなのか。じゃあさ、一緒に練習しようぜ」

15スカーフ:2011/03/21(月) 10:09:29
「え? …うん、もちろんいいよ!」
一度練習していたと言ってしまった以上、ここで断るのは不自然な気がした。

「じゃあロングパスからやろうぜ! 俺苦手なんだよねー」
気付いてないということは、イコールそれに関する気づかいは一切無いということだ。
なんだか複雑な思いだった。

「じゃあ行くぞ! とうっ!」
剛士がロングパスを苦手としているということは本当で、FWだから必要ないだろうと思って練習してこなかったのだそうだ。
剛士の蹴ったボールは、大きく私の位置を外れ、無理な体勢でボールを取ろうとした私は…

16スカーフ:2011/03/21(月) 10:12:31
「あ…あ…あ…っ」
股のところに、暖かい感触があった。

「ん? どうした?」
何も知らない剛士が近づいてくる。

「やっ…来ないで!!」
そういう私は身動きひとつ取れず、もはや最悪の事態は防げないでいた。

剛士は、真っ黄色に染まった私のサッカーソックスを、ただただ茫然と見つめていた。

17スカーフ:2011/03/21(月) 10:13:13
【終了】

自分で読んでて思ったんですが
…何この駄作。

次はもっと真面目に書きます。

18名無しさんのおもらし:2011/03/21(月) 11:15:12
とりあえず乙

19スカーフ:2011/03/21(月) 23:06:21
↓長編、今回はある程度きっちり書きます。

20スカーフ:2011/03/21(月) 23:06:45
「翔子!! いつまで寝てるの!! 夕香ちゃん来てるわよ!!」
私は、お母さんのどなり声で目を覚ました。
そうか、今日からは中学校最大のイベント、修学旅行があるんだ!
パタパタと準備を済ませ、リビングに向かう。そこには、親友である夕香が、コーヒーを飲みながら座っていた。
向こうに座っていたお兄ちゃんは、呆れたような目つきで私を見ている。

「ごめん夕香! 待った?」
「遅い。修学旅行のときぐらい、余裕を持って学校に行こうって言ったじゃない」
夕香は、いつもクールな姐御肌。こんなやり取りは日常茶飯事なんだ。

「じゃあ、行ってきます! 朝ご飯はいらないから!」
夕香と一緒に、慌てて家を出る。
今から走っても、集合時間にはギリギリというところだろう。

21スカーフ:2011/03/21(月) 23:07:10
学校に到着したのは、集合時間1分前。ギリギリセーフだ。
みんなは既に昇降口前に集合していた。
「ごめんごめん!」
笑いながら列の中に入る。
集合時間になり、点呼がとられた後、校長先生の長話が始まった。
この校長先生の話は本当に長い。だから誰も聞いてなどいないと思う。
注意事項や持ち物の確認をして、いよいよバスに乗り込むことになった。

バスの中はほどよく冷房が効いていて、暑さの残る秋にはちょうどいい温度だ。
みんなのテンションは最高潮で、男子も女子も、みんなワイワイと楽しそう。
私も隣に座っている夕香に話しかけるけれど、夕香はポツリポツリとしか言葉を返してくれない。
そういえば、騒がしいのは好きじゃないって言ってたっけ。
静かに佇むショートヘアの夕香は、女の私も惚れてしまいそうなくらい美人だと思う。
むしろ騒がしい方が好きな私は、前の子に話しかけてお喋りを楽しんだ。

22スカーフ:2011/03/21(月) 23:07:32
………。
「ねえ夕香、私、トイレ行きたくなっちゃった」
バスに乗ってからはや1時間が経つ。水筒に入れてきたお茶を少しずつ飲んでいたからかもしれない。
しかし、それはほんの軽いものだったため、あと2時間なら十分我慢できそうだ。
「我慢よ、我慢。今は我慢するしかないの」
夕香がそう言ってきた。
ホテルに着くまでトイレに立つことはできない。そう、バスでの移動時間3時間のうち、トイレ休憩は1度も無いのだ。
トイレ付きの貸し切りバスならよかったのにと思うが、予算の問題もあるから仕方がない。
途中、夕香が、気分が悪くなったと言って『保健席』に移動したため、私は少し大っぴらに我慢した。
そして、長い長いバスでの道のりは終わった。

ホテルに着くと、またあの校長先生の話。
こんなときにまで長話をしなくてもいいのにと、内心かなりイライラした。
それが終わると、各部屋へ移動することになった。
同じ部屋に泊まる夕香と紗希を急かし、自分達の部屋へと入る。
かなり辛い状態だった私は、一直線にトイレへと向かった。

23名無しさんのおもらし:2011/03/21(月) 23:18:07
これは朝起きてから一度もおトイレに行ってないのかな?

24スカーフ:2011/03/21(月) 23:22:15
>>23
そこの描写をするのを忘れてましたね。
一応、翔子の方はトイレに行ってる感じだと思っていたんですが
そこはご想像にお任せします。

25スカーフ:2011/03/21(月) 23:23:01
【第2部】

「夕香! あなたもう出かける時間じゃないの?」
母親の声で目が覚める。
何てことだろう。今日は目覚ましが鳴らなかった。
修学旅行の日くらい余裕を持って登校しよう、と自分から提案した手前、時間に送れるわけにはいかなかった。
着替えを済ませ、荷物を持つと、そのまま家を飛び出した。
親友の翔子の家は近所にあるから、そこを目指して走る、走る。
そんな私の気持ちとは裏腹に、翔子はまだ夢の中にいたようだった。

26スカーフ:2011/03/21(月) 23:23:31
【※ 第2部は夕香目線です】

27スカーフ:2011/03/21(月) 23:24:03
「あら、夕香ちゃん、いらっしゃい。翔子はまだ起きてないのよ。起こしてくるからコーヒーでも飲んで待ってて」
翔子の家に着くと、おばさんが笑顔で迎えてくれた。
隣で朝食をとっていた翔子の兄に軽く挨拶をし、椅子に座った。
起きてから何も口にしていなかった夕香は、喜んでコーヒーを飲み干した。
「翔子は今準備に忙しいみたいだから、もうちょっと待ってあげて。ごめんね」
そう言って、コーヒーのおかわりを淹れてくれる。
私がコーヒーが好きなことを知っているおばさんは、いつもおいしいコーヒーをごちそうしてくれる。
3杯目を淹れてもらったとき、丁度翔子がリビングにやってきた。

「ごめん夕香! 待った?」
「遅い。修学旅行のときぐらい、余裕を持って学校に行こうって言ったじゃない」
3杯目のコーヒーを飲み干し、立ちあがる。

28スカーフ:2011/03/21(月) 23:32:15
…あ、トイレ行きたい。
一瞬そうは思ったものの、翔子の家族がいる手前、トイレを貸してほしいと言うわけにもいかない。
時間もおしていたので、トイレには学校で行くことに決めて翔子の家を後にした。

学校に到着したのは、集合時間1分前。ギリギリセーフだ。
みんなは既に昇降口前に集合していた。
先生にペコリと頭を下げて、列の中に入る。
集合時間になり、点呼がとられた後、校長先生の長話が始まった。
少しばかりとはいえない尿意を背負った私には、当然そんな話を聞いている暇はない。
…もっとも、そうでなかったとしても、校長先生の話なんて聞かないのだけれど。

29スカーフ:2011/03/21(月) 23:36:50
「今からバスに乗るが、トイレに行きたい者はいるか? いたら手を挙げてくれ!」
思わず手を挙げそうになった私だったが、周りを見て急に思いとどまってしまった。
何故なら、誰ひとりとして手を挙げる者がいなかったからだ。
修学旅行の前だから、誰もがトイレは早いうちに済ませておいたのだろう。
大人数の前で、1人だけ手を挙げて、トイレに行く…。
みんなの頭の中には、女の子の部分を露わにし、白い便器をまたぐ私の姿が思い描かれるのかもしれない。
それだけは絶対に嫌だ。
私は、典型的な、人前でトイレに立てないタイプの女の子だった。

「本当にいないんだな? じゃあ、バスに乗るぞ」
生徒たちは、順番にバスに乗り込んでいく。
バスに乗ってから気がついたのは、クーラーがやや強めに効いているということだった。
走ってうっすらかいた汗が冷え、それに伴って体全体が冷えていく。

――やっぱり、トイレに行かせてもらおうかな。

しかし、ここまで来て先生に『トイレ』の3文字を言えるはずもなく、結局バスは出発してしまった。
夕香は、大きな不安を抱えたまま、バスに揺られていくのだった。

30スカーフ:2011/03/21(月) 23:53:39
バスが発進してからまだ間もないけれど、私の尿意はかなり強くなってきていた。
思えば、朝起きてから1度もトイレに行っていない。
その上、コーヒーを3杯も飲んでしまった。
後先を一切考えない行動を思い返し、私は激しい後悔の念に襲われた。
今はもう、膝を擦り合わせていないと出てしまいそうなほどに尿意が高まっている。
この後のことを考えると、不安で泣きたくなってきた。

クラスの皆が、何やら騒がしい。
修学旅行だからテンションが上がってしまうという気持ちはよく分かる。
しかし、今の私にとってはただの雑音でしかない。
親友の翔子が話しかけてくれる内容でさえも鬱陶しく感じてしまう自分が、自分で嫌になる。
前屈みになってみたり、足を組んでみたりするが、尿意は一向に収まる気配がない。

31スカーフ:2011/03/22(火) 00:02:16
そんな時。
「ねえ夕香、私、トイレ行きたくなっちゃった」
翔子の一言だった。
今の状況の私に、そんなことを言わないでほしい。
息も絶え絶えで、暴れ狂う尿意と必死に闘っている私…きっと顔は真っ赤になっているのだろう。
それをできる限り表情に出さないで、平静を保っているかのように見せているのは、今なお崩れていない私のプライドだ。
「我慢よ、我慢。今は我慢するしかないの」
自分に言い聞かせた。ホテルまであと少しなのだからと、壊れそうになる心を繋ぎとめる。
バスに乗ってから、およそ1時間が経っていた。

尿意は更に激しさを増し、自前のクールなポーカーフェイスは、もはや崩れ去ろうとしていた。
持参した水筒をおしっこの出るところに当てがい、上からぎゅうぎゅうと押さえつけた。
直接手で押さえることは許せない私の、せめてもの抵抗だ。
注意深く見る人がいれば、トイレを我慢していると気付いたのかもしれない。
しかし、自分達の話題に花を咲かせている皆には気付かれずに済んだ。

32スカーフ:2011/03/22(火) 00:14:04
尿意はいよいよ最高潮になり、一切の余裕は消え失せていた。
これはマズイと思い、先生に気分が悪いと言って『保健席』に移動させてもらった。
ここまでくると、おしっこを最後まで食い止めること以外、何一つ考えることはできなくなった。
シートベルトを足と足の間に挟み、体を前に乗り出して抑える。
セーラー服のスカートがめくれているが、そんなことを気にしている暇はない。
先生に毛布を借り、全身にかぶった。
これで体も冷えないし、少々のことなら中で何をしているかは見えない。
私はついに、パンツの中に手を入れ、水門をせき止めることに尽力した。

それでも尿意の波はやってくる。
じゅじゅ、じゅじゅ…

33スカーフ:2011/03/22(火) 00:14:25
――だめ!

私はとっさに、荷物の中にあったハンドタオルを股間に当てがった。
じゅじゅじゅ…
じょわ…
しゅぅぅぅぅぅ…

ちびったにしては多すぎる量のおしっこが、柔らかい布地に吸収されていった。
おしっこが止まると、また手を入れて押さえる。
そんなことを繰り返しているうち、やっとバスがホテルに到着した。

34スカーフ:2011/03/22(火) 00:34:20
ホテルに着くと、またあの校長先生の話。
こんなときにまで長話をしなくてもいいのにと、怒りさえ覚える。
みんながいる前だから、あからさまに我慢のポーズをとるわけにもいかず、足をぴったりくっつけて、手をこっそり股間に添える程度にとどまった。
それでも、トイレを我慢している女の子にしか見えないことに変わりはないかもしれないが、こうでもしなければ出てしまいそうなのだ。

――はあ、まだ終わらないのかな…。おしっこしたい、おしっこが出ちゃう…。早くしないと、ダメ、ああ、早く! お願い…

話は、10分に渡って続いた。
私はその間、ずっとトイレのことばかりを考え続けていた。
そして、なんと、私はこの姿勢のまま、10分間を耐え切ることができた。

35スカーフ:2011/03/22(火) 00:34:42
話が終わると、個室に移動することになった。
個室にはトイレがあるはずなので、3人で急いで移動した。
がちゃり。鍵を開け、中に入り、トイレに向けて一直線に歩く。
ドアノブに手をかけ、トイレの扉を開ける。やっと…
と、腕を後ろに引き戻された。翔子だった。
「お願い、先行かせて」
「だ、駄目…離して」
「いいから先に行かせてよ! 私、もう限界近いって言ったじゃん!」
「いや…離し…ッ!」
トイレを前にして緊張が緩んだのか、今まで我慢に我慢を重ねてきたおしっこは、一斉に出口へ向けて動き始めた。
反射的に、顔を苦しみに歪め、掴まれているのとは逆の手で、股間を握りしめる。
その部分から、スカートの色がみるみるうちに変色していく。
翔子が思わず手を離した隙に、トイレの鍵を閉め、無駄とは分かっていながらも、おしっこが出ている最中の下着を下ろし、便器に座る。
私は、ちゃんとトイレでおしっこを…。
床、便器、そしてスカートや下着、靴下…。すべての物が、黄色く染まって輝いていた。

36名無しさんのおもらし:2011/03/22(火) 07:53:30


事後があるといいかも

37名無しさんのおもらし:2011/03/22(火) 12:23:21
すばらしいっ!

翔子がどうなったのか気になる

38名無しさんのおもらし:2011/03/23(水) 05:30:00

続きが気になる

39スカーフ:2011/03/25(金) 01:20:22
誰も書かないようなら、近いうちに続きも書きますねー

40名無しさんのおもらし:2011/03/25(金) 08:05:04
よろしくおねがいします

41名無しさんのおもらし:2011/03/25(金) 18:46:02
これはすごい春休み

42名無しさんのおもらし:2011/03/25(金) 23:56:36
>>17
いいシチュエーションじゃないか

43名無しさんのおもらし:2011/03/30(水) 19:04:58
>>17
むしろその子のバリエーションが読みたいくらい。サッカー少女とか最高すぎるw
修学旅行の話もよかったよ。

44名無しさんのおもらし:2011/04/09(土) 09:50:23
次回作も頼むよ

45名無しさんのおもらし:2011/04/10(日) 07:31:02
前にもあった1レスものでもいいかな?

46名無しさんのおもらし:2011/04/10(日) 09:55:47
もちろん!
よろしくお願いします

47名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 01:04:15
>>39の人ではないですが、投下してみます。

48名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 01:05:03
 新学期が始まったばかりの、まだ寒い春先の昼下がり。
 高校生になったばかりの新井 佳奈子は、自らの住むマンションの手前にある、横断歩道の前に立っていた。
「っ、うぅ……っ」
 小さな唇から零れる、押し殺したような悩ましい吐息。
 真新しい高校の制服を着ている彼女は、長身や長い黒髪もあいまって少し大人びて見える。
 けれど、そんな外見とは裏腹に黒いロングブーツに包まれた足は小さな子供のように忙しなく足踏みを繰り返していた。
 まるで身体全体で『待ちきれない』『はやくはやく』と叫んでいるかのように。
 高校生にもなって公衆の場でそんな痴態を演じてしまっていることに強い羞恥を覚えながら、
 しかし身体の内側から湧き上がってくる欲求のせいで、佳奈子ははしたない行動を止めることができずにいた。

49名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 01:06:04
(あっ、あ、あぁっ、だ、だめ、まだ、おしっこ、でちゃ、だめっ)
 下腹部に溜まっている薄黄色の液体、その水面がざわめき出すような感覚。
 水玉模様のショーツの中で彼女の排泄孔は頼りなくひくひくと震えて、今にも熱い液体が迸ってしまいそう。
 電車に乗る前から感じ始めていた尿意は、すでに一刻の猶予もないほどに切迫していた。

50名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 01:06:31
(やっぱ、おトイレ、行っておけば、よかった……っ)
 あまり綺麗とはいえない公衆トイレを使いたくなかったため、彼女は電車に乗る前にトイレに行かなかったのだ。
 家までくらいなら大丈夫、という甘い見込みは電車の中で急速に高まった欲求に打ち壊されてしまい、
 電車を降りてすぐに向かった構内のトイレは間が悪く清掃中。
 迂闊な判断をしてしまったことを後悔する佳奈子だが、どれだけ悔いても時間は戻らない。
 最低でもマンションのホールにあるトイレまでは頑張らなければいけないのだ。

51名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 01:07:07
 鞄を持った左手で厚手の白いタイツを後ろから引っ張り、空いている右手は下腹部を優しく撫でてなだめようとして。
 彼女としてはできるだけさりげなくを装った、実際には傍目からも丸分かりな我慢の仕草。
 しかしそんな程度ではもはや抑えることができず、尿意の波がいよいよもって水門へと押し寄せてきた。
 きゅんきゅんと排泄孔が疼き、熱いものが出口をこじ開けようとする。
(や、やだっ、だめ、でちゃだめ、がまん、おしっこ、がまん、がまんっ、しなきゃ、あっ、あぁっ!)
 半ばパニック状態で、まだ新しいスカートが皺になるのも構わずに上から右手で股間をぎゅっと押さえつけた。
 左手もタイツを秘所に押し付けるように強く握ってねじり上げ、お尻はイヤイヤをするように激しく左右に揺さぶられる。

52名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 01:07:31
 必死の形相で堪えようとするが、ぷくりと秘孔が膨らみ、じゅっ、とショーツの中に零れ落ちる水滴。
(だ、だめっ、止まって、おしっこ、おしっこだめ、だめ、だめ、なのっ、まだ、でちゃ、だめっ)
 身体が限界を訴えるかのように、タイツを纏った脚はがくがくと震えていた。
 座り込んで身体が命じるままに放水を始めてしまいたくなる衝動を必死に堪え、佳奈子は尿意と必死に戦う。
 高校生にもなって、しかも自宅のすぐ近くというロケーションでオモラシなんて、乙女のプライドにかけて絶対にできない。

53名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 01:08:21
 幸いにも溢れたのは先の一滴だけで、開きかけた排泄孔は括約筋によってちゃんと閉じてくれた。
 しかし、それは外に出ようとしていた熱水が行き場を失ったということでもある。
 満水の膀胱の中でおしっこが意思を持つかのようにのたうって暴れ回り、下腹部にズキズキと走る痛み。
 まるで、『早く出せ!』『解放しろ!』と叫びを叩きつけているようだ。
(も、もうちょっと、だけ、っ、うぅ、お、おトイレ、もうすぐ、だから、も、もうちょっと、待って、が、ガマン、して、っ)
 あと少し我慢すればトイレで思う存分放尿できる、その事実だけが彼女の支えだった。

54名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 01:08:46
「や、やっと、おトイレ……っ」
 亀のような遅い歩みの果てに、佳奈子はマンションのホールにようやく辿り着いた。トイレはもう目前だ。
 横断歩道前での危機を乗り切った後も何度も尿意が押し寄せ、何度かショーツの中にチビってしまいつつも、
 それでもまだ最後の一線、決壊だけは逃れていた。
 昼休みを最後にここまでトイレに行っていない彼女の下腹部はよく見ればいつもより少し張っていて、
 その中には昼食時や休み時間に飲んだ麦茶、学校の近くの自販機で買ったホットココアが、おしっことなって蓄えられている。
 量にすれば、1リットル近いかもしれない。
 それらが、ようやくちゃんと『おしっこをしていい場所』で解放される――はず、だった。

55名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 01:09:14
(えっ……?)
 トイレの前に駆け寄り、その前に置いてある立て札に書かれた内容に、彼女は愕然とする。
 『改装中につき使用禁止』
 たった10文字が、トイレへと駆け込み用を足すはずだった佳奈子を、その場に釘付けにしていた。
 改装中。使用禁止。このおトイレは使えない。ここでおしっこができない。
(う、うそっ、な、なんで、こんなの、朝はなかったのにっ)
 想定外の事態に混乱する佳奈子。
 配水管が老朽化していたトイレを改装することは1ヶ月ほど前から告知されていて、それは彼女もなんとなく覚えがあった。
 けれどまさか今日だなんて。よりにもよって、一番このトイレが必要な時に。

56名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 01:09:50
 立ち往生する佳奈子の下腹部で、今頃は個室で排出されているはずだったおしっこの水面が揺らめく。
 きゅんきゅんと小さく疼く膀胱。間違いなく大収縮の、放尿の予備動作に入りかけていた。
(い、いやっ、が、がまん、っ、い、いま、きちゃ、だめ、おしっこ、まだ、だめ、だめ、ぇ)
 慌てて彼女は両手で股間を押さえつけ、太ももをぴっちりと閉じ、我慢の体勢を整えようとする。
 スカートから覗くタイツに覆われた太ももの間、女の子の一番大事な所に熱が集まっていき、ぞくりと背筋に寒気が走ったかと思うと、
 おしっこの詰まった膀胱が、ズクン、ズクン、と大きく脈打った。

57名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 01:10:19
「…………っ!!」
 痛みと切なさと圧迫感と焦燥感と、とにかく色々混ぜこぜにした感覚が一気に炸裂したかのよう。
 佳奈子は声すら出せず、中腰のまま尿意から逃げようとするかのように身体をくねらせる。
 押さえつけられたショーツの股布に、じゅ、じゅじゅ、と溢れ出す先走り。
 いくら手で押さえようと彼女のおしっこ袋はとうに貯水量をオーバーしているのは事実で、我慢なんてできるわけなくて、
 でも目の前にあるトイレが使えない以上は、我慢するしかない。

58名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 01:10:57
 涙まで浮かべながら必死に尿意を堪え、塞き止めようとする佳奈子の下腹部で、さらに痛みが増していく。
 この期に及んでまだ開かない水門に、膀胱も出口を開けろと必死に訴えているのだ。
 そんなことをすれば、ここでオモラシをしてしまう。だから出来ない相談なのに、聞き分けてくれない。
(うぅ、お、おしっこ、おしっこ、だめ、おしっこ、だめ、だめなの、が、がまん、おしっこ、したい、がまん、っ)
 あそこを押さえたままお尻を突き出して太ももを忙しなくすり合わせている、最高に情けない格好の佳奈子。
 その下腹部で際限なく高まった感覚が、膀胱の中で、爆発した。
「ぁ………!!」
 お腹の中を直接掴まれ、思いっきり捻られたかのような衝撃に、彼女の視界が真っ白になっていく。

59名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 01:11:27
「っ、はぁ、はぁ……」
 永遠にも思えた尿意の波がようやく小康状態に入り、佳奈子はトイレの前で息を荒げていた。
 少し青ざめた顔で、顔には恐怖の色も少しだけ混じっている。
(ぼ、膀胱、破裂しちゃうかもって、思った、っ)
 膀胱が無理に引き伸ばされるような感覚に、苦痛と悪寒が下腹部を襲って、尿意は際限なく激化して、
 それでも耐え続けた結果……膀胱が先ほどまでより少し大きく膨らみ、ほんの少しだけ余裕ができていた。
 無論、今も切迫してはいるし、急がなければいけないことに変わりは無い。

60名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 01:11:53
 いつまでも立ち止まっているわけにはいかず、佳奈子はエレベーターの方へと向かう。
 再び大津波がやってくる前に自宅のトイレに着けなければここまでの我慢は全部水の泡だ。
 へっぴり腰の不自然な内股で、のろのろと歩き、程なくして彼女はエレベーターの手前までやってきた。
(はやく、はやく……)
 エレベーターの現在位置は7階辺りで、まだ上に上がるようだ。
 こんな状態で階段なんて2階まで上がれるかも怪しく、エレベーターの到着を大人しく待つしかない。
 焦る佳奈子の心とは裏腹に、階数表示は8、9、とその数字をどんどん増加させていく。

61名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 01:12:24
(っ、ま、まだ、なの、は、はやく、して、よぉ、っ)
 じっとしていられずに足踏みをする彼女の下腹部で、じくじくという痛痒いような感覚。
 尿意の波が再び排泄孔目掛けて押し寄せてくる、その前触れだ。
 遠ざかっていくエレベーターとは逆に、おしっこのカウントダウンはどんどん数を減らし、0へと近づいていく。
 時間延長はとうにラストオーダーの時間を過ぎていて、身体が取り合ってくれない。
 家まではまだ少しかかりそうなのに、我慢しなければいけないのに、こんな所で放尿なんてできないのに。
 エレベーターのドアを縋るような目で見つめても、そこは開かない。階数表示は13階、しかもさらに上るようだ。

62名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 01:12:52
 到着まで待って、乗り込んで、6階で降りて、自宅のトイレまで。
 その道のりが今の彼女には到底辿り着けないほどに果てしなく遠いもののように思え、ぐにゃり、と視界が歪んでいく。
 おトイレでおしっこがしたいだけなのに。たったそれだけなのに。
(や、やだ、きちゃう、おしっこ、おしっこきちゃう、おしっこしたくなっちゃう、ま、まだだめ、いま、きちゃったら、おしっこ、っ)
 先ほどよりもさらに大きな津波が迫っているのを、佳奈子は背中で感じていた。
 救いを求めるように視線をあちこちに彷徨わせるが、こんなところに都合よくおしっこができる場所があるわけもなく。

63名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 01:13:27
(あっ、あ、あぁ、おしっこ、おしっこ、おしっこしたい、おしっこ、がまん、おしっこ、おしっこしたい、っ)
 彼女の頭の中では、『おしっこ』の4文字が乱れ飛んでいた。
 おそらく今だったら、小学校低学年レベルの簡単な計算問題でさえも答えられないだろう。
 寒気で背筋がぞくぞくと震え、お腹の中では、こぽこぽと音をたてて沸き立っている佳奈子のホットレモンティー。
 きゅぅぅぅぅぅん、と切なさを1000倍くらいに圧縮した感覚が下腹部に集まっていって、
 エレベーターが最上階、18階に辿り着いたのとほぼ同時に――膀胱の本格的な収縮が、始まった。

64名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 01:13:55
 ――じゅじゅ、しゅるる、じゅ、じゅうっ

 くぐもった水音と共に、おしっこがショーツの中へと注がれ始めた。たちまち、温かい感触に包まれる下腹部。
 生き物のようにぐねぐねと形を変え、限界以上に溜め込んだ液体を搾り出そうとする。
 その水圧に、度重なる我慢で疲れきった彼女の括約筋はとうとう音を上げ、排泄孔が開かれていく。
(おしっこ、だめ、だめぇ、おしっこ、でてる、だめ、でちゃ、だめ、なのに、っ)
 まるで、熱い棒で無理やり尿道をこじ開けられたかのよう。溢れ出る水流がどうしても止められない。
 それどころか、痺れるような甘い感覚が排泄孔の辺りを優しく包んで、今にも身体から力が抜けてしまいそうで。

65名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 01:14:50
 だんだんと放水の量は多くなり、タイツの股間部分にまで濡れた染みが広がり始める。
 演目『女子高生のおしっこ我慢劇』が、とうとうオモラシという悲劇のフィナーレを迎えようとしていた。
 右手で股間を押さえ、涙をぽろぽろ零しながら、佳奈子はエレベーターのボタンを連打する。
「はやくっ、はやく、きて、よぉ、おしっこ、でちゃう、ぜんぶでちゃう、からぁ、っ」
 必死の懇願。けれど最上階の18階まで行ったエレベーターが、急に1階まで戻ってくるわけもない。
 小さな子供のようにぐずる彼女の下腹部で、尿意はさらに加速していく。おしっこをしたい欲求がどんどん強くなっていく。

66名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 01:15:50
(でちゃうっ、おしっこでちゃうでちゃうでちゃう、もうだめでちゃう、おしっこ、おしっこしたいおしっこ、おしっこ、っ!)
 『我慢』という2文字が心から追い出され、『したい』へと置き変わっていく。
 暴力的なまでの尿意に心までもが屈してしまったのを表すかのように、彼女はその場にしゃがみ込んでしまった。
 膝を曲げて、足を肩幅に開いた、和式トイレでおしっこをする時のポーズ。

67名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 01:29:49
 ――じゅじゅ、しゅるる、じゅ、じゅうっ

68名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 01:43:41
 ここはトイレじゃなくて、こんなところで排泄行為に至れば隠しようも無い痕跡を残してしまうのは明らかで、
 誰かに見られてしまう可能性だってあるし、ショーツやタイツもまだ身に着けているのに。
 そんなことはもう頭から抜け落ちて、ただ『おしっこがしたい』という生理的欲求のまま。
(あっ、ぁ、あぁぁ……っ)
 体勢を変えたことで条件反射的に下半身が緩んでいき、排泄孔が全開になったかと思うと、

69名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 01:44:34
 ――じゅ、じゅじゅじゅじゅ、じゅううううっ

 今までとは比べ物にならない勢いで、佳奈子の恥ずかしい熱水が噴き出した。
 厚手のタイツ越しであるにも関わらず放物線を描いて、おしっこがぱたぱたと床を叩く音が静かな廊下に響く。
 ショーツの中では液体が渦を巻き、あるいはお尻の方を、あるいは太ももの方を、浸水させていく。
 もはや言い訳のしようもないくらいに、彼女の状態は『オモラシ』でしかなかった。

70名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 01:45:10
 黄色い奔流はさらに勢いを強め、琥珀色の水溜りが彼女の足元に広がっていく。
 湯気とともにその場に立ち込めていく、ツンとした刺激臭。まるで、”ここは私がおしっこをする場所です”とマーキングするように。
(やっちゃった……もう、高校生なのに、私、オモラシ、しちゃった……っ)
 小学2年生の時の失敗以来、おトイレまで間に合わなかったことなんて一度もなかったのに。
 羞恥、後悔、屈辱、色々な感情が身長の割りに控えめな胸をぐるぐると渦巻いて。
 押し殺した嗚咽の声はやがて泣きじゃくる声へと変わり、それでも彼女の放尿は止まる様子を見せないのだった。

71名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 01:48:19
これは楽しみなのが来たぞ!

72名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 01:53:35
以上です。>>67はミスなので読み飛ばしてください……orz

>>66>>68の間に30分ぐらいかかってるのは、NGワードに引っかかってると何度も言われたせいです。
たぶん>>69のおしっこの音(元々は>>68に入っていた)で"う"が9個ぐらい連続してたからで、4個にしたら通りました。
どれが引っかかってるのかまったくわからず焦りました……修正→投稿→弾かれるを何度ループしたことやら。

73名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 03:12:17
1レスどころか結構長いなでもGJ!

74名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 15:40:35
なんかすごいのキターー!

75名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 22:50:12
我慢描写いいな

これで我慢に至るまでの話もキチンと書いてあったら言うことなしなのに

76名無しさんのおもらし:2011/04/15(金) 23:39:44
これは良かった、掛け値なしに

7771:2011/04/16(土) 00:49:16
期待を裏切らないすばらしい作品乙!

78名無しさんのおもらし:2011/04/16(土) 22:37:03
すげえ・・・シンプルながらツボ押さえまくり。いや、シンプルだからいいのかも?
数多ある既存の作品からいいところを拾い集めて、かつ独自の形に上手く昇華させてると思った。
今後もし独自の色が濃くなるようだったら神の称号をほしいままにできるんじゃないか・・・

79名無しさんのおもらし:2011/04/17(日) 02:18:21
期待通りだ!

80名無しさんのおもらし:2011/04/17(日) 16:15:35
シズクのおとを連想させる文章だな、つまりはGJ

81名無しさんのおもらし:2011/04/17(日) 16:31:51
同感

82スカーフ:2011/05/03(火) 21:58:02
色んな意味で間隔が空いたので、続きじゃなくて新作を投下します。
 ↑続きが思いつかなかったから言い訳

83名無しさんのおもらし:2011/05/03(火) 22:06:40
>色んな意味で

ほう、他作品が来なければ前作をちゃんと続けたと?

84スカーフ:2011/05/03(火) 22:11:33
本名、ルーネアス・ディ・クライフ。通称「ルー」。
私は、大国の女騎士の1人だ。
相棒は、男にしては小さいが(それでも私よりは高いが…)、頼れる相棒のキッド。
この国の騎士は男女のコンビで、男が剣、女が飛び道具を使うのが一般的なのだが、私達のコンビはその逆。
私が剣で特攻し、キッドが飛び道具で援護するという変わったコンビなのだ。

そんな私達は、今日、敵国奇襲を命じられた。
敵の本拠地である城内に侵入する。
そこまではよかったのだが、敵兵に見つかった私達2人は、運悪く捕まってしまったのだ――

85スカーフ:2011/05/03(火) 22:18:05
捕まってしまった。
そこまではよかった。
いや、決してよくはないのだが、そこまでは「まだ」よかった。

問題は、捕まった後の処分だ。
私達は、捕虜として1つの牢屋の中に入れられた。
それだけではない。

私とキッドは、背中合わせで、四肢をそれぞれロープで縛られていた。

86スカーフ:2011/05/03(火) 22:24:03
私の右腕とキッドの左腕、私の左脚とキッドの右脚というように、対応する部分が縛られている。
これでは、たとえ2人で息を合わせようとも、立つことすらままならない。
この国では捕虜をここまで入念に縛り付けるのかと呆れたが、文句を言える状況なはずもなく…。
そんなわけで、私達は、どうすることもできず、地面に転がっていた。

…私が下腹部の異変に気付くまでに、そう時間はかからなかった。

87名無しさんのおもらし:2011/05/03(火) 22:26:53
>>83
48の作者さんですか?
適切な表現でなかったことをお詫びします。

質問の返答については、82を読んでもらえれば分かると思います。


以下、続き

88名無しさんのおもらし:2011/05/03(火) 22:32:03
>>87
おおっ
これはまた先行きが楽しみになってきた

89スカーフ:2011/05/03(火) 22:42:12
辺りを見渡すと、バケツが1つ置いてあった。
多分、今私が必要としているものの代用品として使われるのであろうが、今の状態ではそこまで行くことすらできない。
というか、今の状態では、私がしたいことを可能にするための動作は、なにひとつできない。
背中にキッドの存在を再確認して、私は考えあぐねた。

もちろん、戦場を渡り歩く職業ということもあり
こっそり茂みに隠れてした経験や、人知れず服の上からした経験は1度や2度ではない。
しかし、こうも近くに人が、それも男がいる状況となると…

私は、これから始まる、今までで最も困難な闘いのことを考え、空を仰いだ。
その目に映ったのは、真っ黒な闇――殺伐とした牢屋の天井だった。

90スカーフ:2011/05/03(火) 22:54:58
何もない牢屋の中、何の変化もない時間の流れの中で
ただ一つ、私の中にある欲求の念だけが高まっていく。
それが刻一刻と迫ってくる感覚を、私ははっきりと感じとっていた。

私はもう、かなり「したく」なっていた。

どうすることもできなくなって、後ろにいるキッドに声をかける。

「キッド」

返事はない。

「キッド? キッド!」

ふわあ、と間の抜けた音が聴こえた。
こいつまさか…

「キッド? 寝てた?」

「ふにゃ? …………おぅ、おはよ」

今すぐ殴り殺したい。
コイツという男は…まったく。
考えてみれば、これだけの間、何一つ会話がないというのもおかしな話だった。

私は口を開いて――
気付いた。
私はキッドに何を言うつもりだったんだろう?

91スカーフ:2011/05/03(火) 23:03:55
私が口をパクパクさせているうちに、キッドの方から声をかけてきた。
それは、私が思ってもみなかった一言――。

「なあ…、ルー、さっきから何してんの?」

言われて気付いた。
私は、随分前から、せわしなく脚を動かしていたのだ。
私の脚とキッドの脚は繋がれているのだから、連動して動いてしまうのは当然のこと。
キッドがそれを不自然に思ってしまうのも、これまた当然のことだった。

「なっ、何でもないわよ…」

言いながら、動きを止めることができない。
私は、それほどまでに「したく」なってしまっていた。

背中合わせになっていてよかったと、初めて思った。
私の顔は、きっと真っ赤になっていただろうから――

92スカーフ:2011/05/03(火) 23:18:05
「ルー? もしかして」

「寒いじゃない? この牢屋の中ってさ」

…気付かれた?
お願いだから気付かないで。
いつかは分かってしまうことかもしれない。
でも、もう少し、もう少しだけ――

「…まあ、確かにちょっと寒いかもな」

実際、少し肌寒い部屋ではあった。
苦し紛れの言い訳はできたが、「寒い」という事実が、「したい」という悪魔のエネルギーになっていることは否めない。
それを考えると、何とも複雑な思いだった。

この体勢では、前を押さえることはおろか、前傾姿勢すらとれない。
波が来るたびに、目をぎゅっと瞑り、唇を噛んで必死で耐えた。

93スカーフ:2011/05/03(火) 23:29:12
そんなことを繰り返しているうち、監視役だろうか、1人の男がやってきた。

「移動する。足の縄は解いてやるから歩け」

男が言った通り、足の縄は解かれ、無理矢理立たされた。
寝ていた状態から立たされたものだから、…下を向いてはならない部分が下を向く。
今までの力に加えて、重力というエネルギーを得たお腹の悪魔は、確実にパワーアップしていた。

それでも、両脚が自由になったというメリットは大きく、できるだけ上手にステップを踏みながら歩いた。
移動距離はそれほど長くなかった。
到着した場所は、

「拷問室」――

94名無しさんのおもらし:2011/05/03(火) 23:46:45
「続く」?

先の動きが楽しみだ

95名無しさんのおもらし:2011/05/04(水) 08:49:20
期待あげ

96名無しさんのおもらし:2011/05/06(金) 22:09:46
続きが気になる…
期待してますー

97名無しさんのおもらし:2011/05/07(土) 01:14:10
そんな状態で拷問だとっ!?
期待ですー

98名無しさんのおもらし:2011/05/10(火) 20:11:15
このまま先書かないことで俺らが拷問されてるんだよorz

99名無しさんのおもらし:2011/05/11(水) 01:43:21
思ったほどの動きはなかったなw

100スカーフ:2011/05/14(土) 15:08:07
…拷問。
一体何をされるのだろうか。
連れていかれた先には、敵の幹部だろうか、明らかに強そうな男が立っていた。

「悪いことは言わねーよ。そっちの情報をきっちり吐いてもらえればいいんだ。これから5つほど質問をするから、正直に答えろ」

背中合わせの状態…つまり、前と後ろを向いている私達2人ともを威嚇するように、ゆっくりと周りを歩きながら訊く。

「問1…、お前らどこの国の者だ」

「この国の北にある経済大国、と言えば分かるか?」
質問にはキッドが答える。

「口の聞き方に気をつけろ。…あのやかましい国か」
言いながら、鞭が飛んでくる。
それも、私とキッド、それぞれに1発ずつだ。
余計なところに意識がいき、大事なところの力が緩みそうになって、慌てて力を込める。
…たったそれだけの動作をするだけで、辛くて泣きそうになった。
もはや一刻の猶予もない、そんな気がしていた。

「では、次の質問だ――」

101スカーフ:2011/05/14(土) 15:19:09
そんなことを繰り返し、質問は無事終わった。
もちろん、質問の答えはすべて嘘っぱち…
捕らえられたとき、拷問に対する受け答えの訓練は、誰もがきっちり行っていた。
私達が教えた場所に敵さんが攻め込めば、それが合図となって援軍が来る…という仕組みである。
自国のシステムながら、改めて素晴らしいと思った。

…と。

「これで質問を終わる――、と言いたいところだが」

え?

「もう1問追加だ」

それは、悪魔の一言だった。

「問6。女、お前、小便がしたいのか?」


――!!!!

102スカーフ:2011/05/14(土) 15:33:44
直立不動の姿勢を保つことなど、そもそも私には不可能だったのだ。
実際、質問の途中にも、ずっとステップを踏みっぱなしだった気がする。
だが、相手の男は、きっとそんなことを気に留めたりはしないだろうと高を括っていた。

…甘かった。
当然、仕事柄上、こういう状態の人間を何人も見てきたのだろう。
そう、この男の言う通り、私はトイレに行きたかった。
しかし、それを口に出すことは、私のプライドが許さない。

「……」

痺れを切らした男は、なんとその鞭で、私の下腹部を狙ってきた。
とっさに手をガードに回そうとしたが、縛られているため動かない。
…キッドの関節が外れればそれも可能なのだが、有り得ない。

鞭は、見事にクリーンヒットした。
そして私は、反射的に下腹部――の表面を固くすることに力を込めてしまった。
それは、お腹に溜まっていたものを押し出す筋肉の使い方と非常によく似ている。
つまりは――
半強制的にとはいえ、自分で自分の排泄を促してしまったということである。

「あ…あぁ…」

痛みと恥ずかしさで訳が分からなくなった。

103スカーフ:2011/05/14(土) 15:42:57
すべてを諦めた瞬間、私の股間が、何かによって思い切り押さえつけられた。
それに合わせて力を入れ、何とか耐え凌ぐ。
…耐え切った。
落ち着いてひと呼吸し、ピンチを救ったものが何であるのかと、目線を下に向ける。

それは何と、キッドの靴のかかとであった。

………。
状況が全く掴めず混乱する。
キッドが何かの拍子に、背中にいる私のピンチを察し、私の両脚の間から自分の脚を入れ、躊躇うこともなくかかとを股間に――
恥ずかしさとか情けなさとか、言いようのない気持ちが、私を襲った。
こんな辱めを受けるくらいなら、いっそ漏らしてしまった方がよかったのではないだろうか。
そう思いながらも、おしっこの出るちょうどその部分を、ぐりぐりとキッドのかかとに押し付けている自分がいた。
もう、とっくに限界は超えているはずなのだから。

「――今のことを踏まえて、もう一度訊こう。小便がしたいのか?」

顔を上げると、男の氷のように冷たい目線が、こちらを向いていた。

104名無しさんのおもらし:2011/05/14(土) 16:28:35
キター!待ってました!

105名無しさんのおもらし:2011/05/14(土) 16:58:33
続きに期待

106名無しさんのおもらし:2011/05/15(日) 03:05:23
ふ−む
先に期待するか

107名無しさんのおもらし:2011/05/29(日) 19:21:28
期待あげ

108名無しさんのおもらし:2011/05/30(月) 01:03:24
いろんな意味で間隔が開くのって
やっぱ書き込みからにじみ出る期待感がたりないんじゃね?

109名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 14:31:30
なんでこうやって来なくなるの
いつもこうなる

110名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 15:19:44
書き溜めしてから投下すべきなんだよ
HPでカウンター増やしたいとかじゃないんだから……

っていうと作者さん居なくなるからやめろとか言われそうだが、最低限のマナーは必要だと思うんだ

111名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 15:28:00
作者さんの自由にすればいいと思うよ

112名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 20:12:14
間が空いているみたいだから行ってみるか

113名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 20:43:06
 北国の冬は、寒い。
 だからこそ、家にも町のコンビニにもエアコンがあり、それらがフル稼働して人々を寒さから守っている。
 ――だと言うのにどうして、と湖端弓子(このはたゆみこ)は床を爪先で蹴った。
 底冷えのする教室内に、床をこするような小さな音が響く。
 窓の外は氷点下。
 朝降ったばかりの雪混じりの雨が、早くも路面で凍りつく気温であるのに対して、教室内の暖房設備は旧型のストーブが一つあるのみ。
 酷薄な北国の冬の寒さを避けるには、あまりにも貧相な設備と言えた。
 さらにその唯一の暖房器具も、弓子の座る席からは離れた教室の片隅に設置されており、効果はほぼないに等しい。
 教室内の貧相な暖房設備に対する苛立ちを込め、それでも音を立てないようにそっと、弓子は爪先で床を叩く。

114名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 20:51:56
 そう、と弓子は心の中で思う。
 自分がこうしてさっきから足で床を叩いているのは――足踏みを続けているのは、あまりにも杜撰な学校の寒さ対策に怒りを覚えているからなのだ。
 決して、他意はないのだ。
 テスト中だからって、みんなもそんなに大人しくする必要はないのだ。権利を主張すべきなのだ。
 筆記用具を動かすばかりでなく、自分みたいに足を踏み鳴らすべきなのだ。
 私だけだと目立っちゃってちょっと困るから、みんなももっと音を……。
 まだまだ続きそうだった弓子の心中の独白が、不意に途切れた。
 一度大きく身を震わせて、それから何度も忙しなく足踏みをする。

115名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 20:54:38
 どうにかして波を乗り切った弓子は、匙を投げた。
 「したくない」と自分に言い聞かせるのには、もう無理があった。
 義憤に駆られたふりをして、気を紛らわせる作戦も、成功しているとは言い難かった。
 寒いのは良くない。もちろん、それは率直な意見だ。
 しかし、どうして寒いのが良くないのかと言うと、その理由は守るべき権利とも大義とも一切関わりがなかった。
 単純に、寒いと困ってしまうからなのだ。足元からじわじわと這い上ってくる冷えは、スカートの下に履いたタイツ程度で防げるものではない。
 身体の冷えは、テスト中に感じてはいけない『困った感覚』を誘発すると同時に、その感覚が強くなる勢いを飛躍的に早める。
 テストが始まってから、二十五分。最初に「困った感覚」の芽生えを察知してから、十五分。
(……したい)
 弓子は自分を苛むその感覚の存在を、素直に認めざるをえなかった。
 同時に、自分が正直かなり厳しい状況に置かれていることをも。
(おしっこ、したい)

116名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 21:00:13
 一度認めた尿意は、時が経つごとに順調に強くなっていった。
 弓子の頭はもうトイレとおしっこのことに大半が占領されてしまい、方程式や因数分解のことなど、ほとんど考えられなくなっていた。 
 それでも、弓子は諦めなかった。諦めるわけにはいかなかった。
 数学は元々成績が良くない。ここで空欄だらけの解答用紙を提出すれば、後々大変なことになるのが目に見えている。
 ここ数日間、寝る間と遊ぶ時間を惜しんで勉強してきたのだ。無駄にはできない。
(したくなったって、我慢できる。できないわけが、ないもん。もう中学生なんだから……)
 左手でスカートを強く握りしめて、タイツに包まれた両脚を小刻みに震わせながら、問題用紙を丹念に読み解いていく。
(このパターンの問題、見たことある。解き方だって、わかってる。わかってる、のに……!)
 いくら額に脂汗を浮かべて、問題文を読み、数式を組み立てようと試みても、なかなか上手くまとまらない。
 下腹部から発せられる信号が邪魔をするのだ。
 頭の中の問題文も数式も、下腹部が伝える切迫した問題の前には、簡単に押し出されて消えてしまう。

117名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 21:05:47
 やっと答案用紙の6割ほどが埋まった時、弓子はシャープペンシルを置いた。
 背中に一筋、つーっと汗が流れていくのを感じた。
 身体は火照っているはずなのに、背筋を中心に独特の寒気があった。腕には鳥肌が立っていた。
 黒板の上の掛け時計を確認する。瞳が、揺れた。自分はとんでもない間違いを冒していた、と弓子は気付かざるをえなかった。
 悠長に問題などを解いている余裕なんて、自分にはまったくなかったのだ。
 テストの時間は、まだ二十分も残されていた。
 それなのに弓子の膀胱はもういっぱいで、ひっきりなしに水分の排出を求めていた。
 強い波のやってくる周期も、最初の頃と比べると飛躍的に短くなってきている。
(我慢。我慢しないと。もう中学生なんだから……)
 トイレに行きたいのを我慢できる証として、自らを鼓舞する魔法の呪文として、これまで幾度も心の中で唱えていた言葉を弓子は思い浮かべた。
 中学生。もう中学生なんだから、絶対に失敗なんてするわけがないし、するわけにもいかない。当然のことだ。

118名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 21:08:25
 でも、と心の隅で思う。
 もしも、本当に我慢できなかったら。もしも、中学生になってまで、みんなの前でおもらししちゃったら――。
 尿意によるものとは違う、別の震えが身体に走った。
 脳裏をよぎった想像したくない恥ずかしい結末を、頭を振って打ち消す。
 膝の上で強く握られていた手が、無意識の内に、本当に助けを必要としている部分に接近する。
 いざとなったら、と弓子は考える。想像する。
 スカートの前を両手で押さえ、腰をくねらせながら、先生に尿意を訴える自分を。
 クラスメートにくすくす笑われながら、逃げるように教室を後にする自分を。
 これだけ我慢しているのだから、歩けばきっと、惨めな姿を見せることになるだろう。
 お尻を突き出して、一歩一歩内股で歩き、時には足踏みや脚を交差、果てはおちびりすら披露してしまうかもしれない。
 席は折悪しく、廊下から最も遠い窓際の席。
 しかも、列の最前列であるから、最短距離で廊下を目指すならば、教壇の前を通り過ぎることになる。
 クラスメートに恥ずかしい姿を見られるには、十分な距離だ……。

119名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 21:10:17
 考えるだけで、弓子は顔が赤くなるのを感じた。
 実のところ、弓子はこの期に及んで、「トイレに行ってきていいですか」の一言を発することにどうしても抵抗があった。
 テスト中、トイレに行かせてもらうことは、どうしても避けたかった。
 特別恥ずかしい想いをせずに、普通にテスト終了まで我慢した上で、休憩時間、他の生徒達に紛れてトイレに入りたかった。
 だから、できる限り恥ずかしくて、惨めで、屈辱的なトイレ申告を想像した。
 やっぱりそんなのだめ、ちゃんと我慢しよう、という結論に達したかったのだ。
 事実、弓子の理性は狙い通り、その結論に到達した。

120名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 21:13:15
 時計が淡々と時を刻む音が、教室に響く。
 それでも、時間はなかなか思うようには進まない。
 さらに、間断なくやってくる尿意の波は、弓子を決して休ませてはくれない。
(うう。早く、早くしてよ……が、我慢、できなくなっちゃう)
 弓子はもう筆記用具を握らなかった。
 ほとんど机に突っ伏さんばかりに背を丸め、姿勢を動かさず、じっと息を詰めて机の木目を凝視する。
 ただ、椅子の上に乗せたお尻は、常にもじもじと揺れ、「おしっこ」を強く訴え続けていた。
 たっぷりと水を湛えた膀胱が、弓子にはとてつもなく重い荷物に感じられた。
 頬を流れる一筋の汗すら、それが水であるが故に、厭わしく思える。
 ともすれば涙が滲みそうになるのを、目を細めて耐え抜く。
 少しでも気を抜けば――涙を表に出すことを許せば、もしかしたら、その拍子におしっこも滲み出してしまうかもしれない。
 それだけは避けなければならない。おもらしはもっての他だが、おちびりするのだって、絶対に嫌だった。

121名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 21:15:13
 手を挙げなきゃだめだ、と実のところわかっていた。
 しかし、弓子はその身体と本能が発する警告を、自らが恥ずかしい想いをしたくないがために、無視した。
 その代わり、弓子は天に祈った。
 テストでいい点を取ることは、もう諦めた。及第点すら要らない。赤点だっていい。
 あとで親や先生に怒られたって、全然、構わない。
 他のことはなんでもいいから、とにかく、早く時間を進めて。
 早くトイレに行かせて。おしっこを、思う存分、させて――。
 その数十秒後。天への祈りが気休めにもならないことを、弓子は知った。
(あ――)
 今までにない強い尿意だった。丸まっていた背が突然、びくん、とのけぞった。
 膀胱が収縮し、許容量を超えた液体を外に排出しようとしている。
 背筋を激しい悪寒が走り、それに伴って、トイレ以外で起きてはならない排尿時のあの震えが、全身に広がっていく。
 腰が自然と浮き上がり、両手が弾かれたように動いた。
 向かうのは、我慢が進むにつれて、徐々にその地点に近づきつつあったものの、今まで思春期の弓子の意志が決して手で押さえることを許さなかった部分。

122名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 21:18:31
(ま、待って。まだだめ。が、我慢、我慢、我慢だってば……!)
 背筋をぴんと伸ばし、腰を少し浮かしたまま、息を凝らす。
 脚をぴっちりと揃えて、出口の部分をスカート越しに両手で強く押さえる。
(い、いや。出ちゃだめ。止まって!)
 じゅ、じゅわ……。
 それでも間に合わなかった分が、尿道から外に溢れ出す。
 瞳には知らず一粒の涙が浮かび、下着の中にはじんわりと屈辱的な温もりが広がる。
(はぁ、はぁ、はぁ……で、出ちゃった)
 荒い息をつく。
 どうにかして危険な波は乗り越えたものの、本来、身体の奥底に秘めていなければならない液体を、少々とは言え、我慢しきれず外に出してしまったことは弓子にとって空恐ろしい失敗だった。
 このままではいずれ、本当に下着の中に全部出してしまうかもしれない。

123名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 21:19:37
 時計を見れば、テストが終わるまではあと十分。
 十分ならなんとかなる、と弓子は弱気になりそうな自分を励ました。
 十分間、我慢さえすれば、大手を振ってトイレに行ける。
 この執拗に暴れ続ける膀胱内の水分を、トイレで思う存分出すことができる。
 そしてこの辛くて恥ずかしい我慢も、十分後には全て過去のこととして、素知らぬ顔で思い返すことができるはずだ。
 弓子は身を硬くした。これ以上一滴たりとも零さない覚悟で、最後の十分に臨んだ。

124名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 21:26:28
(あっ、あっ、お、おしっこ、おしっこお、また出ちゃう。また出ちゃうう)
 もう幾度目かの強い波が来て、弓子の尿道口から液体が迸る。
 冷たくなりつつあった下着が、再び股間を中心に温かくなった。もう何度目かわからないおちびり。
 最初の時は小さな染みができた程度だった下着も、度重なるおちびりのせいで、今やすっかりおしっこまみれになっていた。
 我慢しきれず溢れ出す量も、回を重ねる度に多くなり、今回に至っては漏れ出したおしっこが下着の中で渦を巻いて、お尻の方までぐっしょりと汚している。
 複数回におよぶおちびりの影響は、下着どころか、その外にまで現れ始めていた。
 防寒のため下着の上に着込んだタイツは、股間を中心にじっとりと水分を含み肌に張り付いていた。
 ぎゅっと押さえつけている制服のスカートの股間にすら、小さな楕円の染みが浮かび上がり、中学生にもなって弓子がしでかした失敗を物語っていた。
 お尻の方に回った液体も、もはや下着とタイツだけで吸収することはかなわず、弓子が座る椅子をも濡らすに至っている。

125名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 21:30:04
(ま、またやっちゃった……。で、でも今回も我慢できた。お漏らししてない。してないもん)
 弓子の状態は、本人がなんと思おうが、もはやおちびりというよりお漏らしに近かった。
 それだけの液体をこぼしていてなお、弓子の膀胱に溜まる水は少しも減らずに、さらなる排出に向けて収縮を続けている。
 あと数回おちびりを続け、椅子をおしっこが伝い落ちるまでになれば、周囲に露見せずに済ませるのは難しくなってくる。
 これ以上、おちびりもしてはいけない。弓子にもそれはわかっていた。
(あと三分。あと三分。あと、三分したらトイレ。トイレでおしっこ。早く早く早く早く早く早く……!)
 「早く」を延々と繰り返しながら、弓子は恥も外聞もなく子供のように地団駄を踏んだ。
 静かな教室に、場違いな足音が響く。
 数人が目を向けたものの、弓子はそれにも気付かない。
 早くトイレに駆け込み、下着とタイツを下ろして、おしっこをすることだけしか考えられない。
 おしっこを限界まで我慢しての三分は、弓子がこれまで味わったあらゆる三分をはるかに超えた長さだった。

126名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 21:34:20
 永遠にも思える時間が過ぎ去った後、ついに弓子の耳にテスト終了のチャイムが届いた。
 監督の教師が教室を出て行き、皆が思い思いに立ち上がる。
 夢にまで思い描いた休憩時間を前にして、弓子はしかし、立ち上がることができなかった。
 我慢に我慢を重ねたおしっこは、弓子の中で今にもこぼれてしまいそうな危うさをはらんで、静かに揺れていた。
 今、不用意に立ち上がれば、出てしまうかもしれない。そんなことになってしまえば、これまでの我慢が全て水の泡と消えてしまう。
 それでも、トイレに行くにはどうにかして立ち上がらなければならない。目的の場所まで、歩かなければならない。
 弓子は慎重に慎重に、腰をずらした。下腹部に決して負担を与えないように、両脚を地に下ろし、ゆっくりと身体を持ち上げていく。
 立てた。弓子はそのままの慎重さで一歩一歩、確実にトイレへの道を歩き出した。

127名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 21:37:39
 尿意の波は不気味なほどに鎮まっており、それが逆に決壊の時の近さを物語っているように思えた。
 ゆっくりしすぎてもいけない。かと言って、急ぎすぎれば衝撃で決壊の時を早めてしまう。
 トイレとおしっこのことを考えると、今にも走り出したくなる気持ちをぐっとこらえて、一定のリズムで距離を縮めていく。
 少しずつトイレが近づいてきて、徐々に希望が大きくなっていく。
 もうすぐ、もうすぐだ。もうすぐトイレでおしっこが――。

「ねえねえ、湖端さん」

 後ろから、声が聞こえた。心臓が止まりそうになった。

128名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 21:45:50
 首と目だけで後ろを振り向くと、そこにはクラスメートの女子が立っていた。
 西原七江。優れた容貌が目を引く同級生。格別、交流がある相手ではない。
 ずっとつけていたのだろうか。西原の口元に笑いを含んだ表情を前にして、弓子の胸の中に不安が広がる。
「そんなに真剣な顔して、どこに行くの?」
「ど、どこだっていいでしょ。関係な――」
「そお? でも、もし行くのがおトイレだったらぁ、多分、空いてないと思うよ」
 とんでもないことを、何でもないように言う。弓子は「え?」と思わず聞き返した。
 姿勢は、西原に背を向けたままだった。
 しっかりと両手で前を押さえた姿で、クラスメートと正面から向き合うことはとてもできない。
「さっき何人か、いっぺんに行ったもん。そんなに驚くことじゃないでしょ。
 ほら、テストが終わったばっかりだし。トイレに行きたくなる子が多いのも、当然だよね」
 私は別に全然行きたくならなかったけど、と西原が上目遣いで弓子を見る。口元に悪戯っぽい笑みがひらめく。
「確か、湖端さんはとっても行きたかったんだよね。だからぁ、大丈夫かなあ、って心配になっちゃって」

129名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 21:53:43
「べ――別に、そんなの」
 必死で弁解しようとすると、西原はあははは、と高い笑い声を上げた。
「う・そ。それはないよー、湖端さん。私、ずっと見てたんだから。
 最後の方なんて、なあに、あれ。ばたばた足踏みまでしちゃってさ。
 ……それにー。もしも、本当に全然何にもないのなら、どうしてさっきから後ろを向いているの?
 どうして、こっちを向けないのかな?」
 弓子は図星を突かれて黙るしかなかった。
 「ねえ? 何隠してるの?」と西原がわざとらしく前に回り込もうとする。
 弓子は慌てて全身でそっぽを向いた。
 振り向くことも、言い返すこともできずにいると、西原がふと何かに気付いたかのように吹き出す音が聞こえた。
「あららら、弓子ちゃーん。これなあに? スカートのお尻、変な染みがついてるよ。濡れてるみたいー」
 かっ、と顔が真っ赤になるのが自分でもわかった。
 これまで生きてきて、恥ずかしい想いをしたことは、数え切れないほどあった。
 しかし、おちびりの跡をクラスメートに指摘されるほどに、屈辱的なことは一つだってない。

130名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 21:59:34
「あれぇ? どうして答えられないのかなあ。あー、湖端さん。も・し・か・し・てー」
「――もうほっといて!」
 弓子はうるさいクラスメートを振り切って、トイレへと駆け出した。
 これ以上、ここで西原に付き合っている暇はない。いつまた、とんでもない大波に襲われるかもわからないのだ。
 急激な行動に、膀胱が悲鳴を上げる。
 それでもトイレは今やすぐ近く。駆け込んで即座にタイツと下着を下ろせば、十分に間に合うと踏み、速度は緩めなかった。
 夢にまで見た女子トイレに走り込んでみて、弓子は愕然とした。
 弓子を迎え入れようと開いている扉が、一つとしてなかった。個室が全て埋まっていたのだ。
 目の前が真っ暗になって、トイレの壁に手を突く。ひんやりとした感触が伝わってきて、ぶるり、と身体が震える。
「ほーら、だから言ったじゃない。弓子ちゃんの愛しのおトイレはいっぱいだーって」
 追いついてきた西原が、嬉しそうに言う。

131名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 22:12:47
 弓子には、もはや西原の声は聞こえていなかった。
 身体にかかる負担を無視して走ったりした反動が来たのだ。
 膀胱がうねうねと生物のように蠢き、尿道口をこじ開けにかかる。
 耐え切れるかどうか危うい波を前にして、理性の糸が切れた。
 手近な個室の壁を、強くノックする。二回、ノックの音が返ってきた。
 それでも弓子は諦めきれずに、何度もノックを繰り返す。しかし、返ってくるのは、平坦なノックの音のみ。
「お、お願い。早く、早くしてよぉ。おしっこ、おしっこしたいの。でちゃうのぉ……!」
 決して開こうとしない個室の扉を前にして、弓子はついに声に出して尿意を訴えた。
 スカートの前を握り締め、地団駄を踏む。突き出されたお尻が、くねくねと八の字を描くように揺れる。
 もうなんでもよかった。今すぐトイレでおしっこがさえできれば、他のことはこの際、どうなったっていい。
 今にもへたり込みそうになりながら、個室の扉にもたれかかり、弓子は必死の想いで救いを求めた。
 しかし、それでも扉は開かない。

132名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 22:26:32
「だめよ、弓子ちゃん。順番はちゃんと守らなきゃ。今はまだ前の人の番でしょ。
 それとも、弓子ちゃんは順番を待っている間、我慢できないほどお子ちゃまなのかな?」
 西原は吹き出しそうになるのをこらえながら、弓子の痴態を満足げに眺めた。わざとらしい、小さな子に言い含めるような口調。
 弓子には西原の口調に腹を立てる余裕もなかった。
 爆発的に高まった尿意が全身を貫き、疲弊しきった括約筋の隙間を縫って、再び液体が下着の中へと噴出しようとしていた。
「おしっこ、おしっこ、おしっこ、我慢できないの、おね、お願いぃ、出る、出る、出ちゃうう……!」
 弓子は狂ったように個室の扉を乱打しながら、身体の中から出ようとする液体を全身全霊を込めて食い止めようとした。
 じゅ、じゅじゅじゅじゅじゅ。
 しかし、努力も虚しく、やがて下着の中がじわぁ、と熱くなった。
 すでにできていたタイツとスカートの染みが、みるみる内にまた一段階大きくなる。
 今度の噴出は今までとは違い、瞬間的なものではなかった。五秒間ほど、断続的に続いた。

133名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 22:31:43
 時間の分だけ、外へと流出した液体の量も多い。
 下着を通り越し、タイツの中に注ぎ込まれたおしっこは、足を伝って、紺色のタイツに黒い染みの線を描きながら床へと伸びた。
 股間からはおしっこの雫がぽと、ぽと、と音を立てて垂れ、足元に小さな水たまりを形成していく。
「……ッ。はっ、はぁ。と、止まった……」
 弓子は真っ青な顔をして、放心したように呟いた。
 途中で止めることはできたものの、弓子が衣服の中に出してしまったおしっこは、今回だけでかなりの量に上っていた。
「あーあ」
 西原が口元に手を当てて、呆れたような声を出す。
 手で半ば隠れた口元には、相変わらず、恥ずかしい同級生の失敗を楽しむかのごとき笑みが浮べている。
「弓子ちゃんったら、やっちゃった。こんなにいっぱい漏らしちゃって、どうするつもり?
 もうここはおトイレなんだよ? おトイレまで来て、どうして我慢できないのかなあ。
 間に合わなくておもらしなんて、今時、小学生だってしないよ? 同級生として恥ずかしい」
「も、もら……! 漏らしてないもん。これは、ほんのちょっと、ちびっちゃっただけで……」

134名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 22:34:59
「あららら。これが? ほんのちょっと? ちびっちゃっただけ?
 そんな言い訳、誰も聞く耳持たないよ。湖端さん。
 ――これはおもらし。誰が見たってそうだよ。湖端さんは中学生にもなって、おしっこもらしちゃったの。
 私、みんなに教えてあげよっと。湖端さんはおしっこも我慢できない、おもらしちゃんだって」
「や、やめてよ! そんなの嘘。だって、まだ我慢して……」
「えー。信じらんない。こんなにもらしておいて、まだするつもりなんだ?
 うふふ。でも、湖端さんのことだから、どうせまた我慢できなくてパンツの中に全部しちゃうんでしょ?」
「そんなのしないったら! 私は、ちゃんとおトイレで……」
「ふうん。おトイレで、ねー。じゃあ聞くけど、どこのおトイレでするつもり?
 ここにはまだ湖端さんが使えるおトイレは、ないみたいだけど?」
 西原の言う通りだった。すでにここで順番待ちを始めて、ある程度時間が経過しているはずなのに、個室の中からは物音一つしなかった。
 どうして、こんなにも静かなのだろう。弓子がそれを不審に思い始めた時だった。

135名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 22:37:42
 西原がまた新しく楽しいことを発見したように華やいだ声を上げた。
 腕時計を、弓子に向かって指し示してみせる。
「あー! 大変。ほら、見て、時間。もう休憩時間終わっちゃうよ。
 早く行かないと、次のテスト、遅れちゃう。さあ、湖端さんも、行こっ」
「え、でも、私はまだ……」
 キーンコーンカーンコーン。弓子の反論をかき消すように、チャイムが鳴り響いた。
「早くっ」
「や、やめてよ。引っ張っちゃ、だめ!」
 西原に半ば引きずられるようにして、弓子は膀胱に溜まった重たい荷物を降ろせないままに、女子トイレを出た。
「放してよ。お願い、放して……!」
 弓子は女子トイレを出たところで、踏みとどまった。
 今から教室でテストを受けるなんて、考えるだけでもぞっとした。すでにどうしようもなく限界なのだ。
 席について、白紙の答案を前に一時間。持つわけがなかった。
 みんなの前で、最後の瞬間を迎えてしまうことは火を見るより明らかだった。

136名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 22:44:05
「あれー? なんだか反抗的だなあ。おしっこもらしのくせに生意気ー。
 ……ふふ、なあに、怖い顔して。だめだよ。もっと楽しい顔しないと。
 言うこと聞かないなら、くすぐるよ? 我慢できなくなるまで、たくさんこの場で、くすぐってあげる」
 そう言いながら、西原は弓子の脇腹をちょんとつついてみせる。
「だ、だめっ。やめてよぉ!」
 それだけのことで、弓子は足踏みの速度を加速させ、また新たな水滴を地面に垂らすことになった。
 本当にくすぐられたら、すぐに限界を迎えてしまうだろう。西原の言うことを、聞く他なかった。

137名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 22:46:24
「いい子。あと、もう一つ、注意しとくね。
 これからテストを受けるけど、絶対に先生におトイレ行きたいなんて言っちゃダメなんだから。
 そうやって、ズルして行かせてもらうつもりなら、私にも考えがあるから。
 知ってる? 私、保険委員なんだ。
 『先生、湖端さん、体調悪そうだから私が付き添います』なーんて言ったら、すぐに抜け出せるんだから。
 それで、おトイレの前まで、手厚く付き添ってあげる。もちろん、個室の中には入れてあげない。
 湖端さんには大好きな白い便器を見ながら、たっぷり、おしっこを我慢させてあげる。
 目の前の便器に腰掛けておしっこをすることを夢見ながら、本当には個室の外でパンツさえ下ろせずに、ぜーんぶパンツの中でやらせてあげる。
 ……ね。だから、ズルしないで、ちゃんと我慢してね。
 ほら、着いたよ。私達の教室。はい、お座りしなさい。テストが終わるまで、絶対に立っちゃだめよ?
 ちゃんと最後まで我慢できたら、ごほうびにおトイレでやらせてあげるからね。約束」
 こうして、切迫した問題を何一つ解決できないまま、弓子は次のテストに臨むことになった。

138名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 22:48:44
 テストの始まる間際になって、遅れて後から数人の女子が教室内に入って来た。
 彼女達は西原と何やら一言、二言交わして席に着いたが、弓子は見ていなかった。
 それどころではなかったのだ。

 時計の針が開始十分を過ぎた頃、弓子のスカートのお尻は、また新たなおちびりでぐっしょりと濡れていた。
 もはや水分をこれ以上吸収しなくなった下着とタイツを通り抜けて、椅子に流れ出したおしっこが、ぽたぽたと端から床に落ちる。
 尿意は一つの波を超えても、もはやほとんど鎮まらずに弓子を責め立て続けた。
 斜め後ろの席からは、西原の好奇の視線を感じるものの、もはやどうすることもできない。
 西原の思惑通りに動かされていることを知りながらも、弓子は必死の我慢を繰り広げることしかできなかった。
 十五分が経過した時、弓子は目の前が白く明滅するのを感じた。
 いよいよ最後の時が刻々と近づいてきているのを、弓子は悟った。
 どうせおもらししてしまうならば手を挙げよう、と思った。
 教室でみんなの前でおもらしするよりは、西原以外、誰も見ていない廊下でやる方がずっとマシだ。

139名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 22:55:13
 全てを覚悟し、弓子は手を挙げた。
 これまで逡巡していたのが嘘のように、何の抵抗もなく、手を挙げることができた。
 斜め後ろから、西原が驚く気配が伝わってきた。
 きっと、ニヤニヤとあの意地悪な笑みを浮かべて、順調に追い詰められていく私を眺めていたのだろう。
 いよいよみんなの前で限界を迎え、クラスメート全員に見られながら、おもらしする私を眺めていたかったのだろう。
 でも、そうはさせない。弓子はまなじりを決して、声を上げた。自分にだって意地がある。
「せ、先生、す、すみません。その、お、おトイレに、行かせて下さい」
 あまりの尿意に声は上ずり、惨めな姿ではあったが、弓子は一矢報いたつもりでいた。
 監督の教師も特に制止することなく、頷いた。これで西原のシナリオから脱出できる、と思った。思った矢先だった。

140名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 22:59:23
(あれ……? ど、どうして……)
 身体が、思うように動かなかった。
 がたがたと熱病にかかったように全身が震え、足にまったく力が入らない。
 椅子に半ばこすりつけるようにして、我慢を続ける動作も止めることができない。
 やめれば即座に、おもらししてしまう予感があった。
 あぁ、と初めて気付いた。もう、だめなのだ、と。
 もはや、我慢の限界を超えすぎたせいで、立つことすらままならないのが今の自分なのだった。
 この場から退出する許可をもらったのに、いつまで立っても動き出さない弓子の挙動の不審さに、クラスメートの大半が彼女を見つめていた。
 一部は、彼女のスカートがところどころ濃く色が変わっていることや、足元に小さな水たまりができていることにも気付いた。

141名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 23:09:09
 弓子の挙動の意味に気付いたのだろう。
 西原が斜め後ろの席で、くすっ、と愉快げに笑ったのがわかった。
 ぐにゃりと涙で視界が歪む傍ら、西原の嘲笑的な声が聞こえたような気がした。

『くすくす。私に逆らおうとするから、こうなるんだよ。
 ほおら、クラスメートのみんなが見てる。
 大人しくちゃんと我慢していたら、おもらしを始める瞬間までみんなに見られなくて済んだのにね。
 さあ、どうするの。これ以上、何かできることはある? ふふ、ないわよねえ。
 湖端さん。今日からクラスどころか、学年中で噂の的になれるよ。おもらし弓子ちゃん、って。
 さあ――盛大にお願いね。みんなが見ている前で、全部、パンツの中にやっちゃいなさいな』

142名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 23:13:19
 じゅじゅじゅ。
 弓子の決壊はゆっくりと始まった。
 まず、ひびだらけの水門から水が漏れ出すように、少しずつおしっこが外に染み出していった。
 それから、徐々に流れ出すおしっこの勢いが強まっていく。
 じゅるじゅる、じゅわわわ。
 清流から奔流へと、その勢いの増し方は止まるところを知らず、ついには静まり返った教室内におしっこの迸る音すら聞こえるほどだった。
 しゅうううう、しゅわああああああ。
 おもらしの最中ですら、弓子は両手で前を押さえ続けることをやめていなかった。
 そのため、すでに汚れていた弓子の下着、タイツは言わずもがな、スカートまでがおしっこ漬けとなり、
これまで無事であった箇所もほとんど余さず色を変えていった。
 上半身を包む制服のブレザーにも、下腹部を中心にして、失禁の跡が刻まれていく。
 紺色のタイツには、無数の黒い線が新たにくっきりと引かれ、元々汚れていた部分は染みの幅を大きくした。

143名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 23:15:49
 椅子から滝のように流れ落ちるうす黄色の液体は、音を立てて床で弾け、大きな水たまりとなった。
 水たまりは、瞬く間に隣席の机の足の所までも到達するほどになった。
 雪国の寒い季節、教室で女の子の身体から解放されたばかりの液体は、ほかほかと盛大に白い湯気を立てていた。
 自らが我慢しきれず漏らしてしまった液体が、恥知らずにも湯気を発する光景は、ただでさえ敏感な少女の羞恥心をより一層かき立てた。
 もらし立てのおしっこからは、思春期の少女特有の鼻をつく甘酸っぱい匂いが漂い、教室中に充満する。
 液体、匂い、湯気。本来は個室の中で誰にも見られることなく処理されるはずのものたちが、今この時、教室という公共の空間で自らの存在をそれぞれ主張し合っていた。
 限界まで我慢したおしっこの勢いは、なかなか弱まることはなく、弓子のおもらしは長時間に及んだ。

144名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 23:18:29
 弓子は泣かずにいようと努力したが、無理だった。
 情けなさと恥ずかしさと気持ちよさがないまぜになって、涙が後から後からこみ上げて来た。
 こらえようとしても、鼻の奥がツン、と痛むばかりでなんともならない。
 涙は頬から床の水たまりに落ちて、消えていった。
 ようやくおしっこの勢いがなくなり始めた頃、弓子は冷めてきた頭で自らの演じた大失態を強く後悔していた。
 羞恥で耳までが真っ赤に染まっていた。周囲の人々の反応を見るのが怖くて、どうしても顔を上げることができなかった。
 どうして、とここに到るまでのいくつかの瞬間が脳裏に浮かんでくる。
 どうして、そもそもトイレをきちんと済ませた上で、テストに臨まなかったのだろう。
 どうしてあの時、もっと早くおしっこがしたいのを先生に伝えなかったのだろう。
 どうして、どうして、どうして。
 どうして、ちゃんと我慢できなかったのだろう。どうして、こんな取り返しのつかない失敗を、してしまったのだろう。

145名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 23:20:44
 西原はきっと目を耀かせて、今の惨めで恥ずかしい自分の姿を見ているのだろう。
 心の中で、けらけらと嘲笑っているのだろう。
 それを想うと、悔しさと情けなさで胸がいっぱいになった。
 異様な雰囲気が、教室を包んでいた。
 監督の教師もなかなか声をかけることができず、結局、弓子はテストが終わるまでずっとおもらししたままの姿で教室にあり続けた。
 顔の前で、ぱたぱたと手を振る男子がいた。鼻をつまんで、くすくす笑い合う女子達もいた。
 上目遣いでそれを確認する度、弓子は強く打たれたように身を縮めた。

146名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 23:22:45
 その後、自らの大成功と湖端弓子の大失敗の話を、西原は好んで人にした。
 もちろん、自分が一部仕組んだことは伏せた上でのことだった。
 教室で実際にその現場を目の当たりにしたクラスメート達も、噂の伝播に一役買って、弓子の失禁は周知の事実となった。
 弓子は不登校になることこそなかったものの、事あるごとに恥ずかしい失敗の過去を持ち出され、その度、頬を赤く染めた。
 話が広まりすぎたせいで、失敗したのは一度きりだったのに、女子からも男子からも『おもらしキャラ』として扱われ、弓子はそれがいつも恥ずかしくてたまらなかった。
 それでも、おもらしの話をされる度、赤面して小さくなる弓子の姿は男心をくすぐった。
 結果、弓子は飛躍的に男子からの評判を高めた。
 年が変わる頃には、学年で最も男子から受けの良かった西原七江を抑え、ついに一番人気のある女子となった。
 西原は悔しさに歯噛みしたが、弓子は特に嬉しさを覚えなかった。

147名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 23:25:31
 ――あの恥ずかしい日のことなんて、みんな、早く忘れてくれたらいいのに。
 下着もタイツも、あの時、身に着けていたものは全て捨てた。
 制服も靴も買い換えた。
 長かった髪だって、ばっさりと肩の辺りで切ってしまった。
 あの恥ずかしい失敗のことを忘れて、新しくやり直す準備はできている。
 なのに、周囲だけがどうしてもそれを許してくれない。
 周囲だけがどうしても『おもらし』のことを忘れてくれない。
 当分払拭できそうにない自分に付着した『おもらし』のイメージを意識して、弓子は今日も深いため息をついた。

148名無しさんのおもらし:2011/06/05(日) 23:34:27
終わり。さーて、土下座するか!

……本当に申し訳ありませんでした
始めてだったので勝手がわからず、エディタで書いたのを考えなしに
掲示板に流し込み始めたのだけど、まさか、30レス分も消費することに
なるとは思ってもみなかった
途中で「あれ? これやばくね?」と思ったけど、中途半端でやめるのも
アレなので、全部叩き込んでしまった

149名無しさんのおもらし:2011/06/06(月) 00:46:05
大作GJ

150名無しさんのおもらし:2011/06/06(月) 01:38:02
面白かったよ!

151名無しさんのおもらし:2011/06/06(月) 04:45:47
>30レス分も消費することになるとは思ってもみなかった
まあ1レス当たりの量の制限もあるから仕方ないんじゃないの?

昭和の香りのする古典的なトイレ行かせないイジメものって最近少ないだけに
いいね

152名無しさんのおもらし:2011/06/06(月) 06:52:53
よかったよ!
俺は長くても楽しめるし、長くて迷惑がる人いないと思うよ

>>111
途中で作品放置は後続者にとって書きにくい空気になるのが問題なのよ
SS系スレが廃る原因のひとつでもある

153名無しさんのおもらし:2011/06/06(月) 06:56:58
>>152
寸止め→再開が当たり前になってれば問題ないんだけどな
誰かが止めても当たり前に次の人が自作品の続きをかくような
連載数本抱えてる状態のスレなら中断も問題ないが
更新が数カ月に一度の過疎スレだとね

もっとも後続がまず来る見込みが無いから
続けるのか続けないのかもはっきりさせず投げて
そこに甘えてるという見方もできるが

154名無しさんのおもらし:2011/06/07(火) 01:04:55
GJです!

自分が日曜にここを見たときは、126までしか書き込まれてなかったから
まさかそこから倍以上あるとは思いもしなかった

155名無しさんのおもらし:2011/06/07(火) 01:31:16
これはまた期待通りだ

156名無しさんのおもらし:2011/06/16(木) 17:14:59
 ボクが、柏原 ちひろが中学校に編入して、もう二ヶ月になる。
 教育係付きで敷地からは一歩も出られない『箱入り』状態から抜け出すために、
 父さんと七日七晩にも及ぶ口論(たまに取っ組み合い)をして、ようやく中学生ライフを勝ち取ったのだ。
 のだ、けれど。

 お腹の奥からぞわぞわとせり上がってくる感覚に、脚の前で鞄を持つ手に自然と力がこもる。
 はやく家に帰って、おトイレに行きたい。
 太ももを閉じてすり合わせたくなるのを我慢して、はあぁ、と吐息をまたひとつ零す。
 お腹の中には、朝から今、放課後までの間に溜まったおしっこが、ちゃぷちゃぷと音を立てている。
 特に今日は体育の後にお茶を飲みすぎたせいか、いつもよりも辛い気がした。
 学校のトイレを使えたら、こんな苦労をしなくてもいいのに。
 女の子なのにも関わらず男子用の学生服に身を包んだボクは、いつものように心の中でそう愚痴っていた。

157名無しさんのおもらし:2011/06/16(木) 17:15:21
 父さんが出した条件。それは、『男として学校に通う』ことだった。
 なんでも悪い虫がどうたらこうたらということらしい。
 それ以上はどうしても譲ってくれず、しぶしぶ受け入れて、男装女子がここに誕生したわけだ。
 髪を短くしたり、一人称も『私』から『ボク』に変えたり、と男っぽくなる努力をした結果、
 男でもおかしくない名前のおかげもあってか、幸いにも今のところは不審に思われたりはされていない(はず)。

 問題はトイレだ。男として通っているのだから、もちろん女子トイレは使えない。
 そして、年頃の女の子としては男子トイレという選択肢もあり得なかった。
 個室に入ろうものなら『大きい方をしている』と勘違いされるだろう。もしその事でからかわれたりしたら。
 それ以前に、男子と同じ便器を使うというのも、ボクとしてはあまりしたくない。
 男子がおしっこやら大きいのやら、ひょっとしたら白いアレも出してるかもしれない個室を使うなんて。
 ……結果、ボクはまだ学校でトイレを一回も使っていない。どうしてこんなことに。

158名無しさんのおもらし:2011/06/16(木) 17:17:55
 やっと信号が青に変わる頃には、尿意は危険水域にまで到達していた。
 お腹の中のおしっこを揺らさないように、そろそろと慎重に横断歩道へと足を踏み出していく。
 けれど、むず痒いようなくすぐったいような感覚のせいで、渡り終えるまでに何度か立ち止まらざるを得なかった。
 歩き方も、気を抜くといつもより角度大幅増しの内股になっている。
「ま、間に合う、かな……?」
 家まではまだそこそこ歩かないといけない。
 『もしかしたら、家まで我慢できないかも』という思いが、胸の中でどんどん大きくなっていく。
 それに反応するように、きゅん、とボクの下腹部が疼きだした。
 たちまち尿意の波が押し寄せてきて、堪らずにもじもじと太ももをはしたなくすり合せてしまう。
 どうしよう。本当に、そろそろヤバいかもしれない。
 弱気になり始めてきたボクの目に、住宅街へと入る道の先、小さな公園が飛び込んできた。

159名無しさんのおもらし:2011/06/16(木) 17:19:43
 確か、あそこにはおトイレがあったはずだ。
 一度クラスの男子たちと遊んだ時に、トイレに行っていた子がいたのを覚えている。
 もし誰も居なかったら、こっそり女子トイレに入れるかも。
 そう考え出すと、もうダメだった。まだいくらかの猶予があったはずの尿意が、一気に加速していく。
「ゃ、あ、ぁ、あぅぅ、っ」
 小さな子供みたいにズボンの股間部分をぎゅっと押さえて、口からは上ずった声。
 今すぐ、おしっこがしたい。我慢できない。はやく、はやくしないと。
 家までなんて悠長なことは言ってられない。一刻も早くあの公園のおトイレに行かなきゃ。
 お腹の中の水面が落ち着いてきたのを確認すると、ボクはよろよろと住宅街の方へ歩き出した。

160名無しさんのおもらし:2011/06/16(木) 17:21:07
 逸る心とフライングしそうになる身体をなだめながら少しずつ歩を進め、ついにトイレの前。
 一瞬心が緩みかけて、けれどすぐに気を引き締める。
 個室の中に入って、おしっこをする準備を整えるまでは油断はできないのだ。ここまで来て失敗なんてしたくない。
 もう一度振り返って、誰も見ていないのを確認し、ボクは念願の女性用トイレへと踏み込んだ。

 個室が1個しかない狭いトイレだけれど、意外にも中はちゃんと綺麗に掃除されていて一安心。
 1歩、2歩、3歩。あと少し、あと少し、と自分を鼓舞しながら歩いて、残り2メートルというところで、ようやく気づいた。
 ドアノブの下の赤いマークと、個室の中から聞こえてくる唸り声に。
 そう。
 薄い板一枚隔てた向こう側にある、『おしっこをしてもいい場所』は――使用中だったのだ。

161名無しさんのおもらし:2011/06/16(木) 17:23:06
 あまりの事態に、一瞬何が何だかわからなくなる。
 このおトイレを誰かが使っている。察するに、たぶん大きい方を気張っている真っ最中なのだろう。
 つまりそれは、ボクは個室の中にはしばらく入れないということを意味していた。
 やっと、おしっこできると思ったのに。
 突然の『おあずけ』に、話が違うとばかりにお腹の中でおしっこが暴れだす。
「っ、ゃ、だ、だめっ、まだ、が、我慢っ、しな、きゃ」
 お尻を後ろに突き出した中腰の姿勢で、太ももはぴっちりとくっつけて、股間には手を入れて。
 誰にも見せられないような恥ずかしい格好のまま、それでもどうにか温かい奔流が溢れ出すことはなかった。
 ……ボクサーパンツの中に数滴だけチビってしまったけれど。

162名無しさんのおもらし:2011/06/16(木) 17:25:48
 小康状態になった下腹部を優しくさすりながら、ボクはぜぇ、ぜぇ、と荒い息をつく。
 はやく終わって、はやく出てきて、とトイレの中へ念じるボクだったけれど、不意に重要なことに思い至った。
 ここが女性用のトイレで、ボクは男の子の格好をしている、ということに。
 もし見られたら、確実にヘンタイ扱いされてしまう。早く出なきゃ。

 こうなったらもう、男性用トイレでもいい。ちょっとぐらい汚くてもいいから、おしっこがしたい。
 そう思った時には遅かった。
 女性用トイレの入り口で、ボクはすでに一歩も動けない状況に追い込まれていたのだ。

163名無しさんのおもらし:2011/06/16(木) 17:27:54
 こんなことになるなら、恥ずかしくても学校でおしっこをしておけば。
 後悔するボクの下腹部で、おしっこをたっぷり溜め込んだ膀胱が、きゅぅぅぅん、と伸縮した。
「っ、ぁ、あぁ、ゃ、だ、だ、めぇ、っ」
 ズボンの中から、ぶじゅ、ぶじゅ、とくぐもった音が断続的に響いて、下着の中を暖かい感覚が満たしていく。
 朝からの長い長いおしっこ我慢が、『オモラシ』という最悪の形で終わるなんて、絶対に嫌なのに。
 だめ、止めなきゃ、と必死に股間を押さえつけても、切ない痺れがそこに押し寄せるたびに、出口が緩んでしまって。
 これ以上の我慢なんてできないのは、明白だった。

 地面に落ちている紙コップが、ふと目に入る。紙コップ。つまり水を入れる容器。
 頭で何か考える前に、ボクは行動していた。

164名無しさんのおもらし:2011/06/16(木) 17:30:19
 急いでベルトを外し、ファスナーを下ろさないまま無理やり膝の辺りまでズボンを引き下げる。
 その間にも、おしっこは次々とボクサーパンツの中へと注がれていた。
 構わずに、はやく、はやく、と呟きながら、そのボクサーパンツも引き下げて。女の子の大事な部分が、露出する。
 そしてボクは、中腰のまま電光石火の速さで紙コップを拾い、股間へと押し当てた。
 途端に。
 ぷしゃあぁぁぁ――と甲高い音を響かせて、おしっこが紙コップの中へと噴き出した。
「っ、ふああっ、あぁ……」
 気持ちよさ過ぎて、甘い吐息を抑えられない。
 限界状態からの放尿は、覚えたてのえっちな遊びよりもずっと鮮烈な快感に満ち満ちていた。
 このまま浸っていたいけれど、ここじゃ誰かが通りがかったら見られてしまう。
 がくがくと震える脚を叱咤して、ボクはトイレの裏手へと移動した。

165名無しさんのおもらし:2011/06/16(木) 17:31:10
 ここなら見られない、大丈夫だ。
 そう思ってボクが気を緩めておしっこしていたのも束の間で、予想外の事態が発生した。
 おしっこが終わる気配がないまま、紙コップが満水近くまで来てしまったのだ。
 紙コップといってもファストフード店のMサイズのもので、400mlぐらいは入るはずなのに。
 止めようとして、おしっこの出口に力を込める。
 けれどそこはだらしなく緩みきったまま、おしっこをやめようとしない。
「ぅう、だ、だめ、だめなの、もう、溢れちゃう、止まって、っ」
 言った側から紙コップが一杯になり、縁から零れたおしっこが、膝にかかったズボンへと落ちていく。
 なんとかして我慢するために、ボクは足の位置を変えようとして、けれどそれが失敗だった。
 スニーカーの足底が地面を捉えそこね、バランスを崩して――そのままお尻から地面に転んでしまったのだ。

166名無しさんのおもらし:2011/06/16(木) 17:32:21
 お尻を打った感覚。
 ついで、紙コップの中に入っていた生ぬるい液体が胸の辺りにぶちまけられる。
 下腹部からは、なおも線を描くように勢い良くおしっこが放たれて、ズボンとボクサーパンツを台無しに濡らしていく。
 もう、どうすることもできなかった。
 おしっこを止めるだけの力も、気力も、ボクには残っていなかった。
「っ、ひっく、やだ、よぉ、おしっこ、でないで、でちゃ、だめ、なのに……」
 ボクの下に、おしっこの水溜りが広がっていく。ツンとした特有の匂いも立ち込め始める。
 女の子としてのプライドをボロボロのぐちゃぐちゃに粉砕されて。
 ただただ惨めな気分のまま、それでも身体は壊れた蛇口のように、まだまだおしっこを出し続けるのだった。

167名無しさんのおもらし:2011/06/16(木) 17:34:11
以上です。
男装女子を我慢させるってどうなんだろう、という電波が急に来たので。
どうしても服装が男物になってしまうのが弱点ですが。

投下しておいて今更ですが、下着を膝まで下ろした状態で、おしっこで着衣を汚してしまうのは、
果たしておもらしなのか放尿なのか、どっちにカテゴライズされるんでしょう?

168名無しさんのおもらし:2011/06/16(木) 22:36:22
男装女子っていいアイディアだと思う!

169名無しさんのおもらし:2011/06/17(金) 00:13:39
GJ!!

