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避難用作品投下スレ4

395十一時四十分(3)/偶然がいくつも重なり合って:2009/01/22(木) 03:00:14 ID:/qw7egEw0
「……?」

伸ばした手の先、珠の転がった先に、光があった。
黄金色の光。
そんな光に包まれて、何かが珠に向けて伸びている。
目を凝らして、ほんの僅かに考えて、それが指であると気付く。
己のものではない、誰かの指。
よく見れば、指が光に包まれているのではない。
陽光に照らされて眩しく光る黄金色の手甲を、その手は纏っていたのだった。
珠に向かって伸ばされた黄金の手甲をした指は、ぴくりとも動かない。
指の先には、腕がなかった。
否、腕と呼べるものは、そこになかった。
代わりにあったのは、かつて腕であっただろう、何かである。
黄金の鎧と交じり合って赤黒く、ところどころに桃色を覗かせるそれは、骸であった。

骸の指は、珠に伸ばされたまま、動かない。
動かぬ骸を見つめ、舞が口を開く。
何かを、言わねばならぬ気がした。
だが言葉は出てこない。
記憶の薄暗がりの中、存在していたはずのかけるべき言葉は、どこにも見当たらない。

代わりに、手を伸ばした。
伸ばして珠を取らず、それを通り越して骸に手をかける。
まだ温かい、粘性の感触を無視してそのまま、ごろりと骸を転がした。
べちゃりべちゃりと嫌な音がして、肉の袋の中にまだ残っていた血だまりが転がった拍子に溢れ、
舞の白い膝を汚した。
どうしてそんなことをしたのか、舞自身にも判らない。
判らないまま、舞は転がった骸の、鎧であったものと肉であったものの合挽きの中に
黒く染まった左の手を差し入れて、無造作に何かを掴み出した。
ずるり、と臓物のように肉の中から引きずり出されたのは、人の腕ほどもある太さの、
縄のような長細いものである。


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