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ショート・ショート
1
:
神田吟太
:2012/04/04(水) 10:31:16
時ならぬ台風一過、晴れ渡った空の下をいつものように、駅の近くのコンビニで水と野菜ジュースを買って
事務所に向かって歩道を歩いていた。
紺のスーツに水色のネクタイをした若い男がすれ違い様に、照れながら会釈したように見えた。初々しい感じだ。
誰だろう。歳をとると判断力が鈍い。
すれ違って二三歩、そうださっきのコンビニで働いていた青年だ。
今朝はいなかったのか、気がつかなかった。
この街の事務所の仕事をするようになって、もうすぐ五年。彼はいつからあの店にいたのだろうか。
あっ、就職が決まって初出勤かもしれない。氷河期をアルバイトで耐え忍んでいると勝手に想像していた。
見当はずれかもしれないけれど、おめでとう。週末は桜が咲いているかな。
53
:
津山
:2019/10/22(火) 15:54:48
おでんの豆腐はうまいと思う。
54
:
駄作
:2020/03/25(水) 21:27:16
ジョニーからの手紙
この中に1億円入っているから、パスワードを覚えておいて。
と言って夫は自宅のパソコンのアカウントのパスワードを私に教えた。
1週間後彼は交通事故で早世した。
四十九日が済んで一息ついたとき、私はそのことを思い出した。
そして彼の残したパソコンを開いて、ブラウザのお気に入りの中にある証券会社の
ネット口座のサイトを見つけた。IDとパスワードがわからないためそれ以上は進めなかった。
後日その会社に連絡して、所定の手続きをしてその口座の株を相続した。
顧客勘定元帳を復元してもらうと、確かに1億円の金がつぎ込まれていた。
がしかし、信用取引で失敗し強制損切に遭い残っていたのは、一部上場の有名銘柄で時価2千万円ほどだった。
その2千万円に、交通事故の加害者から受け取った賠償金と彼の生命保険金で、ローンを完済した自宅のマンションの資産価値を加えると
1億円になった。
ああ、もっと優しくしてあげればよかった。こころの籠った料理を食べさせてあげればよかった。
私の後悔の始まりは彼の残したパソコンに入っていた。
55
:
津山
:2020/03/26(木) 19:49:06
パワーがある。
56
:
駄作
:2020/03/28(土) 10:53:14
戒厳令
首都の知事が不要な外出の自粛を呼び掛けている、ニュースが流れている。
パフォーマンスの好きな女性知事だが、国盗り物語に失敗した後は知事に専念しているのだろうか、うまく緊張感を漂わせている。
チャイナ発のウィルスは欧米経由でも我が国に入り込んでいる。正直オリパラどころではない。所詮お祭りと人命の問題では、
どちらが優先されるかは論を待たない。それにしてはもたもたとオリパラの開催延期が決まったようだ。
もともとボタンを掛け違えていたんだ。熱中症で人がバタバタ倒れる時季にやるなんて。
この国の政治家も官僚も劣化している。パフォーマンスが必須アイテムになって本質を見失ってしまっている。
雄二郎はソファで溜息をついて、隣国製の60インチの有機ELテレビを横で黙って見つめている、認知症の妻の肩をそっと抱いた。
57
:
津山
:2020/03/28(土) 12:38:49
自分に何ができるんだろう。
58
:
津山
:2020/04/18(土) 12:38:38
20年前の暮に函館に行った時、外人墓地までの道を尋ねた小学生がいた。
彼女は走って自宅の扉を開けてランドセルをなげこんで案内してくれた。
今勤務している学校の30歳くらいの函館出身の女の先生もいつも走っている。
多分違うんだろうが、そういう想像して一日が終わる。
確かめてみる機会があれば、、、、、。
59
:
駄作
:2020/04/20(月) 09:01:40
20年前45だった。
まだ体にガタは来てなかったな。
何を考えていたのだろう。
酒は飲んでた。今よりも。
もう渥美清は死んでいた。
60
:
駄作
:2020/07/05(日) 17:49:14
戒厳令 Ⅱ
小雨に煙る駅近の通りをゆく人々はみなマスクをしている、宵。
明日は首都のスーパーバイザーを選ぶ日だが、世界的に大流行してる
感染症のため異例の選挙戦となり、最後のお願いの連呼も聞こえない。
通り沿いの縄のれんに一現で入店した。
店に客はいなかった。マスクをしていない老夫婦がカウンターの中にいた。
注文を聞く前に亭主は言った。やっぱり、慎太郎だね。
61
:
津山
:2020/07/15(水) 19:58:17
