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あの作品のキャラがルイズに召喚されましたin避難所 4スレ目

77ウルトラ5番目の使い魔 64話 (9/19) ◆213pT8BiCc:2017/09/08(金) 12:08:19 ID:EofJgLJk
 しかしギーシュの耳には、会場の賞賛はほとんど届いていなかった。彼の意識のすべては、いまだずれることなくルビアナに向かい続けていたのだ。
「ルビアナ……最高でした。ぼくは、こんな楽しいダンスをこれまで経験したことがなかった。一生、いえ来世まで決して今日のことを忘れることはないでしょう!」
「ありがとう、ギーシュ様。わたくしも、心から楽しいひと時を味わわせていただきました。あなたにパートナーになっていただいたことは、間違いではありませんでした」
 それはギーシュにとって最高の賛辞であった。この世にふたりといないほどの完璧な女性に認めてもらえたことは、グラモン家の人間としてこれほど誇らしいものはない。
 しかしギーシュの夢見心地はすぐに終わらされた。ダンスが終わると、ルビアナには「次はぜひ私と踊ってください」と、貴公子たちが押し掛けてきたのである。ギーシュはたちまち押し出され、現実を意識させられた。
「そ、そうだよね。園遊会じゃ、これが当然さ……」
 少しでも多くの貴族とつながりを作るため、有力な貴族は次々にパートナーを変えることが常識だ。
 しょせん、自分は偶然選ばれたそのひとりに過ぎない。ギーシュはすごすごと引き下がろうとし、そんなギーシュをモンモランシーはやきもちという名の歓迎で慰めようとやってきた。だが、ギーシュが踵を返そうとした、そのとき……
「お待ちになって、ギーシュ様」
 ぎゅっと手を握りしめられ、振り返ったギーシュは自分の目を疑った。ルビアナが、自分の手を握って引き留めてくれているではないか。
「まだ、わたくしたちのダンスは終わっていませんわ。アンコール、よろしいかしら?」
「ル、ルビアナ……」
「うふふ。さあ参りましょう!」
 ルビアナはそのままギーシュの手を引いて駆けだした。ギーシュは訳も分からず、「えええっ!?」と、間抜けな声と顔をしながら引かれていく。
 当然、貴族たちは愕然とする。そして、ギーシュの兄たちをはじめとする何人かは後を追って走り出そうとしたが、その背に鋭い叱責が投げかけられた。
「お待ちなさい!」
「じ、女王陛下!? しかし」
「無粋な殿方を好く女性は、この世に一人もおりませんわよ。それにわたくしは、ミス・ルビアナに楽しんでいってくださいと言いました。せっかくのところに水を差して、わたくしに恥をかかせるつもりですか?」
 アンリエッタは、自分にも覚えがあることだけに、ふたりを引き止めることを許さなかった。まさかこうなるとは予想外だったが、乙女心がどういうものなのかは自分が一番よく知っている。
 がんばってくださいね、とアンリエッタは心の中でエールを送った。この園遊会で、少しでも多くのトリステイン貴族がルビティア家と交友を持ってくれることを期待していたけれども仕方ない。マザリーニ枢機卿は怒るだろうけれど、国家の繁栄とロマンス、どちらが重大であるかなんてわかりきったことなのだから。
 女王にそこまで言われては、貴族たちも引き下がるしかなく、悔し気にしながらも足を止めてふたりを見送った。ただ一人を例外として。
 
 ルビアナは、ギーシュの手を引いたままパーティ会場を抜け、邸宅の敷地も抜け、そのままの足でラグドリアン湖の湖畔へとやってきた。


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