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避難用作品投下スレ5
15
:
雨とロボット
:2009/06/01(月) 22:00:40 ID:1omQIvw60
愛をくだらないとか言った仕返しだ。
ひょっとするとそっちが本音なのかもしれないという考えを腹の底に仕舞い、
高槻とは改めて議論の決着をつけなければな、と芳野は思ったのだった。
「ふん! まあそれよりもだ。あのクソシスターロボが出てきたってことは、これであいつらもここにいるって確定したようなもんだな」
「……そうですね。どこから来たのかはともかくとして」
「泳いできたわけではないな」
「空から降ってきたわけでもなさそうだな。親方! 空からシスターが!」
大仰な仕草で空を指す高槻を尻目に、ならば地下からやってきたのが妥当なところだろうと当たりをつける。
出てこれるならば入ることもできるということだ。すなわち、理論上こちらも侵入はできる。
問題はそこに仕掛けられるフィルター(罠)とどこにあるのかということだ。
恐らくは巧妙に隠されているだろうから手当たり次第に探したところで見つかるわけもない。
それにアハトノイン自体がもう引っ込んで出てこないこともある。
船は破壊したのだから出てくる必要性がないからだ。
また問題が発生したのなら話は別だろうが。
「どうにかして引っ張り出す必要がありそうだな」
「穴をつつく、とかな。巣穴に爆弾を放り込む」
「首輪を解除する」
「或いはこちらが外部への連絡手段を発見する、というのもありそうですね」
「まぁその場合そもそもクソシスターと戦うこともないな。救助を待てばいいんだから」
そう、あくまでもこちらの目的は脱出で主催者を倒すことではない。少なくとも高槻はそう思っている。
自分自身は、と芳野は考える。この島ではたくさんのひとを失った。知り合いから婚約者まで、多すぎる人を亡くした。
恨みがないといえば嘘になる。復讐心は誰もが抱えている。ただそれをぶつけたところで何かを取り戻せるわけではない。
それに、今の自分達にはうらみつらみだけではない。新しく手に入れたものだってある。
たとえそれが屍の上に築き上げられ、人の死という痛みを伴ってでしか手に入れられなかったものだとしても。
だから俺は、こいつらがいるならついていこうと思う。それでいい。
ここの連中は、少なくとも復讐に身を任せるよりは心地いいと思える場所を与えてくれているのだから……
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