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リレー小説 第三部

1ノートン:2013/07/17(水) 23:15:54
朝の日差し・・・
カーテンを、バッと開ける。
朝の6時。窓越しに見える”みかん牧場”を覗き込む。
「ふぁぁ・・・寝不足だ。」

ここは、小さな村”みかん村”。村の端には、小さな牧場がある。
寝不足の青年は、欠伸をしながら動物たちの世話を始める。
「今日もいい乳出せよ」
「モー」
牛と会話をする青年の名はマッキー。こうして、彼のいつも通りの日常が始まった。

231ノートン:2015/12/13(日) 17:43:44
「ちくしょう!!!」
マッキーは声を荒げ、一休達を背に、走り出す。
アンピーの命は、奴の手中。まんまと、踊らされた。
「人間とは脆い生き物です。どれだけ強かろうと、どれだけ頭がよかろうと。ましてあのような餓鬼。心を攻撃すれば、こんなにも脆い」
一休は、不敵な笑みを浮かべる。
さぁ、縄をほどきなさい、トリム。

走るマッキー。目には、涙を浮かべていた。
「ちくしょう・・・ちくしょう・・・ちくしょう!!!」

その時、後ろから声がする。
「止まれ、マッキー!!」
驚き、振り返る。そこにいたのは・・・。

「J・J!?」
「ヒュペルさんの所には、大物助っ人が向かった!大丈夫だ!」

232キャプテン:2015/12/15(火) 18:40:56
J・Jがマッキーに刀を渡した。
「炎波刀だ。スーさんから、後々必要になるそうだ。」…

…イザナミの町のはずれ
ヒュペルの身体に絡まるチェーン状の歯、それにヒビが入り砕けた。
「いくらギルガーの記憶を掻き集めようと…トマト、お前はアイツになれねーよ。」

…目前にはカロがいた。
倒れたヒュペルが言葉をかけようとする。
「ノスに治療された。まあディスサンで身体をバラしてなきゃ、スナップで体のヒビを閉じれなかったがな…何日もかかったよ。」
質問の前にカロが答えた。身体のあちこちに包帯が残っている。

233ノートン:2015/12/15(火) 23:54:16
「カロ・・・!?」
言葉を失う。目には涙を浮かべるヒュペル。

「さて、話はあとだヒュペル。こいつを始末しよう」
「・・・ああ!」

ゆっくり車椅子から立ち上がる。ヒュペルは、包帯まみれのカロを見る。
「お互い体はボロボロか。」
「そうだな・・・あの頃を思い出す。」
「無有は強かった。それに比べれば・・・余裕だ!」
2人は、トマトを見る。

「話は済んだか?さっさと来い」

234キャプテン:2015/12/16(水) 17:33:11
トマトの全身を鎖状のプロペラがグルグル回り埋め尽くし、地面とこすれ合い滑走する。

ヒュペルの突風は掻き消され、カロはトマトのチェーンソー攻撃に触れられず…二人は切傷を増やすばかりだった。
「ヒュペル、ぶつけろ!!」

カロは木彫を取り出し、ヒビを入れオガ屑にした。それをヒュペルがトマトに飛ばした。

キギッ!!…チェーンの歯が、止まった。
「継ぎ目にオガ屑が詰まったな。」

苦い顔をするとトマトはプロペラをバラけさせた。…バラけたプロペラを避けてカロが中心の宿星を掴んだ。
「捕らえたぜ」

235ノートン:2015/12/18(金) 00:13:36
「”捕えた”はこちらのセリフだ」
トマトの体内で、無数の小さなプロペラが高速回転していた。カロの顔面に向け、大きく口を開く。
「何!?」

口から、空気の竜巻が繰り出される。轟音と共に、カロを襲う。
「はぁあぁぁぁ・・・!!!死んだか」
砂埃が舞う。その足元には、赤い閃光が走っていた。

「悪いなトマト。”レッドアクセル”の射程範囲だ」
真空の風が、バリアとなりカロを守っていた。

「・・・しぶとい奴らだ」

236キャプテン:2015/12/18(金) 12:23:16
「チェーンソーループ、細切れにしろ。」
プロペラが二人を取り囲み繋がる。球体状となり、回転しながら内側に向かって加速する。

「閉じ込められた、継ぎ目も無い。このままシュレッダーにかけられちまう。」
カロが嘆く。
削れていく足場、ヒュペルがレッドアクセルを1つのプロペラに集中させる。
「カロ…これ以上死なせやしない!!」

プロペラが真っ赤に染まり回転が急加速する。繋がれている他のプロペラ達が引っ張られ巻き込まれ、糸玉の様にグルグル巻きになる。

「やめろー!!!」
トマトの悲痛な叫びが唸る。

237ノートン:2015/12/20(日) 18:28:27
高速回転に耐えきれず、無数のプロペラがバラバラに飛び散る。
飛び散ったプロペラは、一か所に集まり始め、トマトを形成していく。
「プロペラ能力・・・お前も相当な化け物だぜ!」

カロが地面に掌を置く。
「スナップ!」
地面に裂け目が発生。大口を開き、トマトを飲み込む。
「ぐ・・・ぐおぉぉぉぉ!!!」
断末魔と共に、トマトは地中深くへと消えていった。

「やったな、カロ」
「あぁ。お前と組めば、楽勝だ!一人じゃヤバかったがな・・・」

その頃、マッキーとJ・Jは、一休たちの前にいた。
「ち・・・茨の縄を解いてやがる」
「おや、マッキーですか。御戻りが速いようで。どうやらトマトは何者かにやられてしまったようですね」

トリムが2人の前に立ちふさがる。
「一休様はとても忙しいの。あなた達坊やの相手は、私がするわよ」

238キャプテン:2015/12/21(月) 12:21:56
「マッキー時間が無い、灯台に向かえ。宿星は一休の方だろう。こいつは俺が引き受ける。」
J・Jがトリムに飛びかかり、押さえつける。その隙にマッキーは灯台へ向かった。
「なかなかのパワーね…“マペット”」
町の家々から小さな人形達が出てきてJ・Jにしがみつく。
「荊の縄を解いたのはこいつらの仕業か。」
トリムに蹴り倒され、J・Jは更に人形達に埋め尽くされる。
「このまま身動きできずに死んでちょうだいね。」

