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避難用作品投下スレ5
191
:
Twelve Y.O.
:2009/08/10(月) 19:28:25 ID:VP5F8fys0
言いながらも、高槻の口調はどこか歯切れが悪かった。
高槻の言う通りで、結局最後まで口に出せなかった自分も同じだ。
慰めの言葉すら自分が言うと空疎で中身のないもののように思えたからなのだが、そうではないのかもしれない。
自分達には言葉がなかった。杏の気持ちに気を使うあまりに何を言っていいのか分からなかったのだ。
不器用と言えばそれまでの話だが、実際は無遠慮や素直さ、真っ直ぐさを忘れてしまったからなのだろう。
大人になって様々な芥を浴びてきた自分達は言葉を額面通りに捉えられなくなってしまった。
裏を探し、真意を読もうとし、素直に受け取る術を忘れてしまった大人。
思う気持ちはあっても、大人として生きる術を覚えてしまった体が踏み込むことを躊躇わせた。
高槻が煮え切らないのもそこに起因するのに違いなかった。
「自分勝手だな、俺は」
ぽつりと呟かれた高槻の声は微かで、隣にいた芳野にも僅かな音量でしか届かなかった。
「生きるためには人の力が必要なことも分かってるのに、肝心なときに何もしようとしない。黙って見てるだけだ」
「そしてそれを自覚していながら、結局は踏み止まる。自分のことしか考えられずに……」
高槻の後を引き取り、芳野が続けた。
ここで人から教わったこと、学んだことは多いのに、恩に対して無言という形でしか応えていない。
自分が変わった、良くなったという自覚はあっても、人に同様のことができたかというと答えは否だ。
やろうと思ってやれるものでもないし、やるものでもない。
それでも無為にしてしまうことに後ろめたいものがあった。
こうなりたいと思って、なったわけではないのだから。
「なぁ、芳野の兄ちゃん。告白のひとつやふたつやったことはあるだろ?」
「いきなりどうした、藪から棒に」
「いいから答えろ」
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