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避難用作品投下スレ6

127インターセプト4:2010/10/07(木) 00:28:35 ID:bSl081z60
「…………っ」

少しでも軌道がずれていたら、飛んでいたのはシュン自身の肉だ。
言葉にならない。
少女を再び捕らえ暴力を振るい出す少年の姿すら、シュンはまともに捉えていなかった。
聴覚すらも、器官が拒否をする。全てが遮断される。

斧が、斧が。
新品ではないだろうが、恐らくこの斧はそこまで使い込まれていないのだろう。
まだ人の血を吸っていないと分かる清らからな断面に、シュンの姿が映り上がる。
開いた瞳孔、伝う汗。

きっと、切りつけられていたらこんなまじまじと自分の姿を見つめることすらできなかったに違いない。
これまで病魔という問題を除き、自身が命を奪われそうになる危機というものを、シュンは体験したことがなかった。
それだけに、この一連でかかった負荷がシュンに与えたダメージというのも、とてつもなく大きかった。

「今のはどう見ても不可抗力だよね?」

距離を置いていた少年が、ゆっくりとシュンに歩み寄る。
少年に手を差し出され、いまだ座り込んだままのシュンは反射的にそれを取った。
片手で優々とシュンの体を起こす少年の表情は、柔らかい。
何が起きたのかを深く理解していないシュンは、その温かさにまた混乱しかかってしまう。
ふと見ると、少年のもう片方の手には、手放されたはずの拳銃が再び握られていた。
何故。固まるシュン。

両足のバランスを確認した後少年から手を離すと、シュンは周囲を改めて確認した。
先程の少年少女四人が固まっている位置がやけに近い。目と鼻の先だった。
何故。
何故、自分達はこんなにも密集している。


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