239ノートン:2015/12/23(水) 23:53:08
灯台まで、全速力で駆け抜ける。
「はぁ…はぁ…待ってろよ…アンピー!」
「…仏の道」
「!?」
マッキーの能力が、内側から消えたのが分かった。灯台の麓から、ゆっくりと一休が現れる。
「懲りずに何度も…しつこいですね」
「能力をまた消されたか…でも、残念だったね」
マッキーの手にする剣が、赤く燃え上がる。
「スーさん、炎波刀・お借りします!」

一方、J・Jは、フルパワーでぬいぐるみを振り払っていた。
「邪魔だ…どけぇぇ!!」
「あら!」
突如、トリムが飛び付く。
「なっ!?」
トリムはJ・Jと熱いキスをした。

「やめろ!気持ち悪い!!」
「照れちゃって…可愛いわね。私好みよ!殺してしまうのが惜しいわ…」

240キャプテン:2015/12/24(木) 22:03:39
パワーで押すJ・J、しかし衝撃を吸収してしまうヌイグルミに対して為す術なく覆われていく。
「そろそろね。」
ヌイグルミの人形達の内側から綿が漏れ出し、J・Jの体の機械部品の隙間に詰まり出す。
電子部品から火花が生じ、ショートしだす。
「体が、動かない。」
体の部位の多くを機械化していたため、故障の影響は大きかった。
トリムは微笑みながら、遂にJ・Jの首に手をかけた。

241ノートン:2015/12/26(土) 18:07:07
「ぬいぐるみの綿、耐熱温度はどれ位なんだ?」
J・Jの全身が、小さな歯車となり、小刻みに、回転し始めた。
「私のぬいぐるみの綿が行き渡っていないところが、回転ですって!?」
温度の上昇で、麺が燃え始める。

「ぎゃっ!?」

高温の熱で赤くなる。トリムが離れたと同時に、歯車の回転を止め、冷却に入った。
「(これ以上回転を続けると、俺の体がまいっちまう…)」

その時、突如J・Jが口から血を吐き出す。

「!!??」
「ふふ…ようやく動き出したようね」
「く…苦しい…何をした貴様!」
「キスしたとき、小さな小さなぬいぐるみをあなたの体内に送り込んだわ。今頃、あなたの胃を、腸を…壊しているわぁぁ!」

242キャプテン:2015/12/27(日) 23:01:50
J・Jは倒れこみ、もがき、呻き、痙攣する。自らの腕に噛みつき、ギリギリのところで耐えていた。
「終わったわね。一休様が待っているわ。」
J・Jが気を失う。トリムは人形達を引き連れ灯台に向かう。

ヒュン…

トリムの体から血の斑点が浮かび上がる。辺りには煙を上げる歯車が幾つも転がる。
「さっきの…歯車…生きているはずが…」
トリムが絶命し、横たわる。

歯車を打ち出したJ・Jがよろめきながら立ち上がり、口から何かを吹き出した。

「“ナノマシン”。腕の部品に噛み付いた時に取り込み、体内の人形を排除させたんだよ。」

243ノートン:2015/12/31(木) 16:57:27
「・・・!?(この感じ・・・。トリムがやられましたか)」
「能力は消せても、この炎波刀の炎は消せないようだな・・・一休!」
ミッキーは、一休に斬りかかる。
一休は、遮光旗を広げ、炎をせき止める。

「クソッ!なんだこれ・・・!」
「5大秘宝はその剣だけではありません。」

その時、アンピーの宿星が光り輝き始めた。

「始まりましたね・・・。時間です。オリジナル復活の時!」

244キャプテン:2015/12/31(木) 23:29:14
「知っているでしょうマッキー?あなたが『鍵』だと。」
一休が呟く。
マッキーの腕が勝手に動き出し『アミターユス』が発動し、それが隠体星を貫く。
そして強い光となった。

コトンッとそこから懐中電灯が落ちる。更に骨、血管、細胞、男の体が発生する。
「我が名は…オリジナル。ゴッドパーキンソン、デヌス、無有に次ぐ四神最後の一人なり。」
ガタイの良い男が白と黒の衣をまとい、灰色の髪を長く垂らし、さっきの懐中電灯を手にする。

一休がオリジナルに向き合う。
「“灰電灯”、五大秘宝最後の一つにして灰色の世界の神の本体。アレを手にできれば神の力は我がモノとなるのです。」

245ノートン:2016/01/04(月) 20:54:41
停止していた思考が徐々に動き出す。
自分が鍵だった。そんな事実はどうでもいい。
僕は、アンピーの、アンピーの命を・・・。
「うわぁあああああああ!!!!」

泣き崩れるマッキー。粉々に砕けた隠体星は、塵となり空へと消える。

「何を悲しむ、少年よ」
「アンピーの宿星が・・・くそぉぉ!!!」
「そうか・・・」

オリジナルは右手を伸ばす。
掌には、小さな粒が集まり始め、宿星の形を成していく。

「えっ!?」
「受け取るがいい少年。隠体星だ」

一休は笑う。
「素晴らしい!まさか、宿星を作り出せるとは!」
「我は創世の神オリジナル。全ての宿星は我から生まれた。当然の事だ」
「そうですか。ますますあなたの力が欲しくなりました」
「我を灰色の世界より呼び出したのはそなたか。何故呼び出した」

オリジナルの言葉を無視し、一休はゆっくりと、オリジナルに近づく。

「・・・仏の道」

246キャプテン:2016/01/05(火) 18:10:20
仏が現れ、光が放たれる。オリジナルの肉体は瞬く間に灰となって散った。
「デヌスと同じく、能力で不死の体を保っていましたか。」
転がる灰電灯を一休が掴む。
「遂に、私の手に!!」