若い女は不用心。
身体のライン出しまくり。
時代か。
62
:
駄作
:2021/06/04(金) 11:59:11
ワクチン接種の予約をお願いします。記入済の用紙をかかりつけのクリニックの事務員に手渡した。
しばらく用紙を見ていた彼女は、ここでの申し込みだと7月になります。ネットでやって頂けると6月の枠がまだあります。
えっ、そんなことできるんですか!「それなら最初から・・・」という言葉を呑み込んで、彼女の説明を聞いた。
昨日やっと接種券が届いたので今朝から電話を何回か架けたがつながらず、帰宅の途中で寄ったんだけど。仕方ない帰って自宅のパソコンでやろう。
なるほど彼女の言う通りブーブルでクリニックの名前を検索すると、意外に早くヒットした。
ワクチン予約サイトで名前と生年月日とメールアドレスを入力して、まだ空きのある日に予約できた。
こんなに簡単でいいの?でも先週いつもの通院のときにはネット予約なんて言ってなかったなぁ。
63
:
駄作
:2021/07/12(月) 16:10:00
戒厳令 Ⅲ
一年前の今日も戒厳令が敷かれていた。
あの時の少女は何処へ行ったのだろう。雨に濡れた街灯の下で傘も持たずに誰かを待っていた。
今宵も同じように疲れ果てた人々が家路を急いでいる。
あの少女は香港にいたのか、ミャンマーにいたのか。記憶が定かでない。
シュプレヒコールが遠くに響いている。
目覚めろ、もう一度目覚めろ。五年前に死んだ友の声が聞こえる。
64
:
田作
:2023/01/27(金) 09:40:14
寒中見舞い
今朝はこの冬一番の冷え込みだった。帰宅して郵便受けを覗くと葉書が入っていた。
毎年来ている年賀状が今年は来ない、故郷の友からの寒中見舞いだった。
今年から賀状は止めた、という断わりだった。
いつか線を引く問題だが、一抹の淋しさがある。段々アナログの世界はしぼんで行く。
スマホで毎日話も出来れば、顔も見られる。メールのやり取りもできる。
デジタルとはそういうものか。男の遣ることじゃないよ、雄二郎は思った。
「厚揚げ下さい」サイトーさんのおでん屋の情景が浮かんだ。昭和だった。
65
:
神田吟太
:2023/03/07(火) 20:16:31
ジョニーからの手紙 Ⅱ
「自分探しの旅」
息子がそう言ったとき、雄二郎は言下に否定した。
「自分で自分を探してどうする。己とは自己とは絶対的な主観だ。自分に自信のない奴が言い訳がましくそんなことを言うのだ。」
今でもその信念は変わらない。砂糖をまぶした言葉で自分に甘えているに過ぎない。
今の世は自分自身に言い訳をして甘えてしまう風潮を作ってしまった。
自分の息子まで毒されていたとは。
あれから20年、息子は帰って来ない。
妻は悲しみのあまり認知症になってしまった。
サントリで買った5万円のソファに妻と並んで座って、隣国製の60インチの液晶テレビを見ている。
リタイア後の雄二郎は後悔の念に駆られている。
妻が元気なうちに帰って来てくれ。
66
:
津山
:2023/03/11(土) 10:30:10
神楽坂の「重い心」で白鯨を予ゼミやってる同級生のEさんが、アナーキストですかと僕に言った。
それがトラウマなってる。
久里浜の人だった。
彼女も次の横手の友達も結婚して途中で神楽坂を去った。
しばらくはアナーキストの意味を求めて、千葉埼玉川崎千束などを旅した。
ゴッドファーザー3の老境とは違うだろうが、4月からの勤務に。
67
:
田作
:2023/03/11(土) 13:42:13
心も軽く
アナーキストは無政府主義者ですね。
いえ、無頼漢のつもりで言いました。
どちらも人に媚びないですね。
媚びる人に魅力は感じません。
僕があなたを好きだと言ったら、媚びてますか。
永遠にアナーキストでいて下さい。
68
:
駄作
:2023/12/30(土) 10:32:07
来春
・・・でTさんは?
「去年教授で退官したよ」
教授まで行ったんだ。
「御大のお陰だよ。イエスマンだったしね」
Iさんはさんは?
「私大の非常勤だよ。ひと言多かったからね。Tさんより優秀だったけどね」
突然携帯が鳴って、大学の同期と一頻り世間話をした。
博士課程を途中で断念して民間に就職した雄二郎は、その会社に定年まで居て再雇用された。
象牙の塔に未練はない。特別優秀だった由でもない。あの時の判断は間違っていなかったと思う。
サントリのソファに腰を沈めて考えた。年が明けて三月になればいよいよ終わりだ。
早生まれの雄二郎は来年満65歳になり再雇用が終了する。
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