したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

あの作品のキャラがルイズに召喚されましたin避難所 4スレ目

161暗の使い魔 ◆q32nIpOrVY:2017/10/12(木) 00:05:05 ID:RnTYwnAY
「……月見か?空模様は生憎そうだがな」
曇り空で隠れそうな月を見上げながら、官兵衛が言う。
立ち尽くしたままのルイズに、官兵衛が歩み寄る。
しかし、近づく官兵衛から表情を隠すかのようにルイズは顔を背けた。
「……こないで」
短くか細い声が、彼の耳に届いた。
「おい?」
「おねがい」
普段のルイズから想像もつかず、声は弱くふるえていた。
どこかすがるようなそれに、官兵衛は思わず立ち止まる。
二人の間に、しばしの静寂の時間が流れた。
「…………ひっく」
肩を引きつらせ、ルイズが背を向ける。
仕方なしに、ルイズがいる窓から反対の壁に寄りかかると、官兵衛は言った。
「お前さん、皇太子と話したのか」
しばしの間の後、ルイズはこくりと頷く。
それを見て、官兵衛は短くそうか、とつぶやくと言った。
「姫さんの願いは、届かなかったか」
「えっ……?」
その言葉を聞き、ルイズが驚きの顔で官兵衛を見やる。
なんでそれを、とでも言いたげな表情である。
官兵衛は笑いかけながら言う。
「おいおい、小生は二兵衛の片割れだぞ?あの時、手紙をしたためる姫さんの顔見りゃその程度察しがつくよ」
よっこいしょと鉄球に座り、じっとルイズを見る。
みればルイズの顔は涙の跡新しく、相当泣きはらした様相である。
官兵衛は静かな口調で続けた。
「異国の王子と姫君が、ってのはどこでも同じだな。たとえそれが実らなくても、そいつに生きて帰ってほしいって願うのは、皆そうだろうよ」
ルイズの自室で、ブリミルに懺悔しながら手紙に一文を付け足していたアンリエッタを思い浮かべる。
「姫さんは想い人に亡命をすすめた。『その恋文』を出すほどの愛の人にな」
ルイズが懐にしまってある、目的の手紙を指しながら、官兵衛は言う。
「だが奴さんはつっぱねたんだろ?」
官兵衛の言葉に、ルイズはぐっと唇を噛む。しかし耐えても、瞳から玉のような涙がこぼれた。
「……ウェールズ皇太子殿下は否定したけど、姫様は間違いなく手紙にその旨を記されていたはずよ。あの時、姫様からの手紙を見てた殿下の表情は……」
そこまで思い出して辛くなったのか、ルイズは再び背を向けた。
なるほど、と官兵衛は頷いた。
「ねえ、どうして?」
ルイズが涙交じりに官兵衛に問う。
「……っく、どうしてっ、ウェールズ殿下は死を、選ぶの?」
言葉に嗚咽が混じる。しかしルイズは続ける。
「姫様は逃げてって言ってるのに……。愛する人がそれをのぞむのに……」
ヒックヒックと泣きはらしながらなお続けるルイズに、官兵衛が歩み寄り肩を叩く。
しかし、ぽんぽんと肩にかかる優しい感触に、彼女の悲しみは膨れるばかりである。
そして、言うか言うまいかしばし悩んだが、官兵衛は静かに答えた。
「皇太子が姫を想ってるのは同じだ」
ついとルイズが官兵衛を見やる。
「だが、その想いがあるから、戦の火種を恋人の国に持ち込みたくないんだろうよ」
官兵衛が淡々と話し始めた。だがルイズは。
「なによそれ。意味わからない」
どうにも納得できないという顔である。
「愛してるなら、どうしてそばに行かないの?姫様のそばで一緒に……」
「おいおい」
官兵衛は再びなだめるようルイズに言う。
「貴族派の勢力を見ろ。あんだけ勢い付いちまったらもう止まらない。そしたらその矛先はどこに行く?」
アルビオンを制圧し、レコンキスタは次に何をするのか。それは、立地的に間違いなくトリステインへの進行だろう。
彼らが掲げるのは、ハルケギニアの統一そして聖地の奪還なのだから。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板