マッキーは“青い炎”で自らの体にかけられた“仏の道”を焼き払った。
「お前はいつだって、周りを“利用して”…“切り捨てて”…そうやって!!!」
そこへ階段を駆け上がっていたJ・Jが二人に出くわす。
「マッキー、この状況は?」
マッキーはJ・Jに隠体星を渡した。
「後はわかるな?コイツを…許す訳にはいかないんだ!!!」
J・Jはマッキーの本音を汲み取り、宿星を受け取ると下へと下った。
一休がマッキーに灰電灯を向ける。

「ダスト・トゥ・ダスト(灰は灰に)」

247ノートン:2016/01/09(土) 17:17:00
眩い光が、マッキーの顔面を照らす。
眩しさに、左腕で顔面を覆う。その時…
「うおぁぁぁ…!!??」

左腕が塵となり、消えていく。
とっさに光から脱出するマッキー。しかし、消えた左腕は戻らない。
「ぼ…僕の左腕が!!??」
「フフフ…素晴らしい…素晴らしいぞオリジナル!旗にオリジナルの力に私の力…私はもう、敵なし!」

残った右腕で、炎波刀の炎を燃やす。
「ハァハァ…化け物め。その懐中電灯が無ければ、お前なんか…!」
「小僧。お前は今ここで、私の光で死ぬのです。さんざん私の邪魔をした罰、しかとその身で受けなさい」

その時、フードを被った男が1人。一休の前に現れる。
まるで、すでにそこに居たかのように…。

「お前は…!?」
「兄…さん!?」

「やぁ、僕は、ミッキー」

248キャプテン:2016/01/10(日) 17:17:28
「兄さん」
一休の灰電灯から光が二人に放たれる。
「スライド・ショー」
床や壁がスライドし、二人を守る分厚い盾となる。その端からだんだんと灰になっていく。
「炎波刀の使い方、ダメだね…ハハッ!!」

「灰電灯…ライトセイバー」
灰電灯の光が高密度の剣のようになり、分厚い壁を瞬時に灰にしながら斬り裂いた。
「スーさんと…『一緒に』戦うよ、アミターユス!!!」
切り裂かれた狭間から“白い棘”が突き出す。直ぐさま灰電灯の光を分散するが、灰にしきれず一休が盾にした旗に突き刺さった。

「光合成…。」
口にくわえた炎波刀…
そこから熱を受け、マッキーの右腕の棘は急激に成長し続けていた。
「僕の棘はもう枯れない。永遠に成長し続ける。」

249ノートン:2016/01/14(木) 21:05:30
「お前達2人は相当、私の邪魔をしたいようですね…特に、フードの。お前は群町の時も私の前に立ちはだかりました。何故こうも、都合よく現れるのでしょうか?」
「5大秘宝を持っているのは君だけじゃ無いって事さ。ここに秘宝が3つも揃ってるのには、驚いたけどね」
「そうか…予言の珠ですか。それにしても、そこの餓鬼がお前の事を゛兄さん゛と…。まさかお前達は兄弟ですか」
「素性の詮索は止せよ。君は今から、僕に殺されるんだから」
「させませんよ…仏の道」

ミッキー・マッキーの、能力が消滅する。

「クソっ…またか!」
「マッキー!お前の剣をよこせ!」

その時、懐中電灯から青い光が放出される。ミッキーを明るく照らした。

「お前達を消すのは簡単です。しかし、何故そこまで私の邪魔をするのか、お前の事が知りたくなりました。記憶の光でお前の記憶を探るとしましょうか。ミッキー・ストレート」

250キャプテン:2016/01/17(日) 18:31:09
青光りが辺りを白と黒に染めていく。
「モノクロ、過ぎし日、灰色の世界へ」…

…見た事のない老婆、そして二人の青年ミッキーとスーがいた。
「ミッキー、許せ!」
スーは白い剣を黒く染まったミッキーの体に突き刺していた。
「ぐあ〜!」
苦しむミッキーの声が響き、傷口から体が黒い霧となって散っていった。…

…ミッキーは真っ暗な世界に居た。
ボロボロの体、表情からはとてつもない憎悪がひしめいている。
そこへ光が射し、ミッキーは走ってそこへと逃れた。
黒い剣を持ったスーとダイスが居た。「違う…こいつは『夜の王』じゃない、何で夜の世界に?!」…

…ミッキーはフード姿でダイスとクリーナー宿舎を見下ろしていた。その表情は憎悪に満ち、今にも全てを壊さんばかりだった。

そして二人は群町を去っていった。

251ノートン:2016/01/23(土) 22:00:24
「やめろぉ!!」
ミッキーが叫ぶ。記憶の映像は繰り返され、次第に景色が元に戻る。
「なるほど…あなたの過去が分かりましたよ」
「はぁ…はぁ…最悪な気分だ…」
ミッキーの表情は崩れていた。心を覗かれた事が、大きな精神的ダメージとなっていた。

「…兄さん…スーさん」
マッキーの脳裏には、焼き付いてしまっていた。スーが、ミッキーを刺す瞬間が…。

「ふふふ…2人とも、心に相当な傷を負ったようですね。心と体は一致して、始めて力が出せるもの。能力は使えない・精神も重い。そんな状況でこの私とやり合おうなど、無謀も良いところです!」
懐中電灯の光の色が、青から白に変わる。
「ひと思いに殺して差し上げましょう」

「…させないよ」
ミッキーは手にした炎波刀に力を込める。刀に、青い炎が纏う。
「ここまで恥を晒されて、君を生かして帰ると思うか?一休」
「能力を焼く炎か。私の能力を焼く気か!?」

そう言うと、ミッキーは何と、自分の腕に剣を突き刺す。
「グッ…ぐぉぉ…」
ミッキーが青い炎に包まれる。
「兄さん!?」
「何を考えている!ミッキー・ストレート!」

