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日本大陸を考察・ネタスレ その179

66モントゴメリー:2021/03/24(水) 00:19:19 HOST:116-64-111-22.rev.home.ne.jp
戦後、帰国したペタン元帥は本国においても同じ衛生方針を浸透させようとした。
しかし他に優先すべき事柄が多数あり、それに対応しているうちに道半ばで彼は「英雄」から「英霊」になってしまった。
彼の後を継ぐ形となったジョルジュ=ビドー率いるFFR政府も、国民の衛生方針については全面的に同意することとなった。
未だにエストシナ地域での戦闘は継続中である。ならば、本国にいる内から国民たちに衛生的な習慣を根付かせることは利点が多いと判断されたのだ。
しかし、それを実現させるためには超えなければならない問題が存在していた。

問題点は主に次の三つであった。

1,根本的に水が足りない
2,水の硬度が高すぎるため入浴や手洗いに適さない
3,国民の衛生に関する意識の欠如

1,の時点で既に致命的である。FFRヨーロッパ州は農業生産高も高く水が豊富だと思われがちであるが、人間が使える「安全な」水はそれほど多くはない。
アフリカ州に関して言うと北部はサハラ砂漠のど真ん中であり、中部以南もそれほど水資源に余裕は無い。
2,に関しても地形的特性によるものであり、根本的解決は不可能と言ってよい。
3,については、「どうすればいいのかわからない」というのがビドー以下FFR政府の嘘偽らざる本音であった。
エストシナで地獄を見た帰還兵たちはともかく、大多数の国民は食事の前に手を洗うことの必要性すら理解していなかったのだ。

前途多難という言葉でも言い表せない惨状であったが、ビドー大統領は屈せず実現のために邁進していった。

水資源の確保については、海水を淡水化することで賄うこととした。
この方針によりFFRの海水淡水化技術は年々洗練されていき、21世紀を迎えるころにはOCUと肩を並べるほどと形容されるまでになった。
また、この技術を用いることでアフリカ州の緑地化政策も大きく前進することとなる。
しかし、これは長期的解決策であり短期的解決策にはならなかった。

短期的解決策として採用したのは「アルコール消毒の徹底的推進」である。消毒用アルコールならば、当時のFFRでも大量供給が可能であったからだ。
そのため、義務教育の頃から国民に対して繰り返し繰り返しアルコール消毒の重要性を教育していった。

国民意識の改革については「FFR建国神話」が大きな効果を発揮した。

——戦場で敵弾に斃れるはFFR国民にとって最高の栄誉である。しかし、感染症や風土病で苦しみながらオセアンの指揮下に「転属」するのは不名誉な事だ。
それ以前に、そんな辛く苦しい「転属」方法など御免である。
また、「転属」する際に血にまみれ臓物をまき散らすのはFFR国民の宿命ではある。しかしだからといって不潔な体で普段から過ごすのはリシュリューに対してもオセアンに対しても礼を失する行為である——

こうした関係各所の不断の努力と、国民の自発的意識改革によりFFRの衛生水準は歳を経るごとに大きく向上していった。

21世紀現在のフランスでは、親たちは遊びに行く子供たちに女神ジャンヌ・ダルクのお守りと共に
ウェットティッシュ(主にアルコールタイプ)もしくは除菌ハンドジェルを持たせるのは義務と呼ぶべきものとなっている。
もちろん、大人の場合でも最低限のマナーである。




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