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クロイ方程式
17
:
桜
:2013/04/05(金) 21:11:15
第2章 ゲーム
転校生がきてから、授業に集中できなくなった。
午前中の授業でも隣の奴がずっと俺に話しかけてくる。
俺は耳にイヤホンをさしてずっと音楽を聴いていた。
そうすればこいつの存在を消す事が出来る。
午前中の授業が終わって、昼休みの時間になった。
「柩ー中庭行こー」
十六夜栞が弁当包みを持って俺の席にやってきた。
「…」
俺は黙って席を外した。
18
:
桜
:2013/04/10(水) 20:28:07
一人にしてほしい。
半日中、隣のやつが話しかけてきて授業どころではなかった。
一人になれる時間がない。
昔はもっと楽だったはずなのに。
誰からも干渉されずに生きられたのに。
高校に入ったのが間違いだったんだな、きっと。
俺は一生自宅警備員でもよかった。
なのに、どうしてだろうな。
あの日、なんで学校に行きたい気分なんてなったんだろう。
自分の気持ちさえも押し殺して生きているようなものなのに。
…気の迷いだったのかもしれないな。
「ちょっとこっち来なさーい」
後ろから誰かに首根っこを掴まれ、後ろに引き摺られていく俺。
「はなせっ…よ」
俺は必死にもがくが、相手が力強いせいなのか、向こうは平気なよう。
廊下の隅の方に非常階段があるのだが、そこで首元が緩まった。
それと同時に頬に鈍い痛みが走った。
19
:
桜
:2013/04/12(金) 23:06:20
「言いたいことがあればはっきり言いな!」
俺をここまで引き摺ってきたのは、やはりこの女、十六夜栞だった。
暇人なのかって思った。
20
:
桜
:2013/04/13(土) 13:53:09
「アンタって本当に不器用ねぇ…」
十六夜栞は俺の前に屈み込む。
「ん、怪我してんじゃん」
十六夜栞は俺の手を掴み、服のポケットからハンカチを取り出した。
それを俺の手にあてる。
どうやら手をどこかできってしまったようだ。
「はなせっ!」
俺は手を強引に振り解いた。
「もう俺に構うんじゃねえ!!」
大きな声で叫ぶと、目の前の奴はビクリッと肩を震わせた。
「お前らが周りにいるだけで目障りなんだよ!!
俺だってちゃんと生きてんだ!!お前らの玩具じゃねぇ!!」
廊下がざわつき始める。
そりゃそうだ。
あんな大声で言ったんだから。
注目されるのは分かってる。
…なんだよ、これ。
ただのやつあたりじゃねーか。
俺は掌を握りしめて、その場を立ち去った。
21
:
桜
:2013/04/13(土) 14:01:17
帰る所はもちろん家。
鞄もなにも持たずに、学校から出てきた。
もう皆滅びればいいんだ。
滅んで、俺一人だけになっちまえばいいんだ。
そしたら楽なのにさ。
目障りな奴らがたくさんいるから、こんな世の中になっちまったんだ。
こんな国…さっさと無くなればいい。
「お待ちしてましたよ。久遠柩様」
自分の世界に行ってたせいか、その声で現実に引き戻された。
「私(わたくし)が送ってくれました招待状、読んでいただけましたでしょうか?」
目の前には黒い服を身に纏った一人の女。
招待状?
なんの話をしてるんだ、この女は。
「申し遅れました。私、こうゆう者です」
その女は俺に一枚の名刺をわたしてきた。
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