170名無しさんのおもらし:2011/06/17(金) 01:53:55
これも先のうごきが期待できるなw

171名無しさんのおもらし:2011/06/17(金) 16:10:35
容器放尿最高

172名無しさんのおもらし:2011/06/18(土) 20:55:13
おいおい最高ジャンか

173名無しさんのおもらし:2011/06/25(土) 14:32:48
思ったほどの動きはなかったなw

174名無しさんのおもらし:2011/07/22(金) 00:51:12
初投稿&執筆

日の落ちかけた夕方の人気のあまりない川沿いの遊歩道にその少女は居た
「・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・」
息が荒く足取りもおぼつかない。立って歩いているのがやっとのようだ。
「――ンっ・・・・もれそ・・う・・」
そう呟くと少女の手は腰のあたりで一度止まり、周りを確認してから
制服のスカートの前をそっと押さえた。
この少女の名前は奈緒、市内の公立高校に通う2年生で校則のため髪は黒く、
肩あたりの長さで揃えられている。身長は高くもなく低くもない平均的であり、
スタイルも平均程度、ややかわいいくらいの女の子だ。
学校を出てから30分になるだろうか。学校を出るときに催した尿意は、
家まで我慢できるだろうという甘い考えをあざ笑うかのように今にも
下着の間から漏れ出しそうになっている。
少し前からトイレを探してみるもののよく知っている土地だけに
このあたりに使えるトイレがないと言うのも分かっている。

175名無しさんのおもらし:2011/07/22(金) 00:54:00
家まであと10分もかからないが奈緒は一向に動く気配はない。
右手はスカートの前に添えられたまま、近くの塀に左手をついて中腰で必死に我慢している。
「あっ、ダメダメまだ・・・っ」
――――ジジュワッ シュー
パンツに広がる温かい水流は太腿を伝ってソックスとローファーを濡らしていく。
足もとにできた水たまりが奈緒におもらしをしたとゆう事実を突き付ける。
「ック・・ヒック・・・」
奈緒は泣きながら誰もいないことを確認し、早足で帰宅した。
しかし、この奈緒のおもらしの一部始終を見ていたものがいた。



次の日―――
「いってきまーす。」
奈緒は何事も無かったかの様に家を出て学校に向かった。
奈緒は帰宅したあと誰いないうちにスカートとパンツを洗濯し
誰にもおもらしをしたことがばれなかったのだ。

176名無しさんのおもらし:2011/07/22(金) 00:55:10
奈緒「昨日はサイアクだったなぁ。まさか高二にもなって我慢できないなんて。ハァ
まあ誰にもばれなっかたからよかったけど。 ちょうどこのあたりで――――」
???「おもらししちゃったんだもんねー♪」
奈緒「っ!!!!!」
心臓が止まるかと思った。なんで知ってるの?誰この子?ばれてる。やばい。
奈緒が混乱する中ツインテールの女の子が口を開いた。
???「別に心配しなくてもいいよー。昨日あなたがここで
おもらししたのをたまたま見つけて今日もここを通るかと思ってまちぶせしてたんだ。」
奈緒はさらに混乱する。私を待ってた?ドウシテ?・・
考えても埒が明かないと思い奈緒はツインテールの女の子に聞いた。
奈緒「あなたはだれ?私を待ってたってどうして?」
???「私?私は優子。ユーちゃんでもゆっこでも好きに呼んでいいよ。
なんであなたを待ってたかって?会いたかったからだよ。
今日学校が終わったらこの公園にきて。待ってるから。」
と言って紙を渡された。学校からそんなに遠くない私も知っている公園だった。

177名無しさんのおもらし:2011/07/22(金) 00:55:40
優子「あ、そうだ!あなた名前は?」
奈緒「えっ、名前?奈緒っていいます。」
優子「奈緒かー。じゃあ決めた!ナッちゃんて呼ぶから。いい?」
奈緒「うん。いいよ。」
優子「じゃあ待ってるよー。またねー」
奈緒「あっ」
優子は言いたいことだけ言って去って行ってしまった。まだ何故呼び出されたか聞いていないのに。
一人になって冷静になるとイロイロ分かった。制服が私たちの学校とは違った。
多分あれは隣町の高校の制服だったはず。
学校に着いてから、まし公園に行かなかったら私がおもらしをしたことをばらされるかもしれないことに気づいた。

香奈「大丈夫?今日奈緒元気ないよ?」
休み時間に声をかけてきたのは友達の香奈だ。私より少し小さくショートヘアの似合う子だ。
奈緒「そう?元気だよ!」
香奈「ならいいけど。昨日のテレビ見た?」
奈緒「アーあれ。面白かったよねー」
などとカラ元気を出してみるものの、不安は拭うことはできなかった。

178名無しさんのおもらし:2011/07/22(金) 00:57:11
放課後、香奈や友人の誘いを断り重い足取りで公園に向かった。そこには優子の姿が見て取れた。
他には近所の子供たちが遊んでいるくらいだ。
優子はベンチで電話をしており、私に気づいたようで、電話を切りこちらに向かってきた。
優子「よかったー。来てくれたんだ、ナッちゃん来てくれないんじゃないかとドキドキしてまってたよ。」
奈緒「う、うん。ところで何で私をこんなところに呼んだの。」
優子「あれ?言ってなかったっけ??まっいいや。もう少し待ってれば分かるよ。」
奈緒「待つ?」


――――5分後
公園の駐車場にワゴン車が止まった。
優子「あ、来た来た。あれに乗って行くんだよ、ナッちゃん。」
奈緒「え?行く?どこに?」
私の質問は答えられることなく車に乗せられ目的地に向かった。
車のなかで優子にもう一度聞いてみるが、ついてからのお楽しみ♪だそうだ。

179名無しさんのおもらし:2011/07/22(金) 00:58:12
話を変え優子のことについて聞いてみると、予想通り隣町の高校の生徒らしい。
驚いたのは優子は1年生だということだ。
私はてっきり同学年だと思っていたので意外だった。
話してみると2人は気が合い自然と打ち解けることができた。私は優子のことをゆーちゃんと呼ぶことにした。

目的地に着くと忘れていた不安がよみがえってきた。それを察したのか優子が説明を始める。
優子「ここはある施設がつぶれて今は廃墟になっているところなんだ。私たちが向かうのはこの地下。」
奈緒「廃墟!?地下?!なにするの?」
ついてこいという様子でさっさと先に進んでいく優子。奈緒は黙ってついて行くしかなかった。

しばらく歩くと扉が見えてきた。その扉を開くと映画館のロビ-のようになっていた。
周りを見渡している間に優子が手続きを済ませロッカールームのようなところへ連れて行かれた。

180名無しさんのおもらし:2011/07/22(金) 00:59:45
優子「じゃあこれに着替えて」
と手渡されたのはピンクのチェックの下着上下とミニスカート、ノースリーブの白シャツだった。
奈緒「着替える?なんで?なにするの?」
優子「いいから着替えて!」
といい優子は奈緒の衣装より露出の多い黄色いスポーツ下着だけの格好になった。
???「あら、その子が新しく着た子。可愛いじゃない。」
優子「あっ、真紀さん!こんにちわ。はい、この子が今日連れて来るって言ってた奈緒っていいます。」
真紀「奈緒ちゃんね、私は真紀て言うのよろしくね。」
奈緒「奈緒です。よろしくお願いします。」
真紀「奈緒ちゃんはまだ何も聞いてないよね?」
奈緒「はい、何をすればいいんですか?」
真紀「まずは優子ちゃんの試合を見て。あなたのために組んだんだから。こっちにきて。」
奈緒「試合?」

181名無しさんのおもらし:2011/07/22(金) 01:00:25
わけがわからないままロッカールームから出てリングわきへと連れてこられた。
すると優子が通路にあるトイレから出てきて1Lの水を飲むとリングに上がった。
リングには奈緒と同じぐらいの背丈の女の子がグレーのスポーツ下着だけで立っている。
真紀「あの子は奈緒と同じ16歳の香織って子よ。もう大体察したと思うけどこの試合はリングの上でおもらしをした方が負けなの
。今日は特別だけどいつもは客が入って私たちはファイトマネーをもらえるの。っと、そろそろ始るみたいよ。」

カーーーン 試合が始まった。
優子と香織はリングの中央でにらみ合ったまま動かない。
真紀「始まる前に優子が水を飲んでたでしょ?あれには強力な利尿剤が入ってるの
。今回は飲んでから何もしなければ30分で限界になるくらいの量よ。」
ダッ、 香織が動いた。優子の腰にタックルを決め倒れこむ。
優子「キャッ、痛ったいな。」
香織はすばやく体制を立て直した。優子は香織に足を持たれて秘部に足を当てられた。
優子「えっ、ちょっと、まっ・・」
香織は両足を持ち足を小刻みに振動させる。いわゆる電器アンマていうやつだ。

182名無しさんのおもらし:2011/07/22(金) 01:01:31
優子「イヤアァ、やめてやめて、出ちゃうぅ」
シュッ シュッ
優子の黄色いパンツの色が10cmくらい変色する。
香織「え?何?私の足が濡れてるんだけど?もしかしてちびっちゃった?」
優子は顔を赤くして身をよじる。ようやく香織の技から抜け出し、両手でアソコを揉みしだき呼吸を整える。
パンツのクロッチの部分はすべて濡れ、色を変えている。
奈緒「ゆーちゃん、あんなところ手で押さえてる。もう洩らしちゃいそうだよ。」
真紀「あなたも昨日はあんな格好だったんでしょう?」
奈緒は顔をポットのように赤らめる。
奈緒「あ、いや、それは・・」
真紀「奈緒ちゃんかわいい。でも優子はまだ大丈夫よ。見て。」
リングを見るといつの間にか優子がうつぶせに倒れている香織の上に乗り香織の胸に手をやっていた。
香織「んっ、ッハァ、おい、早く降りろよ・・クッ・・・・背中が・・ションベンで・・冷たいんだよ。」
優子「強がっていられるのも今だけよー」
優子が手を香織の腰まで下ろして押さえる。
香織「あっ、あっ、ヤメろよ・・ああッ」

183名無しさんのおもらし:2011/07/22(金) 01:02:23
香織は腰を引き右手でパンツを上へ引っ張り、左手でアソコを強く抑えた。
優子はだんだん押さえる力を強くしていき左手で香織のアソコを抑える手をつかんだ。
香織「いやーー、放して!!漏れる、漏れるから!!手で・・手でおさえさせて・・・」
優子「そんなこと叫んじゃって、ヤラシー。」
もう優子の声は香織には届いておらず。香織はもううげけない状態だった。
香織「んっ、ぐう、あぁ・・もう・・・もう・・」
シュッ シュッーー ジェッジュッジュワーーー
香織のグレーのパンツは黒く染まり水たまりは香織の足もとから胸元まで広がっていた。
香織のおもらしが終わると審判が確認し優子を勝者と告げる。
奈緒「ゆーちゃん、おめでとう」
優子「うん」
優子はそれだけ言うと慎重にリングを降り人目もはばからず、
パンツの中に手をいれ両手でアソコを押さえてトイレに向かった。
奈緒はトイレまで点々と水滴が落ちているのに気づいた。

184名無しさんのおもらし:2011/07/22(金) 01:03:08
奈緒「あっ、そっかゆーちゃん限界だったんだ。」
真紀「そうよ。試合が終わってもまだトイレまで安心出来ないんだから。
”試合はトイレに入るまで”ってやつ。次は奈緒ちゃんの番よ。
まずトイレに行ってから、あそこでペットボトルをもらって飲みっきってきて」
奈緒「はい、分かりました。」
優子の試合を見て次は自分だと思うと緊張してきた。大丈夫だろうか。優子のようにできるだろうか。
そう考えながらトイレに入ると優子がいた。
優子「なっ、馬鹿、入ってくるな!!」
足元を見ると大きな水たまりがあった。どうやら間に合わなかったらしい。
奈緒「ゆーちゃん、大丈夫?」
優子「なんだ、ナッちゃんか。慣れてるから大丈夫だよ。次はナッちゃんの試合だろ。がんばれよー。」
奈緒「うん。がんばるね。」
と奈緒は用を済まし、トイレを出て行った。
優子「・・・また漏らしちゃっ・・・た・・・んっ・・」

185名無しさんのおもらし:2011/07/22(金) 01:03:40
奈緒はペットボトルを受取り中の水を飲み始めたが一向に減らない。
奈緒「こんなにも飲むのー?」
やっとのことで水を飲み干し、リングに向かう。
真紀「ずいぶん長かったわね。」
奈緒「水が多くって、もう苦しいです。」
真紀「大丈夫。すぐ慣れるわ。それより試合のことなんだけど、相手は陽子。二つ下の14歳よ。
あっちもまだ二回目だから安心して。」
奈緒「はい。がんばります。」

奈緒はリングに上がった。リングの上には最初の対戦相手である陽子がすでに立っていた。
陽子は体操服にブルマと言うマニアックな服装をしていた。
利尿剤は思ったより強く、もうおしっこをしたくなってきた。いろいろ考えているうちに試合は始った。

186名無しさんのおもらし:2011/07/22(金) 01:04:08
カーーーーン
先手を取ったのは奈緒。相手の後ろに回り膀胱お押さえる。が陽子はあまり動じない。
陽子「あなた今日が初めてですよね。奈緒先輩って言いましたっけ?」
陽子が笑みを浮かべる。ヤバいと思い奈緒はとっさに陽子を押し倒し、膀胱を思いっきり押す。
陽子「うっ、いたいですよ。奈緒先輩。」
陽子はいとも簡単に奈緒の下から抜け出し、奈緒に抱きついた。
陽子「なってないですよー。そんな単調な攻撃ばっかじゃつまらないですって。」
陽子が後ろから奈緒の服を引っ張りボタンを飛ばす。
奈緒「キャ、ちょっと嘘でしょ。」
いつの間にかスカートのホックも外されほぼ下着だけの状態になってしまった。
奈緒も年下にいいようにされるのはプライドが許さない。
陽子のブルマに手をいれ、直接あそこを責める。
陽子「んん・・はぁ・・いいですよ奈緒先輩・・・その調子ですよ。」

187名無しさんのおもらし:2011/07/22(金) 01:04:30
責めているのに優位に立てない奈緒は自分の尿意もあり焦っていた
奈緒「何で、何で、何で、何で漏らさないの?早くもらしてよ!!」
陽子「何焦ってるんですか奈緒先輩。もしかしてもうおしっこもれそうなんですかぁ?」
もれそうというたんごに動揺した奈緒のパンツの中に陽子はすかさず両手をいれ膀胱とアソコを同時に攻めた。
奈緒「いっ・・・だめっ・・・・ももお・・もれ・・る・」
陽子「どうしました?奈緒先輩と同じことしてるだけですよ?」
奈緒は自分が責めていた手を防御に回すためにパンツのなかのアソコをおさえた。
奈緒「はぁはぁはぁはぁ・・・」
陽子は奈緒を責めるのを止めて奈緒の横に座った。
陽子「奈緒先輩もう漏れそうなんですか?良ければ私が負けてあげても構いませんよ。」
奈緒の心が揺らぐ。もう動けないほどにおしっこをがまんしている自分がどうしても漏らしたくないという意地と、
年下に頼らなければならない情けない自分。
奈緒「本・・・当?」
奈緒は最後の希望を託し陽子に聞いた。

188名無しさんのおもらし:2011/07/22(金) 01:04:53
陽子「本当ですよ・・・・・なんて言う訳無いじゃないですか。奈緒先輩。」
奈緒「う・・・そ?・・・あ・ああ・だめ・・」
心の糸が切れた奈緒にこれ以上の我慢は不可能だった。おしっこは太ももを伝い膝からリングへと流れ落ち大きな水たまりを作った。
陽子「奈緒先輩ったら高校性にもなっておもらしですか?中学生相手に?恥ずかしー。私はトイレでおっしこしてきますねー。」
と言い残し、わざとらしくアソコを押さえトイレに向かった。
優子「真紀さん、奈緒の試合は終わった?」
優子が試合が終わった時と同じ格好でリング脇まで来た。
真紀「優子、まだそんな恰好して、何してたの?」
優子「いや、あれだよ、あれ」
真紀「どうせ、またトイレに間に合わずにお漏らししちゃってトイレでオナってたんでしょう?」
優子「バッ、そんなわけないじゃん。それより奈緒は?・・・あーあー、負けちゃったか。
ナッちゃん早くロッカールーム行って一緒に着替えよ。」

189名無しさんのおもらし:2011/07/22(金) 02:45:00
これは期待

190名無しさんのおもらし:2011/07/22(金) 17:52:15
GJ

191名無しさんのおもらし:2011/07/23(土) 03:18:14
これも先のうごきが期待できるな

192saorin:2011/08/21(日) 02:40:32
不景気だと騒がれていますが・・・(*・ω・)☆ ttp://tinyurl.k2i.me/eQAZ

193pamo:2011/09/11(日) 17:44:30
皆さんはとある企業に使われている
「早く歩かず、止まると警報が鳴る廊下」というのをご存知だろうか?
仕事に厳しい日本人ならではの制度だと、外国人に誤解されそうな
勤労意識がちょっと強いのでは?首をひねりたくなるシステムである。

しかし、このシステムを取り入れた活気的な学校があるという。
本日は皆さんに近未来化の進んだ学校へと招待しよう。

194pamo:2011/09/11(日) 18:27:32
ここは○○高校、この高校は今年の春から廊下にあるシステムを導入したという。
ではさっそくどんなシステムかご覧いただこう。

「・・はぁっ、はぁっ。」 一人の女子高生が廊下をひた走る。
彼女はやけに急いでいるようだが、一体何をそんなに走る必要があるのだ。
実は彼女、今朝トイレに行ったきり、学校で用を足すことが出来なかったのである。
忘れてた宿題を急いで休み時間にやり終えたり、友達と談笑が長引きトイレに行き忘れたり等
様々な理由でトイレに行っていなかった彼女の膀胱はもはや貯水値をオーバーしたダムのようであった。

195pamo:2011/09/11(日) 18:33:46
それにしてもこの少女、今にも漏れそうだと顔に訴えかけているではないか。
そんな心配も廊下の端にあるトイレが見えてきたことで消えようとしていた。

が!その時!

『ビィーー!ビィーー!ビィーー!』
「ッ?!」

突然大音量で鳴り出す警報!一体何が起こったというのだ。
実はこの廊下、小学校から教え込まれる『廊下を走ってはいけません』を
しっかりと守らせるため、廊下を一定の速度で通過するとシステムが作動し
違反を周囲に知らせる廊下なのである。
これには少女も額に脂汗以外の汗もかかずにはいられない!
休み時間に用を足せないうっかり具合がどうやらここでも発揮させてしまったようである。

196pamo:2011/09/11(日) 18:40:12
『学校規則第9条ヲ違反シテイマス。学校規則第9条ヲ違反シテイマス』
無機質な音声が天井のスピーカーから流れ出す。
「ご、ごめんなさい!でも今は私歩いてる余裕がなくてっ!お願いだから後に―」
余程切羽詰っているのか顔を赤くしながら訴えかける少女。
しかし感情を持たぬ機械には何を言っても無駄なようで
「―っ?!い、いやぁ!」
なんとこの廊下!警報を鳴らすだけでは飽き足らず、少女が走ってきた方向と
逆方向に動き始めたではないか!
『違反者には罰を』
どうやら厳しい校則を体に覚えさせるため、違反を犯した者にはそれなりの罰が
その場で下されるようで、この場合は走った地点から元に戻って歩いて渡りなさいという
ことなのであろう。

197pamo:2011/09/11(日) 18:48:31
悲痛な叫びをあげる少女は哀れにも廊下の端まで戻されてしまった。
「あぁ・・そんな・・・わた、私もう・・・」
よろよろと歩き始める少女、しかしどうやら刑罰を恐れて歩いているのではなく
走るとせき止めている水流が流れてしまうほど余裕が失われているようである。
恥ずかしさもかなぐり捨て、股間を思わず押さえてよろよろと壁に手を当てながら
歩く少女の姿がそこにはあった。
まもなくホームルームが始まる時間だがトイレにはなんとか間に合いそうであった。

だがここでさらなる悲劇が彼女を襲う!
「ちょっとあなた、先ほど校則を違反したわね?」
「え・・・?」
女子トイレ入り口にたどり着こうとしていた少女の肩に急に手を置いているこの女性の
正体は一体誰なのだろうか!

実はこの女性、学生の間で校則に厳しいと影で評判の英語の女教師だったのである!
つまり少女は警報を聞きつけた女教師に、トイレ目前であえなく御用となったわけである。

198pamo:2011/09/11(日) 18:55:31
相手が噂の女教師だと分かった瞬間、少女の赤かった顔が一瞬で青ざめる。
まるで信号のように顔色を変えながらも少女は納まる気配のない生理現象と葛藤していた。
「すいません・・でも、ちゃんと廊下は歩き直しましたので・・・あの、私トイレに・・・」
「何を言ってるの?あれだけ大きな音を出す警報はめったに鳴らないのよ?それが
鳴っているということは校則の最初の方、つまり”誰も破らないような校則”をあなたは
いとも簡単に破ったわけ。いい?そもそもトイレを行く時間は何分もあったでしょう?」
まくし立てるように女教師のマシンガントークが炸裂する!
肩を捕まれた手を払うこともできず、女教師は言い訳に聞く耳をもってくれず、
いよいよ少女はピンチに!



199pamo:2011/09/11(日) 19:01:03
「んぅ!も、もうだめぇ・・!」少女は放尿まで秒読み段階に達してしまい、
崩れこんでしまいそうになるがそうは女教師が許さない!
『ちょっとあなた聞いてるの?話はまだまだこれからよ』と言わんばかりに
両肩を掴んだ女教師に無理やり直立させられる少女



せっかく掴んだ楽園へのドアから手を放され、少女は廊下へと戻されていく。
開放されることは間違いないのだが、ああ無常にもそこは用を足していい場所ではないのだ。



200pamo:2011/09/11(日) 19:08:40
「ちゃんと歩きなさい、話はまだあるけれどもうホームルームが始まる時間なの。
仕方ないからあなたは一旦教室に戻ってホームルームに出なさい。そしてその後職員室に来ること。
放課後は真っ直ぐ職員室に来るのよ。少しでも遅れたらどんどん帰宅時間が遅くなるんですからね。」
ヒステリックに怒鳴ることがない分女教師の口撃は手を緩めることはないようだが、
もはやダムを開門するサイレンが先ほどの警報のようになりだした少女の耳には届いていなかった。



他の教室からは大音量の警報と厳しいことで有名な女教師に掴まれて無理やり
歩かされている少女に興味津々な生徒が、ドアから顔を出したり廊下に出て
一目見ようと野次馬根性を爆発させていた。
それにしてもこいつら、のりのりである。



201pamo:2011/09/11(日) 19:15:43
ざわつきながらも皆が注目するなか、とうとう少女は決壊を迎えてしまう。
『教室に戻りなさい。もう時間なのよ』と今更教室に戻そうと注意する女教師。
その厳しさがもう少し早ければ目撃者も減ったであろうに・・・。



少女の足元にぽたりと水が2,3滴落ちたのに気づいたのはすけべなことで
有名なA君であった。あの事件を振り返って彼はこう語る。
「いやぁあの時は驚きましたよ。廊下を走るとかどんな馬鹿がやらかしたのか
とか思ったら、可愛い女の子が先生にぐいぐいとひっぱられているんですからね。
そしたらまさかあんなことになるとは思いもしませんでした。」

202名無しさんのおもらし:2011/09/11(日) 19:18:26
それにしてもノリノリだな

203pamo:2011/09/11(日) 19:23:46
「ん・・はぁっ」と目を見開いた少女の口から思わず声がでる。
それも仕方ないことだろう。午前中どころか今はホームルーム前の時間で、
ほとんど一日分の溜め込んだものが今から出るという痛みにも似た快感が
少女の頭を駆け巡っているのだから。
吸水性など皆無である下着はあっという間に少女から放水されたものを外へと
通過させてしまう。
太ももからソックス、靴を濡らす副流と廊下にダイレクトに流れ落ちる本流が
彼女の股間から出ているではないか!
これにはさすがの女教師も唖然としている。

女教師「まさか漏らすとは思っていませんでした。たしかにトイレを我慢していたようですが、
ホームルームぐらいは出てこれるだろうと思っていたんです。ええ、だってもう
高校生ですもの、大人でしょ?」

204pamo:2011/09/11(日) 19:29:24
多くの生徒に目撃され、広がる水溜りとおしっこの飛沫に気づいた女教師が慌てて
離れても少女の放水は止まることがない。
苦痛でもあった尿意という束縛からの解放、そしてもう高校生なのに”おもらし”を
してしまったという恥ずかしい事実を多くの人に見られてしまった今後を思い
少女の目からはいつしか涙があらたな水流となって零れ出すのだった・・・。

いかがだったろうか?
教育に近未来化が進む日本、しかし時としてこのような悲劇が起きることも
私達は頭の中に入れておかなければいけない。
なぜならこのような事件は、いつ貴方に起きてもおかしくないのだから―――

205pamo:2011/09/11(日) 19:30:36
某世界丸見え風にお送りしてみました。
ちょっとくどいかもしれませんがどうでしたでしょうか
またなんかいいネタ思いついたら書きます。

206名無しさんのおもらし:2011/09/11(日) 19:42:38
方向性を整理した方がいいかも

乙でした

207名無しさんのおもらし:2011/10/15(土) 14:48:05
ところで安価で作品まとめてた人どうしたの?
結構前からまとめてるのやめてるみたいだけど
過去スレは見れるからまだいいけど、ちょっと不便だから
誰かまとめ作り直してくれたりしないかなぁ

208名無しさんのおもらし:2011/10/16(日) 02:48:02
アンカーでまとめくらい自分でやれるだろ
人任せな奴ばっかりじゃないだろうから
別に一人がまとめてたわけでもないだろうし

209名無しさんのおもらし:2011/11/05(土) 12:12:06
千夜過疎

210名無しさんのおもらし:2011/11/26(土) 20:47:49
現在、王国はかつてないほどの窮地にさらされていた。
王国より遥かな北方、永久凍土の地に居城を構えていたあの“雪原の主”が
ついに王国に対し軍を進めてきたのだ。
強大な魔物たちの軍勢を前に、王国軍は苦戦を強いられ、敵陣はついに国境線を超えて進出してきた。
さらに、自ら戦地に赴いていたアリア王女までが敵に捕らえられてしまい、王国は絶望の淵にさらされていた。

211名無しさんのおもらし:2011/11/26(土) 21:03:02
「くっ・・・・」
メルは王国屈指の剣の使い手である。若干18歳にして、王国軍第一兵団長という身分に抜擢。天賦の才を持つ剣士だ。
肩の高さで綺麗に切りそろえられた美しい金髪。凛とした双眸。凛然とした佇まい。
そんな彼女が戦う様はあたかも舞を演じているかのように美しいものだという。
だが、今の彼女は見るからに苦しそうな表情をしており、常であれば軽やかであるはずの剣の動きもひどくぎこちない。
「ぅ・・・ぁっ・・・」
敵の攻撃を受けたわけでもないのに、彼女はうめき声をあげる。
痛みをこらえるかのように歯を食いしばり、細くしなやかな足をさかんに擦り合わせている。
「くぅぅ・・・・・・」
苦しげにうめく彼女の口から、呟くように言葉が転がり出てきた。
「た、たのむから・・・おしっこさせてくれ・・・」

212名無しさんのおもらし:2011/11/26(土) 21:04:07
アリア王女の誘拐に対する王国の対応は早かった。彼女は“星のお告げ”によると
『魔王に抗う力を秘めた一人』なのである。絶対に奴らに奪われるわけにはいかない。
そして、王女奪還の報を受けてからわずか1時間の後、国王の命により、
剣士メル=ゴットホープや魔導師ルナ=コペンハーゲンと言った王国最強クラスの兵を動員した部隊―
アリア救出部隊が編制されたのであった。
それは、王女が攫われてから約4時間後のことであった。

213名無しさんのおもらし:2011/11/26(土) 21:07:17
王女は国境線上に配置された敵陣に捕らえられている。その敵陣へのルートは2つある。
渓谷を通り抜け、直接敵陣に向かうルートと山岳方面から迂回して向かうルートである。
救出部隊は二つに分けられ、メル隊は渓谷ルートから拠点を目指すこととなった。
しかし、渓谷に入ってから2時間の後、メルは単身で「山岳」を彷徨っていた。

214名無しさんのおもらし:2011/11/26(土) 21:08:02
「はあ・・・はあ・・・。なんということだ・・・まさか、こんなところで部隊が四散してしまうとは・・・」
どうやら、“雪原の主”は気まぐれに王女を連れ去ったのではなかったようだ。何らかの目的ではじめから王女を狙っていたのだろう。
渓谷には、おびただしい数のトラップがしかけられていた。崖崩れのブービートラップから、魔導式のトラップまで・・・。
無論、多数の魔物もそこに付き添っていて、大混乱の後に部隊は崩壊、メルは単身で渓谷を離脱し、
鬱蒼と茂った森林に逃げ込むハメになってしまったのだ。
「くっ・・・これでは敵陣までどれだけかかることか・・・しかも・・・」
周囲から魔物の気配を色濃く感じる。渓谷から追ってきたのだろう。
拠点までたどり着くどころか、この森を抜けるだけでも命がけになりそうだ。
「・・・考えてもしかたないな。まずは、この森を切り抜けよう・・・」
彼女は磁石を頼りに、木立の向こうへと駆けていった。

215名無しさんのおもらし:2011/11/26(土) 21:10:58
それから2時間の後・・・。作戦開始から5時間以上が経過した頃、メルは未だ山林を彷徨っていた。
彼女の足取りは重い。さすがにもうトラップはなかったものの、追撃してくる敵の数が半端ではなかったのだ。
何十体の魔物を斬り捨てたことか・・・。それでも、まだ敵の追撃の手は止まらず、視界の悪い密林の中で、
彼女は常に神経を研ぎ澄ませていなければならない。疲労はずいぶん溜まっていた。しかも、それだけではなく・・・。
メルは足を止めて、周囲の気配を探る。
(・・・いる)
やはり、常に何体かの魔物が自分を監視するように追跡している。隙があれば襲い掛かってくるつもりなのだろう。
「やはり・・・無理か・・・」
仕方なく、彼女は再び歩みを進める。・・・本当に仕方なくだ。
「はあ・・・」
ため息をつき、彼女は自分の腹部を軽くなでる。激しい戦いになることを予想して少し、
水分補給をし過ぎてしまったのがいけなかったのだろうか・・・。
「少々、トイレをもよおしてきたんだが・・・」

216名無しさんのおもらし:2011/11/26(土) 21:11:23
王女の命がかかっているこの状況下で、野外で用を足すという程度のことをためらうメルではない。
しかし、敵に囲まれた状態で呑気に鎧を外して用を足すことなどできるはずがない。自殺行為だ。
そうなると、誰かと合流するか、作戦を完遂するまで我慢するしかないのだが・・・。
「作戦完遂まではもたないな・・・」
尿意は刻一刻と強まっている。この山岳を超えるまで我慢できるかどうかさえ分からない。
「・・・ルナの方の部隊と出会えればいいんだが」
下腹部の欲求に耐えられなくなってしまう前に、何とかしなければならない。

217名無しさんのおもらし:2011/11/26(土) 21:13:04
それから数時間の後、メルはようやく山道に出ていた。辺りには無数の魔物の亡骸が転がっている。
ルナ隊が通った痕だろう。この先にルナたちがいるのだ。
彼女は必死に山道を駆けつづける。しかし・・・。
「ぅ・・・・うぅ・・・・ト、トイレェ・・・」
苦しそうな表情を浮かべてうめく。彼女の尿意は限界に近づいていた。

218名無しさんのおもらし:2011/11/26(土) 21:14:40
何度となく用を足すことを試みても、その度に、魔物に妨害され、結局我慢し続ける結果になってしまった。
女性の兵士であるメルには、これまでもトイレの我慢を強いられてしまったことはある。
長い行軍で男たちが炉端で立ち小便をする中、必死に尿意を我慢していた。
そんな経験もあるのだが、今自分が抱える尿意はそのときのものよりも遥かにキツい。
「ぅ・・・くぅ・・・し、振動が・・・膀胱に・・・」
不安定な斜面を走る振動が、パンパンに膨らんだ膀胱を容赦なく刺激する。だが、足を止めたくとも止めることはできない。
一刻も早くルナたちと合流したいし、王女の命も危ないかもしれない。足は、止められない。だが・・・
「もれ・・・そう・・・」
メルが駆ける速度は次第に遅くなっている。下腹部の欲求が彼女の運動能力を阻害する。
おそらく、もう、まともに剣を振ることはできないだろう。
(も、もう・・・もたない・・・ま、まだルナたちには追いつかないのか・・・?)
その時、遥か前方の方に急に空がひらけた。木が途切れたのだ。山岳のゴールが見えてきた。
メルは歯を食いしばり、ひたすらに疾走した。

219名無しさんのおもらし:2011/11/26(土) 21:16:50
山岳を抜ければ平原に出て、敵の拠点も近い。ルナたちもさほど遠くない位置にいるはずだ。
だからこそだろうか・・・。ゴール間近というところで、今までメルの隙を伺い追走していた魔物たちが一斉に飛び出してきた。
「うぐっ・・・・お、おのれッ!」
メルは剣を抜き放ち、魔物たちに応戦する。しかし、その剣撃はひどく鈍く、魔物を倒すどころか、攻撃を防ぐことで精一杯だ。
(だ、ダメだ・・・ち、力を抜いたら・・・も、もれてしまう・・・)
尿意にあえぐメルを魔物は容赦なく攻める。
「ぅぁ・・・・くぅぅ・・・・」
(し、振動が・・・膀胱に・・・・ッッ!!)
魔物の爪牙を受け止める度に、振動が膀胱を貫く。苦しさに思わず悲鳴がもれる。

220名無しさんのおもらし:2011/11/26(土) 21:17:11
最初のぶつかりあいを終えると、魔物たちは、一度距離を取り、攻撃を仕掛ける機会を伺う。
メルはろくに剣を構えることもできず、もじもじと足を擦り合わせ、魔物の群れを眺めた。
もう、本当にトイレがもれてしまいそうだ。こんな状況では、例えどんなに強い剣士であってもその力を発揮できることはできないだろう。
だが、当然魔物たちには一切容赦しない。咆哮が上がる。・・・来る・・・のか。
(もう・・・本当に限界なのに・・・)
メルは歯を食いしばって剣を構えた。だが、構えた剣は激しい尿意にカタカタと震えている。
「た、たのむから・・・おしっこさせてくれ・・・」
あえぐようなメルの懇願は、魔物たちの雄叫びにかき消されてしまった。

221名無しさんのおもらし:2011/11/26(土) 21:17:35
(トイレ!!トイレに行きたい!!トイレに・・・)
おびただしい魔物たちに囲まれ、命が危険にさらされても、メルの剣が本来の鋭さを取り戻すことはなかった。
尿意が強すぎる。とてもではないが、斬撃に力も入らず、集中もできない。
(〜〜〜ッッッ!!・・・ダメ、だ!!も、もう・・・・ッッ!!)
鎧が邪魔で股間をおさえることもできないメルは必死にジタバタと足踏みをし続ける。
太ももを擦り合わせるように、身をよじるようにして繰り返される足踏みは、彼女本来の足さばきや呼吸を完全に乱れさせていた。
その状態で、十数体にも及ぶ魔物に囲まれて生き残っていることは奇跡とも思われるが、
もはや彼女はわずかに残る集中力で必死に魔物の攻撃を防ぎ、いなしているだけであった。
(ダ、ダメだ・・・!こ、このままでは・・・)
 このまま、攻撃をしのぎ続けるだけでは意味がない。敵を倒さなければ用は足せない。だが、もう本当にそんな力は残されていないのだ。

222名無しさんのおもらし:2011/11/26(土) 21:18:05
(げ・・・限界・・・)
膀胱が爆発してしまいそうだ。尿意はもはや痛みに変わっており、決壊をせきとめ続けるそこの感覚もなくなってきた。
(もう・・・イヤだ・・・)
 限界だ。本当に限界。もう戦いたくない。
視界が滲む。自分は泣いているのか?でも仕方がない。それくらい本当に限界。もうムリなのだ。もれそうなのだ。
「おしっこ!!もうイヤだ!!もれる!!もれちゃうッ!!!」
メルは狂ったようにわめき、剣を振り回す。彼女を知る者がこの光景を見たらさぞかし驚くことだろう。
王国最高の剣士であり、つねに凛としていたあのメル=ゴットホープが、尿意を訴えながらめちゃくちゃに剣を振り回しているのだ。
「おしっこ!!たのむ、たのむからおしっこをさせてくれッ!!」
だが、魔物の攻撃がとどまることは決してなかった。

223名無しさんのおもらし:2011/11/26(土) 21:18:35
相手が知能と感情を持つ人間か高度な魔族であれば、もしかしたら、この訴えは聞き入れられたかもしれない。
だが、今の彼女の眼前にいる相手は知能の低い単なるけだものだ。
女の子が涙を流して尿意を訴えたところで、奴らがそれを聞き入れるはずがないのだ。
それどころか、ジタバタともがくだけになったメルを、奴らは冷静に噛み砕こうと襲う。
「・・・・・・・ッッ!!!」
突如、彼女の腹部を強い衝撃が襲った。ついに、一体の魔物の突進がメルを捉えたのだ。
「・・・っぁ」
大した攻撃ではなかった。だが、その衝撃はもろに彼女のぼうこうを揺るがせた。

224名無しさんのおもらし:2011/11/26(土) 21:19:02
メルはぎゅっと足を交差させ、おしっこの出口をふさごうとする。
「ッッッ〜〜〜〜〜!!!」
歯を食いしばり堪える。だが・・・
(だ、ダメだ!!が、我慢ッ!がま・・・・)
じわっという感触がその場所に広がった。
「ぁっ・・・・」
(まずい・・・もれ・・・)
瞬間、限界を超える限界まで我慢を重ねていた彼女の水門は、一気に決壊した。
シュゥゥゥゥゥゥゥプシャァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーー
(あ・・・あ・・・・)
すさまじい勢いでほとばしる尿水は、下着の中でうずまき、鎧の隙間から噴き出る。
彼女の足を幾筋もの水流が伝い、足元には大きな水たまりを生み出していく。
(が、我慢ッ!と、止めない・・・と・・・)
 だが、ひとたび始まったおもらしは、もうどうしても止めることはできなかった。

225名無しさんのおもらし:2011/11/26(土) 21:19:42
(ダメ・・・だ・・・止まらない・・・)
メルは糸の切れた人形のように、その場にへたりこんだ。その眼はもう何も移していない。
心の一部は失禁の恥辱に震えているが、しかしその一方で溜まりに溜まっていたものが排出される快感に浸っている部分もあり、
彼女の思考は停止していた。
魔物たちが、突然噴出した尿を水系の魔法か何かと勘違いし、彼女から距離を取り警戒態勢をとりはじめたことは本当に幸いであった。
メルのおもらしは1分以上も続いた。間違いなく、生涯で最大のおしっこの我慢。
限界を超える程の限界にまで耐え続けた我慢だった。ズボンも靴もびしょぬれだ。とても気持ちが悪い。
(・・・最悪だ・・・。わたしが・・・こんなところ・・・で)
スン・・・。と彼女は鼻をすすると、剣を握りしめ、立ち上がり、自分の周囲にはびこる魔物たちを睥睨した。
魔物たちは、彼女が噴出した水に危険性がないと判断したのか、再び臨戦態勢を取っている。
メルは涙をぬぐうと、魔物たちを見据え、ニッコリと笑った。
「殺す・・・」
王国最高の剣士のこの醜態を見た魔物たちは、その後、本人によって皆殺しにされた。

226名無しさんのおもらし:2011/11/26(土) 23:16:26
魔物になりたいw

227名無しさんのおもらし:2011/11/27(日) 02:26:02
久しぶりに覗いたらすごい良作キテタ

228名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:10:09
(ダメ・・・・!!絶対にもらしちゃダメッ!!でも・・・)

229名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:10:36
部隊を失ったメルが単身で山岳を彷徨っている頃、ルナたちは国境線上の敵陣に到達していた。
部隊は、敵陣から離れた丘陵地に留まり、敵方の様子を伺う。
 敵陣は、単なる野営かと思えば、なんと石造りの建造物であった。
突貫工事であったのだろう、ツギハギだらけの建物ではあるが、後一歩で支城と呼べる程のものになりそうにも見える。
(いつの間にこんなものを・・・)
どうりで、ここまで来る間に高度な魔族が全くいなかったわけだ。
敵の幹部格は皆、あの施設に集まっているのだろう。

230名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:11:09
思いの外堅牢な敵陣を目の当たりにし、部隊には動揺が走る。
おまけに、本来なら先行して敵陣に斬り込んでいるはずのメル部隊の姿が見えない。
城外の敵兵が多い上に、山岳にいた雑魚とは異なり、知能のある人型の魔族だ。攻略は命がけになるだろう。
(けど・・・考えていても仕方ない)
 ルナの逡巡は一瞬だった。アリア王女の命がかかっている今、ためらっている時間などない。
それに、厳重な警護は、ここに姫が捕われているということを裏付けている。
(加えて・・・もしも、アタシの考え通りだったら、早くアリア様を奪還しないと、たいへんなことになる)
 部隊の方を振り向くとルナは一言命じた。
「攻撃開始」と・・・。

231名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:11:53
ルナ隊は魔法使いの部隊である。
ゆえに、本来なら剣士中心のメル隊の後方支援に徹するつもりであった。
だが、前線に出るのなら、それはそれで強い部隊だとルナは自負している。
 開戦の専制攻撃は完璧に成功した。部隊の魔法使い全員による遠方からの遠隔魔法攻撃は
敵施設外部の敵をことごとく貫いた。さらに、攻撃の成功と同時に、部隊は突撃。
夥しい魔法光線が荒野を飛び交った。
攻撃は圧倒的に優勢だった。最初の数分は・・・。
「危ないッッ!!」
 誰かの叫び声がしたのと同時に、眩いばかりの閃光がほとばしり、何人もの兵士が一瞬で吹き飛ばされた。
「何ッ!」
 戦場にいた全員の動きが止まる。モクモクと沸き立つ粉塵の向こうに人影が揺らぐ。
「オイ、よくもわらわの城を傷つけてくれたな」

232名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:12:26
(サイアク。こんな奴がこんな最前線に出てきているなんて・・・)
 土煙がはれてくると、次第に「彼女」の姿がはっきりとしてきた。
彼女の長い銀色の髪が風になびく。彼女は透き通るような白い肌をした、華奢な少女であった。
可憐という言葉さえ、彼女には似合ったであろう。
背後に広がる漆黒の翼と頭部に生えた2本の湾曲した角がなければ・・・。
彼女の名はシエラレオネ。“雪原の主”の娘である。
「皆殺しにしてくれようぞ・・・」
 彼女が細い腕を宙に掲げた。
その指先から闇色の光線が放たれ、瞬く間に辺りは黒い炎に包まれていった。

233名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:13:08
シエラの出現からしばらく後、荒野にはルナとシエラの二人だけが残っていた。
二人は1メートル程の距離を隔て屹立し、互いに睨み合っている。
「オイ、貴様、一体いつまでわらわを拘束しておくつもりだ?」
 シエラは怒りのこもった眼差しでルナを睨む。彼女の足元には円形の魔法陣が広がっており、
その魔法陣が発する光の幕に彼女は閉じ込められていた。幕上には無数の呪文や数式が浮き出たり消えたりしている。
「一生よ」
 シエラがギリリと歯を食いしばり、ルナを睨みつける。
だが、もう彼女は何もしようとしない。無駄だということが分かったのだろう。
ルナは安堵していた。シエラはあまりにも強い。まともに戦えば、アリアを救出する前に部隊が全滅してしまうかもしれない。
ルナは瞬時に、彼女を止めようと決断し行動を起こしたのだ。

234名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:13:36
この結界は強力だ。術者の魔力が尽きない限り、中から何をしても解けることはない。
その代わり、外から彼女を攻撃することもできず、呪文の行使中はルナ自身も他の魔法を使うことはできないのだが・・・。
「貴様ぁぁぁぁッッ!!」
 結界の牢獄に捕われるやいなや、シエラは内部から凄まじい魔力を発した。
「ぐぅぅぅぅッッ!!」
 魔法陣が揺らぐ。牢獄を維持するために、自分の身体から急速に魔力が抜けていく。
「フフフ・・・人間ごときがかような高等魔法を使いこなせるものか!もう魔力が尽きてきたのではないか?」
 確かに、今の一瞬でルナの魔力は一気失われてしまった。だが、彼女は不敵な笑みを浮かべると、
ローブの下から小さな瓶を取り出した。虹色に光る液体の入った瓶だ。
「貴様・・・まさか、それは・・・」
「魔法薬」
「・・・・・・ッ!!」
 シエラが怒りに歯をくいしばり、再び魔力を発散する。だが、牢獄は破れない。
「お前は絶対逃がさないから」

235名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:13:59
(遅い・・・)
 ルナ以外の兵が敵施設に突入してからもうずいぶん時間が経過した。
(早く・・・してくれないと・・・)

 魔法薬。その作用とは、人体のあらゆる活動を促進することであった。
薬が魔力を与えてくれるのではなく、人体に働きかけて急速に魔力を生産させるのである。
ゆえに、副作用も多い。代表的なものは眠くなること。
本来眠りによって回復する魔力を無理矢理高めているので、それは当たり前である。
また、エネルギーを多く消耗するので、お腹も減る。
魔法薬のリスクとは、そのようなあらゆる生理現象が一気に押し寄せてくることなのだ。
また、強力な魔法薬ほど当然反動は強い。
今、ルナが必死に堪えている「それ」も、魔法薬が原因で生じたものであった。
(やっぱり・・・急に、おしっこ行きたくなってきちゃった)
 無理もないことだろう。ルナが飲んだ魔法薬が与える副作用は、
強力な利尿剤と同等の威力なのだ。

236名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:14:30
(・・・・・ッッ!!)
 敵施設から人影が飛び出してきた。一瞬、助かったと思ったら出てきたのは敵兵だった。
「シエラ様・・・!!」
 二人の魔人だ。剣を振りかざし、ルナの方に猛進してくる。
だが、今のルナはシエラの拘束に専念していて、他の魔法は使えない。
「フフフ、いいぞ、さっさとその小娘を殺してしまえ!わらわの拘束を解くのじゃ!」
「うぉぉぉぉぉぉ!!」
「・・・無理だよ」
 斬撃が迫る。だが、突如現れた光の防護壁がその斬撃を防いだ。
攻撃をしてきた魔人たちは白い炎に包まれ、焼き殺される。
 ルナの足元には新たな魔法陣が輝いていた。

237名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:14:56
「なぜじゃ!なぜ魔法を・・・!」
「・・・これは罠(トラップ)型の魔法陣。アタシが攻撃されそうになったときに
発動するように設定しておいたの」
「・・・・くっ」
「ちなみに動力はコレね・・・」
 ルナが目線を自分の足元に落とす。3つ、銀色に光る魔法玉が結界上に埋まっている。
これは罠型の陣を維持するために使ういわば魔力のタンクだ。地面に埋まっていたのが、
魔法陣の出現であらわになったのだろう。しかし、これがあるなら、防護壁の方も簡単には解けない。
「無防備になるなんていう弱点を放っておくわけないでしょ?」
「・・・・・」
 シエラの頬を一筋の汗が伝った。彼女は怒りよりも焦りの表情を浮かべていた。

238名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:15:28
(おしっこ・・・したい)
 本当に以上な勢いで尿意が高まっていく。
そろそろ屹立していることも辛くなってきて、そわそわと足が動いてしまう。
 魔法薬を飲むのははじめてではない。強力な魔法薬を飲んだ時には、
戦闘が終わると同時に草むらに飛び込んでしまったこともある。
ルナのような女性の魔法使いにとって、魔法薬は諸刃の剣なのだ。
(後どれくらい我慢できるかな・・・)
身体が震える。ぼうこうが警戒信号を発する。
だが、今はどんなにおしっこがしたくても絶対にもらせない。
(早く・・・お願い・・・早く戻ってきて!)
 ぎゅっと目を閉じてそう祈った時、ふいにシエラが嬉々とした声を上げた。
「なんだ貴様、尿意を堪えているのか」
「・・・ぅ」
 いつの間にかそわそわとした動きが大きくなっていて、シエラに気付かれた。
「フフフ、赤面しているぞ?・・・この陣を解かねばもらしてしまうのではないか?」
「我慢できなくなったって陣は解かないよ」
「・・・フン」

239名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:15:58
シエラはそっと腹部をさすった。
ルナのわずかな仕草から彼女が尿意を感じていると気付いたのは、他でもない
自分自身がずっと尿意を堪えていたからだ。
(おのれ・・・こんなことならしっかりとすませてから来るのであった)
 ちょうど用足しに行きたいと思った時に、敵襲との知らせを受け、
つい済ませないままで来てしまったのだ。
 一瞬で皆殺しにするつもりが、まさか自分が拘束されてしまうとは・・・。
(うぅっ・・・思ったよりも、溜まって・・・)
 一旦尿意を意識してみると、結構ギリギリであった。
思えば、もうずいぶん長い間行っていないような気もする。
 気づけば、いつの間にかもじもじと身体を揺すってしまっている始末。
 居住まいを正そうとした時、辛そうに足踏みを繰り返していたルナが口を開いた。
「・・・もしかして、アンタもおしっこ?」

240名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:16:23
「・・・・・ッッッ!!!」
 ルナに指摘され、シエラの顔は赤く染まる。
“雪原の主”の娘、魔界貴族の子女である彼女にとっては、
他者に尿意を悟られることは恥ずかしいことなのだ。
「魔族でもおしっこ我慢したりするんだ?」
「だ、黙れ!わらわは尿意など感じておらぬ!!」
「顔が赤くなってるよ?」
「・・・・ッ」

絶句し赤面するシエラを見て、ルナはケラケラと笑った。
だが、それは単なる強がりで、彼女の内心は今も尚高まり続ける尿意のことでいっぱいであった。

241名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:17:00
(くぅぅ!!みんなぁ・・・何してんの?)
ルナは焦っていた。敵施設に潜入した味方はまだ一人も戻ってこない。
代わりに出てくるのは魔物ばかりで、彼らはルナを包囲している。
(どうしよう・・・絶対におもらしなんかできないのに・・・)
敵のボスの前でおもらしなど絶対にイヤだが、他にも絶対にもらしてはならない理由があった。
自分の足元の魔法陣だ。ここでおしっこをもらせば、足元の地面に描かれた魔法陣は間違いなく消えてしまい、
防壁は消失する。シエラの方の陣には、ルナの制御が利くので、陣が破壊されることはないのだが、
自分はおもらしをしてしまえばアウトだ。
シエラもそのことにはとっくに気づいているだろう。
(ヤバいよ・・・・これ・・・・)
 ついにルナはローブの上から股間に手を添える。
魔物たちの好奇の視線がイヤだが、仕方がない。こうしなければ、もう堪えられない。
(が、我慢できなく・・・なっちゃう・・・)

242名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:17:23
(・・・・おのれ、人間!早くもらせッ!)
シエラはぐっと拳を握りしめる。
まさか、こんなところで尿意を我慢させられるなどとは思ってもみなかった。
予想外の状況に、ぼうこうが悲鳴を上げている。
(くぅぅ!!堪えられぬ・・・!!)
仮にも自分はあの“雪原の主”オスロの娘。魔界貴族の子女なのだ。
失禁はおろか、今ルナを取り巻いているしもべ達に尿意を悟られることさえも我慢ならない。
だからこそ必死に直立不動を保とうとしていたのだが・・・。
「ぐぅぅぅぅ・・・」
 我慢できずにそわそわと身体をゆすってしまう。
(うぅ・・・わ、わらわが・・・なんという屈辱・・・・)
 本当はもうジタバタと足踏みをしてしまいのを、なんとか我慢している。
それくらい尿意が強い。そんなに長くはもたないかもしれない。
(ま、まだ奴はもらさぬのかッ!)
 見れば、ルナは股間にをわしづかみにして激しく足踏みを繰り返している。
限界なのだ。
(は、早くもらせ!・・・さもないと、わらわが・・・)

243名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:17:51
(ダメ・・・・!!絶対にもらしちゃダメ!!でも・・・)
 もう膀胱はぱんぱんだと言うのに、なおも尿意は膨らむ。
わずかな魔法薬が身体全体の水分を全て一箇所の所に集めているのだ。
(もれちゃうよ〜!このままじゃ、もらしちゃう!・・・うぁっ!!)
 じわっ・・・っと下着がぬれた。ルナは両手でぐっと出口を抑え、両足を交差させ、決壊を堪える。
「〜〜〜〜〜ッッ!!!・・・・・ッ!!・・・はあ・・・はあ・・・」
(少し・・・ちびっちゃった・・・)
 ついに、膀胱が限界になり、おしっこが溢れだしたのだろう。
(お願いぃぃ!!早くぅぅぅ!!)
 仲間はいつ戻って来るのか。頼むから早く戻ってきて欲しい。
 もう1分だって我慢できるか分からないのだ。

244名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:18:15
『は、母上・・・わ、わらわはもう・・・限界です』
『いけませんよ、シエラ。貴族の娘が魔王様の演奏会中に中座するなど許されません』
『で、でも!』
『我慢なさい、シエラ』

245名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:18:36
「はっ」
 ふいによぎった記憶にシエラは驚いた。子どもの頃、おもらしをしてしまった時の記憶だ。
(・・・イヤなことを思い出した)
 魔物たちの視線は激しくもだえるルナに集中している。ルナの仕草に興奮しているようだ。
(愚か者ッ!人間相手に・・・)
シエラは歯を食いしばって尿意を堪える。気を緩めるとはしたなく足踏みなどをしてしまいそうだが、
そんなことをすれば自分もバカなしもべどもに妙な目で見られるかもしれない。
(我慢!!我慢しなければ!!)
だが、ついに彼女は、細い足を激しく擦り合わせ、じたばたと足踏みをしてしまった。
しもべの一人が異変に気付き、そこからざわめきが広がる。
(お、おのれッ!!下僕どもが!何を見て・・・うぅッ!!)
 強烈な波が来て、思わず彼女はしゃがみこんでしまった。
(ぐぅぅぅぅ〜〜〜ッッ!!)

『シエラ!!立ちなさい!!』
『は・・・母・・・上・・・・あ、あたし・・も、もう』
(が、我慢でき・・ぬ)
 シエラはしゃがんだまま、激しく身をよじった。

246名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:19:01
「うぅぅぅぅ・・・・あぁぁぁぁあぁぁぁ!!」
 ルナは両手で股間を押さえ、じたばたともがき、飛び跳ねる。
「誰かぁぁぁ!誰か来てぇぇぇ!お願いいぃぃぃ!!」
 もう本当にこれ以上は我慢できない。
最初に少しだけ出てしまってから、何度も堪えきれず少しずつおしっこが溢れ、
もう下着はびしょぬれだ。足元にも水滴がしたたっている。
(ダメ!!もらしちゃダメ!!・・・・・ッッッ!!)
 渾身の力で股間を押さえ、おしっこを食い止めようともがく。
 比喩でもなんでもなく命がけの我慢だ。
 魔物たちは、髪を振り乱し、必死に尿意に抗うルナとしゃがみ込んで身体を丸くし、
 尿意に耐える主の双方を傍観した。魔物たちにとって、普段は凛然としている主が
 プルプルと震えておしっこを堪えている様はこの上なく興味を惹かれるものだった。
 彼らはもはや武器を握っておらず、食い入るように2人を眺めていた。

247名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:19:28
貴族の子女であるシエラは、幼少の頃から尿意を堪える訓練も受けていた。
身体の小さな彼女は、元からトイレが近く、ずいぶんと苦しめられたものだった。
はっきり言って怨みに近い感情も持っている。
(トイレ・・・トイレに行きたい・・・。なぜ、またわらわが・・・)
うずくまるシエラは、全ての力を尿意の我慢に集中する。
(もう・・・限界が・・・近い・・・)
何度となく味わってきた感覚がする。思考が混乱し、感覚が遠のく。
もう、長くは我慢できない。

248名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:20:09
『シ、シエラ・・・あ、あんた、こんなことして、た、ただで・・・』
『フン、貴様が悪いのじゃ。一生そこに吊るされているがいい』
『ま、待って!!お願い!!トイレに行きたい!!』
(・・・・・・)
『シ、シエラ・・・様・・・お、お願いです、きゅ、休憩を・・・』
『なんじゃ、お主。まだ、たったの5時間しか経っておらぬぞ?』
『し、しかし・・・も、もう・・・あたくし、もれてしまいます!!』
(・・・・・・ああ・・・・)
『に、逃げないから・・・トイレだけ行かせて。・・・お願い』
『フン、王族のくせに我慢できんのか?』
(・・・次はまた・・・わらわか・・・?)

249名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:22:07
(ダメ!!ダメダメ!!ダメッ!!)
「おしっこ!!!おしっこおしっこおしっこ!!!おしっこ!!!」
 ルナは狂ったように叫び続ける。
 もうおしっこの出口の感覚がない。股間を押さえる手も痺れてきた。
膀胱はハレツ寸前だ。限界を超えて尚もおしっこを溜め続け、確実に少しずつもれている。
(もれる!!・・・ダメッ!!・・・限・・・界ッッ!!)
もう足踏みをしたり、身をよじることもできない。少しでも力を緩めれば決壊する。
(なんで!!なんでこんなにおしっこしたくなるの!!)
 絶対におもらしなんてできないのに、なんでわたしの身体はバカみたいにおしっこを造り続けるのだろう。
「あぁぁぁああぁぁぁああぁぁぁあああぁぁ!!」
 巨大な波が来た。ルナは悲鳴を上げ全ての力をそこに集中させる。
「〜〜〜〜〜ッッッ!!うぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
 プシッ・・・
「あ・・・・ッ」
(ダメ!!)

250名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:22:32
(ダメ!!!イヤ!!!お願いッ!!!)
 慌てて股間を押さえる手にさらに力を込めようとする。
だがもう力は入らない。
(出て来ちゃダメッ!!!)
 限界の限界まで我慢した水流は、凄まじい水圧でほとばしる。
(ダメ!!ダメダメダメ!!)
 決壊した水門は、もう閉まらない。
(ダメェェェェェェッッ!!!!)
プシャアァァァッァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!
股間をおさえたまま立ち尽くすルナの足を無数の水流が伝う。
瞬く間に足元には大きな水たまりが生まれ、長い間彼女を守ってきた防護壁はさらさらと崩れるように消えて行った。
(あ、ああ・・・ああああ・・・・)
シャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・
 防護壁が消えても、堪え続けたおしっこは、一切勢いを弱めずに迸り続ける。
(・・・・・ぁぁ)
 とうとう立っていることもできなくなり、ルナは水たまりの中にへたりこんだ。
失禁はなおも続き、彼女を中心とした水たまりは広がり続けた。

251名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:22:58
(よ、よし!こ、これでようやく解放される!!)
 ルナの失禁を見て、シエラは心底歓喜した。本当にもらしてしまうかと思っていたが、
ルナの方が先に限界に達したために、彼女を守る防護壁が消えたのだ。
あとは周りのしもべたちがルナを殺せば・・・。
 だが、ルナを取り巻く魔物たちは忘我状態に陥り、ルナの失禁をぼんやりと眺めていた。
長いおもらしを終えたルナは呆然としてその場にへたりこんでいる。
「な、何をしている、バカども!!は、早く、その人間を殺せ!!」
 シエラが声を上げると、魔物たちはようやく我に返り、武器を構えた。
(バカどもが・・・は、早く、早くしてくれ・・・)
 シエラは、立ち上がり、結界の中でピョンピョンと飛び跳ねる。
(後1分、後1分だけ堪えればトイレに行ける!!)
 一人の魔物が剣を振りかざしてルナに斬りかかる。
しかし、突如どこからか刃が飛んできて、魔物の首が跳ね飛ばされる。
(な・・・にッ!?)

252名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:23:30
その時、彼女は初めて、もう一人の人間が迫っていたことに気付いた。
その人間は風のような速さでしもべたちに肉薄し、鮮やかな剣捌きで彼らを斬り捨てていく。
しもべたちの攻撃は一切かすりもしない。
そいつは全ての攻撃を軽やかな動きでかわしていく。
その様はまるで舞っているかのようで・・・。
(そんな・・・)
シエラの頭の中で思い描いていたトイレの瞬間が粉々に砕けていく。
突如乱入した剣士によって、シエラのしもべたちは瞬く間に殲滅されてしまった。
「メ、メル・・・ゴットホープ・・・」

253名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:29:43
「ルナ!大丈夫!!」
メルがルナの元に駆け寄る。
ルナはみずたまりの中で嗚咽をもらして泣いていた。
だが、彼女は差し伸べられたメルの手をそっと払いのける。
「わ・・・わたしは・・・大丈夫・・・だから・・・
アリア様を・・・・早く・・・・」
「ルナ・・・。分かった」
メルはうなずくと、敵施設の方へと向かって駆けて行く。
チラリと彼女はシエラの方を一瞥した。
(一応、大丈夫みたい・・・だな)
メルは確認したのだ。ルナによるシエラの封印は、まだ活きている。

254名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:30:09
(・・・バカな・・・・)
ようやく、この忌まわしい尿意から解放されると思ったのに・・・。
やっと、やっとトイレに行けると思ったのに・・・。
「貴様ぁぁぁぁッッ!!!」
遠ざかるメルの方へ、シエラは全力の魔法攻撃を放つ。
しかし、当然それは結界にさえぎられて届かない。
(うぅ・・・だ、ダメだ・・・も、もうもたぬ・・・)
「お、おい・・・」
 シエラは泣き伏せるルナの方に向き直る。
「た、頼む!こ、これを解いて・・・と、トイレに・・・トイレに行かせてくれ」
 ルナの返答はない。
「頼むッ!わらわはもう・・・が、我慢できぬッ!!お、お前たちを攻撃しない・・・から・・・」
「・・・ヤダ」
 はっきりと、ルナは答えた。
「アタシだってお前のせいでおもらししちゃったんだ!!お前ももらせ、バーーカ!!絶対解いてやらないからッ!!」

255名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:47:48
 その後しばらく、シエラは滅茶苦茶に暴れた。
「出せェェェェェェ!!!ここから出せェェェェェェェ!!!」
 彼女は怒りに任せて魔法力をぶちまけた。
混乱状態なのだろうが、その威力は驚くほど強力だ。
ルナはあわてて新たな魔法薬を飲み、結界の維持に努めた。
「ああぁぁあああぁぁぁぁあああッッッ!!!」
「ぐぅぅうぅぅぁぁぁッ!な、なんて・・・力・・・!!」
 たった今、回復したばかりの魔法力がまたすぐに持って行かれる。
ルナは3本目の瓶に手をかけた。

256名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:48:13
(もれる!!もれるッッ!!)
トイレ!!トイレに行きたい!!
(わ・・・わらわは・・・・も・・・・もう・・・・)
尿意が強すぎてもう何が何だか分からない。ただトイレに行きたい。
今すぐに、トイレで・・・
『しょうがないわね。立ちなさい、シエラ。トイレに行くわよ』
は、母上・・・わ、わらわを・・・トイレに行かせ・・・・
 突然シエラの動きがピタリと止まった。
「トイレに・・・行か・・・せ・・・て」
それは彼女の最後の頼みだった。
ルナは何も答えられなかった。彼女の眼は何も映していなかったから・・・。
 直後、彼女の股間から滝のようにおしっこが噴き出した。
 彼女は呆然として立ち尽くしていて、迸るおしっこがバシャバシャと音を立てて、
彼女の足元に広がっていく。長い失禁が終わった後、シエラレオネはフラフラと崩れ落ち、そして気を失った。

257名無しさんのおもらし:2011/12/04(日) 18:48:53
シエラが倒れてからすぐに、王女を救出したメルたちが敵施設から飛び出してきた。
アリアは一応は無傷であった。・・・一応は。
 気絶したシエラは拘束して城に連れて行き、オスロの攻撃を止める人質にしようとしたが、
彼女は突如覚醒し、逃走してしまった。それを追う力はもうルナたちには残っていなかった。
 城に帰ると、国王は次の戦いへの備えをしていたが、今回の戦いを境に敵軍の侵攻はピタリと止まってしまった。
 ルナとメルは医務室の窓からよく晴れた空を眺めていた。
「まあ・・・戦いが終わってよかったな」
メルが言った。
「そうだね。次攻められてたらアタシたちはとてもじゃないけど戦えなかったはずだし」
 ルナは苦笑いした。その時、医療士が部屋に入ってきて、二人に薬の入った袋を渡した。
それぞれ袋のラベルには二人の名前と『膀胱炎』という言葉が記されていた。

258名無しさんのおもらし:2011/12/05(月) 01:02:43
やけに尻切れな終わり方だと思ってたらやっぱり続きが来たか

259名無しさんのおもらし:2011/12/05(月) 21:18:06
良作乙です

260名無しさんのおもらし:2011/12/06(火) 02:30:44
覗いたらすごい良作キテタ

261名無しさんのおもらし:2011/12/06(火) 22:44:03
すばらしい!
GJです!

262名無しさんのおもらし:2011/12/07(水) 01:54:09
すばらしい!

263ナツ:2011/12/07(水) 18:23:35
ふぅ…

264名無しさんのおもらし:2011/12/08(木) 00:26:31
夏といえば
夏影さんの今回の膀胱はまあまあだった

265名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:33:24
ある人は「勇敢だ」と言い、彼女を称える。
また、ある人は「おてんばだ」と言い、クスクスと笑う。
「戦場になんて行かないでください!」と本気で彼女を諌める者もいる。
 忠告を受けると彼女は決まって「分かった分かった」と言って、
でも、数分後にはもう城にいない。
その日も、そんな風にして、彼女は戦場へと行ってしまったのだ。
 彼女を心配する者は多い。だが、王も含め、彼女のことをよく知る者たちは、
やれやれと困ったように笑いながらも彼女の身を本気で案じてはいなかった。
特に戦場の兵士たちなどは、彼女の登場に歓喜さえする程だ。
そう・・・彼女は、強いのだ。

 彼女が、『魔王に抗う力を秘めた一人』として知られるようになる以前から、
戦場の兵士たちは彼女をある名で読んでいた。
それは、純白の衣装を好んで纏う彼女が、圧倒的な魔力で以て
戦場を切り裂くように飛び回る様を見た兵士たちが、ぽつりと呟いた言葉だという。
『白い稲妻』と・・・。

266名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:33:49
出せェェェ!!コノォォッ!出せって!!」
少女の叫び声が薄暗い部屋にこだまする。
しんと静まり返る空間、少女に対する返答はない。
いや、全くの無音という訳でもなく、キーーーンという音が常に部屋の中を満たしている。
小さいながらも耳障りな音だ。その出所は明確であるが、少女にはどうすることもできない。
部屋の床から壁、天井にまで描かれたこの複雑な魔法陣を解く術など、彼女は知らない。

267名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:34:11
気絶から目覚めると、あたそはどこともしれない小部屋の中にいた。
(え?ここ・・・どこ?)
突如視界に映る見たこともない空間。座り心地の良くない椅子に鎖で縛り付けられている自分。
はじめは頭が混乱して一切状況が分からなかったが、しばらくすると記憶が蘇ってきた。
そうだ、自分はオスロの兵団の罠にかかって、捕えられてしまったのだ。
ということは、ここは、奴らの居城の中か?
改めて辺りを見渡す。ここは、石造りの円形の小部屋だ。
部屋には入り口らしき鉄格子の扉があるだけで、窓もランプもなくひどく薄暗い。
それでも、真っ暗にならないのは、壁や床、天井にまで描かれている複雑な魔法陣のためだろう。
とりあえず、この拘束を解こうかと思い、魔力を操ろうとするが、なぜか一切操ることができない。
おそらく、部屋に張り巡らされた魔法陣があたしの魔力を封じているのだろう。
よく見ると、この陣は自分を中心にして組まれている。
「・・・はあ」
どうやら逃げられそうにもないということに気づき、アリアはため息をついた。

268名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:34:37
ひたすらわめいてみたが、辺りは静まり返っていてなんの反応もない。
見張りさえ立てられていないのは、自分が逃げられないことを確信しているからだろうか。
そうであれば腹立たしいことだが、実際、逃げることはできなさそうだ。
「あーあ、戦いはどうなってるんだろう・・・。全滅してなかったらいいけどなぁ・・・」
部隊のことが心配だ。あたしが敵の手に落ちているし、全滅していてもおかしくはない。
部隊が生存していれば、自分はここにいないはずだ。
それにしても気がかりなのは、オスロの兵団は完全に自分を狙って動いていたことだ。
何十体もの魔物が自分だけをめがけて一斉に襲い掛かって来た。
かろうじで応戦しているところをアイツが、あのオスロの娘が出てきて・・・
それからの記憶がない。
「それにしても、なんでアイツらはあたしを殺さなかったんだろう」
仕留められない理由はなかったはずだ。
なのに、捕獲にとどまったのはなぜだろう?
・・・この複雑な魔法陣はあたしの魔法を封じるためだけのものか?

269名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:35:00
どれくらい時間が経ったのだろうか。
窓もないため、時間の感覚は消えてしまっているが、目覚めてから2〜3時間は経過したはずだ。
最初にその異変に気付いたのはずいぶん前だった。
そして、時間が経つにつれて確信が深まっていった。
(魔力が・・・消えていく・・・!)
魔法が使えないだけではない。身体からどんどん魔法力が失われている。
この魔法陣が魔力吸収を行っているのは間違いない。だが、自分から魔力を奪う理由が分からない。
「出せェェェェ!!!コノォォォ!!出せって!!」
無駄かもしれないがひたすら叫んでみる。というか、叫ばずにはいられない。
なんだろう、この嫌な予感は・・・。このまま放っておけば殺されるよりもひどいことになりそうな・・・。
「出せェェェ!!ここから出せェェェェ!!」
「うるさいッ!!静かにせぬかッ!」
「・・・・ッッ!!」
思わず口をつぐむとコツコツという足音が鉄格子の扉の向こうから聴こえてきた。
ギィィという音と共に扉が開き、現れた人物は・・・
「シエラ・・・レオネ」

270名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:35:25
「フン・・・もう目を覚ましたのか」
 シエラは憮然とした面持ちで彼女を睨む。
「とっくに、ね。このうっとうしい拘束、さっさと解いてもらえる?」
「フフフ・・・バカめ、逃がしてもらえるとでも?」
「まあ、一切思ってないけど?」
「・・・・フン」
シエラの顔に一瞬苛立ちが浮かんだが、それはすぐに消え、代わりに嘲りの笑みが浮かんだ。
「せいぜい軽口でも叩いておれ。・・・貴様は、そのうちしゃべることも出来なくなる」
「そのうち、ね。・・・なんですぐに殺さないの?」
「フフッ・・・不安か、アリア姫?」
アリアの問かけに、シエラはニヤリと微笑んだ。

271名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:35:51
目的は、あたしの「魔力」だそうだ。
確かに、あたしは普通の人間よりも異常に魔法力が高いと言われている。
魔力の絶対量だけの話なら、ルナよりも上なんだとか。
だが、シエラは、魔力の量などよりも遥かに重要なことがあると言った。
「貴様の魔力の質だ」
よくは分からないが、あたしの持つ魔力が古の神々のそれに酷似していて、
それは魔界の神の封印を解くのに必要なのだとか・・・。
「この魔法陣は、貴様の魔力を吸収し、増幅するためのもの・・・。
貴様には、魔力が空になるまでここにいてもらう。魔力が空になれば回復させ、吸収する。貴様は、我らが神の贄になるのだ」
どうやらあたしは、空っぽの屍になるまで、ここで魔力を吸い尽くされるらしい。

272名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:36:15
舌を噛んで死んでやろう・・・と思ったが、無駄だろう。
今死んだところで、きっとこの魔法陣は死体からも魔力を吸収する。それならば、
救出隊が来てくれることに賭けて生きるべきだ。
(解放されたら、アイツ絶対に殺すッ!)
まだ耳にシエラの哄笑が残っている。
アイツには、すでに自分をこんな目に合わせた怨みがあるというのに、まだ怨みが増えそうだ。
「・・・・・・・」
静まりかえった部屋にガシャガシャと鎖の音が響く。
別に無理矢理鎖を引き千切ろうとしているわけではないのだが、つい身体が動いてしまう。
無駄に身体を動かして、体力を使いたくもないのだが、こればかりは仕方がない。
誰だって「そう」なれば「こう」なるものだ。
(シエラァァ・・・絶対に許さないッ!)
もじもじと足をすりあわせながら、心の中でシエラに対する憎悪の炎を燃やす。
尿意は、目を覚ました時からずっと感じていた。

273名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:36:37
「おてんば姫」とあたしはよく言われるが、別に王族のお嬢様らしい礼儀作法を知らないわけではない。
物心のついたころにはすでに貴人としての教育が施されていた。
「女性は人前でトイレに行ってはならない」と教えられたのはいつのことだっただろうか・・・。
「女性がトイレに行くことは恥ずかしいことで、男性の目を忍んでこっそりと行くもの」、
「例え、王宮の酒宴がどんなに長引こうとも中座してはならない」
というようなことは、貴族レベルの女性の常識だ。
だから、どの女性も子どもの頃から尿意に耐える訓練を受ける。
もちろん、わたしも受けてきた。
そんな風にしれ、幼い頃から少しずつ刻みつけられてきたものは、
自分の心の奥底に確実に根を張っている。
自ら、戦場へと赴くようなおてんば姫でも、戦野で用を足したことなどは一度もなかった。
メルやルナのような他の女性兵が尿意を訴えても自分は大抵ほとんど尿意を感じてはいない。
例え、行きたくなった時でも必ずトイレまで我慢しきった。
これまでは・・・。

274名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:37:10
「・・・・・・・」
アリアはもじもじと足を揺すり続ける。その表情には苛立ちと困惑が浮かんでいた。
(困った・・・な)
「トイレに行きたい」というどうしようもない欲求はどんどん高まっていく。
思い返せば、自分は城を飛び出して以来一度もトイレに行っていないのか・・・。
城から国境付近の戦場までは、飛行呪文を使っても1時間以上はかかる。
本当は、国境手前には陣営があるのだが、さすがにあたしが最前線の陣営に寝泊まりしてしまうわけにもいかない。
そうでなくても、テントばかりの野営にはトイレも設置されておらず、尚更寝泊まりはできない。
だから、戦場に赴く時はいつも城を抜け出すところから始まる。
(1時間ぐらいで陣営に着いて・・・その1時間後ぐらいにみんなで出発して・・・ぁぁ・・・
もうどれだけトイレに行ってないんだろう・・・)
考えない方がいいような気がする。変に時間を意識すると余計に我慢できなくなりそうだ。
我慢、我慢。あたしはただ、尿意に抗うだけ・・・。

275名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:37:42
本当はどこかで分かっている。このままでは、絶対に我慢できない。
もしかしたら助けが来てくれるかもしれないが、辺りの静寂を考えると少なくともすぐにこの牢の前に仲間が・・・
ということはなさそうだ。
頭では分かっている。もう、我慢しても無駄だなのだ・・・と。
それに、こんな風に監禁された状態で我慢できなくなってしまっても、誰も自分を咎めないだろう。
理屈では、分かっている。だが、心がそれを許さない。
絶対にこんなところでおもらしは出来ない。してはならないのだ。そんな恥辱に耐えられるはずがない。
(おもらしなんて・・・絶対にしない)
まだ、余裕はある。限界の状態には到っていない。
おしっこの出口をもう一度引き締める。


同時刻、メルの救出部隊はすでに瓦解し、ルナ隊は山岳にて魔物と交戦状態にあった

276名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:38:08
『あ、アリア様・・・』
『ん、どうかした、メル?』
『その・・・そろそろ休憩をさせていただきたいのですが・・・』
『ああ、「お花摘み」?』
『は、はい・・・。わたしも含めて、みんなもう結構ギリギリな感じで・・・』
『分かった。じゃ、もう城に戻ろうか』
『お、お城まで・・・ですか?失礼ですが、アリア様は・・・その、大丈夫なのですか?』
『あたしはほとんど感じていないケド?・・・しょうがない、麓の村に寄ろう』
(ああ・・・そんなこともあったなぁ・・・。紅葉狩り・・・だったっけ?)
『メ、メル様〜!アリア様〜!うち、もう我慢できませんッ!』
『こ、こらッ、セビリア!村まで我慢を・・・って、リャーナ、お前もか!あっ、みんな・・・』
(護衛兵の大半が茂みに飛び込んで行ったんだっけ・・・)

277名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:38:31
『・・・本当に限界だったんだろうなぁ。セビリアはともかく、あのリャーナまで・・・』
(・・・リャーナはプライドが高いからなぁ。アイツが前を押さえて茂みに飛び込んで行く姿なんて
 あれが最初で最後・・・今にして思えばかわいそうなコトしたかも・・・)
『しょ、正直わたしだって今すぐ行きたいぐらいなんですけど・・・アリア様はすごいですね・・・。
 どうしてそんなに我慢が利くんですか?』
『・・・さあ。小さい頃から訓練してきたし、お城の行事でも我慢してきたから・・・かな?
 ・・・考えてみれば、物心ついてから、粗相をしたことは一度もないし』
『一度も・・・!すごいですね、それは、才能ですよ!』
『・・・うれしくないんだけど』
(あの時は・・・こんなことになるなんて思ってもみなかったなぁ)

278名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:42:16
「うぅ・・・・」
ずいぶんたくさんの魔力を吸い取られてしまったようだ。
魔力消耗時特有の倦怠感を感じる。本来なら、ひどい眠気に襲われているはずだが、
それを感じることがないのは、下腹部を苛む尿意のせいだろう。
「うううぅぅううぅ・・・」
立場上、トイレを我慢せねばならないことは決して少なくはない。
長時間に及ぶ会合や酒宴では、大人の貴人でさえ、我慢できなくなってしまうこともあるし、
あたし自身も追い詰められたことはある。
それでも、粗相をしたことは一度もない。
会合にしても酒宴にしても、終わりがあるのならあたしは我慢できる。
今だって、後1時間我慢しなさいと言われれば、きっと自分はなんなくこなすだろう。
だけど・・・この我慢には終わりが見えない。トイレに行ける目途が全く立たない。
(まずいよ・・・このままじゃ)
だが、自分にはどうすることもできない。

279名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:42:38
なんで、トイレには行けないというのに、身体はバカみたいにおしっこを生み出すのだろう?
もうやめて欲しい。これ以上ぼうこうに水分を注ぎたくない。

昔、教育係の先生がこんなことを言っていた。
『時として、生理現象というのは恐ろしいものであります。
 眠気や尿意などに対しては私達は抗い続けることができず、いつかは屈してしまいます。
 そう言えば、昨日、城下で悪さを行った女盗賊が、逃亡の末に東方の森で捕まり連行される間に
 何度も小用をさせて欲しいと要求し、とうとう粗相をしてしまったとか・・・。
 アリア様、笑いごとではないのですよ?もしも、もしもですが貴女とて賊に捕われ監禁でもされようものなら、
 いつかは堪えがたい尿意に呑まれてしまうはずでありますから。
 善悪、強弱を関係なくどんな人、あるいは魔族でさえも生理現象には打ち勝てません。
 ゆえに、その管理には注意を払わねばならないのであります』
善悪、強弱に関係なく・・・。
あたしも・・・先生が言うように、いつかは、我慢できなくなってしまうんだ・・・

280名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:43:02
自分の身体を本当に意のままに操れるのなら、あたしは今すぐおしっこを生み出すのを止めたい。
だが、それは絶対に叶わないことだ。
例え、勇者様でも大魔王でもいつかはトイレに行かなければならない。
あたしをこんな目に合わせたあの高飛車なオスロの娘だって、ずっとトイレに行かせてもらえなければおもらししてしまうはずだ。
誰だって、いつかはトイレに行かなければならない。
・・・だから、行かせてほしい。トイレに行けなくてもおしっこはどんどん生まれてくるのだから・・・。
「トイレ・・・トイレに行きたいよぉ・・・」
お腹を圧迫する鎖やベルトが煩わしい。せめて、それだけでも取り除きたいと本気で思う。
思った後に、取り除けたとしてもトイレに行けなければ意味がないことに気づく。
トイレだ。・・・トイレに・・・トイレに行かなければ・・・。
「出してッ!!トイレに行きたいッ!!ここから出してェェェェ!!」
もう限界だ。ずっと、限界だと思っていた。
こんなはしたない言葉でも、連呼せずにはいられない。
「トイレに行かせてェェェ!!」

281名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:43:59
「なんじゃ?ずいぶんと騒がしいな、アリア姫」
叫んだりわめいたりしていると再びシエラが現れた。
彼女はなぜか料理の乗った盆を持っている。
「食・・事?」
「うむ。貴様の魔力を増強する為のな。フフフ・・・喜ぶがいい。
 このわらわが人間ごときの食事の世話をすることなど金輪際有りえんことだぞ。
 それも、この魔獄の扉をわらわ以外の者が開けられないからだがな・・・」
そういうものの、シエラはご機嫌なようだ。あたしを思いのままに出来ることがうれしいのか?
考えている間にシエラは盆を床に置き、スプーンを手に取る。
拘束は一切解かずに、彼女が食べさせるつもりのようだ。
このままでは、ずっと縛られたまま・・・。もう、ここで頼むしかない。
「ね、ねえ・・・」
「何だ?」
「す、少しでいいから、この鎖・・・解いてくれない?」
「・・・は?」
アリアの要求にシエラはぽかーんとする。
「貴様はバカなのか?なぜ、捕えた獲物を逃がす必要がある?」
「に、逃げる・・・とかじゃ・・・なく・・・て・・・」

282名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:44:21
先程まではあんなにわめいていたというのに、やはり相手を目の前にするとその欲求を口にすることがためらわれてしまう。
考えてみれば、他の人に「トイレに行かせてください」と頼んだことなど小さな頃を除いてほとんどない。
だが、今さらその言葉を発することをためらっても意味はなかった。
我慢できずにもじもじと足をこすり合わせてしまっているのだ。
シエラはすぐに気づいた。
「フフ、そうか。貴様はずっとその状態のままだったな」
顔が熱くなる。だが、もう羞恥心などに構っていられない。
「に、逃げないから・・・トイレだけ行かせて。・・・お願い」
「フン、王族のくせに我慢できんのか?」

283名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:44:52
シエラはニヤニヤと笑う。
彼女自身も魔界の由緒ある家柄の娘だから、王族である自分がトイレの要求をしていることの意味が分かっているのだ。
「・・・ッ!くぅぅ・・・」
プライドが傷つけられる。だが、このままでは堪えられなくなってしまう。
頭を下げてでも行かせてもらわなければならない。シエラの方にも、
あたしをトイレに行かせない理由はないはず。そう思った矢先だった。
「残念だが、このまま我慢し続けるのだな。この魔法陣から貴様を出すわけにはいかんからな」
「・・・・ッ!!」
「この魔法陣は、貴様の扱い辛い魔力に作用する分かなり高度で複雑なもの。
 効果対象である貴様がそこを動けば、たちまち魔法陣は誤作動を起こしてしまう。
 ゆえに、貴様を解放することはできぬのじゃ」
「そ・・・そんな・・・」
パラパラ・・・という音が聞こえた気がした。
何かが崩れはじめるような、そんな音が聞こえた気がした。
ああ、そうか・・・。
これは、絶望だ。

284名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:45:16
放心状態になったのはほんの一瞬。
ここで、屈してしまいたくはない。負けたくない。
「・・・じゃあ、この鎖、少しだけでいいから緩めてくれない?お腹が締め付けられて・・・苦しいから」
「ほう・・・。絶対解放されることはないというのに、まだ我慢を続けるのか?」
「・・・当たり前でしょ」
「フフ、アハハハハ・・・。ククク、まあわらわが貴様と同じ立場でも死ぬまで我慢しようと思うだろうな。
 高貴なる貴族のわらわが、異種族の前で粗相など絶対にできぬからな、フフフ・・・」
シエラはケラケラと笑いながらも、少しだけ鎖を緩めてくれた。
本当にわずか、絶対に逃げることは出来ない程度だが、それでも尿意がわずかに軽減した気がする。
それだけ、ぼうこうは膨らみきってぱんぱんの状態なのだ。・・・!!
「うぅぁ・・・ッ!!」
シエラがそっと、あたしのお腹に手をそえた。
「おおっ!これはもう本当に限界状態なのだろうな。パンパンに膨らんでおる」
「て、手を・・・どけ・・・て・・・」
「フフフ、戦場を狩る『白い稲妻』も尿意には抗えぬか」

285名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:45:40
「あ、あんた・・・だって、同じ立場だったら、絶対もう、もらして・・・る」
シエラはそっと手を置いただけだったが、本当にもれそうになった。
はあ、はあ、と荒い呼吸をして、そこに力を入れ直す。ぎゅっと閉じあわせる太ももはカタカタと震えている。
「フフ、そうかもしれぬな。現に、貴様を見ていたらわらわも少々・・・」
シエラは「んぁ・・・」と顔をしかめ、ぶるりと震えた。
「というわけで、食事は早く終わらせるぞ?」
「い、いらない・・・。こんな状態で、食べれるわけ、ない」
「フフフ、そうはいかぬ。貴様からは搾り取れるだけの魔力を絞らねばならぬからな」
そう言って、シエラが無理矢理食事を食べさせようとしてきたときだった。
「シエラ様ッ!!」
「・・・なんじゃ?」
シエラは不機嫌そうに牢の入り口の方に目を向ける。
「大変です!人間どもが攻めて参りました!多数の衛兵がすでに・・・」
「なっ・・・」

286名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:46:07
報告を聞くと、シエラは忌まわしそうにため息をつく。
「ちぃ、ここまで来たか・・・。仕方ない、わらわが直々に相手をしよう。
フフフ・・・アリア姫、希望は持たぬことだな。わらわが出るからには、この城には誰一人通さぬ」
そういうと、彼女は牢を後にした。

「・・・・・・」
再び静かになった部屋に、ガチャガチャという鎖の音だけがけたたましく響く。
(来てくれたのは誰?・・・誰でもいい・・・お願い、お願いだから・・・助けて)
もう、尿意はとっくに限界を超えている。おしっこの出口の感覚も、だんだんなくなってきた。
未だかつてこんな状態になったことはない。ここからいつまで我慢できるのかは、もう分からない。
1秒後にはもう決壊してしまっているかもしれない。
「トイレぇ・・・・トイレに行きたいよぉ・・・・」
本当にお願いだから、1秒でも早く、ここから助け出してほしい。
この薄暗い部屋の中で、あたしはいつまでもだえ苦しんでいればいいのだろう。

287名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:46:33
「そ、そう・・・あ、あれは昨年の春・・・、城に、き、曲芸団をまねい・・・て。あれは・・・楽し・・・かった」
ひたすらに、ひたすらに思考を別の方向へと向ける。
考えるな!考えるな考えるな!尿意から意識をそらすんだ!
「い、一番の目玉は・・・あ、あれ・・・なんだった・・・か」
ダメだ。頭の中に浮かび上がった思い出の風景は瞬く間に塗りつぶされ、意識は下腹部の方へと引き戻される。
「あ・・・ああ・・・と、トイレに・・・行きたい・・・・」
思考にノイズがかかり、何も思い浮かばない。ただ、トイレという言葉だけが頭の中をぐるぐると回る。
身体の震えが止まらない。全身の力をおしっこの出口に注いで、やっと決壊を防いでいる。
耳鳴りがする。ぼうこうが悲鳴を上げている。
(もれちゃう!もれちゃうもれちゃうもれちゃう!!もれちゃうよぉぉ!!)
プシッ・・・
「あっ・・・」
下着に、暖かい感触が広がった。

288名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:46:58
(ダメッ!!!)
すでに全力の力を注いでいたところに、さらに強く力を注ぐ。
太ももを痛いくらいに閉めあわせ、必死に決壊を防ぐ。
少し、もれた。もう、本当に、ぼうこうが限界なのだ。
「や、やだ・・・やだよ・・・もれちゃう・・・全部もらしちゃう・・・!!」
少しずつ、下着のぬれる範囲が広がっている。
ダメだ・・・もう我慢できない。
「もれるッッ!!!もれちゃうぅぅぅ!!トイレに行かせてェェェェェ!!!」
「アリア様ッ!!」
「・・・・!!」
聞きなれた声がした。視界に一人の女性が映る。
「め、メル・・・・」
「アリア様ッ!大丈夫ですか?」
「メル!と、解いて!!コレ、今すぐ・・・と、トイレ!トイレに行きたい!!」
もうほんの少しも堪えられそうにない。トイレに、トイレに、今すぐ・・・
「だ、ダメです、アリア様!この扉には結界が・・・上位の魔導兵でないと・・・」
(え・・・・)
あたしは、まだトイレに行けないの・・・?

289名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:47:19
激しく身をよじる。歯を食いしばり、髪を振り乱し、鎖から抜け出そうとする。
(もれる!!ダメェェェッ!!もれる!!もれちゃうよぉ!!)
メルは、外にいるというルナを呼びに駆けて行った。
「早く・・・お願い・・・早くぅぅうう!!」
あまりにも尿意が強すぎるせいだろうか、だんだん目に映る景色さえおかしくなってきた。
視界が狭く、よく見えない。頭が回らず、意識が混濁していくような・・・。
メルはまだ戻って来ない。
もう下着はぐしょぐしょだ。何回ちびってしまったか分からない。
それでも、決壊だけは絶対にさせない。
もうどうやっておしっこを我慢しているのかよく分からないが、ただそこに力を注ぐ。
(おしっこ・・・おしっこしたい・・・もう出しちゃいたい・・・)
下半身の感覚がない。自分の身体ではないみたいだ。
今感じているものは尿意なのか?痛みなのか?
プシッ・・・
また、少しもれたみたいだ。でも、もうこれ以上力は入らない。
プシッ・・・
また・・・
「〜〜〜〜〜〜ッッッッ!!!」

290名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:47:41
「ぁぁっ・・・ぁあ・・・・・・・」
扉が開く音がした。誰かが自分に駆け寄る。
視界が妙に暗くて、顔が分からない。
すぐ近くまで来てくれてようやく分かった。
メルとルナの二人だ。
もはや、しゃべることもできない。
歯を食いしばり、全ての神経をおしっこの出口のその一点に集中させる。
それでも、少しずつ、確実におしっこはもれだしている。
二人が鎖を解いてくれた。自由になった手ですぐに股間を押さえつける。
ぐっしょりとぬれた感触がした。
もれてしまったおしっこは、「ちびった」と言う範囲を遥かに超えていたようだ。
それでも、お腹の中にはまだ限界を遥かに超えるだけのおしっこが溜められている。
あたしがもう立つことさえできないと分かったのだろう。
二人が、あたしを支えて立たせてくれる。
「・・・ぅぐッ!!〜〜〜〜〜!!!」
立ち上がった瞬間、膨らみきったぼうこうを刺激が貫いた。
「ぅぁ・・・・ぅぅ・・・」

291名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:48:04
「アリア様ッ!」
一歩も歩けないまま、あたしは崩れるように床に座り込んでしまった。
無理だ。足に少しも力が入らなかった。
あたしの身体は、ほんとうに、全身の全ての力でやっと、おもらしを食い止めているのだ。
(も・・・もう・・・うご、け・・・な・・・い)
やっと、拘束から解放されたのに・・・
二人が来てくれたのに・・・
もうあたしは少しも動くことができない。
「・・ダメ・・・も、もう・・・もれちゃ・・・」
いつの間にかメルがいなくなっていると思ったら、彼女は牢の入り口の方にいた。
ああ、人払いをしてくれているのか。
「アリア様、もうここで・・・下着を・・・!」
ルナが言う。でも・・・
「む・・・り・・・手・・・・どけたら・・・・出ちゃ・・・・う」
下着を下ろすという動作をする余裕すら、もうあたしにはない。
もう絶対にムリなんだ。
もう絶対に、トイレには行けない。
でも・・・絶対におもらしなんてしたくはない
それなのに・・・

292名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:48:29
「い・・・いやだ・・・・こんなの・・・・」
勝手に、目から涙があふれ出す。
勝手に、身体はおしっこをつくり続ける。
勝手に、我慢は限界を迎える。
動くことも、もうできない。
あたしの身体は何一つあたしの自由にならないみたいだ。
「やだ・・・絶対・・・や・・だ」
身をよじる。歯を食いしばる。それでも、少しずつ、手にぬれた感触が広がっていく。
「や・・だよ・・・・なん・・・で・・・」
下着の中に、これまでとは段違いの勢いで暖かい感触が広がる。
水流が渦巻く。
(あ・・・・ああ・・・・)
おしっこはものすごい勢いで噴き出して行くのが分かる。
(ぁぁ・・・)
言葉が出ない。何も見えないし何も聞こえない。何も感じない。
おしっこは止まらないし、止める力ももうない。
水たまりはどんどん大きくなっていく。それでもお腹はまだ軽くならない。
こんなにたくさん我慢していたんだ・・・
「・・・、・・・・、」
言葉を発しようとしてもパクパクと口が動くだけだった。

293名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:48:50
ほんの少しだけ、泣き伏した。
けど、その後にはすぐに立ち上がった。
「ごめん」「ありがとう」「帰ろう」

294名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:49:21
「それで、ずっとトイレを我慢して山の中を彷徨ってたんですよ」
「へぇ〜、メルも苦労したんだねぇ〜」
「はい。けど、ルナも相当ですよ。わたしが来たときにはもうひどい状況で・・・」
「ちょ、ちょっと・・・は、恥ずかしいから言わないでってば!しょうがないじゃんか!
 魔法薬飲んだらものすごくおしっこ近くなるんだから・・・」
メルとルナはしゃべり続ける。
あたしを元気づけようとしてくれているんだ。
「けど、アリア様もさすがにもう戦場になんか行きたくなくなったんじゃないですか?」
ルナが尋ねる。
「そうだね〜、少なくとも今回みたいなのはもう絶対ヤダ」
(から、次はもっと気をつけるようにしよ)
メルとルナは目を見合わせてクスッと笑った。

295名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 16:52:22
ここまで、お付き合いいただいた方、ありがとうございました。
とりあえず完結です。
いろいろ省いた割に、少し長くなりました。
戦争とか強制終了だったのにw

「こんな話は受け付けない!」って方はゴメンナサイ。

296名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 18:54:06
シリーズ物は連続性を説明するために
無駄な部分がどうしても増えてしまうんだね
その部分に魅力を持たせるか、説明自体を割愛するくらい大胆にいくか

297名無しさんのおもらし:2011/12/11(日) 19:21:24
乙です

298名無しさんのおもらし:2011/12/13(火) 08:06:03
>>295大作おつ
読んでて面白かったよ

299名無しさんのおもらし:2011/12/25(日) 14:37:38
今日、彼女におしっこ我慢プレイ誘ってみようかな…

300名無しさんのおもらし:2011/12/26(月) 00:33:07
 12/24――クリスマスイブの午後6時。
 私、東雲ユウは、カラオケ店からの帰り道を歩いていた。
「あ゙ー……もう半年分ぐらいは歌った気分だよ」
 友達と一緒に朝の10時からずっと歌っていたので、私の声はすっかり掠れ声だ。
 ひりひりする喉をさすりながら、家に帰った後の事を考える。
 お母さんが『腕によりをかけて作る』と豪語していた今日の夕飯。さらにその後にはケーキまである。
 想像しただけで幸せな気分になってきて、
 いつの間にかスキップをしていた私は、不意打ちのようにやってきた感覚に思わず足を止めた。

 おしっこが、したい。

301名無しさんのおもらし:2011/12/26(月) 00:34:37
 そういえば最後にトイレに行ったのはいつだろう。
 記憶を遡ってみて……10秒後、私は戦慄した。
 カラオケ店では一度もトイレに行っていない。つまり、朝ご飯の前に用を足して、それっきりなのだ。
「む、夢中になってて、忘れてた、っ」
 のめり込みすぎる自分のクセを後悔しても、もう遅く。
 そっとお腹に手を当ててみると、かなりの量のおしっこが溜まっているようで、ぱんぱんに張っていた。
「……はやく、家に帰らなきゃ」
 小さく呟いて、いつもより少し内股で、私は再び歩き出した。

302名無しさんのおもらし:2011/12/26(月) 00:35:18
「こんな時に限って赤信号……急いでるのに、っ」
 愚痴を言っても、赤になったばかりの信号がすぐに青になるはずもない。
 住んでいるアパートが目の前に見えているだけに、はやく、はやく、と焦りばかりが募っていく。
 ふと風が吹いて、ぶるり、と震える私の身体。
 ショーツの中がきゅんと疼いて、黒いストッキングに包まれた脚を、思わずもじもじとすり合わせてしまった。
 どうしよう。
 そろそろ、本格的におしっこがしたくなってきそうな、そんな予感がする。
 確かにアパートは横断歩道を渡ればすぐだけど、私の家は5階。
 エレベーターも、エントランスのトイレも、半年前からずっと故障中のままなので、
 おしっこを我慢しながら階段を上っていかなければいかない。

303名無しさんのおもらし:2011/12/26(月) 00:35:52
 後ろを振り返ると、見えるのはコンビニ。
 どうしよう。本当はダメだけれど、頼み込んだら、優しい人だったらトイレを貸してくれたりしないだろうか。
「うぅ、でも、でも、っ」
 もしダメだったら、信号待ちの時間が増えただけ、ということになりかねない。
 それ以上に、店員さんが男の人かもしれなくて。
 男の人に、『おトイレを貸してください、お願いです、もう我慢できないんです』と言わなければいけないかも。
「無理、だよぉ、っ」
 考えるだけで恥ずかしくなって、顔がかあっと熱くなる。
 ……やっぱり、ちゃんと家まで我慢するしかないみたいだった。

304名無しさんのおもらし:2011/12/26(月) 00:36:46
 ようやく信号が変わり、小走りに横断歩道を駆け抜ける。
 急がないと。中学生にもなっておもらし、なんて絶対イヤだ。
 お腹に負担をかけないように、けれどできるだけ急ぎ足で、エントランスも駆け抜け、階段の前までやってきた。
 あとはこれを上りきるだけ。それで、トイレに行ける。
 一呼吸して、私は上り始めた――けれど、やはりというか、なかなか進めない。
 太ももをぴっちりと合わせたままでは、階段を早く上るのは難しいのだ。
 何度も襲ってくる尿意に身体を震わせて、時には立ち止まって股間をぎゅっと押さえたりもして。
 いつもなら1分くらいの所を何分もかけ、ようやく4階。

305名無しさんのおもらし:2011/12/26(月) 00:37:30
 あと1階上まで我慢すれば、思う存分トイレでおしっこができる。
 なのに。
 そんな事情も関係なく、お腹の奥から込み上げてくる強烈な尿意。
 おしっこがしたい。したくてたまらない。もう、本当にやばい。気を抜くと、出ちゃいそうだ。
 いや、もう何度か、ほんの少しだけ、チビってしまっているかもしれない。
「っ、ダメ、だめ……」
 じんじんと疼くおしっこの孔を、スカートの上から必死で押さえつける。
 我慢、我慢、と繰り返し唱えて、腰をくねくねと前後左右に動かして、耐え続けた。

306名無しさんのおもらし:2011/12/26(月) 00:38:25
 ……やがて、だんだんと治まっていき、小康状態になる。
 ゆっくり息を整える暇もなく、慎重に足を動かして、階段を1段、また1段。
 4階から5階まで、あと半分。もうすぐだ。
(あと、ちょっと、がまん、がまん、っ)
 その途中でも何度も尿意が押し寄せて、少しずつチビってしまいながら、私は上り続けた。
 あと、3段。
 あと、2段。
 あと、1段。
 そして――私はやっと、5階まで辿り着いた。

307名無しさんのおもらし:2011/12/26(月) 00:39:05
 けれど。
「や、あ、ああぁっ」
 ぶじゅ、ぶじゅ、とショーツの中からくぐもった音。
 階段を上りきって気が緩んでしまったせいか、おしっこが出始めてしまったのだ。
 とっさに股間を両手でぎゅっと押さえつける。
(が、まん、だめ、ここだめ、おしっこ、だめなの、っ)
 言葉とは裏腹に、おしっこは止まらず、ショーツの中を温かい感覚で満たしていく。
 我慢し続けた末の排泄の気持ちよさに、下半身ががくがくと震えてしまい、うまく力が入らない。

308名無しさんのおもらし:2011/12/26(月) 00:39:38
 もう、無理だ。
 これ以上、おしっこを我慢できない。
 そう悟って、私はおもらししながら駆け出した。おしっこが全部出てしまう前に、はやくおトイレに。
 けれど、5歩もしないうちに歩幅が狭くなり、止まってしまう。
(だ、だめ、だめぇ、おといれ、おしっこ、だめ、でちゃ、あ、あぁ、おしっこ、も、もぅ、で、でちゃ、う、っ)
 家まであと5メートルもない場所で。
 下腹部がぶるりと震え、すでにぐっしょりと濡れたショーツの中で、おしっこが勢いよく噴き出した。

 ぶじゅじゅ、じゅうう、ぱちゃぱちゃぱちゃ、っ

 おしっこが布地に叩きつけられる音と、おしっこがタイルに落ちる音。
 とうとう、本格的なおもらしが始まってしまったのだった。

309名無しさんのおもらし:2011/12/26(月) 00:40:21
 だめ、がまんしなきゃ。
 そんな思いがどんどん小さくなって、頭の中が気持ちよさでいっぱいになっていく。
「ふあ、あぁ、っ」
 堪えきれず、零れる甘い声。
 身体は自然と、しゃがみ込んで足を開いた、おトイレの体勢になっていた。
 床にはすでに大きな水溜りが出来ていて、それでもおしっこはまったく止まる気配を見せない。
(まだ、でてる、とまらない、とまらないよぉ……っ)
 もうここがどこかも、下着をつけたままなのも忘れて、私はただ快感に身を任せていた。

310名無しさんのおもらし:2011/12/26(月) 00:40:47
 数分後。
 ようやく長い長いおもらしが終わり、濡れたショーツとストッキングの冷たさに、ふと我に帰る。
 恐る恐る立ち上がり、下を見ると。
「……っ」
 水浸しになった床。
 漂ってくる、おしっこの匂い。
 それは、中学生にもなって私が失敗をしてしまったという証だった。
(う、うぅ、わ、わたし、おもらし、しちゃった、んだ、っ)
 あと少し我慢すれば、家のトイレに着いたのに。
 しかも、よりにもよってクリスマスイブに、こんな恥ずかしいことを、やらかしてしまうなんて。
 胸の中が惨めな気持ちでいっぱいになって、
 ぽろぽろと涙を零しながら、私は重い足取りで家の方へ歩いていった。

311名無しさんのおもらし:2011/12/26(月) 00:41:35
以上、投下終了です。
急にネタが来たので(QNK)なんとかクリスマス中に!と意気込んだけど間に合わなかったorz
間に合わないのは女の子のおトイレだけで十分だというのに。

312名無しさんのおもらし:2011/12/26(月) 05:15:28
久しぶりに覗いたらすごい良作キテタ

313名無しさんのおもらし:2011/12/26(月) 08:35:13
うひょー、GJです!
すばらしいクリスマスプレゼントをありがとう!

