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避難用作品投下スレ4

361萃まる夢、想い:2009/01/10(土) 02:01:44 ID:OSmySDaI0
     *     *     *

 雨が降っている。
 悲しみを伝える雨だ。

 あの時は気付けようもなかった一つの事実。
 それが今、一つの結果として目の前に立ち塞がっている。
 その事すら分かりきったかのように、目の前の人物は冷然として無表情な瞳を向けていた。

「久しぶりだな」
「久しぶりね」

 喜びを分かち合うのでもなければ、懐かしむ声でもない。
 ただそれぞれに現実を認識し、引き返せないところまで来てしまったことを認識するものだった。
 どのような事があったのか、リサ=ヴィクセンには知りようもないし、答えてはくれまい。
 ただ思うのは、ここが正念場……ここで退いてしまえば、取り返しのつかない後悔をするだろうという予感と、
 倒すべき敵を眼前に見据えて、闘争心が猛り狂うのを感じていた。

「柳川祐也……」
「リサ=ヴィクセン……」

 お互いがその名を呼ぶ。恐らくは、別れの合図なのだろうとリサは思った。
 かつての仲間に対して。
 今の敵に対して。
 分かり合えぬ現実を目の前に。

 狐と、鬼が地面を蹴った。


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