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ギャルゲ2nd没ネタ投下スレッド

1うっかりな名無しさん:2008/03/19(水) 02:45:42 ID:n7wrypoI
スレタイトルの通り、被りや何かで投下できなくなった作品を投下するスレです
あくまで本スレには持ち込まず、没ネタに関する感想はこのしたらば内で行って下さい

2 ◆jRWsRROwBY:2008/03/19(水) 02:47:49 ID:grAqwEuc
では、さっそくつかわせてもらいます
没にしたシリアスパートを

3 ◆jRWsRROwBY:2008/03/19(水) 02:48:27 ID:grAqwEuc







突然だが、トーニャ・アントーノヴナ・ニキーチナは『スパイ』だ!







正式名称はアントニーナ・アントーノヴナ・ニキーチナ。
ただし彼女が留学という名目で通っている神沢学園ではトーニャ・アントーノヴナ・ニキーチナと名乗っている。
しかし、トーニャ以降の名前を一度で覚えられた人間は学園にはいなかったので、以降の呼称はトーニャとする。
彼女は神沢学園に通う一生徒。
一応神沢学園の生徒会役員も務めているが、それはたいした問題ではない。
そう、何を隠そう、彼女は先に述べた通りスパイだ。
コードネームは白い狐(ベルーカ・リシーツァ)。
それに比べれば生徒会役員という表の顔など、ただの記号以下の存在に成り下がるだろう。
本職ともいうべき裏の顔では神沢学園、および神沢市に住む人妖の調査を主な目的としている。
さて、ここで神沢市と人妖という言葉について説明しよう。

まず、人妖について。
人妖とは第二次世界大戦後、突如として発生し始めた、通常の人間ではあり得ない能力、性癖を持つ人の総称。
その能力とは個人によって様々で、とんでもない怪力を発する人妖もいれば、特定のもの(例えば茶碗など)を何も使わずに無差別に引き寄せることもできる人妖もいる。
また、床を舐めずにはいられないという変わった性癖を持つ人も人妖と呼ばれており、役に立つ能力から使えない能力まで千差万別だ。
人々は彼らを『人妖病』というカテゴリに括った。
人妖病――正式名を後天的全身性特殊遺伝多種変性症、ASSHS(アシュス)患者というが、日本では人妖病という俗称の方が知名度が高い。
ちなみに、「病」という文字が使われているが、別段、彼らは入院や通院が必要ということはない。
危険な能力を持っている者は入院する必要があるが、それは世間には知られてない。
彼ら人妖は生まれたときから人妖の能力を持っているものもいれば、後天的に人妖能力に目覚めるものもいる。
トーニャの身近な知人で例を挙げるなら、前者は一乃谷兄妹、後者で言えば如月双七が当てはまるか。
だが、先天的に人妖能力を持っていようが、後天的に目覚めようが、どちらにせよ変わらない事項が一つだけある。
それは、すべからく人妖は人間に疎まれ、迫害されるということだ。

4うっかりな名無しさん:2008/03/19(水) 02:49:13 ID:grAqwEuc
人妖は常人には持ち得ない能力を持つ。
また常人には理解できない、容姿、性癖を持つ。
人間は昔から異質な存在は受け入れる前に排除しようと動く。
彼らの能力を忌み嫌い、あるいは自分にはない力に嫉妬して。
人々は人妖病患者のことを化け物と罵った。
時には人妖病患者と間違えられて、リンチにあって人が死ぬこともあったという。

「こっちに来るなよ!」
                          「あっち行け、化け物!」
        「このミュータントが!」
                                                  「死ねよ、変質者」
                「アンタらは人間じゃないのよ!」
  「あの子、怖い……」

もしかしたら、人間はそれは迫害ではないと主張したかもしれない。
これは迫害ではなく、自分の身を守るためだと。
その陰で泣いている善良な人妖病患者を見ない振りをして。
いつだって、人間は己の行為を正当化して生きてきたのだから。

そして、世間に人妖という言葉が認知されてきた頃に起こった、初めての人妖病患者による犯罪。
人々はそれを一斉に非難し始めた。
鬼の首を取ったかのように彼らは声高に叫ぶ。

それ見たことか。
やはりやつらは危険な存在なんだ、と。

犯罪を犯した人間の真意は今となっては分からない。
自らの力に酔いしれて凶行に走ったのかもしれない。
あるいは、化け物と呼ばれることに絶望して犯行に及んだのかもしれない。