青い炎を振り払い、ミッキーが地面に手を置く。
「焼いたのは僕の能力じゃない。君の仏の道だ!僕の能力は復活した…『スライドショー』」

252キャプテン:2016/01/24(日) 14:40:22
白光に線が入り、離散し拡散する。壁や床に灰の穴が開く。
「貫け、マッキー!!!」
一休が『仏の道』を発現させた刹那の瞬間、マッキーの右腕の『白木の棘』が“無限の寿命”を使い一休を貫いた。
「…アミターユス」
一休と仏陀星が、出現した“仏”と共に砕け落ちた。
「もうすぐ…」…

…群町に届けられた宿星、一人の女性が目を覚ます。
「J・J、マッキーが!!!」
J・Jが騒ぎ出すアンピーを安心させようと肩を抑え、言葉をかける。

「間に合ったようだ、いつも済まない。」
スーが横になるシルエに話しかけると頷いたように見えた。
外へ出て夜空を見上げる。巨大な満月に黒い影がかかり、やがて月を隠した。
「“月蝕”…水墨鳥の宿星の覚醒は“満月の夜”だったな。」…

…一休の肉体が形を取り戻し、灰電灯を掴む。
「“時”は満ちました、コレで私が“神”です。」

253ノートン:2016/01/24(日) 20:12:36
一休の周りを、灰が舞う。
「その汚い灰を纏うのが神なのかい?」
ミッキーは地面に置いた手から、能力を発動する。
地面を伝い、一休を足から頭にかけて切断する。

・・・しかし。

「!?」
灰が一休を守るように、スライドショーをガード。
そのまま灰は空中を舞う。
「うっとうしい灰だね」

ミッキーは炎波刀を空中で回転させ、灰を焼く。しかし、灰の量は尋常ではなかった。
そのまま、灰はミッキーとマッキーの周りを覆う。

「兄さん・・・これヤバいんじゃ!?」
「懐中電灯と同じで、僕らを灰にされたらヤバいね」

「ふふふ、御名答!このまま消えなさい!」

254キャプテン:2016/01/26(火) 18:14:50
棘や炎を灰に向かって二人は放つ。しかし手応えはなく、やがてミッキーが諦め顔で溜息をついた。
「奴の本体は、デヌス同様に五大秘宝のあの灰電灯だろう。だが、灰塵星が死ねば灰色の世界(過去世界)に支えられていたこの世界も崩壊する。」

ミッキーが自らの左腕に手をかける。するといつの間にかソレは消え、マッキーの失った左腕へとくっついた。
「同じ五大秘宝である炎波刀なら、奴の宿星を吸収し、封印する事ができる。」

驚くマッキーにミッキーが炎波刀を押し付け、手を触れる。マッキーが遂に意味を察して口を開こうとする。
「マッキー、お前の姿を見ていると、少しこの世界に期待してみたくなる。あんなに壊したかった世界なのにな…はは。」

ミッキーが笑った。

「…止め?!「スライドショー!!」
マッキーは声を発した瞬間、灰の外側へとおいやられた。
そしてミッキーは灰の中に飛び込んだ。

255ノートン:2016/01/30(土) 22:14:59
5大秘宝の一つ、予言の珠。
ミッキーはその秘宝でこの未来を見てなかったのか?

否。ミッキーは見ていた。
弟であるマッキーを平然と犠牲にし、一休を討つ自分の姿を。
勝利することを知っていて、この戦いに臨んでいた。
そう、勝利することを知っていて・・・。

「お前の顔を見るたびに、頭が割けそうになる。だから、丁度いいと思った。お前も殺して、一休も殺せば、僕はもう完璧だと思ったんだ。なのに、何してるんだろうな僕は・・・」

周りを灰に囲まれる。灰が、ミッキーを襲う。
「マッキー。最後の頼みだよ」
「最後ってなんだよ・・・止めろ・・・止めろ一休!!!!」
笑う一休。そんな一休をよそに、ミッキーはつぶやく。

「スー・グラウンドを、殺してくれ」
「えっ!?」
「じゃあね、マッキー」

灰が、ミッキーを包む。人の形をした灰は、静かに音をたて、地面へと流れゆく。
ミッキーは、跡形もなく消え去った。

256キャプテン:2016/02/01(月) 18:51:30
「兄さん、“また”置いて行くんだね。」
ミッキーだった灰にマッキーがすがりつく。顔や手が灰で黒くなり、涙の跡がくっきりと残る。
「貴方も、終わりです。」
灰がマッキーを襲う。
「スタッブ・ロウ、炎波刀」
自らの体を棘で覆い、燃やす。表面が灰になり、一休の灰の侵食を妨げた。
「小賢しい真似を、ダスト・トゥ・ダスト」

灰電灯から強烈な光が放たれる。しかし体を覆う灰が光を妨げる。
「灰を…灰には変えれない。」
マッキーが白い棘を突き出す。
灰になる間もなく光を通り、強靭なスピードで成長し続け一休を貫く。
炎波刀を棘に刺し、貫かれた一休へと火が渡り燃え上がる。一休は再生しながら燃え続ける。
「アミターユス、永遠に焼き尽くせ!!」

257ノートン:2016/02/14(日) 13:59:25
「クソ餓鬼がぁ!!」
成長を続ける茨・消滅を繰り返す灰。
再生と消滅は一休の体内において、爆発的に繰り返されていた。しかし。
「神の力を…なめるな!」
徐々に、茨の成長が追いつかなくなる。
一休の体から、茨が無くなっていく。
「その刀も、お前の能力も、神となった私には及ばない…!粉々にした、お前の兄でさえも…ふっふっふ…はっはったは!!」
一休に余裕が出てくる。ついに、一休の体内から茨のとげは消えた。
「打つ手なし…ですね。マッキー・ストレート」

