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避難用作品投下スレ3
505
:
十一時二十分(2)/散文的に、時には詩的に
:2008/04/15(火) 21:41:27 ID:2LxlvcbQ0
知らず振り向いた蝉丸の、その表情が固まる。
見上げた視線の先に、異物があった。
僅か数十メートル先、神塚山山頂。
そこに、何かが突き立っていた。
天空から下ろされた一本の蜘蛛の糸のような。
或いは天へと伸びる果てしない塔のような。
限りなく細い何か、紅色と桃色と鈍色が考えなしに混ざり合ったような、醜悪な何か。
それが、神塚山の山頂、その中心へと突き立てられていたのである。
「……、」
そこにいた筈の、青年へと移り変わる途上のような顔をした、少年の名を、蝉丸が口にするより早く。
ひどく耳障りな雑音交じりの、しかし不気味によく通る声が、天空から響いていた。
「待っていましたよ―――この瞬間を」
それは遥か蒼穹の高み、突き立った細い糸のような何かの上から、降りてきた。
最初は芥子粒のような、しかし瞬く間にその大きさを増していくそれは、異様な姿をしていた。
人のような、しかし決して人にはあり得ないシルエット。
三対六本の腕、瘡蓋の下に張った薄皮のような桃色の、巨大な翼。
人と蟲と蝙蝠を、止め処ない悪意によって混ぜ合わせたようなフォルム。
かつて長瀬源五郎と呼ばれた人間の成れの果てが、そこにあった。
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