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避難用作品投下スレ2

97再会は雷鳴と共に:2007/05/01(火) 06:27:51 ID:QxFK1geI0
しかしチエはゆっくりと首を振って、言った。
「それよりも…………先輩、聞いて欲しい事があるんスよ……」
「……何かな?」
チエはこれまで見せた事の無い程真剣な瞳で、こちらを見つめていた。
その視線を一身に受けた貴明は、素直に話を聞くしかなかった。
「あたしね……このみと会ったんスよ。夢の中で――もう死んじゃった筈のこのみと会ったんスよ」
「このみと?」
「このみはね……、河野先輩の事が……好きだったんスよ。ずっとずっと……、昔から……好きだったんスよ。
 このみは……心配してました。自分が死んだ事を嘆くよりも……、残された河野先輩を……心配してました」
「そっか……」
このみらしいな、と思った。
彼女は子供のように見えて、芯の部分では自分などより余程しっかりしているから。
それに自分がこのみより先に死んでしまったとしたら、同じように残された相手の心配をするだろう。
自分とこのみはそういう関係なのだ。
「それでこのみは……、あたしに言ったんスよ。『よっちにタカくんをお願いしたいの』って……」
「――吉岡さんに? どうして?」
分からなかった。自分とチエは、親しい仲では無い。
環や雄二に頼むのなら分かるが、このみがどうしてチエにそんな事を言ったのか、理解出来なかった。


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