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没作品投下スレ

189 残された欠片「日常」 ◆k97rDX.Hc. :2007/12/28(金) 23:38:29 ID:dXEPpd9E
「日常」

 天気予報は本当にあてにならない。雨粒が叩きつけられる窓ガラスを眺めて、僕はため息をついた。
 予報が外れたこと自体は大した問題じゃない。雨が降り始めた時は少し不安になったけれど、ドラえもんが迎えに来てくれたから、ずぶ濡れにならずにすんだ。後で自分がパパの迎えに行かないといけないのはちょっと面倒だけれど、それもまあいい。
 本当に問題なのは、どこにも遊びに行くあてがないことだ。しずかちゃんちに行ければ良かったんだけれど、都合が悪いと言われてしまった。
 こんな日には……
(やっぱり昼寝が一番)
 僕はそう結論づけてランドセルをその辺に放り投げると、引き寄せた座布団を枕にして畳の上に寝っころがった。
(……あれ?)
 眠りにつくほんの一瞬前に、微かな違和感を覚えて僕は跳び起きた。
 部屋を見渡すまでもない。体を起こしてちょうど正面、ドラえもんが寝床にしている押し入れの襖に、竹刀が立て掛けてある。
 なんで、こんなものがここに? 僕は襖の前まで這っていき、それを手にとった。
「今日のおやつはドラ焼き〜♪」
「ねえ、ドラえもん」
 都合の良いことに、ちょうどその時、上機嫌のドラえもんが鼻歌まじりに部屋に入って来た。早速、この竹刀について尋ねてみることにする。
「ん? なんだい?」
「こんな竹刀、どうしたの?」
「え!? ああ、それ? ええと、この前ジャイアンが君を追い回してたことがあったろう。
 そのとき取り上げといたのがポケットの中を整理してたら出てきたんだよ」
「……そんなことあったっけ?」
「あれ? 覚えてないの? まあ、いいでしょ。しまっちゃうから返してよ」
 怪しい。……あ、今、目をそらした。何か僕から隠そうとしているな。
 よし。
「そんなこと言ってさ。僕に使わせたくないだけで、実はひみつ道具だったりするんじゃないの?」
 僕がそう言うと、ドラえもんはきょとんとした顔でこっちを見つめてきた。黙ったまま何も言わないから、なんだか気まずい。
「な、なんだよ」
「ク、クク。ウヒャハヒャヒャ」
と、思ったら突然吹き出し、腹を抱えて大笑いし始めた。
 そのまましばらくゲラゲラと笑いつづけて、しばらくして言うことには、
「フヒ、フヒヒヒ。き、君は実に……まあいいや。変なこと言わないでよ、のび太くん。
 それはただの竹刀で、ひみつ道具なんかじゃないよ」
 もう。そこまで笑うことないじゃないか。僕がふくれてそっぽをむくと、ドラえもんはそれを宥めにかかってきた。
 『ごめん』とか、『あんまり突拍子もなかったから、つい』とか色々と言ってきたけれど、しばらく許してやるもんか。……とは思ったけれど、こんなことで意地をはるのも馬鹿馬鹿しいからすぐに振り向いた。
 そしたら、やっぱりあの気色悪いにやにや笑いに出迎えられた。
 目の端に浮かんだ涙をぬぐったりなんかしちゃってさ。泣く程面白かったって言うわけ?


 変なドラえもん。






あとがき

蛇足の話の更に蛇足ですが後書き。今回の4つの“かけら”(うち1つはえらく短いですが)は互いにつながった話かもしれませんし、まったく関わりのない話かもしれません。また、どの話を「あり」と考えどれを「なし」とするかも読む方次第です(実際、書いた自分自身、趣味に合わないのでなかったことにしているものも1つあります)。
また、解釈に幅が出る部分や妄想の入る余地を意図的に増やしてもいるので、もし、面白いと感じていただけたなら、エピローグの方と合わせて色々考えてみてください。例えば、「もしもボックスの使用の有無」、「(ロワに出場した)ドラえもんが消滅してしまったか否か」、「竹刀がのび太の部屋にある理由」あたりと今回の話のどれを採用するかを変えれば色々違う話を作れるでしょうしね。

だらだらと書きなぐってしまいましたが以上で終わりです。書く側としては力不足の目立つ自分ですが、またどこかでお会いしましたら、よろしくお願いします。


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