258キャプテン:2016/02/15(月) 17:49:43
棘が灰へと化す。マッキーが炎波刀を握り、構えようとする。
「無駄な足掻きです。」
一休が接近し、マッキーの刀を掴む。光が漏れ、刀は灰となり砕けた。
「炎波刀が!!!」
一休はマッキーの胸倉を掴み、床へ押し倒した。マッキーに抵抗する力はもう無かった。
「この距離なら、被った灰も無意味ですね。」
一休が灰電灯をマッキーの胸に押し当てる。
「さあ、棘の少年…焼かれることなく…枯れることなく…灰に帰すのです。」

マッキーの目頭が熱くなる。
「(嘘だろ…託されたのに、何もできずに!)」
力なく、マッキーの手はぶらりと灰の山に落ちる。手に何か丸い物が触れる。

「…え?」
灰の中から“予言の珠”が転がった。

259ノートン:2016/02/17(水) 20:11:58
マッキーの手元で、コロコロと転がる。
「これは…兄さんの…」
「これは間違いない。予言の珠ですね…そうかミッキー・ストレートはこの秘宝を使って…」

一休は灰を刃物の形にし、予言の珠に突き刺した。
珠にヒビが入り、割れる。

「5大秘宝も私には邪魔です。その刀も、珠も、消えてしまえばいい」

その時、割れた珠の破片が、淡く光輝き始めた…。

260キャプテン:2016/02/20(土) 22:39:33
「スタッブ・ロウ(貫き、列する)」
“予言の珠”の輝きが見せたその光景は、酷くシンプルだった。それは光で写らない程の“細い無数の棘針”だった。
マッキーが放った棘針は、一休の全神経を刺激し…動きを止めた。
「こんな針治療ごときに!!」

背後に誰かが立つ。黒い剣で灰電灯を切る。切り口から黒い空間が広がり灰電灯を飲み込んだ。
「貴様の肉体と灰電灯を切り離した。」
一休の体が灰になっていく。
「フル・ネス(全ての岬)、消滅したはず?!」
一休の肉体が風に流され散った。
「貴様らも“みんな”、騙されただけだ。」

「“スーさん”、何でここに?」
哀しげな顔の男がマッキーに向く。
「夜世界に灰電灯を封印、五大秘宝は現実世界から全て消滅、神の世界への道は遮断される。後は…」
スーが黒い剣をマッキーに突きつける。
「残る方法は、“俺のフル・ネス”と“お前のアミターユス”だけという事だ!!」

261ノートン:2016/02/26(金) 22:36:51
たった数秒の出来事。しかしそれは、マッキーにはあまりにも衝撃的で、理解が追い付かなかった。
突如スーが現れ、見たこともない力で一休を殺し、そして…

「今度は僕を殺す気ですか…スーさん!」
スーの周辺が、漆黒の闇に包まれていく。マッキーは後ろに退く。
その時、ミッキーの言葉が脳裏をよぎる。

(スーグラウンドを…殺してくれ)

「何なんだよ…兄さん…スーさん!!」
マッキーは咆哮を上げる。全身から、トゲを四方八方に飛ばす。スーに向かうトゲは、漆黒の闇に吸収された。

「…え?」
マッキーは偶然見ていた。闇に吸収されず、スーに刺さった数本のトゲが、キラキラと輝く瞬間を。
「こんなものがお前の力か、マッキー」
「ちょ…ちょっと待ってよ…まさか…」
スーがマッキーに切りかかる。マッキーは攻撃を避け、スーの懐にトゲを数本打ち込む。
また、キラキラと反射した。

「何を考えている!」
「やっと分かったんだ。兄さんの行った言葉、そして、お前の正体」
マッキーの瞳に、迷いは消えていた。
「兄さんは僕を守ってくれた。そして、最後の言葉も僕のために…お前を殺すぞ、スー・グラウンド…いや、予言の珠が作り出した、幻影よ!」

262キャプテン:2016/02/27(土) 21:07:53
マッキーが棘を放つ。しかし棘はスーの体をすり抜ける。
「兄さんはスーさんを殺したかったんじゃない。自分の中の“スーへの憎悪”を殺したかったんだ…それを“予言の珠”が吸収した。」
棘がスーの幻影の体内から欠片を突く。欠片が砕けて落ちる。
「無駄だ。“予言の欠片”を全て取り除けるワケないだろ?…マッキー」
黒い影が濃くなる。
「忘れるな、お前にも見せただろう?俺には“この先”が見えている。」

走りこむスーの幻影、マッキーの乱射した棘が先読みされて全てかわされる。
「安心しろマッキー、“未来”でお前は俺に殺されている。」

263ノートン:2016/03/05(土) 15:48:56
スーの幻影は、地面に剣を突き刺す。
周辺が闇に染まっていく。
「何!?」
地面に沈んでいくスー。全身が闇の中へ消えていき、地面は元に戻る。
「き…消えた…いや…そんなはずは無い…どこにいる!?」
周囲を用心深く観察するマッキー。
その足元から、小さな闇が広がり、剣が飛び出す。
「…下から!?」

間一髪、ミッキーは剣を避ける。腕に小さな切り傷を負った。
切り傷から、闇が浸食する。
「何なんだこの能力…」
すると、腕からスーの上半身が飛び出し、ミッキーの首筋に剣先を立てる。
「!?」
「じゃあな、マッキー」

ガキっと音がする。ミッキーの首は幾重もの茨で覆われ、剣の勢いは止まる。
「深いな…この茨」
「スーさん、捕らえたよ」
首筋の茨が急成長。スーの幻影を覆っていく。
「閉じ込めた!」
マッキーは、茨の牢獄の内部に、大量のトゲを打ち込んだ。

264キャプテン:2016/03/07(月) 19:58:46
「予言通り、捕らえたのは俺だ。」
空からパラパラと欠片がマッキーに降り注ぐ。
「予言の珠の欠片?!」
棘の檻に閉じ込められる前に欠片は空に飛ばされていた。複数の欠片から闇が生じ、マッキーの体を闇に染める。
「融合し、お前の体を貰う!!」
スーへの憎しみに体と意識が乗っ取られていく。しかし、マッキーはニタリッと笑った。白い棘を自らの胸目掛けて貫く。
「この未来は見えたかよ…アミターユス!!」
全ての力を振り絞り、マッキーは予言の珠と融合した自分の宿星を貫いた。