314名無しさんのおもらし:2011/12/31(土) 23:00:37
十二月三十一日、二十三時丁度。
日本国民なら誰しも、年明けの瞬間を見たいだろう。
今、紅白歌合戦では私のよく知らない歌手が歌っている。
私、宮野茜は、眠たげにテレビを見つめていた。
髪は黒いロングにしていて、肌は結構白い。
ジーンズを履き、白いニットのセーターを着ていて、非常にラフな格好だ。
暖房をつけていて、コタツに入り、普段この時間には寝ているためか、うとうとしている。
「あ、コーヒーでも淹れようかな」
コタツの上には、ミカンの皮が三つも重なり、湯飲みの中には飲み終わった緑茶がある。
中途半端に胃に物を入れているから眠くなるのだろうか、何にせよ、このまま眠っては初日の出が見れない。
コーヒーを飲めば、目も覚めるだろう。
そう考えると、すぐにポットを持って流し台に向かう。

315名無しさんのおもらし:2011/12/31(土) 23:01:19
水を出すと、テレビからナレーションが流れた。
『次の歌手は、……です。どうぞ!』
この歌手は私が好きな歌手だ。
ふと、テレビに顔を向けると、手が濡れた。
「あちゃー、入れ過ぎちゃったかなぁ」
テレビに夢中になっている間も、水は勿論放出されている。
そのため、ポットの中はたぷんたぷんだ。
「ま、いいか。勿体無いし」
コーヒーメーカーにポットを設置し、豆を入れた。

316名無しさんのおもらし:2011/12/31(土) 23:02:14

十二月三十一日、二十三時半。
「げぷ、お腹いっぱい……」
何故、ポット全ての水をコーヒーに変えたのだろうか。
三杯目を飲み終えたが、お腹がいっぱいになって、余計眠い。
いや、コーヒーのカフェインは飲んでから二十分後に効くって聞いた事がある。
一杯目を飲んだのはいつだったかな。まぁいいか。
後三十分で年が変わるのに、眠くて眠くてたまらない。
あ、ちょっとトイレに行きたい。
でもコタツから出たくないな、寒いし。

317名無しさんのおもらし:2011/12/31(土) 23:03:57
十二月三十一日、二十三時五十分
「あっ、ヤバい……かな?」
コーヒーで目が覚めたためか、トイレに行きたい欲求が強くなってきた。
コタツの中で、かなりもじもじしている。
あー、コーヒーってトイレに近くなるって言うからなぁ。
でも、後たった十分で年明けだ。
「ああっ、くぅっ……」
尿意の波と言うのだろうか、それが突如襲ってくる。
トイレに行かないと、マズい。

318名無しさんのおもらし:2011/12/31(土) 23:04:44
判断の結果、少しずつ後ろに下がって、コタツから出た。
そして、コタツに手を置き、立ち上がる。
「きゃあっ!」
気付かない内に足が痺れていた。
そんな状態で立ったためか、バランスが取れずに尻餅を付く。
「……ッ! んんっ……!」
じわり、と少量が漏れてしまう。
ジーンズの股の部分が変色し、慌てて両手で押さえ直す。
幸い、失禁まではならず、絨毯まで濡らさなかったが、尻餅の衝撃と足の痺れで動けない……
早く行かないと……でもっ……うぅっ……

319名無しさんのおもらし:2011/12/31(土) 23:05:58
十二月三十一日、二十三時五十五分
「くうっ、あっ、はぁっ……」
テレビからは、陽気な声が聞こえてくる。
私はもう限界をやや突破しているぐらいだ。
足の痺れが取れ、やや尿意も少し収まって来た頃、コタツを支えに立った。
立つ時に再び少量が漏れ、シミが余計に拡がったが、今更気にする事は無い。
一歩歩くのに一分ぐらいかかる様な気がして、頭がくらくらしてくる。
「ド、ドア……着いた……」
ドアを開け、少し歩けばトイレだ。
右手でなんとかドアを押し、廊下へと出た。
「く、くうぅ……くあぁっ……」
温かい部屋から、急に寒い廊下に出たためか、尿意がより一層強くなる。
寒さのためか、尿意のためか膝が震え、トイレはもう少しなのに歩けない。
ぶしゅっ。
あ。
少しずつ、生暖かい感触が拡がって行く。

320名無しさんのおもらし:2011/12/31(土) 23:06:39
十二月三十一日、二十三時五十九分
「ひっ、はうっ、ああっ」
必死に入り口を狭め、尿の勢いと量を何とか抑えているが、少し痛い。
けれど、失禁が止まらない事は確かで、少しずつおしっこを垂れ流しながらトイレへと向かう。
ジーンズはもう十分な程濡れていて、失禁と言っても変わりないレベルだ。
このまま全てを垂れ流して、楽になりたい。
だけれど、完全に失禁はしたくないし、もう年明けになってしまう。
おしっこを垂れ流しながら新年を迎えるのと、トイレで放尿をしながら新年を迎える。
どちらも嫌だけれど、お漏らしだけは、嫌だ。
『さぁ、後三十秒で新年です!』
「あ、もう、こんなじか……んなのっ……」
テレビからの声が聞こえる。
歩いて、早く、トイレにっ……

321名無しさんのおもらし:2011/12/31(土) 23:07:21
「あっ、はぁっ、んんっ……」
頭の中がぐるぐると回り、気持ち悪くなる。
壁に左手を当て、少しずつ前進していく。
おしっこはほぼ垂れ流しているけど、まだ間に合うかもしれない……
『さぁ、年明けのカウントです! 5!』
「着いたぁっ……」
トイレのドアの前に着く。
『4!』
手でドアを押す。
早く、早く。
『3!』
トイレの中に入る。
ようやく、安心しておしっこ出来る……
『2!』
「あっ」
芳香剤の匂いが、鼻を突いて気が抜けた。
『1!』
そのまま、膝を付いて崩れ落ちる……

322名無しさんのおもらし:2011/12/31(土) 23:09:50
『0! 2012年になりましたー!』
「ひっ、あっ、嫌ああぁっ……」
ぶしゃあああぁっ……
鈍い水音が聞こえた。
パンツを越え、ジーンズを越え、おしっこが滝の様に漏れていく。
無理だと分かってるけど、手は押さえ続けている。
廊下まで浸水し、マットもスリッパも雨を浴びたのかの様だ。
トイレの蓋に顔を置き、大粒の涙がカバーに染み込んでいく。
「ひぐっ、ぐすっ……えぐっ……」
何杯も飲んだコーヒーは、数分経ってようやく終わる程の量に化していた。
立って拭こうとしても、力が抜けて立ち上がれない。
濡れたジーンズが、冷めてきてとても冷たい。
「わたしっ……年明けの時に……お漏らししちゃったよぉ……」
トイレの中には、甘い芳香剤の匂いと、苦いコーヒーの匂いが漂っていた。

323名無しさんのおもらし:2011/12/31(土) 23:14:28
初投下終了しました。
書き終えたのが三十分位前で、今の今までガキ使見てたから全然推敲してません。
おもらしするのとトイレで新年迎えるのはどちらも嫌だ。けどおもらしだけは嫌とか、
なんでこんなにコーヒー作ってんだタコとか思われると思いますが、まぁそこは……ね?

324名無しさんのおもらし:2012/01/01(日) 02:05:49
年明けに覗いたらすごい良作キテタw

325名無しさんのおもらし:2012/01/01(日) 12:17:38
あけましておめで…

年越しおもらしキターーー!!!

326pamo:2012/01/08(日) 22:58:43
―――2034年、技術の進歩により世界中で身近な物の機械化は当たり前となっていた。
会社から学校まで、優秀なロボットを導入することで人件費の削減と仕事の効率化上昇が
可能となっていた。
「頭脳が進化しすぎたロボットが反乱を起こす」といったSF作品にはありがちな心配事も
目に見えて起きることはなかった。
しかし、大きく取り上げられることがないだけでロボットによる人間への被害は小さく小さく
起こされているのだった・・・。

327pamo:2012/01/08(日) 23:04:47
都内某所にある高校、ここでも当然のようにロボットが導入されていた。
受付や掃除、教師の手伝い等の雑務を全て数体のロボットに任せており、
学校側としては予算的に少し厳しいところもあったが、全体的に見れば
十分にプラスであると考えられる導入で、もう少し早めの決断をしておけば
よかったなぁと教師一同で反省していた。
ここから書く話は、そんな学校でのある一日のこと―――

328pamo:2012/01/08(日) 23:11:12
「あああ急いで急いで!鐘鳴っちゃう!」
一人の女子生徒が廊下を必死に走り、他の生徒が驚きながら道を開ける。
なにやら切羽詰った状況の様子が見える女子生徒の名はシオリ、この春1年生になったばかりだ。
授業が始まる5分前に彼女が廊下をひた走るには理由があった。
何を隠そうシオリは家でトイレを使ってから昼を過ぎた今までトイレを使っておらず、
とてもおしっこを我慢できる状態ではないのだった。

329pamo:2012/01/08(日) 23:17:30
トイレを使っていない理由は「友だちと話していて」やら「忘れていた宿題をやっていた」
といった些細なもので、休み時間にトイレに行く機会を自然に逃していたのである。
だが、生理的欲求は着々と少女の体内で蓄積されていき、今やピークに達っする寸前で
自分が担当であるはずの日直の仕事も途中で男子に変わってもらい、トイレを目指して
ひたすら走るに至ったのだった。

330pamo:2012/01/08(日) 23:26:03
時間的にはおそらくトイレを使用し、教室に戻る頃にはチャイムが鳴った後で
先生がもう教室にいるかもしれない。しかし、少し用事があって教室に入るのが
遅れたくらいで怒るほど厳しい教師ではないのでそのへんは安心していいだろう。
もう少しで目標のトイレが見えてくる・・・その時だった。
「そこのあなた、止まりなさい」どこか無機質でありながらも指摘されていない生徒までが
思わず足を止めて振り返ってしまうような声が発せられた。
声をかけられたシオリはすぐさま足を止めた。「う、やば〜・・・」
声の主はシオリの後ろからスタスタと足早に近づいてきた。音声は肉声そのものだが、
如何せん予算の都合上ボディがいかにものなメカニックで出来た中古ロボットがそこにはいた。

331pamo:2012/01/08(日) 23:32:59
「廊下を走ってはいけません。衝突すると危険です。」そんな分かりきった警告を
ロボットは淡々とシオリに対して言い始めた。
廊下を走るな、なんてそんなことは当然分かってるし普段は決して走るようなことはない。
だが、今は緊急事態であって多少の規則違反には目をつぶってもらいたかった。
走っている状態からの急停止により、一気にぞくぞくと悪寒が体を駆け巡る。
「んぅっ・・・!す、すいません。でもちょっと今急いでるんです。注意なら
後で聞きますからっ!」
シオリはブルルッ!と体を震わせた後に足早にその場を立ち去ろうとした・・・が。
がしっ 逃がさんと言わんばかりにロボットがシオリの腕を掴む。

332pamo:2012/01/08(日) 23:40:22
「え、やっ、ちょっと、だから行かなくちゃいけないの!」思わず大きな声をあげてしまう。
トイレはすぐそこなのにこのロボットは一体なにを考えているのだろうか?

キーンコーン・・・「あっ」 本来であればおしっこをしながら聞くであろう
授業開始のチャイムが鳴り、気づけば廊下にはシオリとロボットしかいなかった。
「授業が始まりました。授業中に廊下に出ては、いけません。」インプットされた
情報にだけ従う忠実ならロボットにとって、おしっこが漏れそうな状況など
全く察することができないのであった。
ロボットはシオリの顔をじっと見つめ、データから学年・クラス・出席番号を割り出し、
現在行われているはずの教室を突き止めた。

333pamo:2012/01/08(日) 23:47:35
掴んだ腕をグイグイと引っ張りながら教室へと進んでいくロボット。
哀れにもシオリはせっかくのトイレから遠ざけられていく。
抵抗しようにも相手は機械であり人間の、ましておしっこを我慢している女子の
力で振りほどこうようなく、腰を引いた状態でずりずりと廊下を無理やり進められていく。
そしてとうとう教室に到着し、ロボットがドアを開ける。
「授業中にも関わらず、廊下に出ていた生徒を、連れてきました。」事務的な口調で
教師に説明しながらシオリを前へずずいと突き出す。
「あぁっ!やめ・・・っ、ふぅっ・・・!」
少々乱暴な扱いに堪えている膀胱が緩んでしまいそうになり、必死に我慢する。

334pamo:2012/01/08(日) 23:52:10
出席を取る前に生徒をまるで犯人を捕まえた刑事のように連れてきたロボットを
見て、唖然としていた教師と生徒達だったがロボットが何事もなかったように
廊下へと戻って行ったので、教室の空気はいつもどおりの『授業が始まる』空気に戻っていた。
・・・シオリを除いて。
『ええ〜!今から授業なんてできるわけないよぉ!もう、もう、漏れちゃいそう!』

授業開始から15分が経過し、シオリはとうとう限界に達した。

335pamo:2012/01/08(日) 23:59:01
顔を赤くし、もそもそと動きながらゆっくりとシオリが手を上げる。
「ん、なんだシオリ?質問か?」聞いた後に教師はすぐに状況を把握した。
机の下で足は交差され、スカートの上から必死に右手で股間を押さえているシオリは
誰がどう見ても【トイレに行きたくてしょうがない】ことが丸分かりだった。
「・・せんせぇ・・・ぐ、・・・ちょっと・・トイ、トイレに行ってもいいですかぁ?」
ロボットに連れてこられて出席を取った後すぐにトイレへ行きたいと宣言するのは
さすがにどうかと思ったこと、皆の注目を浴びて自分はもう我慢できないから
トイレへ行かせてくださいと宣言することの恥ずかしさもあってできるだけ我慢していた
シオリだったが、これ以上は最上級の恥を教室で放出してしまいかねないので15分経過した時点でギブアップしたのだった。

336pamo:2012/01/09(月) 00:05:14
「あー、もう仕方ないな。次からはちゃんと休み時間の間に行っとけよ」
『ロボットが邪魔して行けなかったんです!』と自分の名誉のために反論しておきたいが、
そんな余裕もなくゆっくりと立ち上がり、股をしっかりと締めながら内股でシオリは教室を後にした。

トイレまでの距離が途方もなく遠い、気を緩めたら今にも熱い水流が音を立てて流れ出してしまうに違いない。
実際押さえているスカートが気のせいかほんのり暖かい気がする。それでもシオリはトイレを目指し歩き続けた。
1秒でも早くトイレに入らなければいけないが、もうさっきのように走ったりしたら廊下におしっこを撒き散らしながら
走ることになってしまうだろう。今のシオリにとって、幼児の三輪車よりも遅いスピードがシオリの最速だった。

337pamo:2012/01/09(月) 00:09:49
何度も決壊を誘発しそうになっていた波は、今や最大級で正直下着は濡れてしまっており、
スカートから覗く太ももの裏側には若干水滴が見えていた。
「あと、あとちょっとだから〜・・・お願いぃ・・・」
ようやく女子トイレのドアの前までシオリは移動しており、長かった苦しみから解放されようとしていた。

「そこのあなた、止まりなさい」
無機質な警告がシオリへと無残に襲いかかる。

338pamo:2012/01/09(月) 00:15:40
「ぇえ?!」泣きそうな顔でシオリが振り返ると、そこには先ほどのロボットが立っていた。
『授業を受けないで時間を潰している生徒』を探すため、校内を巡回しているロボットに
シオリは最悪なことに巡り合ってしまったのだった。
もちろんロボットがトイレの前で待ち伏せていたのではなく、廊下や空き教室をくまなく検索
しながら歩いているロボットがちょうど校内を1週し終えて別の業務へと移行しようと
していた時に女子トイレのドアをふらふらと掴もうとしているシオリを発見したのだった。
もう少し教室を出たのが早ければ、もう少し廊下を進むスピードが早ければ、そんな不運の重なりが
シオリの悲劇をフィナーレへと導く。

339pamo:2012/01/09(月) 00:23:54
ロボットがシオリがおしっこをわずかながらにせき止めている役目を果たしていた
右手も含めて腕をまたしてもがっしりと掴みあげる。
「あぁああっ!やめてやめて!放してぇ!おしっこぉ!」
手が解放された股間が、圧迫されていた尿道を緩めようと運動し始めるのを
腰を激しく揺すってシオリは抵抗するが、もはや焼け石に水であった。
「1年生、Cクラス、出席番号9番、シオリ ですね? なぜ教室にいないのですか?」
そんな質問がシオリへと投げかけられるが、目の前には女子トイレがあるのだから
聞くまでもなくトイレを使用するために教室を出たのは、どんなに鈍感な人でも即座に理解できるはずだ。
だが、残念なことにこの中古ロボットは見た状況を判断する能力が劣っており、
いちいち説明しないと臨機応変な行動をとることができないのであった。

340pamo:2012/01/09(月) 00:30:27
「お願い!おしっこ出ちゃうのぉ!漏れちゃうからぁ!放してよぉ!!」
授業中にも関わらずシオリは廊下中に響く声でロボットに懇願する。
「おしっこ、尿ですか。なぜ授業中にトイレを使用するのですか? なぜ休み時間にトイレを使用しないのですか?」
自分がその原因を作り出したことにも全く理解できていないロボットが、繰り返し質問をする。
いつでも出る準備が整ったおしっこは、出口付近から早くも先走ってちょろりと流れ出している。
しかし、足元に水滴を落としながら最後のあがきと足踏みをしてシオリは少しでも
おもらししてしまう秒読みを先送りにしようと努力していた。

341pamo:2012/01/09(月) 00:44:52
「おしっこなのぉ、出ちゃうのぉ、あ、あ、ああ〜」
ロボットのように途切れながら苦しそうにシオリは話す。
「トイレを使う、そのため授業を中断し、現在廊下に出ているのですか?」
YESと答えたところで「では教師の許可はとっているのか?」「何分後には教室に戻るのか?」
「授業を受けなかった部分は課題としてやってくるのか?」といった質問を延々と繰り返さなければ
ロボットは今の状況判断することができないほどダメな中古品であった。

しゅしゅっ じゅぅううううう ちょろろろ

そんな悪意のない拘束のおかげでトイレを目の前にしながらとうとうおもらしを始めてしまう。

ぢゃぢゃぢゃ ぱしゃぱしゃぱしゃ ぢゅうううううう

下着をあっさりと超え、おしっこの一方はお尻の部分から床へと大きな音を立てながら
滝のように流れ落ち、もう一方は太ももを熱い水流となってソックスと上履きを侵略していく。
体内から出した黄色い小水を廊下に広げていく少女を見ながら、できの悪いロボットは
「ここは廊下です。なぜ尿を出しているのですか?」などととんちんかんな質問を再度始めるのであった。



342名無しさんのおもらし:2012/01/09(月) 10:32:54
久しぶりに覗いたらすごい良作キテタw

343名無しさんのおもらし:2012/01/10(火) 05:51:15
発想がいいな

344あすな:2012/01/10(火) 22:14:23
思い付きで投稿します

トラック運転手をしている由奈は、いまとんでもない状況に陥っていた。

吹雪の高速道路で、『路面凍結のため通行止。次のICで出よ』という案内標識。

次のICは15Km先。視界は猛吹雪でゼロに等しく、みなハザードを焚きながら走行している。

15Km…長すぎる

そして恐れていたことが現実になった。

前方で起きたスリップ事故のため、完全に止まってしまい、身動きが取れなくなってしまった。

立ち往生して30分…、ピクリとも動かない。

エンジンを切って動き出すまで待とうとしたが、外は氷点下…凍え死ぬ?

更に1時間が経ち、由奈は足元から来る寒さで下半身が冷えてしまい、急にトイレに行きたくなってしまった。

『ちょっとトイレ行きたいな…もう少しで動くから大丈夫!』

降りしきる雪と外から来る冷気が尿意を高め、由奈の膀胱は一気に満水になり、身体が自然に震え出した

345あすな:2012/01/10(火) 22:33:20
ちょっとヤバいかも…おしっこもれそう…

尿意は秒刻みで強くなっていき、決壊するのも時間の問題だった。

高速道路上で足止めされて、どれくらい時間が経っただろう。

ホントにおしっこでちゃう、はやく動いてよ

下半身の感覚がなくなり始め、満水になった膀胱から今にもおしっこが溢れてきそうだった。

寸前のところで決壊を食い止めて、また暴れ狂う尿意との戦いの繰り返し。

もうだめ!我慢出来ない

外でしようとした由奈だが、あまりの寒さに断念せざるを得なかった。

しゅ、しゅ、しゅぃ〜

生暖かい感触が下着の中で渦巻く

あぅ、ちびっちゃった

決壊には至らなかったが、もう由奈の尿意は限界を遥かに越えていた

346あすな:2012/01/10(火) 22:51:24
由奈は最悪の事態を予想していた。

おもらしするかもしれない…

もう1分も持たない

由奈の身体に蓄えられている水分は、許容範囲を越えようとしていた。

ビクッと膀胱が収縮し、一筋の水流が再び下着の中で暴れ出す。

もぅ…ダメだ…おしっこ…でちゃう…

じゅじゅ、じわっ

青の作業衣は黒く変色し、座席も濡れている

お、おしっこ、はやくトイレ!

でもトイレはない、しかも外は猛吹雪。

車が動き出したが、由奈には運転をする気力が残っていなかった。

それでも歯を食いしばり、アクセルを踏む由奈だったが、もう限界だった。

シュィィ〜〜〜〜

あ、だめ!おしっこ全部でちゃう!

347あすな:2012/01/10(火) 23:14:29
もう、むり、我慢できない…

ホントにもらしちゃうのかな、私…

『渋滞10km、35分』の表示。

うそ、35分なんて…

今すぐおしっこをしたい由奈には、35分という時間は気が遠くなるような時間だった。

水道の蛇口を少しずつ開いていくかの如く、何時間も由奈の膀胱に蓄積されていたおしっこが音を立てて、下半身を濡らしていく。

それでも最後の抵抗を試みる由奈は、作業衣を脱ごうとした。

トラックを路肩に停めて、ガクガクと震える全身を動かし、外に出る。

少しでも力を抜けば、たちまちおしっこが溢れ出していまう

348名無しさんのおもらし:2012/01/10(火) 23:28:21
久しぶりに覗いたらすごい良作キテタ

349あすな:2012/01/10(火) 23:37:02
股関節に全神経を集中させ、しゃがみ込む

やっとおしっこできる

が、後方から緊急車両

『前方のトラック、直ちに車を移動して下さい』

慌ててトラックを退け、走行車線に戻る由奈

一度おしっこができるという信号を受けた膀胱はパンパンに膨れあがった

由奈は『おもらし』という最悪のシナリオが浮かびあがり、泣き出してしまった。

下半身はおしっこで濡れているため、動く度に『ぐじゅ』っと音を立て、ポタポタと足元に雫が滴り、小さな水溜まりを作り始めた。

一体どれくらいのおしっこが貯まっているだろう。

いまここでおもらしをしたらどうなるだろう。

350あすな:2012/01/10(火) 23:59:29
殺人的ともいえる尿意で薄れゆく記憶の中、由奈はある決断を下す。

おもらしなんかしたくない。トイレまで絶対に我慢することに。

あらゆる手段で迫りくる本流を塞き止め、座席の下にタオルを敷き、下着の中にもハンカチを入れ、おもらしを最小限で食い止めていた。

絶対に大丈夫!と言い聞かせ、寄せては返す大波を汗だくになりながら必死に耐え続けた。

長かった渋滞も解消し、ようやく高速道路を降りることが出来た。

はやくコンビニかどこか探さなきゃ…

一般道に降りてからは地獄のような時間だった。

ガチガチのアイスバーンで、運転にも集中しなければいけない。

351名無しさんのおもらし:2012/01/11(水) 00:09:38
膀胱もガチガチ

352あすな:2012/01/11(水) 00:17:22
下半身をおしっこで支配されている由奈にとって、雪道は残酷極まりなかった。

限界を越えたのか、少し楽になった由奈は座席の下に敷いていたタオルと下着の中に入れていたハンカチを退けた。

あれ?おしっこしたくなくなった…

どうしたんだろ、私の身体…

我慢しすぎておかしくなっちゃったのかな〜

その由奈の判断は間違いだった。

長時間の極限状態で全身を動かして出た大量の汗で水分が体外に蒸発しただけだった。

膀胱に貯まったおしっこは、数分後には汗と共に由奈の身体の中へ蓄積されていく。

冬にトイレが近くなる原因を、身をもって知ることになる。

353あすな:2012/01/11(水) 00:27:10
コンビニでトイレを借りようとした由奈に、今までとは比べ物にならない、殺人的ともいえる尿意が襲う。

な、なにこれ!動いたらおしっこでちゃう!

一歩も動けなかった。

いや、動こうとしても身体が動かない。

そして…

ばしゃばしゃ!

タイル張りの床にあっという間に水溜まりを作り、次の瞬間…

しゅ〜〜ぃ〜〜〜

しゅ〜〜〜〜

もう止める術は無かった。

作業衣を突き抜け、何本もの本流がバチャバチャ!と音を立てて、おしっこの海を作っていく。

354あすな:2012/01/11(水) 00:43:31
湯気を立て、コンビニの店内にアンモニア臭がたちこめ、買い物をしていた客やアルバイトの店員が、由奈の足元に視線を向ける。

止まることを知らない由奈のおしっこ

止まったと思ったら、再び本流が尿道から溢れ出す。

作業衣はおしっこまみれで下着が透けてしまい、呆然と立ち尽くす由奈

下着など着けていないかのように勢いよく迸し続ける由奈のおしっこ。

いつおもらしが終わるのか…

2分、3分…

意味不明な嗚咽をする由奈

も、もうすこしで…ト、トイレ…だった…のに

おしっこ…でちゃった

辺り一面、由奈がもらしたおしっこで水浸しになり、行き場を失ったおしっこが四方八方に流れ、由奈自身もずぶ濡れになってしまった。

355あすな:2012/01/11(水) 01:03:14
その場に崩れるようにへたりこむ由奈

アルバイトの女性店員が『大丈夫ですか?』と声を掛けてくれたが、頷くだけで精一杯だった。

ポタポタと滴を落としながらトイレに向かう由奈に、また凄まじい尿意が襲う。

トイレの扉を開けようとした瞬間

びちゃびちゃ!

濡れた下着、作業衣はほとんど役目を果たさず、再び本流が足元を伝い、静まり返ったトイレにおしっこの音が響き渡る。

びちびち!ばしゃばしゃ!

由奈の体内に蓄えられていた莫大な量のおしっこ

全てのおしっこを出し切った由奈は、びしょ濡れになった衣服、足元に広がったおもらしの残骸を見て

おしっこ…いっぱいもらしちゃった

こんなに…おもらし…

ごめんなさい…

由奈は着替えをして、再び仕事に戻って行った

fin

なんかうまく描写できなくてすいません

思い付きだったので

356名無しさんのおもらし:2012/01/11(水) 01:04:21
おつかれさまです
途中ぶったぎってすんませn

357名無しさんのおもらし:2012/01/19(木) 18:35:22
(んー、そろそろおトイレ行きたいな)
女子大生の白井菜々子は山に散歩にきていた。黒髪ロングに緑のジャケット、ブルージーンズと活動的な大人の女性の印象を受ける。
そんな彼女が尿意を催していた。
普段彼女はこまめにトイレを済ますため1回の貯蔵量と排尿量は多くない。
しかし今回はこれまで近寄った公衆トイレが汚なかったためあえて入らなかった。
そのためいつもよりおしっこを貯めていた。
きっと久しぶりのシャーっと音がする大規模な放尿となるであろう。
その音を聞かれると恥ずかしいが、汚いトイレでするよりはマシと彼女は考えた。

358名無しさんのおもらし:2012/01/19(木) 18:36:21
(お、あったあった)
程なくしてトイレを見つけた彼女は個室に入り、鍵を閉め、ベルトを外そうとした。しかし
(あれ、なんで外れないの・・・固い)
ベルトの穴に通すバーがフレームに溶接されたかのように全く動かないのだ。
これではジーンズを下ろすことができない。
(このっ うーーーん!)
彼女はなんとか力づくで外そうとしたがダメだった。
(これじゃトイレできない・・・)
彼女が途方にくれていると、彼女の脳に明らかに人間のものではない威厳に満ちた声が響いてきた。
「あなたは過去にこの山でゴミを捨てたことがありますね。今回はその罰を与えます」
菜々子は一瞬自分の頭がおかしくなってしまったのかと思ったが目の前でベルトに起こっていること考えると信じざるを得なかった。
彼女は待ってと声を出したが声はもうそれ以上聞こえなかった。

359名無しさんのおもらし:2012/01/19(木) 18:37:12
菜々子の頭に「おもらし」の四文字が頭に浮かんできた。
今の尿意ではトイレなしで家までは帰れない。しかも付近にハサミ等のベルトを切れそうな道具を買える店もない。
(と、とりあえずなにかいい方法をみつけないと・・・)
このままジーンズを下ろせなければ股から裾の先まで恥ずかしいシミを作ることになる。
スカートであればパンツやタイツだけおしっこに濡らし脱ぎ捨てれば良いがズボンではそうはいかない。
出せると思ったものを出せなかったことと常にそれを出すことを考えるせいで尿意がどんどん高まってくる。
(うぅ、男だったらこのファスナーから簡単にできるのに・・・)
彼女はそうつぶやきジーンズのファスナーを開け、赤のリボンのついた白のショーツを眺めた。
しかしいくら考えてみてもファスナーからうまくおしっこを排出する方法は見つからない。そんなものあるわけがない。
あるのは下ろせないジーンズに囲まれたショーツだけ。
(・・・外さがそ)
彼女は悔しさがこもる手でファスナーを引き上げ、トイレの外に出た。

360名無しさんのおもらし:2012/01/19(木) 18:38:49
外に出たところで状況は変わらなかった。いやむしろ時間がたち尿意が強まっていた。
本当は股を抑えたかったのだが、女の子としてそんな恥ずかしいことは出来なかった。
そのとき一人の40代後半ぐらいの男性通行人がやってきた。そして声をかけてきた。
「こんにちは」
「こんにちは」
「散歩ですか?」
「え、えぇそうです」
いままで声をかけてくる人なんていなかったのになんでこんな時に、
と割れ目から飛びたしてきそうな液体を気力で抑えながら会話を続ける。

361名無しさんのおもらし:2012/01/19(木) 18:39:16
彼女はトイレを我慢していることを隠すのに必死だった。
しかしその努力は意味が無いことが判明する。
「ところで顔色悪いですし足の落ち着きがありませんけどけど・・・ひょっとしてお手洗いですか?」
と男性が言ってきたのだ。菜々子は顔が真っ赤になった。あろうことか中年男性におしっこを必死に我慢しているところを、
そのせいで足をくねくねしていることを見破られ、しかもそれを告げられるなんて!女の子としてありえない!
何も考えられなくなった彼女は失礼しますと震える声で言って走って男性の視界から消えた。
このために、決壊までの貴重な時間が費やされた。

362名無しさんのおもらし:2012/01/19(木) 18:39:42
菜々子の尿意は平時であれば決して経験しないレベルに達していた。
本来ならとうの昔にトイレを済ませているというのに外せないベルトのせいで「その時」がかなり近くまで迫っている。
(やばい、本当に漏らしちゃう・・・  早くジーンズおろさないと・・・)
そうして尿意をずっと気にしながら山をさまよっていたとき、彼女はまさに探していたものを発見する!
なんと、ナイフが地面に落ちているではないか!
(やった! ベルトが切れる! もう大丈夫だわ)
彼女は急いで駆け寄り周りを見渡して誰も居ないことを確認する。
我慢の限界はもうすぐそこだ。
(んー次のおトイレまで我慢できるかわかんないし、もうこの場で切っちゃおう!)
(ここらへん人あんまりいないし、もし間に合わなかったら外でしちゃお。ジーンズ濡らすよりずっとましよ)
彼女は我慢限界でトイレの個室に入ったときのような焦りと間に合った喜びの混じった気持ちでナイフを手に取る。
膀胱はまもなくやって来るであろう特大放水に向け尿圧を高め始めている。
しかし彼女はベルトにナイフを当てた瞬間、悲鳴を上げた。
「ひゃうっ!?」

363名無しさんのおもらし:2012/01/19(木) 18:40:11
彼女はまだジーンズに包まれているはずの下半身にまるで冬におしりを出したかのような外気の寒気を感じたのだ。
それはまるで下半身に何も履いていないような感覚であった。
それによって股間はショーツを下ろし終わったと認識し、割れ目は勝手に水門を開けようとし始める。
(ひゃあっ! やめて!)
彼女は思わずナイフを落とし、両手で力の限り股間を押さえる。
(んんー!  んーーー!)
彼女がベルトを切るのをやめると寒気が引きジーンズの内部に再び暖かさがもどってきた。
が、我慢限界の状態で放尿のための「臨戦態勢」に入った尿意は下半身で暴れまわっていた。

364名無しさんのおもらし:2012/01/19(木) 18:40:39
決壊寸前のトイレを中断された菜々子は膀胱が破裂しそうなほどの尿圧と戦っていた。
女の子のプライドなんぞ忘れ、恥も外聞もなく股間をぎゅっと抑えていた。
そうでもしないと本当に漏れ出してしまう。
(神様お願い!トイレさせて!  もう漏れる・・・いやっだめぇっ)
彼女にはもう新しい場所へ移動するだけの余裕はない。考えるのをやめその場でジーンズを力づくで下ろそうとする。
(もう!脱げて!脱げてよ!)
普段ずり落ちないようヒップよりも上で固定してあるジーンズが下に引っ張った程度で脱げるはずはない。
それでも彼女は必死にお尻を振りながらベルトに力をかける。
そしてここ一番の下向きの力をかけたその時

じょわっ

365名無しさんのおもらし:2012/01/19(木) 18:41:24
恥部周辺の布に暖かい液体が広がるのが感じられた。ベルトが膀胱を押してしまい、ついにおしっこが漏れでてしまったのだ。
幸いジーンズの表面にはまだ色の変化はなかった。
(ちびっちゃった・・・パンツどうなっちゃっただろ)
ジーンズのファスナーを下げ、ショーツをあらわにする。
今までの尿意と焦りでかいた汗の湿りっけがこもるジーンズの中には黄色いシミが広がったショーツがあった。
(これだと前を思いっきり抑えるとおしっこがジーンズに付いちゃうかも)
そう考えてショーツを少し前に引っ張ると、女の子の部分に外の冷たい外気が流れ込み、割れ目がキュンと収縮した。
そして強烈な尿意の波が襲い再びおしっこが漏れ始めた。
(いやあっ  あああああっ)
彼女は急いで股間を押さえた。
なんとか完全決壊は防いでいるものの、もう彼女にはファスナーを上げる余裕すらなかった。
その間にも割れ目からは手の防壁を突き破って漏れ出した黄色い液体がじょわりじょわりとショーツとジーンズを濡らしていった。

366名無しさんのおもらし:2012/01/19(木) 18:41:58
とそのときボールが飛んできた。そして黄色い声が響いてきた。
「お姉さーん、ボールとってくれませんかー?」
どうやらこの山の広場でボール遊びをしていた男の子らしい。
やがて男の子自身が菜々子の前に姿を表した。
「お姉さん・・・」
男の子は菜々子が普通では無いことにすぐに気が付いた。
このとき彼女のジーンズは股を押さえる手で見えない部分の外まで変色していた。
そして、今も立て続けにおしっこが漏れ続け、恥ずかしいシミは拡大し続けていた。
「ご、ごめん、今た、大変なの・・・あぁっあっちへ」
彼女は尿の漏出を食い止めるに必死でまともに会話も出来なかった。
しかし、男の子は無慈悲にも強烈な一撃を放った。
「お姉さん・・・チャック、開いてますよ」

367名無しさんのおもらし:2012/01/19(木) 18:42:37
菜々子はおちびりをして以来黄色いシミがついた下着が丸見えになっていることをようやく気付いた。
ジーンズのシミ、前抑え、そしておしっこに濡れた下着とあらゆる恥ずかしい物を見られた菜々子は慌てて割れ目から手を離し、
ファスナーを上げようとした。しかし・・・

ぷっしゃぁーーーーーーーーーー

手という最後の防壁を失った大量の黄色い液体が勢い良くショーツに向かって飛び出した。
おしっこが割れ目から飛び出し、ショーツにぶつかる音は男の子もはっきり聞きとることができた。
いそいで股間に手を戻したが時すでに遅し。
(いやああっ お願い!止まって!)
いくら必死に抑えても一度一気に出始めたおしっこの流速はちっとも変わらない。
ショーツに注がれた液体は一部は左右の足へむかってジーンズの裾までを変色させ、一部はジーンズの股の縫い目から手に伝わった。
閉められていないファスナーからは湯気が上がり、ショーツが尿を吸っていく様子が見えた。
(止まって・・止まってよ・・・)
下半身を暖かさに包まれた菜々子はもうおもらしとなることを確信し、すべての努力を放棄した。

368名無しさんのおもらし:2012/01/19(木) 18:43:14
菜々子は尿意のままに1分以上おしっこを出しつづけた。
放尿の音をだしながら。ジーンズを濡らしながら。周囲にアンモニア臭を撒きながら。
ファスナーを開き、ショーツが丸見えのまま。
膀胱の尿圧が下がってくる。
そして尿の流速がやっと音が聞こえないレベルまで下がってくると、男の子は複雑な表情で彼女の視界から消えた。
彼女は彼が立ち去るのをまだ残っていたおしっこをちょろちょろと出しながら見ていた。
そしてようやくおしっこが止まると彼女はその場に倒れ込んだ。
彼女に感じられるのはアンモニアの臭いとおしっこの暖かさが冷めたジーンズの冷たさだけだった。
女の子としてのプライドは完全に破壊された。

とそこに最初の威厳に満ちた声が再び響いてきた。
「分かりましたか?今回は初犯ですので元に戻してあげますが次はどうなるかわかりません」
次の瞬間、彼女は最初のトイレにいた。衣服も濡れていない。試しにベルトに手をかけてみると通常通り外すことができる。
彼女は急いで用を足し、無事家に帰ることができた。
これ以来彼女はゴミのポイ捨てをしなくなった。そしてズボンをはかなくなった。

369名無しさんのおもらし:2012/01/19(木) 18:46:34
以上です。

初執筆ですが楽しんでいただけたら幸いです。

370名無しさんのおもらし:2012/01/19(木) 23:08:39
いいですねぇ
またお願いします

371名無しさんのおもらし:2012/01/22(日) 00:51:23
久しぶりに見たら良作連発されてた!thx

372名無しさんのおもらし:2012/01/22(日) 01:14:45
○ 久しぶりに覗いたらすごい良作キテタ

373名無しさんのおもらし:2012/01/24(火) 02:48:02
その「久しぶりに〜」ってテンプレ文章むかつくからやめてほしい

374名無しさんのおもらし:2012/01/28(土) 13:01:00
なんでむかつくの?

375名無しさんのおもらし:2012/01/28(土) 16:05:31
なんでしゃがむの?オシッコなのに

を思い出した

376名無しさんのおもらし:2012/02/12(日) 21:54:43
俺も見ててイライラするから止めて欲しい
理由はテンプレ化してるせいで感想に聞こえなく
作品を馬鹿にしてるように聞こえるから
感想って物書き、絵描きには大事なんだよね

377名無しさんのおもらし:2012/02/13(月) 03:02:52
だって本当に久しぶりに来たし、
何作かいいのをまとめて読めて嬉しかったから
このスレのお約束かマナーかと思って、
そういう風に書いただけなのに……作者さんならゴメンよ
そうじゃないなら言論弾圧ぽくてウゼエ

378名無しさんのおもらし:2012/02/13(月) 05:33:48
こんなスレだから過疎る
読者と作者の意思疎通が下手だよね
以前も感想ないとか言ってキレてた作者いたし

379名無しさんのおもらし:2012/02/13(月) 08:07:56
もう時代遅れなんだろ
書きたい人は個人のページで書いてる

380名無しさんのおもらし:2012/02/14(火) 21:45:38
<そうじゃないなら言論弾圧ぽくてウゼエ

「もっとちゃんとまとめて欲しい」だとか「描写が薄い」だとか
そういうダメ出しの意見だって時には必要だと思うが
毎回毎回同じ言葉だけ書かれてみろよ
ワースゴイヌケルナー スゴクヨカッタデスー
やる気出ると思うか?何も考えずにコピペ文章書くくらいなら黙ってろよ

381名無しさんのおもらし:2012/02/14(火) 21:56:14
>>380
言いたいことは分かるけど、煽るのはやめよう
コピペ感想以上に作品投下の阻害になる

382名無しさんのおもらし:2012/02/14(火) 23:39:04
まぁ、嫌がる人の意見が出たわけだし
荒らしじゃない限り今後そんな書き込みはないでしょう
今後そんな書き込みを見かけたらスルーしつつ「普通の感想」を一言だけでも
書き込んでやれば言いだけの話

383名無しさんのおもらし:2012/02/15(水) 00:48:00
物は言いようだわな
感想然り、>>380然り。

384名無しさんのおもらし:2012/02/15(水) 01:09:07
おまいら賢者モードで感想書いてみろよ・・

385名無しさんのおもらし:2012/02/15(水) 01:52:32
書き手も書き手だなあ。
ごねてる人と投下してる人は別ってことにでもしとかないと悲惨すぎる

386名無しさんのおもらし:2012/02/17(金) 01:36:59
>>385
385が荒しじゃないと信じて反応するが、それ態々書き込むことか?
ここは物語を書くところであるわけでそれ以外で来てる人は読むために来てるはず
色んなレスからどんな想像をしても構わんが周りを不愉快にさせる書き込みはよそーぜ?
そういうのは頭の中でやってくれ

387名無しさんのおもらし:2012/02/17(金) 01:51:49
その元凶がなに言ってんだか

388pamo:2012/03/12(月) 22:45:28
―キーンコーンカーンコーン

放課後、下校を促すチャイムが鳴る。
「さて、と」 鞄をすっと持ち上げてまだ明るい日差しが差し込む教室に学生が一人。
彼女は尾野 優美、いかにも優等生で学級委員や生徒会を任されていそうな風貌を
しているが、実はそういったものには自ら参加することはなく推薦されても断る生徒であった。
しかし、お嬢様達が通うこの女子校の生徒の一人として優雅でありながらも規律を重んじる生徒でもあった。
習いものや塾に通っているわけではないが、日々の努力を怠らず、目下の人への目標となることを常に心がけて
生活している、そんな女子が優美なのだ。

389pamo:2012/03/12(月) 22:54:27
「時間は・・・問題なし、と」
いつもは家で終わらせる宿題を今日は友人と学校でやっていたために放課後まで
残る形になっていた。友人が帰ってしまう中、優美だけが最後まで宿題を終わらせようと
一人放課後になるまで黙々と宿題を消化していたのだった。
彼女は常にスケジュールを組み立てるタイプの人間で、手帳にびっしりと予定を書いたりは
しなくとも脳内では『この後は○○で××をし、次の○○時○○分には××を〜』と物事を
始める前にまず過程を一つずつ予想、問題なく解決出来たのであればその次をと几帳面な所があった。
慎重に前へ前進する優美にとって、今までどんなアクシデントがあっても即座に解決、または回避できていた。

390pamo:2012/03/12(月) 23:03:10
鞄に終えたばかりの宿題を詰めてさぁ帰ろうという時のことだった。
「あら、いけないわ。」それはすっかり忘れていた500mlのペットボトル。
【校内の自販機で購入したものであれば、校内での飲食は許可する】という校則があるので、
やや厳しめなお嬢様学校であっても普通の学生たちのように女生徒はよく自販機からお茶や
ジュースを買い、休み時間に飲むことは珍しいことではない。もちろん優美もその一人で、
今回だって宿題をしながら休憩の水分補給にお茶を買って少しずつ飲んでいたのだった。
だが、一人になってからは宿題を解くことに夢中になりすぎてお茶に手をつけることすら忘れており、
まだ半分ほどお茶が残ったままであった。
普通ならペットボトルに入っているのだから鞄に入れてさっさと帰るのだが、優美はそういう融通がきかない。
『校内で買ったものなのだから、校内で処分しなければいけないのではないか?』
無駄に自分に厳しい性格が彼女を追い立てる。

391pamo:2012/03/12(月) 23:09:56
優美はすぐにキャップを開き、口をつけると少しずつお茶を飲んでいく。
腰に手を当てて豪快にグィイ!と、飲むこともなくお嬢様学校の生徒らしくコクリコクリと
静かに喉を鳴らしてゆっくりとお茶を体内へと飲み下す。
「・・・ふぅ」上品にハンケチで口を拭い、廊下にあるゴミ箱を見つけると教室を出て行きながら
ストンとペットボトルをゴミ箱へ落とす。もちろん分別のためにキャップは外し、別のゴミ箱へと捨てる。
『残っていたお茶を処分、そのまま下校する』一寸の無駄なく進んでいくスケジュールに感情は一切ない、
ただ単に過ぎていく結果に過ぎないのだから。
靴箱に上履きを収め、ゆっくりと玄関ドアを開いて外に出たその時

392pamo:2012/03/12(月) 23:16:50
―ピュウウウ― 肌にしみる秋風が彼女を襲う。
そんな強い風ではないが、条件反射で髪とスカートをさっと抑える。
「う・・・ちょっと寒いわね」季節は秋の半ばでもう冬服には着替えているが
それでも冷え性になりがちな女性には辛い季節である。本来であれば雪が降り始めて
から着用するマフラーを来週には着用することを許可しようかなと優美は思っていた。
ぷるっと体を震わせ、校門を通り過ぎながら今後のスケジュールを脳内で考え出す優美。
宿題が終わったからといって家でゴロゴロとする彼女ではない、今日の復習・明日の予習が
待っている。これはもちろんスケジュールの行程で問題なく家に着けば家着に着替えた後
すぐにでもとりかからなければならないと彼女は思っているのだった。

393pamo:2012/03/12(月) 23:24:32
そんなスケジュールで自分を縛る彼女に異変が起きたのは、家路の3分の一を
歩いた時だった。「・・・」緊急事態ではない、しかし無視できない事態。
それは万物の物理である逃れられない生理現象、尿意だった。
彼女は午後の授業に入る前にトイレに行った後、授業が終わって放課後宿題を
やりましょうと皆で提案・実行、そして一人で終えるまでトイレに行っていない。
4時間は間が空いてしまい、さらに寒い秋風が体内に溜まっている尿を外に出そうと
働きかけ、そこにお茶の水分増加&利尿効果のダメ押しが来てしまっているので
この状態であれば例え優美でなくとも、尿意を感じない方がおかしい。

394pamo:2012/03/12(月) 23:30:50
彼女は考えた、『スケジュールを大きく変更するのは後々に支障が出る。
出来るだけ小さい修正で今後のスケジュールに影響は出したくない』と
そこで素早くだされた答えは簡単明瞭、【電車で自分は家まで帰るのだから、
駅のトイレを使えばいい】これならば尿意を解消、スケジュールに問題はない。
さっそく見えてきた駅のトイレへと向かう、我慢できないほどではないが
寒さと体内のお茶はおしっこがしたいという気持ちを数分後とに大きくしていく。
まぁそんなちょっとしたハプニングともこれでお別れ、そう思っていた。
―ただいま清掃中、しばらくお待ちください― そんな看板がトイレの前に置かれているのを見るまでは。

395pamo:2012/03/12(月) 23:37:08
しばらくトイレの前にいた優美だったが、すっとその場を離れる。
仕方ないことだ、清掃員の人だって時間がいつも決まっているわけではない。
いつもどおりに電車乗って家まで帰り、自宅のトイレを使えばいいんだ。ただそれだけのこと
清掃中のトイレの前でずっと立っているなんてはしたない、「あの子トイレ使いたくてしょうがないんだな。
あんな歳で、しかもあの制服確か○○女子校じゃないか。お嬢様がおトイレを我慢出来ないとはね」
そんなことを誰かに思われたら、自身のプライドだけではなく母校にまで泥を塗ってしまう。
それだけは避けておかなければ。頭の中で自分にしっかりと言い聞かせるように思いながら優美はやってきた
電車へと乗り込んだ。この電車には残念なことにトイレはついていないがそれも仕方ないことだ。

396pamo:2012/03/12(月) 23:44:42
―ガタン、ゴトン― 電車に揺られながら優美は吊り革に捕まっている。
若者である自分がガラガラの車両でもないのに席に座っているのはおかしい。
座っていて老人がきたら席を譲るのではなく、最初から空席にしておけばいいのだ。
そんな心情で日頃から電車は立って乗っている優美なのだが、今はその鉄壁の思いが砕かれそうだった。
「う・・んっ・・・」 まずい、思ったより電車内は暖房がきいておらず、近くに座っている老人達も
「なんだか寒いねぇこの電車」と話している。暖かい電車内であればいくらか寒さによる尿意も収まるかと
期待していたのだが、あっさりとその期待は砕かれたどころか時たま揺れる電車内は彼女の膀胱もたぷたぷと
揺らしてしまい、かえって自体は悪化しているのだった。
到着駅には残念ながらトイレはなく、駅で降りたら自宅までは住宅街で【おしっこが出来る施設】は一切ない。
さすがの優美も焦りを見せ始める。・・・まさか自分は最もしてはいけないことをしてしまうのでは・・・?

397pamo:2012/03/12(月) 23:53:00
スケジュールの変更が大きくなってしまうが構わない、”それ”だけは絶対に絶対に避けなければ。
降りる予定の駅ではないが、ドアが開くと同時にすばやく降りる。実はこの駅で降りるのは初めてどころか
この地域を歩くことすら初めてであった。
この駅にもトイレはついてないのを確認し、内心怒りも感じながらやや足早に駅を去る。
まだ大丈夫、電車内で考えた策がいくつかある。まずは【コンビニのトイレを借りる】
トイレがいつでも使える施設で自宅の周辺にはないがこの地域には1軒や2軒くらいはあるはずだ。
そう考えた優美は携帯電話のナビ機能を使いコンビニを探す。【トイレ】と検索しないのは
まだ彼女のプライドが邪魔していたからだろうか。
近場のコンビニがヒットし、早足で向かう。正直先ほどから『まだ我慢できるよ』の状態から
『もうそろそろ我慢できないよ』へと移り始めている膀胱のために移動を早める必要があった。
寒いというのにいやな汗すら浮かんでいた。

398pamo:2012/03/13(火) 00:02:46
「いらっしゃーませー」 店員の挨拶に律儀に首を傾げて店内へと入っていく優美。
若い男の店員が一人棚を整理している。自分と同じか少し上の年齢な気がして優美は
恥ずかしくなった。『コンビニに来てすぐにトイレに入ったりしてよほどおしっこが我慢
できなかったのかとか思われるのかしら・・・。いいえ、違うんです。ここへはその・・そう!
ちょっと足りなくなったノートを買わなければと思いまして、そのついでに少し借りるだけでして・・・』
そんな葛藤をしながらも、なるべくゆっくりとトイレに向かって【自分はおしっこがしたくて仕方がない
わけじゃないですよ?】とアピールをしていた。店員は特に気にも止めず棚の整理をしている。
やっとこの激しい尿意から解放されると喜び、トイレのノブをぐっと回した。
・・・開かない?!なんで?!!ガチャガチャと思わず乱暴に回してしまった後で気づく。
【使用中】の赤いマーク・・・『やだ、誰か入ってる?私ったらノックもなしにいきなり・・・どう見ても
焦ってドアを開けようとしてるようじゃない!は、恥ずかしい』
顔を赤くし、トイレの前で彼女は俯く。失態だった。

399pamo:2012/03/13(火) 00:11:42
だが、いつまでも恥ずかしさにとらわれていられるほど優美に余裕はない。
「はぅっ!」もうすでに出せるものと思っていたおしっこは、出されることがないと
分かった途端に暴れ始める。下着すら汚してしまいかねない強烈な尿意にやや中腰の
姿勢をとってしまう。さっと後ろを確認するとまだ店員はこちらの様子に気づいていない。
軽い安堵を覚えながらも、貯水量をオーバーした膀胱がいつ放水を勝手に始めてもおかしくない
状況に優美は焦っていた。先にトイレを使用している人には悪いが、さっさと出てくれないと
後一歩のところで盛大に恥ずかしい水たまりを広げてしまうかもしれない。
コンッコンッと思っていたより大きな音、「あのぅ・・・すいません・・・まだ出られないでしょうか?」
消え入りそうな声、自分がしている行為は余裕のない人が見せる恥ずべき行為で、いつも
余裕を持って行動する自分はもちろん、学校の生徒でもこんなことをしている子は見たことがない。
周りがやっていない恥ずかしいことを自分がやってしまっていることで羞恥がさらに高まっていく

400pamo:2012/03/13(火) 00:20:59
そんな精一杯の勇気を絞って恥ずかしい思いをしている彼女に無音の返事が戻ってくる。
なぜノックのひとつも返してくれないのか、なぜ水を流して「いやぁすいませんねぇ」と
笑顔の一つでも見せながら出てきてくれないのか。眉を八の字にして体を左右に揺らし、
暖かい小水がこぼれてしまいそうな所を抑えることで、少しでも楽になろうとした。
「あー、すいません。そこ鍵かかってますよね?それこっちでかけてるんですよぉ」
後ろからかけられた声にぴくりと体を反応させる。そろりそろりと振り返るといつの間にか
店員は棚の陳列を終えていたようだった。我慢している所を見られてしまったのだろうか・・・?
3秒ほど体を硬直させていた優美は、突然姿勢を正して店員へと向かっていく。
「まぁそうですか、防犯のためですもの仕方がありませんよね?」口元にフワリと笑顔を浮かべ、
【おしっこがしたくてしょうがない女の子』からいつもの『お嬢様学校の生徒』へと変身する。
遠目に見てた店員は有名なお嬢様学校の制服を着た美人な子であったとは知らず、目の前にいる
可憐な姿に一目で心を奪われてしまった。

401pamo:2012/03/13(火) 00:28:05
優美はこの精一杯の演技をすることでなんとか恥ずかしい我慢を悟られずにすんだ。
だからと言って、事態が好転したこともなく。彼女の膀胱は以前変わりなくちょぽんと
音を立てんばかりにおしっこで満杯のままである。
「あ、いやぁその・・・ええ、防犯の都合で鍵をかけていまして。お客様がトイレを使いたいと
言うのであれば鍵は開けてもいいことになってるんですけど」
可愛らしい優美に惚れてしまった店員は顔を赤くしながらしどろもどろに説明する。
「あ、いいえ。いいんですよ。少しハンケチを汚してしまって、水道で洗おうとしただけですので、
お構いなく。」ニッコリと笑顔で答えるがよく見ると体はフルフルと震えており、スカートから覗く足は
ピタリと閉じてしっかりと防波堤としておしっこを塞き止めている。
その後、必要もないノートを購入し、気合の入った挨拶を聞きながらコンビニを後にする優美だった。

402pamo:2012/03/13(火) 00:35:11
コンビニから少し離れた後「はぁん!」と可愛い悲鳴をあげてその場にうずくまってしまう。
この姿勢は膀胱に圧力がかかってしまい、非常にまずい。だが頭ではそう分かっていても体が
言うことをきいてくれないのだ。
「おトイレ・・っ!どこかおトイレっ!おしっこしたいの!」もはやプライドや恥を捨てて、
しゃがんだままゆさゆさと体を大きく揺らしながら携帯のナビで必死にトイレを探す。
ぴっと表示された所は公園であった。公衆トイレ!なんで思いつかなかったのだろう!!
優美はガクガクと痙攣しながらゆっくりと体を起こすと公園へと足を進め出した。
ジンジンと痛む下半身を気にしながら内股で急ぐこともできずに泣きそうな顔で公園へと向かう
彼女の頭には、もうスケジュールのことなどすっかり取り払われて『トイレでおしっこをしたい!!』
という考えしか残っていなかった。

403pamo:2012/03/13(火) 00:43:58
人気のない公園が見え、ラッキーなことに公衆トイレは入口のすぐそばにあった。
「あぁ・・・あぁ・・」今にも水が吹き出そうな乙女の秘所をなんとか閉めながら
のろりのろりと公衆トイレのドアへと手を伸ばしていた。
涙目の視界には張り紙が貼られたドア
―冬場の水道凍結に備え、このトイレはこの期間中は使用できません ○月×日〜□月△日―
「嘘でしょう・・・」またしても”仕方ない”事情によりトイレを使うことを禁じられてしまった。
しゅぅ・・ 「!!だめっ!」ドアへと伸ばしていた手を慌てて股間を抑えることに使う。
ついにやってしまった【私こうしないともうおしっこもれちゃいそうなの】と
周りに知らしめる恥ずかしいポーズ。しかしこうでもしないとここまで耐えてきたダムにひびが入り、
決壊してしまう時を伸ばすことができそうにもないのだ。

404pamo:2012/03/13(火) 00:50:51
カバンを持った片手でスカートの前側をぎゅぅつっと押さえ、もう片方の手は
別の使えそうなトイレを携帯に必死に尋ねる。
やがて導きだされたトイレは別の公園で、距離もそう遠くない。優美にとっては
限界を迎えている膀胱がいつまで耐えてくれるかの勝負をしながら向かう場所なので、
思わずクラっと倒れてしまいそうなほど表示された場所は遠く感じた。
途中なんども下着に小さく恥ずかしいシミを広げながら、なんとか目的の公園が見えてきた。
道路を挟んで広がる公園の奥に目指すべきトイレがある。
もう居てもたってもいられず優美は走り出す。はっきりいってアソコを抑えている手を離すのも
お腹にぐっと力が入ることもとても危険な行為なのだが、これは最後の賭けであり
おもらししてしまうのが先か、トイレにたどり着くのが先かの大勝負なのである。
・・・がその勝負に水をさすものが一人

405pamo:2012/03/13(火) 01:08:50
「ちょっとあなた!止まりなさい!!」がしっと腕を掴まれ、強制的に止められる優美。
「きゃぁ!な、なんですか!?」
「なんですかと言いたいのはこっちの方よ!あなた今何をしたのか分かっているの?!!」
突然優美に大声を出し、腕を掴むことでトイレへの道のりを阻んだのは”いかにも”五月蝿そうな
中年のおばさんであった。
「あなたねぇ!今のは時間は子供が少ないし、車もそんなに通りませんよ!」
「だからと言って急に道路を走って横断するなんて何を考えているの!!」
「そんな姿を子供に見られたらどう責任をとるの?!子供が真似をして事故を起こしたらどうしてくれるの?!!」
「しかもあなたの制服よく見たら○○女子校じゃないの!なんでこんなところにいるのか知らないけれど、
あの学校はお嬢様ばかりだと聞いていたけど、あなたはそうじゃないみたいね!!」
「ねぇちょっとあなたきいてますか!!!」
矢継ぎ早にヒステリックな声で注意される優美、確かに目の前のおばさんの言うことも一理あるだろう。
しかし、自分はいつものように安全確認をしながら横断歩道をゆっくりと歩いている暇などないのだ。

406pamo:2012/03/13(火) 01:16:42
「すいません!ちょっと離してください!おしっこしたいんです!」
「何を言ってるの!そう言って逃げる気なんでしょ!ばればれの嘘をついても
私は騙されませんからね!」
「ほんとなんです!そこの公園のトイレを使いたくて道路を横断してしまったんです!
お願いですからおしっこさせてください!」
ぐいぐいと掴んでいる手を必死に離そうと優美は格闘する。こうしている間にも、すでに
タイムリミットを切ろうとしている下半身からは雫が地面にぽたぽたとたれ出していた。
「はん!そう言うなら言ってきなさいよ!私はここで待ってますからね!」
「出てきたら今の続きをさせてもらいますからね!!」
公園の入口でやっと手を離され、急いでトイレへと優美は向かう。
せっかくの貴重な数秒を消費されたおかげで下着にはおしっこが広がってしまい、
吸収しきれなかった雫が彼女の走る後をぽたぽたと黒いシミとなって地面に目印のように落ちていく。
女子トイレにだだだだーっと勢いよく駆け込んだ優美には、もうお嬢様のおの字も見当たらなかった。

407pamo:2012/03/13(火) 01:27:41
目の前に広がる光景は、個室が2つでひとつは【故障中】の張り紙が貼られ、それでも
無理に使おうとする者がいるのか、きちんと施錠されているようだった。
もう一つはそのような意地悪はされていないようだったが、それよりも彼女にとって
残酷な仕打ちがされていた。個室の前には小学校低学年ほどの女子が2人並んでいたのだった。
「いやぁ!そんな!」がばぁっと前かがみになって優美は叫ぶ、最後の最後に希望から絶望へと
落とされてしまった。
一応優美は足を引きづりながら女の子2人の後ろに並ぶが、ぽかんとする女子2人の前でまるで同じ幼子のように
顔を赤くしながら「おしっこぉ!おしっこぉ!」とスカートをくしゃくしゃにしながらバタバタと跳ねる
彼女に順番が回るまで我慢が出来る可能性はどう見積もってもない。

408pamo:2012/03/13(火) 01:35:40
「ねー、ゆきちゃーん。まだでないのぉー?」先頭の子供がドアをとんとんと叩きながら中の子に
尋ねる。「んー、もーちょっとまっててー」なかから返事が返ってきた。
「えーっとわたしはべつにだいじょうぶなんだけどー・・・」半べそをかきながら腰を振る優美を
見ている子供に彼女は心配されていると知らずに必死に最後の抵抗を続ける。
「ちぃちゃん、あのおようふくわたしみたことあるよ。きれいなおひめさまみたいなおねえさんばっかり
いるところのひとたちがきるおようふくだよ」
「そうなんだ!へぇー、おひめさまみたいなひとでもおしっこしたいんだねー」「ね」
ただでさえみっともない姿を晒しているのに、自分の学校のことまでばれてしまった優美にもう後はない。
「んー!んぅーー!!」ぐいぐいと何かを押し込めるかのようにスカートの前部分を抑える優美の姿がそこにはあった。
「あのー・・・わたしそんなにおしっこしたくないからおねえさんがさきにつかっていいよー」
とうとう年上を同情した小学生が高校生にトイレの順番を譲るという大人として最上級に
恥ずかしくてなさけないことになってしまった優美だった。

409pamo:2012/03/13(火) 01:49:56
しかし、彼女にとって今この瞬間に順番を譲ってもらわなければならないのは
目の前の2人ではなく、個室の中にいるまだ見ぬ女子だった。
「あぁ!もうだめ!でちゃう、でちゃうー!!」トイレの外まで聞こえるような大きな声で
自らおもらし宣言をした優美は目の前で見ている小学生達に
”こうなるまえにおトイレにいきましょうね”という例を披露してしまう。
じゃぁあ!と音を立てて今まで我慢してきたおしっこが優美から溢れ出す、その色は濃い黄色で
よほど我慢していたことがうかがえる。さらに季節の寒さもあって、暖房も何もない公衆トイレの中は
とても寒く、彼女が出した暖かい水はほかほかとした湯気を彼女の下にばちゃばちゃと音を立てる所から
もわもわと際限なく出てくる。

410pamo:2012/03/13(火) 01:50:43
「わぁ!おねえちゃんおしっこしちゃった!」「やだぁ!わたしでもおもらししたことないのに!」
年端もいかない小学生から心にもない言葉が刃となって優美に降り注ぎ、さらにはいつも誇りに思っている
母校の評判と制服を同時に汚す形となっていた。
抑えたスカートはすっかりおしっこで色濃く染まり、ぐしょぐしょになって雨の日の傘のように端から水滴を垂らし続ける。
悲劇は手に持っていたカバンにも被弾し、手から止めきれないで出てきたおしっこがカバンを、カバンの中身の宿題たちをも
濡らしていった。
優美は止まる気配のないおもらしを続けながら、「きたなーい」と言い続ける小学生より幼い幼稚園生のように大声で泣き始めるのだった

411pamo:2012/03/13(火) 01:53:02
ちょっと長すぎましたかね、すんません。
我慢している子がもう少しでトイレに行ける→誰かが腕を掴んで妨害する。
この流れ自分多様しすぎですね、自分が好きなシチュとはいえあんまり同じ展開だと
飽きますよね。次は違うパターンでいけるよう精進します。

412名無しさんのおもらし:2012/03/13(火) 02:04:02
うーむ

投下すぐに来れてラッキーと言うべきか

413名無しさんのおもらし:2012/03/16(金) 17:26:40
久しぶりに覗いたらすごい良作キテタ

414名無しさんのおもらし:2012/03/16(金) 22:24:57
>>411
長いのは個人的には好みだから問題無い
主人公にも特徴あって、おもらしSSによくあるありきたりな普通な人じゃないって言うのも
良い意味で現実味がなくて良かった
ちょっと残念なのは最後の限界〜おもらしに至るまでの心理的描写を含めた内容が、全体の長さの割りにあっさりしてるところかな?
言うなれば醍醐味なんだし、もう少ししつこいくらいで丁度良かったと思うよ
場面や状況が移り変わっていなくても、描写すべき点はあるからそこを上手く書けばグッドだ!
ともあれGJ

415名無しさんのおもらし:2012/03/16(金) 23:38:02
>>413
いいかげんにしろ

416名無しさんのおもらし:2012/03/16(金) 23:39:27
>>414
態度と言葉使いだけは丁寧に
アドバイスの体裁を借りたこき下ろしか…
慇懃無礼ってのはこういうことをいうのかな

417名無しさんのおもらし:2012/03/17(土) 10:48:09
>>416
別によくないか?

418名無しさんのおもらし:2012/03/17(土) 19:13:41
>>415
>>417
もう無視でいいんじゃないか?
構ってちゃんの荒らしなんて放って置くのが一番の薬

419名無しさんのおもらし:2012/03/18(日) 00:08:54
作者の立ち場に立つなら
実際問題、こうやって会話してる奴が何人かいるのに
感想つけてるのが一人という無視っぷりこそ何とかすべきだろうな

420名無しさんのおもらし:2012/03/18(日) 00:20:15
サッカー少女が好きな人がいたようだからサッカー少女で書いてみたんだが
投下していい?

421名無しさんのおもらし:2012/03/18(日) 00:41:02
サッカーだけでおもらしと関係なかったりして。

422名無しさんのおもらし:2012/03/18(日) 02:21:07
>>420
まずはスレ内の他作品の感想をつけるとか
あいさつするとかが先ではないかな

423名無しさんのおもらし:2012/03/18(日) 15:52:22
一般的にはスレの意向に沿っていれば許可取る必要なし
挨拶もいらない場合が多く、作品のみ投下であとがきなんて書かない人も多い
毎度お世話になる気持ちで書くとか名無しで書くつもりでないのなら、挨拶はしておいても良い
読み手とのコミュニケーションを図りたいのであればそれもいいけどね

ここはROM専と荒しが多いみたいだし、まともな感想、意見はなかなか来ないもの
正直>>422の言いたいこともわかるが、作品投下するために感想を強要する必要はないと思う

424名無しさんのおもらし:2012/03/18(日) 16:17:32
つか上の作者がかわいそうだろ
別の作者にもシカトされたんじゃ

そういう自分では挨拶しないわりに感想ばっか欲しがる
クレクレ作者の声がデカいスレってことは理解してた方がいい

425名無しさんのおもらし:2012/03/19(月) 00:19:36
作者同士の馴れ合いとかそういうスレでしたかねぇ?
単に話書いて「よかったよ、そうですかありがとうございます」
だけでいいんじゃねーの?
始める前にまずは挨拶が必要、新規は他の作者にも気をつかいましょうとか
いつからそんなルール決められてんの?自治厨も出始めたのか?
やっと話書くやつぽつぽつと出てきてんのに勘弁してくれ

426名無しさんのおもらし:2012/03/19(月) 04:23:09
でしたかねぇなんてわざとらしい念押しなんてしなくてもログ見れば簡単に分かることだが
元々馴れ合いスレじゃない、悪く言えば投げっぱなしで機能してたスレなのに
前スレあたりから時々感想がどうのと注文つける書き手が出てきたってだけの話だろう
で、結局元々感想が淡々としてるスレだけに
感想よりそういうヒステリックな作者の声の方が目立ったりするんだよね

427名無しさんのおもらし:2012/03/21(水) 19:37:01
>>420
で、投下してくれないの?

428名無しさんのおもらし:2012/03/21(水) 20:21:13
俺なら>>422の後に>>427みたいなこと書かれたらキレるわw

429名無しさんのおもらし:2012/03/21(水) 20:26:53
そっか
>>422
まずはスレ内の人たちにの土下座して謝るとか
ジャンピング土下座とかが先ではないかな

430名無しさんのおもらし:2012/03/21(水) 21:34:08
久しぶりに覗いたらすごい良作キテタ

431名無しさんのおもらし:2012/03/22(木) 22:39:04
久しぶりに覗いたらすごい良作キテタタタタ

432名無しさんのおもらし:2012/03/23(金) 01:16:36
いやがらせしかおらんのか

433名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 17:42:53
しばらくぶりに覗いてみたけど、荒れてるねーw
もっと気楽に行こうぜ。好きなものが欲しくてスレ覗いてるのに、逆にイライラしてたら本末転倒じゃないか。
>>420
それ俺だわ。ちょうど1年前のレスだなw 気が向いたら投下してくれたら俺は喜ぶよw

434名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:14:23
「久しぶりに覗いたらすごい良作キテタ―――!!」
「うるせーー!!」
隣の部屋から罵声が飛ぶ。
ここは、インターネットカフェ。突然叫び声など上げれば文句を言われるのは当然だが、彼女の耳には届いていない。
石橋文香。大学1年生。文学部所属。
部内でも有数のビブリオ・マニアとして知られる女の子だ。
そんな彼女の読書対象は、図書館や書店の本のみならず、ネット上に点在する小説にまで及ぶ。
自分のパソコンを持っていない彼女は、定期的にネカフェに通い、ネット小説に没頭するのだ。
彼女、ルックスはかなりよく、入学当初は男子学生たちの視線をよく集めていたのにも関わらず、現在でも
フリーのままでいる原因はそんなところにある。

435名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:14:51
とある作品を読み終えた瞬間、彼女は弾かれたように立ち上がり、個室を飛び出す。
 向かった先は、トイレだった。
「やばいやばい!もれるもれる!!」
 石橋文香は、一度読書にのめりこむと時間も忘れるほど没頭してしまう癖がある。
 それこそ、膀胱の悲鳴にも気が付かないほどに。
 今も、作品を読み終わった直後、おしっこが限界ギリギリだったことに気づいたのだ。
「うあっ、使用中ッ!」
 店内に一つしかない女子トイレの前で文香はせわしなく足踏みを繰り返す。
(早く!!早く!!)
 見た目には可愛らしい女の子が、トイレの前でもじもじとしている様は当然好奇の眼差しを集める。
 文香も気づいてはいるのだが、とてもではないがじっとしてなどいられない。
(あたしって、なんでこんな状態になるまで気づかないんだろ・・・)
 個室が開くと、文香は勢いよく飛び込んだ。

436名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:15:21
ギシギシと椅子の軋む音が響く。
 再び読書に没頭しはじめてから、数時間後。石橋文香はせわしなく貧乏ゆすりをしながら読書に興じる。
「うわー!ここも、久しぶりに覗いたらすごい良作キテタ!!」
 食い入るように画面を見つめる文香は、自分の膀胱がぱんぱんに膨れ上がってきていることに気づいていない。
「あ、ああ・・・あ、た・・・た、楽しい、な!ま、まさか、そ、そんなオチ?」
 とうとう文香は左手を股間に挟み込んで、身をゆする。
 文香が尿意を自覚したのは、それから約10分後。章の末尾まで読み終えた時だった。
「や、ヤバ!あたし、また限界まで我慢しちゃってる!!」
 慌ててトイレに向かって駆ける。だが、トイレの前には見慣れない黄色い看板が立てかけられていた。

――清掃中

「〜〜〜〜ッッ!!」
 まさかの事態に文香は焦る。
「す、すみません!!掃除っていつ終わるんですか?」
「ああ、ごめんなさいね。後10分程度まってくださいね」

437名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:15:53
個室に戻ると、文香は歯をくしいばって必死に尿意に耐える。
「ヤバイヤバイ!!マジでもれそう!!」
 まさか、トイレが使えないとは思わなかった.
 10分・・・。わずか10分とはいえ、すでに限界状態の文香にとってはかなり長い時間だ。
「もれちゃう〜〜ッ!もれちゃうよぉ〜〜〜ッッ!!」
 足を組み、太ももをぎゅっと締めあわたり、バタバタと貧乏ゆすりをしたりして必死に堪える。
「そ、そろそろ・・・。そろそろ、いい、よね?」
 もう一度トイレに向かうと清掃中の看板はなくなっていた。
 ようやくおしっこが出来ると思い、扉を開けようとしたが、開かない。
 よく見ると、鍵のところが赤色になっている。使用中だ。
「くぅぅぅっっっ!!ま、また使用中ッッ!!」
 文香は股間を押え、くねくねと身をよじる。
 おしっこが出来ると思い込んでしまっていた分、さらに尿意が高まった。
 本当に失禁してしまいそうだ。
(お願いぃぃッッ!!早く出てェェッッ!!)

438名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:16:15
 水を流す音が聞こえた。
(早くぅぅ・・・!!)
 ちょろ・・・
 温かいものが下着の中に広がる。
(まずいッ!!)
 ようやく扉が開いた。前の人を押しのけるようにして個室に飛び込む。
 だが、鍵を閉めるのさえままならず、文香の我慢は決壊してしまった。
「あ・・・ああ・・・」
 ぺたんと個室の中に座り込む文香。床にはどんどん水たまりが広がっていく。
 石橋文香19歳の秋であった。

439名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:17:15
「久しぶりに覗いたらすごい良作キテタ!!」
 そう声を上げるのは、我らが部長兼幽霊部員の鍋先輩だ。
 部長の癖に滅多に部活に現れないと思っていたら、この男、とんでもないタイミングで現れたものだ。
「ね、ねえ・・・たっくん?これ、見つからない・・・よね?」
 真由美が不安そうな顔をする。
「さ・・・さあ・・・。でも、見つかったら終わり、だよな」

 山木達彦は、漫画研究サークル所属の2年生だ。
 漫研所属の理由は、大学に来てまでガチの部活をやるつもりもなく、面白半分で・・・というものだったが、
最近では、漫画制作にのめり込みつつあったりする。
 今日も、誰もいない部室で、朝から作品づくりに取り組んだりしていた。
 そんな時に、「ちゃお☆」と言って部屋に入ってきたのは加島真由美。達彦と同じ2年生で、達彦の彼女だ。
「がんばってるね〜、たっくん」
 真由美は部室においてある、漫研制作の漫画をぱらぱらとめくる。
 ちなみに、彼女はテニス部なのだが・・・。

440名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:17:36
 そんな感じで、誰もいない部室でいちゃいちゃしはじめた2人は、
そのまま大学内の施設で行うにあるまじき行為まではじめてしまった。
「こんなところで・・・ダメだよぉ」
「はあ・・・はあ・・・大丈夫だって!今日は誰も来ねェよ」
「キャハ!たっくんのエッチ!」
 という会話の直後に、パタパタと言う足音が響いた。
「ヤベ!誰かきた!」
 急いで服を着ようとしたが、もう間に合わない。
 下着姿のまま、慌てて、用具入れの物置に飛び込んだ。そして、その直後に部室の扉が開く。
「あれ?誰もいないのかぁ〜。電気つけっぱじゃん」
 鍋さんの声だった。

441名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:18:00
用具入れは決して広くはないが、山木と加島が並んで座るくらいのスペースはある。
 木製の扉にはスリットが施されているので、そこから部室の様子は見える。
 部長は、部員たちの作品を手に取り眺めている。
「あの人・・・いつまでいるんだろう?」
「さあ・・・。すぐ出ていくとは思うけど・・・」
 鍋さんは、ぶっちゃけ不真面目だ。部長の癖にほとんどサークルに現れない。
 その癖、サークル内では一番漫画を描くのが上手いのだから不思議だった。
 だが、今の鍋さんを見れば、それもうなずけてしまう。
(真剣だ・・・)
 誰もいない部室で、この部長は普段見せないような真剣な眼差しで部員の作品を見る。
「うん・・・ここ、ダメ。セリフ・・・削れる・・・」
 ぽろぽろと批評の言葉をこぼし、ノートにメモする。
(へえ〜、こうして見るとやっぱ部長って感じだな、鍋さん)
 ひとしきり部員の作品を見ると、彼は椅子に座り机に向かった。
(制作だ!!)
 この人は、こんな風に人知れず、漫画に向かい合っていたのか。

442名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:18:24
予想に反し、鍋さんが部室を出る気配はない。
 かれこれ1時間近く、無言で机に向かってカリカリとペンを動かしている。
「ねえ・・・たっくん」
 ずっと黙っていた真由美が急に口を開いた。
「どうかした?」
「・・・なんでもない」
 そう言って真由美はうつむく。どうかしたのだろか?
 狭い所に閉じ込められっぱなしで身体が痛むのか、急に真由美はもぞもぞしはじめた。
 ミシッと木の用具入れが軋む。
「まゆ、あんまり動かない方がいいよ」
「うん・・・分かってるんだけどさぁ・・・」
 真由美は何か言いたそうに口ごもる。
「大丈夫かよ?どうかした?」
「・・たい・・・の」
 真由美が言い辛そうに答えたが、よく聞き取れなかった。
「え?・・・何て?」
「だから、おしっこ行きたいの我慢してるの」
 言った後で真由美は顔を真っ赤にしてうつむく。
 それは、一大事ではないのか・・・
「ヤバイじゃん、それ。我慢できるのかよ?」
「・・・正直、結構限界」

443名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:19:22
達彦にエッチを求められた時からトイレを我慢していたのだという。
「先にトイレに行かせて」と言おうとしたところで足音が聞こえ、こんなことになってしまった。
 体育座りした足をぐっと閉じあわせている。
 大丈夫だろうか?さすがに、大学生がおもらしすることもないと思うが、状況が状況なだけに、有りえないことではない。
 それに、以前から真由美は、自分はトイレが近いとよく言っていた。
1年生の頃は、90分の講義で何回もピンチを経験したらしい。
 そんな彼女にとって、この我慢は相当過酷なはずだ。
 だが、部長はまだ部屋を出る気配を見せない。下手をすれば後何時間でもここにいそうだ。
「ねえ、たっくん。これ、もらしちゃったら、多分見つかっちゃうよね?」
 確かに、こんなところで出してしまえば、おしっこは間違いなく扉の隙間から外にあふれてしまうだろう。
 匂いもするだろうし、もしかしたら水の流れる音が響き渡ってしまうかもしれない。
「絶対・・・もらせない・・・ね」
 普段勝気な真由美が、珍しく泣きそうな顔をしていた。

444名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:22:27
1時間が経過した。オレは、はじめて心の底から鍋さんに消えてほしいと願っていた。
 真由美は、死にそうな顔でスリットの向こう側を凝視している。
「も、もう・・・無理・・・お、お願い・・・で、出てって・・・」
 ぎゅっと閉じあわせた太ももは小刻みに震えている。
その股の間には両手が挟み込まれている。顔面は蒼白で、汗びっしょり。眼尻には涙さえ浮かんでいる。
「膀胱・・・限界ッ」
 先ほどから、かすかにだがアンモニア臭がする。
 おそらく、堪えきることができずに出てしまっているのだろう。
(もうこれ・・・物理的に我慢できないんじゃ)
 もはや本当に膀胱が満タンで、これ以上溜められない分があふれだしているのではないだろうか。
 いっそのこと、もうおもらしさせてあげたいとさえ思うが、真由美にはそれさえも許されない。
(そんな限界状態で決壊したら・・・)
 確実に、見つかってしまうだろう。
「くぅぅぁぁっっ・・・」
 真由美が小さなうめき声を上げる。
「もれ・・・ちゃう・・・」

445名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:22:54
結局、それから5分と経たず、真由美の我慢は決壊してしまった。
「ダメっ!」という小さなつぶやき声の後に、しゅぅぅぃぃぃ〜〜〜というような音が思い切り響き渡った。
 真由美が限界まで我慢したおしっこは、一瞬で用具入れを水浸しにし、その外にまで広がっていった。
 驚いて、用具庫の扉を開けた鍋さんは、「とりあえず、何も見なかったことにする」と言って部室を去った。
 後日、オレがとことん尋問されたことは言うまでもない。
 話をきいた鍋さんは、
「お前、彼女を病気にさせる気か、バカ!」とオレを小突いた。
 元をたどれば、オレがあんなところで欲情してしまったのが原因だ。
 真由美にはかわいそうなことをした。
 だが、病気になったのは、オレの方かもしれない。

「ねえ、たっくん?」
「ん?」
「これ、ほどいてよ・・・。おしっこ、もれちゃうよ」
 もだえる真由美の姿を眺め、達彦はニヤリと笑った。

446名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:23:52
「くそッ!・・・ダメだ。どうしても・・・上手くかけない!!」
 大野木和久は、今大いに悩んでいた。
 彼が所属する同人サークルで、今度おもらしものを企画することになったのだが、さっぱり筆が進まない。
 サークル中一番の書き手とも評される彼のこの遅筆ぶりには一つの原因があった。
「おもらしなんて見たことねェんだけど・・・」
 和久の書き方は、リアリティを特徴としていた。
 だが、リアルなおもらしに遭遇したことのない彼が、このテーマでリアリティを出すことは難しかった。
「しょうがね・・・。また、楠葉に頼むか・・・」

447名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:24:16
「えぇ〜、また頼みぃ?」
 大野木楠葉は、ダメな兄の申し出に顔をしかめる。
 彼女は、4つ下の妹。現在、高校2年生だ。
「で、今度は何?変なポーズ?それとも、何とか縛りってやつ?」
「いや、今回は、ただオレの部屋の中にいてくれたらいいんだよ」
「和兄の部屋に?」
「そ・・・。んで、いくらでいてくれる?」
 楠葉はじと〜っとした目で和久を見つめる。俺が何を企んでいるのかを考えているのだろう。
 俺はニコニコと笑顔を浮かべる。
「よく分かんないケド・・・5000」

448名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:25:18
和久のベッドに寝転んで、楠葉はマンガをぱらぱらとめくる。
 兄は机に向かって、何やら難しそうな本を読んでいる。
(普通にしてたら結構かっこいいんだけどなぁ、和兄は・・・)
 楠葉は和久のことが好きだった。別に、恋愛感情を覚えているという程ではないが、
小さい頃から、いじめられているのを助けてもらったり、勉強を教えてもらったりとずいぶん助けられており、
和久のことを兄として信頼している。
 だが、4つ年上の兄は、楠葉よりもずっと先を進んでおり、次第に楠葉になど構ってくれなくなっていた。
 和久が大学受験生の折などは、家にいても会話さえない日が続いた。

449名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:26:23
だから、今こうして再び、兄と親密な関係?・・・になれたことは、何となく嬉しいことである。
「えへへ・・・」
 思わず、そんな声がもれてしまった。
和久が、不思議そうな顔を向けたので、漫画に没頭しているフリをする。
 それにしても、今回ずっと部屋の中にいてとはどういうことなのだろう。
 兄がどういうものを書いているのかは当然知っているし、実際に兄の目を盗んで内容を見てしまったこともある。
 だが、今回の頼みが、作品にどう活かされるのか、楠葉には予想がつかない。

450名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:26:48
「ちょっと、出かけるから。お前はここにいてな」
 そう言い残して、和久は部屋を出て行った。
 和久がいなくなると、楠葉は兄の机について、和久の持ち物を物色する。
 パスワードもかかっていない兄のパソコンを立ち上げ、自作小説のフォルダへ。
「あ!コレ、この前変な縛り方された時の奴だ!どんな作品に仕上がってるんだろ・・・?」
 毎度のことだが、読んでいるうちにどんどん顔が赤くなり、終いにはパソコンを強制終了して、ベッドに飛び込んでしまった。
「和兄のバカバカバカ!!変態すぎるぅぅぅ〜〜〜〜ッッ!!」
 正直、兄の作品を読む度に半分はどんびきする。当たり前だろう・・・。
 だが、もう半分で、より深く和久のことを知れたような気持ちになってうれしい。
 和兄は、あの時のあたしを見てそんな風に思ったんだ。
 和兄は、そういうのが、好きなんだ・・・。
 って、一体何を考えているんだか。なんだか、あたしまで変態になってしまったみたいだ。
「あー、もう!一回トイレでも行って頭冷やそ!」

451名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:27:12
部屋から出てはいけないということで、和久が事前にお菓子やジュースを置いておいてくれたのだが、
そのせいかトイレに行きたくなってしまった。
「あれ?でも、トイレって行っていいのかな?」
 部屋の扉に手をかけた所で気づく。
 当然、トイレに行くためにも部屋を出なければいけない。
「え!?でも、トイレくらい・・・しょうがない、よね?・・・普通」
 だが、ちょっと飲み物を取りに行くことさえNGなのだ。
 和久の目的は分からないが、部屋を出てはいけないという条件を100%守るのなら、
トイレもダメということになる。
「う〜ん、和兄がいたら行かせてって頼めるんだけどなぁ〜」
 お金まで受け取って、頼まれた以上、勝手なことをするのはよくないだろう。
「ま、いっか。まだ我慢できるし。漫画でも読んで気を紛らわそっと」

452名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:27:37
「楠葉の奴、もよおしてきたな」
 別の部屋で、和久はモニターに向かっていた。
 あの部屋には、気づかれないようにカメラを仕掛けておいたのだ。
 可愛い妹を無理やりトイレに行けないようにするのは気が引けたが・・・
「すまん、楠葉。これも、作品の為なんだ!」
 バカな兄を許してくれ、と心の中でつぶやいた。

453名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:28:03
寝転がり、漫画を読みながら、楠葉はもじもじと身をよじる。
 仰向けに寝転がり、足をパタパタと上下に動かしたり、横向きになりもじもじと太ももをすりあわせたり・・・。
 そろそろ、漫画にも集中できない程尿意が強くなってきた。
「ヤバイなあ・・・めっちゃトイレ行きたい・・・」
 もっと早く、トイレに行くことができないということに気づけばよかった・・・。
 机の上にある500ミリリットルのペットボトルを恨めしそうに見つめる。中身は空だ。
 兄がくれたジュースを、何も考えずに飲み干してしまった自分がうらめしい。
「ってか、この部屋来る前にトイレ行っとけばよかった・・・」
 最後にトイレに行ったのはいつだっただろうか?もしかしたら、意識していなかっただけで、この部屋に
入った時から、ある程度のおしっこがたまっていたかもしれない。
「っていうか、和兄いつ帰ってくるの!?」
 ベッドの上で、楠葉はもじもじともだえ続ける・・・。

 和久はモニターを凝視していた。
 正直、楠葉のこんな姿ははじめてみた。
「高校生の女の子でも、あんな風になるんだな・・・」

454名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:28:48
いつの間にか楠葉はルールを作っていた。
 漫画1冊。とりあえず、それだけ我慢。
 この1冊を読み終える頃には、和兄は帰ってくる。だから、それまで我慢。
 そう信じて、もう何冊目になるだろう。

455名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:29:12
ベッドから起き上がり、部屋の中をぐるぐると歩き回りながら漫画を読む。
「きゅ、急急・・尿・・律令・・・?何、コレ・・・ダメ、全然頭に入らない!!」
 漫画を棚に戻して、楠葉は足踏みを繰り返す。
「や、やば・・・もう我慢できないよぉ・・・」
楠葉も人並みに、何度かピンチを味わってきたことはあるが、こんなにトイレに行きたいのを我慢したのは
はじめてかもしれない。
 おなかに触れれば、膀胱がぱんぱんになっているのが分かる。
「どうしよう・・・もうトイレ行っちゃおうかなあ」
 何度もその思いに駆られる。だが、その度に思い直す。
 和久がいない今、ちょっと部屋を出て、トイレに行ってもバレることはない。
 だが、和久はあたしを縛りつけるでもなく、この部屋に残して出て行ったのだ。
 それで、どうせバレないからと部屋を出るのは裏切りになってしまう。
 それに、和久の頼みの目的が分からないので、恐くて尚更部屋を出られない。
「うぅっ・・・もれちゃう・・・」

456名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:30:00
モニターの向こうで、楠葉はじたばたと地団駄を踏み、部屋の中でぴょんぴょんと飛び跳ねている。
 まるで子どもみたいだ、と和久は思った。
 幼稚園や小学校の低学年の頃ならあんな風におしっこを我慢する子も見かけたような気がする。
 だが、小学校の高学年からは、いくらトイレに行きたくてもそんな仕草をする子など見たことが無い。
 それが、本当におしっこがしたくなると高校生の女の子でもあんな風になってしまうのか。
 それにしても、楠葉は一体どこまで我慢ができるのだろう。
 高校生のおもらしなどは想像もつかないが・・・。

457名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:30:24
「そういえば・・・」と和久は振り返る。
 高校の修学旅行で、バスが大渋滞に巻き込まれ、結構たくさんの人がトイレを我慢したことがあった。
 あれは、結構すごかった。最初、女子の何人かが「トイレ行きた―い」と言って、
男子は「もらせもらせ!!」とはやし立てた。
 最初はみんな笑っていたが、本当にバスが動かず、誰かが「あたし、結構マジで行きたいんだけど」と
言ったのを境に、皆沈黙した。
「あの時は、オレも結構我慢したけどなー」
 それでも、オレはもちろんのこと、「ヤバイ」とか「限界」とか言っていた女子たちも全員我慢きったのだ。

458名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:30:49
部屋に閉じ込めて3時間以上・・・。楠葉はいつまで我慢できるのだろう。
 やはり、高校生がおもらしするところなど想像できないが、いつかは物理的な限界・・・
つまり、膀胱の限界が訪れるはずだ。
 あの楠葉の華奢な体は、どれだけのおしっこを溜められるのだろうか。
 おや?楠葉の動きが変わった。
 よく見てみると、なんと楠葉は両手で股間を押えている。

「やばい・・・限界・・・なんだけど」
 もう5分だって我慢できる気がしない。このままでは本当にもらしてしまう。
「そ・・・そうだ!な、なんか、おしっこできる容器!も、もうそこにするしかない!!」
 兄の部屋でそんなこと・・・恥ずかしすぎるが、このままではもっと恥ずかしいことになってしまう。
 それなら、適当な袋か何かにしてしまって、こっそり後で処分する方がマシだ。
「は、早く・・・探さないと・・・」

459名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:31:27
はじめは、楠葉の行動の意味が分からなかった。
 何かを必死に探している様子。しばらくしてから気づいた。
「楠葉の奴!適当な容器に出すつもりか!」
 楠葉なら、俺が直接監視しなくても、絶対に部屋を出ないと思っていたが、まさかそう出るとは・・・。
 なるほど、このまま兄の部屋でもらすぐらいなら・・・ということか。
 きっと、あのゴミ箱にでもしてしまうのだろう。
「まあ、だけど・・・結構いい参考になったよ。ありがとな、楠葉」
 モニターごしにお礼を言うと、兄はその電源を落とす。
 さすがにこれ以上は可哀想だから、解放して上げようと、自室に向かった。

460名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:31:52
最初に目についたのはゴミ箱だったが、それはどうしても避けたい。
 できれば、こっそりと処理のできるもの・・・。ビニール袋とかがいい。
 だが、どれだけ探しても、和久の部屋には丁度いいものがなかった。
「くぅぅ・・・はあ・・・はあ・・・」
 探している間にも限界は着実に迫る。立ち止まって、股間を押えて足踏みをして、また探す。
 そんな繰り返しの末に、おしっこのできそうなものが、ゴミ箱とペットボトルしかないことが分かった。
「ぺ、ペットボトルは、無理・・・だよね」
 あの小さい口に綺麗に入れられる気がしない。
「でも・・・」
 ゴミ箱を見る目る。ここでしてしまえば、後で自分のおしっこを和久に見られることになる。
「それは恥ずかし、いん・・・だ、けど・・うぁッ!!んん〜〜〜ッッ!!」
 もうこれ以上余裕がない。
「しょ、しょうがない!も、もらしちゃうより、マシ!」
 ゴミ箱にまたがり、パンツを下ろそうとする。
その瞬間に、ドアが開いた。

461名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:32:14
「か・・・和兄!!」
 慌ててパンツを上げる。だが、やっとの思いで放尿の許可を得た膀胱は、楠葉の命令に従わない。
「あ、ああ・・!だ、ダメ!見ない、で!!」
 
ちょろっ・・・

 小さな水流が、下着の中に生まれたかと思うと、次の瞬間には
 しゅぅぅうぅうぅぅうぅぅ
と音を立てて、おしっこが噴き出していた。
 どうしようもなく、楠葉はそのままゴミ箱にまたがる。
 限界まで我慢していたおしっこは、ボトボトと大きな音を立ててゴミ箱に落ちていく。
 長い失禁の間、楠葉は「見ないで!」と叫び続けた。
 和久は、いざこうなってみると、どうしていいのかも分からず、ただ茫然としていた。

462名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:33:40
「このバカ兄ぃ〜〜〜!!コレが目的だったなあ〜〜!!」
 おもらしの後、しばらく泣き続けていた楠葉は、おもむろに立ち上がると兄に殴り掛かってきた。
「ちょ、ごめ・・楠葉!いた、痛いよ!!」
「この鬼畜!外道!下種!屑!妹におしっこもらさせるなんて!!」
「わ、悪かった!悪かったって!!」
「こんなの聞いてない!!土下座!!土下座して謝ってよ!!お金も5000円追加!!」
 楠葉の攻撃は、和久がぼろぼろになるまで続けられた・・・。

 だが、彼女の協力のおかげもあり・・・
「楠葉〜見ろよこれ!この前の奴の作品の評価!」
「えぇ〜、あれの・・・。あ、すごーい!?」
そこには、『久しぶりに覗いたらすごい良作キテタ』と書かれていた。

463名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 18:44:49
「でも和兄?それってほんとに褒められてんの?」
「さあ・・・知らね。あ、そんなことよりも、また頼みがあってな・・・」

        ・・・・END

464名無しさんのおもらし:2012/03/30(金) 23:44:36
問題のワードを逆手に取った小説。GJ

465名無しさんのおもらし:2012/03/31(土) 01:19:53
434 名前:名無しさんのおもらし[] 投稿日:2012/03/30(金) 18:14:23
「久しぶりに覗いたらすごい良作キテタ―――!!」

466名無しさんのおもらし:2012/03/31(土) 03:04:12
すごいわ。おしっこ関係なくすごいわ。

467名無しさんのおもらし:2012/04/01(日) 02:38:29
関係なくw

468yubariseijin:2012/04/02(月) 11:53:18
お疾呼を我慢しながら茶を飲んだらもれた

469名無しさんのおもらし:2012/04/03(火) 02:30:43
>>468
もうちょい話をふくらますといい小説になるぞ

470名無しさんのおもらし:2012/04/14(土) 16:36:16
浮原小鳥(うきはらことり)、高校1年生。彼女は、名前の通り、まるで小鳥のような女の子だ。
 同級生の女子に比べれば、中学生、下手をすれば小学生と間違われてしまうような体格をしているのだが、
そのちっちゃさを感じさせないくらいに元気いっぱいで、クラスのみんなの人気者であった。
 だが、そんな小鳥には、一つ悪い癖があった。
 ―居眠り
 普段は元気いっぱいな彼女だが、突然、電池が切れたように、疲れ切って眠ってしまうことがあるなのだ。
 今日も、お昼ご飯の時からカクン、カクンと眠たそうにしていた彼女は、そのままパタリと机に倒れ伏して、
5時間目の授業まで熟睡してしまった。
ちなみに、彼女がうつらうつらとしている姿はかなり可愛らしい。
 だから、小鳥は居眠りをはじめても、授業中でさえなければまず起こされることはない。
(というか、授業中でもあまり起こされない)
 だが、今回だけは起こして欲しかったと、小鳥は思う・・・。

471名無しさんのおもらし:2012/04/14(土) 16:36:39
浮原小鳥は、教室の片隅・・・窓際、前から3番目の席でそわそわと身を揺らしていた。
いつも笑顔の絶えない顔には影が射し、小さな身体は時折ぶるりと震える。
今、彼女はおしっこがしたくてたまらない状態にあった。
 正直、おしっこは4時間目の途中くらいから我慢していた。
 その時から結構行きたいと思っていたものの、すぐに駆けこまなければ危ないというほどではなく、
ご飯を食べてから行けばいいと思っていた。
 それが、まさか休み時間を寝過ごしてしまうなんて・・・。
 先生に怒られ、慌てて授業前の起立をしたときに、下腹部の欲求が切迫したものになっていたことに気づいた。
 それから、現在までの30分。小鳥は、ろくに授業を聞くこともできないままに、必死に尿意と格闘していた。

472名無しさんのおもらし:2012/04/14(土) 16:37:05
(あうぅ・・・おしっこしたいよぉ・・・)
 机の下では、両足がパタパタとせわしなく動いてしまう。
 あたしは昔っからトイレが近い。きっと身体が他の子よりちっちゃいから、膀胱も小さいのかも・・・。
 友達と映画を見に行けば途中で席を立ってしまうし、中学の頃の修学旅行では、バスの中で膀胱がパンクする
かと思うくらいおしっこを我慢した。
 今だって、相当だ。最後にトイレに行ったのは3時間目の前だから、もう3時間以上行っていない。
 行きたくなって当然の時間だ。
(ああ・・・もれそう・・・先生に言おうかな・・・)
 もう何度も繰り返してきた葛藤。けど、その度に思いとどまる。
 ・・・恥ずかしい。
 高校生にもなって、みんなの前で席を立って、授業中にトイレに行くなんてできない。
 それに、今の授業の先生は男の人。尚更ムリ!絶対にムリだ!