とにもかくにも、各国の政府は世論に押される形で人妖病患者をありとあらゆる方法で取り締まり始めた。
人妖への風当たりがますますキツくなる。
日本では、人妖を収容するための施設の建築する計画を打ち立てた。
しかし化け物と呼び嫌う、人妖を大規模に受け入れる施設の建造を許す都市などそうそうない。
見返りの莫大な補助金という餌に食いついたのも、K県神沢市のみだったという。
しかし神沢市でももちろん市民の反対運動が沸き起こった。
市長は失脚。
しかし、収容施設の建造は続けられた。
続々と人妖と認定された人が神沢市に集結する。
すぐに施設の収容数は限界に達し、新たな施設の建造が続く。
また施設が一杯になり、新しい施設が必要になる。
神沢市の人妖の数は日増しに増えていった。

5うっかりな名無しさん:2008/03/19(水) 02:49:52 ID:grAqwEuc
結果、人妖との共存を拒んだ人間は神沢市を出て行き、みるみる神沢市の人口は減少の一途を辿る。
反対に神沢市における人妖の比率はその数を増やしていく。
人妖を受け入れる場所は神沢市にしかないのでそれは自明の理と言えよう。
ある人は安息の地を求めて、ある人は親に捨てられたも同然の形で、ある人は迫害から逃げ込むように神沢市を訪れる。
最終的に神沢市における人妖の構成比率は96%にも達した。
人妖というと、如何にも化け物のような呼称だが、人妖の多くは普通に社会生活を営むこともできる。
神沢市の都市としての機能も滞りなく動いていた。
ここにきて、政府は神沢市を人妖隔離都市に認定。
神沢市を取り囲むように大きな塀が作られ、市内にいる人妖が外に簡単に出られないようにした。
いつの間にか、神沢市は世界に名だたる人妖都市として高い知名度を得ていた。




さて、話は変わるが、どういうわけか、人妖病患者は日本とドイツで飛びぬけた数が確認されている。
他の国にも多少は人妖もいるし、まだ人妖能力に目覚めてない潜在的な人妖病患者もいるだろう。
だが、それを差し引いても日本とドイツはずば抜けた数の人妖がいた。
その原因は一切不明。
地形、風土、文化、気候、あらゆる角度からこの原因を突き止めようと今でも研究はされているが、原因はいまだ不明。
まっとうな研究者からちょっとしたオカルトマニアまでが日々奇説を唱えている。
「これはア○リカの陰謀だ!」と騒ぐ人もいた。

さらに話は飛ぶが、人妖病患者の中には、例えば、とんでもない怪力を発するという軍事方面に利用できる能力もある。
人間よりも遥かに優れた能力を発揮できる生物を国が放っておくはずがない。
各国のスパイが日本とドイツに潜伏した。
「人妖能力の詳細なデータを送れ」と命令されて。
人妖病患者が多い日本の中でも、96%が人妖病患者で占められた神沢市。
この都市に狙いをつけない者はいない。

6うっかりな名無しさん:2008/03/19(水) 02:50:44 ID:grAqwEuc
ここで、ようやくトーニャの出番である。
何度も言うが、彼女はロシアのスパイだ。
彼女も他の国のスパイと同じく、人妖の詳細なデータを蒐集するためにこの神沢市へと送り込まれた。
人妖に関するデータを余すところ無く報告し、必要とあらば尾行、盗撮、それ以上のこともやるために。
神沢市に行くための大義名分は留学。
外国から人妖病患者がくるのは珍しいことではない。
大抵は留学と言う名の隔離、または島流しだ。
留学してきた子も、神沢市に入学するという行為の意味は十二分に承知しているため、ある種諦めにも似た感情で日本を訪れていた。
しかし彼女は、トーニャは違った。
彼女にはこの明確な目的があって神沢市を訪れたのだ。
パートナーであるウラジミールとは血の繋がった兄妹という設定。
それで、なんなく神沢市に潜入することに成功した。
潜入した学園では皆が同情してくれた。
向こうでは大変だったんだろうね、と。
彼らもまたほとんどが人妖であり、神沢市の外で人妖がどのような扱いを受けているか、身をもって知っている。
トーニャもまた「えぇ、色々ありました……」と適当にはぐらかして言って、心配してくれた人々の想像力を刺激した。