「やめ…て…くれ…。」

宿星が破壊され、マッキーの体が元に戻る。体が軽くなり、倒れる身体を誰かが支えた。
「すまなかった。」
その声を聞いた瞬間、マッキーの意識は眠りへとついた。

265ノートン:2016/03/20(日) 22:56:06
「うっ・・・!?」
じわじわと、全身を襲う痛みで、マッキーは目覚めた。
小さな小屋。森に囲まれた、独特の空間が目の前に広がっていた。
小屋にある、小さな暖炉の前。2人は椅子に座っていた。

「目が覚めたか、マッキー」
「J・J・・・アンピーを連れて帰ったんじゃ!?」
「途中、リブに会った。彼に預けて、直ぐ飛んで来たんだ」
「そうだったのか・・・」
J・Jはマッキーを見る。
「酷い傷だ・・・ここでお前は、丸2日も寝込んでたんだ」
「こんなボロッちい所で・・・。どうせなら、もっといい所に連れて行ってくれよ」
「はは・・・すまん」

この場所は、見覚えがある。そう、ここは、クリーナー本部の目の前の小屋。少し進めば、クリーナーのメンバーがみんないる。
「お前をアンピーの元へ連れて行こうとしたが・・・あんな戦いがあった後だ。連れていくべきか迷った」
「・・・見てたのか?」
「向かう途中、最後だけだが・・・。スーさんと殺しあってた。何があった?」
マッキーは、その日の出来事をJ・Jに語り始める。次第に、涙が頬を伝う。

「辛いな・・・マッキー」
「話したお陰で、少し楽になれた。ありがとう、J・J。気付いたよ・・・僕はケジメをつけなくちゃならない。前に進むために・・・!」

夜が明ける。朝の日差しと共に、2人はクリーナー本部の前に立つ。
J・Jが頷く。マッキーは、覚悟を決める。

「出てこい!!スー・グラウンドォォ!!!!!」

266キャプテン:2016/03/22(火) 18:23:55
スーが姿を現す。
「みんなはまだ寝ている、みかん村の方へ行こう。あそこなら邪魔も入らん。」
歩み出すスーの後ろを二人でついていく。

昼過ぎ頃、朽ち果てたみかん村にマッキーとスーが着いた。
マッキーが何か“尖がった物”を取り出す。

…朝方の外出前
「無茶だ、お前は宿星を破壊し『能力を失ってる』んだぞ?!」
「それでもやるんだ。」
J・Jに胸ぐらを掴まれる。顔は伏せていたが、涙を堪えているのがわかった。J・Jをゆっくり引き離し、外へと出て歩き始める。

「マッキー!!」

J・Jが何かを投げつけ、マッキーがソレを受け止めた。折れた槍の先端だった。
「“射光槍の先端”、灯台にあったやつだ。今日一日はお前の宿星の代わりになるはずだ。」

…そして現在
マッキーが槍の先端を自らに突き刺す。槍は身体に溶け込み、両の手から“棘”が生えた。
「準備万端と…いう訳だな。」
向かい合う二人をJ・Jは見守った。

267ノートン:2016/03/23(水) 23:56:24
スーは、新米クリーナーに与えられる、鉄の剣を構える。
お互い見合ったまま、静寂が続く。
その静寂を、マッキーの言葉が砕く。

「兄さんが言ったんだ。"スー・ウラウンドを殺してくれ"って」
「・・・」
「初めは、予言の球が造りだした"幻影の"あんたを殺せって意味だと思ってた」

マッキーの声は、徐々に荒ぶり始める。

「だけど、兄さんは・・・。兄さんが本当に殺してほしかったのは・・・」
「何があった。マッキー」
「何があっただって!?それはこっちのセリフだ!!」

「あの日の夜、あんたは兄さんを斬った!兄さんを殺した!!何故黙ってたんだ!!!」
「・・・俺は殺していない」
「兄さんの心は、あの日死んだんだ!!!!!」

マッキーがスーに全力で斬りかかる。スーがそれを受け止める。
お互いに、すでに戦える体ではなかった。
マッキーの必死の全力が、ボロボロの体のスーには、とても重く感じた。

「マッキー・・・!!」
「知っているか・・・スー・グラウンド」
マッキーは涙を流し始める。

「兄さんは、僕を守って死んだんだ」

268キャプテン:2016/03/24(木) 19:05:32
マッキーが無数の棘をスーの頭上に打ち上げる。
「鹿角流…アントラ」
スーは剣を身体の周りで滑らし回転させ、遠心力で棘を正確に薙ぎ払っていく。

怒りの形相を強めるマッキー、マッキーはスーを囲う様に、棘の箱を構築し閉じ込める。
「マッキー、怒りに身をまかせるな!!」
「うるさい!!!視覚を封じたぞ、串刺しだ!!」
J・Jの言葉を聞かず、マッキーは棘の箱に向かって数多の棘を一気に突き刺す。

「マッキー、“お前も”復讐に取り憑かれるのか?」

スーが折れた刃物を取り出し、自らの胸に突き刺す。刃物が溶け込み、剣が黒く染まる。
「老婆の鎌の破片、使いたくなかったが…」
檻が切り裂かれ、棘が黒い空間に飲み込まれる。
「フルネス」

269ノートン:2016/03/27(日) 20:48:58
スーのフルネスを見て、後退するマッキー。
「またその技かよ」
「なぜ、お前がこの技を知ってる?」
スーの言葉に耳も貸さず、マッキーは地面に座り込む。
「何のつもりだ」