473名無しさんのおもらし:2012/04/14(土) 16:37:34
残り約15分。我慢できるだろうか?
 まさか、高校生にもなって我慢できなくなるなんてことはないと思うけど・・・。
 でも、それは精神論だ。我慢にも限度がある。
 下腹部を意識してみると、膀胱が張りつめているのを感じるし、手のひらでさすってみるとパンパンに
膨れ上がっていることが分かる。
 あたしのお腹は、後どのくらいおしっこを溜められるのだろう?
 きっともう限界は近いはずだ。膀胱が、怒り狂っている。
 太ももをぎゅっと閉じて、出口を圧迫していないと出てしまいそうだ。
(この年で・・・もらしちゃった子なんて、いるのかな?)
 考えてみる。高校生でおもらし・・・。きいたことがない。
(なら、あたしだって、我慢できる・・・よね?)
 あたしだって、この春から高校生になったのだ。
 大丈夫。きっと、耐えられる・・・。
 そう思った時に、突然、あたしの机の上に一枚の紙が飛んできた。

474名無しさんのおもらし:2012/04/14(土) 16:37:59
それは、後ろの席の女の子からの手紙だった。
『小鳥、もしかしてトイレ?大丈夫?』
 おしっこの我慢がバレていたことが分かり、カッと顔が赤くなる。
 けど、考えてみれば、こんなにもじもじしていれば当然だ。
 もしかしたら男の子にも気づかれてしまっているのかもしれない。
『寝過ごした〜〜!!超トイレ行きたい(>〜<)』
 そう書いて紙を送る。しばらくすると返事が来た。
『大丈夫?先生に言ったら?』
『う〜ん、後10分だから耐える!!』
 そう。後10分。後10分、この苦しみに耐えれば、あたしは恥ずかしい思いをすることもなく、
トイレに行けるのだ。
 後10分・・・。たったの10分。
 ああ、あの地獄みたいだった修学旅行帰りのバスを思い出す。
 今も、膀胱が破裂してしまいそうだ・・・。
 お願い・・・。後、10分だけ・・・。

475名無しさんのおもらし:2012/04/14(土) 16:38:33
もう授業の声なんて、一切耳に入らない。
 全神経を集中させておしっこを我慢する。
 そんな時に聞こえてきたその音は、当然終わりのチャイムだと思った。
 だが、それはただの校内放送だった。

ピンポンパンポン・・・
ただいま、某国の長距離弾道ミサイルの発射が確認されました。
生徒並びに教職員は、安全が確認されるまで、窓から離れて教室内に待機するようにお願いします。
校庭にいるものは、速やかに体育館に避難するように
・・・繰り返します

 頭のよく働いていないあたしには、今の放送の意味がよく分からなかった。
 ただ、教師はあたしたちに、教室の真ん中に固まるようにと指示した。
 決して慌てず、静かに座っているように・・・と。
 あたしは、教室の真ん中でぶるぶる震えていた。

476名無しさんのおもらし:2012/04/14(土) 16:38:59
授業終わりのチャイムが鳴っても、あたしたちは教室に待機したままであった。
「小鳥、大丈夫?我慢できる?」
 その問いに、あたしは黙って首を横に振る。
 もう本当に限界。もらしちゃう・・・。
 けど、教室を出ることは許されていない。窓に近づくと危ないからだそうだ。
 教室を出れば、すぐに窓ガラスだらけの廊下だ。
「ミサイルとかマジ迷惑だよなぁ〜」
「ってか、あたしトイレ行きたいんだけど?いつ解けるの、これ?」
 そんなことを言いながらも、みんなこの異常な状況に興奮し、ある種楽しんでいる。
 あたしは・・・もうダメ。
 トイレに行きたいなんてものじゃない・・・。
 行かなければ・・・今、行かなければ、もらしてしまう。
 そうだ・・・。今、今すぐに行かないと・・・。我慢、できない。
 浮島小鳥は弾かれたように立ち上がった。

477名無しさんのおもらし:2012/04/14(土) 16:39:27
廊下に飛び出そうとすると、先生が腕をつかんであたしを制止した。
「コラ、浮島!どこに・・・」
「離してくださいッ!!」
 先生の言葉を遮り、あたしは叫んだ。
「トイレ!!もう我慢できないんです!」
 先生に片腕をつかまれながら、その場でバタバタと足踏みをする。
 みんな呆気にとられている。
 教師もあたしの仕草に狼狽える。だが、彼ははっきりと言い放った。
「ダメだ!行かせられない!」
 それを聞いた瞬間、頭が真っ白になりかけた。
(そん、な)
 もう、今すぐ駆けこまないと間に合わないのに・・・。
「せ、先生!」
 手紙のやりとりをしていた友達が声を上げる。
「トイレ、行かせてあげてください!小鳥ちゃん、ずっと我慢してたんです!」
「そうだそうだ!!」
「小鳥ちゃんが可哀想・・・」
 彼女の訴えに感化されてか、生徒たちが声を上げる。
「先生!このままじゃ小鳥、もらしちゃうよ?」
「先生!ぜってー行かせるなよ!」
「コラ男子!黙ってて!」

「うるさいッ!!」

 教師が、一喝した。

478名無しさんのおもらし:2012/04/14(土) 16:40:14
「命に、関わるかもしれないんだ」
 教室が静まり返る。
「例え、トイレが我慢できなくても、死ぬことはない。だが、ここでトイレの為に廊下に出て・・・その時に、
ミサイルが来て、大けがしたり、死んだりしたらどうする!?」
誰も、その言葉に反論できない。彼の言うことは、正しいのかもしれない。
でも、先生。あたし、トイレに行かなくても死んじゃうよ。
こんな、みんなの前でおしっこもらしちゃったら、もう生きていけない。
きっと死んじゃう。
今の、明るくて元気な浮島小鳥は死んじゃう・・・。

安全が確認されたという放送は入らない。
小鳥は、股間を押えて、身をよじる。
先生の指示で、あたしは女子に囲まれ、男子から見えないようにされた。
「小鳥ちゃん、頑張って!」
「後少しの辛抱だから!」
 みんなが励ましてくれる。
 だけど、もはや返事をする余裕もない。
 膀胱は、もはや痛みを発している。
(本当に、破裂しちゃうかも・・・)
 そう思った時、じゅわっと、下着の中に暖かいものが広がった。

479名無しさんのおもらし:2012/04/14(土) 16:40:39
(やばいッッ!!)
 とうとう、小鳥の我慢は限界を迎えた。
 一滴、おしっこが身体からあふれ出す。
 慌てて、股間を押える手に力を入れなおす。
 もっと、もっと強く抑えないと・・・
 イヤだ!!絶対に、出てきちゃダメ!!
 だが、ようやく出口を見つけた大量のおしっこは、我先にとそこに押し掛ける。
「うぅぅ・・・くぅぅぁッ!!」
 必死の我慢にも関わらず、また一雫・・・二雫とおしっこがもれだす。
「こ、小鳥ちゃん!」
「ちょっと!男子たち、こっち見ないでよ!!」
 頭の片隅に、そんな声が響く。
(ま・・待って・・・よ、あ・・・あたし、まだ・・・もらしてなんか・・・)
 だが、一度あふれ出したおしっこは、もう止まらない。
 少しずつ、少しずつ、暖かいものが下着に広がっていく。
(や、やだよ!!そ・・・そんな、も・・・もう高校生・・・なの・・・に)
 我慢!!・・・我慢!!
 ダメ・・・、、、力が、入ら、な・・・い

480名無しさんのおもらし:2012/04/14(土) 16:41:09
ぷしゅっ・・・

「あ・・・」と思った時には、これまでよりも遥かに多い量のおしっこが吹き出ていた。
「ダメ」と思っても、もう小鳥の制御は利かない。
  完全な、我慢の限界だった。
(あ・・・あああ!!)
 じゅぅぅっと音を立てて、おしっこがあふれ出す。
 周りの女子が悲鳴を上げる。
 あっという間に、あたしの回りには大きな水たまりが生まれた。
 必死に止めようとしても、もうそこに力が入らない。
 手で押さえたって、止まらない。
 あたしを囲んでいた女子たちが、思わず後ずさる。
 みんなが口々に何かを言っているが、もう何も分からない。
(ああ・・・あたしのお腹って、こんなにおしっこ溜められたんだ・・・)
 あたしは、ただ、そんなバカなことを考えていた。
 おしっこはまだ止まらない。もう、止めるのはあきらめた。
 視界がゆがむ。
 喉の奥から、勝手に嗚咽が出て・・・それも、止められなかった。

ピンポンパンポン・・・
 ミサイルの打ち上げは失敗に終わった模様です・・・
 繰り返します・・・

END

481名無しさんのおもらし:2012/04/14(土) 16:59:18
あ〜、苗字途中から間違っとる!不覚だ・・・

スマソ

482名無しさんのおもらし:2012/04/14(土) 17:07:55

北朝鮮GJ

483名無しさんのおもらし:2012/04/14(土) 21:41:07
続きキボソヌ

484名無しさんのおもらし:2012/04/15(日) 04:01:17
ミサイルションベン
略してミサション
これは期待できるジャンルだ!!

485名無しさんのおもらし:2012/04/17(火) 08:47:50
時事ネタ取り入れるのは面白いな

486名無しさんのおもらし:2012/04/21(土) 09:18:03
不謹慎だ

487名無しさんのおもらし:2012/04/22(日) 03:19:49
今更、しかもこの程度で不謹慎もないだろう
時事ネタと状況との関わり方は薄いというか強引な気もするが

しかし相変わらず感想すくないなー

488名無しさんのおもらし:2012/05/04(金) 03:51:51
亀感想
無理に時事ネタこ入れてる感が否めないかな
内容や表現とかは問題ないと思うから逆にもったいなく感じてしまう
物語がユニークではなく少女(我慢してる人など)の置かれた状況がユニークのほうが
読み手にとっては受けがいいかもしれない? 少なくとも私はそうかな
とはいえ、読み手を意識しすぎると逆につまらなくなるジレンマに・・・なんか変な方向に脱線しつつあるので終了

489名無しさんのおもらし:2012/05/04(金) 07:03:48
時事ネタはそれに合わせて作ってくれたんだなーという気持ちがうれしい
あまりあざとすぎると逆効果だけど

それが話とかみあってればなお良いってとこじゃないかなー

490名無しさんのおもらし:2012/05/04(金) 14:57:52
いい話だった
今度はそのバスの話とかも書いてみてほしいな

491名無しさんのおもらし:2012/05/04(金) 21:47:00
ばすはちょっと

492名無しさんのおもらし:2012/05/05(土) 00:10:20
平等な我慢とおチビリが必須だと思うんだ

493名無しさんのおもらし:2012/05/05(土) 00:33:27
平等?

平等といえば平等院
平等院鳳凰堂といえば修学旅行
修学旅行中におしっこ耐久レース勃発というわけですな

女子限定で有志はどの女子に賭けることもできる
むろん自分自身に賭けることも可能
自信家の堂々エントリーもあれば
金の亡者は銭のためなら自分の膀胱の一つや二つどうなろうとおかまいなし
思慕の証を立てるために参加する者もいれば
なかばイジメ的な強要参加もありとバラエティゆたか

長いバス旅の果ての救いであるはずのサービスエリアは救いとならず
晩の女湯が”出走馬”のコンディションチェックの場と化す
エントリーせず無関心を装っていた令嬢才媛が
他”競走馬”に負けるとも劣らない立派なコンディションを維持していることが
はからずも発覚

494名無しさんのおもらし:2012/05/05(土) 00:34:04


こっそり不正排尿を試みる者
手段を選ばずライバルにむりやり飲ませる者
絶対の自信を持つものの唯一の欠点が睡眠中、と
完徹のために命取りなコーヒーをあえて飲む者
当初の予想と常識を越えた2日目突入ともなれば挙動不審者続出
教師や男子も気づき始めるが
少女たちはそれでもレースを中断するという選択肢には向かわないのであった

みたいな

495名無しさんのおもらし:2012/05/05(土) 23:07:06
いい流れだな

496名無しさんのおもらし:2012/05/07(月) 10:09:26
そこは「久しぶりに覗いたらすごい良ネタキテタ」だろw

497名無しさんのおもらし:2012/05/07(月) 21:48:15
イジメとかいやだなーと思って平等とか言ったんだけどあんたすごいな。
素直に尊敬s・・・うん、尊敬はしないけどすごいわ。

498名無しさんのおもらし:2012/05/08(火) 01:24:06
久しぶりに覗いたらすごい良作キテタ

499名無しさんのおもらし:2012/05/08(火) 17:17:27
人として尊敬できる人はこんなアイディアだせねえぜGJ!

500名無しさんのおもらし:2012/05/09(水) 15:07:36
>>497
平等すぎると焦点が拡散するな
外的条件が平等であってさえもスペックの個人差という不平等が
いろんな意味で面白味や萌えになる

501名無しさんのおもらし:2012/05/10(木) 02:40:03
あなたは

「ぽこたんインしたお」

という言葉を

知っているだろうか?

これはぽこたんにまつわる

数名の少女たちの

おしっこ我慢とおもらしの悲喜劇である…

502名無しさんのおもらし:2012/05/16(水) 23:06:46
・・・い、いつ>>501の話はインするお?

503名無しさんのおもらし:2012/05/17(木) 01:18:27
「インしてみる」

実験の被験者となり7日間監視つきで隔離生活するだけで大金をもらえるという募集につられ
12人の女の子が『紫禁館』に集まった。

トイレは広大な館のさまざまな所に隠して作られており、隠し戸を開く条件なども時間錠などさまざま。
またそれとは別にラウンジに普通のトイレもある。
各自の部屋には隠しトイレに関係したそれぞれ異なるアイテムが1つずつ用意されており
(MAP、合いカギ、暗号ヒント集等)それによって隠しトイレの使用が有利になったり、
また他の参加者の隠しトイレ使用を妨害したり発見したりしやすくなる。

館内全域は隠しカメラで常時監視・記録されており、トイレ以外で用を足すと報酬が激減。
また、トイレ使用の現場を他参加者に見られると、排泄未遂であっても大幅減額
逆に他参加者のトイレ使用の現場を押さえると大きなボーナス
また、参加者の連帯を防ぐため、徘徊しているNPCが使用現場を押さえてくることもある
毎日3度、定時の食事を義務付けられ、一定量以上残すとペナルティ。

504名無しさんのおもらし:2012/05/17(木) 01:19:01
トイレを使用さえしなければ誰に見られることもない、と
トイレを我慢することが参加者の暗黙の了承となり、事態は落ちついたかに見えたが
7日間用を足さずにいられる人間などいない。
2日目の朝、1人が失禁を数名に目撃されたことから
各人の思惑が大きく乱れ始め…

505名無しさんのおもらし:2012/05/17(木) 01:24:10
悪くない、悪くないんだが賞金目当て我慢って時点で萎えるんだわorz
贅沢言ってすまん

506名無しさんのおもらし:2012/05/17(木) 01:28:42
元ネタありきだから仕方ない

507名無しさんのおもらし:2012/05/17(木) 01:30:22
ちなみにぽこたんとは関係ないぜ

508名無しさんのおもらし:2012/05/17(木) 03:49:49
>>503-504
面白そう

509名無しさんのおもらし:2012/05/17(木) 14:39:24
久しぶりに覗いたらすごい良作キテタ

510名無しさんのおもらし:2012/05/28(月) 22:43:42
>>509

取り敢えず、何でもかんでも良作というのはよそうか

511名無しさんのおもらし:2012/05/29(火) 04:37:25
予想だ。

512愚人:2012/05/31(木) 00:12:29
 皆様はどんな小説が読みたいのでしょう? この手の官能小説はまだ執筆経験が少ないのですが、勉強のために描きたいと思います。どんな小説が読みたいかリクエストをしていただけたら、プロットも立てやすいのですが……。

513名無しさんのおもらし:2012/05/31(木) 00:25:22
トイレに行くと思われたくないはずかしがリ屋が
気分が悪くなったとか何か取りに行くとか
いろいろ理由つけてトイレに行くと思わせずトイレに行こうとするも
あと少しのところでトイレに入るところを見つかったり
余計な言い訳したことが仇になったりしてうまくいかず
さらに苦しい言い訳をひねり出し排尿をこころみるがでもまたダメという繰り返しのエスカレートギャグ路線

514名無しさんのおもらし:2012/06/01(金) 08:03:01
閉じ込められるやつは違和感少なくていいと思う

515名無しさんのおもらし:2012/06/02(土) 02:39:51
すごい良作

516名無しさんのおもらし:2012/06/02(土) 19:57:06
トイレも無く排尿も禁止だが、配布された座布団にチビることだけ許される学校

517名無しさんのおもらし:2012/06/02(土) 21:49:16
やっぱり我慢シーンが多いとうれしいな。あとは集団とか

518名無しさんのおもらし:2012/06/03(日) 00:23:32
ミサションで

519名無しさんのおもらし:2012/06/03(日) 20:25:49
自分が好きなシチュエーションで書いてみたらいいと思うけどな
おもらし好きじゃないならなんでここ来てるのって話になるし

520名無しさんのおもらし:2012/06/04(月) 22:40:25
結局書かない予感

521名無しさんのおもらし:2012/06/05(火) 00:01:32
書き手の新参という言い分を信じるならば
意見募ってみたことでどの程度過疎なのかが分かって良かったんじゃないか?
作品投下する場としての質は下がる一方だしね

522名無しさんのおもらし:2012/06/07(木) 09:40:19
結局リクエスト聞いたやつこねーしな。釣りだったな

523愚人:2012/06/07(木) 12:31:46
1週間も待ってくれないの? 愚痴る様だけど、こっちはなるべく良質を提供したいんだわ。今週末に載せるからもう少し待ってくれ。

ちょっと文が荒くなったけど、時間無いので許して欲しい。

524名無しさんのおもらし:2012/06/07(木) 14:23:10
>>523

お前への期待度の現れだよ

525名無しさんのおもらし:2012/06/07(木) 14:42:36
自分が話振ってるんだから
何らかの返事を残しとくだけでも全然違ってただろうね

即座に作品がくることが当たり前だと思ってる人はそう多くないだろう

526名無しさんのおもらし:2012/06/07(木) 22:02:18
なんでこいつこんな偉そうなの?
質問に対する答えもらったら、普通感謝の返事くらいあるもんだろ
別に全てのレスに返事しろとは言わないけど、感想とかないもんかね
自分から話題ふっといて、返事せずにそれに対しての文句にだけ返事返すとかバカだろ

527名無しさんのおもらし:2012/06/07(木) 22:22:46
下半身裸で作品待ってる一部の人の民度が低いんです
すぐくだらない書き込みをして目立ちます
大部分の賢者はおとなしく待ってます

528名無しさんのおもらし:2012/06/08(金) 00:11:37
>>527
実演乙

529愚人:2012/06/08(金) 19:14:50
謝りに来ました。ちょっと昨日は朝っぱらから編集者と揉めていた上、片付けなければいなかい原稿も多く……いや、言い訳は止めます。一晩、時間を頂いて落ち着いてから来ました。

確かに、お礼も出来なかったことや何も書き込まなかったことは、人間的にだらしない部分があったと思います。リクエストとしては直ぐに返事をくれたNo.513からギャグを除いたものを軸とさせていただきました。ありがとうございます。

そして、不躾な態度を取りましたこと、お詫びいたします。申し訳ありませんでした。

530名無しさんのおもらし:2012/06/08(金) 20:21:27
言い訳はやめますってならそもそも書くなやw

531名無しさんのおもらし:2012/06/08(金) 22:33:26
周恩来と同じ匂いを感じる

532名無しさんのおもらし:2012/06/09(土) 00:24:54
>>523などの反応の仕方をみると
作品はともかく人間的には地雷な気がするな

挨拶とか他作品への感想付けなどは全くしないわりに
自分に感想つかなかったらキレてた自分勝手な人が何人か(一人かもしれん)いたが
レスや態度見る限り似たような対人スタンスだろう

533愚人:2012/06/09(土) 13:32:01
短期間集中連載短編
『悲劇の愛子』

     《1》
 あぁ、どうしてこんな時に限って私は運が悪いんだろう……。
 大場愛子はそう思うと、ガックリと膝を着く。今までずっと抑え続けた欲望がダムを突き破って決壊し、床に水溜まりを作っていく。あぁ、どうして素直になれなかったんだろう。
 愛子は足元の水溜まりを更に広げながら、ただ自分の附きの無さをただ呪った。
 ――事の発端は、今から2時間前に遡る。


 初夏に入り、日本列島南部が梅雨入りする中で、今日はとても暑かった。
 私は川上玲奈ちゃん、田中桃子ちゃんと買い物する約束で待ち合わせのカフェにいた。悪夢はそこから始まる。
「ねぇ、桃子遅いね……」
 机上のカフェオレを混ぜながら玲奈ちゃんがそう呟いた。
 今日の玲奈ちゃんの服装は白を基調としたペチコートにキャミソールという大人っぽい格好で、凄く可愛らしい。
 逆に私はTシャツにジーンズで、そこには明らかなセンスの差が存在した。
 私は大人っぽい雰囲気を醸す玲奈ちゃんに引け目を感じながら、
「うん、そうだね」
 とだけ返した。

534愚人:2012/06/09(土) 13:58:58
     《2》

 別に、芸能人の様に無差別にモテるのではなく、ただ1人、自分の好きな人に振り返って貰えれば、私はそれで満足出来る。だから、皆から良くモテる玲奈ちゃんの様になりたいと言えば嘘になる。だが、たった1人くらい振り向かせる魅力は欲しいと思った。
「ねぇ、玲奈ちゃん」
「ん? どした!?」
「今日さ、服屋行ったら私にも服を選んでくれない!? 私、選ぶのとか苦手なんだよね」
 恥ずかしがり屋で優柔不断、そんな自分に嫌気が指す。だから、思い切って玲奈ちゃんにそう話すと、彼女は小悪魔みたいな笑みを浮かべた。
「へぇ、やっとで竜也君を落とす気になったんだ」
 へ? なんで知ってるの、私が宮田君を好きってこと。
「そ、そ、そんなんじゃないし……」
 慌てて批判するが、驚いた表情が顔に出ていたのか、玲奈ちゃんの意地悪は止まらない。
「いや、普通に見てたらバレバレだし。でも、どうしても否定するなら、うちが彼取っちゃうけど良いの!?」
「えっ?」
 私の反応を見た玲奈たゃんは、「やっぱりね」と言って笑った。

535名無しさんのおもらし:2012/06/09(土) 14:01:59
たゃんw

536名無しさんのおもらし:2012/06/10(日) 00:34:48
2時間弱かぁ…ちょっと物足りないかも

ともかく途中で切れるなら切れるで宣言しといたほうがいいよ

537名無しさんのおもらし:2012/06/10(日) 08:45:16
http://jbbs.livedoor.jp/sports/16554/

538名無しさんのおもらし:2012/06/10(日) 15:41:50
短期ってあるから一気に書いてくれるもんだと期待したらまた途中でおあずけですかぁ?
こうやって途中で終わったずっとだんまりしてたら飽きたか逃げたかどっちにしろ
読む方に悪い印象しか与えないと思うんだが?
編集とどうのこうのってことは文章書く仕事とかしてんだろ?そのへんしっかりしないと
ダメだって一番解る仕事環境じゃないのか?なんだかなぁ

539愚人:2012/06/10(日) 16:14:08
     《3》

「まぁ、愛子は元々可愛いんだから、堂々としてれば良いと思うよ。だって、ノーメイクでそれでしょ?」
 確かに化粧はしていない。まぁ、そんなに上手く出来ないので、悪化させるよりはマシだと思っている。だが、まさかモテモテの玲奈ちゃんから私が可愛いと言われるとは思ってなかった。
 “化粧していないこと”に対し頷くと、玲奈ちゃんは言葉を紡げていく。
「化粧ってスッピンに自信がないからするの。お洒落は顔に自信がないからするの。だから」
 ――私は今の愛子、めっちゃ素敵だと思うけどな。
 彼女がそう言ったところで、10分遅れの桃子ちゃんがやって来た。
 花柄のワンピースにしっかりと施された化粧。
 さっきの玲奈ちゃんの言葉はかなり嬉しかったが、やはり差を感じてしまうのは気のせい?
「ごめん、ちょっと寝坊しちゃった!」
 桃子は手を合わせながら私達の席へと歩いてくる。
 午後の集合なのに寝坊? しかも、その割にはしっかりと化粧はされているし、寝癖もない。きっと化粧に時間が掛かったのだろう、私は勝手にそう解釈した。

540名無しさんのおもらし:2012/06/10(日) 16:14:27
それだったらクレーマーにしか見えないなー
>>538 が実際に模範的な方式で作品投下してくれれば一番分りやすい
ということで期待してますよ!

541愚人:2012/06/10(日) 16:40:16
     《4》

「ちょっと遅いけど、まぁ、許せる範囲内だよ。なんか飲む!?」
 玲奈ちゃんはバッグの中を漁りながら、そう言う。私達は仲の良いグループだけど、やはり一番の権力を持つのは玲奈ちゃんだと改めて思う。大人の気品とか余裕とががあって、良い意味で大人っぽい。
 桃子ちゃんは遅れたことについての罪悪感もあるのか、首を横に振った。
「良いよ、ちょっと時間も遅れてるだろうし……」
「10分なんてそんなに気にしなくても良いよ。本当に良いの? ここのもの美味しいよ」
「う〜ん、いい」
 玲奈ちゃんは再度確認するが、桃子ちゃんは首を縦に振らなかった。そのことを確認し、玲奈ちゃんはバッグの中の財布から1000円を出すと、
「あたしはちょっと服装直して来るね。先にお会計してて」
 と、テーブルの上にソッと置く。
 ……私もトイレ行こ。
「じゃ、愛、先に外出てよっか。遅れてホントごめん!」
 私がトイレに行こうとした瞬間、桃子ちゃんは笑顔でそう言った。
「…………」
 トイレ行きたいのに。
 そう思うが、先にこんなことを言われたら行きにくい。

542愚人:2012/06/10(日) 17:01:04
     《5》

 迷っていると更に状況は悪化した。既に行く気満々の桃子ちゃんが、私の気持ちなど露知らず腕を掴んで来たのだ。
 これではもうどうしようもない。
「うん、分かった。それと、桃子ちゃんが遅れたことは気にしてないから謝らなくても良いよ」
 私はテーブルの上に玲奈ちゃんが残していった1000円を、手に取るとテーブルから立ち上がる。
 ――ヤバい。結構溜まってるかも。早くデパートに行ってトイレに行こう。
 そう思いながら会計を済ませ、外にいると少し経ってから玲奈ちゃんが来た。
「じゃ、デパート行こっか」
 私は着実に溜まる尿意を感じながらも、それを隠す様に笑顔で頷いた。


 そのデパートは最近出来たばかりのデパートだった。ファッションのトレンドを的確に捉えたデパートで、服をピンキリで揃えている。最安値をポリシーにしているところもあれば、素材に拘り抜いたセレブが集まる店もある。レディースもあればメンズもある様なデパートだ。
 だが、私が最初に行こうと思うのは店ではなくトイレだ。やっぱり玲奈ちゃんには敵わない。

543名無しさんのおもらし:2012/06/10(日) 18:57:07
>こっちはなるべく良質を提供したいんだわ。今週末に載せるからもう少し待ってくれ。
のわりにはこま切れ投下ってのはあんま印象よろしくないんじゃなかろうか。

と言っても>>538と同一視されてクレーマーとして無視されそうだけど

544名無しさんのおもらし:2012/06/10(日) 20:39:03
この程度でクレーマーかよ
やるって自分で言ったのにやってないからそれどうなの?って言っただけなんだが?
そんなこと聞きたくないって言うなら書かなくていいよ
そうやってぐちぐち言ってやる気がどうのこうのとかそんな人に書いてほしくないし

545名無しさんのおもらし:2012/06/10(日) 21:37:14
そうカリカリすんな
空気の悪さにびびってそこのお嬢さんがトイレに行けないじゃないか

546名無しさんのおもらし:2012/06/10(日) 21:57:51
今のところつまらないしなー
良作(笑)
誤字もあるし

547名無しさんのおもらし:2012/06/10(日) 22:05:15
こうなるから投下形式や人間関係に問題ある投稿はもったいない
>>545の方が萌える現状

>誤字
それは別にいいんじゃね?

548名無しさんのおもらし:2012/06/10(日) 23:50:42
読んでから文句言えと言われるかもしれないが、読みたいと思えないな。つまんなそう。

549名無しさんのおもらし:2012/06/10(日) 23:56:24
良作を届けたい

誤字がある→投稿前に自分の作品を読み返したり添削したりしない→どこが良作を届ける気があるんだ

となる

550名無しさんのおもらし:2012/06/11(月) 11:09:53
文章力の高さが逆に仇になってるなWW
なんか萌えないし、俺の求めているものと違うわ

551名無しさんのおもらし:2012/06/11(月) 19:36:36
んでまただんまりだろ?
なんだこいつ

552名無しさんのおもらし:2012/06/11(月) 20:14:47
自分の作品評価されたいのに、悪評しかないから泣きたいのを我慢してるのさ

553愚人:2012/06/11(月) 20:33:42
     《6》

 “ちょっとトイレ行ってくるね”。そう言うだけなのに、私はどうして恥ずかしいと思っちゃうんだろう? 玲奈ちゃんだって桃子ちゃんだって、行きたい時には行くのに……。
 その後、5分程歩いたところで、私は遂に平常心を保っていられなくなった。
「ん? 愛子どうかしたの!?」
 急に立ち止まった私を不思議に思ったのか、玲奈ちゃんはそう聞いてきた。
「わ、私――」
「ねぇ、あっちに竜也くんと優くんいるよ!」
 ッ! なんでこのタイミングで言うのよ!
 もう猶予のない私は桃子ちゃんを張り倒したくなったが、その口から漏れた名前に私はハッとなった。竜也くん……。
「愛子、良かったね、チャンスが出来て」
 玲奈ちゃんは小声で私にそう言うと、2人の名前を呼んだ。
 宮田竜也くんと松本優くん。どちらも俳優向きの整った顔立ちで、学校の男子人気ランキングにも入るイケメンだ。特に竜也くんの倍率は高く、私なんかに釣り合わないことは分かっている。
 竜也くんには玲奈ちゃんの様な女の子がお似合いだろう。

554名無しさんのおもらし:2012/06/11(月) 21:34:51
ぶつ切り過ぎて話がちゃんと繋がってるように見えない

555名無しさんのおもらし:2012/06/11(月) 23:05:26
>>554
いや、なんというかそれ以前の…

556名無しさんのおもらし:2012/06/11(月) 23:38:27
こいつ文書く仕事とかしてねぇべw

557名無しさんのおもらし:2012/06/11(月) 23:57:16
気にしないで続けてください

558名無しさんのおもらし:2012/06/12(火) 00:34:22
>>552
おしっこしたいのに、トイレがないからもれそうなのを我慢してるのさ
なら萌えるのに。


しかし>>553は投下のしかたをもう少し反省した方がいいんじゃなかろうか
せっかくスレの趣旨に合ったまともな作品投下したとしても
作品以外の要素で作品ごと叩かれるんじゃ勿体ないだろう
この状況下だと>>557が自演にしかみえない(自演じゃないだろうけど、状況的に)

559愚人:2012/06/13(水) 00:14:37
更新方法を変える。

560名無しさんのおもらし:2012/06/13(水) 12:31:36
あぁ?
なんだよさっさと言えよグズ

561名無しさんのおもらし:2012/06/13(水) 13:34:57
自分で愚かな人って言ってるからなこいつw

562名無しさんのおもらし:2012/06/13(水) 14:06:10
ここは作品発表の場としては終わってる
真面目に書くつもりならよそに投下したほうがいいよ

563名無しさんのおもらし:2012/06/13(水) 19:16:02
書き手ばかり自演とかよく言われてるが、荒しも1〜2人なんだろうと思う今日この頃
>>559
私は期待してる
それと荒しは好き放題書くけど、いい感想は書かない人のが多いから相手にしないに限る

564名無しさんのおもらし:2012/06/13(水) 20:41:09
sageてる人はいやに擁護が多いですね^^
荒し(笑)ですか^^

565名無しさんのおもらし:2012/06/13(水) 22:47:48
荒しはage
作品投下はage
その他はsage
これが一般的なSSスレの特徴だから当たり前といえば当たり前だけどなw

566名無しさんのおもらし:2012/06/14(木) 00:04:20
褒める感想書いてもageたら荒らしになっちゃうのか…つらい世界だな

567名無しさんのおもらし:2012/06/14(木) 00:18:55
期待してる人が最低限一名>>563いるはずなのに
フタあけてみれば好意的感想ゼロだったりするのがここのクオリティ
一つの可能性を邪推すれば自分の作品に自分で感想付けるむなしさは耐え難かったと見ることもできるが
そうでないとして、擁護者も作品よりは荒らしとじゃれあう方に優先順位を置いてる感じだね

>いい感想は書かない人のが多いから
そうそう、口調は丁寧にして、魔法の言葉「良い意味で」や
ポジティブな改善点アドバイスのように見せて こうした方が良い(イコールこうできてない)
中身は内容否定やないものねだりのクレクレという慇懃無礼の見本みたいなのも時々あるんだよな

568名無しさんのおもらし:2012/06/14(木) 21:24:08
荒らしている人は携帯4つぐらい持っているんですか?

569名無しさんのおもらし:2012/06/14(木) 21:32:54
とりあえず、続けて見てください

570名無しさんのおもらし:2012/06/14(木) 22:31:16
正直、このスレでコテ活動は無理
ましてや>>512>>523>>529とかの書き込みの後、例えどんな神作品書いても
正当な評価なんて得られるはずもない

作品を純粋に評価すべき、という意見は分からなくもないが
ダイレクトに性癖に訴えかけるジャンルなだけに
作者の情報がわずかでも入るだけで「萎えて」しまうのは正直どうしようもない

571名無しさんのおもらし:2012/06/14(木) 23:50:34
こーいう、一発物の小説書くとき一番困るのってキャラクターの名前なんだよね
書きたいなぁと思ってもそこで詰まる

なんか、友達とかの名前使っても萌えなさそうだし

572名無しさんのおもらし:2012/06/15(金) 00:40:13
名前を付けない方法もある
「少女は」「彼女は」などと言った方法
一人称の場合は名前は伏せて「私は」で通す
誰かに名前を呼ばれた時も「私を呼ぶ声」などと表現するといい

それでも名前がないと表現できないことも多々あるわけだけど……

>誤字
他の人も言ってるが、誤字は書いた本人では読み返しても気が付きにくい
プロも、担当や読者に指摘され初めて気が付くこともザラにある
脳内補完って奴は厄介だよ

573名無しさんのおもらし:2012/06/15(金) 21:27:47
>>572
そういう書き方もあるけど、今俺が書きたい小説のタイプだと、複数のキャラクターを登場させたいから無理なんだよね

マジ名前思いつく人はすげぇわ

574名無しさんのおもらし:2012/06/16(土) 00:09:57
名前なんて独創性いらないから過去の名付けランキングとか参考にして適当に選べばいい

575名無しさんのおもらし:2012/06/19(火) 17:40:33
それは読み手の意見だな
書き手は書き手で自分で満足できる作品を書きたいんだよ
何に関してもそうだけど作品を作る側の人って面倒な性格してるんだ……

576名無しさんのおもらし:2012/06/19(火) 17:42:37
>>571
プロットができた時点でキャラの性格付けって大体決まるだろ?
そこからインスピレーションされる漢字なり発音なりを命名サイトで検索する。
苗字が欲しければ全国順位500位〜5000位くらいの間で同じように検索する。
候補が揃ったら組み合わせて語呂や字面的にビビっと来たものをチョイス。
最後にその名前で検索して有名人がヒットしないかどうかを調べる。
意外と最後ので残念な結果になるw 記憶の奥底に残ってるんだろうなw

カタカナの名前も辞典サイトがあるけど、由来を調べ出すとキリがないので妥協した方が良い。
前にドイツ風の地名が欲しくて頑張ったけど、ことごとく実在の地名で挫折したことがあるw

あとは逆に暇を見つけて名前だけたくさんストックしておく。
いざ創作意欲がわいたときにネタ帳から引っ張り出してきて使うと便利。

577名無しさんのおもらし:2012/06/19(火) 20:50:30
>>576
このこは期待できるこ
作品投下待ってます

578名無しさんのおもらし:2012/06/19(火) 21:48:56
過去に無事に書き上げたことが数えるほどしかないんだがw
最近は2chの某スレで絵を描く方に力を入れてるので、SSはまた気が向いたらね。
絵にしろSSにしろスピードが遅いのが俺の致命的な欠点だったり・・・

579名無しさんのおもらし:2012/06/19(火) 22:29:54
>>576

わざわざありがとう!
いろいろ試行錯誤してみるよ

580名無しさんのおもらし:2012/07/17(火) 15:16:07
久しぶりに投下しまーす

581名無しさんのおもらし:2012/07/17(火) 15:16:40
「くぅーーーっっ!!やっぱ高い所ってのは気持ちいいぜ!!」
 少女は満面の笑みを浮かべ、360度遮られることなく広がる景色を眺望する。
 地上130メートルの世界。地方の田舎町では、抜群の最高峰。
眼下に広がる建物は、玩具のように小さく見える。
目を遠くへと向ければ、小高い丘陵の向こうの海まで視界に入る。
絶景。その一言に尽きるこの素晴らしい景色は、この場所からでしか見ることはできない。
町の活性化を目指し、建設される高層タワー。その頂に彼女はいた。
 高木瑞希。彼女は女性でありながら高層建築の作業員を務めていた。その理由は、1つにして、単純明快。
彼女は小さい頃からとにかく高い所が好きだったのだ。
子どもの頃は、木登りをすれば男の子よりもさらに高い所へと登っていた。
よく、何とかと煙は高いところが好きだとか言われて笑われたものだ。

582名無しさんのおもらし:2012/07/17(火) 15:17:03
しかし、その性格は学年が上がっても、進学しても変わることがなかった。
やがて、瑞希は高層建築の作業者に憧れることになる。そこは地上とは全く違う世界だ。
不安定で覚束ない足場。吹き抜ける冷たい風。下を見下ろせば恐くなる。
だが、同時に何よりも美しい景色を見ることができる。
普段よりも近くにある空には、ついつい思わず手を伸ばしたくなるに違いない。
あんな風に、大地と空の狭間の世界で生きられたら・・・。
そんな風に思い続けた結果、瑞希は今この小さな町でも最も空と近い場所にいる。
建設途中のタワーは、少しずつ少しずつ空へと近づいていく。

583名無しさんのおもらし:2012/07/17(火) 15:17:36
タワー最上層は無骨な鉄骨の骨組みだけの状態だ。
作業員は、わずかな足場と一本の命綱のみを頼りに作業を進めていく。
そんな場所に、ふいに強い風が吹き付けてくる。
「うぅぅ、恐ェェ!!」
 作業員の上野は、命綱にしがみつくようにして身を震わせる。
「センパイ、何おびえてるんスか!?男でしょ!?」
 上野が強風に震える中、瑞希はいつもと変わらぬ様子でひょいひょいと足場を渡り歩き、
着実に工事を進めていく。
「お、お前こそ、女のくせに、少しは恐がれよ!」
 風が落ち着き、上野は恐る恐るという様子で動き始める。
「ウチは、馴れてるから平気ですよ!落ちたこともないし」
 そう言いながら、瑞希は一段上の足場へと移っていく。

584名無しさんのおもらし:2012/07/17(火) 15:18:00
「くっそー・・・なんでアイツはあんなにすらすら動けるんだよ・・・」
瑞希は上野よりも年下。しかも女の子だ。そんな瑞希より自分の方が作業をこなせないというのは
ずいぶんプライドが傷つけられるが、正直もう仕方がないと思う。
男だって恐いものは恐い。この町で生まれ育った上野にとって、このタワーの建設は常に未経験の高所への
挑戦なのだ。この建物に並ぶ高さの建設に携わった経験はない。
いや、それどころか、その半分の高さだって経験したことはないくらいだ。
初めて経験する地上130メートルの世界は、下を見れば身もすくむような地獄だった。
「あー・・・恐ェ・・・」
 ついつい下を見てたじろぐ。すると上から瑞希の檄が飛ぶ。
「何やってんですか、センパイ!今日は2人しかいないんですから、早くしてください!」

585名無しさんのおもらし:2012/07/17(火) 15:18:23
その日はひどく風の強い日であった。昼過ぎから天気が悪化し、夕方からは雨も降り始める。
 当初、作業は午前中のみで終わらせる予定であった。しかし、午後2時を回った今でも瑞希たちは空にいる。
 その原因は作業員の少なさである。元々、建設の最先端に関わる作業員は5人いた。
しかし、今日はリーダーの工員が事情で休みをとっていた。何でも、娘の結婚式だとか何とか。
それでも、まだ4人はいるはずだったのだが、他の2人は急な体調不良でやむを得ず休み、
結果作業員は瑞希と上野の2人だけになってしまった。
 その為、作業は遅れに遅れ、どうしても早く切り上げることができなくなっていた。
 しかも、貴重な作業員の上野が強風におびえ、上手く動けていない。
「センパイ、早くそっち固定してください!」
 動きの悪い上野を瑞希は叱り続ける。
元々、強気な性格の瑞希は、相手が先輩だろうと男だろうと容赦はしない。
ダメなところはハッキリとダメだと言うタイプだ。とはいえ、それを踏まえても今日の瑞希は厳しい。
 実は、瑞希はずいぶん前からトイレに行きたいのを我慢していた。

586名無しさんのおもらし:2012/07/17(火) 15:19:02

(うぅ〜〜、トイレ行きたいなぁ・・・。いつあがれるんだろ・・・)
空での作業では、いつトイレに行けるか分からない。普段は、水分にも気を使う瑞希であったが、
今日は昼には作業が終わる予定だったので、油断した。
そうでなくても、作業が遅れているおかげで休憩が与えられていない。
朝からずっとこの場所で作業をしていれば、尿意くらいもよおして当たり前だ。
(あ、また上野センパイ止まってる!)
 気づけば、上野はまたもや鉄骨にしがみついて動けなくなっていた。
「センパイ!!大丈夫ですか?早くしてください!!」
 確かに、もうずいぶん風が強い。さすがの瑞希も少しばかり恐くなってきたほどだ。上野が動けなくなるのも分かる。
だが、余裕がないのだから仕方がない。一刻も早く作業を片付けてトイレに行きたい。
 瑞希自身もさらに作業速度を上げていく。しかし、本来の半分も人が足りない状態では、
作業の進みにも限界があった。

587名無しさんのおもらし:2012/07/17(火) 15:19:28
時間は流れ、3時近く。それでも、まだ作業終了の指示はおろか休憩の許可さえ出ない。
「はあ・・・はあ・・・」
 ついに、瑞希の作業の手も止まる。
(む、無理!!さすがに、もう限界!!)
 お昼前から感じていた尿意はいい加減に限界だ。作業の遅れで現場がピリピリする中、
トイレ休憩など取りたくはないが、こんな状態で作業を続ければ、事故を起こしてしまうかもしれない。

588名無しさんのおもらし:2012/07/17(火) 15:19:51
「あの、センパイ?」
「お、おう!」
 また、叱られると思ってからか上野はびくっとする。
「ちょっと、トイレ行きたいんで降りてきます」
「え、けど勝手に降りたら監督に怒られるぜ」
「分かってますけど、もう結構限界なんで、降りてきます」
 そう言って、瑞希は頼りない足場をするすると降りていく。
(うぐっ!膀胱が・・・!!)
 足の上げ下げが膨れあがった膀胱を刺激する。もれてしまわないように、出口をしっかりとひきしめる。
(ヤバイヤバイ!!早く降りないと・・・)
 そう思って下の足場に着地した瞬間・・・。
 ガタン・・・
「・・・・!!」
 不自然な音がして、足場がぐらりと傾く。まずい、足場が壊れる。
 瑞希は瞬時に、近くの鉄骨にしがみつく。その直後に、けたたましい音を立てて、足場が地上へと落下していった。

589名無しさんのおもらし:2012/07/17(火) 15:20:48
 むき出しの鉄骨の上に瑞希は取り残されてしまった。おそらく、強風の影響で弱っていたのだろう。
足場の一部は完全に崩落し、瑞希は下にも上にも行けない状態となってしまった。
 幸いにも下の人間にけが人はおらず、作業員たちは急遽足場の復旧にのりだしていた。
 だが、崩壊した範囲が大きく、復旧作業には時間がかかる。
(早く〜〜〜!!早く〜〜〜!!)
 地上130メートルの世界に閉じ込められた瑞希は、ただただ早く作業が終わることを祈っていた。
 鉄骨の上で、もじもじと身を震わせる。膀胱がパンパンに膨れがあっているのを感じる。
 少しも気を抜いたら、本当にもらしてしまう。
(コレ、ヤバ・・・マジで早く復旧させて・・・)
 だが、瑞希の願いに反し、復旧作業はなかなか進まない。その原因は強さを増す風だ。
 ただでさえ高所の作業に不慣れな作業員たちは、強風によりさらにその手を遅らせてしまう。

590名無しさんのおもらし:2012/07/17(火) 15:21:13
「瑞希〜〜〜、小便大丈夫か〜〜〜?」
 少し上から上野が声をかけてくる。
「だ、大丈夫です・・・。あんまりこっち見ないでください!」
 だが、上野は尿意に苦しむ瑞希を見てニヤニヤと笑っている。
 つい先ほどまで瑞希に文句を言われ続けていた彼からすれば軽い復讐のつもりなのだろう。
 だが、瑞希からすればたまったものではない。
今彼女が感じている尿意はおそらく上野が思っているそれよりも遥かに深刻なのだ。
もしも、ここが他に誰もいない自分の部屋とかならば、確実に股間をおさえ、身をよじっているところだ。
いや、自分の部屋ならそもそもとっくにトイレに行っている。
(ほんと・・・マジでやばい・・・)

591名無しさんのおもらし:2012/07/17(火) 15:21:34
上野は尿意に震える瑞希の姿をニヤニヤしながら眺めていた。
 男勝りなこの少女のこんなに弱々しい姿はなかなか見られるものではない。
 つい先ほどまで、強気に自分を叱咤し続けていた彼女が、今では子どものようにもじもじと身を震わせ、
必死にオシッコを我慢しているのだ。そんなギャップに、上野は興奮を覚える。
加えて、瑞希はルックス的にはかなりカワイイといえる。少しおしゃれをして女らしく振舞えば、
世の男たちは放っておかないだろう。そんな娘が、限界の尿意に耐え、抗い続けている姿にはついついそそられてしまう。
 おそらく、感じている尿意も相当なものだろう。
俺だってずっと小便を我慢していたのだから、それを考えれば、彼女がどれほどの尿意を感じているのかも想像がつく。

592名無しさんのおもらし:2012/07/17(火) 15:21:58
なにしろ、今日の作業内容はめちゃくちゃだった。
本来の半数しか人がいないのだから当たり前と言えば当たり前だが、昼前に終わるはずの作業が昼休憩すら与えられなかった。
風は強くなり、作業は恐いし、腹も減ったし、おまけに瑞希の機嫌は悪いしで、まさに最悪だった。
小便もしたくなって、休憩が欲しくてしょうがなかったが、今下に降りて行けば、
ピリピリした現場でいい顔はされないことは分かっていた。
14時近くになると、いい加減に小便がきつくなってきたが、作業が忙しく、ぬける余裕がない。
年下の女の子にトイレに行きたいと訴え、抜けさせてもらうのも気恥ずかしく、ずっと我慢していた。
 瑞希の方からトイレに行きたいと言ってくれたら俺も行きやすいと思いはじめ、
やがて瑞希はトイレに行きたくないのかと考えるようになった。もう俺たちは5時間以上も休憩を取らずにこの場所にいる。
 むしろトイレに行きたくならない方がおかしい。実は、瑞希もすでに我慢しているのではないか。

593名無しさんのおもらし:2012/07/17(火) 15:22:23
 そう思い、ちらちらと瑞希の様子を伺うが、特にそのようなそぶりもなく、
少なくとも俺のように切羽詰った状態ではないのだろうと判断した。
だが、やはり、瑞希も小便を我慢し続けていたようだ。
 そのそぶりを見せないように、必死に我慢し続けていたのかと思うと、また興奮する。
今にして思えば、瑞希がやたらと作業を急かし続けていたのは、一刻も早くトイレに行きたかったからかもしれない。
(ククッ・・・もう少し、お前が苦しむ姿を拝ませてもらうぜ)
 上野は自分の尿意のことも忘れて、瑞希のことを観察し続けた。

594名無しさんのおもらし:2012/07/17(火) 15:22:49
いつもは心地よい高所の風も、今ではただ尿意を助長するだけの悪魔でしかない。
耐えがたい尿意に、瑞希は衣服のベルトをゆるめ、膀胱の負担を軽減しようとする。
膨れ上がった膀胱は、それだけでも楽になる。だが、失禁寸前の状態なのに変わりはない。
(も・・・もれる・・・・ヤバい・・・もれちゃう・・・もれちゃうよぉぉ・・・!!)
 おもらしなんて子どもしかしないと思っていた。
そりゃ、中学や高校になってからでもトイレに行きそびれて、ギリギリを味わったことはある。
だが、そんな時にも本当にもらすとは思っていなかった。ものすごくトイレに行きたい。
辛い。それでも、本当におもらしすることはない。
 けど、今は違う。もう、いつもらしてしまってもおかしくない。
膀胱は破裂してしまうんじゃないかというほどにまで膨らみきっている。
そして、たった一つの出口に大量のおしっこが一気に押し寄せてきている。
 少しでも力を緩めれば、女の子のダムなんて一気にその水圧に突き崩されてしまう。

595名無しさんのおもらし:2012/07/17(火) 15:23:11
(うぐっ〜〜〜、くそ・・・上野さん、こっち見んなよぉ・・・)
 もはや、男の前とはいえ、もじもじする動きを止めることができない。
もれそうなおしっこを堪えるために、太ももをがちがちに閉じあわせて、耐えている。
恥ずかしいが、そうしなければもうもれてしまう。
(さ・・・作業は・・・後、どのくらい・・・?)
 足場の復旧はそう遠くはなさそうだ。
上野が、『早くしないと、オレも瑞希ももらすぜ〜〜!!』とか余計なことを言ってくれたおかげもあるのかもしれない。
作業員たちは本気の様子だ。それでも、完成はまだまだ・・・。5分先か、10分先か・・・。
こっちは、もう後1分だって我慢できそうにない。
(も・・・もし・・・ここでもらしたら・・・)
 考えたくはないが、こんな所でおしっこを出してしまったら、間違いなく下に降り注ぐことになる。
そんな恥ずかしいことに耐えられるはずがない。
(けど・・・もう・・・・うぅぅぁッ!!)
 じゅわっとした感覚がして、咄嗟に両手で股間を押さえた。
(す・・・少し、もれ・・・た・・・)

596名無しさんのおもらし:2012/07/17(火) 15:23:35
我慢の許容量を超えたおしっこが、ついにあふれ出てしまった。
 しかも、「抜け道を見つけた!」とばかりに、おしっこが押し寄せる。
(ヤバイヤバイヤバイ〜〜〜〜!!)
 歯を食いしばり、さらに水門に力をそそぐ。
両手で股間を押え、太ももをさらに固く閉じあわせ、これ以上の決壊を必死に阻止する。
 上野がいるので、手で押さえるのだけは我慢していたが、もうそんなことは言っていられない。
(もれる〜〜〜!!もれるぅぅぅ〜〜〜〜!!!)

597名無しさんのおもらし:2012/07/17(火) 15:23:59
「おいおい、マジかよ!?」
 上野は眼を見開いて瑞希を凝視した。女が股間を押えて小便を我慢する姿なんて小学校以来はじめて見た。
「瑞希のやつ、ガチ限界じゃねェか・・・」
 正直、先程までは、もしかしたらこのまま瑞希は小便をもらしてしまうかもしれないとか思い、クスクス笑っていた。
だが、そう思いながらも実際は、おもらしなどするはずがないという観念が頭の中にあった。
 それはそうだ。おもらしなんて子どものもの。小学生じゃないのだから、我慢できなくなることなんてあるはずがない。
そう思って当然だ。そして、絶対に失敗はないという確信めいたものがあったからこそ、上野は瑞希を笑って見ていられた。

598名無しさんのおもらし:2012/07/17(火) 15:24:26
だが、ここに来て、上野もはじめて本気で、このままでは瑞希は本当に失禁してしまうかもしれないと思い始めた。
冗談半分だった事態が、冗談ではなくなってしまった。
 こうなると、上野は少し罪悪感を覚える。本当に、失禁をすれば、瑞希はボロボロに打ちひしがれてしまうだろう。
仕事も辞めてしまうかもしれない。というか、辞めるだろう、間違いなく。
 自分は、彼女がそうなるまで、ニヤニヤ笑って観察していただけだ。
「ヤベエ・・・なんとかしてやらねえと・・・」
 しかし、今の上野に出来ることなど何もない。
足場を修繕するための資材もなければ、瑞希を救い上げるロープがあるわけでもないのだから。

599名無しさんのおもらし:2012/07/17(火) 15:24:47
股間を押さえつける手のひらに、じわっと湿った感覚が広がる。
(ああぅ・・・・)
 瑞希は身をかたくして、目を閉じる。水門がこじ開けられ、押える手のひらの隙間から温かい水があふれ出す。
そんなヴィジョンが閃光のように頭を駆け巡った。
「はあ・・・はあ・・・うぐぅぅ!!」
 まだ、失禁してはいない。だが、少しずつ、確実に、その時は近づいている。
限界を超えた尿は、次々とあふれ出している。瑞希のダムは、もうヒビだらけだ。
 股間に湿った下着が張り付く。かすかなアンモニア臭が鼻をくすぐる。
「あうッ!!」
 また、尿道をおしっこが通り抜けた。じゅわっと、下着が侵食されていく。
 そして、リアルな失禁のヴィジョンが頭を駆け巡る。
(イヤだ!!もうダメ!!もれちゃう!!もれちゃうよぉぉぉ!!)
 膀胱が痛い。自分の身体の一部なのに、全然制御することができない。
 また、ダムをくぐりぬけたおしっこが、もれだそうとする感覚がする。だが、今回は先ほどまでとは違う。
(〜〜〜〜〜!!!)

600名無しさんのおもらし:2012/07/17(火) 15:25:09
突然、すでにこの上ないほどに限界だったはずの尿意がさらに一段高まって、瑞希に襲い掛かってきた。
 怒りの頂点を超えた膀胱が、溜まりきったおしっこを押し出そうとしている。
 崩壊寸前の水門に、最高潮に達した水圧が襲い掛かる。
「〜〜〜〜ああッッ!!」
 瑞希は、悲鳴を上げてのけぞる。
その手はがっちりと股間をおさえているが、もはやそれでもこの水圧を押しとどめることはできない。
 その時、何か自分を呼ぶ声が聞こえた気がした。だが、よく分からない、もう何も、音が聞こえない。
(出るッ!!出る〜〜〜〜〜〜!!)
 プシュッ・・・・
 これまでにない勢いで、湿り気が股間全体に広がった。その一瞬後に、とめどない水流がほとばしる。
「あああああああッッ!!ダメ!!ダメェェェェ!!」
 身をよじる。股間をおさえる。
 だが、何をしても、壊れた水門はもう閉じてくれない。
 一瞬のうちに、瑞希を中心とした水たまりが広がる。それは瞬く間に、狭い鉄骨の上からあふれ出し、雨のように地上に降り注ぐ。
「ああ・・・・あああ・・・・・」

601名無しさんのおもらし:2012/07/17(火) 15:25:33
放出を止められないことを悟ると、瑞希は糸の切れた人形のように、ただ茫然と空を見つめた。
 その視界に上野が映る。彼は、食い入るように瑞希のことを見ている。
 ふいに、視界が滲む。温かいものが、頬を伝って流れ落ちる。こちらの方の水も、人前で見せるのはいつぶりだろう。
 おしっこはとどまることを知らず、流れ続ける。
 思考さえも停止しようとする中、限界から解放されたひと時の喜びが、瑞希を満たそうとしていた。

602名無しさんのおもらし:2012/07/17(火) 15:27:00
 瑞希の悲鳴が上がり、上野はびくっとした。
 これまで、じっと固まって尿意を堪え続けていた瑞希が、身をのけぞらせ、激しくもだえている。
「おい、瑞希!!頑張れ!!」
 気づけば、上野は叫んでいた。だが、彼女はこちらに反応することなく、狂ったように身をよじる。
「瑞希!!もう少しだ!!もう後少しで!!」
 その時、瑞希の叫びごえふぁ上がった。「ダメェェェェ!!」という絶叫・・・。
そして、彼女を中心に一気にみずたまりが広がり始める。

603名無しさんのおもらし:2012/07/17(火) 15:27:24
「瑞希!!」
 ついに、彼女は失禁した。上野は、自分が見ている光景が信じられなかった。
(女が・・・マジでもらした)
 しばらくの間、彼女は必死に失禁を止めようとねばっていた。だが、その勢いは弱まることさえしてくれない。
 鉄骨からあふれたおしっこがどんどんと地上へ降り注ぐ。まるで、バケツをひっくりかえしたように・・・。
 彼女が、どれだけ必死におしっこを我慢していたのかがよく分かる量だった。
 はじめて見る、女の子のおもらしを、上野は無意識のうちに凝視していた。
 やがて、瑞希の目から涙があふれ、彼女が泣き崩れても、上野は彼女を見続けていた。



END

604名無しさんのおもらし:2012/07/17(火) 19:41:56
乙です

605名無しさんのおもらし:2012/07/23(月) 13:48:21
↑禿同。 恥ずかしくないのか。
ホントに乙っす。

606名無し:2012/07/27(金) 13:27:20
誰か、ナルトのサクラのお漏らし小説書いてください。(いのでもいいです)

607名無しさんのおもらし:2012/08/02(木) 14:41:36
なんの妥協だよ

608CZ:2012/08/03(金) 18:45:45
相武紗季がオシッコ漏らしたビチャビチャなパンツ

609名無しさんのおもらし:2012/08/07(火) 21:18:46
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/2469/1096734366/346
頼まれるとつくってあげたくなるよね?

610名無しさんのおもらし:2012/08/08(水) 00:00:34
トイレ我慢情報まとめサイト見つけました
こちらは画像紹介系
http://yo1970.blog42.fc2.com/
こちらは保管計画のコピーっぽいですね
http://omoinfo.blog.fc2.com/

611あぼ〜ん:あぼ〜ん
あぼ〜ん

612あぼ〜ん:あぼ〜ん
あぼ〜ん

613続ける?:2012/08/28(火) 22:34:27
比嘉愛未は我慢していた。
兄の過去の清算に怯えていた。
いじめの事件の被害者は1人ではなかった。
当時の加害者となっている人物は命令されていただけの実行犯であり、脅されていただけであったのだ。
被害者には彼女が居て、その清算にくることをひたすらおびえていたのだ。
2万で強姦を命令しても停学で済む時代。
その矛先が自分である事は容易に推察できた。
しかし、その行為は今日か、2年後か、もっと後か、その日程はわからない。
(続ける?)

614あぼ〜ん:あぼ〜ん
あぼ〜ん

615あぼ〜ん:あぼ〜ん
あぼ〜ん

616あぼ〜ん:あぼ〜ん
あぼ〜ん

617あぼ〜ん:あぼ〜ん
あぼ〜ん

618あぼ〜ん:あぼ〜ん
あぼ〜ん

619あぼ〜ん:あぼ〜ん
あぼ〜ん

620名無しさんのおもらし:2012/08/31(金) 22:57:13
う」

621名無しさんのおもらし:2012/11/08(木) 21:35:21
あああ

622名無しさんのおもらし:2012/12/28(金) 05:02:02
久しぶりに来てみた

623名無しさんのおもらし:2013/01/01(火) 05:10:18
あけおもら

624名無しさんのおもらし:2013/02/02(土) 22:13:44
書けん人も妄想とかシチュとか書くべきなんや……
ネタの無い書き手の救いや語り合いもできるんや……

625名無しさんのおもらし:2013/02/02(土) 23:36:10
妄想で良ければ・・・w

仲良し二人組の高校生の女の子2〜3人組が誘拐されて、
後ろ手に縛られてどこかの部屋に閉じ込められてしまう。
数時間後、全員尿意を感じるが、そんな状態なのでトイレに行けない。
女の子たちが尿意に耐え、そして果てていく所を小説で見てみたい。

626あぼ〜ん:あぼ〜ん
あぼ〜ん

627もじもじ:2013/02/14(木) 18:08:09
オムツしたーい!

628もじもじ:2013/02/24(日) 16:37:14
うんちしたい!

629名無しさんのおもらし:2013/03/17(日) 03:08:58
男性至上主義の社会で女性は男性の許可なくトイレには行けない。
女子トイレは存在せず男子トイレを貸してもらうのだ(適当)

630名無しさんのおもらし:2013/05/02(木) 03:40:58
SSの発表の場が尿系に限ってもずいぶん多い今
常連が定着する要素もない板では
いったん過疎ったらもはや再生は無理なのかも知れんね

たまに大作があってもほぼスルー状態
それも故意のスルーというより単純に人がいないせいっぽいし

631名無しさんのおもらし:2013/05/02(木) 21:36:27
そこでSS発表してますか?
ぜひ誘導を

632GON:2013/05/04(土) 21:13:34
スカート汚さないで

633名無しさんのおもらし:2013/05/05(日) 01:08:58
「スカートを汚さないで」 ドミニオンブックス 原案:C 漫画:クリノリン

(作品紹介)
中欧のとある城館に宿泊した黄百合女学院修学旅行の一行、生徒52名と引率の女教師3名は
2日目の朝目覚めると、下着の上に着脱不能の貞操帯がつけられていることに気づく。
貞操帯に用を足すための穴などなく、このままでは貞操帯からあふれた排泄物で汚れることになる。
貞操帯を外すすべはみつからず、朝のうちに失禁してしまう子、即席のおむつをこしらえ貞操帯の上から身につける子、
いくらかの動きはあるが多くの者は特に解決策もなくただあてもなく我慢するしかない。
不安をかかえたまま一行は見学コースを巡ることになる。

634名無しさんのおもらし:2013/05/05(日) 01:09:23
住民や一般観光客もいる中、人目をひく瀟洒な制服につつまれた生徒達は行く先々で悲喜劇の数々を繰り広げる。
また大人である教師たちも一人の人間であることには変わりない。生徒達と同じ困惑を共有しつつ
引率者として問題打開に努力する。時間が経つにつれ増えて行くおもらし少女達、
周囲の人々から粗相を隠し場をきりぬける協力と友情、我慢の続く生徒や教師の次第に高まる辛さと焦り。
中にはいたずら心を起こす者、仲間の足をひっぱる者、級友を軽蔑するも者、羨望する者、同情する者、賛美する者…。
排泄という人間にとって欠かせない行為の是非善悪についての、教師をも巻き込んだ対立、論争、決裂。
城館に戻ると、晩餐会では生徒が班ごとに舞踏を披露する。衣装はそれにふさわしい洗練されたデザインである制服のまま。
2日目の行程を終えて、多くの生徒がスカートを汚してしまっている中、スカートのまだ汚れていない数名に
おのずと注目があつまる。そして晩餐会はクライマックスを迎えた……

635名無しさんのおもらし:2013/05/05(日) 18:04:44
続いてください

636名無しさんのおもらし:2013/05/07(火) 05:32:17
思い付きのアドリブで書いて保存してないと
行数制限にかかって切り取ったりしてる間に文が消えたら
書き直す気なくすな

行数制限きつすぎで小説向きの板じゃないね

637名無しさんのおもらし:2013/05/07(火) 19:44:08
どれくらいしにするといいの?

638名無しさんのおもらし:2013/05/07(火) 19:45:32
どれくらいにするといいの?

許可行数が多いと荒らし易くなるからなw

639名無しさんのおもらし:2013/05/08(水) 00:32:13
結局のところ
こんだけ過疎ってる現状でさえ
本来スレのメインである小説より
荒らし対策のほうが優先順位の高い板ってことなんだろう
残念ながら小説スレが存在できる板の状態じゃないわけだ

640名無しさんのおもらし:2013/05/08(水) 09:54:34
いっそ板割りするかwwww

641名無しさんのおもらし:2013/05/08(水) 10:02:52
規制をすべて解除してみるwwwww
これでどうなるか楽しみだなwwwwwwwwwww

642pamo:2013/05/23(木) 08:59:44
なんか書くんでシチュ的なものください

643名無しさんのおもらし:2013/05/23(木) 22:38:34
朝起きたら、彼氏に後ろ手に縛られてた・・・とか?

644pamo:2013/05/24(金) 18:39:26
「ん、・・・んん・・・。」
いつから寝ていたのだろうか、全身がやけに怠い。
ぼんやりとしながら体を起こし
ガチャンッ!!
起こせなかった、どさりと尻もちをつく。
「いったー・・・なに?え、なにこれ?」
衝撃と痛みで覚醒した頭で自分の異常な状況を理解した。

645pamo:2013/05/24(金) 18:43:31
何もない部屋、その奥に自分はいた。
しかも柱に手錠で繋がれていた。後ろ手に繋がれた状態のため
思うように身動きが取れない。正直立ち上がるのも難しい。
「ちょっと何よこれぇ。どうなってんの?わけわかんない」
確認した後は混乱が押し寄せる、しかし彼女に答えを返す声はない。
その時、ガチャリとやけに大きな音がした。

646pamo:2013/05/24(金) 18:50:25
「やぁやぁ、起きたかい。そろそろだと思ったよ。」
ニコニコしながら男が入ってくる。「まーくん!これってなに?ってか
なんでわたしこんなことになってんの?ここどこ?」
「まぁ落ち着いて、そんないっぺんに言われても困るよ。」
まーくんこと微笑んでいる男は眉を下げて苦笑いの表情を作る。
「ああ、うん。えっとじゃあまずここどこ?」
「ここは僕の別荘の地下さ、君は別荘自体知らないからここを見るのは当然初めてだろうけどね」
「べっそ・・・まーくん貧乏フリーターじゃ・・・」
まーくんは劇のようにやれやれと首を振る
「そんなのただ演じてただけに決まってるじゃないか、みっちゃんは馬鹿だなぁ」

647pamo:2013/05/24(金) 18:55:50
ただでさえ意味が分からない状況でイラついているのに、馬鹿呼ばわりされて
みっちゃんは怒りを露わにする。
「ああそっ!もう分かったからこれ外してよ!痛いんだけどっ!!」
ガチャガチャと乱暴な音を立てて手錠の存在をアピールする。
「あれぇ?なんで手錠つけられているのかは聞かないんだ?」
「うっさいな!どうせまーくんが意地悪してるだけでしょ!今なら許してあげるから
さっさとなんとかしなさいよ!」
体全体を揺らしながら怒りを見せるみっちゃん。だがまーくんは動じない。
「やっぱり自分の立場をまだ分かってないじゃないか、一つ一つ聞いてくれればわかるだろうに」
はぁと溜息まじりにまーくんは憐みの視線を投げかける。

648pamo:2013/05/24(金) 18:59:48
「どうでもいいから早く外して、ねぇちょっと困るんだけど!」
みっちゃんの言葉に焦りが見え始める。
「ふふ、どうしたのかな?さっきまでの勢いがぐらついてきてるよ?」
「そ、そんなのどうだっていいでしょ!あーもうお願いします外してください」
投げやりに懇願するみっちゃんだったが、棒読みに近い願いは却下される。
「今みたいな『お願いします』で言うことを聞く人はいるんだろうかね?」
ふふんと鼻で笑うまーくんに怒りを覚えるが、それよりも今は別のことが頭の中を支配していた。

649pamo:2013/05/24(金) 19:05:29
――おしっこがしたい――
目が覚めた時ぼんやりとしながらも体の欲求はそれを求めていた。
だからとりあえず起きてトイレに行き、おしっこをするという
いつも通りの朝の行動をとろうとした。だが手錠によりそれは中断されたのだった。
みっちゃんがさきほどから怒りを見せたり焦り出しているのは、自身の中で
膨れ上がる尿意がすさまじいもので、このままだとチビるどころですまないことを
してしまいそうな勢いだったからであった。
「ふっ、みっちゃんが何をして欲しいのか当ててみようか?」
ねっとりと言葉を紡ぎながらまーくんがゆっくり近づいて行く。
「『手錠を外してほしい』?違うなぁ、答えは『トイレに行かせてほしい』だろ?」
自分の考えをすっかり読み取られたみっちゃんの顔は怒りとは別の赤らみを見せる。

650pamo:2013/05/24(金) 19:10:29
「ぐ・・・そうだよ!トイレに行きたいの!だから外してよこれ!」
ばれているなら仕方ないと開き直って元の勢いを取り戻す。
「やっぱりそうか!うんうんそういう正直なところ、好きだよ」
くるりとその場で回り、ぴっと人差し指を立ててまーくんは笑う。
「分かったからさ、いいから早くしてよ・・・ちょっとそろそろアレなんだけど」
「うん分かった」
ポーズを解いたまーくんが近づいてくるのを見てほっとしたが
「なんてね!」
ぱっとふざけたように手のひらを広げるのを見て愕然とする。

651pamo:2013/05/24(金) 19:15:59
「まだ分かってないよみっちゃん。手錠をしたのは僕だっていうのは分かってるみたいだけどさ。
なんで手錠をしたのか、っていうのを分かってないんじゃないの?」
まーくんの言葉に戸惑いを見せたが、やがて顔が青ざめていく
「え、嘘でしょ?”そんなこと”まーくんはしないよね?」
ひきつった笑顔でみっちゃんは不正解であってほしい疑問を投げかける。
「なんだ分かったじゃないか、みっちゃんは馬鹿じゃなかったね。さっきの言葉は謝るよ。
そして僕は”そんなことを”するためにみっちゃんを薬で眠らせたし、ソレをつけたんだよ」
とても優しい微笑みで想像したくなかった黒い欲望をまーくんは吐き出してきた。

652pamo:2013/05/24(金) 19:21:28
「いや・・・いやよ・・ねぇそんな変態みたいなことしないでよっ!謝るから!
私謝るから!それだけはいやなのっ!」
汗をかきはじめた顔を歪めながら、みっちゃんは必死にお願いをする。
「だぁめ、別にみっちゃんは悪いことしてないもの、謝られても困るよ。
みっちゃんが僕を『貧乏なくせにケチ』だとか『背が小さいといろいろ不便でしょ?』とか
いろいろ言ってたけど、僕はそれに怒ったりみっちゃんに恨みを抱いたことはないんだよ」
そろそろと歩いてまーくんは優しくみっちゃんの肩に手を置く。
「僕がみっちゃんに思っていたのは一つだけさ、『みっちゃんのおもらしが見たい』ということだけ」

653pamo:2013/05/24(金) 19:26:18
まーくんが言い終えると同時にみっちゃんはまーくんに噛みつこうとする。
「おおっと危ない」だがヒョイと抵抗空しくかわされてしまう。
「離せぇ!離せつってんだろ!このクソヤロウ!変態!カス!いい加減にしろよ!!」
今までにない怒りで暴れまわるみっちゃんだったが1分もしないうちにスッと動かなくなる。
そしてこんどはゆさゆさと体を小刻みに揺らし始めた。
「んぅ・・おしっこしたいの・・・これとってよ・・・片方でもいいからぁ・・・」
もじもじと閉じた足をすり合わせるみっちゃんの顔はすっかりギブアップという顔だった。

654pamo:2013/05/24(金) 19:30:07
「最初はさ、繋がれて動けなくなるんだから別に前で手錠しちゃってもいいかなって
そう思ってたんだ。」
まーくんはうろうろと回りながら、実に楽しそうに語り出す。
「でも後ろでつけてやっぱり正解だよ!おまたをおさえておしっこを我慢できない
みっちゃんがこんなに可愛いなんてさ!!」
そこにいたのは、いつもどこか抜けているけど優しい彼氏のまーくんではなく、
ただのおもらし好きの変態の一人だった。
「ぐすっ・・・おねがぁい・・・でちゃうの・・・」それでもみっちゃんは頼み続ける。
それが届かない願いだと分かっていても。

655pamo:2013/05/24(金) 19:34:35
「さーてそろそろ終わりじゃないかな、実は睡眠薬と一緒に利尿剤も飲ませたからね。
もうとっくの昔にみっちゃんのあそこはおしっこで満タンじゃないの?」
意地悪くまーくんはみっちゃんの顔を覗き込む。
やはりあの尋常じゃない尿意は薬による効果だったらしい、だが分かった所でいまさらどうしようもない。
「あ、あう、でちゃ・・・」膝をギュッと合わせて必死に我慢するみっちゃんだったが
その最後の抵抗が無駄になるのも時間の無駄であった。
「みっちゃーん、こっち見て見て」緊張感のかけらもないまーくんの声に
思わずつぶっていた目を少し開けたが、さらなる絶望の景色が広がっていた。

656pamo:2013/05/24(金) 19:38:47
「ほらほらー、綺麗に撮れてるよねー?」
そこにはいつの間にかビデオカメラ片手に笑いかけるまーくんの姿があった。
しかもいつからあったのか、大きなモニターにみっちゃんの我慢姿が映されている。
「これ・・・」
「ははっ、いやぁこれさぁ、あんまりにもいい姿だからやっぱ僕だけが独り占めってよくないと思ってさ。」
「いや・・」
「皆にも見てもらうかなって!リアルタイムでみっちゃんの映像流れてるんだ!」
嬉々として喋り、笑うまーくんの言葉を消すようにみっちゃんが叫ぶ。
「やめてぇーーーー!!」

657pamo:2013/05/24(金) 19:46:20
「何を嫌がる必要がある?君はいつも皆から見られているじゃないか?
んん?みっちゃん、いやご令嬢の新田美加さん!」
「いやぁ!お願いそれを止めて!もうでちゃうからぁ!」
ぶんぶんと泣き顔で首を振り、足をばたつかせるその姿はいつも羨望の眼差しを受け、
将来を期待された一つの星であるお嬢様の新田美加の姿はない。
「あぁん!止まって!止めて!もれ、もれ・・・!」
「ははっ!最高だ!いいねぇいいねぇ!あなたみたいな高貴な存在が
僕みたいな屑を彼氏にしてくれた時は神に感謝したよ!こんな夢みたいなことが
現実となっているんだからね!」
「ま・・・牧田っ!絶対許さない・・・!!」
まーくんこと牧田義男はニヤニヤと下衆のような笑顔でビデオを撮り続ける。

658pamo:2013/05/24(金) 19:56:28
そしてとうとうその瞬間が訪れた。
「も・・・だめ・・・」ガクガクと体を揺らし、目からは涙が、歯を喰いしばった
口からは一筋の涎が、そしてちょろちょろと湿り出していた下着が一気に色濃くなる。
思い切り体を仰け反らせ、「あぁーーーっ!」と叫ぶと同時に美加のダムは決壊した。
それは”放水”という言葉が相応しいほどの勢いで、下着などものともせずに
前方へと流れ飛んでいく。
「ふはぁっ!あふぁっ!」びくんと体を何度も痙攣させ、天を仰ぐ美加の瞳にはもう何もうつっていなかった。
「ハァハァ・・・最高だ・・・さ、最高だっ・・・!」
股間を大きく膨らませながら牧田はそれでも美加の失態を取り続ける。
これをネタに脅迫するとか彼女の位置を失墜させるとかそんな思いはなく、
ただ一つに自分が興奮できる性の描写が彼は撮りたかっただけだった。
壊れた蛇口のようにおしっこを出し続ける美加とそれを録画し続ける牧田の
撮影会はまだまだ終わる気配を見せない・・・。

終わり

659pamo:2013/05/24(金) 19:58:53
はい、なんか自分が彼女とかいないからかもしれませんが
寝ている彼女を後ろ手で縛っておもらしするまで横で楽しむ
みたいなこと全然書けませんでした。すいません。
だから彼氏彼女のきゃっきゃうふふしてる描写みたいなのも
全然書けませんでした。すいません。

660名無しさんのおもらし:2013/05/24(金) 21:09:35
すばらしいw
リクエストを受けて頂いてありがとうございます


あと、行の規制は解かれてますよ

661名無しさんのおもらし:2013/05/25(土) 04:20:05
何行までいけるとか
何KBまでいけるとか
言っといた方がいんじゃない?

662名無しさんのおもらし:2013/05/25(土) 07:50:56
4096文字まで
行数は無制限だけど、
これはそのうち規制が入るかも

663mivl:2013/07/30(火) 17:56:57
「おいコラクソ盗賊ども!俺らをここから出しやがれ!」
声を張り上げても、薄暗い石造りの牢屋中に自分の声が反響するだけで、自分たち二人を牢屋に閉じ込めた盗賊たちは、何の反応も寄越して来ない。
「だーっ、くそっ、早いとこ手を打たねーと、何されるかわかんねーぞ!」
握りしめていた鉄格子を乱暴に放し、どかっ、と地べたに座り込んだ。武器はやつらに取り上げられているが、鎧や服などの防具は身に付けたままだった。
「……なあ、ユネル」
黙って座り込んでいる相棒に、話し掛けてみる。
「なんだ?」
物腰柔らかな口調。優しげなまなざし。
こんな状況でも、ユネルは冷静さを欠かさない。そこはあまり素直ではない意地っ張りな自分でも、並々ならぬ尊敬の念を送らずにはいられない。ユネルがあの魔王による襲撃を受けた国で唯一生き残った理由は、間違いなく彼の冷静沈着な性格と、その頭脳の利発さであろう。
「なんで俺たちの鎧とかアクセサリは取り上げられなかったんだろうな……武器は取り上げられたのに」
その点は好都合であった。防御力の面はもちろんであるが、何より自分にとって好都合なのは、ユネルに自分の女の部分を見せてしまう恐れがないからだ。
自分の戦闘スタイルは、生まれ持った機敏さを活かして、敵の攻撃をかわしつつダメージを与えるヒットアンドアウェイ戦法だ。
より強さを求めて、口調も男っぽくして、女らしさを捨てた。平均的に膨らんでいる胸にもサラシを巻き、髪も肩までのショートカットにした。甘えん坊のような印象の童顔はどうしようもないが、それ以外の女らしさはないはずだ。

664mivl:2013/07/30(火) 17:59:48
ユネルの装備は軽装備と重装備を組み合わせたバランスのとれたもの。センスもなかなかで、少しカッコイイ。対して自分は身軽さを追求した軽装備。少しゆったりした布の服と、足全体を剥き出しにした、動き易いパンツ。
ユネルは牢屋を見渡しまがら、自分の質問に答える。
「鎧は取り外しが面倒だからな。鎧を外している間に暴れでもされたら、僕たちに逃げられてしまうと思ったんじゃないか?」
「ああ、そっか、あいつら、そんな大人数でもなかったしな。逃げられる可能性はあった訳だ」
「それに、ティカ――お前が人質にとられていたからな。僕は一人に手を掴まれていたけれど、ティカには三人ついていた。とてもじゃないけど、二人で助かるのは無理だった」
「……そっか、わりーな、俺が捕まったばっかりに」
ユネルは『二人で助かるのは無理』と言った。それは逆を言えば、『一人でなら逃げられた』という意味だ。
自分はいつもそうだ。
いつもユネルに助けられて――足を引っ張ってばっかりで――ユネルの役にたてない。
「的外れなことを考えるなよ?」
「……え?」
「僕は何の考えもなしにここへ連れられて来た訳じゃない。脱出できる勝算があったから、安全性の高いこの手段を選んだんだ。ティカは僕の練る作戦に協力してくれればいい」
と、ユネルは優しい笑顔を自分に向けた。
胸がきゅううっ、と縮まり、顔が熱くなる。
咄嗟に目を反らして言う。
「わっ、分かった!じ、じゃあ作戦が煮詰まったら俺に教えてくれよ!」
「ティカ、声が大きい」
「わっ、わりぃ……」
まただ。このなんだか切ない気持ち。ふと目が合ったり、手と手がふれ合ったりすると、どうしようもなく悲しいような、寂しいような、そんな切なさでいっぱいになる。
自分はまだ、女を捨てきれていないのだろうか。

665mivl:2013/07/30(火) 18:02:34
「――つっても、こんなガチガチの牢屋から出られる方法なんかあんのかよ。狭いし、何もねーし、薄ぐれーし、出られるもんならすぐにでも脱出してーよ」
「思い立ったが吉日っていうけれど、何でもかんでもすぐ行動に出るのが正しいとは限らないよ。時にはじっと待つのも大切さ」
「誰かの助けを待とうってか?いや、それはねーか。ユネルが考えるにしちゃあ期待値が低すぎる」
「はは、まあティカも考えてみてよ。案外いくつか作戦を思いつくかもしれないよ」
「んん〜……穴を掘って脱出するとか、鉄格子を少しずつ削っていくとかか?」
「お、なかなか堅実な作戦だね」
ユネルが隣にいるというのは、もうそれだけで頼もしい。
苦境に陥っても、それをものともせず、そばで笑ってくれる。
なんだか自分は、ユネルに頼ってばっかりだ。
突然、鉄格子の向こう側で、嘲るような、ユネルとはかけ離れた笑い声が聞こえた。
「よお、無様な旅人さん」
「っ!お前はさっきの!」
そこに立っていたのは、自分たちをここへ閉じ込めた盗賊の内の一人だった。咄嗟に、牢屋の一番奥まで走って構える。
「へへへ、お前ら、つくづく運が悪いなぁ。魔物に囲まれて、何とか倒したと思えば、オレらに疲れきっているところを捕らえられちまったんだからよぉ」
へへへ、と、男は無気味に笑う。
生理的悪寒が身体中を走る。
気持ちが悪い。
目が合うだけで、吐き気がする。
「……すまないが、いくつか質問してもいいか?」
ユネルが、自分の前に立ち、盗賊と対峙する。
「ああ?質問?……まあ、答えてやってもいいぜ。冥土の土産だ」
「ありがたい――じゃあ、一つ目。見逃してもらえるってことはあるのか?」
「はあ?あるわけねえだろうが」
「二つ目。これから僕らはどうなる?」
「さあな。死ぬことには変わりはないだろ」
「最後に、盗賊団は全部で何人いる?」
「九人だ。皆王国から追われてる悪党ばっかりだよ」
「……そうか。絶望的って事が分かったよ」
「もうすぐお頭が帰ってくる。お前らの命もそこまでだ。へへへ――」

666mivl:2013/07/30(火) 18:04:44
男は、足音も立てずに、牢屋の前から姿を消した。へへへ、という笑い声だけが、遠くなっていく。
「……どうだ?ユネル。なんか分かったのか?」
「ああ、大体は」
「な、なあ、ここにいちゃあまずいって。頭が戻って来る前にさっさと逃げようぜ」
「いや、まだその時じゃない。さっきも言っただろ?ここぞって時があるんだ。そこを見誤ってしまえば、生き残れない」
「…………そ、そう、だな」
自分に、ある問題が発生した。
今までは自覚していなかったが、盗賊の男に戦慄した時、それに気付いたのだ。

(……やっべぇな……トイレ行きたくなっちまった……)

思い返せば、盗賊たちに捕まる前、自分たちは魔物に囲まれていた。その魔物を倒した後に、喉がひどく乾いて、水筒のなかの水をほとんど飲み干してしまったのだ。そういえば、今日は朝に宿屋で用をたしたのを最後に、トイレに行っていない。体感で、もう昼過ぎだ。いつもならユネルに見られないところでこそこそと用をたしている時間帯だ。正直、我慢はあまり得意ではない。一度尿意を感じてしまうと、もうトイレに行かずにはいられなくなる。
「……んぅ……」
ユネルにバレないように、下腹部を触る。固く、少し膨らんでいる。軽く指先で押すと、確かな尿意として帰ってくる。
普段から尿意を堪えることは決して多くない。ごまかしきれない時はユネルに何気ない感じで、トイレに行くことを告げるし、ユネルはそれを言いやすい雰囲気を作ってくれている。そもそもそれを告げること事態が多くない。昼に食事を採ったあと、少しの間だけ別行動をとるようにしているのだ。食糧や水をの調達という名目で、自分が用をたせる場を設けてくれている。

667mivl:2013/07/30(火) 18:05:33
(……早くどうにかしねーと……)
ユネルの前で用をたす、という選択は有り得ない。
ユネルに自分の女の部分を見せたくない。
――それ以前に、恥ずかしい。
ユネルは自分のことをあっぴろけな女と思っているのだろうが、実際はそんなことはない。
自分の――ティカという女の本質は、本当の自分を見せるのが怖い臆病者なのだ。
今のユネルとの関係を、壊したくない。
ユネルは気にしないかもしれないが、自分の心の底に、その恥ずかしい記憶が沈殿するのだ。
いつものようにふれ合えないのは、目に見えている。
(……でも、本当にやべーな、気を抜くと出しちまう……)
今は座り込んでかかとで出口を塞いでいるが、いずれ体がそわそわしていまうだろう。
尿意を堪えているのを、ユネルに気付かれたくない。
「ティカ」
ふいに、ユネルが自分の名前を呼んだ。
「なっ、なんだ?」
少し声が上擦ってしまったが、バレてはいないだろう。
「その、なんだ、僕についてきて、本当に良かったのか?」
「んっ、……どうしたんだ急に」
ユネルは牢屋の外に目を向けている。盗賊たちの動きを警戒しているようだ。
見られていないのなら……と思い、かかとを外し、右手で出口を押さえる。みっともなく、腰が動く。
「言ったと思うが、僕の目的は、魔王の討伐だ。途方もない話だし、危険も伴う。今回のことだって、ティカを巻き込んだ原因の根源は僕だ。ティカも帰るところをなくして、僕とほぼ同じ境遇だけれど、それは僕の旅に同行しなければならない理由にはならない。ティカが普通の生活を送りたいっていうなら、僕は止めないし、むしろそれを薦める。僕と旅をするのが苦痛に感じれば、戦うのはやめてほしい」
「ユネル……んんっ」

668mivl:2013/07/30(火) 18:08:22
激しい尿意に耐えながら、ユネルの悲しく、寂しい要求に答える。
「苦痛なんか、感じたことねーよ。魔物の素材を売って生計を立てていたあの頃より、ずっと楽しいんだ――俺は、ユネルと旅が出来ない方が、苦痛なんだよ。それで死んだとしても、本望だ。死ぬまで、魔王を倒すまで、俺はユネルについていくぞ」
「そう、か……ありがとう。良い仲間を持ったよ」
優しく、ユネルはそう呟いて、それからは沈黙が続いた。
沈黙。
沈黙。
沈黙。
(うあああぁ……ヤバい……トイレ……トイレぇ……)
沈黙の間、ずっと尿意は高まり続けている。
もう両手は股間を握りしめて離れなくなり、腰はずっと左右に揺れている。荒くなる息を押し殺し、解放を求める膀胱を諫める。
(はうううぅ、ユネルが、目の前にいるのにぃ……)
もう、平静を装うことすらままならなくなってきた。頭がくらくらして、今にも倒れ込んでしまいそうだ。両手で押さえている女の証拠は、溜まりに溜まった物を排出しようと猛威を奮う。
(あっ、あっあっあっ、待って、待って出てくるなぁ!)
突然の大きな尿意が尿道括約筋を苛む。
一瞬だけ、下着の中がふわっと温かくなったが、全身を力ませて難を逃れた。
(も、もう、ほんとにヤバい――ちょっとちびっちゃった……)
しかし、油断は出来ない。波は治まったとはいえ、危険信号が唸りを挙げているのには変わりはない。まだ固い皮で作られたパンツには染みていないが、それも時間の問題のような気がしてきた。
(んぅ、くうぅ、お、俺は、何を待ってるんだよぉ……ああああ、出るっ、出ちゃうぅ!)
再び下着の中が優しい温かさに包まれる。さっきより容赦のない、長い時間で許有量を越えた液体が排出される。
ぽたぽたと指の間から自分のおしっこが石の床に落ちた。
(も、もう、だめぇ――ユネルの後ろで、おもらししちゃうよぉ……)
「おお、本当だ。なかなかの上玉じゃねえか」
突然聞こえた声に、正気を取り戻す。鉄格子の外を見ると、がたいの大きい、髭を生やした大男が子分を引き連れて立っていた。子分は、八人。これで盗賊団全員だ。
「あなたがこの盗賊団の長とお見受けする。どうか私たち二人を解放してくれないだろうか。ただでとは言わない。金目の物はあなた方に献上する。これでどうか見逃してはくれまいか」
ユネルが大男に交渉を持ち掛けた。
しかし大男は不適に笑う。
「駄目だ。お前は殺して、女はオレらのおもちゃにする」
「――解放はしない、というのか」
「ああ、しない」
「それは――残念だ」

669mivl:2013/07/30(火) 18:09:48
ユネルが、右手を大男たちに向ける。
何かが光ったかと思った瞬間、大男のいる鉄格子の向こう側へ向けて放射形の爆発が起こった。
鉄格子ごと大男たちは吹き飛び、ユネルは手をおろす。
その手にはひどく濁った色の石が握られていた。
「解放してくれる気があったなら穏便に済んだんだけど……仕方ないよな。貴重な魔石を使ってしまったな」
ユネルがこちらに目を向けた。
自分の膝立ちで両手を股間に当て、涙目で尿意を必死に堪える情けない姿を見て、驚いたような表情をする。
「ティ、ティカ――」
きぃいいいいん、と耳鳴りがして、背筋に寒気が走り抜ける。
胸が、心が、そして――膀胱が、きゅうっと縮んだ。
「ゆ、ねるぅ――俺を、見るんじゃねえよぉ……」
頭の中が真っ白になり、目の前がユネルの姿だけを残して緑色に染まる。
シィイイイイイ、とぐぐもった音。
下着の中が熱くなり、その液体は下着の中で渦を巻く。指の間から熱い物が溢れて、びちゃびちゃと音を立てて床に落ちる。太ももを伝って、床に大きな水溜まりを作る。だらしなく開いた口の中はカラカラに渇き、体が焼けるように火照る。快楽に身を任せて、排尿が続けられる。
「は――あ、ああっ、ひうぅ、んあっ、見んなぁっ、見んなよぉ、ふあああぁっ!?」
苦しみから解放された快楽と、ユネルに見られている羞恥で、完全に達してしまった。
全てを出しきって、そのまま水溜まりの中に座り込んだ。
ぽた、ぽた、と涙が水溜まりに落ちて、波紋を広げる。
独特の鼻につく匂いと、下半身の水溜まりが、自分の過ちを再確認させる。
「ひぐっ、ううぅ、うあああああぁん」
情けなく、泣き叫ぶ。
恥ずかしくて、恥ずかしくて、死んでしまいそうだった。

670mivl:2013/07/30(火) 18:11:57
時は過ぎて、近くの村の宿屋。
長い間泣きじゃくっていた自分を、ユネルはずっと慰めてくれた。それどころか盗賊のアジトを探し回り、二人の装備と着替えの入った道具袋――そして下半身を拭くタオルを持ってきてくれた。
村につくまで終始ぐずっていた自分は、これ以上なく滑稽に映っただろう。
二人用の個室に入り、二人が別々のベッドに背中合わせで座った。
「……その、なんだ、ティカ」
ユネルが煮え切らない口調で言う。
「本当に、悪かったな。いつもそれ系統には気を付けているつもりだったんだけど、そこまで頭が回らなかった。魔石で一気に盗賊を片付けようと思って、奴らが来るのを待ってたんだけれど……その、本当にすまない」
手元にあった枕を取り、ぎゅっ、と抱き抱えた。
引いたはずの涙が、また涌き出てくる。
「ユネルは……悪く、ねーよ……悪いのは、言い出せなかった俺だから……ごめん、なさい……」
ああ、もう、駄目だ。
前の様な関係には、戻れない。
修復が不可能な位の亀裂が入ってしまった。
もう、ユネルとは一緒にいられない。
そう思うと、どんどん涙がこぼれてくる。
嗚咽混じりの声で、言葉を紡ぐ。
「ひぐっ、ごめん、なさい……俺が、俺が意気地無しなばっかりに……ぐすっ、ユネルに、迷惑かけちゃって……こんな、こんなやついらねーよなぁ……弱いし、気を遣わせてばっかりだし……おもらししちゃうし……ごめん……ごめんな……」
「ティカ」
「――はうぅ」
目の前に、ユネルがいた。
ユネルはこんな自分の肩を握り、語りかけてくれた。
「そんな、自分を卑下するようなことを言うなよ。僕はティカに何度も救われてるんだよ。ティカの笑顔に、ティカとの会話に、ティカという存在そのものに!……だから、いらないとか、悪いのは自分だとか、そんなこと言うな!僕の仲間に悪口を言わないでくれよ!一人だった僕に、誰かがいてくれる喜びを教えてくれたのは、ティカなんだから!」
「ユネル……ユネルぅ」
枕を投げ捨てて、ユネルに抱きつく。また、泣き叫んで、力いっぱいユネルを抱き締める。ユネルはそれを受け入れて、頭を優しく撫でてくれた。

自分が――私が、彼に惚れた瞬間だった。


……そして次の日の朝。

「ふあ――あぁ、朝……だな。ティカ、起きてくれ。盗賊のアジトから押収した金で装備を買うからな」
「んぅ……あとちょっとぉ……すぅ、すぅ」
「おーきーなーさーい。ほら、ベッドから降り――て……」
ばさっ、とかけ布団を取り上げられ、眠りを妨げられる。
「んー、しょーがねーなぁ……くあ――あぁ……ん、どうした、ユネル?」
「…………」
「?だからなにが――ってうええええぇ!?」
私のベッドの上には、大きな世界地図が描かれていたのだった。
「う、うそだぁ!!おおおおおおおねしょなんか、物心ついたときから一度も――」
「き、昨日ので癖になっちゃったのかもしれないな……」
「はわわわわわわ、み、見んじゃねえぇー!」
「このシミおとせるかな……下手すりゃ弁償だな」
「ふええええええええん!」

二人の旅は、まだまだ長い。

671mivl:2013/07/30(火) 18:19:39
ひたすらに駄文でした。

くだらない妄想に付き合わせてしまい、申し訳ありませんでした。

672名無しさんのおもらし:2013/07/30(火) 21:34:37
乙です

673名無しさんのおもらし:2013/07/31(水) 10:44:16
初代スレを思わせる作品の雰囲気だ
昔はもっと短いのばっかりだったけど

674名無しさんのおもらし:2013/08/12(月) 16:36:17
パクリ元各所が衰退すると
芸がいっそうなくなってくるわけか…

675名無しさんのおもらし:2013/08/12(月) 21:43:45
いいじゃない 過疎なんだもの みつを

676名無しさんのおもらし:2013/08/31(土) 00:00:17
別に、忘れていたわけではない。ずっと、「それ」のことは心の片隅にひっかかっていた。
でも、あたしはあえて「それ」を見ないようにしていた。
見なければ、知らないフリをし続けていれば、もしかしたらいつの間にか「それ」は消えていて、
あたしは、いつも通りの平和な日常を謳歌できるかもしれない・・・。
そんな風に、考えていた。
・・・いや、ウソだ。本当はそんな風に考えてなんかいなかった。
分かっていたはずだ・・・。逃げられるはずなんて、ないということは・・・。

677名無しさんのおもらし:2013/08/31(土) 00:00:50
「・・・・どうしよう」
 夏美は、絶望的な表情を浮かべ、勉強机の前に立ち尽くす。
 机の上には、「サマースタディー!」とロゴのふられた、似たようなデザインの本が5冊並べられていた。
 いわゆる、夏休みの宿題というやつである。ちなみに、ほとんど新品の・・・。
 コチコチ、と静かな部屋に時計の音だけ響く。
8月31日・・・夏休み最後の日がはじまる。

678名無しさんのおもらし:2013/08/31(土) 00:01:10
「どーしよ〜〜〜!!どーしよどーしよどーしよ〜〜〜!!」
 夏美はじたばたと部屋の中を駆け回る。
 ヤバイ!ヤバイ!これはマジでヤバすぎる!
 何がヤバイって、この「サマースタディー」なる冊子を見るのは、7月の最後に先生に渡されて、
自分の名前を書いた時以来なのだ。夏休み中何度も「いつかはやらなければ・・・」と思った時はあったが、
結局一度も開かないまま、今日を迎えてしまった。
現在の時刻は、午前9時。明日の朝まで寝ないでがんばったとしても、もう24時間、1日分の時間さえ
与えられない計算になる。

679名無しさんのおもらし:2013/08/31(土) 00:01:33
「う〜〜〜、なんでこんなことになるまで放置しちゃったんだよ〜、アタシのバカ〜!!」
 長かった夏休み。楽しかった思い出は数知れないが、今に限っては全てが後悔へと変わる。
(ああ・・・あの時、あそこでやりはじめてたら・・・)
(この前、海に行った時、佳奈ちゃんはもう宿題終わったって聞いて、ヤバイって思ったのに・・・)
「う〜〜〜、ダメだダメだ!悩んでる場合じゃない!ホントに、もうやらないと!」
 今は1分1秒でも時間を無駄には出来ない。
 だが、問題集を開いて1分と経たないうちに夏美は椅子にもたれかかって、あきらめたように
 天井を見上げる。
「ダメ・・・難しい・・・解けない・・・」

680名無しさんのおもらし:2013/08/31(土) 00:01:52
 30分後。夏美はベッドの上に寝転がってケータイをいじっていた。
 だが、遊んでいるわけではない。その表情はいつになく真剣である。
 画面上の検索欄には、「夏休みの宿題 31日 終わらせる 方法」の文字。
 彼女は、偉大なる先駆者たちの知恵を借りることで効率的に宿題を終わらせようとしているのだ。
 だが、これと言った方法はなかなか見つからない。中には、「まず、今すぐインターネットをやめましょう」
なんていう意見さえあった。
「だって、普通にやっても絶対間に合わないもん」
 何か、何かいい方法はないのだろうか。
夏美は、わらにもすがるような思いで検索を続けていく。
そんな夏美の目に、ふと「おしっこ」という文字が映った。
(え?おしっこ・・・?)
 何だろうと思って、夏美は見てみる。
「なになに、人間は、おしっこを極限まで我慢していると頭の回転がよくなる・・・」
 夏美は無言で3回ほどその言葉を読み返す。
 ・・・ふむふむ。
 ・・・・・・・。
「これだ!!!」

681名無しさんのおもらし:2013/08/31(土) 00:02:09
 知らなかった。人はおしっこを我慢すると頭がよくなるんだ!
 いくら手つかずの状態の問題集だって、きっと頭のいい人なら1日で全て解いてしまうこともできるだろう。
 要は、頭さえよければどうにかなるのだ。
「つまり、おしっこ我慢しながらやれば、できる!」
 しかも、おしっこなら丁度今溜まっている。まだ起きてからトイレに行っていないから、
よくよく意識してみれば割と今すぐトイレに行きたいくらいにおしっこがしたい。
「よし!このままおしっこ我慢してとりかかろう!」
 椅子に座るとたぷんと膀胱が揺れたような気がした。
(うぅ〜〜〜っ!もれそうっ!)
 普段なら煩わしいものでしかなく、決して歓迎されることのない尿意。
 だが、今だけはこの尿意を愛おしいとさえ思ってしまう。
「ふ・・・ふふふ・・・これで、頭がよくなるなら・・・」
 夏美はそっとお腹をなでると再び問題集に取り掛かった。

682名無しさんのおもらし:2013/08/31(土) 00:02:52
 いざ問題を解き始めてみると、尿意が気になってなかなか集中できない。
 だが、それも最初の数分の間だけで、気づけば夏美は割と集中して問題に取り組むことができていた。
(も・・・もしかしたら、これなら宿題、何とかなるかも!)
 そうこうしながら時は流れ、およそ1時間後。
 夏美は勉強机と向き合いながらもじもじとせわしなく足をすり合わせる。
「え・・・えっと・・・え、X+Y=・・・・くぅぅう、あぁぁぁ!!」
 シャーペンを放り出すと、夏美は股間を押え、じたばたと貧乏ゆすりをする。
「あああ、と・・トイレェェ!!うぅぅう〜〜〜〜」
 しばらくそのまま呻き続けると、夏美は「もうダメ!」と言って立ち上がり、
 一目散にトイレに駆け込んでしまった。
 慌てて便器に座り、我慢し続けていたおしっこを一気に解き放つ。

683名無しさんのおもらし:2013/08/31(土) 00:03:19
しゅぅぅぅぅぅぅぅうぅうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・・・

 長時間我慢した後のおしっこは気持ちいい。
 夏美は「はあ〜」と息をつき、解放感に酔いしれたが、すぐにがっくりとうなだれた。
「・・・どうしよう、出してしまった・・・」
 おしっこを終えて、部屋に戻ると夏美はベットに飛び込み、じたばたともがく。
「あ〜〜〜〜もう!!なんでもっと我慢しなかったんだよ、あたしのバカ――ッ!出しちゃったらダメじゃん!」
 考えてみたら、我慢強くない自分がずっとあの鬱陶しい尿意を堪え続けるなんてできっこなかった。
 夏美は、昔からあまりトイレを我慢しない。それは、トイレに行きたいあのどうしようもない感覚が
嫌いだからだ。世の中には、トイレに行くことをやたらと恥ずかしがる子もいるが、夏美は違う。
例えば、友達と遊んでいる時や授業中だって、行きたくなったらわざわざ限界になるまで我慢などせず、
ちゃんと「トイレに行きたい」と告げて行く。当然、物心ついてからおもらしをしたことなどない。
「そうだよ・・・。あたし、トイレはすぐ行っちゃうタイプだからなあー」

684名無しさんのおもらし:2013/08/31(土) 00:03:38
 だが、今までの人生を振り返ってみれば、どうしてもトイレに行けなくて苦しい我慢を強いられたこともあった。
それこそ、おもらし寸前にまで追いつめられたようなことも・・・。
例えば、つい去年もそんなことがあった。去年のGW、家族旅行の帰りに高速道路の大渋滞に巻き込まれた時のことだ。
何も考えずに水分を摂り続けていた夏美は、渋滞の中でトイレに行きたくて行きたくて仕方ない状態に
なってしまったのだ。あまりにひどい渋滞の中、夏美は歯を食いしばって必死に我慢を続けていた。
トイレ我慢が嫌いな夏美が、あれほどの我慢をすることは滅多にない。
だが、渋滞の車の中では、いくら「トイレに行きたい」と訴えたところで、行くことができないのだ。
時折路上で立小便をしている男の人なんかも見かけたが、夏美にもそれはできない。
トイレ以外の場所で用を足すことなどできるはずがなかった。
 しまいには、お姉ちゃんまで「わたしも行きたい」と言い出し、車はあわてて最寄りのインターを下りて、
トイレを探すことになった。幸い、インターのすぐ側にトイレを借りられるコンビニがあり、あの時は
事なきを得たが・・・。
 こうして振り返ってみると、先程自分がした我慢はあの渋滞の中での地獄のような我慢に比べれば、全然
大したことはなかった。それに、あの渋滞の後のトイレでは、どれだけおしっこを出しても「まだ出るの!?」
と驚くほど長くおしっこが続いたのだ。つまり、自分は本来、あれだけのおしっこを溜めることができるはず。
そして、その次元までおしっこを我慢し続けるためには・・・。
「そっか。トイレに行きたくても、行けないようにすればいいんだ!」
 我慢の嫌いな夏美は、何もなければすぐにトイレに行ってしまう。だから、本当の限界まで強制的にトイレに
行けないようにしてしまえばいいのだ。
「そのためには・・・・。うん、お姉ちゃんに頼めば何とかなる!」
 ひらめいた、という表情を浮かべると夏美は姉の部屋へと駆け込んだ。

685名無しさんのおもらし:2013/08/31(土) 00:03:58
 夏美の計画は次の通りだ。まず、姉に頼んで自分の身体を椅子に縛り付けてもらう。これで、自分はもう
トイレに行くことはおろか、勉強机から離れることさえできなくなる。
机の上にはあらかじめ勉強に必要な道具を一式置いておけば動けなくても大丈夫だ。
とはいえ、我慢を続ければ、やがて人体の限界を迎えてしまう。その時には、姉に電話をかけて紐を解いて
もらうのだ。夏美は、トイレに行きいことを人に告げることに抵抗はないが、トイレに行くために姉に動いて
もらわなければならないということになると、さすがに気を使う。
恐らく、自分はかなりギリギリまで我慢することになるだろう、というのが夏美の予想だ。
「どう、この計画?」
 夏美は、(彼女によると)壮大なこの計画を姉に告げた。姉は、「うん」とうなずき口を開く。
「・・・バカじゃないの?」
 彼女は心底あきれたといった表情を浮かべる。
「何がおしっこ我慢よ。そんなこと考えてる暇があったらさっさと続きやったら?」
「だから〜、お姉ちゃんがあたしを縛ってくれたら続きができるんだって!それに、さっきトイレ我慢しながら
やってたら結構はかどったんだから」
「・・・ホントなの、それ?」
「ホントだよ!オランダの研究グループが証明したんだから!」
 そう言ってケータイの画面を見せる。姉は無言でその画面を見つめた後で、「はあ」と溜め息をついた。
「膀胱炎になっても知らないからね?」

686名無しさんのおもらし:2013/08/31(土) 00:04:15
 10分後、夏美は姉の手でしっかりと椅子に縛り付けられていた。椅子の背に胴体を、両脚の太ももの辺りを座面に縛り付けているため、立ち上がることは決してできない。勉強のために両腕は自由に動くようにしてあるが、紐の結び目が椅子の外側に来るよう縛り付けられているので、自力で解くことは難しい。しかも、結び目はかなり固い。
「うん、これで大丈夫だね!」
 夏美は自分が動けるか、紐を解けてしまうかどうか確認するが、自力での脱出は不可能だ。
 机の上には、勉強道具に2リットルのペットボトル、それにいくらかのお菓子が置かれている。
 長期戦を想定した構えだ。
「ありがとう、お姉ちゃん。じゃあ、限界になったら電話するから」
「はいはい。ま、がんばってね」
 半分呆れ顔ながらも夏美の頼みを聞いてくれた姉が去っていく。
 ちなみに、今回夏美は姉に「宿題そのものを手伝って」とは頼んでいないが、姉が絶対に手伝ってくれない
ことは今までの経験上よく分かっている。ここから先は、いろいろな意味で自分との戦いだ。
「さっ、今度こそやるぞ!」
 第二ラウンドが幕を開けた。

687名無しさんのおもらし:2013/08/31(土) 00:04:32
そうは言っても、ついさっきしてきたばかりのため、まだおしっこは溜まっていない。
 トイレ我慢勉強法にすっかり心酔してしまっている夏美は、尿意がないとなかなか集中ができない。
(早く、トイレに行きたくならないと・・・)
 そんなことを思いながら、夏美は用意しておいた水をガブガブと飲む。それでも、飲み過ぎればすぐに
限界になってしまうかもしれない。長時間、あの行きたくて仕方がない状態の時間を継続させるのが理想なのだ。
 飲み過ぎないように、でもなるべく早く尿意が来るように・・・。そんなことを考えながら、結局夏美は
1リットル以上も水を飲んでしまった。それだけの水を飲めば当然のことだが、間もなく夏美の身体には
2回目の尿意が襲ってくる。
(あっ、来た来た!)
 ぶるっと身体が震え、膀胱がおしっこのサインを発する。
 ここからが、夏美の勝負の始まりだ。

688名無しさんのおもらし:2013/08/31(土) 00:04:50
 尿意が芽生えると同時に、不思議と頭が冴えてきたような気がする。本当に、夏美の頭がよくなったのかは
別として、少なくとも集中力については確実に高まっていた。
「えーっと・・・オーストラリアの首都は〜〜〜、ありません!・・・じゃなくて、キャンベラ!」
「酸素を作るには・・・あれ、何だっけ?」
 元々の学力が学力なだけに、解けない問題も少なくはない。それでも、今の夏美はそこで投げ出さずに、
きちんと教科書で調べるという作業までできていた。ちなみ、宿題の答えは始業式の日に配布されるため、
ここには無い。
 静かな部屋に、コチコチという時計の音とペンが文字を刻む音のみが響く。
 日が高くなり、時間は朝から昼へと移ろうとしていた。
「えーっと、次の記号が示す内臓の名称を答えよ、ね。っと、Aが・・・胃。あれ、漢字でどうやって書いたっけ?」
「あー、これだ。「胃」ね。Bが、肝臓・・・これは書ける。Cが、膀胱・・・」
 ぶるっと夏美の身体が震えた。
「うぁっ・・・!な、何か膀胱とか聞くと意識しちゃうなぁ・・・」
 そういえば、もうずいぶん時間が流れた。宿題もまあまあ進んできた。・・・ゴールは一切見えないが。
 夏美はペンを置き、お腹の、膀胱の上あたりを軽くなでてみる。
「おお、すごい溜まってきてる・・・!」
 お腹の中で膀胱が風船のように膨らんでいるのが分かる。その上を手のひらでなでると、
むず痒いような尿意が全身に走る。
「おぉぅ・・・!い、いい感じ!限界になっちゃう前にどんどん進めなきゃ!」

689名無しさんのおもらし:2013/08/31(土) 00:05:07
しかし、それから30分もすると夏美はぱたんと机に突っ伏してしまう。
「う〜〜〜・・・疲れた〜〜〜・・・」
 この夏休みの間、全く何の勉強もしてこなかった夏美が急にこれだけの集中力を持って頭を使いはじめたのだ。
当然と言えば当然の疲れであった。
「はあ・・・ちょっと水飲もうかな・・・でも・・・」
 夏美はそわそわと身をゆらす。疲れのせいか、何となく水分が欲しくなるが、すでに自分は大量の水を飲んで
いる。もう、かなりトイレに行きたくもなっているし、これ以上水分をとるのは不安だ。
(っていうか、ホントにトイレ行きたい・・・)
 例えば、友達といるときにこのレベルの尿意を感じたなら、絶対に「トイレに行きたい」と言っているだろう。
 授業中でも残り時間が15分以上あったらトイレに行かせてもらっていたかもしれない。
(でも、ここから・・・だよね)
 あの渋滞の中での尿意はまだまだこんなものではなかったはずだ。限界はまだ先にある。
(ここから・・・。ここから!)

