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避難用作品投下スレ5

184Crazy for You:2009/08/09(日) 02:36:54 ID:MibganzY0
じゅぶ、と。
濡れた雑巾を叩きつけたような、音。
笑んだ綾香が、自らの脇腹、肋骨の僅か下に、指を突き込んでいる。
だらりだらりと鮮血が垂れる。
根元までを肉に埋めた指は、ぐじゅぐじゅと桃色の糸を伸ばす肉を押し退けるようにして、
腹腔の中を掻き回しているようだった。
やがて何かを探り当てた指が、ずぶりと引き抜かれる。

「これが、残り、全部」

鮮血と脂肪とリンパ液とに濡れた指が、てらてらと光る。
示すように差し出した、その指の間には透明な円筒。
先刻綾香が噛み砕いてみせたのと寸分違わぬアンプルが三本、そこにあった。

「一々呑むのも、面倒だ」

告げた綾香が、空いた片手を白い喉に添える。
躊躇なく、爪を立てた。
か、けく、と血の泡が漏れ出したのは、気管と動脈とを傷つけたものだろうか。
間髪入れず、三本のアンプルが赤黒い泡を噴く傷へと差し込まれ、掴んだ指に力が込められる。
甲高い音は一瞬。ほぼ同時に三本の円筒が砕け散って、薄黄色の中身を溢す。
舐め取るように、血と肉とが硝子を練り込んだまま傷口を塞いでいく。
一瞬の、後。


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