マッキー周辺の地面から、棘が生え始め、次第にマッキーを覆っていく。

「防御に回る訳か」
スーが棘を手当たり次第斬り裂く。フルネスの効果で、棘は夜の世界へ次々と消えていく。

「追いつめたぞ、マッキー・・・!?」
棘の中心に辿り着くスー。しかし、そこにマッキーの姿はない。

「追いつめたのは、僕のほうだ」

スーの頭上、棘の塊の中から、マッキーが飛び出す。
片腕は、巨大なランスと化していた。

「これで最後だ!!!」

270キャプテン:2016/03/28(月) 17:50:53
ランスは硬く、冷たい鉄の塊に刺さった。
「マッキー…止める…んだ。」
J・Jがスーをかばう形で棘が腹に刺さる。
その光景が14年前、ミッキーを突き刺したスーの過去の幻影となり重なる。

J・Jの腹部の金属が落ちると無傷の皮膚があらわになる。
「ゴメンJ・J、俺は…俺は…」
怒りは消えていた。J・Jがマッキーを抱きしめる。幻影が消えていくのをスーが涙しながら見つめる。
空を見上げる。日が沈み、夜が来る。
「ミッキー、俺達は“自分”を許せなかったんだ。…この子達は、答えを見つけたよ。」
夜空に星が瞬く。
まるで散っていった凶星達が空に帰り、彼等を見守っている様だった。

「マッキー、終わらせてくれ。」
スーがマッキーの前で跪く。
マッキーが優しげに語りかける。
「もう、スー・グラウンドは死んだよ。貴方は見届けなければならないんだ…この残された世界を。」

271ノートン:2016/04/03(日) 00:52:08
太陽は沈み、夜が訪れる。
歩くこともままならない2人を、J・Jは支えながら帰路に就いた。
そして、クリーナー本部では・・・。

「アンピー!みんな!!」
名を叫ぶ、フラン。その場にいた全員が、玄関まで走る。

「マッキー!?」
「やぁ・・・。元気そうだね、アンピー」

言葉を遮るように、マッキーを抱きしめるアンピー。
「どれだけ無茶したのよ・・・バカ・・・」
「痛いよアンピー・・・ははは」

その様子を静かに見つめるスーの元へ、幽が歩み寄る。
「お帰り、スー」
「・・・ただいま」

同刻、とある町で、スーツを燃やす男が一人。
「何もかも終わっちまった・・・」
片手に持つ酒を、ぐびぐびと飲む。
「あんたに助けられ、憧れた。だから、あんたの真似事をした。スーツまで着てさ・・・」

悲しげな表情で、燃え上がるスーツを見つめる。
「結局、俺はあんたのようにはなれなかった。エリオットさん」

虎之助は、ジャケットを羽織る。
「俺は旅に出る。自分の生きる意味を、見つけ出す」
前を向いていた。過去は振り返らない。本当の、生きる意味を見つけるために。

272キャプテン:2016/04/03(日) 17:02:44
朝、目覚めると幽とスーが外で待っていた。
「マッキー、探して欲しい人がいる。」

スーとマッキーが群町の下水道で女性を見つける。
「見つかったか、何の用かしら?」
その姿は今までとは違い、人の姿をしていた。
「ゴーストの町の犯罪者達は野放しだ。ゴーストの住人達を先導し、奴隷達を救えるのは君だけだ…ノス!!」
臥せた龍…臥龍ノスが白い蒸気を発して立ち上がる。
「忌わしい力、でも誰かを助けられるなら。」

…ノスを迎えに見通使とボンテージ、シルエが来てくれた。
「しばらくは手伝うで…コレも商売や。」

四人が小さくなっていくのを二人は見守った。

273ノートン:2016/04/17(日) 19:57:36
暖かい、春の風が吹く。
風の中、2つの墓標の前に立つ、リブ・タウン。
「世の中はようやく安定を取り戻した…お前たちのお陰じゃ」

木陰から、カロ・ヒュペルが現れる。それぞれの手には、木彫りの人形、フィギュアがあった。
「ほう…2人とも動けるようになったのか。まさか、そのガラクタを墓標に供えるつもりじゃなかろうな?」
カロが答える。
「これが俺たちなりの感情表現なんだよ、リブ」
陰で、ヒュペルがボソッと呟く。
「フィギュアの良さが分からないなんて、まだまだだ」

「生意気よのぅ、餓鬼ども。ワシがみっちり鍛えてやるから覚悟せいよ…ワシより先に死んだら許さんぞ!」
「このジジイ本気だ…逃げるぞヒュペル!」
「逃がさんぞ、アクセスムーブ!」
「嘘だろ!?」

賑やかな景色が広がる。リブは心の中で、思う。

「(安らかに眠れ、ラック、そして、宮里)」

274キャプテン:2016/04/18(月) 23:12:43
復興中のみかん村
「群町を発つ前に話しておきたかった。」
珍しい組合せの二人が夜の焚き火をする。
「君達は持って一年だろう。」

水墨鳥がマッキーに語り始めた。
「スーと君には多分、元から魂が無かった。神により二つの世界を繋ぐ役割の宿星を埋め込まれ、体を保っていた。しかし…」
自分の宿星を貫いた光景を思い出す。
「今の僕らに宿星は無い…でも生きている。」
マッキーが口を挟み、水墨鳥が頷いた。
「“現実世界のどこかにある魂”、それが作用しているのだと思う。アンピーの時のように…つまり…」
宿星を奪われたアンピーが脳裏に浮かんだ。

「スーは死期の順が来たのだと考えている。マッキー、君はどうする?」

275ノートン:2016/05/03(火) 22:13:16
クリーナー本部の入り口。森に囲まれた静かな場所に、スーは座り込んでいた。

「こんな所で何やってるのよ」
スーが振り向く。そこには幽が、そして・・・。
「キャップ!?」
立ち上がるスー。
「久しぶりだな、スー」
「あぁ、元気そうで何よりだ、キャップ」

すると、スーが少し笑う。
「どうした?」
「いや、この3人が揃うとさ、幽にゲンコツ食らいながら修業したあの頃思い出してさ」
「・・・そういえばそんな事あったな」
2人が幽の顔を見る。そして・・・。