690名無しさんのおもらし:2013/08/31(土) 00:05:28
一方、夏美の姉、葉月は自分の部屋でくつろいでいた。身につけているヘッドホンからはお気に入りの音楽が
流れている。夏美と違って、学校の宿題などとっくに終わらせている葉月にとっては、今日と言う日も普段と
何ら変わらない単なる休日と同じだ。
 机に置いておいた紅茶をこくっと飲むと、葉月は夏美のことを考える。
(あれから結構経ったし・・・もうそろそろ電話がかかってくる頃かな?)

691名無しさんのおもらし:2013/08/31(土) 00:05:49
時は流れる。少しずつでも確実に、宿題の残りページ数は減ってきている。だが、夏美のペースは
あきらかに落ちていた。なぜなら、今夏美はほとんど1問か2問ごとに葉月への電話を入れようか迷っていた。
だが、一度お姉ちゃんを呼んでしまえば、次もまたこの勉強法に付き合ってくれるという保証はない。
むしろ、あのお姉ちゃんだ。2回は協力してくれない可能性が高い。お姉ちゃんへの電話は、本当に1度しか
使えない最終手段だと思わなければならない。
「やっぱ・・・今のうち、に・・・もっと、進め、ておかない・・と」
 夏美はもじもじと激しく貧乏ゆすりをする。紐によって、足と椅子が固く結ばれているため、椅子が軋む。
 紐のせいで、もじもじと動かすと足が少し痛くなるのだが、あまりにもトイレに行きた過ぎて、やめられない。
「あああ〜〜〜、うぅぅ〜〜〜、け、結構ヤバイ〜〜〜!!」
 膀胱がぱんぱんに膨れ上がっているのが分かる。おしっこが溜まり過ぎて、もはや少し痛みさえ感じる。
「くぅぅ〜〜〜あぁぁ〜〜〜ッ!」
(や、やっぱり無理・・・!)
 ついに夏美はペンを投げ出し、両手で股間を押え、身悶える。
「や、ヤバイ・・ト、トイレ・・・げ、限界・・・!!」
 ダメだ。もうこれ以上は我慢できそうにない。もはや、尿意が強すぎてとてもではないが勉強などできない。
(もう・・・お姉ちゃん、呼ぼう・・・。ああ〜〜〜、でも・・・)
 夏美はパラパラと問題集のまだ解いてないページをめくる。一切手をつけていなかった夏休みの宿題に終わる
気配は微塵も見えない。まだ、全体の5分の1も終わっていない程度だ。
「や・・・やっぱ、も・・・もう少し・・・だけ・・・!!」

692名無しさんのおもらし:2013/08/31(土) 00:06:07
音楽に没頭する夏美の視界に、ふとケータイの光が映る。
着信だ。
(来た、かな?)
音楽に聴きいって、夏美からの着信を見逃すような葉月ではないちゃんと気をつけていたのだ。
(結構時間経ってるし・・・そろそろだと思ってたよ)
 しかし、ケータイを手に取って見ると表示された名前は夏美ではなく、葉月の友達の名だった。
「あれ、千佳からか・・・。何だろう?」
 葉月は、通話ボタンを押した。

693名無しさんのおもらし:2013/08/31(土) 00:06:37


 「もう少し!」と心に決めて宿題を再開してからおよそ5分後、早くも夏美は再びペンを投げ出した。
「くぅぅぅ〜〜〜〜〜あ、ああ・・・あああ〜〜〜!」
 いわゆる波というものが夏美に襲い掛かる。すでに限界に近い尿意を我慢している状態で襲ってきた波に
夏美はあやうくおもらししてしまいそうになる。
「や、やばい・・・やっぱ、これ以上はダメだ・・・ホントにもれちゃう・・・!」
 もう、今ならあの渋滞の時にも及ぶかもしれない。あの時もこんな感じだった。おしっこを我慢している
だけで、汗が出てくる。少しでも気を緩めたらもらしてしまうだろう。
「もうダメ〜〜〜〜!」
 夏美は素早くケータイを手に取り、今度こそ姉に電話を掛ける。
(早く〜〜〜〜!!早く〜〜〜!!!)
 電話がつながるまでのこのわずかな時間さえまどろっこしい。
 ツッツッツ・・・っと音がして、そして・・・
 プツッ・・・
「え?」
 電話は切れてしまった。
 驚いて、夏美はケータイの画面を見る。そこには、「通話中」と表示されていた。
「ウソ・・・でしょ・・・?」
 「通話中」・・・姉は今誰かと電話中なのだ。だから、夏美の電話はつながらない。
「そ・・・そんな・・・!!」

694名無しさんのおもらし:2013/08/31(土) 00:07:44
 電話が通じなかったことで、夏美はパニックになる。夏美にとって、姉に電話をするということは、トイレに
行こうと席を立つのと同じことを意味していた。電話さえかければ、すぐにでもトイレに行ける。その前提が
あって、夏美は限界までトイレを我慢したのだ。だが、今その前提が崩れた。
電話をしてもトイレには行けない。いつ行けるようになるか、一切分からない。
「や・・・やばい・・・・す、すごくやばい・・・!!」
 夏美は股間を押え、身をよじる。椅子がギシギシと音を立てる。
 いつトイレに行けるか分からなくなったことで、夏美は一層強く尿意を意識してしまう。
(うぅぅ・・・お、お姉ちゃん、誰と電話・・・して・・・るの?)
 数秒ごとに姉への電話を繰り返すが、一向に電話はつながらない。
(んん・・・くぅぅぅ!!こ、このままじゃ、も・・・もれちゃう・・・)
 夏美は部屋のドアの方を向き、「お姉ちゃ――――ん!!」と叫ぶ。
しかし、さして大きな声を出すこともできず、夏美の声は途切れる。叫ぼうとしてお腹に力を込めると
膀胱が刺激されて、それだけでおしっこが出てしまいそうになるのだ。
 しかも、声が届いた気配はない。姉の部屋は離れているので、聞こえないのだ。
「せ、せめて・・・ドアを開けれたら・・・」
 廊下から叫べば声も届くだろう。だが、しっかりと椅子に縛りつけられている夏美はどうやっても動くこと
ができない。両足が自由に動かせれば、胴体が縛られていても椅子ごとでも動けそうだが、今は足も椅子の座面
に固定されてしまっているので、動くのは無理だ。
 両腕が自由な分、椅子ごと身体を倒せば動けるようになるかもしればいが、この極限状態でそんな振動を
与えてしまえば、間違いなくもれてしまう。
「うぅぅ・・・な、なんとか紐を・・・!そ、そうだ!ハサミ!ハサミなかったっけ?」
 机の引き出しを開け、ハサミを探す。しかし、見つからない。
「あれ?ハサミ・・・確か、この引き出しに・・・入れて、たと思っ・・・たけど・・・・んんっ!!」

695名無しさんのおもらし:2013/08/31(土) 00:08:02
引き出しを探っていた手を股間に戻し、夏美は激しく身をよじる。
「ダ、ダメ!!や、やばい!!ほ、ほんとにもれる!!」
 右手だけ股間から離し、かつてないほどのスピードでケータイを操り、姉に電話をかける。だが、無情にも
電話はつながらず、「通話中」の文字が画面に表示されるのみであった。
「ああ〜〜〜〜、も、もれちゃう!!もれちゃうよぉ〜〜〜!お姉ちゃ〜〜〜ん!!!」
 耐えきれずに叫び声を上げるが、それで自分の膀胱を刺激してしまう。
 どうしていいか分からなくなり、夏美は股間を押えて身をよじる。
(うぅぅ〜〜〜トイレ〜〜〜トイレトイレトイレ〜〜〜〜!!!)
 お腹の中の水風船はもう破裂寸前だ。膀胱がパンパンに膨れ上がって、出口のすぐ側までおしっこで
埋まっているのが分かる。
「こ、これヤバイ!な・・・何とかしないと・・・何とか・・・。あっ!」
 焦る夏美の目に2Lのペットボトルが飛び込む。まだ中身があるが、ほとんど飲んでしまっているので、
十分におしっこは入る。
「こ、これに・・・って、絶対無理!!」
 ペットボトルの口は狭い。あんなところにうまくおしっこを入れられるとは思えない。まして、椅子と
密着しているこの姿勢では尚更ムリだ。
「うっ・・・へ、変なこと、考えたら・・・余計に・・・・」
 思わずペットボトルにおしっこをしている様を想像してしまった。そんな些細なことでさえ、爆発寸前の尿意
は大きな刺激を受けてしまう。
「ど、どうしよう!!も、もれちゃうぅぅ!!もれちゃうよぉぉ!!」

696名無しさんのおもらし:2013/08/31(土) 00:08:26
 (う・・・ぁ・・・)
 友達と電話をしながら、葉月はぶるっと震える。
(紅茶、飲み過ぎたかな・・・トイレ行きたくなっ・・・あ!)
 それで、葉月は気づく。しまった。つい千佳とのおしゃべりに夢中になってしまっていた。
 時計を見る。千佳の電話を受けてからまだそんなに長くは経っていない。だが、夏美を縛り付けてからは
もうかなりの時間が経過している。今の間に夏美からのコールが来ていてもおかしくはない。
「あ、ごめん、千佳。わたし、ちょっと用事あるから・・・」
 そんなことを言って葉月は半ば強引に千佳との電話を打ち切る。
 電話を終えると、すぐに夏美からの着信履歴が大量に表示された。
「これは・・・!」
 と、同時に夏美からの電話が入る。葉月は通話ボタンを押す。
「もしも・・・」
「お姉ちゃん!!早く!!早く〜〜〜!!もれちゃうよぉぉぉ〜〜!!!」
 電話の向こうで夏美は絶叫する。じたばたと地団駄を踏むような音も聞こえる。
「ご、ごめん。今行く」
 葉月は電話を切ると、机の引き出しを開けハサミを取り出し、部屋を飛び出た。

697名無しさんのおもらし:2013/08/31(土) 00:09:13
「早く〜〜〜!!早く早く早く〜〜〜!!」
 夏美はほとんど狂ったようにもだえ続ける。椅子はぎしぎしと軋み、壊れてしまいそうだ。じたばたともがく足が床を踏み鳴らし、ドンドンという音が響いている。
(もれる〜〜〜!!もれるぅぅぅ〜〜〜〜!!)
 股間を押さえる手にかすかな湿り気を感じる。膀胱が限界を超え、少しずつおしっこがあふれてしまって
いるのだ。辛うじて決壊はしていないが、もう夏美のダムはひび割れて水漏れしている状態。いつ大きな
決壊が起きたとしてもおかしくはない。
 おしっこの出口のところは感覚がマヒしてきており、我慢できているのかちびってしまっているのかもよく
分からない。
「は、やく〜〜〜・・・!!」
 バタッと音を立ててドアが開いた。
「夏美!大丈夫!!」
「お、お姉ちゃん!!急いで〜〜〜!!急いで〜〜〜!!」
 葉月はすぐに夏美を縛る紐を切ろうとする。しかし、夏美がもがいて椅子ごと揺れるため、切ることができない。
「夏美、止まって!」
「む、無理だよぉ!!もう出ちゃう!!出ちゃうから〜〜〜!!」
 仕方なく、葉月は無理やり夏美の椅子を押さえつける。夏美は関係なく悶え続ける。歯を食いしばり、
地団駄を踏み、限界の尿意へ最後の抵抗。
 夏美は激しく動き回っているが、両手は常に股間にさしこまれ、その場所を固く押さえ続けている。
 そうしなければ出てしまうのだ。というよりも、もうそうしていても出始めている。
「やばッ・・・で、出る!!出てる!!早く!!」

698名無しさんのおもらし:2013/08/31(土) 00:09:36
「はい、解けたよ!」
 ようやく、葉月が紐を切断してくれた。夏美は慌てて立ち上がるが、その直後に座り込んでしまう。
 トイレに立つために立ち上がるというその動作ですら、限界の膀胱には強烈な刺激になってしまったのだ。
「う・・・うぅぅ〜〜〜・・・・ぁぁ・・・」
 夏美は股間を押さえたまま座り込み、固まってしまう。
「ちょ、ちょっと夏美、動かないともらしちゃうわよ?」
「・・・む、無理・・・う、動け・・・ない・・・」
 今すぐに、1秒でも早くトイレに駆け込みたいのに、行けない。
 夏美には、今動いたら出てしまうことが分かっていた。
 しばらくすると、夏美はゆっくりと立ち上がる。そして、のろのろとトイレに向かって歩きはじめる。
 夏美は前かがみになって股間を押え、ちょこちょこと少しずつ少しずつ進む。その彼女の足をおしっこの筋が
伝う。はじめに1本。夏美はびくっとして一瞬立ち止まるが、すぐにまた動きはじめる。
 しかし、その直後にもう2本、3本・・・。
(・・・ッ!・・・・・ぁぁ!!)
 夏美はペースを速めるが、おしっこの筋はどんどんその数を増していく。
(ヤバイ・・・トイレ・・・・・トイレにぃぃ・・・!!)
 しかし、まだトイレのドアも見えない位置で夏美は立ち止まる。足を固く交差させ、硬直してしまう。
「くぅぅ〜〜〜〜ううぅぅぅ〜〜〜〜!!〜〜〜〜ッッ!!」
 まだ、ダメ!まだ、もれるな!!
 歯を食いしばり、必死になって押さえつける。だが、なおも夏美の足にはおしっこの筋が伝いはじめる。
「あ・・・だ、ダメ・・・いや・・・あぁぁ!!」
 プシッと音がして、夏美の動きが止まる。
 その直後、一気に水道の蛇口を開いてしまったかのようにおしっこがあふれ出した。
 これまでと比較にならない量のおしっこが足を伝い、瞬く間に水溜りとなって広がっていく。
 夏美は、放心状態で硬直している。
 股間から手は離れていないが、もう何をしようと、決壊したおしっこは止まらない。

699名無しさんのおもらし:2013/08/31(土) 00:09:59
しゅっ、しゅぃぃいぃぃぃいぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
しゃあぁあぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 夏美の失禁は長く長く続いた。間違いなく1分は超えていただろう。
 足元の水たまりの大きさは、夏美が信じられないほどの量のおしっこをその身体に蓄えていたことを
物語っている。

700名無しさんのおもらし:2013/08/31(土) 00:10:18
 失禁が終わると、夏美はみずたまりの中に座り込んでしまった。
 その目からは涙があふれ出てくる。自然と、嗚咽がもれる。
「う・・・うぅ・・・も、もれちゃったぁ・・・・・」
「夏美・・・」
 さすがの葉月も妹の失禁を目の当たりにしてうろたえる。とりあえず、葉月は脱衣所からタオルを
とってきて夏美に手渡す。
「ここはわたしが掃除しといてあげるから、夏美はお風呂入ってきな」
「うぅ・・・お姉ちゃん、電話・・・長い・・・」
 夏美は恨めしそうにそう呟く。
「あー・・・その、ごめんね。電話、夢中になっちゃって」
「お姉ちゃんのせいでもらしちゃったんだからね・・・」
 八つ当たりだ。普段の葉月なら怒るところかもしれないが、しかし今しがたおもらしをして
泣いている妹に対してこれ以上追い打ちはかけられない。
「罰として宿題手伝ってもらうからね・・・」
 夏美はそう告げると、お風呂の方へ歩いて行った。
「・・・この妹は・・・・・・・」

701名無しさんのおもらし:2013/08/31(土) 00:11:10
 その後は、葉月の手伝いもあり、宿題のペースは2倍も3倍も早くなった。
「すごいすごい!さすがお姉ちゃん!でも、お姉ちゃんもおしっこ我慢したらもっと早くなるよ!」
「バカ、するわけないでしょ、そんなコト。・・・っと、もう結構進んだし、残りは明日自分でやりなさい」
「え、何言ってんの!明日はもう9月1日だよ!」
「夏美こそ何言ってるの。明日は日曜日よ」
「え・・・・!」


-END-

702名無しさんのおもらし:2013/08/31(土) 00:14:06
という妄想でした。

読んでくださった方、ありがとうございました。

703名無しさんのおもらし:2013/08/31(土) 00:28:56
すばらっ!!

704名無しさんのおもらし:2013/08/31(土) 00:37:42
乙です
またお願いします

705名無しさんのおもらし:2013/09/01(日) 05:47:23
曜日ネタおみごと
それとすばらしい速さ

706名無しさんのおもらし:2013/09/09(月) 23:39:04
「ダ、ダメだーーー!!突破された!!」
「く、くそ・・・!グレン隊、ほぼ壊滅!」
「敵軍、城内第2階層まで侵攻!!止まりません!!」
 とある異世界の片隅・・・そこに存在する1つの国は間もなく魔物の軍勢によって陥落しようとしていた。

707名無しさんのおもらし:2013/09/09(月) 23:39:30
「レイナ、お前だけでも逃げよ!!」
「嫌ですわ、お父様!!」
 炎と黒煙噴き出す城の上層階・・・。その中でもひときわ豪華に造られた王の間で2人の人間が
言い争いをしていた。この国の国王とその娘のレイナ姫であった。
 美しい姫は、普段は優しげなその表情を険しいものにして、実の父である王を睨んでいた。
「レイナ・・・分かってくれ、お前だけは生きねばならんのだ!」
「そんな・・・わたしは、みんなを見捨てて逃げるなんて・・・」
 レイナは、自分の腕をつかむ王の手を振りほどく。
父である王は、レイナのみを空飛ぶ魔道具の力でこの王宮から逃がそうとしている。
 理由は分からないが、王はレイナだけは決して死んではならないとしきりに訴え続ける。
それは、レイナが実の娘であるからだろうか。あるいは、他に何らかの理由があるからなのだろうか。
 レイナには分からない。分からないが、どちらにしろ、彼の言葉を聞くつもりはない。
レイナだって魔道士の端くれ・・・。戦闘の心得はある。それなのに、国を見捨てて逃げることなどできない。
 先程よりも、喧騒が大きくなった気がする。普段は静謐な空間であるこの王の間にも、今や戦闘の喧騒が
響き渡っている。間もなく、この部屋も戦場へと変わるだろう。
 そして、戦場へと変わった後には、きっとここは瓦礫の山に変わっている。戦局は、絶望的なまでに悪いのだ。
「国が死ぬなら、わたしも共に死にます!」
 レイナは真っ直ぐに王と見て、そう言った。
 王は口をつぐみ、レイナの瞳を見返す。その瞳を見て、彼はレイナがその意志を決して曲げることがないと
悟ったのだろう。王はあきらめたような表情をして目をそらすと、再び口を開いた。
「・・・カル」

708名無しさんのおもらし:2013/09/09(月) 23:39:49
瞬間、一陣のつむじ風と共に何者かがレイナの背後に現れた。その直後、レイナの身体はかくんと揺れて、
床に崩れ落ちそうになる。気を失ったのだ。
しかし、完全に倒れることはない。いつの間にか、レイナの背後に現れた者が、彼女を支えているからである。
それは、1人の少女であった。黒い髪に黒い装束。輝く黄金色の髪を持ち、
光のような女の子であるレイナに対して、まるで影のような少女だ。
しかし、彼女の肌のみは雪のように白い。レイナよりも小柄で華奢な身体つきをしているが、
彼女は少しも揺らぐことなくレイナの身体を支え、屹立している。
 彼女の名はカル。国王による直接の命令のみに従い行動する特殊兵士である。レイナを気絶させた張本人である。
「・・・よろしいのですか?」
 カルは主である王に視線を向け、尋ねる。闇よりも深い黒色を宿すその目は、言葉にはせずともこう言っている。
『自分は、命令をされれば、ただそれに従う』。
「頼む、カル」
 王がそう返答をすると、カルは一礼をし、すぐに踵を返した。
 そのまま、カルは兼ねてよりの王の命令に従い、行動することになるだろう。
〈この国が崩壊の危機に瀕する時が来たならば、お前がレイナを連れて国から逃げろ〉

709名無しさんのおもらし:2013/09/09(月) 23:40:07
「・・・・・・・・さて」
 王は、自分しかいなくなった王の間を歩く。そして部屋の最も奥に飾られた剣を手に取る。
横向きにして、壁にかけられているそれは、仰々しい形状をした大剣であった。
刃渡りは2メートルに達するだろう。黒色の刀身は刃の部分が橙色に輝いている。
また、刀身には幾重にも幾何学的な紋様が描かれている。
 かつて〈孤高の鍛冶師〉が生み出した究極の魔剣-リディルアリア。この剣を再び手に取る機会は、できれば訪れてほしくなかったと思っている。
 初老の国王は、その風貌に似合わぬ剣を軽々と担ぎあげると、ビュッと鋭く振るう。
ピタッと斜め30度の角度で剣を止めると口端に笑みを浮かべる。
「行こうか、友よ」

710名無しさんのおもらし:2013/09/09(月) 23:40:25
王宮の屋上には隠し扉がある。その向こうの隠し倉庫には、魔力により空を浮遊する特殊な魔道具が
存在している。それは、いわゆる気球と呼ばれる道具だ。
 カルは気を失った姫を丁重に壁にもたれさせると、王の鍵を用いて扉を開け、手早く気球を隠し倉庫から
引きずり出した。気球は決して小さなものではなかったが、カルはその細腕で軽々と気球を引きずり出してしまう。
 屋上の真ん中まで来ると、彼女は気球についている動力部に魔力を送り込んだ。
魔法は得意としないカルであるが、単純に魔力を送り込むことくらいはできる。カルの力に反応し、
動力部は赤い光を灯しはじめた。そして、カルが炎の力を込めたわけでもないのに、炎が灯り、
気球の風船状の部分が膨らみはじめていく。
 動力が作動したことを確認すると、カルは素早く姫を抱え上げ、気球に乗る。1分としないうちに、
風船は大きく膨れ上がり、2人を乗せた気球は宙へと舞い上がった。

711名無しさんのおもらし:2013/09/09(月) 23:40:44
「ナンダナンダ?」
「オイ、見ロ!!何カガ、空ヲ飛ンデル!!」
「落トセ落トセ!!ギャハハハハハ!!」
 時間は夜であったが、輝く大きな月と炎上する城によって、気球は夜空に照らし出され、よく目立った。
 飛行能力を持つ魔物たちが、気球めがけて襲い掛かる。しかし、夜を斬り裂くかのような紅の光が走り、
上へと跳び上がった魔物たちは、次々と両断されてしまった。
「行かせぬ・・・」
 先程まで気球のあった屋上に立つ王は、長大な魔剣を振りぬいた。
すると、その斬撃は紅の魔法陣となって宙を駆け抜け、魔物たちを切り刻む。
「グ・・・グフゥゥ・・・!!」
「オノレ!!カツテノ勇者!!」
「コロセ!!アイツヲコロセ!!」
 魔物たちは、彼らにとっては正体不明の気球は無視し、倒すべき存在である王の方へと矛先を向けた。
「ふふ・・・それでよい・・・」
 王は、悠然と剣を構え、魔物たちの方を見据える。しかし、その身体はかすかに震えている。
たった二度・・・振るっただけで、身体の芯から全てをそぎ落とされたように体力が失われてしまった。
王には、それは予想できていた。自分には、この剣を・・・リディルアリアを振るう力は無い。
振れば、こうなることは分かっていた。だが、それでもいい。それでもいいのだ。
 王はふっと笑うと、真っ先に屋上へと乗り込んできた魔物に斬撃を見舞った。
 予言の娘・・・自分ではない、〈真の勇者〉の娘である彼女を守ることができるのなら、それでいい。
(なあ、友よ・・・。)

712名無しさんのおもらし:2013/09/09(月) 23:41:03
(寒い・・・。寒いわ・・・ここは、どこ?)
 ふっと目を覚ましたレイナは、がばっと起き上がった。
「目覚めましたか?」
「・・・カル?」
 レイナの目に、橙の光に照らし出されたカルの顔が映った。カルと自分の間にある何かが、
橙色の光を発している。そこからは、微かな熱を感じるが、それでも周囲の空気はとても冷えていて寒い。
「カル・・・ここは、どこ?」
「ここは、空の上です・・・」
「空・・・はっ!」
 そこでレイナは、自分のおかれた状況に気づき、気球から顔を乗り出した。
外には、真っ暗な闇が広がっていた。上空に燦然と星が輝いている以外は、どこを見回しても闇しかない。
 レイナが住んでいた城やその周囲に存在したはずの街の灯りなどは、もう見えない。
(そん・・・な・・・)
 自分は、いつの間にかこの気球に乗せられて、城から逃がされてしまったのだ。
「カル!お願い、今すぐ戻って!」
 レイナは叫んだ。しかし、カルは即座に「無理です」と返答をする。
「どうして?」
「2点の理由によりできません。1点目、わたしは王の命令に従って、あなたの命を守るために行動しています。
2点目、この魔道具は魔力により作動した後には操作不可能で、現在は自動で動いています。ゆえに、戻ること
も止めることもできません。」
 カルは淡々とした口調でそう答えた。
 この少女が言うことは、きまっていつも正確だ。そのことはレイナもよく知っている。だから、この時点で、
もう自分はこの逃亡に身を委ねるしかないことは悟っていた。だが、レイナは行動を起こさずにはいられない。
「な・・・なら、わたしが・・・」
 レイナは動力に近づき、目を閉じて意識を集中させる。機械仕掛けの動力内部で、複雑な魔法陣が絡み合い、
エネルギーを放出していることが分かる。
(これは・・・どういう仕組み?)
 少し見ただけでは分からない。普通の機械ではなく、魔道具であるこの動力は、魔力でなければ操作できない。
しかし、どのように魔力を用いて操作すればいいのか分からない。
しばらく格闘した末に、レイナはあきらめた。そして彼女は、普段よりも近くにある星々を見つめながら、泣いた。

713名無しさんのおもらし:2013/09/09(月) 23:41:22
(お手洗いに・・・行きたい・・・)
 レイナはもじっと足を組み換え、太ももをかたく閉じあわせる。
(困ったわ・・・。どうしよう・・・)
 尿意は気球で目覚めた時から感じていた。その時点では、まだかすかなものであったが、終始不安は感じて
いた。さして広くもないこのスペースに、トイレなどついているはずがない。そして、この気球は操作不能。
城に戻るのはおろか、地上に下りることさえできないのだ。カルが言うには、どこかへ飛んでいくようにプログ
ラムされており、そこへ行きつく分だけの魔力があらかじめ蓄えられていたらしい。ただし、どこに向かってい
るのかはカル自身にも分からないのだと言う。
 一体、この気球はどこに向かっているのか。できれば、尿意が限界に達するまでには目的地に辿り着いてほし
い。そんなことを思いながら、もう数時間が経過した。
(うぅ・・・ダメ・・・本当に、お手洗いに行きたい・・・)
 手で腹部をさすってみれば、おしっこを蓄えるためのその場所がぱんぱんに張りつめてしまっているのが分か
る。お腹の中で、恥ずかしい液体が波打って、レイナを苦しめる。
 恥ずかしい話であるが、貴人であるレイナにとって、お手洗いの欲求を堪えることはさして珍しいことではな
い。幼い頃からなされてきた、一国の姫君としての作法の中には、尿意を堪える訓練というものも存在した。そ
のような経験により、レイナは普通の女性とは比較にならないほどより長く、強く尿意を我慢できるのである。
とはいえ、それでも姫といえども人間。限界はある。この寒空に長時間さらされていれば、いくらレイナでも急
速に尿意をもよおしてしまう。しかも、レイナは気球に乗せられる直前にトイレに行ったわけではない。
(最後に行ったのは・・・いつかしら?敵襲の報告を受けてからは、行っていない・・・)
 敵襲は宵の晩餐がお開きとなり、しばらくしてからのことであった。晩餐で飲み物をとったものの、尿意を催
すことはなかったから、その後で用足しに行った記憶はない。
(そうだ・・・晩餐の前・・・あの時が、最後)
 そうだとするなら、今の時間は分からないが、もうかなり長時間用を足せていないことになる。いくらレイナ
でももよおして当然の時間だ。

714名無しさんのおもらし:2013/09/09(月) 23:41:42
(後・・・どのくらいで、この気球は目的地に着くのかしら?)
 もし、もうすぐ辿り着くのであれば、レイナは我慢できる。経験上、少なくとも後1時間は耐えられる。2時
間でも、何とか耐えきれるかもしれない。3時間は、分からないが、もし3時間後に着くと言われれば、絶対に
そこまで我慢する。
 しかし、分からないのだ。10分後に着くのか、10時間後に着くのか・・・到着までどれだけかかるのか全
く分からない。その事実が、我慢をより辛いものにする。
(うっ・・・くぅぅぅぅ・・・・)
 レイナは目を瞑り、尿意を堪えることに専念し続ける。
 辛い・・・。かなり辛い・・・。
(お手洗い・・・このまま気球が降りなければ、どうなってしまうの?)
 言うまでもなく、このカゴの中で直接してしまうわけにはいかない。かと言って便器の代わりになりそうなも
のもない。
(はっ・・・わたしは、何を考えて・・・)
 思わず、レイナは赤面する。自分は今、このような場所で用を足す方法を真剣に考えていたのだ。
(・・・はしたない)
 そもそも、お手洗い以外の場所で用を足すなどあってはならない。決してあってはならないのだ。自分には、
その時まで我慢をするという選択しかないということは分かっていたはずなのだ。
(いや・・・違うわ・・・。わたしが、本当に心の中で考えていることは、別・・・)
 レイナは目を開き、無表情に周囲の様子を伺い続けるカルに目を向ける。
 彼女に変わった様子は一切見られない。そのことに、レイナは内心で戸惑い焦る。
 卑怯・・・だと思われるかもしれない。いや、実際に卑怯なのだろう。
 だが、レイナはこう思っていたのだ。
(カルが先に我慢できなくなれば、自分も用を足せる)

715名無しさんのおもらし:2013/09/09(月) 23:42:04
 貴人であり、一国の姫という立場上、自分は粗相など決してできない。してはいけない。だが、そう思う一方、
心の別の片隅には、今だけは仕方がないという思いもある。今は非常事態だ。もうどうやったって、自力でお手
洗いに辿り着くことはできないのだ。ならば、やがて肉体の限界を迎えれば、粗相をしてしまっても仕方がない。
 ただし、そうであってもレイナには譲れない点が1つある。カルよりも先に粗相をしてはいけないということ
だ。同じ女性であるレイナとカル・・・この2人の間で、姫である自分の方が先に「最も恥ずかしい行為の1つ」
をしてしまうわけにはいかない。
 壮絶なこの夜の中で、たかだかお手洗いのことなどで・・・と思うかもしれないが、これはレイナの尊厳・・・
姫君としてこれまでの人生で培われてきたアイデンティティに関わるのである。
 だから、レイナは時折、カルの様子を伺う。しかし、カルは身じろぎ1つせずに、ただただ周囲を警戒し続けている。
(カルは・・・お手洗いに行きたくならないの?)
 そのようなことを本人に聞くわけにはいかないから分からないが、今この時点でカルが尿意を感じている気配
は全くない。
(でも・・・いくらなんでも・・・。もう何時間も経っているのに・・・)
 レイナの目線に気づいているのかいないのか、カルはレイナと目を合わせることなく、ただ暗い空に視線を配
り続けている。

716名無しさんのおもらし:2013/09/09(月) 23:42:21
時は流れる。夜がさらに深くなり、吹きすさぶ風が冷たい。まだ夜は明けないのだろうか。この気球はどこを
飛んでいるのだろうか。下が陸なのか、海なのかさえ分からない。
(限・・・界・・・)
 空気はひんやりと冷たいはずなのに、レイナの顔は汗にまみれていた。
 体が熱い。それなのに、寒気のような震えが止まない。ドクン・・・ドクン・・・という心臓の鼓動がやけに
大きく聞こえる。そして、心臓が脈打つ度に、破裂寸前まで膨らんだ膀胱がびりびりと刺激される。
 ガタガタと、レイナは震えていた。レイナがそれを我慢していることに、カルはとっくに気づいているだろう。それでも、彼女は特に何を言うでもなく、相変わらずの様子でただただ周囲に目を配り続ける。
 だが、カルにも変わったところはある。カルの表情は、明らかに固いものになっている。身体もひどく強張っ
ているようにも見える。レイナは、カルも尿意を堪えていると確信していた。そもそも、気球が飛んでからもう
6時間以上は経過しているに違いないのだ。尿意を感じないはずがない。
 しかし、それでも、おそらく限界はレイナの方が先に迎える。
(もう・・・我慢、できません・・・)
 こんなにおしっこを我慢したことは、これまでの人生の中で一度もない。もう膀胱はとっくに限界を超えてい
る。足を閉じあわせるだけでは我慢できず、いつの間にか、自然と自らの手でその場所を押さえてしまってから
も、もうかなりの時間が経過した。
 もはや、この手をどければ、瞬く間におしっこがあふれてしまうだろう。
(ダメ・・・これ以上は・・・んんんっ!!)
 何度目だろうか・・・大きな尿意の波に襲われ、レイナは呻く。
(だめ・・・もう、だめ・・・素直に、カル・・・に・・・)
 レイナは、カルに尿意を告げる決意をした。カルに限界を告げ、そしてここでしてしまおう。気球は、当分降
りる気配もないし、もうこれ以上我慢をし続ければ、膀胱が破裂してしまいそうだ。
「あ・・・の、カ・・・ル・・・?」
 久しぶりに口を開くと、思ったように声が出なかった。あまりの尿意に、声が震える。
 それでも、静かな空の中でレイナの声ははっきりと聞こえたはずだが、カルは返事をしなかった。
「・・・?カ、ル?」
 不審に思い、レイナはもう一度呼びかける。
 橙色の光に照らし出された彼女の顔は、レイナの方を向いていない。その顔を何かが伝った。
(え・・・?)
 レイナはぎょっとして、カルをまじまじと見る。それは、涙であった。
 その直後に、カルが口を開く。
「もうしわけ・・・あり、ませ・・・ん・・・」
 震える声でそう言い終えるか負えないかのうちに、くぐもったような水音が狭い籠の中に響き渡った。

717名無しさんのおもらし:2013/09/09(月) 23:42:46
しゅぅぅぅうぅぅぅうぅぅぅうぅぅうぅうぅぅぅぅぅうぅぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 ジョォォォオォ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 突如として、しゃがんだままのカルのそこから、勢いよくそれが吹き出され、瞬く間に籠の底面へと広がった。
植物の繊維で編まれた籠は、それを吸収したり、そのまま下へ通してしまったりするが、恥ずかしい水音は静か
な空に妙に大きく響き渡る。
 常に無表情を保ち続けていたカルの瞳から、涙があふれ出た。しかし、レイナはそれを見てはいなかった。カ
ルが失禁をしたことに気づいた、ほとんどその瞬間、レイナもまた限界を超えた我慢を解放してしまっていた。
 その時のレイナは驚くほどシンプルに、「いいんだ・・・」とだけ思った。姫としてのプライド、あるいは一
種の責任感、それらに基づく意志のみで耐えていたものは、不意に訪れた解放の時に狂喜するかのように、レイ
ナの下着の中で渦巻き、そして一気に外へとあふれ出た。

 じゅわぁぁぁぁ・・・シャァァァァァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 2人の少女が奏でる水音が、少しだけ白けはじめた空の中にこだまする。
 魔法の気球は、ゆっくりと目指すべきどこかへと向かって飛んでいく。

718名無しさんのおもらし:2013/09/09(月) 23:43:15
-カル視点-

719名無しさんのおもらし:2013/09/09(月) 23:43:35
わたしは人形。昔も今も変わらない。
わたしは人形。昔から、人形。
わたしは人形。今も、人形。
でも、今は・・・。

720名無しさんのおもらし:2013/09/09(月) 23:44:16
使われることしか、知らなかった。物心のついた時には、両親なんてとっくにいなくて、わたしは薄汚れた
ゴミ溜めのような場所で、辛うじて生きていた。
小さい頃から、殺しの才能だけはあった。
ナイフ一本で、大人だって何人も殺した。
わたしは子どもだけど、大人だって殺せる。
でも、子どもだから、殺せるだけでは生きていけない。
いつの間にかわたしは操り人形のように、あの男の命令に従って、あの男の言葉に従って、
ただただ刃を振るっていた。
でも、それで生きていけた。幸せではなかったかもしれないけど・・・。
今もわたしは人形のように、人の命令に従って生きている。
あなたの言葉によって動かされている。
だけど、昔とは違うところ・・・。
大きく違うところ・・・。
わたしは、自ら進んであなたの人形になることを選んだ。
わたしを、あの場所から拾い上げてくれた、あなたのために・・・。
(・・・・・・王)

721名無しさんのおもらし:2013/09/09(月) 23:44:34
本当は、カルは王と共に戦いたいと思っていた。あの魔物の軍勢と戦えば、間違いなく自分たちは破れ、死ぬ。
だが、それでもいい。構わない。王の側で、彼だけの人形として戦っていたかった。
 だが、自分に下された命令は、その思いとは正反対のものであった。王の娘、レイナ姫を城から逃がし、護る
こと。万が一、国が滅亡に危機に瀕した時には、自分こそがレイナ姫の護り手になるということは、以前から定
められていた。そして、その定めが変わることはなく、今日を迎えた。ただし、王はカルにもう1つだけ命令を
付け加えた。それは、王が死した後には、レイナ姫に従えということ。
 カルが、これらの命令を拒絶することは無かった。カルはいつもの通り、当たり前のように、王の命令を受け
入れた。それが本当に正しいのか、などとは考えない。人形のカルにとっては、王がそれを望んだという理由だ
けで十分。自分の理由なんて、いくらでも押し殺せる。そして、自分は彼の人形になることを望んでいる。
「・・・・・・・・・・」
 気球の中、カルは依然として眠りにつくレイナ姫を眺める。
 この姫のこと、カルは嫌いではない。よくできた人だと思っている。彼女が、彼女の育ての父である王を、そ
してその国をとても愛していたことはよく知っている。
 最後の時も、彼女は国と共に亡ぶ道を歩もうとしていた。それは、自分にも似ている。自分と彼女は似ている
のかもしれない。
 だけど、だからと言って、カルはレイナのことを新たな主として認められてはいない。自分は、自分をあの場
所から救ってくれたからこそ、彼に全てを捧げることを誓ったのだ。これから、カルがレイナに従うのは、その
ある種の契約があるからこそだ。そう、レイナに従うのは、主にそう言われたため。自分の主は、あくまでもあ
の人・・・。レイナのことは、よくできた人だと思ってはいるが、それだけだ。それに、どうしても彼女に対す
る憎しみの感情も湧き出てきてしまう。
≪レイナさえいなければ、わたしはあの人の人形としてあの人の側で生きて、あの人と共に死ぬことができたのに…≫
「・・・ダメ」
 気球の動力の橙色の光に向かって、レイナは呟いた。
 ダメ・・・。わたしは人形。あの人が望んだのだから、わたしはこの人に従う・・・。

722名無しさんのおもらし:2013/09/09(月) 23:44:53
やはり、レイナは目を覚ますと城に戻りたいと言った。
 レイナに答えた戻れない理由は本当だ。この気球は、動力を動かしたカルにも操作することはできない。はじ
めこそ炎を噴き出していた動力は、今はただ橙色に発行し続けている。だが、それでも気球はゆったりと空を飛
んでいる。しかも、風に流されているようでそうではなく、どこか一方の方向へ・・・。
 レイナが気球を動かすことが不可能だと理解すると無言の時間が続いた。カルはずっと周囲に警戒の目を走ら
せ続ける。だが、特に進んでレイナと会話をすることはない。レインあに命令されれば、動くだろうが、命令さ
れない限りはこちらから動こうという気持ちは、今はない。周囲への警戒を怠らないのは、王の「レイナを護れ」
という命令に従っているのだ。
(わたしは・・・どうしただろう)
 カルは思う。
(もし気球が自由に動かせたら、わたしはどうしたのだろう・・・)
 王の命令に従い、気球を目的地へと進めるか・・・。
 新たな主であるカルの命令に従い、気球を城へ戻すか・・・。
 わたしはどちらを選んだだろう・・・。

723名無しさんのおもらし:2013/09/09(月) 23:45:21
静かな闇の中で、カルは延々と考えをめぐらせる。思考が行き詰ると一旦それらの思いの全てを心の奥深くに
閉じ込め、人形としての自覚を取り戻す。だが、不意に闇を斬り裂く流星のように、どこからともなく突然と、
新たな何かが脳裏をかすめる。
 そのような時間を過ごした末に、やがてカルの中にある問題が生じた。
(・・・・・おしっこが、したい)
 この気球に乗った時から、そしてこの気球を操作することができないと知ってから、いずれはその問題に直面
することは分かっていた。分かっていたが、どうしようもない。
 絶対にトイレに行くことのできない状態で尿意に襲われているのだ。ならば、失禁するまで我慢するしかない。
 カルが尿意を堪える理由は、羞恥心だけではない。王に拾われてから、カルの世界は変わった。王宮に仕え、
生活する術を学んだ。宮廷における礼儀作法も学んだ。王に仕える人形として、その姫の前で粗相など決してで
きない。できないのだ。

724名無しさんのおもらし:2013/09/09(月) 23:45:40
 やがて、レイナ姫の様子が少しおかしくなってきた。表情が固くなり、そわそわと落ち着きがない。明らかに、
レイナ姫は尿意をもよおしている。カルはそう判断していた。
 しかし、この時点でカルも相当な尿意を感じている。姫の前で、カルがもじもじと身をゆすり、はしたない仕
草をすることはないが、膀胱がどうしようもなくむずむずとして、身体を動かしたくなる欲求に襲われる。さら
に、カルの予想よりも早く尿意が強くなっていく。原因は、冷たい外気だ。季節は秋。地上は、涼しく過ごしや
すい程度の気候だが、上空の事情は違う。防寒着は持っているし、姫も自分も着用しているが、それでも寒い。
そして寒さの分だけ、尿意が強くなる。
 本当に久しぶりに、カルはある疑問を自分に投げかける。
―いつまで我慢できるだろうか?―

725名無しさんのおもらし:2013/09/09(月) 23:45:57
時間の経過と共に、尿意は確実にその強さを増している。カルはもう何度も、「ここが限界」という判断をしてきた。
後1時間が限界・・・
恐らく、それだけの時が流れる。
気球はつかない。
後30分が限界・・・
時間が流れる。
気球はつかない。
 膀胱がキリキリと痛む。握りしめた手のひらに汗がにじむ。周囲を警戒する見張りの姿勢は、見た目にはほと
んど変わっていないが、上手く出口を圧迫できるような姿勢をとっている。
(いつまで・・・我慢、できる・・・?)
 苦しい。辛い。もう出してしまいたい。
 でも、王族の前で失禁なんて許されるはずがない。
 王族の前で・・・・。
 ・・・・・・・・・。
 ・・・本当にそれだけだろうか?
 本当にその理由だけで自分は我慢を続けているのだろうか?
 いや、きっと違う。羞恥心やプライドや・・・いろいろな感情が入り混じっている。
 自分は、彼女の前でもらしたくないと思っている。
 なぜそのような思考になるのかは、よく分からない。
(わたしに・・・はッ・・・よ、く・・・わから、な・・・い・・・ッ!)
 カルは必死におしっこの出口に力を注ぎ続ける。見た所、レイナも相当切羽詰まっている。いっそのこと、レ
イナが先にもらしてくれればいい。そうすれば、王族自身が粗相をしているのだ。自分の粗相もまた、問題にな
らない。それに、よく分からないが、その方がいい。いい気がする。
 もはや、ずっと我慢し続けるなどという選択肢はない。もう肉体的な限界が近い。はっきりいって、どっちが
先に限界を迎えるかというだけの話だ。
(わたしは・・・まだッ、我慢・・・できるッ!・・・あ、後・・・後、30分・・・)

726名無しさんのおもらし:2013/09/09(月) 23:46:18
時は流れ、もはやレイナは尿意を全く隠すことができなくなっていた。彼女はもじもじとしきりに身を揺する。
その手はすでに股間にさしこまれている。レイナがこちらの様子を伺っていることには気づいていた。互いに言
葉は発していないが、これは一種の決闘だ。互いに、相手の方が先に限界を迎えてくれることを願っている。
(ああ・・・・)
 カルは、かすかに震えている。あまりの尿意に、全身がガチガチに固まってしまっている。
 おしっこの我慢は、ここまで辛いものなのだ。カルははじめて知った。恐らく、ここまで尿意を堪えるのは生
まれてはじめてのことだろう。
 膀胱は本当に破裂してしまいそうだ。もはや尿意なのか痛みなのかよく分からない。全力でガマンを続けてい
るはずなのに、少しずつ水滴がもれて、下着をぬらしている。ちびってしまっているのだ。
(おしっこを・・・出し、たい・・・)
 もはや、カルはそれだけを思っていた。おしっこを出したい。出してしまいたい。
 辛い。あまりにも辛すぎる。
 だけど出したくない。なぜだろう、出すなと命令されているわけでもないのに・・・。
 分からない・・・。だめだ、考える余裕もない。おしっこが、したい・・・。
(くっ・・・・あぁっ!・・・・!!)
 歯を食いしばり、力を込める。もうこれ以上込められるはずはないのに、まだ力を込める。お腹の中が焼ける
ようだ。身体が悲鳴を上げている。
(・・・・!!・・・・ま・・・まずい・・・ッ!)
 尿意の波だ。これは、今までのものよりも大きい。

727名無しさんのおもらし:2013/09/09(月) 23:46:35
カルはさらに力を込めようとする。しかし、もうこれ以上は無理だ。どうすれば力を込められるのかもよく分
からなくなってくる。そもそも、今力は籠っているのだろうか・・・?
 と、その時だった・・・。突然、膀胱がきゅんと縮み上がったかのようだった。今までにない勢いで、急激に
尿意が高まった。
(・・・・・・・・!!!!!!!!!)
 何とも言えない感覚が、尿道の辺りに襲い掛かる。同時に、レイナが何かをしゃべりかけてきたが、今のカル
には聞こえていない。
(あっ・・・ああ・・・・あああ!!)
 じわっと、温かいものが下着の中に広がった感覚がした。
(もれ・・・た・・・)
 同時に、カルの目から涙が零れ落ちた。自分が泣いたということに驚く余裕さえなく、一度もれだした
おしっこは、制御不能となってカルの出口に押し寄せた。
「もうしわけ・・・あり、ませ・・・ん・・・」
 なぜか、その言葉が口をついて出た。
 震える声でそう言い終えるか負えないかのうちに、くぐもったような水音が狭い籠の中に響き渡った。


自分自身さえも知らぬ運命に飲み込まれていく少女と
人形のようになることを願いながらも、そうはなりきれず、新たな使命を探し求める少女。
2人の旅のはじまりは、そんな夜だったという。


END

728名無しさんのおもらし:2013/09/10(火) 01:29:01
乙。ダブルでおみごと
前フリ長くない?

729名無しさんのおもらし:2013/09/10(火) 01:57:18
>>728
バランスは何も考えてなかったわ。

次書く時あったら意識してみる

730kh:2013/09/15(日) 14:48:42
急にごめんなさい!!コレあたりますよ!!;マジでw;

これはアメリカのゲームです。1度やってみてください。
これは、たった3分でできるゲームです。試してみてください。
驚く結果をご覧いただけます。
このゲームを考えた本人は、メールを読んでからたった10分で願い事がかなったそうです。このゲームは、おもしろく、かつ、あっと驚く結果を
貴方にもたらすでしょう。
約束してください。絶対に先を読まず、1行ずつ進む事。
たった3分ですから、ためす価値ありです。
まず、ペンと、紙をご用意下さい。
先を読むと、願い事が叶わなくなります。
①まず、1番から、11番まで、縦に数字を書いてください。
②1番と2番の横に好きな3〜7の数字をそれぞれお書き下さい。
③3番と7番の横に知っている人の名前をお書き下さい。(必ず、興味の
ある性別名前を書く事。男なら女の人、女なら男の人、ゲイなら同姓の名前をかく)
必ず、1行ずつ進んでください。先を読むと、なにもかもなくなります。
④4,5,6番の横それぞれに、自分の知っている人の名前をお書き下さ
い。これは、家族の人でも知り合いや、友人、誰でも結構です。
まだ、先を見てはいけませんよ!!
⑤8、9、10、11番の横に、歌のタイトルをお書き下さい。
⑥最後にお願い事をして下さい。さて、ゲームの解説です。
1)このゲームの事を、2番に書いた数字の人に伝えて下さい。
2)3番に書いた人は貴方の愛する人です。
3)7番に書いた人は、好きだけれど叶わぬ恋の相手です。
4)4番に書いた人は、貴方がとても大切に思う人です。
5)5番に書いた人は、貴方の事をとても良く理解してくれる相手です。
6)6番に書いた人は、貴方に幸運をもたらしてくれる人です。
7)8番に書いた歌は、3番に書いた人を表す歌。
8)9番に書いた歌は、7番に書いた人を表す歌。
9)10番に書いた歌は、貴方の心の中を表す歌。

731事例1「山寺 瞳」と私の自己紹介。①:2013/10/07(月) 21:24:58
私の名前は雛倉 綾菜(ひなくら あやな)。
自己紹介っていうのは、どういう場であっても面倒くさいもので……。
……。

えっと、つまらないと思うので話を進めながらしようと思う。

今は6時限目の授業中。科目は……現代文だけど、まぁそんなことはどうでも言い訳で。
私は今授業をまじめに聞いていない。……一応言っておくけど、成績いいほうだからね私。
聞いてない理由は、非常に気になる『声』のせいなんだけど。
……あ、いや、別に嫌な『声』じゃ無いのよ。むしろ好きな『声』。

『……どうしよう、先生に言わないと、もう我慢キツイし――』

そう、これが『声』。
多分、私にしか届いていない心の『声』。

私は物心付いた時から超能力――って言えばいいのかな?
他人の心を聞くことができる一種のテレパシーを使える体質だった。
なんか、これだけ聞くと凄く便利そうだけど人生はそんなに甘くない。

私のそのテレパシーの能力は受信専用な上、限定的な範囲だった。
いくつか条件があるんだけど、中でももっとも重要なのが、同波長であること。
つまり、怒っている相手のことを知りたければ、私も怒らないといけない。
察しのいい人ならもうわかってもらえてるだろうけど、これって非常に役に立たない能力。
相手の求めてる答えがわかる便利能力でもなければ、欲しい情報を引き出せる能力でもない。
自身が持つ偽り無い感情と同じように感じている相手の心を読み取る能力ってだけ……。

あと細々した条件もある。さっき例に出した怒っている状況って非常にアバウトな表現なんだけど、
アバウトである場合その『声』が『大きな声』でない限り私には届かない。
逆に「あの先生、無駄話が長くて腹が立つ」なんて具体的な怒りの場合、同じようにさえ思っていれば例え『小さな声』でも聞き取れる。
他は――もう割愛する。

『うん、言おう、一生の恥よりは一時の恥だよね!』

つまるところ、実は今尿意を耐えている私には、同じように尿意を耐えている人の『声』が聞こえるってわけ。
尿意に耐えるって言うのは結構具体的だからそれなりに聞き易い。
私が編み出したこの超能力を最も有効に活用できる方法ね。

え? 何が有効なのかって?
だって、ほら……おしっこ我慢してる子って可愛いじゃない。
それが誰だか検討付くわけで、相手の恥ずかしい『声』も聞けちゃうし……どやっ! 羨ましいでしょ!

まぁ、自分も我慢しなくちゃだめだし、判ったところで大抵普通にトイレに行っちゃう子ばかりなんだけど。

で、さっきから聞こえているこの子は隣のクラスの山寺 瞳(やまでら ひとみ)さん。
結構我慢してる『声』を聞く子なんだけど、今までこんなに切羽詰った『声』を聞くことは無かった。
5時限目の途中から軽く声が聞こえ初めてたんだけど、どうも休み時間にいけなかったみたいで、随分追い詰められてるみたい。

732事例1「山寺 瞳」と私の自己紹介。②:2013/10/07(月) 21:26:21
『ぐぬぬ、先生トイレの申し出を断るとか頭おかしいよ……』

より切迫した状況になったようだ。GJ先生!
――と言っても授業終了まであと15分。授業終わったらトイレに先回りしてみよう。
いくらなんでも高校生がそう簡単に失敗しないのは経験からわかってるし、切迫した『声』が聞こえただけでもいい収穫だ。

『あーん、早く終わってよぉ……もう膀胱パンパンだ……』

うん、いい『声』。その膀胱触りたい。

『本当限界近いのに……抑えてたらバレちゃうかな……』

『ダメ本当ヤバイ……もう抑えちゃおう』

……この子ホントにギリギリなんだ……。
そんな声を聞いて私も足を不自然に絡ませる。
結構私もきつくなって来たかな……。

<キーンコーンカーンコーン>

『やった! チャイム、これでトイレに……って宿題の説明とかいいから早く終わってよ! あぁもう!』

またも先生に邪魔されてる模様。流石にちょっと可哀想だな……。
そんなことを思っていると、とことこ、私の席に元気な少女(可愛い)が来た。

「あやりん、ちょっと現代文でノート取りそこなったところがあってねー」

この元気で無垢な子は私の友達の黒蜜真弓(くろみつ まゆみ)。
ちなみにノートなんて私も取ってないわよ!

「……私も取りそこなった」

「うわーん、あやりんもか、あの先生消すの早いからのんびり居眠りもできないもんねー」

確かに早い方だけど、居眠りって……そりゃ取りそこなうよ。
私も居眠りこそしてなかったけど、『声』に夢中だったし人の事は言えないけど。

『よし、終わった、早くトイレに行かないと間に合わなくなっちゃうかも……』

「っ! ご、ごめん、ちょっと用事あるから」

っと、まゆとの話も大事だけど、今は急いでる。
一応私のクラスのほうが山寺さんのクラスよりトイレに近いし間に合うとは思うけど。

733事例1「山寺 瞳」と私の自己紹介。③:2013/10/07(月) 21:27:27
「って、行列!?」

あ、そっか隣のクラス――――私はBクラス、山寺さんはCクラス、でこの場合の隣はAクラスのこと――――は2時間続けての家庭科の授業だった。
移動教室だったし、帰ってきたのがついさっきで、さらに言えば山寺さんに気を取られて気が付いてなかったけど、今更ながら良く聞くと小さい『声』は4〜5人居る。
皆切羽詰まってるわけではないけど。

『えぇ! 嘘!なんで、こんなに……』

一際大きい『声』に私は軽く驚く。
不振に思われない程度に振り向くとショートカットのいつも元気な山寺さんが少し不安げな顔をしていた。
流石に廊下では前は抑えていなかったが、注意深く見るとほんの少し前屈みで、左右に体が揺れているのが判った。

『どうしよ……他のトイレ…遠いし結局込んでたらHRに間に合わないし……と、とりあえず並ぼう』

そうして山寺さんは個室が3つあるトイレに7人程が並んだ行列の最後尾に付く。
そのまま見てるのも不自然だし、私もその後ろにとりあえず並ぶ。
一人2分だとして、今入ってる人もいるから回ってくるまで順調に行って5分前後って所だろうか。
HR開始まであと4分程度だし厳しそう……。

『あぁ、ダメ、足踏みしたい! 抑えたい! でも此処まだ廊下だし……どうしよもう我慢できないないのに……』

山寺さんは右手をスカートの前でウロウロさせて、左手は口元に持って行ってる。
左手のは不安な時に私もよく口元に持っていくしなんとなく判る。
右手は……抑えたいんだろうな、でも流石に高校生にもなって恥ずかしいから……うん、すごく可愛い。

『このペースじゃHRまでに出来ない……もう他のトイレも間に合わないし、やっぱりHR終わるまで我慢? だ、大丈夫かな……』

そして――

<キーンコーンカーンコーン>

――無情にもHRの開始を告げるチャイムが鳴った。

『あぁ! やっぱりHRに遅れてもいいから済ませないと…もう……』

「おーいなにしてる山寺ー! HR始めるぞ!」

クラス担任が廊下を通るという当たり前のことだけど、今回ばかりは窓から入るくらいの気遣いがあっても良かった。
渋々クラスに戻る山寺さんを確認してから私も自分のクラスに戻ることにした。

山寺さん大丈夫かな、教室で――なんてことになったら……いや高校生だし大丈夫だとは思うけど。
なんだか私までドキドキして心配してる。
こんなにドキドキしたの入学式の生徒会長さん以来かも……。

「んっ」

教室に戻る為体を捻った時、膀胱に負荷がかかって気が付いた。
私も膀胱がかなり張ってきてる。持ってもあと1時間って所だろうか。
出来れば仕草とか見せたくないし、本当の限界まで我慢したくない。
山寺さんのが終わったらさっさと済ませちゃわないと……。

734事例1「山寺 瞳」と私の自己紹介。④:2013/10/07(月) 21:28:37
――
 ――

『はぁはぁ……ダメ溢れそう……』

『我慢、がまん……うぅ……』

『ぁっ! 〜〜〜んっ……い、今のは危なかった……』

え、ちょっとホントに山寺さん大丈夫なの??
そりゃHRもあと2〜3分だと思うけど――

『やぁ……ダメ、もう出ちゃう……早く終わって』

私は完全に担任の教師をガン無視して、真っ赤な顔で山寺さんの『声』に意識を集中させる。
山寺さんは1分間隔くらいで波が来るたび、息を止め、熱いと息を吐いて何とか耐えている様子。
私も釣られてもじもじしてしまいそうになるが、なんとか我慢。

<キーンコーンカーンコーン>

『ふぅー、ふぅー…や、やっと終わった……今度こそやっとトイレに行ける』

私のクラスも丁度終わったので一足先にトイレに向かう。
すると……HRが既に終わっていたであろうAクラスの人たちが個室に3人入っていったところで、さらに一人並んでいた。
私はその後ろに並ぶ。

『ま、また並んでるの!』

直ぐに山寺さんの『声』とともに本人さんもやってきた。
横目で様子を見ると……トイレの入り口当たりとはいえ完全に前抑えちゃってる。……可愛いけど。
おそらく教室からトイレまでその体制で来たんだろう。
その場で足も踏み鳴らしてるし、もう猶予はなさそうに思える。

『あぁ、もうダメなの! 早くもう待てないよ……』

その時一つ個室が空いた。
前に並んでいた人が入っていき鍵を閉める。
あの子は確かHR前にも並んでいた子だったかな。

735事例1「山寺 瞳」と私の自己紹介。⑤:2013/10/07(月) 21:29:43
「ぁの、す、スミマセン」

「え?」

突然山寺さんが私に話しかけてくる。

「私、その……もう我慢できなくて、次入れさ…――んぁっはぁっ……せて、下さい、お願いします!」

私が変わらなくても個室は3つあるのだから、おそらく長くて1分も変わらない。
それでも代わって欲しいなんて台詞を、一度も話したこともない私に真っ赤な顔して言ってきてる。
もうなりふり構ってられないんだ……。

「……いいよ」

「あ、ありが…とう」

<からから>
その直後、中からペーパーのカラカラ音が聞こえてきた。

『もうすぐ……もうすぐだから……あぁぁ、だめ……』

もう直ぐ入れると思って気が緩んだのか『声』から焦燥がつわたってくる。
音が聞こえてきた個室の前で、足踏みして、右手はスカート越しに太腿に挟んでいる。
凄く萌えるけど……ここで失敗しちゃうと私を含めて沢山の人に見つかるから、それは凄く気の毒で……。

「やぁ……もう出ちゃう、早く、お願い早くぅ!」

ついに誰にでも聞こえる声に出して彼女は個室に向かって叫ぶ。

「ぁ……」

私は気が付いた、太ももに一筋何かが光った。
まさか……本当におもらし?
え、どうしよ!? hshs? ペロペロ? いやいや、そこまで私変態じゃないし!
助けてあげたいけど、こればっかりはどうしようもないしオロオロするだけの私。

『やだやだ! 後ろの子に気が付かれた!? だめ、もう出ないで、これ以上はもう……』

736事例1「山寺 瞳」と私の自己紹介。⑥:2013/10/07(月) 21:31:11
<ジャバー>

一瞬ビックリしたが中の水を流した音だ。
だったらもう出てくる……。

「あとちょっとだよ山寺さん!」

私の言葉の直後扉は開き、個室から先客が出てこないうちに滑り込むように入っていった。

『だめ! もう下着をずらして――』

<シュィー>

「はぁ…はぁ…」

中からは荒い息遣いと、陶器に当たる水の音が響く。
音消しなんてする暇なかったんだ。

『気持ちいい……なんとか間に合った……のかな』

その『声』は次第に小さくなってゆき消えた。
波長が私のと合わなくなったんだろう。
とっても可愛かったなー。

そうこうしてる間に隣の個室が空いたので私も入る。
個室に入り人目がなくなったのと気が緩んだので急激に尿意が加速したが、私は音消しもなんとかして済ますことができた。

すっきりして大きな溜め息をついて外に出ると、山寺さんが待っていた。

737事例1「山寺 瞳」と私の自己紹介。⑦:2013/10/07(月) 21:32:19
「あの、その……」

なんだろう?
あ、わかった!

「大丈夫! 黙って置くから」

「ふえ!? い、いえ、その代わってくれたことのお礼だったんだけど……」

「え――ご、ごめん今の聞かなかったことにして……」

普通に間違った。
真っ赤な顔してるし、恥ずかしい思いさせちゃったかな……。

「……あ、それと…どうして私の名前知ってたの?」

……しまった、そういや苗字で呼んじゃった気が……。
同学年の女子の名前と顔全部覚えてるとか言ったら引かれそうだし……。

「えっと、ほら、元気で明るくて誰とでも話せる子って評判いいから……」

「あ、別のクラスまでそんなの広まってるのか……」

いや多分そんなに広まってない。
こっちのクラスにはほぼ上位交換のまゆが居るし話題になったことなんて多分なさそう。

「えっと貴方は?」

えーと、どういう質問だろう?

「あ、ごめん……私はあなたのこと知らないから……名前聞いておこうかなって思って」

「あーなるほど、えっと、私は雛倉綾菜よろしく」

なんだか照れるな……友達になれたりするのかな?
握手の為手を出す。

「うんよろ――あ、ごめん手洗ってくる!」

「あ、私もだ」

ふと『声』が聞こえた。

『危なかった! ペーパーでふき取っただけだから汚かったし……念入りに洗おう』

んー、別に私、触る趣味までは無いからね……。直ぐそこで手も洗うし、そこまで気にはしないけど。
私が照れてて聞こえたって事は、山寺さんも照れてたり恥ずかしかったりしてたのかな?
誤魔化すために無駄に持ち上げちゃったし、ちびっちゃった後だし当然そうなるか。

『でも、雛倉さんって確か『一匹狼の雛さん』のことだよね? 思ったより話しやすいかな』

う……なんか妙な私の噂が広がってるのね……。
基本外面はドライな感じで接してるし、……若干コミュ症だしで勘違いされてるわけか。

私は照れから一転、アンニュイな気分になったのでもう『声』は聞こえなくなっていた。

おわり

738「山寺 瞳」:2013/10/07(月) 21:33:34
★山寺 瞳(やまでら ひとみ)
記念すべき初回犠牲者。
雛倉綾菜と同じ1年だが別クラス。

活発でおしゃべりが大好きな高校生。
男女隔たり無く話せる。

下ネタなどエロイ事、恥ずかしいことには免疫が無く赤面してしまう一面もある。

膀胱の大きさは人並みだが、尿意を感じるのが遅く、気が付いてから限界までが早い。
最大量650ml対して尿意を感じるのは300ml程度から。
何かに夢中になっていると500ml程度になるまで気が付かないことも……

綾菜の評価では、ほぼ真弓の下位交換。でもお気に入りの子の一人。

☆事例1 作中での尿意の推移。
昼休みをお喋りで夢中になっていた彼女はトイレに行くことなく授業が始まってしまう>300ml
授業が終わりトイレに向かおうとしたところで友達に話を振られ、ついつい喋りんこんでしまう。>450ml
結局6時間目に入り我慢するもきつくなって先生に申し出るが却下されるのは授業終了15分前のこと。>550ml
授業終了して直ぐにトイレに向かったがトイレは込んでいてHRの時間になってしまう。>600ml
HRの10分間、泣きそうになりながら終わるのを待ってトイレに向かう。>620ml
二つしかないトイレの個室に2人の順番待ち。ちなみに二人目は「綾菜」
限界が差し迫り順番待ちが「綾菜」だけになり我慢できないから譲って欲しいと頼む。>630ml
譲って貰えたが油断から緩み少量漏れ出してしまう。
個室内で下着をずらしてなんとか放尿。終。

739名無しさんのおもらし:2013/10/07(月) 21:36:40
誤字訂正忘れてた
上位交換、下位交換>上位互換、下位互換

740名無しさんのおもらし:2013/10/07(月) 23:56:25
GJ
ただ放尿オチなのと、文中にネットスラング多用はあまり良く思われないと思う(やっぱり酷評する人間の屑)

741名無しさんのおもらし:2013/10/08(火) 00:22:08
GJ

742名無しさんのおもらし:2013/10/08(火) 00:22:18
酷票も待ってたので問題ない、様子見の導入回だし。

ネットスラングそんなに多用したかな? hshsくらいしかわからないくらい毒されてるだけか。
キャラの設定が若干というか結構変態なのでこんな感じになってしまわれた。
放尿オチは……ほらちょっと失敗してるし……ごめんなさいorz
話の盛り上げの関係でこの先もう一回やってしまうかもしれないが、スレ汚しならこれで終わっておくべきか

743名無しさんのおもらし:2013/10/08(火) 00:26:00

      |二_  _―-、_   |、ヽ_,./ r''‐'´ヽ ヽヽ  |  |
      | i二ニ―---、__, | | | ̄─_ヽヽ、:::::ノミ-| l /  |
     く二二ニ-‐''''''~´  \ヽ`'‐=,´  \/ \ノ  人) |
     |  ノ /  /二三´`ヽヽ l /ヽヽ ヽ /r‐´// |┐
     /‐'´,/ /く \-- ̄`''‐\ ヽく ||ノ、lノ,-'´// |
    ヽ/_///く   :ヽ弋;;;;ッ-、 | |:::::-<::::-=ニ二//  /´
     Y´  .\/ ノ      ̄ ̄::::ノ/ ヽ !弋シフ´/ r‐'
     | /`i、  .V/ ヽ      ::::::lノ  __| ヽ::   | /  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     .l l | ヽ |          :::::../::::: ̄ノ   //  |関係ない
     ヽヽヽ! |            \::::::/   |/  <
      | vヽ |          _,. -''''ヽ-‐、   .|、ヽ  |行け
     /.( (>、_|         !-‐''~´ `~´\!  ./'ノ   \_____
     |/ `-i´ |.          '';;,,,,,,,,,,,,,,,;;''  /|/             _,,、
     |   |  |.           """""   / |          r'''ヽ''´ヽ ヽ!-、
_,. --、 ||||   \               | |          '、 `''''''  _ノ,.--`--┬''ヽ,
    ヽ| 川|    \       ___   / |           `''''''''フヽ´   ヽ,,,,ヽ_ノ__,,
   | |||||      ::::::\  /:::::::::::::::\/ |          _,. -''´-、,.-‐‐''''''''´./ ヽ  ヽ  )
   / | | 川|       ::::::`'''‐------‐''´:  |         /r‐'''''''´/ヽヽ_, イ´    ノ _フ

744名無しさんのおもらし:2013/10/08(火) 01:32:00
これはおいしいアイデアの割に・長さの割には1投下で関心を掴むって感じじゃないのが残念だな

>>738>>742(これも作者でいいか?)やタイトルの付け方を見る限り
投下に重要な「コダワリ」なり「意欲」なりは充分ありそうなので
(あるなら)今後に期待ってとこか
というかあからさまに長く続けるの前提の体裁とってるから
この先がどっちに転ぶかはともかく
これで続かなかったらやらかした感を残してしまうかも

745事例の人:2013/10/08(火) 18:39:18
>>744
真剣なレスありがとう
一行目に関しては読者に対して、気持ち程度にしか配慮してないからその通りだと思う。
様子見の導入回と言ったとおり、必要最低限の情報と本編の流れだけを掴んで貰うための話。
正直、自己満足の延長線ですからね、配慮しすぎて自分の書きたいもの見失うのもどうかと思うし。
もちろんその都度頂いた指摘に関しては考慮はします。配慮は状況によるのでなんとも。

期待や続き待ってる人が少なからず居るようなので、投下はとりあえず続行……でいいんだよね?
不定期に更新しますので、他の作者さんは途中だからって投下を遠慮しないように!

746名無しさんのおもらし:2013/10/09(水) 00:11:19
さて一見同時多発的に見える活況が実体を伴うか

はたまたこういうときよくありがちなシンクロニシティ(笑)が訪れるか

一ヶ月後の板の様子が見ものではある

747事例2「篠坂 弥生」と……。-前編-①:2013/10/23(水) 00:46:04
<キーンコーンカーンコーン>

「ふぅ――体育館熱すぎ……」

体育館を出て、独り言を呟く。
バドミントンでまゆとダブルス組んで、バド部の奴以外叩きのめしてやった。
これでちょっとは「“一匹狼の”雛さん」って不本意な噂もマシになる……といいんだけど。

私は体育館と本棟とを結ぶ、渡り廊下の一角にある冷水機に足を進める。
――って言っても私が冷水機に求めているのは、渇いた喉を潤す為だけではないのだけど。

それなりに汗を掻いたから、いまいちどれくらい飲めばいいのか判らない。
飲みすぎたら困るの私だし、少なすぎるとそれはそれで意味がない。それじゃ勿体無い。
というのも、体育のあとは皆沢山水分取るから狙い目なのだ。
今も冷水機の前に4〜5人いるし、他の子は持参の飲み物とかも持ってきてるみたいだし。
さらに言えば火照った体は水と汗で冷やされ、より尿意を加速させ――

「ごくごくごく……」

――えっと、今可愛く喉を鳴らしながら水を飲んでいるのは、篠坂 弥生(しのさか やよい)さん。
体育の時間それほど目立っていたわけではないけど、真面目で一生懸命な彼女は結構な汗を掻いていたらしく、相当喉が渇いていたみたい。

本当、良い飲みっぷり。だけど……そんなに飲んで大丈夫なのかな?
……まぁ、この子は授業の合間にいつもトイレに行ってしまうから、『声』は聞くけど、あまり隙が無いんだけど。
それにしても背が低いので若干飲み難そう。う〜ん可愛いなぁ。

私がそんな危ない視線を、外面の表情の薄い瞳を通して眺めていると、彼女は飲み終わって直ぐ体育館に一番近いトイレに行ってしまった。
まぁ、いつもの彼女通りの当然の行動か。

さて、私も飲もう。上手く調整できるといいけど。

――
 ――

3時限目が始まって20分くらいで、私は尿意を感じ始めた。
少し早い気もするけど、朝、家で済ませてから一度も行ってないし、まぁ、こんなものよね。

感じた尿意を心の片隅にとどめ、私は『声』を聞く為、感覚を研ぎ澄ます。

『そういや朝からトイレ行ったきりか……』

『ちょっと、体育のあと飲みすぎたかな〜』

とりあえず今は二人。
私も相手の尿意もまだそれほど高くないし、聞き取れる『声』もまだまだ小さい。
まだ授業始まって直ぐだし、これからってところね。

748事例2「篠坂 弥生」と……。-前編-②:2013/10/23(水) 00:47:34
――
 ――

あれからさらに10分経過した。
『聞く』感じではそれほど変化は無いと思う。
……というか私の尿意が思ったより早く高まってきてる……これはちょっと誤算。
昼休みまでは何とか持ちそうだし、状況によってはこの授業終わったらトイレに行けばいいから問題ないけど。

『あ……さっきお手洗いに行ったのに』

およ? このオドオドした感じの『声』は篠坂さん?
やっぱり……流石私調べで一番トイレが近い1年生。
アレだけ飲めばいくらトイレに行っててもしたくなって当然。
でも、授業も残り時間20分切ってるし、流石の彼女も余裕を持ってトイレに行ってしまうだろう。

私はクラス全体の『声』に気を配りつつ、数学のノートを取る。
また、まゆが写しに来た時悪いし。
そう思いつつまゆのほうを見ると……あー、うん、やっぱ寝てる。
アレでもそれなりの成績って言うんだから、まじめにしてる他の人にして見れば羨ましいだろうな。
まぁ、私もまじめっぽいだけで、それほどまじめじゃないから、どちらかといえば、まゆと同じような人種なのだろうけど。

――っと、いつの間にか『声』が6〜7人に増えてる。
一人はそれなりの『大きい声』になってきたけど、やっぱりまだまだって所。
次の休み時間にトイレに行き損ねたりすると、もしかしたら『良い声』が聞こえるかもしれない。

――
 ――

<キーンコーンカーンコーン>

「あ〜やりん、次移動教室だし一緒にいこ!」

「……わかった、教科書とか準備するからちょっと待って」

授業が終わり、次は科学の実験。
移動教室なのでまゆが誘いに来た。

「……そういえば、まゆ、寝てたけどノートは?」

「取ってる訳ないじゃん、あとで写させてよ〜」

はいはい、いくらでも写させてあげますよ。
そう思いながらも、まゆに聞こえるように嘆息してみせる。

『うぅ、届かない……早くお手洗いに行きたいのに……先生、上の方まで書きすぎだよぉ』

授業が終わって殆どの『声』は一番近くのトイレの方へ消えていったのだが
ただ一人、そのオドオドした焦りがちな『声』は教室に残っていた。
それは『声』の主は、もちろん篠坂さん。

私が篠坂さんの方を見ているとまゆもそっちに視線を向ける。

749事例2「篠坂 弥生」と……。-前編-③:2013/10/23(水) 00:48:23
「うわー、大変そう手伝いに行く?」

「……日直か、もう一人は――根元さんか。……休みね」

黒板消しは日直の仕事。
だけど、もう一人の根元さんは休みだし、一応私、クラス委員長――――なんか入試の成績良くて、まじめそうだからって理由で選ばれた。酷い!――――だし
立場的にほっておく訳には行かないか。
背の低い篠坂さんにはちょっとばかり大変みたいだし。
台を持ってきて必死に背伸びで消してる姿は……可愛いね。

でも、どうやって人付き合いが苦手な私が声を掛けるのか……無理じゃない?
とか、駄目人間的な事を真剣に悩んでると、隣で私の様子を見てまゆが手を上げて叫んだ。

「おーい、弥生ちゃーん、私ら手伝おうか〜?」

「っ! だ、大丈夫です、私の仕事ですから…お構いなく」

あら、断られた。
まじめだからな篠坂さん。

「んじゃ、先理科室行ってるからねーおくれないでねー!」

結局手伝えず、私は一言も喋らずにまゆと教室を出る。

あー……こんなのがクラス委員長で良い訳けない。
さっさと2学期になって引継ぎしたい。
……したい?

あ……トイレ行ってない――まぁ、いいか、想定よりは早いペースだけど、まだまだ我慢出来そうだし。

理科室に付くとクラスメイトはまだ疎らにしか集まっていなかった。
各々、6人掛けの実験台の周りを、囲うようにして好きなところに座っている。
『声』は――無し。……後から来るクラスメイトたちも済ませた後だろうし、この時間だけで我慢できなくなる子はいないだろう。
つまり……午前中は我慢損か。

こんな時なんてよくあることだし、それほど気にする事でもない。
ただ、今回は我慢してる量がちょっと多いし、辛いってだけ……。

『はぁ、結局お手洗い行けなかった……黒板消し手伝って貰うべきだったかな……』

えっ!
篠坂さん? ど、どうして??

750事例2「篠坂 弥生」と……。-前編-④:2013/10/23(水) 00:49:26
<キーンコーンカーンコーン>

篠坂さんが理科室に入ってきて直ぐにチャイムが鳴り響く。

なるほど、時間か……黒板消しに時間取られてトイレに行く時間無かったんだ……。
何度も言うけど篠坂さんは真面目だから……そこが可愛い。
それにしても良かった。トイレ行って置かなくて良かったよ、私!

「おーい、弥生ちゃーんこっちこっち、もう此処だけだよ空いてる席〜」

「あ、うん」

まゆが叫ぶと篠坂さんがてこてこ小走りでこっちに来る。……とっても可愛い。
そして同じ実験台を囲えた。真弓様……グッドジョブです!

……でも、この実験台が人気無かったのは、きっと私が居たからなんだろうな。
結局休み分があるから、篠坂さん合わせても此処だけ5人。
ちなみにメンバーは、私・まゆ・篠坂さん・檜山(ひやま)さん・朝見(あさみ)さん。

あれじゃん、朝見さんも私と一緒で近寄りがたいオーラ出してるし、私だけのせいじゃないはず!
人気者のまゆを私と朝見さんでマイナスにするなんて……なんかごめん、まゆ。

「あぅ……よく見たらこの班、優秀な人が3人も――」
「そうそう、だからこの班選んだのよ!」

篠坂さんの恐縮そうな台詞に、檜山さんが被せるように言う。
って、そんな理由か!

「私はあやりんや呉羽ちゃんほど優秀でもないよ〜」

まゆはそういうけど、科学とかの理系科目は私と大差ない。
ちなみに呉羽(くれは)ちゃんというのは、朝見さんの下の名前。

そんな話をしていると先生が少し遅れて理科室に入ってくる。

「それでは実験を始めます、指定された器具を各班代表で一人、前まで取りに来てください」

751名無しさんのおもらし:2013/10/23(水) 00:49:26
これは期待せずにはいられないw

752事例2「篠坂 弥生」と……。-前編-⑤:2013/10/23(水) 00:50:58
「……私取ってくる」

何も喋らずに居るのも居心地が悪かった為、とりあえず器具を取りに行く。
そういや実験って何するんだろう?
えっと、この器具は――電気分解? だろうか?
籠にまとめて入っている器具を持って、私の班の実験台まで持っていく。

<ポチャンポチャン>

う……電気分解に使う水槽の液体の音が膀胱を刺激する……。
やっぱりそれなりに溜まってる。
『声』に集中してたりすると、そんなに苦じゃないんだけど、どうも音の刺激とか、トイレ前になると油断して波が来てしまう。
恐らく私の悪い癖だ。山寺さんの時も個室に入ってから結構辛かったし。
……さっさとこの籠、実験台に置いてしまおう。

<ガチャン>

そんなことを思って置いてしまった為か、ちょっと勢いよく置きすぎた。

「雛倉さん、もうすこし丁寧に置いてください」

ここで初めて喋ったのが朝見さん。
なんだかトゲのある言い方……いつも思うんだけど、この人、私への風当たりが強い気がする。
特に恨まれることした覚えないんだけど……。
こんなやり取りがなんだか理不尽に感じて、最近じゃ無視するようにしてるんだけど、むしろそれが余計に拍車をかけてるような気がする。
でも今回も無視。それ以外の対応の仕方が正直もうわからない。

『授業始まったばかりだけど……やっぱりお手洗い行きたいよ……』

そうそう、今は朝見さんとかどうでも良くてこっちが大事。

『まだ45分もある……あの秒針が45周……気が遠くなるような時間だよぉ』

そういう考え方って逆に長く感じる気がするんだよね。
秒針なんて睨んでると全然進まないし。

753事例2「篠坂 弥生」と……。-前編-⑥:2013/10/23(水) 00:51:48
「それでは、実験の説明をします。まず注意事項は――」

長々とした説明になりそうな感じで話し出す先生。
実験はこういう前置きが長くてやる気がそがれる。
小さいころは実験って聞くとテンション上がったんだけど……。

『説明長そう……あ、でも長くても授業終了時間は変わらないし一緒かぁ……』

まぁ、そうなるでしょう。
でも、何もせずに詰まらない話を聞くって言うのは、我慢してる身にはちょっと辛いけど。

「――以上です、各班事故の無い様慎重に行ってください」

どうやら終わったようだ。
実験内容は電気分解で、シャー芯を炭素棒に見立てた代用実験か……。

「はい、シャー芯」

隣からまゆがシャー芯を取り出す。
しかも折れて短い奴。……まぁ、長さは十分だけど。

「……まゆ、私にさせるつもり?」

「うん」

凄く断りたい。
篠坂さんの『声』も気になるし、私もトイレに行きたいから細かな作業をやるのは正直いやだ。
でも、良い断り方も思い浮かばないし、とりあえずやってみよう。本当に集中できなくなったら、
適当な理由をつけてまゆにやらせればいいし。

そう考え、私は嘆息して後、作業に入る。

『早く終わったら、早くお手洗いに……いけないよね……』

篠坂さんの『声』だ。
この先生結構融通利かないからな……早く終わったら自習とかになりそう。
むしろ終わらないと次が昼休みだし遅くなる可能性がありそうだ。

754事例2「篠坂 弥生」と……。-前編-⑦:2013/10/23(水) 00:52:35
『結構ヤバイかも……こんなに我慢したの最近じゃなかったな……』

『……抑えたい…檜山さんは実験見てるしバレないかな? ……いいや、もう抑えよう……』

授業終了まではあと30分。
まだ半分以上も残ってるけど、結構切羽詰ってきたような感じ。
きっと今大事なところを押さえてる。
でも、この位置からじゃ仕草が見えないし実験でそれど頃じゃない……隣に行く口実か。

私は実験の作業がひと段落したところで、正面に座る二人、篠坂さんと檜山さんを見る。

「……二人ともちゃんと実験内容理解できてる?」

私は篠坂さんと檜山さんに向けて言う。

「全然理解できないです!」「ご、ごめんなさい」

よし! 予想通りの反応!

「……まゆ、あとお願い、私は二人に解説するから」

そう言って私は見事、二人の間に移動して、解説ポジションに付く。

「おお、優しいね〜、実験レポート出せなくて困るのその二人だけなのに」

「っ! 真弓ちゃん意外と黒い子だ!」

「……ぁ」『隣に人来ちゃった……もう流石に抑えられない』

一瞬だけどスカートの前に手を添えてたのが見えた。
恥ずかしくて流石に離したみたいだけど……どこまで我慢できるかしら?

私は実験の内容と、今までした手順がどういうものか説明する。
そして、まゆと朝見さん――――地味に私のときも手伝ってくれていた、流石は優等生。根は真面目だ――――の作業に解説を入れる。

755事例2「篠坂 弥生」と……。-前編-⑧:2013/10/23(水) 00:53:29
――
 ――

『やだ……本当にヤバイかも……』
『抑えたい、でも……』

そんな篠坂さんの完全に余裕を失った『声』が聞こえ始めたのは授業終了15分前。
私の班は実験も解説も問題なく終わり、実験レポートに感想などを書く段階となっていた。
私はレポートの最後の行を末尾に“。”を書き終え、隣から視線だけを彼女に向ける。
篠坂さんの足は震え、左手は実験台の上で確り握り締められ、右手はレポートの上でペンが握られている。
レポートはまだ半分も書き終えていない。……それでも仕草に出さないようにしている姿は健気で……凄く可愛い。

――とはいえ、私も人のことを言えず、結構切迫した状況だった。
もちろん、彼女ほど余裕が無い訳じゃない。授業終了までは多少の余裕を持って我慢できる自信もある。
でも、気を抜けば仕草には出てしまいそうだけど。

『ぅ……やだ、波がっ――お、お手洗い! 早くぅ! お手洗いに行きたいよぉ……』

その『声』に私は篠坂さんの方を見る。
さっきまでは実験台の上にあった左手が、スカートの前に拳を握り締められて置かれていた。
しばらくその様子を見ていたら――

「……ぁ」『嘘……今の雛さんに見られた!?』

――見つかった。
手は直ぐに実験台の上に上げた。
……というか、私のこと心の中じゃ雛さんって呼んでるらしい。

『もう、だめ……我慢できないのに……でも雛さんに見られるし……』

そう『声』に出しながら篠坂さんは必死に抑えたいのを我慢してる。
でも足の震えまではもう止められないらしくガタガタと震えていた。

……。

私は一度視線を彼女から外し時計を見る。
あと12分……だけど――

「んっ!」『やだやだ! 出ちゃう、先生に……でも恥ずかしい……』

――これは流石に無理そうね。
体を跳ねさせながら大きな波に抗う篠坂さんを見てそう感じた。

756事例2「篠坂 弥生」と……。-前編-⑨:2013/10/23(水) 00:54:21
……本当は言いたくない。けど、仕方が無い。
私は手を上げる。そして教室の前を見て口を開く。

「……すみません、先生。篠坂さんを保健室に連れて行ってあげてもいいでしょうか?」

篠坂さんは驚いて顔を上げる。
その顔は真っ赤で額には汗が浮かび上がっており、見方によっては体調不良そのもの。

「そうですか……では保健係の人は――」

っ! これは想定外……。
いや、大丈夫。まだ説得できるはず。

「……いえ、もうレポートも完成しましたから、私が連れて行きます」

「それじゃあ、お願いします」

何とか難は免れたようね。
私は小声で篠坂さんに囁く。

「(……ほら、行こ。もう少しの我慢だから)」

「っ……!」『うぅ、バレてるし…恥ずかしい……』

篠坂さんの顔はさっきよりも赤く、誇張ではなくまさにリンゴの様な色になってしまった。
まゆに一言断りを入れてから、そんな彼女に私は立つように促す。
彼女はゆっくり、私から見れば膀胱に刺激を与えないように慎重に立ち上がる。

私は先生に一礼だけして実験室を出る。

「……大丈夫?」

「だ、大丈夫です……」『大丈夫じゃないよぉ……もう、でちゃう我慢できない……』

大丈夫だと必死に取り繕う声と仕草。
でも彼女の『声』はもう限界を告げていて……。

『ダメ……もう、やだ……』
『抑えなきゃダメなのに、出ちゃうのに! 我慢、我慢、がまん! もうすぐだからぁ!』

ゆっくりと一番近いトイレに向かう廊下。
終止無言でも『声』だけはずっと休み無く欲求を溢す。
……『声』の大きさ、思考からして、そう長く持たないのは火を見るより明らか。

757事例2「篠坂 弥生」と……。-前編-⑩:2013/10/23(水) 00:55:04
『おしっこ! は、早くぅ……じゃないと私……』

ここまで切羽詰っても、手で抑え込まないのには正直驚いた。
といっても、前屈みで、熱い吐息聞けば、もう『声』なんて聞くまでも無く限界なのはわかるけど。

廊下の角を曲がった時、目的の場所が私の目に入る。

「……ほら、もう直ぐだから――」
「んっ!」『やだ!』

今まで抑えずに耐えていた彼女の両手が、スカートの前に合わせられる。
私の声に反応してか、もしくは自身で目的地を視認したからかは判らないけど……。
恐らく――油断、安堵……そんな一瞬の気の緩みがあったのだと思う。

『もう…ぃや! おしっこ、出ちゃうぅ!!』

足がガクガクと震えて確りと閉じられ、力いっぱい大事な部分を抑え込む。
そして、彼女の体が小さく跳ね上がる。
え? ……篠坂さん?

