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あの作品のキャラがルイズに召喚されましたin避難所 4スレ目

152ルイズと無重力巫女さん ◆1.UP7LZMOo:2017/09/30(土) 23:46:16 ID:Xfy8vrRQ
 閉じた本を腕に抱えた彼女は一人呟きながら席を立ち、着替えや荷物のある喧しい屋根裏部屋へと戻り始める。
 まだ釘を打つ音や金づちによる騒音が絶え間なく聞こえてくるが、着替えに行くだけならば問題は無いだろう。

 今手持ち無沙汰な自分が何をすればいいのか…という事について既に彼女は幾つか考えていた。
 とはいってもそのどちらか一つを選ぶことがまだできてはおらず、一人呟きながらそれを決めようとしている。
「まずは…情報収集かしら?…それとも頑張って資金泥棒を捜すとか…うーんでも、うまくいくのかしら」
 傍から見れば変な人間に見えてしまうのも気にせず、一人悩みながら二階へと続く階段を上ろうとした…その時であった。

「おーい、、誰かいないかぁ?」
 階段のすぐ横にある羽根扉の開く音と共に、若い男性の声が聞こえてきたのである。
 何かと思ったルイズが足を止めてそちらの方へ顔を向けると、槍を手にした一人の衛士が店の出入り口に立っていた。
 気軽な感じで閉店中である店の羽根扉を開けてこっちに声を掛けて来たという事は、この近くの詰所で勤務している隊員なのだろう。
 外は暑いのか額からだらだらと汗を流している彼は、ルイズを見つけるや否や「おぉ、いたかいたか」と笑った。
 ルイズはこの店に衛士が何の様かと訝しむと、それを察したかのように二十代後半と思しき彼がルイズに話しかけてくる。
「いやーすまないお嬢ちゃん、少し人探しに協力してもらいたいんだが…いいかな?」
「お…お嬢ちゃんですって?」
「―――!…え、え…何?」
 いきなり平民に「お嬢ちゃん」と呼ばれたルイズは目を見開いて驚いてしまい、ついで話しかけた衛士も驚いてしまう。
 生まれてこの方、平民からそんな風に呼ばれたことの無かったルイズの耳には新鮮な響きであった。
 だが決してそれが耳に心地いい筈が無く、むしろ生粋の貴族である彼女にとっては侮辱以外の何者でも無い。
 本来ならば例え衛士であっても、不敬と叫んで言いなおしを要求するようなものであったが…

「う……うぅ……な、何でもないわよ」
 ついつい激昂しそうになった自分の今の立場を思い出すことによって、何とか怒らずに済んだのである。
 今の自分は任務の為にマントはつけず、街で買ったちょっと裕福な平民の少女が着るような服装で平民に扮しているのだ。
 だからここで無礼だの不敬だのなんて叫んで、自分が貴族であるという事を証明する事などあってはならないのである。
 故にこうして怒りを耐え凌いだルイズは怒りの表情を露わにしたまま、何とか激昂を抑える事が出来た。
 危うく怒ったルイズを見ずに済んだ衛士は「あ…あぁそうかい」と未だ怯みながらも、懐から細く丸めた紙を取り出した。
 一瞬だけそっぽを向いていたルイズが視線を戻すと同時に、タイミングよく彼も紙を彼女の前で広げて見せる。

 その紙に描かれていたのは、見た事も無い男性の顔のスケッチであった。
 年齢はおおよそ四〜五十代といったところか、いかにも人の上に立っているかのような顔つきをしている。
 自分の父親とはまた違うが、もしも子供がいるのならいつもは厳格だが時には優しく我が子に接する父親なのだろう。
 そんな想像していたルイズが暫しそのスケッチを凝視した後、それを見せてくれた衛士に「これは?」と尋ねた。

「ウチの詰所じゃあないが別の詰所担当の衛士隊隊長で、昨日から行方不明なんだ。
 それでもって…まぁ、今も所在が分からないうえに自宅の共同住宅にもいないからこうして探しているんだよ」

「衛士隊の隊長が行方不明ですって?」
「あぁ。…それでお嬢ちゃん、この顔を何処かで見た覚えはないかい?」
 丁寧にそう教えてくれた衛士はルイズの言葉に頷くと、改まって彼女に見覚えがあるかと聞いた。
 またもやお嬢ちゃん呼ばわりされたことに腹を立てそうになったものの、何とか堪えてみせる。


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