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避難用作品投下スレ3
253
:
思惑/Unstoppable Monster
:2008/02/01(金) 15:01:34 ID:nHUW/EJY0
戦いの火蓋というものは、往々にして何の前触れもなく切られるものである。
神尾晴子はズキズキと痛む左肩と右手の悲鳴を眉間に皺を寄せながらもそれを無視し、H&K、VP70を両手で持ちながら足早に柏木耕一、柏木梓の元へと忍び寄っていた。
既にその後姿は確認し、十分に射程圏内まで接近している。後はいつ討って出るか、だが相変わらず右手に力が入らない。肩が震えている。時々意識も霞む。痛い。耐えられないくらい痛い。
できるならこのまま逃げたいと晴子は考えていた。どうしてわざわざこんな痛い思いを、ともすれば死ぬかもしれない行為をしなくてはならないのか。
大体、いつだって自分は逃げてきたのではないのか。
いつか来る別れの時を恐れて娘の――観鈴とも仲良くしてこなかった。相談に乗ってやることも、誕生日を祝ってやることさえしなかった。
今回もまた逃げればいいのではないのか? 逃げて、観鈴を探して、これまでしてきたことを謝って、残りの時間を二人で過ごせばいい。そうすればいいじゃないか。
だが――晴子の頭の中にはとびきりの、花が咲くように笑う観鈴の顔があった。
あの笑顔を失ってはならない。
あの笑顔を守らなくてはならない。
あの子は幸せにならなくてはならない。
これまで晴子の我が侭で不幸せにしかしてこれなかったことへの償い。それだけは晴子の譲れない一線であった。
ああ、そうだ。何を血迷っていたのだ。
これまでの連戦で忘れていた。これが、答えなのだ。
痛い? それがどうした。
意識が飛ぶ? なら無理矢理叩き起こしてやる。
死ぬ? いや死ななければいいだけだ。
晴子には安息の時など許されはしない。地獄から何度でも引き摺り出して過酷な罪を贖わせてやろう。臓物が千切れ飛べば拾い集めて中に戻してやる。目玉が潰れれば悪魔の囁きを分け与えてやる。
さあ戦え。勝利はない。あるのは闘争だけだ。醜い喰い合いの果てに望むのはただ一つの笑顔と平凡な暮らしだ。
そのために神尾晴子よ。貴様は死ね。
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