『っ!! やだ……今少し……』

っ!

「だめ!」『……もう!』
「あ、ちょっと――」

篠坂さんが急に走り出す。
私は直ぐに追いかけながら、さっきの篠坂さんの小さな跳ね上がった体と『声』を思い出す。
もしかして……少しちびっちゃったの……?

「あっ……だめぇ……」『もうやだ…だめぇ……間に合わない!』

走り出してほんの10歩程進んだ先、彼女の歩幅は小さくなり止ってしまう。

「篠坂さん!」

そう声に出して私は追いついた。

758事例2「篠坂 弥生」と……。-前編-⑪:2013/10/23(水) 00:56:03
『あぅ、やぁ……もう、限界……あぁ!』

『声』聞いて私は篠坂さんのスカートの皺くちゃに押さえ込まれた部分が濃く変色しているのに気が付く。
それと、微かに感じる独特の匂い。

私は直ぐに彼女の足元を確認した。
……水溜りは無い……まだ完全に決壊したわけじゃない、そう思った時――

「んぁ! やぁ……」<ジュゥゥーーー>

――私の耳にも届く大きさのくぐもった音がした。
それは明らかに篠坂さんの抑え込まれたスカートの中から聞こえる音。
今まで必死になって押さえ込んでいた、膀胱の中の恥ずかしい水。
きっと、自分の意思とは関係なく膀胱が伸縮しだし、その圧力に彼女はついに力尽きた……そんな感じだと思う。

「あぁ…ぁっ……」『やだぁ……こんなの……』

篠坂さん小さな叫びと共に、スカートの裾から幾重もの小さな滝のように水が滴り落ちる。
そして、糸が切れたカラクリ人形のようにその場に腰を落としてしまった。
同時にもう『声』は聞こえなくなっていた。

「ん、はぁ…はぁ…はぁ……」

焦点の定まらない目で、大きく息切れしている様子は、凄く艶っぽくて……。
――って! マズイ……確か授業抜けてきたのが終了10分前くらい。
移動していた時間とかをもろもろ引くと……えぇーと? あと5〜6分くらい!?
いくら普通教室が近くに無い場所とは言え、授業が終わってしまえば人に見つかる可能性は上がるし、
保健室まで見つからずに移動するのはほぼ不可能となってしまう。

「あ、えっと、篠坂さん大丈夫?」

しゃがんで話しかけたのはいいけど……何言ってるのよ私。
どうみても大丈夫じゃないじゃない。

759事例2「篠坂 弥生」と……。-前編-⑫:2013/10/23(水) 00:56:41
「あ……私、あぁ、嘘……ぅぅ」

「あー、ほら、まだ誰にも見つかってないし……だから、えっと」

「ぐす……雛さ――雛倉さんに……見られ…てる……ひっく」

……やだ、何これ、凄く抱きしめたい。
いやいや! 今はそんな余裕ない。

「ほら、行くわよ」

そう言って篠坂さんの手を掴んで――あ。

「! や……ダメ、汚いよ」

思いっきりおしっこ塗れの手を掴んじゃった……。
でも、そんなこと気にしてられる時間はない。

「い、いいからそういうの! 授業終わったら沢山の人に見つかるのよ! 早く保健室に行くわよ」

そう言って篠坂さんを引っ張って保健室へと向かう。

……私は少しだけ……もう数歩で辿り着けたはずの場所を名残惜しく感じた。
大丈夫、まだもう少しくらいなら――

後編へつづく。

760事例の人:2013/10/23(水) 00:59:18
>>751
反応早すぎw

前回から変更点、地の文の軽さをちょっと低減、読みやすくなってれば幸いです
後編はまた後日

761名無しさんのおもらし:2013/10/23(水) 01:43:14
作品も
>>751など見るにそれ以外の面も
期待できそうだ

762751:2013/10/23(水) 21:24:59
スマソw

続きに期待w

763名無しさんのおもらし:2013/10/24(木) 05:29:01
121ニキGJ!

764モンクレール パーカー:2013/10/25(金) 19:51:30
モンクレールポロシャツ
モンクレール パーカー http://www.dhyxb.com/レディースファッション-0hv8-1.html

765名無しさんのおもらし:2013/10/28(月) 06:34:59
これはいつか失敗するパターン、期待してる

766名無しさんのおもらし:2013/11/04(月) 01:45:40
ある晴れた冬の日。

高校1年生の雪(ユキ)は、人生初の男友達の家に遊びに来ていた。

つややかな長い黒髪に、溶けてしまいそうなほど真っ白な肌。

そんな雪は、中学の頃から男子に人気はあったが、極度の引っ込み思案で、うまく人間関係を築けないでいた。

それでも、今日は男女4人での集まりということもあり、思い切って参加してみることにしたのだった。








「―――でさあ、それが大成功。そいつすっかり信じ込んじゃってな!」

「バカだよねえ。あたしだったら絶対すぐ分かるし!」

「お前は単純バカだから分かんないよ」

「うるさい黙れ!」


盛り上がる3人に、雪もつられて笑う。

持ち寄ったお菓子を食べ、ジュースを飲み、ゆったりとした時間が流れていた。

(あ…ちょっとトイレ行きたいかも)

真っ白なスカートの奥の奥、わずかに感じる不快感。口数が少ない分、他の皆よりジュースを多く飲んでいたから、当然といえば当然のことだ。

そうはいっても、初めて来た家なので、トイレの場所が分からない。

ましてや男子の家だ。人一倍羞恥心の強い雪は、トイレを借りることに抵抗があった。

(帰るまで我慢…できるよね)

雪はそう思い、体が発する『オシッコしたい』の信号を無視することにした。

767名無しさんのおもらし:2013/11/04(月) 01:46:31
―――しかし、異変は予想外に早くやってきた。

(うぅ…かなり行きたくなってきちゃったな…)

初めて尿意を感じてから、ものの20分ほど。

雪の感じていたそれは、ものすごいスピードで勢力を上げ、雪の足の付け根の奥の方を責め苛んでいた。

その勢いは留まることを知らず、雪をおとなしく床へ座っていさせないほどに激しさを増していく。

(家に帰るまでに間に合わないかも…。トイレ、貸してもらおう…)


「あのっ…」

「ん? どしたの雪ちゃん?」

「トイレ、どこかな…?」


精一杯何気ないふうを装ってみた雪だったが、足をモジつかせ、かすかに目を潤ませてのその言葉は、雪の感じている尿意の大きさを知らせるのに十分なものだった。


「あ、雪ちゃんトイレ我慢してたのか! 気付かなくてごめんな!」


雪を気遣ったつもりの一言だろうが、雪の繊細な羞恥心はそれだけで崩れ落ちてしまいそうだった。


「そこの廊下の突き当たりを曲がったトコ。そこに『お手洗い』って書いてあるから!」

「あ、ありがと」


慌てて立ち上がるその衝撃を、大きく成長した尿意が見逃すはずもない。

(あ、で、出ちゃ…)


「……っ」

「…雪ちゃん?」


思わず身を固くした雪に、周りも心配そうな目を向ける。


「な、何でもないの!」


そう言って、できるだけ平静を装って歩き出す。

背中に何となく視線を感じるような気がして、恥ずかしさに泣きそうになりながら、一歩一歩。

そして、雪自身以上にシクシクと泣きそうになるあそこをさりげなく気にしながら、一歩一歩。

何とかドアの前までたどり着き、ドアノブに手をかけた。

768名無しさんのおもらし:2013/11/04(月) 01:47:04
―――ガチャ。

ガチャガチャ。ガチャ!

(…え? 嘘!? なんで空かないの!?)

見上げた先には確かに、可愛らしい装飾を施された『お手洗い』のプレートが提げられている。

改めて手元を見てみる。

するとそこには、使用中を意味する赤いマークがあったのだ。

(そ…そんな…)

溜め込んだ邪魔な水をすっかり吐き出してしまう気だった雪のあそこは、早くしろとばかりに前から後ろから雪を襲う。


「あぅっ…あっ…ま、待って…」


はしたなく腰をくねらせ、目をぎゅっと瞑り。

はち切れんばかりのオシッコの出口に両手を当てがいながら、ゆっくりと、時には強く揉みしだく。



「はぁ…はぁ」


辛うじて尿意は収まったようだが、またいつ大きな波が訪れるか分からない。

そして、それがそう遠くないだろうということは簡単に予想できた。


コンコン…


すがるような思いでドアをノックするが、向こう側からの返答はない。


コンコンコン…


左手をスカートの前に置いたまま、もう1度ノックをしてみるものの、やはり返答はない。

中身の重力に負けた腰は大きく後ろに突き出され、絶え間なく8の字の描きながらその圧力を分散させようと虚しい努力を続けている。

オシッコがしたくてしたくてたまらなくて。

いてもたってもいられなくなった雪は、ついにその扉の奥へと言葉を発した。


「あ、あの…すみません…」

「お、お手洗い…代わっていただけない、でしょうか…?」


雪は、中に入っているのはきっと家族の方なのだろうと予想していた。

おじさんか、おばさんか…。どちらにしても、雪がしているのははしたない行為には変わりない。

雪の感覚からすれば、はしたないを通り越して女の子失格の行動である。

けれど、下着を穿いたまま漏らしてしまうよりはいい。友達の家を、汚い水で汚してしまうよりは。

待てど暮らせど静かなままの扉の奥に向かって、ついに雪の口からはとんでもない言葉が飛び出した。


「っ…。お、オシッコ出ちゃうんです…出ちゃいそうなんです…」

「お願いします、おトイレ使わせてください…」


コンコンコンコン…


「オシッコさせてください…。 もう漏れちゃいます…お願いです…」

「と、トイレ…。おトイレに座らせてください…! オシッコさせてくれたら、私、なんでもしますから―――!!!!」


少女の悲痛な叫びは、扉の向こうに届かない。

それが届いてしまったのは、雪がもといた部屋の……。


「雪ちゃん、どうした!?」


慌てて駆けつけたその声に、雪は体を硬直させる。

(嘘、聞かれちゃった…!?)


「雪ちゃんの叫び声が聞こえた気がしたから…。何かあったの?」


幸か不幸か、その叫びの内容までは聞かれていないようだった。

改めて自分が何を口走っていたのかを思い、頭がクラクラしそうになる。


「あ、え…と! ご、ゴキブリが出ちゃって…」

「えっ! ちょっとスプレー取ってくるよ!」

「うん…」

769名無しさんのおもらし:2013/11/04(月) 01:47:37
なんとかバレずにやり過ごし、安心したのも束の間。

(あ、ああああっ!)

当てがった左手に、わずかに暖かな感覚。

(少しちびっちゃった…!)

扉への突撃要員だった右手は途端に水門への防御要員へと転換され、左手とともに脆い防壁を作る。

ぴったりと閉じ合わされた脚が、床を踏み抜こうとせんばかりの勢いで激しくクロスステップを踏む。

薄桃色に染め上げられた真っ白な肌は、もはや雪に一刻の猶予もないことを告げていた。

(だ、ダメだ…全然返事がない…)

そうなれば、手段はひとつ。

(家のトイレまで我慢するしかない…!)

客観的に見て到底無理な話だ。

しかし、現状思いつく限り、溢れ返る黄色い濁流を解き放てる場所はそこしかなかった。

770名無しさんのおもらし:2013/11/04(月) 01:48:00

皆が談笑した部屋まで、もと来た道を来たときの数倍慎重に引き返す。

部屋に入るやいなや、持ってきた鞄を取り、


「ごめん、私ちょっと帰るね!」

「えっ…ちょっ」


言うと同時に、唖然とする2人を残し部屋を出る。

揺れる腰を、うねる脚を、オシッコがしたいと叫ぶ全身を、もう抑えきれない。

だが、階段を精一杯の早さで駆け下り、玄関で靴を履こうとしたとき、雪は見てしまったのだ。

…嘘から出たまこととはこのことで。

自分の靴の横をすり抜けるゴキブリがいた。


「きゃああああっ・・・!?」


反射的にのけぞり、尻餅をつく。

これを受け、必死に大量のオシッコを堰き止めていた体はたまらない。

全力で雪の女の子の部分を閉じ合わせていた体が、予想外の衝撃に手のひらを返し、その力をすべて雪の女の子の部分をこじ開けるのに使っているようにさえ思えた。

今日たくさん飲んだオレンジジュースが、炭酸飲料が、黄色い液体へと変わり、雪の心の中の理性を超え、雪の体の中の秘密の出口を突き抜けた。


「「「雪ちゃん!!!」」」


他の3人が集まってきたのは、それとほぼ同時だっただろうか。


「いや…だめぇ! 来ないで! いやああああああああ!」


だが、3人の目は、雪の脚と脚の間、重ね合わされた手と手の下から迸る黄色の液体に釘付けだった。

その勢いは留まることを知らず、スカートの奥の下着はもちろんのこと、白い大腿と白いスカート、そして白いハイソックスを余すところなく黄色で埋め尽くす。

静かに涙を流す整った顔と対照的に、滝のように恥ずかしい水を噴き出し続ける下半身。女の子は見ていられないと目を覆い、男たちは股間を熱くさせていた。

771名無しさんのおもらし:2013/11/04(月) 01:48:20
…さて、余談ではあるのだが、お気づきの方もいるだろう、空かなかったトイレのことだ。

あのトイレの中は実は無人であった。ただ、最後にトイレを使用した者が扉を閉めるとき、中で半端に傾いていた鍵が閉まってしまっただけなのだ。

つまり、真っ白な雪をいやらしく真っ黄色に濡らすホットレモンティは、偶然の産物だったというわけ。

また面白い話があったらお目にかかることもあるかもしれないが、ともあれ、ここまで聞いてくれてありがとうございました。

772名無しさんのおもらし:2013/11/04(月) 02:42:26
age

773名無しさんのおもらし:2013/11/04(月) 02:43:10
いつもより描写が上品なのがいいね

774名無しさんのおもらし:2013/11/04(月) 07:51:20
いつの間に良作が

775名無しさんのおもらし:2013/11/04(月) 08:39:59
キタw

776事例の人:2013/11/04(月) 19:36:34
GJ!
休みで仕上げ終わったので私からも
事例2「篠坂 弥生」と……。の後編投下します
まさか別の方と同日投下になるとは……賑わってるように見えて良いかもですね

777事例2「篠坂 弥生」と……。-後編-①:2013/11/04(月) 19:38:28
<キーンコーンカーンコーン>

保健室に到着した直後、昼休みを告げるチャイムが鳴る。
なんとか間に合ったけど、肝心の先生がいない。
屋上でタバコ吸ったり、中庭でお菓子食べたり、生徒と駄弁ったり――色々と適当な先生だから、きっとどこかで油でも売ってるんだろう。
とりあえず、誰かが来てもバレない様、内側から鍵をかけ、おしっこ塗れの手をささっと洗っておく。
……保健室の流し台で手を洗いながら思う。この状況で鍵をかけるのってなんか、危険人物がしそうな感じだけど。
一応言って置くと私は危険人物ではない。……断じてない。

――にしても、あぁ…本当、凄くトイレに行きたい。
尿意を感じているところに流水で手洗いと言うのは、非常に辛い。
少し前屈みになり、小さく足を擦り合わせる。
篠坂さんのこともあって行きそびれたし、なんか今から行くのも我慢姿とおもらし姿を堪能してた身としては罪悪感もある。
だからと言ってずっと我慢できるものでもない。現に篠坂さんはやっちゃったわけだし。
それでも、今は我慢。もう少したったら開放してあげるから、私の膀胱にはもう少し大人しく待っててもらいたい。

辛かった手洗いを終え、篠坂さんの方に向き直ると、立ち尽くし下を向いていた。

「ひっく…ご、ごめん、ひっく…なさい……」

……流石に泣くなとは言えない。
当然だ、高校生にもなって、人前でおもらしだなんて……可愛かったなー。

「ひっく…ぅぅ……」

っと、泣いてる相手には流石に不謹慎だな……私。
とりあえずは、篠坂さんを泣き止ませないと。
私は彼女の傍に寄り、顔を覗き込むようにして話しかける。

「大丈夫だよ、私は気にしないし、私以外誰にも見られていない筈だから……ね?」

普段ポーカーフェイスな私だけど、笑顔を作り、諭そうとする。
篠坂さんはその顔を見て驚く。……そんな驚かなくてもいいのに。
その後小さく頷いて、意外にもすんなり、泣き止んでくれた。……素直でいい子で、そして可愛い。

さて……次は着替えだけど、まず服とタオルを探さないと。
そう思い、目に付いた大き目の箪笥の引き出しを引くとバスタオル。
さらに下の段を引くとスカートに下着……存外あっさり見つかるものね。
結構切羽詰ってる私には助かるけど。

見つけたバスタオルをベットの脇に敷き、その上に篠坂さんを座らせる。
次は――えっと、こういう時私が脱がせるの? 脱いで貰うの? 私が拭くの? 拭かせるの??
あぁ、トイレも行きたいし……考えがまとまらない。

778事例2「篠坂 弥生」と……。-後編-②:2013/11/04(月) 19:39:25
「えっと……あっち向いてて…ください」

「……ご、ごめん!」

私は慌てて後ろを向く。
どうやら、私が何に迷っているか察してくれたらしく、篠坂さんのほうから行動してくれた。

――っ! んっ……あれ? これは……結構ヤバイ?

後ろを向いて直ぐ、私は体に軽い電気を通したかのような感覚を受ける、強い尿意の波が私を襲う。
手持ち無沙汰になった為なのか、尿意をより強く意識してしまう。
さっきは流水で手を洗っていたからだと思っていたけど、本当にギリギリまで溜まっているのかもしれない。
ただ、じっと待つだけ……それがこんなにも辛い。

私は軽く足を擦り合わせる。
だけど、それだけじゃ殆ど限界近くまで溜まっているであろう膀胱は許してくれない。
後ろ向いてるのをいいことに、私は手で前を抑える。

後ろでは体を拭く音らしき音が聞こえる。
まだなの? 早くしてくれないと……抑えててもじっとしてるのは相当きつい。
自然と足がそわそわと落ち着きなく動く。

「はぁ……、っ!」

自然と熱のこもった息を吐いてた……。
慌てて前を抑えていないほうの手で、口元に手をやるが今更遅い。
今の吐息……篠坂さんに聞かれたかもしれない。

私は気が付かれるのを危惧して、そわそわ動く足を止め、左右に動かしたくなる身体も意識的にとめる。

「あ、あの……雛倉さん?」

「あ、もう着替え終わった?」

なんだか嫌な予感がしたので、何か言われる前に、私から問い直す。

「え? あ、い、いえ……もう少しです」

……。
なんか、バレてそうな反応な気もする。少なくとも吐息は聞かれていたのだと思う。
だったら自分から言ってしまった方が恥ずかしくない気もするけど――この状況で篠坂さんを放っておけるはずも無い。
ましてや、彼女が間に合わなかったトイレへ行くって言うのは……やっぱり彼女に気の毒な気がする。
幸い、さっきまで高まっていた尿意は波を越えたらしく、多少落ち着いた気もするし……ここは、もう少し我慢して、タイミングを計ろう。
それまではなるべくなら我慢していることを悟られないように振舞わらないと……。

後ろの様子に意識を集中させると、いつの間にか体を拭く音は止んでいて、布擦れの音が聞こえる。
とりあえずもう直ぐこの不動の我慢し辛い状態から開放される……はず。

779事例2「篠坂 弥生」と……。-後編-③:2013/11/04(月) 19:40:19
「雛倉さん……終わり…ました」

私は大事な部分を抑えていた手を退けて、皺になったスカートを軽く払い、振り返る。
篠坂さんの服は粗相する前の状態と見た目上変わらなく思える。

「……それなら教室戻ってもバレないんじゃないかな?」

「……」

曇った顔をして篠坂さんは顔を下げる。
やっぱり、流石にそれは無理か。
バレていないと言っても精神上相当辛いだろうし。

「……早退のほうがいいかな?」

私はそう提案を持ちかける。
頷くかと思ったけど、意外にも篠坂さんは首を横に振った。
……頷いてくれれば今すぐにでも「荷物を持ってくる」とかなんとか言って、ついでにトイレに寄ることも出来たのに……。
数秒の沈黙の後、篠坂さんは口を開く。

「……私、日直だし……根本さんも休みだし、早退したら雛倉さんにもっと迷惑かけちゃう……」

細く消えてしまいそうな声でそう申し訳なさそうに答えた。
確かに日直とか他の委員が休みだとかで発生した、処理されない仕事をするのも、この学校ではクラス委員長の仕事だけど。
これ以上迷惑掛けられない、そう思ってくれる気持ちはありがたい。でも……こういうときくらい、もっと我侭でいいと思う。

「……別にいいのよ、無理しなくて。それにクラス委員長なんて私には向いてないから、いつもまゆに助けられてばかり。
こういう仕事があったほうが、自責の念に駆られなくていいのよ」

それは本音半分、早退すると言って欲しい半分で言った答え。
でも篠坂さん「大丈夫」と言いながら首を振った。
そしてさらに続けて言った。

「私は……雛倉さんがクラス委員長で良いと思う……ちょっと怖いかなって最初思ったけど、本当は優しいし気配り出来てると思うし……」

「……あ、ありがと――」

不意打ち。急にそんなこと言われるとは思ってなかった。
――でも、やっぱり私自身はそう思えない。
篠坂さんだって多分今回の件が無ければ、そんな風に思ってくれなかったと思う。

――ブルッ……

……んっ!
いやいや、こんな話をしてる場合じゃない!
先ほどより明らかに強い波が私を襲う。
抑えたい……でも篠坂さんが正面に居る以上抑えるわけにも行かないし、変な仕草もできない。
なんとか下腹と大切な部分を引き締め、平静を装いながら我慢する。
それでも、変に体は強張る……だめだ、こんな状態じゃ気が付かれるのも時間の問題だし、なにより限界が見えてきた気がする。
額に脂汗が浮き上がる……本当にそろそろ――
タイミングを何とか計ろうと思っていたけど、自身にもうそこまで余裕が無いことに気付く。
話の腰を折ることになるとわかっていながら、私は意を決して口を開く。

780事例2「篠坂 弥生」と……。-後編-④:2013/11/04(月) 19:41:05
「え、えっと、篠坂さん?」

「?」

篠坂さんは、首を傾げて疑問符だけで返す。……可愛い…けど今はそれどころじゃない。
うう、言い難いけど、もう限界近いし、仕方が無い。

「ちょっと、お手洗いに行ってきてもいい?」

無表情でこんなことも言うのも変だし、笑顔――――ただし引きつっていたとは思う――――で聞いてみた。
なにこれ、恥ずかしい。絶対私の顔真っ赤だ。

「やっぱ――ぁ、はい、どうぞ行って来てください」

……今絶対「やっぱり」って言いそうになったよね。
そんな予感はしてたけど、感付かれていたわけだ。さらに恥ずかしい。

「ごめん……」

そう言って私は逃げるように保健室を出て、後ろ手で戸を閉める。
直後、周囲を見渡して、人気がいないのを確認する。
確認が終わると同時に、右手をスカートの前に添え、足ももじもじと動かして膝同士を擦り付ける。
そうでもしないと、出てきてしまいそうなほど、我慢がきつくなっていた。

「はぁ……」

急がないと……本当に限界が近い。
もとより、4時限目終わった段階で行かないと厳しいって思っていたくらいなのに、すでに昼休みは10分以上過ぎている。
体育の後に飲んだ水で尿の製造量は今でも多少は増えているだろうし、
長時間の我慢と、手で抑えられなかったことによる括約筋の疲弊も相当なものだと思う。
左手で軽く下腹部をなでると、バスケットボールのように丸みを帯びた張りのある感触を感じる。

「んっ……」

同時に軽く触っただけでも、尿意の膨らみを感じ、スカートの前に添えられた右手を、両太腿の間に差し込む。

保健室から一番近いトイレは……体育館横のトイレだ。
個室は二つ……いや、一つは故障中……入学当初からなので全然直す気無いのだろう。
今日、4時限目に体育のあるクラスは無かったはずだし、昼休み体育館を借りる生徒もいない。
わざわざ、そんな所にあるトイレを使う人もいないだろうから好都合だ。

私は前を抑えたまま駆け出す。
誰が見てもトイレを限界まで我慢している姿だけど、こんな時間、こんな所を通る生徒もいないし、誰にも見られていないはず。

そして、待ち焦がれたトイレに入る。
こんなに我慢したのは正直入学後初かもしれない。本当に今回は危なかった。
そう思うと、此処まで頑張って我慢した私の身体を褒めて上げたい。

781事例2「篠坂 弥生」と……。-後編-⑤:2013/11/04(月) 19:41:58
「っ!」

――って、嘘? 個室閉まってる??

トイレの入り口から見えた、故障中で無い個室。
普段未使用なら開いているはずの扉……それが閉まっていた。
それを確認して、さらに足を進めるとノブ部分には使用中を示す赤の色。

――……嘘でしょ?

「ぁ…んっ!」

不意を付く尿意の波に声が漏れ、両手で押さえ込む。
直ぐに個室に入れると思っていただけに、身体が反応してしまった。

――何で、どうして??
――もう膀胱パンパンなのに……直ぐ入れると思ってたのに!

体育も無ければ、体育館を使用してる人もいない。
一体誰が、わざわざこんな所のトイレに入るのよ……。

「はぁ…はぁ……」

波はとりあえず凌いだ。
でも……私の悪い癖、目の前がトイレだとどうしても我慢が利かない。
刻々と膨れ上がる尿意に私は身を捩り、落ち着き無く足踏みをしてしまう。

<コツコツコツ>

踏み鳴らされた音は、思っていた以上の大きさでトイレの中に響く。

――うぅ、これ個室の中の人にも絶対聞こえてる……。

そう思ってやめようとするが、それでは気がまぎれず、直ぐにまた足を動かしてしまう……恥ずかしい。
波が来るたび声を押し殺し、きつく足を閉じ合わせ、乗り切ると熱いと息を吐く。
そんな、状態を何度も繰り返し、3分くらい過ぎた。

――ちょっと…いくらなんでも遅すぎない!?
――もう、我慢も限界なのに……何してるのよ!

額に流れる大粒の汗は、前髪を濡らし始める。
個室の中の人に心の中で文句を言いながら、ふと気が付く。

――どうして、個室の中から物音がしないの?

782事例2「篠坂 弥生」と……。-後編-⑥:2013/11/04(月) 19:43:04
水の音、ペーパーの音、排泄音。一切音が無い。

最初は、トイレを恥ずかしく思う人が、わざわざ此処のトイレを使いに来たが、運悪く私が直ぐに来て、音を聞かれるのを避ける為、
個室内で我慢してるのではないか……っと、長々とした萌える想像もしたが、『声』が聞こえない以上それはありえない。

だったら、中に誰もいない?
いや、確かに気配はする。小さな息遣いや身じろぐ微かな音。

すると嫌がらせ目的?
私の切羽詰った様子を見てわざと出てこないとか?
いや、それも無い気がする。
このトイレを利用する人なんてほぼ皆無だし、嫌がらせ目的ならここのトイレをわざわざ使う理由が思い浮かばない。
……いや、ここの個室が一つしか利用できないのだから、一応可能性はあるのかもしれないけど――

――ゾクッ……

全身に鳥肌が立つような震えが私を襲う。

――っ! ダメ……余計なこと考えてたらまたっ!
――やだ……本当限界、なんで空かないの!?

私は意味もなく個室の前を右往左往したが、直ぐに個室の前に戻り足を震わせる。

恐らく今までで一番の尿意の波に、足を引き締め、息を止めて両手で力いっぱい抑える。
開かない個室の扉に睨めつけるが、やっぱり開く気配は感じられない。
必死に抑え耐えようとするが、膀胱は断続的に収縮し、内圧を少しずつ上げていく。
そして腎臓から尿が送られる脈動運動さえ感じているような膀胱に感じる疼きがピークに達した時……。

「ぁぅ……」

<ジュワ……>

――嘘!? やぁダメ…おしっこ、漏れちゃう! うぅ……。

微かに感じる下着の湿り気。
さらにきつく身を捩り、目を思いっきり瞑る。

「んぁ! ――はぁ、はぁ……」

どうにか膀胱の収縮も収まり、乗り切った……けど――ほんの少しだけ下着を濡らしてしまった。

だめだ、これ以上ここで待てない。
とりあえず、理由はどうであれ、中の人が出てくる様子がない以上、ここのトイレは使えない。

783事例2「篠坂 弥生」と……。-後編-⑦:2013/11/04(月) 19:44:13
――ここから一番近いトイレ……本棟に戻って階段を上れば直ぐだ!

私はここで済ませることを諦め、トイレを出る。
あそこのトイレは個室が多いし、普通教室も近くに無いはずだから直ぐに入れるはず!

本棟に戻ってきて直ぐの階段を上る。

――あと少し、上がれば直ぐ……っ!

駆け足で上っていた私だったが階段途中の踊り場で足を止める。
あと少し、そう思ってしまったのがいけなかったのか、さっき体育館横のトイレで感じた感覚が再び蘇る。

――やっ! ダメ……まだダメ……っここはまだトイレじゃないの!
――あぁ……でも、もうこれ以上……だめ! 諦めちゃ、もう少しだからぁ!

そうやって何とか宥めようとするが――

<ジュッ……>

「ひゃ! やだ……んっ」

――さっきより勢いよく、あふれ出すというより噴射するような感覚で下着に大きく広がる。
尚も大きく膨らむ尿意の波にこれ以上被害を出さない為、
私は、スカートを汚さないようにする為に、咄嗟にスカート下から手を差し入れて抑えこむ。

<ジュワ〜……>

「ぁっんっ!!」

私は小さな喘ぎ声のような声を上げてしまう。
酷使され続けた括約筋の緩みと、咄嗟の判断で抑えた方を変えたことで生まれた隙を突いて溢れ出した。
下着の湿りは点から完全に面となり、抑える手にはハッキリとした水気が感じられる。
きっとこれ以上溢れさせてしまえば、抑えている手からも漏れ出し、足元にその雫を落とすことになる。

「はぁ…、はぁ……」

なんとか大波を越え、抑え方を変えたとこでスカートにも被害は無かった。
とはいえ、尿意は満潮でかつ高潮のような状態だし、波が無くても溢れそうなことには変わりない。
そして、もしまた波が来てしまえば……。

私は再び階段を駆け上り、目的の場所であるトイレに駆け込む。
たったそれだけの距離だけど、仄かに手に新しい暖かさが広がってきてるのが判った。
同時に保水性が限界となった下着から、必死に溜め込んだおしっこが少しずつ足に伝う感覚。
でももう、立ち止まっていられない。どっちにしてももう決壊は目前。

784事例2「篠坂 弥生」と……。-後編-⑧:2013/11/04(月) 19:45:30
――よし、誰もいない!
――一番近い、一番手前の個室!
――鍵……あぁ! だめ、そんな余裕ない!! あっ、あっ!

<ジュジュジ>

今までのあふれ出した感覚とは違い、断続的に勢い良く噴出す。
必死で溜め込んだ恥ずかしい熱い液体――私のおしっこが手で抑え込んだ中で渦巻く。
私は無我夢中で個室内の白い和式トイレを跨ぎしゃがみ込んだ。

<ジュゥーーーー>

「はぁ……はぁ……」

放心状態の涙目で私はぼんやり考える。

ギリギリセーフ……?
いや、これはアウトなんじゃ……。

私の今の状態はと言うと……。

右手は、鍵を閉めていない扉が開かないように押さえている状態――――ちなみにおしっこ塗れのびしょ濡れの手――――。
左手は、スカートを濡らさないため捲り上げた状態。
下着は……そのまま、履いたまま。

あー、うん、……完全アウトだこれ。

結局その状態で1分以上に渡ってチャポチャポと和式トイレの中に音を鳴らし続けた。

785事例2「篠坂 弥生」と……。-後編-⑨:2013/11/04(月) 19:46:53

 ――

「何が悲しくて私は――」

自分の下着洗ってるんですかね……ホント。
確り洗って確り絞る。

よく体験談で濡らした下着を捨てていく人って居るみたいだけど、ノーパンとか普通に考えて出来ないし私。
そして確り絞った下着を持ってもう一度個室に入り中で履く。

……めちゃくちゃ冷たくて気持ち悪い。
でも仕方が無いか……。

「はぁ……」

それにしても、なんとかトイレには間に合ったけど、下着を下ろす余裕が無いとは……情けない。
そしてそれは、すべて自身が招いた事で、自業自得で。
凄く情けなくて、惨めで、自分に呆れる。
――あぁ、失敗した時の雪姉もこんな気分なのかな……。

私はトイレの鏡の前で、頭を左右に振り気持ちを切り替える。

さて、保健室の篠坂さんのところに戻ろう。
一緒に教室に戻ってあげないと。
私がトイレに時間かかったことは適当な言い訳で何とか凌げるだろうし。

そう思い私はトイレを出る。

あ、そういえば、体育館横のトイレ……一体誰だったんだろう?
この恨みいつか晴らしてやりたい……。


――ちなみに言っておくと、私は明日からも平常運転です。

おわり

786「篠坂 弥生」:2013/11/04(月) 19:48:27
★篠坂 弥生(しのさか やよい)
綾菜のクラスメイト(事例2以降は友達)。背が低いロリっ子。

人付き合いはあまり得意でない。
ただし、優しくされると直ぐ慕ってしまう懐き癖あり。

トイレが近く、基本的に休み時間毎にトイレに向かう。
膀胱容量が小さく150mlほどで尿意を感じ、最大で400ml程度。

成績悪い、運動音痴。
性格は引っ込み思案のとろとろした子。
授業中トイレにも立てない。
でも責任感が強く、途中で仕事を投げ出さない真面目な子。

綾菜の評価では、学年一の頻尿少女として認識されていたが、同時に隙の少ない子とも思われていた。

787事例の人:2013/11/04(月) 19:52:08
前回からの変更点、我慢描写の量増し……くらいかな?

788名無しさんのおもらし:2013/11/04(月) 20:32:39
作風がそっくり?

789名無しさんのおもらし:2013/11/06(水) 01:04:28
今回もよかった!これからも期待してます。
ところで既出なら申し訳ないんだけど、主人公のプロフィールってまだ非公開?

790事例の人:2013/11/06(水) 23:00:17
>>789
>主人公のプロフィールってまだ非公開?
もう少し後に、姉と共に公開するつもりだったけど
特に大きな問題なさそうだし、公開しよう。

791「雛倉 綾菜」:2013/11/06(水) 23:01:25
★雛倉 綾菜(ひなくら あやな)
主人公。クラスでは委員長を務めている。

同波長限定テレパシストで、受信のみが可能であり、発信は不可。
同波長、つまり、自身と同じような感情を抱いている相手の心の声が聞こえる。
綾菜はこの事を『声』と呼称する。
詳しく説明すると、この場合の自身の感情とは深層で感じている感情を指す。
それに対して聞き取れる感情とは、相手が深層で感じている感情であると同時に
表層でも同じ感情のもと形成された『声』である必要がある。
つまり、相手が深層で感じている感情が表層に溢れてこない限り聞き取ることは出来なく
また、深層で波長を合わせてもすべての『声』を聞き取ることは出来ない。
上記理由により非常に扱い辛く、日常生活において『声』を聞くことも稀である。
五感である視覚、聴覚と同様に「目を凝らす」「耳を澄ます」といった、感覚を研ぎ澄ますことは有効であり
また、捕らえた波長の中から一部のみに集中する事や、特定の波長の捕捉にある程度慣れるといったことも事も可能。
それと、聞こえると表現するが聴覚とは全く別種であり、騒音の激しいところでもハッキリと捉えることが出来る。

特殊な趣向の持ち主で、尿意に耐える様、また限界を迎えた結果――に興奮する。
特に異性よりも同性への興味が強い。
この趣向になるに至った経緯には、姉である「雛倉 雪」が大きく影響を与えている。
尿意を我慢している子を観察するのが学校生活の醍醐味だと思うほど変態である。
また、自身が我慢をして楽しむ趣向は持ち合わせていない。

テレパシー能力で相手の尿意状況を把握する為、自らも我慢していることが多く
日頃から鍛えられた膀胱の容量は比較的大きく、最大1000ml前後まで溜められる。
ただし、我慢中は水音などトイレを連想させるものに弱く
失敗にまでは至らないものの、強い尿意を感じてしまう体質。

成績優秀、運動そこそこ。
入試成績は1番だが、1学期の中間テストは学年5番。
特に学業に打ち込んでいるわけでなく、入試成績が良かったのは、姉とのとある勝負の結果。

性格は猫かぶり、だが良い子振ってる訳ではない。
ただ単に内面を曝け出すことを苦手としているだけ。例え家族であっても笑顔などは殆ど見せない。
外面は冷静クールで少しドライな雰囲気を持つ。その結果、付き合いは余り良くなく、友達も極僅か。
内面はどちらかといえば感情的になり易く、それなりに心優しい。
趣向関連で自らの手で不幸に貶める事は基本的にはしない。
また、状況によっては、自身の趣向を無視して、理性で助けることを優先してしまうことも。

外面の印象から周りでは「一匹狼の雛さん」と一部で噂されている。
特にクラス外では真弓との仲の良さを知らない人が多いので、噂が一人歩きをしてる状態。

792名無しさんのおもらし:2013/11/07(木) 23:33:52
つづきマダー?

793名無しさんのおもらし:2013/11/08(金) 00:57:26
789です。
プロフィールありがとうございます!姉もまだ控えてるんですよね、楽しみですw

794名無しさんのおもらし:2013/11/13(水) 23:53:23
たのしみです

795名無しさんのおもらし:2013/11/14(木) 00:30:46
過疎age

796パンチラ:2013/11/16(土) 20:09:37
水着・・・おもらし・・・見てみたい

797名無しさんのおもらし:2013/11/17(日) 00:17:38
管理人さん降臨か?

798事例の人:2013/11/17(日) 16:16:54
最初に言っておくと今回①〜④は無駄話(今後の伏線張り)
今回の話に関係ないので飛ばしても問題ありません

799事例3「日比野 鈴葉」と『声』の無い二人。①:2013/11/17(日) 16:18:40
私はここに入学をしてから沢山の『声』を聞いてきた。
山寺さんや篠坂さんは特によく聞くけど、それ以外の『声』も沢山聞いた。
私の記憶が正しければ、程度の問題はあるにせよ、同学年の萌える我慢『声』は“二人”を除いてすべて聞いてきた。

私だって常に我慢しているわけではないし、クラスが違えば移動教室で『声』が届かないこともありえる。
でも……もう直ぐ一学期が終わるというのに、その二人の『声』だけ聞こえていないって言うのは些か不可解なように感じる。
しかも、その二人共が私と同じクラス……トイレなんて皆行きたくなって当然のはずなのに。

「おはよーあやりん」

「……今、昼休みなんだけど」

『声』を未だに聞いたことの無い一人が現れる。
私の親友であるまゆ。黒蜜 真弓。
――いや、まゆに関しては『声』を聞いたことが無いと言う表現だと少し語弊がある。
正確には我慢の『声』を聞いたことが無いと言うべきか。別の『声』については、仄かに聞こえたことは数回あった。
それでも何言ってるのか判らないくらい聞き取り難いことを考えるに、よほど私と基本的な波長の相性が合わないのだと思う。
ある程度、聞き取りやすさに個人差はあって当然だし、その部分に関してはそこまで気にする事じゃない。

だからと言って“尿意の我慢”程の具体的な波長なら聞き取れないなんて事はありえないと思うし、
その波長の聞き取りには、相当慣れているから自信があるわけで……正直聞き取れない人が居るなんて、信じられない。
さらに言えば、まゆとは結構一緒に居る時間が長いから聞き逃してる可能性も無いと思う。
そして気になることがもう一つ――

「さて、起床後のトイレに行ってくるー」

――そう、まゆはトイレに行かないわけではなく、必ず昼休みに一度だけトイレに立つ。
連れションしたときも隣の個室に耳を当て確認したけど、ちゃんと放尿音はしていた。……変態みたいなこと言ってるけど気にしない!

つまり、今ある情報から総合的に判断すると、まゆはいつも尿意を感じる前に習慣的にトイレに行っている。
その結論が一番可能性が高い……と思う。
だとすると、昼休みに一度行けば、学校で尿意を一切感じることなく過ごせるって言うのは……相当大容量な膀胱なのかもしれない。
それはそれで萌えるんだけど、やっぱり『声』を聞いてみたい。
普段一切尿意を感じていないなら、尚のこと良い『声』を聞けるはずだし。

800事例3「日比野 鈴葉」と『声』の無い二人。②:2013/11/17(日) 16:19:37
「あれ? 雛さん、真弓さんは?」

篠坂さんが私の席に来る。

「……あ、篠坂さん、まゆは――」
「もう! 弥生って呼んでって言ったのにぃ……」

膨れっ面でそう言う篠――弥生ちゃん。……あぁ、そういう仕草も可愛いし癒される。
弥生ちゃんとは例の一件以来、随分私に懐いてくれるようになった。
私は篠坂さんの事を“弥生ちゃん”、あっちは私の事を“雛さん”と愛称で呼び合う仲……つまりは友達となった。
うーん、私の友達の作り方って凄く斬新。

こうして、仲良くなって見ると、以前まで見せていた真面目で少し固い所以外にも、小動物のような可愛さがあり
これが弥生ちゃんの本来の魅力なのだと思う。……仲良くなれてよかった。

「……ごめん、弥生ちゃん。……まゆは、トイレに行ったみたい」

「あ、じゃあ私もお手洗いに行って来ますねー」『ふー、結構溜まってるよ〜』

私がそう答えると、弥生ちゃんもテトテトとトイレへ向かう。
なんだかんだで、私と仲良くなった事をきっかけにまゆとも仲良くなったみたいで、最近では3人で何かする事が増えた気がする。

……さてと。
クラスに居る、私の友達すべて――――たった二人だけしかいないの……――――が姿を消したところで、少し確かめたいことを実行しようと思う。
それは、まゆと違って文字通り一切『声』を聞き取ることが出来ない、唯一の相手を観察する事。
私はその対象である長い黒髪が特徴的な彼女、朝見 呉葉(あさみ くれは)を視線の隅で捕らえる。

――見た目は凄く清楚で可愛いんだけどな……。

彼女がどんな人物かと言うと……前回の時にちょっと触れたけど、私と同じ近づき難いオーラを纏った人だ。
成績はクラス一位どころじゃなく、学年一位の超優等生。それに加えてスポーツもある程度できる文武両道な人。
友達は――いないのかもしれない。私もまゆが話しかけてくれなかったらと思うと……同情せずには居られない。
ただ、友達と言うわけではないみたいだけど、コミョ力が以上に高いまゆは普通に話しかけてるけど。

801事例3「日比野 鈴葉」と『声』の無い二人。③:2013/11/17(日) 16:20:36
あ、席を立って廊下へ……後を付けてみよう。……決してストーカとかではない。
距離をとって気が付かれないように後を付けると……この方向は保健室? 体育館?
この時間帯でこのあたりは人気も少ないので、より気が付かれない様に注意しないといけない。
そうやって廊下の柱などに身を隠しながら――――後から考えると怪しすぎる行動――――慎重に足を進めると、保健室を素通り。
つまりは体育館へ続く渡り廊下へ。

私は本棟から渡り廊下を覗ける位置に隠れて、様子を伺う。
まさかとは思うけど、朝見さんはわざわざ此処のトイレを使いに来たとか?
朝見さんの『声』を聞いていないのはもちろんだけど、まゆと違って、トイレに行く姿も今まで見たことが無い。
尿意を感じる前に、人気の無いトイレで済ませてるって事なのだろうか?
尿意を感じていないのは残念だけど、人目を気にしてるって言うのはちょっと萌えるシチュエーションではある。
そんなことを思って期待と興奮の視線を送っていると――

っ!

――振り向いた。まさか、気が付かれた?
いや、多分目が合う前に隠れられたとは思うけど、なんて鋭い直感。流石朝見さんといったところか。

……ん、よく考えてみればこの前体育館の横の使用中のトイレ……あれも昼休みだったような?
犯人は朝見だったとか考えられない?
そうなると恨みを晴らすべき相手って事?

そう思って10秒くらい身を潜めてからもう一度覗き込む。

802事例3「日比野 鈴葉」と『声』の無い二人。④:2013/11/17(日) 16:21:53
「……なにしてるのよ、雛倉さん」

「あ……」

覗き込むのを待っていたとばかりに、いつの間にか近くで待機していた朝見さんに見つかる。

「えぇっと、その、朝見さんどこへ行くのかなーって」

「それでストーカー紛いなことをしていると?」

――あーうん、そうなるよね、ごめん、その通りですごめんなさい。
とは口に出せず視線を外して黙っていると、朝見さんの方から嘆息した後、口を開いた。

「はぁ……私は、外の空気が吸いたかっただけ。……それじゃ、もう行くわ」

結局朝見さんはそのまま教室のある方へ行ってしまった。
……弱みってほどじゃないけど、なんか朝見さんとこれからさらに上手くやっていけない自信が付いた。
後姿を見て改めて思う。

――本当、見た目は可愛いのに……仲が悪いなんて、勿体無い。

それと、あの強敵に恨みを晴らすって言うのは難度が高いな……。
まぁ、犯人が朝見さんと確定したわけじゃないし、結局トイレ入ってないしね。

はぁ……今日はもうトイレに行こう。体育館のトイレが近いし丁度いい。

803事例3「日比野 鈴葉」と『声』の無い二人。⑤:2013/11/17(日) 16:23:36
――
 ――

「それじゃまたねーあやりん」

「雛さん、また明日ー」

「……うん、またね」

下校。二人とは駅までは一緒の道だけど、私のマンションはさらに駅を越えて自転車で10分ほど掛かる。
以前住んでいた一戸建ての家なら、私も電車通学だったんだけど。まぁ、こればかりは仕方が無い。

私は手押しで進めていた自転車に乗り、家に向かってちょっと急ぎ気味に走る。
5時限目の体育で若干水を飲みすぎた様で、我慢する気なんて無かったのに下校の時になって軽い尿意を感じていた。
街中で我慢の『声』に遭遇する機会は少ない訳ではないが、切羽詰った『声』にはほぼ遭遇できない。
だったら、無駄に溜めておく必要も無い。さっさと帰ってさっさと済ませたい。

急いでいたこともあってマンションには直ぐに付いた。
自転車を所定の場所に止めマンションに入る。
オートロックではないが、それなりの大規模マンション。
基本3LDKでそれなりの広さ。ただ若干古いけど。

ホールにあるトイレが目に付いたが、私は基本的に使わない。
やっぱり自分の家のトイレを使いたく思うのは当然。よほど切羽詰っていない限り大抵の人はそうする……気がする。
降りてきているエレベーターに乗り私の部屋がある7階を押す。

「あ、綾ちゃんちょっと待ってー」

聞き覚えのある声に私はエレベーターからホールを見ると、籠の中に花を持ったエプロン姿の女の人がこちらに走ってきていた。
私は“開く”を押す……つもりが間違えて“閉める”を押した。

「えぇ! そんな!」

私は慌てて、“開く”を押しなおす。
あるあるだよねこれ。

804事例3「日比野 鈴葉」と『声』の無い二人。⑥:2013/11/17(日) 16:24:57
「もう、酷いな綾ちゃんは〜」

そう言いながら乗ってきたのは日比野 鈴葉(ひびの すずは)さん。
彼女は大学生でマンション近くで花屋を営んでる店の娘さん。

「……押し間違えただけです」

「そっか、てっきり嫌がらせされたのかと思っちゃった」『あー、早く仕事終わらせておしっこしたいな〜』

おぉ……これは珍しい年上の『声』。
――って言ってもエレベーターの中での一時だけのことだけど。
日比野さんは9階を押して“閉じる”を押す。
マンションに仕事か……。

「……配達ですか?」

「! そ、そうなの〜。可愛い花でしょ?」

籠に入った小鉢を見せながら喜んで話し出す。
そういえば、私こういう性格だから、いつも相槌とかばっかりだった。
きっと私から話を振ったのが嬉しかったんだろうか?
そう思うとなんだか照れくさい。

私は、鈴葉さんの屈託の無い無邪気な笑顔、そして年上と言う共通点から、久しく会っていない姉の事を思い出す。
もう少し、そんな無邪気な雪姉の事を感じていたくて、籠に入った小鉢を確認して、さらに続けてみた。

「これは……松葉牡丹…ですか?」

「!! 流石は雪の妹ね……。こんな事まで知ってるなんて、ちょっとビックリ」

花言葉は確か……可憐、無邪気だったかな?
鈴葉さんにぴったりの言葉な気がする。

「この花のこと凄く気に入ってくれてる人が、注文してくれたの」『ああ、エレベーターの重力が膀胱に響く〜』

彼女の無邪気な笑顔の裏に、必死な我慢の『声』を聞く。
思った以上に切羽詰ってそうな感じで、少なくとも少し前から感じていた尿意ではなさそう。

「私もこの花のこと好きでね……もっと色んな品種を花屋において欲しいんだけどね」
『我慢我慢、綾ちゃんの前だもん、大学生なのにみっともない所見せちゃ格好悪いもんね』

声も『声』も両方微笑ましい。
表情には出さずにそんなことを考えていると、エレベーターの電光表示が私の部屋がある7階を示す。
もう少し声を聞いて居たかったけど、鈴葉さんとももうお別れ……そう思った直後――

805事例3「日比野 鈴葉」と『声』の無い二人。⑦:2013/11/17(日) 16:26:37
<ガゴン!>

っ!

「キャ!」

激しい揺れの後照明が消える。
消えた照明についてはすぐに付いたし、揺れも収まったけど……これってまさか――

「嘘……こ、故障??」

そう、まさしく故障。
直ぐに私はエレベーターの操作パネルを見るが、すべて光が消えている状態。
それでも押せば何とかなるかと思ったが、“開く”、“閉じる”、“階数”はもちろん、“非常通話”のスイッチまで何の反応も無かった。
今の揺れでパネルの基盤がどうにかなってしまったのか、制御部がフリーズしたのか、もしくは配線が切れてしまったのか。
いずれにせよ、工具も無ければ知識も無い。エレベーターを使えるようにするのは不可能。

「ねぇ……もしかして、だめなの?」

細く消えそうな声で尋ねる鈴葉さん。
私は一応携帯電話を見るが、いつもと変わりなく当然のように圏外。
何も操作できない上、携帯まで使えないとなると、直ぐに助けを呼ぶのは無理だけど――

「……多分、マンションの住人が直ぐに気が付くはず」

問題はエレベーターは2つある事。もし気が付いたとしても他のに乗ってしまっえば困らないわけで
そうなるとわざわざ連絡してくれる人が、どの程度居てくれるか……って事なんだけど。

「そ、そう……だったらそれほど気長に待つことも――ぁ」『やだ、おしっこ如何しよう……』

だよね。
私には嬉しい誤算――とは流石に言えない。
こういう場面に遭遇してみたいと思ってはいたけど、実際遭遇すると……凄く怖いんだね。
当然、エレベーターは長い縦穴の中に吊るされた箱であって……ダメだ、想像すると余計滅入る。
それに、まだ3時間くらいなら余裕あると思うけど、自分自身のトイレの心配もあるし……。

「き、きっと大丈夫よ。気長にまちましょ?」『なんでこんな時に……結構おしっこ溜まっちゃってるのに……』

私を心配させまいと、明るく言う鈴葉さん。
でも口で出す声とは裏腹に、『声』は違った意味での不安で一杯だった。
今の彼女の『声』から察するに、そんなに長くは持たないかもしれない。
下手をすれば2〜3時間後の帰宅ラッシュくらいまで連絡が行かない可能性もあるし……。

『1時間くらいで助かるかな……。じゃないと、綾ちゃんに我慢してるのバレちゃうかも……』

806事例3「日比野 鈴葉」と『声』の無い二人。⑧:2013/11/17(日) 16:27:49
――
 ――

閉じ込められてから1時間半が過ぎた。
エレベーターの中は未だ、変化無し。
特に揺れも何も無い静寂な時間が続いている為、恐怖心に関しては殆ど無くなった。
変化があったのは私たちの姿勢。
ずっと立って待っているわけにも行かないので、私は入り口から見て右奥、鈴葉さんは左奥に座り込んでいた。

「ぅ……」

かろうじて聞き取れる、息を詰まらせるような声に、私は視線の端で鈴葉さん捕らえる。

『ど、ど、如何しよう! 本当に我慢できなくなってきた……』

閉じ込められて直ぐは会話もあったが今は静かな密室。
鈴葉さんの足を擦り合わされることで発せられる微かな音さえ聞こえる。

『もう、じっとしてるのは無理……でも――まだ…これくらいの動きなら気が付かれてないよね??』

残念ながら気が気が付いてるよ……。

鈴葉さんが我慢の仕草を始めだしたのは、30分前くらいだと思う。
私は気が付かない振りをしていた。
彼女にだって大人の意地や面子があるし、気が付いてあげたところで、
弥生ちゃんの時のようにトイレに連れて行くことも出来ない。
結果が変わらないなら、私はただ、見て見ぬ振りをして、魅力的な『声』を聞くだけ。――観察するだけ。
とはいえ、ずっと見ているわけにもいかないので、一度視線を正面の扉のほうに戻す。

「んっ」『やだ……また波?』

鈴葉さんは息を止め、尿意の波に抗う。

「はぁ……」『よかった……治まった…でも早くおしっこしたい……』

しばらくして口から小さく吐息を漏らす。どうやら波を越えたらしい。
私に聞こえるくらいの吐息だけど、もう、そこまで気が回っていないようだった。

尿意の波は『声』から察するに、徐々に強くなってきてるように思う。
その間隔も心なしか早くなってきてる。

――可愛い……。

そう……鈴葉さんは可愛い。
どちらかといえば、彼女は可愛いではなく美人な顔立ち、スタイルなんだけど。
頭の髪留めに使ってる大きなリボンとか、仕草、言葉使いは間違いなく可愛いと言えるし、
普段着も見たことあるけど、やっぱり大人っぽいというよりは可愛らしい服を好んで着ている。
私より年上だから可愛いって表現はどうなのかとは思うけど……やっぱり彼女は綺麗とかセクシーではなく可愛い。
人によっては勿体無いとか言うかもしれない。

――私はそういうギャップも良いと思うし、美人より可愛い方が断然いいけど。

そう思い、外していた視線を軽く向けるともじもじと腰を揺すって、必死に尿意を紛らわそうとする健気な姿が目に写る。
不安そうな顔をして、両腕で膝を抱き、仕事用のジーンズのお尻の部分を床に必死に押し付けるように体が揺れる……やっぱり可愛い。

『…わ、私…我慢……できるよね?』
『ううん! 我慢しなくちゃ……絶対トイレまで我慢するんだから!』

何時になったら出られるか見当の付かない、先の見えない道。
不安に押しつぶされそうになりながらも、精一杯我慢するように自身に言い聞かせる。

807事例3「日比野 鈴葉」と『声』の無い二人。⑨:2013/11/17(日) 16:29:30
そんなひたむきな思考で15分以上、小さな仕草――――バレバレだけど――――だけで耐えていた鈴葉さんだったけど――

『絶対に我慢する! ――でも……一体何時まで? あと10分? 30分? それ以上? ……本当にそれまで我慢できるの?』
『ダメ、やっぱりこのままじゃ……なんとかしないと』

――いくら我慢すると自己暗示をかけても不安は拭えない。そして意志だけで我慢し通せるものではない。
鈴葉さんは立ち上がり、もう何度も試した操作パネルのボタンを押す。
でも、結果は変わらず、反応無し。

『やっぱりダメなの? もう――』

――可愛いけど……このままだと鈴葉さん……。

正直、凄く萌えるんだけど。
……けど、それ以上に心配だった。

「ね、ねぇ、綾ちゃん?」

鈴葉さんが突然私に向けて話し出す。
私は顔ごとそっちに向けて、言葉の続きを待つ。

「その……助けを待つ以外に、ここから出る方法ってやっぱり無いかな?」

私に何かを期待するような台詞。
でも、その表情は――答えは判っている。そんな表情に見える。
希望が無いと判っていながら、希望を探そうとする矛盾した思考。

私は持ってる知識と状況を合わせて考え、口を開いた。

「……止まっている場所が丁度扉前なら、無理に内扉開けて、手動で外扉を開ける方法は有りますけど……
多分内扉はそう簡単に開けられないと思いますし、外扉も手動で開ける詳しい方法を知らないので……」

――助けを待つ方法しかありません。その最後の一言は言葉に出来なかった。

それを聞いて、鈴葉さんは目に涙をため、また座り込む。

『ダメ、このままじゃ、私……』

心の『声』から鈴葉さんの限界が刻々と近づいていることが判る。

808事例3「日比野 鈴葉」と『声』の無い二人。⑩:2013/11/17(日) 16:30:43
「……あのね、綾ちゃん」

座り込んで数分。鈴葉さんは私の名前を口にした。
そして、とても言い辛そうにしながらも続けた。

「……私、お、おしっこ……我慢、してるの……」

「……」

鈴葉さんは真っ赤な顔で恥ずかしそうにしながらも、自らそう告白した。
そして軽く身を捩りながらさらに続けた。

「エレベーターに乗るずっと前から……2時くらいだったかな? それくらいから我慢しててね……
トイレに行きたくなる直前にも紅茶とか飲んじゃってて、仕事が忙しくてずっと行けてなくて――」

そんなに前から……。

「本当はマンションのホールにあるトイレ……凄く使いたかった。でも、商品持ってたから、トイレにこの花持ち込むわけには行かないし
……もう凄く我慢してて……、だから、私、大学生だけど……みっともない…我慢してる姿を見ても幻滅……しないでね……」

真っ赤な顔をして涙を溜めながら……それでも、無理に笑顔を作って私に言った。
直ぐに顔を膝に埋めて、今度は大きく体を揺すり、足を震わす。

おもらしするくらいなら、恥ずかしい姿を見せてでも、少しでも長く我慢する。
私に我慢していることを告白したのにはそんな覚悟があったのかもしれない。

「んっ、あぅ……おしっこしたい……」『あと何分? おしっこ出そう……でも、こんなところでなんて絶対やだ……』

私に喋ったことで緊張の糸が切れたのか、我慢の仕草だけでなく、本当の声にまで恥ずかしい言葉が漏れ出す。

――凄く可愛い……けど、やっぱりこんな所で漏らして欲しくない。
もし、漏らしてしまえば、私だけでなく他の人にも見られる可能性が高いし……。
下手をすれば、近所に知れ渡り、鈴葉さんが笑顔で仕事を手伝う姿がもう見れないかもしれない……。
……今までそれほど付き合いがあった訳ではない私が言うことじゃないのかもしれないけど、やっぱり笑顔で居て欲しい。

「やだ……やだよ、早く開いてよ……」『あぁ、もう抑えないと、我慢、出来ない……こんな姿……』

鈴葉さんは『声』で言った通り、体育座りの姿勢のまま横から両手を大切な部分に差し入れ、揉み解すように抑え込む。
それは、決して人前で見せてはいけない恥ずかしい仕草のはずで……ましてや彼女は大学生、立派な大人で……。

「はぁ……はぁ……あぁ、んぁ……」

荒い息遣い……波が来るたび体を硬直させ、足を震わせ、手に力を入れて……。
その間隔も次第に短くなって、波が来ている時間の方が長くなってきているようだった。

809事例3「日比野 鈴葉」と『声』の無い二人。⑪:2013/11/17(日) 16:32:04
『もれちゃう……やだ……お願い、早く出して……』
『おしっこ……おしっこ……もう……』

声も『声』も仕草も表情も……すべてに余裕が無くなって行くのが判る。

「あぁ、ダメ……」『お願い本当にもう……ダメなの……うぅ』

鈴葉さんは再び立ち上がり、制御パネルのスイッチを手当たり次第に押す。
それでも、やっぱり反応を示さない。

<コツコツコツ>

激しく踏まれる我慢のステップ。
密室の静かなエレベーターの中に大きく響き渡る。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

同時に、激しい息遣いも……。

「もう、やだ……なんで開かないのよ!」

誰に言うわけでもない独り言を小さく叫び、扉横の制御パネルに右腕を置き、さらにその上から頭を乗せ顔を隠すように前屈みに寄りかかる。
左手は確りと、大切な部分をエプロンの下から抑え込んでいる。
そして、慌しく行われていた足踏みが止まり、きつく閉じられた足がガクガクを震えだす。

『い、いや……我慢、がまん……がまん………でき…ないっ、――やだ、あぁ、溢れちゃう! あぅ……もう…もうっ! 〜〜っ!』
「やぁ……」

――!
鈴葉さんの小さな声が腕と壁の間から漏れ、それと共に私は見た。
前屈みになり、突き出されたお尻、左手で抑え込まれた大切な部分。
その指の隙間から見えるジーンズが色濃く染まる瞬間を……。

私の視線はその濃くなった部分に釘付けになり、唾を飲んで喉を鳴らした。

次の瞬間、シミは広がり床に水溜りを作ってしまう。
そんな想像をしていた……でも――

「っ……んはぁ! はぁ……はぁ……」『やだ……ちょっとだけ……』

――鈴葉さんは波を乗り越え大きく息を吐いて、呼吸を整える。
ジーンズに出来た染み……見える範囲ではこぶし大で、それ以上は大きくならず、どうにか決壊と言う最悪の事態を避けたみたい。
だけど……大人の女性が、なりふり構わず必死で我慢して、もうすぐトイレに行けるという油断も無く、私が居るにも関わらず――
そんな状況下でありながら小さな粗相をしてしまったと言う事実……それを意味する答えは火を見るより明らかで……。

810事例3「日比野 鈴葉」と『声』の無い二人。⑫:2013/11/17(日) 16:33:31
『手に……湿っぽい感覚? 嘘、ジーンズまで?』

鈴葉さんは自身の失敗の度合いを、改めて認識して、咄嗟にお尻を壁側に向ける。
代わりに、涙を零れるほどに溜め、真っ赤に染まった辛そうな顔が見えた。

『やだ……また来ちゃうっ!』

先ほどの粗相から1分もしない内に大きな波が来たようで、大きく身体を震わし、大きな『声』で焦りの声を上げる。
体を腰から90度近く折り曲げ、後頭部あたりで束ねた髪が振り乱される。
足はまたせわしなく動き、両手はエプロンに隠れた奥へ――

『やだよ! やだやだっ! もうダメなの! 漏らしちゃう! 早くぅ、早く! 誰か開けてよ……助けてよ……っ! あぁ!』

そして、また足踏みが止まり身体全体が強張る。
目はきつく瞑られ、端から涙が頬を伝った。

「ダメ……あぁ!」

鈴葉さんの身体が大きく2回続けて跳ねる。

――も、もしかして……やっちゃった?

そう思ったが直ぐに『声』が聞こえてくる。

『と、止まった? でも……また…こんなに沢山……』

さっきまでのお尻の見えるアングルではない為、エプロンが邪魔してどの程度粗相したのかはわからない。
でも、その『声』を聞くからに、さっきの比でない量の長時間溜め込まれた熱水――おしっこがジーンズに染みていることがありありと想像できた。

――一体どれほどの量を……。
うーん、見えない……それでも私は、その状態を見たいがために尚も必死に擦り合わされる足を凝視していた。

「綾ちゃん……その、あんまり見ないで……」『恥ずかしい……こんな姿…お願いだから……バレないで、きっともう少し我慢すれば……』

その声と『声』に私は自身の行為がどれほど無神経か思い知らされる。

私は最低だ。
そう思って、顔を背けても、どうしても気になってしまい、視線だけが向けてはいけない方へ向いてしまう。

恥ずかしそうにしてる姿、必死に我慢する姿、おもらしを目前に焦る姿、犯してしまった粗相を必死で隠す姿。
それを見て私は思う。

――やっぱり可愛い、どうしようもなく、可愛い。

どんなに相手が苦しくても、辛くても、やっぱり可愛い。そう感じてしまう。
同時に理性が助けたいと主張してる……でも、この状況では何も出来ない、だったら私は――

811事例3「日比野 鈴葉」と『声』の無い二人。⑬:2013/11/17(日) 16:34:36
<ガゴン>

っ!

突如小さくエレベーターが小さく揺れ、電光表示が点灯し7階を示す。
直ぐに私は立ち上がり、側面の制御パネルの“開く”押す。

「早く、開いて! ……鈴葉さん! 私の部屋のトイレ貸すから! もう直ぐだから我慢してください!」

「あ、ありが…とう」

鈴葉さんが言い終わるのと同時に扉が開く。
そこは紛れもなく私の部屋がある7階。部屋はエレベーターから15mくらいの比較的近い位置にある。
そして幸いなことに周囲に人はいない。
エレベーターが動いたのは制御室で再起動でもしたのかもしれない。

私は鈴葉さんの荷物の商品を持ち、エレベーターを降りる。
でも、鈴葉さんはエレベーターから直ぐに降りない。

「鈴葉さん?」

降りない鈴葉さんに向けて疑問の言葉を向けたが、答えは声ではなく『声』で私に伝わった。

『間に合わない……もう……だって…私っ! ダメ、もうっ、限界!!』

先ほどと同じように身体が跳ね、そして、そのまま腰が砕けたように中腰となり……その直後だった。

「あっ! あっ! やぁ……」<ジュ…ジュ……ジュウーーー>

くぐもった音と同時にエレベーターの床におしっこが当たり、ピチャピチャと音を立てる。
必死に溜め込まれた黄色い熱水はすぐに水溜りと言うには大きすぎる湖となり、それでも尚、面積を広げてゆく。
そして、その場に膝から崩れ、へたり込んでしまった。

「はぁ…はぁ…はぁ……」

涙目で真っ赤な顔で、焦点の定まらない視点で、大きな息をして放心状態で……。
それでも、まだ、大切な部分から聞こえるくぐもった音が響く。

――可愛い。
私は不謹慎だと思いながらもそう思わざる終えず、瞬きすらせず凝視していた。

その時だった。

<ウィーン>

エレベーターの扉が閉まりだした、咄嗟に私は扉に手で押さえる。
どうにかそのまま閉じるのを阻止できた。
このまま、別の階に移動していれば確実に誰かに目撃されていただろう。

鈴葉さんはそれでも放心状態のままだったが、恥ずかしいその音は次第に小さくなり、聞こえなくなった。
その頃にはエレベーターの床の大部分が、おしっこで黄色く光っていた。

812事例3「日比野 鈴葉」と『声』の無い二人。⑭:2013/11/17(日) 16:36:24
「……あの鈴葉さん……」

そう声を掛けると肩をビクつかせて、不安、絶望、情けなさ……さまざまな負の感情が渦巻いているであろう表情で私を見上げた。

「ぁ――いや、やめて……見ないで、見ないでよ……うぅ」

直ぐに顔を背けて泣き出す。
すべての人を拒絶するように……。
当然だ……でも、このまま放っておけば、私が扉から手を離せば……。

「……立って……私の部屋でシャワー使っていいから」

「いや……ほっといてよ…どこかに行ってよ!」

鈴葉さんは私を拒絶する……。
ここに残っても辛いのは彼女なのに。

「……私がこの手を離せば、エレベーター閉まるよ……」

「……」

私はあえてきつい言い方で、状況を悟らせようとしたが、結局は無言……。

「……お願い立って、このままだと――」

――いずれ、誰か来る。
帰宅ラッシュももう始まってる。
隣のエレベーターもさっきから動きっぱなしだ。

「鈴葉さん!」

私は必死になって彼女の名を叫んだ。
しばらく沈黙が続いたが、それを破ったのは鈴葉さんだった。

「……うん、ごめんね……迷惑かけて……」

鈴葉さんはどうにか立ち上がってくれた。
ジーンズとエプロンに染み込んでいたおしっこが雫となってピチャピチャと音を立てて水溜りを打つ。

「えへへ……情けないな…私……」

涙をこぼしながら彼女は自嘲気味に笑って見せた。

813事例3「日比野 鈴葉」と『声』の無い二人。⑮:2013/11/17(日) 16:38:47
――
 ――

鈴葉さんがシャワーを浴び初めて直ぐに、私はトイレを済ませた。
鈴葉さんのことで気が回っていなかったが、私も結構溜まっていた。

鈴葉さんのために脱衣所に着替えの服を持って入り、わかりやすい場所に置く。
もちろんトイレに行って、服を用意したくらいではまだ出てくる気配は無い。

「此処に雪姉の服置いて置くから使ってください」

「本当にごめんね……」

その声を聞きながら、なんとなく私は、脱衣所の扉の前に座る。

「えっと、まだ、そこに居る?」

「……はい、居ますけど?」

私がそう答えると、数秒の沈黙を経て、言い難そうにした声で続きが聞こえてきた。

「私が……その…しちゃった事……誰にも言わないでね、もちろん雪にも絶対言わないで!」

「……もちろん黙ってますよ」

そう私が答えると「ありがとう」とシャワーの音で消えそうなくらい小さな声で鈴葉さんは返した。

――
 ――

お互い服を返す約束を付けて、その後、普通に着替えて普通に仕事に戻って普通に帰って行った。
強がりなのか、大人だから切り替えが早いのかわからないが、思った以上に落ち込んでなくて良かった。
やっぱり、いくら可愛いといっても、その結果、傷付いて落ち込んでしまうのは後味悪いから。

一時はどうなるかと思ったけど、何事も無く済んで――いや、何事は合ったけど特に大きな問題とはならなかった。
おもらしの痕跡はそのまま放ってきたので、ちょっと騒ぎになったけど、エレベーターについてる監視カメラはダミーだし、
アレが鈴葉さんのおしっこだなんて誰も思わないだろう。
家に帰っても服が汚れた言い訳なんていくらでも出来るから、家族にさえバレて無いかも知れない。

この事を知ってるのは本人意外だと私だけ。

私はベットに寝転び、独り言を呟く。

「本当……鈴葉さん可愛かったな〜」

自分で酷い奴だと思いながらも、私だけが知っている鈴葉さんの大失態を思い浮かべて、頬を緩ませた。

おわり

814「日比野 鈴葉」:2013/11/17(日) 16:41:48
★日比野 鈴葉(ひびの すずは)
綾菜の住むマンション近辺で花屋を営む店主の娘。
20代の大学生でよく店の手伝いをしている。

綾菜がマンションに引っ越して来た日からの顔見知りではあるが
綾菜の性格のせいでほぼ一方的に挨拶したりする程度の関係。
活発で人当たりがよく、花や近辺の人たちからも評判のいい子。

また、綾菜の姉である「雛倉 雪」とは高校の同級生でそれなりに仲の良い友達同士だった。

膀胱容量は若干大目。
仕事中はあまりトイレに立つ機会がないのでそれなりに溜めていることも多い。
特に配達中は商品の花を持ち運んでいる為、トイレに寄ることが出来ないため、苦労する事も多い。
とはいえ、いい大人なので基本的には余裕のある段階でトイレは済ませている。

綾菜の評価では、明るく無邪気なところは姉に良く似ているらしい。
また、スマートで美人にも関わらず、少し子供っぽい口調や、頭の大きなリボンの髪留めはギャップがあって高評価。

815事例の人:2013/11/17(日) 16:45:35
待ってもらってる人には申し訳ない、遅筆なのです
また、次回はわかりませんが次々回から投下さらに遅くなるかもです

816名無しさんのおもらし:2013/11/17(日) 17:11:09
すばらしい
時期作をいつまでも待ってます

817名無しさんのおもらし:2013/11/18(月) 00:10:41
すごくよかった。文体も表現も大好きです。首を長くして待ってるので自身で納得できる作品を書いてください!

818名無しさんのおもらし:2013/11/19(火) 21:09:36
俺もおちんちん長くして待ってます

819名無しさんのおもらし:2013/11/20(水) 01:43:22
僕の尿道口も閉鎖されそうです

820事例の人:2013/11/28(木) 18:43:38
>>816-817
ありがとう、適度に頑張るよ
>>818-819
おまえらw

すっかり忘れてたけどシリーズタイトル書いてなかった
どうでもいいと思うけど一応、「声が聞きたい!」です

821追憶1「雛倉 雪」①:2013/11/28(木) 18:45:30
面倒な期末テストも終わり、私以外誰もいない自宅に帰宅した。
玄関を開けてまっすぐにベットに向かい倒れこむように横になる。
テスト勉強なんて一切していなかったが、なんだか疲れた。

私はうつ伏せになっていた身体を転がし横向きになる。
私の瞳にはカレンダーが写り、今日の日付――そして7月ももう残り少ないことが見て取れた。

――そっか、もう直ぐ夏休みか……。

<ピンポーン>

そんなことを思っていると、インターフォンがなる。

――訪問販売? 宗教勧誘?
私は静かに玄関に向かい覗き穴を覗くと――鈴葉さんがいた。
服は先週返して貰ったし、私も鈴葉さんの服を返した。何の用事だろう?

<ガチャン>

「あ、綾ちゃんこんばんは〜」

「……なんでしょう?」

「挨拶返してくれないなんて……つれないのね」

「……なんでしょう?」

「……」

しゅんとした顔とはまさにコレなんだろう……可愛いけど接し辛い。

「ぅ……こんばんは…なんでしょう?」

この前変に気を利かせてしまったせいで、ドライな態度取ると落ち込まれてしまうようになってしまった。
今まではこんな態度で接していても、一方的に話を振って来たりしてくれてたのに……。
私も落ち込んで欲しくないので、挨拶を返してしまうのも悪いんだけど。

822追憶1「雛倉 雪」②:2013/11/28(木) 18:47:28
「えへへ、今日はね花を持ってきたの」

機嫌を直して「ジャジャーン」と言う声と共に籠の中から出てきたのは、松葉牡丹。
ただ、あの時のものとは品種は若干違うように思う。

「これは私が趣味で育ててる奴なんだけどね〜、これ貰ってくれない?」

「……いいんですか?」

「雪が帰ってきたら、この花私が育てた最高傑作だって言って渡しておいて!」

つまり私は伝言板ということ。
なんかちょっとショック。

「あ、そうだ、こっちの花も貰ってくれる? こっちは綾ちゃん用、私の最高傑作よ」

どれだけ最高傑作あるのよ……。
でも、ちゃんと私のも用意してくれてるなんて――

「――あの件の口止め料ですか?」

「あぅ! ひ、酷い……」

真っ赤な顔して泣きそうな顔になる。

「……冗談です」

正直嬉しかったので、つい誤魔化す為冗談を言ってしまった。
しかも人のトラウマを抉る様な一言……酷いことをしてしまった。
……でも反応は可愛かった。

――
 ――

鈴葉さんが帰って、私は貰った松葉牡丹をテーブルの上に置き、再度ベットに寝転ぶ。
そして、鈴葉さんに貰った松葉牡丹を見る。

――雪姉……か。

それは昔の話……と、言っても、たった3年前の事。
今のこのマンションの一室ではなく、あの一戸建ての家に住んでいた頃の話。

私の趣向が変態的なのだと自覚し始めて、まだ間もない頃。
その変態的な趣向を生み出した、本物の変態である雪姉の話――

823追憶1「雛倉 雪」③:2013/11/28(木) 18:48:32
――
 ――
  ――

「ちょっと雪姉! 飲んだでしょ! 私のジュース!」

「の、飲んでないわよ?」オドオド

「さらに言えば、私の大事に取っておいた濃厚バニラアイスも!」

「さ、さぁ……私じゃないわよ?」オドオド

「……じゃあ言うけど、何でアイスほっぺにつけてるの?」

「っ!! 嘘! なんで、ちゃんと拭いたのよ私!」

「……うん、付いてない、ちゃんと拭けてる」

「っ!!! お姉ちゃんを騙したのね……許さないんだから!」

「こっちの台詞! 一体何度目だと思ってるの!」

「……だ、だって…私昨日風呂上りに食べちゃったし……私のが――」

「食べたら無くなる! 当然じゃない!」

「あぅ」

まったく雪姉……人の気も知らないで……。

私の目の前でいつものように言い包められ、小さくなっているのは雪姉。私の姉の雛倉 雪(ひなくら ゆき)。
少しおっちょこちょいの優しい姉なのだが、割と天然。
私はそんな姉でも、好きだ。
ただ、人の物を平気で食べる腹立たしい一面を除いてだが。

今日は日曜日。
さっきの会話の通り、私のジュースと濃厚バニラアイスを食べられた。
ジュースはともかく、アイスの方は、昨日の風呂上り我慢して今日のために取っておいた物。
……さらに言えば、食べられる心配があるから冷蔵庫のわかり難いところに隠しておいたはずの物。
さらにさらに言えば、取っておいたアイスは、直ぐに食べてしまう雪姉の為に今日の風呂上りにでも一緒に分けようと思っていた物。
それなのに、朝、ちょっと遅いけど私が10時に起きると、姉が起きていて既に完食している始末……今回ばかりは仏様でも腹を立てると思う。

824追憶1「雛倉 雪」④:2013/11/28(木) 18:50:38
「うぅ……ごめんね、綾。でもね、お姉ちゃん食べたくなっちゃってね、それでね……」

うーん、仕草とか反応は可愛いのに、なんだろう……凄く腹立つ!

「ちょっと来て雪姉」

「う、うん……」

私は朝起きてからパジャマを着たままの、雪姉を玄関に連れて行く。

「えっと、お姉ちゃんパジャマなんだけど……外にいくの?」

雪姉は恥ずかしがり屋だから、パジャマ姿で外に行くのは抵抗がある様子。
どうやら外を連れまわされると思って警戒している様だ。

「大丈夫、玄関先までだから」

「ほ、本当? ……わかった」

そう言って素直についてくる。
一応ジュースとアイスのことは悪いと思っている様だ。

<ガチャン>

玄関を開けると冷たい空気が入り込んでくる。
もう11月だし、寒くて当然。

「結構寒いけど……」

そう言いながら、玄関から雪姉が一歩足を外に踏み出す。

「じゃぁね、雪姉」<ガチャン>

「え! ちょ――」

私は雪姉だけ外に出たタイミングで玄関を閉める。

うんうん、作戦通り。玄関先までだし嘘も言ってない。
私は直ぐに鍵を閉めて、玄関の向こうで「開けて!」と言う声を背中で聞きながら、平然と自室の2階へ行く。
しばらくこの寒空の下で反省して貰おう。

825追憶1「雛倉 雪」⑤:2013/11/28(木) 18:52:16
……。

そう思っていたんだけど、2階についてからは、思っていた以上に騒がない。
正直それはそれで詰まらないので、窓から様子を見るために下を覗く。

<ガラガラ>

「(あ! 綾〜! ちょっと寒いしこんな格好恥ずかしいから入れてよ!)」

雪姉が私を見つけて、下から小声で叫ぶ――――矛盾してるような気がするけど、どんな感じか察して――――が、私はそれを無視する。
騒がない理由はご近所さんに自分の格好を見られたくないからって訳か。
……見下ろした雪姉の瞳は不安で、助けを求めている……実の姉にこういう事言うのもアレだけど、とっても可愛い。
でも、流石に無期限で放置ってのも不安だろうし、時間は決めて置いてあげよう。

「後1時間。……そうしたら入れてあげる」<ガラガラガチャン>

それだけ言って私は窓を閉めた。
しばらくベットに寝転びながら漫画でも読んでよう。

――
 ――

――ブルッ……

「あ……トイレ……」

漫画を読み始めてから30分経ったとき、私は尿意を感じた。
そういえば朝起きてから一度もトイレに行ってなかったし、ジュースは無かったけどお茶は飲んだ。
それにこの寒さ、外よりマシとはいえエアコンはつけてない。“したく”なって当然。
私はベットから上体を起こし、床に足を着け、トイレに行こうと立ち上がろうと思ったとき――

『ど、どうしよ……もう結構きつい、時間は……うぅ、まだ30分もある』

――不意に焦るような、聞きなれた『声』が私に届く。
雪姉だ。

私は立ち上がり、気が付かれない様に窓の脇に立ち様子を伺う。

雪姉は携帯を取り出して時間を確認している。……パジャマ姿でも携帯は持ってたのか。
そして、『声』から感じ取れた焦りは、行動にも現れていた。
もじもじと体を揺らし、時折、片足を上げてもう片方の足に擦り付ける。
……あの感じだと外に出される前から尿意を感じていた?
家の中に居る時はそんな仕草微塵も見せていなかった。
そうなると多量の水分を取っていた可能性が――あ、私のジュースか。

私は静かに窓からはなれベットに寝転ぶ。
そして、家族相手にも殆ど見せない、口のゆるませたニヤけた顔になる。
これ以上ない仕返しと暇つぶし。両方を手に入れた私の機嫌はアイスとかどうでも良くなるくらいに楽しい気分になった。
あの“我慢好きの変態雪姉”がどんな『声』を聞かせてくれるのか……私は期待に胸を弾ませた。

826追憶1「雛倉 雪」⑥:2013/11/28(木) 18:53:53
『お願い……早く時間になって……あと30分、あと30分、あと……凄く長い……』

雪姉本人は30分頑張って我慢する気みたいだけど、『声』の大きさからして難しそうな気がする。
加えてこの寒さ、それと水分の過剰摂取。……30分と言う長さは絶望的に長い。

『あ、公園のトイレ……でも、この格好じゃ……んっ! やだ……まだ余裕ありそうなのに寒さで……』

その『声』を聞いて、私はまた窓からばれない様に見下ろす。
雪姉は寒さに一人肩を抱き、足は交差させ上下に軽く屈伸運動をしている。
凄く寒そう……。外は風もあり、この部屋よりずっと寒い。尿意に耐えるのも相当厳しそう。

『やばいよ……ホントきつい……寒さのせいかな? 一度波が来るとなかなか引かな――ぁ、またっ! あぁ!』

今度は右手を大事なところに持っていって必死に抑えている。
じっとしてられないのか、ウロウロと玄関前を歩く。

『あんまり変な行動してると、周囲の人に気が付かれちゃう……でも、もう、ホント……限界近いかも』

雪姉が動きを止めて、私の部屋の窓の方に視線を上げる兆候が見えた。
咄嗟に隠れる。

『ぁー! もう綾……顔出してよ、入れてよ……もう我慢が……大声出すわけには行かないし……あ! そうだ!』

なにかにいい方法でも思いついたのだろうか?
私は静かに気が付かれないように覗くと、落ち着きなく足踏みをしながら携帯を弄っている。

<♪〜〜〜>

「わっ! なんだ私の携帯か……って雪姉から? ……あーうん、なるほどね」

大声が出せないから、携帯ってわけね。
さてと、出て生声を聞いて楽しむのもいいけど、此処は無視して絶望を感じた『声』を聞いておこう。

『あ〜もう! なんで出ないのよ!? ごめんもう許してよ……誰かに見られちゃったら私……』

本当何時聞いても雪姉は良い『声』を出す。
我慢好きと言ってもおもらしは守備範囲外の雪姉だからこその良い『声』。
どうせ今日は家の中で私に気が付かれない無い様に我慢しようとしてたんだろう。
まさか外で放置されるなんて思いもよらなかったはずだ。

827追憶1「雛倉 雪」⑦:2013/11/28(木) 18:55:26
『あぁ……なんで、こんなことに……えっと、お茶4杯で600mlでしょ、コーヒー2杯で300mlくらい? 綾のジュース500ml……』

……予想以上に飲んでた。合計1400mlって――どんだけ本気なのよ!
しかもコーヒーって利尿作用の強い飲み物まで……まぁ、それだけ水分取ってれば誤差の範囲だろうけど。

『飲み始めてからもうすぐ1時間半? あぁ、寒くなくてもあと30分って微妙なのに……、んぁっ! な、波がっ! だ、ダメ……』

その余裕の無い『声』に私は隠れていた身体を窓に寄せ、雪姉を観察する。
両手で確り大事な部分を抑えて、前屈みになり、震える足を必死に締め付け、長めの髪を振り乱して……ああ、雪姉。本当、可愛いくて愛おしい。

『や……うそ、ちょっとチビっちゃった…かも』

っ!

『……もう……これ以上は――』

そういいながら雪姉は何とかと言う感じで右手だけを伸ばしてインターホンを押している。

――えっと、そろそろ開けてあげるべきだろうか?

『もう、綾……本当ダメ…なのっ! あぁ! あっ! また、んっっ! 綾ぁ、助けてよぉ! いやっ!』

また両手を両太腿の間に差し込み、前屈みになりガクガクと震える。

『ぁう……また、少し……本当もうダメ……』

2度目の小さな粗相に狼狽している雪姉。
玄関先で右へ左へ小さく動く。

そして雪姉はまた携帯を取り出して何か操作をしてる。

<♪〜〜〜>

『お願い! 出ないで! あ、いや、電話には出て!!』

またも私の携帯がなる。けどやっぱり無視。
私って相当姉に対してはドSかも知れない。
だからって流石に外でおもらしさせるのは少し気が引ける。
だったら、もう一度だけ、下着に染みを広げた時開けてあげよう。
我慢好きの雪姉ならきっとまだ漏らさず耐える。

などと特に根拠の無いことで雪姉を信じて、雪姉を苦しめる。

828追憶1「雛倉 雪」⑧:2013/11/28(木) 18:57:28
『嘘……綾ぁ…んっ! あぁ、もう……無理、……仕方が無い、もう庭の隅で……』

っ!
いやいや、それは予想外、そして不味いでしょ!
誰かに見られたら如何するのよ! そして私が見えないところでするんでしょ!
そう思って慌てて私は窓を開ける。

<ガラガラ>

「あ、綾ぁ〜〜お願い開けて」『に、庭でしようと思ったのに〜……あぅ、でも、開けてくれるならあと少しだけ我慢すれば……』

「……もしかしてトイレ? それじゃ、3分たったら開けにいくわ」

恰も今我慢してることを知った風に言う。
そして、3分って言う、我慢するには長く、庭で済ますには微妙な時間を与えて様子を見る。

「えぇ! や、お願いもっと急いで!! お願い!!」

その必死な表情を見て私は――

<ガラガラガチャン>

――無表情で窓を閉めた。

「〜♪」

その後は窓から離れベットの縁に座り『声』の続きを聞く。

『嘘……3分って何秒!? あぅ1分で60秒だから……ひゃ、ひゃく……180秒? どうしよう……そんなに我慢できるの??』
『あぁ……やっぱり庭で――あぅ、ダメ……もう120秒くらいだし、もしかしたら私の言葉を聞いてもう少し早く開けるかもしれないし……そんなに直ぐ終わらないかもだし……』
『じゃあ、やっぱり我慢しか……!! ダメ! 波が……やぁ!!』

――もしかして、本当にやっちゃった?
そんな、期待と不安が混ざった気分で、私はまた静かに覗き込む。

あ! しゃがみ込んでる……もしかして本当に?

『んっ! あぁ、も、もう……出ちゃう、出ちゃう、出ちゃうの!! まだなの!?』

どうやらまだ我慢中らしい。
つまりあの格好は世に名高い“踵押さえ”って奴。

ちょっと早いけど、本当に無理そうな感じなので、開けに行って上げよう。
そう思い私は部屋を出て階段を下りる。

829追憶1「雛倉 雪」⑨:2013/11/28(木) 18:59:11
『ふぁ! やっ、無理! ダメ……もう、もう限界!! 早くぅ! 綾ぁーーー!』

階段を降りきると同時に叫び声に近い今までで一番大きな『声』がした。
その尋常じゃない『声』に私は慌てて、玄関に向かい扉を開けた。

<ガチャン>

「あぁ! 綾ぁ! あっあっ……」
「ちょっと雪姉!」

扉を開けた瞬間に雪姉が雪崩れ込んできて、私の肩を掴んで体重をかけて――

「あぅ!」「いたぁ……」

――押し倒された。
雪姉の身体は冷たい。それと玄関が開いたままなので冷気も入ってくる。
暖かいのは太腿付近だ……け? 

……。

「ぅ、あやぁ……」『あぁ、でちゃ……止まってぇ〜、止まってよ〜〜』

うん。暖かいわけだよね。
私を押し倒した姿勢のままで、私の太腿を濡らす。
大量の水分摂取により普通のおしっこよりずっと薄い黄色のおしっこ。
私たちが倒れこむ玄関に1分以上に渡って広げて続けた。

――
 ――

「私……悪くないし」

そう拗ねるように真っ赤な顔で湯船に入りながら言う雪姉。

「……まぁ、私が悪いよね……ごめんね雪姉」

「あ、いや……うん綾が――悪い。けど……許しちゃう」

湯船に口をつけブクブクさせて顔を更に真っ赤にする雪姉。……なにそれ、超可愛い。
自分からわざと我慢していた後ろめたさがある以上、素直に私のせいだけには出来ないらしい。
ついでに私におしっこを掛けてしまったわけで……そうそう強気になるって言うのは無理な話。

私は身体を洗い終え、雪姉入ってる湯船に入り込む。

「上がったら一緒にアイス……ぁ」

「……ごめんなさい」

「……馬鹿」

830追憶1「雛倉 雪」⑩:2013/11/28(木) 19:00:13
――
 ――
 ――

あの後、私も我慢してること思い出して、お風呂上がるまで必死にバレないように我慢してたんだったかな?

雪姉元気にしてるかな?
大学生活……きっとおしっこ我慢の趣味に拍車がかかってるだろう。
こっそり様子を見に行きたい気もするけど、東京まで行くのは流石に遠いし、面倒だし、怖いし……。

それに、もうすぐ夏休み。
大学も同じくらいのタイミングで休みらしいから、もうあの家ではないけど、この部屋に帰ってきてくれると嬉しい。
一人の朝食、夕食は寂しい。お母さんももっと仕事の時間帯選んで欲しかったな……。
お父さんは――

「――はぁ……」

ベットの上で大きく嘆息して想う。

アイス、私の分まで食べてもいいから、ちゃんと帰ってきてよ雪姉。

おわり

831「雛倉 雪」:2013/11/28(木) 19:02:59
★雛倉 雪(ひなくら ゆき)
綾菜の姉で、東京に一人暮らしをしている某有名大学の1年。

妹と違い、特に超能力的なものは持っていない。

尿意を限界まで我慢することを楽しむ変態。
ただし、漏らす事自体に興味は無く、その過程に感じるスリルと充実感、そして放尿時の開放感を気持ち良いと感じる。
まさに変態。
変態的所業で鍛えられた膀胱は容量は最大1200ml前後。
中学生の時に下校中に催した尿意を我慢できず、家の玄関で漏らしてしまったことがきっかけ。
自発的に我慢する事を始めたのが高校1年から。
大学で一人暮らしをするようになって、箍が外れ、その行為はエスカレートしている模様。

成績優秀、若干運動音痴。
性格はとにかく優しい。そして天然。
また揚がり症な一面もあり恥ずかしいことは、非常に苦手。それと天然。
大学のミスコンに出れば上位入賞は確実と周囲からは言われるほど可愛い(美人ではない)。加えて天然。

変態的な趣向なのでバレない様にしているつもりだが、同波長限定テレパシストの妹、「雛倉 綾菜」にはバレてしまっている。
また、実際に妹の前で失敗した経験も2回ある。
結果的に本人は気が付いていないが、妹の教育に悪い姉となってしまった。

832事例の人:2013/11/28(木) 19:12:10
次から話の展開も夏休み方向へ……出来たらいいな
前回も言った通り次回まで結構間開きます、少なくとも年中には1本は書きたいね……

833名無しさんのおもらし:2013/11/28(木) 22:26:12
わくわくしながらまってます

834名無しさんのおもらし:2013/11/29(金) 01:51:38
なんかいろいろ混じってる?

835事例の人:2013/11/29(金) 19:14:10
>>834
どういう意味だろう?
・シリーズ物なのでコレ一本読む限りは①②⑩は理解できないかもしれない
・色々な作品読んでるから、知らないうちに誰かの作風、展開に似てしまっているかも
この二つのどちらかが回答としてあってることを祈る

836名無しさんのおもらし:2013/11/30(土) 00:35:01
確信犯ではないわけか

837名無しさんのおもらし:2013/11/30(土) 01:15:59
気にしすぎ

838名無しさんのおもらし:2013/11/30(土) 02:54:56
朝見呉葉の複線を回収してほしい

839名無しさんのおもらし:2013/12/09(月) 15:06:03
予定調和

840事例の人:2013/12/24(火) 00:16:40
予定通り今月中には仕上がると思う。待ってて貰ってる方もうしばらくお待ちください
それとあらかじめ謝って置くと、まだ途中なんだけど非常に長くなった(既にテキストで40kb)

>>838
事例5か6以降から徐々に回収される予定
……一体どれだけ続くのか自分でもよく判らない

あとこの場を借りてお礼を。
某所で反応してくれた方ありがとう、またその内描くよ

841事例の人:2013/12/26(木) 23:57:12
長くなるので前編後編分けます
後編はまた数日後

あと、また伏線張りとか、さらに今回はお漏らし関連以外の話題もちょっと歩けど大目に見て……

842事例4「宝月 皐子」とラブレター?:2013/12/26(木) 23:58:40
「あやり〜ん、中間テストの時より一つ順位落ちてるじゃ〜ん」

「……まゆも落ちてるじゃない」

「あ、私……15も上がってる、雛さんと真弓さんのおかげかな?」

期末テストの順位を見て喜ぶ弥生ちゃん。微笑ましい。

対して私は、正直、順位とかどうでも良くて、テスト勉強なんてせずに適当に挑んだ。
中間テストの時もそうだったけど、やる気の無さが結果に出たのか一つ順位を落とす形となった。

でも、心底どうでもいい。
別に勉強に専念してる人を否定するわけではないけど、学校生活で学業なんて二の次でしょ?
やっぱり青春を謳歌しないと――と言っても友達が少ない私が謳歌出来てるのか甚だ疑問だけど。

まぁ、私の青春は、良い『声』を聞くこと。これに限る。

「あ、学年1位はやっぱり呉葉ちゃんだー、流石だよね〜」

「……だね、流石は優等生」

「わ、私から見たら皆優等生だよぉ〜」

きつく目を瞑って、怒っているのか呆れているのかよく分からない態度の弥生ちゃん。
でも……そんな良くわからない反応でも可愛い。
面倒なテストも、弥生ちゃんのこの態度を見るためにあったのだと思えば、少しは気が晴れる。

表情の薄い仮面の下でそんなことを思っていると、噂の優等生さんが私の後ろを通り過ぎる。

っ!

……なんか凄い睨まれてた気がする。
いや、私今回何もしてないし流石に気のせいだよね?
この前のストーカーの件で後ろめたさがあって、被害妄想が過ぎるだけだ。きっとそうだ。
そう思わなければ、近くを通るたびに睨んでくるなんて嫌われ方……異常すぎて心が折れそうだ。

「呉葉ちゃん、今回も学年1位なのに不満そうだったね〜」

――今回も?
そんな疑問の視線をまゆに送っていると察したらしく続けてくれた。

「中間テストの結果の時も、順位見てなぜか凄く悔しそうな顔してたんよ〜。意外な反応だから良く覚えてるよ〜」

1位で悔しそうって、一体何を求めているのか……天才の思考は常人には計り知れない――と言った所だろうか?

843事例4「宝月 皐子」とラブレター?-前編-②:2013/12/27(金) 00:01:03
――
 ――

「さて! 明日から夏休みなわけで、しばしの別れって奴かな?」

下駄箱の前でそう言うまゆに、適当な返事を返しつつ下駄箱を開け、靴に手を伸ばす。
普段ならそのまま靴を下ろして履き替えるのだが、――えっと、これは……。

「雛さん、それ手紙?」

「……そうみたい」

私はその手紙を手に取り、手紙入れに書かれたメッセージを読む。

――親愛なる綾菜様へ――

親愛なる???