確かにロシアでの日々は大変だったが、迫害が酷かったわけではない。
むしろ、トーニャ自身は迫害された記憶は無い。
大変だったと言えるのは、スパイとなるべく受けた数々の訓練だったろうか。
孤児だったトーニャは妹とともにある人物に拾われてから、スパイになるべく数々の英才教育を受けた。
日本語、英語、ドイツ語、フランス語の各国の言語の習得。
各種技能、専門知識の学習。
サンボ、空手、ボクシングなどの格闘技の訓練。
射撃も練習させられた。
しかし、大変だったとはいえ、トーニャはこの訓練を苦痛に感じたことは無い。
むしろ、乾いた砂が水を嬉々として吸収するように、彼女も妹も貪欲に知識と技能と経験を貪っていった。
まだ見知らぬ知識との邂逅は彼女の好奇心を刺激し、日々の訓練は彼女の心と体の両方を鍛えた。
そして、数年の月日が経つ。
まだ10代半ばにして、これらの訓練を成し遂げたトーニャは妹を置いて、任務と共に日本に送られた。

7 ◆jRWsRROwBY:2008/03/19(水) 02:53:37 ID:grAqwEuc
投下終了です
あやかしびと未プレイの人の為に、冒頭に世界観の説明を入れてました
しかしシリアスとギャグの両立は無理と判断してばっさり切り捨てた次第であります

8うっかりな名無しさん:2008/03/19(水) 15:32:26 ID:YDcbubdw
遅れましたが乙
作品の紹介にもなってて良いな

9うっかりな名無しさん:2008/03/19(水) 22:56:19 ID:1FWdP4jc
没投下乙です。
いや、あやかしびとの世界観がわかって助かります。人妖、なかなか酷い状態にあるんだな。

10LIFE DIVE APPEAL ◆AZWNjKqIBQ:2008/03/31(月) 20:00:59 ID:p.yIkAYw
いつも同じ軋む音を立てる扉を開く。
迎えてくれたのは午後の真っ白な太陽。
ランチを終えた後の身体にほどよい休息を促してくれる、しかし今は少し苛立ちを覚えさせる太陽。

真っ白な視界も、苛立ちも一瞬で終わり目の前に人影が現れる。
5つの人間モドキ。そして、私と美希――合わせて7人。全世界の人口の7/8がここにいた。
それは都合のいいことだった、何故なら、私は、――彼らに交流を断絶することを宣言しに来たのだから。

人は人を傷つける牙を持っている。
だから、それを断絶――する。私と私の大切なものを守るための壁を立てて――。

『……――あいつを殺して!』

――だが、不穏ながらも平穏に済みそうだった交渉は唐突に破綻した。
事態は急転直下に最悪へと堕ちて行く。まだ、この下があったことを全員に認識させる。

私の背中に隠れている美希の言う――あいつ。それが、誰かは凍りついた頭でもすぐに解った。
威嚇のために持ってきていたボウガンを構え、あいつ――黒須太一に向け……向けて、向け……、
言うは易し、だよ。と思わず後ろの美希に言いたくなった。
コレがこんなにも覚悟のいることだなんて知らなかった。人を殺す――ことがこんなにも難しいなんて。

背中に矢を生やした冬子先輩がふらふらと……、そして倒れた。
手の中にあるボウガンに番えていた矢はいつの間に消えてしまったんだろう?
悲鳴。そして、黒須太一……太一先輩も……そこは、そこは、そこは、そこは、そこは――……。

私の知らないあの時のリプレイなのだろうか? 太一先輩も、そこから落ちて、消えた。

そして、降りてきた。
7/8に足す、1/8。
支倉先輩が、どこからともなく降りてきた。
空に広がっていた黒髪がスローモーションに下りてきて、視線も一緒に下ろせば先輩の手には血塗れのナイフ。
何時の間にだったのだろう。桜庭先輩も、宮澄先輩も、友貴先輩も――そして、

背中にもたれ掛かる美希も、栓を抜かれた風船みたいに力無く、倒れて――死んでいた?

太陽の下でも変わらず真っ黒な髪を追従させ、支倉先輩がゆっくりと振り返る。
そして、同じ様に光を跳ね返さない真っ黒な瞳を見て、私は実感した。
今まではそうだと決め付けていただけだったソレを、彼女の目を見て真に理解、した。

理解は後悔を生む。知らなければ、もっと楽に死ねたのかも知れないと――……。


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