「ハッハッハ!!」「ははは・・・笑わせるなよスー!!」
笑いだすスーとキャップ。

「ちょっと・・・私の顔見て何笑ってるのよ!」
幽のゲンコツが炸裂。
「いってー!」
「あのころと変わらんな・・・幽のゲンコツ」

和やかな雰囲気の中、幽が話を切り出す。
「スー。戻ってきてくれてありがとう。本当に」
「?」
「私たちは、クリーナーを解体して、新しく青空隊を結成するつもりなの。クリーナーは、今回の1件で、世間にひどい印象を与えてしまったわ」
「・・・そうか」

「単刀直入に言うわ。スー、あなたに青空隊の総隊長を任せたいの」
「!?」

しばらく塞ぎ込むスー。そして、重い口を開き始める。
「無理だ、幽・キャップ。俺の命は、持ってあと1年なんだ」

276キャプテン:2016/05/06(金) 18:53:51
二人の表情が固まる。
「何…ふざけた事…言ってるのよ。」
スーは自分に魂の無いことを二人に伝えた。
幽はどこかに走ってしまい、キャップは顔を伏せてしまう。
「すまない。」
それだけを伝え、スーはその場を立ち去っていった。…

…みかん村
マッキーの返答はとても単純なものだった。

「探します。」

「フッ…そうか、話して良かったわ。言っておくけど宿星を探すのとはワケが違うわよ?」
マッキーが頷く。すると後ろから肩を叩かれる。
「今度こそ私があなたを救う。」
「人手は多い方がいい…だろ?」
マッキーが振り返る。アンピーとJ・Jが両肩に手を添えていた。
「君は本当に“仲間”に“恵まれた”な。」
水墨鳥は三人の目の前から立ち去っていった。その後の彼女の行方を知る者はいない。

277ノートン:2016/05/15(日) 23:36:48
水墨鳥について、幽は後にこう語る。

「私が彼女にした酷い行動が、今回の彼女の行動に繋がった…初めは私もそう思ったわ。でも、引き出しから出て来た彼女の手紙にはこう記されていたの。

"あなたのせいじゃ無い。クリーナーのせいでもない。むしろ、こんな私を受け入れてくれたみんなには、感謝してる。だから、助けたいの。スーを、マッキーを。

昔、老婆一派であるエリオットが、5つの宿星を生贄にして、復活したのが私。ひょっとしたら、私の体には、宿星が5つある可能性があるの。だから、自分と向き合ってくるわ。そして、2人を助ける。

1年後、必ず戻るわ。それまで、クリーナーを頼むわね、幽。"

水墨鳥は、仲間の為に…!
こんな手紙読んで、黙っていられるもんですか。私も意地でも助けてやるわ。スーとマッキーを!」

一方、フランはベルヴァリンの元にいた。
ベルヴァリンは町で土木の仕事をしていた。

「かつてのスケルトンクリーナーが、土木作業員とは…人間分からないものだな」
「…何の用だ」
「あんたの中の、再生星に用があるんだ。仲間が2人死にかけてる。強力してくれ」
「…俺の再生星は、あの時ゴーストで死んだ。強力を頼む相手を間違えてるぞ…帰れ」

「なら何故、お前は生きてるんだ? 」
「…!?」

ベルヴァリンは自分の胸に手を置く。小さく揺れる、魂の声を感じた。

278キャプテン:2016/05/21(土) 23:35:29
夜明け前
眠るマッキーをベルヴァリンが見下ろす。
「スコットと同化した時、宿星を奪われ体に流れ込んできたこの魂、まさかお前のだったとはな。再生能力のせいで俺は長く生き過ぎた…コレは返すよ。」
マッキーの胸元に手を置くと光る魂が入る。…ハッと目覚める。そこには『金属の爪』だけが残り、朝日に輝いていた。
「ベルヴァリン…すまない、安らかに眠ってくれ。」…

…明朝、みかん村
「お前は魂を取り戻せたようだな。」
木陰に座るスーが大荷物を抱えて現れたマッキーに話しかける。
「俺とお前は神の出現の為に魂を抜かれ、宿星を与えられた。干潟、ソニカル、カルラ、フレッシュ、ヘルシー、ラック、宮里…そしてミッキー。俺の戦いにみんなを巻き込み死なせてしまった。次は俺の番だ。」
マッキーが木を見上げる。
「来年の秋、この木にミカンが生る。その時、またここで会おう…魂を手土産にね。 」
マッキーが手をさし出す。スーは呆れ果て手を握り合った。

マッキーはJ・J、アンピーの待つ方へ向かう。
「兄に似てお節介なヤツだな。」
スーは現れた幽に肩を叩かれる。フランとキャップも来ていた。
「ああ、全くだよ。」

若き三人はスーの魂を探しに旅立ち、それを青空隊の四人が見送った。
…そして月日は流れる。

279ノートン:2022/05/23(月) 23:06:53
そして、3年後ー。

青空隊は、治安維持の為に様々な土地を回っていた。
「次の町への出発準備は出来たわよ、幽」
「ありがとう水墨鳥。もう行くってのに…バカ隊長はどこに行ったのよ!!」

街から少し離れた、静かな丘。
ここに”青空隊 隊長”のバッジを付けた男が寝転んでいた。
「隊長!スー隊長!!」
「マッキーか、どうした?」

死の宣告を跳ね除け、なんとスーは生き延びていた。仲間達の必死の活躍の元、新たな宿星を手に入れ完全復活した彼は、後に隊長を就任した。

「戻りましょう!幽さんが怒ってますよ」
「すまんな…眠くなっちゃってさ」
スーの言葉を聞くと、マッキーも寝転んだ。
「ミッキー兄さん、あの世で見守ってくれてるかな…」
「あいつは見てるさ。干潟さんと一緒にな」

その昔、108の宿星が地に降り注ぐ。同時に幾度となく襲い掛かってきた災い、そして神ー。
それら全てを乗り越えて来た、青空隊。

彼らはこれからも、正義の道を歩み続ける。

280ノートン:2022/05/23(月) 23:07:29
リレー小説 第3部 





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