「それ、ラブレターじゃないの?」

「……まさか」

ありえない。第一ここ、女子校だし……。
裏面に名前があるかもしれないと思い裏を見るが何も書いてない。

……とりあえずは、私宛なのだから開けて読もう。

――えーと、なになに……。

……。
…………。
………………。

「どうだった?」

「……とりあえず最後に校舎裏の桜の木下で待ってます……って書いてある」

「やっぱラブレターじゃん?」

――かも知れない。まぁ、その前の文からしても、果たし状でないことは確かだ。
丁寧な字で綺麗な手書き。恐らく万年筆で書かれている。少なくとも私なら30分以上掛けないと此処まで丁寧には書けない。
でも、内容はテンプレートの様なラブレター。

私はもう一度手紙にざっと目を通して、嘆息してからまゆ達を視線を向ける。

「……怖いから一緒に来てくれる?」

「言われなくても、影で隠れて見るつもり〜」「同じくです!」

844事例4「宝月 皐子」とラブレター?-前編-③:2013/12/27(金) 00:02:42
――
 ――

――校舎裏。
まだ、相手は来ていないらしい。
というか、普通に考えれば悪戯なんじゃないかと思う。
アレだけ丁寧な字なのだから、正直本物かとも思ったが、相手が遅れてくるなんて状況普通ありえない。
どこかで私を見て笑っているに違いない。そう思い始めたとき――

「お待たせしました、綾菜さん。……面と向かって話すのは、入学式以来ですね」

突然背後から声を掛けられ振り向くと、私より少し背の低い、見知った顔の先輩がいた。

「……会長さん――ぁ、ご無沙汰しております」

「会長さんだなんて――皐(さつき)って呼んでいいですよ?」

目の前には入学式の時にお世話になり、私も少しお世話した相手、宝月 皐子(ほうづき さつきこ)。
大層な苗字と名前に相応しく家はお金持ちで、この学校で才色兼備のお嬢様として有名であり、さらに生徒会長を2年生にして務める万人から信頼を得ている何かと凄い人。
就任当時は1年だったのだから驚きだ。

どうしてそんな人がこんな所に――あれ? さっき「お待たせしました」って……まさか――

「……えっと皐先輩、付かぬ事を伺いますけど……この手紙って――」
「私(わたくし)が出した手紙です」

ノータイムで口の端を少し吊り上げながら答える皐先輩。
不味い……この人、普段何考えてるのか全然判らない。
なんとなく身の危険を感じて小さく一歩下がると、大きく一歩踏み込んでくる。
そのまま体勢を前に倒して、ハーフアップの髪を揺らし、下からジットリした上目遣いで覗き込んでくる。
……それは妙に艶っぽくて小悪魔的で可愛いんだけど、なんというか怖い。

「ふふ、内容の半分は冗談です、怖がらないで」

――冗談? 良かった冗――半分は本気!?
今度は私になにやら目配せして小さな声で言う。

「(一緒におしっこを我慢した仲ではありませんか?)」

――っ!
この人平然と人前でおしっこなんて恥ずかしい単語を口に……って思ったけど少しだけ恥ずかしかったのか頬が紅く見える……可愛い。
とはいえ、いくら可愛くても、この人はなにか良からぬ思惑を持ってる。
小声で話したのは隠れて見てるまゆ達に悟られない為、つまり二人の存在に気が付いてる。

「(いったんは此処で引きます。お連れ様も居るようですし……そうですね、駅前の喫茶店で合流しましょうか?)」

そういい残し、私から離れ、笑みを見せた後この場を去っていった。

845事例4「宝月 皐子」とラブレター?-前編-④:2013/12/27(金) 00:03:39
――
 ――

「……なにをしてるんですか?」

そう問いかけるが、皐先輩は親指と人差し指で長方形を作り、その中から私を覗き込むだけで反応を返さない。

――本当、よく分からないこの人……。

嘗め回す様に覗き込まれることに、居心地の悪さを感じ始めた頃、
皐先輩は手で作った長方形を解いて、座っていた椅子に座り、手の動作だけで私にも座るように指示を出す。
私はその指示に従って椅子を引いて座る。

駅前の喫茶店……といっても純粋な喫茶店ではなくファミレスを混ぜたような感じのよく分からない店。
恐らく学生も客層として視野に入れてるのか、軽食の他、ドリンクバーまである。
テスト前に此処でドリンクバーだけ頼んで勉強している生徒も居るらしく、その狙いはそれなりに成功しているのかもしれない。
今は10時半を少し過ぎたところで、まだまだ人はいない。

……にしても、あの後まゆ達に色々聞かれて面倒だった。
とりあえずは皐先輩の呼び出しついでの冗談だと言って置いたが、彼女の才色兼備で万人に信頼されると言う評価が邪魔して、確り納得してもらえなかった。
特に弥生ちゃんはずっと不機嫌そうな顔であれこれ言っていた。

私は、そんな二人の友達のことを思い出し軽く嘆息してから、正面に座る皐先輩へ視線を向ける。
私に不遜な態度で微笑むその姿は、可愛いとか綺麗と言うより、状況が状況だけに少し不気味だった。

「……どうして私を――正直言いますと、何を考えてるのかわからないので凄く不安なんですけど……」

正直な意見を述べる。

「ふふ、なのに、よくあんな怪しい誘い方で来る気になったものですね」

そっちから誘っておきながら……皐先輩は関心して居る様にも呆れて居る様にもとれる態度で返す。

来るべきではなかったのかもしれない。
でも、入学式の時に会った皐先輩の事を思い出すと、悪い人とは到底思えない。
それに、私がこの人に少し興味があるのは事実。
と言うわけで、考えるだけ無駄。現状ではどちらが正解なんてわかりようが無い。

私がそんなことを考えていると、皐先輩は「コホン」っとワザとらしい咳払いを小さくして、口を開く。

「えっとですね、早速本題なのですが……来期の生徒会に参加してみませんか?」

来期って……確か生徒会は任期1年制だし――11月くらいの話?

「……随分と先の話ですね、……今のところそのつもりはないです」

“今のところ”と濁しはしたけど、とりあえずは、その目的不明で謎の勧誘を断る。

「そうですか、残念です……ではもう一つだけいいですか?」

「……なんですか?」

私の問いかけに一度、目をゆっくり閉じた後、静かに開き、一口お冷を飲む。
そして、真っ直ぐ私に視線を向けて答えた。

「私に微笑みかけて下さい」

846事例4「宝月 皐子」とラブレター?-前編-⑤:2013/12/27(金) 00:04:40
……え?
微笑みかける?? えーと??

「ふふ、無表情でも戸惑ってるのが判りますね」

そう言って、右手で拳を作り口元に当ててくすくすと笑う……なにそれ、可愛い。
けど――やっぱり怖い。何考えてるんだろうこの人……。

一応無表情を貫いてはいたつもりだが、私の言いたいことが伝わったらしく、口を開いた。

「私、人間観察が好きで、いつも表情の薄いあなたの笑顔や苦しんでる顔、泣き顔、すべてを見てみたい……そう思っていたの」

……。
私が言うのもなんだけど、この人なんだか危ない。
同時に、少し同種の親近感を感じはするけど……。

「……すみません、他人にそんな表情を向けるのは苦手なので……これで失礼します」

そう言って私は逃げるように席を立つと、今まで不遜な表情で話の主導権を握っていた皐先輩が慌てて私の手を掴み引き止める。

「え? あ、ちょっと、もう少しお話だけでもしません?」

その焦ったような態度はなんというか……ギャップ萌え?
それは、私が知っている、入学式当時の皐先輩を少しだけ彷彿とさせた。
今までの態度と生徒会長を務める才色兼備な万能さを合わせると……なんとも掴みどころのわからない人。

そして、校舎裏で見た悪戯顔の上目遣いではない今の上目遣いに、私は後ろ髪を引かれ、渋々席についた。

――少しくらいの話なら……まだまだ大丈夫そうだし。

私が帰ろうとした理由はただ、皐先輩の態度が不気味で怖かっただけではない。
……トイレに行きたかった。

今日は半ドン。終業式終了間際から感じ始めた尿意。
1時間ちょっとの終業式で誰か切羽詰る人いないかと期待したが、検討ハズレ。
あまり高まっていなかった尿意はHRが始まる頃に静まり、『声』も無いのでまゆたちとの会話で、すっかり忘れていた。
“ラブレターらしき何か”の件もあり、それどころではなく、尿意を思い出したのは此処につく直前だった。

ほっとした顔をしている皐先輩に気が付かれないように、テーブルの下で軽く自身の下腹部を押してみる。
まだ十分に弾力はあるが、鈍い尿意は感じる。

――この感じだと5〜6割くらいかな?

加えて言えば、水分を最後に取ったのは朝。量も調整してたから400ml程度だ。
目の前に置かれたお冷にも手を付けていない。
今の状態なら1時間や2時間で我慢できなくなることなんてまず無い。
もちろん、我慢することが辛いのは変わりないけど。

「……何を話すのですか?」

「あ……そうですね、まずはお冷を飲んではいかがですか?」

……。
まぁ、朝以降何も飲み物を口にしてないし、今日は最高気温36℃とか結構暑いから確かに喉は渇いていた。
まさかこれから2時間3時間と昼を跨いで話し込むわけじゃないなら一杯くらい問題は無い……か。

847事例4「宝月 皐子」とラブレター?-前編-⑥:2013/12/27(金) 00:05:26
「……いただきます」

そう言って私はコップに口をつける。
飲みながら相手のコップが半分以上減っていること、
そしてテーブルに置かれた沢山の氷が入った冷水ポットの下……そこに出来る結露の水が、隣にもその跡を残していることに気が付く。

――この人……私が来る前に一度水を飲み干してる?

まぁ、コレだけ暑ければ当然ではある。
すり切り一杯で恐らく250ml程度のコップなので飲んだ量は250〜300ml程度と言った所だろうか。
もちろん、この暑さじゃ全部が尿に変わるわけでもない。
何時トイレに行ったのか、膀胱の最大容量は? って言うのも重要だけど、現状で尿意を感じていない相手だ、期待はするだけ無駄。

私はコップの水を半分ほど飲んでテーブルに置いた。

「もう、よろしいのですか?」

なぜか少し不満がありそうな表情で尋ねてくる。

――なんだろう……まさか私に水を飲ませたい?
だとすると目的は……我慢させる為?
まさか、そんな私みたいなこと――いや、この人の趣味は人間観察。ありえない話じゃない。
我慢してる苦しんだ顔を見たい……そういうことかもしれない。

「……そんなことより何の話をするんですか?」

私は表情には出さなかったが、少し機嫌悪そうに言う。
自分勝手な話だけど、我慢を見るのは好きでも、我慢を強いられるのは御免願いたい。

彼女は私の微妙変化に気が付いてか、少しニヤついているように見える。
……怒っている態度も好きって訳? 凄く性格悪いよね……。

「そうですね、少し生徒会の仕事について……まぁ世間話のようなものですけど」

848事例4「宝月 皐子」とラブレター?-前編-⑦:2013/12/27(金) 00:06:18
――
 ――

あれから30分に渡って永遠と会話が続いた。
内容もどんどん中身の無いものになり……っていうかお冷だけで店に居座るって不味いのでは?

そんなことを思っていた矢先、話すことで喉が渇くのか、皐先輩が3杯目と思われるお冷を飲み終えた時『声』が聞こえた。

『やだ……私までご不浄に行きたくなって……』

飲みすぎによる影響でやっと尿意を催したようだった。
――にしても相変わらず、トイレの事をご不浄って……『声』でそこまで丁寧な人ってこの人はくらいだ。流石はお嬢様。

それと気になることが一つ、“私まで”ってことは私の尿意に気が付いてる?
まだ確かに忘れることが出来ない程度には尿意は高まってきてはいるが、それでも全然平気であり、仕草に出してる自覚は全く無い。
例え人間観察に優れている相手でも気が付かれるとは到底思えない。
私が今日一日トイレに行っていない事実を知っているなら、わからない話ではないが……それってストーカに限りなく近い。

……とりあえず、事実は事実として受け止める。皐先輩は私が尿意を我慢していることを知っている。……恥ずかしい。
そして、言い回しのニュアンスから、私にトイレを我慢させている自覚が十分に感じられた。
つまり、彼女の狙いはやっぱり我慢している表情……なのだろう。

「あ、あの……そろそろご注文の方は?」

そこへ苦笑いをするウェイトレスさんが現れた。
その歪な笑顔の下は非常に想像したくない。

「あ、そうですね……」

皐先輩はその表情を嬉しそうに眺めた後、状況が理解できたらしく、慌てて注文を考える。
そして、直ぐに思いつかなかったのか私に助けを求める視線を向ける。
何でも出来る才色兼備な生徒会長なのだと思っていたが、少し前の焦った様子とか……意外と不慮の事態に弱いらしい。……可愛い。

助けを求めたれた私だが、私も特に考えていない。
喫茶店ですぐに思いつく軽食といえば、ナポリタンとかあるが、料理を頼むって手段は出来ればしたくない。
それは此処に長く居座ることに繋がる気がするから少し先が不安になる。そういうわけで軽食は却下。
だからと言って、この状況で飲み物なんて言うのは相手の思う壺……。

――いや、違う。これはチャンスなのでは?

このまま行けば皐先輩のが先に諦めてお開きになる可能性は十分にある。
でも、それじゃ、私が踊らされただけ、こっちは全く面白くない。
もちろん、皐先輩も計画失敗で面白くないかもしれないけど、それでもそれなりに楽しんだだろう。

849事例4「宝月 皐子」とラブレター?-前編-⑧:2013/12/27(金) 00:07:12
……勝算はある。私を見て楽しむ皐先輩には悪いけど、私も折角我慢してるなら、十分に楽しみたい。
完全無欠の生徒会長でないと判ってしまわなければ、こういう発想にはならなかっただろうけど、もう遅い。

――これは自業自得です……。

今まで雪姉くらいにしか向けたことがない、ちょっとしたS心
私は、皐先輩にほんの少しだけ微笑みかける。
その微妙な表情の変化に気が付き、彼女は目を丸くする。
そして、私はウェイトレスさんに向かって言葉を発した。

「……ドリンクバー二つお願いします」

「ドリンクバー二つですね、ただいま専用のグラスを持ってまいりますので少々お待ちください」

私はウェイトレスさんがグラスを取りに向かうのを見届けて、正面に座る皐先輩に視線を向ける。
目を見開き、口も半開き――その表情は唖然というほか無い。
数秒間の後、私の視線に気が付き、今まで見せていなかった怪訝な顔で問う。

「どういうことですか?」

その質問から察するに、注文前、私が微笑んだ意図はある程度理解しているみたいだ。

「……埒があかない――と、思っていませんでしたか?」

「っ! ……つまり、早期決着がお望みなわけですか?」

流石は生徒会長さん。飲み込みが早くて助かる。

「……10分置きにジャンケンで負けたほうが、持ってきた飲み物を1杯飲む……なんてどうですか? あなたが先に根を上げれば私の勝ち」

「なるほど……でも、その話に私が乗る必要があるのでしょうか?」

「……乗らないのなら私は今すぐ帰るか、トイレに行きますけど?」

皐先輩は無言で考え込む。
当然乗って来るはず。本来なら狙いを悟られぬようにしないといけ無かった事。
バレてしまったのだったら作戦は失敗。でも、思いもよらぬ条件。
例え負ける可能性があったとしても、頑張れば、私の表情に変化くらいは与えられるかもしれない。そう考えるはず。
それにこの人プライド高そうだし、勝負事なら乗ってくれそう。

というか、普通に私がトイレに行くって言ったらどうしていたのだろう?
まぁ、我慢しているのがバレていなかったら、ある程度我慢し続けていたかもしれないので、皐先輩が喜びそうな表情や仕草をしていたかも知れない。
それに、申告しても、何だかんだ言って行かせないなんてこともされたかもしれない。……ちょっと私がしてみたいシチュエーション。

「判りました、その話乗ります……でも一つ聞いていいですか?」

「……なんですか?」

「この条件では、あなたへのメリットが思いつきません、何か裏がおありで?」

――まぁ、そうなるよね。私はこの人のように変態的な嗜好をカミングアウトする気なんてないし……。

850事例4「宝月 皐子」とラブレター?-前編-⑨:2013/12/27(金) 00:08:01
「……皐先輩がトイレに駆け込んでる間に帰るのでお代は払いません、なので先に言っておきます、ご馳走様です」

「ふふ、なるほど、良い自信ですね」

皐先輩はまた、拳を口の前に当ててくすくすと笑う。
高がジャンケンでありながら、彼女も、勝負に勝つことに自信があるように見える。

「お待たせしました、ドリンクバーのグラスになります。
あちらのソフトドリンクがすべて対象になります。ご注文は以上でよろしかったでしょうか?」

「ええ、ありがとう、下がってよろしいですわ」

皐先輩が私から目を離さず、なんだかメイド相手に喋るような対応をする。
……家にメイド――本当に居るのかもしれない。

「……では皐先輩、最初はグーから始めましょうか?」

「ええ、絶対勝ちます!」

そう思って貰えると非常にやり易い。
私は勝ちを確信する。

……そう、これは運の勝負ではない。
もう既に勝者の決まったジャンケン。

『綾菜さんの方から“最初はグー”と持ちかけたのならば、次に出す手がグーになる可能性が統計的に高いと知っていてでしょう
ならば、パーを出すのが定石――と普通なら思うでしょうけど……私の優秀さも知ってのことでしょうし、
それを考慮して綾菜さんはチーを出す可能性も十分にあるでしょう。ならば此処は私もチーを出せば高確率で負けは無い……はずですね』

本当は卑怯だから、あまりこういうことはしないんだけど……。
負けるわけには行かない条件で双方ジャンケンをすれば、当然双方同じ様に“負けたくない”“勝ちたい”と思うのは当然。
ジャンケンは運要素が高いから、直感でする人には通用しないけど、無駄に知識がある人なら当然何を出せば勝てるかを考える。
それは、“負けたくない”と思えば思うほどに……。
考えてしまえば、もう私から逃げ場が無い。優秀な相手にしか使えない勝利の方程式という訳だ。

……と言っても、その波長に集中して、且つ、この距離でなんとかギリギリ聞こえる程度の『声』なんだけど。
それは多分、深層意識からただ溢れ出しただけの『声』でなく、“勝ちたい”を実現するために考えられた『声』だからなのだと思う。
この辺りの能力のルールは、私も完全には把握できていない。

皐先輩が自信満々で握りこぶしを前に出す。
私もそれをまねするように出す。
そして――

「「最初はグー、ジャンケン、ポン!」」

当然私はグー、皐先輩はチー。
負けたショックを受けてる様で、「注いで来てください」と言って嘆息し、悔しさを噛みしめている。

851事例4「宝月 皐子」とラブレター?-前編-⑩:2013/12/27(金) 00:09:15
――ああ、私最低だ……でも、最初に手を出したの相手のほうだ、自業自得!

ちなみに、前に使えない能力と言ったのは本当だ。
さっき言った理由もだけど、力の差がありすぎる相手ならば、負けたくない”“勝ちたい”なんて強く思わず戦う可能性もあるし
囲碁や将棋、チェスの様に先の手が無数にある場合、思考は言葉としてではなくイメージとなるので『声』として私が聞き取ることが出来ない。
もし仮に言葉として『声』になっていたとしても、それに対応するだけの知識も必要になる。
麻雀で振り込まないとかなら、状況によっては可能だろうけど……。
やはり上手く使える場面は相当限られると思う。

――
 ――

その後も私が3連勝。

『私、また負けて――3連敗……尿意も少しきつくなってきてしまいましたし、3杯目だなんて……』

飲み始めてから20分。水を飲んでいたことも含めるとあれから150〜250mlくらいは膀胱の水位は上がっていると思ってもいいだろう。
膀胱容量は個人差によるところが大きいが、一般的には500〜700ml――――医学的には我慢できる限界はもっと下になってはいるが――――
程度であり、尿意を感じるのは150〜200mlっていうのが一般的。
というわけで今の彼女の推定膀胱内尿量は300〜450ml。
胃に何も入っていない状態で水分を摂取すると20分程度で血中への吸収が始まる。
10分毎に飲んでいるジュース類は約250ml。腎臓が持っている最大利尿速度の毎分16mlを大幅に超える量。
つまり膀胱内の尿量は、腎臓に何かしら問題がない限りは、毎分16mlのペースで増えていると仮定できる。
それを考慮すると、彼女が巨大な膀胱を持っていない限り最高であと25分ほどで限界となる。
でも、『声』の感じからすると今現在、300mlしか溜まっていないなんてこともないだろうから
限界まで20分前後ではないかと予想できる。

……自分で言うのもなんだけど、随分気持ちの悪い推理をしている。普通の人から見ればドン引きだ。

私は注いで来たグレープフルーツジュースをテーブルに置く。

『うう、なぜ綾菜さんは平然としていられるの? このままでは、表情の変化も、仕草も見れずに私のほうが限界に……』

「……どうしました? 飲まないのなら、私もう帰りますけど?」

「っ! あ、ありがたく頂きます……」

そう言ったあとストローに口をつけてゆっくりと――でも息継ぎなしで一気に飲み干す。

「ふぅー……」『これで約750ml……この後のジャンケンで勝っても負けても私の限界までは時間の問題なのは明白……でしょうね』

『声』自体はそれなりに大きくなって来ているが、入学式の時と同様、まだ仕草にはまったく現れていない。
でも、それも時間の問題。

『大丈夫、まだ大丈夫。でも……次勝たないと、綾菜さんの仕草、表情を見るのは絶望的……でしょうか?』

皐先輩は大きく深呼吸して、私を観察し始める。
勝敗自体は決まってしまったも同然なので、どうにか仕草や表情の変化を……ということだろう。
私は居心地が悪いので視線をあさっての方向に向ける。

実際私もそれなりに溜まってきている。量だけで言えば多分皐先輩よりも多い。
でも、表情なんかにまだまだ出さないし、仕草にだって見せはしない。

852事例4「宝月 皐子」とラブレター?-前編-⑪:2013/12/27(金) 00:10:37
そうやって涼しい顔を続けているとこと7分程度。
皐先輩の『声』に少し変化が現れる。

『んっ――これは……思った以上に厳しくなって――だめだめ! 折角のチャンスなのにここで我慢してる表情を見ずに諦めるのは……』
『でも、流石に次も負けたら、大人しくご不浄へ行こう……』

――だったら少し不安だけど、次は負けておこう。

そして……。

「今回は負けません……絶対勝ちます!」

私はまた『声』に集中するが……。
よくよく考えれば、私は今“負けたい”のであって、勝ちたいと思っている皐先輩と波長が合わない。
当然『声』は聞こえない……。

だったら何を出すべきか……今までの三手を考慮して――いや、考えるだけ無駄か。
皐先輩は凄く熱心に考えてたけど、私は裏の裏の裏〜とか考えたくもない。なので直感にしよう。

「「最初はグー、ジャンケン、ポン!」」

私は“グー”。皐先輩は――

「っ! 勝った!」

――“パー”で私に逸し報いた。
今まで少し不安そうな顔をしていた皐先輩だったが、不適な笑みを浮かべる。

「では、グラスを頂戴しますね……ふふ」

私は意気揚々とドリンクコーナーへ向かう皐先輩を眺める。

――そろそろ、仕草に現れるはず。ましてや飲み物を注ぎに行くなんて行為だったら尚更。

皐先輩はグラスに氷を入れて、コーヒーメーカーのスイッチを押す。
どうやら、利尿作用の高い飲み物で、なるべく早く尿意を上げようという作戦らしい。
だけど、それは諸刃の剣。

『あ……やだ、早く、早くグラスに入ってよ! この音が膀胱に刺激してくる……』

そうそう、そうなる。
私もまだまだ平気だけど、ジュース注ぐ時だけは波が来るから仕草に出さないようにするのが辛かった。
コーヒーメーカーだとゆっくりだし、もっと辛いはずだ。
私は、もじもじと足踏みをする皐先輩の後ろ姿を眺める。……可愛い。

『だ、だめよ、はしたない……我慢するのよ』

自身にそう言い聞かせて、仕草を小さな足踏みだけに止める。
そしてやっと注ぎ終わったコーヒーを持ってテーブルに来る。

853事例4「宝月 皐子」とラブレター?-前編-⑫:2013/12/27(金) 00:11:41
「はい、お待たせしました」

テーブルに置かれたアイスコーヒーを見て、私はちょっとした嫌がらせを思いつく。

「……ありがとうございます。ミルク入れてもいいですよね?」

「えぇ、どうぞお構いなく」

私はミルクを取りに行くために席を立つ。
ミルクをコーヒーメーカーの隣から取ってくると席に座り、持ってきたミルクをグラスに入れた。
そして、ストローを使ってチャプチャプとワザと音を立てて混ぜる。

『っ! 綾菜さん……まさか故意に? 我慢してるところにこんなことするなんて……私の中の綾菜さんのイメージと全然違う……』

……。
調子乗りすぎかな私。
音に刺激され、我慢してる仕草を身を捩りながら必死に抑えるその様子をもう少し見ていたいのは本音だけど……。
少し冷静になって掻き回すのをやめた。卑怯な手を使って尚且つこれは流石に度が過ぎる。
……私も地味に辛かったし。

そして私はアイスコーヒーをストローで喉を鳴らして飲み干した。

『後はできる限り我慢すれば……あぁ、どうしよう……そんなに長くは……』

皐先輩の額に汗を見て取れた。
もう限界は近い。あれだけ飲んだのだから、恐らく5分以内に音を上げざる終えないところまで尿意は高まるはず。

「んっ」『あ、やだ、声が……なんで、私の方が先に……綾菜さんも絶対我慢してるはずなのに! はぁ、駄目……波が――まだ、もう少しだけ』

両腕をテーブルに着け、椅子に座る身体をほんの少し前に倒す。
視線はじっとテーブルの中央付近に捕らえ、時折、視線だけで私を窺う。
そして、定期的にやってくる波に体を強張らせ、熱のこもった息を吐く。
もう、何も刺激がなくても、体面を保つことが出来ずにいる。
ただ、相当な尿意のはずだけど、手で押さえたり、大きな仕草での我慢はプライドが許さないらしく、踏みとどまっている。
そんな状態でも、私の仕草や表情が見たいがために必死になってる……変な人だけど、一直線で、なんだか可愛い。

『でも、綾菜さんは、どうして仕草ひとつ見せないの? あの時見た感じでは500ml程度は溜まっていたはずだから相当な尿意を感じているはずなのに』

――? あの時??

彼女の見立て通り、今私の膀胱は恐らく6割程度、つまり600ml前後私の膀胱にある気がするので、あの時って言うのがいつなのか判らないが概ね正しい。
でも、“見た感じ”とは……一体どういうこと?
その程度の量で膀胱の張りが服の上からわかる筈もないし、仕草を見せていないって言うのも『声』を聞く限りはその通りだ。
普通に考えればありえない……。
家での水分摂取から何まですべて計算してってことならわからなくもないが、それだと“見た感じ”という言葉の説明が付かない。

854事例4「宝月 皐子」とラブレター?-前編-⑬:2013/12/27(金) 00:12:58
「っ!」『また波が……だめ、もう我慢できない……、これ以上じっとした状態で我慢は無理……』

肩を震わし、必死に大きな仕草をしないようにして波を乗り切ろうとしている。
多分、そろそろ音を上げる頃合だろうか?
そんな様子を見ていると、波を越えたのか、震えるほどに強張っていた身体から力が抜けるのが判った。
そして、小さく熱のこもった息を吐く。同時に『声』が聞こえてきた。

『何とか乗り切ったけど、流石にもう無理……最後にもう一度、確認だけ……』

――えっと? 確認??

さっきの“見た感じ”と言うフレーズと同様にその“確認”と言う理解できない『声』。
一体何の事……そんな疑問を感じていると、皐先輩はテーブルの上に置かれていた両手をなぜか目線の高さに合わせる。
そしてそのまま、両手の人差し指と親指で長方形を作った。
そう、私がこの店に来た時のように……。

――見た感じ――
――もう一度確認――
――再び両手で作られる長方形――

っ! まさか……。

私は咄嗟に右手で胸、左手で大切な部分を隠す。
当然、私の予想が正しければ、それは無意味な行動のかも知れないが。

皐先輩は、私のその行動を見て、両手で作った長方形を解き、信じられないものを見るような視線を私に向けた。
それは、私の予想が当たっていたことを意味するリアクション。



――もしかして……この人は、――透視能力者?

855事例4「宝月 皐子」とラブレター?-前編-中書き:2013/12/27(金) 00:28:32
今日は此処まで
某所で描いた下手な挿絵は、後編にでも入れておく

856名無しさんのおもらし:2013/12/27(金) 02:37:11
今回もすごく好み

857名無しさんのおもらし:2013/12/27(金) 18:03:19
ある意味能力バトル

このひと、あのトイレの個室にこもってた人かな?

858名無しさんのおもらし:2013/12/29(日) 06:34:05
どのヒロインも好きだけど、主人公が一番かわいい

859事例の人:2013/12/29(日) 22:27:09
感想とかありがとー
>>857
内緒!

860:事例4「宝月 皐子」とラブレター?-後編-①:2013/12/29(日) 22:29:25
私はパニックを起こしているであろう皐先輩に言い逃れされる前に先手を打つ。

「……盗撮ごっこ――いえ、透視ごっこはお終いですか、皐先輩?」

「っ! ど、ど、どうしてそれを……? ――あっ!」

慌てていた為か口を滑らし、手は口元へ、視線は斜め下へ向けられる。

……半信半疑だったけど、今ので確信できた。
私は、内心いろんなことを考えていた。
膀胱の溜まり具合を見られていた事とか、下着を見られていた事とか、さらにその内側まで……とか色々。
でも、それはとりあえず心の片隅においておく。……非常に恥ずかしいけどっ!

ただ、皐先輩の言った、どうしてって質問には答えられない。
テレパシー能力がなければ気が付けなかった。
手で長方形を作る動作だけで透視能力者だと言う発想にはまずならない。
『声』での情報と超能力の存在を知っていたからこそたどり着けた真実。

とりあえずは、下手なことを言って私がテレパシストであることがバレるのも困るので適当に煽り文句を入れておくことにする。

「……まさか、皐先輩が堂々と相手の身体を覗き見しているような変態だなんて……」

「……」

真っ青な顔で黙り込んでしまう。
私はこれから「どうしようか?」と少し悩んでいると皐先輩が急に席を立って慌てた様に言った。

「ご、ごめんなさい、先にご不浄にだけ行ってきます!」

それを聞いて、私はつい勢いで彼女の手を掴み、引きとめた。

「……皐先輩、あと5分だけ座ってましょうか?」

してみたかったシチュエーションを実現するチャンス。
状況からして当然断れない。
その言葉を聞いて、皐先輩は視線を意味もなく彷徨わせた後、観念したように座る。

『凄くしたい……でも…断れない……』

此処はトイレに行かせて上げるべきなのだとは思ったが、心の片隅において置いたことを思い出すと、もう少し仕返しをしてやりたくなった。
よくよく考えれば私も勝手に人の心を覗いているのだから同罪なんだけど。まぁ、そこは理屈じゃない。

『やだ、もう限界なのに……それに何この状況、どうしてバレたの? あぁ、そんなことより今はおしっこが……』

両手はテーブルの上で拳を作り、“抑えてないから、まだ限界じゃない”とアピールしている様だが、
額の汗はたくさん浮き上がり、こめかみの汗は頬に流れるほどで……明らかにもう限界だと思う。

861:事例4「宝月 皐子」とラブレター?-後編-②:2013/12/29(日) 22:30:11
『ダメ……やっぱりダメ、このままじゃ間に合わなくなって……』

1分程度の時間が過ぎた頃、皐先輩は唾を飲み込んでから口を開いた。

「んぁ……あっ、あの! やっぱりご不浄に……」

「……どうして?」

「えっ、あ……その……」『酷い……判ってるくせにっ! もう我慢できないのに……行かせてよ……』

そう、判ってる。でも『声』じゃダメ。
ちゃんと皐先輩の口からその言葉を――声で聞きたい。
……仕返しと言い訳しつつも、やっぱり私が楽しみたいから、彼女を苛めているのかもしれない。
その証拠に、私はまた、意地悪な言葉を口にする。

「……もしかして、たった4分も我慢できないですか?」

「〜〜っ! そ、そんなこと……ありません!」
『4分……そうたったの4分……っ! あぁ、ダメ……やっぱり言った方が……こんなところでなんて絶対っ――』

――皐先輩可愛い……。

他の客に気が付かれないように、必死になって小さく腰を揺すり、
足を振るわせるだけに留めているが、それでもやはり見っとも無く、いつも優秀な生徒会長らしからぬ姿。
入学式の日に見たあの時の我慢よりもずっと強い尿意に耐えるその姿は、彼女を小さく見せる。

プライドが高く、正直に言えない皐先輩……『声』だってもう言わなきゃ危ないと、主張してる。
もう限界まで後一歩のところまで迫ってる。だから、音を上げるのも時間の問題。
そう思って私は黙って観察する。

「くぅっ! ……ふぅ、ふぅ」
『はぁ、もう、溢れそう……我慢、もう少し我慢すれば、……4分なんてすぐだから……』

『や、波っ! ……ダメ、我慢! ――んっはぁ! もう、もう少し……』

時より肩を震わせ、全身も硬直させ――何より『声』が限界であることを示している。
それでも2分、3分経っても皐先輩はまだ、自身の口から我慢できないとは決して言わない。

正直、信じられなかった。
まさか店内で漏らすわけにはいかないはずなのに、そんな限界まで……お漏らし寸前まで、限界であることを告げるのを躊躇うなんてこと。
確かにあと2分となったが、飲んだ水分量からして、まだまだ腎臓から大量にろ過された不要な水が膀胱に送られているはず。
限界まで膨らんだ膀胱に、刻々送り込まれる感覚をその身で感じているはずなのに……。
それなのに彼女は、まだ席を立つことなく――でも、手はいつの間にかテーブルの下に隠れていた。

862:事例4「宝月 皐子」とラブレター?-後編-③:2013/12/29(日) 22:32:04
「あ、あと、何分ですか?」『もう、本当に限界、早く時間になって!』

「え? ……あ、えっと、後――30秒です」

思っていた以上のプライドの高さ……私の方が動揺してしまった。
もちろん、時間になっても行かせない手段なんていくらでもあるけど、流石に此処じゃ……。
このまま、皐先輩のおもらしを見てみたいと思うのは事実だけど、彼女からちょっかいを出してきたとは言え、
本当にそうなってしまえば、罪悪感でしばらく立ち直れそうにない。
女性にとっておもらしがどれほど辛いことか、今まで見てきた人たちを思えば判る。

――弥生ちゃんは私一人にしか見られていないはずなのに、泣いた。保健室に行ってからも、しばらく泣いていた。

――鈴葉さんは年上と言う立場上、もっと辛い体験だったと思う。あの時の私を見る目は凄く印象に残ってる。

皐先輩の場合はどうだろう?
喫茶店という他人が大勢いる中で、トイレに行ける状況下でありながら、生徒会長でお嬢様でプライドの高い彼女なら……。
弥生ちゃんや鈴葉さんの時よりもっと辛い辱めとなるのは火を見るより明らかな事で……。

「じ、時間ですよね?」『よかった、我慢できた、後はご不浄に行くだけ……』

私はそう言われて時間が過ぎているのに気が付く。
そして彼女は席を立つ。
私は、安心していた。
もしかしたら、時間になる前に、プライドが邪魔して「我慢できない」の一言を言えずにおもらしをしてしまうのではと危惧していた。
でも、彼女は信じられないくらい頑張って頑張って頑張って……必死になって我慢して乗り越えた。
『声』の大きさも、額から浮き出る汗も――どれを取っても本当に限界なはずなのに……。

……。

――?
皐先輩は席を立ったがトイレの方に歩かない。
私は視線を少し上に向け彼女の顔を見る。
目に飛び込んできたのは、絶望を感じているかのような表情。そして同時に『声』も聞こえてきた。

863:事例4「宝月 皐子」とラブレター?-後編-④:2013/12/29(日) 22:34:21
『うそ……清掃中って――』

――っ!

私は振り返る。
ついさっきまで清掃中ではなかったトイレ。
それがいつの間にか、10mほど離れたところからでも見える大きさの黄色い立て札に清掃中の3文字か書かれていた。

――そんな……皐先輩は本当に限界まで我慢してるのに……。

今は正午直前。平日なので軽食目当てや昼休みの一服で立ち寄るにはまだ少し早く、客も数えるほどしかいない。
と言っても正午過ぎてもそれほど客でいっぱいになるわけではないのだけど。
それでも清掃する時間としては、当然良いタイミングといえると思う。

私の向かいの椅子が引かれる音が聞こえた。
向かいを見ると皐先輩は椅子に浅く座り、必死になって両手で抑え込み、そわそわと体を動かしてる。
私の視線に気が付いて目を背けて、顔を真っ赤に染める……可愛い――って言ってる場合ではないけど。

背けた目は30秒と経たず、今度は私に向けられた。
その目を見るだけで判る。彼女は助けてと叫んでいる。

「あ、綾菜さん……どうしよう、どうしよう私……もう、本当っ――」
『私は何言ってるの……言ったところでなにが変わるっていうの? 清掃が終わるまで、ただじっと我慢すればいいじゃない』

「私、……もう、もう……んぁ……ダメ!」
『や……波がっ ダメ、我慢、さっきは5分我慢できたじゃない! だから今度も、そうすれば……ご不浄に――』

――どうにかしないと……。

なんとか清掃が終わるまで我慢できればいいけど。
確か、此処の女性用トイレの個室は二つ。時間はそれほど掛からないはず。
だけど、皐先輩の意地と我慢が、いつ崩壊するか判らない以上、安心できない。

もし……もし仮に、皐先輩が必死に抑え込んでいるおしっこを此処で溢れさせてしまえば、
当然ウェイトレスをはじめ、数名の客にも知られてしまう危険性がある。
それはきっと、私の責任で……。

――やっぱりもしもの時は私がどうにかしないと……。

「んっ! ダメぇ……」
『無理、もう、我慢できない! なんでこんなタイミングで清掃だなんて……頼み込む? 馬鹿! どんな格好でどんな顔で頼むのよ……っ! あぁ!』

何度も何度も体を震わし、波に抗ってきた皐先輩だったが、一際焦った『声』の後、
大きく体が震え、目を見開く。

「やぁ……綾菜さん、私もう我慢できません……ご不浄に、早く……あぁ、ダメ……」

小さな震える声で、目に涙を貯めて、真っ赤な顔で私に言う。
今更私にそれを伝えても、清掃中の看板が取れるわけではない。
それでも、決壊と言う結果が迫る彼女が取れる、最後の抗いなのかもしれない。
もしかしたら、もう、清掃中の看板が外されても、個室まで……トイレまで――もしかしたら立つことさえ出来ないかも知れない。

864:事例4「宝月 皐子」とラブレター?-後編-⑤:2013/12/29(日) 22:36:21
「あっ! や……」『だ、だめぇ!』

皐先輩の体が大きく跳ねる。
目をきつく瞑り、そしてしばらくすると、さっきよりも真っ赤な顔で、震える熱の篭った小さな吐息を何度も吐く。

私はすぐに理解できた。

『やだ、今……私、下着の中に……私、もう……此処で――』

もう猶予はない。
それでも、トイレを塞ぐ清掃中の看板は未だにある。

「お願い、助けて……もう間に合わない……」

くしゃくしゃな顔を私に向けてそう言った。

……そんな顔見て私は鼓動が早くなるのを感じる。
凄く可愛い……助けてあげたい。守ってあげたい。
私が追い込んでおいて、こんなこと思うのは変かもしれないけど……。

でも、どうすれば皐先輩を助けられる?
間に合わない……彼女の言葉通りなら、もう手遅れ……。

「あ! あぁ! やぁ……」

皐先輩は座ったまま、身体を折り曲げ片手でスカートの前を必死に抑える。
もう片方の手は声がでないように口を押さえる。

――もうどう見ても限界……。

彼女の肩が何度も小さく跳ねる。
そして、力いっぱい瞑られた目から涙が零れ落ちる。

『ダメ……ちょっとずつ出ちゃってる……お願い、これ以上は……ダメなのっ!』

「はぁっ……んぁ、はぅ…や……でちゃ――」

手で必死になって尿意を抑えているのに、それでも少しずつ下着にその失敗の面積を広げ続けてしまっている。……見たい。
皐先輩の透視能力があればそれも見ることができると思うとちょっと羨ましい。
……相手が涙を流して必死になって我慢してるのにそう思うのは、私もどうしようもないくらい変態なのだと思う。

「はぁ、はぁ、はぁ……」『止まった? でももう……』

下着を濡らしながらも、波を乗り越え、何度も震える吐息を吐く。
まだ、右手はテーブル下――恐らくスカートの上から大切な場所を抑えているのだと思う。
左手は口の前から話、テーブルの上に腕ごとおいて、その上に額を乗せている。

<ガタッ>

後ろで物音がして私は振り返る。
そこには、清掃中の看板を持ち上げて、片付けるウェイトレスの姿があった。

865:事例4「宝月 皐子」とラブレター?-後編-⑥:2013/12/29(日) 22:38:28
「皐先輩! トイレ清掃終わりましたよ!」

周りには聞こえない程度の声で急いで伝える。

「っ! ……う、ん、行き……ます」

そう言って、覚束無い足とテーブルの上にある左手を支えに立ち上がる。

――っ!

立ち上がったことで、テーブルの下に隠れていた抑え込まれたスカートが見えた。
ただ、見えただけでなく、その右手でスカートに皺を作っている部分が濃く変色している……。
我慢しきれずに溢れていた恥ずかしい熱水は、下着の保水力だけでは間に合わず、スカートまで被害を出していた。
そして――

「あぁ! んっ〜〜〜」『だめ、立ち上がったら急にっ……もうっ! あぁ……』

――そのスカートに出来た染みは、抑え込まれた部分を中心にさらに色濃く周りを染め上げる。
皐先輩の手は、何度も握り締めたり捻る様にしたりで、スカートの前の部分に生地が集まり、皺くちゃにして……。
それはまるで集めた生地に隠しておきたい熱水を染み込ませているようにさえ見えた。

「み、見ないでよ……こんなのって……やぁ」

私が凝視していたのに気が付き、涙を流しながらそう訴える。
私は、申し訳なくなり一度視線を逸らす。すると皐先輩は立っていられなくなったのか、もしくはテーブルの死角に隠すためなのか、椅子に座り込んだ。
トイレに行くには立ち上がって、歩く必要があるのは明白であり、その行動は……歩くことも立つことも、今の皐先輩には耐えられない事なのだと思う。

『もう、だめ……ご不浄が遠い……間に合うわけない』

……。
皐先輩の心はもう折れかけてる。これ以上の我慢は多分無理。
だったら、もう最終手段しかない。

そして、その時は直ぐに来た。

866:事例4「宝月 皐子」とラブレター?-後編-⑦:2013/12/29(日) 22:40:54
「あぁ! ダメ、ダメ! やぁ――」

皐先輩は声を押し殺して小さく叫ぶ。
全身に力を入れ、痙攣しているかのようにガクガクと振るえ、直後、私の位置からもかろうじて聞き取れる程度のくぐもった音が聞こえてきた。

<ジュイィィーー>

その音を響かせてからものの2〜3秒で<ピチャピチャ>と床を打つ水音が小さく響く。
目をきつく瞑り、それでも何とか我慢しようと必死で……。
それでも本当の限界まで溜め込んだおしっこは止まらずくぐもった音を出し続ける。

恐らくテーブルの下では、力いっぱいスカートの上から大切な部分を抑えて皺を作り、その部分を濃く染め上げている。
どんなに抑え込んでも勢いが変わらない状況にきつく瞑っていた目を開き、下を向いて今の悲惨な状況をその目で目の当たりにする。

「やっ……」『あぁ、私……こんな、やぁ、嘘……』

そして彼女は目を細めて、震える吐息を吐く。
――放心状態。そういえば判りやすいかもしれない。……可愛い。

私はその可愛い姿から目を逸らし――――とっても名残惜しい――――、周囲に視線を巡らす。
まだ、誰も今の状況に気が付いていないことを確認する。
昼食時でないことが幸いした。

私は再び皐先輩に視線を移す。
気持ちよさそうにしている所悪いけど、いつまでも放心状態で居させてあげるわけにはいかない。それは皐先輩のためにならないから。
私は手で机を<コンコン>と叩いて、彼女の視線をこちらに向けさせる。

「……皐先輩、途中でなんとしてもとめて下さい、でなきゃ多分バレますから」

「えぇ? あぁ……な、なに??」

足元では情けない音を響かせて、涙目で、生徒会長の威厳の欠片もないその姿は……とてつもなく可愛い。

私はテーブルに置かれた冷水ポットを持つ。
これは一種の賭け。
今の皐先輩を見てると全部出し切るまで止められない気がして不安だけど、信じるしかない。

「……冷たいかもしれませんがウェイトレスさんが来る時には絶対に止めて下さい、皐先輩ならきっと出来ますから」

そう言って、私は冷水ポットを皐先輩のほうに倒した。

<バシャン>

「ひゃ!」

皐先輩のスカートの上に1.5L近い水と氷が掛かり、大きな音を立てて床に広がる。
床に広がった水は、皐先輩の体から出されたおしっこと混ざり合う。
……大丈夫、多分彼女のおしっこは凄く薄いはずだから、そこまで匂いは気にならないはず。
ましてや、途中で止めてもらうわけだ。量も少なければきっとバレない――はず。

867:事例4「宝月 皐子」とラブレター?-後編-⑧:2013/12/29(日) 22:44:54
「お客様! 大丈夫ですか?」

すぐに音に気が付いたウェイトレスさんが来る。

『っ! そういうこと……と、止めないと……』

状況を察した皐先輩は、必死になってスカートの上から両手で抑える。
当然だけど、皐先輩は限界まで我慢してたから、とてもじゃないけどまだすっきり出来ていない。恐らくまだ半分――もしかしたらもっと。
つまり、まだ沢山のおしっこが膀胱に溜まっているわけで……止められるかどうかは私もわからない。

濡れてしまったスカートを抑えるのはそれほど不自然じゃないけど、ずっとその体勢じゃ不信がられるのも時間の問題。
私はウェイトレスさんが皐先輩の状態を不振がる前に、話しかける。

「……あ、ごめんなさい、えっとタオルとかありますか?」

私はウェイトレスさんにそう尋ねる。

「あ、はい、ただいま持ってまいります」

ウェイトレスさんは慌ててタオルを取りに行く。
これで少しは時間を稼げる。
私は視線を皐先輩の方に向ける。

「……止めれそうですか?」

「なんとか……止まりましたけど……んっ」
『まだ半分くらいは……でも我慢しないと……』

まだ十分な大きさの『声』が聞こえる。
でも……凄い。何とか押し留めただけじゃなく、多少なり平常心まで……。
さっきまでダメかもしれないと失礼なことを思っていたが、何のことはない。流石は生徒会長。

私は関心しつつ、彼女に今後どうするか一応説明を入れる。

「……あとは清掃が終わるまで我慢し通すだけです。トイレに入れば私は下着をコンビニで調達してきますから」

「んっ……スカートは?」

止めた直後で、何度もぶり返す尿意に耐えながら、涙目で尋ねる。……可愛すぎて抱きしめたい。

「……流石に売ってないですよ。なのでカバンで隠して――」

私は被害の大きさを見て思う。どう考えても隠すのは無理がある……。

「――えっと、無理ですね……ある程度目立たなくなるまで、店にいて下さい」

非常に面倒だろうけど仕方が無い。
皐先輩は肩を使って大きく深呼吸して、手をスカートから離した。

「はぁ……少し落ち着いた」

どうやら、ぶり返す尿意の波は一応落ち着いたらしい。

868:事例4「宝月 皐子」とラブレター?-後編-⑨:2013/12/29(日) 22:45:40
……。
謝らないと。
私のせいでこんな恥ずかしい目に合わせてしまった。
私は下を向いて口を開く。

「……すいませ――」「ありがとう、綾菜さん」

私の言葉にワザと被せる様に、皐先輩は言った。
顔を上げると、凄く複雑な顔をしながらも、歪に笑って見せて、口を開いた。

「謝る必要はありません……自業自得な私を綾菜さんは助けてくれたわけですから……」

……。
それでも、私があの時引き止めなければ……。

しばらく沈黙が続くが、皐先輩のもじもじとした動作が目に付く。

『あぁ、また波が……まだ半分程度残ってるし、濡れちゃってるし余計に……』

「……だ、大丈夫ですか?」

「大丈夫……清掃が終わるまでなら……んっ! ――多分……」

相当きつそう。

――
 ――

<コンコン>

「……皐先輩、下着買ってきました」

「あ、上から入れてもらえる?」

「……はい、どうぞ」

「ありがと……」

どうにか清掃はすぐに終わり、皐先輩は残りを我慢し通すことが出来て、おもらしも上手く誤魔化せた。
私はと言うと、恥ずかしいけどコンビニでトイレを借りた。
そうでもしないと、私も相当きつくなっていたから。
そして、その後下着を買うって言う誤解されそうな事まで……。
私は首を振って忘れようとする。
所詮コンビニだ。クラスメイトに見られたわけじゃないし!

個室の中で、布擦れの音がする。
耳を当てて音をもっとしっかり音を聞こうかと思ったが、相手の能力のことを思い出してやめた。
無効から覗かれたりしたら変態扱い――――事実だけど……――――確定だ。

さて……私は個室に向かって口を開く。

「……トイレから出たらテーブルで話がありますから……待ってますよ?」

「あ、うん――見逃してはくれないのね」

当然。
いくら良い物を見せて貰えたとはいえ、それとこれとは話が違う。

869:事例4「宝月 皐子」とラブレター?-後編-⑩:2013/12/29(日) 22:46:50
――
 ――

「お待たせしました……」

凄く気怠そうにしながら半分死んだ魚のような目でテーブルに戻ってくる。
トイレでの会話から想像してたのとは全然違う。
一度落ち着いて改めて自身が犯した事の重大性に気が付いたって感じかもしれない。

「……えっとですね――」

――凄く責め辛い。
透視の件、責めて責めて責めつくして、二度と私にその恐ろしい長方形を向けないようにしようと思っていたけど、余り強く言うと止めを刺してしまいそうだ。
私は言い辛そうにして、しばらく黙っていると、私より先に皐先輩の方から口を開いた。

「幻滅……しましたよね?」

「え?」

真っ赤な顔になり直ぐ、テーブルに突っ伏して顔を腕で隠す。

「その…粗相したこと……」

テーブルに隠れた口から小さく篭った声が聞こえる。
髪の隙間から見える耳が、何かの病気なのではないかと思えるほど赤くなっている。……凄く可愛い。

「……いえ、失敗は誰にでも――」
「無いです。高校生にもなって、いつでも行ける状況下でありながら、無理に我慢して間に合わなくなるなんて事……。
しかも自業自得何ですよ! 最低で馬鹿で惨めで! 絶対幻滅してます! こんなのが生徒会長何だって馬鹿にしてるはずです!
……いいんですよ、私も判ってます、気なんて使わなくてもいいです。どちらにせよ惨めですから……」

うわ……これは酷い。どうやって対処しよう……。
励まそうにも、先に“気を使われると惨め”なんて釘を刺されてるし、だからって「幻滅した」なんて逆の事を言っても意味ないし。

「粗相をしてしまうような人を好きな人なんて普通いません……」

……罠じゃ…ないよね?
この人、演技はそんなに得意じゃなさそうだから、真っ赤な顔したり、涙目になってるところを見るに、本気なんだと思うけど、どうしても疑ってしまう。

――うぅ、でも言わないと罪悪感が……。
あぁ! もういいや、罠でもなんでも! この罪悪感が残るよりはお互いに弱みを持ってる方が対等でマシだ!

「……一回しか言いませんよ?」

「え?」

皐先輩は疑問符を上げると同時に顔も上げた。
その顔は真っ赤で涙を流していて――やっぱり罠ではない。そう思えた。

私は大きく息を吸って、視線をあさっての方向に向けながらも、覚悟を決めて口を開いた。

870:事例4「宝月 皐子」とラブレター?-後編-⑪:2013/12/29(日) 22:47:28
「……その、我慢してる姿、可愛かった……です」

「えっと……え?」

私は顔が熱くなっていくのを自覚する。やっぱ言うんじゃなかった。恥ずかしすぎる。
皐先輩はまだ理解できていなさそうだけど、目をパチパチさせて覗き込んでくるその視線に耐え切れず、今度は私がテーブルに突っ伏す。

「え〜と、ごめんなさい、よく理解できなかったから、もう一度言って貰えません?」

「……無理です、もう言いません、言うくらいなら死にます」

「え……たしか、“我慢してる姿、可――」
「復唱も止めてください!」

私は顔を上げて、猛烈に抗議する。

「あ、凄い良い顔♪」

「うっ……」

余りの事態に無表情が崩れてしまっていた。
多分罠ではなかったけど……ダメだ、このままじゃペースに飲まれる。

<バン!>

私は立ち上がりながら、テーブルを強く叩いて、音を立てる。
喫茶店内は若干人が増え始めていたので近くの席の数名がこっちを訝しげに見るが、直ぐに自身の日常へ戻っていく。
大きく息を吸って、無表情な私――――顔は熱いから多分真っ赤なままだけど……――――に戻る

「……本題に入ります」

「は、はい……」

私の態度の変化に皐先輩は萎縮気味に――――でも若干嬉しそうにしてるのが腹立つ! ――――返事をする。
私はそんな彼女を見下ろす形で口を開いた。

「……二度と私とその友人にその長方形を向けないで下さい」

「え、でも――」「でもは無いです。約束できないならまだ乾ききっていないスカートと、トイレのゴミ箱にでも入ってる下着の写真を撮って容赦なく拡散させますから」

そう言うと、皐先輩の顔から血の気が引いていく。

「ご、ごめんなさい、もう二度と向けません……」

私は席に座り大きく嘆息する。

871:事例4「宝月 皐子」とラブレター?-後編-⑫:2013/12/29(日) 22:48:17
……。

「……それと、いつから私が我慢してるって知ってたんですか?」

ふと、疑問に思っていたことを口にする。

「? 透視をした時、つまり綾菜さんが喫茶店に来た時です」

……あれ?

「……もともと我慢させる気で喫茶店に呼んだわけじゃないんですか?」

「それは、偶然気が付いたから、良い顔見たさについ……」

「……ラブレターはトイレどころじゃなくす作戦だったのでは?」

「あれは、どんな顔で待ってるかを見たかっただけです。もしそのつもりなら“我慢した仲”なんて事言わないですよ」

確かにそうだけど……。

「……じゃあ、なんで私呼ばれたんですか?」

「それは、一つ目の話……生徒会への勧誘ですけど?」

……。

「凄く意外そうな顔してますね……」

いや、だって意外ですから。

なんだかよくわからないけど、また平和な日々が送れそうで何よりだ。

872:事例4「宝月 皐子」とラブレター?-EX-:2013/12/29(日) 22:49:23
**********

「はぁ……」

私は大きな嘆息をして喫茶店で一人スカートを<パタパタ>と手で揺らし、乾くのを待つ。
店の人には伝えてあるので、長居しても文句は言われないでしょうけど……気長な話。

綾菜さんは先に帰ってしまった。もちろん当初の約束通り、会計は私持ち。
いつも無表情な彼女でしたが、私を心配して下さる表情と、最後の真っ赤になった顔は良い収穫でした。
……粗相をしてしまったのは完全な黒歴史ですが。

「我慢してる姿、可愛かった……か」

綾菜さんの言葉。
あの時の私の状況を見て言ってくれた言葉、ただそれだけなのかも知れないけど――もしすると私と同じような嗜好の持ち主なのかも知れないと思った。

面白い人。
やっぱり私が見込んだ相手。

私は自然と笑みを零す。
今回の目的は一応達せたと言って問題ないと思う。
目的……もちろん生徒会へ入ってもらうのが当面の課題ですけど、それを達成するためには下準備が必要不可欠。
詰まるところ、コミュニケーションを取って仲良くなること。
色々残念な事態になったけど、これから上手く接していけばそれなりに仲良くなり、生徒会への参加させるのも難しい話ではないはず。

そうなれば、また――

そこまで考えて、私は思い出す。
目処が立った以上、メールを送っておかないと。
スマートフォンを取り出し、不慣れな手つき――――機械ものは苦手……――――でメール文を作る。

[目処がたったので連絡! 貴方も生徒会入りなさい! 以上]

こっちも入ってくれるかが問題だけど……。

おわり

873「宝月 皐子」:2013/12/29(日) 22:53:03
★宝月 皐子(ほうづき さつきこ)
2年生にして生徒会長を勤めるお金持ちのお嬢様。
自身の名前に“つき”が繰り返されるため語呂が悪くコンプレックスを感じている。
入学式の件(我慢のみなので今のところ掘り下げる予定なし)で綾菜と接触している。

比較的近距離での透視能力を持つ。
詳しく説明すると、透視できる距離は約3mまで。
透視するときは必ず両手の人差し指と親指で作った長方形の中を覗く必要がある。
上着のみ透過、衣類すべて透過、皮膚などを透過など赤外線よりもより高度な次元で任意の物を透過できる。
とても危険な(変態的な意味で)能力。
透視距離制限を利用して、壁の向こうを覗くといった応用も出来、扱いやすい能力ではあるが
透視能力使用時は五感の内、視覚の感覚以外がほぼ機能しなくなるリスクがある。
また、彼女が能力を使用するときは人前で平然と使用する。
有効範囲が狭いのでそうせざる終えない場合が多い為ではあるが
一般的に見てもそれほど不自然な行為ではなく、非現実的なことなので能力についてはバレないと踏んで行っている。

人間観察が趣味で、様々な表情や仕草を観察している。
笑顔や怒った表情も好きだが、特に泣き顔や苦しむ顔、困惑した顔が好物。
透視能力で裸体や下着を覗き見たりもする。どう考えても変態。
ただし、彼女の中では「表情、仕草>>>裸体、下着」である。
それは能力により、いつでも見れるものに希少価値を感じないからであり、
逆に表情仕草は見ようと思っても簡単に見れるものではない。つまり希少価値の高いものと認識しているからである。

膀胱容量は平均程度。
お金持ちに生まれた環境で人前でトイレに行くことは失礼に当たると考えている為、トイレに行くタイミングを逃すことも多い。
また、自ら誰かにトイレに行きたいと申告するのは恥ずかしさと、プライドが邪魔して基本的にはしない。
容量自体は多くないが上記の二つの理由により、トイレに行く回数は少な目。
我慢しがちだが、限界近くになるまで、仕草はほとんど見せない。

成績優秀、運動普通。
基本的な性格は、お金持ちに生まれたことと能力が深く影響を与えている。
お金持ち、つまり、社会的立場が上。
透視能力で裸などを見れる、つまり、相手の弱み(の様なもの)をいつでも見れる。
この二つが高いプライドと強気な態度を取らせるようになった理由。
また学業でも上に立たないと気が済まなかったので努力を重ね、成績はトップクラスである。
知的で計算高く、用意周到で狡猾――に見えるが、意外と見落としが多く少しばかり天然な部分もある。
普段は才色兼備で完全無欠の生徒会長として誰からも慕われ敬われる存在(※1)。
だが、一部の気に入った相手や心を許している相手などには、突飛な行動を多く見せ、煽り、誘惑などあらゆる手段で相手を揺さぶり、
表情の変化を見て楽しむ、自身の欲望に忠実な一面もある(※2)。
ただし、不慮の事態に打たれ弱く、一度ペースを奪われると上手く立ち回ることができなくなる。
この二面性(※1、2)はどちらかが繕った仮面ではなく、表裏一体の彼女の素顔。
本来の喋り方はお嬢様的だが、学校生活では故意に少し崩して喋る。ただし一人称は「私(わたくし)」。

綾菜の評価では、何を考えているのかわからない、掴みどころの難しい先輩。……でも可愛い。少し性格が似ているかもしれないと思っている。
超能力については、非常に危険(裸体や下着を見られてしまうという意味で)だと思っているため警戒を怠れない相手。

某スレで投下したおまけ:ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4770464.jpg.html
※下手です!結構直ぐ消えます!脳内イメージある人は損するかも!

874名無しさんのおもらし:2013/12/30(月) 03:57:41
おまけも普通にすごくいい

875名無しさんのおもらし:2013/12/30(月) 23:24:37
おまけのような絵をもっと描いていただけるととてもうれしです
もちろん小説もとてもいいです

876名無しさんのおもらし:2013/12/31(火) 06:43:30
お嬢様最高ー!
そして主人公も可愛い! 可愛い!

877追憶2「雛倉 雪」と微睡みの幻?①:2014/01/01(水) 00:02:32
――ジリリリリ……

朝を告げる目覚ましの音が鳴り、私は横になったままの状態でそれを叩く。

……そうだった、今日から夏休みだ。
目覚ましの時間を調整し忘れていた。
本来私は朝が強い方ではないので、休みの日はゆっくり10時くらいまで寝ている。

私は、朝方に帰ってきたであろう、ソファーで寝ているお母さんを起こさないように台所へ向かい、そこで水を飲む。
コップいっぱいの水を喉を鳴らして飲み干して一息吐くが……。

――あー……ダメだ、眠い。

起きる理由がないとどうにも覚醒できない。
無理に覚醒する必要もないので私は再び自室のベットに向かい、倒れこむ様に横になる。
そして、何も考えるまもなく、視界が狭くなり、微睡みの中へ意識が消えてゆく。
その先に見えるのは、赤く染まった夕日だった。

――
 ――
  ――

「めーちゃん! くーちゃん! また明日〜!」

私は公園の出口から内側に向かって、友達に大きく手を振る。
めーちゃんはニコニコ笑って、くーちゃんはなんだか心配そうに見つめていた。

私は直ぐに踵を返して、友達に背を向け、家の方に向かって駆け出す。

――おしっこ我慢してるのバレちゃってたかな? ……特にくーちゃんには。

あの心配そうに見つめていた瞳はきっとそういうことなのだと思うと……恥ずかしい。
といっても、まだ、我慢できないわけじゃないんだけど。

帰路を急いでいると見慣れた後ろ姿を見つける。
雪姉だ。

私は追いついて声を掛けようと思ったが、不意に『声』が聞こえてきた。

『あぅ……まさかコンビニのトイレが故障中だなんて……もうギリギリなのに……』

――ん、雪姉もおしっこ我慢してる?

私はいつも優しくて、笑顔で、それでいて――人のものを勝手に食べる……っていうのはどうでもいい。
とりあえず、そんな雪姉が、おしっこを我慢して凄く焦ってる『声』を零す姿に、新鮮さを感じ、
なんていえばいいのか……探究心みたいなもの? なんだか様子を伺いたくなった。

私は、一定の距離を保ち、電柱に隠れながら雪姉を尾行する。
このままの歩行速度なら自宅まではあと10分掛からない程度だろうか?

『やばいな……この辺、公衆トイレないし、走るとそれはそれで出そうだし……とりあえず、鍵を直ぐ出せるように胸ポケットに入れて置こう』

左手で歩きながらカバンの中から鍵を見つけ胸ポケットに入れる。
ちなみに、右手は下腹部を擦ったり、時折前を抑えているようなそぶりを見せている。

――なんだろ、これ……なんだか見ててドキドキする……。

別に苦しいわけじゃない。胸の高鳴りって表現のがいいかもしれない。
仕草がなんというか……可愛いからのかな?

878追憶2「雛倉 雪」と微睡みの幻?②:2014/01/01(水) 00:03:46
しばらくすると、『声』の焦り具合が増す。
同時に足も膀胱に負担のかからない程度に、可能な限りの早足となる。

『あぁ、本当に辛い……間に合うよね?? 中学2年にもなって間に合わないとかないよね?』

『家から持ってきたペットボトルのお茶……全部飲むべきじゃなかったのかな?』

『信号と踏切……あれさえなければこんなに辛い思いしなくて良かったかもしれないのに……』

焦りの我慢『声』の中から、この状況に至る経緯が断片的にではあるがわかってきた。
詰まる所、ペットボトルのお茶を飲み干し、下校中に尿意を催して帰っていたが、信号と踏切にやたらと邪魔され、
仕方が無くコンビニに寄ってはみたけど、運悪く故障中で使用できなかったと……運悪いね、雪姉。

――それにしても……可愛い。
なんでこんなに可愛いんだろう?
いつも可愛い雪姉だけど、今日は特別可愛い。

『あぁ、もう本当限界かも……でも、もうちょっと、あと1分もすれば着く……中学2年だもん、きっと間に合う』

――うう、可愛いな〜。
やっぱりおしっこ我慢してるから?
恥らう『声』、我慢してるのを極力表に出さないようにしてる仕草、
そして、おしっこを必死になって我慢して、欲求に抗う姿……おしっこ我慢姿が雪姉をより魅力的に見せてる。

『つ、ついた! 鍵! あ、あれ?? カバンの中に鍵が……』

――さっき胸ポケットに入れたじゃん!
って凄く突っ込み入れたい。……声掛けて教えてあげるべきか否か……。
そんなことを本気で悩んでいると――

「あ! だ、ダメ……なんで! なんでないの?! 早くしないと……もう我慢できないのに!」

ついに雪姉はカバンをひっくり返す。
中からノートやら筆箱やら色々出てくるが、胸ポケットにある鍵は当然出てこない。

――あ……涙目で必死になって……凄く可愛い。雪姉を抱きしめて上げたい。
でも、やっぱり可哀想……私が鍵開けに出て行こう!

「雪姉!」

「っ! あ、綾!?」

雪姉は私が姿を現すと、スカートの上から太腿に挟んでいた右手を離す。
でも、足がガクガクと震えて前屈みになり、そして――

「っあ! やぁ……ダメ!」『でちゃ……』

――再び……今度は両手がスカートの上から大切な部分を抑える。
でも……

<シュィ……>

微かに聞こえる水が噴出すような音。
私はすぐにはそれが何の音かわからなかったが、
雪姉のスカートが濃く染まっていき、足元の石畳に黒い斑点を作って行くのを見て理解した。

「あぁ……」『だめ……止まらない……』

雪姉はそのまま1分近くにわたり、水溜りを広げて行き、しゃがみ込んで泣き出した。
私は駆け寄る

「だめ……汚い…から……」

嗚咽を漏らしながら私に静止を呼びかける。
でも、私は無視して、雪姉の頭を抱くようにして抱きついた。

「ちょ、綾!?」

「大丈夫だよ、雪姉……」

「え……あぁ、――うぅ……えっぐ……あや――……あや――」

879追憶2「雛倉 雪」と微睡みの幻?③:2014/01/01(水) 00:04:33
――
 ――
  ――

「――綾!」

「……ん……あれ?」

私は眠い目を擦り、目を覚ます。

「やっと起きた……元気にしてた?」

「……え……うん――っ雪姉!」

「うん、やっほー、雪姉で〜す。もう昼過ぎてるけど、おはよ〜綾」

え、なんで……雪姉が……?

「えへへ、びっくりした? サプラ〜イズっ帰宅!」

「……びっくりしたよ……」

「なんてリアクションの薄い反応!」

まぁ、状況理解できたし。
私は大きく背伸びをしてベッドから降りる。

「……久しぶりだね」

「3月から会ってなかったからね……寂しかった?」

「だ、誰が! 雪姉こそ東京で寂しかったでしょ?」

「寂しかったよ!」

正直だな……。

「あ、母さん仕事前だけど、折角だからお昼作ってくれるって、行こっ!」

雪姉は私の手を引いてリビングの方へ引っ張る。
私はリビングにいく前に雪姉に聞きたいことがあるので足を踏ん張って、口を開く。

「……雪姉って中学の時おしっこ漏らしてたっけ?」

「〜っ!!」

雪姉は振り向いて、顔を真っ赤に染て縮こまってゆく……可愛い。
ストレートに聞きすぎたかな?

でもその反応で判った。あれは夢じゃなかった。
あれは現実? ……でも――

「あ、綾、あの時のこと覚えてるの?」

恥ずかしそうにしながら雪姉は問う。
その言葉にはなぜか私を心配する気持ちが含まれていた。

「……えっと、覚えてないけど、さっき夢でそんな場面見てたような……」

「あ、ああ、そうなの? 夢よ夢! 私は高校の時、冬の……――言わないでいい?」

「……うん、あの日だね」

「もう! そんな話しじゃなくてお昼だよ!」

そう言って雪姉は私の手をグイグイ引く。
なんだろう……あからさまに何か隠してる。
なんで私は、この嗜好の火種となったさっきの夢のことを覚えていないのだろう?
雪姉が中学2年ってことは――私は小学5年かな? もっと小さい頃のことも覚えてるんだけど……。
それとも、考えすぎ? ……本当にただの夢だったとか?

なんだか、もやもやした気持ちがあったが、それは直ぐに消えていった。

おわり

880事例の人:2014/01/01(水) 00:10:29
>>874-876感想ありがとう!
可愛いは正義です
絵に関しては描く環境が……sai無しのペンタブ無しなので非常に過酷。
気分転換に適当には描くことはあるけど期待しないで
非おも絵(弥生):ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4775934.jpg

881名無しさんのおもらし:2014/01/01(水) 01:01:25
新年から良作アリガトウ!!

882名無しさんのおもらし:2014/01/01(水) 18:21:58
そういえば清掃は途中で済んだの?まだだったの?

いろんな話がつながるのを計算してるのが分かるキャラ描写は期待がもてる
ツンツンしてる人とか

883事例の人:2014/01/01(水) 20:23:32
>>882
うん、完全にミスだ。展開を書き変えたときのチェック漏れorz
……あれだ、もたもたしてる内(後編6辺り)にトイレに二人入ってしまったって設定にしておくとして……
後にもだいぶ影響来るね……酷い所だけ修正文。
後編8辺り
×「……あとは清掃が終わるまで我慢し通すだけです。トイレに入れば私は下着をコンビニで調達してきますから」
○「……あとは先に入った二人が出てくるまで我慢し通すだけです。タオルを貰ってトイレに入れば私は下着をコンビニで調達してきますから」
後編9辺り
×「大丈夫……清掃が終わるまでなら……んっ! ――多分……」
○「大丈夫……ご不浄が空くまでなら……んっ! ――多分……」
×どうにか清掃はすぐに終わり――
○どうにか個室はすぐに空き――

残りの細々した所は脳内変換でお願いします……スミマセン orz

884事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-前編-①:2014/01/09(木) 23:41:42
「……はぁ…美術館、ねぇ……」

私は大きく嘆息して、大して興味の無い美術品を見る。

今日は8月21日。夏休みの真っ只中だと言うのに夏季講習ならぬ夏季見学会。
しかも、8月20日の登校日に知らされるというサプライズ企画物。
雪姉のサプライズ帰宅のがよっぽど嬉しい――――当たり前だけど――――サプライズだ。

なぜ今時高校に登校日なんてものがあるのか。――そんな疑問はあった。
しかも予定では21日も登校日。つまり二日続けての登校。
さらに言えば、どういう訳なのか21日の集合時間は朝6時とか早すぎる時間だった。
その事前情報で何か学校でやらされる予感と言うのはもちろんあったけど、まさか抜き打ち見学会とは……予想の斜め上もいいところ。
確かに芸術の宿題が出ていなかったけど、こういう形で課題を出してくるとは思っていなかった。
……そういえば3年前、雪姉がサプライズがどうのこうのって言っていた覚えがあったが、この事だったのかと今更ながら気が付く。

ちなみに見学会参加の場合は、感想文の提出が課題。
不参加の場合、近代風景の水彩画……非常に面倒なので不参加の生徒はたったの二人だった。

「どうやら、このサプライズ企画、今の芸術の先生になってからずっと続いてるらしいよ〜」

隣でまゆが美術品を非常に詰まらなさそうに眺めながら言う。
水彩画の提出なんてのも嫌だけど、わざわざサプライズでこんな詰まらないところ誰が喜ぶのか甚だ疑問だ――

「わー、凄いねー!」

――ったけど……目をキラキラと輝かせてる弥生ちゃん。何がそんなに楽しいのか良くわからないけど……可愛い。

私も何か興味の引かれるものは無いかと、周囲に視線を巡らしていると、大きな絵を見つけた。
私はその大きな絵を見上げる。

――わぁ……なにこれ、大きな車輪?

そこには真ん中に大きな黒い車輪と、その周囲に深紅の絵の具を大胆に塗った絵が掲げられていた。
全然なんの絵かわからないけど、なんだか心を掴まれたような、異様な気分にさせる。

――これは……感動? ――いや、そうではない気がする。なんだろう?

「……ねぇまゆ?」

私は絵を見上げながら隣にいるはずのまゆに話しかける。
が、なぜか返答が無い。私は視線を降ろして隣を見ると――

「……あれ? いない……」

弥生ちゃんもいた筈だが、周囲を見渡しても、2人の姿は見つけられない……完全に見失った。

私は肩を落として再度その絵を見上げるが、やっぱりよくわからない。
芸術ってそんなもの、そう割り切るのが正解なのかもしれない。

「あ、雛倉さんだ!」

私は背後から声を掛けられ、肩を跳ねさせ驚く。

「あはは、びっくりした?」

「……や、山寺さん」

振り向くと隣のクラスの山寺さんがいた。

885事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-前編-②:2014/01/09(木) 23:42:57
「どうしたの? ひとり?」

「……え? あ――さっきまで一緒だったんだけど……」

「はぐれたの? あはは、私と一緒だねー。あ、そうだ! 折角だし一緒に回ろうよ?」

笑顔が眩しい。
山寺さんとは例の一件以来、挨拶を交わすくらいの関係にはなっていたけど、
まさか一緒に美術品を見て回るほど打ち解けているなんて――いや、はぐれた者同士だからだろうけど。

「……うん、そうだね」

「そういや、“一匹狼の雛さん”ってあだ名、公認なの?」

……そういうこと本人の前で普通言うかな?

「……いえ、正直なところ不本意だけど……」

「だよね〜、うちのクラスにいる新聞部の部長さんが色々名前付けて回ってるらしいから。なんか“銀狼”ってあだ名も候補にあったとかなんとか」

新聞部部長ってあのメガネのよくわからない子かな? 1年にして部長ってことは…自分で部を立ち上げたんだろう。
にしても、“銀狼”って――確かに珍しい髪の色してるけど……“一匹狼の雛さん”とどっちがいいかっていわれると結局微妙なんだけど。
いつの日か、私に変なあだ名を広げた罰として、なにか辱めを受けさせてあげたい……。

「今度、嫌がってたって言っておいて上げるよ」

「……あ、別にいいよ。どちらにせよ広まったの止めるのは難しいだろうし」

そういうと、山寺さんは人差し指を唇に当てながら、小さく「確かにそうかも」っと言って納得した。
その後、少し下げていた視線を私に向け、そのままさらに視線を上げる。どうやら後ろの大きい絵に気が付いたようだ。

「ところでこの絵見てたみたいだけど――なんなのこれ?」

「……わからない、ただ真ん中に車輪みたいなのがあるってことしか……」

「あ、これ車輪なのか……ふーん、芸術って意味不明だよね」

「……だね」

気になる絵ではあるけど……やっぱり芸術は理解できない。

886事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-前編-③:2014/01/09(木) 23:44:06
『あ、不味いな……トイレどこにあったっけ?』

っ!
やっと『聞こえた』!
バスの中で水分補給していた甲斐があった。

弥生ちゃんは行きの2回ある休憩で2回ともトイレに寄るし着いたら着いたですぐトイレだし隙が無かった。
まゆに至ってはどうせ昼までトイレに行かないだろうし、『声』なんてきっと聞こえない。

それに他のみんなも、見学会とあって、用心のためか殆どの人が休憩でトイレに行く――――まゆが寝てたのは言うまでも無い――――し、
美術館に着いてすぐ結構な子が、済ませに行っていた。
正直なところ、骨折り損かもって思っていたところにこの天使だ。はぐれてよかった。

『んー、結構溜まってるな……1回目の休憩の時には行ったんだけどな……』

この子は本当によく溜まってからしか尿意を感じないので、私としては都合が良い。
あらかじめトイレに行こうって発想もそんなに無いから、夏休みに入る前の学校生活では、週に1回はそれなりに切羽詰った『声』を聞けていた。

だが、問題はこれからだ。
尿意を感じれば当然トイレを探す。それは山寺さんでも同じ。
山寺さんは活発な方だし、どれくらい羞恥心があるのかはわからないが、
行動を共にしていたとしても、近いうちに必ずトイレに行ってしまうだろう。

――……ならば、トイレに行くのを阻止する?

でも……正直、そういうことはしたくない。良心が痛むし、可哀想だし、あまり後味が良いものでもない。
皐先輩の事だって、今も少しだけ引きずってる……。
あれは自業自得だと思っても、相手が透視で覗いていたと言う恨みがあっても……やっぱり自ら関わるって言うのは蟠りを残してしまう。

なんとなく上を向いて考えてると案内表示が目に入る。
右がトイレらしい。

『どうしよ……歩いてたらそのうち見つかるかな?』

――これは……尿意を告白してきてない以上、黙ってても問題ないよね!

……なんとも酷い理論だと思うが、まぁ、『声』の感じからしてまだまだ大丈夫そうだし気にしない。
表示を通り過ぎて真っ直ぐ進む。
絵のコーナーを過ぎて、見えてくるのは彫刻。

「うわー、これを見てどんな感想書けっていうの?」

同感だ。
芸術とかわからないから正直に書くなら「エロスを感じた」程度の感想しか出てこない。……はぁ。

「あー、でもこの辺のだと、神話に出てきそうなのだし、絵よりは感想書きやすいのかな?」

ポセイドンか……確かに有名だし神話の物語があるし書きやすいかもしれない。

私は並んで彫刻を眺め、視線の端を山寺さんの方に向ける。
彼女は小さく揺れていて、足元を見ると、足音が経たない程度に踵だけを上下に動かして足踏みしている。

『じっとしてるのはちょっと辛いな……早くトイレ見つけて行かないと』

ただ立っているだけだと、思った以上に『声』が大きい。
小さく足踏みをしてしまう程度には切羽詰ってる。可愛い……。

「雛倉さん。珍しいですね、他のクラスの友達と一緒だなんて……」

887事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-前編-④:2014/01/09(木) 23:45:42
っ!

それなりに聞き慣れた棘のある声が後ろから聞こえ、背中に深く突き刺さる。
……理由は全然わからないけど、どう考えても怒ってる。
というか、私に話しかける時は基本怒ってる。怖い……そして意味がわからない。

私は振り向かずに山寺さんの手を取って先を進む。

「え、ちょっといいのあの人? 一人だったよ誘って一緒に回るとか――」

「……いいの……あの人こそ一匹狼よ」

ついて来てる気配は無い。
本当、一体どういうつもりで私にちょっかいを出してくるのか……。

私が一人の時ならまだ許せる。
でも、誰かと一緒の時にあんな態度を取られると本当に迷惑だ。

「ねぇ、雛倉さん?」

「……」

私はその心配そうに尋ねてくる声に立ち止まり、相手の台詞を待つ。

「さっきのって朝見さん……だよね?」

どうやら知っているらしい。
成績が常にトップな朝見さんは、他のクラスでもそれなりに有名だと言うこと。

「あの人……雛倉さんが言うように一匹狼な雰囲気だけど……本当にそうなのかな?」

そんなこと判らない。
私の能力じゃそれを『聞き』取るのは難しいし、本音なんて喋ってくれるとは思えない。
……山寺さんが言いたいのはそういうことじゃなくて、多分、「仲良くしてみたら」という提案のようなものなのだと思うけど。

私は最初こそ、話しかけてくる朝見さんに対して、出来る限り友好的な対応してきたつもりだった。
今だって、友好的に出来るものならしたいと思う。
でも……それを朝見さん自身が拒んでいるようにしか見えない。
だったらなぜ、私に構うのか……それはわからないけど。

「……私はもう、朝見さんと仲良くなれる気がしない……だから距離を置くの…多分これからもずっと……」

きっと山寺さんはこれを聞いて私に多少なりとも不信感を抱くだろう。
彼女は誰とでも隔たり無く接すことが出来るから……だからこそ、今の発言はきっと理解できない。
それに、朝見さんが今までどんな態度で私に接してきているかを知らない……当然だ、きっと幻滅される、そう思った。

888事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-前編-⑤:2014/01/09(木) 23:46:45
「そっか……もし――もしもだよ? 本当は仲良くなりたいって思っているならいつでも私を頼って」

……真っ直ぐな瞳で私を見据える。
きっと私の発言を理解していない。そして事情を何も知らない。
なのに彼女は言う。「頼って」と……。
正直、私が山寺さんを理解できないでいると、右手の親指を立てて前に出し笑って口を開いた。

「友達だからね! 困った時は助けるよ」

「……あ、ありがと」

「当然だよ」

凄く眩しい人。そして良い人……それにちょっと格好良いかも。

『ああ、格好良い事言ったけど、おしっこしたい〜』

……台無しな上、自分で格好良いとか思ってるのか、ちょっと感動を返してほしい。

『言い出し難くなっちゃったなー……どうしよう……ちゃんと言わないとダメだよね?』

どうやら、我慢が結構辛くなってきたらしい。
私に背を向けて深呼吸を2回ほどして振り返って、少し頬を染めて口を開いた。

「あの――「おーい、なにしてる山寺ー……と、だれだ? とりあえず、そろそろ見学時間終了だ出口に集まれー」……」

『ぐぬぬ……また、あの先生! なんでいつもタイミングの悪い時に私を目ざとく見つけるの?』

山寺さんは大きく嘆息してから私に言った。

「――だってさ、出口に行こー?」

……。
確かこの後高速に乗って直ぐのSAで昼食だったっけ?
間に合う……のよね? 多分30分掛からないくらいだし大丈夫だとは思うけど……少し心配。

でも、まだ尿意の告白もしていなく、必死に仕草を隠してる相手にトイレに行ったほうがいいとは言えなかった。

889事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-前編-⑥:2014/01/09(木) 23:47:21
――
 ――

「点呼するから並べー!」

担任の先生が指示を出して出席番号順に確認して行く。

「――えーと、黒蜜ー、小柳ー、篠坂ー……ん、篠坂は?」

「あ、せんせー、弥生ちゃんはトイレ行ってるよー、ちょっと混んでたみたいだから――」

弥生ちゃんはトイレか……。

『誰かトイレに行ってるの? やっぱ私も行くべきだったのかな?』

隣の列から私たちのクラスの会話を耳にした山寺さんの『声』が聞こえてくる。
点呼が終わるが、篠坂さんがまだなので出発できない。

『えっと、我慢結構辛いんだけど……まだ出発しないのかな?』

やっぱり、私がトイレに行くって言ってでも連れて行くべきだった?
……もう高校生なんだから、そこまで面倒を見る必要は無いとは思うけど――やっぱ前回の皐先輩の件で少し迷いがあるのかも知れない。

「あ、きたきた」

まゆの声を耳にして前を向くと、顔を真っ赤にしながら小走りにこっちに向かって走ってくる弥生ちゃんの姿が見えた。
彼女は担任に何度も頭を下げて自分の場所へ恥ずかしそう移動し、並ぶ。

「うわ……恥ずかしそう〜」

後ろの檜山さんがそう口にする。
たしかに……私と山寺さんもトイレに行ってたら同じような体験をしていたわけか……。
弥生ちゃんには悪いけど、それはちょっと嫌だな。

890事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-前編-⑦:2014/01/09(木) 23:47:56
――
 ――

「お、あやりん高速乗ったみたいだよー」

私の隣、窓側に座るまゆが珍しく起きていて、外を見ながら言う。

「……あ、うん。そうだね」

私は心此処にあらずという感じで返す。
理由は――

『あぁ、早く着かないかな〜、ま……間に合うよね? 高速乗って直ぐって言ってたし……』

――この『声』……可愛い。
バスはAクラスが一番前で順番に並んでいるため『声』は後ろから。大きい『声』なので何とか私のところまで届いていた。

『ちょっと遅れるのは予想外だったけど……私、そんなに余裕無かったかな? ……あ、そういや行きのバスの中で缶コーヒー飲んだんだっけ……』

結局弥生ちゃんのことがあって出発は予定より5分遅れとなり、結果昼食を食べるSAに着く時間が遅れてしまった。
にしても……コーヒーか。コーヒー好きか何かだろうか?
利尿作用が高いものだし……すぐ着くにしても流石に心配になる。

「ん〜、あやりん?」

「……あ、えっとなに?」

私の顔を不思議そうに覗き込むまゆ。

「なんか嬉しそうな……それでいて少し不安そうな微妙な顔してたねぇー、なにかあった?」

っ!

「はは、図星でしょ? あやりんの無表情な顔、誰にでも通用するだなんて思ってちゃダメだよ〜」

まゆ……侮れない子。
私は、気持ちを落ち着かせるために、飲み物置きに置いてある500mlのお茶――――調整用に持ってきたけど、尿意を感じてるからまだ殆ど残ってる奴――――を一口飲む。
その後、深呼吸して無表情の上にさらに無表情の仮面を作るイメージで対応する。

「……これでもそう見える?」

「うわ……流石あやりん…全然わかんないわ……」

目を丸くして驚くまゆ。
正直此処まで意識して無表情にするのは疲れるけど。

「え、ちょっと何話してるの〜?」

後ろの席から、なぜか膨れっ面の弥生ちゃんが廊下側に顔を出して私たちに話しかける。

「えっとね、遅れてきた弥生ちゃん凄く目立ってたな〜って話し」

「え! あ、ちょっと止めてよ〜、ほんとに恥ずかしかったんだから……」

顔を真っ赤にして小さくなっていく弥生ちゃん。……こっちも可愛い。

『うぅー早くして〜、バスの揺れが辛いよ〜〜』

――本当、大丈夫かな?

891事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-前編-⑧:2014/01/09(木) 23:48:43
――
 ――

SAに到着したのはその10分後。
バスから降りた私たちは、各自昼食をとることになる。
私は念のため財布などの貴重品だけでなく、カバンを持ってバスを降りた。

山寺さんのバスの位置を知る為、感覚を研ぎ澄ませるが、思ったよりも離れたところに止まったのか、『声』が聞こえない。
まゆは弥生ちゃんが降りて来るのを待っているみたいだったので、逸れた振りをして先にトイレのある方へ向かう。

トイレに着き、ある程度の我慢『声』が周囲から聞こえ、有意義な時間を過ごす事1分弱。

『あう、やばいやばい……もう限界〜』

非常に切羽詰った、周りの『声』とは比較にならないほどの大きな『声』でこっちに来る山寺さん。
私は物陰に不自然じゃないように隠れて様子を伺う。
SAのトイレは多く設置されてはいるものの、昼時で混雑してるのか10人前後外にまで並んでいた。
でも、夏休みとはいえ平日なのに……なんでだろう?

『あぅ……、またこういうパターン? うう、本当もう限界なのに……ぁ! やだ、もう出そう……』

まだ、外から丸見えだと言うのにさり気なくではあるが、スカートの前を軽く抑えてる……可愛い。
でももっと近くで見たい……。

――よし、私もトイレに行きたいし、並んじゃおう。

私は山寺さんの後ろに誰か並ぶ前に早々に決断し、行列の最後尾に向かう。

「……あ、山寺さん奇遇だね」

「え!」

言ってから思った。なにこのワザとらしい台詞。
山寺さんは抑えていた手を素早く離し、必死に笑顔を作って誤魔化す。……あの時ほどまだ切羽詰ってないようだけど、凄く可愛い。

「あ、うん、奇遇だね……雛倉さんもトイレ?」『また、雛倉さんにこんな所……今度はあんな切羽詰った姿見せたくないのに……』

「……うん」

必死に仕草を抑し殺して、何でもないように会話を振るが――それでも、じっと立っていることは出来ず、右足を軽く上げて、左足にさり気無く擦り合わせる。

山寺さんは、頬を染めつつ苦笑いをする。
でも、どんどんその笑いにも影が増えてくる。

『だ、だめ……やっぱ抑えないと……でも、あぁ!』

そして、私が前にいるにも関わらず、波が来た為か、顔を下に向け前屈みになる。
両手はひざ辺り置き、足は落ち着き無くクネクネと動き必死に太腿をきつく閉じ合わせ、尿意の波に耐える。

「っ! あ、そのね……違うの、その、行きのバスでコーヒー飲んでて、あはは……」

山寺さんは、真っ赤な顔を上げて言い訳になっていない言い訳をする。その間も仕草は止まらない。

……可愛過ぎる。丁度前屈みになってるから頭を撫で撫でしてあげたい。……しないけど。

892事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-前編-⑨:2014/01/09(木) 23:49:28
「全然列すすんでなくない?」
「なんか、個室の半分が水が流れなくなってるらしいよー、だから使える個室4つだけだってー」

前の方から聞こえてきた残酷な台詞……。
山寺さんの方に視線を向けると――

「な、なんで……」『そ、そんな……我慢できないのに…運、悪過ぎない私……』

前の方で言われてる話が本当なら、使える個室が4つで今並んでるのが……中まで要れれば20人くらい?
つまり20人割る4個室なので個室1つ辺り5人入れ替わる必要がある。
一人当たり平均2分〜3分なので10分は覚悟しないといけない。
……大丈夫だろうか?

『うぅ……ダメ……抑えたい、抑えなきゃ! じゃないともう本当に……あぁもう、いいや!』

心の中でそんな決意が聞こえてすぐ、山寺さんは片手をスカートの上、太腿の間に出来る谷に差し込む。

「あはは……またこんな姿……」

その笑いは自嘲的で、顔は真っ赤で、もう余裕が無くて……以前、順番を私に譲ってほしいと言われた時のことが重なる。

『大丈夫……波は超えた……。あ、あの時は油断したからだもん! 我慢できる、出来なきゃダメ……』

そうして、山寺さんは手をゆっくりとスカートから離す。

気持ちの持ちようは以前とは違う。
直ぐは入れる状況が迫ってきていたあの時ほど、まだ危険は無い……とは思う。
でも、その状況を逆に返せば、恐らくほぼ同じだけの量を貯めていながら、10分間の延長戦を乗り越えなければいけないって事。
そして、10分後にはあの時のように油断が出る可能性のある場面に……以前より遥かに辛い状態で迎えることになる。

――どうする? どう考えても無理なんじゃ?
いや、これは私の主観なだけ……あれから大分立つし、『声』の大きさとか仕草とかそっくりそのまま覚えているわけじゃない。
きっと色んな思い出補正で変わってるだろうし、山寺さんも成長してるかもしれない。
だったら、見守るべき? ……それとも――

私は周囲を見渡す。
確かにこのトイレの後ろにはちょっとした低木が並ぶ、まさに“する”には丁度良い場所がある。
……。

再び山寺さんに視線を向けると、彼女の視線はすでに私では無く、トイレの奥の方を必死な形相で見つめていた。
スカートの前を抑えるかどうかで、右手が落ち着き無く膝や太腿、下腹部辺りを彷徨い続ける。
……その手を握り、低木の方に走るべきなのか……?

私は無意識に手をゆっくりと伸ばす……。

893事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-前編-⑩:2014/01/09(木) 23:50:25
『我慢する! 絶対トイレまで、個室まで! もう雛倉さんに情けない姿なんて見せたくないっ!』

っ!
それを『聞いて』私はその手を握ることが出来なくなった。
例え、最悪の事態を避けられても、名誉までは……プライドまでは助けられない。
そう、こんなどこから見ても“我慢してます”な表情の子を連れて低木の陰なんかに行けば、それは“我慢できませんでした”と言うことに他ならない。
彼女の意思を信じて、間に合うことに賭ければ……もし、個室まで間に合わなくても、個室前なら、トイレの中の人たちだけにしかバレない。
幸い、うちの生徒はまだ私たちだけしか並んでいないし……。

私は伸ばしていた手で宙を掴み強く握り締め、もう片方の手でそれを優しく包み胸に引き寄せた。

……本当はこの意思と同時にもうひとついけない思惑が私の中にあった。
皐先輩の件……理性を忘れ欲望に従い腕を掴んだこの手……。
今回は掴まないことが、私に利益を呼ぶのではないかと思う……欲望に忠実な私の思惑。

……私は、大きく首を振る。

違う。見方を変えよう。
私には、我慢姿をより長く見る事ができると言う利益が出て、且つ山寺さんが助かるかも知れない。どこに問題がある?
それに――これはそういうときのために用意したカバンだ。

「はぁ…んっ! やぁ……んっ!!」『や……まだ、沢山並んでるのに、まだなの、お願い待って……あぁ!』

彷徨っていた右手が再びスカートの前から太腿に間に差し込まれ、前屈みになって足がガクガクと震える。

 「え、ちょっとあの子大丈夫なの?」
 「うわ……高校生? 辛そう」
 「もう危ないんじゃないの、あれ……」
 「さっきからなんか、落ち着き無かったもんね」
 「嘘ーあの歳で??」
 「まさか、間に合わないとかないよね?」

その直接的な我慢姿に、周囲の人が気が付き始め、口にする声が回りから聞こえてくる。
私はその声に少し苛立ちを覚える。
それは友達を見世物として見られていると言うのもあるが――どちらかと言うと、多分、独占欲的な感情によるものの方が比重が大きいと思う。

「うぅ……」

山寺さんは目に涙を貯めて周囲の視線を気にする。
同時に仕草を止めようと手を離し、前屈みになった体を立て直そうとする。

『やだ、見ないでよ、こんなの……やだ、やだよ……っ あっ! やぁ! だ、ダメ……あ!』

でも、直ぐにその試みは失敗に終わり同じ体勢に戻る。
そして、その試みはただの無駄骨だけでなく、ひとつの傷を残した。

『やぁ……少し出ちゃった…かも』

もう猶予が無い。
私は唾を飲み込み喉を鳴らす。
視線を一度前に向けると、一応トイレの外まで並んでいる人は残り6人となっていた。

894事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-前編-⑪:2014/01/09(木) 23:51:06
「(……山寺さん、歩ける? 前少しあいてるから移動しよ?)」

そう小さく呼びかけると、真っ赤になって小さく頷く。
一歩一歩慎重に股を大きく開けずに前に進む。
その仕草は……やっぱり可愛い。

「(ごめん…ね、雛倉さん……)」

山寺さんは小さい声で私に謝る。
こんな恥ずかしい格好を見せてとか、迷惑かけてとか、心配してくれてとか……そんな思いがあるのかもしれないけど。
多分深く考えず、ただ、声として漏れ出したつぶやき。
私は、そっと肩を支えるように掴んであげた。……というか掴みたかった。

一人、また一人とトイレの中から人が出て行って、トイレの外に並ぶ人は直ぐにいなくなり、トイレ中へ入ることが出来た。
でも――

『辛い、辛いよ……』
『絶対我慢できない……個室までなんて――まだ8人も居るのに』
『今、やっちゃうと雛倉さんにかかっちゃう! 我慢しないと……我慢……がまん…できるの?』

――いつしか、山寺さんの『声』は自信の無い、あきらめの混じったものばかり目立つようになっていた。
そのたびに私は、「頑張って」とか「大丈夫だから」とか気の利かない言葉をかけ続けていた。
私の言葉で少しでも気力を取り戻して、我慢できるなら――そう思って。

「ぁ! ぁ!」『や……また、あぁん!』

2度目の大きな波が来て身を硬くする山寺さん。
私は肩を少し強く掴んで上げるが、肩が大きく震えを感じて、小さな失敗をしてしまっているのが『声』だけでなく全身から伝わる。

『とまったけど、また……』

私は視線を山寺さんの足元に向ける。
私が見る限りはまだ、どこも濡れてない。
でも、何度も振るわせていた体のことを思うと、下着は、染みとはいえない程度に、濡れていると思う。
もしかしたら、スカートの抑え込まれた部分の内側の生地にも被害が出ているかもしれない。

<ジュコー>

独特の水を流す音のあと、個室内から人が出てくる。
前に並んでいるのはあと4人……あと少し。

「んっ! だ、ダメ……」『あぁ! もう少しなのに……また、あぁ、んぁ! ダメぇ!』

再び襲ってきた大波に山寺さんは、両手でスカートの上から大切な部分を握り締める。

「ぁ……」『っ! や…でちゃ――もうっ…ダメ!』

小さな声の後、体を硬直させたかと思うと3〜4度身体を跳ねさせる。

「んぁはぁ……はぁ……」『また…私…今度は沢山……』

また、私は視線を山寺さんの足元に向ける。

895事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-前編-⑫:2014/01/09(木) 23:51:44
――っ! 山寺さん……もう、限界だ、もうこんなに……。

紺の靴下の内側が濃く染まっているのに気が付く。
抑え込まれたスカートも一部分だけ色濃く染め上がっている。
思った以上に今回の被害は大きい。周りの一部の人にも小さなおもらしが始まっていることが、もうバレていると思う。

ただ、救いなのは、もう此処はトイレの中。
今のこの状態を知るのはトイレ内にいる8人程度だ。
そして、個室にフォーク並びをしている前に並ぶ人は、今の間に2人減っていて、後2人にまで減った……。
並び始めてから約10分、本当に山寺さんは頑張ったと思う。

そして、その時、同時に二つの個室が開く。
前の2人もそれなりに我慢していたのか直ぐに駆け込んで行った。

『次……次だ……もうすぐだ……あぁ、でもっ、あっ……あぁ……』

山寺さんはあの時と同様、解放を目前に迫り、気持ちだけが先走ってる様だった。
もう、おチビリと言う言葉では済まされないほど被害が出てしまっている状態で、この先走りは――

<ジュコー>

っ!
トイレの水を流す音が聞こえた。
幸いなことに、順番は直ぐに回ってくるらしい。

私は山寺さんの様子を見ながらゆっくりと一緒にその個室の前へ足を進める。

でも……個室前まで辿り着いてすぐ、肩を掴む手に大きな震えを感じた。

「あ……や、んっだめっ!」『やぁ……だめ、折角此処まで来たのに! もう我慢が、っ!! だめ、雛倉さんを汚しちゃう!』

そう言って弱い力で私の手を振り払い、個室の前でしゃがみ込む。
踵を使ってグリグリ抑え込むが、同時に少しずつ、山寺さんの足元に水溜りが広がっているのが判った。
私はどうすることも出来ず――ただその様子に釘付けになるだけで……。

「うぅ……」『止まって! とまってよ!! 見られてるから! もう直ぐだから、間に合うんだから! ちゃんとトイレまで我慢できるから! 早くぅ!!』

<ガチャ>

山寺さんが必死になって止めようとしているとき、目の前の個室が開く。
出てきた人は驚いていたが、すぐに状況を察して個室から出てくれた。
彼女は慌てて立ち上がり、その個室へ滑り込むように入って行く。
でもその扉は開いたまま。私は慌てて開きかけの扉を抑える。

そして、個室の扉の目の前にいる私に聞こえてくるのは、下着の中で“した”ときに聞こえるくぐもった音と、水面ではなく床のタイルに落ちる水の音。

「あぁ、や、ダメ……」『と、止まらないっ!』

鍵の閉まっていない個室の向こう側から聞こえる、状況を把握するのに十分な声と『声』。
私は個室の前にある30cmほどの水溜りを見ながら、この先、山寺さんにかける言葉を捜していた。

896事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-前編-⑬:2014/01/09(木) 23:52:17
――
 ――

「う……えっぐ…ぐす……」<ガラガラガラ>

個室に入って2分くらいだろうか。タイルに落ちる水の音が水面を叩く音に変わり、そして今、泣き声と紙を大量に巻き取る音が聞こえ始めた。
トイレは以前行列中――長居する訳には行かないけど……。
だからといって、山寺さんが出ていける状態でないことは明白だった。

「……えっと、山寺さん?」

……返答が無いでも、きっと聞こえてる。

「……これ使って」

私は未だに鍵の閉まっていない個室の扉からカバンだけを入れた。

「え? あ! うそ鍵!?」

「……カバンの中を開けて」

差し出すカバンを受け取らないまま数秒沈黙が続く。

「う、えっと、手が……」

「……いいからそういうの!」

そういうと、「ごめん」っと謝ってからペーパーを巻き取る音が聞こえ――――多分、紙を使って持った?――――直ぐにカバンを持つ手が軽くなった。
私は扉を再び閉めると今度は<ガチャン>と鍵をかける音がした。
そして、しばらく待つと……

「え……な、なんで?」

あーうん、それ聞かれると凄く困る。

「……いいから使って」

中に入ってるのは……スカートと新品の下着。
皐先輩の件で、少し学習した私が、もしもの場合に備えて用意していたもの。
まさか役に立ってしまうとは思っていなかったけど。

3分程度して、目を腫らして、真っ赤な顔で凄く気まずそうに出てくる。

「……間に合ったね」

「え……?」

私が外で考えていた、とっても頭の悪い答え。

「……ま、に、あ、っ、た、ね!」

「う、うん」

そう返事をもらって私は、個室に入ろうとすると――

「ちょ! そ、その個室……入るの?」

「……入るけど?」

……フォーク並びしてる所を私だけが個室の前に居たわけで。
今更他の個室に入るのも気が引けるし……他意は――全く無いといえば嘘だけど。

「……あ、うん、そう……だよね。そ、外で待ってる…ね」

真っ赤な顔をさらに紅くして、消え入りそうな声でそう言うと小走りにトイレを出て行く。
それを見送った後、私は個室に入り扉の鍵を閉める。
中は……まぁ、頑張って後始末した努力が見て取れた。

897事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-前編-⑭:2014/01/09(木) 23:53:44
――
 ――

用を済ませて個室から出る。
手を洗い、トイレを出ると、外に出て直ぐのベンチに、山寺さんが頭を抱えて蹲っていた。
私は近づき声を掛けるため、口を開く。

「……えっと山寺さん?」

「ひゃう! あ、雛倉…さん……その、えっと…んと……あぅ」

飛び跳ねるように立ち上がったかと思えば、顔を真っ赤に染めて口籠もり、また姿勢を低くして最終的にベンチに蹲り両手で顔を覆う。……可愛い。
私はそんな態度を無視するように言葉をかける。

「……お昼食べに行かない?」

「え! いや……ごめん…なさい。あ、いやっ! 服の件とか凄くありがとうって思うけど……その、今は無理…っていうか…なんていうか…その…」

顔を覆って居た手を離して、下を向いたまま、段々と声を小さくしていって返答する。
手は落ち着き無く制服のリボンを弄っている。
意外にも山寺さんの羞恥心は、人一倍強いのかもしれない。……可愛い。

私は空を見上げながら、聞こえないように小さく嘆息して、昼食に関してはまゆたちと合流しようと諦めた。

つづく。

898事例の人:2014/01/09(木) 23:57:36
余りに出番が無い山寺さんのテコ入れ。
今の所タイトルに偽り有りです、ごめんなさい。
ちなみに次は後編ではなく中編を経て後編になると思う。
後編には期待してくれてた方がいたので頑張って挿絵を準備しておくよ

ゲームスレが盛り上がってて羨ましい!

