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避難用作品投下スレ5

137ベラドンナ:2009/07/15(水) 23:39:41 ID:VjZ7PxFU0
デイバッグから空のペットボトルを提示する宗一に、キッチンがある場所を有紀寧が指差した。
ちょっとした食料があったこと等も告げると、渚も宗一も大いに驚いた。
二人曰く、彼女達が居た診療所や他の参加者がいるか探るために入った民家は、水道は通っていたとしてもそのようなサービスは一切見当たらなかったらしい。

「それならこの家は、当たりだったんですね」

クスクスと笑う有紀寧に同調するよう、祐介も頬を緩ませる。
彼女が昨晩用意してくれたピラフの味がかなり良かったことは、祐介の頭にもしっかり記憶されている。
初音も料理が得意だと言っていた。
女の子の手作りの料理が食べられる機会というのが決して多くない祐介にして見たら、殺し合わなければいけないというこの現実さえ見なければ心から喜べるシチュエーションとなるだろう。

「あ、僕も結構飲んじゃってたんで。一緒に行きますよ」
「おう。案内してくれ」

自然と口に運んでいたらしい、半分程減ったペットボトルを片手に祐介も立ち上がる。
先導するようにすぐそこのキッチンへと、祐介は宗一と共に消えていった。





二人の姿が見えなくなった所で、有紀寧は祐介と宗一を見送るために逸らしていた背中を、ゆっくりと元の位置に戻した。
有紀寧の斜め前に座っている渚は、まだ慎ましやかにも小さく手を振り続けている。
律儀な少女だ。
目が合い、有紀寧は渚が頬を緩ませるだろうそのタイミングに合わせ、自然に見える笑顔を彼女に向ける。

「えへへ」


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