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関大サポートスレ

1名無しさん:2021/02/01(月) 00:39:01
関大志望者のためのサポートスレです。

6名無しさん:2022/01/25(火) 18:23:35
17全学部センター中期 関大『藤簍冊子』「故郷」現代語訳
 昔の人も、出世する人があり、不遇な人がある。昔の人の事跡は大変多いよ
うなので、数え上げるのは全く面倒だ。出世した人がすぐれているのではなく
、不遇な人が無能なのでもない。自身の幸運が後か先か、(幸運に)出合う出合
わないことであろう。出世して名声を得る人が、後に悪く言われることもある。
楽しいとすることも辛いということも、求めるとおりでもなく、誰かが与える
下さり物であるよ。
昔は、聖代に、たまたま生まれて、すぐれているという人が、ある人は皇位に
即き、ある人は山に這い隠れたことを思うと、身分が違うことはどうしようもな
い。出世すると馬車を道に音を立てて走らせ、宮中に参上しては、いろいろな役
所の上席にいて、考えを(帝に)奉じ、発言を納め申し上げると、君主を始めと
して、この治める国の中では、その人の考えや言葉が行われることは、たいへん
めったにない幸運な人だなあ。そんなことは求めないけれど、国中の宝物を倉庫
に積み上げ、山や海の、珍味を、朝夕食べて、(何でも)思いどおりであること
を、賢明な人は、満足するというだけではなく、(贅沢を)ああ恐ろしいとまで
思い考えては、嫌って避ける人もいたとか。こういうことを少しぐらいも思い知
らないで、暖かく(衣服を)重ねて満腹になるまで食う者が、(贅沢の)報いも
悪くなく(一生を)終える者もいる。ある者は中途で(贅沢を)自然とやめて、
ある者は将来どうなるだろうと浪費をやめる。(浪費を)やめることを賢明とす
るならば、(俗世に)出ることを愚かとするだろうか。(俗世に)出て、(幸運
に)出会わない者は(俗世から)退き、取り立てられる者は(高位に)進む、こ
れは出世する人の心構えで、自分の身の程を保つのであった。むやみに(俗世か
ら)隠れたり退いているのも違っているだろう。進むべき時に、退くことは、身
を誤っていることで、後に(時間を)取り戻したい時が出てくるものだ。また退
くべき時機を失って、罪を受けることを、後でどうしようもない。 垣根の菊を
折って賞美し、南の山を朝晩にじっと眺めていた人(陶淵明)は、この洞穴の中
に戻った類いの人で、身の程を保って心の安寧を楽しむのである。(贅沢を中途
で)自然とやめて辛いと思わない人は、格別に貴い。自分から(食事を)避けて、
飢えて、入水自殺した人(屈原)を、愚かだとは言わないことは、当然の道理が
たいそう突き詰めていらっしゃるのだろう。罪がなくて、(地方に下って)海や
山の風流な所の月を見ようかと、(歌を)独泳した人(源顕基)は、朝廷の仕事
に実直でない人ではなく、こっそり思わず嘆いている事情もきっとあるのだろう。

7名無しさん:2022/01/25(火) 18:26:28
6の続き

 あの谷の深い所の民は、心は生真面目だけど、顔付きは憎々しく、鳥の囀りの
ように物を言い続けるので、何かを語るはずもない。 それも故郷であるからで
ある。ここに帰ることは、心を安らかにしておきたい願いである。知らない国、
遠い辺境に行くと、山は高く険しく、海辺の波は気味悪くて、住む人の容貌、心
情が憎々しいから、行って誰と交際するだろうか。都のあたりでは、山の様子、
水の流れ、木や草の花も、自然と温和で、ああ風情があると自然と眺めないでは
いられない。この都を捨ててどこに行こうか。しかし、居たい所まで辛いとお思
いになるならば、ただ、容易な一つの方面の願いに反するからだ。世の中を見る
と、若い男たちが、酒を売る家で浮かれて遊ぶことにまで、十回に二回などは満
足するだろう。おおよそは(酒屋の)主人が(若い男たちの)立ち居振舞いを形
だけ褒めて、(酒屋の)接待をする女性らが、(若い男たちの)機嫌をとりなが
ら接待することには、思い通りになる夜はわずかだろう。怒りをこらえて、不足
をがまんすることは、たいそう辛いようだとは、年老いて後に自然と思い知る。
 物を広く知り、人の上になりたいと思うことも、若いうちの勇ましい気持ちの
面倒なところである。物を学ぶことは、人にこびることに同じだという教えもあ
るとか。田舎といっても、田舎の都会という辺りの人は、この面倒を求める(人
に)負けたくない気持ちが多い。都にいるけれど、(筆者のような)老人のよう
に卑しい様子で生まれ育った者は、都の古い堤の陰に、乞食の様子をして老いぼ
れていて、昔は、一部だけ見聞きしたことまで、すっかり忘れて、目も悪くなり、
花の美しさ、月の光りも目にとどめないことは、生きていて何の甲斐もない。か
えって昔の田舎住まいがなつかしい。
過去の賞賛、将来の非難も、ああ面倒だ。ただ、生まれた身分身分で、寒くな
く、(物を)得たいと思わないならば、知らない土地と故郷の区別はないだろう。
あの谷深い所の様子は、行って見るとしても、(西行の和歌の)住まないで情趣
を知るということがあろうか、いやない。住んで都でわびしいのは、身の程が貧
しいからだ。退之の文で(次のようにある)、ある人が立身したのは、天の恩恵
か、努力して達したのか。他人の出世を受け入れて下の立場になる人も、自分の
身の程を知っているのだ。世に出て仕え、時流に遇わない時は(俗世から)退く。
それぞれの身の程に落ち着く人が、(人生の)楽しみが深いことまで自然と思
い知る。


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