899名無しさんのおもらし:2014/01/10(金) 07:19:30
いつの間に良作が
油断もスキもあったもんじゃないw

またおねがいします

900名無しさんのおもらし:2014/01/11(土) 00:04:34
罪悪感抱いちゃう当たり主人公が基本善人で好き
それにしても真の一匹狼の子が気になりまくるw

901事例の人:2014/01/17(金) 06:18:51
>>899
隙だらけです! 三が日あたりの休みに溜め込んだ分はもう無くなった!
>>900
いくつか感想読んでると主人公が人気なのかな?
2行目についてはこれから徐々に明らかになる予定

902事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-中編-①:2014/01/17(金) 06:20:33
「どこいってたのさ、あやりん!」

携帯を使ってまゆと連絡を取り、合流した直後のまゆ。
珍しく怒ってらっしゃる……。
その隣には苦笑いの弥生ちゃんも居た。

私の携帯はマナーモードになっていて、カバンの中に入れていたため大量の着信に気が付いていなかった。
どう考えても私が悪い。

「……ごめん」

「むー……もしかして美術館でなにかあったとか?」

怒った態度を一変させて、少し心配そうに尋ねる。
私はその態度の変化に驚いたけど、表情には出さず、ただ首を振った。

「……大丈夫なんでもない」

「ホントに? ……あやりん、私にだってちゃんと言ってくれないと判らないことあるから、悩みがあるならいいなよー?」

……。

「珍しく真弓さんが心配して――」
「うっさい! 弥生ちゃんの癖に! それに珍しくって言い方、いつも冷徹みたいじゃん!」

「ふぇ〜、ほうひういひにゃにゃひふぇふ〜」

両唇を引っ張られ上手く喋れないようだけど、「そういう意味じゃないです」かな?
手を離してもらって自分の両手で頬を擦りながら、弥生ちゃんは続けた。

「いつも、天真爛漫で元気すぎる姿から想像できないって意味ですよ」

「む〜、その言い方も普段心配とかしてないみたいじゃん」

「え? してるんですか?」

「ぐぬぬ! 私の笑顔の裏はいつも周りを気にかける天使なのだぁ」

弥生ちゃんは胡散臭そうな視線をまゆに向ける。
でも、実際まゆは気の配れる良い奴なんだけど。

903事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-中編-②:2014/01/17(金) 06:21:11
――一応心配してさせちゃったわけだし、ちゃんと謝らないと……。

「……まゆ、心配してくれてごめん…ね」

「! 謝るだけで許されると思ってるのかなぁ〜?」

そういいながら私の後ろにゆっくりと回りこむ。
そして後ろから抱きつかれる。

「もう二度と逸れないように、このまま昼食場所探そうかぁ♪」

「……ちょ! こんな人多いところで…恥ずかしいから!」

「だったら、人気の無いところならいいわけ〜?」

「! そ、そうなんですか雛さん!」

「……っ! ちがっ!」

――うう、恥ずかしい。

『うう、あやりんめ……確かに心配してたけど、そういうこと面と向かって言われると照れるじゃんかー!』

――っ! まゆの『声』? まさかこのスキンシップは……恥ずかしさを紛らわすために?

不意に聞こえたまゆの『声』はそれだけだったけど……。
なんか、それを『聞いて』私は余計に恥ずかしくなり、顔が熱くなる。

「もうっ! 真弓さん! いい加減離れてください!」

弥生ちゃんは割り込むように間に入り、私達を引き離す。
なんか急に機嫌が悪くなった気がする。

「で! なにを食べに行くんですか!? もう、そんなに時間無いですよ!」

時間を確認すると1時間あった昼休憩も、もう35分程度しかなかった。
……大体私のせいか……。
正直、昼食も取らずに、私を探してくれてるとは思ってなかった。

「んー、そこのラーメンでいいんじゃない? 中華ならすぐだろうし」

「てきとーですね……別にいいですけど、雛さんもそれでいいですか?」

私は軽く頷いて返した。

904事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-中編-③:2014/01/17(金) 06:22:03
――
 ――

「……意外とおいしかった」

「だね」

「うん、この規模のSAのラーメンにしては良かった方だね〜」

昼食を食べ終えて、一休み……と言うわけには行かない。
もう休憩時間は残すところ10分程度だ。

「さて、トイレ行って来るー、先バスに戻っててー」

そう言って、まゆはトイレの方へ駆け出していった。
見学会でも相変わらずのお昼にトイレ。

私は弥生ちゃんとバスの方へ歩きながら、ちょっと失礼かと思ったけど尋ねる。

「……弥生ちゃんはトイレに行かなくてよかったの?」

「えへへ、実は雛さん探してる時に、お手洗い行ったんですよ」

……あれ?

「……私も弥生ちゃんたちと逸れてる時、トイレに寄ったんだけど……混んでなかった?」

「あ、たぶんそっちのお手洗いじゃないです。反対側の隅にあった個室3つくらいの小さいお手洗いです。そっちは2人くらいしか並んでませんでしたよ?」

どうやらトイレは2箇所在ったらしい……全然気が付かなかった。
山寺さんもそっちに行っていれば助かってたかもしれないと思うと……やっぱり運の悪い子。

「あっちの広いお手洗いって、混んでたんですか?」

「……うん、なんか半分の個室で水が出なくなったとかで」

「へ〜」

バスに着き私たちは乗り込む。
半分程度の席はもう帰ってきた人が座って、寝てたり、仲の良い人と話していた。

私達はまゆが来るまでの間、私はまゆの窓側の席へ、弥生ちゃんは私の通路側の席に座って雑談を続けた。

――
 ――

「っと、ギリギリセーフ!」

「……おかえり」「おかえりー」

「……私の席無いじゃーん!」

「真弓さん、席変わりません?」

「断る! 私は窓側で寝たいから〜」

酷い理由で断られて、しぶしぶ後ろの自分の席――――ちなみに隣は檜山さんで既に寝てる――――へ戻る。

「んじゃ、私寝るよ〜、おやすみ、あやりん〜」

「……はいはい、おやすみ」

私も少し疲れたし、ちょっと休もう。
そう思って私は目を閉じた。

905事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-中編-④:2014/01/17(金) 06:22:49
――
 ――
  ――

――「始めまして、雛倉さん。私は――」――

     ……誰?

――「雛倉さん。入試トップだったらしいですね」――

     ……入試トップ? ここは…学校?

――「雛倉さん……いえ、なんでもないです」――

     ……どうしてそんな顔……なにが言いたかったの?

――「クラス委員長の仕事……もっと確りして下さい」――

     ……なりたくてなったわけじゃないのに。

――「クラス委員長向いてないのでは?」――

     ……酷い……どうしてそんなこと言うの?

――「雛倉さん、もうすこし丁寧に置いてください」――

     ……ごめん、でもそんな強く言わなくても……。

――「それでストーカー紛いなことをしていると?」――

     ……ごめん……。

――「雛倉さん。珍しいですね、他のクラスの友達と一緒だなんて……」――

     ……私にだってまゆや弥生ちゃん以外にも友達がいるのに、そんな言い方って……。






――「――ちゃん、ありがとう……いつか私も――」――

906事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-中編-⑤:2014/01/17(金) 06:24:03
――
 ――
  ――

――ん……あれ? 今の夢……?。

目を擦りながら、思い出す。
間違いなく今のは、入学当時から今までの朝見さんが私に向けて発した台詞の一部。
通して聞くと、学校生活のある日を境に、会話に棘が出てきた気がするけど……いつからだったんだろう?
そして、最後のは――誰だろう? 靄が掛かっていて誰だか判らなかった。
ただ、その声は幼く、少なくとも高校生のものではなかった気はするけど……。

そんなことを考えていると、バスが速度を落として曲がる感覚を感じる。
通路側に顔を出して前を見ると、PAに入るらしい。
つまり1時間くらいは寝ていたみたいだ。

バスが止まると、先生が15分休憩を取ることを告げる。
とりあえず、棘のある言葉ばかりの夢で少し気分が悪いので外の空気が吸いたい。
背伸びをして立ち上がると、後ろから少し小さめの手で目を隠された。

「だーれだ?」

「……えっと、弥生ちゃん?」

「えへへ正解。おはよう、よく寝てたね」

手をどけ振り向くと弥生ちゃんが笑顔で続けて答える。

「私降りるけど、雛さんは?」

私は、隣の座席で未だに可愛い寝息を立てているまゆを見てから、小さな声で返した。

「……ちょっと、外の空気吸いたいし降りるよ」

私たちは一緒に降りて、弥生ちゃんはトイレへ向かった。

私は、これからが帰りのバスでの最後のチャンスだと思って、自動販売機で300mlの缶ジュースを買って飲み干す。
もっと少な目のにしようかと思ったが、最後に行ったトイレがお昼。
あれから2時間経っていないから、最低300mlくらいは尿意を催すのに必要だと予測した。
帰りの道のりからすると、学校に着くのは約2時間後。その間に良い『声』聞けるといいけど。

弥生ちゃんがトイレから出てくるのを待って、一緒にバスへ戻る。

バスに戻ると――

「――まゆ、まだ寝てる……」

「本当だね、きっと雛さん探し回って疲れたんだよ」

――まゆはもともとこんなんだけど……まぁ、迷惑をかけたのは事実だし、静かに寝かして置こう。

907事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-中編-⑥:2014/01/17(金) 06:25:14
――
 ――

バスがPAを出て20分程度たった。
未だに尿意は来ない……少なすぎた?

そう思い始めた頃――

「ふぁ……ん、あ、おはよ、あやりん」

「……おはよう」

ようやく起きたまゆは、眠そうな目で私を見据えて、視線を少し横にずらす。
私は何を見ているのか気になり、視線の方に向けると、前の座席の裏についている飲み物置きに置かれた私のお茶があった。
が、そのお茶はそのまま飲み物置きに留まらず、まゆの手で掴まれる。

「あ、ちょっと!」

そして私の制止を物ともせず、蓋が開けられ、その中身のお茶はゴクゴクとまゆの喉の奥へと流し込まれる。

「はぁ〜、おいしい、ありがと!」

――上げるなんて一言も言ってませんけどね!

まだ350ml程度残っていたお茶がわずか100ml程度まで……。
返してもらったお茶だが、またいつ飲まれるか判らない。
全部飲まれると調整できないので、私は残りをすぐに飲み干した。

「ところで、PAってまだ?」

「……もう、20分くらい前に過ぎたんだけど……」

「え……私そんなに寝てたの?」

まゆは目を丸くして驚く……相変わらず表情の良く変わる人。

「……そりゃもう、ぐっすり寝てたよ」

「うーん、まぁいいや……」

その後は周りの殆どの人が寝てる状態なので、余り騒ぎもせず、沈黙と適度に雑談の繰り返しが続いた。

それからさらに15分くらいだろうか?
現在時間で言えば午後3時。
やっと、軽い尿意を感じることが出来た。
とりあえず、『声』に感覚を研ぎ澄ませる。

908事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-中編-⑦:2014/01/17(金) 06:26:06
『……トイレいきたいな……結構溜まってるんだろうな……』

――えっと……この『声』ってまさか……。

珍しい『声』に耳――ではなく、感覚を疑った。
というか、珍しいではなく、“尿意の我慢『声』”に関しては初めてだ。

私はその『声』の主である、隣――つまりまゆを見る。

――でも……確か、昼休憩の時にトイレに行ってくるって言ってた気がしたけど――あ……。

そこまで考えてようやく気が付いた。
まゆの走っていった方は、混んでいた方のトイレ。
残り10分では済ませられなかった可能性もある。
それに、寝過ごしてたけど、PAにも行きたそうなこと言ってたし……。

『あと1時間30分も掛からないし、まぁ、大丈夫だと思うけど……我慢とか久しぶりかも……』

『声』を聞くと、普段は我慢していない――つまり定期的に行ってる分だけで十分って事…だろうか?
やっぱり思っていた通り、まゆの膀胱は大容量なのかもしれない。
この1時間は滅多と聞くことのできない『声』で、楽しめそう。

そう思っていたんだけど……。

バスは次第に速度を落として、殆ど動かない状態となった。
そう……渋滞。しかも事故渋滞らしい。
今は午後3時30分。とてもじゃ無いがあれから殆ど進んでいないバスは、学校へ着く予定の午後4時30分には間に合わないと思う。

『全然動かない……それにおしっこが――なんだろう? いつもならこんなに早くしたくなんないのに……』

まゆの『声』を聞きながら、私も徐々に尿意が高まってきたのを感じる。
私も少し予定より早い気がする……何か水分摂取に見落としがあったか考える。

……。

――あ、ラーメン……?。

とは思ったもののスープは私もまゆも弥生ちゃんも殆ど飲んでなかった気がする。
食後の水も1杯だけだったし、ラーメンには塩分がそれなりに含まれるので尿量の増加は抑制されるはず……。
もしかすると精神的なもので、渋滞って言う状況が尿意を加速させてるのかもしれない。

『うーん、結構辛い……寝起きに飲んだあやりんのお茶――あれは失敗だったかな。この渋滞、いつまで続くんだろ?』

少しずつ大きくなるその『声』が気になり、軽く視線だけをまゆの方に向ける。
窓の肘掛(?)――――なんていえば判らないけど、察してくれると助かる――――に頬杖を付いて、外を眺めている。
スカートから見える膝はしっかりと閉じられているけど……それが我慢の仕草かと言われると、まだわからない程度。
でもそれも時間の問題なように感じる。

909事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-中編-⑧:2014/01/17(金) 06:27:03
『次のPAが……あ、12km先か……う〜、我慢我慢……高速で12kmは短いと思うけど、今の感じだといつまでたっても着かないじゃん……』

『それに……寄ってくれる保障も無いか……』

いつ動くか判らない……事故渋滞の怖いところ。
事故の詳細はわからないけど、この進みの遅さは異常……2車線だけど、両車線塞ぐ様な事故かもしれない。

<カツカツ>

不意にバスの通路を歩く音が後ろから近づいてくるのを感じる。
そしてそれは隣まで来て、私は軽く視線だけで誰なのか確認すると――

「……」<カツカツ>

――ああ、最悪、目が合った……完全に過ぎてから確認するべきだった。

相手は朝見さんだった。
朝見さんは先生の座る席まで行き、何やら耳打ちしてるようだった。
見ていると、先生が親指を立ててグーサインをしてる……意味がわからない。

その謎のやり取りが終わり、朝見さんがこっちに歩いてくる兆候が見え、私は慌てて視線を顔ごと下げる。

<カツカツ>

歩いてくるその音になぜか怯えながら下を向き続けてやり過ごす。
きっとワザとらしく下を向いてる私を、朝見さんは勝ち誇ったように見下ろしているに違いない……。

――なんで、こんな怯えてなきゃいけないのよ……。

もう、朝見さんは完全に私の天敵だ……。
夢で色々嫌な声を聞いてしまったのもあって、今は特に苦手意識が強くなってるのかもしれない。

910事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-中編-⑨:2014/01/17(金) 06:28:23
――
 ――

『……あぁ! もう! やっぱ別のこと考えて紛らわすのも流石に限界! おしっこしたい! 早く出したい!』

しばらく『声』が無かったと思ったら、急に大きい『声』が聞こえた。
どうやら、別のことを考えて紛らわす作戦、だったらしい。

朝見さんと先生との謎の接触があってから30分。
ようやくノロノロではあるがバスが動き出した。

「えー、みんなー、次のPAで臨時休憩を挟むぞー。あと11kmだから、この調子だと――(運転手さんどれくらいですかね?)――あ、20分くらいらしいわー」

非常に適当な先生の声がマイクでバス全体に響く。先生も若い女性なんだからもう少し――まぁ、それはそれでギャップ萌えだしいいけど。

『20分……大丈夫、私の膀胱は大きい――けど、あぁ…やっぱ辛いかも』

視線だけをまゆに向けると、足をそわそわと動かして、それでも窓の外を眺める。
その横顔は少し辛そうで、いつもの屈託の無い明るい顔に少し影が見える。でも……そんなまゆも凄く可愛い。

今話しかけたら、どんな反応をするのだろう?
我慢してるのを隠して、何時ものように笑顔で話しかけてくれるのか、それとも、尿意を告白して恥ずかしそうに笑みを零すのか……。

「……ま、まゆ、ちょっといいかな?」

「え? あ、なにあやりん?」

一瞬吃驚してはいたがすぐにいつもの笑顔のまゆの表情になる。
実は無理してるんだって思うと……凄く可愛い。

「……えっと――」

――しまった……なにも聞くこと考えてなかった……。

黙って言葉を待っていたまゆだったが、嘆息してまゆから口を開いた。

「もしかして、呉葉ちゃんのこと?」

急に苦手な人の名前が上がり、私はすぐに言葉を返せないでいると、まゆは続ける。

「さっき通路歩いて来た時、こっち見てたし……あやりんは下向いてたし……美術館でやっぱりなにかあったの?」

まゆは自分の今の状況を忘れるくらい、私を心配してるみたいで……。

「いつも仲悪いけど……なんていうか、今日は特にそんな感じが強いじゃん?
私、あやりんとは……その…親友のつもりだから、絶対味方になるから……何かあったら言ってよ?」

――親友……。

まゆは少し照れながらそう言ってくれた。
凄く嬉しかったけど……私は少し自己嫌悪した。
私もまゆの事親友だって思ってる。
凄く大切な、きっと今まで出会ってきた中でも絶対に失いたくない人の一人だと思う。

なのに……私はまゆが頑張っておしっこを我慢してる姿見て、『聞いて』楽しんでる。
……私は最低なのかも知れない。

でも、大切な人ほど私は……そんな姿が見たいって思ってしまう。
雪姉もそうだ。私は雪姉が大好き……だから、そんな姿を見て、『聞いて』……愛でていたい。

911事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-中編-⑩:2014/01/17(金) 06:29:13
『ん……大事な話ししてるのに、おしっこしたいだなんて……もうっ!』

しばらく沈黙が続いていたが、まゆの『声』が聞こえてきた。
ダメだ。……可愛い。こればっかりは仕方が無い。……でも。

私はさっきのまゆの言葉もそうだけど、それと同時に山寺さんの言葉も思い浮かんだ。

――“友達だからね! 困った時は助けるよ”――

可愛いのは仕方が無い。でも友達で親友だから、心配だし助けたい。

まゆは、小さくもじもじと足を擦り合わせている。
私は大きく息を吸い込んでまゆに向かって口を開く。

「……朝見さんの件は……いつか相談すると思うから…よろしく」

「うん、わかった。待ってるよあやりん」

私は黙って頷いた。
まゆは凄く嬉しそうに笑って見せた。

私はもうひとつ、まゆに伝えておきたいことを声に出す。

「……それと…私、トイレに行きたい」

「え!?」

「……まゆも……だよね?」

「あ……ば、バレてた?」

まゆは恥ずかしそうに視線を逸らす。
足はしっかりと閉じていて、小さくもじもじと動く。

「……あと20分くらいって言ってたし、すぐだよ」

「わ、判ってるよ! 大丈夫、我慢できるし!」

まゆは真っ赤になって窓の外に視線を向けて怒る。
正直、いつも通りもっとふざけた様に言って受け流すかと思ったけど……。

――こういう、恥ずかしくてツンツンしてるまゆも可愛いな〜。

『はぁ……おしっこしたいの、バレてるとか最悪じゃん……隣だし、どうせそのうちバレるとは思ってたけどさ……』

怒っていた顔はすぐに切なげな顔になり、外を眺める。

912事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-中編-⑪:2014/01/17(金) 06:30:16
『やばいよ……なんでこんな急に……我慢…我慢しなきゃ』

変に話しかけもせずに、私はまゆの方をたまに視線だけ向けて、その可愛い『声』を聞いていた。
しばらくするとさらに『声』が大きくなる。

『本当、不味い……あと10分ちょっとのはずだよね? 抑えたい、でも恥ずかしいし……』

まだ抑えはしないものの、仕草は『声』の大きさに比例するように次第に大きくなって行く。

「んっ………はぁ……」『っ! ちょっと声に出ちゃった……聞こえたかな? うぅ……波がきつくなって来た……』

熱の篭った切なげな息遣いも聞こえてくる。
可愛い。すごく可愛い。どうしようもなく――可愛い。
あのまゆが、いつもの元気な姿ではなく、私の隣で膀胱に目一杯の恥ずかしい熱水を貯めて、必死に我慢して、身を揺すって、恥ずかしそうにして――
言い出せば限が無いくらいに、たくさんの魅力があって……。
でも、……10分前とは比べ物にならないくらい、辛そうにしてる仕草を見てると、凄く心配になる。

「はぁ……はぁ……」

なんとか隣にいる私が聞き取れるくらいの小さな息遣い。
バスの中は結構寝ている人も多く、それに走っている車の中なので気が付く者は居ない。
後ろの弥生ちゃんも寝てしまってる。

「……まゆ…大丈夫だよね?」

「え? あ、うん、余裕余裕、私我慢強いから!」

心配7割、好奇心3割で尋ねてみるが、はにかんだ表情でまゆはそう返す。
でも――

「んっ! ……ぁ」『やぁ……なんでこんなタイミングで波が……あぁ! おしっこ!』

手を膝辺りで握り締めて、プルプル震えて……はにかんでいた顔も辛そうな顔に変わる。

「……ま、まゆ?」
「だっ、大丈夫だから! 私、まだまだ…余裕だよ〜…んっ!」『やぁ……このままじゃ出ちゃう! 駄目、お願い早く治まってよ……』

声と『声』のギャップが……可愛い。
私は凄く名残惜しいけど、まゆから視線を逸らして、通路側から顔を出して前を見る。
そうでもしないと、恥ずかしがって抑えないような気がして。

「っ!」『あ! 今だ! 少しの間だけ抑えちゃえ!』

隣で布擦れの音がする……凄く抑えてるところ見たいけど、ここは我慢……。

「はぁ〜」『良かった……一応治まった……でも、これ…本当に間に合わなかったり――いやいや、私に限ってそんなこと……』

時間にして10秒にも満たない間視線を外して居た私は、ワザと覗きこんでいた身体を大げさに席に戻してから、まゆの方を見る。
もちろんまゆの手は既に前から離れている……見たかったけど仕方が無い。

「……前見たけど、車間結構開いてるし、渋滞は完全に抜けたね」

あれからそこそこ走ったし、残り6kmくらいだと仮定して、これならあと5分程度でつけるかも知れない。

「だったら、もうすぐ……だね」

「……だね」

913事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-中編-⑫:2014/01/17(金) 06:31:05
が、渋滞を抜けたあとのPAはそんなに甘くなかった。
4分もするとバスはまた止まってしまう。
PAの進入待ちに……。

『あぁ……もう、だめ、我慢できない……やだ…』

まゆの『声』の大きさもこの頃には非常に大きくなり、もう本当に余裕が無いのを感じる。
手は、抑えては居ないものの、ずっとスカートの上で握り締められ、置かれている。
本当に辛そうな顔……まゆのこんな顔初めてだ……。

「んっ! や……」『あぁ! やだ、本当、もう限界……』

――だめ。此処じゃダメ……。まゆ、頑張って……。

私は少しだけまゆの方へ身体を寄せる。
まゆが少し驚いたようにこちらに視線を向けるが、私は何も言わずに前の座席を見続けた。

……。

それからバスは5分程度してPAの駐車場に止まった。

「……まゆ、歩ける?」

「ふふ……あやりん、私を舐めないでよ」

そう言うとまゆ大きく息を吸ってから立ち上がり、注意してみないとわからないくらいの仕草で私の前を通り、バスの通路に出て、出口に向かう。
私はその姿に感心する。確かに舐めてた。
置いてかれる前に私も通路に出る。

「んっ!」『あう、膀胱に響く!』

バスを昇降口の段差で一瞬だけ動きを止めるまゆ。
でもそんなところでもたもたしてるわけにも行かないので、慌てて脇に移動して、軽く前屈みとなる。

「……まゆ、もうすぐだから」

「わ、判ってるって……」

そう言うと、座席を立った時のように大きく深呼吸して、まゆは再び歩き出す。
だけど……トイレが見えてきて、まゆは足を止めた。
その理由はすぐに判った。

『嘘……』

それほど大きい規模でないPA……そのトイレは、お世辞にも大きいものではない。
でも、それに反してそこに並ぶ人は、遠目から見て判るほどに並んでいた。
その長さは山寺さんが失敗したあのSAの5倍以上。
使える個室の数が多いのかもしれないが、5分、10分でなんとかなりそうには到底見えない。

914事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-中編-⑬:2014/01/17(金) 06:31:53
「……あやりん、私、多分……間に合わないや……」

私はその声に隣を見ると、スカートの裾を掴んで下を向くまゆの姿があった。
肩を小さく震わして、今にも涙を零しそうな……そんな姿。

私はそんなまゆの手を掴んだ。

「……まゆ、あっちでしよう」

「え?」

状況がわかっていないまゆを私は慎重に引っ張って歩く。
トイレがあるほうではなく、私が足を進めるのは売店が並ぶ裏……。

「ちょっと、あやりん?!」

「……これしかないよ……」

周りから見れば、ただ、売店の方に向かうだけに見えているはずだ。

「あやりん!」

まゆは少し大きな声で私の名を叫ぶ。
私は振り向いて問う。

「……だったら……ちゃんと我慢して並べる?」

「っ! それは……」『無理だよ……あんな行列絶対に無理……』

ちゃんとトイレでしたい……その気持ちはわかるけど……。
今回は山寺さんのときとは違って生徒も一杯並んでいる。
バスは私たちのクラスだけじゃなく、他のクラスのも来てる……。
それに……間に合わないって事もわかってる。

「……まゆ…もう少しだから……行こ?」

私がそう言って手を引くとさっきよりも軽く引くことが出来た。

私達は売店の裏手にあるしゃがんで隠れられる程度の生垣と建物の間に付いた。
ここなら駐車場からは見えないし、誰かが来ても生垣があるから、すぐには見つからない。
私は一応周囲を確認する。

「あぁ、もう……あ、あやりん……」『ダメ…限界。早くして……』

その声に振り向くとスカートを大切な部分にねじ込む様に両手で抑え込んでいるまゆの姿があった。……可愛い。
その仕草はもう本当限界みたいで……どうやら待ちきれずに私に声を掛けたようだった。

915事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-中編-⑭:2014/01/17(金) 06:32:53
「……大丈夫、もうして――っ!」

あれ?
まゆ以外にも大きな『声』が……近づいてきてる? それに足音も……。

「……あやりん?」「しっ! 誰か来たみたい……」

私は咄嗟に足音の方からなるべく距離を取る為、下着に手を掛けていたまゆの、すぐ傍にまで行ってしゃがんで生垣に隠れる。
それと同時に、野ションの準備をしていたまゆも慌ててしゃがむ。
まゆとは肩が触れるくらい近い位置。私は息を潜め、まゆは声が漏れないように左手で口を塞ぐようにした。

『あぁ! ダメ、出ちゃう! うぅ…あんなに並んでられないよ〜っ』

生垣の隙間からその『声』の主が見えた。
制服姿……あれは確かAクラスの睦谷(むつたに)さん?
まさか、まゆ以外にもこんなに切羽詰った人がいたなんて……。
その様子を眺めていると――

――嘘……こんな近くで!?

距離にして7〜8mくらいの距離……。
そして、睦谷さんは下着に手をかけて降ろすと同時にしゃがみ込んだ。

<ジィューーー>

……土をえぐる音がこっちまで……。
って言うか、降ろす前からちょっと出てたような気がする。……ちょっと失敗したわけだ……睦谷さんか…うん、可愛い子だ。

「んっ! ぅ……んは……」『ちょ! ちょっと! そんなところでされたら私が出来なっ――あぁ! 音が……やめっ! ん!』

――っ! そうだった。今のまゆにはこれはちょっと酷かも……。

口を左手で押さえ込ん、必死に声が漏れるのを防ぐ。
右手はスカートをめくるようにしながら、下着の上から大切な部分を抑えている。
……ギリギリ私の視線から下着を見ることが出来ない。

『す、すぐ出来ると思ったのに、なんで…こんな所でも御預けを…食わないと、いけない、のよっ……あぁ! 本当もう……無理!』

まゆは必死になって身を揺するが、音を立てられないためそれも十分に出来ない。
睦谷さんの放尿はもう20秒以上になるがまだ終わらない……。こっちも相当溜め込んでいたらしい。

916事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-中編-⑮:2014/01/17(金) 06:34:04
『まだ…なの? あ! あぁ! やぁ……』

私の隣でまゆが肩を大きく震わした。
足もガクガクと震えだす。

『ダメ……あやりんが……いる、のにっ! あぁ! ぁっ!』
<ジュ……ジュ……>

――っ! 今確かに音が……。

まゆは口から手を離してコンクリートに手をつける。
ちなみに、あと数歩生垣に近づけば地面は土。
身体も前に倒れて、膝立ちの状態で背中を丸めているような体勢となった。
だけど、膝立ちとなるために膝を地面につけた際、コンクリート面に落ちていた細い枝を割ってしまい音を立ててしまった。

「え? な、なに? やだ……誰かいるの!?」

睦谷さんがその音に気が付き、声を出して小さく威嚇する。
勢いよく出ていた放尿も少し緩やかになり周囲を確認するが、生垣の陰にいる私たちには気が付かない様子。

『ダメ! 見られてるかもしれないのに……止まってよ! んぁ……あぁ、ダメ止められない……』

一瞬放尿が止まりかけるが、また勢い良く迸り、そしてまた止まりかける……2、3度それを繰り返したが、
結局完全には止まらず、括約筋が力尽きたのか控えめに放尿を再開してしまう。
まゆが音を立ててしまったために、より長い放尿時間を与えてしまったのかもしれない。

「(だめ…だめ……でちゃやだ……)」『んっ! ぁぅ……あぁぁ!』

その間もまゆは必死に抑えて耐える。
だけど――

<ジュ…ジュー……>

また、その恥ずかしい音を響かせる。
それは下着からあふれ出して、コンクリートに黒い斑点を作る。そしてその数秒後――

『やぁ……もぅ、だめ……あぁ!!』
<ジュ……ジュゥーー>

膝立ちのまま、抑え込まれた下着から必死に我慢してあふれ出さないように大事に閉じ込めていた熱水が、
抑えている手の隙間からあふれ出し、直接、または両足を伝い流れ、コンクリートを黒く染め、その面積を広げて行く。

――まゆ……我慢できなかったんだ……。

普段から凄くトイレの遠いまゆが……。
学校でまったくと言って良いほど『声』の聞けないまゆが……。
本当に限界まで尿意を感じて、それをどうしても我慢できなくなって……。
SAのトイレが込んでたり、PAを寝過ごしたりして、朝からずっと出すことの出来なかった恥ずかしい熱水を……。

『だめ……でちゃだめ……あやりんが、いる…のに……』

私の事を沢山心配してくれたまゆ……。
私の表情を気にしてくれて……。
SAで私を探し回ってくれて……。
朝見さんとの仲を気にしてくれて、親友だといってくれて……。
そんなまゆが――そんな、私の親友で凄く大切な――本当に大好きなまゆが……。

目の前で沢山の恥ずかしい熱水――おしっこを、私の靴の下にも広がるくらいに、下着を下ろすことなく溢れさせる。
まゆの目には涙が溜まり、顔は真っ赤で――それでも、今も必死に止めようと抑え込む手に力を入れてる。

それでもゆっくりと――でも確実にコンクリートに打ち付けるおしっこは、時間にして2分以上にわたり水溜りを広げ続けた。

917事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-中編-⑯:2014/01/17(金) 06:37:04
――
 ――

「うぅ……」

おもらしが終わりまゆは泣いた。

私は、初めて、まゆの涙を見た……。
まゆと過ごしてきた時間は確かにまだ短いけど、あのまゆが涙を見せるなんて、思ってもみなかった。

私は一度正面の生垣へ視線を向ける。
そこにはもう、睦谷さんの姿はなく、白いちり紙だけが棄てられていた。

「……あや、りん……ごめんね、ごめんね……」

その言葉に再び視線をまゆへ向ける。
そのまま少し視線を落とす……改めてみると凄い水溜り。その量は私よりも遥かに多くて、私の知る限り一番貯めれる量が多い雪姉よりも多そうに見える。
まじまじと、それを観察しているとまゆが濡れていないほうの右手で私の目を覆い隠す。

「…み、みないで、こんな沢山の……お願いだから」

どうやら、この量はまゆにとって誇らしいものではなく、非常に恥ずかしいものらしい。
いやまぁ、誇らしいわけはないのは判ってるけど、おもらししたことだけじゃなく、その量に対しても恥ずかしさを感じてるように思える。

「……こんなに頑張って溜め込んでたのに?」

「ば、馬鹿! 言わないでよ! 気にしてるの! 長いし多いし! うぅ……」

ちょっと治まっていたのに、また泣き出してしまった……私が泣かせたような感じだけど。
私は視線を遮っているまゆの手をどける。

「や……みないで……ぐす…」

「……ごめんねまゆ」

私は、まゆを抱きしめる。
この前夢でみた雪姉を抱きしめた時のように、頭を優しく抱くようにして。

「ちょ…あやりん、なんで…謝るの?」

――それは、我慢している姿も、おもらしをしていた姿も、今の恥ずかしがってる姿も全部可愛いって思っているから。
なんて本音は声に出せない。

「……助けられなかったから……かな?」

ちょっとそれっぽいことを言ってみる。
確かに嘘ではないけど、大部分は先に述べた通り、私の気持ちの問題。

しばらくまゆはそのまま、私の胸の中で小さく泣いた。

つづく。

918事例の人:2014/01/17(金) 06:42:16
朝早くから長文長レス失礼しました。
後編へ続きます。キャラ紹介は後編の最後に。
絵は一応準備できたけど、肝心の文が全然なので……

主人公好きな人多いようですけど、他気に入ってるキャラとか居ますか?
人気高そうなキャラ、もう一回くらいどこかにメイン回でも作ろうかと模索してるけど……私の判断だと全部愛してるので←馬鹿

919名無しさんのおもらし:2014/01/17(金) 07:31:51
利尿剤のとばっちりを食った?

>>918

>気に入り
黒→でも今回メイン済み
花屋や会長もいろいろ掘り下げて人物描写増やしてもらった方が面白そうだけど
この調子で新キャラ見るのもよさげ
教師や親など大人方面には広がるのかな

920名無しさんのおもらし:2014/01/18(土) 03:02:44
主人公以外だと会長さんとか好きですね
まあ会長さんにはまだ何か役割というか出番がありそうですが
あとは弥生ちゃんも好きです引っ込み思案可愛い

921名無しさんのおもらし:2014/01/21(火) 01:39:30
妙に落ちてきたのでageとくよ

922名無しさんのおもらし:2014/01/21(火) 07:24:57
・・・・・

923名無しさんのおもらし:2014/01/21(火) 07:55:35
単発スレが立ったりどうでもいいのにsageないの昔からだよな

924名無しさんのおもらし:2014/01/30(木) 00:06:55
場つなぎの絵はまだかな

925事例の人:2014/01/30(木) 01:07:20
なん……だと?
場つなぎに絵がいるのか!
本編に全く関係ない手持ち絵(弥生の我慢絵)
ttp://motenai.orz.hm/up/orz30313.jpg

本編の文はちょっと時間も取れなくて苦戦してる
あと、我慢描写にちょっと納得言ってないところも多々あるのでももうしばらくお待ちを……

926事例の人:2014/01/30(木) 01:12:22
あと、御意見ありがとう
会長さんは察しの通り出番あります
花屋方面の話は姉を交えてちょっと考えてみる……書くかは保障しませんが
新キャラの登場ペースは落ちるかも、大体重要な役回りは出終わりましたので
まぁ、一段落付いて、私に書く気があれば、一話完結の読みきりのようなキャラも出すかもですね

927名無しさんのおもらし:2014/01/30(木) 01:54:38
絵うまー

弥生って妹分みたいになついてる子だっけ

928名無しさんのおもらし:2014/02/04(火) 08:37:14
みずたまりってなくなった?

929事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-後編-①:2014/02/10(月) 20:45:11
「……落ち着いた?」

「う、うん……」

真っ赤な顔で、小さく頷くまゆ。……普段の彼女からは全く想像できないこの姿……可愛すぎる。

私は持ってきていたカバンの中を漁る。
当然下着とかはもう無いけど、役に立つものはまだある。

「……はい、これ使って」

そういいながらカバンから取り出したのはタオル。
汗とか拭くように入れておいたけど、結局使ってなかったし丁度良い。

「あ、ありがと……今度、新しいの買って返す……」

迷いながらもまゆは受け取ってお礼の言葉をくれた。
別にわざわざ買わなくても良い――って言おうかと思ったけど、気を遣い過ぎるのもどうかと思ったので止めた。

――ブルッ……

不意に背筋に震えが走る。

――そうだった、忘れてたけど、私も結構我慢してたんだ……。

まゆの事で頭がいっぱいで和らいでいた尿意だったけど、
改めてまゆのおもらしの跡とか、鼻を付く独特の感覚に触発されて、じっとしているのが辛いくらいに尿意を感じる。
少しの逡巡を経て、私は口を開く。

「……えっと、私…トイレに並んでくるから」

「あ、うん……あやりん…ありがとね」

私はほんの少しだけ微笑み、まゆを置いてトイレへ向かう。

930事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-後編-②:2014/02/10(月) 20:45:59
――
 ――

……。
トイレに到着したのはいいけど、なんというか、凄い行列……。
10分……いや15分くらい並ばないといけないかもしれない。

まだ余裕はあるとは言え、予想していたよりも尿意が高まっている。
私は下腹部に手を乗せて、ほんの少し力を入れて押してみる。
まだ、弾力はそれなりにあるけど、尿意は一気に上がる。……それは恐らく7割くらいは溜まってそうな感覚。
私は大きく嘆息して、先の長い行列から目を逸らした。

それでも、私は仕草に出さないように、5分……そして10分並んだ。

外まで伸びた行列もあと少し。
やっとトイレ内に入れる……そう思っていた。

「ん? 雛倉ー、そろそろバス戻るぞー?」

先生がトイレの奥から出てきて、列に並ぶ私にそう言った。

「――え? あの、私まだ……」
「何言ってるの? 私が5分遅れてトイレに並ぶから、私が終わったら休憩終了ってバスで言ったはずだけど」

――えっと……そんな事、言ってたっけ?

「後から来るクラスの事も考えると、無駄に此処に長居すると、帰りが遅くなってモンスターなんちゃらがまた騒ぐんだよ」

モンスターペアレント……確かにそうかもだけど……。

「すぐ並ばなかったんでしょ? ならもう少し我慢できるんじゃないの? 多分30分くらいだからさ、我慢してバス戻ってよ」

……。

まぁ……仕方が無いか。
30分くらいなら、何とか我慢できる――はず。

「……判りました」

「流石は優等生、話が分かるね。今度なにか奢ってあげるよ」

別にいらないですけど……。

私は、少し重い足取りで列を離れた。

931事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-後編-③:2014/02/10(月) 20:47:53
――
 ――

「おかえり! あやりん」

バスに乗ると、まゆが先ほどとは違い元気に声を上げる。
立ち直ったと言うよりは、少し無理をして、いつも通り振舞おうとしているように見える。
そして、周りを見ると、私の席以外すべてが埋まっていたので、どうやら私が最後だったようだ。
クラスメイトの皆は、先生の話を確り聞いていたということ。
まゆに気を使い過ぎていたから悪いのはどう考えても私なのは言うまでもない。

「……あやりん?」

私の無表情に隠れた浮かない表情に目ざとく気が付いたまゆ。
さっきあんなことがあったって言うのに、私を気遣ってくれるなんて本当に優しい。
私は自分の席に座って、小声で事情を話す。

「(……実は――斯々然々――で)」

「(え? 本当に??)」

私は頷く。まゆはそれを見てすぐに口を開く。

「(えっと、大丈夫……?)」

少し気まずそうにしながらそう尋ねる。
私はまゆに分かる程度の苦笑いをしてから答える。

「(……まぁ、30分ちょっとだろうから、多分大丈夫)」

「出発するわよー!」

そうこうしてるうちに、バスは動き出す。
が……PAの出口待ちですぐさま足止め……。

――こんな時に……っというかさっきから尿意が少しきつくなってきたような……。

当然時間と共に尿意は増すのだけど、水分の摂取量からして、この感覚は少し早い気がする。
15分前は7割程度だと思ったけど……もう一度軽く膀胱を押してみると――

――んっ! あ、あれ? これ……8割? いやそれ以上??

少しいやな汗が背中を流れる。
あれから水分なんて取っていないから、こんな勢いで尿意が上がるはずがない……。
ちょっとした計算ミス……でも、いくらなんでもこんなのって……。
大量に水分を取った時ほど勢いはないけど――

言い知れぬ不安が私を包む。
次第に鼓動が大きく早くなる。それは隣のまゆにも聞こえるんじゃないかと思えるほどに。

――ダメよ、平常心……心拍数なんて上げたら腎臓での濾過量が余計に増えるじゃない……。

そう思って必死に胸を押さえるも、全然効果が無い。
それどころか焦る気持ちがより鼓動を早く、大きいものにしてるのかも知れない。

そしてすぐに尿意の小さな波が何度も何度も襲うようになる。
膀胱が悲鳴を上げて、小さな収縮運動をして排尿を促している。
すぐにトイレに行けない状況も、尿意を加速させてるような、そんな感覚を感じる。

932事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-後編-④:2014/02/10(月) 20:48:59
――ブルッ……

「んっ……」

不意に少し大きめの波を感じて、腰から背中を伝い項まで震えが襲う。
そのいけない感覚に、私は手でスカートの裾を掴み、目をきつく瞑り必死に波に耐える。

「(……あやりん…大丈夫?)」

私は目を開けてにまゆを見る。
少し前までは全く逆の状況だった……。

「(……なんか思った以上に…辛い……かも)」

隠しても仕方が無いので、本音を言う。ただ、恥ずかしいので視線は合わせない。
それを心配そうに――それと、なぜか申し訳なさそうな表情でまゆは私を見ているのが、視界の隅に確認できた。

辛い……。
でも、本当に辛いだけで済むの?
PAは今出たところ……これから30分のカウントがやっと進む。

30分――短いようで長い。
それに、やっぱり変……尿意の膨れ上がり方がいつもと全然違う気がする。

――なんで? どうして? こんなに早く……おしっこしたい……あと30分だからお願い……。

バスが出てまだ10分程度……もし、この勢いのまま尿意が増え続けたら――
不安と焦り、そして尿意がどんどん強くなって、私の精神をすり減らす。

「んっ!」

不意に膀胱が収縮するのを感じる。
私は息を止め、これ以上にないくらい両足を閉じ合わせて、スカートの上に置かれた手を強く握る。
幸いにも、すぐに波を引いてゆく。

私は、熱の篭った息を吐く。

「(……ごめん、私がちゃんとトイレまで我慢できてれば――あやりんまでこんな辛い目に合わなかったのに……)」

まゆが小声で私に謝る。
私はそれを否定するため、大きく首を振る。

――違う。まゆは何も悪くない……。

そう、これは自業自得。
私は、自分の意思で水分を取って、尿意を故意に誘発させた。
どこかで計算ミスがあったけど、それでも紛れもなく、私が悪い。
まゆが悪いなんて事ひとつも無い。
“誰か”の『声』を聞くために、私が招いたことで……。
そして、その“誰か”である、まゆの『声』を聞いていた私は……恨まれる理由はあれど、謝られる理由は無い。

でも……そんなことがまゆに――いや、誰であろうと言えるはずも無い。
ただ、それが言えないが為に、徒にまゆに罪悪感を与えてしまっていることが本当に申し訳なくて……。

「(あやりん……)」

私を案じてくれるまゆが歪んで見える……。

……私は目に涙を貯めていた。

それが余計にまゆに心配をかけると言うのに……罪悪感を与えると言うのに……。
それでも、そう考えれば考えるほど、目尻がどんどん熱くなって行く。

933事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-後編-⑤:2014/02/10(月) 20:50:10
――ごめんね……まゆ。

せめて、心の中だけでも謝る。
そして目から涙が零れ落ちて、自身の手の甲に当たる。

その涙の当たる感覚が尿意をより強いものにする。
膀胱がキリキリと収縮する……もう、長くは我慢できない。
申し訳ない気持ちと、尿意で、どんどん切なくなって行く。

それでも時間は経ちあと15分……心の中で間に合うことを祈る。
こんな所でなんて……絶対に駄目……おもらしなんて嫌だ。

――我慢……我慢しなきゃ……。

「(あの…雛さん……もしかしてお手洗いですか?)」

後ろで寝ていたはずの弥生ちゃんが私に小声でそう声をかける。
私はその声に肩を跳ねさせて、顔を真っ赤にして小さく頷く。
なるべく仕草に出さないようにしても、私が尿意を必死に耐えているのがバレてしまっている。
幸い、周囲には寝ている人や、話に夢中な人が居るため、まだ2人にしか気が付かれていないとは思うけど、それも時間の問題。

――どうする……どうするの? このままじゃ我慢…できない。まゆに…弥生ちゃんに……皆に……。

「……ま、まゆ……お願い、席変わって……」

「え? あ、うん、わかった」

少しでも視線の無いところへ逃げたかった。

まゆが中腰でなるべく目立たないように立ち上がり、私は腰を浮かせて窓側に移動した。
私は座りながら少し前屈みになり、左手をスカートの上から大切な部分へ谷を作るようにねじ込む。
これで、少しは延命できる……。

そう、延命。
もう自身が感じてる限界はすぐそこで……その行為は迫り来る時を先送りにするだけ……。

「(あやりん……ごめんね…私何もできないよ……)」

そう言って、まゆは身を寄せるように肩を抱く。
【挿絵:http://motenai.orz.hm/up/orz29869.jpg

934事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-後編-⑥:2014/02/10(月) 20:51:38
――なんで……なんでこんなに…したくなるの? なんで……我慢できない…の?

まゆに抱かれた身体がガクガクと震える。
大きな波がきて、抑え込む手に命一杯の力を込める。
でも、それでも膀胱は何度も収縮を繰り返し、私の大切な部分を攻めて来る。

――あぁ……ダメ……んっ! ダメ、ダメ……でないで……我慢させて……。

そう祈る……でも、膀胱の中にある、決して出してはいけない熱水を追い出す様に、下腹部が緊張して硬くなって行く。
そして、一際大きな震えを下腹部に感じて――

<ジュワ……>

――あぁ! ダメ……。

一瞬下着に中に生暖かい感覚を感じる。
決して人前で、感じてはいけない感覚。
私は身を大きく前に倒して……でも背中は少し逸らした不恰好な体勢で、息を止めながら必死に抑え込む。
膀胱の緊張は永遠と思えるくらい長く続いたように感じたが、何とか乗り切り、片手で口を抑えながら声を殺して呼吸する。

「(――っんはぁ……んぁふ……)」

永遠と思えた時間……でもその間、一度も呼吸をしていなかったのだから、それほど長いはずも無い。
恐らく実際には10秒程度。
バスの一番前にある分刻みのデジタル時計も一切変わっていない。

「(はぁ……はぁ……)」

呼吸がどうしても整わない。
私は熱病に罹ってしまったときのように顔が火照り、身体の震えが治まらない。

――あと……あと10分? ……む、無理…そんなに――持たない。

10分どころではなく、今すぐ着いたところでトイレまで我慢できる自信すら無い。
もう、膀胱は間違いなく10割……立ち上がることもできるのかわからない。

そして、また膀胱が小さく震え、収縮する気配を見せる。

――だめ……止めて……もう来ないでよ…やぁ、あぁ……だめ、だめ、我慢しないとダメ……なん、だから。

でも、どうしようもない。
また収縮がピークを迎えた時、私は耐え切ることができるのか……。
また少し失敗してしまうのか……少しで…本当に済むのだろうか?
両手でスカートの前抑えているのを上から見る。

――ダメ…このままだと……スカートに――

っ!
そう、このままだとスカートに染みが……。

私は軽く腰を上げて座席の上に下敷きにしていたスカートを素早く後ろに回す。
下着を直接座席につけるような状態……普段なら絶対しないけど、もし、失敗したときの事を考えると、そうせざる終えない。

「(っ! あ、あやりん? もう、我慢できないの!?)」

我慢できないって言うのは、その通りなんだけど……まゆは多分勘違いしてる。
私が諦めてこのまま座席に染み込ませようとしてるって思ってる。

935事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-後編-⑦:2014/02/10(月) 20:52:51
「(……ま、まゆ! 違うの…私、ちゃんと我慢……っ!)」

我慢して、我慢して……それでもダメな時のための保険……。
でも結果は同じこと。間に合うわけが無い。
私がしようとしてることは、どちらにしても、みんなのいる前でおしっこを漏らしてしまうこと……。
それを私は自覚する。

――私はここで……っ! あぁ!

諦めのような感情がこみ上げてきた時、その油断に気が付き、膀胱が大きく波打つ。
同時に、抑え込んでいた大切な部分が震えて、スカートと下着の越しでも手にその感覚感じる。

「〜〜〜っ!」

必死に歯を食いしばって、声を押し殺して必死になって耐える。
それでも、大切な部分を内側から攻め立てる勢いは、段々を増して行き、どうしても我慢できなくなる。

<ジュ…ジュ……>

――やぁ……んっ!!

大きな波が堤防を越えるように、下着にそして、スカートへもその染みが広がったのを抑えた手に感じる。
それを感じて、私は辛くて、悔しくて、怖くて……涙を貯めた瞳を閉じてそれ以上、溢れないことを祈って……身を固めた。

そして、また膀胱は一時的な小康状態となってくれた。
どうしても我慢できない溢れた分……今回もなんとかそれだけで済ませられた……。
けど、抑え込んでしまっていたスカートの前の部分は、五百円玉程度の大きさの染みをはっきりと残していた。

「(あ、あやりん……)」

まゆは少し気まずそうにして伏し目がちに視線を少し外す。
見られるのも恥ずかしいけど、結局その態度は私の現状を確認してるからしてる行動……。
私は我慢することに必死だったけど、まゆの態度を見て、自身がどれほど恥ずかしいことをしてしまったのか改めて思い知らされ、顔が熱くなるのを感じた。

私は、少し膀胱が落ち着いている間に、スカートを少し回して、染みを窓側に向ける。

――下着が濡れて……あぁ、ダメ……意識しちゃ……。

濡れた下着の温もりが、少し冷たくなり始め、それが呼び水となってまた身体が震える。
到着予定まであと7分、――そう思っていたが、窓の外を見るとバスは思いのほかスムーズに進み、高速を降りるためインターチェンジに入った所。

「(あやりん! 料金所超えたらあと5分くらいだよ!)」

……あと5分。

あとちょっと……本当にちょっと……。
でも、私の限界はもっと近い位置にある気がする。
判ってる、我慢しなきゃダメだって……判ってるけど――

そして、すぐに大きな波の気配を感じ、今度はスカートを少し捲る様にして下着の上から抑える。
当然捲りあがったスカートからは私の太腿がそして、手で抑えこんでいる下着が――多分まゆの位置からは見えないけど。
恥ずかしいけど……そうしなければ今すぐにでも全部出してしまいそうで……。

「んっ!」<ジュゥッ…、ジュゥ……>

だからと言って、抑えていれば我慢できるものでもない。
もう、我慢する力を失いつつある大切な部分から……どんなに抑え込んでも、下着の外に染み出すおしっこを確りと閉じ込めておく事ができない。
下着から溢れ出たおしっこは、手の中で小さく渦巻き、そのまま座席に染みこむ。その量はもうチビッたとは言えないくらい多かった……。

私は学校に着くまで、何度も何度もそんな小さなおもらしを繰り返して、心をすり減らしていった。
まゆや弥生ちゃんの心配する声も、凄く遠くで聞こえてるような……そんな感覚にさえなっていった。

936事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-後編-⑧:2014/02/10(月) 20:54:09
――
 ――

「よし! 到着だー、みんな忘れ物せずに降りろー」

「(あやりん……どうする? 歩ける?)」

まゆは私に心配そうに声をかける。
何度も小さなおもらしをしてしまった私だったが、未だに膀胱に8割以上残っている。
もう、限界だった。いくら貯めている量が少なくなっていても、我慢する力がもう残っていない。
抑え込んだ手を離せばきっとすべてが終わる。無理に立ち上がりトイレを目指しても、きっと途中で力尽きる。
私にできることは、みんなが降りてから此処に――座席にすべて染みこませてしまうことだけ。
それまでは、なんとしても崩壊させてはいけない……此処でじっと我慢するしかない。

私はまゆの言葉に答えるように小さく首を振り、小さな声で、まゆに伝える。

「(ごめん……先に、弥生…ちゃんと、降りて……)」

「……あ――うん…わかった、弥生ちゃん行こ!」「え? でも……」

顔こそ見てはいなかったが、全て察してくれたようで、弥生ちゃんの手を引いて去っていくのを感じた。
私は荷物を整理する振りをして前屈みになって左手をスカートの中に入れながら必死になって耐える。
涙で濡れた顔を見られるわけには行かないので、周囲の状況を確認することができない。

――なんとか気配がなくなるまで……もう少し……あと少しだから……。

でも、もう少しだと思ったのがいけなかったのか、また大きな波が、私を攻め立てる。
歯を食いしばり、必死になって大切な部分を引き締めようとするが、力が上手く入らない。
左手に感じるのは滲み出すように溢れてくるおしっこの暖かさ……もう、括約筋はこれ以上無いほどに疲弊していた。
そしてそんな状況でも、すぐ傍の通路を通り過ぎてゆくクラスメイト。

――ダメ……バレちゃうからお願いだから……まだ…あぁ……。

抑える手に何度も力を入れなおす。
そのたびに、まだ暖かい水気を含んだ下着からからグチュグチュとした気持ち悪い音と感覚を感じる。
それは、もう誰が表現してもおもらし以外の何者でもないくらい……それほどまでに溢れさせていた。

周りから見ても、少し不自然な私だったが、ざわざわ気に止める人がいないのは幸いだった。
それは、私が普段からまゆと弥生ちゃんくらいにしか接していないため、皆、私に話しかけようとは思わないから。

そして少しずつ座席の染みを広げながらも、どうにか人の気配は無くなった。
もう我慢の必要が無くなった……そう思った瞬間、私の中で何かの糸が切れた。

「あぁっ!」<ジュー>

これ以上が無いくらいに、膀胱が収縮して排尿を促す。
左手の中で渦巻く熱い感覚……私はすぐにその手を離し座席の淵を握り締め、濡れていない方の右手は声が漏れないように口を抑える。
そして抑えの失った私の大切な部分から、必死に押し留めていた熱水が本来の勢いで、下着を通して座席へ放たれた。

「あぁっ……んはぁ…」<ジューーー>

下着の中で渦巻きながら、溢れ出す。
口からは手で抑えきれない、熱の篭った吐息が漏れる。

辛さからの開放感と安堵を感じる。
でも、今それを確りと理解できるほど頭が働いていない。
だた、今頭の中で繰り返されるのは座席を汚してしまっていることへの謝罪だけ。

937事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-後編-⑨:2014/02/10(月) 20:55:44
<カツカツ>

――……え?

放心状態にある私に近づく音が聞こえる。

――皆降りたはず……なのになんで後ろから足音が聞こえるの?

<カツカツ……>

思考がまとまらない状態のまま、その足音は私の隣で止まった。

「ごめんなさい……雛倉さん」

その声に私は我に帰り、下着から溢れ出る熱水を止めようと思ったが、限界まで我慢して疲労しきった括約筋だけでは、勢いが少し変わる程度で止めることができない。
慌てて手で抑えようと思い手を動かすが――

「ダメ! ……止めておきなさい、スカートが濡れるだけよ」

そう言って彼女は私の腕を掴んだ。
私は口を抑えていたもう片方の手で抑えようと手を移動させるが、そっちの手も掴まれる。

――やぁ……だめ、離して! あぁ…ダメ……止まらない、見られてるのに――

見られてる……。
私はその言葉が思考に出てきてはじめて顔を上げて相手を確認した。

「っ! ……なんで、朝見さんが……」

そこには朝見さんがいて……私を少し気まずそうに見下ろしていた。

「貴方以外の人が降りていくのを隠れて待っていたの」

――なにを言っているの?

「貴方に伝えておかなければいけないことがあったから……」

――なんで、こんなタイミングでそんなこと!

<ジュッ……ジューッ…>

両手を封じられて、どうしようもなく、私は恥ずかしい音を断続的に立てながら涙を零す。
そんな地獄のような状態が30秒程続き、私のおもらしが終わった。
私は声こそ押し殺していたけど、目からは沢山の涙が溢れていた。

938事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-後編-⑩:2014/02/10(月) 20:57:08
朝見さんはその様子を見て手を開放してくれた。
そして、私が涙を流していることに構わずに、すぐに朝見さんは口を開く。

「……この薬のビン、何が入っていたかわかる?」

――ビン?

涙で歪む中に、朝見さんが持っている小さな薬ビンが見て取れる。
負の感情が沢山渦巻いている私には、それが何なのか全く理解出来なかった。

「これはね……貴方のお茶に入れた利尿剤の粉末が入っていたビン……」

「……え?」

頭が真っ白になる。
朝見さんが言った言葉の“利尿剤”や“お茶”と言う単語が頭の中で繰り返される。

「貴方には少し痛い目を見て欲しかった……でも、此処までの事態になるのは予想していなかった……」

――痛い目?

少しずつ理解できてくる。
朝見さんは利尿剤を私に飲ませた?

――どうして? どうしてそんなこと……。

「……貴方が悪いのよ。貴方がしてきたことがどれだけ当人に取って辛いことか理解するべきだと思ったのよ
そして、理解すれば、貴方はその嗜好を捨ててくれると期待してた」

「っ……嗜好を…捨てる?」

「そう……でも、失敗だった。まさか渋滞になるだなんて……そして、黒蜜さんまで貴方のお茶を飲んで
しかも、昼に済ませていなかったなんてね……その結果、貴方が臨時で寄って貰ったPAでトイレを済ませられなくなるなんて……」

――っ! まゆのおもらしもこの人の利尿剤の影響!?
そうだ、まゆはあの時私のお茶を……。

「なんで、こんなこと……酷い……」

「それはさっきも言ったはず。貴方のその変態的な嗜好を捨てて貰うため」

――なんでこの人は私の嗜好を知ってるの?

何もかも見透かされているようで……気持ちが悪い。
……でも――

「――……言いたい事は…わかった、でも……私は捨てない……」

彼女に対する恐怖心のようなものは拭えない……けど、私ははっきりとそう告げた。
より正確にいうなら、“捨てられない”と言ったほうがいいのかもしれない。
こんな事態に陥るのは二度と御免したいけど……もとよりリスクは承知の上でやってること。
昔、中学の時悩んだこともあった…でも天秤にかけて、続けようって決断した。それくらい、私は変態だったから。

939事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-後編-⑪:2014/02/10(月) 20:58:49
「残念……でも、そう言うと思った……――本当にそういう所だけ良く似てる……」

似てる? 誰に?
その言葉に疑問を抱いていると、彼女は一歩下がって頭を下げた。

「……今回はどう見ても私が悪い……だから、ごめんなさいって…そう伝えたかったの……」

――謝ったくらいで……。
違う……私が言える事なんかじゃ――

「おーい、早く降りてくれー」

前方から運転手さんの声が聞こえる。
私はこっちに来るんじゃないかと思って、身を強張らせた。

「すみません……探し物してまして……もう終わりましたから荷物を持ってすぐ降ります」

そう言ってから、朝見さんは通路を進む前に、最後に私に向けて言った。

「今回の事は私のせいだから失敗したことは気にしないで……本当にごめんなさい……それと――」

朝見さんは言葉に大きく間を取り、大きく息を吸ってから続けた。

「……もう、貴方に関わらないわ……今まで本当にごめんなさい……」

朝見さんは凄く悲しそうな顔でそう言ってバスを降りるため前の方へ行く。

いくつか朝見さんの言葉に引っかかる点があった。
でも、それは家について、落ち着いてからちゃんと考えようと思う。
今はちょっと疲れた。

私も余り長くいる訳にも行かないので、十数秒後、意を決して涙を拭い立ち上がり、降車した。
座席にの染みの上に「すみません」と言うメモを置いて……。

940事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-EX-①:2014/02/10(月) 21:02:50
**********

「えっと……」

私は、パソコンと手元の資料を見ながら、キーボードを人差し指でゆっくりと打つ。

「会長って、ホント、機械系苦手だよねー」

「う、うるさいわね……」

生徒会室には私以外にも、もうひとり作業を手伝ってくれている、紅瀬 椛(べにせ もみじ)さんがいる。
彼女は3年生で生徒会役員の一人。役職は副会長。背は私よりも低く、全くと言って良いほどメリハリの無い体つき。
それでも、肩に架かる黒髪のサイドテールが妙にチャーミングな先輩。
下着は子供体系の割に、妙に大人びたものを着用していることが多い。
仕事の能力は生徒会役員内でも随一で、何かと機転が利いて、私の中で尊敬に値する人の五本指には確実に入る人物。

「このままじゃ夏休み終わるまでに、資料纏まんないよ?」

「う……」

もう時間も午後6時……だけど、今日の分がまだ終わらない。
2学期は文化祭、次期生徒会選挙などのイベントが目白押しなので、色々と大変なのだ。
特に私は生徒会での仕事を、まだちゃんと理解していないので、どうにも要領が悪くなってしまう。
それに加えて機械物が苦手と……とてもじゃないが順調に進むはずも無い。
あと、椛さんだけど……手伝ってるというより、私の監視役のような感じで自分の役割が終わってから一切何もしていない。
ちなみに、彼女は午前中に作業を終えている。

……。

――ごめんなさい、6時間も余分に付き合せてしまってごめんなさい。

<♪〜〜〜>

不意に私のスマートフォンがなる。
私はわけの判らない仕事を途中で投げ出し、着信相手を見る。

――……? 珍しいですね……あちらからなんて。

「だれ〜?」

椛さんは気怠るそうに机に突っ伏しながらそう言う。

「ふふ…、次期生徒会役員候補……っと、言ったところですね」

「おお! 会長の同級生?」

身を乗り出しながら、尋ねてくる。
私は頬を緩ませながら答える。

「いえ、大切な後輩です……そういうわけですから出ますね」

そう断りを入れて、私は電話に出る。

941事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-EX-②:2014/02/10(月) 21:03:55
「もしもし、どうかしました?」

  「……」

――あれ? 無言?

私は本当に応答できているか確認するため一旦耳から離し、液晶を見るが……問題なく通話中。

「えっと、聞こえてます?」

  「……大丈夫」

反応があってほっとするが、今度はその声の暗さに不安になる。

「なにかありましたか?」

  「連絡……しておこうと思って」

「……なにをですか?」

  「私……生徒会にはやっぱり入れない……」

っ!

「ちょ、ちょっとまって……この前までは、“とりあえず保留”って――」

  「事情が変わったの……私は…彼女を傷つけた……それに、やっぱり“変える”ことはできなかったから……」

――えっと、何を言ってますの?

傷つけた。
“変える”ことができなかった。
この二つが原因……。
そして彼女とは――やはり、あの子の事なのだと思う……。ただ――

「――ごめんなさい、話が全然見えてこないのだけど……具体的には何があったの?」

  「……言えない。ただ、もう私は金輪際彼女とは関わらないって決めたから……だから生徒会の話は無かったことにして……」

「いや、ちょっと待――」<ピ……プープー>

切られた……。

942事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。-EX-③:2014/02/10(月) 21:05:26
「なんだか、妙なことになってる?」

椛さんが苦笑いしながらそう言う。
私はその問いに下を向くだけで何も答えられない。

「まぁ、なんにせよ行動は大事、探してきなよ?」

「え? でも今夏休みなんですけど……」

「後輩でしょ? さっき学校前にバス止まってたし、まだ近くにいるんじゃないの?」

「バス?」

「あー、そこから言わないとダメ? 今日、1年は見学会の日でしょーが……」

――あ、そうか……。

私はすぐに立ち上がり、とりあえず窓から運動場を見渡す。
そんな簡単に見つかる分けないと、そう思っていた。

だけど、校門付近に見覚えのある長髪で黒髪の少女が目に入る。

「も、椛さん!」

「わかってる、後やっとくから……あんたの事は全力でサポートするように黒蜜前会長と約束してるんだから」

「でも、私の仕事ですのに……」

私の仕事を代わりにする椛さんに申し訳なくなる。唯でさえ、6時間も付き合ってもらったのに……。
そんな私を見て、彼女は、大きく嘆息して飽きれた様にして首を振ってから答えた。

「あんたが今一番しなきゃダメな仕事は、書類作成なんかじゃないでしょ? ……次期生徒会で、会長を――貴方を支える大切な仲間の事……でしょ?」

「っ! ……わかりました、行ってきます!」

私は椛さんに背中を押されて、生徒会室を飛び出した。

なにがあったのか知らないけど、私は諦めない……。
呉葉……貴方には綾菜さんと共に生徒会へ絶対に入ってもらいますから!

おわり

943「黒蜜 真弓」:2014/02/10(月) 21:06:54
★黒蜜 真弓(くろみつ まゆみ)
綾菜の親友。
綾菜のいるBクラスでのムードメーカー。
また、綾菜の委員長の仕事を支える。

学校内では唯一綾菜の無表情をある程度読み解くことが出来るほど観察力がある。
が、その観察力は積極的使っていない。気になる時だけ。

膀胱が生まれつき大きく最大容量は1.400mlほど。
尿意を感じるのも非常に遅く、感じる頃には最低700ml程度になる。
つまり、尿意を感じてから済ます場合放尿時間が非常に長く、自身はそれを嫌う。
その為、尿意を感じるより早くトイレに向かう傾向にある。
朝、家で1度済ませてからは、学校で昼休みに済ませれば、帰宅まで一度も尿意を催すことは無い。

成績優秀、運動得意。
理数系の科目は綾菜とほど同等。文系は少しだけ劣る。
授業中に寝ていることも多く、授業は殆ど聞いていない。
ノートは提出が必要なもののみ綾菜や弥生のを写している。
テスト前日に、綾菜のノート(なぜか自分のではない)をパラパラと眺めてテストに挑む。
性格は一言で言えば天真爛漫。
付き合いの悪い綾菜に対しても気軽に話しかけて壁を簡単に破壊した経歴を持つ。
実は、気も良く配ることが出来て、笑顔の下には沢山の気遣いがあったりもする。

綾菜の評価では、とてつもなくトイレの遠い子。そして、掛替えの無い大親友。
持ち前の明るさ、沢山の人を笑顔に出来るなど自身に無いことを沢山備え、いつも助けられてばかりで、感謝してもしたりない相手。

944事例の人:2014/02/10(月) 21:10:40
待っててくれた人がどの程度いるのかわかりませんが遅くなって申し訳ないです
そして次回からどうしようか凄く悩んでるので、次も遅くなるでしょう……ごめんなさい

次書くときには次スレになっていればいいなー

945名無しさんのおもらし:2014/02/11(火) 00:40:39
相変わらず素晴らしい

946名無しさんのおもらし:2014/02/11(火) 02:38:44
朝見嬢の言い分もわからなくはないが
主人公、あまり悪くないようなw

悲壮感溢れる描写GJ
深まった謎に期待

947名無しさんのおもらし:2014/02/11(火) 03:06:40
やっぱり利尿剤かー
あいかわらず絵もいいねー

>次書くときには次スレになっていればいいなー
残り50レス強か

・他作品がくる
他に投稿者がいない現状では可能性は低いが
事例の人の期待に応える形で誰かくる可能性は高まった

・感想
急に50レスもつくと逆にこわい

・スレ総括・総合的感想等
いちばん現実味のある埋まり方か

・荒れ
確かにスレ進行は大幅加速するが
好ましくない

・事例の人が次に来るのがものすごく先
登場人物のトイレタイムを先延ばしするのは需要が多いが
こっちの先延ばしは辛いね
中編から後編まで長く感じたし

・埋め

・フライング次スレ
あまり好ましくないと思われる

948名無しさんのおもらし:2014/02/11(火) 17:58:06
>>944
待ってる人います。
次も気長に楽しみに待ってます。

949事例の人:2014/02/12(水) 00:26:04
感想とかありがとー
>>946
>主人公、あまり悪くないようなw
その認識であってると思います、あの子はまぁ、そういう子なので

>>947
絵で埋めようかと思ったけど、結局あっちに支援してきた
他作品で埋まること信じてます
>中編から後編まで長く感じたし
ごめんなさいorz

950名無しさんのおもらし:2014/02/12(水) 00:27:49
どっち?

951事例の人:2014/02/12(水) 00:41:44
VIPでやってた某スレの避難所
場所は諸事情によりあまり不特定多数に誘導したくないので自力で探してください

952名無しさんのおもらし:2014/02/12(水) 16:49:11
なんか読んでモヤッとする展開だなあ。取りあえず綾菜には救いを朝見には罰こないかな。

953名無しさんのおもらし:2014/02/13(木) 06:49:44
なんか綾が可哀想だった。バスで必死に我慢してる綾に携帯トイレ差し入れしたい。

954名無しさんのおもらし:2014/02/13(木) 10:56:33
もしよければ喫茶店の挿絵再upしていただけるとありがたいです
少しで消えてたから逃してしまった

955事例の人:2014/02/13(木) 20:44:06
>>954
ほい、UP場所こっちにしたからまぁ、消えないでしょう
http://motenai.orz.hm/up/orz31050.jpg

と言ってもわざわざ再UPしてまで見るようなものでもないよ、下手だよ
ちなみにもうひとつ番号下げればあっちで描いてる絵……手の抜き方がちょっとは判ってきた気がする
今後も挿絵以外はこっちじゃ張らないのであしからず

956名無しさんのおもらし:2014/02/14(金) 05:57:06
だんだんこうなってきましたか

957名無しさんのおもらし:2014/02/14(金) 19:51:32
おおありがたい……
むこうでもこっちでもいつも見てます
次も期待して待ってます

958名無しさんのおもらし:2014/02/14(金) 20:12:54
どこが下手なの? 俺はいいと思うけど

959名無しさんのおもらし:2014/02/16(日) 22:17:55
事例の人さんに今さらかもされないですが質問よろしいでしょうか。 綾菜達が通ってる高校は女子高ですか、それとも共学でしょうか。

960名無しさんのおもらし:2014/02/16(日) 22:21:24
過疎がきわだつ流れに…

961事例の人:2014/02/16(日) 22:40:20
>>959
事例1の時点では共学にしようと思ってたけど、諸事情で女子高設定のつもりで書いてる
事例4の②参照

>>960
ぐぬぬ、書き手来ないのか!

962名無しさんのおもらし:2014/02/16(日) 22:45:45
綿密に練られているようで
設定変更の痕跡がチラホラ残ってたりもする

963名無しさんのおもらし:2014/02/17(月) 00:28:57
959です。事例の人さん質問に答えて貰って有難うございます。女子高でしたか。それだと自分の妄想の綾菜多分救済ルート修正しないとな。

964事例の人:2014/02/20(木) 00:01:35
事例1の④くらいの挿絵
http://motenai.orz.hm/up/orz31295.jpg

965名無しさんのおもらし:2014/02/20(木) 00:25:12
すばらしい

今度はいたしてる絵もお願いします

966名無しさんのおもらし:2014/02/20(木) 00:52:27
素晴らしい絵をありがとう。綾菜がニヤニヤしてる所が可愛い。

今度は事例2後半の綾菜のギリギリアウトの絵をお願いします。

967名無しさんのおもらし:2014/02/20(木) 03:59:36
こうやって埋めるのが一番手っ取り早いなw
実質とっくに専用スレ化してるし

968名無しさんのおもらし:2014/02/24(月) 01:04:15
事例の人さんに聞いてもいいでしょうか。事例の人さんの作品で三次制作は許可しているんでしょか。

969事例の人:2014/02/24(月) 01:28:42
三次?
二次創作ってことでいいんだよね? それとも何処かで既に二次がある?
それとも私の作品事態が二次創作に部類される?

とりあえず、私の書いてる本作品の二次的創作物に関しては、お好きにどうぞ
ただ、本人だと偽る行為と本作品、他作品、およびスレ、板に迷惑が掛からない範囲でお願いします
本作品への迷惑な行為の例だと、登場人物のとか死とかですかね?

970事例の人:2014/02/24(月) 01:32:28
最後の行「とか」が多かった……
作品自体にも誤字脱字多いのよね私、いつも読み難くてすまない

971名無しさんのおもらし:2014/02/24(月) 02:01:39
アニメや漫画等(二次元)でなく
現実世界(三次元)の人間に対する二次創作ってことじゃない?

972名無しさんのおもらし:2014/02/25(火) 17:28:34
別人だと偽る行為

973事例の人:2014/02/28(金) 22:06:48
事例2の後編⑧くらいの挿絵
http://motenai.orz.hm/up/orz31714.jpg

>>966に答えたわけじゃなく完全に偶然
もともと挿絵無い話の所を描こうと思っていたのでー

974名無しさんのおもらし:2014/02/28(金) 23:19:15
そろそろこの人の一回分には心細い残りレス数になってきた
>>973
もう次スレ立ててくれてもいいですよ?

975名無しさんのおもらし:2014/03/01(土) 17:09:34
実に素晴らしい。綾菜が涙目で下着越しにオシッコしてる所とスカートから見える太ももが最高だね。
それにしても偶然とはすごいですね。

976名無しさんのおもらし:2014/03/02(日) 08:05:24
この界隈では偶然は都合よくおこってくれるものです
エレベーターの故障、電車の立ち往生、故障中清掃中e.t.c.

977名無しさんのおもらし:2014/03/02(日) 16:20:11
謎支援
http://m.imgur.com/RM3JUJj.jpg

978名無しさんのおもらし:2014/03/03(月) 09:27:33
>977
事後もよろしくおねがいしますw

979名無しさんのおもらし:2014/03/04(火) 23:33:01
事例の人のここまでやっと読み終わったがあんたすごいな
キャラ付けもしっかりして話もいいし、おまけに挿絵まで自分で描くとか
クォリティマジたけーよ
応援してますんで次スレも引き続きよろしくお願いします

980事例の人:2014/03/05(水) 21:53:32
応援とかありがとー

事例3の⑪くらいの挿絵
http://motenai.orz.hm/up/orz31971.jpg

と、そのおまけ
http://motenai.orz.hm/up/orz31972.jpg

画力はやる気と時間と運に左右される……

981名無しさんのおもらし:2014/03/06(木) 00:17:32
いいのか

982事例5.1「?」とセンチメンタルな真夜中の私。①:2014/03/07(金) 16:13:42
「おーい、早く降りてくれー」

気が付くと遠くでそんな声が聞こえる。
運転手の声……。

――やだ……だめ、来ないで!

「すみません……探し物してまして……もう終わりましたから荷物を持ってすぐ降ります」

すぐ隣でいつもより少し大き目の声を出す人がいた。
怯える私を助けるため、もうすぐ降りると言ってこっちに来ないようにしてくれたのかもしれない。
そんな彼女だったが、ふと私に視線を向けると、どこか寂しそうな顔になり、言葉を紡いだ。

「今回の事は私のせいだから失敗したことは気にしないで……本当にごめんなさい……それと――
……もう、貴方に関わらないわ……今まで本当にごめんなさい……」

そういい残すと、彼女は黒い髪を靡かせて、バスの前方の黒い闇の中へ溶け込むように消えていく。

――え、ちょっと! 待って!

983事例5.1「?」とセンチメンタルな真夜中の私。②:2014/03/07(金) 16:15:27
――
 ――
  ――

……。
夢?

目に映るのは、自室の天井。
エアコンが付いているにも関わらず軽く汗が額に浮かんでいた。
それが気持ち悪くて軽く上体を起こす。

すると、私のベッドの隣で布団を敷いて寝ている雪姉が小さな寝息を立てている……やっぱり可愛い。

……。
今の夢は夢だけど夢じゃない。
今日の……――いや、今は夜中。時計を確認すると午前2時だから正確にはもう昨日の事。

私は苦虫を噛み潰したような表情で足に掛かるタオルケットを両手で握り締める。
その行動がスカートを抑えているときのように感じて、より一層バスでの出来事を思い出させる。

私は大きく息を吸って、小さく吐く。
すると、今は余り感じたくない感覚に襲われ、背筋を振るわせた。

――おしっこ……したい。

別に切羽詰っているわけではない。だけど……凄く不快な気分になる。
私は体を回して、ベッドから静かに降りて、自室を出る。
玄関に続く廊下……その途中にトイレはある。
私はその扉の前まで行き、そのノブに手を掛ける。

……。

それほど尿意は高まっているわけではなかったが、今でも括約筋や膀胱、神経が麻痺しているのか、急激に尿意が高まった気がした。
それでも、まだ危ないというほどではない。

私は足を無意識にもじもじとさせているのに気が付き、その動作を意識的に止めた。
そして……手を自身の胸に戻し、玄関の方へ歩みを進めた。
玄関にある棚の引き出しから自宅の鍵を取り出して、ポケットに入れ、パジャマ――――というか、ジャージの姿――――のまま、玄関を開けた。

夜とはいえまだ夏……身体を抜ける風は生暖かく気持ち悪い。
私はさらに歩みを進め、エレベーターに乗り込む。

電光表示が小さい数字に変わって行く間、此処であった出来事を思い出す。

――辛かったんだよね……人に見られるって、絶対辛い……。

エレベーターは途中で止まることなく、一階のホールに着く。
トイレが目に付いたが、すぐに視線を逸らし、外へと向かう。

――なにしてるんだろ……私。

私は真夜中の道路を歩く。
殆ど人通りはない。満月の明かりがそれを教えてくれる。
別に、何かあるなんてこと期待してるわけじゃないと思うけど……それでも、私は歩き続ける。

「はぁ……」

7〜8分ほど歩いて小さくため息をつきながら夜空を見上げる……。
満月のためか、町の明かりのためか知らないけど、星は殆ど見えない。

――そろそろ帰ろう……。

984事例5.1「?」とセンチメンタルな真夜中の私。③:2014/03/07(金) 16:17:00
『やだ……トイレこの辺無いのにどうしよう……』

――っ!

突然『声』が聞こえてきた。
私は、『声』がした方向に視線を向けると、道路の反対側に20台前半くらいのOL風の女性が目に止まる。
少し上体を前に屈めて、手はタイトスカートの前に添えられてはいるが、流石に抑えることが出来ていない様子。
でも、どこからどう見てもトイレを我慢してる姿に他ならない。

――期待してたわけじゃなかったけど……。

私は、気が付かれない様にある程度距離を保ちながら尾行する。……本格的にストーカーみたいだ……。

『あんなに飲まなきゃ良かった……電車も間に合わなかったし、ひと駅分歩くくらい余裕とか思ってたけど
おしっこの事全然考えてなかったよ〜。ケチらないでタクシー使ってれば……あーきつい…本当どうしよ……間に合うかな?』

飲み会? 暑気払い? 一人酒? ……兎に角、お酒が入っているみたいだ。
そして、飲んだ量は結構多いらしく、尿意も相当切羽詰っているみたい。
ただ、足取りは千鳥足でもなんでもなく、思考もはっきりしてるので、お酒には強いのかもしれない。

――お酒が入ってあの感じだと持って10分前後…って所かな?

私は自然と胸が高鳴るのを感じる。

『あぁー、ホント無理……んっ! や、やだ、もう少しなのに……っ! ぁぁんっ!』

OL風の彼女は、急に立ち止まり、タイトスカートの下から手で抑え込もうとする。
でも、膝丈あるため、上手く抑えられているように見えない。
すると、すぐに抑えるのを諦め、膀胱辺りを手で擦り、片方の足を、もう片方の足に何度も擦り合わせる……可愛い。

『あぁ、ダメ……我慢、我慢……抑えたいのに! あぁ! 出ちゃう…かも……、も、もうっ――』

その仕草をしばらくしていたが、どうにも波が落ち着かないらしく、足踏みを繰り返しながら前屈みの状態で周囲を見渡し始めた。
私は電柱の影に隠れる。

『もう、がまん……我慢出来ない…もん……ふ、不可抗力だし!』

彼女はどうやら野ションを決意したらしい。
電柱から覗き込むと、波に抗いながらなのか、覚束無い足取りで10m先にある植え込みの影を目指しているように見える。
片手は下腹部を何度も擦り、もう片方は抑えることが出来てはいないが、大切な部分の前に置かれている。

『あぁ! ……だめ、まだダメだからっ! もうちょっとなの、お願い……』

私は足音を立てないようにして、もうひとつ先の電柱に移動する。

『っ! あぁ! もっ、もう、だ、だめぇ!』

植え込みに着くと、一際大きな『声』を発した。
私はその様子を電柱から覗き込む。
野ションをしてしゃがみこんでいる姿を想像していたが、実際は違った。

『あ…あれ!? ファスナーが降りない! や、嘘! 噛んで…っ! だめ……早く、だめなの! だめ! あぁ! あぁぁ!』

――わぁ綺麗……そしてなにより可愛い。

月明かりに照らされて居たのは、中腰で小さく足踏みを繰り返す足にキラキラと光る雫が流れる姿。
植え込みまでたどり着けて安堵してしまったのだろう。だけど、脱ぐのに手間取り、どうしても我慢できなかったらしい……可愛過ぎる。
そして彼女は脱ぐことを諦め、そのまましゃがみ込んでしまった。

985事例5.1「?」とセンチメンタルな真夜中の私。④:2014/03/07(金) 16:19:18
私は足音を立てないようにしてその場を立ち去った。

十分堪能したって言うのはもちろんだけど、見てたらこっちまで尿意が高まってきた……。
手で膀胱の張り確かめるが、弾力はまだまだ大丈夫なので、やっぱり、バスでの我慢が今も後を引いてるみたいだ。
別に痛みとか、そういうのは無いから、膀胱炎ではないはず。

急ぎ足でマンションまで戻る。
マンションホールのトイレが視界に入る。

――ゾクッ……

っ!
急激に高まる尿意に身を震わす。
トイレを見た瞬間に膀胱が勝手に収縮を始めていた。

「はぁ、はぁ」

――やばい……早く!

私はトイレに駆け込む。
けど――扉には“防犯のため24時以降は使用禁止”の文字。

――あぁ! うぅ、そうだった……。

完全に忘れていた。
私はすぐに踵を返して、エレベーターに乗り込む。

中では必死に足踏みして、なりふり構わず前を抑え込んでどうにか耐える。
幸い、自室のある7階まで誰にも合わずに到着する。
ポケットから鍵を出して、足踏みしながら玄関を開ける。

――っ! そうだ、今、夜中だ……。

玄関を開けてすぐに気が付く。
足踏みをどうにかやめて、後ろ手で極力音がならないように――でも急いで鍵を閉める。
そして靴を脱ぎ、トイレにどうにか入る。
だけど、私が今すぐに座りたい“それ”が視界に入ると同時に尿意の津波が襲いかかる。

――うそ!? や、だめ〜〜っ!

私は慌てて、ジャージと下着に同時に手を掛けて一気に降ろして便座に座る。 

「はぁ……はぁ……」<ジュウゥゥゥ>

口では熱の篭った吐息を漏らし、下では水洗のトイレを泡立てるように溜め込まれた熱水が勢い良く放たれる。
……少しだけ、下着に染みができていたけど……これはセーフでいいよね?

勢いはあったけど、15秒もしないうちに終わった。
やっぱり溜まっていた量自体は多いわけではなかった。

そして、間に合った――――誰がなんと言おうと間に合った!――――ことによる安堵から笑みが零れる。
……でも少し違う、安堵からだけじゃい。

――やっぱり、私……“コレ”止めれないな……。

こんなにもセンチメンタルな時でも、私は我慢する人を見て、楽しんで、喜んで、興奮して……。
どうしようもない変態。

“嗜好を捨てない”……あの時、朝見さんに言ったことだけど、やっぱりその通り、捨てない。捨てられない。

私はこの先もずっとこの嗜好を持って、人生楽しみ続ける。
朝見さんの思惑通りになんてなりはしない。

……。

――「本当にそういう所だけ良く似てる……」――

あの時の去り際の言葉が頭を過ぎる。

……。

――だめだ、眠くなってきた……朝見さんの発言とかはまた今度考えよう……。

おわり

986事例の人:2014/03/07(金) 16:25:00
訂正忘れorz
④最後の方
×あの時の去り際の言葉が頭を過ぎる。
○あの時の意味深な言葉が頭を過ぎる。

随分間開いてしまいそうなので、とりあえず事例5の蛇足的な何かでした

987名無しさんのおもらし:2014/03/08(土) 00:31:15
これからも期待してます>事例の人

ついでにここ見てたら更新がんばってくださいお願いします>クロギリ氏

お二方の作品を超える我慢&おもらし小説はありません!

988名無しさんのおもらし:2014/03/08(土) 00:48:18
1ヶ月ぶりの更新お待ちしてました。 相変わらず素晴らしい出来の小説で最高にGJです。これからも頑小説や絵を頑張ってください。応援します。

989名無しさんのおもらし:2014/03/08(土) 00:54:00
「久しぶりに覗いたらすごい良作キテタ」思い出した

990名無しさんのおもらし:2014/03/08(土) 06:22:18
事例の人さん、またいつか小説で綾菜が間に合った系を書かれるなら、今度は事例5後半のくらいの限界ギリギリからの間一髪間に合ったのをお願いします。

991名無しさんのおもらし:2014/03/09(日) 13:00:17
そろそろ1000いくね

992名無しさんのおもらし:2014/03/09(日) 15:37:29
>>986
次スレまだ立てないのですか?
今のスレの状態だと貴方以外が下手に立てると
新スレ冒頭に前スレのあらすじとしてむやみなコピペする人が出かねないので
貴方が立てて新スレの最初の方を仕切ってた方が面倒が少ないと思いますよ

993名無しさんのおもらし:2014/03/09(日) 22:19:50
てめーで立てろカス

994名無しさんのおもらし:2014/03/10(月) 00:58:16
立てました

おもらし千夜一夜4
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/sports/2469/1394380643/

995名無しさんのおもらし:2014/03/10(月) 11:58:40
>>576
いろいろ大変なんだなw

996事例の人:2014/03/10(月) 20:42:14
スレまとめ

[2011]
>>6-16:サッカークラブの少女
>>20-22:修学旅行の二人第1部
>>25-35:修学旅行の二人第2部
>>48-70:下校中のマンションのエレベーター前で
>>84-86 >>89-93 >>100-103:捕虜の女騎士※未完
>>113-147:冬のテストと意地悪な少女
>>156-166:男装少女の苦難
>>174-188:ある地下室の我慢勝負
>>193-204:警報の鳴る廊下
>>210-225:ファンタジー(3部作)・剣士メル、魔物との戦闘の末
>>228-257:ファンタジー(3部作)・魔導師ルナと魔族シエラとの戦い
>>265-294:ファンタジー(3部作)・王女アリアの限界
>>300-310:クリスマスイブに
>>314-322:年明けと共に

全14作品

[2012]
>>326-341:出来の悪いロボットがいる学校
>>344-355:トラック運転手、吹雪の高速道路を経て
>>357-368:山ガールと山の神
>>388-410:融通の利かないお嬢様の女生徒
>>434-463:久しぶりに覗いたらすごい良作キテタ―――!!
>>470-480:居眠り少女とミサイル
>>493-494:小ネタ[平等]
>>501:小ネタ[ぽこたんインしたお]
>>503-504:小ネタ[インしてみる『紫禁館』]
>>533-534 >>539 >>541-542 >>553:『悲劇の愛子』※未完
>>581-603:高所が好きな女性

全11作品

[2013]
>>633-634:小ネタ[スカートを汚さないで]
>>644-658:朝起きたら、彼氏に後ろ手に縛られてた・・・
>>663-670:ファンタジー・牢屋に閉じ込められた二人
>>676-701:夏休みの宿題とおしっこ我慢勉強法
>>706-717:ファンタジー(2部作)・魔法仕掛けの気球の上で
>>718-727:ファンタジー(2部作)・魔法仕掛けの気球の上で(別視点)
>>766-770:男友達の家で

以下「声が聞きたい!」シリーズ
>>731-737:事例1「山寺 瞳」と私の自己紹介。
>>747-750:事例2「篠坂 弥生」と……。前編1
>>752-759:事例2「篠坂 弥生」と……。前編2
>>777-785:事例2「篠坂 弥生」と……。後編
>>799-813:事例3「日比野 鈴葉」と『声』の無い二人。
>>821-830:追憶1「雛倉 雪」
>>842-854:事例4「宝月 皐子」とラブレター?前編
>>860-871:事例4「宝月 皐子」とラブレター?後編 ※描写ミスあり >>882->>883辺りを参照
>>872:事例4「宝月 皐子」とラブレター?EX

全12作品

[2014]
以下「声が聞きたい!」シリーズ
>>877-879:追憶2「雛倉 雪」と微睡みの幻?
>>884-897:事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。前編
>>902-917:事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。中編
>>929-939:事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。後編
>>940-942:事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。EX
>>982-985:事例5.1「?」とセンチメンタルな真夜中の私。 ※一部訂正>>986

現在3作品

「声が聞きたい!」シリーズ・登場人物紹介安価
>>791「雛倉 綾菜」(主人公、高校1年生)
>>738「山寺 瞳」(別クラスの友達)
>>786「篠坂 弥生」(懐いてる友達)
>>814「日比野 鈴葉」(花屋の娘で大学生)
>>831「雛倉 雪」(姉で大学生)
>>873「宝月 皐子」(お嬢様の生徒会長、2年生)
>>943「黒蜜 真弓」(元気な親友)

スレ内作品総数40作品

超疲れた、いつもしてくれてた人って凄いね
タイトル判りやすく書いたつもりだけど……どうだろう
それと安価間違いとかあったらすまない

997名無しさんのおもらし:2014/03/10(月) 23:30:39
おおうまとめまで・・・
乙すぎてなんも言えん
出来るとしたら応援くらいかな、次スレもガンバッテ

998名無しさんのおもらし:2014/03/11(火) 01:11:01
まあ実質個人スレだし
作者以外がまとめたんじゃ


以下「声が聞きたい!」シリーズ
>>877-879:追憶2「雛倉 雪」と微睡みの幻?
>>884-897:事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。前編
>>902-917:事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。中編
>>929-939:事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。後編
>>940-942:事例5「黒蜜 真弓」と抜き打ち見学会。EX
>>982-985:事例5.1「?」とセンチメンタルな真夜中の私。 ※一部訂正>>986

現在3作品

「声が聞きたい!」シリーズ・登場人物紹介安価
>>791「雛倉 綾菜」(主人公、高校1年生)
>>738「山寺 瞳」(別クラスの友達)
>>786「篠坂 弥生」(懐いてる友達)
>>814「日比野 鈴葉」(花屋の娘で大学生)
>>831「雛倉 雪」(姉で大学生)
>>873「宝月 皐子」(お嬢様の生徒会長、2年生)
>>943「黒蜜 真弓」(元気な親友)

こういう作品に沿ったまとめの気遣いはできなかっただろうから

999名無しさんのおもらし:2014/03/14(金) 20:34:06
うめ

1000名無しさんのおもらし:2014/03/14(金) 20:39:54
1000なら次スレは久々に覗かなくても良作キテタ

1001あぼ〜ん:あぼ〜ん
あぼ〜ん

1002名無しさんのおもらし:2014/05/24(土) 05:38:38
続くのか

1003名無しさんのおもらし:2014/05/24(土) 19:05:00
まだ書けるの?

1004名無しさんのおもらし:2014/05/25(日) 04:13:01
それは板の機能的な話なのか?
あるいは書き手の能力的な話なのか
はたまた場の空気的な話なのか

1005あぼ〜ん:あぼ〜ん
あぼ〜ん

1006あぼ〜ん:あぼ〜ん
あぼ〜ん

1007名無しさんのおもらし:2014/08/16(土) 22:02:11
あげとくか

1008あぼ〜ん:あぼ〜ん
あぼ〜ん

1009名無しさんのおもらし:2014/09/03(水) 15:28:55
>>569
そういえば管理人が批判的意見まとめて規制したせいで巻き込まれたことがあったな…

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